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JP6913627B2 - 高圧燃料供給ポンプおよびその製造方法 - Google Patents

高圧燃料供給ポンプおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射弁に燃料を圧送する高圧燃料供給ポンプとその製造方法に関する。
特許文献1には、約0.12重量%〜約0.7重量%の炭素、約20重量%〜約30重量%のクロム、約10重量%〜約15重量%のモリブデン、約1重量%〜約4重量%のニッケルおよび残部のコバルトを含んでなる延性を有するコバルト系合金であり、合金をオーバーレイとして適用して、合金を固化させる間にクラックを生じさせることなく、金属基材に耐摩耗性および耐腐食性を付与することが記載されている。
特表2008−522039号公報
自動車等の内燃機関のうち、燃焼室内部に直接的に燃料を噴射する直接噴射タイプの内燃機関において、燃料を高圧化して所望の燃料流量を吐出する電磁吸入弁を備えた高圧燃料供給ポンプが広く用いられている。
この高圧燃料供給ポンプに用いる材料として、耐摩耗性が必要となる部位にはマルテンサイト系ステンレス鋼のような高強度、高硬度材料が用いられてきた。
金属基材に耐摩耗性および耐食性を付与する鋼材として、溶着が可能なコバルト系合金が知られている(特許文献1参照)。
高圧燃料供給ポンプに組み込まれた吸入弁、吐出弁、あるいはリリーフ弁は、弁の開閉を繰り返す中で燃料の激しい流れに常に曝される。激しい流れはキャビテーション現象で説明されるキャビティの発生を引き起こす。キャビティが弁の表面で崩壊すると、弁の表面はキャビティの崩壊圧を受け、やがてキャビテーション壊食が進行するようになる。キャビテーション壊食が進行し、弁の表面が損傷すると、弁は閉弁の状態で油密性を保持できない。
近年、自動車あるいは筒内噴射式エンジンシステムを取り巻く環境は刻々変化を続けている。特に環境保全意識の高まりや自動車から排出される煤等に関する規制が今後も強化される予定である。
筒内噴射式エンジンシステム側でそれらに対応するには、エンジンの筒内にインジェクタがより希薄な燃料を噴射できるようする必要がある。それには高圧燃料供給ポンプが吐出できる圧力をより高くする必要がある。しかし、吐出圧力が高くなるとキャビテーション壊食の発生確率や進行速度が高まることが懸念される。
また近年、燃料ポンプに供給される燃料は、市場のグローバル化に伴い、従来の鉱油由来の燃料(ガソリン)に変わるものとして、生物由来のバイオ燃料(アルコールやメタノール等)或いはバイオ燃料の含油比率が多い燃料が生産・流通されてきている。バイオ燃料の使用形態は、各国・地域様々であるが、主に鉱油とバイオ燃料を混ぜた混合燃料として使われる例が多い。また鉱油や天然ガス由来のアルコール燃料も、それ単独や従来の鉱油由来の燃料と混ぜた混合燃料として使われる例が多くなっている。
このようなバイオ燃料或いはバイオ燃料の含油比率が多い燃料は、ガソリン単一系に比べて腐食が生じ易いことから、高圧燃料供給ポンプに用いる部材には耐食性も必要とされる。
本発明者らによる試験では、ガソリン(E0)とエタノール燃料(E100)とではキャビテーション壊食が生じるまでの時間が異なることを把握できている。E100を使った場合は、少なくともガソリンの2分の1の時間でキャビテーション壊食が生じることが明らかとなった。
エタノールの濃度が異なるE10、E22、E85を使った場合、それぞれはE0とE100の間の時間でキャビテーション壊食が生じる。それら時間の長さは、エタノールの濃度が濃くなるにつれ短くなることも明らかとなった。
今後、ガソリン自動車用燃料にエタノール等の混合比率が高まることが予想される。また国や地域によっては既に高濃度のエタノール燃料を用いているところもある。そのような状況から、高圧燃料供給ポンプでは、エタノール等のバイオ燃料を含む燃料に対応したキャビテーション壊食の対策が必要となっている。
特許文献1に記載の材料は、例えば海水や汽水中、酸および苛性アルカリなどの腐食性の媒体に晒される様な環境下において用いる工業部品であり、上述の環境下ではある程度の耐食性を有する。
しかし、特許文献1に記載のような材料では、アルコール燃料液体における腐食性である金属材料の溶出を制御することができないという課題が本発明者らの試験により明らかとなった。
このため、特許文献1に記載の材料は、耐摩耗性に優れているものの、金属材料の溶出により表面損傷が生じ易くなってきている。したがって、それがごく僅かな損傷であってもキャビティの崩壊圧を受けると、キャビテーション壊食が進行すると言う問題が顕在化してきた。即ち、高圧アルコール燃料が衝突する流路において、耐食性と耐キャビテーション性を両立させる材料表面であることが必要となった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高圧燃料供給ポンプにおいて、より高圧になった場合、あるいはバイオ燃料(アルコールやメタノール等)、あるいはバイオ燃料の含油比率が多い燃料を用いた場合でも、腐食並びにキャビテーション壊食の進行を抑制することを可能とする高圧燃料供給ポンプとその製造方法の提供を課題とする。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、高圧燃料供給ポンプであって、燃料を吐出する弁と、前記弁が着座する弁シートと、を備え、前記弁および前記弁シートは、基材が鉄鋼材であり、前記弁の表面には、Co基合金層およびCr濃度がその周囲の前記Co基合金層より濃いCr濃化部が形成されており、前記弁シートの表面には、Co基合金層が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、高圧燃料供給ポンプの高燃圧化、およびバイオ燃料(アルコールやメタノール等)、あるいはバイオ燃料の含油比率が多い燃料の使用時における耐キャビテーション壊食性および耐食性の向上を図ることができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
高圧燃料供給ポンプが適用されたエンジンシステムの構成を説明する図である。 本発明の実施例1による高圧燃料供給ポンプの縦断面図である。 本発明の実施例1による高圧燃料供給ポンプの図2と別方向から見た縦断面図である。 本発明の実施例1による高圧燃料供給ポンプの電磁弁機構の拡大縦断面図であり、電磁弁機構が開弁状態にある状態を示す図である。 本発明の実施例1による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が閉弁初期の状態であり、電磁吸入弁に通電中の状態を示す図である。 本発明の実施例1による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が閉弁後期の状態であり、電磁吸入弁への通電を解除した状態を示す図である。 本発明の実施例1による高圧燃料供給ポンプのプランジャおよび電磁吸入弁の動作を示すタイミングチャートである。 本発明の実施例1による燃料流路材料を高圧燃料供給ポンプに適用した場合の弁部断面模式図である。 本発明の実施例1による吐出弁機構の吐出弁シートの平面模式図である。 本発明の実施例1による吐出弁機構の吐出弁の平面模式図である。 本発明の実施例1による吐出弁機構の吐出弁の他の形態の平面模式図である。 本発明の実施例1による吐出弁機構の吐出弁の他の形態の平面模式図である。 本発明の構成の効果を示すキャビテーション試験の結果を示す図である。 本発明の実施例2による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の断面図である。
以下に本発明の高圧燃料供給ポンプおよび高圧燃料供給ポンプの製造方法の実施例を、図面を用いて説明する。
<実施例1>
本発明の高圧燃料供給ポンプおよび高圧燃料供給ポンプの製造方法の実施例1について図1乃至図13を用いて説明する。
最初に、図1に示すエンジンシステムの全体構成図を用いてシステムの構成と動作について図1乃至図7を用いて説明する。図1はエンジンシステムの動作を模式的に示す図面である。図2は本実施例の高圧燃料供給ポンプの縦断面図を示し、図3は高圧燃料供給ポンプを図2と別方向から見た縦断面図である。図4乃至図6は電磁弁機構300部の拡大図である。図7は高圧燃料供給ポンプのプランジャおよび電磁吸入弁の動作を示すタイミングチャートである。
図1において、破線で囲まれた部分が高圧燃料供給ポンプ1の本体を示しており、この破線の中に示されている機構および部品は高圧燃料供給ポンプ1のポンプ本体1aに一体に組み込まれている。
燃料タンク101の燃料は、エンジンコントロールユニット102(以下ECUと称す)からの信号に基づきフィードポンプ103によって汲み上げられる。この燃料は適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管104を通して高圧燃料供給ポンプ1の低圧燃料吸入口2aに送られる。
低圧燃料吸入口2aを通過した燃料は、圧力脈動低減機構3および吸入通路2bを介して、容量可変機構を構成する電磁弁機構300の吸入ポート31bに至る。電磁弁機構300は電磁吸入弁機構を構成する。
電磁弁機構300に流入した燃料は、吸入弁30により開閉される吸入口を通過して加圧室4に流入する。エンジンのカム105(図2参照)によりプランジャ5(図2参照)に往復運動する動力が与えられる。プランジャ5の往復運動により、プランジャ5の下降工程には吸入弁30から燃料を吸入し、上昇工程には、燃料が加圧される。
加圧された燃料は、吐出弁51bを有する吐出弁機構500を介し、圧力センサ107が装着されているコモンレール108へ燃料が圧送される。ECU102からの信号に基づきインジェクタ110がエンジンへ燃料を噴射する。
本実施例はインジェクタ110がエンジンのシリンダ筒内に直接、燃料を噴射する、いわゆる直噴エンジンシステムに適用されるタイプのポンプである。高圧燃料供給ポンプ1は、ECU102から電磁弁機構300への信号により、所望の供給燃料の燃料流量を吐出する。
ポンプ本体1aにはさらに、吐出弁機構500の下流側の燃料吐出口2cと加圧室4とを連通する高圧流路2dが吐出弁機構500をバイパスして設けられている。高圧流路2dには燃料の流れを燃料吐出口2cから加圧室4への一方向のみに制限する、リリーフ弁61を有するリリーフ弁機構600が設けられている。
リリーフ弁機構600では、押付力を発生するリリーフばね62によりリリーフ弁61がリリーフ弁シート63に押付けられており、加圧室4内と高圧流路2d内との間の圧力差が規定の圧力以上になるとリリーフ弁61がリリーフ弁シート63から離れて開弁するようにリリーフばね62の付勢力が設定されている。
リリーフ弁機構600のうち、少なくともリリーフ弁シート63やリリーフ弁61は基材を鉄鋼材とする。鉄鋼材としては、高強度、高硬度で耐食性にも優れるマルテンサイト系ステンレスやそのようなマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施した材料が好適である。
高圧燃料供給ポンプ1の電磁弁機構300の故障等によりコモンレール108が異常な高圧となり、燃料吐出口2cと加圧室4との差圧がリリーフ弁61の開弁圧力以上になるとリリーフ弁61が開弁し、異常高圧となった燃料は高圧流路2dから加圧室4へと戻され、コモンレール108等の高圧部配管が保護される。
次に、図2乃至図4を用いて、高圧燃料供給ポンプ1の構成および動作について説明する。
図2に示すように、一般的に、高圧燃料供給ポンプ1はポンプ本体1aに設けられたフランジ1bを用いて内燃機関のシリンダヘッド112の平面に密着しており、複数のボルト113で固定される。取付けフランジ1bは溶接部1cにてポンプ本体1aに全周が溶接結合されることで環状固定部を形成している。本実施例では、レーザー溶接が用いられているが、固定方法はレーザー溶接に限定されない。
図2に示すように、シリンダヘッド112とポンプ本体1aとの間のシールのために、Oリング7がポンプ本体1aに嵌め込まれており、エンジンオイルが外部に漏れるのを防止している。
図2および図3に示すように、ポンプ本体1aにはプランジャ5の往復運動をガイドし、かつ内部に加圧室4を形成するように端部が有底筒形状に形成されたシリンダ6が取り付けられている。さらに、加圧室4は燃料を供給するための電磁弁機構300と加圧室4から燃料吐出口2cに燃料を吐出するための吐出弁機構500に連通するよう、シリンダ6の外周側に環状の溝6aや、環状の溝6aと加圧室4とを連通する複数個の連通穴6bが設けられている。
図3に示すように、シリンダ6はその外径部(外周部)において、ポンプ本体1aに圧入固定されており、ポンプ本体1aとの隙間から加圧した燃料が低圧側に漏れないよう圧入部円筒面でシールしている。また、シリンダ6の加圧室4側の端部には、ポンプ本体1aに設けられた小径部1dに嵌められている小径部6cが形成されている。加圧室4の燃料が加圧されることにより、シリンダ6には低圧燃料室8側に向けて押圧する力が作用する。小径部1dの段部および小径部6cの段部は、この力を受けてシリンダ6が低圧燃料室8側に抜けることを防止している。
シリンダ6の小径部6cの段部に形成された上向きの環状面とポンプ本体1aの小径部1dの段部に形成された下向きの環状面とは平面で構成されており、お互いの平面を軸方向に接触させることで、ポンプ本体1aとシリンダ6との接触円筒面のシールに加え、二重のシールの機能を果たしている。
図2に示すように、プランジャ5の下端には、内燃機関のカムシャフトに取り付けられたカム105の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ5に伝達するタペット10が設けられている。プランジャ5はリテーナ11を介してばね12にてタペット10に圧着されている。これによりカム105の回転運動に伴い、プランジャ5を上下に往復運動させることができる。
また、シールホルダ13の内周下端部に保持されたプランジャシール14がシリンダ6の図2中下方部においてプランジャ5の外周に摺動可能に接触する状態で設置されており、環状低圧燃料室15の燃料をプランジャ5が摺動した場合にでもシール可能な構造とし、外部に燃料が漏れることを防止する。同時に内燃機関内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がポンプ本体1aの内部に流入するのを防止する。
図3に示すように、ポンプ本体1aの頭部にはダンパカバー16が固定されている。ダンパカバー16には吸入ジョイント17が設けられており、低圧燃料吸入口2aを形成している。低圧燃料吸入口2aを通過した燃料は、吸入ジョイント17の内側に固定された吸入フィルタ17aを通過し、圧力脈動低減機構3および吸入通路2bを介して電磁弁機構300の吸入ポート31b(図1、図4参照)に至る。
吸入ジョイント17内の吸入フィルタ17aは、燃料タンク101から低圧燃料吸入口2aまでの間に存在する異物を燃料の流れによって高圧燃料供給ポンプ1内に吸入することを防ぐ役目がある。
図2に示すように、プランジャ5は、大径部5aと小径部5bを有することにより、プランジャ5の往復運動によって環状低圧燃料室15の体積は増減する。体積の増減分は、燃料通路2eにより低圧燃料室8(図3参照)と連通していることにより、プランジャ5の下降時は環状低圧燃料室15から低圧燃料室8へ、上昇時は低圧燃料室8から環状低圧燃料室15へと燃料の流れが発生する。
このことにより、ポンプの吸入工程もしくは、戻し工程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、脈動を低減する機能を有している。
図3に示すように、低圧燃料室8には高圧燃料供給ポンプ1内で発生した圧力脈動が吸入配管104へ波及するのを低減させる圧力脈動低減機構3が設置されている。圧力脈動低減機構3は、2枚の波板状の円盤型金属板をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダンパで形成されている。
加圧室4に一度流入した燃料が容量制御のため再び開弁状態の吸入弁30を通して吸入通路2b(吸入ポート31b)へと戻される場合、吸入通路2b(吸入ポート31b)へ戻された燃料により低圧燃料室8には圧力脈動が発生する。しかし、圧力脈動は圧力脈動低減機構3の金属ダンパが膨張・収縮することで吸収低減される。
取付金具3aは金属ダンパをポンプ本体1aの内周部に固定するための部材であり、燃料通路上に設置される。このため、複数の穴を設け、取付金具3aの表裏に流体が自由に行き来できるようにしている。
図3に示すように、加圧室4の出口には吐出弁機構500が設けられている。吐出弁機構500は、吐出弁シート51a、吐出弁シート51aと接離する吐出弁51b、吐出弁51bを吐出弁シート51aに向かって付勢する吐出弁ばね51c、および吐出弁51bと吐出弁シート51aとを収容する吐出弁ホルダ51dから構成され、吐出弁シート51aと吐出弁ホルダ51dとは当接部51eで溶接により接合されることで一体の吐出弁機構500を形成している。
吐出弁機構500のうち、少なくとも吐出弁シート51aおよび吐出弁51bとは基材を鉄鋼材とする。鉄鋼材としては、SUS420J2或いはSUS440C等のマルテンサイト系ステンレスが好適である。
なお、吐出弁ホルダ51dの内部には、吐出弁51bのストロークを規制するスットパーを形成する段付部51fが設けられている。
加圧室4と燃料吐出口2cに燃料差圧が無い状態では、吐出弁51bは吐出弁ばね51cによる付勢力で吐出弁シート51aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室4の燃料圧力が、燃料吐出口2cの燃料圧力よりも大きくなった時に始めて吐出弁51bは吐出弁ばね51cに逆らって開弁し、加圧室4内の燃料は燃料吐出口2cを経てコモンレール108へと高圧吐出される。吐出弁51bは開弁した際、吐出弁ストッパ(段付部51f)と接触し、ストロークが制限される。したがって、吐出弁51bのストロークは吐出弁ホルダ51dによって適切に決定される。これによりストロークが大きすぎることで吐出弁51bが閉じ遅れ、燃料吐出口2cへ高圧吐出された燃料が再び加圧室4内に逆流してしまうことを防止でき、高圧燃料供給ポンプ1の効率低下が抑制できる。また、吐出弁51bが開弁および閉弁運動を繰り返す時に、吐出弁51bがストローク方向にのみ運動するように、吐出弁ホルダ51dの内周面でガイドしている。以上のように構成することで、吐出弁機構500は燃料の流通方向を制限する逆止弁となる。
これらの構成により、加圧室4は、ポンプ本体1a、電磁弁機構300、プランジャ5、シリンダ6および吐出弁機構500にて構成される。
カム105の回転により、プランジャ5がカム105方向に移動して吸入工程状態にある時は、加圧室4の容積は増加して加圧室4内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室4内の燃料圧力が吸入通路2bの圧力よりも低くなると、燃料は開口状態にある吸入弁30を通り、ポンプ本体1aに設けられた連通穴6b、およびシリンダ6外周通路を通過して加圧室4に流入する。
プランジャ5が吸入工程を終了した後、プランジャ5が圧縮工程に移る。ここでコイル43は無通電状態を維持したままであり、磁気付勢力は作用しない。よって、吸入弁30は、ロッド付勢ばね40の付勢力により開弁したままである。加圧室4の容積は、プランジャ5の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、加圧室4に一度吸入された燃料が再び開弁状態の吸入弁30を通して吸入通路2bへと戻されるので、加圧室4の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称する。
この状態で、ECU102からの制御信号が電磁弁機構300に印加されると、コイル43に電流が流れ、磁気付勢力によりロッド35が吸入弁30から離れる方向に移動し、吸入弁付勢ばね33による付勢力と燃料が吸入通路2bに流れ込むことによる流体力により吸入弁30が閉弁する。閉弁後、加圧室4の燃料圧力はプランジャ5の上昇運動と共に上昇し、燃料吐出口2cの圧力以上になると、吐出弁機構500を介して燃料の高圧吐出が行われ、コモンレール108へと供給される。この工程を吐出工程と称する。
すなわち、プランジャ5の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。そして、電磁弁機構300のコイル43への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。
コイル43へ通電するタイミングを早くすれば、圧縮工程中の戻し工程の割合が小さくなり、吐出工程の割合が大きくなる。すなわち、吸入通路2bに戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、通電するタイミングを遅くすれば圧縮工程中の戻し工程の割合が大きくなり、吐出工程の割合が小さくなる。すなわち、吸入通路2bに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。コイル43への通電タイミングは、ECU102からの指令によって制御される。
以上のように構成することで、コイル43への通電タイミングを制御することで高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することができる。
ここで、本実施例の電磁弁機構300の構造と動作について、図4乃至図6の断面図および図7のタイミングチャートを用いて詳細に説明する。
図4は、コイル43に通電されていない無通電の状態であり、加圧室4の圧力(フィードポンプ103で圧送される圧力)が低い状態の図である。この状態で、吸入工程と戻し工程とが行われる。図5は、コイル43に通電され、可動部であるアンカー36が電磁吸引力により第二コア39に接触し、吸入弁30が閉弁した状態の図である。図6は、加圧室4の圧力が十分増加した後の吸入弁30が閉まった状態での、コイル43への通電が解除された無通電の状態の図である。
図4乃至図6に示すように、電磁弁機構300の吸入弁部は、吸入弁30、吸入弁シート31、吸入弁ストッパ32、吸入弁付勢ばね33、吸入弁ホルダ34からなる。
吸入弁シート31は円筒型で、内周側の軸方向に吸入弁シート部31a、円筒の軸を中心に放射状に2つ以上の吸入ポート31bを有し、外周円筒面でポンプ本体1aに圧入保持されている。
吸入弁ホルダ34は、放射状に2つ以上の爪を有し、爪外周側が吸入弁シート31の内周側で同軸に嵌合保持される。さらに円筒型で一端部につば形状を持つ吸入弁ストッパ32が吸入弁ホルダ34の内周円筒面に圧入保持されている。
吸入弁付勢ばね33は、吸入弁ストッパ32の内周側に設けられ、一部が吸入弁付勢ばね33の一端を同軸に安定させるための小径部32cに配置されている。吸入弁30は、吸入弁シート部31aと吸入弁ストッパ32の間に配置され中央部に設けられた、弁ガイド部30bに吸入弁付勢ばね33が嵌合する形で構成される。吸入弁付勢ばね33は圧縮コイルばねであり、吸入弁30が吸入弁シート部31aに押し付けられる方向に付勢力が働く様に設置される。なお吸入弁付勢ばね33は圧縮コイルばねに限らず、付勢力を得られるものであれば形態を問わないし、吸入弁30と一体になった付勢力を持つ板ばねの様なものでも良い。
この様に吸入弁部を構成することで、ポンプの吸入工程においては、吸入ポート31bを通過し内部に入った燃料が、吸入弁30と吸入弁シート部31aの間を通過し、吸入弁30の外周側および吸入弁ホルダ34の爪の間を通り、ポンプ本体1aに形成された通路2hおよびシリンダ6の溝6aと連通穴6bを通過し加圧室4へ燃料を流入させる。また、ポンプの吐出工程においては、吸入弁30が吸入弁シート部31aと接触、シールすることで、燃料の入口側への逆流を防ぐ逆止弁の機能を果たす。
図4に示すように、吸入弁30の動きを滑らかにするために、吸入弁ストッパ32の内周側の液圧を吸入弁30の動きに応じて逃がすために、通路32aが設けられている。
吸入弁30の軸方向の移動量30eは吸入弁ストッパ32によって有限に規制されている。移動量が大きすぎると吸入弁30の閉じる時の応答遅れにより逆流量が多くなり、ポンプとしての性能が低下するためである。この移動量の規制は、吸入弁シート部31a、吸入弁30および吸入弁ストッパ32の軸方向の形状寸法、および圧入位置で規定することが可能である。
吸入弁ストッパ32には環状突起32bが設けられており、吸入弁30が開弁している状態において、吸入弁ストッパ32との接触面積を小さくしている。これは、開弁状態から閉弁状態へ遷移時、吸入弁30が吸入弁ストッパ32から離れやすい様、すなわち閉弁応答性を向上させるためである。環状突起32bが無い場合、すなわち接触面積が大きい場合、吸入弁30と吸入弁ストッパ32の間に大きなスクイーズ力が働き、吸入弁30が吸入弁ストッパ32から離れにくくなる。
吸入弁30、吸入弁シート31および吸入弁ストッパ32は、お互い作動時に衝突を繰返すため、高強度、高硬度で耐食性にも優れるマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施した材料を使用するがこれに限定されず、フェライト系SUS等の各種鉄鋼材を用いることが可能である。
吸入弁付勢ばね33および吸入弁ホルダ34には耐食性を考慮しオーステナイト系ステンレス材を用いる。
次にソレノイド機構部について説明する。ソレノイド機構部は、図4に示す、可動部であるロッド35、アンカー36、固定部であるばね座部材37、第一コア38、第二コア39、そして、ロッド付勢ばね40、アンカー付勢ばね41からなる。
可動部であるロッド35とアンカー36は別部材に構成している。ロッド35はばね座部材37の内周側で軸方向に摺動自在に保持され、アンカー36の外周側は、第一コア38の内周側で摺動自在に保持される。すなわち、ロッド35およびアンカー36共に幾何学的に規制される範囲で軸方向に摺動可能に構成されている。
アンカー36は燃料中で軸方向に自在に滑らかに動くために、部品軸方向に貫通する貫通穴(貫通孔)36aを1つ以上有しており、アンカー前後の圧力差による動きの制限を極力排除している。
ばね座部材37は、径方向には、ポンプ本体1aの吸入弁が挿入される穴の内周側に挿入されている。軸方向には、吸入弁シート31の一端部に突き当てられており、ポンプ本体1aに溶接固定される第一コア38とポンプ本体1aとの間に挟み込まれる形で配置される構成としている。ばね座部材37にもアンカー36と同様に軸方向に貫通する貫通穴37aが設けられており、アンカー36が自在に滑らかに動くことができる様、アンカー36側の燃料室の圧力がアンカー36の動きを妨げない様に構成している。
第一コア38は、ポンプ本体1aと溶接される部位との反対側の薄肉円筒形状部38bの形状を薄肉円筒形状としており、その内周側に第二コア39が挿入される形で溶接固定されている。
第二コア39の内周側にはロッド付勢ばね40が、小径部39aをガイドに配置されており、ロッド35の先端が吸入弁30と接触して吸入弁30を吸入弁シート部31aから引き離す方向、すなわち吸入弁の開弁方向に付勢力を与えている。すなわち、吸入弁30はロッド35と別体として構成され、ロッド35の一端部に当接することにより閉弁方向への移動を規制されるように構成されている。
第二コア39には、アンカー36の磁気吸引面36cと対向する磁気吸引面39bが形成されている。第二コア39の磁気吸引面39bとアンカー36の磁気吸引面36cとは平行であり、両者の間には開弁状態にあるときに間隙36eが形成され、コイル43に通電することにより両者の間に磁気吸引力が作用してアンカー36が第二コア39側に引き付けられる。
アンカー付勢ばね41は、ばね座部材37の中心側に設けた円筒形状のロッド挿通部37cに一方の端部が挿入されており、同軸を保ちながらアンカー36に対してロッドつば部35a方向に付勢力を与えるように配置されている。ロッド挿通部37cの中心部には、ロッド挿通孔37bが形成され、ロッド挿通孔37bにロッド35が挿通されている。ロッドつば部35aは、ロッド35の、アンカー36に対する開弁方向への相対変位を規制する。すなわちロッド35がアンカー36に対して開弁方向に相対変位する場合に、アンカー36と係合して相対変位を規制する係合部を構成している。ロッド35はロッド挿通孔37bには接触しておらず、ロッド35の外周面とロッド挿通孔37bの内周面との間には間隙が設けてある。
アンカー36の移動量(間隙36eの距離)は吸入弁30の移動量30eよりも大きく設定される。確実に吸入弁30が閉弁するためである。
ロッド35はアンカー36と摺動するため、またロッド35は吸入弁30と衝突を繰返すため、硬度と耐食性を考慮しマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施した材料を使用する。
アンカー36と第二コア39は磁気回路を形成するために磁性ステンレスを用い、さらにアンカー36と第二コアのそれぞれの衝突面には、硬度を向上させるための表面処理を施している。さらにアンカー36外周面と第一コア38の内周面にも硬度と耐食性を向上させるために表面処理を施しても良い。表面処理には硬質Crめっきがあるがその限りでは無い。
ロッド付勢ばね40、アンカー付勢ばね41は、耐食性を考慮してオーステナイト系ステンレスを用いる。
吸入弁部には1つのばね33が設けられ、ソレノイド機構部には2つのばね40,41が設けられることにより、電磁弁機構300には3つのばねが配置されることになる。すなわち、電磁弁機構300には、吸入弁部に配置される吸入弁付勢ばね33と、ソレノイド機構部に配置されるロッド付勢ばね40およびアンカー付勢ばね41が設けられる。本実施例ではいずれのばねもコイルばねを使用しているが付勢力を得られる形態であればいかなるものでも構成可能である。
次にコイル部の構成について説明する。図4に示すように、コイル部は、第一ヨーク42、コイル43、第二ヨーク44、ボビン45、端子46、コネクタ47から成る。
ボビン45に銅線が複数回巻かれたコイル43が、第一ヨーク42と第二ヨーク44により取り囲まれる形で配置され、樹脂部材であるコネクタ47と一体にモールドされて固定されている。二つの端子46の一方の端部はコイルの銅線の両端にそれぞれ通電可能に接続される。端子46はコネクタ47と一体にモールドされ、他方の端部がエンジン制御ユニット側と接続される構成としている。
コイル部は第一ヨーク42の中心部の穴部が、第一コア38に圧入されて固定されている。その時、第二ヨーク44の内径側は、第二コア39と接触もしくは僅かなクリアランスで近接する構成となっている。
第一ヨーク42および第二ヨーク44は、共に磁気回路を構成するため、また耐食性を考慮して磁性ステンレス材料で構成する。ボビン45およびコネクタ47は強度特性および耐熱特性を考慮して高強度耐熱樹脂を用いて構成している。コイル43には銅、端子46には真鍮に金属めっきを施した材料とする。
上述の様にソレノイド機構部とコイル部とを構成することで、図4の矢印で示す様に、第一コア38、第一ヨーク42、第二ヨーク44、第二コア39およびアンカー36で磁気回路が形成される。
コイル43に電流を与えると、第二コア39とアンカー36との間に電磁力が発生し、アンカー36を第二コア39側に引き寄せる力が発生する。第一コア38において、第二コア39とアンカー36とが対向して吸引力を発生させる軸方向部位を極力薄肉(薄肉円筒形状部38b)にして磁気抵抗を高めることで、磁束のほぼ全てが第二コア39とアンカー36との間を通過させることができ、効率良く電磁力を得ることができる。この薄肉円筒形状部38bにおいて、第二コア39とアンカー36とが対向する軸方向部位に環状溝を形成し、さらに肉厚を薄くして磁気抵抗を高める場合もある。
上記電磁力が、ロッド付勢ばね40の付勢力からアンカー付勢ばね41の付勢力および吸入弁付勢ばね33の付勢力を差し引いた開弁付勢力f1を上回った時に、可動部であるアンカー36がロッド35と共に第二コア39に引き寄せられる運動、また第二コア39とアンカー36とが接触し、接触を継続することを可能とする。
以下、図7のタイミングチャートを用いて、本発明における電磁弁機構300の動作とその利点について詳細に説明する。
≪吸入工程≫
図7において、プランジャ5が上死点TDCから下降を始めると、加圧室4内の圧力が例えば20MPaレベルの高圧の状態から急激に小さくなり、前述の開弁付勢力f1によりロッド35、アンカー36および吸入弁30が吸入弁30の開弁方向に移動を始める。吸入弁30が開弁することで、吸入弁シート31の吸入ポート31bから吸入弁シート31内径側に流入した燃料が加圧室4内に吸入され始める。
吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突し、吸入弁30はその位置で停止する。同じくロッド35も先端が吸入弁30に接触する位置で停止する。
アンカー36についてもロッド35と同速度で吸入弁30の開弁方向に移動するが、ロッド35が吸入弁30に接触し停止した後も、慣性力で移動を続けようとする。この慣性力による移動は、図7のAに示す部分である。ところが、アンカー付勢ばね41がその慣性力に打ち勝ち、アンカー36は再び第二コア39に近付く方向に移動をし、ロッドつば部35aにアンカー36が押し当てられる形で接触する位置(図7におけるアンカー開弁位置)で停止する。この停止した時点におけるアンカー36、ロッド35および吸入弁30の位置を示す状態が図4の状態である。
なお、図7のAに示す部分では、ロッド35とアンカー36とが完全に離れると説明したが、ロッド35とアンカー36とが接触したままの状態でも良い。言い換えると、ロッドつば部35aとアンカー36との接触部に作用する荷重は、ロッド35の運動停止後減少し、0になるとアンカー36がロッド35に対し分離を開始するが、0にならず僅かの荷重を残すようにアンカー付勢ばね41の付勢力を設定しても良い。
吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突する時には、製品としての重要な特性となる異音の問題が発生する。異音の大きさは衝突時のエネルギーの大きさが影響する。しかし、ロッド35とアンカー36とを別体に構成しているために、吸入弁ストッパ32に衝突するエネルギーは、吸入弁30の質量とロッド35の質量のみで発生することとなる。すなわちアンカー36の質量は衝突エネルギーに寄与しないため、ロッド35とアンカー36とを別体に構成することで、異音の大きさを低減することができる。
アンカー36の径方向における保持方法(支持方法)は、アンカー36の内径とロッド35の外径とのクリアランスで保持する方法と、アンカー36の外径と第一コア38の内周面とのクリアランスで保持する方法とがある。本実施例においては、アンカー36の外径と第一コア38の内周面とを摺動面とすることで、アンカー36の径方向位置を保持するようにしている。
吸入弁30が開弁した後も、さらにプランジャ5が降下し続けて下死点BDCに到達する。この間、加圧室4には燃料が流入し続ける。この工程が吸入工程である。
≪戻し工程≫
図7において、下死点BDCまで降下したプランジャ5は、上昇工程に入る。吸入弁30は開弁付勢力f1を超える電磁力で開弁状態に停止したままであり、吸入弁30を通過する流体の方向が真逆になる。すなわち吸入工程では燃料が吸入ポート31bから加圧室4に流入していたのに対し、上昇工程となった時点で、加圧室4から吸入ポート31b方向に戻される。この工程を戻し工程と呼ぶ。
≪戻し工程〜吐出工程への遷移状態≫
図7において、所望の吐出時刻よりも、電磁力の発生遅れ、吸入弁30の閉弁遅れを考慮した早い時刻において、コイル43に吸引電流が与えられ、アンカー36と第二コア39との間に磁気吸引力が働く。吸引電流は開弁付勢力f1に打ち勝つ磁気吸引力を発生するのに必要な大きさの電流とする。この磁気吸引力が開弁付勢力f1に打ち勝った時点で、アンカー36が第二コア39方向へ移動を開始する。
アンカー36の外周面が第一コア38の内周面を摺動、移動することで、軸方向にロッドつば部35aで接触しているロッド35も同じく移動し、吸入弁30が吸入弁付勢ばね33の力を受けて閉弁を開始する。このとき、流体力、主には、加圧室4側からシート部を通過する燃料の流速による静圧は低下する。
上述したように本実施例では、アンカー36は第一コア38の内周面38aがガイド面となってロッド35の軸方向に移動するように構成されている。このため、アンカー36の外周面と第一コア38の内周面38aとの間の間隔は非常に小さく、この隙間を流れようとする燃料流れに対して非常に大きな流体抵抗を与える構成となっている。
本実施例では、アンカー36と第一コア38とが接触して摺動する構成とし、ロッド35はアンカー36の貫通孔36bに当接して摺動する構成としている。すなわちロッド35はアンカー36の貫通孔36bによってガイドされて、アンカー36と相対変位可能に構成されている。このため、ばね座部材37のロッド挿通孔37bの内周面とロッド35の外周面との間には間隙が設けてある。
移動を始めた吸入弁30は、吸入弁シート部31aに衝突して停止することで、閉弁状態となる。閉弁すると、筒内圧が急速に増大するため、吸入弁30は筒内圧により閉弁方向に開弁付勢力f1よりも遥かに大きい力で強固に押し付けられて閉弁状態の維持を開始する。
アンカー36についても、第二コア39に衝突して停止する。ロッド35はアンカー36停止後も慣性力で運動を続けるが、ロッド付勢ばね40の付勢力が慣性力に打ち勝って押し戻されて、つば部35aがアンカー36に接触する位置まで戻ることができる。
アンカー36が第二コア39に衝突する時には、製品としての重要な特性となる異音の問題が発生する。この異音は、前述した吸入弁30と吸入弁ストッパ32とが衝突して発生する異音よりも大きく、より大きな問題となる。しかし、上述のように、ロッド35とアンカー36とを別体に構成しているために、第二コア39に衝突するエネルギーは、アンカー36の質量のみで発生することとなる。すなわちロッド35の質量は衝突エネルギーに寄与しないため、ロッド35とアンカー36とを別体に構成することで、異音の大きさを低減することができる。
アンカー36が第二コア39に一度接触した後は、接触することにより十分な磁気吸引力が発生しているため、コイル43には接触を保持するためだけの小さな電流値(保持電流)を供給すればよいことになる。
ここで、ソレノイド機構部内に発生する懸念のある、壊食の問題について説明する。
アンカー36と第一コア38との間に燃料が流れる流路が構成されていると、コイル43に電流が与えられてアンカー36が第二コア39に引き寄せられる際にアンカー36と第二コア39との間にある空間体積が急速に縮小することで、その空間にある流体(燃料)は行き場を失い、速い流れを持ってアンカー36の外周側へ押し流され、第一コア38の薄肉円筒形状部38bに衝突する。この燃料流れの衝突のエネルギーにより、第一コア38の薄肉円筒形状部38bに壊食が発生する懸念がある。また、押し流された流体がアンカー36の外周を通過してばね座部材37側に流れる。このとき、アンカー36の外周側の流路が狭いために流速が大きくなり、静圧が急速に低下することによってキャビテーションが発生し、第一コア38の薄肉円筒形状部38bにおいてキャビテーションによる壊食が発生する懸念がある。
このキャビテーション壊食については、本実施例では以下の理由から解決する事ができる。
本実施例において、アンカー36の外周と第一コア38の内周部は摺動部を構成しているため、そのクリアランスは直径差でおよそ5μm〜10μm程度である。一方、アンカー36の中心側に1つ以上の軸方向の貫通穴36aを設置している。貫通穴36aはアンカー36を中心軸方向(ロッド35の軸方向)に貫通し、アンカー36に対して第二コア39側の空間(燃料室)とばね座部材37側の空間(燃料室)とを連通する燃料通路を構成する。アンカー36が第二コア39側に引き寄せられる際、アンカー36と第二コア39との間の空間の流体のほとんどは、アンカー36の外周側の狭い通路を通過せずに貫通穴36aを通過してアンカー36とばね座部材37との間に形成された燃料室に移動する。この様に構成することで、第一コア38の薄肉円筒形状部38bの壊食を回避することができる。
アンカー36とロッド35とを一体で構成している場合においても、アンカー36の貫通穴36aの容量を最適化することにより上記問題を解決することが可能である。アンカー36の貫通穴36aは、その流体抵抗がアンカー36の外周面と第一コア38の内周面との間の隙間における流体抵抗よりも小さくなるように構成されていればよい。そして、アンカー36の貫通穴36aは、アンカー36の外周面よりも半径方向の内方(中心側)に設けられていればよい。例えば、ロッド35が挿通される貫通孔36bの内周面に、周方向に間隔を置いて、溝を設けてもよい。或いは、アンカー36の貫通穴36aをロッド35の外周面が摺動しない構成にしてもよい。この場合、ロッド35はばね座部材37のロッド挿通孔37bの内周面に摺動するようにするとよい。すなわちばね座部材37をロッドガイドとして構成すると良い。
アンカー36とロッド35とを一体で構成している場合、エンジン高回転時、すなわちプランジャ5の上昇速度が大きい条件において、コイル43に電流が付与されてアンカー36が第二コア39に移動しようとする力に、さらに非常に速度の大きい流体による吸入弁30を閉じる力が追加付与力として増加され、ロッド35およびアンカー36が第二コア39へ急激に接近する。このため、その空間の流体が押し出される速度がさらに大きくなる。そこで、アンカー36の貫通穴36aの容量を大きくする、すなわち穴数を増やす、或いは穴径を拡大する等の最適設計をすることにより、壊食の問題を解決することができる。
アンカー36とロッド35とを別体で構成する弊害は前述した通り、所望の磁気吸引力を得られない問題、異音、機能低下があるが、アンカー付勢ばね41を設置することでこの弊害を取り払うことが可能となる。
≪吐出工程≫
図7において、プランジャ5が下死点BDCから上昇工程に転じ、所望のタイミングでコイル43に電流(吸引電流および保持電流)が与えられ吸入弁30が閉じるまでの戻し工程が終了した直後、加圧室4内の圧力が急速に増大し、吐出工程となる。吐出工程後には、省電力の観点からコイル43に与える電力を削減することが望ましいため、コイルに与える電流を切断する。電磁力が付加されなくなり、アンカー36およびロッド35がロッド付勢ばね40とアンカー付勢ばね41の合力により第二コア39から離れる方向へ移動する。ところが、吸入弁30が強固な閉弁力で閉弁位置にあるため、ロッド35は閉弁状態の吸入弁30に衝突した位置で停止する。
ロッド35とアンカー36とは電流切断後同時に移動を開始するが、ロッド35の先端と閉弁状態の吸入弁30とが接触した状態でロッド35が停止した後も、アンカー36は慣性力で吸入弁30の方向へ移動を続けようとする。この状態は図7のBの状態である。ところが、アンカー付勢ばね41が慣性力に打ち勝ち、アンカー36に第二コア39の方向に付勢力を与えるため、アンカー36はロッド35のつば部35aに接触した状態(図6の状態)で停止することができる。
この様に、燃料が吐出される吐出工程が行われ、次の吸入工程直前においては、吸入弁30、ロッド35およびアンカー36は図6の状態となっている。
プランジャ5が上死点TDCに達した時点で、吐出工程が終了し、再び吸入工程が開始される。
かくして、低圧燃料吸入口2aに導かれた燃料はポンプ本体1aの加圧室4にてプランジャ5の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、燃料吐出口2cからコモンレール108に圧送されるのに好適な高圧ポンプを提供することができる。
近年、高圧燃料供給ポンプ1は更なる高圧化が求められており、今後は目標吐出圧力が30MPa以上の高圧に耐えるポンプが必要とされている。また、バイオ燃料(アルコールやメタノール等)、あるいはバイオ燃料の含油比率が多い燃料など、燃料の多様化にも対応することが求められている。
このように目標吐出圧力が非常に高圧になった場合、あるいは多様な燃料が高圧燃料供給ポンプ1に用いられる場合には、キャビテーションによる壊食が問題となる。
特にバイオ燃料の場合、それ自体の腐食作用により腐食減肉が生ずることから、ガソリン単体に比べてキャビテーションによる壊食が加速される。
そのため、このキャビテーション壊食の進行を抑制する、あるいはキャビテーション壊食が発生する確率をより低くする、あるいはキャビテーション壊食が発生するまでの時間をより長くなることが必要となる。
本発明者らの検討により、弁と弁シートとが接触する弁部において特にキャビテーション壊食が発生することが分かったため、これを抑制するための構成について図8乃至図12を用いて以下説明する。図8は、本発明の表面処理層を適用した弁部断面を示す図であり、弁が開いた際の燃料の流れ方向を示す図である。図9は吐出弁機構の吐出弁シートの平面模式図、図10は吐出弁機構の吐出弁の平面模式図である。図11および図12は吐出弁機構の吐出弁シートの他の形態の平面模式図である。
なお、以下の図8乃至図12では、吐出弁51bとそれに対向する吐出弁シート51aの表面にCo基合金層70bおよびCr濃化部70b1を形成する場合について説明するが、リリーフ弁機構600のリリーフ弁61の表面とリリーフ弁61に対向するリリーフ弁シート63の表面も吐出弁51bおよび吐出弁シート51aと同様にキャビテーション壊食が発生する虞があるため、後述する図9や図10に示すようなCo基合金層70a,70bおよびCr濃化部70b1を形成することができる。また、吸入弁30の表面と吸入弁30に対向する吸入弁シート31の吸入弁シート部31aの表面にもCo基合金層70a,70bおよびCr濃化部70b1を形成することができる。
図8に示すように、固定された吐出弁シート51aの右端部は可動する吐出弁51bと接する。また、燃料はこの吐出弁シート51aの右端部付近において圧力変動を受けるため、吐出弁シート51aの右端部表面ではキャビテーションが発生し、キャビテーションが崩壊することでエロージョン(腐食)が生ずる可能性がある。
また、アルコール燃料等の従来に比べて高腐食性の燃料が通過する際に、アルコール中の成分による電気化学的作用による腐食反応が特に吐出弁51bの表面に生じ、局部的に減肉するいわゆる孔食が生ずる可能性がある。
そこで、図8および図9に示すように、吐出弁シート51aの吐出弁51bと接触する表面部分に、加工硬化により高硬度を有するCo基合金層70aを形成する。
同様に、図8に示すように、吐出弁51bのうち、吐出弁シート51aとの接触部に加工硬化により高硬度を有するCo基合金層70bを形成するとともに、図10に示すように、吐出弁51bの表面にCr濃度がその周囲のCo基合金層70bより濃いCr濃化部70b1を略等心円形状に複数形成することで、耐キャビテーション性を確保する。
これら図8乃至図10に示すような吐出弁シート51aのCo基合金層70aおよび吐出弁51bの表面のCo基合金層70bは、SUS304等の吐出弁シート51aおよび吐出弁51bを構成する鉄鋼材の表面にCo基合金をレーザー肉盛溶接することで形成する。
レーザー肉盛溶接のプロセスを施した後は、例えば、表面粗さRzが0.3μm以下になるように研磨することで、レーザー肉盛溶接時に肉盛ビート境界部に形成された、Co基合金層70bに比べてCrが濃いCr濃化部70b1が複数の径の異なる円周状に表面に露出する(図10参照)。このCr濃化部70b1により、耐食性を確保する。
このように、弁部の表面上で、耐キャビテーション性と耐食性の機能を分担させることで、両者の特性を兼ね備えた高圧燃料供給ポンプ1を提供することができる。
レーザー肉盛により形成される層は、平面構造に対して柱状構造のため、めっき膜などの層状に形成される表面処理膜に比べて、キャビテーションによる減肉が少ない、との利点を有している。
形成されるCr濃化部70b1は、Co基合金層70bのCr濃度に比べて15%から40%Crが濃化していることが本発明者らの検討(SEM−EDXによる観察)によって確認されている。得られたCr濃化部70b1は、微細な粒界炭化物しか観測されず、Cr金属として存在することで、防食性能が得られたと推測できる。
なお、図10では、吐出弁51bの表面にCr濃化部70b1が円周形状となるように形成される場合について説明したが、図11に示すように、吐出弁シート51aとの接触部となる最外周部を除いて、レーザー肉盛溶接を線状に行うことでCo基合金層70bおよびCr濃化部70b1が線状に形成された吐出弁51b1とすることができる。これ以外にも、図12に示すように、吐出弁シート51aとの接触部となる最外周部を除いて、レーザー肉盛溶接を螺旋状に行うことでCo基合金層70bおよびCr濃化部70b1が螺旋形状に形成された吐出弁51b2とすることができる。更には、Cr濃化部の形状がその他の形状であっても、耐食性が維持できるのであれば、その形状は特に限定されるものではない。
ここで、図10乃至図12に示すように、吐出弁51b,51b1,51b2のように、吐出弁シート51aとの接触部となる最外周部はCr濃化部70b1が形成されずにCo基合金層70bのみで構成されることが望ましい。このように吐出弁51b,51b1,51b2の吐出弁シート51aとの接触部をCo基合金層70bのみで構成することによって、弁特性を確実に確保することができる。
また、図9では吐出弁シート51aのCo基合金層70aにはCr濃化部が形成されていない場合を示したが、吐出弁シート51aのCo基合金層70aの表面にも、Cr濃化部が形成されていてもよい。この場合は、吐出弁51bの表面へのレーザー肉盛溶接と同じように、肉盛層を重ねてレーザー肉盛等によって形成した後に研磨してCr濃化層を表面に露出させる。
上記に記載したような、ステライト#6やステライト#1をレーザー肉盛溶接によって肉盛したSUS304を用いて作製した吐出弁51bおよび吐出弁シート51aを高圧燃料供給ポンプ1に組み込み、キャビテーション壊食が生じるかについて確認実験を行った。また、レーザー肉盛溶接で形成した膜と肉盛溶接を施さないCo基合金とを比較するために、市販のステライト#6単一材を用いて部品を作製し、同様に比較確認実験を行った。
図13は、本発明の耐キャビテーション壊食に対する材料ともしくはその構成が、どの程度の耐キャビテーション壊食性を持っているかを定量的に示すために行った実験の結果を示す図である。縦軸はキャビテーションの壊食量、横軸はキャビテーションを受けた時間を示す。試験は溶媒として純水を用いた。
図13に示すように、本発明の構成を適用した、ステライト#6をレーザー肉盛溶接したSUS304材とステライト#6単一材とでは、キャビテーション壊食現象において潜伏期間と呼ばれる質量損失をほとんど伴わない期間が前者で117分、後者で45分となった。
高圧燃料供給ポンプ1では、仮に潜伏期間後のキャビテーション壊食が起こると、油密性等が維持できなくなる。そのため、キャビテーション壊食という現象が起こってもそれは潜伏期間内にとどめておく必要がある。従って高圧燃料供給ポンプ1における耐キャビテーション壊食材料の基準は、潜伏期間の長さである。
上述のように本発明の構成を適用したステライト#6は、市販のステライト#6単一材に比べてキャビテーション壊食現象の潜伏期間が長いことから、先に示した実際の高圧燃料供給ポンプ1において、本発明を適用したポンプのキャビテーション壊食の発生量が少なくなっている理由は、本発明のCo基合金層70bとCr濃化部70b1とが混在した構成が効いたものと推測される。
また、図13に示すように、本発明の構成を適用したステライト#1の潜伏期間は167分であり、本発明の構成を適用したステライト#6よりも更に潜伏期間が長いことが分かった。このステライト#1とステライト#6との差は、W(タングステン)の含有量の違いによるものと思われ、表面に形成されるCr濃化部70b1に加えて、Cr+CoやCr+Co+Wの形成量が多いためであると推測される。
この結果から、本発明のようにCr濃化部70b1を有することにより、耐食性と耐キャビテーション性を兼ね備えた表面処理膜となることが分かった。
次に、本発明の構成の耐食性について評価した。測定装置は、定電位電解装置,温度調節器,記録計,反応槽,ヒータから構成されるものとした。そのような測定装置の反応槽内に人工海水を注入するとともに、評価対象となる金属材料基板(ここでは、本発明の構成を適用した、ステライト#1をレーザー肉盛溶接したSUS304基板、および比較材としてのSUS440C基板)を基準電極、Pt対向対極、熱電対とともに人工海水中に浸漬した。基準電極には塩化カリウム飽和水溶液銀/塩化銀電極を用いて、孔食電位(V vs. Ag/AgCl)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0006913627
表1に示すように、本発明の構成を適用したステライト#1レーザー肉盛溶接基板の孔食電位が0.133Vであったのに対し、比較例(SUS440C)の孔食電位は0.065Vであり、本発明の構成が耐食性も優れていることが確認された。
このように、Cr濃化部が形成されていないステライト#6単一材の部品(吐出弁、吐出弁シート)と比較して、レーザー肉盛によりCr濃化部を有するステライト#6材またはステライト#1材の部品はキャビテーション壊食の発生量が少なく、耐久性に優れていることが確認された。
なお、本実施例の高圧燃料供給ポンプは、ガソリンもしくはバイオ燃料等についても好適に適用されるが、別の検証で、水、ガソリン、バイオ燃料に相当するエタノールでのキャビテーション壊食は、現象として同じであり、ガソリンの代わりに水を用いても材料強度の比較の結果は変わらないことが確認されている。
次に、本実施例に係る高圧燃料供給ポンプの製造方法について説明する。
最初に、高圧燃料供給ポンプ1を構成する、上記図1乃至図6を用いて説明した各部品を準備する。高圧燃料供給ポンプ1を構成する各部品のうち、吐出弁シート51aおよび吐出弁51bやリリーフ弁61、リリーフ弁シート63、吸入弁30、吸入弁シート31以外の各部品は、その仕様に応じたものを適宜公知の様々な方法で準備することができる。吐出弁51bおよび吐出弁シート51a等については、以下説明する方法によって製造する。以下では、吐出弁51bおよび吐出弁シート51aの場合について説明するが、リリーフ弁61等についても同様である。
まずは、吐出弁シート51aおよび吐出弁51bを準備する。吐出弁シート51aおよび吐出弁51bは、基材は鉄鋼材とする。鉄鋼材としては、例えば、SUS420J2或いはSUS440C等のマルテンサイト系ステンレスが好適である。用意した基材を公知の手法により吐出弁シート51aおよび吐出弁51bの形状に加工する。
その後、吐出弁シート51aの吐出弁51bと当接する表面部分に、レーザー肉盛溶接によってCo基合金層70aを形成する。同様に、吐出弁51bの燃料が接触する表面部分に、レーザー肉盛溶接によってCo基合金層70bを形成する。この際、吐出弁51bの表面のうち、吐出弁シート51aとの当接部にCo基合金層70bが形成されるようにレーザー肉盛溶接を行う。また、吐出弁51bの燃料がぶつかる表面に対して、円周状、線状、あるいは螺旋状の何れかの形状を描くようにレーザー肉盛溶接を行う。
レーザー肉盛溶接で表面処理層を形成する方法としては、好適にはステライト(登録商標)#1の粉末またはロッド、ワイヤ、もしくはステライト#6の粉末またはロッド、ワイヤを供給し、入熱量を制御しながら、隣接する肉盛層に1/3以上重なるように溶融凝固させる肉盛溶接を吐出弁51bの表面全体に行うことが望ましい。
次いで、形成したCo基合金層70a,70bの表面を研磨する。これにより、Co基合金層70bの表面に、円周状、線状、あるいは螺旋状にCr濃化部70b1が露出する。
次いで、準備した吐出弁51bおよび吐出弁シート51aを含む各部品を組み立てて、完成品として適宜検査を実施した上で高圧燃料供給ポンプを組み込む工程に移行する。
次に、本実施例の効果について説明する。
上述した本発明の実施例1の高圧燃料供給ポンプ1は、燃料を吐出する吐出弁51b,リリーフ弁61,吸入弁30と、吐出弁51b,リリーフ弁61,吸入弁30が着座する吐出弁シート51a,リリーフ弁シート63,吸入弁シート31と、を備え、吐出弁51bおよび吐出弁シート51a等は、基材が鉄鋼材であり、吐出弁51b,リリーフ弁61,吸入弁30の表面には、Co基合金層70bおよびCr濃度がその周囲のCo基合金層70bより濃いCr濃化部70b1が形成されており、吐出弁シート51a,リリーフ弁シート63,吸入弁シート31の表面には、Co基合金層70aが形成されているものである。
このように、高圧燃料供給ポンプ1のうち、液体燃料との接触が多い吐出弁51b等の表面部分にキャビテーション壊食の発生もしくはその進行が遅い材料を適用しているため、燃料の圧力と流量を現在より高くすることが可能である。また、バイオ燃料(アルコールやメタノール等)、あるいはバイオ燃料の含油比率が多い燃料を用いた場合でも、鉱油由来の燃料を用いた場合と同じようにキャビテーション壊食並びに腐食の進行を抑制することができ、長時間の信頼性を確保することができる。このため、燃料の多様化にも好適に対応することが可能となる。
また、Cr濃化部70b1は、Co基合金層70bのCr濃度に対して15%から40%濃化していることにより、高い耐食性を備えた高圧燃料供給ポンプ1となる。
更に、吐出弁51bと吐出弁シート51aとの接触部は、Co基合金層70a,70bで構成されていることで、高い耐キャビテーション性を確保することができる。
また、Cr濃化部70b1は、Co基合金層70bに対して円周状に、特に複数の径の異なる円周状に形成されていることにより、吐出弁シート51aの表面にCr濃化部70b1を偏在させることなく設けることができ、高い耐食性を備えた高圧燃料供給ポンプ1が得られる。
更に、Cr濃化部70b1は、Co基合金層70bに対して線状、あるいは螺旋状に形成されていることによっても、吐出弁シート51aの表面にCr濃化部70b1を偏在させることなく設けることができ、高い耐食性を備えた高圧燃料供給ポンプ1が得られる。
また、Co基合金層70bは、レーザー肉盛り溶接により、特に隣接する肉盛層に重ねるように新たな肉盛層を形成することにより、Cr濃化部70b1を吐出弁シート51aの表面にムラ無く形成することができ、高い耐食性を備えた高圧燃料供給ポンプ1が得られる。
なお、本実施例では、レーザー肉盛溶接を複数回行うことによりCo基合金層やCr濃化部を弁および弁シートの表面に形成する場合について説明したが、形成方法はレーザー肉盛溶接に限られず、その他の様々な溶接方法や他の方法を用いて作製しても構わないが、一度に弁および弁シートの表面にCo基合金層を形成する方法ではなく、Co基合金を複数回にわたって被覆する方法とすることがCr濃化層を確実に形成するうえで望ましい。
また、Crを30%程度含有するステライト#1材や28%程度含有するステライト#6材をレーザー肉盛溶接によって被覆する場合について説明したが、用いる材料はステライト#1やステライト#6に限られず、Crを含有する公知のCo基合金を用いることができる。また、別体のCr材とCo材とを同時に供給しながらレーザー肉盛溶接などを行うことも可能である。
<実施例2>
本発明の実施例2の高圧燃料供給ポンプおよび高圧燃料供給ポンプの製造方法について図14を用いて説明する。図14は実施例2の高圧燃料供給ポンプのうち、吸入弁部を示す図である。実施例1と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。
図14に示す吸入弁部は、図5や図6に示すようなアンカー36に付勢力を与えるアンカー付勢ばね41を有しない構造となっている。
アンカー付勢ばね41以外の構成・動作は、例えば実施例1と同じくアンカー36の外周を第一コア38の内周で保持する構造であり、実施例1で示す電磁弁機構300と同等の動作、効果を発揮する。
また、他の構成についても前述した実施例1の高圧燃料供給ポンプおよび高圧燃料供給ポンプの製造方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の実施例2の高圧燃料供給ポンプおよび高圧燃料供給ポンプの製造方法においても、前述した実施例1の高圧燃料供給ポンプおよび高圧燃料供給ポンプの製造方法とほぼ同様な効果が得られる。
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1…高圧燃料供給ポンプ
1a…ポンプ本体
300…電磁弁機構
30…吸入弁
31…吸入弁シート
31a…吸入弁シート部
500…吐出弁機構
51a…吐出弁シート
51b,51b1,51b2…吐出弁
600…リリーフ弁機構
61…リリーフ弁
63…リリーフ弁シート
70a…Co基合金層
70b…Co基合金層
70b1…Cr濃化部

Claims (13)

  1. 高圧燃料供給ポンプであって、
    燃料を吐出する弁と、
    前記弁が着座する弁シートと、を備え、
    前記弁および前記弁シートは、基材が鉄鋼材であり、
    前記弁の表面には、弁側Co基合金層およびCr濃度がその周囲の前記弁側Co基合金層より濃いCr濃化部が形成されており、
    前記弁シートの表面には、弁シート側Co基合金層が形成されている
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  2. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記Cr濃化部は、前記弁側Co基合金層のCr濃度に対して15%から40%濃化している
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  3. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記弁と前記弁シートとの接触部は、前記弁側Co基合金層および前記弁シート側Co基合金層で構成されている
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  4. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記Cr濃化部は、前記弁側Co基合金層に対して円周状に形成されている
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  5. 請求項4に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記Cr濃化部は、前記弁側Co基合金層に対して複数の径の異なる円周状に形成されている
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  6. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記Cr濃化部は、前記弁側Co基合金層に対して線状、あるいは螺旋状に形成されている
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  7. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記弁は、燃料を加圧室から吐出する吐出弁、前記燃料を前記加圧室に吸入する吸入弁、前記加圧室の吐出側の燃料が設定値以上になった場合に開弁して高圧燃料を逃がすリリーフ弁、のうちいずれかである
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  8. 燃料を吐出する弁と、前記弁が着座する弁シートと、を備える高圧燃料供給ポンプの製造方法であって、
    前記弁および前記弁シートの基材を鉄鋼材とし、
    前記弁の表面に弁側Co基合金層、およびCr濃度がその周囲の前記弁側Co基合金層より濃いCr濃化部を形成する工程と、
    前記弁シートの表面に弁シート側Co基合金層を形成する工程と、
    形成した前記弁側Co基合金層の表面を研磨する工程と、を有する
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの製造方法。
  9. 請求項8に記載の高圧燃料供給ポンプの製造方法において、
    前記弁側Co基合金層を、レーザー肉盛り溶接により形成する
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの製造方法。
  10. 請求項9に記載の高圧燃料供給ポンプの製造方法において、
    前記弁側Co基合金層をレーザー肉盛り溶接により形成する工程では、隣接する肉盛層に重ねるように新たな肉盛層を形成する
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの製造方法。
  11. 請求項9に記載の高圧燃料供給ポンプの製造方法において、
    前記Cr濃化部を、前記弁側Co基合金層に対して円周状に形成する
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの製造方法。
  12. 請求項11に記載の高圧燃料供給ポンプの製造方法において、
    前記Cr濃化部を、前記弁側Co基合金層に対して複数の径の異なる円周状に形成する
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの製造方法。
  13. 請求項9に記載の高圧燃料供給ポンプの製造方法において、
    前記Cr濃化部を、前記弁側Co基合金層に対して線状、あるいは螺旋状に形成する
    ことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの製造方法。
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