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JP2016094913A - 高圧燃料供給ポンプ - Google Patents

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JP2016094913A
JP2016094913A JP2014232398A JP2014232398A JP2016094913A JP 2016094913 A JP2016094913 A JP 2016094913A JP 2014232398 A JP2014232398 A JP 2014232398A JP 2014232398 A JP2014232398 A JP 2014232398A JP 2016094913 A JP2016094913 A JP 2016094913A
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valve
rod
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fuel
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JP2014232398A
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English (en)
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菅波 正幸
Masayuki Suganami
正幸 菅波
稔 橋田
Minoru Hashida
橋田  稔
悟史 臼井
Satoshi Usui
悟史 臼井
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Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
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Abstract

【課題】
本発明の目的は、信頼性の高い電磁吸入弁の構造を有する高圧燃料供給ポンプを提供することにある。
【解決手段】
加圧室11に吸入する燃料量を調節する電磁吸入弁300と、燃料を加圧室11から吐出する吐出弁8と、加圧室11を往復運動可能なプランジャ2とを備え、電磁吸入弁300は吸入弁30と電磁コイル43とアンカー36とアンカー36を吸引するコア38,39とを備え、コア38,39はアンカー36と対向してアンカー36を吸引する磁気吸引面39aとアンカー36の外周面を取り囲む円筒部38bとを備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、アンカー36は外周面がコア38,39の円筒部38bの内周面と摺動するように構成され、外周面よりも半径方向内方にアンカー36を中心軸方向に貫通する燃料通路36aが形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射弁に燃料を圧送する高圧燃料供給ポンプに関し、特には、吐出する燃料の量を調節する電磁吸入弁を備えた高圧燃料ポンプに関する。
自動車等の内燃機関の内、燃焼室内部に直接的に燃料を噴射する直接噴射タイプにおいて、燃料を高圧化し所望の燃料流量を吐出する電磁吸入弁を備えた高圧燃料供給ポンプが広く用いられている。
この高圧燃料供給ポンプとして、特開2012−251447号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。特許文献1の高圧燃料供給ポンプおいては、電磁力によって運動をする電磁吸入弁の可動部品を2つに分割(アンカーとロッド)し、電磁力を負荷した時に、アンカーはその中心穴径とロッドの外径とが軸受けとなって摺動する構造を有する。
特開2012−251447号公報
しかしながら、特許文献1の高圧燃料供給ポンプにおいては、コイルに電流が与えられアンカーがコアに引き寄せられる際、アンカーとコアとの間にある空間体積が急速に縮小することで、その空間にある流体は行き場を失い速い流れを持ってアンカー外周側へ押し流され、コア薄肉部に衝突し、そのエネルギーによって壊食が発生する懸念があった。壊食が進行すると燃料がコイル線側に漏れ、その結果、コイル線のエナメル被覆に存在する微小欠損同士がショートし電磁吸入弁の動作不良、すなわちポンプ機能を損なう恐れがある。
本発明の目的は、上記課題を解決し、信頼性の高い電磁吸入弁の構造を有する高圧燃料供給ポンプを提供することにある。
本発明では、上記課題を解決するために、アンカー外周面と第一コア内周面を摺動軸受け面として構成する。さらにアンカー中心側に1つ以上の軸方向の貫通孔を設置する。
本発明によれば、アンカーがコアに引き寄せられる際、その空間の流体のほとんどは、アンカー外周側の狭い通路を通過せず、アンカーに設けた貫通孔を通過する。この様に構成することで、コア薄肉部の壊食を回避することができる。
本発明の第一実施例による高圧燃料供給ポンプの縦断面図である。 本発明の第一実施例による高圧燃料供給ポンプの、図1とは異なる断面で示した縦断面図であり、エンジンへの取付けについても示した断面図である。 本発明の第一実施例による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が開弁した状態を示す。 本発明の第一実施例による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が閉弁初期の状態であり、電磁吸入弁に通電中の状態を示す。 本発明の第一実施例による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が閉弁後期の状態であり、電磁吸入弁への通電を解除した状態を示す。 本発明の第一実施例による高圧燃料供給ポンプのプランジャ及び電磁吸入弁の動作を示すタイミングチャートである。 本発明の第二実施例による高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の断面図である。 本発明の第一実施例及び第二実施例による高圧燃料供給ポンプを含む燃料供給システムの一例を模式的に示す全体構成図である。
以下、図面を用いて、本発明に係る実施例を詳細に説明する。以下の説明で、特に断りなく上下方向或いは上下方向における位置を説明する場合は、その上下方向或いは上下方向における位置は、図1の紙面上における上下方向或いは上下方向における位置によって定義され、高圧燃料供給ポンプが実装された状態における上下方向或いは上下方向における位置を意味するものではない。
図8に示すシステムの全体構成図を用いてシステムの構成と動作を説明する。
破線で囲まれた部分が高圧燃料供給ポンプ(以下高圧ポンプと呼ぶ)の本体であり、この破線の中に示されている機構及び部品は高圧ポンプ本体1に一体に組み込まれている。
燃料タンク20の燃料は、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと称す)からの信号に基づいてフィードポンプ21によって汲み上げられ、適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管28を通して高圧ポンプの低圧燃料吸入口(吸入ジョイント)10aに送られる。
吸入ジョイント10aを通過した燃料は、圧力脈動低減機構9及び吸入通路10dを介して、容量可変機構を構成する電磁吸入弁300の吸入ポート31bに至る。
電磁吸入弁300に流入した燃料は、吸入弁30を通過し、加圧室11に流入する。エンジンのカム機構によりプランジャ2に往復運動する動力が与えられ、プランジャ2の往復運動により、プランジャ2の下降工程では吸入弁30部から燃料を吸入し、上昇工程では燃料が加圧され、吐出弁8bを有する吐出弁機構8を介し、圧力センサ26が装着されているコモンレール23へ燃料が圧送され、ECU27からの信号に基づきインジェクタ24がエンジンへ燃料を噴射する。
高圧ポンプは、ECU27から電磁吸入弁300への信号により、所望の供給燃料圧力となるように燃料を吐出する。
異常な高圧を防止するためにリリーフバルブ100が構成され、リリーフバルブ100の設定圧力以上に圧力が上昇すると、リリーフバルブ100が開弁し、高圧ポンプの加圧室11内に燃料が戻されることで、コモンレール23内が異常な高圧状態になるのを防止する。
ポンプ本体1にはさらに、吐出弁機構8の下流側の吐出通路12と加圧室11とを連通する高圧流路110が吐出弁機構8をバイパスして設けられている。高圧流路110には燃料の流れを吐出通路12から加圧室11への一方向のみに制限する、リリーフ弁102を有するリリーフ弁機構100が設けられている。リリーフ弁102は、押付力を発生するリリーフばね105によりリリーフ弁シート101に押付けられており、加圧室11内と高圧流路110内との間の圧力差が規定の圧力以上になるとリリーフ弁102がリリーフ弁シート101から離れ、開弁するように設定している。
高圧ポンプの電磁吸入弁300の故障等によりコモンレール23が異常な高圧となり、吐出通路12と加圧室11との差圧がリリーフ弁102の開弁圧力以上になると、リリーフ弁102が開弁し、異常高圧となった燃料は高圧流路110から加圧室11へと戻され、コモンレール23等の高圧部配管が保護される。
図1、図2及び図9を用いて、高圧ポンプの構成及び動作について説明する。
一般に、高圧ポンプはポンプ本体1に設けられたフランジ1eを用い、内燃機関のシリンダヘッド90の平面に密着し、複数のボルト91で固定される。取付けフランジ1eは溶接部1fにてポンプ本体1に全周を溶接結合されて環状固定部を形成している。本実施例では、レーザー溶接を用いている。
シリンダヘッド90とポンプ本体1との間のシールのために、Oリング61がポンプ本体1に嵌め込まれ、エンジンオイルが外部に漏れるのを防止している。
ポンプ本体1にはプランジャ2の往復運動をガイドし、かつ内部に加圧室11を形成するよう端部が有底筒形状に形成されたシリンダ6が取り付けられている。さらに加圧室11は燃料を供給するための電磁吸入弁300と加圧室11から吐出通路12に燃料を吐出するための吐出弁機構8に連通するよう、外周側に環状の溝6aと、環状の溝6aと加圧室11とを連通する複数個の連通穴6bが設けられている。
シリンダ6はその外径部(外周部)において、ポンプ本体1に圧入固定され、ポンプ本体1との隙間から加圧した燃料が低圧側に漏れないよう圧入部円筒面でシールしている。また、シリンダ6の加圧室側端部に小径部6cを有し、ポンプ本体1に設けられた小径部1aに嵌められている。加圧室11の燃料が加圧されることにより、シリンダ6には低圧燃料室10c側に向けて押圧する力が作用する。小径部1a及び小径部6cは、この力を受けてシリンダ6が低圧燃料室10c側に抜けることを防止している。シリンダ6の小径部6cの周囲に形成された環状面とポンプ本体1の小径部1aの周囲に形成された環状面とは平面で構成されており、お互いの平面を軸方向に接触させることで、ポンプ本体1とシリンダ6との前記接触円筒面のシールに加え、二重のシールの機能をも果たす。
プランジャ2の下端には、内燃機関のカムシャフトに取り付けられたカム93の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット92が設けられている。プランジャ2はリテーナ15を介してばね4にてタペット92に圧着されている。これによりカム93の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に往復運動させることができる。
また、シールホルダ7の内周下端部に保持されたプランジャシール13がシリンダ6の図中下方部においてプランジャ2の外周に摺動可能に接触する状態で設置されており、低圧室7aの燃料をプランジャ2が摺動した場合にでもシール可能な構造とし、外部に燃料が漏れることを防止する。同時に内燃機関内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がポンプ本体1の内部に流入するのを防止する。
ポンプ本体1の頭部にはダンパカバー14が固定されている。ダンパカバー14には吸入ジョイント51が設けられており、低圧燃料吸入口10aを形成している。低圧燃料吸入口10aを通過した燃料は、吸入ジョイント51の内側に固定されたフィルタ52を通過し、圧力脈動低減機構9及び低圧燃料流路10dを介して電磁吸入弁300の吸入ポート31bに至る。
吸入ジョイント51内の吸入フィルタ52は、燃料タンク20から低圧燃料吸入口10aまでの間に存在する異物を燃料の流れによって高圧燃料供給ポンプ内に吸入することを防ぐ役目がある。
プランジャ2は、大径部2aと小径部2bを有することにより、プランジャ2の往復運動によって環状低圧燃料室7aの体積は増減する。体積の増減分は、燃料通路1dにより低圧燃料室10と連通していることにより、プランジャ2の下降時は、環状低圧燃料室7aから低圧燃料室10へ、上昇時は、低圧燃料室10から環状低圧燃料室7aへと燃料の流れが発生する。
このことにより、ポンプの吸入工程もしくは、戻し工程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、脈動を低減する機能を有している。
低圧燃料室10には高圧ポンプ内で発生した圧力脈動が燃料配管28へ波及するのを低減させる圧力脈動低減機構9が設置されている。一度加圧室11に流入した燃料が、容量制御のため再び開弁状態の吸入弁体30を通して吸入通路10d(吸入ポート31b)へと戻される場合、吸入通路10d(吸入ポート31b)へ戻された燃料により低圧燃料室10には圧力脈動が発生する。しかし、低圧燃料室10に設けた圧力脈動低減機構9は、波板状の円盤型金属板2枚をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダンパで形成されており、圧力脈動はこの金属ダンパが膨張・収縮することで吸収低減される。9bは金属ダンパをポンプ本体1の内周部に固定するための取付金具であり、燃料通路上に設置されるため、複数の穴を設け取付金具9bの表裏に流体が自由に行き来できるようにしている。
加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8は吐出弁シート8a、吐出弁シート8aと接離する吐出弁8b、吐出弁8bを吐出弁シート8aに向かって付勢する吐出弁ばね8c及び吐出弁8bと吐出弁シート8aとを収容する吐出弁ホルダ8dから構成され、吐出弁シート8aと吐出弁ホルダ8dとは当接部8eで溶接により接合されて一体の吐出弁機構8を形成している。
なお、吐出弁ホルダ8dの内部には、吐出弁8bのストロークを規制するスットパーを形成する段付部8fが設けられている。
加圧室11と燃料吐出口12に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力で吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が、燃料吐出口12の燃料圧力よりも大きくなった時に始めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに逆らって開弁し、加圧室11内の燃料は燃料吐出口12を経てコモンレール23へと高圧吐出される。吐出弁8bは開弁した際、吐出弁ストッパ8fと接触し、ストロークが制限される。したがって、吐出弁8bのストロークは吐出弁ストッパ8dによって適切に決定される。これによりストロークが大きすぎて、吐出弁8bの閉じ遅れにより、燃料吐出口12へ高圧吐出された燃料が、再び加圧室11内に逆流してしまうのを防止でき、高圧ポンプの効率低下が抑制できる。また、吐出弁8bが開弁および閉弁運動を繰り返す時に、吐出弁8bがストローク方向にのみ運動するように、吐出弁ホルダ8dの内周面でガイドしている。以上のようにすることで、吐出弁機構8は燃料の流通方向を制限する逆止弁となる。
これらの構成により、加圧室11は、ポンプハウジング1、電磁吸入弁300、プランジャ2、シリンダ6及び吐出弁機構8にて構成される。
カム93の回転により、プランジャ2がカム93方向に移動して吸入工程状態にある時は、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室11内の燃料圧力が吸入通路10dの圧力よりも低くなると、燃料は、開口状態にある吸入弁30を通り、ポンプ本体1に設けられた連通穴1aと、シリンダ外周通路6dを通過し、加圧室11に流入する。
プランジャ2が吸入工程を終了した後、プランジャ2が圧縮工程に移る。ここで電磁コイル43は無通電状態を維持したままであり、磁気付勢力は作用しない。よって、吸入弁30は、ロッド付勢ばね40の付勢力により開弁したままである。加圧室11の容積は、プランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁30を通して吸入通路10dへと戻されるので、加圧室11の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称する。
この状態で、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと呼ぶ)からの制御信号が電磁吸入弁300に印加されると、電磁コイル43には電流が流れ、磁気付勢力によりロッド35が吸入弁30から離れる方向に移動し、吸入弁付勢ばね33による付勢力と燃料が吸入通路10dに流れ込むことによる流体力により吸入弁30が閉弁する。閉弁後、加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇し、燃料吐出口12の圧力以上になると、吐出弁機構8を介して燃料の高圧吐出が行われ、コモンレール23へと供給される。この工程を吐出工程と称する。
すなわち、プランジャ2の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。そして、電磁吸入弁300のコイル43への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル43へ通電するタイミングを早くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が小さく、吐出工程の割合が大きい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、通電するタイミングを遅くすれば圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きく吐出工程の割合が小さい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル43への通電タイミングは、ECU27からの指令によって制御される。
以上のように構成することで、電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来る。
ここで、本発明である、電磁吸入弁について、図3から図5の断面図及び図6のタイミングチャートを用い詳細に説明する。
図3は電磁吸入弁300の拡大図で、電磁コイル43に通電されていない無通電の状態であり、加圧室11の圧力が低い(フィードポンプ21で圧送される圧力)状態の図である。この状態で、吸入工程と戻し工程とが行われる。図4は電磁吸入弁300の拡大図で、電磁コイル43に通電され、可動部であるアンカー36が電磁吸引力により第二コア39に接触し、吸入弁30が閉弁した状態の図である。図5は電磁吸入弁300の拡大図で、ポンプ室の圧力が十分増加した後の吸入弁が閉まった状態での、電磁コイル43への通電が解除された無通電の状態の図である。
吸入弁部は、吸入弁30、吸入弁シート31、吸入弁ストッパ32、吸入弁付勢ばね33、吸入弁ホルダ34からなる。
吸入弁シート31は円筒型で、内周側の軸方向にシート部31a、円筒の軸を中心に放射状に1つが2つ以上の吸入通路部31bを有し、外周円筒面でポンプ本体1に圧入保持される。
吸入弁ホルダ34は、放射状に2方向以上の爪を有し、爪外周側が吸入弁シート31の内周側で同軸に嵌合保持される。さらに円筒型で一端部につば形状を持つ吸入弁ストッパ32が吸入弁ホルダ34の内周円筒面に圧入保持される。
吸入弁付勢ばね33は、吸入弁ストッパ32の内周側に設けられ、一部がばね33の一端を同軸に安定させるための小径部32cに配置されている。吸入弁30は、吸入弁シート部31aと吸入弁ストッパ32の間に、弁ガイド部30bに吸入弁付勢ばね33が嵌合する形で構成される。吸入弁付勢ばね33は圧縮コイルばねであり、吸入弁30が吸入弁シート部31aに押し付けられる方向に付勢力が働く様に設置される。圧縮コイルばねに限らず、付勢力を得られるものであれば形態を問わないし、吸入弁と一体になった付勢力を持つ板ばねの様なものでも良い。
この様に吸入弁部を構成することで、ポンプの吸入工程においては、吸入通路31bを通過し内部に入った燃料が、吸入弁30とシート部31aの間を通過し、吸入弁30の外周側及び吸入弁ホルダ34の爪の間を通り、ポンプ本体1及びシリンダ6の通路を通過し、ポンプ室(加圧室)11へ燃料を流入させる。また、ポンプの吐出工程においては、吐出弁30が吸入弁シート部31aと接触シールすることで、燃料の入口側への逆流を防ぐ逆止弁の機能を果たす。
吸入弁30の動きを滑らかにするために、吸入弁ストッパ32の内周側の液圧を吸入弁30の動きに応じて逃がすために、通路32aが設けられている。
吸入弁30の軸方向の移動量30eは吸入弁ストッパ32によって有限に規制されている。移動量が大きすぎると吸入弁30の閉じる時の応答遅れにより前記逆流量が多くなりポンプとしての性能が低下するためである。この移動量の規制は、吸入弁シート31a、吸入弁30及び吸入弁ストッパ32の軸方向の形状寸法及び、圧入位置で規定することが可能である。
吸入弁ストッパ32には、環状突起32bが設けられ、吸入弁32が開弁している状態において、吸入弁ストッパ32との接触面積を小さくしている。開弁状態から閉弁状態へ遷移時、吸入弁32が吸入弁ストッパ32から離れやすい様、すなわち閉弁応答性を向上させるためである。環状突起32bが無い場合、すなわち前記接触面積が大きい場合、吸入弁30と吸入弁ストッパ32の間に大きなスクイーズ力が働き、吸入弁30が吸入弁ストッパ32から離れにくくなる。
吸入弁30、吸入弁シート31及び吸入弁ストッパ32は、お互い作動時に衝突を繰返すため、高強度、高硬度で耐食性にも優れるマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施した材料を使用する。吸入弁スプリング33及び吸入弁ホルダ34には耐食性を考慮しオーステナイト系ステンレス材を用いる。
次にソレノイド機構部について説明する。ソレノイド機構部は、可動部であるロッド35、アンカー36、固定部であるばね座部材37、第一コア38、第二コア39、そして、ロッド付勢ばね40、アンカー付勢ばね41からなる。
可動部であるロッド35とアンカー36は別部材に構成している。ロッド35はばね座部材37の内周側で軸方向に摺動自在に保持され、アンカー36の外周側は、第一コア38の内周側で摺動自在に保持される。すなわち、ロッド35及びアンカー36共に幾何学的に規制される範囲で軸方向に摺動可能に構成されている。
アンカー36は燃料中で軸方向に自在に滑らかに動くために、部品軸方向に貫通する貫通穴36aを1つ以上有し、アンカー前後の圧力差による動きの制限を極力排除している。ばね座部材37は、径方向には、ポンプ本体1の吸入弁が挿入される穴の内周側に挿入され、軸方向には、吸入弁シート31の一端部に突き当てられ、ポンプ本体1に溶接固定される第一コア38とポンプ本体1との間に挟み込まれる形で配置される構成としている。ばね座部材37にもアンカー36と同様に軸方向に貫通する貫通穴37aが設けられ、アンカーが自在に滑らかに動くことができる様、アンカー側の燃料室の圧力がアンカーの動きを妨げない様に構成している。
第一コア38は、ポンプ本体と溶接される部位との反対側38bの形状を薄肉円筒形状としており、その内周側に第二コア39が挿入される形で溶接固定される。第二コア39の内周側にはロッド付勢ばね40が、小径部39aをガイドに配置され、ロッド35の先端が吸入弁30と接触し、吸入弁30を吸入弁シート部31aから引き離す方向、すなわち吸入弁の開弁方向に付勢力を与える。すなわち吸入弁30はロッド35と別体として構成され、ロッド35の一端部に当接することにより閉弁方向への移動を規制されるように構成されている。第二コア39には、アンカー36の磁気吸引面36cと対向する磁気吸引面39aが形成されている。第二コア39の磁気吸引面39aとアンカー36の磁気吸引面36cとは平行であり、両者の間には開弁状態にあるときに符号36eで示す間隙が設けられており、コイル43に通電することにより両社の間に磁気吸引力が作用し、アンカー36が第二コア39側に引き付けられる。
アンカー付勢ばね41は、ばね座部材37の中心側に設けた円筒形状のロッド挿通部37cに一方の端部を挿入し同軸を保ちながら、アンカー36にロッドつば部35a方向に付勢力を与える配置としている。ロッド挿通部37cの中心部には、ロッド挿通孔37bが形成され、ロッド挿通孔37bにロッド35が挿通されている。ロッドつば部35aは、ロッド35の、アンカー36に対する開弁方向への相対変位を規制する。すなわちロッド35がアンカー36に対して開弁方向に相対変位する場合に、アンカー36と係合して相対変位を規制する係合部を構成している。ロッド35はロッド挿通孔37bには接触しておらず、ロッド35の外周面とロッド挿通孔37bの内周面との間には間隙が設けてある。
アンカー36の移動量36eは吸入弁30の移動量30eよりも大きく設定される。確実に吸入弁30が閉弁するためである。
ロッド35はアンカー36と摺動するため、またロッド35は吸入弁30と衝突を繰返すため、硬度と耐食性を考慮しマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施したものを使用する。アンカー36と第二コア39は磁気回路を形成するため磁性ステンレスを用い、さらにアンカー36と第二コアのそれぞれの衝突面には、硬度を向上させるための表面処理を施している。さらにアンカー36外周面と第一コア38の内周面にも硬度と耐食性を向上させるために表面処理を施しても良い。表面処理には硬質Crめっきがあるがその限りでは無い。ロッド付勢スプリング40、アンカー付勢スプリング41には耐食性を考慮しオーステナイト系ステンレスを用いる。
吸入弁部には1つのばねが設けられ、ソレノイド機構部には2つのばねが設けられることにより、電磁吸入弁300には3つのばねが構成されることになる。すなわち、電磁吸入弁300には、吸入弁部に構成される吸入弁付勢ばね33、ソレノイド機構部に構成されるロッド付勢ばね及びアンカー付勢ばねが構成される。本実施例ではいずれのばねもコイルばねを使用しているが付勢力を得られる形態であればいかなるものでも構成可能である。
次にコイル部の構成について説明する。コイル部は、第一ヨーク42、電磁コイル43、第二ヨーク44、ボビン45、端子46、コネクタ47から成る。ボビン45に銅線が複数回巻かれたコイル43が、第一ヨーク42と第二ヨーク44により取り囲まれる形で配置され、樹脂部材であるコネクタ47と一体にモールドされて固定されている。二つの端子46の一方の端部はコイルの銅線の両端にそれぞれ通電可能に接続される。端子46はコネクタ47と一体にモールドされ、他方の端部がエンジン制御ユニット側と接続される構成としている。コイル部は第一ヨーク42の中心部の穴部が、第一コア38に圧入されて固定されている。その時、第二ヨーク44の内径側は、第二コア39と接触もしくは僅かなクリアランスで近接する構成となっている。
第一ヨーク42及び第二ヨーク44は共に、磁気回路を構成するために、また耐食性を考慮して磁性ステンレス材料で構成し、ボビン45及びコネクタ47は強度特性及び耐熱特性を考慮して、高強度耐熱樹脂を用いて構成している。コイル43には銅、端子46には真鍮に金属めっきを施した物を使用する。
上述の様にソレノイド機構部とコイル部とを構成することで、図3の矢印部に示す様に、第一コア38、第一ヨーク42、第二ヨーク44、第二コア39及びアンカー36で磁気回路を形成し、コイルに電流を与えると、第二コア39とアンカー36との間に電磁力が発生し、アンカー36を第二コア39側に引き寄せる力が発生する。第一コア38において、第二コア39とアンカー36とが対向して吸引力を発生させる軸方向部位を、極力薄肉(薄肉円筒形状)にして磁気抵抗を高めることで、磁束のほぼ全てが第二コア39とアンカー36との間を通過するため、効率良く電磁力を得ることができる。この薄肉円筒形状部38bにおいて、第二コア39とアンカー36とが対向する軸方向部位に環状溝を形成し、さらに肉厚を薄くして磁気抵抗を高める場合もある。
上記電磁力が、ロッド付勢ばね40の付勢力からアンカー付勢ばね41の付勢力及び吸入弁付勢ばね33の付勢力を差し引いた開弁付勢力f1を上回った時に、可動部であるアンカー36がロッド35と共に第二コア39に引き寄せられる運動、また第二コア39とアンカー36とが接触し、接触を継続することを可能とする。
以下、図3〜5、及び図6のタイミングチャートを用いて動作と発明の利点について詳細に説明する。
≪吸入工程≫
プランジャ2が上死点から下降を始めると、加圧室11内の圧力が例えば20MPaレベルの高圧の状態から急激に小さくなり、前述の力f1によりロッド35、アンカー36及び吸入弁30が、吸入弁30の開弁方向に移動を始める。吸入弁30が開弁することで、吸入弁シート31の通路31bから吸入弁シート31内径側に流入した燃料が、加圧室11内に吸入され始める。
吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突し、吸入弁30はその位置で停止する。同じくロッド35も先端が吸入弁30に接触する位置(図6におけるプランジャロッドの開弁位置)で停止する。
アンカー36についてもロッド35と同速度で吸入弁30の開弁方向に移動するが、ロッド35が吸入弁30に接触し停止した後も、慣性力で移動を続けようとする。この慣性力による移動は、図6のAに示す部分である。ところが、アンカー付勢ばね41がその慣性力に打ち勝ち、アンカー36は再び第二コア39に近付く方向に移動をし、ロッドつば部35aにアンカー36が押し当てられる形で接触する位置(図6におけるアンカー開弁位置)で停止することができる。この停止した時点におけるアンカー36、ロッド35及び吸入弁30の位置を示す状態が図3の状態である。
図6のAに示す部分で、ロッド35とアンカー36とが完全に離れる説明としているが、ロッド35とアンカー36とが接触したままの状態でも良い。言い換えると、ロッドつば部35aとアンカー36との接触部に作用する荷重は、ロッド35の運動停止後減少し、0になるとアンカー36がロッド35に対し分離を開始するが、0にならず僅かの荷重を残すようにアンカー付勢ばね41の付勢力を設定しても良い。
吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突する時には、製品としての重要な特性となる異音の問題が発生する。異音の大きさには前記衝突時のエネルギーの大きさが影響する。しかし、ロッド35とアンカー36とを別体に構成しているために、吸入弁ストッパ32に衝突するエネルギーは、吸入弁30の質量とロッド35の質量のみで発生することとなる。すなわちアンカー36の質量は衝突エネルギーに寄与しないため、ロッド35とアンカー36とを別体に構成することで、異音の大きさを低減することができる。
アンカー36の径方向における保持方法(支持方法)は、アンカー36の内径とロッド35の外径とのクリアランスで保持する方法と、アンカー36の外径と第一コア38の内周面とのクリアランスで保持する方法とがある。本実施例においては、アンカー36の外径と第一コア38の内周面とを摺動面とすることで、アンカー36の径方向位置を保持するようにしている。
吸入弁30が開弁した後、さらにプランジャ2が降下を行い下死点に到達する。この間、加圧室11には燃料が流入し続け、この工程が吸入工程である。
≪戻し工程≫
下死点まで降下したプランジャ2は、上昇工程に入る。吸入弁30は前記f1を超える電磁力で開弁状態に停止したままであり、吸入弁30を通過する流体の方向が真逆になる。すなわち吸入工程では燃料が、吸入弁シート通路31bから加圧室11に流入していたのに対し、上昇工程となった時点で、加圧室11から吸入弁シート通路31b方向に戻される。この工程を戻し工程と呼ぶ。
≪戻し工程〜吐出工程への遷移状態≫
所望の吐出時刻よりも、電磁力の発生遅れ、吸入弁30の閉弁遅れを考慮した早い時刻において、電磁コイル43に電流が与えられ、アンカー36と第二コア39との間に磁気吸引力が働く。電流は前記力f1に打ち勝つ磁気吸引力を発生するのに必要な大きさの電流を与える必要がある。この磁気吸引力が前記力f1に打ち勝った時点で、アンカー36が第二コア39方向へ移動を開始する。アンカー36の外周面が第一コア38の内周面を摺動、移動することで、軸方向につば部35aで接触しているロッド35も同じく移動し、吸入弁30が吸入弁付勢ばね33の力を受けて閉弁を開始する。このとき、流体力、主には、加圧室11側からシート部を通過する燃料の流速による静圧は低下する。
上述したように本実施例では、アンカー36は第一コア38の内周面38aがガイド面となってロッド35の軸方向に移動するように構成されている。このため、アンカー36の外周面と第一コア38の内周面38aとの間の間隔は非常に小さく、この隙間を流れようとする燃料流れに対して非常に大きな流体抵抗を与える構成となっている。
本実施例では、アンカー36と第一コア38とが接触して摺動する構成とし、ロッド35はアンカー36の貫通孔36bに当接して摺動する構成としている。すなわちロッド35はアンカー36の貫通孔36bによってガイドされて、アンカー36と相対変位可能に構成されている。このため、ばね座部材37のロッド挿通孔37bの内周面とロッド35の外周面との間には間隙が設けてある。
移動を始めた吸入弁30は、シート部31aに衝突し停止することで、閉弁状態となる。閉弁すると、筒内圧が急速に増大するため、吸入弁30は筒内圧により閉弁方向に前記力f1よりも遥かに大きい力で強固に押し付けられ、閉弁状態の維持を開始する。
アンカー36についても、第二コア39に衝突し停止する。ロッド35はアンカー36停止後も慣性力で運動を続けるが、ロッド付勢ばね40の付勢力が慣性力に打ち勝ち押し戻され、つば部35aがアンカー36に接触する位置まで戻ることができる。
アンカー36が第二コア39に衝突する時には、製品としての重要な特性となる異音の問題が発生する。この異音は、前述した吸入弁30と吸入弁ストッパ32とが衝突する異音の大きさよりも大きく、より大きな問題となる。異音の大きさには前記衝突時のエネルギーの大きさが影響する。しかし、ロッド35とアンカー36とを別体に構成しているために、第二コア39に衝突するエネルギーは、アンカー36の質量のみで発生することとなる。すなわちロッド35の質量は衝突エネルギーに寄与しないため、ロッド35とアンカー36とを別体に構成することで、異音の大きさを低減することができる。
一度アンカー36が第二コア39に接触した後は、接触することにより十分な磁気吸引力が発生しているため、接触を保持するためだけの小さな電流値とすることができる。
ここで、ソレノイド機構部内に発生する懸念のある、壊食の問題について説明する。
アンカー36と第一コア38との間に燃料が流れる流路が構成されていると、コイルに電流が与えられてアンカー36が第二コア39に引き寄せられる際、アンカー36と第二コア39との間にある空間体積が急速に縮小することで、その空間にある流体(燃料)は行き場を失い、速い流れを持ってアンカー36の外周側へ押し流され、第一コア38の薄肉部に衝突する。この燃料流れの衝突のエネルギーにより、第一コア38の薄肉円筒形状部38bに壊食が発生する懸念がある。また、押し流された流体がアンカー36の外周を通過してばね座部材37側に流れる。このとき、アンカー36の外周側の流路が狭いために流速が大きくなり、静圧が急速に低下することによってキャビテーションが発生し、第一コア38の薄肉部においてキャビテーションによる壊食が発生する懸念がある。
このキャビテーション壊食を本発明では以下の理由から解決する事が出来る。
本実施例において、アンカー36の外周と第一コア38の内周部は摺動部を構成しているため、そのクリアランスは直径差でおよそ5〜10μm程度である。一方、アンカー36の中心側に1つ以上の軸方向の貫通穴(貫通孔)36aを設置している。貫通穴36aはアンカー36を中心軸方向(ロッド35の軸方向)に貫通し、アンカー36に対して第二コア39側の空間(燃料室)とばね座部材37側の空間(燃料室)とを連通する燃料通路を構成する。アンカー36が第二コア39側に引き寄せられる際、アンカー36と第二コア39との間の空間の流体のほとんどは、アンカー36の外周側の狭い通路を通過せず、貫通穴36aを通過してアンカー36とばね座部材37との間に形成された燃料室に移動する。この様に構成することで、第一コア38の薄肉部38bの壊食を回避することができる。
アンカー36とロッド35とを一体で構成している場合においても、アンカー36の貫通穴36aの容量を最適化することにより上記問題を解決することが可能である。アンカー36の貫通穴36aは、その流体抵抗が、アンカー36の外周面と第一コア38の内周面との間の隙間における流体抵抗よりも小さくなるように構成されていればよい。そして、アンカー36の貫通穴36aは、アンカー36の外周面よりも半径方向の内方(中心側)に設けられていればよい。例えば、ロッド35が挿通される中心孔36bの内周面に、周方向に間隔を置いて、溝を設けてもよい。或いは、アンカー36の貫通穴36aをロッド35の外周面が摺動しない構成にしてもよい。この場合、ロッド35はばね座部材37のロッド挿入孔37bの内周面に摺動するようにするとよい。すなわちばね座部材37をロッドガイドとして構成すると良い。
アンカー36とロッド35とを一体で構成している場合、エンジン高回転時すなわちプランジャ2の上昇速度が大きい条件において、コイル43に電流が付与されアンカー36が第二コア39に移動しようとする力に、さらに非常に速度の大きい流体による吸入弁30を閉じる力が追加付与力として増加され、ロッド35及びアンカー36が第二コア39へ急激に接近するため、その空間の流体が押し出される速度がさらに大きくなる。そのため、アンカー36の貫通穴36aの容量を大きくする、すなわち穴数を増やす、或いは穴径を拡大する等の最適設計をすることにより、壊食の問題を解決することが出来る。
アンカー36とロッド35とを別体で構成する弊害は前述した通り、所望の磁気吸引力を得られない問題、異音、機能低下があるが、アンカー付勢ばね41を設置することでこの弊害を取り払うことが可能となる。
≪吐出工程≫
プランジャ2が下死点から上昇工程に転じ、所望のタイミングでコイル43に電流が与えられ吸入弁30が閉じるまでの戻し工程が終了した直後、加圧室11内の圧力が急速に増大し、吐出工程となる。吐出工程後には、省電力の観点からコイル43に与える電力を削減することが望ましいため、コイルに与える電流を切断する。電磁力が付加されなくなりアンカー36及びロッド35が、ロッド付勢ばね40とアンカー付勢ばね41の合力により、第二コア39から離れる方向へ移動する。ところが、吸入弁30が強固な閉弁力で閉弁位置にあるためロッド35は閉弁状態の吸入弁30に衝突した位置で停止する。
ロッド35とアンカー36とは電流切断後同時に移動を開始するが、ロッド35の先端と閉弁状態の吸入弁30とが接触した状態でロッド35が停止した後も、アンカー36は慣性力で吸入弁30の方向へ移動を続けようとする。図6のBの状態である。ところが、アンカー付勢ばね41が慣性力に打ち勝ち、アンカー36に第二コア39の方向に付勢力を与えるため、アンカー36はロッド35のつば部35aに接触した状態(図5の状態)で停止することができる。
この様に、燃料が吐出される吐出工程が行われ、次の吸入工程直前においては、吸入弁30、ロッド35及びアンカー36は図5の状態となっている。
プランジャ2が上死点に達した時点で、吐出工程が終了し、再び吸入工程が開始される。
かくして、低圧燃料吸入口10aに導かれた燃料はポンプ本体1の加圧室11にてプランジャ2の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、燃料吐出口12からコモンレール23に圧送されるのに好適な高圧ポンプを提供することができる。
図7は吸入弁部の別の実施例を示すものである。アンカー36に付勢力を与える、アンカー付勢ばね41を有しない構造である。アンカー付勢ばね41以外の構成は、実施例1と同様である。実施例1と同じくアンカー36の外周を第一コア38の内周で保持する構造であり、実施例1で示す電磁吸入弁300と同等の動作、効果を発揮するものである。
1…ポンプ本体、2…プランジャ、6…シリンダ、7…シールホルダ、8…吐出弁機構、9…圧力脈動低減機構、10a…低圧燃料吸入口、11…加圧室、12…燃料吐出口、13…プランジャシール、30…吸入弁、31…吸入弁シート、33…吸入弁ばね、35…ロッド、36…アンカー、38…第一コア、38b…第一コアの薄肉円筒形状、39…第二コア、40…ロッド付勢ばね、41…アンカー付勢ばね、43…電磁コイル、300…電磁吸入弁。

Claims (5)

  1. 加圧室に吸入する燃料量を調節する電磁吸入弁と、燃料を加圧室から吐出する吐出弁と、前記加圧室を往復運動可能なプランジャとを備え、前記電磁吸入弁は吸入弁と電磁コイルとアンカーと前記アンカーを吸引するコアとを備え、前記コアは前記アンカーと対向して前記アンカーを吸引する磁気吸引面と前記アンカーの外周面を取り囲む円筒部とを備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記アンカーは外周面が前記コアの前記円筒部の内周面と摺動するように構成され、前記外周面よりも半径方向内方に前記アンカーを中心軸方向に貫通する燃料通路が形成されていることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  2. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記電磁吸入弁は前記アンカーと相対変位可能に構成されたロッドを備え、
    前記ロッドは前記アンカーの中心部を中心軸方向に貫通するように設けられた貫通孔に挿通されると共に、前記アンカーに対する開弁方向への相対変位が規制されるように前記アンカーと係合する係合部を有し、
    前記ロッドを開弁方向に付勢する第一ばねと前記吸入弁を閉弁方向に付勢する第二ばねとを備えたことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  3. 請求項2に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記吸入弁は前記ロッドと別体として構成されると共に、前記ロッドの一端部に当接することにより閉弁方向への移動を規制されるように構成されたことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  4. 請求項3に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記アンカーを閉弁方向に付勢する第三ばねを備えたことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  5. 請求項3又は4に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記ロッドは前記アンカーの中心部に設けられた前記貫通孔の内周面に摺動するように構成され、
    前記アンカーを中心軸方向に貫通する前記燃料通路は前記貫通孔と前記アンカーの外周面との間に形成されたことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
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