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JP6924315B2 - 摺動部材およびすべり軸受 - Google Patents

摺動部材およびすべり軸受 Download PDF

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Description

本発明は、摺動面にて相手材が摺動する摺動部材およびすべり軸受に関する。
0.3〜25容量%の無機物粒子をめっき被膜中に分散させたすべり軸受が知られている(特許文献1、参照。)。特許文献1において、めっき被膜中に含まれる無機物粒子によって耐摩耗性を向上させることができる。
特開平4−331817号公報
しかしながら、特許文献1のように、めっき被膜中に無機物粒子を分散させることは技術的に困難であるという問題があった。具体的に、めっきの際に、無機物粒子の凝集が生じるとともに、共析率をコントロールすることが困難であるという問題があった。その結果、めっき被膜中における無機物粒子の分散状態を安定してコントロールできず、良好な耐摩耗性を実現することができなかった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、簡易な構成により良好な耐摩耗性を実現できる技術を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の摺動部材およびすべり軸受は、基層上に、相手材との摺動面を有する被覆層が形成された摺動部材およびすべり軸受であって、基層は、被覆層を形成する金属であるBiよりも硬い硬質材料であるCuを含み、被覆層のうち、基層との界面からの距離が1μm以上かつ2μm以下の評価範囲において、基層から拡散した硬質材料の拡散成分の平均濃度が4wt%以上となる。
前記の構成において、被覆層は基層の硬質材料であるCuよりも軟らかい材料であるBiで形成されるが、基層からの拡散成分が被覆層中に拡散することにより、耐摩耗性を向上させることができる。また、硬質材料であるCuを基層から被覆層中に拡散させることにより、容易に耐摩耗性を向上させることができる。硬質材料であるCuを基層から被覆層中に拡散させることにより、基層から遠い被覆層の表面側を軟らかい状態で維持することができ、良好な初期なじみ性を得ることができる。また、基層との界面からの距離が1μm以上かつ2μm以下の評価範囲における拡散成分の平均濃度を4wt%以上とすることにより、遅くとも評価範囲まで摩耗が進行した段階で良好な耐摩耗性を発揮できる。また、評価範囲における拡散成分の平均濃度を8.2wt%以上とするのがより望ましい。
ここで、被覆層は、Sn,Pb,InまたはSbで形成されてもよい。Sn,Pb,In,Sbは、いずれも硬度(例えばモース硬度)が小さく、基層の硬質材料よりも軟らかい材料として好適である。一方、基層の硬質材料は、これらの被覆層の材料よりも硬い材料であればよく、これらの被覆層中に拡散可能な材料であればよい。基層は、単一元素の金属で形成されてもよいし、合金で形成されてもよいし、マトリクス中に各種粒子が分散した材料で形成されてもよい。
また、基層からの拡散成分は、少なくとも被覆層の結晶粒界における粒界拡散によって被覆層に拡散してもよい。これにより、摺動面のうち被覆層の結晶粒の粒界が露出した部分を強化する一方で、被覆層の結晶粒の粒界以外の部分(粒内)が露出した部分においては柔軟性を維持することができる。従って、耐摩耗性となじみ性とを両立させることができる。なお、拡散成分は、少なくとも粒界拡散によって拡散した成分を含めばよく、粒内拡散の成分と粒界拡散の成分とが含まれてもよい。
さらに、評価範囲において、基層と被覆層との界面上の線である境界線の方向における拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%以上であってもよい。このように、基層と被覆層との界面上の線である境界線の方向における拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%以上となる場合に、粒界に偏って拡散成分が拡散していると判断することができる。
本発明の実施形態にかかる摺動部材の斜視図である。 摺動部材の断面模式図である。 拡散成分の濃度のグラフである。 摺動部材の断面写真である。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)第1実施形態:
(1−1)摺動部材の構成:
(1−2)計測方法:
(1−3)摺動部材の製造方法:
(2)他の実施形態:
(1)第1実施形態:
(1−1)摺動部材の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる摺動部材1の斜視図である。摺動部材1は、裏金10とライニング11とオーバーレイ12とを含む。摺動部材1は、中空状の円筒を直径方向に2等分した半割形状の金属部材であり、断面が半円弧状となっている。2個の摺動部材1を円筒状になるように組み合わせることにより、すべり軸受Aが形成される。すべり軸受Aは内部に形成される中空部分にて円柱状の相手軸2(エンジンのクランクシャフト)を軸受けする。相手軸2の外径はすべり軸受Aの内径よりもわずかに小さく形成されている。相手軸2の外周面と、すべり軸受Aの内周面との間に形成される隙間に潤滑油(エンジンオイル)が供給される。その際に、すべり軸受Aの内周面上を相手軸2の外周面が摺動する。
摺動部材1は、曲率中心から遠い順に、裏金10とライニング11とオーバーレイ12とが順に積層された構造を有する。従って、裏金10が摺動部材1の最外層を構成し、オーバーレイ12が摺動部材1の最内層を構成する。裏金10とライニング11とオーバーレイ12とは、それぞれ円周方向において一定の厚みを有している。裏金10の厚みは1.8mmであり、ライニング11の厚みは0.2mmであり、オーバーレイ12の厚みは10μmである。オーバーレイ12の曲率中心側の表面の直径(摺動部材1の内径)73mmである。以下、内側とは摺動部材1の曲率中心側を意味し、外側とは摺動部材1の曲率中心と反対側を意味することとする。オーバーレイ12の内側の表面は、相手軸2の摺動面を構成する。
裏金10は、Cを0.15wt%含有し、Mnを0.06wt%含有し、残部がFeからなる鋼で形成されている。なお、裏金10は、ライニング11とオーバーレイ12とを介して相手軸2からの荷重を支持できる材料で形成されればよく、必ずしも鋼で形成されなくてもよい。
ライニング11は、裏金10の内側に積層された層であり、本発明の基層を構成する。ライニング11は、Snを10wt%含有し、Biを8wt%含有し、残部がCuと不可避不純物とからなる。ライニング11の不可避不純物はMg,Ti,B,Pb,Cr等であり、精錬もしくはスクラップにおいて混入する不純物である。不可避不純物の含有量は、全体で1.0wt%以下である。
オーバーレイ12は、ライニング11の内側の表面上に積層された層であり、本発明の被覆層を構成する。オーバーレイ12は、Biとライニング11からの拡散成分と不可避不純物とからなり、不可避不純物の含有量は1.0wt%以下である。
図2は、摺動部材1の断面模式図である。同図において、摺動部材1の軸方向の垂直断面が示されている。ライニング11上にオーバーレイ12が形成されており、ライニング11とオーバーレイ12との境界線X(破線)が直線状となっている。厳密には境界線Xは円弧状となるが、摺動部材1の曲率に対して十分に小さい領域を図示しており、境界線Xを直線と見なしている。境界線Xは、ライニング11とオーバーレイ12との界面上の線である。図2において、オーバーレイ12のうち、境界線Xを1μmだけ摺動面S側に平行移動させた線と、当該境界線Xを2μmだけ摺動面S側に平行移動させた線によって挟まれた範囲を評価範囲Eとする。本実施形態では、評価範囲Eの幅方向の長さを9μmとした。
図2に示すように、オーバーレイ12の結晶粒12aは、ライニング11との境界線Xに対してほぼ垂直な柱状の形状を有している。単一の結晶粒12aの輪郭線上の2点を接続する線分のうち、長さが最大となる線分を長軸LAとし、当該長軸LAの中点にて当該長軸LAに直交する結晶粒12a上の線分を短軸SAとする。また、各結晶粒12aにおける長軸LAの長さを短軸SAで除算した比の平均値を平均アスペクト比とする。結晶粒12aの平均アスペクト比は3であった。さらに、各結晶粒12aにおける長軸LAの方向(摺動面Sに近づく方向)を結晶成長方向とし、各結晶粒12aにおける結晶成長方向の算術平均値を平均結晶成長方向とする。本実施形態における平均結晶成長方向は、摺動面Sに対してほぼ垂直(85度)であった。
図3は、評価範囲EにおけるCuの平均濃度を示すグラフである。オーバーレイ12に含まれるCuは、ライニング11からの拡散成分である。図3に示すように、後述する熱処理を行う前では評価範囲EにおけるCuの平均濃度が3.0wt%であったのに対し、後述する熱処理を行った後では評価範囲EにおけるCuの平均濃度が8.2wt%となった。評価範囲Eにおいては、もともとライニング11のCuが3.0wt%だけ拡散しているが、熱処理を行うことにより、Cuの濃度が5.2wt%増加する。
オーバーレイ12において、ライニング11との界面から遠くなるほど、ライニング11からの拡散成分としてのCuの濃度が小さくなる。なお、ライニング11に含まれるSnもCuと同様にオーバーレイ12内に拡散している。
図2において、評価範囲Eを境界線Xの方向に分割した分割範囲eごとにCuの濃度を計測し、分割範囲eごとのCuの濃度の標準偏差を算出した。その結果、分割範囲eごとのCuの濃度の標準偏差は、5.6wt%であった。境界線Xの方向における分割範囲eの幅は、境界線Xの方向におけるBiの結晶粒の平均幅と同じである。Biの結晶粒の平均幅は、各結晶粒12aの短軸SAの長さの算術平均値である。
図4は、摺動部材1の断面写真である。同図において、色(グレー)が濃いほど、Cuの濃度が高いことを意味する。同図に示すように、境界線Xよりもオーバーレイ12側においてCuの濃度が高濃度となっている突出部Pが存在している。この突出部Pは、結晶粒12aの粒界のうち、図4の断面に露出している部分であると考えられる。つまり、オーバーレイ12において、結晶粒12aの粒界において結晶粒12aの粒内よりも高濃度でCuが拡散しており、図4の断面のうち結晶粒12aの粒界が露出している部分が突出部Pとして表れることとなる。このことは、評価範囲Eを境界線Xの方向に分割した分割範囲eごとのCuの濃度の標準偏差が5.6wt%と大きいことによっても裏付けられる。
以上説明した本実施形態において、ライニング11からの拡散成分がオーバーレイ12中に拡散することにより、耐摩耗性を向上させることができる。また、硬質材料としてのCuを基層としてのライニング11から被覆層としてのオーバーレイ12中に拡散させることにより、容易に耐摩耗性を向上させることができる。Cuをオーバーレイ12中に拡散させることにより、ライニング11から遠いオーバーレイ12の表面側を軟らかい状態で維持することができ、良好な初期なじみを得ることができる。また、ライニング11とオーバーレイ12との界面からの距離が1μm以上かつ2μm以下の評価範囲Eにおける拡散成分(Cu)の平均濃度を8.2wt%とすることにより、遅くとも評価範囲Eまで摩耗が進行した段階で良好な耐摩耗性を発揮できる。本発明者は、ライニング11とオーバーレイ12との界面からの距離が1μm以上かつ2μm以下の評価範囲Eにおける拡散成分の平均濃度を4wt%以上となるように管理することにより、当該拡散成分の平均濃度が4wt%未満である場合よりも耐摩耗性が向上することを確認した。
また、ライニング11からの拡散成分は、粒界拡散によってオーバーレイ12に拡散している。これにより、摺動面Sのうちオーバーレイ12の結晶粒12aの粒界が露出した部分を強化する一方で、結晶粒12aの結晶粒12aの粒界以外の部分(粒内)が露出した部分においては柔軟性を維持することができる。従って、耐摩耗性となじみ性とを両立させることができる。さらに、評価範囲Eにおいて、ライニング11とオーバーレイ12との界面に平行な方向における拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%以上の5.6wt%となる。このように、界面に平行な方向における拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%以上となる場合に、粒界と粒内のうち粒界に偏って拡散成分が拡散していると判断することができる。本発明者は、ライニング11とオーバーレイ12との界面に平行な方向における拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%以上となるように管理することにより、当該拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%未満である場合よりもなじみ性が向上することを確認した。
(1−2)計測方法:
上述した実施形態において示した各数値を以下の手法によって計測した。摺動部材1の各層を構成する元素の質量は、ICP発光分光分析装置(島津社製ICPS−8100)によって計測した。
各層の厚みは、以下の手順で計測した。まず、摺動部材1の軸方向の垂直断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子製 IB−09010CP)で研磨した。そして、摺動部材1の断面を電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6610A)によって7000倍の倍率で撮影することにより、観察画像(反射電子像)の画像データを得た。そして、観察画像を画像解析装置(ニレコ社製 ルーゼックス AP)によって解析することにより膜厚を計測した。
さらに、摺動部材1の断面を電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6610A)によって15000倍の倍率で撮影することにより解析画像を得た。そして、解析画像を画像解析装置(ニレコ社製 ルーゼックス AP)によって解析した。具体的に、画像解析装置によって、ライニング11とオーバーレイ12との界面をなすうねり曲線の平均線(JIS B 0601)を境界線Xとして特定した。さらに、画像解析装置によって、オーバーレイ12における各結晶粒12aの粒界を検出し、各結晶粒12aの長軸LAと短軸SAと結晶成長方向とを特定した。各結晶粒12aの粒界は、例えばエッジ検出によって検出できる。さらに、各結晶粒12aにおける長軸LAの長さを短軸SAで除算した比の平均値を平均アスペクト比として算出した。なお、円相当径が0.1μm未満となる結晶粒12aについては、アスペクト比の算出対象から除外した。
また、図2の評価範囲EにおけるCuの濃度を以下のように計測した。具体的に、上述したクロスセクションポリッシャで研磨した摺動部材1の断面を元素分析装置(日本電子製 JSM−6610AのEDS(エネルギー分散型X線分光器))によって分析することにより、評価範囲EにおけるCuの濃度を計測した。
(1−3)摺動部材の製造方法:
まず、裏金10と同じ厚みを有する低炭素鋼の平面板を用意した。
次に、低炭素鋼で形成された平面板上に、ライニング11を構成する材料の粉末を散布した。具体的に、上述したライニング11における各成分の質量比となるように、Cuの粉末とBiの粉末とSnの粉末とを低炭素鋼の平面板上に散布した。ライニング11における各成分の質量比が満足できればよく、Cu−Bi,Cu−Sn等の合金粉末を低炭素鋼の平面板上に散布してもよい。粉末の粒径は、試験用ふるい(JIS Z8801)によって150μm以下に調整した。
次に、低炭素鋼の平面板と、当該平面板上に散布した粉末とを焼結した。焼結温度を700〜1000℃に制御し、不活性雰囲気中で焼結した。焼結後、冷却した。なお、ライニング11は必ずしも焼結によって形成されなくてもよく、鋳造等によって形成されてもよい。
冷却が完了すると、低炭素鋼の平面板上にCu合金層が形成される。このCu合金層には、冷却中に析出した軟質のBi粒子が含まれることとなる。
次に、中空状の円筒を直径で2等分した形状となるように、Cu合金層が形成された低炭素鋼をプレス加工した。このとき、低炭素鋼の外径が摺動部材1の外径と一致するようにプレス加工した。
次に、裏金10上に形成されたCu合金層の表面を切削加工した。このとき、裏金10上に形成されたCu合金層の厚みがライニング11と同一となるように、切削量を制御した。これにより、切削加工後のCu合金層によってライニング11が形成できる。切削加工は、例えば焼結ダイヤモンドで形成された切削工具材をセットした旋盤によって行った。切削加工後のライニング11の表面は、ライニング11とオーバーレイ12との界面を構成する。
次に、ライニング11の表面上にBiを電気めっきによって10μmの厚みだけ積層することにより、オーバーレイ12を形成した。電気めっきの手順は以下のとおりとした。まず、ライニング11の表面を水洗した。さらに、ライニング11の表面を酸洗することにより、ライニング11の表面から不要な酸化物を除去した。その後、ライニング11の表面を、再度、水洗した。
以上の前処理が完了すると、めっき浴に浸漬させたライニング11に電流を供給することにより電気めっきを行った。メタンスルホン酸:50〜250g/l、メタンスルホン酸Bi:5〜40g/l(Bi濃度)、界面活性剤:0.5〜50g/lとを含むめっき浴の浴組成とした。めっき浴の浴温度は、20〜50℃とした。さらに、ライニング11に供給する電流は直流電流とし、その電流密度は0.5〜7.5A/dm2とした。電気めっきにおいて、めっき浴(液)を液流のない静止状態とした。これにより、ライニング11の表面から曲率中心に向けて結晶粒12aを結晶成長させることができる。電気めっきの完了後に、水洗と乾燥を行った。
次に、150℃を維持した状態で50時間にわたって熱処理することにより、ライニング11の成分(おもにCu)をオーバーレイ12中に拡散させた。これにより、図3のグラフで示すように、評価範囲Eにおけるライニング11からの拡散成分の濃度を熱処理後において増加させることができた。熱処理の温度は、被拡散元素の融点の65%以下の温度であることが望ましく、被拡散元素がBiである場合には175℃以下であることが望ましい。これにより、Biの結晶粒12a内にライニング11の成分が拡散することを防止し、Biの結晶粒12aの粒界にライニング11の成分を拡散させることができる。
以上のようにして、摺動部材1を完成させると、2個の摺動部材1を円筒状に組み合わせることにより、すべり軸受Aを形成した。
(2)他の実施形態:
前記実施形態においては、エンジンのクランクシャフトを軸受けするすべり軸受Aを構成する摺動部材1を例示したが、本発明の摺動部材1によって他の用途のすべり軸受Aを形成してもよい。例えば、本発明の摺動部材1によってトランスミッション用のギヤブシュやピストンピンブシュ・ボスブシュ等のラジアル軸受を形成してもよい。さらに、本発明の摺動部材は、スラスト軸受であってもよく、各種ワッシャであってもよいし、カーエアコンコンプレッサ用の斜板であってもよい。また、ライニング11のマトリクスはCu合金に限られず、相手軸2の硬さに応じてマトリクスの材料が選択されればよい。また、被覆層の材料はライニング11よりも軟らかい材料であればよく、例えばPb,Sn,In,Sbのいずれかであってもよい。
1…摺動部材、2…相手軸、10…裏金、11…ライニング、12…オーバーレイ、12a…結晶粒、A…軸受、E…評価範囲、LA…長軸、P…突出部、S…摺動面、SA…短軸、X…境界線、e…分割範囲

Claims (6)

  1. 基層上に、相手材との摺動面を有する被覆層が形成された摺動部材であって、
    前記基層は、前記被覆層を形成する金属であるBiよりも硬い硬質材料であるCuを含み、
    前記被覆層のうち、前記基層との界面からの距離が1μm以上かつ2μm以下の評価範囲において、前記基層から拡散した前記硬質材料の拡散成分の平均濃度が4wt%以上となる、
    摺動部材。
  2. 前記拡散成分は、少なくとも前記被覆層の結晶粒界における粒界拡散によって前記被覆層に拡散している、
    請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記被覆層において、前記評価範囲を前記界面上の線である境界線の方向に分割した分割範囲ごとに計測された前記拡散成分の濃度を用いて算出される前記境界線の方向における前記拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%以上となり、
    前記分割範囲の幅は、前記境界線の方向における前記被覆層を形成する金属の結晶粒の平均幅と同じである、
    請求項2に記載の摺動部材。
  4. 基層上に、相手材との摺動面を有する被覆層が形成されたすべり軸受であって、
    前記基層は、前記被覆層を形成する金属であるBiよりも硬い硬質材料であるCuを含み、
    前記被覆層のうち、前記基層との界面からの距離が1μm以上かつ2μm以下の評価範囲において、前記基層から拡散した前記硬質材料の拡散成分の平均濃度が4wt%以上となる、
    すべり軸受。
  5. 前記拡散成分は、少なくとも前記被覆層の結晶粒界における粒界拡散によって前記被覆層に拡散している、
    請求項4に記載のすべり軸受。
  6. 前記被覆層において、前記評価範囲を前記界面上の線である境界線の方向に分割した分割範囲ごとに計測された前記拡散成分の濃度を用いて算出される前記境界線の方向における前記拡散成分の濃度の標準偏差が3wt%以上となり、
    前記分割範囲の幅は、前記境界線の方向における前記被覆層を形成する金属の結晶粒の平均幅と同じである、
    請求項5に記載のすべり軸受。
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