図1は、空気調和システムの構成例を示した図である。空気調和システムは、冷暖切換型のシステムであり、複数の空間のそれぞれに設けられる複数の室内機と、複数の室内機と接続され、屋外に設置される室外機とを含む。また、空気調和システムは、各室内機につき、ユーザが操作するための複数のリモートコントローラ(以下、リモコンと略す。)を含む。空気調和システムは、複数の空間のそれぞれに設けられ、空間内の空気温度を調整する複数の機器をさらに含む。
図1に例示したシステムは、ビル等の部屋(室内)を1つの空間とし、2つの室内のそれぞれに室内機10、11と、機器として電気ヒータ12、13とが設置され、屋外に1台の室外機14が設置されたシステムである。各室内には、室内機10、11を操作するためのリモコン15、16が配置されている。
ここでは、2つの室内を例示しているが、室内は2つに限られるものではない。したがって、室内機10、11も2台に限定されるものではなく、電気ヒータ12、13やリモコン15、16も2つに限定されるものではない。また、機器は、空気温度を調整することができる機器であれば、電気ヒータに限られるものではない。機器は、オイルヒータやペルチェ素子を使用したクーラー等であってもよい。
室内機10、11と室外機14とは、途中で分岐した2本の配管17、18により接続され、2本の配管17、18を介して室内機10、11と室外機14との間を冷媒が循環するように構成されている。冷媒は、熱を移動させるために用いられる熱媒体で、ハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロオレフィン(HFO)等が用いられる。
リモコン15、16は、電源ボタンや温度設定ボタン等の各種の入力ボタンを備え、室内機10、11との間で無線通信を行う。リモコン15、16は、ユーザの入力を受けて、室内機10、11に対し、運転の開始や停止を指示し、設定温度や運転の状態を示す運転モード等の運転に関する情報を通知する。リモコン15、16は、表示部を有し、運転モード、設定温度、室内温度等を表示する。
室内機10、11と室外機14とは、通信ケーブル等により接続され、室内機10、11と室外機14との間で通信を行う。室内機10、11は、この通信において、室外機14へ運転の開始や停止を指示し、測定した室内温度、設定温度、運転モード等の情報を送信する。室外機14は、室内機10、11からの指示や情報を受け付けて、運転を開始または停止し、室内温度を設定温度に近づけるように運転負荷を変え、運転モードを切り替える。室外機14は、室内機10、11と常時通信を行い、室内機10、11の運転状態を常に把握している。
電気ヒータ12、13は、例えば電熱線を有し、電熱線に電流を流すことにより発熱し、熱を放射する。電気ヒータ12、13は、室外機14または電気ヒータ12、13用のリモコンで起動、停止、設定温度、風量、ルーバー角度等を設定することができる。電気ヒータ12、13は、運転を制御するために、室内の温度を測定する温度センサを備えることができる。室内の温度を測定する手段としては、電気ヒータ12、13用のリモコンに搭載されたリモコンサーモや、電気ヒータ12、13と同じ室内で、電気ヒータ12、13から離間した位置に配置されるリモートサーモ等を使用してもよい。
図2は、室内機10、11および室外機14の構成例を示した図である。室内機10、11の構成は同じであるため、ここでは室内機10についてのみ説明する。図2(a)は、室内機10の構成例を示し、図2(b)は、室外機14の構成例を示す。
室内機10は、室内の空気を吸い込み、吹き出すファン20と、吸い込んだ空気を温め、または冷却する熱交換器21と、ファン20を制御する制御基板22とを備えている。室内機10は、室内温度を測定する温度センサ、室内の湿度を測定する湿度センサ等を備えることができる。
ファン20は、複数の羽根と、複数の羽根を回転させる動力手段(モータ)とを含む。ファン20は、モータにより複数の羽根を回転させ、室内の空気を吸い込み、熱交換器21へ向けて送風する。
熱交換器21は、2つのヘッダと、2つのヘッダ間を繋ぐ複数の伝熱管と、伝熱管の外面に取り付けられる複数のフィンとを含む。冷媒は、一方のヘッダへ供給され、複数の伝熱管内を通り、他方のヘッダへと流れる。ファン20から送風された空気は、複数のフィンや伝熱管の外表面と接触し、伝熱管内を通って流れる冷媒と熱交換して、冷却または温められる。
制御基板22は、ユーザが操作するリモコン15と通信を行い、リモコン15から指示を受けて、室内機10を運転または停止し、運転モード、温度、風量等の設定や変更を行う。また、制御基板22は、温度センサで測定された室内温度、設定温度、運転モード等の情報を室外機14に送信する。さらに、制御基板22は、ファン20を制御し、設定温度や設定風量になるように風量を調整する。
室外機14は、外気を吸い込み、吹き出すファン30と、吸い込んだ空気を温め、または冷却する熱交換器31と、室内機10、11と室外機14との間で冷媒を循環する圧縮機32と、ファン30、圧縮機32、室内機10、11、電気ヒータ12、13を制御する制御基板33と、膨張弁34と、四方弁35とを備えている。室外機14は、外気温を測定する温度センサ、圧縮機32に供給する電流を測定する電流センサ、冷媒の流量を測定する流量センサ、冷媒の圧力を測定する圧力センサ、アキュムレータ等を備えることができる。
ファン30および熱交換器31は、室内機10のファン20および熱交換器21と同様のものであるため、ここでは説明を省略する。圧縮機32は、冷媒を吸引し、圧縮し、吐出する。圧縮機32は、振動が小さいロータリ圧縮機やスクロール圧縮機等が使用される。
制御基板33は、室内機10、11からの指示を受けて、室外機14を運転または停止し、受信した情報に基づき、ファン30や圧縮機32を制御して室内温度が設定温度になるように運転負荷を変え、室内機10、11へ供給する冷媒の温度や冷媒を循環する流量等を調整する。
膨張弁34は、圧縮された冷媒を膨張させ、冷媒の温度を下げるために使用される。四方弁35は、冷媒の流れの向きを変え、冷房運転から暖房運転へ、または暖房運転から冷房運転へ切り替えるために使用される。
ここで、図3を参照して、運転中の室内機10および室外機14の動作を簡単に説明しておく。リモコン15から運転モードを設定して運転開始の指示を室内機10へ送ると、室内機10から室外機14へ運転を開始するように指示し、運転モード等の情報を送信する。室外機14は、受信した運転モードに従い、必要に応じて四方弁35を切り替え、圧縮機を起動し、運転を開始する。
図3(a)を参照して、室内機10を冷房運転モードに設定した場合の動作を説明する。圧縮機32が冷媒を圧縮し、吐出すると、高温、高圧の冷媒は、四方弁35を介して熱交換器31内に供給される。冷媒は、ファン30により吸い込まれた外気と熱交換され、冷却され、凝縮する。冷媒は、膨張弁34により膨張され、一部が気化して気液二相流状態となり、配管を通して室内機10へ送られる。
室内機10では、熱交換器21内に冷媒が供給されると、ファン20により吸い込まれた室内の空気と熱交換される。空気は、冷媒により冷却され、室内へ吹き出される。
冷媒は、熱交換器21で空気に熱を奪われ、気化する。冷媒は、配管を通り、四方弁35を介してアキュムレータ36に入り、液状態の冷媒が分離され、ガス状態の冷媒のみが圧縮機32へ戻される。この動作を繰り返し、吹き出された冷たい空気で室内を設定温度になるように冷却していく。
図3(b)を参照して、室内機10を暖房運転モードに設定した場合の動作を説明する。暖房の場合は、冷房の場合と逆の動作となる。四方弁35を切り替え、冷媒の流れの方向を冷房とは逆にする。圧縮機32は、ガス状態の冷媒を断熱圧縮し、高温、高圧の状態にして吐出する。冷媒は、四方弁35を介し、配管を通して室内機10へ送られる。室内機10では、熱交換器21内に冷媒が供給され、ファン20により吸い込まれた室内の空気と熱交換される。空気は、冷媒により温められ、室内へ吹き出される。
冷媒は、熱交換器21で空気に熱を与えて冷却され、一部が凝縮し、配管を通して室外機14へ送られる。室外機14では、膨張弁34により高圧の冷媒を膨張させる。これにより、冷媒は、低温、低圧の状態になる。冷媒は、熱交換器31へと供給され、ファン30により吸い込まれた外気と熱交換され、気化し、四方弁35およびアキュムレータ36を介して圧縮機32へ戻される。この動作を繰り返し、吹き出された温かい空気で室内を設定温度になるように暖めていく。
図4は、室外機14が備える制御基板33のハードウェア構成の一例を示した図である。制御基板33は、一般的なコンピュータと同様、CPU40と、ROM41と、RAM42と、通信部43と、制御部44とを含む。CPU40等は、バス45に接続され、バス45を介して情報等のやりとりを行う。
ROM41は、CPU40により実行されるプログラムや各種のデータ等を格納する。RAM42は、CPU40に対して作業領域を提供する。CPU40は、ROM41により格納されたプログラムをRAM42に読み出して実行することで、各種の機能を実現する。
通信部43は、通信I/Fであり、室内機10、11および電気ヒータ12、13と接続し、室内機10、11および電気ヒータ12,13との通信を実現する。制御部44は、制御I/Fであり、ファン30、圧縮機32、膨張弁34、四方弁35と接続し、ファン30、圧縮機32、膨張弁34、四方弁35の制御を実現する。
図5は、室外機14の機能構成の一例を示したブロック図である。室外機14の機能は、制御基板33のCPU40がROM41に格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、室外機14の機能の一部または全部は、専用の回路等のハードウェアにより実現されていてもよい。
室外機14は、自身の機能を実現する機能手段として、受信手段50と、切替手段51と、制御手段52と、送信手段53と、記憶手段54と、入力受付手段55とを備える。
受信手段50は、室内機10、11から運転の開始や停止の指示、室内温度や運転モード等の情報を受信する。室内機10、11は、自機を識別するための識別情報を付与して上記の指示や情報を室外機14へ送信する。このため、受信手段50は、これらの指示や情報を識別情報とともに受信する。記憶手段54は、指示を受け付けた時刻や内容、受信した情報等を識別情報とともに記憶する。識別情報は、機器名や機器ID等である。
切替手段51は、室内機10、11の1つから運転の開始の指示を受けた場合、その指示とともに受信した運転モードに応じて、室外機14の運転モードを切り替える。運転モードは、冷房運転モード、暖房運転モード、ドライ運転モードの3つがある。ここでは、ドライ運転モードは、冷房運転モードと同じ扱いとし、運転モードは、冷房運転モードと暖房運転モードの2つのみとして説明する。このため、運転モードの切り替えは、冷房運転モードから暖房運転モードへ、または暖房運転モードから冷房運転モードへの切り替えの2つとなる。切替手段51は、圧縮機32を一旦停止させ、四方弁35を切り替えることにより、運転モードを切り替える。
室内機10、11のうち、室内機11を最初に運転開始し、その後、室内機10の運転を開始した場合を考える。室外機14の運転モードは、最初に運転を開始した室内機11と同じ運転モードとなる。したがって、室内機11の運転モードが冷房運転モードであれば、室外機14の運転モードも冷房運転モードとなり、室内機11の運転モードが暖房運転モードであれば、室外機14の運転モードも暖房運転モードとなる。
室内機10から運転の開始の指示を受けた段階では、記憶手段54には、現在運転中である室内機11の運転モードの情報が記憶されている。このため、切替手段51は、室内機10から受信した運転モードと、記憶手段54に記憶された室内機11の運転モードとを参照し、室外機14の運転モードを切り替えるか否かを判断する。
室内機10と室内機11の運転モードが同じ場合、室外機14の運転モードを切り替えなくてもよく、室内機10への冷媒の供給を開始すれば、室内機10において設定された運転モードで運転することができる。
室内機10と室内機11の運転モードが異なる場合、このシステムが冷暖同時型のシステムではないため、一方の運転モードでしか運転することができない。そこで、運転モードが異なる場合は、室内に設置されている機器に応じて、運転モードを切り替えるか否かを判断する。
室内機11および室外機14が暖房運転モードで、室内機10が冷房運転モードで、室内機10、11に設置されている機器が電気ヒータ12、13である場合、切替手段51は、暖房運転モードから冷房運転モードに切り替える。各室内に電気ヒータ12、13が設置されているので、冷房運転に切り替えても、電気ヒータ12、13が代替して暖房運転を行うことができるからである。
制御手段52は、切替手段51が暖房運転モードから冷房運転モードに切り替えた場合、室内機10へ冷媒を供給することにより、室外機14を室内機10と連携して動作するように制御し、室内機11への冷媒の供給を停止し、室内機11との連携を解除する。室外機14と各室内機10、11とを接続する配管には、電気信号により開閉する弁が設けられている。制御手段52は、その弁を開閉する指令を弁に対して与えることにより、室内機11へ冷媒を供給し、その供給を停止する。
送信手段53は、室内機11と同じ室内に設置されている電気ヒータ13に対して運転指示を送信する。これにより、電気ヒータ13で室内を暖めることができる。
入力受付手段55は、範囲入力手段や時間入力手段として機能し、後述する冷房サーモOFF継続時間や冷房運転範囲の設定値等の入力を受け付ける。これらの設定値は、記憶手段54に記憶され、必要なときに参照される。
ここでは、最初に暖房運転モードで運転を開始し、冷房運転モードに切り替えることを説明したが、その逆の、冷房運転モードで運転を開始し、暖房運転モードに切り替えることも可能である。
一般に、冷房機器としては、空気調和システムが使用され、暖房機器としては、空気調和システムのほか、上記の電気ヒータ等も使用される。このため、暖房運転は、電気ヒータ等で代用が可能である。そこで、室外機14は、複数の室内機10、11で運転モードが異なる場合、冷房を優先させ、冷房運転モードで運転することができる。この場合、冷房運転モードが設定された室内機は、冷房運転を行い、暖房運転モードが設定された室内機は、送風運転とし、同じ室内に設置されている電気ヒータ等の運転を開始させることができる。以下、この機能を「冷房優先」として参照する。
図6は、運転制御の一例を示したフローチャートである。室外機14は、室内機10、11の1つから運転の開始の指示を受信することにより、起動し、運転を開始する。ここでは、第2の室内機としての室内機11から指示を受信して室外機14の運転を開始し、その後、第1の室内機としての室内機10から運転の開始の指示を受信するものとして説明する。受信手段50は、上記の指示とともに室内機11から運転モードの情報を受信し、記憶手段54にその情報を、室内機11の識別情報とともに記憶させる。
制御手段52は、その情報を参照し、必要に応じて四方弁35を切り替え、ファン30や圧縮機32を起動させ、室外機14の運転を開始する。
この運転制御は、2台目以降に運転を開始する室内機から運転の指示を受信することによりステップ100から開始する。ステップ101では、受信手段50が、室内機10から運転モードの情報を受信し、記憶手段54にその情報を、室内機10の識別情報とともに記憶させる。ステップ102では、切替手段51が、室内機10から受信した運転モードと、室内機11に対して記憶されている運転モードが異なるかどうかを判断する。
同じ運転モードと判断した場合は、運転モードの切り替えは発生しないので、ステップ103へ進み、制御手段52が、圧縮機32の負荷を上げ、室内機10へ冷媒の供給を開始し、室外機14を室内機10と連携して動作するように制御する。
一方、異なる運転モードと判断した場合は、ステップ104へ進み、切替手段51が、室内機11に対して記憶されている運転モードを参照し、室外機14の運転モードが暖房運転モードかどうかを判断する。暖房運転モードと判断した場合、室内機10の運転モードは冷房運転モードであるから、ステップ105で、切替手段51は、冷房優先により、冷房運転モードに切り替える。
ステップ106では、制御手段52が、室内機10への冷媒の供給を開始し、室外機14を室内機10と連携して動作するように制御する。一方、制御手段52は、ステップ107で室内機11への冷媒の供給を停止し、室外機14を室内機11と連携せずに動作する待機状態とする。室内機11は、ファン20のみが動作する送風運転となる。
送信手段53は、室内機11と同じ室内に設置されている電気ヒータ13に対して運転開始の指示を送信する。これにより、電気ヒータ13の運転が開始され、送風運転により室内を流れる空気を電気ヒータ13により温め、暖房運転を実現することができる。
ステップ104で冷房運転モードと判断した場合、室内機10の運転モードは暖房運転モードであり、冷房優先により運転モードを切り替えることなく、ステップ108へ進む。ステップ108では、制御手段52は、室内機10とは連携せず、待機状態とし、室内機10と同じ室内に設定されている電気ヒータをONにする。このとき、室内機11は、冷房運転を継続する。室内機10は、ファン20が起動するが、室外機と連携されないので、熱交換器21内へ冷媒が供給されず、送風運転となる。
ステップ109では、切替手段51が、室内機の運転停止や所定の条件が成立したことにより冷房運転が停止した場合等、冷房運転を行う室内機がいなくなったかどうかを判断する。冷房運転を行う室内機がいる場合、室外機は、そのまま冷房運転モードで運転を行う。
一方、冷房運転を行う室内機がいない場合、ステップ110で、切替手段51は、室外機の運転モードを暖房運転モードに切り替える。ステップ111では、制御手段52は、室外機をこれまで待機状態であった室内機10または室内機11と連携して動作するように制御する。ステップ112では、制御手段52は、待機状態であった室内機10または室内機11と同じ室内に設置され、ONにされていた電気ヒータをOFFにし、ステップ113で終了する。
室外機に接続されている別の室内機、例えば第3の室内機から運転の指示を受け付けた場合、室内機10、11のうちの一方が運転モードを変更した場合は、それらを運転の指示として受け付けるため、再びステップ100から制御を開始する。
ここで、図7を参照して、各ユニットの運転状態の遷移について説明する。この例は、ユニットとして1台の室外機と2台の室内機とにより構成された空気調和システムで、最初に室内機1で暖房運転を開始し、その後に室内機2で冷房運転を開始し、一定時間冷房運転した後に室内機2を停止したときの各ユニットの運転状態の遷移を示している。
図7中、「冷房」は、冷房スイッチON(運転)状態を示し、「冷房(OFF)」は、冷房スイッチOFF状態を示し、「冷房(th,off)」は、冷房サーモOFF状態、すなわち冷房運転において待機状態(送風運転の状態)を示す。「暖房」は、暖房スイッチON(運転)状態を示し、「暖房(th,off)」は、暖房サーモOFF状態を示す。「暖房(th,off)※」は、暖房サーモOFF状態であって、冷凍サイクルが冷房の場合を示す。
ステップ(1)は、ユーザの操作によりリモコン1において暖房運転が設定され、システムが暖房運転を行っている状態である。最初に室内機1で暖房運転モードが設定されたため、室外機も暖房運転モードに設定されている。なお、室内機2は、停止している。
ステップ(2)−1は、リモコン2の冷房スイッチがONにされた状態である。室外機は、先に運転した運転モードを優先するため、暖房運転モードのままとなっている。室内機2は、リモコン2で冷房スイッチがONにされたため、冷房サーモONにし、冷房運転を開始しようとする。しかしながら、冷凍サイクルが暖房の状態であるため、室外機が自機の運転モードを室内機2に通知すると、運転モードが異なることから、エラーとなる。このため、室外機は、自機の運転モードを送信しないようにし、四方弁の切り替えのために、スイッチがONになっている全ての室内機をサーモOFFの状態にさせる。
ステップ(2)−2は、システム全体をサーモOFFにした状態である。室内機1と室内機2が異なる運転モードであるため、室外機は、圧縮機を一旦停止させ、四方弁を切り替えることにより暖房運転モードから冷房運転モードに切り替える。圧縮機は、停止させても、すぐには止まらないため、停止させるための一定の時間(タイムガード)が設けられている。タイムガードは、例えば3分とされる。なお、3分という時間は一例であるため、タイムガードの時間は、3分に限定されるものではない。
室外機は、圧縮機を停止させた理由を示すコードを、全室内機(室内機1、2)を介してリモコンへ送信し、リモコンの表示画面にそのコードの内容を表示させることができる。
ステップ(3)は、タイムガード後、四方弁を切り替え、圧縮機を起動させ、冷房運転を開始した状態である。室外機および室内機2は、冷房運転モードが設定され、冷房運転を行っている。室内機1は、暖房運転モードが設定されているが、冷凍サイクルが冷房の状態であるため、待機状態となっている。室外機は、上記のリモコンに対し、圧縮機の停止を解除した旨のコードを送信し、そのリモコンの表示画面にそのコードの内容を表示させることもできる。
ステップ(4)−1は、室内機2を一定時間運転した後、リモコン2の冷房スイッチがOFFにされた状態である。室内機2の冷房運転が停止するのみで、室外機および室内機1の運転状態は、ステップ(3)の状態と変わらない。
ステップ(4)−2は、再びシステム全体をサーモOFFにした状態である。室内機2を停止すると、運転中の室内機は、室内機1のみとなる。室内機1は、暖房運転モードに設定されており、室外機を冷房運転モードのままとし、電気ヒータを使用して暖房運転を行うのは効率が悪い。そこで、室外機の運転モードを暖房運転モードに戻す。
ステップ(5)は、タイムガード後、四方弁を切り替え、圧縮機を起動させ、暖房運転を開始した状態である。室外機および室内機1は、暖房運転モードが設定され、暖房運転を行っている。
冷暖切換型のシステムでも、このような制御を行うことで、冷暖同時運転が可能となり、その冷暖同時運転の機会が限定されることもなくなる。また、冷暖切換型のシステムであるため、接続配管が1系統分少なくて済み、冷暖切換ユニットも必要ないため、機器構成が少なくなり、機器コストを抑えることができる。また、1系統分の接続配管や冷暖切替ユニットを設置する必要がないため、その分の設置スペースが不要となる。
これまで、空気調和システムの運転制御を、複数の室内機10、11の運転モードを把握することができる室外機14の制御基板33により実施することを説明してきた。しかしながら、この運転制御は、室外機14の制御基板33に限られるものではなく、複数の室内機のうちの1つの制御基板22や集中コントローラ等の他の制御装置により実施することも可能である。
次に、図8〜図26のタイムチャートを参照して、様々な運転制御の例について説明する。図8は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、その後、室内機2の冷房スイッチがOFFにされた場合の運転制御を例示した図である。室外機の制御対象は、モード、四方弁、圧縮機周波数の3つがあり、室内機1、2の制御対象は、モード、運転スイッチ、サーモの3つがある。
モードは、冷房運転モードと暖房運転モードのいずれかが設定される。四方弁は、ON/OFFで制御され、ONが、冷凍サイクルが暖房の場合を示し、OFFが、冷凍サイクルが冷房の場合を示す。圧縮機周波数は、0Hzの場合、圧縮機が停止していることを示し、0Hz以外の場合、圧縮機が稼働していることを示す。運転スイッチは、ONが、リモコンにおいて冷房スイッチまたは暖房スイッチが押下されたことを示し、OFFが、停止スイッチが押下され、冷房スイッチまたは暖房スイッチがOFFにされたことを示す。サーモは、ONが、室内機が冷房運転または暖房運転をしていることを示し、OFFが、室内機が停止または送風運転をしていることを示す。
室内機1が暖房運転中、時刻(1)で室内機2の冷房スイッチをONにしている。室外機に対し、室内機1、2が異なる運転モードとなるため、室外機は、冷房優先により、暖房運転モードから冷房運転モードへ切り替える。
室外機は、暖房運転モードから冷房運転モードへ切り替えるために、室内機1をサーモOFFにする。これにより、サーモONの室内機がいなくなるため、圧縮機周波数を0にし、圧縮機を停止させる。このとき、四方弁は切り替えず、ONのままとする。タイムガードが経過するのを待つためである。
タイムガードの時間(2)が経過した時刻(3)において、室外機は、四方弁をOFFに切り替え、圧縮機を起動する。これにより、室内機2へ冷媒が供給され、サーモONになる。このとき、室内機1は、サーモOFFの状態が継続し、送風運転を行っている。電気ヒータが設置されている場合は、電気ヒータの運転を開始し、室内機1の送風運転と電気ヒータとにより暖房を実現する。
時刻(4)において室内機2の冷房スイッチをOFFにすると、サーモONの室内機がいなくなるため、室外機は、同じ時刻(5)において、圧縮機周波数を0にし、圧縮機を停止する。このときも、四方弁は切り替えず、OFFのままとする。電気ヒータを運転していた場合、電気ヒータの運転を停止させる。このとき、室外機は、冷房優先を解除するコードを室内機1へ送信する。これにより、室内機1は、サーモOFFの状態であるが、サーモONにすることが可能となる。
タイムガードの時間(6)が経過した時刻(7)において、室外機は、四方弁をONに切り替え、圧縮機を起動する。これにより、室外機の運転モードが暖房運転モードに切り替わり、サーモONになり、室内機1が暖房運転を開始する。
図9は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え中に、室内機1の暖房スイッチがOFFにされた場合の運転制御を例示した図である。室内機1の暖房スイッチが、図8に示すタイムガードの時間(2)が経過する途中の時刻(8)でOFFにされている。
室内機1が暖房運転をしていて、室内機2の冷房スイッチがONにされると、運転モードが異なるため、室外機は、冷房優先により、それまでの暖房運転モードから冷房運転モードに切り替える。このとき、室内機1は、サーモOFFの状態になる。その後、暖房スイッチ(運転スイッチ)がOFFにされると、運転中の室内機が冷房運転モードの室内機2のみとなるため、冷房優先が解除される。それ以降は、図8に示した例と同様の動作となる。すなわち、室外機は、タイムガード後、四方弁をOFFに切り替え、圧縮機を起動する。そして、室内機2は、サーモONになる。
図10は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え中に、室内機2の冷房スイッチがOFFにされた場合の運転制御を例示した図である。室内機2の冷房スイッチが、図8に示すタイムガードの時間(2)が経過する途中の時刻(9)でOFFにされている。
室内機1が暖房運転をしていて、室内機2の冷房スイッチがONにされると、運転モードが異なるため、室外機は、冷房優先により、それまでの暖房運転モードから冷房運転モードに切り替える。このとき、室内機1は、サーモOFFになる。その後、室外機2の冷房スイッチがOFFにされると、運転中の室内機が暖房運転モードの室内機1のみとなるため、冷房優先が解除される。
室外機は、冷房運転モードの室内機が存在しないため、暖房運転モードに戻す。室外機は、冷房運転モードで運転しないため、四方弁をONからOFFに切り替えることなく、圧縮機を起動させ、暖房運転を開始する。これを受けて、室内機1は、サーモONになり、暖房運転を再開する。
図11は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、その後、さらに別の室内機3が暖房スイッチONにした場合の運転制御を例示した図である。この場合、室外機は、冷房優先により、冷房運転モードに切り替える。室内機3は、暖房スイッチがONにされても、冷房優先のため、サーモOFFのままとなる。このため、室内機3は、送風運転となる。
図12は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、その後、さらに別の室内機3が冷房スイッチONにした場合の運転制御を例示した図である。この場合、室内機3は、タイムガードの途中で冷房スイッチがONにされているので、タイムガード後、室内機2とともにサーモONになり、冷房運転を開始する。
図13は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、室内機2がサーモOFFとなり、タイムガード後、サーモONとなる場合の運転制御を例示した図である。室内機2は、時刻(12)でサーモOFFにはなるが、冷房スイッチがONの状態を維持しているので、冷房優先は継続している。室内機2は、例えば設定温度と室内温度がほぼ同じ場合等に、室外機へサーモOFF要求を送信することによりサーモOFFになる。タイムガード後、室内機2から時刻(13)においてサーモON要求があると、室外機は、四方弁を切り替え、圧縮機を起動させて、冷房運転モードで運転する。これにより、室内機2は、サーモONになる。
図14は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え中に、所定の条件が成立した場合の運転制御を例示した図である。所定の条件は、例えば冷房運転ができない温度条件である。この条件が成立するか否かは、外気温度が設定温度以下になったか否かにより判断することができる。
室外機は、屋外の環境条件の1つである外気温度を検出する検出手段としてのセンサを有し、制御対象にこの外気温度を含む。例えば、タイムガードの途中で、外気温度が、時刻(14)で設定温度以下になり、所定の条件が成立した場合、冷房運転ができないことから、冷房サーモONの室内機がいなくなる。このため、サーモOFFとなっていた室内機1は、冷房優先が解除され、サーモONが可能となる。
室外機は、冷房運転モードの室内機が存在しないため、暖房運転モードに戻す。室外機は、冷房運転モードで運転しないため、四方弁をONからOFFに切り替えることなく、圧縮機を起動させ、暖房運転を開始する。これを受けて、室内機1は、サーモONになり、暖房運転を再開する。室内機2は、所定の条件が成立している間は、冷房運転ができないことから、冷房サーモOFFの状態が継続する。
図15は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え後に、室内機1の暖房スイッチをOFFにした場合の運転制御を例示した図である。運転モードの切り替えが終了するまでは、図8を参照して既に説明したので、その説明は省略する。室内機1の暖房スイッチを時刻(15)でOFFにすると、運転中の室内機において、暖房運転モードの室内機がいなくなるため、運転中の室内機2は、冷房優先にする必要はなく、通常の冷房運転でよい。このため、室内機1は、冷房優先が解除される。
図16は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え後に、さらに別の室内機3の暖房スイッチがONにされた場合の運転制御を例示した図である。室内機3の暖房スイッチを時刻(16)でONにすると、室外機は、室内機3からサーモON要求を受け付ける。室外機は、冷房優先の状態であるため、サーモON要求を無視する。このため、室内機3は、サーモOFFのままとなる。
図17は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え後に、さらに別の室内機3の冷房スイッチがONにされた場合の運転制御を例示した図である。室内機3の冷房スイッチを時刻(17)でONにすると、室外機は、室内機3からサーモON要求を受け付ける。この場合、室外機は、冷房運転の室内機が増えるだけであるため、室内機3をサーモONにする。
図18は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え後、室内機2をサーモOFFにし、タイムガード後、サーモON要求を受け付けた場合の運転制御を例示した図である。室内機2が時刻(18)でサーモOFFにされると、運転中の室内機がいなくなるため、室外機は、圧縮機を停止する。圧縮機は、タイムガード後はいつでも起動することができる。このため、タイムガードが経過した、例えば時刻(19)において室内機2からサーモON要求を受け付けることで、室外機は、圧縮機を起動する。そして、室内機2は、サーモONとなる。
図19は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードの切り替え後に、所定の条件が成立した場合の運転制御を例示した図である。室外機は、外気温度が時刻(20)において設定温度以下になったことを受けて、室外機は、所定の条件が成立したと判断し、圧縮機を停止する。これにより、冷媒の供給が停止し、冷房運転をしていた室内機2が強制的にサーモOFFとなる。このため、サーモOFFとなっていた室内機1は、冷房優先が解除され、サーモONが可能となる。
室外機は、タイムガード後、運転モードを切り替え、四方弁をOFFからONに切り替え、圧縮機を起動する。これにより、室外機が暖房運転モードに切り替わり、室内機1がサーモONとなる。
図20は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、室内機2をサーモOFFにし、サーモOFFが一定時間以上継続した場合の運転制御を例示した図である。室内機2が時刻(21)でサーモOFFにされると、運転中の室内機がいなくなるため、圧縮機が停止する。圧縮機が停止してから一定時間が経過しても、室内機2からサーモON要求がこない場合、室外機は、タイムガード後、時刻(22)において運転モードを冷房運転モードから暖房運転モードに切り替え、四方弁をOFFからONに切り替え、圧縮機を起動する。室内機1は、冷媒の供給を受けて、サーモONになる。
室内機2は、室内機1がサーモONになったことを受けて、運転スイッチはONのままとし、室外機からの指示を受けて、運転モードを冷房運転モードから暖房運転モードに切り替える。これにより、室内機2は、暖房運転に切り替わり、サーモONになる。室内機2は、自機と通信を行うリモコンに運転モードを切り替えたことを通知する。リモコンは、それを受けて、運転モードを変更する。
一定時間が経過しても、冷房サーモON要求がこない場合、冷房運転を行う室内機が存在しないのに、冷房優先の状態で維持する必要がなく、元の暖房運転に戻した方が、効率が良いためである。ただし、室内機2が冷房運転モードのままであると、冷房優先により、室外機を暖房運転モードに戻すことはできないため、室内機2の運転モードを暖房運転モードに切り替え、運転モードを指示するリモコンも暖房運転モードに変更している。
図21は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードを切り替え、室内機2の冷房スイッチをOFFにした後に、室内機1の暖房スイッチをOFFにした場合の運転制御を例示した図である。室内機2の冷房スイッチをOFFにすると、室外機は、冷房運転を行う室内機がいなくなり、圧縮機を停止する。
室内機2は、圧縮機の停止により、サーモOFFとなる。これにより、室内機1は、冷房優先が解除され、サーモONにすることが可能になる。室外機は、タイムガード後に冷房運転モードから暖房運転モードに切り替え、圧縮機を起動し、四方弁を切り替える。そのタイムガードの途中の時刻(23)で室内機1の暖房スイッチがOFFにされると、暖房運転を行う室内機もいなくなるため、室外機は、冷房運転モードのまま停止した状態となり、それを維持する。
図22は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードを切り替え、室内機2の冷房スイッチをOFFにした後に、室内機2の冷房スイッチを再度ONにした場合の運転制御を例示した図である。室内機2の冷房スイッチをOFFにするまでの制御は、図21に示した例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
室外機が停止し、タイムガードの途中の時刻(24)で、室内機2の冷房スイッチをONにすると、室外機は、冷房運転モードを維持し、タイムガード後、圧縮機を起動する。室外機は、四方弁をOFFのままとし、室内機2へ冷媒の供給を開始する。これにより、室内機2は、サーモONになる。
室内機1は、室内機2の冷房スイッチOFFにより冷房優先が解除され、暖房サーモをONにすることが可能になる。しかしながら、室内機2の冷房スイッチONにより、再び冷房優先となり、暖房サーモがOFFの状態に維持される。
図23は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされ、運転モードを切り替え、室内機2の冷房スイッチをOFFにした後、さらに別の室内機3の暖房スイッチをONにした場合の運転制御を例示した図である。室内機2の冷房スイッチをOFFにするまでの制御は、図21に示した例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
室内機1は、室内機2の冷房スイッチOFFにより冷房優先が解除され、暖房サーモをONにすることが可能になる。タイムガードの途中の時刻(25)で、室内機3の暖房スイッチをONにすると、タイムガードが経過した後、冷房運転を行う室内機がいないので、室外機は、冷房運転モードから暖房運転モードに切り替える。そして、室内機は、圧縮機を起動し、四方弁をOFFからONに切り替える。これにより、室内機1、3は、サーモONとなる。
図24は、室内機2の冷房運転中に室内機1の暖房スイッチがONにされた場合の運転制御を例示した図である。室内機2は、外気温度が設定温度以下で、所定の条件が成立し、サーモOFFとなっている。
冷房運転を行う室内機の全てが、所定の条件が成立し、サーモOFFになっている場合、室外機は、冷房優先を解除する。そして、室内機1において暖房スイッチが時刻(26)でONにされると、室外機は、運転モードを冷房運転モードから暖房運転モードに切り替え、圧縮機を起動し、四方弁をOFFからONに切り替える。これにより、室内機1は、サーモONとなる。
図25は、室内機1の暖房運転中に室内機2の冷房スイッチがONにされた場合の運転制御を例示した図である。室内機2は、外気温度が設定温度以下で、所定の条件が成立し、サーモOFFとなっている。
室内機2は、運転制限中のため、時刻(27)で運転スイッチがONにされても、冷房運転は行わない。このため、室外機は、暖房運転モードを維持し、圧縮機の運転を継続し、四方弁も切り替えない。このため、室内機1は、サーモONの状態が継続される。
図26は、室内機2が運転制限され、室内機1が暖房運転中に、所定の条件が未成立となった場合の運転制御を例示した図である。室内機2は、外気温度が設定温度以下で、所定の条件が成立し、運転が制限されている。このため、冷房優先ではあるが、室外機は、暖房運転モードで、四方弁もONに切り替えられている。これにより、室内機1は、サーモONとなっている。
外気温度が時刻(28)において設定温度を超え、所定の条件が成立しなくなると、室外機は、室内機1をサーモOFFとし、室内機2の運転制限を解除する。室外機は、冷房優先により、同じ時刻(29)において運転モードを暖房運転モードから冷房運転モードに切り替え、圧縮機を一旦停止する。室外機は、タイムガードの時間(30)後、時刻(31)において圧縮機を起動し、四方弁をONからOFFに切り替える。これにより、室内機2がサーモONとなる。
図27は、冷房サーモOFF継続時間の設定画面および設定値の一覧を示した図である。冷房サーモOFF継続時間は、図20で説明した一定時間に相当する時間で、機能選択で例えばFiを選択し、時間に対応する設定値0〜4を選択することにより設定することができる。
設定値0は、冷房優先が無効であることを示す値で、設定値1〜4は、冷房優先が有効で、設定値1が45分、設定値2が60分、設定値3が90分、設定値4が時間の制限がないことを示している。図27に示す例では、冷房優先が無効であることを示す設定値0を設定している。
図28は、冷房運転範囲の設定画面および設定値の一覧を示した図である。冷房運転範囲は、冷房運転が可能な温度範囲で、図14で説明した温度条件の最低温度を示し、機能選択で、例えばFLを選択し、最低温度に対応する設定値0〜8を選択することにより設定することができる。
設定値0は、工場出荷時の設定温度である。設定値1〜8は、外気温度の設定温度を示している。図28に示す例では、工場出荷時の設定温度を設定している。
図29は、室内機10の別の構成例を示した図である。これまでに説明した構成は、室内機10と電気ヒータ12とを別個の機器とし、室内機10を室内の1つの壁面の上側に設置し、電気ヒータ12を同じ室内の、例えば対向する壁面の下側に設定している。このような別個の機器として設ける構成に限定されるものではなく、図29に示すように、室内機10の筐体内の吹き出し口に近隣して、電気ヒータ12が設けられていてもよい。
図29では、筐体の上部等の吸込口24からファン20により空気を吸い込み、熱交換器21を介して吹出口23から吹き出す際、吹出口23に近隣して配置される電気ヒータ12により空気を温められるように構成されている。
電気ヒータ12は、室内の空気温度を測定するセンサにより得られる温度を、設定温度になるように、電流を流し(ON)、電流を停止する(OFF)制御を行う。電気ヒータ12は、オフセット値を設け、センサからの温度が、設定温度からオフセット値を減算した温度より低い場合に、ONにし、設定温度に達した場合に、OFFにすることができる。オフセット値は、任意の値に設定することができる。
以上に説明した構成および制御を採用することで、冷暖切換型のシステムであっても、冷房と暖房の運転を同時に行うことができる機会が限定されなくなる。
これまで本発明の室外機、空気調和システムおよびプログラムについて上述した実施形態をもって詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、上記のプログラムが記録された記録媒体等のプログラム製品も、本発明の範囲に含まれるものである。