以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
図1に例示されるように、本実施形態において、周辺監視装置(周辺監視システム)を搭載する車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよい。また、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1は、例えば、いわゆる「オンロード」(主として舗装された道路やそれと同等の道路)の走行に加え、「オフロード」(主として舗装されていない不整地路等)の走行も好適に行える車両であってもよい。駆動方式としては、4つある車輪3すべてに駆動力を伝え、4輪すべてを駆動輪として用いる四輪駆動車両とすることができる。車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。例えば、「オンロード」の走行を主目的とする車両でもよい。また、駆動方式も四輪駆動方式に限定されず、例えば、前輪駆動方式や後輪駆動方式でもよい。
車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等により操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8aの大きさよりも小さい。この表示装置12には、例えば車両1の周辺監視や他の機能が動作している場合に補助的な情報として、インジケータやマーク、文字情報を示す画像が表示されうる。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
また、図1、図2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
また、図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a〜15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データ(撮像画像データ)を出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°〜220°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている場合もある。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や路面に付された停止線や駐車枠線、区画線等の非立体物、および車両1の周辺に存在する物体(例えば、壁、樹木、人間、自転車、車両等の立体的な障害物)を含む車両1の周辺の外部の環境を留意対象として逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リアハッチのドア2hのリアウインドウの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパやフロントグリル等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側のドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた撮像画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりする。また、ECU14は、撮像部15で得られた広角画像のデータ(湾曲した画像のデータ)に演算処理や画像処理を施し歪みを補正する歪み補正処理を実行したり、特定の領域を切り出した画像を生成したりする切出し処理を実行することができる。また、ECU14は、撮像画像データを撮像部15が撮像した視点とは異なる仮想視点から撮像したような仮想画像データに変換する視点変換処理が実行できる。例えば、車両1の側面を当該車両1から離れた位置から臨むような側視画像を示す仮想画像データに変換したりすることができる。ECU14は、取得した画像データを表示装置8に表示することで、例えば、車両1の前方や後方、右側方や左側方等の安全確認および、車両1を俯瞰してその周囲の安全確認を実行できるような周辺監視情報を提供する。
なお、ECU14は、撮像部15から提供される撮像画像データから車両1の周辺の路面に示された区画線等を識別して走行支援を実行したり、駐車区画(区画線)を検出(抽出)して駐車支援を実行したりすることもできる。
図1、図2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a〜16dと、八つの測距部17a〜17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器、超音波ソナーとも称されうる。本実施形態において、測距部16,17は、車両1の車高方向において低い位置、例えば前後のバンパに設けられる。そして、ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
また、図4に例示されるように、周辺監視システム100(周辺監視装置)では、ECU14や、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16,17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
ECU14は、例えば、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8,表示装置12で表示される画像に関連した画像処理の演算処理および制御を実行することができる。例えば、撮像部15が撮像した撮像画像データに基づき、車両1を示す自車画像を例えば中心位置に表示する俯瞰画像(周辺画像)を作成する。また、その周辺画像に、車両1が現在の舵角で走行した場合の状態を示す仮想車両画像を表示することにより、将来(未来)における車両1と当該車両1の周囲に存在する留意対象(例えば、障害物や駐車枠線、区画線等)との位置関係を直感的に把握しやすい態様で表示する。なお、俯瞰画像の作成は、周知の技術を利用可能であり、その説明は省略する。また、CPU14aは、車両1の移動の際の目標位置(例えば駐車目標位置)の決定、車両1の誘導経路の演算、物体との干渉の有無の判定、車両1の自動制御(誘導制御)、自動制御の解除等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。
CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、表示装置8で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。CPU14aはブレーキセンサ18bの検出結果に基づき算出した制動力の大きさと、車両1の現在の車速とから制動距離を算出することができる。
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、各車輪3に配置され、各車輪3で検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。CPU14aは、各車輪速センサ22のセンサ値に基づいて車両1の車速を算出する場合、四輪のうち最も小さなセンサ値の車輪3の速度に基づき車両1の車速を決定し、各種制御を実行する。また、CPU14aは、四輪の中で他の車輪3に比べてセンサ値が大きな車輪3が存在する場合、例えば、他の車輪3に比べて単位期間(単位時間や単位距離)の回転数が所定数以上多い車輪3が存在する場合、その車輪3はスリップ状態(空転状態)であると見なし、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、図示を省略したブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、CPU14aは、車輪速センサ22の検出結果をブレーキシステム18を介して取得してもよい。
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
周辺監視システム100を実現するECU14は、一例として、車両1の周囲を俯瞰態様で表示する周辺画像を生成するとともに、この周辺画像に車両1を俯瞰態様で表示する自車画像と、車両1が現在の舵角で移動した場合の車両状態(移動位置や車体の向き等)を示す仮想車両画像とを表示する。
ECU14に含まれるCPU14aは、上述したような俯瞰態様の表示を実現するために、図5に示されるように、取得部30、制御部32、走行支援部34、表示切替受付部36、報知部38、出力部40等を含む。そして、取得部30は、舵角取得部30a、周辺画像生成部30b、車両指標取得部30c、留意対象取得部30d、トレーラ連結角度取得部30e等を含む。また、制御部32は、車両指標表示位置制御部32a、表示態様制御部32b、俯瞰表示制御部32c等を含む。走行支援部34は、進路指標取得部34a、車両状態取得部34b、目標位置決定部34c、経路算出部34d、誘導制御部34e等を含む。CPU14aは、これらのモジュールを、ROM14b等の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、それを実行することで実現可能である。
本実施形態において、仮想車両画像は、第1表示モードまたは第2表示モードで表示されうる。図6〜図8は、表示装置8の画面8aに、第1表示モードを表示する画面8bを割り込ませた(スーパーインポーズさせた)例である。図6〜図8は、車両1が後退する場合の例である。例えば図6に示されるように、画面8aには、撮像部15aによって撮像された撮像画像データに基づく後方の実画像が示されている。画面8aには、車両1の後側の端部2eおよび、車両1が現在の舵角で後退走行する際に後輪3R(図2参照)が通過する移動予測線42および車両1の移動方向を示す方向予測線44が示されている。なお、移動予測線42や方向予測線44を表示するか否かは、利用者(運転者)が操作入力部10や操作部14g等を操作することで選択できるようにしてもよい。一方、画面8bは、例えば図6に示されるように、撮像部15が撮像した撮像画像データに基づいて生成した周辺画像46(俯瞰画像)が表示されるとともに、自車画像48(自車アイコン)および車両1が現在の舵角で例えば3m後退走行した場合(所定距離後退走行した場合)に車両1が存在する位置に対応する位置に仮想車両画像50(仮想アイコン)が示されている。すなわち、この表示態様では、例えば3m後方に位置した仮想車両画像50が運転者の操舵に応じて移動する(転回する)こととなる。なお、車両1が前進走行する場合(例えば、シフトが前進(D)レンジの場合)、画面8aには、撮像部15cが撮像した撮像画像データに基づく前方の実画像が、車両1の前側の端部2cとともに表示される。また、画面8bには、自車画像48に対して前方に移動する仮想車両画像50が示される。また、図7、図8の画面8aには、車両1の近傍に存在する他車両52(留意対象、障害物)が映っている例である。一方、画面8bには、画面8aに表示された他車両52に対応する位置に俯瞰態様の他車両52が表示されている。なお、図8の画面8bには、仮想車両画像50と干渉する(接触する)可能性のある他車両52が接近したことを示す警告線54が表示されている例である。なお、本実施形態においては、前述のように測距部16,17にて他車両52の接近を検知しているが、他車両52の接近が検知できれば他の方法を採用してもよい。また、警告線54は、測距部16,17の検出結果に基づいて表示される。
また、図9〜図11は、表示装置8の画面8aに、第2表示モードを表示する画面8bを割り込ませた(スーパーインポーズさせた)例である。図9〜図11は、車両1が後退する場合の例である。画面8aは、撮像部15aによって撮像された撮像画像データに基づく後方の実画像が示されている。画面8aには、第1表示モードと同様に、車両1の後側の端部2eおよび、車両1が現在の舵角で後退走行する際に後輪3R(図2参照)が通過する移動予測線42および車両1の移動方向を示す方向予測線44が示されている。なお、図9は、図7と同様に、画面8aに車両1の近傍に存在する他車両52が映っている例である。また、画面8bは、周辺画像46が表示されるとともに、自車画像48(自車アイコン)および車両1が現在の舵角で例えば3m後退走行した場合(所定距離後退走行した場合)に車両1が向く方向に対応するように旋回した状態の仮想車両画像50(仮想アイコン)が示されている。この場合には、仮想車両画像50は、自車画像48と同じ位置で向きが異なる画像となる。すなわち、仮想車両画像50は、自車画像48に対して所定の回転中心位置を中心に旋回する表示態様となる。なお、この場合の回転中心位置は、車両の前後方向における中央、かつ左右方向における中央としてもよいし、車両の後輪軸(シャフト)の長さ方向における中点位置としてもよい。画面8bの周辺画像46には、画面8aに映り込んでいた他車両52も対応して表示されている。図9に示す例において車両1が前進走行する場合も、上述した図6の説明と同様に、画面8aには、撮像部15cが撮像した撮像画像データに基づく前方の実画像が、車両1の前側の端部2cとともに表示される。一方、画面8bに表示される仮想車両画像50は、図9において仮想車両画像50が後退走行する場合と同様に、車両1が前方に所定距離移動した際の向きに対応する方向に旋回した状態が自車画像48と同じ位置で表示される。すなわち、仮想車両画像50は、自車画像48に対して所定の回転中心位置を中心に旋回する表示態様となる。なお、この場合の回転中心位置は、車両の前後方向における中央、かつ左右方向における中央としてもよいし、車両の後輪軸の中点位置としてもよい。なお、図10は、車両1を二台の他車両52a,52bの間に駐車させる場合の第2表示モードの画面8bが示されている。また、図11は、画面8aに示されるように、連結装置56(ヒッチボール56a)を備える車両1に被牽引車両60が連結アーム62を介して連結されている場合の第2表示モードの画面8bが示されている。この場合、画面8bには、被牽引車表示領域64が形成され、自車画像48と連結された状態の被牽引車画像66(連結画像)が表示される。
上述したような第1表示モードまたは第2表示モードによる表示を実現するために、取得部30は、主として、車両1の周辺を撮像する撮像部15から出力された撮像画像データに基づき車両1の周辺の状況を俯瞰態様で表示する周辺画像46と、周辺画像46に俯瞰態様で表示される車両1を示す自車画像48を取得する。つまり、俯瞰態様の表示を行う場合に必要となる各種情報(データ)を各種センサおよびROM14b、SSD14f等から取得し、例えば、RAM14c等に一時的に保持する。
例えば、舵角取得部30aは、舵角センサ19から出力される操舵部4(ステアリングホイール)の操作状態に関する情報(舵角)を取得する。つまり、運転者がこれから車両1を走行させようとしている方向の舵角を取得する。なお、舵角取得部30aは、シフトセンサ21から取得される変速操作部7の可動部の位置に基づき、車両1が前進可能状態か後退可能状態かを取得して、舵角が前進状態の舵角か後退状態の舵角かを識別できるようにしてもよい。
周辺画像生成部30bは、俯瞰態様の周辺画像46を撮像部15a〜15dで得られる撮像画像データに周知の視点変換処理及び歪み補正処理等を施すことにより得ることができる。このような周辺画像46を表示することで、車両1の周囲の状況をユーザに提示することができる。この周辺画像46は、撮像部15a〜15dが撮像する撮像画像データを用いるため、基本画像として、車両1を中心とする俯瞰画像(画面8bの中央上方に視点がある画像)を得ることができる。別の実施形態では、視点変換処理を実行する際に、視点位置を変更し、車両1の位置を周辺画像46の下端位置に移動させた画像、つまり、主として車両1の前方の領域を俯瞰態様で表示する前方俯瞰画像を得ることができる。逆に、車両1の位置を周辺画像46の上端位置に移動させた画像、つまり、主として車両1の後方の領域を俯瞰態様で表示する後方俯瞰画像を得ることができる。前方俯瞰画像の場合、例えば、第1表示モードで、例えば注意対象が存在しない場合で、仮想車両画像50が車両1の前方に大きく移動する場合に利用しやすい。また、後方俯瞰画像の場合、第1表示モードで、仮想車両画像50が車両1の後方に大きく移動する場合に利用しやすい。一方、車両1(自車画像48)を中央に置く俯瞰画像は、第2表示モードで表示する場合に利用しやすい。なお、本実施形態では、自車画像48は周辺画像46の中央の位置に表示している例を示しているが、利用者(運転者)が操作入力部10等を操作することで自車画像48の表示位置を適宜変更可能としてもよい。
車両指標取得部30cは、車両指標として、車両1の俯瞰態様の自車画像48(自車アイコン)、仮想車両画像50(仮想アイコン)、被牽引車両60を示す被牽引車画像66(トレーラアイコン、図11参照)等をROM14bやSSD14fから取得する。なお、自車画像48および仮想車両画像50の形状は、実際の車両1の形状に対応させることが望ましい。自車画像48および仮想車両画像50の形状を、実際の車両1の形状に対応させることにより、周辺画像46上で撮像画像データに基づいて表示される物体、例えば他車両52や壁等に対する距離感や相対関係をより正確に表現し、運転者に認識させやすくすることができる。なお、自車画像48と仮想車両画像50とは、識別できればよく、表示態様を変化させた同じデータを用いてもよい。例えば、制御部32の車両指標表示位置制御部32aによって、仮想車両画像50を表示する場合の透過度を自車画像48を表示する場合より高くすることにより識別できるようにしてもよい。また、仮想車両画像50と自車画像48との表示色を異ならせたり、点灯表示と点滅表示とで異ならせたりして識別するようにしてもよい。なお、車両1に連結できる被牽引車両60(図11参照)の長さや形状は様々である。したがって、被牽引車画像66は、代表的な被牽引車両60に対応する形状のものを用いたり、図11に示すように、簡易的に線図で示されたアイコンを利用したりしてもよい。
留意対象取得部30dは、車両1を走行させる上で留意すべき対象を、例えば、測距部16,17の検出結果や撮像部15が撮像した撮像画像データ等に基づき取得する。例えば、車両1の周囲を、測距部16,17で探索して、物体、例えば、他車両52や、自転車、歩行者、壁や構造物等の存在の有無、および物体が存在する場合には、その物体までの距離(位置情報)を取得(検出)する。また、路面に付された駐車領域を示す駐車枠線、区画線や停止線等は、撮像部15が撮像した撮像画像データを画像処理することにより検出する。測距部16,17が検出する物体は、仮想車両画像50を表示させた場合に、干渉(接触)するか否か、つまり、車両1が現在の舵角のまま走行可能か否かの判定や、利用者(運転者)に物体の存在を通知し注意喚起をするために、制御部32の車両指標表示位置制御部32aが仮想車両画像50の移動(第1表示モード)または旋回(第2表示モード)を停止させる場合に利用することができる。また、撮像部15が撮像した撮像画像データに基づき検出した駐車枠線、区画線や停止線等は、車両1をその位置まで導くための車両1の操作のタイミングや操作量を通知する場合に利用することができる。なお、留意対象を取得するために、例えば、レーザスキャナ等を用いてもよい。また、撮像部15としてステレオカメラを用いて、撮像画像データから物体の有無や物体までの距離を検出するようにしてもよい。この場合、測距部16,17を省略することもできる。
トレーラ連結角度取得部30eは、車両1に被牽引車両60(トレーラ)が連結されている場合に、車両1と被牽引車両60との連結角度(車両1に対する連結アーム62の角度、連結状態)を、例えば、撮像部15aが撮像した撮像画像データに基づいて検出する。車両1に被牽引車両60が連結されている場合、車両1が走行する場合、車両1の挙動と被牽引車両60の挙動が異なる場合がある。特に、車両1が後退走行する場合、車両1の舵角と現在の連結角度とによって、車両1と被牽引車両60との連結角度が大きくなったり小さくなったりする。そこで、制御部32の車両指標表示位置制御部32aは、取得した連結角度を用いて自車画像48と被牽引車画像66とを表示した状態で、仮想車両画像50を動かすことにより、被牽引車両60(被牽引車画像66)の将来の挙動を推定しやすくする。なお、車両1が被牽引車両60を連結する連結装置56(ヒッチボール56a)が角度センサ等を備えている場合、連結アーム62の連結角度を角度センサから直接取得してもよい。この場合、撮像画像データを画像処理する場合に比べ、CPU14aの処理負荷が軽減される。また、車両1が被牽引車両60を連結するための連結装置56を備えない場合は、トレーラ連結角度取得部30eを省略してもよい。
制御部32は、主として、車両1が現在の舵角で走行した場合の車両状態を俯瞰態様で表示する仮想車両画像50を周辺画像46に自車画像48とともに表示させる制御を実行する。
車両指標表示位置制御部32aは、車両指標取得部30cが取得した車両指標の一つである自車画像48の表示位置を決定する。前述したように、車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50の移動方向に応じて、周辺画像46(俯瞰画像)の視点位置を選択し、その視点位置に応じて自車画像48の表示位置を決定するようにしてもよい。また、車両指標表示位置制御部32aは、車両指標の一つである仮想車両画像50の表示位置を舵角取得部30aが取得した車両1の舵角にしたがって決定する。車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50を第1表示モードで表示する場合、自車画像48の表示位置を基準にして、車両1がそのときの舵角で例えば3m走行した位置に相当する位置まで連続的または間欠的に移動するように周辺画像46(俯瞰画像)上で表示する。この場合、図6、図7等に示すように、車両1が実際に移動する経路を仮想車両画像50が周辺画像46上で移動して行く。つまり、仮想車両画像50を介して俯瞰視で車両1の周囲に存在する物体との位置関係を認識し易く表示することができる。特に、車両1の周囲に他車両52等が存在する場合は、車両1が他車両52に対してどの程度の距離を有しながら接近し、すれ違うことができるか等が俯瞰画像で確認可能となり、利用者に車両1と他車両52との現在から将来における位置関係を直感的に認識させやすくなる。
また、車両指標表示位置制御部32aは、第1表示モードで仮想車両画像50の表示を行う場合、留意対象取得部30dが留意対象を検出した場合に、仮想車両画像50が例えば他車両52に接触する前に、仮想車両画像50を停止するような表示停止位置を取得することができる。つまり、仮想車両画像50が自車画像48から分離して走行して行くような表示を行う場合、他車両52等に接触する前に、仮想車両画像50を停止させて運転者に注意喚起する表示を行うことができる。すなわち、仮想車両画像50が停止した位置までは、他車両52等の障害物と接触することなく車両1を走行させられることを示すことができる。
図12は、車両1が現在の舵角で旋回する場合(後輪軸中心の旋回半径Rで旋回する場合)の車両1と他車両52との接触タイミングを説明する図である。図12は、車両1の前端に搭載された測距部17gが他車両52を検出した場合を示している。例えば、現在舵角で車両1が旋回した場合の測距部17gの旋回半径をRsとし、測距部17gが検出した他車両52までの検出距離をLsとする。また、車両1が現在の舵角で走行(旋回)した場合の、車両1と他車両52とが接触までの偏向角θ(後輪軸中心の旋回角度θ)とすると、2π:θ=Rs:Lsの関係が成り立つ。つまり、θ=2π*Ls/Rsとなる。したがって、車両指標表示位置制御部32aは、自車画像48の表示位置から偏向角θだけ旋回させた位置より手前に仮想車両画像50を表示する表示停止位置を取得することにより、図7に示すように、他車両52等と接触する前に仮想車両画像50を停止する表示を行うことができる。また、図8に示すように、自車画像48の後端から偏向角θだけ旋回させた位置に警告線54を表示することができる。なお、事前の報知として、他車両52と仮想車両画像50とが接触する状態を表示してもよい。
また、車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50を第2表示モードで表示する場合、自車画像48の表示位置で、車両1がそのときの舵角で例えば3m走行した場合の車両1の向きに対応する方向を向くように、周辺画像46(俯瞰画像)上で表示する。この場合、図9、図10等に示すように、仮想車両画像50は、車両1(自車画像48)が現在存在する位置で、車両1の後軸中心位置に対応する位置を中心として車体方向のみを変化させる。つまり、仮想車両画像50を介して俯瞰視で車両1の周囲に存在する物体に対してどのような向きで接近していくかを認識し易く表示することができる。特に、車両1の周囲に他車両52等が存在する場合は、車両1が他車両52に対してどのような角度で接近していくかを俯瞰画像で確認可能となり、利用者の直感的な認識性を向上させやすくなる。
また、車両指標表示位置制御部32aは、被牽引車両60が連結されている場合には、トレーラ連結角度取得部30eが取得した連結角度にしたがい、車両指標取得部30cが取得した被牽引車画像66を周辺画像46(俯瞰画像)上で表示する。例えば、図11に示すように、仮想車両画像50が第2表示モードで表示される場合、自車画像48の将来の旋回方向が仮想車両画像50により俯瞰視で表示されることにより、将来、被牽引車画像66がどちらの方向に旋回する(曲がる)かを直感的に利用者に理解させやすくなる。
表示態様制御部32bは、主として、仮想車両画像50の表示態様を変化させる。例えば、図6に示すように、自車画像48の周囲に留意対象が存在しない場合、つまり車両1の周囲に例えば他車両52が存在しない場合、車両1は現在の舵角のまま走行しても支障がない。一方、図7に示すように、自車画像48の周囲に留意対象が存在する場合、つまり車両1の周囲に例えば他車両52が存在する場合、車両1が現在の舵角のまま走行した場合、他車両52と接触する可能性がある。このような場合、仮想車両画像50と他車両52との距離が所定距離に達した場合、表示態様制御部32bは仮想車両画像50の表示色を例えば、定常時の「緑色」から強調色の「赤色」に変化させ、利用者に対し注意喚起する。
また、別の例では、仮想車両画像50を定常時の点灯状態から点滅状態に変化させて、同様に注意喚起してもよい。また、表示態様制御部32bは、図8に示すように、仮想車両画像50と干渉する(接触する)可能性のある他車両52が接近したことを示す警告線54を表示することができる。警告線54は、留意対象取得部30dによって他車両52が検出され、周辺画像46に表示された時点で表示するようにしてもよいし、仮想車両画像50が他車両52に接近するタイミングで表示してもよい。例えば、仮想車両画像50の表示色が「赤色」に変更されるタイミングより前に予告的に警告線54を表示してもよい。この場合、利用者に対して段階的な警告が可能になり、より利用者の注意を喚起しやすくなる。
また、表示態様制御部32bは、図9、図10に示す第2表示モードの場合、仮想車両画像50が旋回した方向に障害物、例えば他車両52等が存在する場合に、仮想車両画像50の表示色を例えば、定常時の「緑色」から強調色の「赤色」に変化させ、利用者に対し注意喚起する。この場合、運転者は、車両1を停止させた状態で操舵することにより、仮想車両画像50の旋回方向を変化させることが可能であり、車両1が他車両52に接触することなく接近できる舵角を仮想車両画像50の表示色を確認しながら決定することができる。特に、図10に示すように、車両1を二台の他車両52a,52bの間に駐車させる場合は、第2表示モードで表示される仮想車両画像50の向きが他車両52aまたは他車両52bと接触可能性のある向きの場合、定常時の「緑色」から強調色の「赤色」に変化させる。この場合、運転者は、車両1を停止させた状態で左右に操舵することにより、俯瞰視の仮想車両画像50の旋回方向を変化させて、他車両52aまたは他車両52bと接触する舵角、接触しない舵角を探すことができる。その結果、定常時の表示色である例えば「緑色」になる舵角を探すことにより、車両1を他車両52aや他車両52bに接触させることなく、スムーズに後退させ易くなる。
俯瞰表示制御部32cは、画面8bの表示態様を制御する。俯瞰画像である周辺画像46は、例えば、利用者(運転者)が操作入力部10等を介して要求した場合に表示されるようにすることができる。また、周辺画像46は、運転者が走行操作を行う場合に死角が増える後退走行に移行する場合や、留意対象取得部30dが走行方向に留意対象(障害物等)を検出した場合に、表示要求がなされたと見なして表示されるようにすることができる。俯瞰表示制御部32cは、周辺画像46の表示要求を取得した場合に定常時にナビゲーション画面やオーディオ画面が表示されている表示装置8の画面8aを車両1の進行方向を示す実画像を表示するモードに切り替えるとともに、画面8aとともに画面8bを表示する。また、図11に示すように、車両1が被牽引車両60を連結した状態で周辺画像46を表示する要求を取得した場合、周辺画像46に被牽引車表示領域64を形成する。また、図6〜図11の場合、表示装置8の画面8bは、画面8aより相対的に狭い領域で表示されているが、利用者が例えば操作入力部10を介して操作することにより、俯瞰表示制御部32cは、画面8aより画面8bの表示領域を広く表示するように変更してもよい。このように、俯瞰画像を拡大表示可能とすることにより、仮想車両画像50の挙動や他車両52等との位置関係をより認識しやすくすることができる。なお、俯瞰表示制御部32cは、画面8bを表示装置8の全面に表示するようにしてもよい。また、別の実施形態では、画面8bの表示内容を、表示装置12に表示してもよい。この場合、視線移動を最小限にしつつ、俯瞰画像の内容を確認させやすくなる。なお、俯瞰表示制御部32cは、例えば周辺画像46が表示されている状態で、車両1が走行を開始した場合に、仮想車両画像50の表示要求を受けたと見なして表示を開始するようにしてもよい。この場合、例えば、車両1の停止時に仮想車両画像50が表示され続けることが回避され、周辺画像46の表示内容のシンプル化を行うことができる。その結果、車両1の周囲に状況を俯瞰視で確認しやすくなる。また、仮想車両画像50の表示が必要な場合には、車両1を徐々に移動(後退または前進)させることで、仮想車両画像50の表示を開始し、将来の車両1(自車)と周囲との関係を表示するようにしてもよい。この場合、車両1を徐々に動かしながら将来の移動経路の把握をさせることができるので、直近の周囲状況に対応した適切な移動経路の選択を行わせやすくなる。
走行支援部34は、画面8aに表示する移動予測線42や方向予測線44を取得し、運転者が車両1を走行させる場合の支援を行うとともに、駐車領域に車両1を進入させる場合の駐車支援や、駐車領域から車両1を出庫させる場合の出庫支援等を行う。
進路指標取得部34aは、舵角取得部30aが取得した車両1の舵角および変速操作部7(シフトレバー)の位置または操作入力部10等を介して入力された運転者による前進指示または後退指示に基づき、移動予測線42や方向予測線44を取得する。移動予測線42や方向予測線44は、車両1の前方または後方に例えば、3mまで表示させる。なお、運転者が操作入力部10等を操作することにより、表示長さは変更可能としてもよい。移動予測線42は現在の舵角で走行した場合に、車輪3が将来路面のどのあたりを通過するかを示すことができる。また、移動予測線42は車両1の舵角に対応して変化するため、運転者は、例えば、より凹凸の少ない路面を通過できる経路を容易に探索することができる。同様に、方向予測線44は現在の舵角で走行した場合に、車両1が将来進む方向を示すことができる。方向予測線44もまた車両1の舵角に対応して変化するため、運転者は、転舵量を変化させることにより、車両1の周囲の状況と比較しながら車両1の進むべき方向を容易に探索することができる。
車両状態取得部34bは、車両1の走行支援を実行するために車両1の現在の状態を取得する。車両状態取得部34bは、例えば、ブレーキシステム18からの信号に基づき現在の制動力の大きさを取得したり、車輪速センサ22からの検出結果に基づき、車両1の現在の車速や加減速度を取得したりする。また、変速操作部7からの信号に基づき、現在、車両1が前進可能状態か後退可能状態か、停止(駐車)可能状態か等を取得する。
目標位置決定部34c、経路算出部34d、誘導制御部34eは、主として、駐車支援または出庫支援を行う場合に機能する。図13は、周辺監視システム100が例えば、駐車支援モードで動作する場合の仮想車両画像50の表示例を説明する図である。なお、図13は画面8bに表示される周辺画像46の拡大図である。この場合、自車画像48に表示する情報量が多いため画面8bは表示装置8の全面を用いて表示してもよい。駐車支援は、例えば、自動支援モード、半自動支援モード、手動支援モード等がある。自動支援モードは、変速操作部7の切り替え(前進と後退の切り替え)以外の操作(ステアリング操作、アクセス操作、ブレーキ操作等)をECU14側が自動で行うモードである。半自動支援モードは、一部の操作のみを自動で行うモードである。手動支援モードは、経路の案内や操作の案内を行うのみで運転者がステアリング、アクセス、ブレーキ等を操作するモードである。
本実施形態において、仮想車両画像50を第1表示モードで表示する場合、いずれの支援モードの場合でも俯瞰画像である周辺画像46上で仮想車両画像50を自車画像48に対して先行して移動表示して誘導の様子を事前に表示する。実際に車両1を誘導する場合、誘導開始位置から切り返しを行うことなく、直接、駐車目標位置に誘導できる場合と、切り返しや一時停止が何度か必要になる場合がある。図13に示す例は、切り返しが必要となる場合であり、切返ポイント(留意ポイント)で、仮想車両画像50の表示態様を変化させている。この場合、俯瞰態様の仮想車両画像50が先行して誘導経路を移動していくので、事前に周辺の障害物(他車両52等)との位置関係を運転者に把握させやすく、安心感を与えることができる。また、先行して移動する仮想車両画像50によって、留意ポイントが明示されるので、特に半自動支援モードや手動支援モード等で支援が行われる場合、運転者の安心感をより向上させることができる。留意ポイントでは、車両指標表示位置制御部32aが取得した表示停止位置に基づき仮想車両画像50を停止させたり、表示態様制御部32bが仮想車両画像50の表示態様を例えば定常色の「緑色」から注意喚起色の「赤色」に変化させたりする。第1表示モードで仮想車両画像50の表示を行う場合、留意ポイントで仮想車両画像50が停止表示された場合、ECU14は、車両1を留意ポイントに対応する位置まで移動させる。そして、一時停止やシフト切り替えが完了した場合に、制御部32は、再度仮想車両画像50を自車画像48から分離させ、次の注意ポイントに向かうように表示する。この動作を繰り返すことにより、自車画像48(車両1)を駐車目標位置まで誘導する。
実際に車両1対する駐車支援を実行する場合、車両1に設定された基準点、例えば後輪軸の中央に設定された点を駐車可能領域内に設定した駐車目標位置に誘導することで、車両1が駐車可能領域内に収まるようにする。したがって、画面8b上で自車画像48を誘導する場合も、図13に示すように、車両1の基準点に対応する自車画像48の基準点M(例えば後輪軸の中央位置)を誘導経路Lに沿って移動させる。そして、自車画像48を区画線68で区画された駐車場において、他車両52aと他車両52bとの間のスペース(駐車可能領域)に設定された駐車目標位置Nに移動させる。図13の場合、自車画像48の表示位置から分離して移動する仮想車両画像50(50a)が切返ポイントP1に到達すると、車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50(50a)の移動を停止するとともに、表示態様制御部32bが仮想車両画像50(50a)の表示色を例えば強調色の「赤色」に変化させて、この位置で一時停止をするとともに、シフトを後退レンジから前進レンジに切り替えることを運転者に通知する。この場合、仮想車両画像50(50a)は、実際に車両1(自車画像48)が切返ポイントP1に到達するまで、赤色で停止表示される。そして、制御部32は、実際に車両1(自車画像48)が切返ポイントP1に到達して、シフトが前進レンジに切り替えられたら、仮想車両画像50(50b)を定常色である「緑色」の表示態様に切り替え、次の切返ポイントP2に向けて移動させる。仮想車両画像50(50b)は、切返ポイントP2に到達したら停止し、再度、仮想車両画像50(50b)の表示色を例えば「赤色」に変化させて、この位置で一時停止をするとともに、シフトを前進レンジから後退レンジに切り替えることを運転者に通知する。そして、車両1(自車画像48)が切返ポイントP2に到達して、シフトが後退レンジに切り替えられたら、仮想車両画像50(50c)は、定常色である「緑色」の表示態様に切り替え、次の駐車目標位置Nに向けて移動させる。仮想車両画像50(50c)は、駐車目標位置Nに到達したら停止し、再度、仮想車両画像50(50c)の表示色は例えば「緑色」のまま、点滅表示させる等により、この位置で停止をすること(駐車目標位置Nに到達したこと)を運転者に通知する。そして、実際に車両1(自車画像48)が駐車目標位置Nに到達することで駐車支援が終了する。
なお、出庫支援の場合も同様である。例えば、車両1の前部が駐車スペースから走行路に出たところで一旦停止することを通知するために、周辺画像46上で駐車状態の自車画像48から分離した仮想車両画像50の表示色を走行路に出た時点で例えば「赤色」に変化させる。この場合、左右確認を行わせてから、走行路に進入させる。この場合も、俯瞰態様で仮想車両画像50が表示されることにより、周囲の状況を把握させやすく、どの辺りで一旦停止して左右確認を行うべきかを容易に運転者に認識させることができる。
このような駐車支援(出庫支援)を実行するために、目標位置決定部34cは、留意対象取得部30dが撮像部15、測距部16,17から提供される情報に基づいて取得した、車両1の周囲に障害物や路面の駐車枠線や停止線等に基づき、車両1の周辺領域に駐車可能領域68aを検出する。また、目標位置決定部34cは、検出した駐車可能領域68aおよび撮像部15、測距部16,17から提供される情報に基づいて、車両1を誘導するための駐車目標位置Nを決定する。
経路算出部34dは、車両1を当該車両1の現在位置から駐車目標位置に誘導するための(基準点Mを駐車目標位置Nに一致させるような)誘導経路Lを周知の方法により算出する。なお、経路算出部34dは、留意対象取得部30dが取得した車両1の周囲に存在する障害物(他車両52a,52b等)や区画線68等に基づき、留意ポイント(切返ポイント)が必要な場合には、誘導経路上に設定する。
誘導制御部34eは、経路算出部34dが算出した誘導経路Lに基づき、車両1を誘導する。なお、この場合、誘導経路L上に切返ポイントP1等が設定されている場合、その位置で車両1の一旦停止やシフト切替えを促すように、例えば、音声制御部14eを介して音声メッセージを出力したり、表示装置8や表示装置12を用いて文字メッセージの表示やインジケータ表示等を実行したりしてもよい。
表示切替受付部36は、運転者が俯瞰態様の仮想車両画像50の表示要求を操作入力部10や操作部14gを介して行った場合に、操作信号(要求信号)を受け付ける。また、別の実施形態では、例えば、変速操作部7(シフトレバー)が後退レンジに移行した場合に、俯瞰態様の仮想車両画像50の表示要求が成されたと見なし、要求信号を受け付けるようにしてもよい。表示切替受付部36は、操作入力部10や操作部14gを介して、俯瞰態様の仮想車両画像50の表示をキャンセルするキャンセル要求を受け付けることもできる。
報知部38は、留意対象取得部30dが取得した車両1の周囲に存在する障害物(他車両52等)や区画線68等に基づき、車両1の周囲に留意すべき留意対象が存在する場合に、画面8a上にメッセージを表示したり、音声制御部14eを介して音声メッセージを出力したりする。また、報知部38は表示態様制御部32bを用いて、周辺画像46上に表示されている自車画像48や仮想車両画像50の表示態様を変化させて、必要な報知を実行してもよい。出力部40は、制御部32が決定した俯瞰表示内容や走行支援部34が決定した支援内容を表示制御部14dや音声制御部14eに向けて出力する。
上述したように構成される周辺監視システム100による俯瞰画像の表示処理の一例を図14および図15のフローチャートを用いて説明する。なお、以下に示す例の場合、表示装置8は、定常時は、ナビゲーション画面やオーディオ画面、または、車両1の前方領域を示す画面8aが全面に表示されているものとする。
まず、ECU14は、表示切替受付部36が仮想車両画像50の表示要求を受け付けたか否かを確認し(S100)、仮想車両画像50の表示要求を受け付けていない場合(S100のNo)、一旦このフローを終了する。一方、仮想車両画像50の表示要求を受け付けた場合(S100のYes)、俯瞰表示制御部32cは、表示装置8の画面8aを切り替える(S102)。すなわち、定常時にナビゲーション画面やオーディオ画面が表示されている画面8aを車両1の進行方向を示す実画像を表示するモードに切り替えるとともに、例えば、図6等に示されるように、画面8aとともに周辺画像46を表示する画面8bを表示する。
続いて、車両指標取得部30cは、俯瞰態様の自車画像48(自車アイコン)および仮想車両画像50(仮想車両、仮想アイコン)をROM14b等の記憶装置から取得する(S104)。なお、この場合、出力部40と仮想車両画像50は表示態様を変化させるだけで、同じデータを取得するものとしてもよい。また、このとき、トレーラ連結角度取得部30eが被牽引車両60の連結角度を取得している場合には(S106のYes)、車両指標取得部30cは、被牽引車画像66(被牽引車アイコン)を取得する(S108)。なお、トレーラ連結角度取得部30eが被牽引車両60の連結角度を取得していない場合(S106のNo)、つまり、車両1が被牽引車両60を牽引していない場合は、S108の処理をスキップする。なお、車両1が被牽引車両60を牽引している場合でも周囲が暗い等の理由で、撮像部15aが撮像した撮像画像データに基づき連結角度を取得できない場合には、S108の処理をスキップする。
ECU14は、現在の制御状態が、例えば駐車支援モードではない場合(S110のNo)、周辺画像生成部30bが生成する画面8bに表示する周辺画像46(俯瞰画像)を取得する(S112)。続いて、ECU14は、変速操作部7の操作状態や操作入力部10の操作状態に基づき、現在、後方表示モードを要求されているか否かを確認する(S114)。後方表示モードの場合(S114のYes)、例えば、変速操作部7が後退レンジに移行している場合や、操作入力部10等の入力により運転者が後退走行をしようとしている意志を示す信号が取得できた場合、以降の処理で、後方に関する画像を表示する後方表示処理を実行する(S116)。つまり、画面8aには、撮像部15aで撮像した車両1の後方領域の実画像が表示され、画面8bに表示する仮想車両画像50は、後方に移動するように表示される。一方、S114において、後方表示モードではない場合(S114のNo)、例えば、変速操作部7が前進レンジに移行している場合や、操作入力部10等の入力により運転者が前進走行をしようとしている意志を示す信号が取得できた場合、以降の処理で、前方に関する画像を表示する前方表示処理を実行する(S118)。つまり、画面8aには、撮像部15cで撮像した車両1の前方領域の実画像が表示され、画面8bに表示する仮想車両画像50は、前方に移動するように表示される。
続いて、ECU14は、舵角取得部30aを介して舵角センサ19が検出した車両1の舵角を取得する(S120)。そして、車両指標表示位置制御部32aは、S100で仮想車両の表示要求を受け付けたときに、第1表示モードによる表示要求を受けていた場合(S122のYes)、仮想車両画像50を車両1の舵角にしたがう方向に自車画像48から分離して走行していくように表示する(S124)。この場合、仮想車両画像50は連続的に表示されても間欠的に表示されてもよい。この表示態様は運転者によって選択できるようにしてもよい。また、進路指標取得部34aは、車両1の舵角にしたがい、移動予測線42や方向予測線44等を取得し、画面8aの実画像上に重畳する。
このとき、車両指標表示位置制御部32aは、留意対象取得部30dが取得した留意対象(例えば、他車両52等)が仮想車両画像50の移動方向に存在し、干渉(接触)する障害物であると判定した場合(S126のYes)、仮想車両画像50の停止表示位置を算出する(S128)。そして、車両指標表示位置制御部32aは、算出した停止表示位置に仮想車両画像50の表示位置が到達した場合(S130のYes)、例えば、図7に示すように、仮想車両画像50の移動表示を他車両52の直前(停止表示位置)で停止する。また、表示態様制御部32bは、仮想車両画像50の表示態様を強調表示に変更する(S132)。例えば、仮想車両画像50の表示色を定常状態の「緑色」から注意喚起するための「赤色」に変更する。また、表示態様制御部32bは、仮想車両画像50を定常の点灯状態から注意喚起するための点滅状態に変更してもよい。なお、車両指標表示位置制御部32aは、算出した停止表示位置に仮想車両画像50の表示位置が到達していない場合には(S130のNo)、S132の処理をスキップする。つまり、例えば、図6に示すように、仮想車両画像50の表示態様を変更することなく、自車画像48の後方の所定距離(例えば、3mの位置)まで引き続き移動するように表示する。また、S126において、留意対象取得部30dが留意対象を検出していない場合、または、検出しても仮想車両画像50の移動方向には存在しないと判定した場合(S126のNo)、S128〜S132の処理をスキップする。すなわち、図6に示すように、仮想車両画像50の表示態様を変更することなく、自車画像48の後方の所定距離(例えば、3mの位置)まで引き続き移動するように表示する。
続いて、ECU14は、表示切替受付部36を介して仮想車両画像50の表示停止要求を受け付けたか否かを監視し(S134)、受け付いていない場合は(S134のNo)、S110に戻り、引き続き仮想車両画像50の表示を継続する。例えば、S110、S122でモードの変更がなければ、仮想車両画像50は、一度、周辺画像46上から消えて、再び自車画像48の位置から分離して、車両1のそのときの舵角にしたがう方向に移動するように表示される。したがって、車両1の舵角が変更された場合には、前回の表示のときとは異なる方向に移動するように表示される。つまり、他車両52等の障害物を避ける方向に仮想車両画像50を移動させることができる。このように、仮想車両画像50の動きを参照しながら、他車両52と干渉(接触)しないための車両1の舵角を見つけることができる。
S122において、第1表示モードではない(S122のNo)、すなわち第2表示モードによる表示要求を受けていた場合、車両指標表示位置制御部32aは、S104で取得した仮想車両画像50を自車画像48の表示位置で、車両1の現在の舵角で所定距離(例えば3m)後退したときの車体方向に対応する方向に旋回するように表示する(S136)。このとき、進路指標取得部34aは、車両1の舵角にしたがい、移動予測線42や方向予測線44等を取得し、画面8aの実画像上に重畳する。
また、表示態様制御部32bは、留意対象(例えば、他車両52等)が、車両指標表示位置制御部32aが決定した仮想車両画像50の旋回方向に存在し、干渉する障害物であると判定した場合(S138のYes)、仮想車両画像50の表示態様を強調表示に変更した後(S140)、S134に移行する。例えば、図9や図10に示したように、仮想車両画像50を向けた方向に他車両52等が存在する場合、仮想車両画像50の表示色を定常状態の「緑色」から注意喚起するための「赤色」に変更する。また、表示態様制御部32bは、仮想車両画像50を定常の点灯状態から注意喚起するための点滅状態に変更してもよい。なお、仮想車両画像50の旋回方向に留意対象(例えば、障害物)は存在しないと判定した場合(S138のNo)、S140の処理をスキップし、S134の処理に移行する。
なお、S106の処理で被牽引車両60の連結角度が取得され、S108で被牽引車画像66が取得されている場合、俯瞰表示制御部32cは、図11に示すように、画面8bに被牽引車表示領域64を表示する。そして、俯瞰表示制御部32cは現在の被牽引車両60の連結角度にしたがい、自車画像48に連結された状態の被牽引車画像66を表示する。この場合、仮想車両画像50および被牽引車画像66が俯瞰態様で表示される。その結果、仮想車両画像50が第1表示モードまたは第2表示モードで表示されると、仮想車両画像50の挙動にしたがい被牽引車画像66がいずれの方向に旋回するか(曲がるか)を運転者に容易に推定させることができる。
S110の処理で、ECU14は、現在の制御状態が、例えば駐車支援モードである場合(S110のYes)、図15のフローチャートに移行する。目標位置決定部34cは、現在の制御状態が誘導制御開始済みではない場合(S142のNo)、撮像部15の撮像結果、および測距部16,17の検出結果に基づき、駐車目標位置Nを取得する(S144)。また、経路算出部34dは、車両1を現在の位置(基準点)から駐車目標位置まで誘導させるための誘導経路Lを算出する(S146)。そして、ECU14は、周辺画像生成部30bが生成する画面8bに表示する周辺画像46(俯瞰画像)を取得する(S148)。なお、この場合、周辺画像46は、図13に示すように、現在の車両1の位置を示す自車画像48と駐車目標位置Nとが含まれる画像であることが望ましい。
そして、車両指標表示位置制御部32aは、図13で説明したように、仮想車両画像50を誘導経路Lに沿って走行させ(S150)、シフト変更位置(切返ポイント、留意ポイント)に到達したか否かを判定する(S152)。そして、シフト変更位置に到達した場合(S152のYes)、車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50の移動表示を停止する。また、表示態様制御部32bは、仮想車両画像50の表示態様をシフト変更態様で表示する(S154)。例えば、仮想車両画像50の表示色を定常状態の「緑色」から注意喚起するための「赤色」に変更する。また、表示態様制御部32bは、仮想車両画像50を定常の点灯状態から注意喚起するための点滅状態に変更してもよい。この場合、ECU14は、変速操作部7を変更することを示す音声メッセージ等を音声出力装置9を介して出力するようにしてもよい。この間に、車両1(運転者)は、自動または手動によりシフト変更位置まで移動することになる。この場合、強調表示されている仮想車両画像50により、一時停止やシフト切り替えの位置やタイミングを運転者に容易に認識させることができる。また、俯瞰表示される仮想車両画像50や他車両52a、52bにより駐車支援中の位置関係の把握を容易に行わせることができる。
車両状態取得部34bにより変速操作部7が操作されシフト位置が変更済みであることが確認できた場合(S156のYes)、ECU14は、処理を一旦S110に移行して、駐車支援モードが継続しているか確認する。つまり、運転者が、車両1をシフト変更ポイントに移動させたものの、駐車を断念した場合は、S112の処理に移行して、仮想車両画像50の表示処理を実行する。また、駐車支援モードが継続される場合は、S142に移行し、既に誘導制御が開始済みとなるので(S142のYes)、S144〜S148の処理をスキップし、S150の処理に移行し、仮想車両画像50の走行表示を継続する。また、ECU14は、S152で、仮想車両画像50の表示がシフト変更位置に到達していない場合(S152のNo)、S154、S156の処理をスキップし、S158に移行する。
S156でシフト位置が変更されていない場合(S156のNo)、車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50の表示が駐車目標位置Nに到達したか否かを確認し(S158)、まだ到達していない場合(S158のNo)、S110に移行して上述したように、駐車支援の継続の有無を確認しつつ、仮想車両画像50の表示制御を継続する。一方、仮想車両画像50の表示が駐車目標位置Nに到達している場合(S158のYes)、車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50の移動表示を駐車目標位置Nで停止する。また、表示態様制御部32bは、仮想車両画像50を停止態様で表示する(S160)。例えば、仮想車両画像50の表示色を定常状態の「緑色」のまま点滅状態に変更する。このような仮想車両画像50の表示により、現在の舵角のまま車両1が誘導されれば、最終的に駐車目標位置Nに到達できることを運転者に容易に認識させることができる。なお、誘導制御部34eは、車両1(自車)が駐車目標位置Nに到達したか否かを確認し(S162)、まだ、到達していない場合には(S162のNo)、S160の表示を継続する。一方、車両1(自車)が駐車目標位置Nに到達した場合(S162のYes)、このフローを終了する。この場合、ECU14は、音声制御部14eを介して駐車支援が完了した旨を示す音声メッセージを音声出力装置9を用いて通知してもよい。また、表示制御部14dを用いて駐車支援が完了した旨を示す文字メッセージ等を表示装置8を介して通知してもよい。また、ECU14は、所定期間が経過したら、表示装置8の表示を通常表示、例えば、ナビゲーション画面やオーディオ画面に戻してもよい。
このように、本実施形態の周辺監視システム100の場合、仮想車両画像50が俯瞰態様で表示される。その結果、車両1(自車)が現在の舵角のまま走行した場合に、将来どのような位置に移動するか、どの方向を向くか、留意対象(例えば他車両52)との位置関係がどのようになるか等を運転者が直感的に認識できるような態様の表示ができる。その結果、運転者の不安感を軽減し、適切な操作判断を行わせ易くすることができる。つまり、操作負荷の軽減にも寄与できる。
図16は、図6等に示す第1表示モードにより仮想車両画像50を表示する場合の他の表示例を示す図である。図6に示す例の場合、車両1が現在の舵角で例えば3m後退走行した場合(所定距離後退走行した場合)に車両1が存在する位置に対応する位置に仮想車両画像50(仮想アイコン)が移動していく様を一つの仮想車両画像50で表示している。一方、図16に示す例の場合、車両1の現在の舵角で、自車画像48の位置から例えば3m後退走行する仮想車両画像50の移動軌跡を明確に表示するように、仮想車両画像50は例えば一定間隔で像を残しながら表示される。つまり、残像表示対応で、複数の仮想車両画像50を表示することにより車両1が将来どのように移動して行くかを直感的により認識させやすくすることができる。また、車両1(自車画像48)の周囲に障害物が存在する場合には、仮想車両画像50の残像と障害物との位置関係を各位置においてより容易に認識させることができる。さらに、仮想車両画像50が障害物に接近して行く場合、その接近の様子が詳細に表示できる。つまり、残像として表示される複数の仮想車両画像50と障害物との位置関係が表示され続ける。その結果、例えば、障害物に接近し過ぎないようにするためには、事前にどの辺りで進路の修正(舵角の修正)をしたらよいかの検討が、例えば一つの仮想車両画像50が移動するように表示される場合に比べて容易になる。
なお、図16のように、仮想車両画像50の残像を表示する場合も障害物との距離に応じて、仮想車両画像50の表示態様を変化させてもよい。例えば、障害物との相対距離が所定値以下になる場合に、仮想車両画像50の表示色を例えば「黄色」や「赤色」で表示するようにしたり、点灯や点滅の状態を変化させたりしてもよい。この場合、仮想車両画像50がさらに移動していく場合でも、残像として表示される仮想車両画像50の表示色(例えば、黄色や赤色)が維持されるようにすれば、障害物との接近状態の把握が継続的に認識しやすくなる。また、図16に示すように、仮想車両画像50の残像を表示する場合でも、図8に示す例と同様に警告線54が表示される位置で仮想車両画像50の残像表示を止めるようにしてもよい。
図16に示すように残像表示態様で複数の仮想車両画像50を表示する場合、各仮想車両画像50の透過度を例えば図6で示すように一つの仮想車両画像50を表示する場合より高めてもよい。この場合、自車画像48の周囲に障害物等他の表示体が存在する場合でも、その表示体の視認性を低下させ難くすることができる。また、仮想車両画像50の残像の数は、例えば初期設定や運転者による操作で適宜変更可能である。この場合、残像表示される仮想車両画像50の表示間隔は、残像の表示数に応じて、例えば、0.3mごと、0.5mごと等に設定できようにしてもよい。また、図16は、車両1(自車画像48)が後退走行する場合を示しているが、前進走行する場合でも同様に仮想車両画像50を残像表示するようにしてもよい。この場合、例えば、出庫する場合に、隣接する他車両や障害物と接触しないような移動経路の確認を容易に行うことができる。また、隣接する他車両や障害物との相対距離の認識が容易になり、実際に出庫する際の安心感を運転者に与えやすくなる。
図17は、周辺監視システム100(周辺監視装置)による他の表示例であり、車両1の現在の舵角が操舵中立位置である場合の周辺画像46(俯瞰画像)の表示例を示す図である。車両1の現在の舵角が操舵中立位置である場合、つまり、車両1が直進可能な状態の場合、運転者は車両1の将来の位置を容易に予想することができる。このような場合、車両指標表示位置制御部32a、例えば、仮想車両画像50を非表示としてもよい。この場合、実画像を示す画面8aに示される移動予測線42や方向予測線44は、車両1の前後方向(例えば真後ろ)に延びるように表示される。仮想車両画像50を非表示とすることにより、車両1(自車画像48)の周囲状況の把握がより容易に行えるようになる。また、車両1の現在の舵角に対応して表示される仮想車両画像50が非表示となることで、車両1の現在の舵角が、操舵中立位置であること、或いは車両1が直進可能な状態であることを直感的に認識させやすくなる。車両1の現在の舵角が操舵中立位置である場合に仮想車両画像50を非表示とする構成は、上述した第1表示モード、第2表示モード等各表示態様(図6〜図11、図16等)においても適用可能であり、同様の効果を得ることができる。なお、操舵中立位置とは、車両1が実質的に直進走行(後退走行または前進走行)できる舵角に対応する位置で、厳密に「舵角=0°」を意味する必要はない。また、操舵部4(ステアリングホイール)の転舵状態で、操舵中立位置を定義する場合、ステアリングホイールの遊びを考慮して、所定の転舵幅のときに、操舵中立位置であるとしてもよい。
このように、車両1の現在の舵角が操舵中立位置である場合に、仮想車両画像50を非表示とすることで、車両が実質的に直進可能な状態(舵角=0°)であることを直感的に認識させやすくなるとともに、俯瞰態様で表示される周辺画像がシンプル化され、周囲状況をより把握させやすくなる。
また、車両1の現在の舵角が操舵中立位置であるときに仮想車両画像50を非表示とする場合、図17に示すように、自車画像48の端部からの距離を示す指標として、距離表示ライン54a,54bを表示するようにしてもよい。距離表示ライン54aは、例えば、周辺画像46(俯瞰画像)上で、車両1の端部から例えば0.5mに対応する位置に表示され、距離表示ライン54bは、例えば1.0mに対応する位置に表示することができる。このように、仮想車両画像50に代えて距離表示ライン54a,54bが表示されることにより、舵角=0°あることを表示装置8の表示内容により運転者に直感的に認識させやすくなる。また、距離表示ライン54a,54bが表示されることにより、車両1を直進状態で例えば後退走行させて、例えば後方に存在する壁に接近させる場合や駐車枠の後端まで移動させる場合等に、何処まで車両1を後退させられるかを容易に運転者に把握させることができる。なお、図17において、距離表示ライン54a,54bは、車両前後方向にある程度の幅を持たせて表示するとともに、車両前後方向の透過度を段階的に変化させている(グラデーションを付けている)。その結果、距離表示ライン54a,54bの表示態様(強調表示)により認識性を向上させるとともに、障害物が存在する場合にその障害物、路面の状態、路面に付された文字やマーク等を距離表示ライン54a,54bによって遮られる(隠蔽される)ことを抑制し、認識性の低下を軽減している。なお、図17の場合、一例として二本の距離表示ライン54a,54bを表示する例を示しているが、表示本数や表示間隔(車両1(自車画像48)の端部から距離表示ライン54aや距離表示ライン54bまでの距離)は、初期設定や表示要求時の運転者の操作により適宜変更可能である。
図18、図19は、周辺監視システム100を用いた応用例を説明する図である。前述したように、本実施形態の周辺監視システム100は、現在の舵角のまま走行した場合に、将来、車両1(自車)がどの位置に移動するかを表示することができる。そこで、図18、図19に示す応用例では、車両1の通常走行中に制動操作が行われた場合に車両1の停止位置を推定して、仮想車両画像50で表示するものである。
通常の前進走行時には、周辺画像生成部30bは、撮像部15cで撮像した撮像画像データにより前方の実画像を表示装置8の画面8aに表示することができる。そして、ECU14は、ブレーキセンサ18bから制動操作部6(ブレーキペダル)の操作(制動要求)を取得した場合で、留意対象取得部30dが路面70上の前方に停止線72を検出した場合、停止位置表示モードを実行する。この場合、俯瞰表示制御部32cは、表示装置8に画面8b(周辺画像46)を表示する。そして、車両指標表示位置制御部32aは、周辺画像46上に自車画像48を表示する。一方、ECU14は、ブレーキセンサ18bの検出値(踏力)、車輪速センサ22が検出する検出値に基づく車両1の車速、および減速度等に基づき、車両1(自車)の停止予測位置を算出する。そして、車両指標表示位置制御部32aは、停止予測位置に対応する仮想車両画像50(50d)の表示位置を取得する。図18は、運転者の制動操作部6の操作量(ブレーキペダル踏力)が適正であり、仮想車両画像50(50d)が停止線72で停止可能であることを表示している例である。一方、図19は、運転者の制動操作部6の操作量(ブレーキペダル踏力)が停止線72で車両1を停止させるためには不足であり、車両1が停止線72を越えて停止する可能性があることを仮想車両画像50(50e)を用いて表示する例である。図19のような表示が行われた場合、運転者は、ブレーキペダル踏力を増加することにより、例えば図18に示すような停止線72で停止できるような状態に修正することができる。なお、この場合、仮想車両画像50(50e)は、運転者への注意喚起のために、強調表示(例えば、赤色表示や点滅表示)としてもよい。
図18、図19のような、停止位置の表示を仮想車両画像50を用いて実行する場合、仮想車両画像50は、上述した第1表示モードで自車画像48から分離して連続的に移動する態様で表示してもよいが、停止線72を越えてしまうか否かはできるだけ早急に運転者に通知することが望ましい。そのため、車両指標表示位置制御部32aは、仮想車両画像50の停止予測位置を取得した場合、直ちに停止予測位置で仮想車両画像50を表示してもよい。また、制動距離が長い場合、自車画像48と仮想車両画像50とを画面8bに表示できるように、図18、図19に示すように、自車画像48を画面8bの下端に表示するようにしてもよい。また、画面8bの表示倍率を小さくしてより広範囲を表示するようにしてもよい。
このように、仮想車両画像50が迅速に表示されることにより、制動力の増減を適切かつ迅速に調整させることができる。特に、制動力を増加させる場合でも極端な増加(急ブレーキ)となることを回避しやすくさせることができる。なお、運転者の当初の制動操作部6の操作量が過大な場合、仮想車両画像50は停止線72より手前で停止するように表示される。この場合も仮想車両画像50を強調表示することにより、運転者に制動力が大き過ぎることを認識させ、制動力を小さくさせることができる。運転者による制動力の調整が行われた場合、調整に応じて仮想車両画像50の表示位置も変化させてもよい。また、ECU14は、仮想車両画像50の表示状態に応じて適宜音声メッセージ等を出力するようにしてもよい。例えば、「制動力は適正です。」や「制動力が不足しています。もう少し強くブレーキペダルを踏んでください。」や「制動力が大き過ぎます。少し緩めてください。」等のメッセージを出力してもよい。また、仮想車両画像50の表示状態に応じた異なる種類の報知音を出力して同様な内容を通知するようにしてもよい。
なお、図13や図18、図19等で示すように、仮想車両画像50を表示することにより、例えば、車両1が自動制御で走行している場合、または自動制動されている場合、システムの制御内容、つまり、車両1の挙動を運転者に提示できる。この点においても、運転者の安心感の向上に寄与することができる。
本実施形態のCPU14aで実行される仮想車両画像の表示処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、仮想車両画像の表示処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される仮想車両画像の表示処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。