以下、本発明の変位可視化センサー、変位可視化方法、および変位可視化システムについて詳細に説明する。
A.変位可視化センサー
本発明の変位可視化センサーは、着色パターン板および遮光パターン板を有し、上記遮光パターン板が観察者側となるように両板が重ねて配置されたものである。本発明の変位可視化センサーは、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の変位を測定する第1実施態様と、両板を連結する回転軸部を回転中心とする上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の軸回りの変位を可視化する第2実施態様とに大別することができる。
ここで、本発明において、「上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の変位」とは、上記遮光パターン板が上記着色パターン板に対して相対的に移動した方向および距離の大きさを意味する。また、以下において、「上記着色パターン板が固定された計測対象物の第1位置に対する上記遮光パターン板が固定された上記計測対象物の第2位置の相対的な位置の変位」とは、「上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の変位」と同一の内容を意味する。そして、「上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位」とは、上記計測対象物の第2位置が第1位置に対して相対的に移動した方向および距離を意味する。
I.第1実施態様
第1実施態様の変位可視化センサーは、一定規則で繰り返す着色パターンを有する着色パターン板と、上記一定規則で繰り返す遮光パターンおよび光透過パターンを有する遮光パターン板と、を有し、上記着色パターン板および上記遮光パターン板は、上記遮光パターン板が観察者側となるように重ねて配置され、上記着色パターン板および上記遮光パターン板は、上記着色パターン板の着色パターン側の面または上記遮光パターン板の遮光パターン側の面に沿った第1の方向または第2の方向に相対的に移動可能であり、上記第1の方向および第2の方向を含む面と交わる第3の方向を軸として相対的に回転可能であり、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い、上記観察者側から上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化が生じ、上記着色パターンの変化により、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記第1の方向または第2の方向の変位を表示し、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、上記観察者側から視認される上記遮蔽パターンと、上記観察者側から上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わされることでモアレが生じ、上記モアレにより、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記第3の方向の軸回りの変位を表示する。
また、第1実施態様において、「第1の方向」および「第2の方向」としては、上記着色パターン板の着色パターン側の面または上記遮光パターン板の遮光パターン側の面に沿った互いに異なる第1の方向および第2の方向であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記着色パターン板の着色パターン側の面に平行なXY平面内において互いに直交するX方向およびY方向が挙げられる。また、「第3の方向」とは、上記第1の方向および第2の方向を含む面と交わる第3の方向であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記XY平面に垂直なZ方向が挙げられる。
以下では、上記第1の方向および上記第2の方向の具体例として、上記X方向およびY方向をそれぞれ用い、上記第3の方向の具体例として上記Z方向を用いて、第1実施態様の変位可視化センサーを説明する。また、上記変位可視化センサーを上記観察者側から視認する態様として、Z方向の上記観察者側から平面視する態様を用いて、第1実施態様の変位可視化センサーを説明する。
なお、以下の説明において、「XY平面」とは、上記XY平面を意味し、「X方向」および「Y方向」とは、上記X方向およびY方向をそれぞれ意味し、「Z方向」とは、上記Z方向を意味する。また、「−X方向」とはX方向とは反対の方向を意味し、「−Y方向」とはY方向とは反対の方向を意味し、「−Z方向」とはZ方向とは反対の方向を意味する。また、「Z方向から平面視」とは、上記変位可視化センサーをZ方向の上記観察者側から平面視することを意味する。さらに、以下では、位置間の距離、パターンの幅およびピッチp、ドットの直径およびピッチp、基板の厚み、層の幅、厚み、および間隔、ならびに変位等のような寸法として、具体的な数値を用いて第1実施態様の変位可視化センサーを説明している箇所があるが、第1実施態様の変位可視化センサーは、これらの具体的な数値が上記寸法として用いられたものに限定されるものではなく、上記寸法を適宜調整することができるものである。
第1実施態様の変位可視化センサーの一例について図面を参照しながら説明する。図1(a)は第1実施態様の変位可視化センサーの一例を示す概略上面図である。図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。図2は図1に示される着色パターン板および遮光パターン板がそれぞれ固定された計測対象物の第1位置および第2位置を示す概略上面図である。図3(a)は図1に示される着色パターン板を示す概略上面図であり、図3(b)は図3(a)のB部分の拡大図であり、図3(c)は図3(b)のB−B線断面図である。図4(a)は図1に示される遮光パターン板を示す概略上面図であり、図4(b)は図4(a)のC部分の拡大図であり、図4(c)は図4(b)のC−C線断面図である。
図1に示される変位可視化センサー10は、着色パターン板20と遮光パターン板30とを有する。また、変位可視化センサー10は、着色パターン板20および遮光パターン板30をそれぞれ補強する第1金属枠40aおよび第2金属枠40bをさらに有する。図1および図2に示されるように、着色パターン板20は、第1金属枠40aを介して、接着層60によって鉄製の計測対象物2の第1位置2aに固定されている。また、遮光パターン板30は、第2金属枠40bを介して、接着層60によって計測対象物2の第2位置2bに固定されている。これにより、変位可視化センサー10は、計測対象物2に設置されている。また、計測対象物2の第1位置2aと第2位置2bとの間のX方向の距離xは100mmとなっている。
変位可視化センサー10では、着色パターン板20および遮光パターン板30は、着色パターン板20が計測対象物側となり、遮光パターン板30が観察者側となるように平行に積層されている。また、着色パターン板20および遮光パターン板30は、X方向およびY方向に相対的に移動可能であり、Z方向を軸として相対的に回転可能であるように積層されている。
図3(a)〜図3(c)に示されるように、着色パターン板20において、X方向の幅をL1とする複数の直線状の赤色着色層24が、X方向にS1の間隔を空けてY方向に延びるように基板22上に設けられている。これにより、Z方向から平面視して、赤色着色層24からなるX方向の幅をL1とする着色ラインパターン20Lおよび基板22上における赤色着色層24の未形成領域からなるX方向の幅をS1とする間隙スペースパターン20Sが交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。X方向の幅L1およびS1はそれぞれ70μmおよび80μmとなっている。
また、図4(a)〜図4(c)に示されるように、遮光パターン板30において、X方向の幅をL2とする複数の直線状の遮光層34が、X方向に幅S2の間隔を空けてY方向に延びるように透明基板32上に設けられている。これにより、Z方向から平面視して、遮光層34からなるX方向の幅をL2とする遮光ラインパターン30Lおよび透明基板32上における遮光層34の未形成領域からなるX方向の幅をS2とする光透過スペースパターン30Sが交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。X方向の幅L2およびS2は、それぞれ70μmおよび80μmとなっており、上記X方向の幅L1およびS1と同一となっている。
ここで、図5(a)は計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態における図1に示される変位可視化センサーの示す概略上面図であり、図5(b)は図5(a)のD部分の拡大図であり、図5(c)は図5(b)のD−D線断面図である。また、図6(a)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の70μmの変位が生じた状態における図1に示される変位可視化センサーの示す概略上面図である。図6(b)は図6(a)のE部分の拡大図であり、図6(c)は図6(b)のE−E線断面図である。
計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置の変位が生じていない初期状態では、図5(a)〜図5(c)に示されるように、遮光ラインパターン30Lおよび光透過スペースパターン30Sが、XY平面において着色ラインパターン20Lおよび間隙スペースパターン20Sと同一の領域にそれぞれ配置される結果、Z方向から平面視すると、着色ラインパターン20LのX方向の幅L1の全体が遮光ラインパターン30Lにより遮蔽されるので、光透過スペースパターン30Sを介して着色ラインパターン20Lが視認されることはない。
これに対して、図2において実線の矢印で示されるように、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置にX方向の大きさがdxの変位が生じると、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置が上記初期状態における位置からX方向にdxだけ移動する。これにより、図6(a)〜図6(c)に示されるように、計測対象物2の第2位置2bに固定された遮光パターン板30が、計測対象物2の第1位置2aに固定された着色パターン板20に対してX方向にdxだけ移動することになる。すなわち、図6(c)において実線の矢印で示されるように、遮光ラインパターン30LがXY平面において着色ラインパターン20Lと同一の領域から相対的にdxだけX方向に移動する。
一方、遮光ラインパターン30LのX方向の幅L2および着色ラインパターン20LのX方向の幅L1は両方とも70μmである。このため、上述のように、遮光ラインパターン30LがXY平面において着色ラインパターン20Lと同一の領域から相対的にX方向に移動する距離dxが70μmとなる場合には、上記変位が生じていない初期状態ではZ方向から平面視して遮光ラインパターン30Lにより遮蔽されていた着色ラインパターン20LのX方向の幅L1の全体が、光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになる。
したがって、図1に示される変位可視化センサー10を用いることによって、上記変位が生じていない初期状態ではZ方向から平面視して遮光ラインパターン30Lにより全体が遮蔽される着色ラインパターン20LのX方向の幅L1のうち、光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになった長さを、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置のX方向の変位の大きさdxとして測定することができる。
このように求められたX方向の変位の大きさdxおよび計測対象物2の第1位置2aと第2位置2bとの間のX方向の距離x(100mm)から、計測対象物2の第1位置2aと第2位置2bとの間のX方向の歪εxを、下記式(1)によって求めることができる。特に、着色ラインパターン20LのX方向の幅L1の全体が光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになった時には、上記幅L1(70μm)が上記変位の大きさdxとして測定される。この結果、上記歪εxは鉄製の計測対象物2が降伏し得るような0.07%と求められる。
続いて、図7(a)〜図8(b)は計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位が生じて大きくなるのに伴って、図1に示される変位可視化センサーの表示が変化する様子を示す概略上面図である。
計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置の変位が生じていない初期状態では、図7(a)に示されるように、遮光ラインパターン30Lおよび光透過スペースパターン30Sが、XY平面において着色ラインパターン20Lおよび間隙スペースパターン20Sと同一の領域にそれぞれ配置される結果、Z方向から平面視すると、着色ラインパターン20Lの全体が遮光ラインパターン30Lにより遮蔽されるので、遮光ラインパターン30Lと光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lとが合わさってモアレが生じることはない。
これに対して、図2における破線の矢印で示されるように、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置のZ方向の軸回りのθ方向の回転角度α°の変位が生じると、図7(b)に示されるように、計測対象物2の第2位置2bに固定された遮光パターン板30が、計測対象物2の第1位置2aに固定された着色パターン板20に対して破線の矢印で示されるZ方向の軸回りのθ方向にα°回転する。この結果、着色ラインパターン20LがXY平面においてY方向に平行な遮光ラインパターン30Lに対してα°傾くので、Z方向から平面視すると、Y方向に平行な複数の光透過スペースパターン30Sのそれぞれを介して複数の着色ラインパターン20Lが視認されるようになる。これにより、複数の遮光ラインパターン30Lと複数の着色ラインパターン20Lとの交差部分が縞となったモアレが観察されることになる。
また、上記Z方向の軸回りのθ方向の変位の回転角度α°が大きくなるのに従って、図8(a)〜図8(b)に示されるように、着色ラインパターン20LがXY平面においてY方向に平行な遮光ラインパターン30Lに対して傾く角度α°が大きくなる結果、Z方向から平面視して、Y方向に平行な複数の光透過スペースパターン30Sのそれぞれを介して視認される着色ラインパターン20Lの数が多くなる。これにより、複数の遮光ラインパターン30Lと複数の着色ラインパターン20Lとの交差部分の数が多くなるので、モアレの縞の本数が多くなりモアレの縞のピッチPが小さくなる。
したがって、図1に示される変位可視化センサー10を用いることによって、Z方向から平面視して、複数の遮光ラインパターン30Lと複数の着色ラインパターン20Lとの交差部分が縞となったモアレが観察されることをもって、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置のZ方向の軸回りの変位が生じたことを可視化することができる。
また、遮光ラインパターン30Lが着色ラインパターン20Lに対して傾く方向から上記Z方向の軸回りの変位の方向を求めることができる。さらに、上記ラインアンドスペースパターンのピッチp(150μm)、上記モアレの縞のピッチP、および上記Z方向の軸回りの変位の回転角度α°には下記式(2)の関係が成立する。このため、上記モアレの縞のピッチPを測定すれば、上記Z方向の軸回りの変位の回転角度α°が下記式(2)によって求められる。
以上のように、第1実施態様の変位可視化センサーによれば、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化により、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を表示し、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わされることで生じるモアレにより、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を表示することができる。特に、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の態様によっては、上記Z方向の軸回りの変位の方向および大きさを表示することができる。したがって、計測対象物について、直線方向の変位だけではなく軸回りの変位をその方向および大きさを含めて可視化することができる。
なお、第1実施態様の変位可視化センサーでは、上記第1の方向および上記第2の方向の具体例として、X方向以外の方向およびY方向以外の方向をそれぞれ用い、上記第3の方向の具体例としてZ方向以外の方向を用いたとしても、同様の効果が得られる。また、上記変位可視化センサーを、Z方向の上記観察者側から平面視する代わりに、Z方向以外の方向の上記観察者側から視認したとしても、同様の効果が得られる。
以下、第1実施態様の変位可視化センサーにおける各構成について説明する。
1.着色パターン板
上記着色パターン板は、一定規則で繰り返す着色パターンおよび間隙パターンを有するもの、または一定規則で繰り返す着色パターンを有するものである。ここで、第1実施態様において、「着色パターン」とは着色された模様を意味し、「間隙パターン」とは、着色パターンが設けられていない部分の模様を意味し、着色されていない模様でもよいし、着色パターンとは異なる色で着色された模様でもよい。
(1)着色パターンおよび間隙パターン
上記一定規則で繰り返す上記着色パターンおよび上記間隙パターンとしては、上記着色パターン板を平面視して一定規則で繰り返し、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化が生じ、上記着色パターンの変化により、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を表示可能なパターンであり、かつ上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わさることでモアレが生じ、上記モアレにより、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を表示可能なパターンであれば特に限定されるものではないが、例えば、ラインアンドスペースパターンおよびドットパターン等が挙げられる。以下、ラインアンドスペースパターンおよびドットパターンについて詳細に説明する。
a.ラインアンドスペースパターン
上記ラインアンドスペースパターンでは、上記着色パターン板を平面視して、一定幅の直線状の着色ラインパターンおよび一定幅の直線状の間隙スペースパターンが交互に繰り返す。上記ラインアンドスペースパターンでは、上記着色ラインパターンが繰り返したパターンが上記着色パターンであり、上記間隙スペースパターンが繰り返したパターンが上記間隙パターンである。
上記ラインアンドスペースパターンでは、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとを合わせることでモアレを生じさせるためには、Z方向から平面視して、上記光透過パターンを介して上記着色パターンが視認されるように、上記間隙スペースパターンの幅をピッチpの10%以上とすることが好ましい。また、上記着色ラインパターンの幅およびピッチpは、上記着色パターン板のサイズによって異なるものであるが、例えば、上記着色パターン板のX方向の幅×Y方向の幅が100mm×100mmである場合には、上記着色ラインパターンの幅が45000μm以下であり、ピッチpが50000μm以下であることが好ましい。中でも、上記着色ラインパターンの幅が9000μm以下であり、ピッチpが10000μm以下であることが好ましく、特に、上記着色ラインパターンの幅が90μm以下であり、ピッチpが100μm以下であることが好ましい。ピッチpを狭くすればするほど、上記モアレの縞の変化から、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定し易くなり、上記Z方向の軸回りの変位の測定精度が向上するからである。
b.ドットパターン
図9(a)は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例における着色パターン板を示す概略上面図である。図9(b)は図9(a)のF部分の拡大図であり、図9(c)は図9(b)のF−F線断面図である。
図9(a)に示される着色パターン板20においては、図9(b)および図9(c)に示されるように、赤色着色層24が、基板22上において、同一間隔で設けられた複数のX方向の仮想線および複数のY方向の仮想線の交点に中心をそれぞれ配置する直径をdとする複数のドット領域を除いた領域に設けられている。これにより、Z方向から平面視して、基板22上における赤色着色層24の未形成領域からなる直径をdとする間隙ドット20cおよび赤色着色層24からなる着色パターン20dが交互に繰り返す間隙ドットパターンが設けられている。間隙ドット20cの直径dおよび間隙ドット20cの中心間のX方向およびY方向の距離であるピッチpは、それぞれ70μmおよび80μmとなっている。
上記ドットパターンとしては、例えば、図9に示される例のように、上記着色パターン板を平面視して、着色パターンが設けられていない部分であって一定の直径を有する間隙ドット、および上記間隙ドットの未形成領域のパターンが交互に繰り返す間隙ドットパターンでもよいし、上記着色パターン板を平面視して、一定の直径を有する着色された着色ドット、および上記着色ドットの未形成領域のパターンが交互に繰り返す着色ドットパターンでもよい。
なお、上記間隙ドットパターンでは、例えば、図9に示される例のように、上記着色パターン板を平面視して、上記間隙ドットが、同一間隔で設けられた複数のX方向の仮想線および複数のY方向の仮想線の交点に中心を配置するように設けられている。また、上記着色ドットパターンでは、例えば、上記着色パターン板を平面視して、上記着色ドットが、同一間隔で設けられた複数のX方向の仮想線および複数のY方向の仮想線の交点に中心を配置するように設けられている。
なお、上記間隙ドットパターンでは、上記間隙ドットの未形成領域のパターンが繰り返したパターンが上記着色パターンであり、上記間隙ドットのパターンが繰り返したパターンが上記間隙パターンである。上記着色ドットパターンでは、上記着色ドットのパターンが繰り返したパターンが上記着色パターンであり、上記着色ドットの未形成領域のパターンが繰り返したパターンが上記間隙パターンである。
上記ドットパターンでは、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとを合わせることでモアレを生じさせるためには、Z方向から平面視して、上記光透過パターンを介して上記着色パターンが視認されるように、上記ドットの直径を、隣接する上記ドットの中心間のX方向およびY方向の距離であるピッチpの90%以下とすることが好ましい。。また、上記ドットの直径、ならびに隣接する上記ドットの中心間のX方向およびY方向の距離であるピッチpは、上記着色パターン板のサイズによって異なるものであるが、例えば、上記着色パターン板のX方向の幅×Y方向の幅が100mm×100mmである場合には、上記ドットの直径が45000μm以下であり、ピッチpが50000μm以下であることが好ましい。中でも上記ドットの直径が9000μm以下であり、上記ピッチpが10000μm以下であることが好ましく、特に上記ドットの直径が90μm以下であり、上記ピッチpが100μm以下であることが好ましい。ピッチpを狭くすればするほど、上記モアレの縞の変化から、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定し易くなり、上記Z方向の軸回りの変位の測定精度が向上するからである。
c.その他
上記着色パターンとしては、平面視して上記一定規則で繰り返すものであれば特に限定されるものではないが、上記着色パターン板としては、一定規則で繰り返す上記着色パターンを有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、後述する図11および図12に示される着色パターン板20において、黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cからなる互いに異なる色の複数のパターンを有する着色ラインパターン20Lが繰り返しているように、上記着色パターンを複数有し、複数の上記着色パターンは第1着色パターンと第2着色パターンとを有し、上記1着色パターンと上記第2着色パターンの色が異なるものが好ましい。後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (1)X方向またはY方向の変位の測定方法 b.その他 (a)互いに異なる色の複数のパターンを用いる方法」の項目において詳細に説明するように、視覚的に判別し易い色の変化によって、上記X方向またはY方向の変位を測定することができるからである。
(2)着色パターン板
上記一定規則で繰り返す上記着色パターンおよび上記間隙パターンを有する上記着色パターン板としては、平面視して上記着色パターンおよび上記間隙パターンが一定規則で繰り返すものであれば特に限定されるものではないが、例えば、基板および上記基板の一方の面に着色層を有し、上記着色層が上記着色パターンを有し、上記基板の一方の面における上記着色層の未形成領域のパターンが上記間隙パターンであるもの等が挙げられる。以下、基板および上記基板の一方の面に着色層を有する着色パターン板における各構成を中心に上記着色パターン板を説明する。
a.基板
上記基板としては、透明であってもよく、不透明であってもよく、不透明である場合には、後述する着色層とのコントラストが高くなるように、後述する着色層とは判別し易い色で着色されていてもよい。上記基板としては、例えば、樹脂製基板、ガラス製基板等が挙げられる。
(a)樹脂製基板
第1実施態様においては、上記基板として樹脂製基板を用いることができる。上記基板として樹脂製基板を用いた場合は、耐衝撃性等に優れることから、計測対象物が法面であった場合や、高層建造物であった場合であっても、割れやひび等の問題を生じることなく変位の測定を可能とすることができる。
このような樹脂製基板に用いられる樹脂としては、変位の測定に耐え得る強度を有する樹脂であることが好ましく、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂・ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)等を挙げることができる。
第1実施態様においては、中でもポリカーボネート樹脂が好ましい。耐衝撃性が高く、耐熱性を有し、さらにはヤング率が高いことから応力変形がし難い等の利点を有するからである。
上記樹脂製基板の厚みとしては、100μm〜20000μmの範囲内であることが好ましい。上記樹脂製基板の厚みが薄いほど軽量化が可能となるが、熱膨張による伸縮や基板の撓みが課題となるからであり、上記樹脂製基板の厚みが厚いと、熱膨張による伸縮や基板の撓みの影響を軽減することができるが、重量が重くなり設置が難しくなるからである。また、上記樹脂製基板が、縦および横が500mm以下の矩形である場合には、上記樹脂製基板の厚みとしては、中でも300μm〜6000μmの範囲内であることが好ましく、特に500μm〜3000μmの範囲内であることが好ましい。また、上記樹脂製基板が、縦および横が500mm以上の矩形である場合には、上記樹脂製基板の厚みとしては、中でも600μm〜8000μmの範囲内であることが好ましく、特に800μm〜5000μmの範囲内であることが好ましい。
上記着色パターン板としては、後述する「6.使用方法」の項目において詳細に説明するように、可撓性を有するものが好ましいが、このような可撓性を有する上記着色パターン板には、上記基板として、引張弾性率(ヤング率)が低く、引張強さの大きい樹脂製基板が用いられることが好ましい。小さな応力で変形し易く、大きな引張応力が負荷されても破断しにくいので、上記着色パターン板を、上記可撓性を好適に有するものにすることができるからである。中でもABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等が用いられるのが好ましく、特にポリウレタン等が用いられるのが好ましい。上記着色パターン板に所望の可撓性を付与することができるからである。
(b)ガラス製基板
第1実施態様においては、上記基板としてガラス製基板を用いることも可能である。上記基板としてガラス製基板を用いた場合は、熱膨張係数が低くいため熱変形し難く、ヤング率(引張り弾性率)が高いため応力変形し難いから、上記変位可視化センサーの感度を高くすることができる。これにより、例えば、橋、トンネル、電車、船、飛行機等のような鉄製の人工構造物等の計測対象物に生じるような小さい変位であっても確実に可視化することができるからである。
上記ガラス製基板としては、例えば、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、薄板強化ガラス、低反射ガラス、低熱膨張ガラス等が挙げられる。
上記ガラス製基板の厚みとしては、100μm〜20000μmの範囲内であることが好ましい。上記ガラス製基板の厚みが薄いほど軽量化が可能となるが、基板の撓みや物理的強度が弱いことが課題となり、上記ガラス製基板の厚みが厚いと、基板の撓みや物理的強度の影響を軽減することができるが、重量が重くなり設置が難しくなるからである。また、上記着色パターン板および遮光パターン板が上記着色層側の面と上記遮光層側とは反対側の面とを対向させるように配置された上記変位可視化センサーでは、上記着色層および上記遮光層の間に厚みが厚い上記ガラス製基板が設けられていると、上記ラインアンドスペースパターンまたは上記ドットパターンにおけるピッチpが狭い場合、斜めから見た時に色ブレが発生してしまうからである。また、上記ガラス製基板が、縦および横が500mm以下の矩形である場合には、上記ガラス製基板の厚みとしては、中でも300μm〜6000μmの範囲内であることが好ましく、特に500μm〜3000μmの範囲内であることが好ましい。また、上記ガラス製基板が、縦および横が500mm以上の矩形である場合には、上記ガラス製基板の厚みとしては、中でも600μm〜8000μmの範囲内であることが好ましく、特に800μm〜5000μmの範囲内であることが好ましい。
b.着色層
上記着色層としては、上記基板の一方の面に設けられたものであれば特に限定されるものではないが、上記基板とは判別し易い色の層であることが好ましい。上記着色パターンが際立って表されるからである。
上記着色層としては、例えば、顔料や染料等の着色剤をバインダー樹脂中に分散または溶解させたもの等が挙げられ、フォトリソグラフィ法や印刷法等により形成される。
上記着色層に用いられる着色剤としては、屋外で用いられるインク等に一般的に用いられる着色剤を用いることができるが、例えば、赤色着色層に用いられる着色剤として、例えばペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。また、例えば、緑色着色層に用いられる着色剤として、例えばハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。さらに、例えば、青色着色層に用いられる着色剤として、例えば銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。また、上記着色層には、これらの着色剤を混合して用いてもよい。
また、上記着色層に用いられるバインダー樹脂としては、透明な樹脂が挙げられる。上記着色層の形成方法として印刷法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。また、上記着色層の形成方法としてフォトリソグラフィ法を用いる場合、バインダー樹脂としては、通常、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する電離放射線硬化性樹脂が使用される。通常は、電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が用いられる。紫外線硬化性樹脂を使用する場合には、バインダー樹脂に光重合開始剤が単独または複数組み合わせて使用される。また、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を用いてもよい。
上記着色層の厚みとしては、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも5μm〜70μmの範囲内、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。厚みが薄いと上記着色パターン板が、上記着色パターンおよび間隙パターンの密度である解像度を高くするのに向いたものとなるが、この範囲よりも薄いと色見のコントラストは低くなるからである。厚みが厚いと色見のコントラストは高くなるが、この範囲よりも厚いと、斜めから見た時に色ブレが発生し易くなるため、上記着色パターン板が上記解像度を高くするのに向かないものとなるからである。なお、厚みが薄い場合には、上記着色層はフォトリソグラフィ法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット法、フレキソ印刷法等で形成することが好ましく、厚みが厚い場合には、上記着色層はスクリーン印刷法等で形成することが好ましい。
c.その他
上記着色パターン板としては、例えば、後述する図13(a)に示される着色パターン板20のように、記号が設けられているものが好ましく、中でも後述する図13(a)に示される着色パターン板20のように、上記記号として上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記X方向もしくはY方向の変位、または上記Z方向の軸回りの変位を示す第1記号列が設けられているものが好ましい。後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (1)X方向またはY方向の変位の測定方法 b.その他 (b)着色パターン板に対する遮光パターン板の相対的な位置の変位を示す記号を用いる方法」の項目において詳細に説明するように、上記X方向またはY方向の変位の大きさが上記着色パターンの幅またはピッチp以上となった場合においても、後述する光透過窓を介して視認される上記記号の表示および非表示の切り替わりならびに上記着色パターンの変化から、上記X方向またはY方向の変位を測定することができるからである。また、後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法 c.その他」の項目において詳細に説明するように、後述する光透過窓を介して視認される視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定することができるからである。
また、上記着色パターン板としては、例えば、後述する図16に示される着色パターン板20のように、上記記号が設けられているものが好ましく、中でも後述する図16に示される着色パターン板20のように、上記記号として上記Z方向の軸回りの変位の回転中心を求めるために用いられる第2記号列が設けられているものが好ましい。後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法 c.その他」の項目において詳細に説明するように、後述する光透過窓を介して視認される視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記回転中心を求めることができるからである。
さらに、上記着色パターン板としては、例えば、後述する図19に示される着色パターン板20のように、上記記号が複数設けられているものが好ましく、中でも後述する図19に示される着色パターン板20のように、上記複数の記号として上記回転中心および上記Z方向の軸回りの変位を求めるために用いられる記号列が設けられているものが好ましい。後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法 c.その他」の項目において詳細に説明するように、後述する複数の光透過窓を介してそれぞれ視認される視覚的に判別しやすい上記複数の記号の表示および非表示の切り替わりから、上記回転中心および上記Z方向の軸回りの変位を求めることができるからである。
2.遮光パターン板
上記遮光パターン板は、上記着色パターンおよび上記間隙パターンと同一の一定規則で繰り返す遮光パターンおよび光透過パターンを有するもの、または上記着色パターンと対応する一定規則で繰り返す遮光パターンおよび光透過パターンを有するものである。ここで、第1実施態様において、「遮光パターン」とは上記遮光パターン板が平面視された場合に背面側が視認されない模様であり、「光透過パターン」とは上記遮光パターン板が平面視された場合に背面側が視認される模様を意味する。
(1)遮光パターンおよび光透過パターン
上記着色パターンおよび上記間隙パターンと同一の一定規則で繰り返す上記遮光パターンおよび上記光透過パターンは、上記遮光パターン板を平面視して上記着色パターンおよび上記間隙パターンと同一の一定規則で繰り返しているものである。このような上記遮光パターンおよび上記光透過パターンでは、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化が生じ、上記着色パターンの変化により、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を表示可能である。そして、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わさることでモアレが生じ、上記モアレにより、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を表示可能である。このような上記遮光パターンおよび上記光透過パターンとして、例えば、ラインアンドスペースパターンおよびドットパターン等が挙げられる。以下、ラインアンドスペースパターンおよびドットパターンについて詳細に説明する。
a.ラインアンドスペースパターン
上記ラインアンドスペースパターンでは、上記遮光パターン板を平面視して、一定幅の直線状の遮光ラインパターンおよび一定幅の直線状の光透過スペースパターンが交互に繰り返す。上記ラインアンドスペースパターンでは、上記遮光ラインパターンが繰り返したパターンが上記遮光パターンであり、上記光透過スペースパターンが繰り返したパターンが上記光透過パターンである。
上記ラインアンドスペースパターンでは、上記遮光ラインパターンの幅およびピッチpは、上記「1.着色パターン板 (1)着色パターンおよび間隙パターン a.ラインアンドスペースパターン」の項目に記載の上記着色ラインパターンの幅およびピッチpの範囲とそれぞれ同一の範囲内であることが好ましい。上記モアレの縞の変化から、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定し易くなり、上記Z方向の軸回りの変位の測定精度が向上するからである。
なお、上記直線状の上記遮光ラインパターンの幅は、上記直線状の上記着色ラインパターンの幅よりも大きくてもよいし、上記直線状の上記着色ラインパターンの幅と同一でもよいし、上記直線状の上記着色ラインパターンの幅よりも小さくてもよい。
b.ドットパターン
図10(a)は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例における遮光パターン板を示す概略上面図である。図10(b)は図10(a)のG部分の拡大図であり、図10(c)は図10(b)のG−G線断面図である。
図10(a)に示される遮光パターン板30においては、図10(b)および図10(c)に示されるように、遮光層34が、透明基板32上において、同一間隔で設けられた複数のX方向の仮想線および複数のY方向の仮想線の交点に中心をそれぞれ配置する直径をdとする複数のドット領域を除いた領域に設けられている。これにより、Z方向から平面視して、透明基板32上における遮光層34の未形成領域からなる直径をdとする光透過性ドット30cおよび遮光層34からなる遮光パターン30dが交互に繰り返す光透過性ドットパターンが設けられている。光透過性ドット30cの直径dおよび光透過性ドット30cの中心間のX方向およびY方向の距離であるピッチpは、それぞれ70μmおよび80μmとなっている。
上記ドットパターンとしては、例えば、図10に示される例のように、上記遮光パターン板を平面視して、一定の直径を有する光透過性の光透過性ドット、および上記光透過性ドットの未形成領域のパターンが交互に繰り返す光透過性ドットパターンでもよいし、上記遮光パターン板を平面視して、一定の直径を有する遮光性の遮光性ドット、および上記遮光性ドットの未形成領域のパターンが交互に繰り返す遮光性ドットパターンでもよい。
なお、上記光透過性ドットパターンでは、例えば、図10に示される例のように、上記遮光パターン板を平面視して、上記光透過性ドットが、同一間隔で設けられた複数のX方向の仮想線および複数のY方向の仮想線の交点に中心を配置するように設けられている。また、上記遮光性ドットパターンでは、例えば、上記遮光パターン板を平面視して、上記遮光性ドットが、同一間隔で設けられた複数のX方向の仮想線および複数のY方向の仮想線の交点に中心を配置するように設けられている。
なお、上記光透過性ドットパターンでは、上記光透過性ドットの未形成領域のパターンが繰り返したパターンが上記遮光パターンであり、上記光透過性ドットのパターンが繰り返したパターンが上記光透過パターンである。上記遮光性ドットパターンでは、上記遮光性ドットのパターンが繰り返したパターンが上記遮光パターンであり、上記遮光性ドットの未形成領域のパターンが繰り返したパターンが上記光透過パターンである。
上記ドットパターンでは、上記ドットの直径ならびに上記ドットの中心間のX方向およびY方向の距離であるピッチpは、上記「1.着色パターン板 (1)着色パターンおよび間隙パターン b.ドットパターン」の項目に記載のドットの直径およびピッチpとそれぞれ同一の範囲内であることが好ましい。上記モアレの縞の変化から、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定し易くなり、上記Z方向の軸回りの変位の測定精度が向上するからである。
(2)遮光パターン板
上記着色パターンおよび上記間隙パターンと同一の一定規則で繰り返す上記遮光パターンおよび上記光透過パターンを有する上記遮光パターン板としては、平面視して上記遮光パターンおよび上記光透過パターンが上記一定規則で繰り返すものであれば特に限定されるものではないが、例えば、透明基板および上記透明基板の一方の面に遮光層を有し、上記遮光層が上記遮光パターンを有し、上記透明基板の一方の面における上記遮光層の未形成領域のパターンが上記光透過パターンであるもの等が挙げられる。以下、透明基板および上記透明基板の一方の面に遮光層を有する遮光パターン板における各構成を中心に上記遮光パターン板を説明する。
a.透明基板
上記透明基板としては、上記透明基板を介して上記着色層が視認される程度の透明性を有し、かつ上記計測対象物に生じる変位を測定することができる程度の剛性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、樹脂製透明基板、ガラス製透明基板等が挙げられる。また、上記透明基板の透明性としては、上記透明基板を介して上記着色層が視認される程度の透明性であれば特に限定されないが、全光透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、上記透明基板の全光透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
このような樹脂製透明基板およびガラス製透明基板は、透明である点を除けば、上記「1.着色パターン板 (2)着色パターン板 a.基板」の項目で説明した材料および厚みと同様の材料および厚みを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
ここで、第1実施態様においては、上記透明基板と、上記着色パターン板に用いられる基板とが、同一の材料で形成されていることが好ましい。線熱膨張率等が同一であることから、正確な変位の測定を可能とするからである。
b.遮光層
上記遮光層としては、上記透明基板の一方の面に設けられたものであれば特に限定されるものではないが、上記透明基板を介して視認される上記着色パターンおよび上記間隙パターンとは判別し易い色の層であることが好ましい。上記遮光パターンが際立って表されるからである。
上記遮光層としては、例えば、黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散または溶解させたものであって、フォトリソグラフィ法や印刷法により形成されるものが挙げられる。また、上記遮光層としては、これ以外にも、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等によって、クロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングしたものが挙げられる。
上記遮光層に用いられる黒色着色剤としては、例えばチタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物等のチタン系顔料や、カーボンブラック等が挙げられる。また、上記遮光層に用いられるバインダー樹脂については、上記「1.着色パターン板 (2)着色パターン板 b.着色層」の項目に記載の上記着色層に用いられるバインダー樹脂と同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記遮光層が着色剤をバインダー樹脂中に分散または溶解させたものである場合には、上記遮光層の厚みについては、上記「1.着色パターン板 (2)着色パターン板 b.着色層」の項目に記載の着色層の厚みと同様であるので、ここでの説明は省略する。上記遮光層がクロム等の金属薄膜である場合には、例えば、上記遮光層が、クロムの原子百分率が60%以上のクロムと、酸素、酸素と窒素、酸素と炭素、酸素と窒素と炭素から選ばれた1組とからなる場合には、上記遮光層の厚みとしては、100nm〜5000nmの範囲内であることが好ましく、中でも300nm〜2000nmの範囲内、特に500nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。この範囲よりも薄いと十分な遮光性を確保することができなくなるからである。また、膜厚は厚くするほど遮光率が向上するのでよいが、この範囲よりも厚いと成膜するのに時間がかかるからである。
c.その他
上記遮光パターン板としては、例えば、後述する図13(b)に示される遮光パターン板30のように、上記記号を視認できる光透過窓が設けられているものが好ましく、中でも後述する図13(b)に示される遮光パターン板30のように、上記光透過窓として上記第1記号列を視認するために用いられる第1光透過窓が設けられているものが好ましい。後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (1)X方向またはY方向の変位の測定方法 b.その他 (b)着色パターン板に対する遮光パターン板の相対的な位置の変位を示す記号を用いる方法」の項目において詳細に説明するように、上記X方向またはY方向の変位の大きさが上記着色パターンの幅またはピッチp以上となった場合においても、上記光透過窓を介して視認される上記記号の表示および非表示の切り替わりならびに上記着色パターンの変化から、上記X方向またはY方向の変位を測定することができるからである。また、後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法 c.その他」の項目において詳細に説明するように、上記光透過窓を介して視認される視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定することができるからである。
また、上記遮光パターン板としては、例えば、後述する図17に示される遮光パターン板30のように、上記記号を視認できる光透過窓が設けられているものが好ましく、中でも後述する図17に示される遮光パターン板30のように、上記光透過窓として上記第2記号列を視認するために用いられる第2光透過窓が設けられているものが好ましい。後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法 c.その他」の項目において詳細に説明するように、上記光透過窓を介して視認される視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記回転中心を求めることができるからである。
また、上記遮光パターン板としては、例えば、後述する図19に示される着色パターン板20のように、上記光透過窓が複数設けられているものが好ましい。後述する「4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法 c.その他」の項目において詳細に説明するように、上記複数の光透過窓を介してそれぞれ視認される視覚的に判別しやすい上記複数の記号の表示および非表示の切り替わりから、上記回転中心および上記Z方向の軸回りの変位を求めることができるからである。
3.着色パターン板および遮光パターン板の組み合わせ
第1実施態様においては、上記着色パターン板および上記遮光パターン板は、例えば、上記遮光パターンおよび上記光透過パターンが、上記着色パターンおよび上記間隙パターンと同一の一定規則で繰り返すものとなるように組み合わせる。これにより、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化が生じ、上記着色パターンの変化により、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を表示可能となり、かつ上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わさることでモアレが生じ、上記モアレにより、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を表示可能となる。
ここで、上記着色パターンおよび上記間隙パターンが上記ラインアンドスペースパターンである場合には、上記「同一の一定規則」とは、上記遮光パターンおよび上記光透過パターンも上記ラインアンドスペースパターンであり、上記遮光ラインパターンおよび上記光透過スペースパターンのピッチpが上記着色ラインパターンおよび上記間隙スペースパターンのピッチpと同一であり、上記着色ラインパターンの幅が上記遮光ラインパターンの幅の0.8倍〜1.2倍の範囲内であることを意味する。
また、上記着色パターンおよび上記間隙パターンが上記間隙ドットパターンである場合には、上記「同一の一定規則」とは、上記遮光パターンおよび上記光透過パターンは上記光透過性ドットパターンであり、上記光透過性ドットのピッチpが上記間隙ドットのピッチpと同一であり、上記光透過性ドットの形状が上記間隙ドットの形状と相似であり、上記間隙ドットの直径が上記光透過性ドットの直径の0.8倍〜1.2倍の範囲内であることを意味する。
さらに、上記着色パターンおよび上記間隙パターンが上記着色ドットパターンである場合には、上記「同一の一定規則」とは、上記遮光パターンおよび上記光透過パターンは上記遮光性ドットパターンであり、上記遮光性ドットのピッチpが上記着色ドットのピッチpと同一であり、上記遮光性ドットの形状が上記着色ドットの形状と相似であり、上記着色ドットの直径が上記遮光性ドットの直径の0.8倍〜1.2倍の範囲内であることを意味する。
また、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の組み合わせとしては、上記着色パターンの色と上記遮光パターンの色とが異なっているものが好ましい。上記相対的な位置の変位を明瞭に表示可能となるからである。
4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法
第1実施態様の変位可視化センサーでは、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化が生じる。そして、上記着色パターンの変化により、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を表示する。また、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わさることでモアレが生じる。そして、上記モアレにより、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を表示する。
以下、上記変位可視化センサーを用いた上記X方向またはY方向の変位の測定方法、および上記変位可視化センサーを用いた上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法について詳細に説明する。
(1)X方向またはY方向の変位の測定方法
a.X方向またはY方向の変位の測定方法
第1実施態様の変位可視化センサーを用いて、上記着色パターンの変化から、上記着色パターン板が固定された上記計測対象物の第1位置に対する上記遮光パターン板が固定された上記計測対象物の第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を測定する方法は、上記着色パターンおよび上記間隙パターンがラインアンドスペースパターンである場合と、上記着色パターンおよび上記間隙パターンが間隙ドットパターンである場合とで異なる。上記着色パターンおよび上記間隙パターンがラインアンドスペースパターンである場合の方法としては、例えば、図1に示される変位可視化センサー10を用いることによって、上記変位が生じていない初期状態ではZ方向から平面視して遮光ラインパターン30Lにより全体が遮蔽される着色ラインパターン20LのX方向の幅L1のうち、光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになった長さを、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置のX方向の変位の大きさdxとして測定する方法が挙げられる。
また、上記着色パターンおよび上記間隙パターンが間隙ドットパターンである場合の方法としては、例えば、図9および図10に両板が示される変位可視化センサー10を用いることによって、上記変位が生じていない状態ではZ方向から平面視して光透過性ドット30cにより全体が視認される間隙ドット20cの中心が、光透過性ドット30cの中心に対してX方向に移動する距離およびY方向に移動する距離を、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置のX方向の変位の大きさdxおよびY方向の変位の大きさdyとして測定する方法が挙げられる。
そして、上記計測対象物においてX方向の仮想線上に配置された上記第1位置および上記第2位置を想定し、上記第1位置と上記第2位置との間のX方向の距離をx、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位が生じた場合に上記変位可視化センサーを用いて測定される上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位の大きさをdxとすると、上記計測対象物の上記第1位置と上記第2位置との間のX方向の歪εxは、下記式(1)によって求められる。また、Y方向の歪εyも同様の式から求められる。
b.その他
上記X方向またはY方向の変位の測定方法としては、上記に限定されるものではなく、その他の態様でもよい。
(a)互いに異なる色の複数のパターンを用いる方法
ここで、図11は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略上面図である。図11(a)は、図11に示される変位可視化センサーにおける着色パターン板を示す概略上面図である。図11(b)は、図11に示される変位可視化センサーにおける遮光パターン板を示す概略上面図である。図11(c)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態における図11に示される変位可視化センサーの示す概略上面図である。図11(d)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位が生じた状態における図11に示される変位可視化センサーの示す概略上面図である。
図11に示される変位可視化センサー10では、図11(a)に示されるように、着色パターン板20において、Y方向に延びる黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cをそれぞれ有する複数の着色層24が、X方向に150μmの間隔を空けてY方向に延びるように基板22上に設けられている。黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cは、X方向の幅をそれぞれ150μmとし、着色層24においてX方向からこの順番で連続するように配置されている。これにより、Z方向から平面視すると、異なる色の複数の着色パターンを有する着色層24からなるX方向の幅を450μmとする着色ラインパターン20Lおよび基板22上における着色層24の未形成領域からなるX方向の幅を150μmとする間隙スペースパターン20Sが交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。
また、図11(b)に示されるように、遮光パターン板30において、X方向の幅を450μmとする遮光層34が、X方向に150μmの間隔を空けてY方向に平行に延びるように透明基板32上に設けられている。これにより、Z方向から平面視すると、遮光層34からなるX方向の幅を450μmとする遮光ラインパターン30Lおよび透明基板32上における遮光層34の未形成領域からなるX方向の幅を150μmとする光透過スペースパターン30Sが交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。
計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態では、図11(c)に示されるように、光透過スペースパターン30Sが、XY平面において着色ラインパターン20Lにおける青色着色層24cのパターンと同一の領域に配置される結果、Z方向から平面視すると、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lとして、青色着色層24cのみからなる青色のパターンが視認される。
これに対して、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の150μmの変位が生じると、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置が上記初期状態における位置から−X方向に150μm移動する。これにより、図11(d)に示されるように、計測対象物の第2位置に固定された遮光パターン板30が、計測対象物の第1位置に固定された着色パターン板20に対して−X方向に150μm移動するので、Z方向から平面視すると、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lとして、赤色着色層24mのみからなる赤色のパターンが視認される。同様に、図示しないが、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の300μmの変位が生じる場合には、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置が上記初期状態における位置から−X方向に300μm移動する。これにより、遮光パターン板30が着色パターン板20に対して−X方向に300μm移動するので、Z方向から平面視すると、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lとして、黄色着色層24yのみからなる黄色のパターンが視認される。
したがって、図11に示される変位可視化センサー10では、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lの色の変化を観察することによって、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位を測定することができる。また、同様に、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のY方向の変位を測定することもできる。
続いて、図12は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略上面図である。図12(a)は、図12に示される変位可視化センサーにおける着色パターン板を示す概略上面図である。図12(b)は、図12に示される変位可視化センサーにおける遮光パターン板を示す概略上面図である。図12(c)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態における図12に示される変位可視化センサーの示す概略上面図である。図12(d)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位が生じた状態における図12に示される変位可視化センサーの示す概略上面図である。
図12に示される変位可視化センサー10では、図12(a)に示されるように、着色パターン板20において、Y方向に延びる黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cをそれぞれ含む複数の着色層24が、X方向に150μmの間隔を空けてY方向に延びるように基板22上に設けられている。黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cは、X方向の幅をそれぞれ50μmとし、着色層24においてX方向からこの順番で連続するように配置されている。これにより、Z方向から平面視すると、異なる色の複数の着色パターンを有する着色層24からなるX方向の幅を150μmとする着色ラインパターン20Lおよび基板22上における着色層24の未形成領域からなるX方向の幅を150μmとする間隙スペースパターン20Sが交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。
また、図12(b)に示されるように、遮光パターン板30において、X方向の幅を150μmとする遮光層34が、X方向に150μmの間隔を空けてY方向に平行に延びるように透明基板32上に設けられている。これにより、Z方向から平面視すると、遮光層34からなるX方向の幅を150μmとする遮光ラインパターン30Lおよび透明基板32上における遮光層34の未形成領域からなるX方向の幅を150μmとする光透過スペースパターン30Sが交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。
計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態では、図12(c)に示されるように、光透過スペースパターン30Sが、XY平面において着色ラインパターン20Lと同一の領域に配置される結果、Z方向から平面視すると、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lとして、黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cからなる黒色のパターンが視認される。
これに対して、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の50μmの変位が生じると、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置が上記初期状態における位置からX方向に50μm移動する。これにより、図12(d)に示されるように、計測対象物の第2位置に固定された遮光パターン板30が、計測対象物の第1位置に固定された着色パターン板20に対してX方向に50μm移動するので、Z方向から平面視すると、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lとして、赤色着色層24mおよび青色着色層24cのみからなる青色のパターンが視認される。同様に、図示しないが、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の100μmの変位が生じる場合には、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置が上記初期状態における位置からX方向に100μm移動する。これにより、遮光パターン板30が着色パターン板20に対してX方向に100μm移動するので、Z方向から平面視すると、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lとして、青色着色層24cのみからなる青色のパターンが視認される。
したがって、図12に示される変位可視化センサー10でも、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lの色の変化を観察することによって、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位を測定することができる。また、同様に、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のY方向の大きさを測定することもできる。
第1実施態様においては、上記X方向またはY方向の変位の測定方法としては、図11および図12に示されるように、上記光透過スペースパターンを介して視認される上記着色ラインパターンの色の変化を観察することによって、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を測定する態様が好ましい。視覚的に判別し易い色の変化によって、上記X方向またはY方向の変位を測定することができるからである。
(b)着色パターン板に対する遮光パターン板の相対的な位置の変位を示す記号を用いる方法
ここで、図13は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略図である。図13(a)は、図13に示される変位可視化センサーにおける着色パターン板を示す概略上面図である。図13(b)は、図13に示される変位可視化センサーにおける遮光パターン板を示す概略上面図である。図13(c)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態における図13に示される変位可視化センサーの示す概略上面図である。図14は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の異なる変位量ごとに、図13に示される変位可視化センサーを示す概略上面図である。
変位可視化センサー10における着色パターン板20では、図13(a)に示されるように、−Y方向側のパターン領域20bにおいて、Y方向に延びる黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cをそれぞれ含む複数の着色層24が、X方向に間隔を空けることなくY方向に延びるように基板22上に形成されている。黄色着色層24y、赤色着色層24m、および青色着色層24cは、X方向の幅をそれぞれ50μmとし、着色層24においてX方向からこの順番で連続するように配置されている。これにより、着色層24からなるX方向の幅を150μmとする着色パターンがX方向に繰り返すパターンが設けられている。
そして、着色パターン板20では、Y方向側の記号列領域20tにおいて、着色パターン板20が固定された計測対象物の第1位置に対する遮光パターン板30が固定された計測対象物の第2位置の相対的な位置のX方向の変位を示す第1記号列26が基板22上に設けられている。
第1記号列26は、「−2 −1 0 +1 +2」の記号列であり、「+1」は、着色パターン板20が固定された計測対象物の第1位置に対する遮光パターン板30が固定された計測対象物の第2位置の相対的な位置のX方向の変位量が1つの上記着色パターンの幅以上であることを表し、「+2」は、上記相対的な位置のX方向の変位量が2つの上記着色パターンの幅以上であることを表し、「−1」は、上記相対的な位置のX方向の変位量が1つの上記着色パターンの幅以上であることを表し、「−2」は、上記相対的な位置のX方向の変位量が2つの上記着色パターンの幅以上であることを表し、「0」は、上記相対的な位置の±X方向の変位量が1つの上記着色パターンの幅以下であることを表す。
また、変位可視化センサー10における遮光パターン板30では、図13(b)に示されるように、−Y方向側のパターン領域30bにおいて、遮光層34が、Y方向に延びる複数の間隙部30gを除いて透明基板32上に形成されている。パターン領域30bにおける間隙部30gは、X方向の幅をそれぞれ50μmとし、X方向に100μmの間隔を空けてX方向に並べて配置されている。これにより、遮光層34からなるX方向の幅を100μmとする遮光パターンおよび間隙部30gからなるX方向の幅を50μmとする光透過パターンがX方向に交互に繰り返すパターンが設けられている。
そして、遮光パターン板30では、Y方向側の光透過窓領域30tにおいて、遮光層34が、中央部の矩形の間隙部30gを除いて透明基板32上に形成されている。これにより、第1記号列26を視認するために用いられる第1光透過窓として、中央部の矩形の間隙部30gが設けられている。
着色パターン板20および遮光パターン板30は、遮光パターン板30が観察者側となるように重ねて配置されている。着色パターン板20が固定された計測対象物の第1位置に対する遮光パターン板30が固定された計測対象物の第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態では、図13(c)に示されるように、上記光透過パターンが、XY平面において上記着色パターンにおける青色着色層24cのパターンと同一の領域にそれぞれ配置される結果、Z方向から平面視すると、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとして、青色着色層24cのパターンが視認される。また、Z方向から平面視すると、上記第1光透過窓が第1記号列26における「0」と同一の領域に配置される結果、上記第1光透過窓を介して視認される第1記号列26における記号として、「0」が視認される。
これに対して、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置が上記初期状態における位置から−X方向に50μm移動すると、図14(a)に示されるように、遮光パターン板30が着色パターン板20に対して−X方向に50μm移動するので、Z方向から平面視すると、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとして、赤色着色層24mのパターンが視認される。また、Z方向から平面視すると、上記第1光透過窓を介して視認される第1記号列26における記号として、上記初期状態と同じ「0」が視認される。
一方、上記相対的な位置が上記初期状態における位置から−X方向に150μm移動すると、図14(c)に示されるように、遮光パターン板30が着色パターン板20に対して−X方向に150μm移動する。この結果、Z方向から平面視すると、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとして、上記初期状態と同じ青色着色層24cのパターンが視認されるが、上記第1光透過窓を介して視認される第1記号列26における記号として、上記初期状態とは異なる「−1」が視認される。
また、上記相対的な位置が上記初期状態における位置からX方向に300μm移動すると、図14(d)に示されるように、遮光パターン板30が着色パターン板20に対してX方向に300μm移動する。この結果、Z方向から平面視すると、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとして、上記初期状態と同じ青色着色層24cのパターンが視認されるが、上記第1光透過窓を介して視認される第1記号列26における記号として、上記初期状態とは異なる「+2」が視認される。
したがって、図13に示される変位可視化センサー10では、着色パターン板20が固定された計測対象物の第1位置に対する遮光パターン板30が固定された計測対象物の第2位置の相対的な位置のX方向の変位の大きさが上記着色パターンの幅以上となった場合において、Z方向から平面視して、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化が生じなかったとしても、Z方向から平面視して、上記第1光透過窓を介して視認される第1記号列26の変化が生じる。このため、上記X方向の変位の大きさが上記着色パターンの幅以上となった場合においても、上記第1記号列26の変化および上記着色パターンの変化から、上記X方向の変位を測定することができる。
第1実施態様においては、上記X方向またはY方向の変位の測定方法としては、図13に示される変位可視化センサー10を用いた上記X方向またはY方向の変位の測定方法のように、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過窓を介して視認される上記記号の表示および非表示が切り替わり、上記記号の表示および非表示の切り替わりならびに上記着色パターンの変化から、上記X方向またはY方向の変位を測定する方法が好ましく、中でも図13に示されるように、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い、Z方向から平面視して、上記第1光透過窓を介して視認される上記第1記号列の変化が生じ、上記第1記号列の変化および上記着色パターンの変化から、上記X方向またはY方向の変位を測定する方法が好ましい。上記着色パターン板が固定された計測対象物の第1位置に対する上記遮光パターン板が固定された上記計測対象物の第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位の大きさが上記着色パターンの幅またはピッチp以上となった場合においても、上記記号の表示および非表示の切り替わりならびに上記着色パターンの変化から、上記X方向またはY方向の変位を測定することができるからである。
なお、図13および図14に示される変位可視化センサー10では、第1光透過窓を介して視認される第1記号列26の記号は1つであるが、第1光透過窓を介して視認される第1記号列26の記号が複数となるように構成してもよい。
(2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法
a.モアレ
第1実施態様の変位可視化センサーにおいて、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わさることで生じるモアレは、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を表示可能なものである。
ここで、図15(a)〜図15(c)は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例で生じるモアレの変化を示す写真である。図15に示される変位可視化センサー10は、図9に示される着色パターン板20と図10に示される遮光パターン板30とを有するものである。
計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態では、図15(a)に示されるように、光透過性ドットおよび遮光パターンが、XY平面において間隙ドットおよび着色パターンと同一の領域にそれぞれ配置される結果、Z方向から平面視すると、全ての間隙ドットが光透過性ドットを介して視認されるので、複数の光透過性ドットのそれぞれを介して視認される複数の間隙ドットの集合部分が縞となるモアレが生じることはない。
これに対して、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置に、図2における破線の矢印で示されるZ方向の軸回りのθ方向の回転角度α°の変位が生じると、図15(b)に示されるように、計測対象物の第2位置に固定された遮光パターン板が、計測対象物の第1位置に固定された着色パターン板に対してZ方向の軸回りのθ方向にα°回転する。この結果、Z方向から平面視すると、一部の間隙ドットのみが光透過性ドットを介して視認されるようになるので、複数の光透過性ドットのそれぞれを介して視認される複数の間隙ドットの集合部分が縞となったモアレが観察されることになる。
また、上記Z方向の軸回りのθ方向の変位の回転角度α°が大きくなるのに従って、図15(b)〜図15(c)に示されるように、複数の光透過性ドットのそれぞれを介して視認される複数の間隙ドットの集合部分の数が多くなるので、モアレの縞の本数が多くなりモアレの縞のピッチPが小さくなる。
したがって、図15に示される変位可視化センサー10を用いることによって、Z方向から平面視して、複数の光透過性ドットのそれぞれを介して視認される複数の間隙ドットの集合部分が縞となったモアレが観察されることをもって、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位が生じたことを可視化することができる。また、複数の光透過性ドットの配列方向が複数の間隙ドットの配列方向に対して傾く方向から、上記Z方向の軸回りの変位の方向を求めることができる。さらに、上記モアレの縞のピッチPを測定すれば、図1に示される変位可視化センサー10と同様に、上記Z方向の軸回りの変位の回転角度α°を測定することができる。
上記モアレとしては、例えば、図1および図15に示される可視化センサー10で生じるモアレのように、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定可能なものが好ましい。
このようなZ方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定可能なモアレが生じるようにするためには、上記着色パターン板における着色パターンおよび間隙パターンならびに上記遮光パターン板における遮光パターンおよび光透過パターンが、上記モアレの縞の変化から、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定し易いパターンであることが好ましい。具体的には、上記着色パターン板における着色パターンおよび間隙パターンが、上記「1.着色パターン板 (1)着色パターンおよび間隙パターン」の項目に記載の好ましいパターンであることが好ましく、上記遮光パターン板における遮光パターンおよび光透過パターンが、それぞれ上記「2.遮光パターン板 (1)遮光パターンおよび光透過パターン」の項目に記載の好ましいパターンであることが好ましい。
b.Z方向の軸回りの変位の可視化方法
第1実施態様の変位可視化センサーを用いて、Z方向から平面視して、上記モアレから、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を可視化する方法としては、上記着色パターンおよび上記間隙パターンがラインアンドスペースパターンである場合には、例えば、図1および図5に示される変位可視化センサー10を用いることによって、Z方向から平面視して、複数の遮光ラインパターン30Lと複数の着色ラインパターン20Lとの交差部分が縞となったモアレが観察されることをもって、計測対象物2の第1位置2aに対する第2位置2bの相対的な位置のZ方向の軸回りの変位が生じたことを検知する方法が挙げられる。また、遮光ラインパターン30Lが着色ラインパターン20Lに対して傾く方向、上記ラインアンドスペースパターンのピッチp、および上記モアレの縞のピッチPから、上記Z方向の軸回りの変位の方向および回転角度α°を測定する方法が挙げられる。
また、上記着色パターンおよび上記間隙パターンが間隙ドットパターンである場合には、例えば、図15に示される変位可視化センサー10を用いることによって、Z方向から平面視して、複数の光透過性ドット30cのそれぞれを介して視認される複数の間隙ドット20cの集合部分が縞となったモアレが観察されることをもって、上記Z方向の軸回りの変位が生じたことを検知する方法が挙げられる。さらに、複数の光透過性ドット30cの配列方向が複数の間隙ドット20cの配列方向に対して傾く方向、上記間隙ドットパターンのピッチp、上記モアレの縞のピッチPから、上記Z方向の軸回りの変位の方向および回転角度α°を測定する方法が挙げられる。
そして、上記ラインアンドスペースパターンおよび上記ドットパターンでは、これらのパターンのピッチp、上記モアレの縞のピッチP、および上記Z方向の軸回りの変位の回転角度α°の間に下記式(2)の関係が成立する。このため、上記モアレの縞のピッチPを測定すれば、上記Z方向の軸回りの変位の回転角度α°が下記式(2)によって測定される。
c.その他
上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法としては、上記に限定されるものではなく、その他の態様でもよい。
ここで、図16〜図18は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略図である。図16(a)は、図16〜図18に示される変位可視化センサーにおける着色パターン板を示す概略上面図であり、図16(b)は図16(a)のB1部分の拡大図である。図17(a)は、図16〜図18に示される変位可視化センサーにおける遮光パターン板を示す概略上面図であり、図17(b)は図17(a)のB2部分の拡大図である。図18(a)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態における図16〜図18に示される変位可視化センサーの示す概略上面図であり、図18(b)は図18(a)のB3部分の拡大図である。
変位可視化センサー10における着色パターン板20では、図16(a)および図16(b)に示されるように、−Y方向側のパターン領域20bにおいて、X方向の幅をL1とする複数の直線状の赤色着色層24がX方向にS1の間隔を空けてY方向に延びるように基板22上に設けられている。これにより、赤色着色層24からなるX方向の幅をL1とする着色ラインパターン20Lおよび基板22上における赤色着色層24の未形成領域からなるX方向の幅をS1とする間隙スペースパターン20SがX方向に交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。X方向の幅L1およびS1はそれぞれ70μmおよび80μmとなっている。
そして、着色パターン板20では、Y方向側の記号列領域20tにおいて、着色パターン板20が固定された計測対象物の第1位置に対する遮光パターン板30が固定された計測対象物の第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の回転中心を求めるために用いられる第2記号列28が基板22上に設けられている。
第2記号列28は、それぞれが9列である「−A4〜+A4」、「−B4〜+B4」、「−C4〜+C4」、「−D4〜+D4」、「−E4〜+E4」、「−F4〜+F4」、「−G4〜+G4」、および「−H4〜+H4」、および「−I4〜+I4」の9つの記号列が、Y方向に並んだ9行9列の行列である。
また、変位可視化センサー10における遮光パターン板30では、図17(a)および図17(b)に示されるように、−Y方向側のパターン領域30bにおいて、X方向の幅をL2とする複数の直線状の遮光層34が、X方向に幅S2の間隔を空けてY方向に延びるように透明基板32上に設けられている。これにより、Z方向から平面視して、遮光層34からなるX方向の幅をL2とする遮光ラインパターン30Lおよび透明基板32上における遮光層34の未形成領域からなるX方向の幅をS2とする光透過スペースパターン30Sが交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。X方向の幅L2およびS2は、それぞれ70μmおよび80μmとなっており、上記X方向の幅L1およびS1と同一となっている。
そして、遮光パターン板30では、Y方向側の光透過窓領域30tにおいて、遮光層34が、中央部の円形の間隙部30gを除いて透明基板32上に設けられている。これにより、第2記号列28を視認するために用いられる第2光透過窓として、中央部の円形の間隙部30gが設けられている。
着色パターン板20が固定された計測対象物の第1位置に対する遮光パターン板30が固定された計測対象物の第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態では、図18(a)および図18(b)に示されるように、遮光ラインパターン30Lおよび光透過スペースパターン30Sが、XY平面において着色ラインパターン20Lおよび間隙スペースパターン20Sと同一の領域にそれぞれ配置される結果、Z方向から平面視すると、着色ラインパターン20LのX方向の幅L1の全体が遮光ラインパターン30Lにより遮蔽されるので、光透過スペースパターン30Sを介して着色ラインパターン20Lが視認されることはない。また、Z方向から平面視すると、上記第2光透過窓が第2記号列28における「E0」と同一の領域に配置される結果、上記第2光透過窓を介して視認される第2記号列28における記号として、「E0」が視認される。
これに対して、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位として、図2における破線の矢印で示されるZ方向の軸回りのθ方向の回転角度α°の変位が生じると、上記着色パターン板が上記遮光パターン板に対してZ方向の軸回りに相対的に回転する。これに伴い、図示しないが、Z方向から平面視すると、着色ラインパターン20Lが遮光ラインパターン30Lに対してα°傾くので、複数の光透過スペースパターン30Sのそれぞれを介して複数の着色ラインパターン20Lが視認されるようになる。これにより、複数の遮光ラインパターン30Lと複数の着色ラインパターン20Lとの交差部分が縞となったモアレが観察されることになる。また、Z方向から平面視すると、上記第2光透過窓を介して視認される第2記号列28における記号として、上記初期状態とは異なる記号が視認されることになる。
したがって、遮光ラインパターン30Lが着色ラインパターン20Lに対して傾く方向、上記ラインアンドスペースパターンのピッチp、および上記モアレの縞のピッチPから、上記式(2)を用いることによって、上記Z方向の軸回りの変位の方向および回転角度α°を求めることができる。そして、上記Z方向の軸回りの変位の方向および回転角度α°、ならびに上記初期状態から上記変位が生じた状態になるのに伴い、Z方向から平面視して上記第2光透過窓を介して視認される第2記号列28が変化する内容から、上記Z方向の軸回りの変位の回転中心を求めることができる。
また、ここで、図19は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略上面図である。図19には、図18(b)に示されるB3部分に対応する部分が示されている。
図19に示される変位可視化センサー10における着色パターン板20は、図16に示される着色パターン板20と同一の構成を有する。一方、図19に示される変位可視化センサー10における遮光パターン板30は、Y方向側の光透過窓領域において、遮光層34が、二つの円形の間隙部30gを除いて透明基板上に設けられていることより、上記第2光透過窓として、二つの円形の間隙部30gが設けられている点を除いて、図17に示される遮光パターン板30と同一の構成を有する。
図19に示される変位可視化センサー10では、着色パターン板20が固定された計測対象物の第1位置に対する遮光パターン板30が固定された計測対象物の第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態から、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位として、図2における破線の矢印で示されるZ方向の軸回りのθ方向の回転角度α°の変位が生じるのに伴って、Z方向から平面視して、二つの円形の間隙部30gを介してそれぞれ視認される第2記号列が変化する。そして、二つの円形の間隙部30gを介してそれぞれ視認される上記第2記号列が変化する内容から、上記Z方向の軸回りの変位の回転中心および変位量を求めることができる。
第1実施態様においては、上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法としては、図16〜図18に示される変位可視化センサー10を用いた上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法のように、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過窓を介して視認される上記記号の表示および非表示が切り替わり、上記モアレならびに上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記着色パターン板が固定された計測対象物の第1位置に対する上記遮光パターン板が固定された上記計測対象物の第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の回転中心を求める方法が好ましい。中でも図16〜図18に示される変位可視化センサー10を用いた上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法のように、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記第2光透過窓を介して視認される上記第2記号列の変化が生じ、上記モアレおよび上記第2記号列の変化から、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位の回転中心を求める方法が好ましい。視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記回転中心を求めることができるからである。
また、上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法としては、図19に示される変位可視化センサー10を用いた上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法のように、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記複数の光透過窓を介してそれぞれ視認される上記複数の記号の表示および非表示が切り替わり、上記複数の記号の表示および非表示の切り替わりから、上記回転中心および上記Z方向の軸回りの変位を求める方法が好ましく、中でも図19に示される変位可視化センサー10を用いた上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法のように、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記複数の光透過窓を介してそれぞれ視認される上記記号列の変化が生じ、上記記号列の変化から、上記回転中心および上記Z方向の軸回りの変位を求める方法が好ましい。視覚的に判別しやすい上記複数の記号の表示および非表示の切り替わりから、上記回転中心および上記Z方向の軸回りの変位を求めることができるからである。
また、第1実施態様においては、上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法としては、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過窓を介して視認される上記記号の表示および非表示が切り替わり、上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定する方法が好ましく、中でも上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記第1光透過窓を介して視認される上記第1記号列の変化が生じ、上記第1記号列の変化から、上記Z方向の軸回りの変位を測定する方法が好ましい。視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定することができるからである。
5.変位可視化センサー
第1実施態様の変位可視化センサーとしては、ここまでに説明した実施形態以外の実施形態であってよく、ここまでに説明した構成以外の構成を有するものでもよい。
(1)互いに解像度が異なる複数のパターン領域
図20(a)は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略上面図である。図20(b)は図20(a)に示される着色パターン板を示す概略上面図であり、図20(c)は図20(a)に示される遮光パターン板を示す概略上面図である。
図20(a)に示される変位可視化センサー10は、図20(b)に示される着色パターン板20と図20(c)に示される遮光パターン板30とを有する。変位可視化センサー10では、着色パターン板20および遮光パターン板30は、着色パターン板20が計測対象物側となり、遮光パターン板30が観察者側となるように平行に積層されている。また、着色パターン板20および遮光パターン板30は、X方向およびY方向に相対的に移動可能であり、Z方向を軸として相対的に回転可能であるように積層されている。
図20(b)に示されるように、着色パターン板20は、第1〜第5着色パターン領域201〜205を有する。第1〜第5着色パターン領域201〜205のそれぞれには、Z方向から平面視して、着色ラインパターン20Lおよび間隙スペースパターン20SがY方向に平行に延びてX方向に交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。着色ラインパターン20LのX方向の幅L1および間隙スペースパターン20SのX方向の幅S1は、第1着色パターン領域201ではS1/L1=50μm/50μm、第2着色パターン領域201ではS1/L1=100μm/100μm、第3着色パターン領域201ではS1/L1=150μm/150μm、第4着色パターン領域201ではS1/L1=200μm/200μm、第5着色パターン領域201ではS1/L1=250μm/250μmとなっている。
また、図20(c)に示されるように、遮光パターン板30は、第1〜第5遮光パターン領域301〜305を有する。第1〜第5遮光パターン領域301〜305のそれぞれには、Z方向から平面視して、遮光ラインパターン30Lおよび光透過スペースパターン30SがY方向に平行に延びてX方向に交互に繰り返すラインアンドスペースパターンが設けられている。第1〜第5遮光パターン領域301〜305における遮光ラインパターン30LのX方向の幅L2および光透過スペースパターン30SのX方向の幅S2は、それぞれ第1〜第5着色パターン領域201〜205における上記幅L1およびS1と同一となっている。
図20(a)には、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態における変位可視化センサーが示されている。変位可視化センサー10では、図20(a)に示されているように、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位が生じていない初期状態において、Z方向から平面視すると、第1〜第5遮光パターン領域301〜305が、XY平面において第1〜第5着色パターン領域201〜205と同一領域にそれぞれ配置されている。また、Z方向から平面視して、第1〜第5遮光パターン領域301〜305が第1〜第5着色パターン領域201〜205とそれぞれ重なる複数の観察領域101〜105のそれぞれにおいて、遮光ラインパターン30Lおよび光透過スペースパターン30Sが、XY平面において着色ラインパターン20Lおよび間隙スペースパターン20Sと同一の領域にそれぞれ配置される。この結果、複数の観察領域101〜105のそれぞれにおいて、Z方向から平面視すると、着色ラインパターン20LのX方向の幅L1の全体が、X方向の幅L2がL1と同一の遮光ラインパターン30Lにより遮蔽されるので、光透過スペースパターン30Sを介して着色ラインパターン20Lが視認されることはない。なお、計測対象物の第1位置と第2位置との間のX方向の距離xは100mmである。
これに対して、図21(a)〜図22(b)は、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位が生じた状態における図20(a)に示される変位可視化センサーの示す概略上面図である。
計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の50μmの変位が生じると、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置が上記初期状態における位置からX方向に50μm移動する。これにより、計測対象物の第2位置に固定された遮光パターン板30が、計測対象物の第1位置に固定された着色パターン板20に対してX方向に50μm移動する。この結果、遮光ラインパターン30Lが、XY平面において着色ラインパターン20Lと同一の領域から相対的にX方向に50μm移動する。これにより、図21(a)に示されるように、複数の観察領域101〜105のうちの第1観察領域101においてのみ、着色ラインパターン20LのX方向の幅の全体が光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになり、複数の観察領域101〜105のうち第1観察領域101のみが濃く着色されることになる。
そして、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の100μmの変位が生じると、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置が上記初期状態における位置からX方向に100μm移動する。これにより、遮光ラインパターン30Lが、XY平面において着色ラインパターン20Lと同一の領域から相対的にX方向に100μm移動する。これにより、図21(b)に示されるように、複数の観察領域101〜105のうちの第1観察領域101および第2観察領域102において、着色ラインパターン20LのX方向の幅の全体が光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになり、複数の観察領域101〜105のうち第1観察領域101および第2観察領域102が濃く着色されることになる。同様に、X方向の150μmの変位が生じると、図21(c)に示されるように、複数の観察領域101〜105のうち第1観察領域101および第3観察領域103が濃く着色され、X方向の200μmの変位が生じると、図22(a)に示されるように、複数の観察領域101〜105のうち第1観察領域101、第2観察領域102、および第4観察領域104が濃く着色され、X方向の250μmの変位が生じると、図22(b)に示されるように、複数の観察領域101〜105のうち第1観察領域101および第5観察領域105が濃く着色されることになる。
したがって、図20(a)に示される変位可視化センサー10では、Z方向から平面視して、ラインパターンおよびスペースパターンのX方向の幅が異なることで解像度が異なる複数の観察領域101〜105において、光透過スペースパターン30Sを介して視認される着色ラインパターン20Lの変化をそれぞれ観察することができる。このため、計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向の変位の大きさの変化を分かり易く表示することができる。つまり、測定することができる変位の大きさを異なるように設定した複数の表示領域において、変位を測定することができるので、変位の大きさを詳細に測定することができる。
第1実施態様の変位可視化センサーとしては、図20(a)に示される変位可視化センサー10のように、上記着色パターン板は、複数の着色パターン領域を有し、上記複数の着色パターン領域は上記着色パターンをそれぞれ有し、上記遮光パターン板は、上記複数の着色パターン領域とそれぞれ重なり合う複数の遮光パターン領域を有し、上記複数の遮光パターン領域は上記遮光パターンおよび光透過パターンをそれぞれ有し、上記複数の着色パターン領域は、互いに解像度が異なり、互いに重なり合う上記複数の遮光パターン領域とはそれぞれ解像度が同一であるものが好ましい。上記第1パターン表示板と上記第2パターン表示板との相対的な移動に伴い、Z方向から平面視して、上記複数の遮光パターン領域が上記複数の着色パターン領域にそれぞれ重ねて配置された解像度が異なる複数の表示領域にて、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化が生じる。このため、上記複数の表示領域のそれぞれにて生じる上記着色パターンの変化により、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記X方向またはY方向の変位の大きさの変化を分かり易く表示することができるからである。つまり、表示することができる上記変位の大きさを異なるように設定した上記複数の表示領域において、上記変位を表示することができるので、上記変位の大きさを詳細に測定することができるからである。
なお、第1実施態様において、上記着色パターン領域の解像度とは、上記着色パターン領域に上記一定規則で繰り返すように設けられた上記着色パターンおよび間隙パターンの密度を意味し、上記遮光パターン領域の解像度とは、上記遮光パターン領域に上記一定規則で繰り返すように設けられた上記遮蔽パターンおよび光透過パターンの密度を意味する。上記複数の着色パターン領域の解像度は上記複数の遮光パターン領域とそれぞれ同一であり、上記遮光パターン領域が前着色パターン領域にそれぞれ重ねて配置された上記表示領域では、上記着色パターン領域の解像度が小さいほど、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの小さい変化を観察することができるので、上記表示領域の解像度が小さくなる。
(2)着色パターン板および遮光パターン板の配置
第1実施態様の変位可視化センサーとしては、上記着色パターン板が上記基板および上記基板の一方の面にパターン状に設けられた上記着色層を有し、上記遮光パターン板が上記透明基板および上記透明基板の一方の面にパターン状に設けられた上記遮光層を有する場合において、上記着色パターン板および遮光パターン板の配置が特に限定されるものではないが、例えば、上記着色パターン板および遮光パターン板が、上記着色層側の面と上記遮光層側の面とを対向させるように配置されたものでもよいし、上記着色層側の面と上記遮光層側とは反対側の面とを対向させるように配置されたものでもよい。
(3)枠
第1実施態様の変位可視化センサーとしては、図1ならびに後述する図23および図25に示される変位可視化センサー10のように、上記着色パターン板または上記遮光パターン板の外周を取り囲む枠をさらに有し、上記枠と計測対象物との熱膨張率差が、上記着色パターン板または上記遮光パターン板と上記計測対象物との熱膨張率差よりも小さいものが好ましい。上記変位可視化センサーが上記変位を可視化する対象とする上記計測対象物が熱膨張する時に、上記変位可視化センサーにおける上記着色パターン板または上記遮光パターン板は、熱膨張率が上記計測対象物と近い枠によって外周が取り囲まれているために上記計測対象物に追随して膨張することになる。このため、上記変位可視化センサーを用いて、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位を可視化または測定する場合に、上記計測対象物と上記着色パターン板または上記遮光パターン板との熱膨張率差の影響を抑制することができるからである。
上記枠としては、上記計測対象物との熱膨張率差が、上記着色パターン板または上記遮光パターン板と上記計測対象物との熱膨張率差よりも小さいものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記計測対象物がコンクリート製である場合には、金属枠等が挙げられ、上記計測対象物が木製である場合には、木製の枠等が挙げられる。
(4)接着層
第1実施態様の変位可視化センサーとしては、後述する図23および図25に示される変位可視化センサー10のように、上記着色パターン板または上記遮光パターン板の片面に接着層が設けられているものが好ましい。上記着色パターン板または上記遮光パターン板の片面を、上記計測対象物に上記接着層を用いて接着することにより固定することができる。このため、上記変位可視化センサーが上記変位を可視化する対象とする上記計測対象物が熱膨張する時に、上記変位可視化センサーにおける上記着色パターン板または上記遮光パターン板は、上記片面が上記接着層により上記計測対象物に接着されているために上記計測対象物に追随して膨張することになる。このため、上記変位可視化センサーを用いて、上記計測対象物における変位および上記計測対象物の表面形状の経時的な変化を可視化または測定する場合に、上記計測対象物と上記着色パターン板または上記遮光パターン板との熱膨張率差の影響を抑制することができるからである。
(5)その他
第1実施態様の変位可視化センサーとしては、後述する図25に示される変位可視化センサー10のように、上記着色パターン板または上記遮光パターン板の外周を取り囲む上記枠をさらに有し、かつ上記着色パターン板または上記遮光パターン板の片面に接着層が設けられているものでもよい。上記「(3)枠」の項目に記載の効果および上記「(4)接着層」の項目に記載の効果の両方が得られるからである。
6.使用方法
第1実施態様の変位可視化センサーは、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のX方向またはY方向の変位を測定する用途、および上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置のZ方向の軸回りの変位を可視化する用途以外の用途にも使用することが可能である。
図23(a)は、第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略上面図である。図23(b)は図23(a)のG−G線断面図である。図23(a)に示される変位可視化センサー10は、着色パターン板20と遮光パターン板30とを有する。また、変位可視化センサー10は、遮光パターン板30を補強し、遮光パターン板30の外周を取り囲む第2金属枠40bをさらに有する。着色パターン板20の片面全体に計測対象物2に固定するために用いられる接着層60が設けられている。着色パターン板20の片面全体は、計測対象物2においてX方向の幅をWとしかつY方向にも幅を有する計測対象領域2cの表面全体に接着層60を介して貼り付けられている。また、遮光パターン板30は、第2金属枠40bを介して、接着層60によって計測対象物2の第2位置2bに固定されている。これにより、変位可視化センサー10は、計測対象物2に設置されている。
変位可視化センサー10では、図23(b)に示されるように、着色パターン板20および遮光パターン板30は、着色パターン板20が計測対象物側となり、遮光パターン板30が観察者側となるように平行に積層されている。また、着色パターン板20および遮光パターン板30は、X方向およびY方向に相対的に移動可能であり、Z方向を軸として相対的に回転可能であるように積層されている。また、図示しないが、着色パターン板20は、基板22が可撓性を有することを除いて図3(a)〜図3(c)に示される着色パターン板20と同一の構成を有する。また、遮光パターン板30は、図4(a)〜図4(c)に示される遮光パターン板30と同一の構成を有する。
図23に示される変位可視化センサー10では、着色パターン板20の片面全体が計測対象領域2cの表面全体に接着層60を介して貼り付けられ、かつ着色パターン板20の基板22が可撓性を有する。したがって、計測対象領域2cの表面において凹凸が生じると、凹凸が生じた部分で着色パターン板20が湾曲することになる。これにより、凹凸が生じた部分では、Z方向から平面視すると、凹凸が生じていない状態では遮光ラインパターン30Lにより遮蔽されていた着色ラインパターン20Lが、光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになるか、または着色ラインパターン20LがXY平面においてY方向に平行な遮光ラインパターン30Lに対して傾くので、Z方向から平面視すると、遮光ラインパターン30Lと着色ラインパターン20Lとの交差部分が縞となったモアレが観察されることになる。このため、凹凸の発生および凹凸の発生位置を可視化することができる。
また、図24(a)は、図23に示される変位可視化センサー10において、着色ラインパターンがXY平面においてY方向に平行な遮光ラインパターンに対して傾くことによって、Z方向から平面視して、遮光ラインパターンと着色ラインパターンとの交差部分が縞となったモアレが観察される領域を示す概略上面図である。
図24(a)に示される観察領域の中央部において、上記計測対象物2における上記計測対象領域2cの表面に出っ張りが生じた場合には、図24(a)に示されるモアレ10Mは、図24(b)に示されるように、一点鎖線で示される上記出っ張りの発生領域において円形に変形する。また、図24(a)に示される観察領域におけるY方向側の領域において上記計測対象物2における上記計測対象領域2cの表面にX方向に延びるクラックが生じた場合には、図24(a)に示されるモアレ10Mは、図24(c)に示されるように、一点鎖線で示される上記クラックの領域においてY方向の幅が拡張する。図23(a)に示される変位可視化センサーでは、例えば、図24に示されるようなモアレ10Mの変化からも、計測対象領域2cの表面における線状または点状の凹凸を含む凹凸の発生および凹凸の発生位置を可視化することが可能である。
さらに、上記計測対象物2における上記計測対象領域2cにおいて、X方向もしくはY方向の変位またはZ方向の軸回りの変位が生じると、着色パターン板20は変位が生じた部分で圧縮または膨張することになる。これにより、上記変位が生じた部分では、Z方向から平面視すると、上記変位が生じていない状態では遮光ラインパターン30Lにより遮蔽されていた着色ラインパターン20Lが、光透過スペースパターン30Sを介して視認されることになるか、または着色ラインパターン20LがXY平面においてY方向に平行な遮光ラインパターン30Lに対して傾くので、Z方向から平面視すると、遮光ラインパターン30Lと着色ラインパターン20Lとの交差部分が縞となったモアレが観察されることになる。このため、上記変位の発生および上記変位の発生位置を可視化することができる。
また、図25(a)は第1実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略上面図である。図25(b)は図25(a)のG−G線断面図である。図25に示される変位可視化センサー10は、図25(b)に示されるように、着色パターン板20を補強し、着色パターン板20の外周を取り囲む第1金属枠40aをさらに有する点を除いて、図23に示される変位可視化センサー10と同一の構成を有する。図25に示される変位可視化センサー10でも、図23に示される変位可視化センサー10と同様に、変位の発生および発生位置を可視化することができる。
第1実施態様の変位可視化センサーは、図23および図25に示される変位可視化センサー10のように、上記計測対象物の表面形状の経時的な変化を測定する用途、および上記計測対象物の各位置における変位を測定する用途で使用することが可能である。
また、上記変位可視化センサーとしては、上記着色パターン板が、可撓性を有するものが好ましいが、例えば、上記変位可視化センサーを、上記計測対象物の表面形状の経時的な変化を測定する用途で使用する場合には、上記変位可視化センサーとしては、上記着色パターン板が、上記計測対象物の表面形状の経時的な変化を測定可能とする可撓性を有するものが好ましい。このような可撓性を有する上記着色パターン板に用いられる上記基板としては、引張弾性率(ヤング率)が低く、引張強さの大きい樹脂製基板が用いられるのが好ましい。小さな応力で変形し易く、大きな引張応力が負荷されても破断しにくいので、上記着色パターン板を、上記可撓性を好適に有するものにすることができるからである。中でもABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等が用いられるのが好ましく、特にポリウレタン等が用いられるのが好ましい。上記着色パターン板を、上記可撓性をさらに好適に有するものにすることができるからである。
さらに、例えば、上記変位可視化センサーを、上記計測対象物の各位置における変位を測定する用途で使用する場合には、上記変位可視化センサーとしては、上記着色パターン板が、上記計測対象物の各位置における変位を測定可能とする可撓性を有するものが好ましい。このような可撓性を有する着色パターン板に用いられる上記基板としては、引張弾性率(ヤング率)が低く、引張強さの大きい樹脂製基板が用いられるのが好ましい。小さな応力で変形し易く、大きな引張応力が負荷されても破断しにくいので、上記着色パターン板を、上記可撓性を好適に有するものにすることができるからである。中でもABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等が用いられるのが好ましく、特にポリウレタン等が用いられるのが好ましい。上記着色パターン板を、上記可撓性をさらに好適に有するものにすることができるからである。
7.計測対象物
第1実施態様の変位可視化センサーを用いて変位を測定または可視化する計測対象物としては、例えば、法面(のりめん)、高層建造物等のようなコンクリート製の人工構造物や、橋、トンネル、電車、船、飛行機等のような鉄製の人工構造物等における計測領域が挙げられる。中でも、法面、高層建造物等のようなコンクリート製の人工構造物における計測領域が好ましい。法面、高層建造物等のようなコンクリート製の人工構造物における計測領域において可視化する必要がある大きさの変位であれば、上記変位可視化センサーによって確実に可視化することができるからである。
ここで、法面とは、切土や盛土により作られる人工的な斜面のことである。法面における計測領域については、計測領域の長さに対する0.1%以上の法面に平行な直線方向の変位を可視化する必要がある。上記変位可視化センサーであれば、法面における計測領域について、計測領域の長さに対する0.1%以上の法面に平行な直線方向の変位を可視化することができる。また、高層建造物の壁面における計測領域については、計測領域の長さに対する0.1%以上の壁面に平行な直線方向の変位を可視化する必要がある。上記変位可視化センサーであれば、高層建造物の壁面における計測領域について、計測領域の長さに対する0.1%以上の壁面に平行な直線方向の変位を可視化することができる。
8.製造方法
第1実施態様の変位可視化センサーの製造方法としては、上記着色パターン板を製造する工程と、上記遮光パターン板を製造する工程とを有する製造方法であれば特に限定されるものではない。上記着色パターン板を製造する工程および上記遮光パターン板を製造する工程としては、例えば、一般的なカラーフィルタの製造方法により、上記着色パターン板および上記遮光パターン板をそれぞれ製造する工程等が挙げられる。
II.第2実施態様
第2実施態様の変位可視化センサーは、一定規則で繰り返す着色パターンを有する着色パターン板と、上記一定規則で繰り返す遮光パターンおよび光透過パターンを有する遮光パターン板と、上記着色パターン板および上記遮光パターン板を互いに回転可能に連結する回転軸部を有し、上記着色パターン板および上記遮光パターン板は、上記遮光パターン板が観察者側となるように重ねて配置され、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の上記回転軸部を回転中心とする相対的な回転に伴い、上記観察者側から視認される上記遮蔽パターンと、上記観察者側から上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わされることでモアレが生じ、上記モアレにより、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記回転軸部の軸回りの変位を表示することを特徴とする。
以下では、上記着色パターン板および上記遮光パターン板は、両板が互いに連結された上記回転軸部を回転中心として、上記着色パターン板の着色パターン側の面または上記遮光パターン板の遮光パターン側の面に沿った第1の方向および第2の方向を含む面と交わる第3の方向の軸回りに相対的に回転可能であるものを例として、第2実施態様の変位可視化センサーについて説明する。
第2実施態様における「第1の方向」および「第2の方向」ならびに「第3の方向」については、上記「I.第1実施態様」の項目に記載の「第1の方向」および「第2の方向」ならびに「第3の方向」と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、以下では、上記第1の方向および上記第2の方向ならびに上記第3の方向の具体例として、上記「I.第1実施態様」の項目に記載の具体例と同様の具体例を用いて、第2実施態様の変位可視化センサーを説明する。また、上記変位可視化センサーを上記観察者側から視認する態様として、上記「I.第1実施態様」の項目に記載の態様と同様の態様を用いて、第2実施態様の変位可視化センサーを説明する。
なお、以下の説明において、「XY平面」、「X方向」、「Y方向」、「Z方向」、「−X方向」、「−Y方向」、「−Z方向」、および「Z方向から平面視」とは、上記「I.第1実施態様」の項目に記載の内容と同様の内容を意味する。さらに、以下では、上記「I.第1実施態様」の項目に記載の変位可視化センサーと同様に、寸法として、具体的な数値を用いて第2実施態様の変位可視化センサーを説明している箇所があるが、上記寸法は適宜調整することができるものである。
第2実施態様の変位可視化センサーの一例について図面を参照しながら説明する。図26(a)は、変位可視化対象物が基準構造物に対してZ方向の軸回りに相対的に傾斜している状態における第2実施態様の変位可視化センサーの一例を示す概略上面図である。図26(b)は図26(a)に示される変位可視化センサーにおける着色パターン板を示す概略上面図である。
ここで、第2実施態様において、「変位可視化対象物」とは、基準構造物または地面に対する傾斜を可視化する対象物を意味し、「基準構造物」とは、変位可視化対象物の傾斜の基準となる構造物を意味する。
図26(a)に示される変位可視化センサー10は、着色パターン板20と遮光パターン板30とを有する。変位可視化センサー10は、着色パターン板20および遮光パターン板30の外周をそれぞれ取り囲み、両板にそれぞれ固定された第1金属枠40aおよび第2金属枠40bをさらに有する。変位可視化センサー10では、着色パターン板20および遮光パターン板30は、着色パターン板20が基準構造物側となり、遮光パターン板30が観察者側となるように平行に積層されている。
図26(b)に示されるように、着色パターン板20に固定された第1金属枠40aは、鉄製の基準構造物4(計測対象物の第1位置)に接着層60によって固定されている。一方、図26(a)に示されるように、遮光パターン板30に固定された第2金属枠40bにおける−X方向側の端部は基準構造物4および変位可視化対象物3(計測対象物の第2位置)に固定されておらず、第2金属枠40bにおけるX方向側の端部は接着層60によって変位可視化対象物3に固定されている。
そして、着色パターン板20に固定された第1金属枠40aおよび遮光パターン板30に固定された第2金属枠40bは、−X方向側における−Y方向側の取付け位置において、第1金属枠40aおよび第2金属枠40bを貫通する回転軸部材70(回転軸部)を介して互いに取付けられている。これにより、遮光パターン板30および着色パターン板20は、回転軸部材70により互いに回転可能に連結されている。仮に、第2金属枠40bにおけるX方向側の端部が変位可視化対象物3に固定されていなかったとすると、第2金属枠40bは、回転軸部材70を回転中心として、第1金属枠40aに対してZ方向の軸回りに相対的に回転可能となっているので、遮光パターン板30は、回転軸部材70を回転中心として、着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的に回転可能となっている。
なお、着色パターン板20に対する遮光パターン板30の相対的な位置のX方向またはY方向の移動は、回転軸部材70によって制限されている。また、着色パターン板20に対する遮光パターン板30の相対的な位置のZ方向の軸回りの回転は、回転軸部材70を回転中心とする場合を除いて回転軸部材70によって制限されている。
図26(a)に示される着色パターン板20は、図3に示される着色パターン板20と同一の着色パターン板であり、図26(b)に示される遮光パターン板30は、図4に示される遮光パターン板30と同一の遮光パターン板である。
図26(a)に示される変位可視化センサー10において、変位可視化対象物3が基準構造物4に対してZ方向の軸回りに相対的に傾斜していない初期状態では、変位可視化対象物3および遮光パターン板30は、図26(a)において一点鎖線で示される初期配置位置にそれぞれ配置される。Z方向から平面視して、遮光パターン板30の上記初期配置位置は、着色パターン板20の配置位置と同一となっている。
これに対して、変位可視化対象物3が基準構造物4に対してZ方向の軸回りに相対的にα°傾斜している状態では、図26(a)に示されるように、Z方向から平面視して、変位可視化対象物3の配置位置は、上記初期配置位置がZ方向の軸回りに相対的に回転した位置となる。これにより、図26(a)に示されるように、変位可視化対象物3に第2金属枠40bを介して固定された遮光パターン板30は、回転軸部材70を回転中心として、着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的にα°回転することになる。
ここで、図27(a)〜図27(c)は、遮光パターン板が回転軸部材を回転中心として着色パターン板に対してZ方向の軸回りに相対的に回転するのに伴って、図26に示される変位可視化センサーの表示が変化する様子を示す概略上面図である。
上記初期状態では、図27(a)に示されるように、Z方向から平面視すると、遮光ラインパターンおよび光透過スペースパターンが着色ラインパターンおよび間隙スペースパターン20Sと同一の領域にそれぞれ配置される結果、着色ラインパターンの全体が遮光ラインパターンにより遮蔽される。
これに対して、図26(a)に示されるように、遮光パターン板30が回転軸部材70を回転中心として着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的にα°回転するのに伴って、Z方向から平面視して、着色ラインパターンが遮光ラインパターンに対してα°傾くことになる。
遮光パターン板30が回転軸部材70を回転中心として着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的に回転する回転角度α°が微小であるうちは、図27(b)に示されるように、遮光ラインパターンが着色ラインパターンに対して傾く角度α°も微小である。このため、Z方向から平面視すると、Y方向に平行な複数の光透過スペースパターンのそれぞれを介して一つの着色ラインパターンが視認される。これにより、Z方向から平面視した変位可視化センサー10の表示は、複数の遮光ラインパターンと複数の着色ラインパターンとが合わさったものとなるが、後述するモアレが観察されることはない。
一方、遮光パターン板30が回転軸部材70を回転中心として着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的に回転する回転角度α°が大きくなると、図27(c)に示されるように、遮光ラインパターンが着色ラインパターンに対して傾く角度α°が大きくなる。この結果、Z方向から平面視すると、Y方向に平行な複数の光透過スペースパターンのそれぞれを介して複数の着色ラインパターンが視認される。これにより、複数の遮光ラインパターンと複数の着色ラインパターンとの交差部分が縞となったモアレが観察される。そして、図1に示される変位可視化センサー10と同様に、回転角度α°が大きくなるほど、モアレの縞の本数が多くなりモアレの縞のピッチPが小さくなる。
遮光ラインパターンが着色ラインパターンに対して傾く方向からは、遮光パターン板30が着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的に回転する方向がわかる。また、上記ラインアンドスペースパターンのピッチp、上記モアレの縞のピッチP、および上記回転角度α°には下記式(2)の関係が成立する。このため、上記モアレの縞のピッチPを測定すれば、上記回転角度α°が下記式(2)によって求められる。
以上のように、第2実施態様の変位可視化センサーによれば、Z方向から平面視して、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わされることで生じるモアレにより、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記回転軸部を回転中心とするZ方向の軸回りの変位を表示することができる。これにより、基準構造物(計測対象物の第1位置)に対する変位可視化対象物(計測対象物の第2位置)の上記回転軸部を回転中心とするZ方向の軸回りの傾斜を表示することができる。特に、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の態様によっては、上記Z方向の軸回りの変位の方向および大きさを測定することができるので、上記Z方向の軸回りの傾斜の方向および角度を測定することができる。したがって、計測対象物について、軸回りの変位をその方向および大きさを含めて可視化することができる。
なお、第2実施態様の変位可視化センサーでは、上記第1の方向および上記第2の方向の具体例として、X方向以外の方向およびY方向以外の方向をそれぞれ用い、上記第3の方向の具体例としてZ方向以外の方向を用いたとしても、同様の効果が得られる。また、上記変位可視化センサーを、Z方向の上記観察者側から平面視する代わりに、Z方向以外の方向の上記観察者側から視認したとしても、同様の効果が得られる。
以下、第2実施態様の変位可視化センサーにおける各構成について説明する。
1.着色パターン板
第2実施態様における着色パターン板としては、記号が設けられているものが好ましく、中でもZ方向の軸回りの変位を示す第3記号列が設けられているものが好ましい。後述する「4.モアレとZ方向の軸回りの変位の可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法」の項目において詳細に説明するように、後述する光透過窓を介して視認される視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定することができるからである。
上記構成を除くと、第2実施態様における着色パターン板については、上記「I.第1実施態様 1.着色パターン板 (1)着色パターンおよび間隙パターン c.その他」の項目および上記「I.第1実施態様 1.着色パターン板 (2)着色パターン板 c.その他」の項目に記載の構成を除いて、上記「I.第1実施態様 1.着色パターン板」の項目に記載の着色パターン板と同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.遮光パターン板
第2実施態様における遮光パターン板としては、上記記号を視認できる光透過窓が設けられているものが好ましく、中でも上記光透過窓として上記第3記号列を視認するために用いられる第3光透過窓が設けられているものが好ましい。後述する「4.モアレとZ方向の軸回りの変位の可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法」の項目において詳細に説明するように、上記光透過窓を介して視認される視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定することができるからである。
上記構成を除くと、第2実施態様における遮光パターン板については、上記「I.第1実施態様 2.遮光パターン板 (2)遮光パターン板 c.その他」の項目に記載の構成を除いて、上記「I.第1実施態様 2.遮光パターン板」の項目に記載の遮光パターン板と同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.着色パターン板および遮光パターン板の組み合わせ
第2実施態様における着色パターン板および遮光パターン板の組み合わせについては、上記「I.第1実施態様 3.着色パターン板および遮光パターン板の組み合わせ」の項目に記載の遮光パターン板と同様であるので、ここでの説明は省略する。
4.モアレとZ方向の軸回りの変位の可視化方法
第2実施態様の変位可視化センサーでは、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の上記回転軸部を回転中心とする相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記遮蔽パターンと、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わされることでモアレが生じる。そして、上記モアレにより、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記回転軸部を回転中心とするZ方向の軸回りの変位を表示する。以下、上記モアレおよびZ方向の軸回りの変位の可視化方法について詳細に説明する。
(1)モアレ
上記モアレについては、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の上記回転軸部を回転中心とする相対的な回転に伴い生じることを除いて、上記「I.第1実施態様 4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法 (2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法 a.モアレ」の項目に記載のモアレと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(2)Z方向の軸回りの変位の可視化方法
第2実施態様の変位可視化センサーを用いて、Z方向から平面視して、上記モアレから、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記回転軸部を回転中心とするZ方向の軸回りの変位を可視化する方法としては、例えば、上記着色パターンおよび上記間隙パターンがラインアンドスペースパターンである場合には、例えば、図26に示される変位可視化センサー10を用いることによって、Z方向から平面視して、複数の光透過スペースパターンのそれぞれを介して一つの着色ラインパターンが視認されることをもって、上記相対的な位置の上記回転軸部を回転中心とするZ方向の軸回りの微小変位が生じたことを検知する方法が挙げられる。また、Z方向から平面視して、複数の遮光ラインパターンと複数の着色ラインパターンとの交差部分が縞となったモアレが観察されることをもって、上記相対的な位置の上記回転軸部を回転中心とするZ方向の軸回りのより大きな変位が生じたことを検知する方法が挙げられる。さらに、遮光ラインパターンが着色ラインパターンに対して傾く方向、上記ラインアンドスペースパターンのピッチp、および上記モアレの縞のピッチPから、上記Z方向の軸回りの変位の方向および回転角度α°を求める方法が挙げられる。
また、例えば、上記着色パターンおよび上記間隙パターンが間隙ドットパターンである場合には、例えば、Z方向から平面視して、図9に示される複数の光透過性ドット30cのそれぞれを介して視認される図10に示される複数の間隙ドット20cの集合部分が縞となったモアレが観察されることをもって、上記Z方向の軸回りの変位が生じたことを検知する方法が挙げられる。さらに、複数の光透過性ドット30cの配列方向が複数の間隙ドット20cの配列方向に対して傾く方向、上記間隙ドットパターンのピッチp、上記モアレの縞のピッチPから、上記Z方向の軸回りの変位の方向および回転角度α°を求める方法が挙げられる。
そして、上記ラインアンドスペースパターンおよび上記ドットパターンでは、これらのパターンのピッチp、上記モアレの縞のピッチP、および上記Z方向の軸回りの変位の回転角度α°の間に下記式(2)の関係が成立する。このため、上記モアレの縞のピッチPを測定すれば、上記Z方向の軸回りの変位の回転角度α°が下記式(2)によって求められる。
また、第2実施態様においては、上記相対的な位置の上記回転軸部を回転中心とするZ方向の軸回りの変位の可視化方法としては、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の上記回転軸部を回転中心とする相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記光透過窓を介して視認される上記記号の表示および非表示が切り替わり、上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定する方法が好ましく、中でも上記着色パターン板および上記遮光パターン板の上記回転軸部を回転中心とする相対的な回転に伴い、Z方向から平面視して、上記第3光透過窓を介して視認される上記第3記号列の変化が生じ、上記第3記号列の変化から、上記Z方向の軸回りの変位を測定する方法が好ましい。視覚的に判別しやすい上記記号の表示および非表示の切り替わりから、上記Z方向の軸回りの変位を測定することができるからである。
5.変位可視化センサー
第2実施態様の変位可視化センサーとしては、ここまでに説明した実施形態以外の実施形態であってよく、ここまでに説明した構成以外の構成を有するものでもよい。
(1)遮光パターン板の一端が鉛直方向を向く変位可視化センサー
図28(a)は、変位可視化対象物の壁面における計測領域が地面に対してZ方向の軸回りに相対的に傾斜している状態における第2実施態様の変位可視化センサーの他の例を示す概略上面図である。図28(b)は図28(a)に示される変位可視化対象物の壁面における計測領域および着色パターン板を示す概略上面図である。
なお、図28(a)および図28(b)では、−Y方向が鉛直方向となっており、XY平面が鉛直方向に沿った面となっている。
図28(a)に示される変位可視化センサー10は、着色パターン板20と遮光パターン板30とを有する。変位可視化センサー10は、着色パターン板20および遮光パターン板30の外周をそれぞれ取り囲み、両板にそれぞれ固定された第1金属枠40aおよび第2金属枠40bをさらに有する。変位可視化センサー10では、着色パターン板20および遮光パターン板30は、着色パターン板20が基準構造物側となり、遮光パターン板30が観察者側となるように平行に積層されている。変位可視化センサー10は、遮光パターン板30が鉛直方向に沿うように配置されている。
図28(b)に示されるように、着色パターン板20に固定された第1金属枠40aは、鉛直方向に沿った変位可視化対象物の壁面における計測領域3w(計測対象物の第2位置)に接着層60によって固定されている。そして、図28(a)に示されるように、着色パターン板20に固定された第1金属枠40aおよび遮光パターン板30に固定された第2金属枠40bは、Y方向側の取付け位置において、第1金属枠40aおよび第2金属枠40bを貫通する回転軸部材70(回転軸部)を介して互いに取付けられている。これにより、遮光パターン板30および着色パターン板20は、回転軸部材70により互いに回転可能に連結されている。
第2金属枠40bは固定されていないので、第2金属枠40bは、回転軸部材70を回転中心として、第1金属枠40aに対してZ方向の軸回りに相対的に回転可能となっているので、遮光パターン板30は、回転軸部材70を回転中心として、着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的に回転可能となっている。
なお、着色パターン板20に対する遮光パターン板30の相対的な位置のX方向またはY方向の移動は、回転軸部材70によって制限されている。また、着色パターン板20に対する遮光パターン板30の相対的な位置のZ方向の軸回りの回転は、回転軸部材70を回転中心とする場合を除いて回転軸部材70によって制限されている。
図28(a)に示される着色パターン板20は、図3に示される着色パターン板20と同一の着色パターン板であり、図28(b)に示される遮光パターン板30は、図4に示される遮光パターン板30と同一の遮光パターン板である。遮光パターン板30に固定された第2金属枠40bの地面側の端には重り80が固定されている。これにより、遮光パターン板30の重心は、回転軸部材70により着色パターン板20と連結される位置と異なる位置となる。
図28(a)に示される変位可視化センサー10において、変位可視化対象物の壁面における計測領域3wが地面(計測対象物の第1位置)(図示せず)に対して相対的に傾斜していない初期状態では、Z方向から平面視して、変位可視化対象物の壁面における計測領域3wは、図28(a)および図28(b)において一点鎖線で示される初期配置位置に配置される。また、着色パターン板20は、図28(b)において一点鎖線で示される初期配置位置に配置され、着色パターン板の地面側の端20eは鉛直方向を向いている。これに対して、上記初期状態では、遮光パターン板の地面側の端20eも重り80によって鉛直方向を向くため、図示しないが、Z方向から平面視して、遮光パターン板30の配置位置は着色パターン板20の上記初期配置位置と同一となる。
これに対して、変位可視化対象物の壁面における計測領域3wが地面(図示せず)に対してZ方向の軸回りに相対的にα°傾斜している状態では、図28(a)および図28(b)に示されるように、Z方向から平面視して、着色パターン板20の配置位置は上記初期配置位置がZ方向の軸回りに相対的にα°傾斜した位置となる。一方、図28(b)に示されるように、遮光パターン板の地面側の端20eは、上記初期状態と変わることなく、重り80によって鉛直方向を向いたままとなる。このため、Z方向から平面視して、遮光パターン板30の配置位置は、上記初期状態と変わることなく、着色パターン板20の上記初期配置位置と同一のままとなる。これにより、図26(a)に示されるように、遮光パターン板30は、回転軸部材70を回転中心として、着色パターン板20に対してZ方向の軸回りに相対的にα°回転することになる。
したがって、図28(a)に示される変位可視化センサー10では、図26(a)に示される変位可視化センサー10と同様に、Z方向から平面視して、遮光ラインパターンと光透過スペースパターンを介して視認される着色ラインパターンとが合わされることで生じるモアレにより、遮光パターン板30に対する着色パターン板20の相対的な位置の回転軸部材70を回転中心とするZ方向の軸回りの変位を表示することができる。このため、地面に対する変位可視化対象物の壁面における計測領域3wのZ方向の軸回りの傾斜を表示することができる。
第2実施態様の変位可視化センサーとしては、図28(a)に示される変位可視化センサー10のように、上記遮光パターン板の重心は、上記回転軸部により上記着色パターン板と連結される位置と異なっているものが好ましい。上記遮光パターン板が鉛直方向に沿うように上記変位可視化センサーが配置された時に、上記遮光パターン板の一端が鉛直方向を向くように、上記遮光パターン板は重心を有しているので、上記遮光パターン板を地面(計測対象物の第1位置)に固定することなく、上記地面に対する上記変位可視化対象物の壁面における計測領域(計測対象物の第2位置)のZ方向の軸回りの傾斜を可視化することができるからである。
(2)着色パターン板および遮光パターン板の配置
第2実施態様における着色パターン板および遮光パターン板の配置については、上記「I.第1実施態様 5.変位可視化センサー (2)着色パターン板および遮光パターン板の配置」の項目に記載の着色パターン板および遮光パターン板の配置と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)枠
第2実施態様の変位可視化センサーとしては、図26に示される変位可視化センサー10のように、上記着色パターン板または上記遮光パターン板の外周を取り囲む枠をさらに有し、上記枠と計測対象物との熱膨張率差が、上記着色パターン板または上記遮光パターン板と上記計測対象物との熱膨張率差よりも小さいものが好ましい。上記「I.第1実施態様 5.変位可視化センサー (3)枠」の項目に記載の理由と同様の理由からである。また、上記枠については、上記「I.第1実施態様 5.変位可視化センサー (3)枠」の項目に記載の枠と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(4)接着層
第2実施態様の変位可視化センサーとしては、上記着色パターン板または上記遮光パターン板の片面に接着層が設けられているものが好ましい。上記「I.第1実施態様 5.変位可視化センサー (4)接着層」の項目に記載の理由と同様の理由からである。
(5)その他
第2実施態様の変位可視化センサーとしては、上記着色パターン板または上記遮光パターン板の外周を取り囲む上記枠をさらに有し、かつ上記着色パターン板または上記遮光パターン板の片面に接着層が設けられているものでもよい。上記「I.第1実施態様 5.変位可視化センサー (5)その他」の項目に記載の理由と同様の理由からである。
6.使用方法
第2実施態様の変位可視化センサーは、例えば、図26に示される基準構造物4または地面のような基準構造物に対する図26または図27に示される変位可視化対象物3のような変位可視化対象物のZ方向の軸回りの傾斜を可視化する用途に使用することが可能である。
7.計測対象物
第2実施態様の変位可視化センサーを用いて変位を可視化する計測対象物については、上記「I.第1実施態様 7.計測対象物」の項目に記載の計測対象物と同様であるので、ここでの説明は省略する。
8.製造方法
第2実施態様の変位可視化センサーの製造方法としては、上記着色パターン板を製造する工程と、上記遮光パターン板を製造する工程と、上記着色パターン板および上記遮光パターン板を、上記遮光パターン板が観察者側となるように重ねて配置されるように、かつ上記回転軸部を回転中心としてZ方向の軸回りに相対的に回転可能になるように上記回転軸部により連結する工程と、を有する製造方法であれば特に限定されるものではない。上記着色パターン板を製造する工程および上記遮光パターン板を製造する工程については、上記「I.第1実施態様 8.製造方法」の項目に記載の製造方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
B.変位可視化方法
本発明の変位可視化方法は、一定規則で繰り返す着色パターンを有する着色パターン板を計測対象物の第1位置に固定して配置する着色パターン板配置工程と、上記着色パターン板配置工程後において、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位を可視化する時に、上記一定規則で繰り返す遮光パターンおよび光透過パターンを有する遮光パターン板を上記着色パターン板に重ねて上記計測対象物の第2位置に固定して配置する遮光パターン板配置工程と、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化、または上記遮光パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わされることで生じるモアレを観察して、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位を可視化する変位可視化工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位を可視化する時以外の時において、上記変位を観察者以外に隠蔽することができる。
本発明において用いる上記着色パターン板としては、一定規則で繰り返す着色パターンを有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記「A.変位可視化センサー I.第1実施態様 1.着色パターン板」の項目に記載の着色パターン板等が挙げられる。また、本発明において用いる上記遮光パターン板としては、上記一定規則で繰り返す遮光パターンおよび光透過パターンを有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記「A.変位可視化センサー I.第1実施態様 2.遮光パターン板」の項目に記載の遮光パターン板等が挙げられる。さらに、本発明において用いる上記着色パターン板および上記遮光パターン板の組み合わせについては、上記「A.変位可視化センサー I.第1実施態様 3.着色パターン板および遮光パターン板の組み合わせ」の項目に記載の着色パターン板および遮光パターン板の組み合わせと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、上記着色パターン板配置工程としては、上記着色パターン板を上記計測対象物の第1位置に固定して配置する工程であれば特に限定されるものではないが、例えば、図1に示されるように着色パターン板20を計測対象物2の第1位置2aに固定して配置する工程でもよいし、図26に示されるように着色パターン板20を上記計測対象物の第1位置である基準構造物4に固定して配置する工程でもよい。
また、上記遮光パターン板配置工程としては、上記着色パターン板配置工程後において、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位を可視化する時に、上記遮光パターン板を上記着色パターン板に重ねて上記計測対象物の第2位置に固定して配置する工程であれば特に限定されるものではないが、例えば、図1に示されるように遮光パターン板30を着色パターン板20に重ねて計測対象物2の第2位置2bに固定して配置する工程でもよいし、図26に示されるように遮光パターン板30を着色パターン板20に重ねて上記計測対象物の第2位置である変位可視化対象物3に固定して配置する工程でもよい。
さらに、上記変位可視化工程としては、上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンの変化、または上記遮光パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとが合わされることで生じるモアレを観察して、上記計測対象物の第1位置に対する第2位置の相対的な位置の変位を可視化する工程であれば特に限定されるものではなく、上記着色パターンの変化、または上記モアレを観察して、上記変位を可視化する方法として、上記「A.変位可視化センサー I.第1実施態様 4.変位可視化センサーの表示と変位の測定方法および可視化方法」の項目に記載の上記X方向またはY方向の変位の測定方法および上記Z方向の軸回りの変位の可視化方法を用いることができる。
C.変位可視化システム
本発明の変位可視化システムは、上述した変位可視化センサーと、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとを撮像する撮像装置と、上記撮像装置により撮像された画像を解析する解析装置と、を有することを特徴とする。
図29は、本発明の変位可視化システムの一例を示す概略図である。図29に示される変位可視化システム90は、計測対象物2に設置された変位可視化センサー10と、変位可視化センサー10を平面視して、変位可視化センサー10における遮蔽パターンと光透過パターンを介して視認される着色パターンとを撮像する撮像装置92と、撮像装置92により撮像された画像を解析する解析装置94と、を有する。
本発明によれば、計測対象物について、直線方向の変位だけではなく軸回りの変位をその方向および大きさを含めて可視化することができる。
上記撮像装置としては、上記変位可視化センサーを平面視して、上記遮蔽パターンと上記光透過パターンを介して視認される上記着色パターンとを撮像する装置であれば特に限定されるものではないが、例えば、CCD撮像素子等が挙げられる。
上記解析装置としては、上記撮像装置により撮像された画像を解析する装置であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記「A.変位可視化センサー I.第1実施態様」の項目に記載の変位可視化センサーにおいて、上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な移動に伴い生じた上記着色パターンの変化から、上記着色パターン板に対する上記遮光パターン板の相対的な位置の上記第1の方向または第2の方向の変位を測定し、または上記着色パターン板と上記遮光パターン板との相対的な回転に伴い生じたモアレから、上記相対的な位置の上記第3の方向の軸回りの変位を可視化するために、上記画像を解析する装置でもよいし、例えば、上記「A.変位可視化センサー II.第2実施態様」の項目に記載の変位可視化センサーにおいて、上記着色パターン板および上記遮光パターン板の上記回転軸部を回転中心とする相対的な回転に伴い生じるモアレから、上記相対的な位置の上記回転軸部の軸回りの変位を可視化するために、上記画像を解析する装置でもよい。
上記解析装置としては、上記撮像装置により撮像された画像を解析する装置であれば特に限定されるものではないが、例えば、専用のプログラムをインストールしたパーソナルコンピュータ等が挙げられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。