本発明に係る使い捨ておむつの構成について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1は、使い捨ておむつの使用状態の正面斜視図を表し、図2は、図1に示した使い捨ておむつのベルト部材を切断して平面状に展開した状態での使い捨ておむつをバックシート側から見た平面図を表し、図3は、図1に示した使い捨ておむつのベルト部材の表裏を反転させておむつ本体の外面側に移動させた状態での使い捨ておむつをバックシート側から見た平面図を表し、図4は、図3に示した使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図を表し、図5は、図3および図4に示した使い捨ておむつのV−V断面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお図2〜図4では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
使い捨ておむつ1は、おむつ本体2とベルト部材11とを有する。おむつ本体2は、おむつ着用の際に着用者の股間を覆うように装着される部分であり、ベルト部材11は、おむつ着用の際に着用者の左右の腰回りを覆うように装着される部分である。
使い捨ておむつ1およびおむつ本体2は、前後方向yと幅方向xとを有する。前後方向yは、おむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xは、使い捨ておむつ1(特におむつ本体2)と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。使い捨ておむつ1はまた、肌面側と外面側を有する。肌面側とは、おむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、外面側とは、おむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
おむつ本体2は、前後方向yに対して、前腹部Pと股部Rと後背部Qを有する。前腹部Pは、おむつ着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部Qは、おむつ着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。また、前腹部Pと後背部Qとの間に位置し、着用者の股間に当てる部分を股部Rと称する。前腹部Pと股部Rと後背部Qは、おむつ本体2を前後方向yに3分割したときに、ベルト部材11が固定される部分が前腹部Pおよび後背部Qに含まれ、前腹部Pと後背部Qの間のベルト部材11が固定されない部分を股部Rとすることができる。
おむつ本体2には、股部Rに吸収体5が設けられる。吸収体5は少なくとも股部Rに設けられればよく、股部Rから前腹部Pおよび/または後背部Qに延在して設けられることが好ましい。おむつ本体2は、厚み方向zに対して、吸収体5がトップシート3とバックシート4との間に配されることが好ましい。トップシート3はおむつを着用した際に着用者側に位置するシートであり、吸収体5の肌面側に配される。トップシート3は液透過性であることが好ましい。バックシート4は、おむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、吸収体5の外面側に配される。バックシート4は液不透過性であることが好ましい。着用者から排泄された尿等はトップシート3を透過して吸収体5により収容され、バックシート4は排泄物が外部へ漏れるのを防ぐ。
液透過性のトップシート3としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート3として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
液不透過性のバックシート4としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシート4は2以上のシートの積層体から構成されていてもよく、例えば、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。この場合、積層体を構成する少なくとも1つのシートが液不透過性であればよく、また積層体を構成する各シートは同じ大きさであっても異なる大きさであってもよい。液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
吸収体5は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体5としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収体5は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収体5はシート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。この場合もまた、シート状吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
吸収体5の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体5の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体5は、着用者の大腿部に挟まれて幅方向xに圧迫されても歪みにくくする点から、砂時計形、すなわち前後方向yの中間部がくびれた形状に形成されることが好ましい。
トップシート3の幅方向xの両側には、立ち上がりフラップ6が設けられることが好ましい(図5を参照)。立ち上がりフラップ6を設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ6は、例えば、トップシート3の幅方向xの両側に、前後方向yに延在するサイドシート7を接合し、サイドシート7の幅方向xの内方側に起立用弾性部材8を設けることにより形成することができる。このようにサイドシート7と起立用弾性部材8を設けることで、起立用弾性部材8の収縮力によりサイドシート7の幅方向xの内方側が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップ6が形成される。立ち上がりフラップ6またはサイドシート7はバックシート4に使用可能なシート材料から構成することができ、例えば、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
立ち上がりフラップ6(すなわちサイドシート7の幅方向xの内方側)は前後方向yの端部の内面がトップシート3上に接合されてもよく、これにより尿等の前後方向yの外方への漏れが防止される。
上記に説明した各シート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
おむつ本体2の股部Rの幅方向xの両側には、前後方向yに延びる脚用弾性部材が設けられてもよい(図示せず)。脚用弾性部材を設けることにより、着用者の脚回りにギャザーを形成して脚回りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。脚用弾性部材は、少なくとも一部が吸収体5よりも幅方向xの外方に位置するように設けられることが好ましい。
使い捨ておむつ1に設けられる弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)や溶着(例えば、超音波溶着)等の公知の接合手段を用いて、伸張状態で取り付けられることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接合手段としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤が用いられる。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
おむつ本体2の形状(平面形状)は特に限定されない。おむつ本体2の形状は、例えば、長方形、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。なお、おむつ本体2は、着用者の大腿部に挟まれて幅方向xに圧迫されても歪みにくくする点から、砂時計形、すなわち股部Rが前腹部Pと後背部Qよりも幅狭に形成されていることが好ましい。
おむつ本体2の外面側には、幅方向xの一方側と他方側にそれぞれベルト部材11が取り付けられる。具体的には、右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bがおむつ本体2の外面側に取り付けられる。図面に示した使い捨ておむつ1では、おむつ本体2の外面側がバックシート4から構成されており、バックシート4にベルト部材11が取り付けられている。ベルト部材11はおむつ本体2の前腹部Pと後背部Qを繋ぐように取り付けられ、前腹部Pと後背部Qと右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bによって着用者の胴を通すためのウェスト開口部が形成可能となっており、股部Rと右側ベルト部材11Aまたは左側ベルト部材11Bによって着用者の脚を通すための脚開口部が形成可能となっている。
ベルト部材11は、前後方向yの一方側が前腹部Pに固定され、前後方向yの他方側が後背部Qに固定されている。ベルト部材11は、図2〜図4に示すように、前腹部Pに固定された前側固定領域12と、後背部Qに固定された後側固定領域13と、これらの間に位置しおむつ本体2に固定されないベルト中間領域14とを有し、前側固定領域12とベルト中間領域14とは前側境界線15によって区分され、後側固定領域13とベルト中間領域14とは後側境界線16によって区分されている。図3では、前側固定領域12と後側固定領域13がクロスハッチングで示されている。そして、前側境界線15は、幅方向xの内方かつ前後方向yの外方に向かって延びる傾斜線(以下、当該傾斜線を「前側傾斜線」と称する)を含むように形成され、後側境界線16は、幅方向xの内方かつ前後方向yの外方に向かって延びる傾斜線(以下、当該傾斜線を「後側傾斜線」と称する)を含むように形成される。ベルト部材11はこのようにおむつ本体2に取り付けられることにより、図3に示すようにベルト部材11をおむつ本体2(バックシート4)の外面側に位置させたり、ベルト部材11を図3に示した状態からベルト中間領域14の表裏を反転させて折り返すことにより、図1や図2に示すように、ベルト部材11を使い捨ておむつ1の腰回りに位置させることができる。使い捨ておむつ1は、図3に示すように、製造時にベルト部材11をおむつ本体2の外面側に重ねるようにして取り付けることにより、簡便に製造することができる。
ベルト部材11は、トップシート3やバックシート4に使用可能なシート材料から構成すればよい。ベルト部材11は伸縮性を有するものであってもよく、その場合はベルト部材11に弾性部材(ベルト用弾性部材)を設けたり、ベルト部材11を弾性シートから構成すればよい。前者の場合、ベルト部材11は例えば、不織布間に弾性部材が配されて構成される。
ベルト部材11の前側固定領域12と後側固定領域13は、ベルト部材11がおむつ本体2に固定される領域であり、ベルト部材11のおむつ本体2への固定は公知の接合手段により行えばよい。ベルト部材11の前側固定領域12と後側固定領域13は、例えば、接着剤によりおむつ本体2に接着されてもよく、ヒートシールや超音波溶着によって、おむつ本体2に溶着されてもよい。これらは組み合わせて用いてもよい。一方、ベルト中間領域14は、ベルト部材11の前側固定領域12と後側固定領域13の間に位置し、ベルト部材11は当該領域でおむつ本体2に固定されない。
前側固定領域12と後側固定領域13では、当該領域の全面でベルト部材11がおむつ本体2に接合されていてもよく、ベルト部材11が部分的に(例えば、所定の接合パターンで)おむつ本体2に接合されていてもよい。ベルト部材11を接着剤によりおむつ本体2に接合する場合は、前側固定領域12と後側固定領域13で接着剤が全面塗布されてもよいし、網状や線状や散点状等の所定のパターンで塗布されてもよい。例えば、接着剤を線状の接着パターンで塗布する場合は、線状の接着パターンは、直線状であってもよく、曲線状(例えば、蛇行線状やスパイラル状)であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
前側固定領域12は、前後方向yの後側縁が前側境界線15を規定するように形成され、後側固定領域13は、前後方向yの前側縁が後側境界線16を規定するように形成される。前側境界線15は、幅方向xの内方かつ前後方向yの外方に向かって延びる前側傾斜線を含んで形成され、ベルト部材11は前側傾斜線で折り返し可能に形成される。後側境界線16は、幅方向xの内方かつ前後方向yの外方に向かって延びる後側傾斜線を含んで形成され、ベルト部材11は後側傾斜線で折り返し可能に形成される。ベルト部材11は、前側傾斜線と後側傾斜線で折り返さない場合は、ベルト中間領域14がおむつ本体2の股部Rに重なって配され、前側傾斜線と後側傾斜線に沿って折り返すことにより、ベルト中間領域14を使い捨ておむつ1の腰回りに位置させることができる。このようなベルト部材11の折り返しを容易にするために、前側境界線15はその全長の70%以上が前側傾斜線から形成されることが好ましく、当該割合は80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。前側境界線15は、図2や図3に示されるように、全部が前側傾斜線から形成されることが特に好ましい。同様に、後側境界線16はその全長の70%以上が後側傾斜線から形成されることが好ましく、当該割合は80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。後側境界線16は、図2や図3に示されるように、全部が後側傾斜線から形成されることが特に好ましい。前側境界線15と後側境界線16が前側傾斜線または後側傾斜線を含んで所望の形状で形成することを容易にする点からは、前側境界線15と後側境界線16でベルト部材11がおむつ本体2に溶着されていることが好ましい。
前側固定領域12は、ベルト部材11の前側縁またはその近傍まで延在して設けられることが好ましい。従って、前側固定領域12の前側縁は、ベルト部材11の前側縁から15mm以内の領域にあることが好ましく、10mm以内がより好ましく、5mm以内がさらに好ましい。また、前側固定領域12の前側縁の全部がこのような領域にあることが好ましい。後側固定領域13は、ベルト部材11の後側縁またはその近傍まで延在して設けられることが好ましい。従って、後側固定領域13の後側縁は、ベルト部材11の後側縁から15mm以内の領域にあることが好ましく、10mm以内がより好ましく、5mm以内がさらに好ましい。また、後側固定領域13の後側縁の全部がこのような領域にあることが好ましい。
前側固定領域12の前後方向yの長さは、前側境界線15の前後方向yの長さ(前側境界線15の前側端から後側端までの前後方向yの長さ)よりも5mm以上長いことが好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がさらに好ましい。同様に、後側固定領域13の前後方向yの長さは、後側境界線16の前後方向yの長さ(後側境界線16の前側端から後側端までの前後方向yの長さ)よりも5mm以上長いことが好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がさらに好ましい。このように前側固定領域12と後側固定領域13が設けられれば、ベルト部材11がおむつ本体2に強固に固定されやすくなる。一方、前側固定領域12と後側固定領域13のそれぞれの前後方向yの長さの上限は特に限定されないが、例えば250mm以下、あるいは200mm以下でもよい。また、前側固定領域12と後側固定領域13のそれぞれの幅方向xの長さは、ベルト部材11の幅方向xの長さの70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、使い捨ておむつの様々な長さや位置や角度は、使い捨ておむつに設けられる弾性部材(弾性部材が使い捨ておむつに設けられる場合)を完全に伸張させた状態、すなわち、弾性部材を除去した状態あるいは弾性部材を細かく切断して弾性部材の収縮力が発現しない状態で測定する。
ベルト中間領域14は、ベルト部材11において、前側境界線15と後側境界線16を基点としておむつ本体2に対して移動可能に形成される部分であり、使い捨ておむつ1の着用の際に、着用者の左右の腰回りに位置するように使用される。使い捨ておむつ1では、ベルト部材11が、おむつを着用した際にベルト中間領域14が斜め上方に延びるように、おむつ本体2に取り付けられている。従って、前側境界線15の前側傾斜線が前後方向yに対してなす角を角αとし、後側境界線16の後側傾斜線が前後方向yに対してなす角を角βとしたときに、角αと角βはいずれも45°超75°以下となっている。このようにベルト部材11がおむつ本体2に取り付けられていれば、おむつ本体2がベルト部材11によって吊り下げられる形となり、おむつ着用の際に、おむつがずれ落ちにくくなる。また、おむつ本体2の股部Rとベルト部材11によって形成される脚開口部を大きく形成することが容易になる。その上で、使い捨ておむつ1は、角βが角αよりも大きく形成されている。このように使い捨ておむつ1が形成されていれば、おむつ着用の際にベルト中間領域14が後背部Qでより斜め上方に延びる形となるため、おむつ本体2の後背部Qが臀部に沿って引き上げられて着用者の臀部におむつ本体2が密着して、フィット性に優れるものとなる。そのため、おむつの背側からの排泄物の漏れを起こりにくくすることができる。角βは、50°以上が好ましく、55°以上がより好ましく、また70°以下が好ましく、65°以下がより好ましい。一方、角αは、48°以上が好ましく、50°以上がより好ましく、また68°以下が好ましく、63°以下がより好ましく、60°以下がさらに好ましい。また、角βは角αよりも2°以上大きいことが好ましく、3°以上大きいことがより好ましく、5°以上大きいことがさらに好ましい。
ベルト部材11は、後側境界線16の後側端がおむつ本体2の後側縁10よりも前後方向yの内方に位置するように、おむつ本体2に取り付けられていることが好ましい。このようにベルト部材11がおむつ本体2に取り付けられていれば、おむつ本体2が着用者の臀部を広く覆うことが可能となるとともに、おむつを着用の際、おむつ本体2の後側端部(おむつ本体2において後側境界線16よりも前後方向yの外方に位置する部分)がベルト部材11によって支えられ、おむつ本体2の後側端部がおむつの外面側に折れ返りにくくなる。後側境界線16の後側端は、具体的には、おむつ本体2の後側縁10よりも前後方向yの10mm以上内方(より好ましくは20mm以上内方であり、さらに好ましくは30mm以上内方)に位置することが好ましい。なお、後側境界線16の後側端のおむつ本体2の後側縁10からの長さは、後側境界線16の後側端を起点に前後方向yに延ばした直線がおむつ本体2の後側縁10に到達するまでの当該直線の長さを意味する。
ベルト部材11は、前側境界線15の前側端がおむつ本体2の前側縁9よりも前後方向yの内方に位置するように、おむつ本体2に取り付けられていることも好ましい。この場合は、おむつ本体2が着用者の腹側を広く覆うことが可能となるとともに、おむつを着用の際、おむつ本体2の前側端部(おむつ本体2において前側境界線15よりも前後方向yの外方に位置する部分)がベルト部材11によって支えられ、おむつ本体2の前側端部がおむつの外面側に折れ返りにくくなる。前側境界線15の前側端は、具体的には、おむつ本体2の前側縁9よりも前後方向yの10mm以上内方(より好ましくは25mm以上内方であり、さらに好ましくは50mm以上内方)に位置することが好ましい。なお、前側境界線15の前側端のおむつ本体2の前側縁9からの長さは、前側境界線15の前側端を起点に前後方向yに延ばした直線がおむつ本体2の前側縁9に到達するまでの当該直線の長さを意味する。
ベルト部材11は、後側境界線16の後側端が前側境界線15の前側端よりもおむつ本体2の前後方向yの内方に位置するように設けられることが好ましい。すなわち、後側境界線16の後側端のおむつ本体2の後側縁10からの離間距離が、前側境界線15の前側端のおむつ本体2の前側縁9からの離間距離よりも長く形成されていることが好ましい。なお前記離間距離とは、前後方向yに対する離間距離を意味し、離間距離が0mmの場合も含む。このようにベルト部材11がおむつ本体2に取り付けられれば、おむつを着用した際、着用者の腹側よりも背側の方がおむつ本体2によってより広く覆われやすくなる。そのため、着用者が前側への屈曲姿勢をとったときに、着用者の腹側でおむつ本体2が邪魔に感じにくくなるとともに、着用者が仰臥位で寝ているときには、おむつの背側からの排泄物の漏れが起こりにくくなる。
使い捨ておむつ1は、ベルト中間領域14の前後方向yの長さがおむつ本体2の前後方向yの長さよりも短く形成されていることが好ましい。具体的には、前側境界線15の前側端から後側境界線16の後側端までの前後方向yの長さL1が、おむつ本体2の前後方向yの長さL2の95%以下となるように形成されていることが好ましい。このように使い捨ておむつ1を構成することにより、おむつ本体2が着用者の股間を含む腹側から背側に至る広い範囲を覆うようにしつつ、おむつ本体2の前後方向yの長さよりも短い長さで形成されたベルト中間領域14によって、着用者の腰回りのフィット性を高めることができる。そのため、おむつ着用の際に、着用者の股間および腰回りで使い捨ておむつ1が好適に保持され、尿等の排泄物の漏れが起こりにくくなる。前側境界線15の前側端から後側境界線16の後側端までの前後方向yの長さL1は、おむつ本体2の前後方向yの長さL2の93%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、87%以下がさらに好ましい。一方、使い捨ておむつ1の腰回りの長さを確保する点から、前側境界線15の前側端から後側境界線16の後側端までの前後方向yの長さL1は、おむつ本体2の前後方向yの長さL2の50%以上であることが好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、75%以上がさらにより好ましい。なお、前側境界線15の前側端から後側境界線16の後側端までの前後方向yの長さとは、前側固定領域12の後側縁の最前部から後側固定領域13の前側縁の最後部までの長さを意味する。
おむつ本体2は、後側縁10が幅方向xに延びる直線部を含み、当該直線部はおむつ本体2の幅方向xの長さの50%以上を有することが好ましい。このようにおむつ本体2が形成されていれば、おむつ本体2が後側端部において着用者の背側を広く覆うことが可能となる。また、ベルト中間領域14がおむつ本体2の後背部Qから斜め上方に延びるように形成されているため、おむつを着用の際、おむつ本体2の後側端部の幅方向xの両側がベルト部材11によって覆われて、おむつ本体2の後側端部の着用者の肌への密着性を高めやすくなる。おむつ本体2はまた、前側縁9が幅方向xに延びる直線部を含み、当該直線部がおむつ本体2の幅方向xの長さの50%以上を有するように形成されることも好ましい。この場合は、おむつ本体2が前側端部において着用者の腹側を広く覆うことが可能となり、またベルト部材11によって、おむつ本体2の前側端部の着用者の肌への密着性を高めることが可能となる。おむつ本体2の前側縁9および/または後側縁10に含まれる幅方向xに延びる直線部は、好ましくはおむつ本体2の幅方向xの長さの60%以上の長さを有し、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。おむつ本体2の前側縁9および/または後側縁10は全部が幅方向xに延びる直線部から形成されていてもよい。なお、ここで説明した直線部の長さは、直線部が連続的に延びる長さを意味する。また直線部は、おむつ本体2の幅方向xの中心を通るように形成されることが好ましい。
前側境界線15および/または後側境界線16は吸収体5と重なって形成されることが好ましい。このように前側境界線15および/または後側境界線16が形成されていれば、おむつ本体2の前側境界線15や後側境界線16での剛性が高まる。そのため、おむつを着用の際におむつ本体2が前側境界線15や後側境界線16でベルト部材11によって引っ張られても、前側境界線15や後側境界線16でおむつ本体2が折れ曲がりにくくなり、おむつの着用感が向上する。好ましくは、前側境界線15と後側境界線16の両方が吸収体5と重なって形成される。また、ベルト部材11をおむつ本体2に安定して固定する点から、前側固定領域12および/または後側固定領域13が吸収体5と重なって形成されることが好ましく、前側固定領域12と後側固定領域13の両方が吸収体5と重なって形成されることがより好ましい。
前側固定領域12および/または後側固定領域13は、前後方向yの長さが幅方向xの内方側よりも外方側の方が長く形成されていることが好ましい。ベルト部材11の幅方向xの外方側は、おむつを着用した際に着用者の脚の動きにより影響を受けやすい。そのため、前側固定領域12および/または後側固定領域13の前後方向yの長さを幅方向xの外方側でより長く形成して、前側固定領域12および/または後側固定領域13が幅方向xの外方側でより広い面積となるように形成することで、おむつを着用した際に、ベルト部材11がおむつ本体2から剥がれにくくすることができる。好ましくは、前側固定領域12と後側固定領域13の両方が、前後方向yの長さが幅方向xの内方側よりも外方側の方が長く形成される。
後側固定領域13は前側固定領域12よりも広い面積で形成されることが好ましい。使い捨ておむつ1は、着用者が前側へ屈曲姿勢をとったときに背側の部分が伸ばされ、この場合、後側固定領域13でベルト部材11がおむつ本体2から剥離する力が大きく作用しやすくなる。これは、着用者が後側へ仰け反る姿勢をとったときに前側固定領域12に作用する剥離力と比べて大きな力となりやすい。そのため、後側固定領域13を前側固定領域12よりも広い面積で設けることにより、ベルト部材11が安定しておむつ本体2に固定されやすくなる。
ベルト部材11は、使い捨ておむつ1の腰回りのフィット性を高める観点から、伸縮性であることが好ましい。この場合、ベルト部材11は、少なくともベルト中間領域14において前後方向yに伸縮性を有することが好ましい。このようにベルト部材11を形成するために、ベルト部材11の少なくともベルト中間領域14に前後方向yに延びるベルト用弾性部材を設けることが好ましい。
ベルト部材11にベルト用弾性部材が設けられ、おむつ本体2の幅方向xの両側に脚用弾性部材が設けられる場合は、ベルト用弾性部材は脚用弾性部材よりも強い収縮力で設けられることが好ましい。このようにベルト用弾性部材と脚用弾性部材を設けることにより、おむつ着用の際に、着用者の腰回りでのフィット性が高まるとともに、着用者の脚回りでは脚用弾性部材が強く当たりにくくなり、おむつの着用感を向上することができる。なお、各弾性部材の収縮力は、次のように測定する。まず、使い捨ておむつに取り付けられた弾性部材を伸張させて、使い捨ておむつを図3に示すように完全に広げた状態で、弾性部材の伸張長さLを測定する。次いで、当該弾性部材を使い捨ておむつから取り外して長さLまで伸ばしたときの収縮力を測定することにより、弾性部材の収縮力を求める。各弾性部材が複数本設けられている場合は、複数本の弾性部材の収縮力を求める。
ベルト部材11の前後方向yの長さは、おむつ本体2の前後方向yの長さと同じか、それよりも短く形成されることが好ましい。ベルト部材11が伸縮性を有する場合は、ベルト部材11を伸張した状態の前後方向yの長さがこのように形成されることが好ましい。
ベルト部材11の幅方向xの長さ(右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bのそれぞれの幅方向xの長さ)はおむつ本体2の幅方向xの長さの50%以下であることが好ましく、右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bは互いに重ならないようにおむつ本体2に設けられることが好ましい。右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bはまた、おむつ本体2の幅方向xの長さの3%以上離間して設けられることが好ましい。このようにベルト部材11が設けられれば、おむつを着用した際におむつ本体2がベルト部材11によって幅方向xに引っ張られて、おむつ本体2が着用者の腹側や背側で幅方向xに広がりやすくなる。なお、ベルト部材11の幅方向xの長さはおむつ本体2の幅方向xの長さの20%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、35%以上がさらに好ましい。また、右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bの離間距離は、おむつ本体2の幅方向xの長さの5%以上であることがより好ましく、また50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。なお、ここで説明した右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bの離間距離とは、右側ベルト部材11Aと左側ベルト部材11Bが幅方向xに最も近接した部分での離間距離を意味する。
ベルト部材11は例えば長方形状に形成されることが好ましい。この場合、使い捨ておむつ1の製造を簡便にすることができる。ベルト部材11はまた、ベルト中間領域14がおむつ本体2の外面側に位置する状態で、ベルト中間領域14の幅方向xの内方縁が幅方向xの外方に膨らんだ形状に形成されることも好ましい。この場合、ベルト中間領域14は、例えば、幅方向xの内方縁が幅方向xの外方に湾曲する部分を含むように形成される。ベルト中間領域14の幅方向xの内方縁は、おむつを着用した際に着用者の腰回りでベルト部材11の上方縁を形成するため、このようにベルト中間領域14を形成することにより、おむつ着用の際にベルト部材11の上方縁が下方に折れ曲がりにくくなり、おむつの着用感を向上することができる。
なお、図面に示した使い捨ておむつ1では、おむつ本体2の前側縁9と後側縁10が幅方向xに延びる直線部から形成され、ベルト部材11の前側境界線15と後側境界線16がおむつ本体2の前側縁9および後側縁10から前後方向yの内方に位置するように形成されていたが、本発明の使い捨ておむつは、おむつ本体の前側縁と後側縁がおむつの幅方向の外方かつ前後方向の内方に延びる傾斜辺部を含んで形成され、この前側縁と後側縁の傾斜辺部に沿ってベルト部材がおむつ本体に取り付けられているものであってもよい。