JP6923035B1 - 車両骨格構造 - Google Patents

Abstract

【課題】車両の側部に広いドア用開口部を確保しつつ、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の剛性を確保することができる車両骨格構造を得る。【解決手段】車両１０の車体１２には、第１前側ピラー部４６、第２前側ピラー部４８、前側アッパクロス部５８及び前側ロアクロス部７６を含むと共に車両前後方向から見て環状とされた前側環状構造部９４が、車両幅方向から見てドア用開口部７０の車両前方側の周縁部７０Ｂに沿うように配置される。また、車体１２には、第１後側ピラー部５０、第２後側ピラー部５２、後側アッパクロス部６０及び後側ロアクロス部７８を含むと共に車両前後方向から見て環状とされた後側環状構造部１１４が、車両幅方向から見てドア用開口部７０の車両後方側の周縁部７０Ｃに沿うように配置される。【選択図】図１

Description

本発明は、車両骨格構造に関する。

下記特許文献１には、車両のスライドドア構造に関する発明が開示されている。この車両のスライドドア構造では、スライドドアが、フロントサイドドアの車両後方側に配置されると共に、センターピラーを介することなく連結されている。このため、車両の側部に広いドア用開口部を確保することができる。

特開２０１９−１１９２６１号公報

しかしながら、上記先行技術では、車体の側部にセンターピラーが設けられていないため、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の剛性を確保するという点においては、改善の余地が残ることとなる。つまり、上記先行技術では、車両の側部に広いドア用開口部を確保しつつ、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の剛性を確保するという点において改善の余地がある。

本発明は上記事実を考慮し、車両の側部に広いドア用開口部を確保しつつ、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の剛性を確保することができる車両骨格構造を得ることが目的である。

請求項１に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車体の車両幅方向一方側の第１側部に設けられると共にサイドドアで開閉されるドア用開口部の車両前方側の周縁部に沿って配置され、車両上下方向に延在する第１前側ピラー部と、前記車体の車両幅方向他方側の第２側部に設けられると共に車両上下方向に延在する第２前側ピラー部と、車両幅方向に延在し、前記第１前側ピラー部の上部及び前記第２前側ピラー部の上部に直接又は部材を介して連結された前側アッパクロス部と、車両幅方向に延在し、前記第１前側ピラー部の下部及び前記第２前側ピラー部の下部に直接又は部材を介して連結された前側ロアクロス部と、前記第１側部に設けられると共に前記ドア用開口部の車両後方側の周縁部に沿って配置され、車両上下方向に延在する第１後側ピラー部と、前記第２側部に設けられると共に車両上下方向に延在する第２後側ピラー部と、車両幅方向に延在し、前記第１後側ピラー部の上部及び前記第２後側ピラー部の上部に直接又は部材を介して連結された後側アッパクロス部と、車両幅方向に延在し、前記第１後側ピラー部の下部及び前記第２後側ピラー部の下部に直接又は部材を介して連結された後側ロアクロス部と、を有し、前記第１前側ピラー部の上部と前記第１前側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、前記第２前側ピラー部の上部と前記第２前側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、前記第１後側ピラー部の上部と前記第１後側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、前記第２後側ピラー部の上部と前記第２後側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、前記サイドドアに配置されると共に車両前後方向に延在し、前記ドア用開口部が当該サイドドアで閉じられた閉状態において、車両前方側の一部が前記第１前側ピラー部と直接又は部材を介して連結され、車両後方側の一部が前記第１後側ピラー部と直接又は部材を介して連結されたサイドドア補強部と、前記第１側部における前記第１前側ピラー部の車両前方側において車両前後方向に延在し、車両後方側において当該第１前側ピラー部に接続され、車両前方側において前記車体の前部の前側骨格部に接続されると共に、車両幅方向から見て前記サイドドア補強部の上縁部を通り車両前後方向に延在する第１直線と、当該サイドドア補強部の下縁部を通り車両前後方向に延在する第２直線と、の間に少なくとも一部が配置された第１前側補強部と、前記第１側部における前記第１後側ピラー部の車両後方側において車両前後方向に延在し、車両前方側において当該第１後側ピラー部に接続され、車両後方側において前記車体の後部の後側骨格部に接続されると共に、車両幅方向から見て前記第１直線と前記第２直線との間に少なくとも一部が配置された第１後側補強部と、をさらに有している。

請求項１に記載の本発明によれば、車体の車両幅方向一方側の第１側部にドア用開口部が設けられており、当該ドア用開口部は、サイドドアで開閉される。

ところで、車両の利便性の観点からは、車体の側部に広いドア用開口部を確保できることが好ましい。しかしながら、車体の側部に広いドア用開口部を設けると、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の剛性を確保するという点において改善の余地が残ることとなる。

ここで、本発明では、ドア用開口部の車両前方側の周縁部に沿って車両上下方向に延在する第１前側ピラー部が設けられており、車体の車両幅方向他方側の第２側部には、車両上下方向に延在する第２前側ピラー部が設けられている。そして、第１前側ピラー部の上部及び第２前側ピラー部の上部に、直接又は部材を介して車両幅方向に延在する前側アッパクロス部が連結されている。

一方、第１前側ピラー部の下部及び第２前側ピラー部の下部には、直接又は部材を介して車両幅方向に延在する前側ロアクロス部が連結されている。

このため、第１前側ピラー部、第２前側ピラー部、前側アッパクロス部及び前側ロアクロス部を含むと共に車両前後方向から見て環状とされた前側環状構造部が、車両幅方向から見てドア用開口部の車両前方側の周縁部に沿うように配置されることとなる。

また、ドア用開口部の車両後方側の周縁部に沿って車両上下方向に延在する第１後側ピラー部が設けられており、車体の車両幅方向他方側の第２側部には、車両上下方向に延在する第２後側ピラー部が設けられている。そして、第１後側ピラー部の上部及び第２後側ピラー部の上部に直接又は部材を介して車両幅方向に延在する後側アッパクロス部が連結されている。

一方、第１後側ピラー部の下部及び第２後側ピラー部の下部には、直接又は部材を介して車両幅方向に延在する後側ロアクロス部が連結されている。

このため、第１後側ピラー部、第２後側ピラー部、後側アッパクロス部及び後側ロアクロス部を含むと共に車両前後方向から見て環状とされた後側環状構造部が、車両幅方向から見てドア用開口部の車両後方側の周縁部に沿うように配置されることとなる。

その結果、本発明では、車体のドア用開口部の近傍に入力される車両幅方向の荷重を、前側環状構造部及び後側環状構造部を介して車体の広範囲に分散させることができ、当該荷重による車体の変形を抑制することができる。
また、本発明によれば、サイドドアに車両前後方向に延在するサイドドア補強部が配置されており、当該サイドドア補強部によってサイドドアが補強される。また、ドア用開口部がサイドドアで閉じられた閉状態において、サイドドア補強部の車両前方側の一部が第１前側ピラー部と直接又は部材を介して連結されており、当該サイドドア補強部の車両後方側の一部が第１後側ピラー部と直接又は部材を介して連結されている。このため、サイドドアに入力される車両幅方向の荷重は、サイドドア補強部を介して第１前側ピラー部及び第２後側ピラー部に伝達される。
また、車体の第１側部における第１前側ピラー部の車両前方側には車両前後方向に延在する第１前側補強部が配置されている。この第１前側補強部は、車両後方側において第１前側ピラー部に接続されており、車両前方側において車体の前部の前側骨格部に接続されている。
一方、第１側部における第１後側ピラー部の車両後方側には車両前後方向に延在する第１後側補強部が配置されている。この第１後側補強部は、車両前方側において第１後側ピラー部に接続されており、車両後方側において車体の後部の後側骨格部に接続されている。
このため、サイドドア側から第１前側ピラー部及び第１後側ピラー部に伝達される荷重を第１前側補強部及び第１後側補強部を介して車体の前部及び後部にも分散させることができる。
また、本発明では、第１前側補強部及び第１後側補強部の少なくとも一部が、車両幅方向から見てサイドドア補強部の上縁部を通り車両前後方向に延在する第１直線と、当該サイドドア補強部の下縁部を通り車両前後方向に延在する第２直線との間に収まっている。このため、第１前側補強部及び第１後側補強部に、サイドドア補強部側から伝達される荷重によって車両上下方向の曲げモーメントが発生することを抑制し、当該荷重の車体の前部及び後部への伝達効率を確保することができる。

請求項２に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項１に記載の発明において、前記前側アッパクロス部及び前記後側アッパクロス部は、それぞれ前記車体の車両上方側の部分を構成するルーフパネルと共に閉断面構造を構成している。

請求項２に記載の本発明によれば、前側アッパクロス部及び後側アッパクロス部のそれぞれが、車体の車両上方側の部分を構成するルーフパネルと共に閉断面構造を構成しており、当該閉断面構造によってルーフパネルが補強される。

請求項３に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項１又は請求項２に記載の発明において、前記前側ロアクロス部及び前記後側ロアクロス部は、それぞれ前記車体の車両下方側の部分を構成するフロアパネルと共に閉断面構造を構成している。

請求項３に記載の本発明によれば、前側ロアクロス部及び後側ロアクロス部のそれぞれが、車体の車両下方側の部分を構成するフロアパネルと共に閉断面構造を構成しており、当該閉断面構造によってフロアパネルが補強される。

請求項４に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項１〜請求項３の何れか１項に記載の発明において、前記第１側部には、前記第１前側ピラー部側に前記サイドドアとしての前側サイドドアが配置され、前記第１後側ピラー部側に前記サイドドアとしての後側サイドドアが配置されている。

請求項４に記載の本発明によれば、第１側部において、第１前側ピラー部側に前側サイドドアが配置され、第１後側ピラー部側に後側サイドドアが配置されている。このため、第１側部に設けられたドア用開口部を１枚のサイドドアで開閉するような構成に比し、当該ドア用開口部の大型化を図ってもサイドドアが大型化することを抑制することができる。

請求項５に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項４に記載の発明において、前記前側サイドドアには、前記サイドドア補強部の車両前方側の部分を構成する前側ドア補強部が設けられ、前記後側サイドドアには、前記サイドドア補強部の車両後方側の部分を構成する後側ドア補強部が設けられており、前記閉状態において、前記前側サイドドアの後端部と前記後側サイドドアの前端部とが車両幅方向から見て重なった状態でロック装置を介して連結されている。

請求項５に記載の本発明によれば、前側サイドドアが車両前後方向に延在する前側ドア補強部で補強されており、後側サイドドアが車両前後方向に延在する後側ドア補強部で補強されている。

ところで、車両の第１側部側に車両幅方向の荷重が入力された場合、前側ドア補強部及び後側ドア補強部で当該荷重を支持することができなければ、当該荷重が車両の車室内側にも影響を及ぼすことが考えられる。

ここで、本発明では、ドア用開口部が前側サイドドア及び後側サイドドアで閉じられた閉状態において、前側サイドドアの後端部と後側サイドドアの前端部とが車両幅方向から見て重なった状態でロック装置を介して連結されている。このため、前側サイドドア及び後側サイドドアの少なくとも一方に入力された車両幅方向の荷重を、前側ドア補強部及び後側ドア補強部で支持し、ひいては第１前側ピラー部及び第１後側ピラー部で支持することができる。

請求項６に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項４又は請求項５に記載の発明において、前記前側サイドドア及び前記後側サイドドアは、車両前後方向にスライド移動可能とされると共に、前記第１前側補強部には、前記前側サイドドアを案内する前側レール部が設けられ、前記第１後側補強部には、前記後側サイドドアを案内する後側レール部が設けられている。

請求項６に記載の本発明によれば、前側サイドドア及び後側サイドドアは、車両前後方向にスライド移動可能とされている。そして、前側サイドドアを案内する前側レール部が第１前側補強部に設けられており、後側サイドドアを案内する後側レール部が第１後側補強部に設けられている。

このため、本発明では、第１前側補強部で、第１側部における車両前方側の部分を補強することができると共に、車両前方側に移動した前側サイドドアを支持することができる。また、第１後側補強部で、第１側部における車両後方側の部分を補強することができると共に、車両後方側に移動した後側サイドドアを支持することができる。

請求項７に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項５又は請求項６に記載の発明において、前記第２側部に設けられる共に車両前後方向に延在し、車両前方側の一部が前記第２前側ピラー部と直接又は部材を介して連結され、車両後方側の一部が前記第２後側ピラー部と直接又は部材を介して連結された側部補強部と、前記第２側部における前記第２前側ピラー部の車両前方側において車両前後方向に延在し、車両後方側において当該第２前側ピラー部に接続され、車両前方側において前記前側骨格部に接続された第２前側補強部と、前記第２側部における前記第２後側ピラー部の車両後方側において車両前後方向に延在し、車両前方側において当該第２後側ピラー部に接続され、車両後方側において前記後側骨格部に接続された第２後側補強部と、をさらに有している。

請求項７に記載の本発明によれば、車体の第２側部に車両前後方向に延在する側部補強部が設けられている。この側部補強部の車両前方側の一部が第２前側ピラー部と直接又は部材を介して連結されており、車両後方側の一部が第２後側ピラー部と直接又は部材を介して連結されている。

また、第２側部における第２前側ピラー部の車両前方側には車両前後方向に延在する第２前側補強部が配置されている。この第２前側補強部は、車両後方側において第２前側ピラー部に接続されており、車両前方側において車体の前側骨格部に接続されている。

一方、第２側部における第２後側ピラー部の車両後方側には車両前後方向に延在する第２後側補強部が配置されている。この第２後側補強部は、車両前方側において第２後側ピラー部に接続されており、車両後方側において車体の後側骨格部に接続されている。

このため、車両には、ドア用開口部がサイドドアで閉じられた閉状態において、サイドドア補強部、第１前側補強部、第１後側補強部、前側骨格部、後側骨格部、側部補強部、第２前側補強部及び第２後側補強部を含むと共に車両上下方向から見て環状とされた全周環状構造部が構築されることとなる。

その結果、本発明では、車体のドア用開口部の近傍に入力される車両幅方向の荷重を、全周環状構造部を介して車体の広範囲に分散させることができ、当該荷重による車体の変形を抑制することができる。

請求項８に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項１〜請求項７の何れか１項に記載の発明において、前記第１側部における前記第１前側補強部及び前記第１後側補強部の少なくとも一方の車両上方側には、窓用開口部が設けられている。

請求項８に記載の本発明によれば、車体の第１側部における第１前側補強部及び第１後側補強部の少なくとも一方の車両上方側には、窓用開口部が設けられており、当該窓用開口部の下縁部を当該一方で補強することができる。

請求項９に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項１〜請求項８の何れか１項に記載の発明において、前記車体の車両下方側に配置され、互いに対して車両幅方向に間隔をあけて配置されると共に車両前後方向に延在する一対のサイドフレーム部と、当該一対のサイドフレーム部にそれぞれ設けられると共に、車両幅方向に連なって配置され、前記前側ロアクロス部又は前記後側ロアクロス部を車両下方側から支持する複数のマウント部と、を備えたフレームと、前記サイドフレーム部間に配置された電力供給部を車両下方側から覆うと共に、当該サイドフレーム部間に掛け渡されたカバーパネル部と、をさらに有している。

請求項９に記載の本発明によれば、一対のサイドフレーム部と、当該サイドフレーム部にそれぞれ設けられた複数のマウント部とを備えたフレームが、車体の下方側に配置されている。一対のサイドフレーム部は、互いに対して車両幅方向に間隔をあけて配置されると共に、車両前後方向に延在しており、一対のサイドフレーム部間には、電力供給部が配置されている。このため、本発明では、車体内のスペースを確保しつつ、車両の各種機器に電力を供給することができる。

また、電力供給部は、サイドフレーム部間に掛け渡されたカバーパネル部によって車両下方側から覆われており、当該電力供給部を当該カバーパネル部によって路面側からの入力に対して保護することができる。

一方、マウント部は、車両幅方向に連なって配置されると共に、前側ロアクロス部又は後側ロアクロス部を車両下方側から支持している。このため、前側ロアクロス部及び後側ロアクロス部のうちマウント部で支持されている方と、マウント部と、サイドフレーム部と、カバーパネル部とを含んでラーメン構造が構成される。その結果、車両の下部を車両に入力される車両幅方向の荷重に対して変形しにくくすることができる。

以上説明したように、請求項１に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車両の側部に広いドア用開口部を確保しつつ、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の剛性を確保することができるという優れた効果を有する。
また、本発明に係る車両骨格構造は、車両に入力される車両幅方向の荷重を車体全体に分散させることができるという優れた効果を有する。

請求項２に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の車両上方側の部分の剛性を確保することができるという優れた効果を有する。

請求項３に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の車両下方側の部分の剛性を確保することができるという優れた効果を有する。

請求項４に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車両に設けられたドア用開口部の大型化に伴うサイドドアの開閉に必要なスペースの拡大を抑制することができるという優れた効果を有する。

請求項５に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車両に入力される車両幅方向の荷重が車室内側に及ぼす影響を抑制することができるという優れた効果を有する。

請求項６に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車体の補強部材とサイドドアの支持部材とを共通化して、車体の構成の簡略化を図ることができるという優れた効果を有する。

請求項７に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車体の剛性をより高めることができるという優れた効果を有する。

請求項８に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車体の窓部の周辺において、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する剛性を確保することができるという優れた効果を有する。

請求項９に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車室内のスペースを確保しつつ車載機器に安定して電力を供給することができると共に、車両に入力される車両幅方向の荷重に対する車両の下部の剛性を確保することができるという優れた効果を有する。

本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の構成を模式的に示す斜視図である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の構成を模式的に示す側面図である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の車体における車両前方側の部分の構成を模式的に示す斜視図である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の車体におけるピラー部周辺の構成を模式的に示す断面図（図３の４−４線に沿って切断した状態を示す断面図）である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の車体における車両上方側の部分の構成を模式的に示す車両前後方向から見た断面図（図３の５−５線に沿って切断した状態を示す断面図）である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の車体におけるピラー部周辺の構成を模式的に示す斜視断面図（図３の６−６線に沿って切断した状態を示す断面図）である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両のサイドドア周辺の構成を模式的に示す車両上下方向から見た断面図（図２の７−７線に沿って切断した状態を示す断面図）である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の車体における車両前方側の部分の構成を模式的に示す斜視図である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両のフレームの構成を模式的に示す平面図である。 本実施形態に係る車両骨格構造が適用された車両の車体とフレームとの境界部の構成を模式的に示す車両前後方向から見た断面図（図２の１０−１０線に沿って切断した状態を示す断面図）である。

以下、図１〜図１０を用いて、本発明に係る車両骨格構造の実施形態の一例について説明する。なお、各図に適宜示される矢印ＦＲは車両前方側を示しており、矢印ＵＰは車両上方側を示しており、矢印ＬＨは車両幅方向左側を示している。

図１に示されるように、本実施形態に係る車両骨格構造が適用された「車両１０」は、鋼製の「車体１２」と、車体１２を支持する鋼製の「フレーム１４」とを備えており、所謂フレーム構造とされている。

フレーム１４は、図２及び図９にも示されるように、互いに対して車両幅方向に間隔をあけて配置された一対の「サイドフレーム部１６」、サイドフレーム部１６間に架け渡された複数のクロス部１８を備えている。なお、フレーム１４は、基本的に車両前後方向及び車両幅方向において対称な構成とされているため、以下では、フレーム１４の構成についての説明を適宜省略することとする。

サイドフレーム部１６は、全体的には車両前後方向に延在しており、フロントフレーム部１６Ａ、メインフレーム部１６Ｂ、キック部１６Ｃ、１６Ｄ及びリアフレーム部１６Ｅを含んで構成されると共に、車両前後方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされている。

より詳しくは、フロントフレーム部１６Ａは、サイドフレーム部１６の車両前方側の部分を構成すると共に、車両前後方向に直線的に延在している。このフロントフレーム部１６Ａの車両前方側の端部には、取付板部２０が設けられており、この取付板部２０には、図示しないフロントバンパリインフォースメントが取り付けられている。

また、フロントフレーム部１６Ａには、車体１２の車両前方側の部分を支持する一対のマウント部２２が車両前後方向に間隔をあけて設けられており、マウント部２２間には、サスペンションタワー２４が設けられている。

メインフレーム部１６Ｂは、サイドフレーム部１６の車両前後方向中央側の部分を構成しており、フロントフレーム部１６Ａの車両幅方向外側でかつ車両下方側に配置されると共に、車両前後方向に直線的に延在している。このメインフレーム部１６Ｂには、車両前後方向に間隔をあけて車体１２の車両前後方向中央側の部分を支持する一対の「マウント部２６」が設けられている。

キック部１６Ｃは、フロントフレーム部１６Ａとメインフレーム部１６Ｂとの間に介在している。このキック部１６Ｃは、車両上下方向から見てフロントフレーム部１６Ａから車両後方側でかつ車両幅方向外側に延出されると共に、車両幅方向から見てフロントフレーム部１６Ａから車両後方側でかつ車両下方側に延出されている。

一方、リアフレーム部１６Ｅは、サイドフレーム部１６の車両後方側の部分を構成すると共に、フロントフレーム部１６Ａと基本的に同様の構成とされており、取付板部２８を介して、図示しないリアバンパリインフォースメントが取り付けられている。

また、リアフレーム部１６Ｅには、車体１２の車両後方側の部分を支持する一対のマウント部３０が車両前後方向に間隔をあけて設けられており、マウント部３０間には、サスペンションタワー３２が設けられている。

キック部１６Ｄは、リアフレーム部１６Ｅとメインフレーム部１６Ｂとの間に介在している。このキック部１６Ｄは、車両上下方向から見てリアフレーム部１６Ｅから車両前方側でかつ車両幅方向外側に延出されると共に、車両幅方向から見てリアフレーム部１６Ｅから車両前方側でかつ車両下方側に延出されている。

図９及び図１０に示されるように、フレーム１４のメインフレーム部１６Ｂ間には、フレーム１４等に取り付けられた図示しないパワーユニットに電力を供給可能な電力供給部としての「バッテリパック３４」が配置されている。このバッテリパック３４は、その外殻を構成するアルミニウム合金製のバッテリケース３６及びバッテリケース３６の内側に配置された図示しない複数のバッテリモジュールを含んで構成されている。なお、バッテリパック３４は、車両幅方向から見て、その主な部分がメインフレーム部１６Ｂの上面と下面との間に収まるように配置されている。

また、バッテリパック３４の車両下方側には、バッテリパック３４を車両下方側から覆うカバーパネル部としての「カバーパネル３８」が配置されている。このカバーパネル３８は、車両上下方向から見て車両前後方向及び車両幅方向に延在する板状とされると共に、複数の図示しないビード部が形成されている。このカバーパネル３８は、サイドフレーム部１６間に掛け渡された状態で、図示しない取付部材でサイドフレーム部１６に取り付けられている。なお、カバーパネル３８を構成する材質としては、鋼材や炭素繊維強化樹脂等種々の材質が挙げられる。また、カバーパネル３８をアルミニウム合金製として、カバーパネル３８をバッテリケース３６と一体に設けるような構成も採り得る。

次に、車体１２の構成について説明する。車体１２は、図１〜図３に示されるように、外形が車両前後方向に延びる略直方体状とされた箱状とされる共に、車室４０の主な部分を構成している。この車体１２は、基本的には、車両前後方向に延びる中心線ＣＬ（図９参照）に対して対称な構成とされているため、以下では、車体１２の構成についての説明を適宜省略することとする。

車体１２は、車体１２の車両上方側の部分を構成するルーフ部４２、車体１２の車両下方側の部分を構成するフロア部４４、ルーフ部４２とフロア部４４とを車両上下方向に繋ぐ「第１前側ピラー部４６」、「第２前側ピラー部４８」、「第１後側ピラー部５０」及び「第２後側ピラー部５２」を含んで構成されている。

ルーフ部４２は、図５にも示されるように、その上面を構成する「ルーフパネル５４」、その車両幅方向外側の部分を構成する一対のルーフサイドレール５６、ルーフパネル５４を補強する「前側アッパクロス部５８」、「後側アッパクロス部６０」及び一対の補強パネル６２を含んで構成されている。なお、図３では、ルーフサイドレール５６等の構成を理解し易くするため、ルーフパネル５４を図示していない。

ルーフパネル５４は、板厚方向を車両上下方向とされると共に車両上下方向から見て車両前後方向を長手方向とされた矩形の板状とされており、車両前後方向から見て車両上方側に凸となって湾曲している。

ルーフサイドレール５６は、ルーフパネル５４の車両下方側にルーフパネル５４の車両幅方向外側の周縁部に沿って配置されている。このルーフサイドレール５６は、その車両上方側の部分を構成するルーフサイドレールアッパ６４と、その車両下方側の部分を構成するルーフサイドレールロア６６とを含んで構成されている。

また、ルーフサイドレール５６は、その外形が、車両幅方向の寸法が車両上下方向の寸法よりも長い寸法に設定されると共に車両前後方向に延びる略直方体状とされている。そして、ルーフサイドレールアッパ６４には、ルーフパネル５４の車両幅方向外側の端部が、溶接等による図示しない接合部で接合されている。

なお、車体１２の車両幅方向一方側（車両幅方向左側）の「第１側部６８」には、後述するサイドドアとしての「前側サイドドア１３４」及び「後側サイドドア１３６」で開閉される「ドア用開口部７０」が設けられている。そして、ルーフサイドレール５６は、図３に示されるように、ドア用開口部７０の上縁部７０Ａに沿うように配置されており、ルーフサイドレール５６の車両下方側には、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６を配置可能とされている。

前側アッパクロス部５８は、図１、図３及び図５に示されるように、ドア用開口部７０の車両前方側において、ルーフパネル５４の車両下方側にルーフパネル５４に沿って配置されると共に、車両幅方向に延在している。この前側アッパクロス部５８は、車両幅方向から見た断面形状が車両上方側に開放されたハット状とされており、そのフランジ部５８Ａがルーフパネル５４に溶接等による図示しない接合部で接合されている。そして、前側アッパクロス部５８は、ルーフパネル５４と共に車両幅方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造を構成している。

なお、前側アッパクロス部５８の車両幅方向外側の端部には、取付片部５８Ｂが設けられており、この取付片部５８Ｂは、溶接等による図示しない接合部でルーフサイドレールアッパ６４に接合されている。

一方、後側アッパクロス部６０は、基本的に前側アッパクロス部５８と同様の構成とされており、ドア用開口部７０の車両後方側において、ルーフパネル５４の車両下方側にルーフパネル５４に沿って配置されると共に、車両幅方向に延在している。この後側アッパクロス部６０は、ルーフパネル５４に溶接等による図示しない接合部で接合されることでルーフパネル５４と共に車両幅方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造を構成している。なお、後側アッパクロス部６０は、前側アッパクロス部５８と同様にルーフサイドレールアッパ６４にも溶接等による図示しない接合部で接合されている。

補強パネル６２は、図３及び図５に示されるように、ルーフサイドレールアッパ６４の車両幅方向内側の端部から車両上方側に延びている。この補強パネル６２には、車両幅方向外側の面と車両幅方向内側の面とのそれぞれに、車両幅方向に延びる凸６２Ａが車両前後方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。そして、補強パネル６２の車両上方側の端部はルーフパネル５４に、補強パネル６２の車両下方側の端部はルーフサイドレールアッパ６４に、それぞれ溶接等による図示しない接合部で接合されている。

一方、フロア部４４は、図３及び図６に示されるように、「フロアパネル７２」、一対のロッカ７４、フロアパネル７２補強する「前側ロアクロス部７６」及び「後側ロアクロス部７８」を含んで構成されている。フロアパネル７２は、車両前後方向及び車両幅方向に延在する板状とされており、車室４０のフロア面を構成している。

ロッカ７４は、フロアパネル７２の車両幅方向外側の周縁部に沿って車両前後方向に延在している。このロッカ７４は、その車両幅方向外側の部分を構成するロッカアウタ８０と、その車両幅方向内側の部分を構成するロッカインナ８２とを含んで、車両前後方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされている。なお、ロッカインナ８２の車両幅方向内側の面には、フロアパネル７２の車両幅方向外側の端部が、溶接等による図示しない接合部で接合されている。

前側ロアクロス部７６は、図１及び図６に示されるように、フロアパネル７２の車両下方側に、フロアパネル７２の車両前方側の周縁部に沿ってかつ、車両上下方向から見て前側アッパクロス部５８と重なった状態で配置されている。この前側ロアクロス部７６は、車両幅方向から見た断面形状が車両上方側に開放されたハット状とされると共に、車両幅方向に延在している。

そして、前側ロアクロス部７６は、その車両前後方向両側に設けられた一対のフランジ部７６Ａがフロアパネル７２に溶接等による図示しない接合部で接合されることで、フロアパネル７２と共に車両幅方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造を構成している。

一方、後側ロアクロス部７８は、基本的に前側ロアクロス部７６と同様の構成とされており、フロアパネル７２の車両下方側に、フロアパネル７２の車両後方側の周縁部に沿ってかつ、車両上下方向から見て後側アッパクロス部６０と重なった状態で配置されている。そして、後側ロアクロス部７８は、フロアパネル７２に溶接等による図示しない接合部で接合されることで、フロアパネル７２と共に車両幅方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造を構成している。

また、図２に示されるように、フロア部４４の車両前方側の部分には、マウント部２２に対応する複数の支持部８４が設けられており、フロア部４４の車両後方側の部分には、マウント部３０に対応する複数の支持部８６が設けられている。そして、支持部８４は、マウント部２２に、支持部８６は、マウント部３０に、それぞれ図示しない固定部材で固定されている。

一方、車両前方側のマウント部２６は、前側ロアクロス部７６に対応しており、図１０にも示されるように、前側ロアクロス部７６は、このマウント部２６に図示しない固定部材で固定されている。また、車両後方側のマウント部２６は、後側ロアクロス部７８に対応しており、後側ロアクロス部７８は、このマウント部２６に前側ロアクロス部７６と同様に固定されている。

第１前側ピラー部４６は、図３に示されるように、第１側部６８の一部を構成しており、ドア用開口部７０の車両前方側の「周縁部７０Ｂ」に沿って配置されると共に、車両上下方向に延在している。この第１前側ピラー部４６は、図４にも示されるように、その車両幅方向外側の部分を構成するピラーアウタ８８と、その車両幅方向内側の部分を構成するピラーインナ９０とを含んで、車両上下方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされている。

そして、図５及び図６に示されるように、ピラーアウタ８８の車両上方側の端部はルーフサイドレールロア６６に、ピラーアウタ８８の車両下方側の端部はロッカアウタ８０に、それぞれ溶接等による図示しない接合部で接合されている。

また、ピラーインナ９０の車両上方側の端部は、前側アッパクロス部５８に溶接等による図示しない接合部で接合されている。つまり、第１前側ピラー部４６の「上部４６Ａ」は、前側アッパクロス部５８に直接連結されている。なお、図５では、ルーフサイドレール５６等の構成を理解し易くするため、ピラーインナ９０を二点鎖線で図示している。また、上部４６Ａは、補強部材等を介して前側アッパクロス部５８と連結されていてもよい。

一方、図６に示されるように、ピラーインナ９０の車両下方側の部分は、ロッカインナ８２と一体とされていると共に、この部分には、前側ロアクロス部７６の車両幅方向外側の端部が溶接等による図示しない接合部で接合されている。つまり、第１前側ピラー部４６の「下部４６Ｂ」は、前側ロアクロス部７６に直接連結されている。なお、下部４６Ｂは、補強部材等を介して前側ロアクロス部７６と連結されていてもよい。

一方、第２前側ピラー部４８は、図３に示されるように、基本的に第１前側ピラー部４６と同様の構成とされており、車両幅方向他方側（車両幅方向右側）の「第２側部９２」の一部を構成すると共に、車両幅方向から見て第１前側ピラー部４６と重なるように車両上下方向に延在している。なお、本実施形態では、第２側部９２にドア用開口部は設けられていない。

また、第２前側ピラー部４８の「上部４８Ａ」は、ルーフサイドレール５６及び前側アッパクロス部５８に溶接等による図示しない接合部で接合されており、上部４８Ａは、前側アッパクロス部５８に直接連結された状態となっている。一方、第２前側ピラー部４８の「下部４８Ｂ」は、前側ロアクロス部７６に溶接等による図示しない接合部で接合されており、下部４８Ｂは、前側ロアクロス部７６に直接連結された状態となっている。なお、上部４８Ａは、補強部材等を介して前側アッパクロス部５８と連結されていてもよいし、下部４８Ｂは、補強部材等を介して前側ロアクロス部７６と連結されていてもよい。

そして、上記のように第１前側ピラー部４６、第２前側ピラー部４８、前側アッパクロス部５８及び前側ロアクロス部７６が配置されることで、車体１２には、車両前後方向から見て環状とされた前側環状構造部９４が、車両幅方向から見てドア用開口部７０の周縁部７０Ｂに沿うように配置されることとなる。

また、図１及び図３に示されるように、前側環状構造部９４は、車体１２の車両前方側の部分を構成する「前部９６」の「前側骨格部９８」に、「第１前側補強部１００」及び「第２前側補強部１０２」を介して接続されている。

図８にも示されるように、前側骨格部９８は、図示しないウインドシールドガラスが収まる前側開口部１０４の車両幅方向外側の周縁部に沿うように配置された一対のフロントピラー部１０６と、前側開口部１０４の車両下方側の周縁部に沿うように配置されたフロントクロス部１０８とを備えている。

詳しくは、フロントピラー部１０６は、車両上下方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされていると共に、車両上下方向に延在しており、ルーフ部４２の車両前方側の部分とフロア部４４の車両前方側の部分とを繋いでいる。

一方、フロントクロス部１０８は、車両幅方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされていると共に、車両幅方向に延在している。このフロントクロス部１０８は、車両幅方向両側の端部が、それぞれフロントピラー部１０６に溶接等による図示しない接合部で接合されており、一対のフロントピラー部１０６を車両幅方向に繋いでいる。

そして、車両幅方向一方側のフロントピラー部１０６及びフロントクロス部１０８の車両幅方向一方側の端部には、第１前側補強部１００が連結されており、車両幅方向他方側のフロントピラー部１０６及びフロントクロス部１０８の車両幅方向他方側の端部には、第２前側補強部１０２が連結されている。

詳しくは、第１前側補強部１００は、図７にも示されるように、第１側部６８における第１前側ピラー部４６の車両前方側に設けられると共に、「第１前側窓用開口部１１０」の下縁部に沿って配置されている。この第１前側補強部１００は、車両前後方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされており、車両上下方向から見て車両幅方向外側に凸となって湾曲しつつ、車両前後方向に延在している。

そして、第１前側補強部１００の車両前方側の端部は、車両幅方向一方側のフロントピラー部１０６及びフロントクロス部１０８に溶接等による図示しない接合部で接合されている。一方、第１前側補強部１００の車両後方側の端部は、第１前側ピラー部４６の車両上下方向中央部に車両前方側から当接された状態で溶接等による図示しない接合部で接合されている。

一方、第２前側補強部１０２は、図３に示されるように、基本的に第１前側補強部１００と同様の構成とされており、第２側部９２における第２前側ピラー部４８の車両前方側に設けられると共に、第２前側窓用開口部１１２の下縁部に沿って配置されている。そして、第２前側補強部１０２の車両前方側の端部は、車両幅方向他方側のフロントピラー部１０６及びフロントクロス部１０８に溶接等による図示しない接合部で接合されている。一方、第２前側補強部１０２の車両後方側の端部は、第２前側ピラー部４８の車両上下方向中央部に車両前方側から当接された状態で溶接等による図示しない接合部で接合されている。

第１後側ピラー部５０は、図１に示されるように、第１側部６８の一部を構成しており、ドア用開口部７０の車両後方側の「周縁部７０Ｃ」に沿って配置されると共に、車両上下方向に延在している。この第１後側ピラー部５０は、基本的に車両幅方向から見て第１前側ピラー部４６と鏡像対称な構成とされている。

そして、第１後側ピラー部５０の「上部５０Ａ」は、ルーフサイドレール５６及び後側アッパクロス部６０に溶接等による図示しない接合部で接合されており、上部５０Ａは、後側アッパクロス部６０に直接連結された状態となっている。なお、上部５０Ａは、補強部材等を介して後側アッパクロス部６０と連結されていてもよい。

また、第１後側ピラー部５０の「下部５０Ｂ」は、後側ロアクロス部７８に溶接等による図示しない接合部で接合されており、下部５０Ｂは、後側ロアクロス部７８に直接連結された状態となっている。なお、上部５０Ａは、補強部材等を介して後側アッパクロス部６０と連結されていてもよいし、下部５０Ｂは、補強部材等を介して後側ロアクロス部７８と連結されていてもよい。

一方、第２後側ピラー部５２は、基本的に第１後側ピラー部５０と同様の構成とされており、第２側部９２の一部を構成すると共に、車両幅方向から見て第１後側ピラー部５０と重なるように車両上下方向に延在している。

そして、第２後側ピラー部５２の「上部５２Ａ」は、ルーフサイドレール５６及び後側アッパクロス部６０に溶接等による図示しない接合部で接合されており、上部５２Ａは、後側アッパクロス部６０に直接連結された状態となっている。なお、上部５２Ａは、補強部材等を介して後側アッパクロス部６０と連結されていてもよい。

また、第２後側ピラー部５２の「下部５２Ｂ」は、後側ロアクロス部７８に溶接等による図示しない接合部で接合されており、下部５２Ｂは、後側ロアクロス部７８に直接連結された状態となっている。なお、上部５２Ａは、補強部材等を介して後側アッパクロス部６０と連結されていてもよいし、下部５２Ｂは、補強部材等を介して後側ロアクロス部７８と連結されていてもよい。

そして、上記のように第１後側ピラー部５０、第２後側ピラー部５２、後側アッパクロス部６０及び後側ロアクロス部７８が配置されることで、車体１２には、車両前後方向から見て環状とされた後側環状構造部１１４が、車両幅方向から見てドア用開口部７０の周縁部７０Ｃに沿うように配置されることとなる。

また、後側環状構造部１１４は、車体１２の車両後方側の部分を構成する「後部１１６」の「後側骨格部１１８」に「第１後側補強部１２０」及び「第２後側補強部１２２」を介して接続されている。

後側骨格部１１８は、図示しないリアガラスが収まる後側開口部１２４の車両幅方向外側の周縁部に沿うように配置された一対の図示しないリアピラー部と、後側開口部１２４の車両下方側の周縁部に沿うように配置されたリアクロス部１２６とを備えており、基本的に前部９６の前側骨格部９８と同様の構成とされている。

そして、車両幅方向一方側のリアピラー部及びリアクロス部１２６の車両幅方向一方側の端部には、第１後側補強部１２０が連結されており、車両幅方向他方側のリアピラー部及びリアクロス部１２６の車両幅方向他方側の端部には、第２後側補強部１２２が連結されている。

詳しくは、図７にも示されるように、第１後側補強部１２０は、基本的に車両幅方向から見て第１前側補強部１００と鏡像対称な構成とされており、第１側部６８における第１後側ピラー部５０の車両後方側に設けられると共に、「第１後側窓用開口部１２８」の下縁部に沿って配置されている。そして、第１後側補強部１２０の車両後方側の端部は、車両幅方向一方側のリアピラー部及びリアクロス部１２６に溶接等による図示しない接合部で接合されている。一方、第１後側補強部１２０の車両前方側の端部は、第１後側ピラー部５０の車両上下方向中央部に車両後方側から当接された状態で溶接等による図示しない接合部で接合されている。

一方、第２後側補強部１２２は、基本的に第１後側補強部１２０と同様の構成とされており、第２側部９２における第２後側ピラー部５２の車両後方側に設けられると共に、第２後側窓用開口部１３０の下縁部に沿って配置されている。そして、第２後側補強部１２２の車両後方側の端部は、車両幅方向他方側のリアピラー部及びリアクロス部１２６に溶接等による図示しない接合部で接合されている。一方、第２後側補強部１２２の車両前方側の端部は、第２後側ピラー部５２の車両上下方向中央部に車両後方側から当接された状態で溶接等による図示しない接合部で接合されている。

また、第２側部９２には、「側部補強部１７８」が設けられており、この側部補強部１７８によって第２前側ピラー部４８と第２後側ピラー部５２とが連結されている。具体的には、側部補強部１７８は、車両前後方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされており、車両前後方向に延在している。この側部補強部１７８は、車両前方側の一部が第２前側ピラー部４８に、車両後方側の一部が第２後側ピラー部５２に、それぞれ溶接等による図示しない接合部で接合されている。なお、側部補強部１７８は、補強部材等を介して第２前側ピラー部４８及び第２後側ピラー部５２と連結されていてもよい。

そして、第１前側補強部１００の車両幅方向外側は、ボデーアウタパネル４１で覆われており、第１後側補強部１２０の車両幅方向外側は、ボデーアウタパネル４３で覆われている。また、側部補強部１７８の車両幅方向外側も図示しないボデーアウタパネルで覆われている。なお、図３等では、車体１２の構成を理解し易くするため、これらのボデーアウタパネルを図示していない。

次に、車体１２の第１側部６８に配置されたスライドドア装置１３２の構成について説明する。スライドドア装置１３２は、図１、図２及び図７に示されるように、前側サイドドア１３４、後側サイドドア１３６、前側ドアベース１３８、後側ドアベース１４０、「前側レール部１４２」、「後側レール部１４４」、ロック装置としての「センターロック装置１４６」、前側ロック装置１４８及び後側ロック装置１５０を備えている。なお、図２では、スライドドア装置１３２の構成を理解し易くするため、スライドドア装置１３２の構成要素の一部を図示していない。

前側サイドドア１３４は、鋼製のドアフレーム１５２と、ドアガラス１５３とを備えると共に、車両幅方向から見て車両上下方向を長手方向とされた板状とされており、後述するように、車体１２に対して車両前後方向にスライド移動可能とされている。

詳しくは、ドアフレーム１５２は、車両幅方向から見て矩形枠状とされたフレーム本体部１５４と、ドアフレーム１５２の車両上下方向中央部に配置されると共に車両前後方向に延在する前側ドア補強部としての「前側ベルトラインリインフォースメント１５６（以下、前側ＲＦ１５６と称する）」とを備えている。

フレーム本体部１５４は、その車両幅方向内側の部分を構成するフレームインナ１５８と、その車両幅方向外側の部分を構成するフレームアウタ１６０とを含んで構成されている。フレームインナ１５８は、車両幅方向に延在する部分及び車両上下方向に延在する部分のそれぞれが、その延在方向から見た断面が車両幅方向外側に開放されたハット状とされており、フレームアウタ１６０は、全体的には平板状とされている。

そして、フレームインナ１５８とフレームアウタ１６０とは、溶接等による図示しない接合部で接合されている。このフレーム本体部１５４は、車両幅方向に延在する部分及び車両上下方向に延在する部分のそれぞれが、その延在方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされている。

前側ＲＦ１５６は、その車両幅方向内側の部分を構成するリインフォースインナ１６２と、その車両幅方向外側の部分を構成するリインフォースアウタ１６４とを含んで構成されている。リインフォースインナ１６２は、車両前後方向から見た断面形状が車両幅方向外側に開放されたハット状とされており、リインフォースアウタ１６４は、平板状とされている。

そして、リインフォースインナ１６２とリインフォースアウタ１６４とは、溶接等による図示しない接合部で接合されており、前側ＲＦ１５６は、車両前後方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされている。また、前側ＲＦ１５６は、図８にも示されるように、リインフォースインナ１６２に設けられたフランジ部１６２Ａがフレーム本体部１５４に溶接等による図示しない接合部で接合されることで、フレーム本体部１５４に取り付けられている。

一方、後側サイドドア１３６は、鋼製のドアフレーム１６６と、ドアガラス１６７とを備えると共に、車両幅方向から見て車両上下方向を長手方向とされた板状とされており、後述するように、車体１２に対して車両前後方向にスライド移動可能とされている。

ドアフレーム１６６は、フレーム本体部１６８と、後側ドア補強部としての「後側ベルトラインリインフォースメント１７０（以下、後側ＲＦ１７０と称する）」とを備えると共に、基本的にドアフレーム１５２と同様の構成とされているものの、その車両前方側の部分の構成がドアフレーム１５２と異なっている。

詳しくは、フレーム本体部１６８の車両前方側の部分は、車両上下方向から見た断面が平行四辺形状とされた閉断面構造とされている。そして、この部分は、ドア用開口部７０が前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６で閉じられた閉状態において、フレーム本体部１５４の車両後方側の部分と、車両幅方向から見て重なった状態で当接されている。

つまり、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６が閉状態にあるとき、前側サイドドア１３４の「後端部１３４Ａ」と後側サイドドア１３６の「前端部１３６Ａ」とは、車両幅方向から見て重なった状態となっている。詳しくは、閉状態において、後側サイドドア１３６の前端部１３６Ａは、その一部が前側サイドドア１３４の後端部１３４Ａによって車両幅方向外側から覆われた状態となっている。

そして、前側サイドドア１３４の後端部１３４Ａと後側サイドドア１３６の前端部１３６Ａとは、前端部１３６Ａに設けられたストライカ１７２と、後端部１３４Ａに設けられたドアラッチ１７４とを備えたセンターロック装置１４６を介して連結されている。

また、上記のように構成された前側ＲＦ１５６及び後側ＲＦ１７０は、閉状態において一体となった前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６を補強する「サイドドア補強部１７６」として機能していると見なすことができる。

なお、サイドドア補強部１７６の上縁部は、第１前側窓用開口部１１０及び第１後側窓用開口部１２８の下縁部と一致するようになっている。また、上述した第１前側補強部１００及び第２前側補強部１０２は、車両幅方向から見て、サイドドア補強部１７６の上縁部を通り車両前後方向に延在する第１直線Ｌ１と、サイドドア補強部１７６の下縁部を通り車両前後方向に延在する第２直線Ｌ２との間に大部分、具体的には９割以上の部分が配置されている。

なお、車両幅方向から見て、第１前側補強部１００及び第２前側補強部１０２における第１直線Ｌ１と第２直線Ｌ２との間に収まる部分の割合は、車両１０の仕様等に応じて適宜変更可能である。すなわち、第１前側補強部１００及び第２前側補強部１０２は、車両幅方向から見て、第１直線Ｌ１と第２直線Ｌ２との間に、少なくとも一部が収まっていればよい。

また、上述した側部補強部１７８は、車両幅方向から見てサイドドア補強部１７６と重なるように配置されている。

そして、図１に示されるように、閉状態において、車両１０には、サイドドア補強部１７６、第１前側補強部１００、第１後側補強部１２０、前側骨格部９８、後側骨格部１１８、側部補強部１７８、第２前側補強部１０２及び第２後側補強部１２２を含むと共に車両上下方向から見て環状とされた全周環状構造部１８０が構築されるようになっている。

一方、前側ドアベース１３８は、図４にも示されるように、第１前側ピラー部４６に沿って配置された取付片部１３８Ａと、取付片部１３８Ａから車両後方側に延出された延出片部１３８Ｂとを含んで構成されており、取付片部１３８Ａは、溶接等による図示しない接合部で第１前側ピラー部４６に接合されている。つまり、前側ドアベース１３８は、第１前側ピラー部４６の一部としても機能している。

また、前側ドアベース１３８の延出片部１３８Ｂには、前側サイドドア１３４用の図示しないアクチュエータが取り付けられている。そして、このアクチュエータが駆動されることで、前側サイドドア１３４は、第１前側補強部１００に沿って設けられた前側レール部１４２で案内されて、車両前後方向にスライド移動するようになっている。

また、閉状態において、前側ドアベース１３８は、センターロック装置１４６と同様の構成とされた前側ロック装置１４８を介して、前側サイドドア１３４の前端部１３４Ｂと連結されている。つまり、ドアフレーム１５２のフレーム本体部１５４は、閉状態において、第１前側ピラー部４６とサイドドア補強部１７６との間に介在する部材と見なすことができる。なお、閉状態において、前側ドアベース１３８の延出片部１３８Ｂは、車両幅方向から見て前側サイドドア１３４における前側ＲＦ１５６の前端部を含む車両前方側の部分と重なった状態となっている。

一方、後側ドアベース１４０は、第１後側ピラー部５０に沿って配置された取付片部１４０Ａと、取付片部１４０Ａから車両後方側に延出された延出片部１４０Ｂとを含んで構成されており、取付片部１４０Ａは、溶接等による図示しない接合部で第１後側ピラー部５０に接合されている。つまり、後側ドアベース１４０は、第１後側ピラー部５０の一部としても機能している。

また、後側ドアベース１４０の延出片部１４０Ｂには、後側サイドドア１３６用の図示しないアクチュエータが取り付けられている。そして、このアクチュエータが駆動されることで、後側サイドドア１３６は、第１後側補強部１２０に沿って設けられた後側レール部１４４で案内されて、車両前後方向にスライド移動するようになっている。

なお、閉状態において、後側ドアベース１４０は、センターロック装置１４６と同様の構成とされた後側ロック装置１５０を介して、後側サイドドア１３６の後端部１３６Ｂと連結されている。つまり、ドアフレーム１６６のフレーム本体部１６８は、閉状態において、第１後側ピラー部５０とサイドドア補強部１７６との間に介在する部材と見なすことができる。なお、閉状態において、後側ドアベース１４０の延出片部１４０Ｂは、車両幅方向から見て後側サイドドア１３６における後側ＲＦ１７０の後端部を含む車両後方側の部分と重なった状態となっている。

（本実施形態の作用及び効果）
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。

本実施形態では、図１に示されるように、車体１２の車両幅方向一方側の第１側部６８にドア用開口部７０が設けられており、ドア用開口部７０は、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６で開閉される。

ところで、車両１０の利便性の観点からは、車体１２の第１側部６８に広いドア用開口部７０を確保できることが好ましい。しかしながら、車体１２の第１側部６８に広いドア用開口部７０を設けると、車両１０に入力される車両幅方向の荷重に対する車体１２の剛性を確保するという点において改善の余地が残ることとなる。

ここで、本実施形態では、ドア用開口部７０の車両前方側の周縁部７０Ｂに沿って車両上下方向に延在する第１前側ピラー部４６が設けられており、車体１２の車両幅方向他方側の第２側部９２には、車両上下方向に延在する第２前側ピラー部４８が設けられている。そして、第１前側ピラー部４６の上部４６Ａ及び第２前側ピラー部４８の上部４８Ａに、車両幅方向に延在する前側アッパクロス部５８が直接連結されている。

一方、第１前側ピラー部４６の下部４６Ｂ及び第２前側ピラー部４８の下部４８Ｂには、車両幅方向に延在する前側ロアクロス部７６が直接連結されている。

このため、第１前側ピラー部４６、第２前側ピラー部４８、前側アッパクロス部５８及び前側ロアクロス部７６を含むと共に車両前後方向から見て環状とされた前側環状構造部９４が、車両幅方向から見てドア用開口部７０の車両前方側の周縁部７０Ｂに沿うように配置されることとなる。

また、ドア用開口部７０の車両後方側の周縁部７０Ｃに沿って車両上下方向に延在する第１後側ピラー部５０が設けられており、車体１２の車両幅方向他方側の第２側部９２には、車両上下方向に延在する第２後側ピラー部５２が設けられている。そして、第１後側ピラー部５０の上部５０Ａ及び第２後側ピラー部５２の上部５２Ａに直接又は部材を介して車両幅方向に延在する後側アッパクロス部６０が連結されている。

一方、第１後側ピラー部５０の下部５０Ｂ及び第２後側ピラー部５２の下部５２Ｂには、車両幅方向に延在する後側ロアクロス部７８が連直接結されている。

このため、第１後側ピラー部５０、第２後側ピラー部５２、後側アッパクロス部６０及び後側ロアクロス部７８を含むと共に車両前後方向から見て環状とされた後側環状構造部１１４が、車両幅方向から見てドア用開口部７０の車両後方側の周縁部７０Ｃに沿うように配置されることとなる。

その結果、本実施形態では、車体１２のドア用開口部７０の近傍に入力される車両幅方向の荷重を、前側環状構造部９４及び後側環状構造部１１４を介して車体１２の広範囲に分散させることができ、当該荷重による車体１２の変形を抑制することができる。したがって、本実施形態では、車両１０の第１側部６８に広いドア用開口部７０を確保しつつ、車両１０に入力される車両幅方向の荷重に対する車体１２の剛性を確保することができる。

しかも、前側環状構造部９４及び後側環状構造部１１４は、一部が車体１２のルーフ部４２に沿って設けられているため、車体１２にルーフ部４２側から入力される荷重も車体１２の広範囲に分散させることができる。このため、本実施形態では、車両１０の転覆時等において、ルーフ部４２側から入力される荷重による車体１２の変形を抑制することができる。

より詳しくは、本実施形態では、前側アッパクロス部５８及び後側アッパクロス部６０のそれぞれが、車体１２の車両上方側の部分を構成するルーフパネル５４と共に閉断面構造を構成しており、当該閉断面構造によってルーフパネル５４が補強される。このため、本実施形態では、車両１０に入力される車両幅方向の荷重並びにルーフ部４２側から入力される荷重に対する車体１２の車両上方側の部分の剛性を確保することができる。

また、本実施形態では、前側ロアクロス部７６及び後側ロアクロス部７８のそれぞれが、車体１２の車両下方側の部分を構成するフロアパネル７２と共に閉断面構造を構成しており、当該閉断面構造によってフロアパネル７２が補強される。このため、本実施形態では、車両１０に入力される車両幅方向の荷重に対する車体１２の車両下方側の部分の剛性を確保することができる。

また、本実施形態では、第１側部６８において、第１前側ピラー部４６側に前側サイドドア１３４が配置され、第１後側ピラー部５０側に後側サイドドア１３６が配置されている。このため、第１側部６８に設けられたドア用開口部７０を１枚のサイドドアで開閉するような構成に比し、ドア用開口部７０の大型化を図ってもサイドドアが大型化することを抑制することができる。したがって、本実施形態では、車両１０に設けられたドア用開口部７０の大型化に伴うサイドドアの開閉に必要なスペースの拡大を抑制することができる。

また、本実施形態では、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６に車両前後方向に延在するサイドドア補強部１７６が配置されており、サイドドア補強部１７６によって前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６が補強される。また、ドア用開口部７０が前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６で閉じられた閉状態において、サイドドア補強部１７６の車両前方側の一部が、第１前側ピラー部４６と部材を介して連結されており、サイドドア補強部１７６の車両後方側の一部が、第１後側ピラー部５０と部材を介して連結されている。このため、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６に入力される車両幅方向の荷重は、サイドドア補強部１７６を介して第１前側ピラー部４６及び第２後側補強部１２２に伝達される。

また、車体１２の第１側部６８における第１前側ピラー部４６の車両前方側には車両前後方向に延在する第１前側補強部１００が配置されている。この第１前側補強部１００は、車両後方側において第１前側ピラー部４６に接続されており、車両前方側において車体１２の前部９６の前側骨格部９８に接続されている。

一方、第１側部６８における第１後側ピラー部５０の車両後方側には車両前後方向に延在する第１後側補強部１２０が配置されている。この第１後側補強部１２０は、車両前方側において第１後側ピラー部５０に接続されており、車両後方側において車体１２の後部１１６の後側骨格部１１８に接続されている。

このため、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６から第１前側ピラー部４６及び第１後側ピラー部５０に伝達される荷重を、第１前側補強部１００及び第１後側補強部１２０を介して車体１２の前部９６及び後部１１６にも分散させることができる。

また、本実施形態では、第１前側補強部１００及び第１後側補強部１２０の少なくとも一部が、車両幅方向から見てサイドドア補強部１７６の上縁部を通り車両前後方向に延在する第１直線Ｌ１と、サイドドア補強部１７６の下縁部を通り車両前後方向に延在する第２直線Ｌ２との間に収まっている。このため、第１前側補強部１００及び第１後側補強部１２０に、サイドドア補強部１７６側から伝達される荷重によって車両上下方向の曲げモーメントが発生することを抑制し、当該荷重の車体１２の前部９６及び後部１１６への伝達効率を確保することができる。したがって、本実施形態では、車両１０に入力される車両幅方向の荷重を車体１２全体に分散させることができる。

また、本実施形態では、前側サイドドア１３４が車両前後方向に延在する前側ＲＦ１５６で補強されており、後側サイドドア１３６が車両前後方向に延在する後側ＲＦ１７０で補強されている。

ところで、車両１０の第１側部６８側に車両幅方向の荷重が入力された場合、前側ＲＦ１５６及び後側ＲＦ１７０で当該荷重を支持することができなければ、当該荷重が車両１０の車室４０内側にも影響を及ぼすことが考えられる。

ここで、本実施形態では、図７に示されるように、ドア用開口部７０が前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６で閉じられた閉状態において、前側サイドドア１３４の後端部１３４Ａと後側サイドドア１３６の前端部１３６Ａとが車両幅方向から見て重なった状態でセンターロック装置１４６を介して連結されている。

このため、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６の少なくとも一方に入力された車両幅方向の荷重を、前側ＲＦ１５６及び後側ＲＦ１７０で支持し、ひいては第１前側ピラー部４６及び第１後側ピラー部５０で支持することができる。したがって、本実施形態では、車両１０に入力される車両幅方向の荷重が車室４０内側に及ぼす影響を抑制することができる。

また、本実施形態では、図２に示されるように、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６が、車両前後方向にスライド移動可能とされている。そして、前側サイドドア１３４を案内する前側レール部１４２が第１前側補強部１００に設けられており、後側サイドドアを案内する後側レール部１４４が第１後側補強部１２０に設けられている。

このため、本実施形態では、第１前側補強部１００で、第１側部６８における車両前方側の部分を補強することができると共に、車両前方側に移動した前側サイドドア１３４を支持することができる。また、第１後側補強部１２０で、第１側部６８における車両後方側の部分を補強することができると共に、車両後方側に移動した後側サイドドア１３６を支持することができる。したがって、本実施形態では、車体１２の補強部材とサイドドアの支持部材とを共通化して、車体１２の構成の簡略化を図ることができる。

また、本実施形態では、図１に示されるように、車体１２の第２側部９２に車両前後方向に延在する側部補強部１７８が設けられている。この側部補強部１７８の車両前方側の一部が第２前側ピラー部４８と直接又は部材を介して連結されており、車両後方側の一部が第２後側ピラー部５２と直接又は部材を介して連結されている。

また、第２側部９２における第２前側ピラー部４８の車両前方側には車両前後方向に延在する第２前側補強部１０２が配置されている。この第２前側補強部１０２は、車両後方側において第２前側ピラー部４８に接続されており、車両前方側において車体１２の前側骨格部９８に接続されている。

一方、第２側部９２における第２後側ピラー部５２の車両後方側には車両前後方向に延在する第２後側補強部１２２が配置されている。この第２後側補強部１２２は、車両前方側において第２後側ピラー部５２に接続されており、車両後方側において車体１２の後側骨格部１１８に接続されている。

このため、車両１０には、閉状態において、サイドドア補強部１７６、第１前側補強部１００、第１後側補強部１２０、前側骨格部９８、後側骨格部１１８、側部補強部１７８、第２前側補強部１０２及び第２後側補強部１２２を含むと共に車両上下方向から見て環状とされた全周環状構造部１８０が構築されることとなる。

その結果、本実施形態では、車体１２のドア用開口部７０の近傍に入力される車両幅方向の荷重を、全周環状構造部１８０を介して車体１２の広範囲に分散させることができ、当該荷重による車体１２の変形を抑制することができる。したがって、本実施形態では、車両１０に入力される車両幅方向の荷重に対する車体１２の剛性をより高めることができる。

また、本実施形態では、車体１２の第１側部６８における第１前側補強部１００の車両上方側に第１前側窓用開口部１１０が設けられており、第１後側補強部１２０の車両上方側には、第１後側窓用開口部１２８が設けられている。このため、第１前側窓用開口部１１０の下縁部を第１前側補強部１００で補強することができると共に、第１後側窓用開口部１２８の下縁部を第１後側補強部１２０で補強することができる。したがって、本実施形態では、車体１２の窓部の周辺において、車両１０に入力される車両幅方向の荷重に対する剛性を確保することができる。

加えて、本実施形態では、図９及び図１０に示されるように、一対のサイドフレーム部１６と、サイドフレーム部１６にそれぞれ設けられた複数のマウント部２６とを備えたフレーム１４が、車体１２の下方側に配置されている。一対のサイドフレーム部１６は、互いに対して車両幅方向に間隔をあけて配置されると共に、車両前後方向に延在しており、一対のサイドフレーム部１６間には、バッテリパック３４が配置されている。このため、本実施形態では、車体１２内のスペースを確保しつつ、車両１０の各種機器に電力を供給することができる。

また、バッテリパック３４は、サイドフレーム部１６間に掛け渡されたカバーパネル３８によって車両下方側から覆われており、バッテリパック３４をカバーパネル３８によって路面側からの入力に対して保護することができる。

一方、マウント部２６は、車両幅方向に連なって配置されると共に、車両前方側のマウント部２６は、前側ロアクロス部７６車両下方側から支持しており、車両後方側のマウント部２６は後側ロアクロス部７８を車両下方側から支持している。このため、前側ロアクロス部７６と、後側ロアクロス部７８と、マウント部２６と、サイドフレーム部１６と、カバーパネル３８とを含んでラーメン構造が構成される。その結果、車両１０の下部を車両１０に入力される車両幅方向の荷重に対して変形しにくくすることができる。したがって、本実施形態では、車室４０内のスペースを確保しつつ車載機器に安定して電力を供給することができると共に、車両１０に入力される車両幅方向の荷重に対する車両１０の下部の剛性を確保することができる。

＜上記実施形態の補足説明＞
（１） 上述した実施形態では、車両１０の第１側部６８にスライドドア装置１３２を設けたが、車両１０の仕様等に応じて、第２側部９２にスライドドア装置１３２を設けるようにしてもよいし、第１側部６８及び第２側部９２にスライドドア装置１３２を設けるようにしてもよい。また、車両１０の仕様等に応じて、車体１２に設けられる窓用開口部の個数や形状も適宜変更可能である。

（２） また、上述した実施形態では、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６が車両前後方向にスライド移動する構成とされていたが、これに限らない。例えば、車両１０の仕様等に応じて、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６のそれぞれに対してリンク装置を設けて、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６をグライドスライドドアとしてもよい。また、本実施形態に係る車両骨格構造を小型の車両に適用する場合には、前側サイドドア１３４及び後側サイドドア１３６を一つのサイドドアにしてもよいし、ヒンジドアとしてもよい。

（３） また、上述した実施形態では、サイドドア補強部１７６が部材を介して第１前側ピラー部４６及び第１後側ピラー部５０と連結されていたが、車体１２の構成等に応じて、閉状態において、サイドドア補強部１７６が第１前側ピラー部４６及び第１後側ピラー部５０とロック装置によって直接連結されていてもよい。

（４） また、上述した実施形態では、前側ＲＦ１５６が前側サイドドア１３４に設けられると共に、後側ＲＦ１７０が後側サイドドア１３６に設けられていたが、これに限らない。例えば、車両１０の仕様等に応じて、前側ＲＦ１５６と後側ＲＦ１７０とをヒンジ等で連結することでサイドドア補強部１７６を折り畳み可能な構成とすると共に、サイドドア補強部１７６を前側サイドドア１３４又は後側サイドドア１３６に設けるようにしてもよい。

（５） また、上述した実施形態では、前側アッパクロス部５８及び後側アッパクロス部６０でルーフパネル５４が補強されていたが、これに限らない。例えば、車両１０の仕様等に応じて、前側アッパクロス部５８及び後側アッパクロス部６０を、炭素繊維強化樹脂製でかつ車両幅方向に直線的に延在する板材で構成し、これらがルーフパネル５４に接合されない構成としてもよい。

（６） また、上述した実施形態では、前側ロアクロス部７６及び後側ロアクロス部７８でフロアパネル７２が補強されていたが、これに限らない。例えば、車両１０の仕様等に応じて、前側ロアクロス部７６及び後側ロアクロス部７８を、炭素繊維強化樹脂製でかつ車両幅方向に直線的に延在する板材で構成し、これらがフロアパネル７２に接合されない構成としてもよい。

（７） 加えて、上述した実施形態では、車両１０がフレーム構造とされていたが、これに限らない。例えば、車両１０の小型化を図る場合には、インホイールモータを用いると共に、車両１０をモノコック構造としてもよい。このような構成によれば、車体１２に排気管等を通すトンネル部を設けることが不要となり、前側環状構造部９４及び後側環状構造部１１４にトンネル部の一部を設けることなく、前側環状構造部９４及び後側環状構造部１１４によって車体１２の剛性を確保することができる。

１０ 車両
１２ 車体
１４ フレーム
１６ サイドフレーム部
２６ マウント部
３４ バッテリパック（電力供給部）
３８ カバーパネル（カバーパネル部）
４６ 第１前側ピラー部
４６Ａ 上部
４６Ｂ 下部
４８ 第２前側ピラー部
４８Ａ 上部
４８Ｂ 下部
５０ 第１後側ピラー部
５０Ａ 上部
５０Ｂ 下部
５２ 第２後側ピラー部
５２Ａ 上部
５２Ｂ 下部
５４ ルーフパネル
５８ 前側アッパクロス部
６０ 後側アッパクロス部
６８ 第１側部
７０ ドア用開口部
７０Ｂ 周縁部
７０Ｃ 周縁部
７２ フロアパネル
７６ 前側ロアクロス部
７８ 後側ロアクロス部
９２ 第２側部
９６ 前部
９８ 前側骨格部
１００ 第１前側補強部
１０２ 第２前側補強部
１１０ 第１窓側窓用開口部（窓用開口部）
１１６ 後部
１１８ 後側骨格部
１２０ 第１後側補強部
１２２ 第２後側補強部
１２８ 第１後側窓用開口部（窓用開口部）
１３４ 前側サイドドア（サイドドア）
１３４Ａ 後端部
１３６ 後側サイドドア（サイドドア）
１３６Ａ 前端部
１４２ 前側レール部
１４４ 後側レール部
１４６ センターロック装置（ロック装置）
１５６ 前側ベルトラインリインフォースメント（前側ドア補強部）
１７０ 後側ベルトラインリインフォースメント（後側ドア補強部）
１７６ サイドドア補強部
１７８ 側部補強部

Claims (9)

1. 車体の車両幅方向一方側の第１側部に設けられると共にサイドドアで開閉されるドア用開口部の車両前方側の周縁部に沿って配置され、車両上下方向に延在する第１前側ピラー部と、
   前記車体の車両幅方向他方側の第２側部に設けられると共に車両上下方向に延在する第２前側ピラー部と、
   車両幅方向に延在し、前記第１前側ピラー部の上部及び前記第２前側ピラー部の上部に直接又は部材を介して連結された前側アッパクロス部と、
   車両幅方向に延在し、前記第１前側ピラー部の下部及び前記第２前側ピラー部の下部に直接又は部材を介して連結された前側ロアクロス部と、
   前記第１側部に設けられると共に前記ドア用開口部の車両後方側の周縁部に沿って配置され、車両上下方向に延在する第１後側ピラー部と、
   前記第２側部に設けられると共に車両上下方向に延在する第２後側ピラー部と、
   車両幅方向に延在し、前記第１後側ピラー部の上部及び前記第２後側ピラー部の上部に直接又は部材を介して連結された後側アッパクロス部と、
   車両幅方向に延在し、前記第１後側ピラー部の下部及び前記第２後側ピラー部の下部に直接又は部材を介して連結された後側ロアクロス部と、
   を有し、
   前記第１前側ピラー部の上部と前記第１前側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、
   前記第２前側ピラー部の上部と前記第２前側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、
   前記第１後側ピラー部の上部と前記第１後側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、
   前記第２後側ピラー部の上部と前記第２後側ピラー部の下部とが車両上下方向から見て重なっており、
   前記サイドドアに配置されると共に車両前後方向に延在し、前記ドア用開口部が当該サイドドアで閉じられた閉状態において、車両前方側の一部が前記第１前側ピラー部と直接又は部材を介して連結され、車両後方側の一部が前記第１後側ピラー部と直接又は部材を介して連結されたサイドドア補強部と、
   前記第１側部における前記第１前側ピラー部の車両前方側において車両前後方向に延在し、車両後方側において当該第１前側ピラー部に接続され、車両前方側において前記車体の前部の前側骨格部に接続されると共に、車両幅方向から見て前記サイドドア補強部の上縁部を通り車両前後方向に延在する第１直線と、当該サイドドア補強部の下縁部を通り車両前後方向に延在する第２直線と、の間に少なくとも一部が配置された第１前側補強部と、
   前記第１側部における前記第１後側ピラー部の車両後方側において車両前後方向に延在し、車両前方側において当該第１後側ピラー部に接続され、車両後方側において前記車体の後部の後側骨格部に接続されると共に、車両幅方向から見て前記第１直線と前記第２直線との間に少なくとも一部が配置された第１後側補強部と、
   をさらに有する、
   車両骨格構造。
2. 前記前側アッパクロス部及び前記後側アッパクロス部は、それぞれ前記車体の車両上方側の部分を構成するルーフパネルと共に閉断面構造を構成している、
   請求項１に記載の車両骨格構造。
3. 前記前側ロアクロス部及び前記後側ロアクロス部は、それぞれ前記車体の車両下方側の部分を構成するフロアパネルと共に閉断面構造を構成している、
   請求項１又は請求項２に記載の車両骨格構造。
4. 前記第１側部には、前記第１前側ピラー部側に前記サイドドアとしての前側サイドドアが配置され、前記第１後側ピラー部側に前記サイドドアとしての後側サイドドアが配置されている、
   請求項１〜請求項３の何れか１項に記載の車両骨格構造。
5. 前記前側サイドドアには、前記サイドドア補強部の車両前方側の部分を構成する前側ドア補強部が設けられ、
   前記後側サイドドアには、前記サイドドア補強部の車両後方側の部分を構成する後側ドア補強部が設けられており、
   前記閉状態において、前記前側サイドドアの後端部と前記後側サイドドアの前端部とが車両幅方向から見て重なった状態でロック装置を介して連結されている、
   請求項４に記載の車両骨格構造。
6. 前記前側サイドドア及び前記後側サイドドアは、車両前後方向にスライド移動可能とされると共に、
   前記第１前側補強部には、前記前側サイドドアを案内する前側レール部が設けられ、
   前記第１後側補強部には、前記後側サイドドアを案内する後側レール部が設けられている、
   請求項４又は請求項５に記載の車両骨格構造。
7. 前記第２側部に設けられる共に車両前後方向に延在し、車両前方側の一部が前記第２前側ピラー部と直接又は部材を介して連結され、車両後方側の一部が前記第２後側ピラー部と直接又は部材を介して連結された側部補強部と、
   前記第２側部における前記第２前側ピラー部の車両前方側において車両前後方向に延在し、車両後方側において当該第２前側ピラー部に接続され、車両前方側において前記前側骨格部に接続された第２前側補強部と、
   前記第２側部における前記第２後側ピラー部の車両後方側において車両前後方向に延在し、車両前方側において当該第２後側ピラー部に接続され、車両後方側において前記後側骨格部に接続された第２後側補強部と、
   をさらに有する、
   請求項５又は請求項６に記載の車両骨格構造。
8. 前記第１側部における前記第１前側補強部及び前記第１後側補強部の少なくとも一方の車両上方側には、窓用開口部が設けられている、
   請求項１〜請求項７の何れか１項に記載の車両骨格構造。
9. 前記車体の車両下方側に配置され、互いに対して車両幅方向に間隔をあけて配置されると共に車両前後方向に延在する一対のサイドフレーム部と、当該一対のサイドフレーム部にそれぞれ設けられると共に、車両幅方向に連なって配置され、前記前側ロアクロス部又は前記後側ロアクロス部を車両下方側から支持する複数のマウント部と、を備えたフレームと、
   前記サイドフレーム部間に配置された電力供給部を車両下方側から覆うと共に、当該サイドフレーム部間に掛け渡されたカバーパネル部と、
   をさらに有する、
   請求項１〜請求項８の何れか１項に記載の車両骨格構造。

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