上記態様及び付随する利点の多くは、添付図面と併せたとき、以下の詳細な説明を参照することによってより深く理解されるものであるとより容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の特定の化合物(右の点)及び対応する化合物(式中、基−S(O)n−R2がClで置換されている)(左の点)のマッチドペア分析を示す。
発明を実施するための形態
定義
「ハロゲン」又は「ハロ」とは、F、Cl、Br、又はIを指す。更に、「ハロアルキル」等の用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。
用語「アルキル」とは、飽和の直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素ラジカルを指し、アルキルラジカルは、場合により置換されていてもよい。一例では、アルキルラジカルは、1〜18個の炭素原子である(C1〜C18)。他の例では、アルキルラジカルは、C0〜C6、C0〜C5、C0〜C3、C1〜C12、C1〜C10、C1〜C8、C1〜C6、C1〜C5、C1〜C4、又はC1〜C3である。C0アルキルは、結合を指す。アルキル基の例は、メチル(Me、−CH3)、エチル(Et、−CH2CH3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH2CH2CH3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH2CH2CH2CH3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH3)3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH2CH3)、3−ペンチル(−CH(CH2CH3)2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH2CH3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH3)CH(CH3)2)、3−メチル−1−ブチル(−CH2CH2CH(CH3)2)、2−メチル−1−ブチル(−CH2CH(CH3)CH2CH3)、1−ヘキシル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ヘキシル(−CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3−ヘキシル(−CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH3)2CH2CH2CH3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH3)(CH2CH3)2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH3)C(CH3)3、1−ヘプチル、及び1−オクチルを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているアルキル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニルのうちの1〜4例を含み、これらのアルキル、フェニル、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。
用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素ラジカルを指し、アルケニルラジカルは、場合により置換されていてもよく、そして、「シス」及び「トランス」配向、あるいは「E」及び「Z」配向を有するラジカルを含む。一例では、アルケニルラジカルは、2〜18個の炭素原子である(C2〜C18)。他の例では、アルケニルラジカルは、C2〜C12、C2〜C10、C2〜C8、C2〜C6、又はC2〜C3である。例は、エテニル又はビニル(−CH=CH2)、プロパ−1−エニル(−CH=CHCH3)、プロパ−2−エニル(−CH2CH=CH2)、2−メチルプロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、ブタ−1,3−ジエニル、2−メチルブタ−1,3−ジエン、ヘキサ−1−エニル、ヘキサ−2−エニル、ヘキサ−3−エニル、ヘキサ−4−エニル、及びヘキサ−1,3−ジエニルを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているアルケニル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニルのうちの1〜4例を含み、これらのアルキル、フェニル、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。
用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素ラジカルを指し、アルキニルラジカルは、場合により置換されていてもよい。一例では、アルキニルラジカルは、2〜18個の炭素原子である(C2〜C18)。他の例では、アルキニルラジカルは、C2〜C12、C2〜C10、C2〜C8、C2〜C6、又はC2〜C3である。例は、エチニル(−CoCH)、プロパ−1−イニル(−CoCCH3)、プロパ−2−イニル(プロパルギル、−CH2CoCH)、ブタ−1−イニル、ブタ−2−イニル、及びブタ−3−イニルを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているアルキニル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニルのうちの1〜4例を含み、これらのアルキル、フェニル、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。
「アルキレン」とは、親アルカンの同じ又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することによって得られる、2つの一価ラジカル中心を有する飽和、分枝鎖又は直鎖の炭化水素基を指す。一例では、二価アルキレン基は、1〜18個の炭素原子を有する(C1〜C18)。他の例では、二価アルキレン基は、C0〜C6、C0〜C5、C0〜C3、C1〜C12、C1〜C10、C1〜C8、C1〜C6、C1〜C5、C1〜C4、又はC1〜C3である。基C0アルキレンは、結合を指す。アルキレンの例は、メチレン(−CH2−)、1,1−エチル(−CH(CH3)−)、(1,2−エチル(−CH2CH2−)、1,1−プロピル(−CH(CH2CH3)−)、2,2−プロピル(−C(CH3)2−)、1,2−プロピル(−CH(CH3)CH2−)、1,3−プロピル(−CH2CH2CH2−)、1,1−ジメチルエタ−1,2−イル(−C(CH3)2CH2−)、1,4−ブチル(−CH2CH2CH2CH2−)等を含む。
用語「ヘテロアルキル」は、指定の数の炭素原子、又は指定されていない場合、18個以下の炭素原子と、O、N、Si、及びSからなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子とからなる直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素ラジカルを指し、そして、該窒素及び硫黄の原子は、場合により酸化されていてもよく、そして、該窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されていてもよい。幾つかの実施態様では、ヘテロ原子は、O、N、及びSから選択され、該窒素及び硫黄の原子は、場合により酸化されていてもよく、そして、該窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されていてもよい。ヘテロ原子は、アルキル基が分子の残りに結合している位置を含む、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置され得る(例えば、−O−CH2−CH3)。例は、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−Si(CH3)3、及び−CH2−CH=N−OCH3を含む。例えば、−CH2−NH−OCH3及び−CH2−O−Si(CH3)3等のように、2個以下のヘテロ原子が連続していてもよい。ヘテロアルキル基は、場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているヘテロアルキル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニルのうちの1〜4例を含み、これらのアルキル、フェニル、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。
「アミノ」は、場合により置換されている一級(すなわち、−NH2)、二級(すなわち、−NRH)、三級(すなわち、−NRR)、及び四級(すなわち、−N(+)RRR)のアミンを意味し、式中、各Rは、同じであるか又は異なり、そして、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルから選択され、該アルキル、該シクロアルキル、該アリール、及び該ヘテロシクリル基は、本明細書に定義される通りである。具体的な二級及び三級のアミンは、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン、及びジアラルキルアミンであり、アルキル及びアリールの部分は、場合により置換されていてもよい。具体的な二級及び三級のアミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジイソプロピルアミンである。幾つかの実施態様では、四級アミンのR基は、それぞれ独立して、場合により置換されているアルキル基である。
「アリール」とは、1個以上の基に縮合しているかどうかにかかわらず、指定の数の炭素原子を有するか、又は数が指定されていない場合14個以下の炭素原子を有する、炭素環式芳香族基を指す。一例は、6〜14個の炭素原子を有するアリール基を含む。別の例は、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を含む。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、1H−インデニル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル等を含む(例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985]を参照)。具体的なアリールは、フェニルである。置換フェニル又は置換アリールは、例えば、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニル等の、例えば、本明細書において指定される基から選択される(「場合により置換されている」の定義を参照)1個、2個、3個、4個、又は5個の置換基、例えば、1〜2個、1〜3個、又は1〜4個の置換基で置換されているフェニル基又はアリール基を意味し、これらのアルキル、フェニル、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。用語「置換フェニル」の例は、モノ−又はジ(ハロ)フェニル基、例えば、2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、3,4−ジブロモフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル等;モノ−又はジ(ヒドロキシ)フェニル基、例えば、4−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、これらの保護ヒドロキシ誘導体等;ニトロフェニル基、例えば、3−又は4−ニトロフェニル;シアノフェニル基、例えば、4−シアノフェニル;モノ−又はジ(アルキル)フェニル基、例えば、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、4−(イソプロピル)フェニル、4−エチルフェニル、3−(n−プロピル)フェニル等;モノ又はジ(アルコキシ)フェニル基、例えば、3,4−ジメトキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−(イソプロポキシ)フェニル、4−(t−ブトキシ)フェニル、3−エトキシ−4−メトキシフェニル等;3−又は4−トリフルオロメチルフェニル;モノ−若しくはジカルボキシフェニル又は(保護カルボキシ)フェニル基、例えば、4−カルボキシフェニル、モノ−若しくはジ(ヒドロキシメチル)フェニル、又は(保護ヒドロキシメチル)フェニル、例えば、3−(保護ヒドロキシメチル)フェニル又は3,4−ジ(ヒドロキシメチル)フェニル;モノ−若しくはジ(アミノメチル)フェニル又は(保護アミノメチル)フェニル、例えば、2−(アミノメチル)フェニル又は2,4−(保護アミノメチル)フェニル;あるいは、モノ−又はジ(N−(メチルスルホニルアミノ))フェニル、例えば、3−(N−メチルスルホニルアミノ))フェニルを含む。また、用語「置換フェニル」は、置換基が異なる二置換フェニル基、例えば、3−メチル−4−ヒドロキシフェニル、3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−4−ブロモフェニル、4−エチル−2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−4−クロロフェニル、2−クロロ−5−ジフルオロメトキシ等に加えて、置換基が異なる三置換フェニル基、例えば、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−メチルスルホニルアミノ、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−フェニルスルホニルアミノ、及び置換基が異なる四置換フェニル基、例えば、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−5−メチル−6−フェニルスルホニルアミノを含む。幾つかの実施態様では、フェニル等のアリールの置換基は、アミドを含む。例えば、アリール(例えば、フェニル)置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であってよく、式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;非置換C1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6アルキル;非置換C1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;非置換C6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6−C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指すか;あるいは、R’及びR’’は、該窒素原子と一緒になって、環原子が場合によりN、O、又はSで置換されており、そして、環が場合によりハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’で置換されている3員、4員、5員、6員、又は7員の環を形成することができる。
「シクロアルキル」とは、シクロアルキル基が場合により本明細書に記載される1個以上の置換基で独立して置換されていてもよい、非芳香族の飽和又は部分不飽和の炭化水素環基を指す。一例では、シクロアルキル基は、3〜12個の炭素原子である(C3〜C12)。他の例では、シクロアルキルは、C3〜C8、C3〜C10、又はC5〜C10である。他の例では、単環としてのシクロアルキル基は、C3〜C8、C3〜C6、又はC5〜C6である。別の例では、二環としてのシクロアルキル基は、C7〜C12である。別の例では、スピロ系としてのシクロアルキル基は、C5〜C12である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、過重水素化シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、及びシクロドデシルを含む。7〜12個の環原子を有する二環式シクロアルキルの例示的な配置は、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]の環系を含むが、これらに限定されない。例示的な架橋二環式シクロアルキルは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、及びビシクロ[3.2.2]ノナンを含むが、これらに限定されない。スピロシクロアルキルの例は、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、及びスピロ[4.5]デカンを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているシクロアルキル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニルのうちの1〜4例を含み、これらのアルキル、アリール、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、シクロアルキルの置換基は、アミドを含む。例えば、シクロアルキル置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であってよく、式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;非置換C1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6アルキル;非置換C1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;非置換C6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6〜C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指すか;あるいは、R’及びR’’は、該窒素原子と一緒になって、環原子が場合によりN、O、又はSで置換されており、そして、環が場合によりハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’で置換されている3員、4員、5員、6員、又は7員の環を形成することができる。
用語「発明の化合物」及び「本発明の化合物」等は、特に指定しない限り、式(00A)、(00B)、(00C)、(00D)、(00E)、(00F)、及び(00G)の化合物、並びに本明細書における実施例の化合物を含み、これらの立体異性体(アトロプ異性体を含む)、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)、及びプロドラッグを含む。幾つかの実施態様では、溶媒和物、代謝物、同位体、若しくはプロドラッグ、又はこれらの任意の組み合わせは除外される。
「グアニジン」又は「グアニジニル」は、基−NH−C(NH)−NHR(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロシクリルであり、該アルキル基、該シクロアルキル基、該アリール基、及び該ヘテロシクリル基は、本明細書に定義する通りである)を意味する。具体的なグアニジンは、基−NH−C(NH)−NH2である。
「複素環式基」、「複素環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「ヘテロシクロ」は、互換的に用いられ、そして、環原子が炭素であり、そして、環又は環系中の少なくとも1個の原子が、窒素、硫黄、又は酸素から選択されるヘテロ原子である、3〜20個の環原子(例えば、3〜10個の環原子)を有する任意の単環式、二環式、三環式、又はスピロの、飽和又は不飽和の、芳香族(ヘテロアリール)又は非芳香族(例えば、ヘテロシクロアルキル)の環系を指す。環系の任意の環原子がヘテロ原子である場合、分子の残部への該環系の結合点にかかわらず、その系は複素環である。一例では、ヘテロシクリルは、3〜11個の環原子(「員」)を含み、そして、環原子が炭素であり、該環又は環系中の少なくとも1個の原子が、窒素、硫黄、又は酸素から選択されるヘテロ原子である、単環、二環、三環、及びスピロ環系を含む。一例では、ヘテロシクリルは、1〜4個のヘテロ原子を含む。一例では、ヘテロシクリルは、1〜3個のヘテロ原子を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄、又は酸素から選択される1〜2個、1〜3個、又は1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄、又は酸素から選択される1〜2個、1〜3個、又は1〜4個のヘテロ原子を有する4〜6員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、4員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、5〜6員の単環、例えば、5〜6員のヘテロアリールを含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3〜11員のヘテロシクロアルキル、例えば、4〜11員のヘテロシクロアルキルを含む。幾つかの実施態様では、ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1個の窒素を含む。一例では、ヘテロシクリル基は、0〜3個の二重結合を含む。任意の窒素又は硫黄のヘテロ原子は、場合により酸化されていてもよく(例えば、NO、SO、SO2)、そして、任意の窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されていてもよい(例えば、[NR4]+Cl−、[NR4]+OH−)。複素環の例は、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2−ジチエタニル、1,3−ジチエタニル、ピロリジニル、ジヒドロ−1H−ピロリル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ヘキサヒドロチオピラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、オキサジナニル、チアジナニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、オキサゼパニル、ジアゼパニル、1,4−ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、チアゼパニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1−ジオキソイソチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、イミダゾリジノニル、4,5,6,7−テトラヒドロ[2H]インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イミダゾリル、1,6−ジヒドロイミダゾール[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジニル、チアジニル、オキサジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、1−ピロリニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、チアピラニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピリミジノニル、ピリミジンジオニル、ピリミジン−2,4−ジオニル、ピペラジノニル、ピペラジンジオニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、2−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、8−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザスピロ[3.5]ノナニル、アザスピロ[2.5]オクタニル、アザスピロ[4.5]デカニル、1−アザスピロ[4.5]デカン−2−オニル、アザスピロ[5.5]ウンデカニル、テトラヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、テトラヒドロイソインドリル、テトラヒドロインダゾリル、1,1−ジオキソヘキサヒドロチオピラニルである。硫黄又は酸素の原子と1〜3個の窒素原子とを含有する5員複素環の例は、チアゾリル(チアゾール−2−イル及びチアゾール−2−イルN−オキシドを含む)、チアジアゾリル(1,3,4−チアジアゾール−5−イル及び1,2,4−チアジアゾール−5−イルを含む)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル)、及びオキサジアゾリル(例えば、1,3,4−オキサジアゾール−5−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)である。2〜4個の窒素原子を含有する5員複素環の例は、イミダゾリル、例えば、イミダゾール−2−イル;トリアゾリル、例えば、1,3,4−トリアゾール−5−イル;1,2,3−トリアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、及びテトラゾリル、例えば、1H−テトラゾール−5−イルを含む。ベンゾ縮合5員複素環の例は、ベンズオキサゾール−2−イル、ベンズチアゾール−2−イル、及びベンズイミダゾール−2−イルである。1〜3個の窒素原子及び任意で硫黄又は酸素の原子を含有する6員複素環の例は、例えば、ピリジル、例えば、ピリダ−2−イル、ピリダ−3−イル、及びピリダ−4−イル;ピリミジル、例えば、ピリミダ−2−イル及びピリミダ−4−イル;トリアジニル、例えば、1,3,4−トリアジン−2−イル及び1,3,5−トリアジン−4−イル;ピリダジニル、特に、ピリダジン−3−イル、及びピラジニルである。ピリジンN−オキシド及びピリダジンN−オキシド、並びにピリジル、ピリミダ−2−イル、ピリミダ−4−イル、ピリダジニル、並びに1,3,4−トリアジン−2−イル基は、複素環基の他の例である。複素環は、場合により置換されていてもよい。例えば、「場合により置換されている複素環」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニルのうちの1〜4例を含み、これらのアルキル、アリール、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル等の複素環式基の置換基は、アミドを含む。例えば、複素環式(例えば、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル)置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であってよく、式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;非置換C1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6アルキル;非置換C1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;非置換C6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6〜C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指すか;あるいは、R’及びR’’は、該窒素原子と一緒になって、環原子が場合によりN、O、又はSで置換されており、そして、環が場合によりハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’で置換されている3員、4員、5員、6員、又は7員の環を形成することができる。
「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個の環が、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5員又は6員の芳香環であり、そして、一例の実施態様では、少なくとも1個のヘテロ原子が窒素である、任意の単環式、二環式、又は三環式の環系を指す。例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985]を参照。上記ヘテロアリール環のいずれかがアリール環に縮合しており、該アリール環又は該ヘテロアリール環が分子の残部に結合している任意の二環式基もこの定義に含まれる。一実施態様では、ヘテロアリールは、1個以上の環原子が窒素、硫黄、又は酸素である、5〜6員の単環式芳香族基を含む。ヘテロアリール基の例は、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル、イミダゾール[1,2−a]ピリミジニル、及びプリニルに加えて、ベンゾ縮合誘導体、例えば、ベンズオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びインドリルを含む。ヘテロアリール基は、場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているヘテロアリール」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、及びピリミジニルのうちの1〜4例を含み、これらのアルキル、フェニル、及び複素環式の部分は、場合により、例えば、この同じリストから選択される置換基のうちの1〜4例により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、ヘテロアリールの置換基は、アミドを含む。例えば、ヘテロアリール置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であってよく、式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;非置換C1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6アルキル;非置換C1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;非置換C6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6〜C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指すか;あるいは、R’及びR’’は、該窒素原子と一緒になって、環原子が場合によりN、O、又はSで置換されており、そして、環が場合によりハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’で置換されている3員、4員、5員、6員、又は7員の環を形成することができる。
具体的な実施態様では、ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子で結合する。一例として、炭素が結合しているヘテロシクリル基は、ピリジン環の2位、3位、4位、5位、若しくは6位、ピリダジン環の3位、4位、5位、若しくは6位、ピリミジン環の2位、4位、5位、若しくは6位、ピラジン環の2位、3位、5位、若しくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール、若しくはテトラヒドロピロールの環の2位、3位、4位、若しくは5位、オキサゾール、イミダゾール、若しくはチアゾールの環の2位、4位、若しくは5位、イソキサゾール、ピラゾール、若しくはイソチアゾールの環の3位、4位、若しくは5位、アジリジン環の2位若しくは3位、アゼチジン環の2位、3位、若しくは4位、キノリン環の2位、3位、4位、5位、6位、7位、若しくは8位、又はイソキノリン環の1位、3位、4位、5位、6位、7位、若しくは8位における結合配置を含む。
特定の実施態様では、ヘテロシクリル基は、Nが結合している。一例として、窒素が結合しているヘテロシクリル又はヘテロアリールの基は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール又はβ−カルボリンの9位における結合配置を含む。
用語「アルコキシ」とは、本明細書に定義される通り、式−OR(式中、Rは、アルキルである)によって表される直鎖又は分枝鎖の一価ラジカルを指す。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、モノ−、ジ−、及びトリ−フルオロメトキシ、並びにシクロプロポキシを含む。
「アシル」は、式−C(O)−R(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロシクリルであり、該アルキル、該シクロアルキル、該アリール、及び該ヘテロシクリルは、本明細書に定義する通りである)によって表されるカルボニル含有置換基を意味する。アシル基は、アルカノイル(例えば、アセチル)、アロイル(例えば、ベンゾイル)、及びヘテロアロイル(例えば、ピリジノイル)を含む。
「場合により置換されている」とは、特に指定しない限り、基が、置換されていなくてもよく、その基について列挙される置換基のうちの1個以上(例えば、0個、1個、2個、3個、4個、若しくは5個以上、又はこの中で導き出し得る任意の範囲)(該置換基は、同じであっても異なっていてもよい)によって置換されていてもよいことを意味する。実施態様では、場合により置換されている基は、1個の置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、2個の置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、3個の置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、4個の置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、5個の置換基を有する。
アルキルラジカルの任意の置換基は、単独で又は別の置換基(例えば、アルコキシ)の一部として、更に、アルキレニル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びシクロアルキルも、それぞれ単独で又は別の置換基の一部として、ゼロ〜(2m’+1)(m’は、このようなラジカル中の炭素原子の合計数である)の範囲の数の、本明細書に記載するもの、更に、ハロゲン;オキソ;CN;NO;N3;−OR’;ペルフルオロ−C1〜C4アルコキシ;非置換C3〜C7シクロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC3〜C7シクロアルキル;非置換C6〜C10アリール(例えば、フェニル);ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6−C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール、又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);−NR’R’’;−SR’;−SiR’R’’R’’’;−OC(O)R’;−C(O)R’;−CO2R’;−CONR’R’’;−OC(O)NR’R’’;−NR’’C(O)R’;−NR’’’C(O)NR’R’’;−NR’’C(O)2R’;−S(O)2R’;−S(O)2NR’R’’;−NR’S(O)2R’’;−NR’’’S(O)2NR’R’’;アミジニル;グアニジニル;−(CH2)1−4−OR’;−(CH2)1−4−NR’R’’;−(CH2)1−4−SR’;−(CH2)1−4−SiR’R’’R’’’;−(CH2)1−4−OC(O)R’;−(CH2)1−4−C(O)R’;−(CH2)1−4−CO2R’;及び−(CH2)1−4CONR’R’’、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されるもの等の様々な基であってよい。R’、R’’、及びR’’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;非置換C1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6アルキル;非置換C1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;非置換C6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6〜C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指す。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合しているとき、これらは、該窒素原子と一緒になって、環原子が場合によりN、O、又はSで置換されており、そして、環が場合によりハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’で置換されている3員、4員、5員、6員、又は7員の環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことを意味する。
同様に、アリール及びヘテロアリールの基の任意の置換基も様々である。幾つかの実施態様では、アリール及びヘテロアリールの基の置換基は、ゼロ〜(2m’+1)(m’は、このようなラジカル中の炭素原子の合計数である)の範囲の数の、ハロゲン;CN;NO;N3;−OR’;ペルフルオロ−C1〜C4アルコキシ;非置換C3〜C7シクロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC3〜C7シクロアルキル;非置換C6〜C10アリール(例えば、フェニル);ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6〜C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);−NR’R’’;−SR’;−SiR’R’’R’’’;−OC(O)R’;−C(O)R’;−CO2R’;−CONR’R’’;−OC(O)NR’R’’;−NR’’C(O)R’;−NR’’’C(O)NR’R’’;−NR’’C(O)2R’;−S(O)2R’;−S(O)2NR’R’’;−NR’S(O)2R’’;−NR’’’S(O)2NR’R’’;アミジニル;グアニジニル;−(CH2)1−4−OR’;−(CH2)1−4−NR’R’’;−(CH2)1−4−SR’;−(CH2)1−4−SiR’R’’R’’’;−(CH2)1−4−OC(O)R’;−(CH2)1−4−C(O)R’;−(CH2)1−4−CO2R’;及び−(CH2)1−4CONR’R’’、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。R’、R’’、及びR’’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;非置換C1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6アルキル;非置換C1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;非置換C6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、又はNR’R’’によって置換されているC6〜C10アリール;非置換3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’によって置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指す。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合しているとき、これらは、該窒素原子と一緒になって、環原子が場合によりN、O、又はSで置換されており、そして、環が場合によりハロゲン、OH、CN、非置換C1〜C6アルキル、非置換C1〜C6アルコキシ、オキソ、又はNR’R’’で置換されている3員、4員、5員、6員、又は7員の環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことを意味する。
用語「オキソ」は、=O又は(=O)2を指す。
本明細書で使用するとき、化学構造において結合と交差する波線
は、該化学構造において波状結合が接続されている原子の、分子の残部又は分子の断片の残部への結合点を示す。幾つかの実施態様では、アスタリスクと一緒の矢印が、結合点を示すために波線のように用いられる。
特定の実施態様では、二価基は、特定の結合配置なしで一般的に記載される。特に指定しない限り、一般的な記載は、両方の結合配置を含むことを意味すると理解される。例えば、基R1−R2−R3において、基R2が−CH2C(O)−と記載されている場合、特に指定しない限り、この基は、R1−CH2C(O)−R3としてもR1−C(O)CH2−R3としても結合し得ると理解される。
語句「薬学的に許容し得る」とは、必要に応じて、動物、例えば、ヒト等に投与したときに副作用、アレルギー反応、又は他の有害反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。
本発明の化合物は、塩、例えば、薬学的に許容し得る塩の形態であってよい。「薬学的に許容し得る塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。「薬学的に許容し得る酸付加塩」とは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸(maloneic acid)、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、エンボニン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香族脂肪族、複素環式、カルボン酸、及びスルホン酸のクラスから選択され得る有機酸と共に形成される、遊離塩基の生物学的な効果及び特性を保持し、そして、生物学的にも又は他の点でも望ましくなくない塩を指す。
「薬学的に許容し得る塩基付加塩」は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩等の無機塩基に由来するものを含む。具体的な塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩である。薬学的に許容し得る有機非毒性塩基に由来する塩は、一級、二級、及び三級のアミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン(piperizine)、ピペリジン(piperidine)、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の塩を含む。具体的な有機非毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインを含む。
幾つかの実施態様では、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、重硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリン酸塩、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、パルチミン酸塩、L−乳酸塩、D−乳酸塩、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、L−酒石酸塩、D−酒石酸塩、ステアリン酸塩、フロ酸塩(例えば、2−フロ酸塩又は3−フロ酸塩)、ナパジシル酸塩(ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩又はナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン−1,2−ジスルホン酸塩又はエタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、イセチオン酸塩(2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2−メシチレンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸塩、D−マンデル酸塩、L−マンデル酸、ケイ皮酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、エシル酸塩、マロン酸塩、メシチル酸塩(mesitylate)(2−メシチレンスルホン酸塩)、ナプシル酸塩(2−ナフタレンスルホン酸塩)、カンシル酸塩(ショウノウ−10−スルホン酸塩、例えば、(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸塩)、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、馬尿酸塩(2−(ベンゾイルアミノ)酢酸塩)、オロチン酸塩、キシリル酸塩(p−キシレン−2−スルホン酸塩)、及びパモン酸(2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ジナフチルメタン−3,3’−ジカルボン酸塩)から選択される。
「滅菌」製剤は、無菌であるか、又は全ての生体微生物及びその胞子を含まない。
「立体異性体」とは、化学的構成は同一であるが、空間内の原子又は基の配置に関しては異なる化合物を指す。立体異性体は、ジアステレオマー、鏡像異性体、配座異性体等を含む。
「キラル」とは、鏡像パートナーを重ねることができない性質を有する分子を指すが、用語「アキラル」とは、その鏡像パートナーに重ねることができる分子を指す。
「ジアステレオマー」とは、2個以上の不斉中心を有し、そして、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、又は生物活性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動等の高解像度分析手順及びHPLC等のクロマトグラフィー下で分離することができる。
「鏡像異性体」とは、互いの重ねることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。
本明細書で使用する立体化学的な定義及び慣行は、一般的に、S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E. and Wilen, S., “Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。多くの有機化合物は、光学的活性型で存在する、すなわち、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学的活性化合物の記載において、接頭辞D及びL又はR及びSは、そのキラル中心を中心とする分子の絶対配置を示すために用いられる。接頭辞d及びl又は(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の記号を示すために用いられ、(−)又はlは、該化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdが前に記載されている化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これら立体異性体は、互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体を鏡像異性体と称することもあり、そして、このような異性体の混合物は、鏡像混合体混合物と呼ばれることが多い。鏡像混合物の50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは、化学的な反応又はプロセスにおいて立体選択又は立体特異性が存在しない場合に生じ得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」は、光学活性を有しない、2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
用語「互変異性体」又は「互変異性型」とは、低エネルギー障壁を介して相互変換可能である、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られている)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化等のプロトンの遊走を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子の一部の再構成による相互変換を含む。
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態に加えて、水和形態を含む溶媒和形態でも存在し得る。「溶媒和物」とは、1個以上の溶媒分子と本発明の化合物との結合又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンを含む。本発明の特定の化合物は、複数の結晶形又は非晶形で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明の範囲内であることを意図する。用語「水和物」とは、溶媒分子が水である複合体を指す。
「代謝物」とは、特定の化合物又はその塩の、体内における代謝を通して生成された生成物を指す。このような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断等から得られ得る。
代謝産物は、典型的に、本発明の化合物の放射標識(例えば、14C又は3H)同位体を調製し、それを、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)でラット、マウス、モルモット、サル等の動物又はヒトに投与し、代謝が生じるのに十分な時間(典型的には、約30秒間〜30時間)放置し、そして、尿、血液、又は他の生体試料からその変換生成物を単離することによって同定される。これら生成物は、標識されているので容易に単離される(他のものは、代謝物中に残存しているエピトープに結合することができる抗体の使用によって単離される)。代謝物の構造は、例えば、MS、LC/MS、又はNMR分析等の従来の方法で決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝試験と同じ方法で行われる。代謝産物は、インビボにおいて他の方法で見出されない限り、本発明の化合物の処置的投与についての診断アッセイにおいて有用である。
「アミノ保護基」とは、本明細書で使用するとき、化合物の他の官能基で反応が行われている間アミノ基をブロック又は保護するために一般的に使用される基の誘導体を指す。このような保護基の例は、カルバミン酸塩、アミド、アルキル及びアリールの基、並びにイミンに加えて、除去して所望のアミン基を再生することができる多くのN−ヘテロ原子誘導体を含む。具体的なアミノ保護基は、Pmb(p−メトキシベンジル)、Boc(tert−ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)、及びCbz(カルボベンジルオキシ)である。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護アミノ」とは、上記アミノ保護基のうちの1つで置換されているアミノ基を指す。
「カルボキシ保護基」とは、本明細書で使用するとき、分子の残部を破壊することなく適当な時点で除去して保護されていないカルボキシ基を与えることができる、分子の他の位置における後続反応の条件に対して安定である基を指す。カルボキシ保護基の例は、エステル基及びヘテロシクリル基を含む。カルボン酸基のエステル誘導体は、化合物の他の官能基で反応が行われている間カルボン酸基をブロック又は保護するために用いることができる。このようなエステル基の例は、置換ベンジルを含む置換アリールアルキル、例えば、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4−メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4’−ジメトキシベンズヒドリル、2,2’,4,4’−テトラメトキシベンズヒドリル、アルキル又は置換アルキルエステル、例えば、メチル、エチル、t−ブチルアリル、又はt−アミル、トリフェニルメチル(トリチル)、4−メトキシトリチル、4,4’−ジメトキシトリチル、4,4’,4’’−トリメトキシトリチル、2−フェニルプロパ−2−イル、チオエステル、例えば、t−ブチルチオエステル、シリルエステル、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリルエステル、フェナシル、2,2,2−トリクロロエチル、ベータ−(トリメチルシリル)エチル、ベータ−(ジ(n−ブチル)メチルシリル)エチル、p−トルエンスルホニルエチル、4−ニトロベンジルスルホニルエチル、アリル、シンナミル、1−(トリメチルシリルメチル)プロパ−1−エン−3−イル、及び同様の部分を含む。カルボキシ保護基の別の例は、1,3−オキサゾリニル等のヘテロシクリル基である。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護カルボキシ」とは、上記カルボキシ保護基のうちの1つで置換されているカルボキシ基を指す。
「ヒドロキシ保護基」とは、本明細書で使用するとき、化合物の他の官能基で反応が行われている間ヒドロキシ基をブロック又は保護するために一般的に使用されるヒドロキシ基の誘導体を指す。このような保護基の例は、テトラヒドロピラニルオキシ、ベンゾイル、アセトキシ、カルバモイルオキシ、ベンジル、及びシリルエーテル(例えば、TBS、TBDPS)の基を含む。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護ヒドロキシ」とは、上記ヒドロキシ保護基のうちの1つで置換されているヒドロキシ基を指す。
「被験体」、「個体」、又は「患者」は、脊椎動物である。特定の実施態様では、脊椎動物は、哺乳類である。哺乳類は、家畜(例えば、ウシ)、スポーツ動物、ペット(例えば、モルモット、ネコ、イヌ、ウサギ、及びウマ)、霊長類、マウス及びラットを含むが、これらに限定されない。特定の実施態様では、哺乳類は、ヒトである。患者に式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を投与することを含む実施態様では、該患者は、典型的には、それを必要としていてよい。
用語「ヤヌスキナーゼ」とは、JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2のタンパク質キナーゼを指す。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1、JAK2、JAK3、又はTYK2のうちの1つとして更に定義され得る。任意の実施態様では、JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2のうちの任意の1つを、ヤヌスキナーゼとして具体的に除外し得る。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1である。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1とJAK2との組み合わせである。
用語「阻害」及び「低減」、又はこれらの用語の任意の変形は、所望の結果を得るための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。例えば、正常と比較して、約、最大約、又は少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上、又はこの中で導き出し得る任意の範囲、活性(例えば、JAK1活性)が減少し得る。
幾つかの実施態様では、式(00A)の化合物は、JAK3及びTYK2よりもJAK1の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(00A)の化合物は、JAK2、JAK3、若しくはTYK2、又はJAK2、JAK3、若しくはTYK2の任意の組み合わせよりもJAK1の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(00A)の化合物は、JAK3及びTYK2よりもJAK1及びJAK2の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(00A)の化合物は、JAK3よりもJAK1の阻害に対して選択的である。「阻害に対して選択的」とは、該化合物が、別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくはそれ以上、又はこの中で導き出し得る任意の範囲優れた、特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性の阻害剤であるか、あるいは別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比較して少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、250倍、又は500倍優れた、特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性の阻害剤であることを意味する。
「処置上有効な量」とは、(i)特定の疾患、病態、若しくは障害を治療若しくは予防するか、又は(ii)特定の疾患、病態、若しくは障害の1つ以上の症状を減弱、寛解、若しくは排除し、そして、任意で(iii)本明細書に記載される特定の疾患、病態、若しくは障害の1つ以上の症状の発症を予防若しくは遅延する、式(00A)の化合物等の本発明の化合物の量を意味する。幾つかの実施態様では、処置上有効な量は、自己免疫性又は炎症性の疾患(例えば、喘息)の症状を低減又は緩和するのに十分な量である。幾つかの実施態様では、処置上有効な量は、B細胞の活性又は数を著しく減少させるのに十分な、本明細書に記載される化学実体の量である。癌の場合、薬物の処置上有効な量は、癌細胞の数を低減する、腫瘍サイズを低減する、癌細胞の末梢器官への浸潤を阻害する(すなわち、ある程度減速させ、そして、好ましくは停止させる)、腫瘍の転移を阻害する(すなわち、ある程度減速させ、そして、好ましくは停止させる)、腫瘍の成長をある程度阻害する、又は癌に関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減することができる。薬物が既存の癌細胞の成長を妨げるか又は殺傷することができる程度に、該薬物は細胞増殖抑制性又は細胞毒性であり得る。癌療法については、効果は、例えば、無増悪期間(TTP)を評価するか又は奏効率(RR)を決定することによって測定できる。
「処置」(及び「処置する」又は「処置している」等の変形)とは、処置される個体又は細胞の自然経過を変化させる試みにおける臨床的介入を指し、そして、予防のため又は臨床病理の経過中に実施してよい。処置の望ましい効果は、疾患の発症又は再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的帰結の減弱、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)状態、疾患増悪率の低減、疾患状態の寛解又は緩和、処置を受けなかった場合の予測生存期間と比べた生存期間の延長、及び緩解又は予後の改善を含む。幾つかの実施態様では、本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物は、疾患若しくは障害の発現を遅延させるか又は疾患若しくは障害の進行を減速させるために用いられる。処置を必要としているものは、既に病態若しくは障害を有しているものに加えて、病態若しくは障害を有しやすいもの(例えば、遺伝子の突然変異を通して)、又は病態若しくは障害を予防したいものを含む。
「炎症性障害」とは、過剰又は未制御の炎症反応が、過剰の炎症症状、宿主組織の損傷、又は組織機能の喪失につながる任意の疾患、障害、又は症状を指す。また、「炎症性障害」とは、白血球の流入又は好中球の走化性によって媒介される病理学的状態を指す。
「炎症」とは、組織の傷害又は破壊によって誘発される局所的保護応答を指し、傷害性物質及び傷害組織の両方を破壊、希釈、又は隔離(隔絶)する機能を有する。炎症は、白血球の流入又は好中球の走化性と明白に関連している。炎症は、病原体及びウイルスの感染から、そして、心筋梗塞又は脳卒中後の外傷又は再灌流、外来抗原に対する免疫応答、及び自己免疫応答等の非感染的手段から生じ得る。したがって、本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物による処置が受け入れられる炎症性障害は、特異的防御系の反応及び非特異的防御系の反応に関連する障害を包含する。
「特異的防御系」とは、特異的抗原の存在に反応する免疫系の成分を指す。特異的防御系の応答に起因する炎症の例は、外来抗原に対する古典的な応答、自己免疫疾患、及びT細胞によって媒介される遅延型過敏反応を含む。慢性炎症性疾患、固形の移植された組織及び器官、例えば、腎臓及び骨髄の移植片の拒絶反応、並びに移植片対宿主病(GVHD)は、特異的防御系の炎症反応の更なる例である。
用語「非特異的防御系」とは、免疫記憶ができない白血球(例えば、顆粒球及びマクロファージ)によって媒介される炎症性障害を指す。少なくとも部分的に非特異的防御系の反応に起因する炎症の例は、成人(急性)呼吸促迫症候群(ARDS)又は多臓器損傷症候群;再灌流傷害;急性糸球体腎炎;反応性関節炎;急性炎症成分を伴う皮膚疾患;急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系炎症性障害(例えば、脳卒中);熱傷;炎症性腸疾患;顆粒球輸血関連症候群;及びサイトカイン誘発毒性等の病態に関連する炎症を含む。
「自己免疫疾患」とは、組織の傷害が身体自身の構成成分に対する体液性又は細胞媒介性の応答に関連している任意の障害群を指す。自己免疫疾患の非限定的な例は、関節リウマチ、ループス、及び多発性硬化症を含む。
「アレルギー疾患」とは、本明細書で使用するとき、アレルギーに起因する任意の症状、組織の損傷、又は組織機能の喪失を指す。「関節疾患」とは、本明細書で使用するとき、様々な病因に起因する関節の炎症性病変を特徴とする任意の疾患を指す。「皮膚炎」とは、本明細書で使用するとき、様々な病因に起因する皮膚の炎症を特徴とする皮膚の疾患の大きなファミリーのいずれかを指す。「移植拒絶反応」とは、本明細書で使用するとき、移植された組織及び周囲の組織の機能喪失、疼痛、膨潤、白血球増加症、及び血小板減少症を特徴とする、器官又は細胞(例えば、骨髄)等の移植された組織に対する任意の免疫反応を指す。本発明の処置法は、炎症細胞の活性化に関連する障害を処置する方法を含む。
「炎症細胞の活性化」とは、炎症細胞(単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、顆粒球(すなわち、好中球、好塩基球、及び好酸球等の多形核白血球)、マスト細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、及び内皮細胞を含むがこれらに限定されない)における増殖性細胞応答の刺激(サイトカイン、抗原、又は自己抗体を含むがこれらに限定されない)、可溶性メディエーター(サイトカイン、酸素ラジカル、酵素、プロスタノイド、又は血管作用性アミンを含むがこれらに限定されない)の産生、又は新規の若しくはより多数のメディエーター(主要組織適合性抗原又は細胞接着分子を含むがこれらに限定されない)の細胞表面発現による誘導を指す。これら細胞におけるこれら表現型のうちの1つ又は組み合わせの活性化が、炎症性障害の発症、永続化、又は増悪の一因となり得ることを当業者であれば理解するであろう。
幾つかの実施態様では、本発明の方法に従って処置することができる炎症性障害は、喘息、鼻炎(例えば、アレルギー性鼻炎)、アレルギー性気道症候群、アトピー性皮膚炎、気管支炎、関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、及び遅延型過敏反応を含むがこれらに限定されない。
用語「癌」及び「癌性」、「新生物」、及び「腫瘍」、並びに関連する用語は、典型的には未制御の細胞成長を特徴とする、哺乳類における生理学的病態を指すか又は説明する。「腫瘍」は、1つ以上の癌性細胞を含む。癌の例は、癌腫、芽細胞腫、肉腫、精上皮腫、グリア芽細胞腫、黒色腫、白血病、及び骨髄性又はリンパ性の悪性腫瘍を含む。このような癌のより具体的な例は、扁平細胞癌(例えば、扁平上皮細胞癌)、並びに小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む肺癌を含む。他の癌は、皮膚、角化棘細胞腫、濾胞癌、ヘアリーセル白血病、口腔、咽頭(口腔)、口唇、舌、口、唾液腺、食道、喉頭、肝細胞、胃(gastric)、胃(stomach)、胃腸、小腸、大腸、膵臓、頸部、卵巣、肝臓、膀胱、肝癌、乳、結腸、直腸、結腸直腸、泌尿生殖器、胆汁道、甲状腺、乳頭、肝臓、子宮内膜、子宮、唾液腺、腎臓又は腎、前立腺、精巣、外陰、腹膜、肛門、陰茎、骨、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、中枢神経系、脳、頭頸部、ホジキン、及び関連する転移を含む。新生物性障害の例は、骨髄増殖性障害、例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症)、及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
「化学療法剤」は、所与の障害、例えば、癌又は炎症性障害の処置において有用な剤である。化学療法剤の例は、当技術分野において周知であり、そして、例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2010/0048557号に開示されているもの等の例を含む。更に、化学療法剤は、化学療法剤のいずれかの薬学的に許容し得る塩、酸、又は誘導体、並びにこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含む。
「添付文書」は、処置用製品の適応症、使用法、投与量、投与、禁忌、及び/又は使用に関する警告についての情報を含む、このような処置用製品の商業用パッケージに慣例上含まれる説明書を指すために用いられる。
特に指定しない限り、本明細書に記載される構造は、同位体的に濃縮された1つ以上の原子の存在のみが異なる化合物を含む。式(00A)の化合物等の本発明の化合物に取り込むことができる例示的な同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体を含み、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I、及び125I等である。同位体標識された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物又は基質の組織分布アッセイにおいて有用であり得る。トリチウム化(すなわち、3H)及びカーボン−14(すなわち、14C)の同位体は、調製が容易であり、そして、検出可能であるため有用であり得る。更に、ジュウテリウム(すなわち、2H)等のより重い同位体で置換すると、より高い代謝安定性に起因する特定の処置上の利点(例えば、インビボにおける半減期の延長又は必要投与量の低減等)を与えることができる。幾つかの実施態様では、式(00A)の化合物において1つ以上の水素原子が2H若しくは3Hによって置換されているか、又は1つ以上の炭素原子が13C若しくは14Cが濃縮された炭素によって置換されている。陽電子放出同位体、例えば、15O、13N、11C、及び18Fは、基質の受容体占有について調べるための陽電子放出断層撮影(PET)試験に有用である。同位体標識された化合物は、一般的に、同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに用いることによって、本明細書のスキーム又は実施例に開示されるものと同様の手順により調製することができる。
本明細書の一実施態様に関して論じられる任意の限定が、本明細書の任意の他の実施態様にも適用され得ることが具体的に企図される。更に、本発明の任意の化合物又は組成物は、本発明の任意の方法で用いることができ、そして、本発明の任意の方法を用いて、本発明の任意の化合物又は組成物を生成又は利用することができる。
用語「又は」の使用は、一方の選択肢のみを指すか又は選択肢が相互排他的であることを明示しない限り「及び/又は」を意味するために用いられるが、本開示は、一方の選択肢のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
本願全体を通して、用語「約」は、値を決定するために用いられる装置又は方法の誤差の標準偏差を含む値を示すために用いられる。
本明細書で使用するとき、「a」又は「an」は、特に明示しない限り、1つ以上を意味する。本明細書で使用するとき、「別の」は、少なくとも第2の又はそれ以上を意味する。
本明細書で使用する標題は、構造化上の目的だけを意図する。
ヤヌスキナーゼの阻害剤
一実施態様は、式(00A)の化合物又はその塩を提供する。
一実施態様では、R1は、H、C1〜C6アルキル、−(C0〜C3アルキル)Ra、−(C0〜C3アルキル)NRaRb、−(C0〜C3アルキル)C(O)Ra、又は−(C0〜C3アルキル)C(O)ORaである。
一実施態様では、R1は、Hである。
一実施態様では、R1は、C1−6アルキルである。
一実施態様では、R1は、−(C0〜C3アルキル)Raである。
一実施態様では、R1は、−(C0〜C3アルキル)NRaRbである。
一実施態様では、R1は、−(C0〜C3アルキル)C(O)Raである。
一実施態様では、R1は、−(C0〜C3アルキル)C(O)ORaである。
一実施態様では、R
1は、H、メチル、
からなる群から選択される。
一実施態様では、R2は、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、又は3〜6員のヘテロシクリルである。
一実施態様では、R2は、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、又はオキセタニルである。
一実施態様では、nは、0である。
一実施態様では、nは、1である。
一実施態様では、nは、2である。
一実施態様は、式(00B)の化合物:
又はその塩を提供する。
一実施態様は、式(00C)の化合物:
又はその塩を提供する。
一実施態様は、式(00D)の化合物:
(式中、環Aは、場合により、1つ以上の基R
eで置換されている);又はその塩を提供する。
一実施態様は、式(00E)の化合物:
(式中、環Aは、場合により、1つ以上の基R
eで置換されている);又はその塩を提供する。
一実施態様は、式(00F)の化合物:
又はその塩を提供する。
一実施態様は、式(00G)の化合物:
又はその塩を提供する。
一実施態様では、R
eは、メチル、エチル、
からなる群から選択される。
一実施態様は、実施例1〜194に記載の化合物、並びにその塩及び遊離塩基を提供する。
一実施態様では、R1は、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、−(C0〜C3アルキル)CN、−(C0〜C3アルキル)ORa、−(C0〜C3アルキル)Ra、−(C0〜C3アルキル)SRa、−(C0〜C3アルキル)NRaRb、−(C0〜C3アルキル)OCF3、−(C0〜C3アルキル)CF3、−(C0〜C3アルキル)NO2、−(C0〜C3アルキル)C(O)Ra、−(C0〜C3アルキル)C(O)ORa、−(C0〜C3アルキル)C(O)NRaRb、−(C0〜C3アルキル)NRaC(O)Rb、−(C0〜C3アルキル)S(O)1〜2Ra、−(C0〜C3アルキル)NRaS(O)1〜2Rb、−(C0〜C3アルキル)S(O)1〜2NRaRb、−(C0〜C3アルキル)(5〜6員のヘテロアリール)、又は−(C0〜C3アルキル)フェニルであり、R1は、場合により、ハロゲン、C1〜C3アルキル、オキソ、−CHF2、CH2F、−CF3、−(C0〜C3アルキル)ORc、及び−(C0〜C3アルキル)NRcRdからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって置換されている。
一実施態様では、R3は、Hである。
一実施態様では、R4は、Hである。
一実施態様では、R5は、Hである。
一実施態様では、R3、R4、及びR5は、それぞれHである。
一実施態様では、前記化合物は、
又はこれらの塩である。
一実施態様では、前記化合物は、
又はその塩である。
一実施態様では、前記化合物は、
又はその塩である。
一実施態様では、前記化合物は、
又はその塩である。
一実施態様では、前記化合物は、
又はその塩である。
一実施態様では、前記化合物は、
又はその塩である。
一実施態様では、前記疾患又は病態は、癌、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、関節リウマチ、炎症性腸症候群、クローン病、乾癬、接触皮膚炎、又は遅延型過敏反応である。
一実施態様では、癌、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、関節リウマチ、炎症性腸症候群、クローン病、乾癬、接触皮膚炎、又は遅延型過敏反応を処置するための式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。
一実施態様では、吸入による投与用に製剤化された組成物が提供される。
一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む定量吸入器が提供される。
一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、LRRK2の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として少なくとも5倍強力である。
一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、LRRK2の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として少なくとも10倍強力である。
一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK2の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として少なくとも5倍強力である。
一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK2の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として少なくとも10倍強力である。
一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK3の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として少なくとも5倍強力である。
一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK3の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として少なくとも10倍強力である。
一実施態様では、哺乳類における脱毛を処置する方法であって、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を該哺乳類に投与することを含む方法が提供される。
一実施態様では、脱毛を処置するための式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。
一実施態様では、哺乳類における脱毛を処置するための医薬を調製するための、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。
また、本発明の化合物を合成する方法が提供される。例えば、式(i)の化合物:
(式中、
R
1は、H、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、−(C
0〜C
3アルキル)CN、−(C
0〜C
3アルキル)OR
a、−(C
0〜C
3アルキル)R
a、−(C
0〜C
3アルキル)SR
a、−(C
0〜C
3アルキル)NR
aR
b、−(C
0〜C
3アルキル)OCF
3、−(C
0〜C
3アルキル)CF
3、−(C
0〜C
3アルキル)NO
2、−(C
0〜C
3アルキル)C(O)R
a、−(C
0〜C
3アルキル)C(O)OR
a、−(C
0〜C
3アルキル)C(O)NR
aR
b、−(C
0〜C
3アルキル)NR
aC(O)R
b、−(C
0〜C
3アルキル)S(O)
1〜2R
a、−(C
0〜C
3アルキル)NR
aS(O)
1〜2R
b、−(C
0〜C
3アルキル)S(O)
1〜2NR
aR
b、−(C
0〜C
3アルキル)(5〜6員のヘテロアリール)、又は−(C
0〜C
3アルキル)フェニルであり、R
1は、場合により、ハロゲン、C
1〜C
3アルキル、オキソ、−CF
3、−(C
0〜C
3アルキル)OR
c、及び−(C
0〜C
3アルキル)NR
cR
dからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって置換されており;
R
aは、独立して、水素、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
6シクロアルキル、3〜10員のヘテロシクリル、5〜6員のヘテロアリール、−C(O)R
c、−C(O)OR
c、−C(O)NR
cR
d、−NR
cC(O)R
d、−S(O)
1〜2R
c、−NR
cS(O)
1〜2R
d、又は−S(O)
1〜2NR
cR
dであり、R
aの任意のC
3〜C
6シクロアルキル、3〜10員のヘテロシクリル、及び5〜6員のヘテロアリールは、場合により、1つ以上の基R
eで置換されており;
R
bは、独立して、水素又はC
1〜C
3アルキルであり、該アルキルは、場合により、ハロゲン及びオキソからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって置換されているか;あるいは
R
c及びR
dは、独立して、水素、3〜6員のヘテロシクリル、C
3〜C
6シクロアルキル、及びC
1〜C
3アルキルからなる群から選択され、R
c及びR
dの任意の3〜6員のヘテロシクリル、C
3〜C
6シクロアルキル、及びC
1〜C
3アルキルは、場合により、ハロゲン及びオキソからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって置換されているか;又はR
c及びR
dは、これらが結合している原子と共に、ハロゲン、オキソ、−CF
3、及びC
1〜C
3アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されている3〜6員のヘテロシクリルを形成し;
各R
eは、独立して、オキソ、OR
f、NR
fR
g、ハロゲン、3〜10員のヘテロシクリル、C
3〜C
6シクロアルキル、及びC
1〜C
6アルキルからなる群から選択され、R
eの任意のC
3〜C
6シクロアルキル及びC
1〜C
6アルキルは、場合により、OR
f、NR
fR
g、ハロゲン、3〜10員のヘテロシクリル、オキソ、及びシアノからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって置換されており、そして、R
eの任意の3〜10員のヘテロシクリルは、場合により、ハロゲン、オキソ、シアノ、−CF
3、NR
hR
k、3〜6員のヘテロシクリル、並びにハロゲン、オキソ、OR
f、及びNR
hR
kからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されているC
1〜C
3アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって置換されており;
R
f及びR
gは、それぞれ独立して、水素、C
1〜C
6アルキル、3〜6員のヘテロシクリル、及びC
3〜C
6シクロアルキルからなる群から選択され、R
f及びR
gの任意のC
1〜C
6アルキル、3〜6員のヘテロシクリル、及びC
3〜C
6シクロアルキルは、場合により、1つ以上のR
mによって置換されており;
各R
mは、独立して、ハロゲン、シアノ、オキソ、C
3〜C
6シクロアルキル、3〜6員のヘテロシクリル、ヒドロキシ、及びNR
hR
kからなる群から選択され、R
mの任意のC
3〜C
6シクロアルキル及び3〜6員のヘテロシクリルは、場合により、ハロゲン、オキソ、シアノ、及びC
1〜C
3アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基で置換されており;
R
h及びR
kは、それぞれ独立して、水素、並びにハロゲン、シアノ、3〜6員のヘテロシクリル、及びオキソからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されているC
1〜C
6アルキルからなる群から選択されるか;又はR
h及びR
kは、これらが結合している原子と共に、ハロゲン、シアノ、オキソ、−CF
3、並びにハロゲン及びオキソからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されているC
1〜C
3アルキルからなる群から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されている3〜6員のヘテロシクリルを形成し;
R
2は、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、3〜6員のヘテロシクリル、(C
3〜C
6シクロアルキル)C
1〜C
6アルキル、(3〜6員のヘテロシクリル)C
1〜C
6アルキル、−C(O)(C
3〜C
6シクロアルキル)、又は−C(O)(3〜6員のヘテロシクリル)であり、R
2は、場合により、1つ以上のハロで置換されており;
R
3は、H又はNH
2であり;
R
4は、H又はCH
3であり;
R
5は、H又はNH
2であり;そして、
PGは、保護基、例えば、酸に不安定な保護基(例えば、[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアセタール(SEM)、p−メトキシベンジル(PMB)、2,4−又は3,4−ジメトキシベンジル(DMB))であり、
任意の置換基(例えば、R
1、R
2、R
3、R
5)は、PGと同じであっても異なっていてもよい1つ以上の適切な保護基によって保護されている)
を調製する方法であって、
式(ii)の化合物
(式中、Xは、脱離基、例えば、ハロゲン、トシラート(OTs)、又はトリフラート(OTf)である)
をナトリウム塩、R
1SNa、
パラジウム触媒(例えば、Pd(OAc)
2、Pd
2(dba)
3)、
及びホスフィン配位子(例えば、Xantphos)と、
溶媒(例えば、非極性、非プロトン性溶媒、例えば、トルエン又はジオキサン)の存在下、そして、不活性雰囲気下で反応させることを含む方法が提供される。例えば、Mispelaere-Canivet et al., Tetrahedron 61:5253-5259 (2005)及びFernandez-Rodriguez et al., J. Amer. Chem. Soc. 126:2180-2181 (2006)を参照。反応条件は、加熱を含み得る。
本発明の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含有し得る。したがって、該化合物は、ジアステレオマー、鏡像異性体、又はこれらの混合物として存在し得る。該化合物の合成は、出発物質として又は中間体としてラセミ体、ジアステレオマー、又は鏡像異性体を使用し得る。特定のジアステレオマー化合物の混合物は、クロマトグラフィー法又は結晶化法によって分離し得るか又は1つ以上の特定のジアステレオマーを濃縮し得る。同様に、鏡像異性体混合物も、同じ技術又は当技術分野において公知の他の技術を用いて分離又は鏡像異性的に濃縮することができる。不斉炭素又は窒素原子は、それぞれ、R又はSの配置であってよく、そして、これら配置の両方が本発明の範囲内である。
本明細書に示す構造では、任意の特定のキラル原子の立体化学が指定されていない場合、全ての立体異性体が想到され、そして、本発明の化合物として含まれる。特定の配置を表す黒くさび又は点線によって立体化学が指定されている場合、その立体異性体は、そのように指定され、そして、規定される。特に指定しない限り、黒くさび又は点線が用いられる場合、相対立体化学が意図される。
別の態様は、生理学的条件下で放出、例えば、加水分解されて本発明の化合物を生成する公知のアミノ保護基及びカルボキシ保護基を含む、式(00A)の化合物のプロドラッグを含む。
用語「プロドラッグ」とは、親薬物に比べて患者に対する有効性が低く、そして、酵素的に又は加水分解的に活性化され得るか又はより活性の高い親型に変換され得る薬学的活性物質の前駆体又は誘導体の形態を指す。例えば、Wilman, “Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)及びStella et al., “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照。プロドラッグは、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、硫酸塩含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されているフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、又は場合により置換されているフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、並びに5−フルオロシトシン及び5−フルオロウリジンのプロドラッグを含むがこれらに限定されない。
プロドラッグの具体的な分類は、アミノ、アミジノ、アミノアルキレンアミノ、イミノアルキレンアミノ、又はグアニジドの基中の窒素原子が、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル(−CO−R)基、アルコキシカルボニル(−CO−OR)、又はアシルオキシアルキル−アルコキシカルボニル(−CO−O−R−O−CO−R)基(式中、Rは、一価又は二価の基、例えば、アルキル、アルキレン、又はアリールである)、又は式−C(O)−O−CP1P2−ハロアルキルを有する基(式中、P1及びP2は、同じであるか又は異なり、そして、水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル、又はアリールである)で置換されている化合物である。特定の実施態様では、窒素原子は、式(00A)の化合物のアミジノ基の窒素原子のうちの1つである。プロドラッグは、式(00A)の化合物を活性化基(例えば、アシル基)と反応させて、例えば、該化合物中の窒素原子を活性化アシル基の例示的なカルボニルに結合させることによって調製し得る。活性化カルボニル化合物の例は、カルボニル基に結合している脱離基を含有するものであり、そして、例えば、アシルハロゲン化物、アシルアミン、アシルピリジニウム塩、アシルアルコキシド、アシルフェノキシド、例えば、p−ニトロフェノキシアシル、ジニトロフェノキシアシル、フルオロフェノキシアシル、及びジフルオロフェノキシアシルを含む。該反応は、一般的に、−78〜約50℃等の低温で不活性溶媒中にて実施される。また、該反応は、無機塩基(例えば、炭酸カリウム又は重炭酸ナトリウム)又は有機塩基(例えば、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンを含むアミン)等の存在下で実施してもよい。
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、式(00A)の化合物の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher, D. et al., (1996) Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されている通り、ヒドロキシ基を、リン酸エステル、ヘミコハク酸塩、アミノ酢酸ジメチル、又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニルの基等であるがこれらに限定されない基に変換することによって、プロドラッグとして誘導体化され得る。ヒドロキシ基の炭酸塩プロドラッグ、スルホン酸エステル、及び硫酸エステルと同様に、ヒドロキシ及びアミノの基のカルバミン酸塩プロドラッグも含まれる。アシル基が、エーテル、アミン、及びカルボン酸の官能基を含むがこれらに限定されない基で場合により置換されているアルキルエステルであり得るか又はアシル基が上記の通りアミノ酸エステルである(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。この種のプロドラッグは、J. Med. Chem., (1996), 39:10に記載されている。より具体的な例は、(C1〜C6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1〜C6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1〜C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1〜C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1〜C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1〜C6)アルカノイル、アルファ−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアシル及びアルファ−アミノアシル、又はアルファ−アミノアシル−アルファ−アミノアシル(各アルファ−アミノアシル基は、独立して、天然のL−アミノ酸、P(O)(OH)2、−P(O)(O(C1〜C6)アルキル)2、又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去から得られるラジカル)から選択される)等の基による、アルコール基の水素原子の置換を含む。
「脱離基」とは、化学反応における第1の反応物質から変位する、該化学反応における第1の反応物質の部分を指す。脱離基の例は、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホニルオキシ基を含むが、これらに限定されない。スルホニルオキシ基の例は、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ(メシラート基)及びトリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフラート基))、及びアリールスルホニルオキシ基(例えば、p−トルエンスルホニルオキシ(トシラート基)及びp−ニトロスルホニルオキシ(ノシラート基))を含むが、これらに限定されない。
ヤヌスキナーゼ阻害剤化合物の合成
化合物は、本明細書に記載する合成経路によって合成することができる。特定の実施態様では、本明細書に含まれる記載に加えて又は考慮して、化学分野で周知のプロセスを用いてよい。出発物質は、Aldrich Chemicals (Milwaukee, Wis.) 等の商業的供給元から一般的に入手可能であるか、又は当業者に周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-19, Wiley, N.Y. (1967-1999 ed.)、Beilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin(補遺を含む)(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能である)、又はComprehensive Heterocyclic Chemistry, Editors Katrizky and Rees, Pergamon Press, 1984に一般的に記載されている方法によって調製される)。
化合物は、1種ずつ調製してもよく、又は少なくとも2種、例えば、5〜1,000種の化合物又は10〜100種の化合物を含む化合物ライブラリとして調製してよい。化合物のライブラリは、コンビナトリアル「スプリット・アンド・ミックス」アプローチによって、又は液相若しくは固相の化学のいずれかを用いる複数の平行合成によって、当業者に公知の手順によって調製することができる。したがって、本発明の更なる態様によれば、式(00A)の化合物等の本発明の少なくとも2種の化合物を含む化合物ライブラリが提供される。
例示目的のために、以下に示す反応スキームは、本発明の化合物に加えて重要な中間体を合成するための経路を提供する。個々の反応工程のより詳細な説明については、以下の実施例の項を参照されたい。当業者であれば、他の合成経路を用いてもよいことを理解するであろう。幾つかの具体的な出発物質及び試薬をスキームに示し、そして、以下で論じるが、他の出発物質及び試薬に置き換えて、様々な誘導体又は反応条件を提供することもできる。更に、以下に記載する方法によって調製される化合物の多くは、当業者に周知の従来の化学を用いて本開示を考慮して更に改変することができる。
本発明の化合物の調製では、中間体の遠隔官能基(例えば、一級又は二級のアミン)の保護が必要になることがある。このような保護の必要性は、遠隔官能基の性質及び調製方法の条件に依存して変動する。好適なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、フェニルスルホニル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。このような保護の必要性は、当業者によって容易に判定される。保護基及びその使用に関する一般的な説明については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照されたい。
本発明の化合物の合成において一般的に用いられ、そして、様々な試薬及び条件を用いて実施することができる他の変換は、以下を含む:
(1)カルボン酸をアミンと反応させてアミドを形成する。このような転換は、当業者に公知の様々な試薬を用いて行うことができるが、包括的な総説は、Tetrahedron, 2005, 61, 10827-10852に見出すことができる。
(2)一般的に「Buchwald-Hartwigクロスカップリング」として知られている一級又は二級のアミンとアリールハロゲン化物又は擬ハロゲン化物(例えば、トリフラート)との反応は、様々な触媒、配位子、及び塩基を用いて行うことができる。これら方法の総説は、Comprehensive Organic Name Reactions and Reagents, 2010, 575-581に提供されている。
(3)アリールハロゲン化物とビニルボロン酸又はボロン酸エステルとのパラジウムクロスカップリング反応。この転換は、Chemical Reviews, 1995, 95(7), 2457-2483に十分に概説されている反応の分類である「Suzuki-Miyauraクロスカップリング」の1種である。
(4)エステルを加水分解して対応するカルボン酸を与えることは、当業者に周知であり、そして、条件は、以下を含む:メチル及びエチルエステルの場合、水酸化リチウム、ナトリウム、又はカリウム等の水性強塩基又はHCl等の水性強鉱酸を使用する;tert−ブチルエステルの場合、加水分解は、例えば、ジオキサン中HCl又はジクロロメタン(DCM)中トリフルオロ酢酸(TFA)等の酸を用いて行われる。
スキーム1に示す通り、高温、Cs
2CO
3等の塩基の存在下、そして、適切な溶媒中で、化合物1等の適切なフェノールを2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸ナトリウム塩と反応させることによって、タイプ2の化合物を調製することができる。化合物3をLHMDS、次いで、ZnCl
2等の塩基と反応させ、続いて、Pd(PPh
3)
4等のパラジウム触媒及びタイプ2の化合物に曝露して、タイプ4の化合物を生成する。ニトロ還元によってタイプ5の化合物が生成され、次いで、これを6等の適切なカルボン酸にカップリングさせてタイプ7のアミドを生成することができる。次いで、適切なパラジウム触媒、ホスフィン配位子、及び溶媒の存在下で7等の化合物をチオラートに曝露して、タイプ8の化合物を生成する。8を酸性脱保護条件に曝露してSEM保護基を除去して、タイプ9の化合物を生成する。
スキーム2に示す通り、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、及び溶媒の存在下でタイプ1の化合物をチオラートと反応させることによって、タイプ2の化合物を調製することができる。次いで、ニトロ還元、それに続いて、アミド結合形成及びSEM脱保護によって、タイプ6の化合物を生成する。
スキーム3に示す通り、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、及び溶媒の存在下でタイプ1の化合物をチオラートと反応させることによって、タイプ2の化合物を調製することができる。SEM脱保護によって、タイプ3の化合物を生成する。次いで、DIPEA等の塩基の存在下でタイプ3の化合物を臭化アルキル等の適切な求電子剤と反応させて、求電子剤の性質、塩基、溶媒、及び反応温度等の反応条件に依存して、様々な比のタイプ4a及び4bの化合物を生成する。幾つかの例では、位置異性体4a及び4bは、クロマトグラフィー若しくは結晶化等の方法によって分離してもよく、又は合成シーケンスの後の段階で分離可能であるので、混合物を後続工程に進めてもよい。4aのニトロ還元に続いて、6等の適切なカルボン酸にカップリングさせて、タイプ7の化合物を生成する。t−ブチルエステル脱保護、それに続いて、適切なアミンにカップリングさせて、タイプ9の化合物を生成する。
スキーム4に示す通り、塩基の存在下でタイプ1の化合物を臭化アルキル等の適切な求電子剤と反応させることによって、タイプ2の化合物を得ることができる。t−ブチルエステル脱保護に続いて、適切なアミンにカップリングさせて、タイプ4の化合物を生成する。
スキーム5に示す通り、塩基の存在下でタイプ1の化合物をハロゲン化アルキル等の適切な求電子剤と反応させることによって、タイプ2の化合物を得ることができる。適切なアミンによる単一の還元的アミノ化によって、又は最初に適切なアミンにより還元的アミノ化を行ってタイプ3の化合物を生成し、続いて、適切なアルデヒドにより第2の還元的アミノ化を行うことによって、タイプ4の化合物を得ることができる。
スキーム6に示す通り、ハロゲン化ハロアセチルを2等の適切なアミンと反応させることによってタイプ3の化合物を得ることができる。塩基の存在下でタイプ1の化合物をタイプ3の化合物でアルキル化して、タイプ4の化合物を生成する。
スキーム7に示す通り、塩基の存在下でタイプ1の化合物を1,2−ジブロモエタンと反応させて、タイプ2の化合物を生成する。タイプ2の化合物を適切なアミンと反応させて、タイプ3の化合物を生成する。
スキーム8に示す通り、塩基の存在下でタイプ1の化合物を適切な求電子剤でアルキル化して、タイプ2の化合物を生成する。特定の例では、R
4は保護基であり、これを除去してタイプ3の反応性アミンを遊離させることができる。タイプ3の化合物を還元的アミノ化、アルキル化、又はアシル化の条件下で適切な求電子剤と反応させてタイプ4の化合物を生成することができる。
タイプ2の化合物をアミド結合形成条件下で置換ピペラジンと反応させて、タイプ2及び4の化合物を生成することができる。保護ピペラジンを含有するタイプ2の化合物を脱保護して、タイプ3の化合物を遊離させることができる。タイプ3の化合物に存在する反応性アミンを様々な求電子剤(還元的アミノ化の場合、還元剤も添加する)と反応させてタイプ4の化合物を生成することができる。
塩基の存在下でタイプ1の化合物を2等の適切な求電子剤と反応させることによって、タイプ3の化合物を得ることができる。tert−ブチルカルバマート等の保護基を除去して、反応性アミンを有するタイプ4の化合物を生成する。タイプ4の化合物を適切な求電子剤(還元的アミノ化の場合、還元剤も添加する)と反応させてタイプ5の化合物を生成する。
塩基の存在下でタイプ1の化合物を化合物2等のマイケル受容体と反応させ、続いて、酸性条件下で保護基を除去することによって、タイプ3の化合物を得ることができる。タイプ3の化合物を適切な求電子剤(還元的アミノ化の場合、還元剤も添加する)と反応させて、タイプ4の化合物を生成する。
スキーム12に示す通り、塩基の存在下でタイプ1の化合物をプロパギル酸ハロゲン化物と反応させることによって、タイプ2の化合物を得ることができる。ヨウ化銅等の添加剤の存在下、2を3等のアジ化物と反応させて、4等のトリアゾールを生成する。パラジウム触媒及びホスフィン配位子の存在下で4をチオラートと反応させて、タイプ5の化合物を生成する。酸性条件下で保護基を除去し、続いて、露出したアミンを適切な求電子剤(還元的アミノ化の場合、還元剤も添加する)と反応させてタイプ6の化合物を生成する。
スキーム13に示す通り、塩基の存在下でタイプ1の化合物をプロパギル酸ハロゲン化物と反応させることによって、タイプ2の化合物を得ることができる。ヨウ化銅等の添加剤の存在下、2を3等のアジ化物と反応させて、4等のトリアゾールを生成する。酸性条件下で4に存在する保護基を除去し、続いて、露出したアミンを適切な求電子剤(還元的アミノ化の場合、還元剤も添加する)と反応させてタイプ6の化合物を生成する。
スキーム14に示す通り、タイプ1の化合物をトリメチルオキソニウムテトラフルオロボラートと反応させることによって、タイプ2の化合物を得ることができる。適切なパラジウム触媒及びホスフィン配位子の存在下で2等の化合物をチオラートに曝露することによって、タイプ4の化合物を得ることができる。あるいは、適切なパラジウム触媒及びホスフィン配位子の存在下で化合物2をシラン保護チオールで処理して、タイプ3の化合物を生成してもよい。フッ化物源(TBAF)の存在下で3をハロゲン化アルキル又はハロゲン化アルキル等価物で処理して、タイプ4の化合物を生成することができる。
適切な官能基が存在する場合、様々な式の化合物又はその調製において用いられる任意の中間体を、縮合、置換、酸化、還元、又は切断の反応を用いる1つ以上の標準的な合成方法によって更に誘導体化し得ることが理解される。具体的な置換アプローチは、従来のアルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、スルホニル化、ハロゲン化、ニトロ化、ホルミル化、及びカップリングの手順を含む。
更なる例では、一級アミン又は二級アミンの基を、アシル化によってアミド基(−NHCOR’又は−NRCOR’)に変換することができる。アシル化は、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で適切な酸塩化物と反応させることによって、又は好適なカップリング剤(例えば、HATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート))の存在下、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で適切なカルボン酸と反応させることによって、達成することができる。同様に、アミン基は、好適な塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で適切な塩化スルホニルと反応させることによって、スルホンアミド基(−NHSO2R’又は−NR’’SO2R’)に変換することができる。一級アミン又は二級アミンの基は、好適な塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で適切なイソシアナートと反応させることによって、ウレア基(−NHCONR’R’’又は−NRCONR’R’’)に変換することができる。
アミン(−NH2)は、担体、例えば、炭素に担持されている金属触媒、例えば、パラジウムの存在下、溶媒、例えば、酢酸エチル、又はメタノール等のアルコール中で、例えば水素を用いて、例えば接触水素化によってニトロ(−NO2)基を還元することによって得ることができる。あるいは、酸、例えば、塩酸の存在下、例えば、金属、例えば、スズ又は鉄を用いて、化学的還元によって転換を実施してもよい。
更なる例では、アミン(−CH2NH2)基は、担体、例えば、炭素に担持されている金属触媒、例えば、パラジウム、又はラネーニッケルの存在下、溶媒、例えば、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン等の環状エーテル)中で、適切な温度、例えば、約−78℃から該溶媒の還流温度までにて、例えば、水素を用いて、例えば、接触水素化によって、ニトリル(−CN)を還元することによって得ることができる。
更なる例では、アミン(−NH2)基は、対応するアジ化アシル(−CON3)への変換、クルチウス転位、及び得られるイソシアナート(−N=C=O)の加水分解によって、カルボン酸基(−CO2H)から得ることができる。
アルデヒド基(−CHO)は、溶媒、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素又はエタノール等のアルコール中で、必要な場合、酸、例えば、酢酸等の存在下、およそ周囲温度で、アミン及びホウ化水素、例えば、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム又は水素化シアノホウ素ナトリウムを使用する還元的アミノ化によって、アミン基(−CH2NR’R’’))に変換することができる。
更なる例では、アルデヒド基は、当業者に公知の標準的な条件下で、適切なホスホラン又はホスホナートを用いて、Wittig反応又はWadsworth-Emmons反応を使用することによって、アルケニル基(−CH=CHR’)に変換することができる。
アルデヒド基は、好適な溶媒、例えば、トルエン中で、水素化ジイソブチルアルミニウムを用いてエステル基(例えば、−CO2Et)又はニトリル(−CN)を還元することによって得ることができる。あるいは、アルデヒド基は、当業者に公知の任意の好適な酸化剤を用いてアルコール基を酸化することによって得ることができる。
エステル基(−CO2R’)は、Rの性質に依存して、酸又は塩基によって触媒される(catalused)加水分解によって対応する酸基(−CO2H)に変換することができる。Rがt−ブチルである場合、酸触媒加水分解は、例えば、水性溶媒中にて有機酸、例えば、トリフルオロ酢酸で処理することによって、又は水性溶媒中にて無機酸、例えば、塩酸で処理することによって行うことができる。
カルボン酸基(−CO2H)は、好適なカップリング剤、例えば、HATUの存在下、好適な溶媒、例えば、ジクロロメタン中で適切なアミンと反応させることによって、アミド(CONHR’又は−CONR’R’’)に変換することができる。
更なる例では、カルボン酸は、対応する酸塩化物(−COCl)に変換し、続いて、Arndt-Eistert合成によって、一炭素増炭(homologated)(すなわち、−CO2Hから−CH2CO2Hに)することができる。
更なる例では、−OH基は、溶媒、例えば、メタノール中で、例えば、錯体金属水素化物(例えば、ジエチルエーテル若しくはテトラヒドロフラン中水素化アルミニウムリチウム、又は水素化ホウ素ナトリウム)を用いて還元することによって、対応するエステル(例えば、−CO2R’)又はアルデヒド(−CHO)から生成することができる。あるいは、アルコールは、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で例えば、水素化アルミニウムリチウムを用いて対応する酸(−CO2H)を還元することによって、又は溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中でボランを用いることによって調製することもできる。
アルコール基は、当業者に公知の条件を用いて、脱離基(例えば、ハロゲン原子、又はスルホニルオキシ基、例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシ等のアルキルスルホニルオキシ若しくはp−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ)に変換することができる。例えば、アルコールをハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)中で塩化チオニルと反応させて、対応する塩化物を生成することができる。該反応では塩基(例えば、トリエチルアミン)を用いてもよい。
別の例では、ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン及び活性化剤、例えば、ジエチル−、ジイソプロピル−、又はジメチルアゾジカルボキシラートの存在下、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で、フェノール又はアミドをアルコールとカップリングさせることによって、アルコール、フェノール、又はアミドの基をアルキル化することができる。あるいは、アルキル化は、好適な塩基、例えば、水素化ナトリウムを用いて脱プロトン化し、続いて、アルキル化剤、例えば、アルキルハロゲン化物を付加することによって行うこともできる。
該化合物中の芳香族ハロゲン置換基は、任意で低温、例えば、約−78℃で、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中にて、塩基(例えば、n−ブチル又はt−ブチルリチウム等のリチウム塩基)で処理することによってハロゲン−金属交換に供し、次いで、求電子剤でクエンチして、所望の置換基を導入することができる。したがって、例えば、ホルミル基は、求電子剤としてN,N−ジメチルホルムアミドを用いることによって導入することができる。あるいは、芳香族ハロゲン置換基を金属(例えば、パラジウム又は銅)触媒反応に供して、例えば、酸、エステル、シアノ、アミド、アリール、ヘテラリール(heteraryl)、アルケニル、アルキニル、チオ−、又はアミノ置換基を導入することができる。使用することができる好適な手順は、Heck、Suzuki、Stille、Buchwald、又はHartwigによって記載されているものを含む。
また、芳香族ハロゲン置換基は、アミン又はアルコール等の適切な求核剤との反応後、求核置換を受けてもよい。有利なことに、このような反応は、マイクロ波照射の存在下で、高温にて実施することができる。
分離方法
各例示的なスキームにおいて、反応生成物を互いに又は出発物質から分離することが有利であり得る。各工程又は一連の工程の所望の生成物は、当技術分野において一般的な技術によって所望の均一度に分離又は精製(以後、分離)される。典型的には、このような分離は、多相抽出、溶媒若しくは溶媒混合物からの結晶化若しくは粉砕、蒸留、昇華、又はクロマトグラフィーを含む。クロマトグラフィーは、例えば、逆相及び順相;サイズ排除;イオン交換;超臨界流体;高、中、及び低圧の液体クロマトグラフィーの方法及び装置;小規模分析;疑似移動床(SMB)及び分取薄層又は厚層クロマトグラフィーを含む任意の数の方法、並びに小規模薄層及びフラッシュクロマトグラフィーの技術を含み得る。
分離方法の別の分類は、所望の生成物、未反応の出発物質、反応副生成物等に結合するか、又は他の方法でこれらを分離可能にするように選択された試薬で混合物を処理することを含む。このような試薬は、活性炭、分子篩、イオン交換媒体等の吸着剤又は吸収剤を含む。あるいは、該試薬は、塩基性物質の場合は酸、酸性物質の場合は塩基、抗体等の結合試薬、結合タンパク質、クラウンエーテル等の選択的キレート剤、液体/液体イオン抽出試薬(LIX)等であってもよい。
適切な分離方法の選択は、含まれる物質の性質に依存する。分離方法の例は、沸点、並びに蒸留及び昇華における分子量、クロマトグラフィーにおける極性官能基の有無、多相抽出における酸性及び塩基性の媒体中の物質の安定性等を含む。当業者は、所望の分離を達成する可能性が最も高い技術を適用する。
ジアステレオマー混合物は、例えば、クロマトグラフィー又は分別結晶化等の当業者に周知の方法によって、その物理化学的差異に基づいて個々のジアステレオ異性体に分離され得る。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコール又はモッシャー酸塩化物等のキラル補助基)と反応させることによって鏡像異性体混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、そして、個々のジアステレオ異性体を対応する純鏡像異性体に変換(例えば、加水分解)することによって分離することができる。また、本発明の化合物の一部は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、そして、本発明の一部としてみなされる。また、鏡像異性体は、キラルHPLCカラム又は超臨界流体クロマトグラフィーの使用によって分離することもできる。
実質的にその立体異性体を含まない単一の立体異性体、例えば、鏡像異性体は、光学活性分割剤を用いてジアステレオマーを形成する等の方法を用いてラセミ混合物を分割することによって得ることができる(Eliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994;Lochmuller, C. H., J. Chromatogr., 113(3):283-302 (1975))。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、以下を含む任意の好適な方法によって分離及び単離することができる:(1)キラル化合物とイオン性ジアステレオマー塩を形成し、そして、分別結晶化又は他の方法によって分離する、(2)キラル誘導体化試薬を用いてジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、そして、純立体異性体に変換する、及び(3)キラル条件下で直接、実質的に純粋な又は濃縮された立体異性体を分離する。Drug Stereochemistry, Analytical Methods and Pharmacology, Irving W. Wainer, Ed., Marcel Dekker, Inc., New York (1993)を参照。
ジアステレオマー塩は、ブルシン、キニーネ、エフェドリン、ストリキニーネ、α−メチル−β−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)等の鏡像異性的に純粋なキラル塩基を、カルボン酸及びスルホン酸等の酸性官能基を有する不斉化合物と反応させることによって形成することができる。ジアステレオマー塩を誘導して、分別結晶化又はイオンクロマトグラフィーによって分離してもよい。アミノ化合物の光学異性体を分離する場合、ショウノウスルホン酸、酒石酸、マンデル酸、又は乳酸等のキラルカルボン酸又はスルホン酸を付加して、ジアステレオマー塩を形成することができる。
あるいは、分割される基質をキラル化合物のうちの一方の鏡像異性体と反応させて、ジアステレオマー対を形成する(Eliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994, p. 322)。ジアステレオマー化合物は、不斉化合物をメンチル誘導体等の鏡像異性的に純粋なキラル誘導体化試薬と反応させ、次いで、ジアステレオマーを分離し、そして、加水分解して、純粋な又は濃縮された鏡像異性体を生成することによって形成することができる。光学純度を求める方法は、塩基又はモッシャーエステル、α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニルアセタートの存在下で、ラセミ混合物のメンチルエステル(例えば、(−)メンチルクロロホルマート)等のキラルエステルを作製し、そして、2種のアトロプ異性鏡像異性体又はジアステレオマーの存在についてNMRスペクトルを分析することを含む(Jacob, J. Org. Chem. 47:4165 (1982))。アトロプ異性化合物の安定なジアステレオマーは、アトロプ異性ナフチルイソキノリンを分離するための方法(参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第96/15111号)に従って、順相及び逆相のクロマトグラフィーによって分離及び単離することができる。方法(3)によって、キラル固定相を用いるクロマトグラフィーによって2種の鏡像異性体のラセミ混合物を分離することができる(Chiral Liquid Chromatography W. J. Lough, Ed., Chapman and Hall, New York, (1989);Okamoto, J. of Chromatogr. 513:375-378 (1990))。濃縮又は精製された鏡像異性体は、旋光性及び円偏光二色性等の、不斉炭素原子を含む他のキラル分子を区別するために用いられる方法によって区別することができる。キラル中心及び鏡像異性体の絶対立体化学は、x線結晶構造解析によって決定することができる。
それを合成するための位置異性体及び中間体は、NMR及び分析HPLC等の特性評価法によって観察することができる。相互変換のためのエネルギー障壁が十分に高い特定の化合物については、例えば、分取HPLCによって、E及びZ異性体を分離することができる。
医薬組成物及び投与
本発明が関係する化合物は、JAK1阻害剤等のJAKキナーゼ阻害剤であり、そして、例えば、炎症性疾患(例えば、喘息)等の幾つかの疾患の処置において有用である。
したがって、別の実施態様は、本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤とを含有する医薬組成物又は医薬、並びに本発明の化合物を用いてこのような医薬組成物又は医薬を調製する方法を提供する。
一例では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、周囲温度、適切なpH、及び所望の純度で、生理学的に許容し得る担体、すなわち、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに非毒性である担体と混合することによりガレヌス投与形態に製剤化し得る。製剤のpHは、主に、具体的な用途及び化合物の濃度に依存するが、典型的には、約3〜約8の範囲のいずれでもよい。一例では、式(00Aの化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、酢酸バッファ中、pH5で製剤化される。別の実施態様では、本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物は、無菌である。該化合物は、例えば、固体若しくは非晶質の組成物として、凍結乾燥製剤として、又は水溶液として保存してよい。
組成物は、良質の医療実施基準(good medical practice)に合致するように製剤化、調薬及び投与される。この状況において考慮すべき要因は、処置される具体的な障害、処置される具体的な哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医師に公知の他の要因を含む。
任意の具体的な患者についての具体的な用量レベルは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身的な健康、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせ、及び処置を受ける具体的な疾患の重篤度を含む様々な要因に依存することが理解される。最適な用量レベル及び投与頻度は、薬学分野において必要とされているように、臨床試験によって決定される。一般的に、経口投与のための日用量範囲は、単一用量又は分割用量で、約0.001mg〜約100mg/kg(ヒトの体重)、多くの場合、0.01mg〜約50mg/kg、例えば、0.1〜10mg/kgの範囲内になる。一般的に、吸入投与についての日用量範囲は、単一用量又は分割用量で、約0.1μg〜約1mg/kg(ヒトの体重)、好ましくは、0.1μg〜50μg/kgの範囲内になる。他方、場合によっては、これら限度外の投与量を用いる必要がある場合もある。
本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸内、膣内、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、くも膜下腔内、吸入及び硬膜外及び鼻腔内、並びに局所処置が望ましい場合、病巣内への投与を含む、任意の好適な手段によって投与してよい。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下への投与が含まれる。幾つかの実施態様では、吸入投与が使用される。
本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、ロゼンジ、顆粒剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、噴霧剤、吸入剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等の任意の便利な投与形態で投与してよい。このような組成物は、医薬調製品において常用される成分、例えば、希釈剤(例えば、グルコース、ラクトース、又はマンニトール)、担体、pH調整剤、バッファ、甘味剤、増量剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、着香剤、風味剤、他の公知の添加剤、並びに更なる活性剤を含有し得る。
好適な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、そして、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004;Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;及びRowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に詳細に記載されている。例えば、担体は、当業者に公知であるような、溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、風味剤、染料、このような類似の物質、及びこれらの組み合わせを含む(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, pp 1289-1329, 1990を参照)。任意の従来の担体が活性成分と不適合である場合を除いて、処置組成物又は医薬組成物におけるその使用が企図される。例示的な賦形剤は、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、又はこれらの組み合わせを含む。医薬組成物は、それが固体、液体、又はエアゾールの形態のいずれで投与されるか、及びこのような投与経路について滅菌する必要があるかどうかに依存して、様々な種類の担体又は賦形剤を含んでよい。
例えば、経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、単位用量提示形態(unit dose presentation form)であってよく、そして、結合剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、又はポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、又はグリシン;打錠用滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、又はシリカ;崩壊剤、例えば、バレイショデンプン、又は許容し得る湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の従来の賦形剤を含有し得る。錠剤は、通常の薬務において周知である方法に従ってコーティングしてもよい。経口用液体調製品は、例えば、水性又は油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤、若しくはエリキシル剤の形態であってもよく、又は使用前に水若しくは他の好適なビヒクルで再構成するための乾燥製品として提示されてもよい。このような液体調製品は、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水素化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアカシア;非水性ビヒクル(食用油を含んでいてもよい)、例えば、アーモンド油、分画ヤシ油、油状エステル(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、又はエチルアルコール);保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル、又はソルビン酸、及び必要に応じて従来の風味剤又は着色剤等の従来の添加剤を含有し得る。
皮膚への局部塗布については、化合物からクリーム、ローション、又は軟膏を作製してよい。薬物に用いることができるクリーム又は軟膏の製剤は、例えば、英国薬局方等の薬剤学の標準的な教科書に記載されている通り、当技術分野において周知である従来の製剤である。
本発明の化合物、例えば、式(00Aの化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、吸入用、例えば、鼻用スプレー、又は乾燥粉末若しくはエアゾール吸入器として製剤化してもよい。吸入によって送達する場合、該化合物は、典型的には、マイクロ粒子の形態であり、これは、噴霧乾燥、凍結乾燥、及び微粉化を含む様々な技術によって調製することができる。エアゾールの発生は、例えば、噴射剤駆動定量エアゾールを用いることによって圧力駆動ジェット噴霧器若しくは超音波噴霧器を用いて行ってもよく、又は例えば、吸入カプセル若しくは他の「乾燥粉末」送達系から噴射剤を用いずに微粉化化合物を投与してもよい。
一例として、本発明の組成物は、ネブライザから送達するための懸濁液として、又は例えば、加圧式定量噴霧式吸入器(PMDI)において使用するための液体噴射剤中エアゾールとして調製することができる。PMDIにおいて使用するのに好適な噴射剤は、当業者に公知であり、そして、CFC−12、HFA−134a、HFA−227、HCFC−22(CCl2F2)、及びHFA−152(CH4F2及びイソブタン)を含む。
幾つかの実施態様では、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を用いて送達するための乾燥粉末形態である。多くの種類のDPIが公知である。
投与によって送達するためのマイクロ粒子は、送達及び放出を支援する賦形剤を用いて製剤化し得る。例えば、乾燥粉末製剤では、DPIから肺への流れを支援する大きな担体粒子を用いて、マイクロ粒子を製剤化し得る。好適な担体粒子は、公知であり、そして、ラクトース粒子を含み;該粒子は、例えば、90μmを超える空気動力学的質量中央粒径を有し得る。
エアゾールに基づく製剤の場合、例は、以下の通りである:
本発明の化合物* 24mg/キャニスター
レシチン、NF原液 1.2mg/キャニスター
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/キャニスター
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/キャニスター。
*式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩等。
式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩等の化合物は、用いられる吸入器システムに依存して記載の通り投与してよい。該化合物に加えて、投与形態は、更に、上記のような賦形剤、又は例えば、噴射剤(例えば、定量エアゾールの場合、Frigen)、表面活性物質、乳化剤、安定剤、保存剤、風味剤、充填剤(例えば、粉末吸入器の場合、ラクトース)、若しくは必要に応じて更なる活性化合物を含有してよい。
吸入目的のために、患者にとって適切な吸入技術を用いて最適な粒径のエアゾールを生成及び投与することができる多数のシステムが利用可能である。アダプタ(スペーサ、エキスパンダ)、及び洋梨形容器(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、並びに特に粉末吸入器の場合、定量エアゾール用のパフ噴霧(puffer spray)を噴出する自動デバイス(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、多数の技術的解決策が利用可能である(例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,263,475号に記載されている通り、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)、又は吸入器)。更に、本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、多室装置で送達してよく、それによって、併用剤を送達することが可能になる。
式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩等の化合物は、滅菌媒体中で非経口的に投与することもできる。用いられるビヒクル及び濃度に依存して、該化合物は、ビヒクルに懸濁又は溶解し得る。有利なことには、局所麻酔剤、保存剤、又は緩衝剤等の補助剤は、ビヒクルに溶解することができる。
標的吸入薬物送達
局所(吸入)投与によって肺に送達するための薬物の最適化について、最近概説されている(Cooper, A. E. et al. Curr. Drug Metab. 2012, 13, 457-473)。送達装置における制限のため、非常に強力な分子を必要とするヒトにおいて吸入薬の用量が低くなる(約<1mg/日)可能性がある。乾燥粉末の吸入を介して送達されるようになっている化合物の場合、1〜5μmの大きさに微粒子化することができる化合物の結晶形を作製することも必要である。更に、該化合物は、所望の期間薬理学的効果を発揮することができるように、所与の期間にわたって肺において十分な濃度を維持するが、全身阻害が望ましくない薬理学的標的については、全身曝露を少なくする必要がある。肺は、大きな分子(タンパク質、ペプチド)に加えて、肺半減期の短い小さな分子に対しても本質的に高い透過性を有するので、該化合物の1つ以上の特徴の改変(膜透過性を最小化する、溶解速度を低減する、又はある程度の塩基性を該化合物に導入してリン脂質リッチな肺組織に対する結合を強化する)を通して、又はリソソーム(pH5)等の酸性細胞内コンパートメントへの捕捉を通して肺吸収速度をおさえる必要がある。したがって、幾つかの実施態様では、本発明の化合物は、これら特徴のうちの1つ以上を示す。
ヤヌスキナーゼ阻害剤による処置方法及び使用
本発明の化合物、例えば、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、ヤヌスキナーゼ、例えば、JAK1キナーゼの活性を阻害する。例えば、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK1キナーゼによるシグナル伝達性転写因子(STAT)のリン酸化及びSTATに媒介されるサイトカイン生成を阻害する。本発明の化合物は、IL−6、IL−15、IL−7、IL−2、IL−4、IL−9、IL−10、IL−13、IL−21、G−CSF、IFNアルファ、IFNベータ、又はIFNガンマの経路等のサイトカイン経路を通して細胞におけるJAK1キナーゼ活性を阻害するために有用である。したがって、一実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を細胞と接触させて、該細胞におけるヤヌスキナーゼ活性(例えば、JAK1活性)を阻害する方法が提供される。
該化合物は、異常なIL−6、IL−15、IL−7、IL−2、IL−4、IL9、IL−10、IL−13、IL−21、G−CSF、IFNアルファ、IFNベータ、又はIFNガンマのサイトカインシグナル伝達によって駆動される免疫学的障害を処置するために使用することができる。
したがって、一実施態様は、処置において使用するための式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む。
幾つかの実施態様では、炎症性疾患の処置における式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。更に、炎症性疾患、例えば喘息を処置するための医薬を調製するための、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。また、炎症性疾患(例えば、喘息)の処置において使用するための、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩も提供される。
別の態様は、患者におけるヤヌスキナーゼ活性(例えば、JAK1キナーゼ活性)の阻害に応答する疾患又は病態(例えば、喘息)を予防、治療、又は重篤度を低減する方法を含む。該方法は、処置上有効な量の式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を患者に投与する工程を含み得る。一実施態様では、ヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1キナーゼ)の阻害に応答する疾患又は病態は、喘息である。
一実施態様では、該疾患又は病態は、癌、脳卒中、糖尿病、肝腫大、心血管疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息、アレルギー性障害、炎症、神経障害、ホルモン関連疾患、臓器移植に関連する病態(例えば、移植拒絶反応)、免疫不全障害、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、細胞死に関連する病態、トロンビン誘導性血小板凝集、肝疾患、T細胞の活性化を伴う病的免疫病態、CNS障害、又は骨髄増殖性障害である。
一実施態様では、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬、喘息、炎症性腸疾患、接触皮膚炎、又は遅延型過敏反応である。一実施態様では、自己免疫疾患は、関節リウマチ、ループス、又は多発性硬化症である。
一実施態様では、癌は、乳、卵巣、子宮頸部、前立腺、精巣、陰茎、泌尿生殖器、精上皮腫、食道、喉頭、胃、胃、胃腸、皮膚、角化棘細胞腫、濾胞癌、メラノーマ、肺、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌、肺の扁平上皮癌、結腸、膵臓、甲状腺、乳頭、膀胱、肝臓、胆汁道、腎臓、骨、骨髄障害、リンパ球障害、ヘアリーセル、口腔及び咽頭(口)、口唇、舌、口、唾液腺、咽頭、小腸、結腸、直腸、肛門、腎臓、前立腺、外陰、甲状腺、大腸、子宮内膜、子宮、脳、中枢神経系、腹膜の癌、肝細胞癌、頭部癌、頸部癌、ホジキン又は白血病である。
一実施態様では、該疾患は、骨髄増殖性障害である。一実施態様では、骨髄増殖性障害は、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、又は慢性骨髄性白血病(CML)である。
別の実施態様は、本明細書に記載される疾患(例えば、炎症性障害、免疫学的障害、又は癌)を処置するための医薬を製造するための、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用を含む。一実施態様では、本発明は、JAKキナーゼ、例えば、JAK1の阻害を標的とすることによって、本明細書に記載される疾患又は病態、例えば、炎症性障害、免疫障害、又は癌)を処置する方法を提供する。
併用療法
該化合物は、単独で又は処置用の他の剤と組み合わせて使用してよい。医薬組成物又は投与レジメンの第2の化合物は、典型的には、互いに有害な影響を与えないように本発明の化合物に対して補完的な活性を有する。このような剤は、好適には、意図する目的のために有効な量で併存する。該化合物は、単一の医薬組成物で一緒に又は別々に投与してよく、そして、別々に投与するとき、同時に又は逐次投与してよい。このような逐次投与は、時間的に近接していても離れていてもよい。
例えば、他の化合物を、喘息等の炎症性疾患の予防又は治療のために式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩と組み合わせてよい。併用療法に好適な処置剤は、以下を含むが、これらに限定されない:アデノシンA2A受容体アンタゴニスト;抗感染性;非ステロイド性グルココルチコイド受容体(GR受容体)アゴニスト;酸化防止剤;□2アドレナリン受容体アゴニスト;CCR1アンタゴニスト;ケモカインアンタゴニスト(CCR1ではない);コルチコステロイド;CRTh2アンタゴニスト;DP1アンタゴニスト;ホルミルペプチド受容体アンタゴニスト;ヒストンデアセチラーゼ活性化剤;クロリドチャネルhCLCA1ブロッカー;上皮ナトリウムチャネルブロッカー(ENACブロッカー;細胞間接着分子1ブロッカー(ICAMブロッカー);IKK2阻害剤;JNK阻害剤;シクロオキシゲナーゼ阻害剤(COX阻害剤);リポキシゲナーゼ阻害剤;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;二重□2アドレナリン受容体アゴニスト/M3受容体アンタゴニスト(MABA化合物);MEK−1阻害剤;ミエロペルオキシダーゼ阻害剤(MPO阻害剤);ムスカリン性アンタゴニスト;p38 MAPK阻害剤;ホスホジエステラーゼPDE4阻害剤;ホスファチジルイノシトール3−キナーゼδ阻害剤(PI3−キナーゼδ阻害剤);ホスファチジルイノシトール3−キナーゼγ阻害剤(PI3−キナーゼγ阻害剤);ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト(PPARγアゴニスト);プロテアーゼ阻害剤;レチノイン酸受容体調節因子(RARγ調節因子);スタチン;トロンボキサンアンタゴニスト;TLR7受容体アゴニスト;又は血管拡張剤。
更に、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を以下と組み合わせてもよい:(1)コルチコステロイド、例えば、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アメロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、ビクレソニド(biclesonide)、プロピオン酸ブロベタゾール(blobetasol propionate)、デスイソブチリルシクレソニド、デキサメタゾン、ヂチプレドノールジクロアセタート(dtiprednol dicloacetate)、フルオシノロンアセトニド、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、エタボン酸ロテプレドノール(局所)又はフロ酸モメタゾン;(2)β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、フェノテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、リモテロール(rimoterol)、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロール)、及び長時間作用型β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、サルメテロール、インダカテロール、フォルモテロール(フマル酸フォルモテロールを含む)、アルフォルモテロール、カルモテロール、アベジテロール、ビランテロールトリフェナタート、オロダテロール;(3)コルチコステロイド/長時間作用型β2アゴニスト組み合わせ製品、例えば、サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Advair(登録商標)、Seretide(登録商標)としても販売)、フォルモテロール/ブデソニド(Symbicort(登録商標))、フォルモテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Flutiform(登録商標))、フォルモテロール/シクレソニド、フォルモテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/フロ酸モメタゾン、ビランテロールトリフェナート(vilanterol trifenate)/フロ酸フルチカゾン、又はアルフォルモテロール/シクレソニド;(4)抗コリン剤、例えば、ムスカリン性−3(M3)受容体アンタゴニスト、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、アクリジニウム(LAS−34273)、臭化グリコピロニウム、臭化ウメクリジニウム;(5)M3−抗コリン剤/β2−アドレナリン受容体アゴニストの組み合わせ製品、例えば、ビランテロール/ウメクリジニウム(Anoro(登録商標)Ellipta(登録商標))、オロダテロール/臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム/インダカテロール(Ultibro(登録商標)、Xoterna(登録商標)としても販売)、臭化水素酸フェノテロール/臭化イプラトロピウム(Berodual(登録商標))、硫酸アルブテロール/臭化イプラトロピウム(Combivent(登録商標))、フマル酸フォルモテロール/グリコピロラート、又は臭化アクリジニウム/フォルモテロール;(6)二重薬理M3−抗コリン/β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、コハク酸バフェンテロール、AZD−2115、又はLAS−190792;(7)ロイコトリエン調節因子(例えば、ロイコトリエンアンタゴニスト、例えば、モンテルカスト、ザフィルラスト(zafirulast)、又はプランルカスト)、又はロイコトリエン生合成阻害剤(例えば、ジレウトン)、又はLTB4アンタゴニスト(例えば、アメルバント)、又はFLAP阻害剤(例えば、フィボフラポン、GSK−2190915;(8)ホスホジエステラーゼ−IV(PDE−IV)阻害剤(経口又は吸入)、例えば、ロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、ロリプラム、テトミラスト、AVE−8112、レバミラスト(revamilast)、CHF 6001;(9)抗ヒスタミン剤、例えば、選択的ヒスタミン−1(H1)受容体アンタゴニスト(例えば、フェキソフェナジン、シチリジン(citirizine)、ロラチジン(loratidine)、又はアステミゾール)、又は二重H1/H3受容体アンタゴニスト(例えば、GSK 835726又はGSK 1004723);(10)鎮咳剤、例えば、コデイン又はデキストラモルファン(dextramorphan;(11)粘液溶解剤、例えば、N−アセチルシステイン又はフドステイン;(12)去痰剤/粘液作動調節剤(mucokinetic modulator)(例えば、アンブロキソール)、高張液(例えば、生理食塩水又はマンニトール)、又は界面活性剤;(13)ペプチド粘液溶解剤、例えば、組み換えヒトデオキシリボノクレアーゼ(deoxyribonoclease)I(ドルナーゼ−アルファ及びrhDNase)又はヘリチジン(helicidin);(14)抗生物質、例えば、アジスロマイシン、トブラマイシン、又はアズトレオナム;(15)非選択的COX−1/COX−2阻害剤、例えば、イブプロフェン又はケトプロフェン;(16)COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ及びロフェコキシブ;(17)VLA−4アンタゴニスト、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第97/03094号及び同第97/02289号に記載されているもの;(18)TACE阻害剤及びTNF−α阻害剤(例えば、抗TNFモノクローナル抗体、例えば、Remicade(登録商標)及びCDP−870)及びTNF受容体免疫グロブリン分子(例えば、Enbrel(登録商標));(19)マトリクスメタロプロテアーゼの阻害剤、例えば、MMP−12;(20)ヒト好中球エラスターゼ阻害剤、例えば、BAY−85−8501、又はそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第2005/026124号、同第2003/053930号、及び同第06/082412号に記載されているもの;(21)A2bアンタゴニスト、例えば、参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第2002/42298号に記載されているもの;(22)サイトカイン受容体機能の調節因子、例えば、CCR3及びCCR8のアンタゴニスト;(23)他のプロスタノイド受容体の作用を調節する化合物、例えば、トロンボキサンA2アンタゴニスト;DP1アンタゴニスト(例えば、ラロピプラント)又はアサピプラント(asapiprant)CRTH2アンタゴニスト(例えば、OC000459、フェビピプラント、ADC 3680、又はARRY 502);(24)PPARアルファアゴニスト(例えば、フェノフィブラート)、PPARデルタアゴニスト、PPARガンマアゴニスト(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、及びバラグリタゾン)を含むPPARアゴニスト;(25)メチルキサンチン(例えば、テオフィリン又はアミノフィリン)及びメチルキサンチン/コルチコステロイドの組み合わせ、例えば、テオフィリン/ブデソニド、テオフィリン/プロピオン酸フルチカゾン、テオフィリン/シクレソニド、テオフィリン/フロ酸モメタゾン、及びテオフィリン/ジプロピオン酸ベクロメタゾン;(26)A2aアゴニスト、例えば、欧州特許第1052264号及び同第1241176号に記載されているもの;(27)CXCR2又はIL−8のアンタゴニスト、例えば、AZD−5069、AZD−4721、ダニリキシン;(28)IL−Rシグナル伝達調節因子、例えば、キネレット(kineret)及びACZ 885;(29)MCP−1アンタゴニスト、例えば、ABN−912;(30)p38 MAPK阻害剤、例えば、BCT197、JNJ49095397、ロスマピモド、又はPH−797804;(31)TLR7受容体アゴニスト、例えば、AZD 8848;(32)PI3キナーゼ阻害剤、例えば、RV1729又はGSK2269557)。
幾つかの実施態様では、式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、1つ以上の更なる薬物、例えば、抗過剰増殖剤、抗癌剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、抗炎症剤、又は化学療法剤、例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許公開第2010/0048557号に開示されている剤等と併用してよい。式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、当技術分野において公知である通り、放射線療法又は外科手術と併用してもよい。
製品
別の実施態様は、ヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1キナーゼ)の阻害に応答する疾患又は障害を処置するための製品(例えば、キット)を含む。該キットは、
(a)式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む第1の医薬組成物;及び
(b)使用説明書
を含み得る。
別の実施態様では、該キットは、更に、
(c)上記の処置用剤、例えば、炎症性障害を処置するための剤又は化学療法剤を含む医薬組成物等の第2の医薬組成物
を含む。
一実施態様では、該説明書には、それを必要としている患者に対する該第1及び第2の医薬組成物の同時、逐次、又は別々の投与について説明されている。
一実施態様では、該第1及び第2の組成物は、別々の容器に含まれている。別の実施態様では、該第1及び第2の組成物は、同じ容器に含まれている。
使用するための容器は、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、ブリスターパック等を含む。該容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成し得る。該容器は、病態を処置するのに有効な式(00A)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含み、そして、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈注射用溶液袋又はバイアルであってよい)。ラベル又は添付文書は、該化合物が、喘息又は癌等の対象病態を処置するために用いられることを示す。一実施態様では、該ラベル又は添付文書は、該化合物が障害を処置するために用いられ得ることを示す。更に、該ラベル又は添付文書は、処置される患者が、過剰な又は不規則なJAK1活性等の過剰な又は不規則なヤヌスキナーゼ活性を特徴とする障害を有する患者であることを示し得る。また、該ラベル又は添付文書は、該化合物が他の障害を処置するために用いられ得ることも示し得る。
あるいは又は更に、該キットは、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、又はデキストロース溶液等の薬学的に許容し得るバッファを含む第2の(又は第3の)容器を更に含んでよい。それは、他のバッファ、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的に、そして、ユーザの観点から望ましい他の材料を更に含んでよい。
本発明を説明するために、以下の実施例が含まれる。しかし、これら実施例は、本発明を限定するものではなく、そして、本発明を実施する方法を示唆することのみを意味すると理解されたい。当業者は、記載されている化学反応が、本発明の他の化合物を調製するために容易に適用可能であり、そして、該化合物を調製する代替方法が本発明の範囲内であることを理解する。例えば、本発明に係る例示されていない化合物の合成は、例えば、干渉基を適切に保護することによって、記載されているもの以外の当技術分野において公知の他の好適な試薬を利用することによって、又は反応条件を通例通り改変することによって等、当業者に明らかな改変によって成功裏に実施することができる。あるいは、本明細書に開示されているか又は当技術分野において公知である他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適応性を有すると認識される。
実施例
一般的な実験の詳細
全ての溶媒及び市販の試薬は、特に指定しない限り、そのまま使用した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する場合、これは、シリカゲル(Kieselgel 60、220〜440メッシュ、35〜75μm)を手動で充填したガラスカラム又はIsolute(登録商標)SPE Si IIカートリッジのいずれかを用いて実施した。「Isolute SPE Siカートリッジ」とは、平均径50μμm及び公称多孔度60Åを有する不規則形状粒子を含む非結合活性シリカを含有するプレパックドポリプロピレンカラムを指す。Isolute(登録商標)SCX−2カートリッジを用いた場合、「Isolute(登録商標)SCX−2カートリッジ」とは、非末端保護プロピルスルホン酸官能化シリカ強カチオン交換吸着剤を含有するプレパックドポリプロピレンカラムを指す。
手順及びLCMS条件
方法A(LCMS15)
C18−逆相カラム(50×3mm Xtimate(商標)-C18、粒径2.2μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.05% トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05% トリフルオロ酢酸で溶出した。勾配:
方法B(LCMS30)
C18−逆相カラム(50×2.1mm Xtimate(商標)-C18、粒径2.6μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.05% TFA;溶媒B:アセトニトリル/0.05% TFAで溶出した:
方法C(LCMS33)
C18−逆相カラム(50×3mm Xtimate(商標)-C18、粒径2.2μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.1% ギ酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05% ギ酸で溶出した。勾配:
方法D(LCMS34)
C18−逆相カラム(50×3mm Gemini-NX 3μ-C18 110A、粒径3.0μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水/5mM NH
4HCO
3;溶媒B:アセトニトリルで溶出した。勾配:
方法E(LCMS39)
C18−逆相カラム(50×2.1mm Xtimate(商標)-C18、粒径2.7μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水/0.1% FA;溶媒B:アセトニトリル/0.1% FAで溶出した:
方法F(LCMS45)
C18−逆相カラム(30×2.1mm Ascentis Express C18、粒径2.7μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.05% トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05% トリフルオロ酢酸で溶出した。勾配:
方法G(LCMS45)
C18−逆相カラム(50×2.1mm Xtimate(商標)-C18、粒径2.7μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.05% トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05% トリフルオロ酢酸で溶出した。勾配:
方法H(LCMS45)
C18−逆相カラム(50×2.1mm Xtimate(商標)-C18、粒径2.7μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.05% トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05% トリフルオロ酢酸で溶出した。勾配:
方法I(LCMS53)
C18−逆相カラム(50×3.0mm Xtimate(商標)XB-C18、粒径2.6μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水/0.05% TFA;溶媒B:アセトニトリル/0.05% TFAで溶出した:
方法J(LCMS34)
C18−逆相カラム(50×3mm Gemini-NX 3μ-C18 110A、粒径3.0μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCで実施し、溶媒A:水/5mM NH
4HCO
3;溶媒B:アセトニトリルで溶出した。勾配:
方法K(LCMS15)
C18−逆相カラム(50×3mm Shim-Pack XR-ODS、粒径2.2μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.05% トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05% トリフルオロ酢酸で溶出した。勾配:
方法L(LCMS34)
C18−逆相カラム(50×3mm Gemini-NX 3μ-C18 110A、粒径3.0μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水/5mM NH
4HCO
3;溶媒B:アセトニトリルで溶出した。勾配:
方法M(LCMS34)
C18−逆相カラム(50×3mm Gemini-NX 3μ-C18 110A、粒径3.0μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水/5mM NH
4HCO
3;溶媒B:アセトニトリルで溶出した。勾配:
方法N(LCMS40)
C18−逆相カラム(50×2.1mm Asentis Express C18、粒径2.7μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.1% FA;溶媒B:アセトニトリル/0.05% FAで溶出した。
方法O(LCMS53)
C18−逆相カラム(50×2.1mm Ascentis Express C18、粒径2.7μm)を備えるSHIMADZU 20A HPLCにおいて実験を実施し、溶媒A:水+0.05% トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05% トリフルオロ酢酸で溶出した。勾配:
方法P
イオン化源としてESIを用いて、Agilent MSD質量分析計に連結されたAgilent 1290 UHPLCで実験を実施した。LC分離は、流速0.4mL/分でPhenomenex XB-C18、1.7mm、50×2.1mmカラムを用いた。溶媒Aは、0.1% FAを含む水であり、そして、溶媒Bは、0.1% FAを含むアセトニトリルである。勾配は、7分間にわたって2→98% 溶媒B、そして、1.5分間98% Bで保持、次いで、1.5分間平衡化である。LCカラム温度は、40℃である。UV吸光度は、220nm及び254nmで収集した。
一般的な略語のリスト
ACN アセトニトリル
ブライン 飽和塩化ナトリウム水溶液
CH-3OD 重水素化メタノール
CDCl3 重水素化クロロホルム
DCM ジクロロメタン
DIEA又はDIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DMSO−d6 重水素化ジメチルスルホキシド
EDC又はEDCI 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FA ギ酸
HOAc 酢酸
g グラム
h 時間
HATU (O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム へキサフルオロホスファート)
HCl 塩酸
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IMS 工業用変性アルコール
L リットル
LCMS 液体クロマトグラフィー−質量分析
LiHMDS又はLHMDS リチウムヘキサメチルジシラジド(lithium hexamethydisylazide)
MDAP 質量分離自動精製
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
mg ミリグラム
mL ミリリットル
NMR 核磁気共鳴分析法
Pd2(dba)3.CHCl3 トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加物
PE 石油エーテル
分取HPLC 分取高速液体クロマトグラフィー
SCX−2 強カチオン交換
TBAF テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
Xantphos 4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン
実施例1
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
N,N−ジメチルホルムアミド(2000mL)及び水(500mL)中の4−ブロモ−2−ヨードフェノール(282g、943.447mmol)の溶液に、ナトリウム 2−クロロ−2,2−ジフルオロアセタート(216g、1.417mol)、Cs
2CO
3(617g、1.894mol)を加えた。得られた混合物を120℃で一晩撹拌し、室温まで放冷して、氷水(3000mL)に注いだ。得られた溶液を酢酸エチル(3×1500mL)で抽出し、有機層を合わせた。酢酸エチル抽出物をブライン(1000mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4−ブロモ−1−(ジフルオロメトキシ)−2−ヨードベンゼン 300g(91%)を、黄色の油状物として与えた。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) □: (ppm) 7.96 (dd, J = 5.7 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.7 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 8.7 Hz, 1H ), 6.39 (t, J = 72.9 Hz, 1H)。
無水THF(1000mL)中の4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(100g、410.95mmol)の溶液に、LiHMDSの溶液(490mL、THF中1.0mol/L)を、窒素下、−70℃で撹拌しながら滴下した。得られた溶液を−50℃で1時間撹拌し、次に−70℃に冷却した。ZnCl2(500mL、THF中0.7mol/L)を−70℃で滴下した。得られた溶液を室温まで放温し、室温で1時間撹拌した。混合物に、4−ブロモ−1−(ジフルオロメトキシ)−2−ヨードベンゼン(150g、859.818mmol)、Pd(PPh3)4(24g、20.769mmol)を加えた。得られた溶液を一晩加熱還流した。得られた混合物を真空下で濃縮した。この反応を2回繰り返した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:20)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、全てにおいて5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール 300g(79%)を淡黄色の固体としてもたらした。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: (ppm) 8.27 (s, 1H), 7.68 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.39 (t, J = 72.5 Hz, 1H), 5.44-5.19 (m, 2H), 3.72-3.54 (m, 2H), 0.94-0.89 (m, 2H), 0.02 (s, 9H)。
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した1000mLの丸底フラスコ内に、トルエン(500mL)、5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(60g、129.21mmol)、NaSMe(26g、371mmol)、Pd2(dba)3.CHCl3(6.7g、6.47mmol)、XantPhos(7.5g、12.96mmol)を入れた。得られた混合物を85℃で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。この反応を3回繰り返した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:20)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、全てにおいて5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール 171gを黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=432.1、RT=1.23分間;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: (ppm) 8.25 (s, 1H), 7.42 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.39 (t, J = 72.9 Hz, 1H), 5.36-5.22 (m, 2H), 3.74-3.55 (m, 2H), 2.51 (s, 3H), 0.94-0.90 (m, 2H), 0.02 (s, 9H)。
5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(171g、407.851mmol)、エタノール(2000mL)、水(200mL)の混合物に、鉄粉末(228g、4.083mol)、NH4Cl(120g、2.243mol)を加えた。反応混合物を窒素下、還流下で3時間撹拌し、室温に冷やした。固体を濾取した。濾液を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(3000mL)で溶解し、ブライン(1×500mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。これが、5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン 148gを黄色の油状物としてもたらした。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=402.1、RT=0.93分。
3000mLの3口丸底フラスコ内に、DMA(1500mL)、5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(148g)、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(102g)、HATU(325g)、4−ジメチルアミノピリジン(4.5g)、DIPEA(142g)を入れた。得られた溶液を60℃で3時間撹拌し、氷水(2000mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×2000mL)で抽出して、有機層を合わせた。得られた混合物をブライン(1×1000mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(4:1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 200gを淡黄色の固体として与えた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=547.2、RT=1.10分;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: (ppm) 9.63 (s, 1H), 8.77 (dd, J = 7.0, 1.7 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.51 (dd, J = 4.2, 1.8 Hz, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.50 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.98 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 6.39 (t, J = 73.2 Hz, 1H), 5.46-5.38 (m, 2H), 3.70-3.59 (m, 2H), 2.52 (s, 3H), 0.92-0.85 (m, 2H), 0.03 (s, 9H)。
メタノール(600mL)中のN−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(60g)の溶液に、濃HCl溶液(300mL)を加えた。得られた溶液を35℃で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。固体を濾過により回収した。固体を水(200mL)に懸濁した。溶液のpH値を飽和重炭酸ナトリウムで8に調整した。生成物を濾過により回収し、乾燥させて、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 30g(66%)を淡黄色の固体として与えた。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=417.0、RT=0.80分間;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: (ppm) 13.02 (s, 1H), 9.71 (s, 1H), 9.33 (dd, J = 6.9, 1.5 Hz, 1H), 8.68 (dd, J = 4.1, 1.4 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.47-7.36 (m, 3H), 7.27 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 7.17 (t, J = 73.8 Hz, 1H), 2.51 (s, 3H)。
中間体1
2−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド)−1H−ピラゾール−1−イル)酢酸
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した250mLの丸底フラスコ内に、ジオキサン中の塩化水素飽和溶液(150mL)、5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(10.0g、23.2mmol)を入れた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。次に、反応物を重炭酸ナトリウム(300mL)の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(5×500mL)で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(30%)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール 4.01g(57%)を黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]
+=302.3、R
T=0.89分間。
100mLの丸底フラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)、3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール(3.50g、11.6mmol)、tert−ブチル 2−ブロモアセタート(4.50g、23.1mmol)を入れた。これに、DIPEA(4.50g、34.8mmol)の添加を続けた。30 得られた溶液を室温で3時間撹拌した。次に、反応物を水/氷(100mL)の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(20%)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、tert−ブチル 2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート 4.01g(83%)を黄色の油状物としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=416.4、RT=1.10分。
100mLの丸底フラスコ内に、エタノール(30mL)、水(5mL)、tert−ブチル 2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート(1.00g、2.41mmol)、Fe(1.35g、24.2mmol)、NH4Cl(640mg、12.0mmol)を入れた。得られた溶液を油浴中、95℃で2時間撹拌した。固体を濾取した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)に溶解した。得られた混合物をブライン(1×100mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。これが、tert−ブチル 2−[4−アミノ−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート 800mg(86%)を黄色の油状物としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=386.1、RT=0.82分。
100mLの3口丸底フラスコ内に、DMA(30mL)、tert−ブチル 2−(4−アミノ−3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセタート(2.00g、5.19mmol)、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(1.44g、8.83mmol)、HATU(4.59g、8.83mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.06g、0.52mmol)、DIPEA(2.01g、15.6mmol)を入れた。得られた溶液を油浴中、60℃で3時間撹拌した。次に、反応物を水/氷(200mL)の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物をブライン(1×100mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(80%)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド2.51g(92.6%)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=531.2、RT=1.06分。
100mLの丸底フラスコ内に、ジクロロメタン(40mL)、tert−ブチル 2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート(1.80g、3.39mmol)、トリフルオロ酢酸(20mL)を入れた。得られた溶液を室温で5時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。次に、反応物を水(50mL)の添加によりクエンチした。固体を濾過により回収した。これが、2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸 1.11g(68%)を黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=475.1、RT=0.81分;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 9.77 (s, 1H), 9.36 (dd, J = 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.73-8.65 (m, 2H), 8.39 (s, 1H), 7.49-7.38 (m, 3H), 7.31 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 7.23 (t, J = 73.8Hz ,1H), 5.07 (s, 2H), 2.51 (s, 3H)。
中間体2
2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸
ジオキサン(10mL)中の5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(5.01g、10.8mmol)、(プロパン−2−イルスルファニル)ナトリウム(3.17g、32.3mmol)の懸濁液に、窒素雰囲気下、Pd
2(dba)
3.CHCl
3(557mg、0.538mmol)及びXantPhos(623mg、1.08mmol)を加えた。得られた溶液をN
2雰囲気下、油浴中で85℃で14時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/石油エーテル(3/1)で溶離するシリカゲルカラムにかけて、5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール 3.79g(77%)を、淡黄色の粗固体として与えた。
1H-NMR (300 MHz,CDCl
3): δ (ppm) 8.26 (s, 1H), 7.62-7.58 (m, 1H), 7.49 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.23 (dd, J = 6.6, 1.2 Hz, 1H), 6.38 (t, J = 73.8 Hz, 1H), 5.37-5.23 (m, 2H), 3.71-3.54 (m, 2H), 3.42-3.34 (m, 1H), 1.32 (d, J = 6.6 Hz, 6H), 0.95-0.86 (m, 2H), 0.01 (s, 9H)。
ジクロロメタン(24mL)中の5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(3.81g、8.27mmol)の溶液に、TFA(6.0mL)を加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これが、3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール 2.98g(粗)を淡黄色の固体としてもたらした。TLC:PE/EtOAc=2/1、Rf=0.1。
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中の3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール(2.98g、9.11mmol)及びDIPEA(5.71g、44.2mmol)の溶液に、tert−ブチル 2−ブロモアセタート(5.17g、26.5mmol)を室温で加えた。得られた溶液をこの温度で14時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をEtOAc(100ml)に溶解し、混合物を水及びブラインで洗浄した。得られた混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/石油エーテル(3/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、tert−ブチル 2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート 2.64g(64%)を、淡黄色の固体として得た。TLC:PE/EtOAc=4/1、Rf=0.3。
エタノール(30mL)中のtert−ブチル 2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート(2.60g、5.86mmol)の溶液に、NH4Cl(940mg、17.6mmol)、Fe(1.64g、29.4mmol)及び水(3.0mL)を加えた。得られた溶液を油浴中、90℃で1時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をEtOAc(100mL)に懸濁した。固体を濾取した。濾液を水及びブラインで洗浄し、更に無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/2)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、tert−ブチル 2−[4−アミノ−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート 1.72g(70%)を淡黄色の固体として与えた。TLC:PE/EtOAc=1/1、Rf=0.1。
DMA(30mL)中のtert−ブチル 2−[4−アミノ−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート(1.70g、4.11mmol)及びピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(1.01g、6.19mmol)の溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(100mg、0.822mmol)、DIPEA(1.59g、12.3mmol)及びPyAOP(3.21g、6.17mmol)を加えた。得られた溶液を油浴中、45℃で14時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をEtOAc(300mL)に溶解した。得られた混合物を水(2×100mL)及びブライン(1×100mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(2/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、tert−ブチル 2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート2.05g(87%)を淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=575.3、RT=1.18分。
ジオキサン(20ml)中のtert−ブチル 2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アセタート(2.01g、3.58mmol)の溶液に、ジオキサン中の塩化水素溶液(20mL、15%w/w)を加えた。得られた溶液を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これが、2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸 1.68g(粗)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=503.2、RT=1.20分;1H-NMR ( 400 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) 9.70 (s, 1H), 9.34 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 8.69-8.67 (m, 2H), 8.25 (s, 1H), 7.53 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 2.4Hz, 1H), 7.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.28 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 7.25 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 4.62 (s, 2H), 3.52-3.42 (m, 1H), 1.22 (d, J = 6.8 Hz, 6H)。
中間体3
N−(5−(5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
エタノール(2000mL)及び水(200mL)中の5−(5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−4−ニトロ−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピラゾール(50.1g、108mmol)の溶液に、Fe(60.1g、1.07mol)及びNH
4Cl(28.0g、0.523mol)を加えた。得られた溶液を油浴中、100℃で3時間撹拌した。固体を濾取した。濾液を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(3000mL)に溶解した。得られた混合物をブライン(1×500mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、5−(5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピラゾール−4−アミンの粗生成物50.1gを黄色の油状物として与えた。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]
+=434.2、R
T=0.93分間。
DMA(1500mL)中の5−(5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピラゾール−4−アミン(50.1g、115mmol)の溶液に、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(32.1g、196.0mmol)、PyAOP(102g、196mmol)、DMAP(1.41g、11.0mmol)及びDIPEA(44.1g、0.341mol)を加えた。得られた溶液を油浴中、60℃で3時間撹拌した。次に、反応物を水/氷(2000mL)の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×2000mL)で抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物をブライン(1×1000mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(80%)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。固体を、H2O(150mL)を用いて室温で撹拌し、固体を濾過により回収した。自然乾燥させた。これが、N−(5−(5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 60.1g(91%)を淡黄色の固体としてもたらした。LCMS(方法G、ESI):[M+H]+=579.1&581.1、RT=1.10分。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ (ppm) 9.62 (s, 1H), 8.80 (dd, J = 6.9, 1.7 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.53 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.79 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.8, 2.5 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.00 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 6.43 (t, J = 72.6 Hz, 1H), 5.53 - 5.27 (m, 2H), 3.73 - 3.50 (m, 2H), 0.88 (ddd, J = 9.5, 6.4, 4.4 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H)。
中間体4
N−[3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
ジクロロメタン(200mL)中のN−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(10.1g、17.3mmol)の溶液に、Me
3OBF
4(2.81g、18.9mmol)を室温で加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。次に、EtOH(10mL)を反応混合物に加え、反応混合物を1時間撹拌し、この溶液にHCl(濃)(5.0mL)を加え、1時間撹拌して、得られた混合物を真空下で濃縮した。溶液のpH値を重炭酸ナトリウム(20%)で8に調整した。得られた溶液を酢酸エチル(3×300mL)で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(80%)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、N−[3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 5.5g(69%)を淡黄色の固体として与えた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 9.86 (s, 1H), 8.80 (dd, J= 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.60 (dd, J = 4.2, 1.6 Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.85 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 6.49 (t, J = 74.0 Hz, 1H), 4.01 (s, 3H)。
実施例5
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1−(2−(4−モルホリノピペリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸(700mg、1.48mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)の溶液に、EDC.HCl(564mg、2.94mmol)、HOBt(400mg、2.96mmol)、DIPEA(762mg、5.90mmol)及び4−(ピペリジン−4−イル)モルホリン(502mg、2.95mmol)を窒素下で加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。更なる量のEDC.HCl(564mg、2.94mmol、)、HOBt(400mg、2.96mmol)及びDIPEA(762mg、5.90mmol)を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(20/1〜5/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。残留物を、分取HPLC:カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、10mM NH
4HCO
3を含む水及びMeCN(7分で20.0% MeCN〜50.0%に増加);検出器、UV 254nmにより更に精製して、適切な画分をプールし、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチルとヘキサンとの混合物から再結晶化して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−[4−(モルホリン−4−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 361.5mg(39%)をオフホワイトの固体として与えた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]
+=627.3、R
T=1.47分;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD-d
4): δ (ppm) 9.08 (dd, J = 7.1, 1.7 Hz, 1H), 8.69-8.53 (m, 2H), 8.36 (s, 1H), 7.54 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.7, 2.5 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 6.75 (t, J = 74.1 Hz, 1H), 5.34-5.18 (m, 2H), 4.57-4.54 (m, 1H), 4.11-4.07(m, 1H), 3.75-3.65 (m, 4H), 3.25-3.08 (m, 1H), 2.89-2.69 (m, 1H), 2.62-2.59 (m, 4H), 2.56 (s, 3 H), 2.55-2.45 (m, 1H), 2.03-1.96 (m, 2H), 1.54-1.45 (m, 2H)。
実施例11
(R)−N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1−(2−((テトラヒドロフラン−3−イル)アミノ)エチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した500mLの丸底フラスコ内に、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(5.00g、12.0mmol)、テトラヒドロフラン(150mL)、Cs
2CO
3(15.7g、48.2mmol、)、1,2−ジブロモエタン(45.0g、240mmol)を入れた。反応混合物を80℃で2時間撹拌し、室温まで放冷して、真空下で濃縮した。粗生成物を、3/1の比でヘキサン/酢酸エチルの混合溶媒から再結晶化した。固体を濾過により回収した。これが、N−[1−(2−ブロモエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 5.80g(92%)を淡黄色の固体としてもたらした。LCMS(方法A、ESI):[M+H]
+=525.1、R
T=1.48分。
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した100mLの丸底フラスコ内に、CH3CN(25mL)、N−[1−(2−ブロモエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(200mg、0.382mmol)、DIPEA(247mg、1.91mmol)、(3R)−オキソラン−3−アミン(100mg、1.15mmol)を入れた。得られた溶液を80℃で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(10/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物(200mg)を、以下の条件[カラム、XBridge RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相A:10mM NH4HCO3を含む水、移動相B:ACN;(8分で32%B〜B:64%Bに増加);検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−(2−[[(3R)−オキソラン−3−イル]アミノ]エチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 27.2mg(13%)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=530.2、RT=1.46分;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) 9.73 (s, 1H), 9.34 (dd, J = 6.9, 1.8 Hz, 1H), 8.68 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.46-7.36 (m, 3H), 7.27 (dd, J = 6.9 Hz, 4.2 Hz, 1H), 7.17 (t, J = 73.8 Hz, 1H), 4.24 (s, 2H), 3.74-3.31 (m, 3H), 3.10-3.04 (m, 2H), 3.16-2.96 (m, 2H), 2.51 (s, 3H), 2.01-1.92 (m, 1H), 1.68-1.62 (m, 1H)。
実施例12
(S)−N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1−(1−メチルピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
DMF(12mL)中のCs
2CO
3(1.93g、5.92mmol)、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(820mg、1.97mmol)の混合物に、tert−ブチル (3R)−3−(メタンスルホニルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシラート(1.10g、3.94mmol)を加えた。得られた溶液を60℃で60℃で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(3/2)及び酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、tert−ブチル 3−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート 330mg(24%)を淡黄色の油状物としてもたらした。TLC:酢酸エチル、R
f=0.4。
tert−ブチル (3S)−3−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート(330mg、0.550mmol)、ジクロロメタン(6.0mL)、トリフルオロ酢酸(4.0mL)の混合物を、室温で4時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[(3S)−ピペリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 400mg(粗)を淡黄色の油状物としてもたらした。TLC:ジクロロメタン/メタノール=5/1、Rf=0.4。
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[(3S)−ピペリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(400mg、0.801mmol)、メタノール(10mL)、ホルムアルデヒド(700mg、37%水溶液)の混合物。混合物を室温で一晩撹拌した。NaBH3CN(202mg、3.214mmol)を加えた。得られた溶液を室温で更に4時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(20/1〜10/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。粗生成物を、以下の条件[カラム、XBridge Shield RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、10mM NH4HCO3を含む水及びMeCN(9分で20.0% MeCN〜55.0% MeCNに増加);検出器、UV4nm]で分取HPLCにより精製した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[(3S)−1−メチルピペリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 19.5mg(5%)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]+=514.2、RT=1.37分間;1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.08 (dd, J = 7.1, 1.7 Hz, 1H), 8.64 (dd, J = 4.2, 1.5 Hz, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.49-7.43 (m, 2H), 7.33 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 7.2, 4.2 Hz, 1H), 6.74 (t, J = 74.1 Hz, 1H), 4.50-4.36 (m, 1H), 3.28-3.19 (m, 1H), 2.95-2.83 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 2.50-2.44 (m, 1H), 2.39 (s, 3H), 2.30-2.10 (m, 2H), 2.04-1.70 (m, 3H)。
実施例25
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1−(2−(4−((4−(2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した100mLの丸底フラスコ内に、2−ブロモ−N,N−ジメチルアセトアミド(1.10g、6.63mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)、tert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシラート(1.24g、6.66mmol)、DIPEA(2.58g、20.0mmol)を入れた。得られた溶液を室温で5時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(10/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、tert−ブチル 4−[(ジメチルカルバモイル)メチル]ピペラジン−1−カルボキシラート 1.61g(89%)を淡黄色の固体としてもたらした。TLC:MeOH/DCM=1/5。R
f=0.4。
ジクロロメタン(20mL)及びトリフルオロ酢酸(10mL)中のtert−ブチル 4−[(ジメチルカルバモイル)メチル]ピペラジン−1−カルボキシラート(1.61g、5.90mmol)の溶液を、室温で4時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これが、N,N−ジメチル−2−(ピペラジン−1−イル)アセトアミド 900mg(粗)を黄色の油状物としてもたらした。TLC:MeOH/DCM=1/5、Rf=0.1。
MeOH(20mL)中のN,N−ジメチル−2−(ピペラジン−1−イル)アセトアミド(1.75g)及びtert−ブチル 4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシラート(3.27g、15.3mmol)のTFA塩の溶液に、NaBH3CN(960mg、15.276mmol)を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(8% MeOH)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、tert−ブチル 4−([4−[(ジメチルカルバモイル)メチル]ピペラジン−1−イル]メチル)ピペリジン−1−カルボキシラート 1.31g(35%)を無色の油状物としてもたらした。TLC:ジクロロメタン/メタノール=8/1、Rf=0.4。
50mLの丸底フラスコ内に、tert−ブチル 4−([4−[(ジメチルカルバモイル)メチル]ピペラジン−1−イル]メチル)ピペリジン−1−カルボキシラート(1.20g、3.26mmol)、ジオキサン中の飽和HCl溶液(4.0mL)を入れた。得られた溶液を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これが、N,N−ジメチル−2−[4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル]アセトアミド HCl塩 850mg(97%)を白色の固体としてもたらした。
50mLの丸底フラスコ内に、2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸(150mg、0.316mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)、EDC.HCl(121mg、0.632mmol)を入れた。これにHOBt(85.4mg、0.632mmol)の添加を続けた。これに、DIPEA(164mg、1.27mmol)、N,N−ジメチル−2−[4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル]アセトアミド HCl塩(170mg)を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をDCM/MeOH(8% MeOH)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物を、以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、8分以内にACN/H2O(10mM NH4HCO3)=18%〜ACN/H2O(10mM NH4HCO3)=41%に増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより更に精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−[4−([4−[(ジメチルカルバモイル)メチル]ピペラジン−1−イル]メチル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 3.6mg(2%)を白色の固体として与えた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=725.3、RT=2.37分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.09 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 8.66-8.65 (m, 2H), 8.36 (s, 1 H), 7.55 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 7.2, 4.4 Hz, 1H), 6.74 (t, J = 74 Hz, 1H), 5.31-5.17 (m, 2H), 4.53-4.50 (m, 1H), 4.05-4.02 (m, 1H), 3.37-3.33 (m, 1H), 3.32-3.24 (m, 2H), 3.20-3.15 (m, 1H), 3.11 (s, 3H), 2.95 (s, 3 H), 2.77-2.74 ((m, 1H), 2.59-2.53 (m, 10 H), 2.27-2.25 (m, 2H), 1.92-1.83 (m, 3H), 1.20-1.14 (m, 2H)。
実施例46
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1−(2−(4−(メチル(オキセタン−3−イル)アミノ)ピペリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
1000mLの丸底フラスコ内に、ピペリジン−4−オン塩酸塩(50g、368.753mmol)、ジクロロメタン(200mL)、重炭酸ナトリウム(62.2g、0.741mol)を入れた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、反応混合物を氷浴により冷却した。ニートの2−ブロモアセチルブロミド(74.1g、367mmol)を、冷却した氷浴下、冷却した反応混合物に滴下した。反応物を室温まで放温し、室温で一晩撹拌した。固体を濾取した。濾液を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、1−(2−ブロモアセチル)ピペリジン−4−オン 23.8g(29%)をもたらした。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]
+=220.0、R
T=0.54分。
500mLの丸底フラスコ内に、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(10.0g、24.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(250mL)、Cs2CO3(15.7g、48.1mmol)、1−(2−ブロモアセチル)ピペリジン−4−オン(10.5g、47.9mmol)を入れた。得られた溶液を60℃で80分間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(200mL)に溶解し、水(2×100mL)、ブライン(1×100mL)で連続して洗浄し、乾燥させて、減圧下で濃縮した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−オキソ−2−(4−オキソピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 11.2g(84%)を固体としてもたらした。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]+=556.0、RT=0.92分。
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した50mLの丸底フラスコ内に、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−オキソ−2−(4−オキソピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(170mg、0.306mmol)、エタノール(8.0mL)、オキセタン−3−アミン(45.0mg、0.616mmol)、Ti(OiPr)4(177mg、0.623mmol)を入れた。混合溶液を、60℃で3時間撹拌した。溶液を室温に冷やした。次に、AcOH(0.03mL、0.524mmol)及びNaBH3CN(39.0mg、0.621mmol)を、混合溶液に加えた。得られた溶液を60℃で5時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(9/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−(2−[4−[(オキセタン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 107mg(57%)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]+=613.0、RT=0.81分。
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した25mLの丸底フラスコ内に、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−(2−[4−[(オキセタン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(86.0mg、0.140mmol)、メタノール(5.0mL)、ホルムアルデヒド(186mg、37%水溶液、2.30mmol)、NaBH3CN(13.4mg、0.213mmol)を入れた。得られた溶液を25℃で5時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(9/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物を、以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、8分以内にACN/H2O(10mM NH4HCO3)=18%〜ACN/H2O(10mM NH4HCO3)=41%に増加;検出器、UV 254nm)]で分取HPLCにより更に精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−(2−[4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 12.4mg(14%)を白色の固体として与えた。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=627.1、RT=1.45分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.10 (dd, J = 7.2, 2.0 Hz, 1H), 8.66-8.65 (m, 2H), 8.37 (s, 1H), 7.55 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 7.2, 4.4 Hz, 1H), 6.76 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 5.34-5.17 (m, 1H), 4.69-4.61 (m,5H), 4.13-4.09 (m, 2H), 3.21-3.14 (m, 1H), 2.73-2.67 (m, 2H), 2.54 (s, 3H), 2.30-2.22 (m, 3H), 1.85-1.76 (m, 2H), 1.58-1.46 (m, 2H)。
実施例55
N−[1−(2−[4−[(3S)−3−シアノピペリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
(S)−異性体N−[1−(2−[4−[(3S)−3−シアノピペリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−オキソ−2−(4−オキソピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド及び(3S)−ピペリジン−3−カルボニトリルから同じ方法により調製した。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]
+=650.3、R
T=1.50分;
1H NMR (300 MHz, CD
3OD-d
4): δ (ppm) 9.07 (dd, J = 6.9, 1.5 Hz, 1H), 8.65 - 8.63 (m, 2H), 8.35 (s, 1H), 7.54 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.6, 2.6 Hz,1H), 7.34 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1 H), 6.73 (t, J = 74.1Hz, 1H), 5.27 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 4.59 - 4.56 (m, 1H), 4.08 - 3.98 (m, 1H), 3.30 - 3.19 (m, 1H), 2.89 - 2.85 (m, 2H), 2.77 - 2.69 (m, 5 H), 2.52 (s, 3 H), 1.86 - 1.50 (m, 8H)。
実施例58
N−[1−(2−[4−[(3R)−3−シアノピペリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
エタノール(15mL)中のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−オキソ−2−(4−オキソピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(1.00g、1.80mmol)の溶液に、Ti(OiPr)
4(1.02g、3.60mmol)及び(3R)−ピペリジン−3−カルボニトリル(595mg、5.40mmol)を加えた。得られた溶液を60℃で一晩撹拌した。次に、AcOH(0.1mL、1.75mmol)及びNaBH
3CN(114mg、1.81mmol)を加えた。得られた溶液を60℃で5時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をDCM/MeOH(92/8)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物(700mg)を、以下の条件[カラム、XBridge Shield RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、7分以内にACN/H
2O(10mM NH
4HCO
3)=24%〜ACN/H
2O(10mM NH
4HCO
3)=54%に増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより更に精製した。これが、N−[1−(2−[4−[(3R)−3−シアノピペリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 366.5mg(31%)を白色の固体としてもたらした。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]
+=650.3、R
T=1.51分;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD-d
4): δ (ppm) 8.96 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 8.53 - 8.51 (m, 2H), 8.25 (s, 1H), 7.43 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 6.64 (t, J = 74.0 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.45 - 4.40 (m, 1H), 4.00 - 3.87 (m, 1H), 3.07 - 2.95 (m, 1H), 2.78 - 2.45 (m, 7H), 2.41 (s, 3H), 1.76 - 1.47 (m, 8 H)。
実施例63
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
エタノール(10mL)中のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−オキソ−2−(4−オキソピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(150mg、0.270mmol)の溶液に、1−メチルピペラジン(54.1mg、0.539mmol)及びTi(OiPr)
4(156mg、0.549mmol)を加えた。得られた溶液を60℃で2時間撹拌した。次に、AcOH(0.031mL、0.524mmol)及びNaBH
3CN(34.1mg、0.541mmol)を加えた。得られた溶液を、60℃で更に2時間撹拌しながら反応させた。次に、反応物を水(2mL)の添加によりクエンチした。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(4/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。次に、残留物を、以下の条件[カラム、XBridge Prep フェニル OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、水(0.05% NH
3H
2O)及びACN(12分で20% ACN〜50.0%に増加);検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 71.7mg(42%)を黄色の固体として与えた。LC/MS(方法J、ESI):[M+H]
+=640.3、RT=2.67分;
1H NMR (300 MHz, CD
3OD-d
4): δ (ppm) 8.98 (dd, J = 6.9, 1.5 Hz, 1H), 8.53 - 8.51 (m, 2H), 8.25 (s, 1H), 7.42 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 6.63 (t, J = 74.1 Hz, 1H), 5.16 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 4.43 - 4.40 (m, 1H), 3.96 - 3.94 (m, 1H), 3.24 - 3.08 (m, 1H), 2.64 - 2.54 (m, 5H), 2.54 - 2.41 (m, 8 H), 2.17 (s, 3H), 1.95 - 1.80 (m, 2H), 1.55 - 1.29 (m, 2H)。
実施例71
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1−(2−(4−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ)ピペリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
水素化ナトリウム(1.00g、鉱油中60%、25.00mmol)を、無水THF(25mL)中のtert−ブチル 4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシラート(5.00g、24.84mmol)の溶液に、窒素下、室温で数回に分けて加えた。水素ガスの発生が止まった後、エチル 2−ブロモアセタート(8.40g、50.3mmol)を滴下した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。次に、反応物を水の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/4)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、tert−ブチル 4−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ピペリジン−1−カルボキシラート 5.00g(70%)を無色の油状物としてもたらした。TLC:酢酸エチル/ヘキサン=1/4、R
f=0.3。
100mLの丸底フラスコ内に、tert−ブチル 4−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ピペリジン−1−カルボキシラート(5.00g、17.4mmol)、水酸化ナトリウム(3.00g、75.0mmol)、水(20mL)、エタノール(20mL)を入れた。得られた溶液を室温で2日間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。溶液のpH値をHCl(3mol/L)で2に調整した。得られた溶液を酢酸エチル(2×)で抽出し、有機層を合わせて、真空下で濃縮した。これが、2−([1−[(tert−ブトキシ)カルボニル]ピペリジン−4−イル]オキシ)酢酸 4.00g(89%)を油状物としてもたらした。TLC:DCM/MeOH=5/1、Rf=0.4。
100mLの丸底フラスコ内に、2−([1−[(tert−ブトキシ)カルボニル]ピペリジン−4−イル]オキシ)酢酸(2.00g、7.71mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)、1−メチルピペラジン(1.55g、15.5mmol)、HATU(5.90g、15.5mmol)、DIPEA(3.99g、30.9mmol)を入れた。得られた溶液を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタンで溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、tert−ブチル 4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート 3.00g(粗)を黄色の油状物としてもたらした。LC/MS(方法E、ESI):[M+H]+=342.0、RT=0.79分。
100mLの丸底フラスコ内に、tert−ブチル 4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート(3.00g、8.79mmol)、ジオキサン中の飽和HCl溶液(10mL)を入れた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。これが、所望の生成物 3.00g(粗)をもたらした。TLC:MeOH/DCM=1/5、Rf=0.05。
50mLの丸底フラスコ内に、2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸(300mg、0.632mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)、1−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−(ピペリジン−4−イルオキシ)エタン−1−オン(263mg、1.09mmol)、EDC.HCl(243mg、1.27mmol)、HOBt(171mg、1.27mmol)、DIPEA(327mg、2.53mmol)を入れた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(9/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物(300mg)を、以下の条件[カラム、XBridge Prep RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相A:10mM NH4HCO3を含む水、移動相B:ACN;(7分で18%B〜40%Bに増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−(2−[4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 90.4mg(20%)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=698.4、RT=2.52分;1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.04 (dd, J = 7.2, 1.5Hz, 1H), 8.62-8.61 (m, 2H), 8.33 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.41 (dd, J = 8.7, 2.4Hz, 1H), 7.32 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 6.72 (t, J = 74.1 Hz, 1H), 5.29-5.22 (m, 2H), 4.35-4.12 (m, 2H), 3.70-3.47 (m, 9H), 2.50 (s, 3H), 2.42-2.30 (m, 4H), 2.24 (d, J = 10.2 Hz, 3H), 1.92-1.79 (m, 3H), 1.59-1.41 (m, 1H)。
実施例76
N−(1−(3−(シアノメチル)−1−メチルアゼチジン−3−イル)−3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
30mLの密閉管内に、N−[1−[3−(シアノメチル)アゼチジン−3−イル]−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(100mg、0.196mmol)、ジクロロメタン(6.0mL)、HCHO(100mg、37%水溶液)を入れた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。NaBH(OAc)
3(63.0mg、0.297mmol)を加えた。得られた溶液を、室温で更に6時間撹拌しながら反応させた。得られた混合物を真空下で濃縮した。得られた混合物をH
2Oで洗浄した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(95/5)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物(100mg)を、以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、移動相A:10mM NH
4HCO
3を含む水、移動相B:ACN、8分以内に12%B〜82%Bに増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製した。これが、N−[1−[3−(シアノメチル)−1−メチルアゼチジン−3−イル]−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 15.9mg(15%)を白色の固体としてもたらした。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]
+=525.2、R
T=2.07分;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 9.79 (s, 1H), 9.35 (d, J = 6.8, 1H), 8.70-8.68 (m, 2H), 8.55 (s, 1H), 7.46-7.41 (m, 2H), 7.38-7.30 (m, 2H), 7.19 (t, J = 74.0 Hz, 1H), 3.64 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 3.59 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 3.52 (s, 2H), 2.51 (s, 3H), 2.36 (s, 3H)。
実施例77
N−(1−(3−(シアノメチル)アゼチジン−3−イル)−3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
100mLの丸底フラスコ内に、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(2g、4.803mmol)、tert−ブチル 3−(シアノメチリデン)アゼチジン−1−カルボキシラート(933mg、4.80mmol)、CH
3CN(30mL)、DBU(512mg、3.36mmol)を入れた。得られた溶液を50℃で7時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、tert−ブチル 3−(シアノメチル)−3−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシラート 1.5g(51%)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]
+=611.2、RT=1.18分。
ジクロロメタン(8.0mL)及びトリフルオロ酢酸(4.0mL)中のtert−ブチル 3−(シアノメチル)−3−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシラート(200mg、0.328mmol)の溶液に、室温で5時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をDCM/MeOH(9/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物(100mg)を、以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、A:10mM NH4HCO3を含む水、移動相B:ACN、8分以内に12%B〜82%Bに増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[1−[3−(シアノメチル)アゼチジン−3−イル]−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 19.8mg(12%)を白色の固体として与えた。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=511.1、RT=2.03分;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) 9.80 (s, 1H), 9.35 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 8.69 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 7.47 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.41 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 6.8, 4.4 Hz, 1H), 7.19 (t, J = 73.2 Hz, 1H), 4.05 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 3.68 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 3.57 (s, 2H), 2.51 (s, 3H)。
実施例81
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1−((1−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
3−クロロプロパ−1−イン(351mg、4.711mmol)を、DMF(30mL)中のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(1.00g、2.40mmol)とCs
2CO
3(1.57g、4.81mmol)との混合物に加えた。反応混合物を50℃で3時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(3/2)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−(プロパ−2−イン−1−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 600mg(55%)を黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]
+=455.0。R
T=1.62分。
DMF(20mL)中のtert−ブチル 4−ブロモピペリジン−1−カルボキシラート(1.00g、3.79mmol)の溶液に、NaN3(739mg、11.4mmol)及びNaI(113mg、0.754mmol)を加えた。得られた溶液を60℃で20時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×)で抽出して、有機層を合わせた。有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/19)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、tert−ブチル 4−アジドピペリジン−1−カルボキシラート620mg(72%)を黄色の油状物としてもたらした。TLC:PE/EA=4/1、Rf=0.3。
50mLの丸底フラスコ内に、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−(プロパ−2−イン−1−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(500mg、1.10mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)、tert−ブチル 4−アジドピペリジン−1−カルボキシラート(125mg、0.552mmol)、CuI(38.0mg、0.200mmol)、DIPEA(284mg、2.20mmol)を入れた。得られた溶液を25℃で15時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラム上に適用した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、tert−ブチル 4−[4−([3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート 228mg(30%)を黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]+=681.2。RT=1.52分。
メタノール(10mL)中のtert−ブチル 4−[4−([3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート(200mg、0.294mmol)と濃塩酸(3.0mL)との混合物を、25℃で15時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[1−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 220mg(粗)を黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=581.2。RT=1.41分間。
DCM(15mL)中のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[1−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(193mg、0.332mmol)、オキサン−4−オン(133mg、1.33mmol)の混合物を、25℃で15時間撹拌した。NaBH(OAc)3(706mg、3.33mmol)を加えた。得られた溶液を25℃で更に4時間 した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(9/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−([1−[1−(オキサン−4−イル)ピペリジン−4−イル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 51.9mg(23%)をオフホワイトの固体としてもたらした。LC/MS(方法C、ESI):[M+H]+=665.0、RT=1.48分;1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.07 (dd, J = 7.1, 1.7 Hz, 1H), 8.63 (dd, J = 4.2, 1.5 Hz, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.49 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 7.2, 4.2 Hz, 1H), 6.72 (t, J = 74.1 Hz, 1H), 5.52 (s, 2H), 4.64-4.45 (m, 1H), 4.03-3.98 (m, 2H), 3.45-3.33 (m, 2H), 3.19-3.14 (m, 2H), 2.68-2.54 (m, 1H), 2.51 (s, 3H), 2.49-2.42 (m, 2H), 2.29-2.06 (m, 4H), 1.86-1.83 (m, 2H), 1.62-1.56 (m, 2H)。
実施例101
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
ジオキサン(5.0mL)中のN−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(200mg、0.345mmol)の溶液に、(プロパン−2−イルスルファニル)ナトリウム(102mg、1.04mmol)、Pd
2(dba)
3.CHCl
3(31.6mg、0.0305mmol)、XantPhos(39.9mg、0.0690mmol)を、窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を、N2雰囲気下、100℃で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ−]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 103mg(52%)を淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]
+=575.3、R
T=1.18分。
ジクロロメタン(5.0mL)中のN−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(103mg、0.179mmol)の溶液に、TFA(3.1mL)を加えた。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、真空下で濃縮した。粗生成物を、以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、6分でCH3CN/H2O=20%〜CH3CN/H2O=46%に増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 13.6mg(17%)をオフホワイトの固体として与えた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=445.2、RT=1.84分;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) 13.04 (s, 1H), 9.68 (s, 1H), 9.33 (dd, J = 7.1, 1.4 Hz, 1H), 8.68 - 8.65 (m, 2H), 8.27 (s, 1H), 7.56 - 7.53 (m, 2H), 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.28 (dd, J = 7.2, 4.2 Hz, 1H), 7.23 (t, J = 73.5 Hz, 1H), 3.50 - 3.45 (m, 1H), 1.23 (d, J = 6.6 Hz, 6H)。
実施例129
N−(1−[2−[4−(3−シアノアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
メタノール(10mL)中のtert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシラート(1.00g、5.02mmol)の溶液に、NaOAc(412mg、5.02mmol)及びアゼチジン−3−カルボニトリル塩酸塩(714mg、6.02mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に、NaBH
3CN(315mg、5.02mmol)を加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をEtOAcに溶解し、水及びブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を、ジクロリドメタン/メタノール(95/5)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。これが、tert−ブチル 4−(3−シアノアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート1.41g(粗)を白色の固体としてもたらした。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]
+=266.4、R
T=0.71分。
ジオキサン(4.0mL)中のtert−ブチル 4−(3−シアノアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(1.41g、5.30mmol)の溶液に、ジオキサン中のHCl溶液(4.0ml、15%w/w)を加えた。得られた溶液を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これが、1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−3−カルボニトリル塩酸塩 1.32g(粗)を白色の固体としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=166.2、RT=0.17分;1H-NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 4.52 - 4.30 (m, 4H), 3.67 - 3.54 (m, 4H), 3.08 (t, J = 12.75 Hz, 2H), 2.39 - 2.17 (m, 2H), 1.18 - 1.69 (m, 2H)。
N,N−ジメチルホルムアミド(7.0mL)中の2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸(1.11g、2.19mmol)の溶液に、EDC.HCl(842mg、4.39mmol)、HOBt(592mg、4.38mmol)及びDIPEA(1131mg、8.75mmol)を加えた。反応混合物を室温で0.5時間撹拌し、次に、1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−3−カルボニトリル塩酸塩(663mg、3.286mmol)を加えた。得られた溶液を45℃で12時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチル(50mL)で希釈した。得られた混合物を水及びブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(95/5)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。次に、以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、水(10mM NH4HCO3)及びACN(13分で28.0%ACN〜42.0%に増加);検出器、UV254/220nm]で分取HPLCにより精製した。得られた生成物をエタノールで結晶化して、N−(1−[2−[4−(3−シアノアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 419.8mg(30%)を黄色の固体として与えた。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=650.3、RT=1.72分;1H-NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.09 (dd, J = 7.2, 1.8 Hz, 1H), 8.64 - 8.62 (m, 2H), 8.34 (s, 1H), 7.67 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.6, 2.4 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 6.79 (t, J = 73.8 Hz, 1H), 5.27 - 5.20 (m, 2H), 4.24 - 4.20 (m, 1H), 3.95 - 3.90 (m, 1H), 3.67 - 3.51 (m, 2H), 3.50 - 3.36 (m, 4H), 3.29 - 3.17 (m, 1H), 3.05-3.08 (m, 1H), 2.49-2.45 (m, 1H), 1.90 - 1.68 (m, 2H), 1.28 - 1.18 (m, 8H)。
実施例144
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(10mL)中のN−[3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(350mg、0.756mmol)の溶液に、(プロパン−2−イルスルファニル)ナトリウム(222mg、2.26mmol)、Pd
2(dba)
3.CHCl
3(34.1mg、0.0331mmol)及びXantPhos(34.1mg、0.0591mmol)を、窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を油浴中、85℃で一晩撹拌した。この反応を2回繰り返した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテルで溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物を酢酸エチルから再結晶化により精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 356.8mg(52%)を黄色の固体として与えた。(方法A、ESI、m/z):[M+H]
+=459.2 R
T=2.02分;1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 9.88 (s, H), 8.79 (dd, J = 6.8, 1.6 Hz, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.59 (dd, J = 4.0, 1.6 Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.72 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.47 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 6.8, 4.0 Hz, 1H), 6.50 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 4.02 (s, 3H), 3.46 - 3.39 (m, 1H), 1.31 (d, J = 6.4 Hz, 6H)。
実施例150
メチル 4−[[1−(2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル)ピペリジン−4−イル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシラート
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸(200mg、0.398mmol)及びメチル4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−カルボキシラート(192mg、0.796mmol)の溶液に、EDC.HCl(153mg、0.796mmol)、HOBt(108mg、0.796mmol)、DIPEA(206mg、1.59mmol)を室温で加えた。得られた溶液を45℃で12時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチル(50mL)で希釈した。得られた混合物をH
2O及びブラインで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/THF(90/10)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物を、1/5の比率のメタノール/イソプロピルエーテルから再結晶して、メチル4−[[1−(2−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル)ピペリジン−4−イル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシラート 136.8mg(47%)を白色の固体として与えた。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]
+=726.4、R
T=1.85分;
1H-NMR (300 MHz, CD
3OD-d
4): δ (ppm) 9.09 (dd, J = 6.9, 1.8 Hz, 1H), 8.63 - 8.61 (m, 2H), 8.34 (s, 1H), 7.67 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.6, 2.4 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 6.79(t, J = 73.8 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 5.15 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 5.38 - 5.07 (m, 2H), 4.53 - 4.48 (m, 1H), 4.08 - 3.98 (m, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.56 - 3.38 (m, 5H), 3..22 - 3.15 (m, 1H), 2.79 - 2.70 (m, 1H), 2.38 (t, J = 5.1 Hz, 4H), 2.23 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 1.91 - 1.83 (m, 3H), 1.27 (d, J = 6.6 Hz, 6H), 1.22 - 1.12 (m, 2H)。
実施例156
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−([1−[1−(オキソラン−3−イル)ピペリジン−4−イル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中のN−[3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(2.00g、4.45mmol)とCs
2CO
3(1.74g、5.34mmol)の懸濁液に、3−クロロプロパ−1−イン(400mg、5.37mmol)を室温で滴下した。得られた溶液を室温で12時間撹拌した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈した。得られた混合物を水及びブラインで洗浄し、更に無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/酢酸エチル(4/6)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、N−[3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(プロパ−2−イン−1−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 1.83g(84%)を黄色の固体として与えた。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]
+=487.1、R
T=1.14分。
N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)中のtert−ブチル 4−(メタンスルホニルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシラート(1.50g、5.37mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(771mg、11.9mmol)を室温で加えた。得られた溶液を油浴中、100℃で12時間撹拌した。得られた混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈した。酢酸エチル溶液を水及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、真空下で濃縮した。これが、tert−ブチル 4−アジドピペリジン−1−カルボキシラート 1.30g(粗)を黄色の油状物としてもたらした。粗生成物を更にいかなる精製することなくそのまま用いた。
N,N−ジメチルホルムアミド(80mL)中のN−[3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(プロパ−2−イン−1−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(2.00g、4.11mmol)の溶液に、tert−ブチル 4−アジドピペリジン−1−カルボキシラート(1.86g、8.22mmol)、CuI(779mg、4.11mmol)及びDIPEA(1.06g、8.20mmol)を、N2雰囲気下、室温で加えた。得られた溶液を、N2雰囲気下、室温で12時間撹拌し、酢酸エチル(200ml)で希釈した。得られた混合物を水及びブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(96/4)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、tert−ブチル 4−[4−([3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート 1.02g(35%)を褐色の固体として与えた。LC/MS(方法GESI):[M+H]+=657.2、RT=0.99分。
トルエン(15mL)中のtert−ブチル 4−[4−([3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート(300mg、0.420mmol)の溶液に、(プロパン−2−イルスルファニル)ナトリウム(124mg、1.26mmol)、Pd2(dba)3.CHCl3(21.8mg、0.0211mmol)及びXantPhos(24.3mg、0.0419mmol)を、N2雰囲気下で加えた。得られた溶液を、N2雰囲気下、油浴中にて80℃で12時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(95/5)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、tert−ブチル 4−[4−([3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート 273mg(92%)を黄色の固体として得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=709.4、RT=1.16分。
ジオキサン(5.0mL)中のtert−ブチル 4−[4−([3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート(273mg、0.385mmol)の溶液に、ジオキサン中のHCl溶液(5.0mL、15%、w/w)を室温で加えた。反応混合物を2時間撹拌した。固体を濾過により回収した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−[[1−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド塩酸塩 257mg(粗)を黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=609.4、RT=0.74分。
ジクロロメタン(15mL)中のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−[[1−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(257mg、0.422mmol)の溶液に、オキソラン−3−オン(145mg、1.69mmol)及びNaOAc(36.1mg、0.442mmol)を加えた。得られた溶液を室温で4時間撹拌した。次に、NaBH(OAc)3(179mg、0.844mmol)を一度に加えた。得られた溶液を、室温で更に12時間撹拌しながら反応させた。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(95/5)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物(178mg)を、以下の条件[カラム、XBridgeo Shield RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、水(10mM NH4HCO3)及びACN(8分で25.0%ACN〜50.0%に増加);検出器、UV220nm、254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−([1−[1−(オキソラン−3−イル)ピペリジン−4−イル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 53.1mg(18%)を白色の固体として与えた。LC/MS(方法M、ESI):[M+H]+=679.4、RT=2.69分;1H NMR (400 MHz,CD3OD-d4): δ (ppm) 9.10 (dd, J = 6.8, 1.6 Hz, 1H), 8.65 - 8.64 (m, 2H), 8.39 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.64 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 6.80 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 5.54 (s, 2H), 4.68 - 4.48 (m, 1H), 4.03 - 3.84 (m, 2H), 3.85 - 3.61 (m, 2H), 3.54 - 3.39 (m, 1H), 3.24 - 3.02 (m, 2H), 2.97 - 2.92 (m, 1H), 2.39 - 2.36 (m, 2H), 2.23 - 2.14 (m, 5H), 1.90 - 1.83 (m, 1H), 1.28 (d, J = 6.8 Hz, 6H)。
実施例159
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[(1,3−ジフルオロプロパン−2−イル)スルファニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(40ml)中の水素化ナトリウム(260mg、10.8mmol)の懸濁液に、トリス(プロパン−2−イル)シランチオール(1.23g、6.47mmol)を、N2雰囲気下、室温で滴下した。混合物が澄明に変化するまで、混合物をこの温度で1時間撹拌した。次に、N−[3−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(2.50g、5.40mmol)、Pd
2(dba)
3.CHCl
3(184mg、0.178mmol)及びXantphos(250mg、0.432mmol)を、窒素雰囲気下、室温で加えた。得られた溶液をN
2雰囲気下、90℃で30分間撹拌した。次に、反応物をNH
4Cl水溶液(50mL)の添加によりクエンチした。得られた溶液をEA(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水(3×50mL)及びブライン(2×50mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[[トリス(プロパン−2−イル)シリル]スルファニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 2.35g(76%)をオフホワイトの固体として与えた。TLC:PE/EA=1/1、R
f=0.4。
ジクロロメタン(15mL)中の1,3−ジフルオロプロパン−2−オール(102mg、1.04mmol)及びDIPEA(134mg、1.04mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(144mg、1.25mmol)を0℃で滴下した。次に、得られた溶液を室温で2時間撹拌し、水及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。これが、1,3−ジフルオロプロパン−2−イル リフルオロメタンスルホナート 112mg(粗生成物)を黄色の油状物としてもたらした。得られた生成物をいかなる精製することなくそのまま用いた。
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[[トリス(プロパン−2−イル)シリル]スルファニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(150mg、0.262mmol)の溶液に、1,3−ジフルオロプロパン−2−イルリフルオロメタンスルホナート(110mg、0.482mmol)を加えた。次に、テトラブチルアンモニウムフルオリドテトラヒドロフラン溶液(0.26mL、THF中1M、0.26mmol)を室温で滴下した。得られた溶液をこの温度で12時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、H2O及びブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、A:水(10mM NH4HCO3)移動相B:ACN;(9分で33%B〜67%Bに増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[(1,3−ジフルオロプロパン−2−イル)スルファニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 13.9mg(11%)を白色の固体として与えた。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=495.2、RT=1.71分;1H NMR (300 MHz,DMSO-d6): δ (ppm) 9.69 (s, 1H), 9.33 (dd, J = 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.68 - 8.66 (m, 2H), 8.30 (s, 1H), 7.70 - 7.66 (m, 2H), 7.41 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 7.28 (t, J = 73.2 Hz, 1H), 4.70 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 4.54 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.89 - 3.76 (m, 1H)。
実施例160
N−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(80mL)中の水素化ナトリウム(310mg、12.9mmol)の懸濁液に、シクロプロパンチオール(960mg、12.9mmol)を窒素雰囲気下、室温で滴下した。得られた懸濁液を窒素下、この温度で6時間撹拌した。次に、N−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(5.00g、8.63mmol)、Pd
2(dba)
3.CHCl
3(450mg、0.435mmol)及びXantPhos(500mg、0.864mmol)を、窒素雰囲気下で加えた。温度をN
2雰囲気下、油浴中で85℃で維持しながら、得られた溶液を更に12時間撹拌しながら反応させた。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/ヘキサン(1/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、N−[5−5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 3.87g(78%)を黄色の固体として与えた。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]
+=573.2、R
T=1.12分。
メタノール(12mL)中のN−[5−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(120mg、0.210mmol)の溶液に、濃HCl(6mL、12M)を室温で加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をPE/EAで溶離するシリカゲルカラム上に適用した。生成物(150mg)を、以下の条件[カラム、XBridge Shield RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、9分以内にACN/H2O(10mM NH4HCO3)=21%〜ACN/H2O(10mM NH4HCO3)=50%に増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより更に精製して、N−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 49.7mg(54%)をオフホワイトの固体として得た。LC/MS(方法N、ESI):[M+H]+=443.2、RT=3.12分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.09 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 8.66 - 8.64 (m, 2H), 8.27 (s, 1 H), 7.62 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.53 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1 H), 7.36 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 6.8, 4.4 Hz, 1H), 6.74 (t, J = 73.8 Hz,1 H), 2.31 - 2.23 (m, 1 H), 1.12 - 1.02 (m, 2 H), 0.70 - 0.64 (m, 2 H)。
実施例163
N−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−[4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
ジクロロメタン(15mL)中の4−[2−(ピペラジン−1−イル)エチル]モルホリン(500mg、2.51mmol)及びDIPEA(81.0mg、0.627mmol)の溶液に、DCM(5.0ml)中の2−ブロモアセチルブロミド(660mg、3.27mmol)の溶液を0℃で滴下した。得られた溶液を0℃で10時間撹拌した。溶液のpH値を塩化水素で2に調整した。得られた溶液を水(3×50mL)で抽出し、水層を合わせた。重炭酸ナトリウムを用いてpHを8に調製した。得られた溶液をジクロロメタン(3×100ML)で抽出し、有機層を合わせて、Na
2SO
4で乾燥させた。固体を濾取した。得られた混合物を真空下で濃縮して、2−ブロモ−1−[4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン 745mg(93%)を黄色の固体として与えた。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=322.1、RT=0.15分。
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中のN−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(100mg、0.226mmol)の溶液に、Cs2CO3(147mg、0.451mmol)を加えた。次に、2−ブロモ−1−[4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(360mg、1.12mmol)をいくつかのバッチで加えた。得られた溶液を60℃で6時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(4/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。生成物(80mg)を、以下の条件[カラム、XBridge Shield RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、10mM NH4HCO3を含む水及びMeCN(13分で13.0% MeCN〜50.0%に増加);検出器、UV254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−[4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 7.61mg(5%)を淡黄色の固体として与えた。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=682.3、RT=1.54分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4) : δ (ppm) 9.09 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 8.66 - 8.65 (m, 2H), 8.37 (s, 1H), 7.65 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 6.8, 4.4 Hz, 1H), 6.75 (t, J = 74.0 Hz, 1H), 5.25 (s, 2H), 3.72 - 3.67 (m, 8H), 2.61 - 2.55 (m, 12H), 2.30 - 2.26 (m, 1H), 1.13 - 1.08 (m, 2H), 0.70 - 0.63 (m, 2H)。
実施例167
N−[1−(2−[4−[(2−シアノ−2,2−ジメチルエチル)アミノ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中のN−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(700mg、1.58mmol)の溶液に、Cs
2CO
3(1.01g、3.07mmol)を加えた。次に、1−(2−ブロモアセチル)ピペリジン−4−オン(694mg、3.15mmol)をいくつかのバッチで加えた。得られた溶液を油浴中、60℃で2時間撹拌した。反応混合物を冷却した。得られた溶液をH
2O(100mL)で希釈した。得られた溶液をジクロロメタン(3×100mL)で抽出し、有機層を合わせて、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(20/1〜10/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。これが、N−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[2−オキソ−2−(4−オキソピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 950mgを淡黄色の固体としてもたらした。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]
+=582.2、R
T=0.99分。
ジクロロメタン(10mL)中のN−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[2−オキソ−2−(4−オキソピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(150mg、0.258mmol)の溶液に、3−アミノ−2,2−ジメチルプロパンニトリル(38.1mg、0.387mmol)を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。次に、NaBH(OAc)3(82.1mg、0.387mmol)を加えた。得られた溶液を、室温で更に2時間撹拌しながら反応させた。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノール(10/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。回収した画分を合わせ、真空下で濃縮した。粗生成物を、以下の条件[カラム、XBridge Shield RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、10mM NH4HCO3を含む水及びMeCN(10分で15.0% MeCN〜50.0%に増加);検出器、UV254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[1−(2−[4−[(2−シアノ−2,2−ジメチルエチル)アミノ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 64.2mg(38%)を淡黄色の固体として与えた。LC/MS(方法K、ESI):[M+H]+=664.4、RT=2.66分。1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.08 (dd, J = 6.9, 1.5 Hz, 1H), 8.64 - 8.62 (m, 2H), 8.35 (s, 1H), 7.63 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.52 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz, 1H), 6.74 (t, J = 74.1 Hz, 1H), 5.33 - 5.17 (m, 2H), 4.42 - 4.28 (m, 1H), 4.08 - 3.92 (m, 1 H), 3.30 - 3.20 (m, 1H), 3.02 - 2.89 (m, 1 H), 2.88 - 2.68 (m, 3 H), 2.32 - 2.20 (m, 1 H), 2.08 - 1.90 (m, 2 H), 1.51 - 1.25 (m, 8 H), 1.15 - 1.04 (m, 2 H), 0.71 - 0.55 (m, 2 H)。
実施例175
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(16mL)中のN−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(200mg、0.345mmol)の溶液に、Pd
2(dba)
3.CHCl
3(40.1mg、0.0387mmol)、Xantphos(36.0mg、0.0622mmol)、炭酸カリウム(143mg、1.04mmol)及びオキセタン−3−チオール(156mg、1.73mmol)を窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を、油浴中で100℃で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/PE(70% EA)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 120mg(59%)を、黄色の油状物として与えた。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]
+=581.1、R
T=0.99分。
ジクロロメタン(15mL)中のN−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(120mg、0.204mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(6.0mL)を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。粗生成物(120mg)を、以下の条件[カラム、XBridge Prep フェニル OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、水(0.05% NH3H2O)及びACN(12分で20.0% ACN〜50.0%に増加);検出器、UV 220nm、254nm]で分取HPLCにより精製した。これが、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド18.7mg(20%)を白色の固体としてもたらした。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=459.1、RT=1.59分;1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.08 (dd, J = 6.9, 1.5 Hz, 1H), 8.66 - 8.63 (m, 2H), 8.28 (s, 1H), 7.50 - 7.36 (m, 3H), 7.19 (dd, J = 6.9, 4.2 Hz,1H), 6.78 (t, J = 73.8 Hz, 1H), 5.15 - 5.01 (m, 2H), 4,62 - 4.57 (m, 3H)。
実施例179
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1−(2−[[trans−3−ヒドロキシシクロブチル]アミノ]エチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
テトラヒドロフラン(14mL)中のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(500mg、1.09mmol)の溶液に、Cs
2CO
3(1.42g、4.37mmol)及び1,2−ジブロモエタン(4.083g、21.7mmol)を加えた。得られた溶液を油浴中、80℃で4.5時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をH
2O及びジクロロメタンに溶解した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、N−[1−(2−ブロモエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 520mg(84%)を淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]
+=565.0、R
T=1.39分。
CH3CN(18mL)中のN−[1−(2−ブロモエチル)−3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(520mg、0.920mmol)の溶液に、DIPEA(595mg、4.60mmol)及びtrans−3−アミノシクロブタン−1−オール(241mg、2.76mmol)を加えた。得られた溶液を油浴中、80℃で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をDCM/MeOH(85/15)で溶離するシリカゲルカラム上に適用した。次に、粗生成物を、以下の条件[カラム、XBridge Shield RP18 OBD カラム、19*150mm、5um;移動相、8分以内にACN/H2O(10mM NH4HCO3)=12%〜ACN/H2O(10mM NH4HCO3)=38%に増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより更に精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(オキセタン−3−イルスルファニル)フェニル]−1−(2−[[trans−3−ヒドロキシシクロブチル]アミノ]エチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 356.7mg(68%)を淡黄色の固体として与えた。LC/MS(方法O、ESI):[M+H]+=572.2、RT=0.98分。1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.10 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.66 - 8.63 (m, 2H), 8.32 (s, 1H), 7.51 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.6, 2.3 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 7.2, 4.2 Hz, 1H), 6.80 (t, J = 73.8 Hz, 1H), 5.06 - 5.03 (m, 2 H), 4.67 - 4.52 (m, 3H), 4.42 - 4.32 (m, 3H), 3.55 - 3.45 (m, 1H), 3.05 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.18 - 2.13 (m, 4H)。
実施例193
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(エチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(5mL)中のN−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(200mg、0.345mmol)の溶液に、Pd
2(dba)
3.CHCl
3(31.6mg、0.0305mmol)、XantPhos(39.9mg、0.0690mmol)及び(エチルスルファニル)ナトリウム(145mg、1.73mmol)を、窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を、N
2雰囲気下、油浴中で90℃で14時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラム上に適用して、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(エチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 101mg(52%)を、淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]
+=561.3、R
T=1.77分。
ジクロロメタン(5.0mL)中のN−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(エチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(101mg、0.178mmol)の溶液に、CF3COOH(0.51mL)を室温で加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物を、以下の条件[カラム、XBridge Prep C18 OBD、19*150mm、5um;移動相、8分以内にCH3CN/H2O=25%〜CH3CN/H2O=44%に増加;検出器、UV 254nm]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(エチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド 33.3mg(43%)を、淡黄色の固体として与えた。LC/MS(方法L、ESI):[M+H]+=431.1、RT=3.15分;1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 9.09 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 8.71 - 8.61 (m, 2H), 8.28 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.48 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 6.6, 4.5 Hz, 1H), 6.76 (t, J = 73.7 Hz, 1H), 2.94 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.27 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
式(I)の以下の代表的な化合物を、本明細書のスキーム及び実施例で記載されたものと同様の手順を用いて調製した。
酵素アッセイ
JAK酵素アッセイを以下の通り実施した:
Caliper LabChip(登録商標)技術(Caliper Life Sciences, Hopkinton, MA)を用いてJAK3(Val-Ala-Leu-Val-Asp-Gly-Tyr-Phe-Arg-Leu-Thr-Thr、5−カルボキシフルオレセインでN末端を蛍光標識)に由来するペプチドのリン酸化をモニタリングすることによって、単離した組み換えのJAK1及びJAK2のキナーゼドメインの活性を測定した。阻害定数(Ki)を求めるために、化合物をDMSOで連続希釈し、そして、最終DMSO濃度が2%になるように、精製酵素(1.5nM JAK1又は0.2nM JAK2)、100mM HEPESバッファ(pH7.2)、0.015% Brij−35、1.5μM ペプチド基質、ATP(25μM)、10mM MgCl2、4mM DTTを含有するキナーゼ反応液 50μLに添加した。反応液を384ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート内で22℃にて30分間インキュベートし、次いで、EDTA含有溶液 25μL(100mM HEPESバッファ(pH7.2)、0.015% Brij−35、150mM EDTA)を添加することによって停止させたところ、最終EDTA濃度は50mMになった。キナーゼ反応の終結後、製造業者の仕様書に従ってCaliper LabChip(登録商標)3000を用いて、総ペプチド基質の分率としてリン酸化生成物の比率を求めた。次いで、ATP競合阻害用に改変したMorrison緊密結合モデル(Morrison, J.F., Biochim. Biophys. Acta. 185:269-296 (1969);William, J.W. and Morrison, J.F., Meth. Enzymol., 63:437-467 (1979))[Ki=Ki,app/(1+[ATP]/Km,app)]を用いてKi値を求めた代表的な化合物のデータを表2に示す。
細胞株におけるJAK1経路アッセイを以下の通り実施した:
JAK1依存性STATリン酸化を測定するために設計された細胞ベースアッセイにおいて阻害剤能(EC50)を決定した。上述の通り、Jak/Statシグナル伝達経路をブロックすることによるIL−4、IL−13、及びIL−9のシグナル伝達の阻害は、前臨床肺炎症モデルにおいて喘息の症状を軽減することができる(Mathew et al., 2001, J. Exp. Med. 193(9): 1087-1096;Kudlacz et. al., 2008, Eur. J. Pharmacol. 582(1-3): 154-161)。
あるアッセイアプローチでは、American Type Culture Collection (ATCC;Manassas, VA)から入手したTF−1ヒト赤白血病細胞を用いて、IL−13刺激の下流のJAK1依存性STAT6リン酸化を測定した。アッセイで使用する前に、0.5% チャコール/デキストランで処理したウシ胎仔血清(FBS)、0.1mM 非必須アミノ酸(NEAA)、及び1mM ピルビン酸ナトリウムを添加したOptiMEM培地(Life Technologies, Grand Island, NY)中で、TF−1細胞を一晩GM-CSF欠乏させた。300,000細胞/ウェルを用いて、384ウェルプレートの無血清OptiMEM培地中でアッセイを実施した。第2のアッセイアプローチでは、ATCCから入手したBEAS−2Bヒト気管支上皮細胞を、実験の1日前に96ウェルプレートに100,000細胞/ウェルでプレーティングした。完全成長培地(気管支上皮基本培地+bulletkit;Lonza;Basel, Switzerland)においてBEAS−2Bアッセイを行った。
試験化合物をDMSOで1:2連続希釈し、次いで、使用直前に培地で1:50希釈した。希釈した化合物を、最終DMSO濃度が0.2%になるように細胞に添加し、そして、37℃で30分間(TF−1アッセイの場合)又は1時間(BEAS−2Bアッセイの場合)インキュベートした。次いで、各個々のロットについて既に決定していた通り、それぞれのEC
90濃度のヒト組み換えサイトカインで細胞を刺激した。37℃で15分間、細胞をIL−13(R&D Systems, Minneapolis, MN)で刺激した。TF−1細胞の反応は、10×lysisバッファ(Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)を直接添加することによって停止させたが、一方、BEAS−2B細胞のインキュベートは、培地を除去し、そして、1×lysisバッファを添加することによって停止させた。得られたサンプルを−80℃でプレート内にて冷凍した。MesoScale Discovery(MSD)技術(Gaithersburg, MD)を用いて、細胞溶解物中でSTAT6リン酸化の化合物媒介阻害を測定した。DMSO対照について測定されたものに対してSTATリン酸化を50%阻害するために必要な化合物の濃度として、EC
50値を決定した。代表的な化合物のデータを表2に示す。
LRRK2アッセイ
IC50値を測定するためのLRRK2アッセイ条件は、SelectScreen Profilingを使用するLife Technologies(商標)Adapta(登録商標)Assay条件下で実施される手順に従う(75μM ATP;10μMで出発し、3倍希釈される試験化合物の10点曲線(10μm〜0.508μM))。
以下の表は、JAK1及びLRRK2に対する化合物の能力を示す。5−スルファニルフェニル化合物D、E、F、Gは、その5−クロロフェニルマッチドペアAよりも、JAK1に対してLRRK2を超える高い選択性を有する。同様に、5−スルファニルフェニル化合物Hは、その5−クロロフェニルマッチドペアBよりも、JAK1に対してLRRK2を超える高い選択性を有し、そして、5−スルファニルフェニル化合物Iは、その5−クロロフェニルマッチドペアCよりも、JAK1に対してLRRK2よりも大きな選択性を有する。LRRK2を超えるJAK1に対する高度の選択性は、5−スルファニルフェニル化合物J、K、L、M、及びNについても維持される。
更に、図1は、式(00A)の化合物(右の点)と対応する化合物(式中、基−S(O)n−R2がClで置換されている)(左の点)との間でLRRK2の阻害を比較する。Y軸は、0.1μMの試験濃度におけるLRRK2の阻害率%を表す。連結点は、基−S(O)n−R2とClとの間でのみ異なるマッチドペアを表す。式(00A)の各化合物は、基−S(O)n−R2がClで置換されている対応する化合物と比べて、LRRK2の阻害の低下を示した。