以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る画像形成装置1は、マゼンダ、イエロー、シアン、ブラックの各色を用いてカラー画像を形成する装置である。図1に示されるように、画像形成装置1は、用紙Pを搬送する記録媒体搬送ユニット10と、静電潜像を現像する現像装置20と、トナー像を用紙Pに二次転写する転写ユニット30と、周面に画像が形成される静電潜像担持体である感光体ドラム40と、トナー像を用紙Pに定着させる定着装置50と、を備えている。
記録媒体搬送ユニット10は、画像が形成される記録媒体としての用紙Pを収容すると共に、用紙Pを搬送経路R1上に搬送する。用紙Pは、カセットKに積層されて収容される。記録媒体搬送ユニット10は、用紙Pに転写されるトナー像が二次転写領域R2に到達するタイミングで、用紙Pを搬送経路R1を介して二次転写領域R2に到達させる。
現像装置20は、各色ごとに4個設けられている。各現像装置20は、トナーを感光体ドラム40に担持させる現像ローラ21を備えている。現像装置20では、トナーとキャリアとが混合撹拌されて十分に帯電された後、トナーとキャリアとの混合によって生成される現像剤を現像ローラ21に担持させる。そして、現像ローラ21の回転により現像剤が感光体ドラム40と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ21に担持された現像剤のうちのトナーが感光体ドラム40の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。
転写ユニット30は、現像装置20で形成されたトナー像を用紙Pに二次転写する二次転写領域R2に搬送する。転写ユニット30は、転写ベルト31と、転写ベルト31を懸架する懸架ローラ31a,31b,31c,31dと、感光体ドラム40と共に転写ベルト31を挟持する一次転写ローラ32と、懸架ローラ31dと共に転写ベルト31を挟持する二次転写ローラ33と、を備えている。
転写ベルト31は、懸架ローラ31a,31b,31c,31dにより循環移動する無端状のベルトである。一次転写ローラ32は、転写ベルト31の内周側から感光体ドラム40を押圧するように設けられる。二次転写ローラ33は、転写ベルト31の外周側から懸架ローラ31dを押圧するように設けられる。
感光体ドラム40は、色ごとに4個設けられている。各感光体ドラム40は、転写ベルト31の移動方向に沿って設けられている。感光体ドラム40の周上には、現像装置20と、帯電ローラ41と、露光ユニット42と、クリーニングユニット43と、が設けられている。
帯電ローラ41は、感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる。露光ユニット42は、帯電ローラ41によって帯電した感光体ドラム40の表面を、用紙Pに形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム40の表面のうち露光ユニット42により露光された部分の電位が変化し、静電潜像が形成される。4個の現像装置20は、それぞれの現像装置20に対向して設けられたトナータンク22から供給されたトナーによって感光体ドラム40に形成された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。各トナータンク22内には、それぞれ、マゼンダ、イエロー、シアン及びブラックのトナーが充填されている。クリーニングユニット43は、感光体ドラム40上に形成されたトナー像が転写ベルト31に一次転写された後に感光体ドラム40上に残存するトナーを回収する。
定着装置50は、転写ベルト31から用紙Pへ二次転写されたトナー像を用紙Pに定着させる。定着装置50は、用紙Pを加熱する無端状の定着ベルト51と、定着ベルト51を押圧する加圧ロール52とを備えている。定着ベルト51及び加圧ロール52は円筒状に形成されている。定着ベルト51と加圧ロール52との間には接触領域であるニップ部N(図2参照)が設けられ、ニップ部Nに用紙Pを例えば搬送方向D1に通過させることにより、トナー像を用紙Pに溶融定着させる。
定着ベルト51は、発熱層を有する回転体として機能する。定着ベルト51は、例えば、内周面に形成された発熱層と、外周面に形成された表面離型層とを備えている。定着ベルト51の発熱層は、例えば厚みが10〜100μmのNi−Cu複合層から構成される金属層であり、定着ベルト51の表面離型層は、例えば厚さが10〜100μmのPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)から構成される。
また、画像形成装置1には、定着装置50によりトナー像が定着された用紙Pを装置外部へ排出するための排出ローラ61及び62が設けられている。
次に、画像形成装置1の動作について説明する。画像形成装置1に被記録画像の画像信号が入力されると、画像形成装置1の制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラ41により感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる。その後、露光ユニット42により感光体ドラム40の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
一方、現像装置20では静電潜像が現像されてトナー像が形成される。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム40と転写ベルト31とが対向する領域において、感光体ドラム40から転写ベルト31へ一次転写される。転写ベルト31には、4個の感光体ドラム40上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、懸架ローラ31dと二次転写ローラ33とが対向する二次転写領域R2において、記録媒体搬送ユニット10から搬送された用紙Pに二次転写される。
積層トナー像が二次転写された用紙Pは、定着装置50へ搬送される。用紙Pを定着ベルト51と加圧ロール52との間で熱及び圧力を加えながら通過させることにより、積層トナー像を用紙Pへ溶融定着させる。その後、用紙Pは、排出ローラ61及び62によって画像形成装置1の外部へ排出される。
ここで、定着装置50についてより詳細に説明する。
図2に示されるように、定着装置50は、上述した定着ベルト51及び加圧ロール52と、定着ベルト51の内部に設けられる定着ロール53と、定着ベルト51を加熱する磁界発生装置(磁界発生手段)56と、定着ベルト51の内側に配置される第1の感温磁性合金54及び第2の感温磁性合金55とを備えている。外側から順に、磁界発生装置56、定着ベルト51、第1の感温磁性合金54、及び第2の感温磁性合金55が配置されている。定着ベルト51は、磁界発生装置56が発生する磁界に応じて加熱される被加熱回転体である。定着ロール53には、定着ベルト51が巻き付けられている。定着ロール53と定着ベルト51との間には接触圧が働くようになっており、この接触圧によって上述したニップ部Nが形成される。また、定着ロール53の回転が定着ベルト51に伝達されることにより定着ベルト51が回転を行う。
磁界発生装置56は、定着ベルト51の上方(外側)で磁界を発生させる。磁界発生装置56は、定着ベルト51を加熱するコイル部56Aと、コイル部56Aを覆う磁場遮蔽部56Bとを備えている。コイル部56Aは、定着ベルト51の上方で一対に設けられており、定着ベルト51の回転経路における上方側の部分を覆うように設けられている。磁場遮蔽部56Bは、コイル部56Aから発生する磁場を遮蔽するために設けられる。磁界発生装置56の出力周波数は、例えば20kHz〜100kHzである。
第1の感温磁性合金54は、定着ベルト51の内側に配置されている。第1の感温磁性合金54は、磁界発生装置56による磁界の発生位置で定着ベルト51と接触している。第1の感温磁性合金54は、定着ベルト51の内側における上部位置に設けられており、定着ベルト51の内周における上方側の部分に接触している。第1の感温磁性合金54の断面は円弧状となっており、第1の感温磁性合金54の外周面が定着ベルト51の内周面に接触している。第1の感温磁性合金54は、キュリー温度で磁性が変化する材料で構成されている。第1の感温磁性合金54は、第1の感温磁性合金54のキュリー温度である第1のキュリー点T1未満であるときに強磁性体となり、第1のキュリー点T1以上であるときに非磁性体となる。第1の感温磁性合金54の厚さは、例えば0.3mmである。
第2の感温磁性合金55は、第1の感温磁性合金54の内側に配置されている。第2の感温磁性合金55は、第1の感温磁性合金54の内側に設けられている。第2の感温磁性合金55の断面は円弧状となっており、第2の感温磁性合金55の外周面は第1の感温磁性合金54の内周面に接触している。第2の感温磁性合金55も、第1の感温磁性合金54と同様、キュリー温度で磁性が変化する材料で構成されている。第2の感温磁性合金55は、第2の感温磁性合金55のキュリー温度である第2のキュリー点T2未満であるときに強磁性体となり、第2のキュリー点T2以上であるときに非磁性体となる。第2の感温磁性合金55の厚さは、第1の感温磁性合金54の厚さよりも厚くなっており、例えば0.6mmである。
定着装置50において、環状に形成される定着ベルト51の径は、定着ロール53の径よりも大きい。例えば、定着ベルト51の径を40mm、定着ロール53の径を35mmとすることができる。また、加圧ロール52の径は、定着ロール53の径より小さくすることができ、例えば30mmである。
第1の感温磁性合金54における第1のキュリー点T1は、第2の感温磁性合金55における第2のキュリー点T2よりも高い。例えば、第1のキュリー点T1は180℃以上且つ240℃以下であり、第2のキュリー点T2は40℃以上且つ170℃以下である。また、定着ベルト51が定着時で通常に制御されるときの定着ベルト51の表面温度、すなわち、通常の印刷時における定着ベルト51の温度Tは、第1のキュリー点T1より低く且つ第2のキュリー点T2より高い。この温度Tは、例えば140℃以上且つ200℃以下である。
以上のように、定着装置50、及び定着装置50を備えた画像形成装置1では、磁界発生装置56によって定着ベルト51と第1の感温磁性合金54と第2の感温磁性合金55の全てが自己発熱するため、昇温を速く行うことができ、プリント開始時における昇温性能を高めることができる。
また、第1の感温磁性合金54における第1のキュリー点T1と第2の感温磁性合金55における第2のキュリー点T2とが異なっている。よって、第1のキュリー点T1と第2のキュリー点T2とに応じた各感温磁性合金54,55の磁性化及び非磁性化を利用して、所定の温度までは自己発熱を促進させることによって昇温効率を高くすることができる。また、上記所定の温度となった場合には、非磁性体として磁束を打ち消すこととなるので、過昇温を抑えることができる。このように、定着ベルト51に効率的に熱を供給すると共に温度制御を精度よく行うことが可能となる。
また、定着ベルト51と第1の感温磁性合金54と第2の感温磁性合金55とは接触しているので、定着ベルト51と第1の感温磁性合金54と第2の感温磁性合金55との間における熱伝達が速やかに行われる。従って、定着ベルト51の昇温をより速めることができる。
また、第2の感温磁性合金55における第2のキュリー点T2は、第1の感温磁性合金54における第1のキュリー点T1よりも低い。よって、温度が第2のキュリー点T2に到達したときに第2の感温磁性合金55を非磁性体として機能させることができ、更に温度が第1の感温磁性合金54に到達したときには第1の感温磁性合金54も非磁性体として機能させることができる。従って、温度が第1のキュリー点T1に到達したときに第1の感温磁性合金54及び第2の感温磁性合金55が自己発熱しなくなるので、過昇温を抑えることができる。
また、第1の感温磁性合金54と接触している第2の感温磁性合金55の第2のキュリー点T2は、通常の印刷時における定着ベルト51の温度Tよりも低い。このように第2のキュリー点T2を通常の印刷時における定着ベルト51の温度Tよりも低く設定しているので、通常の印刷時において第2の感温磁性合金55は非磁性体となり発熱しない。従って、第2の感温磁性合金55による発熱が抑制されるので、消費電力の抑制にも寄与する。
図3に示されるように、本実施形態では、第1の感温磁性合金54の第1のキュリー点T1は通常の印刷時における温度Tよりも高く、第2の感温磁性合金55の第2のキュリー点T2は通常の印刷時における温度Tよりも低い。よって、温度が第2のキュリー点T2未満である場合には、第1の感温磁性合金54及び第2の感温磁性合金55が共に磁性体として機能するので、従来の場合と比較して昇温を効率よく行うことができる。
また、温度が第2のキュリー点T2以上である場合には、第2の感温磁性合金55は非磁性体となるが、磁性体として機能する第1の感温磁性合金54と定着ベルト51とは接触しており、第1の感温磁性合金54と定着ベルト51との間における熱伝達を効率よく行える。従って、従来の場合よりも昇温効率がよい。このように、本実施形態では、通常の印刷時における温度Tに到達するまでの時間t1を、従来の場合における時間t2よりも短くすることができる。ここで、例えば、時間t1は10sであり、時間t2は12sである。
更に、第2の感温磁性合金55の厚さは、第1の感温磁性合金54の厚さよりも厚い。よって、温度が第1のキュリー点T1に近づいたときに、非磁性体である第2の感温磁性合金55が昇温をより確実に抑えるので、過昇温を一層確実に抑えることができる。
以上、上述した第1実施形態において、発熱層を有する回転体が定着ベルト51である例について説明したが、この回転体としては定着ベルト以外のものを用いることも可能である。すなわち、定着ベルト51に代えて、例えば円筒状の剛体であるローラを用いてもよい。
また、第1実施形態では、第1のキュリー点T1が通常の印刷時における温度Tよりも高く、第2のキュリー点T2が通常の印刷時における温度Tよりも低い例について説明した。しかし、第1のキュリー点T1、第2のキュリー点T2及び温度Tの関係は、上記の例に限られず、第1のキュリー点T1と第2のキュリー点T2とが異なっていればよい。
また、加圧ロール52の径を定着ロール53の径よりも小さくしたが、加圧ロールの径は、定着ロールの径と同程度であってもよいし、定着ロールの径より大きくてもよい。このように、加圧ロール及び定着ロールの径は適宜変更可能である。
また、磁界発生装置56の出力周波数は20kHz〜100kHzであったが、この出力周波数については適宜変更可能である。更に、磁界発生装置の構成についても適宜変更可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る画像形成装置101について説明する。
(画像形成装置の全体構成)
図4に示すように、画像形成装置101は、搬送ユニット110、転写ユニット120、感光体ドラム130、4つの現像ユニット200、及び、定着装置140を含んで構成される、ゼログラフィーを用いた画像形成装置である。
搬送ユニット110は、最終的に画像が形成される記録媒体としての用紙Pを収容すると共に、用紙Pを記録媒体搬送路上に搬送する。用紙Pは、カセットCに積層して収容される。搬送ユニット110は、用紙Pに転写されるトナー像が二次転写領域Rに到達するタイミングで、用紙Pを二次転写領域Rに到達させる。
転写ユニット120は、4つの現像ユニット200により形成されたトナー像を、用紙Pに二次転写する二次転写領域Rに搬送する。転写ユニット120は、転写ベルト121と、転写ベルト121を懸架する懸架ローラ121a、121b、121c及び121dと、感光体ドラム130と共に転写ベルト121を挟持する一次転写ローラ122と、懸架ローラ121dと共に転写ベルト121を挟持する二次転写ローラ124とを含んで構成される。
転写ベルト121は、懸架ローラ121a、121b、121c及び121dにより循環移動される無端状のベルトである。一次転写ローラ122は、転写ベルト121の内周側から感光体ドラム130を押圧するように設けられる。一方、二次転写ローラ124は、転写ベルト121の外周側から懸架ローラ121dを押圧するように設けられる。また、転写ユニット120は、転写ベルト121に付着したトナーを除去するベルトクリーニング装置等を更に備えていてもよい。
感光体ドラム130は、周面に画像が形成されるドラム状の静電潜像担持体であり、例えばOPC(Organic PhotoConductor)からなる。本実施形態に係る画像形成装置101は、カラー画像を形成可能な装置であり、例えばマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色に対応して、4つの感光体ドラム130が転写ベルト121の移動方向に沿って設けられている。各感光体ドラム130は、ドラムモータ135によって動作させられる。各感光体ドラム130の周上には、図4に示すように、帯電ローラ132、露光ユニット134、ドラムモータ135、クリーニングユニット138、及び、現像ユニット200がそれぞれ設けられている。
帯電ローラ132は、帯電電圧の印加により感光体ドラム130の表面を所定の電位に均一に帯電させる。帯電ローラ132は、感光体ドラム130に近接もしくは当接しており、微小GAP放電を利用して上述した均一帯電を行う。露光ユニット134は、帯電ローラ132により帯電した感光体ドラム130の表面を、用紙Pに形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム130の表面のうち露光ユニット134により露光された部分の電位が変化し、静電潜像が形成される。4つの現像ユニット200は、現像電圧の印加により、各現像ユニット200に対応して設けられたトナータンク136から供給されたトナーによって感光体ドラム130に描画された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。4つのトナータンク136内には、それぞれ、マゼンダ、イエロー、シアン、及び、ブラックのトナーが充填されている。
クリーニングユニット138は、感光体ドラム130上に形成されたトナー像が転写ベルト121に一次転写された後に感光体ドラム130上に残存するトナーを回収する。クリーニングユニット138は、例えばクリーニングブレードを設け、感光体ドラム130の周面にクリーニングブレードを当接させることにより感光体ドラム130上の残トナーをそぎ落とす構成を用いることができる。また、クリーニングユニット138は、感光体ドラム130の周上に、感光体ドラム130の表面電位を制御する除電ランプ139を有している。除電ランプ139は、点灯することによって感光体ドラム130の表面を除電するイレースランプである。除電ランプ139は、画像形成時(プリント時)に動作することにより感光体ドラム130の表面電位を所望の値とするとともに、転写後等の非画像形成時に動作することで、画像形成後の感光体ドラム130の残留電荷を感光体ドラム130の光減衰電圧以下にし、表面電位をリセットする。除電ランプ139によって、残留電荷による帯電電位の不安定さの解消や、画像におけるゴーストの発生が抑制される。なお、非画像形成時には、プリント動作前やプリント動作後だけでなく、複数ページにわたって画像形成が行われる場合のページ間も含まれる。
定着装置140は、加圧回転体142と発熱回転体144とを含んで構成されており、転写ベルト121から用紙Pへ二次転写されたトナー像を用紙Pに付着させ、定着させる。定着装置140に関する詳細は後述する。
また、画像形成装置101には、定着装置140によりトナー像が定着された用紙Pを装置外部へ排出するための排出ローラ152及び154が設けられている。
次に、画像形成装置101の動作について説明する。画像形成装置101に被記録画像の画像信号が入力されると、画像形成装置101の制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラ132により感光体ドラム130の表面を所定の電位に均一に帯電させた後、露光ユニット134により感光体ドラム130の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
一方、現像ユニット200では、トナーとキャリアとを混合攪拌して十分に帯電させた後、トナーとキャリアとを混合することで生成される、二成分現像方式における現像剤を現像ローラ210に担持させる。そして、現像ローラ210の回転により現像剤が感光体ドラム130と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ210に担持された現像剤のうちのトナーが感光体ドラム130の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム130と転写ベルト121とが対向する領域において、感光体ドラム130から転写ベルト121へ一次転写される。転写ベルト121には、4つの感光体ドラム130上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、懸架ローラ121dと二次転写ローラ124とが対向する二次転写領域Rにおいて、搬送ユニット110から搬送された用紙Pに二次転写される。
積層トナー像が二次転写された用紙Pは、定着装置140へ搬送される。用紙Pを発熱回転体144と加圧回転体142との間で熱及び圧力を加えながら通過させることにより、積層トナー像を用紙Pに溶融定着させる。その後、用紙Pは、排出ローラ152及び154により画像形成装置101の外部へ排出される。一方、転写ベルト121は、ベルトクリーニング装置を備える場合、積層トナー像が用紙Pへ二次転写された後、転写ベルト121に残存するトナーをベルトクリーニング装置により除去してもよい。
(定着装置の構成)
次に、定着装置140の詳細な構成について図5及び図6を参照して説明する。図5に示されるように、定着装置140は、回転軸周りに回転可能な円筒状の部材である加圧回転体142及び発熱回転体144と、発熱回転体144の外側に配置された励磁コイル145と、励磁コイル145を覆うように配置された磁性体コア146と、を備えている。本実施形態では、磁束を発生する励磁コイル145と、磁束の磁路を形成する磁性体コア146と、によって磁界発生手段が構成されている。
加圧回転体142は、発熱回転体144を押圧するように設けられた回転体であり、例えば硬度JISA65度のシリコーンゴムによって構成されている。加圧回転体142は、耐摩耗性や離形性を高めるために、その表面がフッ素樹脂等でコーティングされていてもよい。また、加圧回転体142はいわゆるスポンジタイプの発砲体であってもよい。また、加圧回転体142は、熱の拡散を防止するために、熱伝導性の小さい材料によって構成されていてもよい。加圧回転体142の軸方向の長さは例えば210〜370mmであり、その外形は例えば20〜60mmである。
発熱回転体144は、発熱層を有する回転体であり、例えば、鉄やニッケル、クロム、銅といった磁性材料である金属導電体によって構成されている。発熱回転体144は、耐摩耗性や離形性を高めるために、その表面がフッ素樹脂等でコーティングされていてもよい。発熱回転体144の軸方向の長さは例えば210〜370mmであり、その外形は例えば20〜200mmである。発熱回転体144は、励磁コイル145が発生した磁束の影響を受けて発熱する。すなわち、励磁コイル145が発生した磁束が磁性体コア146によって発熱回転体144の表面に誘導され、当該磁束が渦電流を発生させることにより、発熱回転体144の表面にジュール熱が発生し、発熱回転体144が発熱する。発熱回転体144は、定着処理時においてその表面温度が140〜200℃とされる。
発熱回転体144は駆動モーターによって一方向(回転方向T3)に回転し、加圧回転体142はこれに従動して回転方向T3とは反対方向である回転方向T4に回転する。そして、加圧回転体142及び発熱回転体144は、互いの接触領域である定着ニップ部Nに用紙P(図4参照)を通過させることによってトナー像を用紙P(図4参照)に溶融定着させる。
励磁コイル145は、発熱回転体144の外側に配置され、高周波電流が印加されることにより電磁誘導によって磁束を発生する磁束発生手段である。励磁コイル145の出力周波数は20kHz〜100kHzである。また、励磁コイル145は、発熱回転体144に対する加圧回転体142の反対側に配置されており、発熱回転体144の外周の略半周を覆うように配置されている。励磁コイル145は、発熱回転体144に接しないものの近接した位置に配置されており、発熱回転体144との離間距離は例えば1〜10mmである。
励磁コイル145は、図6に示されるようにレーストラック型コイルであり、表面が絶縁された銅製の線材を多数束ねた線束から構成されている。励磁コイル145は、印加される高周波電流の往路側である往路直線部145aと、復路側である復路直線部145bと、往路直線部145a及び復路直線部145bを接続する円弧部145cとを有している。
往路直線部145a(第1の磁束発生部)及び復路直線部145b(第2の磁束発生部)は、発熱回転体144の軸方向(以下、単に「軸方向」と記載する場合がある)に並列して延在している。往路直線部145a及び復路直線部145bの軸方向の長さd(すなわち、励磁コイル145の全幅)は、発熱回転体144の軸方向の長さと概ね一致しており、例えば220〜400mmである。また、往路直線部145a及び復路直線部145bの発熱回転体144の周方向(以下、単に「周方向」と記載する場合がある)の長さeは、例えば10〜30mmである。また、往路直線部145a及び復路直線部145bの離間距離fは、例えば10〜30mmである。円弧部145cは、発熱回転体144の周方向に沿って延在している。
磁性体コア146は、励磁コイル145を覆うように配置され、励磁コイル145が発生した磁束の磁路を形成する磁路形成手段である。磁性体コア146は、励磁コイル145が発生した磁束が漏れ出さないように受け、当該磁束を発熱回転体144に誘導する。磁性体コア146は、励磁コイル145に対する発熱回転体144の反対側に配置されている。磁性体コア146は、励磁コイル145に接しないものの近接した位置に配置されており、励磁コイル145との離間距離は例えば1〜10mmである。
また、磁性体コア146は、高透磁率且つ低損失の磁性材料、例えばフェライトから構成されている。磁性体コア146は、往路直線部145aを覆うように配置された複数の往路磁路部146a(第1の磁路部)と、復路直線部145bを覆うように配置された複数の復路磁路部146b(第2の磁路部)とを有している。往路磁路部146aと復路磁路部146bとは互いに同一形状であり、往路磁路部146aは励磁コイル145のうち往路直線部145aのみを、復路磁路部146bは励磁コイル145のうち復路直線部145bのみを、それぞれ覆うように配置されている。
複数の往路磁路部146aは、発熱回転体144の軸方向において所定の間隔を開けて配置されている。複数の復路磁路部146bは、発熱回転体144の軸方向において所定の間隔を開けて配置されている。往路磁路部146a及び復路磁路部146bの軸方向の長さaは、例えば8mm〜12mmである。また、往路磁路部146a及び復路磁路部146bの周方向の長さgは、往路直線部145a及び復路直線部145bの周方向の長さeより長く、20〜40mmである。なお、往路磁路部146a及び復路磁路部146bの周方向の長さgは、往路直線部145a及び復路直線部145bの周方向の長さeと同程度かそれよりも短くてもよい。すなわち、例えば往路磁路部146aが往路直線部145aを覆うとは、往路磁路部146aが往路直線部145aの周方向全てを覆う態様だけではなく、往路磁路部146aが往路直線部145aの周方向の一部を覆う態様も含まれるものとする。
隣り合う往路磁路部146a間の間隔b、及び、隣り合う復路磁路部146b間の間隔bは、例えば10mm〜16mmである。また、間隔bは、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて、徐々に狭くなっている。具体的には、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて、間隔bは5%以下の比率ずつ狭くなっている。例えば、軸方向中央で隣り合う往路磁路部146a間の間隔b1が15mmであったとすると、1つ軸方向端部側で隣り合う往路磁路部146a間の間隔b2は、間隔b1の5%の比率だけ狭くなり、14.3mmとなる(四捨五入で少数第1位まで導出)。以下同様にして、間隔bは軸方向端部に向かうにつれて5%以下の比率ずつ狭くなっていく。
また、軸方向において、往路磁路部146aと復路磁路部146bとは互い違いに設けられている。すなわち、軸方向において、隣り合う往路磁路部146a間には必ず一の復路磁路部146bが設けられており、隣り合う復路磁路部146b間には必ず一の往路磁路部146aが設けられている。なお、軸方向において、往路磁路部146aが設けられている領域と復路磁路部146bが設けられている領域とは一部重複していてもよいし、重複していなくてもよい。ただし、温度均一性の観点からは重複していないことがより好ましい。
ここで、往路直線部145a及び復路直線部145bの軸方向の長さd、往路磁路部146a及び復路磁路部146bの軸方向の長さa、及び、隣り合う往路磁路部146a間及び隣り合う復路磁路部146b間の間隔bは、互いに以下の(1)及び(2)式を満たす関係にある。
b/d≦0.2・・・(1)
0.5≦b/a≦2・・・(2)
次に、本実施形態に係る定着装置140の作用効果について、図7に示した比較例に係る定着装置240A,240Bと比較しながら、図8〜図10も参照して説明する。なお、図7に示した図では、発熱回転体を省略して記載している。
図7(a)に示された比較例1に係る定着装置240Aでは、本実施形態に係る定着装置140と同様、発熱回転体の外側に励磁コイル145が配置されている。そして、当該励磁コイル145は、軸方向に並列して延在する往路直線部145a及び復路直線部145bを有している。一方、定着装置240Aでは、励磁コイル145を覆うように配置された磁性体コア346の構成が、本実施形態に係る定着装置140と異なっている。
すなわち、磁性体コア346は、往路直線部145a及び復路直線部145bを横断するように覆う横断磁路部346cを有している。この場合、軸方向において、励磁コイル145の領域は、往路直線部145a及び復路直線部145bの双方が横断磁路部346cで覆われる領域か、又は、横断磁路部346cに全く覆われない領域かのいずれかとなる。そのため、発熱回転体に対して磁束が付与され易い領域と付与されにくい領域とが明確に分かれてしまい発熱回転体の軸方向の温度を均一化することが困難である。
発熱回転体の軸方向の温度を均一化すべく、図7(b)に示された比較例2に係る定着装置240Bのように、往路直線部145a及び復路直線部145b間において往路直線部145a及び復路直線部145bと並列して軸方向に延在するセンターコア346dと、横断磁路部346cの周方向両端部においてセンターコア346dと並列して軸方向に延在する一対のサイドコア346eとをさらに備えた構成が考えられる。この場合には、横断磁路部346cに集められた磁束が、センターコア346d及びサイドコア346eによって軸方向に均等に分散されるため、発熱回転体の軸方向の温度が均一化される。しかしながら、センターコア346d及びサイドコア346eが備わっていることで定着装置240Bが大型化してしまい、また、コストアップも問題となる。
この点、本実施形態に係る定着装置140では、往路直線部145aを覆うように配置された複数の往路磁路部146aと、復路直線部145bを覆うように配置された複数の復路磁路部146bとが、発熱回転体144の軸方向において互い違いに設けられている。このことで、往路直線部145aを覆う複数の往路磁路部146aが設けられた領域と、復路直線部145bを覆う複数の復路磁路部146bが設けられた領域とが発熱回転体144の軸方向において分散されることとなり、発熱回転体144にバランス良く磁束を付与することができる。
さらに、往路直線部145a及び復路直線部145bの軸方向の長さd、往路磁路部146a及び復路磁路部146bの軸方向の長さa、及び、隣り合う往路磁路部146a間及び隣り合う復路磁路部146b間の間隔bを適正化することによって、往路磁路部146a及び復路磁路部146bが設けられていない箇所(磁路部間隔)に係る発熱回転体144にも磁束を適切に付与し、軸方向における温度均一性を確保することができる。具体的には、図8に示されるように、比較例1に係る定着装置240Aでは、横断磁路部346cが設けられている箇所と設けられていない箇所とで発熱回転体の温度が大きく異なっており、軸方向位置によって温度のばらつきがあるのに対し、本実施形態に係る定着装置140では、軸方向位置によらず概ね温度を均一にすることができた。以上より、本実施形態に係る定着装置140では、磁束を均一化するための別形状の磁路部であるセンターコアやサイドコアを設けることなく、すなわち定着装置の大型化やコストアップをすることなく、温度均一性を確保することができる。
ここで、用紙へのトナー定着を安定して行うことができる限界の温度ばらつきは15℃程度である。そこで、15℃の温度ばらつきを目標温度ばらつきとして、往路直線部145a及び復路直線部145bの軸方向の長さ(コイル幅)dに対する、隣り合う往路磁路部146a間及び隣り合う復路磁路部146b間の間隔(コア間隔)bを変えて温度ばらつきの値を測定した(図9参照)。なお、コイル幅dの値が異なる2つの定着装置S3,S4について測定を行った。
図9に示されるように、隣り合う往路磁路部146a間及び隣り合う復路磁路部146b間の間隔(コア間隔)bをコイル幅dで除算したb/dの値が0.2よりも大きい場合には、磁束を十分に集めることができず目標温度ばらつきの条件が満たされない。よって、
b/d≦0.2・・・(1)の関係を満たすことで、軸方向における温度均一性を確保することができる。
さらに、往路磁路部146a及び復路磁路部146bの軸方向の長さ(コア幅)aに対するコア間隔bの値を変えて、定着装置S5の温度ばらつきの値を測定した。図10に示されるように、コア間隔bをコア幅aで除算したb/aの値が2よりも大きい場合には、磁束を十分に集めることができず目標温度ばらつきの条件が満たされない。また、b/aの値が0.5よりも小さい場合には、インピーダンスが高くなり過ぎてしまい出力効率が悪化する。よって、
0.5≦b/a≦2・・・(2)の関係を満たすことで、軸方向における温度均一性を確保しながら出力効率が悪化することを回避し、定着装置の機能を安定的に提供することができる。
また、往路磁路部146aと復路磁路部146bとが、その軸方向の長さaが一致するだけでなく、互いに同一形状とされることにより、各往路磁路部146a及び復路磁路部146bによって発熱回転体144に付与される磁束の影響をより均一化できる。このことで、発熱回転体144の軸方向の温度均一性がより向上する。また、同一形状であることにより、往路磁路部146a及び復路磁路部146bの製造コストが低減されるとともに、組立性が向上する。
また、一般的に発熱回転体の温度は軸方向端部に向かうにつれて下がる傾向にあるところ、隣り合う往路磁路部146a間及び隣り合う復路磁路部146b間の間隔bが、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて狭くなっていることで、軸方向端部の発熱回転体144ほど往路磁路部146a及び復路磁路部146bから付与される磁束の影響を大きくすることができる。このことで、軸方向端部の温度が上がりやすくなり、軸方向端部の温度が下がりやすいことを考慮した場合においても、発熱回転体144の温度均一性を確保することができる。具体的には、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて間隔bを5%以下の比率ずつ狭くすることで発熱回転体144の温度均一性を確実に確保できる。
以上、上述した第2実施形態において、例えば、往路磁路部146a及び復路磁路部146bが互いに同一形状であるとして説明したがこれに限定されず、各磁路形成手段の軸方向の長さ(コア幅)が一定であれば、各磁路形成手段は異なる形状であってもよい。
また、発熱回転体144の軸方向の長さや外径、励磁コイル145と発熱回転体144との離間距離、及び、励磁コイル145と磁性体コア146との離間距離等は一例であり、用紙の大きさや定着装置に求められる機能等に応じて適切な値とされる。
また、隣り合う往路磁路部146a間及び隣り合う復路磁路部146b間の間隔bが、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて狭くなっている、として説明したが、各間隔を同じ間隔としてもよいし、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて間隔を広くしてもよい。また、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて間隔bを5%以下の比率ずつ狭くするとして説明したが、必ずしも5%以下の比率でなくてもよく、その他の比率ずつ狭くしてもよい。
更に、第2実施形態に係る画像形成装置101は、上述した第1実施形態の特徴を備えていてもよいし、第1実施形態の特徴を備えていなくてもよい。
以上、本発明の定着装置及び画像形成装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
以下では、別の形態に係る定着装置について説明する。
従来より、画像形成装置に用いられる定着装置として、温度上昇速度が速く省エネルギー性が高いことを特徴とした、電磁誘導加熱方式を採用したものが知られている。このような定着装置では、磁束を発生させるコイルが設けられるとともに、当該コイルから発生した磁束を発熱回転体へ誘導するための経路を形成するコアが設けられている(例えば特開2001−188430号公報参照)。
ところで、このような定着装置において省エネルギー性をさらに向上させるためには、定着装置を構成する発熱回転体の温度を軸方向に均一にし、無駄な発熱を減少させることが重要である。しかしながら、特開2001−188430号公報のようにコイルとコアが設けられた構成においては、コアが配置された部分と配置されていない部分とで温度差が生じてしまうため、発熱回転体の温度を均一にすることが困難である。温度均一性を確保するためには、コアに集められた磁束を分散させてから発熱回転体へ誘導する等が必要となり、そのための構成として、別形状のコアを別途配置することが必要となっている。このことで、装置の大型化やコストアップを招いている。
この形態では、装置の大型化やコストアップをすることなく、回転体の温度均一性を確保することができる定着装置を提供することを目的とする。
この形態に係る定着装置は、発熱層を有する回転体と、回転体の外側に配置され、磁束を発生する磁束発生手段と、磁束発生手段を覆うように配置され、磁束の磁路を形成する磁路形成手段と、を備え、磁束発生手段は、回転体の軸方向に並列して延在する第1の磁束発生部及び第2の磁束発生部を有し、磁路形成手段は、第1の磁束発生部を覆うように配置された複数の第1の磁路部と、第2の磁束発生部を覆うように配置された複数の第2の磁路部とを有し、軸方向において、第1の磁路部と第2の磁路部とは互い違いに設けられており、第1の磁束発生部及び第2の磁束発生部の軸方向の長さをd、第1の磁路部及び第2の磁路部の軸方向の長さをa、隣り合う第1の磁路部間の間隔及び隣り合う第2の磁路部間の間隔をbとすると、
b/d≦0.2・・・(1)
0.5≦b/a≦2・・・(2)の関係が成り立っている。
この定着装置では、第1の磁束発生部を覆うように配置された複数の第1の磁路部と、第2の磁束発生部を覆うように配置された複数の第2の磁路部とが、回転体の軸方向において互い違いに設けられている。このことで、第1の磁束発生部を覆う複数の第1の磁路部が設けられた領域と、第2の磁束発生部を覆う複数の第2の磁路部が設けられた領域とが分散されることとなり、回転体にバランス良く磁束を付与することができる。さらに、第1の磁束発生部及び第2の磁束発生部の軸方向の長さ、第1の磁路部及び第2の磁路部の軸方向の長さ、及び、隣り合う第1の磁路部間の間隔及び隣り合う第2の磁路部間の間隔を適正化することによって、第1の磁路部及び第2の磁路部の何れも設けられていない箇所(磁路部間領域)においても回転体に磁束を均等に付与することが可能となる。その結果、磁束を均一化するための別形状の磁路部を設けることなく、すなわち装置の大型化やコストアップをすることなく、回転体の温度均一性を確保することができる。
また、第1の磁路部及び第2の磁路部は互いに同一形状である。同一の形状とすることで、第1の磁路部及び第2の磁路部によって回転体に付与される磁束の影響をより均一化できる。このことで、回転体の温度均一性がより向上する。また、磁路部が同一形状であることにより、磁路部の製造コストが低減されるとともに、磁路部の組立性が向上する。
また、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて、隣り合う第1の磁路部間の間隔は狭くなっており、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて、隣り合う第2の磁路部間の間隔は狭くなっている。回転体の温度は軸方向端部に向かうにつれて下がる傾向にあるところ、軸方向端部に向かうにつれて隣り合う磁路部間の間隔を狭くして回転体に付与される磁束の影響を大きくすることで、軸方向端部の温度を上げ、全体として回転体の温度均一性を確保することができる。
また、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて、隣り合う第1の磁路部間の間隔は5%以下の比率ずつ、狭くなっており、軸方向中央付近から軸方向端部に向かうにつれて、隣り合う第2の磁路部間の間隔は5%以下の比率ずつ、狭くなっている。具体的に、磁路部間の間隔を5%以下の比率ずつ狭くしていくことで、回転体全体としての温度均一性を確保することができる。
上述した形態によれば、装置の大型化やコストアップをすることなく、回転体の温度均一性を確保することができる。