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JP6863581B2 - 長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法 - Google Patents

長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、長繊維束と熱可塑性樹脂マトリックスからなる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法に関する。
強化用繊維を合成樹脂で結着した繊維強化熱硬化性樹脂製物品(以下、「FRP」と称することがある。)は強度が高くかつ軽量であるという点から、金属製物品に代わる材料として、自動車、電子、農林、建築材、家具等の多くの分野で利用されている。このFRP技術を使用した製品のひとつであるガラスロービング等の長繊維束を強化用繊維とし、熱硬化性樹脂をマトリックスとするパイプ、ロッド、線状物等も古くから各種産業分野で使用されている。
近年、この様な長繊維強化樹脂製の長尺材料を、製品内の個々の部材としても使用したいという要求が高まっている。この様な個々の部材として使用することを可能にするためには長尺材料が、その使用される製品を加工する時点で、その製品の形状に適合するべく、賦形できることが必要である。特に加熱による温度刺激によって目的の形状に賦形すると共にその形を安定化できることが求められている。
しかしながら、一般にFRPは、マトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂が強化用繊維の内部まで完全に含浸し、硬化後においては、熱硬化性樹脂硬化物の特性から、加熱変形することによって所望の形状に塑性加工することが困難である。特に、長手方向の断面において繊維が均一に分散しているFRP線状物は、非常に高剛性で、曲げても真直状に復元し、塑性変形はしないので、曲げて使用する用途には適さない。
一方、強化用繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化熱可塑性樹脂製物品(以下、「FRTP」と称することがある。)は、加熱による塑性変形がある程度可能である。しかしながら、長繊維状の強化用繊維にマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を含浸したFRTP線状物においては、加熱賦形による曲げ加工が必ずしも容易ではない。
特許文献1には、連続した強化用繊維を引きながら溶融熱可塑性樹脂を含浸させる長繊維強化複合材料の製造方法において、繊維に溶融樹脂を含浸もしくは被覆させた後、スリットノズルで過剰量の樹脂を絞り込みながら連続的に引き抜き、次いで賦形ノズルを通して目的形状に整えることを特徴とする長繊維強化複合材料の製造方法が開示されている。そして、特許文献1の製造方法によれば、得られる複合材料中の繊維の分散および樹脂の含浸性も良好で、高品質の複合材料を効率よく安定して得ることができるという効果が挙げられている。
また、特許文献2には、長繊維状の炭素繊維束に熱可塑性樹脂を含浸した直径1〜5mmの炭素繊維強化複合材料を複数本撚合せてなる炭素繊維強化複合材料からなるロープ及びその製造方法が開示されている。特許文献2には、一般に熱可塑性樹脂の溶融粘度は高いので、炭素繊維束内に均一に樹脂を含浸するのは難しいが、熱可塑性樹脂をエクストルーダーで一定量の割合で吐出し、樹脂含浸部で炭素繊維束を開繊しながら加圧下で樹脂を含浸し、エクストルーダーとは分離して設置されたダイスで繊維束を円形に整形し巻き取り装置で巻き取る技術が開示されている。
上記の特許文献1及び2に記載のFRTPの製造方法は、いずれも長繊維状の強化用繊維束に溶融した熱可塑性樹脂を均一に含浸させることを課題としており、特に得られたFRTPを長手方向に曲げた状態での熱賦形性についての開示はない。
また、特許文献3には、発泡体と、前記発泡体にインサート成形されてシート表皮材の係止部が係止する樹脂ワイヤとを備える車両用シートパッドであって、前記樹脂ワイヤは、複数の長繊維に熱可塑性樹脂を含浸させてなるとともに、屈曲部における前記樹脂が肉抜きされた肉抜き部を有する長繊維状の繊維に熱可塑性樹脂を含浸した直径1〜5mmの樹脂ワイヤが開示されている。この樹脂ワイヤは予めシートパッド成形を想定した屈曲部に、表面の熱可塑性樹脂を断面方向に断続的に、複数個所に、肉抜きすることによって熱曲げ賦形性を付与するとともに、肉抜きによって樹脂ワイヤ内部の繊維を露出させ、この露出繊維に発泡体との結合性を生じさせるものであるが、繊維の露出部分が屈曲部に限定されているため、樹脂ワイヤ全体と発泡体との結合性自体が不充分であった。
本発明者らは、先に、長繊維状補強材と熱可塑性樹脂マトリックスからなる長繊維強化熱可塑性樹脂製線状物に関し、熱賦形により長手方向に曲げ加工がし易く、取り扱いが容易な長繊維強化熱可塑性樹脂製線状物、及びその製造方法について、鋭意検討し、特願2016−148732として出願した。
この出願に係る発明は、熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂からなる海部分と、長繊維状強化用繊維束からなる3個以上50以下の島部分とで構成される断面海島構造を有する長繊維強化熱可塑性樹脂線状物において、該島部分を構成する強化用繊維束は、長手方向に直交する断面において、マトリックス樹脂が含浸していない未含浸部を有することを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂線状物に関するものである。
さらに、本出願人らは、先に、車両シート用に適した長繊維強化熱可塑性樹脂線状物として、熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂と、長繊維状強化用繊維束とからなる車両シート用長繊維強化熱可塑性樹脂線状物であって、強化用繊維束は、長手方向に直交する断面において、マトリックス樹脂が含浸していない未含浸部を有し、かつ、強化用繊維束の一部の繊維が線状物の表面に、6箇所以上12箇所以下のそれぞれ別個の位置に露出して、線状物の長手方向に連続してなる車両シート用長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を特願2016−201598として共同出願した。
特開平5−147116号公報 特開平5−33278号公報 特開2015−97596号公報
本発明者らは、長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の熱賦形性について検討した結果、長手方向において海島構造の断面を有する線状物において、長繊維状強化用繊維間の全体にマトリックス樹脂としての熱可塑性樹脂を高度に含浸することなく、未含浸部を有する構造とすることにより、熱賦形がし易く、賦形加工性が向上することを確認されたが、物性及び賦形加工性が長繊維状強化用繊維束の単繊維間へのマトリックス樹脂の含浸度合いに依存するため、製造ロット間でバラツキが生じる場合があって、品質の安定性、連続生産性において問題があった。
また、線状物の表面に強化用繊維束の一部を露出させ、この露出繊維によりポリウレタン等の発泡体との結合性を強化することのできる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造においては、表面の強化用繊維束の露出度合い、及び当該強化用繊維束と線状物を構成するマトリックス樹脂との接合度合いを一定の範囲とする必要があり、製造ロット間で接合度合いのバラツキを低減して安定的に製造する方法が求められていた。
本発明は、熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂と、長繊維強化用繊維束とからなる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法において、長繊維強化用繊維束への熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂の含浸度合い等を均一にして、得られる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の物性(特性)を均一化でき、かつ、長尺物を連続して安定に生産できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂と、長繊維強化用繊維束とからなる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法において、所定の撚り数を有する長繊維強化用繊維束を所定速度で引取りながら、該強化用繊維束に該張力調整手段を介して1本当り5〜100gの張力を負荷し、予熱装置を昇温して強化用繊維束を加熱しつつ、クロスヘッドダイに導いて、ガイド芯金の溶融樹脂含浸(接触)部及びダイ内において分離状の各強化用繊維束と溶融した熱可塑性樹脂を接触させて、各強化用繊維束に熱可塑性樹脂を部分的に含浸させ、引き続き収束ガイドを経て、所定の断面形状の押出ノズルを備えるダイにて加圧下に該長繊維強化用繊維束群を線状物として押出被覆する工程、を含み、前記予熱装置内での強化用繊維束の加熱は、溶融した熱可塑性樹脂の温度Tmに対して、強化用繊維束の表面温度がTm〜Tm−200℃に達する範囲とすることで、前記目的を達成できることを知得して、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔8〕を提供する。
〔1〕熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂と、長繊維強化用繊維束とからなる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法であって、
(1)所定の撚り数を有する長繊維強化用繊維束を所要本数クリールより張力調整手段を介して引出し、未昇温の予熱装置内に通し、分離ガイド、溶融樹脂含浸部及び収束ガイドを備えるガイド芯金の該分離ガイド及び該収束ガイドの所定の透孔に各繊維束を順に配列して挿通し、該ガイド芯金をクロスヘッドダイ本体部に装着し、次いでサヤ芯及び押出ノズルを備えるダイ、冷却槽、及び引取装置に導く、長繊維強化用繊維束群の予備引出し工程、
(2)該引取装置を駆動して、該長繊維強化用繊維束群を所定速度で引取りながら、該強化用繊維束に該張力調整手段を介して1本当り5〜100gの張力を負荷し、該予熱装置を昇温して該強化用繊維束を加熱しつつ該溶融押出機を駆動して、該クロスヘッドダイに該熱可塑性樹脂を供給して、該ガイド芯金の溶融樹脂含浸部及びダイ内において分離状の各強化用繊維束と溶融した熱可塑性樹脂を接触させて、各強化用繊維束に熱可塑性樹脂を部分的に含浸させ、引き続き収束ガイドを経て、所定の断面形状の押出ノズルを備えるダイにて加圧下に該長繊維強化用繊維束群を線状物として押出被覆する工程、
(3)押出被覆された線状物を冷却固化し、引取る工程、
を有し、
前記線状物を押出被覆する工程において、該予熱装置内での強化用繊維束の加熱は、溶融した熱可塑性樹脂の温度Tmに対して、強化用繊維束の表面温度がTm〜Tm−200℃に達する範囲とする、ことを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
〔2〕前記(2)押出被覆工程において、押出ノズル23の吐出孔部は、ランドLが2mm以上であり、孔径をAとするとき、吐出側に向かって、押出ノズルが上底Aの円錐台状にくり抜かれており、該押出ノズルの厚み方向断面において該円錐台傾斜線232と吐出孔部壁面線231とが交わる角度θが90°を超え、相対向するサヤ芯の先端の開口の孔径Bが、該吐出部孔径Aに対して105〜360%大である関係にあるサヤ芯を備えたダイにより、溶融した熱可塑性樹脂を押出被覆する前記〔1〕に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
〔3〕前記ガイド芯金の収束ガイドは、以下の(a)要件又は(a)及び(b)の2要件を満足する、前記〔1〕または〔2〕に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
(a)収束ガイドの中央部透孔の孔径Dcが長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dp対して50〜100%である。
(b)収束ガイドの放射状扇形透孔を形成する扇形下辺半径の2倍を扇形下辺直径Dfcとして、該扇形下辺直径Dfcが長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dpに対して105〜360%である、前記〔1〕または〔2〕に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
〔4〕前記線状物において、所要本数の該強化用繊維束を表面に露出させてなる、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
〔5〕前記強化用繊維束が、単繊維繊度が1.5dtex〜30dtexの繊維を80f〜150f集束し、かつ、2回〜500回/mの撚りを有するマルチフィラメントである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
〔6〕前記強化用繊維束を構成する強化用繊維が熱可塑性樹脂からなり、前記マトリックス樹脂が該強化用繊維の融点又は軟化点よりも20℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
〔7〕前記熱可塑性樹脂からなる強化用繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、脂肪族ポリアミド繊維から選ばれる一種又は複数種の併用あるいは混繊維である、前記〔6〕に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
〔8〕前記マトリックス樹脂を構成する熱可塑性樹脂が、メルトフローレート(230℃、21.18N)が20〜100g/10分であるポリプロピレン樹脂からなる、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法によれば、長繊維強化用繊維束への熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂の含浸度合い及び/又は所要の表面露出繊維束の露出度合いを調整して、均一な物性(特性)の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を、再現性よく、安定して連続製造できる方法を提供できる。
本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造工程の説明図である。 糸張力調整手段の例としての載荷タイプテンサーの模式図であり、(A)正面図、(B)上面図である。 糸張力調整手段の例としてのしごきタイプガイドバーテンサーの模式図であり、(A)正面斜視図、(B)上面図である。 強化用繊維束の張力測定器の模式図である。 クロスヘッドダイに装着するガイド芯金を構成する長繊維強化用繊維束のガイド類の説明図であり、(B)収束ガイドの中央透孔のみに通すことで、表面露出繊維束を有しない断面海島型の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を製造する際に適する、(A)分離ガイド、(B)収束ガイド、(C)収束ガイドのX−X線破断面図である。 クロスヘッドダイに装着するガイド芯金を構成する長繊維強化用繊維束のガイド類の説明図であり、(B)収束ガイドの放射状扇形透孔にも通すことで、表面に所要本数の露出繊維束を有する長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を製造する際に適する、(A)分離ガイド、(B)収束ガイド、(C)収束ガイドのX−X線破断面図である。 本発明に使用する強化用繊維(束)の分離ガイド及び収束ガイドを保持するガイド芯金の説明図であり、(A)半割状ガイド芯金の片半分の断面図、(B)は(A)の矢視図、(C)半割状ガイド芯金の片半分の正面図、(D)は(C)の側面図、である。 本発明に使用する溶融押出機のクロスヘッドダイの構成を示し、押出ノズルの吐出孔部の孔径A、ランド長さL、角度θ、サヤ芯の先端の開口の孔径B等の関係を示す説明図である。 実施例2の表面に所要本数の露出繊維束を有する長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造に用いたダイスの構成を示す説明図であり、(A)内部のガイドに長繊維状強化用繊維(束)を挿通したガイド芯金をダイスに装着する前の上面視の状態を模式的に示す説明図、(B)ガイド芯金をダイスに装着した状態を模式的に示す説明図、(C)ダイス内での強化用繊維束の状況、マトリックス樹脂の流れを模式的示す説明図である。 本発明の(A)実施例1、(B)実施例2により得られた長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の断面を模式的に示す説明図であり、(C)は(B)において線状物の表面における繊維露出の度合い等の説明図である。
以下、本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法について、図面を参照して説明する。なお、本発明において、図面は、本発明の技術思想を説明するためのものであり、各構成部材及び部材間の寸法上のバランスや、構成要素等が図面に表わされたものに限定されることはない。
本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法について、先ず(1)の予備引出し工程について説明する。
先ず、図1に製造工程を略示するように所定の撚り数を有する長繊維強化用繊維束Fを所要本数クリール1より引き出し、強化用繊維束に該張力調整手段TCを介して、未昇温の予熱装置PH内に通し、さらに、溶融押出機Eに装着されるガイド芯金、サヤ芯、押出ノズルの孔部から強化用繊維束群を引出し、冷却水を満たしていない冷却水槽3を経てキャタピラー式等の引取装置4によりキャタピラー間で挟持して引取可能とする予備引出し工程(1)の作業を行う。
なお、強化用繊維束をガイド芯金20に通すのは次のような手順で行えばよい。
図7(A)、(B)に部分断面図として示すガイド芯金20に装着される図5又は図6に示す分離ガイド201a、201b、収束ガイド202a、202bの所定の孔に強化用繊維束Fを通し、半割り状のガイド芯金20の前記各ガイドの保持用溝204、205にてセットし、保持相方の半割り状のガイド芯金と組み合わせて、円筒状のガイド芯金20に組み立てる。次いで、表面に所要本数の露出繊維束を有する線状物を製造する場合(実施態様2)について図9(B)として例示しているように、強化用繊維束Fが所定の孔通されたガイド芯金20を溶融押出機のクロスヘッドダイ部22に嵌装されたサヤ芯21に固定し、押出ノズル23の孔部先端から強化用繊維束群を引出し、前述の如く引取装置4まで強化用繊維束群を導く。
次に本発明の製造方法において、(2)の押出被覆工程は、引取装置4を駆動して、長繊維強化用繊維束群を所定速度で引取りながら、強化用繊維束Fに張力調整手段TCを介して1本当り所定の張力を負荷し、予熱装置PHを昇温して強化用繊維束を加熱しつつ溶融押出機Eを駆動して、クロスヘッドダイ2に熱可塑性樹脂を供給して、図9(C)に例示するようにガイド芯金20の溶融樹脂含浸部203及びダイ内において分離状の各強化用繊維束Fと溶融した熱可塑性樹脂を接触させて、各強化用繊維束に熱可塑性樹脂を部分的に含浸させ、引き続き収束ガイド202a又は202bを経て、所定の断面形状の押出ノズル23を備えるクロスヘッドダイ2にて加圧下に長繊維強化用繊維束群を線状物として押出被覆する工程である。
前記(2)の押出被覆工程の後、引続いて(3)押出被覆された線状物を冷却固化し、引取る工程、を経て、長繊維強化熱可塑性樹脂線状物が製造される。
また、本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法は、前記線状物を押出被覆する工程において、該予熱装置内での強化用繊維束の加熱は、溶融した熱可塑性樹脂の温度Tmに対して、強化用繊維束の表面温度がTm〜Tm−200℃に達する範囲とすることを特徴とする。
以下、本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法について、更に詳しく説明する。
<長繊維強化用繊維束の撚り数、繊維構成>
本発明に用いられる長繊維強化用繊維束は所定の撚り数を有する必要がある。これは強化用維束の所要本数を線状物の表面に露出させる場合においては、撚りが無いと、繊維束の中の繊維単糸がその周囲のマトリックス樹脂に全く接着していない部分は脱落する。即ち、撚りがあること、すなわち、繊維束が長手方向に所定の螺旋ピッチで撚回していることによって、露出をさせようとしている所定の位置におけるマトリックス樹脂の溝部の底部、周壁部などのいずれかの部位で、撚回している単繊維がマトリックス樹脂側へ食い込んで、いわゆるアンカー接着する確率が高い。すなわち、繊維の単糸が最表面に出現したり、マトリックス樹脂側に食い込んだりすることを繰り返えすことで、脱落しない構造になっている。強化繊維束の撚り数は1m当たり2回〜500回の甘撚りであることが好ましく、これ以上の強い撚りがあると繊維束の表面付近へのマトリックス樹脂のなじみや埋まり込みが悪くなり、表面に露出させた強化繊維束の脱落が起きやすくなり、線状物としての機能も低下する。全く撚りのない強化繊維束を使うこともできるが、この際は、撚りをかけて給糸することで、2回/m以上の撚りを生み出して引出すようにすればよい。なお、該線状物を短くカットして使う場合は、その長さ以下の撚りが必要である、例えば、200mmにカットして使う場合は200mm以内に1回、好ましくは3回以上の撚りを要す。強化用繊維に用いられる市販の強化用繊維束においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維が50回/m、ガラスヤーンが40回/m、の撚りが施されており、アラミド繊維は0回/mで無撚りである。
また、強化用繊維束は、構成する繊維の単繊維繊度が1.5dtex〜30dtexの繊維を80f〜150f集束し、かつ、前記の2回〜500回/mの撚りを有するマルチフィラメントを用いることが、クリールからの引出し時にケバが発生したり、マトリックス樹脂の未含浸率の調整がし難い等の問題の発生がなく、適度の補強効果を発現させ得る観点から好ましい。
<長繊維強化用繊維束の張力調整手段>
上記の(2)押出被覆する工程において、強化用繊維束の走行時の張力を一定にするための張力調整手段として用いられる張力調整装置は、強化用繊維束に一定の張力を負荷できるものであれば、特に限定されない。クリールからの引出し時に余りスペースを要しない簡易なタイプであってよく、例えば、図2に示すように、軸心Jを有する2枚の平板D間に挟まれるように繊維束を通し、上部の平板の上面に錘Wを負荷することによって張力を調整する装置(載荷タイプテンサー)や、図3に示すように円板に2本の円柱ガイドGBを立設し、2本の円柱ガイドGBと繊維束Fとの接触角度θを変更することによって、張力を変更できるいわゆる「しごきタイプガイドバーテンサー」も簡易に用いることができる。また、これらの組み合わせて用いてもよい。
(2)の押出被覆する工程において、強化用繊維束への張力は、1本当り5〜100gであり、5〜95gがより好ましく、10〜50gが特に好ましい。張力が5g未満であると製造工程において強化用繊維束を構成する単繊維間でたるみを生じ、ガイド類の入口でもつれたり、最悪には切断したりして、連続生産が阻害される。また、100gを超えるとガイド芯金の溶融樹脂含浸部203やダイ内において、溶融した熱可塑性樹脂が強化用繊維束へ含浸し難く、繊維による補強効果の低い長繊維強化熱可塑性樹脂線状物となり、また、表面露出タイプの線状物を目的とする場合において、線状物の表面に繊維束が露出しないので、インサート成形等において、発泡体との係止力が発現しない等の問題が生じる。
<強化用繊維束の予熱>
本発明の製造方法においては、(2)の線状物を押出被覆する工程において、予熱装置内での強化用繊維束の加熱は、溶融した熱可塑性樹脂の温度Tmに対して、強化用繊維束の表面温度がTm〜Tm−200℃に達する範囲とすることを要する。用いられる予熱装置PHとしては、温度制御の容易性、安全性等から電気的な装置が望ましく、予備引出し工程での、強化用繊維束のガイド芯金の分離ガイドへの案内作業、収束ガイドの所定孔への線状物内部埋設用繊維束及び露出用繊維束の区分け作業等の関係から、下半、上半に開放できる構造であることが好ましい。加熱方式としては、熱風、遠赤外線ヒーター等いずれであってもよい。熱風式を用いる場合は、熱風の向きを、強化用繊維束の走行方向に順行させることが、繊維束の乱れが生じ難い観点から好ましい。
工程(2)すなわち、長繊維強化用繊維束群を線状物として押出被覆する工程においては、該予熱装置内での強化用繊維束の加熱は、溶融した熱可塑性樹脂の温度Tmに対して、強化用繊維束の表面温度がTm〜Tm−200℃に達する範囲とすることにより、強化用繊維束とマトリックス用の熱可塑性樹脂との接触時に、各強化用繊維束に熱可塑性樹脂を部分的に含浸させることが可能となり、得られる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物に所定の特性を備えさせることができる。すなわち、図9により説明するならば、強化用繊維束Fがガイド芯金20の溶融樹脂含浸部203を走行する時点において、強化用繊維束Fの表面温度が、Tm〜Tm−200℃に達する範囲とする必要がある。例えば、強化用繊維束Fの表面温度が常温でガイド芯金20に給糸するとマトリックス樹脂とのなじみが悪いだけでなく、繊維束F周辺のマトリックス樹脂の温度も下げることになり、マトリックス樹脂の溶融粘度が高くなることで繊維切れなどのトラブルが発生し継続生産が不能となる場合がある。一度繊維切れが発生すると、クロスヘッド2内の樹脂溜まりを完全に掃除してから、繊維束Fを通しなおす必要があり、原材料と作業工数のロスが大きい。
なお、前記マトリックス樹脂が該強化用繊維の融点又は軟化点よりも20℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂を用いれば、マトリックス樹脂の溶融温度Tmに近い温度を、強化用繊維束の予熱としてかけることは問題がない。強化用繊維束の適切な表面温度(予熱)は、用いる強化用繊維やマトリックス樹脂によって変化するが、強化用繊維束の表面温度がクロスヘッド内の樹脂溜まり中のマトリックス樹脂の温度Tmに対して、Tm+0℃〜Tm−50℃以内であることが、得られる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の物性および連続安定生産性の観点から特に好ましい。
<押出被覆工程の押出ノズル孔径とサヤ芯の先端開口部の孔径の関係>
本発明の製造方法の(2)押出被覆工程においては、図8に示す押出ノズル23の吐出孔部Aは、ランドLが2mm以上であり、孔径をAとするとき、吐出側に向かって、押出ノズルの上底が円錐台状にくり抜かれており、該押出ノズル23の厚み方向断面において該円錐台傾斜線232と吐出孔部壁面線231とが交わる角度θが90°を超え、相対向するサヤ芯の先端の開口の孔径Bが、該吐出部孔径Aに対して105〜360%大である関係にあるサヤ芯21を備えたクロスヘッドダイ2により、溶融した熱可塑性樹脂により押出被覆される。
図8により説明すると、押出ノズル23はランドLが2mm以上であれば、押出ノズル23の部分に高い圧力がかかるために線状物(製品)に空隙ができにくくなること、溶融熱可塑性樹脂がダイ内ガイド芯金の溶融樹脂接触部203に流れ込みやすくなること、及び線状物の外径の制御がしやすい点で好ましい。また、前記角度θが90°を超えれば、強化用繊維Fの進行方向と逆進行方向とのマトリックス樹脂の流動方向を制御できる点で好ましい。
サヤ芯21の先端の開口の孔径Bは、押出ノズルの孔径Aとの関係において口径の比(B/A)が105〜360%である。B/Aが105%以上であることでマトリックス樹脂がダイ内のガイド芯金の溶融樹脂接触部203に流れ込みやすくなり、360%以下とすることで、ガイド芯金に流れる溶融熱可塑性樹脂量と押出ノズルから吐出される溶融熱可塑性樹脂量のバランスを取ることができる点で好ましい。
<ガイド芯金の収束ガイド>
本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物において、収束ガイドは、以下の(a)要件、又は(a)及び(b)の2要件を満足することが好ましい。
(a)収束ガイドの中央部透孔の孔径Dcが長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dp対して50〜100%である。
(b)収束ガイドの放射状扇形透孔を形成する扇形下辺半径の2倍を扇形下辺直径Dfcとして、該扇形下辺直径Dfcが長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dpに対して105〜360%である。
先ず、(a)の要件は、図5及び図6の(C)に示すように、ガイド芯金20の収束ガイドの中央部透孔202Ca又は202Cbは、線状物の内部に配置される強化用繊維束がまとめて挿通される孔であり、該強化用繊維束を線状物の内部に配置するという観点から、孔径Dcを得ようとする長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dpの50〜100%とすることが好ましく、この範囲であれば、この中央部透孔202Ca、202Cbで収束された強化用繊維束が表面に露出することがなく、線状物の補強効果を発現できる。
一方、(b)の要件は、図6(B)、(C)に示すように線状物の表面に露出されるべき強化用繊維束の本数に応じて放射状扇形透孔208bを形成するが、当該放射状扇形透孔208bの扇形辺半径の2倍を扇形辺直径Dfcとして、該扇形辺直径Dfcが長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dpに対して105〜360%とすることが好ましく、この範囲であれば、線状物の外周に所定本数の強化用繊維束を露出させることができる。
また、放射状扇形透孔208bの扇形下辺は、中央透孔の中心に対して同心の曲率となっており、強化用繊維束に負荷される張力等によって、所要の本数の露出すべき各強化用繊維束が、扇形辺のほぼ中部に移動し、線状物の外周にほぼ均等に配置することができる。
なお、本発明の製造方法では、クリール1から引き出された各強化用繊維束Fは、ガイド芯金20において、前記の収束ガイドの所定の中央部透孔202Cに強化用繊維束Fを案内(挿通)する以前に、図5(A)及び6(A)に示す分離ガイド201a、201bの所定の孔に挿通される。図6(A)の分離ガイド201bの最外周に配置された孔には、露出すべき強化用繊維束が案内(挿通)される。
本発明においては、所要本数の強化用繊維束を表面に露出させてなる線状物とすることができる。
すなわち、熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂と、長繊維状強化用繊維束とからなる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物において、強化用繊維束は、長手方向に直交する断面において、マトリックス樹脂が含浸していない未含浸部を有し、かつ、強化用繊維束の一部の繊維が線状物の表面に、例えば6箇所以上12箇所以下のそれぞれ別個の位置に露出して、線状物の長手方向に連続してなる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物とすることができる。
線状物の断面において、表面に露出している強化用繊維束の繊維露出箇所のそれぞれの長さlが0.3mm〜0.7mmの範囲であることが車両シート用の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物とする場合においては好ましい。
強化用繊維束を所要本数線状物の表面に露出させることによって、例えば、椅子のクッション等の表皮材を取付ける部材として用いる場合に、インサート成形される際に線状物の露出部分の長繊維強化用繊維束の単繊維と発泡剤がアンカー接着して、椅子部材としての機能を発現できる。
特に、車両シート用の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物においては、線状物の断面における前記繊維露出箇所の長さの総和に対する、線状物の見なし外径から計算される外周の長さの比として算出される繊維露出率が20〜60%であることがより好ましい。
繊維の露出率は露出本数、露出率共に、当該線状物の用途において要求される、インサート成形後の当該成形品の物性等に応じて適宜決定される。
(長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の繊維露出箇所数及び繊維露出率の算出)
本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法において、繊維露出箇所数および繊維露出率は以下の手順で求める。
(i)長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を長手方向に直交する方向で長さ1cm程度に切断し、切断面が上になるように、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製、製品名:VHX‐5000)の台上に粘土等で固定する。
(ii)倍率30倍として、反射光でサンプルを観察し、長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の表面に露出している繊維束の数を数える。(=繊維露出箇所数)
(iii)デジタルマイクロスコープに内蔵されている距離算出機能を用いて、表面の繊維露出箇所(マトリックス樹脂に覆われていない部分)の長さを一つずつ算出する。(=1箇所の繊維露出長さ)
(iv)繊維露出箇所長さの合計を求め、外径から求めた長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の円周長さより、下記の式により繊維露出率を算出する。
繊維露出率(%)=〔(繊維露出箇所長さ合計)/(円周長さ)〕×100
なお、長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の円周長さは、長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の見なし外径から計算される。該見なし外径は、上記(ii)の観察において、長繊維強化熱可塑性樹脂線状物のマトリックス樹脂(熱可塑性樹脂)を外表面とする部分の最大径と最小径からその平均を算出して、これを見なし外径Daとする。
以下に、本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法に用いられる強化用繊維束について説明する。
(強化用繊維束)
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造に用いられる強化用繊維(束)としては、特に限定されないが、ガラス繊維、炭素繊維等の融点のない無機繊維や、各種の熱可塑性樹脂からなる長繊維(フィラメント)状の強化用繊維が挙げられる。
熱可塑性樹脂からなる強化用繊維束としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリナフチレンフタレート繊維、ポリトレメチレンテレフタレート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、脂肪族ポリアミド繊維から選ばれる一種又は複数種の併用或いは混繊維が有利に選択できる。
熱可塑性樹脂繊維の融点(Tfm)は、前記のように、マトリックス樹脂の融点(Tmx)より高い必要がある。低いと押出ダイ内部で繊維が溶融して、切れてしまう恐れがある。これらの融点差 Tfm −Tmx は、概ね20℃以上であることが好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂は、特に限定されないが、強化用繊維束に用いる熱可塑性繊維の融点又は軟化点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂から選択される。より具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PENp)、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂や、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンABS)、アクリロニトリル−アクリル−スチレン(AAS)、アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン(AES)等のスチレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、変性PSU、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール系樹脂およびフェノキシ樹脂が挙げられる。また、マトリックス樹脂としての熱可塑性樹脂は、上記の樹脂の共重合体や変性体および/または2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。
これらの中でも成形性および軽量性の観点から、該強化用繊維の融点又は軟化点よりも20℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂が好ましく、例えば、ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂は、強化用繊維束への含浸性の観点から、メルトフローレート(MFR)(230℃、21.18N荷重)が20〜100 g/10minの範囲であることが好ましい。
MFRが20 g/10min以上であれば、強化用繊維束への含浸が可能で、強化用繊維束同士が一つに纏まる傾向も少なく、強化用繊維束による補強効果が発現される。また、MFRが100 g/10min以下であれば、樹脂の物性の低下も少なく、FRTP線状物の曲げ加工等に際して、折れ易くなることもない。
マトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂には、必要に応じて、タルク等の無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、染料等を配合してもよい。
<長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の断面形状等>
本発明の製造方法で得られる線状物の断面形状としては、真円とは限らず、楕円、凹凸のある形など様々な形をとりうる。
また、線状物の断面における、繊維束の断面形状においても、真円とは限らず、楕円、多角形などをとり得る。
さらに、線状物の断面における、強化用繊維束(島)の分布は均一とは限らないが、線状物断面の中心を基準になるべく点対称であることが好ましい。断面における繊維束分布に極端な偏りがあると、線状物を曲げる向きによって曲がりやすさが変わり、扱いづらくなるだけでなく、特定の方向に折れやすくなる恐れがある。
また、強化用繊維束により形成される島同士は必ずしもマトリックス樹脂によって明確に分かれているとは限らず、隣どうしが部分的に接触していても構わない。
強化用繊維束(島)の数は3以上50以下である必要がある。これより少ないと曲げた際に折れやすくなってしまい、これより多いと熱賦形性が下がってしまう。
強化用繊維束(島)の大きさは均一とは限らず、最大の島面積が最小の島面積の5倍程度あってもよい。すなわち、強化用繊維束の繊度が異なるもの、強化用繊維束の種類が異なるものを使用してもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例1
(予備引出し工程)
強化用繊維束Fとして、1670dtex/144fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(東レ製、単繊維繊度11.6dtex)25本を、クリール1から引出し、未昇温の予熱装置内を経て、図5に示す円形の金属プレートに直径1mmの25個の孔があけられた分離ガイド201aの一個の孔に1本ずつ通し、続いて25本の繊維全てを、円形の金属プレートに直径2.5mmの孔が1個中央にあけられた収束ガイド202Caに通し、線状物の表面に露出する強化用繊維束を有しない、長手方向断面が海島型の線状物となるように強化用繊維束を収束ガイド202aに配置した。
次いで、図7に示す強化用繊維束Fを通した分離ガイド201a及び収束ガイド202aを、クロスヘッドダイ内部に取り付けるための半割り状の一方のガイド芯金20の溝204、205に嵌め、相対する他方の半割り状のガイド芯金と重ね合わせて円筒状のガイド芯金20とし、収束ガイド202aに通した強化用繊維束群をダイス先端に取着された直径3.2mmの円形押出ノズル23に通した上で、ガイド芯金(ガイドホルダー)20をクロスヘッドダイ本体2の後方へ取り付けた。
(強化用繊維束の引出し張力)
強化用繊維束であるマルチフラメントは紙管に巻いた状態で繰り出しスタンドに取り付けられており、図2に示す張力調整手段TCとして載荷タイプテンサーTC1を介して引き出した。この張力調整手段TC1により、各強化用繊維束の張力(テンション)は全て20g/本になるように調整した。
(長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造)
押出ノズル23を通した強化用繊維束群を、冷却水槽3を通した上で、ベルト式引取装置4を用いて3m/minの速度で引取りながら、予熱装置PHを200℃に昇温しつつ溶融押出機を起動し、押出温度220℃で溶融したのちポリプロピレン樹脂(プライムポリマー製、MFR:55g/10min:230℃、21.18Nに剛性調整のためのタルク、銅害防止剤、青色を付けるためのマスターバッチをブレンドしたもので、実MFRは34.2g/10min)をダイ内部に供給した。なお、押出ノズルの吐出孔部は、ランドLが4mmであり、孔径Aが3.2mmであって、吐出側に向かって、上底Aが3.2mmの円錐台状にくり抜かれており、該押出ノズル23の厚み方向断面において該円錐台傾斜線232と吐出孔部壁面の線231とが交わる角度θが125°で、相対向するサヤ芯の先端の開口の孔径Bが、6.4mmで吐出部孔径Aに対して200%大である関係にあるサヤ芯を備えたクロスヘッドダイ2を用いた。溶融したポリプロピレン樹脂は、サヤ芯21の外周から入り、サヤ芯21の先端に達した後、一部はサヤ芯の中を通過する繊維束とともに押出ノズル方向に吐出されるが、残りは一旦サヤ芯21の先端からサヤ芯開口側に逆流し、そこで滞留しながらガイド芯金20を通った強化用繊維束Fの一部に含浸する。最後に押出ノズル23により形状を付与される。これを冷却水槽3で冷却しつつ引取ることで直径3.4mmの長繊維強化熱可塑性樹脂線状物(ロッド)を得た。得られた長繊維強化熱可塑性樹脂の断面の模式図を図10(A)に示す。得られた線状物の物性等について表1に示す。
実施例2
(予備引出し工程)
強化用繊維束として、1100dtex/95fのポリエチレンテレフタレート繊維(東レ製)25本を、クリールから張力調整手段TCとしてのテンサーおよび未昇温の予熱装置PHを経て、円形の金属プレートに直径1mmの25個の孔があけられた分離ガイド201b(図6(A))の1個の孔に1本ずつ通し、続いて分離ガイドの孔のうちPCDφ18mmの位置に配置された、外側の6個の孔に通した繊維束6本を、図6(B)に示す円形の金属プレートの中央に直径2.0mmの孔が1個、その周囲に放射状扇形の孔が6個あけられた収束ガイド202bの扇形の6個の孔に1本ずつ通し、分離ガイド内側の19個の孔を通した残りの繊維19本を、中央の孔202Cbに通した。分離ガイド外側の繊維を収束ガイド202bの扇形の孔208bに通す際は、繊維が直線的に通るようにし、繊維同士の交差がないようにした。なお、放射状扇形の孔の扇形下辺2021の直径Dfcは7.0mの収束ガイドを用いた。
次いで、分離ガイド201b及び収束ガイド202bを、実施例1と同じクロスヘッドダイ2の内部に取り付けるため、半割り状の一方のガイド芯金20の溝204,205に嵌め、相対する他方の半割り状のガイド芯金と重ね合わせて円筒状のガイド芯金20とし、収束ガイド202bに通した強化用繊維束群をダイス先端に取着された直径3.2mmの円形押出ノズル23に通した上で、ガイド芯金20をクロスヘッドダイ本体2の後方へ取り付けた。この時、分離ガイドの孔のうちPCDφ18mmの位置に導通された、外側の6本の繊維束は押出ノズル23の吐出孔内壁に接触する様にした。
なお、押出ノズルの吐出孔部は、ランドLが4mmであり、孔径Aが3.2mmであって、吐出側に向かって、上底が3.2mmの円錐台状にくり抜かれており、該ダイスの厚み方向断面において該円錐台傾斜線232と吐出孔部壁面線231とが交わる角度θが125°で、相対向するサヤ芯の先端の開口の孔径Bが、6.4mmで吐出部孔径Aに対して200%大である実施例1と同一のサヤ芯を備えたダイを用いた。
(長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の成形)
押出ノズル23を通した強化用繊維束群を、冷却水槽3を通した上で、ベルト式引取装置4を用いて5m/minの速度で引取りながら、クリールからの各強化用繊維束Fの張力調整手段として中央軸Jに2枚の円板状セラミック板を間挿したテンサーTC1に強化用繊維束Fを通し、円板に錘Wを載置することで荷重を調整して、張力測定装置(横河電子機器株式会社製、テンションメータ Tー101)により張力が10g/本になるように調整しつつ、さらに上下半割りで組み立て時に円筒状を呈し、熱風発生機(株式会社 ライスター・テクノロジーズ製、ライスター・エレクトロン)を備えた予熱装置PHにより、強化用繊維束の表面温度が押出温度220℃より20℃低温の200℃となるように設定し、溶融押出機Eを起動して、押出温度220℃で溶融したのちポリプロピレン樹脂(プライムポリマー製、MFR:55g/10min:230℃、21.18N)を図9(C)に示すように、ダイ内部(221〜223)およびガイド芯金20の溶融樹脂接触部203に供給した。押出ノズル23から出てきた長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を、冷却水を満たした冷却水槽3で冷却しつつ引取ることで直径3.4mmの長繊維強化熱可塑性樹脂線状物101を得た。得られた長繊維強化熱可塑性樹脂線状物101の断面の模式図を図10(B)に示す。
本実施例2により得られた長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の繊維露出箇所は6箇所であった。また、繊維露出率は28%であった。引き抜き強力は18.3Nであり、繊維露出のない、または露出の少ない長繊維強化熱可塑性樹脂線状物と比べて高い結果が得られた。これらの結果をまとめて表1に示す。
Figure 0006863581
実施例3〜7、比較例1〜3
長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の長尺物の量産技術を確立するため、特に表面に所定本数の強化用繊維束を露出させた長繊維強化熱可塑性樹脂線状物について、生産速度を20m/minとして、安定連続生産性および露出繊維束の外観を評価した。
実施例2の製造条件において、クリールからの強化用繊維束の引出張力を3g/本〜120g/本、強化用繊維束の予熱温度を常温(20℃)〜200℃とした実施例、比較例について、安定(連続)生産性、繊維の露出度合いを観察し、以下のように評価した。
(i)連続生産性:生産長5000mを、生産速度20m/minで約4時間生産する場合を標準の連続生産として、当該生産時間における強化用繊維の繊維切れ回数により、次のように評価した。
○:4時間中繊維切れなし、△:4時間中繊維切れ1回、×:繊維切れ2回以上
(ii)繊維の露出:実施例2と同様に線状物の外周表面に6本の強化用繊維束を露出状に配置する場合において、繊維の露出度合いを評価した。
○:強化繊維束の1/3以上が露出(良好)、△:1/3以下露出、または不安定、×:繊維束の露出なし。
結果をまとめて表2に示す。
Figure 0006863581
表2より、クリールからの引出張力が3g、予熱温度が200℃である比較例1では、4連続生産性時間中に3回の強化用繊維束切れが発生し、繊維の露出状態は、「△」であった。引出張力を5g/本とし、予熱温度を常温(20℃)として比較例2では、比較例1同様に糸切れが4回、発生したが、繊維の露出度合いは良好であった。引出張力を5g/本とし、予熱温度を150℃(実施例3)、200℃(実施例4)では、実施例3で、4時間生産中に一回の糸切れが見られたが、露出度合いは共に良好であった。予熱温度を200℃として、引出張力を5g/本(実施例4)、10g/本(実施例5=実施例2)、50g/本(実施例6)、100g/本(実施例7)、120g/本(比較例3)では、引出張力が50g/本を超えると繊維の露出度合いが悪化する傾向が見られ、実施例6及び実施例7では「△」であった。また、連続生産性は、実施例7で1回の糸切れが発生し(「△」)、比較例3では、連続生産性、繊維の露出度合が共に「×」であった。
実施例3〜7により生産速度を大幅に向上させても、安定して連続生産でき、強化繊維束の露出度合いも良好であることが確認できた。
本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法は、長繊維強化用繊維束への熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂の含浸度合い及び、表面露出繊維束の露出度合いを調整して、均一な物性(特性)の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を、再現性よく、安定して連続製造できる方法を提供でき、長手方向に曲げる賦形加工が容易なので、従来金属ワイヤを曲げ加工して使用されていた用途に代替できる非金属部材の製造方法として利用できる。
また、車両シート用長繊維強化熱可塑性樹脂線状物として利用できる、強化用繊維束が、長手方向に直交する断面において、該マトリックス樹脂が含浸していない未含浸部を有し、該強化用繊維束はそれぞれその一部が長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の表面にそれぞれ別個の束状に露出して長手方向に連続してなり、前記強化用繊維束内の、マトリックス樹脂の未含浸部に、シートパッド成形時に、シートのクッション材である軟質ポリウレタン発泡樹脂が含浸することによって長繊維強化熱可塑性樹脂線状物と発泡体との結合性が発揮できる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物を安定的に連続生産する製造方法として利用できる。
1 クリール
2 溶融押出機クロスヘッドダイ部
3 水冷槽
4 引取装置
20 ガイド芯金
21 サヤ芯
22 クロスヘッドダイ本体
23 押出ノズル
231 吐出孔部壁面線
232 円錐台傾斜線
100 長繊維強化熱可塑性樹脂線状物(第1態様)
101 長繊維強化熱可塑性樹脂線状物(第2態様:所要本数表面露出タイプ)
201a、b 分離ガイド
202a、b 収束ガイド
202C 収束ガイド中央透孔
2021 扇形下辺
203 溶融樹脂含浸部
203S 溶融樹脂含浸部内の含浸始点
203E 溶融樹脂含浸部内の含浸終点
204、205 ガイド保持用溝
206 フランジ
207 取付孔
208 収束ガイドの放射状扇形肉抜部又は透孔ガイド部
209 樹脂流入孔
221 ダイ内樹脂流路
222 ダイ内傾斜部樹脂流路
223 含浸部向樹脂流路
A 押出ノズル孔径
B サヤ芯先端開口の孔径
D 円板
E 溶融押出機
F 長繊維状強化用繊維束
Fo’ 露出している強化用繊維
Fi’ 内部の強化用繊維
G1、G2 第1、第2ガイド(糸道ガイド)
G3 集合ガイド
GB ガイドバー
L 押出ノズルのランド部
l 繊維露出箇所長さ
M マトリックス樹脂
S 海
I 島
TC 張力調整手段
PH 予熱装置
W 錘
Rfc 収束ガイドの扇形下辺半径
Rc 収束ガイド中央透孔半径
Dfc 収束ガイド扇形下辺直径
Dc 収束ガイド中央透孔直径

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂であるマトリックス樹脂と、長繊維強化用繊維束とからなる長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法であって、
    (1)所定の撚り数を有する長繊維強化用繊維束を所要本数クリールより張力調整手段を介して引出し、未昇温の予熱装置内に通し、分離ガイド、溶融樹脂含浸部及び収束ガイドを備えるガイド芯金の該分離ガイド及び該収束ガイドの所定の透孔に各繊維束を順に配列して挿通し、該ガイド芯金をクロスヘッドダイ本体部に装着し、次いでサヤ芯及び押出ノズルを備えるダイ、冷却槽、及び引取装置に導く、長繊維強化用繊維束群の予備引出し工程、
    (2)該引取装置を駆動して、該長繊維強化用繊維束群を所定速度で引取りながら、該強化用繊維束に該張力調整手段を介して1本当り5〜100gの張力を負荷し、該予熱装置を昇温して該強化用繊維束を加熱しつつ該溶融押出機を駆動して、該クロスヘッドダイに該熱可塑性樹脂を供給して、該ガイド芯金の溶融樹脂含浸部及びダイ内において分離状の各強化用繊維束と溶融した熱可塑性樹脂を接触させて、各強化用繊維束に熱可塑性樹脂を部分的に含浸させ、引き続き収束ガイドを経て、所定の断面形状の押出ノズルを備えるダイにて加圧下に該長繊維強化用繊維束群を線状物として押出被覆する工程、
    (3)押出被覆された線状物を冷却固化し、引取る工程、
    を有し、
    前記線状物を押出被覆する工程において、該予熱装置内での強化用繊維束の加熱は、溶融した熱可塑性樹脂の温度Tmに対して、強化用繊維束の表面温度がTm〜Tm−200℃に達する範囲とする、ことを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
  2. 前記(2)押出被覆工程において、押出ノズル23の吐出孔部は、ランドLが2mm以上であり、吐出孔部の孔径をAとするとき、吐出側に向かって、押出ノズルが上底Aの円錐台状にくり抜かれており、該押出ノズル23の厚み方向断面において該円錐台傾斜線232とノズル吐出孔部壁面線231とのなす角度θが90°を超え、相対向するサヤ芯21の先端の開口の孔径Bが、該吐出部孔径Aに対して105〜360%大である関係にあるサヤ芯を備えたダイにより、溶融した熱可塑性樹脂を押出被覆する請求項1に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
  3. 前記ガイド芯金の収束ガイドは、以下の(a)要件又は(a)及び(b)の2要件を満足する、請求項1又は2に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
    (a)収束ガイドの中央部透孔の孔径Dcが長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dp対して50〜100%である。
    (b)収束ガイドの放射状扇形透孔を形成する扇形辺半径の2倍を扇形下辺直径Dfcとして、該扇形下辺直径Dfcが長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の外径Dpに対して105〜360%である。
  4. 前記線状物において、所要本数の該強化用繊維束を表面に露出させてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
  5. 前記強化用繊維束が、単繊維繊度が1.5dtex〜30dtexの繊維を80f〜150f集束し、かつ、2回〜500回/mの撚りを有するマルチフィラメントである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
  6. 前記強化用繊維束を構成する強化用繊維が熱可塑性樹脂からなり、前記マトリックス樹脂が該強化用繊維の融点又は軟化点よりも20℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂からなる強化用繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、脂肪族ポリアミド繊維から選ばれる一種又は複数種の併用あるいは混繊維である、請求項6に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
  8. 前記マトリックス樹脂を構成する熱可塑性樹脂が、メルトフローレート(230℃、21.18N)が20〜100g/10分であるポリプロピレン樹脂からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法。
JP2017117885A 2017-06-15 2017-06-15 長繊維強化熱可塑性樹脂線状物の製造方法 Active JP6863581B2 (ja)

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