本開示の利点を前提として、ユーザーにとってより分かりやすい表現の図面を提供するために、図面のある特定の寸法または特徴が、拡大され、変形され、またはそれ以外の従来と異なる、もしくは比例しない方法で図示されていてもよいことが当業者によって認識されよう。図面内の描写は、特定の長さ、径または厚さを意図したものではなく、図面の構成要素の相対寸法は、図面内の構成要素の任意の寸法を限定することを意図するものではない。寸法または値が以下の説明で指定されている場合、その寸法または値は、単に例示目的のために提供される。
本明細書で開示される技術をユーザーにとってより分かりやすく説明するために、ある特定の実施形態について単数形及び複数形の用語を参照して以下に記載する。これらの用語は、便宜上の目的のためにのみ使用され、オートサンプラ及びその使用を、本明細書に記載した特定の実施形態に存在するものとして別段の記載がない限り、ある特定の特徴を含む、または除外するように限定することを意図するものではない。「関連的に結合される」という用語は、ある特定の場合において、オートサンプラ支持体などの別の装置の支持体上の位置と相関している、または相関していることが可能なエンコーダの位置を指すために使用される。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載したオートサンプラまたはオートサンプリング装置は、一般に、試料(または他の物品)をトレイまたは支持体の別々の場所でトレイまたは支持体へとロードすることを可能にするように構成されている。例えば、トレイまたは支持体は、物品または試料を受け取ることが可能な2つ以上の異なる位置を含んでもよい。支持体上の2つの場所の単純化した説明図を図1A及び図1Bに示す。支持体50は、第1の場所52及び第2の場所54を含む。図1Aでは、場所52、54は第1の位置に示されている。支持体50を第2の位置まで移動させるために、ステッパーモータ(または他の作動装置)を支持体50に結合することができる。ステッパーモータは、所望の数のインクリメント分移動して支持体を移動させ、場所52、54の位置を変えてもよい(図1Bの場所52、54の第2の位置を参照)。ステッパーモータが移動するインクリメント数は、第2の位置にある場所52、54の絶対位置を決定することを可能にするために場所52、54の新しい位置と相関している必要がある。以下でより詳細に述べるように、支持体50と共にエンコーダを使用して、場所52、54のそれぞれの位置を決定するために独立した測定を行うこともできる。例えば、エンコーダ上のサブセットを、支持体50上の特定の場所と空間的に関連付けることができる。エンコーダと支持体が一緒に移動する場合、エンコーダの特定のコードを読み取ることで、支持体50上の関連する場所の位置の指示を与えることができる。
ある特定の実施形態では、2つ以上の位置を有する支持体を、オートサンプラまたはオートローダとして使用することができる。いかなる特定の理論に束縛されることを望むものではないが、オートサンプラまたはオートローダは、2つ以上の場所を有する支持体を備える。それらの場所のそれぞれは、物品または試料を受け取ることができ、そこでそれぞれの物品または試料を支持体から別の構成要素にロードすることができる。例えば、オートローダは、好適な回路、アーム、ローディング装置などを備えてもよい。これらを、支持体の場所に位置付けられた物品または試料に結合し、(少なくともある期間の間)その物品または試料を支持体から分離して、その物品または試料を異なる構成要素内に、または異なる場所に移動させることができる。オートサンプラと共に使用される装置の実際の役割にかかわらず、例示的な構成では、オートサンプラを化学及び医療計測機器と共に、電子装置、モバイル装置などの複数構成要素の装置の製造において、ソリッドステートドライブ、テープバックアップ、メモリチップ、ハードディスクもしくはデータの記憶が可能な他の構成要素をスタックもしくは配列したものといった、例えば、メモリ装置を配列したものなどのメモリ記憶装置において、食品加工作業において、包装システムにおいて、仕分けシステムにおいて、または他のシステムにおいて使用することができ、これらにおいては、1つの物品を支持体上の場所から移し、その移した物品を他のどこかに配置するためにオートサンプラが必要となり得る。必要に応じて、物品は、支持体の当初の位置に戻されてもよく、または最終的には、例えば、支持体における異なる場所に、もしくは支持体上に存在しない場所に位置付けることができる。
ある特定の構成において、オートサンプラのある特定の構成要素の説明図を図2に示す。オートサンプラは、シャフト105に結合された支持体トレイ110を備える。トレイ110をシャフト105に結合するために使用される実際の手法は、様々とすることができ、シャフト105と実質的に垂直に位置付けられたアーム(例えば、シャフト105が回転するときにトレイ110の回転運動を生じさせる、シャフト105及びトレイ110に接続されたアーム)を含んでもよい。トレイ110をシャフト105に接続するアームまたはカプラの特定の数は様々とすることができる(例えば、1〜5個の異なるアームまたはカプラ)。ある実施形態では、オートローダからの物品または試料のロードに干渉しないようにカプラまたはアームを位置付けることができる。他の構成では、アームまたはカプラは、支持体110とシャフト105の両方ではなくそれらの一方に恒久的に取り付けられてもよい。例えば、カプラまたはアームを105、110のうちの一方に取り付けることにより、種々の支持体トレイを、カプラまたはカプラの場所へと支持体トレイを「プラグ接続する」ことによってシャフト105に対して着脱することができる。支持体トレイの着脱可能な構成により、支持体トレイのスタックまたはホテル(hotel)をシャフトに対して個別に結合し、分離して、自動的にロード可能な試料または物品の数を増やすことが可能となる。
ある特定の実施形態では、シャフト105をステッパーモータ(図示されていないが、通常はハウジング150内に位置付けられている)に結合してもよい。このモータは、シャフト105を(反時計回りまたは時計回りに)所望の数のインクリメント分回転させ、それにより、トレイ110がローディング位置に対して所望の位置まで回転する。例えば、図6に示すように、支持体310は、ローディングアームまたはローディング装置の下の支持体の位置に試料が来るように回転したものとして示されている。このアームまたは装置は、トレイ310の特定の位置に存在する試料または物品に可逆的に結合し、その試料をシステムの別の構成要素または部分内に(例えば、天秤から吊された垂下ワイヤ(ローディング装置)の上に)、更には最終的にハウジング150内に存在するオーブンの中にロードするために使用することができる。図2に示した表現では、試料は、ローディング装置上にロードされ、ハウジング150内のオーブンの中まで下げられる坩堝または皿(分析すべき試料を含む)の形態をとってもよい。一旦適切に位置付けたら、オーブンを使用して、試料の熱重量分析(thermal gravimetric analysis、TGA)を行うことによって、または他の手法を用いることによって試料を分析してもよい。いかなる特定の理論に束縛されることを望むものではないが、TGAは、例えば、(一定の加熱速度で)増加する温度の関数として、または(一定の温度及び/もしくは一定の質量損失で)時間の関数として測定される材料の物理的化学的特性の変化を検出することができる。TGAは、蒸発、昇華、吸収、吸着及び脱着を含むが、これらに限定されない相転移などの物理現象に関する情報を提供することができる。TGAは、化学吸着、脱溶媒和(特に、材料からの脱水もしくは残留溶媒の蒸発)、分解及び固気反応を含む化学現象に関する情報を提供することもできる。必要に応じて、TGAの最中に生じた試料蒸気を抽出するために、試料管がオーブンより上に直接存在する(更には恒久的に位置する)ことができる。既存のTGA測定器では、ロード工程及びアンロード工程中に試料管を取り外す必要があることが多い。これに対し、本明細書に記載したオートローダでは、ロード工程及びアンロード工程中、試料採取管が所定の位置にとどまり、静止した状態を保つことが可能である。TGA法でも、坩堝内の試料の前後の重量を得るために(ハウジング120内にも存在する)天秤を使用する。ある場合には、坩堝を分析の前に覆い、または密閉してもよく、TGA装置は、分析の前に坩堝に穴を開けるためのニードルまたは他の装置を備えてもよい。例えば、そのニードルにより、ローディング装置上への持ち上げ工程の前に坩堝に穴を開けてもよい。例えば、オートサンプラトレイと実質的に同一の半径内に位置付けられたニードルが存在することができる。坩堝の蓋を突き通すために坩堝をニードルにまで持ち上げることができ、次いで坩堝を再び下げることができる。次いでオートサンプラトレイを回転させて、穴の開いた坩堝をローディング装置の下のローディング位置に配置してもよく、次いでローディング装置上まで坩堝を持ち上げることができ、その後、坩堝をオーブンの中まで下げることができる。
ある実施形態では、一旦トレイ110を所望の位置まで回転させたら、トレイを上方に移動させて、トレイ110の特定の位置からの試料のロードを容易にすることができる。例えば、別のモータまたはリニアアクチュエータをシャフトに結合してシャフトを上下に移動させる(トレイの対応する上下の移動を伴う)ことにより、システムのローディング装置またはアームをトレイ110の坩堝と係合させることができる。ある場合には、ローディング装置は、坩堝との係合が可能なワイヤまたは他の装置として構成することができる。図3A及び図3Bを参照すると、坩堝210は、ローディングワイヤ215の付近に図示されている。ステッパーモータが、所望の位置に存在する坩堝をロードするためにトレイをその位置まで回転させた後、他のモータは、(シャフト105を上方に移動させることによって)トレイ全体を持ち上げてワイヤ215を坩堝210と係合させることができる。トレイをもう2、3ステップ分回転させて、ワイヤ215に坩堝210が引っかかることを可能にしてもよい。次いでトレイを、坩堝210がローディングワイヤ215からぶら下がったままで下げてもよい。結合させた坩堝210とワイヤ215とを、測定器にまで(例えば、ローディング装置上まで)持ち上げ、その後、図2に示したハウジング150内のオーブンの中に入れることで、坩堝210内の任意の試料の分析を行うことができる。
ある実施形態では、トレイは、複数の独立した位置を含んでもよい。これらの位置のそれぞれは、試料容器(または他の物品)を受け取るように構成されている。図4A及び図4Bを参照すると、トレイ310は、「鏡に映ったC」または「反転したC」の形状で示されており、ローディング場所または地点410が、参照目的のために図4Bにおいて具体的に与えられている。トレイ310を使用する際、ステッパーモータ、またはトレイ310に連結されているシャフトと結合可能な他の好適なアクチュエータを用いて、トレイ310の所望の場所をローディング地点410の下まで回転させる。トレイ310の高さは、坩堝または他の試料容器をローディングワイヤ510と係合させることが可能となるように選択することができる(図5を参照)。トレイ310の半径が大きいため、ローディングワイヤ510の近くの動作はほとんど直線であり、坩堝505をワイヤ510上にスムーズに配置することが可能となる。坩堝505がワイヤ510の方に回転するにつれて、トレイ310全体は、シャフトに結合されたリニアアクチュエータまたはモータを作動させることによってワイヤ510の方に上昇する。一旦坩堝505をワイヤ510にロードしたら、トレイ310を下げてもよい。ロードされた坩堝505を、次いで、更なる分析または処理のために所望の場所または位置まで移動させてもよい。一旦処理が完了したら、ワイヤ510から坩堝505をアンロードするために、トレイ310を好適な位置まで回転させ、上昇させて坩堝505を取得する。上方への移動により、坩堝505がワイヤ510からずれる。トレイ310を、次いでワイヤ510から離れるように回転させ、次いで下げてもよい。トレイ310内の全ての試料または物品が分析または処理されるまで、このロード及びアンロード工程を繰り返すことができる。アンロード工程を図6A〜6Eに順に示す。図6Aを参照すると、トレイ310は、トレイ310上の正確な取り出し位置まで時計回りに回転する。シャフトに結合されたリニアモータの作動によってトレイは十分上昇して、坩堝をワイヤから上昇させる(図6Bを参照)。次いでトレイ310を、坩堝をワイヤから外すために反時計回りに回転させる(図6Cを参照)。次いでトレイ310をアイドル状態の高さまで下に移動させ(図6Dを参照)、その後、回転させてアイドル状態の位置(図6Eを参照)または新しい位置まで戻して、ワイヤ上に異なる坩堝をロードすることができる。
ある特定の例では、本明細書に記載した特定のオートサンプラ構成により、種々の試料のロード中、試料採取管が測定器内で静止した、またはその中に存在した状態を保つことが可能である。例えば、TGAが使用される多くの場合には、オーブンの近くに試料採取管を配置し、坩堝の近くのガスを抽出することにより、分析中に生じたガスの発生を更に評価してもよい。ロードを可能とする既存のシステムでは、種々の坩堝をロードする間に試料採取管を取り外すことが必要となり得る。本明細書に記載したオートサンプラの構成では、試料のロード及びアンロードを行うために使用される回転運動により、試料採取管が静止した状態を保つことが可能である。発生ガスは、あらゆる発生ガスを分析するための1つ以上の他の測定器(例えば、赤外線分光計、クロマトグラフィー装置、ガスクロマトグラフィー装置、質量分析計または他の好適な測定器)に供給することができる。
ある特定の実施形態において、オートサンプラの1つの構成の簡略ブロック図を図7に示す。オートサンプラ700は、回転モータ720及びリニアモータ730のそれぞれに結合された縦シャフト705を備える。回転モータ740は、縦シャフト705を(時計回り及び/または反時計回りに)回転させるように構成されているのに対し、リニアモータ730は、縦シャフト705を上下に移動させるように構成されている。2つ以上の物品を受け取るように構成されている支持体710を、アームまたはカプラ712を介して縦シャフト705に結合することができる。システム700を使用する際、回転モータ720は、シャフト705を所望の数のインクリメント分またはステップ分移動させ、それによって支持体710を同数のインクリメント分またはステップ分回転させることができる。例えば、ルックアップテーブル及び/または較正ルーチンを用いて、ステップ数をカウントし、支持体710上のある特定の位置に到達するために何ステップ必要かを知ることにより、支持体710の特定の場所を所望の場所に位置付けて(例えば、ローディング場所に位置付けて)、その特定の場所に存在する試料を分析用の測定器内にロードすることができる。単一のカプラ712がシステム700内に存在するものとして示されているが、2つ、3つ、またはより多くのカプラを使用して、支持体710をシャフト705に結合することができる。シャフト705に結合させるときに支持体710を安定させるため、100〜120度間隔で位置付けられた約3つのカプラを使用することが望ましい場合がある。支持体710は図7において閉じたディスクまたは円として示されているが、その代わりに半円または開いた円(例えば、C型ディスク)を、例えば、図6A〜6Eに示したように使用してもよい。加えて、矩形のトレイ、正方形のトレイ、または他の形状の支持体を使用することもできる。こうした種々のトレイ形状を、ロード工程に干渉し得るシャフト705の接触を伴うことなくローディング位置にまでトレイを回転させるように設計することができる。
システム700を使用する際、シャフト705を時計回りまたは反時計回りに回転させることができる。ある構成では、シャフト705が時計回りに回転すると、次いで支持体710も時計回りに回転する。同様に、シャフト705の上方への移動により、通常、支持体710の上方への移動が生じる。しかしながら、必要に応じて、1つ以上の差動装置、ギアなどが、シャフト705とは逆の移動方向に支持体710が移動するように存在してもよい。例えば、シャフト705が反時計回りに移動すると、結果として支持体710が時計回りに移動することが可能となる。
ある特定の構成では、回転モータ720及び/またはリニアモータ730をステッパーモータとしてそれぞれ構成することができる。ステッパーモータでは、360度の回転が多くのステップに分かれる。移動したステップをカウントすることにより、支持体710がどの程度移動したかを決定することができる。例えば、モータのゼロ位置が支持体710の第1の位置に対応する場合、モータ720は、所望の数のインクリメント分ステッピングして、支持体710を所望の量だけ回転させて所望の位置にすることができる。試料または物品が支持体710の様々な位置に位置付けられている場合、モータは、試料または物品の分析または移動を各位置で可能にするために各位置に順次ステッピングする(またはその他の方法でステッピングする)ことができる。ある場合には、シャフト705は、モータ720及び/またはモータ730と一体化されてもよい。例えば、回転及び直線移動が可能なシャフトを用いて設計された共通のモータアセンブリを使用することができる。ステッパーモータを使用する場合、システム700は較正ルーチンを実行して、「ゼロ」もしくは開始位置、及び/または支持体の様々な位置を通って移動するのに必要とされるステップ数を決定してもよい。ルックアップテーブル(または類似のテーブル)を作成及び使用して、ある位置から第1の位置に隣接していない別の位置にジャンプするのに必要とされるステップ数を提供することができる。例えば、支持体700の隣接位置間を移動するのに10のステップが必要とされる場合、「ゼロ」位置から10箇所の離れた位置に移動するためには、モータに対して約100のステップが必要となる場合がある。開始位置及び新しい位置に到達するためのステップ数を知ることにより、(ローディングゾーンまたはローディング装置に対する)支持体における特定の位置を決定することができる。以下でより詳細に述べるように、ステップ数を利用して支持体の位置を決定することに加えて、エンコーダを支持体と共に使用して、支持体の位置の独立した測定を行ってもよい。
ある特定の構成では、本明細書に記載したオートサンプラまたはオートローディング装置を、TGA測定器以外の測定器と共に、またはTGA測定器と組み合わせて使用することができる。例えば、いくつかのブロック図を図8A〜8Dに示す。図8Aを参照すると、オートサンプラ810をガスクロマトグラフィー(gas chromatography、GC)装置820に結合し、またはそれと共に使用することができる。例えば、ガス状試料のバイアルを含むオートサンプラを、分析用のGC装置820内にロードすることができる。ある例では、TGA法の最中にガスが発生する場合、GC装置820をTGA装置と共に使用してもよい。ガスは、TGAからGC装置820まで試料採取管を通じて供給することができる。オートサンプラ810は、自動的に試料をTGA内にロードし、TGAから取り出してもよい。GC装置820が存在する場合、GC装置は、オーブン内のカラム、及びカラムに流体的に結合された1つ以上の検出器を備えてもよい。例えば、熱伝導度検出器、水素炎イオン化検出器、放電イオン化検出器、触媒燃焼検出器、電子捕獲検出器、窒素リン検出器、赤外線検出器、光イオン化検出器及び熱電子イオン化検出器のうちの1つ以上が、GC装置820内に存在してもよく、またはGC装置820と共に使用されてもよい。図示されてはいないが、GC装置820を、例えば、本明細書に記載したMS装置860などのMS装置に結合してもよい。
他の構成では、オートサンプラ830は、液体クロマトグラフィー(liquid chromatography、LC)装置840(例えば、HPLC)に結合することができる。液体を含むバイアル、管などを、分析用のLC装置840内に個別にロードすることができる。例えば、バイアルを、トレイまたはカルーセルから取り除き、注入器アセンブリと流体結合するように配置して、バイアルからの液体の一部をLC装置840内に抽出させることができる。液体中の成分をカラムに供給して、各成分を分離することができる。各成分がカラムから溶出するにつれて、好適な検出器を用いてそれらを検出することができる。例えば、LC装置840の、またはLC装置840と共に使用される検出器は、紫外線・可視光検出器、フォトダイオードアレイ検出器、光学発光検出器(例えば、蛍光、燐光)、光学散乱検出器、屈折率検出器、電気化学検出器及びHPLC測定器と共に一般的に使用される他の検出器のうちの1つ以上を含んでもよい。図示されてはいないが、LC装置840を、例えば、本明細書に記載したMS装置860などのMS装置に結合してもよい。
更なる構成では、オートサンプラ850を質量分析計(mass spectrometer、MS)装置860と共に使用することができる。ある場合には、MS装置860は、試料導入装置、イオン化装置、質量分析器及び検出装置を備えてもよい。試料導入装置、イオン化装置、質量分析器及び検出装置を、1つ以上の真空ポンプを用いて減圧で作動させてもよい。しかしながら、ある特定の例では、質量分析器及び検出装置のみを減圧で作動させてもよい。試料導入装置は、オートサンプラから試料導入装置内にロードされた(または試料導入装置に流体的に結合された)バイアルまたは物品から試料を受け取るように構成されたインレットシステムを含んでもよく、試料導入装置は、試料をイオン化装置に供給することができる。インレットシステムは、1つ以上のバッチインレット、ダイレクトプローブインレット及び/またはクロマトグラフィーインレットを含んでもよい。試料導入装置は、固体、液体またはガス状試料をイオン化装置に放出し得る注入器、噴霧器または他の好適な装置であってもよい。イオン化装置は、誘導結合プラズマ、容量結合プラズマ、マイクロ波誘導プラズマ、アーク、スパーク、ドリフトイオン装置、気相イオン化(電子イオン化、化学イオン化、脱着化学イオン化、負イオン化学イオン化)を用いた試料のイオン化が可能な装置、電界脱着装置、電界イオン化装置、高速原子衝撃装置、二次イオン質量分析装置、エレクトロスプレーイオン化装置、プローブエレクトロスプレーイオン化装置、ソニックスプレーイオン化装置、大気圧化学イオン化装置、大気圧光イオン化装置、大気圧レーザーイオン化装置、マトリックス支援レーザー脱離イオン化装置、エアロゾルレーザー脱離イオン化装置、表面拡張レーザー脱離イオン化装置、グロー放電、共鳴イオン化、熱イオン化、サーモスプレーイオン化、放射線イオン化、イオン付着イオン化、液体金属イオン装置、レーザーアブレーションエレクトロスプレーイオン化、またはこれらの例示的なイオン化装置のうちの任意の2つ以上の組み合わせであってもよい。質量分析器は、一般に、試料の性質、所望の分解能などに応じた多くの形態をとってもよく、例示的な質量分析器は、所望に応じて1つ以上の衝突セル、反応セルまたは他の構成要素を含むことができる。検出装置は、本開示の利点を前提として、既存の質量分析計と共に使用され得る任意の適切な検出装置(例えば、電子増倍管、ファラデーカップ、コーティング済みの写真乾板、シンチレーション検出器など)及び当業者によって選択される他の好適な装置であってもよい。処理装置が存在してもよい。この処理装置は、通常、MS装置内に導入される試料を分析するためのマイクロプロセッサ及び/またはコンピュータならびに好適なソフトウェアを含む。MS装置内に導入される種の化学的同一性を決定するための処理装置によって1つ以上のデータベースがアクセスされてもよい。
ある特定の実施形態では、MS装置860の質量分析器は、所望の分解能及び導入された試料の性質に応じた多くの形態をとってもよい。ある特定の例では、質量分析器は、スキャン質量分析器、(例えば、単収束及び二重収束MS装置に使用するための)磁気セクタ分析器、四重極質量分析器、イオントラップ分析器(例えば、サイクロトロン、四重極イオントラップ)、飛行時間分析器(例えば、マトリックス支援レーザー脱着イオン化飛行時間分析器)、ならびに異なる質量‐電荷比を有する種を分離し得る他の好適な質量分析器である。ある例では、本明細書に開示されたMS装置は、1つ以上の他の分析技術によって複合化(hyphenated)されてもよい。例えば、MS装置は、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法及び他の好適な分離技術を実現するための装置によって複合化されてもよい。MS装置をガスクロマトグラフに結合するとき、試料をガスクロマトグラフからMS装置内に導入するために好適なインターフェース(例えば、トラップ、ジェットセパレータなど)を含むことが望ましい場合がある。MS装置を液体クロマトグラフに結合するとき、液体クロマトグラフィー及び質量分析法において使用される体積の違いを考慮するために好適なインターフェースを含むことが望ましい場合もある。例えば、液体クロマトグラフを出る少量の試料のみがMS装置内に導入され得るように分割インターフェースが使用されてもよい。液体クロマトグラフから出る試料を好適なワイヤ、カップまたはチャンバ内に堆積させて、MS装置のイオン化装置に移送させるようにしてもよい。ある特定の例では、液体クロマトグラフは、加熱されたキャピラリーを試料が通過するときに試料を蒸発させ、エアロゾル化するように構成されたサーモスプレーを含んでもよい。オートサンプラからMS装置内に液体試料を導入するための他の好適な装置は、本開示の利点を前提として、当業者によって容易に選択される。ある特定の例では、MS装置は、タンデム質量分析法による分析のために互いに複合化することができる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載したオートローディング装置は、縦シャフトに沿って種々のラジアル平面内にそれぞれ位置付けられた2つ以上の支持体を含む積層構造で存在することができる。例えば、2つの異なる支持体は、それら2つの支持体が互いに積層されている場合、縦シャフトにそれぞれ結合することができる。ある場合には、所望の支持体のみがローディング位置にまで回転するように、支持体の1つを回転中にシャフトから分離することができる。2つの積層された支持体の簡単な説明図を図9に示す。支持体910、950はディスクとして図示されているが、これらの支持体は、その代わりに、他の図面に示したようにC型であってもよい。ある実施形態では、支持体910、950の一方の所望の位置をある位置にまで回転させて、その位置の試料を別の装置内にロードすることができる。支持体910、950のうちの隣接する一方の試料をロードすることが望ましい場合、リニアモータ930は、支持体910、950を上または下に移動させて、隣接する支持体の試料をロードすることができる。支持体910、950のそれぞれは、それぞれのカプラ912、952を介してシャフト905に結合することができる。回転モータ920をシャフト905に結合してシャフトを所望の数のステップ分回転させることにより、支持体910、950のうちの一方の適切な場所をローディング位置に位置付けることができる。図9には2つの支持体が示されているが、3つより多い支持体(例えば、5〜20個の異なる支持体)をシャフト905に結合することができる。
他の場合には、オートローダの縦シャフトを、別個のローディングトレイまたはスタックと共に使用することができる。例えば、複数の段または床を含むアクセサリ装置が、縦シャフトから1つずつ分離することが可能な種々の支持体を収容してもよい。モータまたはアームは、特定の支持体を縦シャフトの位置へと「プラグ接続」して、その支持体内の試料を、システムを用いて分析することが可能となるように設計することができる。ある例では、アクセサリ装置は、5以上の段、より具体的には、10以上の段、または15より多い段をも含んでもよく、各段は、ある期間の間支持体を収容するように構成されている。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載したオートローダと共に使用される実際のシステムまたは装置は様々とすることができる。例えば、ある場合には、オートローダが、化学または医療計測機器以外のシステムと共に使用されてもよい。1つより多い装置がインターフェースまたはローディング場所にロードされ、アンロードされ得る任意のシステムにおいて、望ましくはオートローダを使用することができる。ある構成では、オートローダを使用して、複数のメモリユニットのうちの1つを別の装置またはシステムに結合することができる。ある場合には、オートローダ支持体は、ソリッドステートドライブ、光ディスクまたはハードディスクなどの各メモリユニットを特定の位置に保持してもよい。システムが特定のメモリユニットから情報にアクセスする必要がある場合、オートローダトレイは、その特定のメモリユニットを含む特定の位置まで回転してもよく、メモリユニットとの間での情報の読み出し及び/または書き込みを可能にするためにメモリユニットを装置(例えば、USBインターフェース、SATAインターフェース、PCIインターフェースなど)と電気的に結合することができる。異なるメモリユニットが読み出されることが望ましいとき、システムは、第1のメモリユニットをアンロードし、支持体を再配置することにより、その異なるメモリユニットをローディング位置の下に位置付けて、その異なるメモリユニットをロードすることができる。回転オートローダに複数のメモリユニットを位置付けることにより、それらのメモリユニットとの間で情報を簡単に記憶し、読み込むことが実現可能である。
他の実施形態では、オートローダは、各場所で複数の異なる物品を受け取るように設計されてもよい。例えば、荷物、郵便物などをオートローダトレイのそれぞれの場所にロードしてもよい。例えば、仕分けのために、特定の荷物または郵便物の品物を移す必要があるとき、トレイを、ローディング位置まで回転させてもよく、ローディング装置は、荷物または郵便物を特定の場所から抜き取り、それを別の装置上に配置してもよい。支持体上の全ての品物が適切に仕分けられるまで、この工程を繰り返してもよい。次いでオートローダトレイを、再ロードし、再利用することができる。
他の実施形態では、オートローダを使用して、異なる最終部品を提供するために共に使用される個別部品を収容することができる。例えば、各電気部品が、オートローダトレイの別々の場所に存在することができ、それらを順次移し、使用して、最終的に組み立てられた電気装置(例えば、プリント回路基板、モバイル装置または他の電気装置)を提供することができる。ある実施形態では、生成組成物または食品材料において使用される種々の成分がオートローダのそれぞれの場所に存在してもよい。種々の成分を(トレイ内のそれらの位置を知ることによって)選択し、次いで所望の順序及び/または所望の量で混合物に添加して、最終組成物を提供することができる。他の構成では、より大きい荷物の一部である種々の構成要素がオートローダトレイの各場所に存在してもよい。各構成要素をそれぞれの場所から移し、所望の順序及び/または数量で包装してより大きい荷物にしてもよい。特定の場所を有するオートローダ及び/またはオートローディングトレイを使用可能な更なるシステムが、本開示の利点を前提として、当業者によって認識されよう。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載したオートローダをエンコーダと共に使用して、支持体の絶対位置を決定するために単独の装置及び手法を提供することができる。例示的なエンコーダは、例えば、同一出願人により2015年5月2日に出願され、代理人整理番号第PKI−705801号を有する、米国仮出願第62/156,252号に記載されており、それらの開示は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に参照によって組み込まれる。オートローダトレイと共に使用可能なある特定のエンコーダ及びコード化手法について以下でより詳細に記載する。エンコーダは、支持体を縦シャフトに結合し、オートローダトレイの上または下に位置付けることが可能な方法と同様にして縦シャフトに結合することができる。例えば図10を参照すると、オートローダは、2つ以上の試料を受け取るように構成された支持体1010、及び支持体の下に位置付けられたエンコーダ1050(ただし、このエンコーダは、必要に応じて支持体1010の上に位置付けられてもよい)を備える。支持体1010及びエンコーダ1050のそれぞれは、好適なカプラ(例えば、カプラ1012)または複数のカプラを介してシャフト1005に結合することができる。本明細書で述べたように、エンコーダ1050は、識別可能な複数の特徴または要素を含んでもよく、それらの長さを読み取ってその特徴のサブセットに対して特定のコードを決定することができる。オートローダ支持体1010上の特定の場所に対するエンコーダ1050のサブセットの空間的な関係により、エンコーダ1050を使用して支持体1010の絶対位置を検証することが可能である。例えば、支持体1010の場所を位置付けるために、選択された数のステップ分シャフト1005を回転させた場合、その場所の下にあるエンコーダ1050上のコードを読み取って、支持体1010の場所が適正な位置にあるという独立した検証を行うことができる。モータ1020が誤った量でステッピングした場合、エンコーダ1050を使用してその位置を検証し、その場所の位置を好適な位置に調整することができる。リニアモータ1030は、支持体1010及びエンコーダ1050を上または下に同等量移動させるように構成されている。図10に示した表現は、エンコーダ1050及び支持体1010が同じ回転方向に(例えば、時計回りまたは反時計回りに)移動することを企図しているが、その代わりに、必要に応じて、例えば、好適なギアまたは他の運動カプラ(movement coupler)を用いて、それらが相反する方向に回転してもよい。
ある特定の構成では、エンコーダ支持体内に、またはその上に配列された識別可能な要素を含むエンコーダを使用して、オートローダ支持体の特定の位置に関する空間情報を提供するコードを提供してもよい。このコードを使用して、決定されたコードと関連付けられた装置または支持体の絶対位置を決定することができる。例えば、エンコーダは、エンコーダの区域またはセクタ内の各コードが、エンコーダと共に使用されるオートローダ支持体の1つの位置に対応するように設計することができる。エンコーダの任意の位置のコードを読み取ることにより、エンコーダと共に使用されるオートローダの正確な位置が得られる。コードの読み取りにより、位置の決定中にシステムを較正する必要も「ゼロ」または開始位置に戻る必要もなく、オートローダ支持体の位置を決定することも可能となる。
ある特定の構成では、支持体内に配列された識別可能な要素を含むエンコーダを使用してコードを提供してもよい。識別可能な要素または識別可能な特徴という用語は、通常、支持体上の2つ以上の構成要素(または、支持体上の1つの構成要素及び支持体自体の構成要素)を指し、これらの構成要素は、好適なセンサまたは信号を用いて互いに識別することができる。例えば、ある構成では、一方の識別可能な要素は、不透明であってもよく、例えば、センサ信号を遮断することができ、他方の要素は、透明とすることができ、例えば、センサ信号を通過させてもよい。ある場合には、識別可能な特徴は、「奇数」または「偶数」とラベル付けされてもよい。ある構成では、奇数コードは、不透明な要素(例えば、センサ信号を遮断することが可能なノッチ、マーク、ラインまたは別の要素)から始まるコードであり、偶数コードは、透明な要素(例えば、検出のためにセンサ信号を通過させることが可能な支持体の「ギャップ」)から始まる。ある場合には、奇数/偶数は、通常は「ノッチ」から始まる「配列された複数の要素」の全て(系列全体)における各要素のインデックス番号)を指す。識別可能な特徴または要素を使用して、所望のコードを提供することができる。例えば、要素のサイズまたは長さが、コードを提供するために、特徴の特定のサブセットを通じて測定及び/または識別されてもよい。これらの長さの値は、複数桁のコードとすることができる。2つの異なる長さ(Ns=2)を識別することができる場合、それらの桁はビットとみなされてもよく、コード語は2進数とみなされてもよい。より多くの長さの値を有する実施態様の場合(Ns=q;q>2)、桁は基部qを有し、コード語はq元(q−ary)数(例えば、Ns=3の場合には3進数)である。コードブロックサイズ(Nc)は、まとめると単一のコードを形成する桁(=要素)の数である。個別コードの数(及びそれと共にシステムの分解能)は、コードブロックサイズの増加と共に増加する。以下でより詳細に記載するように、コードを使用して、決定されたコードと関連付けられた装置または支持体の位置を決定することができる。例えば、エンコーダは、エンコーダの区域またはセクタ内の各コードが、エンコーダと共に使用される装置の位置に対応するように設計することができる。エンコーダの任意の位置のコードを読み取ることにより、エンコーダと共に使用される装置の正確な位置が得られる。コードの読み取りにより、位置の決定中に装置を較正する必要も「ゼロ」または開始位置に戻る必要もなく、装置の位置を決定することも可能となる。
ある場合には、エンコーダは、支持体上に存在する様々な長さの識別可能な要素のアレイを含む。識別可能な要素は、エンコーダ支持体に配置された、またはそれと一体化された構成要素として、またはエンコーダ支持体自体の一部として存在してもよい。例えば、材料を、その材料の間に間隔を設けて支持体上に配置することにより、ある特定の長さの定義されたパターンを形成することができ、例えば、その場合、配置された材料及び/またはその間の任意のギャップにより、各要素がある特定の長さをそれぞれ含むパターンが形成される。識別可能な要素の様々な長さを利用して、識別可能な要素のアレイのサブセットに対してコードを生成することができる。ある場合には、1つ、2つまたは3つの異なる識別可能な要素がエンコーダ支持体上に存在してもよい。ある特定の構成では、アレイの各サブセットは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの識別可能な要素を含むことにより、対応するコード番号を提供してもよい。例えば、7つの識別可能な要素がサブセット内に存在する場合、7桁の数がコードとして提供される。ある場合には、識別可能な要素は、ラインもしくはノッチ及び/またはギャップとして構成することができる。本明細書で述べたように、ラインまたはノッチは、センサによる信号の受信を実質的に遮断するのに対し、ギャップは、センサによる信号の受信を可能にする。センサが直線方向にスキャンし、ノッチ及びギャップを読み取るとき、読み取られたノッチ及びギャップの長さを利用することにより、1つ以上のコード化手法を用いてサブセットのコードを決定することができる。エンコーダの選択された区域内では、その区域内で各サブセットに対して一意のコードを提供するためにノッチ及びギャップの長さ及び配列を様々にすることができる。
ある特定の例では、高さが等しい正方形のノッチのアレイを考慮することによってコード化を実行してもよく、各ノッチには、ノッチを次のノッチから離すギャップ(アレイ内の最終要素である最後のギャップを除く)が続く。ノッチ及びギャップの長さは、同じ離散集合の値に制限することができる。
全ての長さは、最小のノッチ/ギャップの長さの倍数とすることができる。アレイ内の要素であるノッチ及びギャップの総数がNeによって示される場合、アレイの全長は以下で与えられる。
ノッチとギャップが対をなしているため、Neは必然的に偶数となる。一例を図11に提示する。ここで、アレイは、その境界を越えて周期的に繰り返されている。この例では、2つの連続した要素からなる8つの一意のブロックがパターン内に存在する。2要素のブロック及びNs=2の場合、これが最適解である。図12に示すように、全ての可能な2要素のコードが表される。周期的に定義されている場合、コードの数はアレイ要素の数Neに等しい。一般に、個別要素のサイズをNsとして、長さNcのコード(単一のコードブロックまたは語を形成するNc個の連続した要素)を考慮する場合、可能な一意のコードの数は、コード数=2×Ns Ncによって与えられる。従って、Nc個の要素のあらゆるサブセットが一意のコードを構成する周期的なアレイの全要素数Neの理論的上限は、可能なコードの数に等しい。
この場合、全ての可能なコードがアレイに表されており、従って、どの具体的なノッチ/ギャップのサイズに対しても優先されないため、全てのサイズが等しい量で現れる。これにより、アレイ内の基本単位の合計数の計算が可能となる(基本単位は、アレイ内の最小要素のサイズ、すなわち、システムの機械的分解能として定義される)。
ここで、2種類の分解能を定義することができる。これらの分解能は、インクリメンタル及びアブソリュート(それぞれ、ノッチ/ギャップの長さ及びコード語の長さ)と称される場合がある。合計アレイ長Wと比較して測定すると、それらは以下のようになる。
平均分解能は、平均化された要素サイズに基づき、ワーストケース分解能は、アレイ内の最大の要素サイズに基づく。いくつかの基本的な組み合わせ{Ns、Nc}が図13の表において考察されている。全ての分解能はワーストケースである。
方程式(3)により、所与の組み合わせ{Ns、Nc}に対する可能なコードの量が得られる。連続したコードは常にそれらの桁の大半(最も外側のもの以外の全て)を共有しているため、この最大量(またはいくらかより少ない数)の一意のコードを含む要素の周期的アレイを構成すること、またはその存在を証明することさえも決して容易ではない。ある特定の例では、理論の主要部分は、アルファベットk(Nsに対応する)の個別シンボルに対する巡回系列の存在及び生成に関して存在する。この場合、所与のサイズn(Ncに対応する)のあらゆる(連続した)系列は一意である。以下、特定の関連性に対する2つの既存のアプローチについて考える。
最大長系列(maximum length sequence、MLS)またはm系列は、長さが2n−1のk=2の2進系列であるが、これは実際には必ずしも「最大長」ではない。というのも、可能な長さのコードの数が2nであるためである。参考文献2を参照のこと。ミッシングコードは、常に10進数の0(2進表現で全て0)である。参考文献3を参照のこと。MLSは線形帰還シフトレジスタ(Linear Feedback Shift Register、LFSR)で生成することができる。このレジスタは、コードビットのサブセットに線形変換を繰り返し適用して隣接コードの追加ビットを生成する。どの変換でもある長さの閉路が必然的に得られるが、特別な種類の線形変換では、結果として得られる閉路が「最大」となる。n=3の場合のMLSを図14の表に示す。
サイズnの全ての(kn)個の可能な系列からなる任意の系列は、これらの系列の理論を(共同)開発したNicolaas Govert de Bruijnにちなみ、デブルーイン(De Bruijn)系列と呼ばれる。参考文献1及び参考文献2を参照のこと。デブルーイン系列は、膨大な数の全ての(k,n)に対して存在し、個別のデブルーイン系列の数は以下のようになる。
デブルーイン系列の構築は、デブルーイングラフ(サイズがn−1のkn−1個の可能なコードのそれぞれについてのノードを含む有向グラフ)を準備することによって行うことができる。各ノードからは、k個の辺が、右端の位置の全てのk個の可能な選択肢を求めて、ルートノードの1つの位置分の左シフトに対応した各ノードに出発する。辺は、その宛先ノードの右端の位置の値によってマークされる。次に、デブルーイン系列B(k,n)を、グラフを通じてオイラー閉路を辿ることによって構築することができる。このオイラー閉路は、各辺に付加されたシンボルを拾いつつ全てのkn個の辺を正確に一度訪問する。あるいは、全てのノードを正確に一度訪問するハミルトニアン閉路を辿ることにより、B(k,n−1)デブルーイン系列をこのグラフから構築ことができる。あらゆるノードが偶数個の辺(2k)を有するため、オイラー閉路は、存在することが保証されており、いくつかの利用可能なアルゴリズムのうちの1つによってこの終端まで容易に構築することができる。B(2,3)系列の例を図15A及び15Bに示す。ここで、図15Bのデブルーイン系列(k=2、n=3の場合)は01011100である。
本明細書で述べたように、デブルーイン系列を使用して、アレイの識別可能な要素の(所与の長さの)全てのサブセットに一意のコードを割り当てることができる。他のシステムのコード単位は、離散的な等距離の位置(ノッチ/ギャップの値を表す)に対応するのに対し、本明細書のコード化方法で使用されるコード単位は要素のサイズを表し、ノッチ/ギャップの属性は、系列内の(奇数/偶数の)単位インデックスに由来する。その結果、本明細書に記載した手法は、原則として、あらゆるq元アルファベットを基にすることが可能である。本明細書に記載したコード化システムでは、連続するノッチ(111...)またはギャップ(000...)の位置の最大数がk(コードサイズとは独立である)を超える可能性は決してない。それに対し、位置のコード化に基づくシステムでは、この最大数がn(コードサイズ)によってのみ束縛され、単位長の分解能を維持するためにはコードサイズの増加と共に検出機構を拡張する必要がある。差異を強調するために、例示的な説明のための比較を図16に示す。ノッチ及びギャップの配列が同様である場合、位置のコード化を行うシステムの方が複雑になる。
ある特定の実施形態では、上述したコード生成方法を、長さのコード化による単一トラック絶対位置決定(single track absolute positioning、STAPLE)によって使用される循環アレイ(内の物理要素)に直接適用することが可能であろう。しかし、それらの桁の「色(color)」に関わりなく、ノッチとギャップを区別することも全てのコードが異なる必要もない場合には、その適用が部分最適となり得る。実際上、これは、50%の効率低下(方程式(3)の係数2を失う)に帰着する。
このアプローチを改善するため、コードを2つの混交したサブセット、すなわち、各コードの開始インデックスを指す「奇数」コードと「偶数」コードに分割することができる。同じサブセット内の全てのコードは一意にすることができる。例えば、サブセット内の全てのコードは一意であるが、サブセット間で重複コードは許容される。その理由としては、重複コードは、その主要な要素(ノッチまたはギャップ)の「色」に基づいて識別することができるためである。デブルーイン系列が標準的なコード化問題に対する最適解となり得るため、(奇数及び偶数のサブセットに対する)長さが等しい2つの混交したデブルーイン系列は、それらが存在するとすれば、「奇数」及び「偶数」のコードのサブセットを有するシステムのコード化の課題に対する解決策となるであろう。
例えば、全てのデブルーイングラフに共通である「00...00」及び「11...11」の各1閉路により、一対の混交したデブルーイン系列を常に構築することができる。これらの閉路は、図17に示すように、グラフ上の「奇数」と「偶数」の道を接続するヒンジとして機能することができる(この場合、パネルBの混交したデブルーイン系列(k=2、n−3)は0010111001011100と決定される)。全ての組み合わせ(k、n)について、提案されたモデルに適合するknの2倍の長さの混交したデブルーイン系列を生成することが可能である。
ある特定の場合では、デブルーイン系列は、実際にはコード化の最適な解決策とはなり得ない。というのも、デブルーイン系列は、系列長を選択する余地がないためである。過去数十年にわたり、任意の長さを有する「単一トラック」のコードに関する話題が注目をいくらか集めてきた。参考文献6〜8を参照のこと。しかしながら、この問題に対する一般的な最適化された解決策は(未だに)見出されていない。以下の条件が満たされる場合、(最大ではない)長さLの系列に対する解決策が最適であるとみなされ得る。
この条件が実現されない場合、L個の一意のコードを生成するためにはより小さいコードブロックサイズで十分となる。それでも、所与のk及びLについて、最適な系列が存在するという保証はないが、小さい例示的な値について容易に検証することができる。
長さLの最適な系列を構築するという問題への1つのアプローチは、(混交した)デブルーイングラフから開始し、kn−Lの組み合わせた長さを有する一組の閉ループを切り取ることである。任意の所与の長さを有する閉路が、(nが十分大きい場合に)デブルーイン系列において生じる可能性が非常に高い。個別のデブルーイン系列の数が非常に大きいため、方程式(6)によれば、所望の(組み合わせた)ループ長を有する系列(ただし、nはあまり小さくないものとする)を見出すことは決して難し過ぎることではない。
この方法を例示するため、一例を図18に表示する。ここでは、混交したデブルーイングラフの両枝から2つの閉路が切り取られて、(最大長16ではなく)長さ12を有する混交した短縮型(truncated)デブルーイン系列が得られる。パネルAからの混交した系列は0010111001011100であるのに対し、パネルBからの混交した短縮型系列は001110011100である(この場合、パネルAとBの両方についてk=2、n=3である)。
ある特定の実施形態では、エンコーダの特定のコードが、関連する支持体または他の装置の位置に対応する場合、デブルーイン系列による手法を、シャフトのコード化または任意のコード化に適用することができる。例えば、1つのコードが可動支持体上の1つの位置に対応する場合、そのコードの検出は、可動支持体上の絶対位置を提供することができる。この構成により、ゼロ位置に戻る必要も位置検出毎に較正ルーチンを実行する必要もなく、(エンコーダ上のコード検出によって)可動支持体上の任意の位置の検出が可能となる。
上記のように定義されたアレイは(重なった)一意のコードブロックの系列からなるため、各コードとアレイ内のその位置との間には1対1の関係が存在する。ノッチ及びギャップのアレイが物理的に製造された場合、絶対位置を決定するにはいずれか1つのコードブロックを検出すれば十分である。この原理は、直線位置のコード化または回転位置のコード化(シャフトのコード化)に容易に適している。各種コード化の原理については参考文献4〜12を参照のこと。
回転位置のコード化の場合、エンコーダアレイを円形ディスク上に実装することができ、それによってその周期性が効率的に得られる。次いで、実際の位置決定を、例えば、ディスク上の識別可能な特徴(例えば、ノッチ、ライン及び/もしくはギャップ)の光学的検出によって、または、例えば、ノッチもしくはラインが磁気材料もしくは常磁性材料で構成されている場合には磁気センサを用いてノッチもしくはラインをギャップから識別することが可能な他の任意の手段によって行ってもよい。本明細書で言及した理論的な差異に加えて、既存のシステムとは別にSTAPLEを設定するある特定の属性が存在する。既存のシステムはサイズ(長さ)ではなく位置をコード化するため、同じ「色」のコードビットは、コードサイズとサイズが等しい連続ブロックを形成し得る。従って、単一のセンサを用いてコードを読み取ることは、これらのシステムにおいてほとんど効果がない(または不可能である)。というのも、ワーストケースの(インクリメンタル)分解能がコードサイズに比例するためである。そのため、既存の手法を用いた単一トラックコード系列で機能しているシステムは、通常、単一のセンサではなくセンサのアレイを必要とする。このアプローチにより、ユーザーが初期動作を実行する必要なく絶対位置を常時知ることが可能となり得るが、これには、コードビット間の遷移範囲において読み取りが不明確になるという重大な欠点がある。この欠点は、単一トラックグレイコードを適用することによって打ち消すことができる(実際にそうである)。しかし、これは相当煩雑な手順であり、検出器を空間的に大きく分離する必要があるため、技術的実施態様に高い要求が課される。
本明細書で述べたように、STAPLEが機能しているため、これを単一のセンサまたは単一の検出器のみと共に使用することができる。STAPLEの使用により、システムの簡略化、低コスト化が可能となり、故障しやすい部品をより少なくして使用することが可能となる。コードブロックサイズに対応する大きさの初期動作を使用して絶対位置を取得することができるが、インクリメンタル分解能はコードサイズに応じて変わらない。第1の検出器からわずかな距離に検出器を追加することにより、インクリメンタル分解能とアブソリュート分解能の両方を更に向上させることができる(それによって遷移問題を回避する)。
モデルの主要パラメータであるNs及びNcの選択は、適用例の詳細内容によって決定され、その際、所望の位置精度を機械的要件及び検出限界と比較検討する。物理パラメータへの変換は、系列が最大長の場合、方程式(3)、(4)及び(5)によって実行することができる。基本単位サイズは、システムの機械的分解能とみなすことができる(Rはディスク半径である)。
具体的な適用例では、方程式(4)から得られたNuは、プロジェクトの寸法に従って、1度の基本単位サイズに到達するように使いやすい値(例えば、360)まで縮小させることができる。その後、対応する、組み合わせた長さを有する混交した短縮型デブルーイン系列Ne=360・[2/(Ns+1)]を構成することができる。
ある特定の実施形態において、Nu=360及びNs=2の場合の具体的な実施態様を、図19を参照して記載する。方程式(3)及び(4)によれば、最小の準拠コードサイズがNc=7として、対応する要素数はNe=240である。長さ120の混交した短縮型デブルーイン系列が2つ使用され、これらは、長さ128(27)のデブルーイン系列に由来する。この系列は、合計の長さが8である一組の閉路を切り取ることによって120まで短縮させることができる。デブルーイン系列の数には非常に広い選択の余地があるため、以下のことを含む、いくつかの更なる制約が課される場合がある。すなわち、(a)第1の(奇数)コードが10進数0となること、及び(b)系列が、240/sの要素(120/sのノッチ及び120/sのギャップ)でそれぞれ構成されたsセクタに分割可能であり、その場合、セクタの全てが360/sの等しい長さを有する、ことである。s=10の場合の解決策の一部を図19に表示する。
ノッチは黒いラインまたはブロックとして図19に示されており、ギャップはラインまたはブロック間の開いた空間として示されている。例えば、図20A〜20Cを参照すると、コードブロックは、7ビット2進数(0がサイズ1に対応し、1がサイズ2に対応する)によって便宜上表すことができる。「奇数」コードでは外側のビットがノッチを表し、「偶数」コードでは外側のビットがギャップを表す。
Ne=240、Ns=2及びNc=7の場合の完全なSTAPLEコードを図21〜23に示す。ここで、図22及び23は図21の拡大領域を表す。ノッチ及びギャップの長さを利用して各種ブロックをコード化することにより、最初の開始位置に逆戻りすることもセンサのアレイを使用することもなく、エンコーダと関連した装置の正確な位置を決定することができ、例えば、単一のセンサを使用して、コードを読み取り、関連する装置の正確な位置を決定することができる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載した各種の識別可能な特徴(例えば、ライン、ノッチ及びギャップ)を支持体上に直線的に配列して、エンコーダに直線的な読み取りを行わせることができる。他の場合には、エンコーダの回転及び回転中のコードの読み取りを可能にするようにノッチ及びギャップを配列してもよい。ある場合には、エンコーダの直線動作または回転動作によっても、エンコーダと関連した装置が対応して移動することになる。単純化した説明図を図24に示す。この図には、エンコーダ2420の上に位置付けられた支持体2410が含まれる。エンコーダが左から右に移動するにつれて識別可能な特徴の長さを読み取ることができるセンサ2430が図示されている。エンコーダ2420は、連結器もしくはアーム2425を介して支持体2410に直接結合することができ、または、エンコーダ2420の移動とほぼ同じ量で支持体2410を移動させる他の手段(例えば、水平方向のシャフト、ベルト、アクチュエータなど)によって結合することができる。ある実施形態では、支持体2410とエンコーダ2420は、同じ方向に移動してもよいのに対し、他の場合には、支持体2410とエンコーダ2420は、(例えば、ギア、または他の好適な装置を使用することによって)相反する方向に移動してもよい。センサ2430は、エンコーダ2430上の特徴(図示せず)を読み取ってコードを決定することができる。決定されたコードを使用して、支持体2410の正確な位置を決定することができる。エンコーダ2420が支持体2410の下に位置付けられているものとして示されているが、支持体2410は、その代わりにエンコーダ2410の下にあってもよい。
ある特定の例では、支持体2410及びその使用の実際の役割は様々とすることができる。ある場合には、支持体を使用して荷物を受け取り、その荷物を、当該荷物を仕分け、または移すための所望の位置まで運搬することができる。特定の荷物が特定のコードと関連付けられていることを(支持体上の荷物の位置によって)知ることにより、荷物の特定の位置を正確に決定することができる。他の場合には、支持体は、ピックアンドプレース装置(例えば、プリント回路基板またはプリント回路基板を含む部品を作製するために使用されるピックアンドプレース装置)を用いて移すことができる1つ以上の電気部品を受け取るように構成されてもよい。支持体上の場所に部品を配置し、関連するコードを読み取ることにより、ピックアンドプレース装置は、その部品の正確な位置を常に決定することができる。他の場合には、支持体は、測定器に使用して試料のロード及びアンロードを可能にするように構成することができ、例えば、本明細書に記載したようにオートサンプラトレイとして構成することができる。
ある特定の実施形態では、複数の物品がある場所から別の場所に移動すること(及び必要に応じて物品を仕分けること)を可能にするコンベアベルトシステムまたは類似のシステムに関連して、本明細書に記載したエンコーダを使用することができる。コンベアベルト上の特定の位置と空間的に関連付けられたエンコーダのサブセットにより、どの場合でもコンベアベルトの絶対位置を、関連するコードを読み取ることによって決定することができる。荷物が第2のベルトまたはシステムへと仕分けされる場合、その荷物と関連付けられたコードを、第2のベルトまたはシステムと空間的に関連付けられた第2のエンコーダ上に存在するエンコーダ上の新しいコードに更新することができる。
支持体の回転運動が望まれる場合、支持体及びエンコーダを、完全なディスクまたは部分的なディスク(例えば、一端が開いている半円または部分的な円)としてそれぞれ構築してもよい。識別のための特徴は、支持体ディスクの下のエンコーダ上に存在することができる。その特徴により、システムは、支持体ディスクの特定の場所を常に決定することが可能となる。例えば、支持体ディスク及びエンコーダのそれぞれをステッパーモータに結合することができる。ある特定の数のステップをモータに与えることにより、所望の位置における支持体ディスクの位置決定が行われるはずであるが、異常な位置決定につながる誤りが発生することが多い。エンコーダから特定の位置のコードを読み取ることにより、ステッパーモータが支持体ディスクを適切な場所に移動させたことを確認するためにフィードバックが与えられる。エンコーダを使用しない場合、支持体ディスクの誤った移動により、更なる分析のために支持体を使用可能とする前に再較正及び/または支持体ディスクを「ゼロ」位置に戻すことが必要となることが多い。
ある特定の場合には、支持体は、識別可能な特徴のサブセットをそれぞれが含む2つ以上のレーンを含んでもよい。例えば、図25を参照すると、直線板エンコーダの平面図が第1のレーン2510及び第2のレーン2520を用いて示されている。レーン2510、2520のそれぞれは、コードを提供するために読み取り可能なノッチ及びギャップを含む。例えば、エンコーダ2500の上または下に位置付けられている関連する支持体装置が存在する場合、エンコーダ2500の適切なコードを読み取ることによって支持体装置のそれぞれのレーンの位置を決定することができる。これにより、試料、荷物、物品などを、支持体装置上のそれぞれのレーンに並べてロードして、位置決定が可能な支持体の範囲を更に広げることが可能となる。ある場合には、光センサ、磁気センサなどを複数レーンエンコーダ2500と共に使用することができる。他の場合には、円形ディスク(例えば、図19のディスク)として構成されたエンコーダは、複数のレーン(例えば、ディスクの外縁上の1つのレーン、及び円の中心に向かって展開する1つ以上の追加レーン)を同様に含むことができる。それぞれのレーンの識別可能な要素が、異なるパターンで配列され、及び異なる長さを有するものとして図25に示されているが、必要に応じて、類似のコードがエンコーダのそれぞれのレーンに存在してもよい。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載したエンコーダを、過酷な環境に耐えることができる金属板(アルミニウム板もしくは他の金属板)、セラミック板または他の材料を用いて作製することができる。例えば、エンコーダは、高温環境(例えば、摂氏100℃超、摂氏200℃超または摂氏300℃超)で使用することができ、それでもコードの読み取り及び関連する支持体の位置決定が可能である。ある実施形態では、識別可能な要素または特徴の熱膨張効果を、適切なコードがエンコーダの各サブセットに依然として存在することを保証するために考慮に入れることが可能である。ある場合には、エンコーダは、各種の加工作業(例えば、マイクロチップの製造)に利用され得る腐食性の環境、酸性の環境または他の環境でエンコーダが使用されることを可能にするために好適な材料を含んでもよい。
ある特定の例では、エンコーダ上に存在する識別可能な特徴の実際の長さは様々とすることができる。より短い長さを利用すると、場合によっては、特徴の分解能をより高くし、及び/または特徴のサブセットをより多くすることが可能であるが、多くの適用例では非常に高い分解能が必要とならない場合がある。ある構成では、ノッチ及び/またはギャップは、約0.1mm〜3mm、より具体的には、約0.5mm〜約2mm(例えば、約0.9mm〜約1.8mm)の長さを個別に有してもよい。本明細書で述べたように、ノッチ及びギャップの長さを利用して、所望の数のノッチ及びギャップを含むサブセットの特定のコードを決定することができる。
ある例では、エンコーダは、センサ信号を遮断する特徴及び/またはセンサ信号を通過させる特徴を作ることが可能な機械加工、堆積、スクライビング、レーザーエッチング、化学エッチングまたは他の工程の利用によって作製されてもよい。本明細書に記載したエンコーダを用いて単一のセンサを使用できることにより、エンコーダの構成が簡単になり、コストをより低下させても好適な分解能を依然として維持するエンコーダの使用が可能となる。
ある特定の適用例では、本明細書に記載したエンコーダは、熱分析、熱重量分析、クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、光吸収、光伝送、質量分析、原子化源を含む測定器、イオン化源を含む測定器、炎を含む測定器、プラズマを含む測定器及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を実現するように構成された測定器内で使用することができる。ある例では、これらの測定器はいずれも、複数の異なる位置を有する(本明細書で述べた)オートサンプラトレイを備えてもよい。エンコーダを使用してオートサンプラトレイの絶対位置を常に決定することにより、これらの測定器の全体精度が向上する。
他の用途では、本明細書に記載したエンコーダを使用して、直線的または回転的にある場所から別の場所に移動することが多い流体容器、自動車、自動車部品、マイクロプロセッサ部品、電気部品、荷物または他の物品及び装置の位置を決定することができる。
別の構成では、本明細書に記載したエンコーダは、支持体上の複数の配列された識別可能な要素を含むディスクの形態をとってもよい。その場合、識別可能な要素は、支持体上の複数の配列された識別可能な特徴のサブセットに対して生成されたコードに基づいて離散的位置を識別するために検出し、使用することができ、配列された識別可能な要素のそれぞれは、定義された個別の長さを有し、その長さは、コードを生成するために利用される。ある場合には、エンコーダに結合された、またはエンコーダと空間的に関連付けられた支持体装置の離散的位置を決定するために装置が使用される。例えば、選択された位置は、オートサンプラトレイの特定の試料保持位置である。ある例では、コードを分割して、本明細書で述べたように2つの混交したサブセットにすることができる。例えば、2つの混交したサブセットのうちの一方は奇数サブセットであり、2つの混交したサブセットのうちの他方は偶数サブセットである。ある場合には、奇数サブセットに対して生成される各コードは一意のコードである。他の場合には、偶数のサブセットに対して生成されるコードは、奇数サブセットに対して生成されるコードと重複している。更なる例では、サブセットに対して生成されるコードは、デブルーイン系列を用いて生成される。他の例では、サブセットに対して生成されるコードは、2つの混交したデブルーイン系列を用いて生成される。更なる構成では、2つの混交したデブルーイン系列は等しい長さである。ある実施形態では、サブセットに対して生成されるコードは、混交したデブルーイングラフを用いて、及び組み合わせた長さを有する一組の閉ループを取り除くことによって生成される。ある構成では、識別可能な特徴はライン及びギャップであり、コードは、支持体上のライン及びギャップの長さに基づいて割り当てられる。他の構成では、ラインは、光学信号を遮断するように構成されており、ギャップは、光学信号の通過を可能にするように構成されている。ある実施形態では、光学信号が遮断され、通過する時間の長さを利用してサブセットのコードを決定する。ある特定の例では、(通過する、または遮断される)光学信号の第1の長さをコードで0と定義し、光学信号の第1の長さより長い、(通過する、または遮断される)光学信号の第2の長さをコードで1と定義する。ある実施形態では、装置は、支持体上の識別可能な特徴を検出することによってコードを読み取るように構成された単一の検出器を備えてもよい。例えば、識別可能な特徴のサブセットを提供するために、定義されたパターンで支持体上にライン及びギャップが存在する。ある特定の場合には、単一の検出器は、特徴の区別が可能な光学検出器、磁気検出器または他の検出器である。例えば、光学検出器は、ギャップが検出器に隣接して位置付けられたときには光を受光するように構成され、ラインが検出器に隣接して位置付けられたときには光を受光しないように構成された光学カプラまたは検出器を含んでもよい。ある例では、支持体は、金属板、金属合金板、プラスチック板、ガラス板、セラミック板、線状支持体、C型支持体、または金属、金属合金、プラスチック、ガラス、セラミック、剛性もしくは可撓性材料を含む支持体として構成されている。
ある特定の例では、本明細書に記載した手法を使用してコードを割り当てることができる。例えば、コードは、支持体のサブセットに存在する識別可能な特徴の長さに基づいて割り当てることができる。ある場合には、サブセットに存在する各識別可能な特徴の長さが検出され、識別可能な特徴の長さに基づくコード(例えば、3桁コード、5桁コードまたは7桁コード)に割り当てられる。ある特定の構成では、異なる配列の識別可能な特徴を有する支持体の区域の各サブセットは、支持体の区域内に存在する各サブセットに一意のコードを提供するために。他の場合には、支持体の異なる区域のサブセットは、例えば、単一のエンコーダの異なるサブセットに同一のコードが存在するように、区域内に存在するサブセットと同一のコードを用いて構成することができる。ある例では、支持体上に存在する各サブセットは、支持体上に存在する各サブセットに一意のコードを提供するために、異なる配列の識別可能な特徴を用いて構成されてもよく、例えば、単一のエンコーダ上に存在する各コードは一意のコードである。ある特定の例では、識別可能な特徴は、ノッチ、ライン、またはノットとラインの両方を含んでもよい。本明細書で述べたように、コードを特定のサブセットに割り当てるために、2つの混交したデブルーイン系列を使用することができる。
他の構成では、エンコーダ支持体上の識別可能な特徴のサブセットの長さを検出して、検出された識別可能な特徴のコードを決定し、決定されたエンコーダのコードと関連付けられた物品支持体の位置を決定することを含む方法でエンコーダを使用してもよい。例えば、エンコーダの複数のコードのそれぞれは、コードを読み取ることによって物品支持体の正確な位置の決定を可能にするために物品支持体上の1つの位置と対にする(または関連付ける)ことができる。ある場合には、エンコーダ上の識別可能な特徴としてノッチ及びギャップの長さを検出することにより、このような位置の識別が可能となる。例えば、サブセット内の少なくとも3つ、4つ、5つ、6つもしくは7つの(またはより多くの)直線的に配列されたノッチ及びギャップの長さを検出してサブセットのコードを決定することができる。ある例では、第1の長さのノッチまたはギャップには0のコードを割り当てることができ、第1の長さより長い第2の長さのノッチまたはギャップには1のコードを割り当てることができる。他の例では、エンコーダ支持体の選択されたセクタまたは区域内の複数の異なるサブセットが、選択されたセクタまたは区域内の各サブセットに一意のコードを提供するために存在することができる。必要に応じて、選択されたセクタまたは区域内に存在するサブセットのコードは、エンコーダ支持体の選択された異なるセクタまたは区域内で重複することができる。他の場合には、コードは、外側の桁がエンコーダ支持体上のノッチを表す奇数コードとして構成することができ、または、外側の桁がエンコーダ支持体上のギャップを表す偶数コードとして構成するように構成することができる。ある例では、各サブセットは、7ビット2進数をコードとして提供するためにノッチ及びギャップを用いて構成され、その場合、ゼロのビットが1単位の長さに対応し、1のビットが2単位の長さに対応する。
ある特定の実施形態では、システムは、物品支持体であって、当該物品支持体を選択されたインクリメントで移動させて当該物品支持体を第1の位置から第2の位置まで移動させるように構成された作動装置に結合された物品支持体を備えることができる。システムは、作動装置に結合されたエンコーダであって、第1の位置から第2の位置までの物品支持体の移動により、第1の位置から第2の位置まで物品支持体を移動させるために使用されたインクリメントと約同数だけの当該エンコーダの移動が生じるように当該エンコーダと物品支持体とが関連的に結合されている、エンコーダを備えてもよい。その場合、エンコーダは、エンコーダ支持体上に存在する様々な長さの識別可能な要素のアレイを含み、識別可能な要素の様々な長さは、識別可能な要素のアレイのサブセットに対してコードを生成するために利用され、生成された各コードは、コードの読み取り及び物品支持体の正確な位置の決定を可能とするために物品支持体の位置と関連付けられている。
ある特定の例では、作動装置は、ステッパーモータとして構成されている。例えば、ステッパーモータは、物品支持体及びエンコーダを回転させるように構成されている。ある例では、ステッパーモータは、物品支持体及びエンコーダを直線移動させるように構成されている。他の実施形態では、システムは、エンコーダ支持体のサブセットのコードを検出するように構成されたセンサを備えることができる。ある特定の例では、センサは、光センサまたは磁気センサとして構成することができ、例えば、ノッチは、検出可能な磁気材料または常磁性材料を含んでもよい。ある実施形態では、エンコーダ支持体は、サブセットのためのノッチ及びギャップの配列を含む。その場合、ノッチは、センサによる光の受光を遮断するように構成され、ギャップは、センサへの光の通過を可能とするように構成され、センサによる光の遮断及び受光を利用して、エンコーダ支持体のサブセットに存在するノッチ及びギャップの長さを決定する。他の構成では、エンコーダ支持体は、複数の区域またはセクタを含む。ある場合には、エンコーダ支持体の区域またはセクタ内に存在する識別可能な特徴の各サブセットは、一意のコードを提供するように配列されている。ある特定の実施形態では、エンコーダ支持体は、金属、ガラス、セラミック、プラスチック及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む板として構成されている。ある例では、システムは、物品支持体に結合された第2の作動装置を備えてもよい。例えば、第2の作動装置は、物品支持体を(システムの縦軸に沿って)上下に移動させるように構成することができ、作動装置は、物品支持体を(システムの縦軸に対して)回転的または直線的に移動させるように構成されている。ある例では、エンコーダは、物品支持体の下の平面内で作動装置に結合することができ、または物品支持体の上の平面内で作動装置に結合することができる。ある特定の実施形態では、物品支持体及びエンコーダは、物品支持体が荷物仕分けシステム内の荷物を受け取るシステムで使用するために構成されている。ある特定の例では、物品支持体及びエンコーダは、荷物に入れられる少なくとも1つの構成要素の位置を識別する包装システムで使用するために構成されている。他の場合には、物品支持体及びエンコーダは、ピックアンドプレース装置で使用するために構成されている。更なる例では、物品支持体及びエンコーダは、熱分析、熱重量分析、クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、光吸収、光伝送、質量分析、原子化源を含む測定器、イオン化源を含む測定器、炎を含む測定器、プラズマを含む測定器及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を実現するように構成された測定器で使用するために構成されている。他の構成では、エンコーダは、エンコーダ支持体上に存在する様々な長さの識別可能な要素のアレイをそれぞれが含む第2のレーン及び第1のレーンを含む。
ある特定の例では、エンコーダは、選択された区域または領域にわたって支持体上の識別可能な特徴を提供するために、支持体材料を使用し、支持体材料に特徴を追加して、もしくは材料を除去して、または何らかの方法で支持体を改質して作製することができる。ある例では、センサ信号を実質的に通さない固形を使用して支持体材料を作製することができる。ラインまたはギャップを固体に穿孔、エッチング、機械加工または付加して支持体の材料間にギャップを設けることができ、例えば、ギャップ間の支持体の材料はノッチまたはラインとして機能する。各種のギャップ及び支持体材料の長さを利用して、特定の数の特徴(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはより多くの配列された特徴)にコードを提供することができる。センサ信号がエンコーダ支持体材料に遭遇すると、その信号は、支持体材料を含むノッチまたは領域で遮断され、エンコーダ支持体材料のギャップまたはラインにその信号があるときにはセンサの検出器まで通過することができる。
他の例では、エンコーダ支持体は、センサ信号を透過させてもよく、材料を添加することができ、またはエンコーダ支持体の領域を改質することができ、それにより、改質された、または添加材料を含む領域を検出器が読み取っているときに検出器にセンサ信号が到着しないようにする。例えば、エンコーダ支持体は、センサによる光の通過及び光検出を可能とするガラスまたは光学的に透明な本体を含んでもよい。エッチング、マークまたは材料を所望の長さを有するノッチまたはラインの形に堆積させて、ノッチと透明支持体材料との配列を提供することができる。この透明支持体材料は、ノッチ間のギャップとして機能する。このようなノッチまたはギャップを作製する際、所望のパターン及び長さのノッチのマスクまたはオーバレイを支持体の上部に置くことができ、材料を堆積させて(例えば、配置し、スパッタリングし、電着し、ブラシ塗布し、塗装し、被覆するなどして)支持体上にノッチを設けることができる。次いでそのマスクを除去してノッチ及びギャップのパターンを後に残すことができる。種々のノッチ及びギャップの長さを、センサを用いて読み取って、要素のサブセットのコードを決定することができる。
他の実施形態では、エンコーダ支持体材料が透明基材を含んでもよく、次いでこの基材を、識別可能な特徴を含むフィルムに結合してもよい。例えば、図26を参照すると、選択された長さを有し、及び所望のパターンに配列されたノッチ、マークなどを含むフィルム2610を透明支持体2620の上に配置することにより、当該フィルムのノッチまたはライン上に入射する信号が検出器によって受信されるのを妨げるようにすることができる。フィルム2610上のノッチまたはマーク間の間隔はギャップとして機能する。種々のノッチ及びギャップの長さを、センサを用いて読み取って、要素のサブセットのコードを決定することができる。ある場合には、フィルム2610を、支持体に積層し、支持体に粘着させ、支持体に接着し、支持体に合わせて成形し、支持体に溶接し、または支持体に結合することができる。ある実施形態では、ノッチ及びギャップを含むフィルムは、エンコーダのより簡単な作製を可能にするために透明支持体の両面に存在してもよい。例えば、近接したノッチを高精度で作製することは困難となる場合がある。一部のノッチをあるフィルム上に配置し、他のノッチを別のフィルム上に配置し、次いでそれらのフィルムを透明支持体に結合することにより、x−y平面内に位置付けられたエンコーダを用いてコードが読み取られるときに、所望の全コードを提供するようにフィルムのノッチをオフセットすることができる。例えば、エンコーダを、光源及び検出器が支持体の平面領域と実質的に垂直な状態で、光源と検出器の間に位置付けることにより、エンコーダ支持体の底部から(エンコーダ支持体を通して)光が出射し、エンコーダ支持体の上で透過信号(または、信号が遮断された場合には信号の欠如)が読み取られる。必要に応じて、センサの検出器を、その代わりにエンコーダ支持体の上に光源が位置付けられた状態でエンコーダ支持体の下に位置付けることができる。
他の構成では、2つの別個の支持体材料を互いに結合し、または溶融させて、エンコーダのノッチ及びギャップを設けることができる。例えば、一方の支持体は光学的に透明とすることができ、他方の支持体はマークまたはノッチを含んでもよい。他の構成では、支持体のそれぞれは、エンコーダの特定のサブセットにコードを提供することができるマークまたはノッチを含んでもよい。ある場合には、2つの異なる支持体上にノッチとマークを両方含めることにより、パターンの種類及び数ならびに/またはノッチとギャップの間隔をより適切に選択することができる。
エンコーダ支持体と共に使用される光の実際の種類は、様々とすることができ、センサの位置に対するエンコーダ支持体の特定の位置に応じて検出する(または検出しない)ことが可能な可視光、赤外線、紫外線、X線または他の光を含む。光は、レーザーから、またはランプから供給することができ、好適な検出装置(例えば、光電子増倍管、ダイオード、光カプラ、電荷結合素子、カメラ、シンチレーション板など)を備えたセンサを用いて集光させることができる。ある場合には、使用される光は、約700nm(例えば、800〜1000nm)より長い波長を有してもよく、使用される検出器は、その波長範囲内の光の存在及び/または不存在を感知することができる。検出器は、迷光または散乱光が読み取られて誤った読み取りを行わないように位置付けることができる。検出器は、好適なフィルタ及び格子を含んで、読み取られる所望の波長を除いた光の全波長を除去することができる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載したオートサンプラは、コンピュータを含む装置もしくはシステムまたはプロセッサを含む他の装置と共に使用することができる。コンピュータシステムは、通常、オートサンプラ支持体及び任意のエンコーダとは別であるが、プロセッサまたは他の装置は、必要に応じてオートサンプラ支持体及び/またはエンコーダに組み込まれてもよい。プロセッサは、例えば、オートサンプラ支持体の位置を制御し、エンコーダ上のサブセットのコードを表す信号を受信し、またはオートサンプラ支持体の制御及び使用を可能にするために使用することができる。コンピュータシステムは、通常、1つ以上のメモリユニットに電気的に結合されてオートサンプラに関するデータから入力データを受信する少なくとも1つのプロセッサを含む。コンピュータシステムは、例えば、Unix(登録商標)、Intel PENTIUM(登録商標)型プロセッサ、Motorola PowerPC、Sun UltraSPARC、Hewlett−Packard PA−RISCプロセッサ、または他の任意の種類のプロセッサに基づくものなどの汎用計算機であってもよい。任意の種類のコンピュータシステムの1つ以上を、本技術の各種実施形態に従って使用してもよい。更に、システムは、単一のコンピュータに接続されてもよく、または通信ネットワークによって接続された複数のコンピュータ間に分散されてもよい。汎用コンピュータシステムは、例えば、オートサンプラ支持体の移動、オートサンプラの位置検出、モータ制御、エンコーダの読み取りなどを含むが、これらに限定されない記載した機能のいずれかを実行するように構成されてもよい。ネットワーク通信を含む他の機能を実行することができ、本技術は、任意の特定の機能または一連の機能を有することに限定されないことを理解すべきである。システム及び方法の各種態様は、汎用コンピュータシステム内で実行されている専用ソフトウェアとして実装されてもよい。例えば、オートサンプラ支持体を制御し、及び/またはオートサンプラ支持体を各種の位置まで移動させるように構成されたプロトコルを実装することができる。コンピュータシステムは、ディスクドライブ、メモリ、またはデータを記憶するための他の装置などの1つ以上のメモリ装置に接続されたプロセッサを含んでもよい。メモリは、通常、コンピュータシステムの動作中、プログラム及びデータを記憶するために使用される。コンピュータシステムの構成要素は、相互接続装置によって結合されてもよい。この相互接続装置は、(例えば、同一の機械内に統合された構成要素間の)1つ以上のバス及び/または(例えば、離散した別個の機械上にある構成要素間の)ネットワークを含んでもよい。相互接続装置は、システムの構成要素間で交換される通信情報(例えば、信号、データ、命令)を提供する。コンピュータシステムは、通常、電源と、オートサンプラ支持体、エンコーダ、存在する任意のモータまたはアクチュエータなどの1つ以上とに電気的に結合されて、コンピュータ及び結合された装置から、ならびにコンピュータ及び結合された装置へ、電気信号が提供され得るようになっている。コンピュータシステムは、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロホン、タッチスクリーン、手動スイッチ(例えば、オーバーライドスイッチ)などの1つ以上の入力装置、及び印刷装置、ディスプレイスクリーン、スピーカなどの1つ以上の出力装置を備えてもよい。加えて、コンピュータシステムは、(相互接続装置に加えて、またはそれに代わるものとして)コンピュータシステムを通信ネットワークに接続する1つ以上のインターフェースを含んでもよい。コンピュータシステムは、オートサンプラシステム及び/またはシステムの他の構成要素から受信した信号を変換するために好適な回路を含んでもよい。このような回路は、プリント回路基板上に存在することができ、または、好適なインターフェース(例えば、シリアルATAインターフェース、ISAインターフェース、PCI インターフェースなど)を介して、もしくは1つ以上の無線インターフェース(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi、近距離無線通信(Near Field Communication)もしくは他の無線プロトコル及び/もしくはインターフェース)を介してプリント回路基板と電気的に結合された別個の基板もしくは装置上に存在してもよい。
ある特定の実施形態では、コンピュータの記憶システムは、通常、コンピュータ読み取り可能及び書き込み可能な不揮発性記録媒体を含む。この記録媒体では、プロセッサによって実行されるプログラム、またはプログラムによって処理される当該媒体上、もしくはこの媒体内に記憶された情報によって使用可能なオートサンプラルーチンを記憶することができる。媒体は、例えば、ディスク、ソリッドステートドライブまたはフラッシュメモリであってもよい。通常、動作中に、プロセッサは、データを不揮発性記録媒体から別のメモリに読み込ませる。それにより、媒体にアクセスするよりもプロセッサによる情報へのアクセスを速くすることができる。このメモリは、通常、ダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory、DRAM)またはスタティックメモリ(static memory、SRAM)などの揮発性ランダムアクセスメモリである。このメモリは、記憶システム内またはメモリシステム内に位置してもよい。プロセッサは、一般に、処理が完了した後、集積回路メモリ内のデータを操作し、次いでそのデータを媒体にコピーする。例えば、プロセッサは、エンコーダのサブセットのコードを読み取って空間的に関連付けられた装置の位置を決定するセンサから信号を受信してもよい。媒体と集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理するために様々な機構が知られているが、本技術はそれらに限定されない。本技術は、特定のメモリシステムまたは記憶システムに限定されるものでもない。ある特定の実施形態では、コンピュータシステムは、特定用途向け集積回路(application−specific integrated circuit、ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)などの、特別にプログラムされた専用ハードウェアを備えてもよい。本技術の態様は、ソフトウェア、ハードウェアもしくはファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。更に、このような方法、行為、システム、システム要素及びその構成要素は、上記のコンピュータシステムの一部として、または独立した構成要素として実装されてもよい。コンピュータシステムは、一例として、本技術の各種態様が実施され得る1種類のコンピュータシステムとして記載されているが、各態様は、記載したコンピュータシステム上に実装されることに限定されないことを理解すべきである。各種態様は、種々のアーキテクチャまたは構成要素を有する1つ以上のコンピュータ上で実施されてもよい。コンピュータシステムは、高水準コンピュータプログラミング言語を用いてプログラム可能である汎用コンピュータシステムであってもよい。コンピュータシステムは、特別にプログラムされた専用ハードウェアを用いて実装されてもよい。コンピュータシステムでは、プロセッサは、通常、Intel社から利用可能な周知のPentium(登録商標)クラスプロセッサなどの市販のプロセッサである。多くの他のプロセッサが利用可能である。このようなプロセッサは、通常、オペレーティングシステムを実行する。このオペレーティングシステムは、例えば、Microsoft社から利用可能なWindows(登録商標) 95、Windows(登録商標) 98、Windows(登録商標) NT、Windows(登録商標) 2000(Windows(登録商標) ME)、Windows(登録商標) XP、Windows(登録商標) Vista、Windows(登録商標) 7、Windows(登録商標) 8もしくはWindows(登録商標) 10オペレーティングシステム、Appleから利用可能なMAC OS X(例えば、Snow Leopard、Lion、Mountain Lionもしくは他のバージョン)、Sun Microsystemsから利用可能なSolarisオペレーティングシステム、または各種ソースから利用可能なUNIX(登録商標)もしくはLinux(登録商標)オペレーティングシステムであってもよい。多くの他のオペレーティングシステムが使用されてもよく、ある特定の実施形態では、単純な一組のコマンドまたは命令がオペレーティングシステムとして機能してもよい。
ある特定の例では、プロセッサとオペレーティングシステムとがコンピュータプラットフォームを共に定めてもよく、そのプラットフォームに対し、高水準プログラミング言語を用いてアプリケーションプログラムを書き込んでもよい。本技術は、特定のコンピュータシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステムまたはネットワークに限定されるものではないことを理解すべきである。また、本開示の利点を前提として、本技術が具体的なプログラミング言語またはコンピュータシステムに限定されるものではないことが当業者にとって理解されるべきである。更に、他の適切なプログラミング言語及び他の適切なコンピュータシステムも使用できることを理解すべきである。ある特定の例では、ハードウェアまたはソフトウェアを、認知的なアーキテクチャ、ニューラルネットワークまたは他の好適な実施態様を実装するように構成することができる。必要に応じて、コンピュータシステムの1つ以上の部分を、通信ネットワークに結合された1つ以上のコンピュータシステムにわたって分散させてもよい。これらのコンピュータシステムは、汎用コンピュータシステムであってもよい。例えば、サービス(例えば、サーバ)を1つ以上のクライアントコンピュータに提供し、または分散システムの一部として全体のタスクを実行するように構成された1つ以上のコンピュータシステム間に各種態様を分配させてもよい。例えば、各種実施形態に従って各種機能を実行する1つ以上のサーバシステム間に分散させた構成要素を含むクライアントサーバまたは多層システム上で各種態様を実行してもよい。これらの構成要素を、実行可能な、中間コード(例えば、IL)または解釈が必要なコード(例えば、Java(登録商標))とし、そのコードにより、通信プロトコル(例えば、TCP/IP)を用いて通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信を行ってもよい。本技術は、任意の特定のシステム、またはシステムのグループ上で実行されることに限定されるものではないことも理解すべきである。また、本技術は、任意の特定の分散アーキテクチャ、ネットワーク、または通信プロトコルに限定されるものではないことも理解すべきである。
ある場合には、各種実施形態は、SmallTalk、Basic、Java(登録商標)、C++、AdaまたはC#(Cシャープ)などのオブジェクト指向プログラミング言語を用いてプログラムされてもよい。他のオブジェクト指向プログラミング言語が使用されてもよい。あるいは、関数型プログラミング言語、スクリプト用プログラミング言語及び/または論理型プログラミング言語が使用されてもよい。各種構成は、非プログラム式環境(例えば、ブラウザプログラムのウィンドウ内に表示されるとき、グラフィカルユーザーインターフェース(graphical−user interface、GUI)の態様を描画し、または他の機能を実行するHTML、XMLまたは他の形式で作成されたドキュメント)において実装されてもよい。ある特定の構成は、プログラム式要素もしくは非プログラム式要素、またはそれらの任意の組み合わせとして実装されてもよい。
ある特定の実施形態では、オートサンプラシステムは、例えば、オートサンプラシステムの使用を制御する(またはその使用を監視する)ように構成されているモバイル装置(例えば、電話またはタブレット)を備えても(またはそれとやり取りしても)よい。モバイル装置は、オートサンプラシステムと無線通信して、信号を送信し、システムから信号またはデータを受信してもよい。加えて、モバイル装置は、モバイル装置からシステムに自動的にロードすることが可能なある特定の動作を実装するように予めプログラムし、または予め設定することができる。必要に応じて、モバイル装置を2つ以上の異なるシステムと共に使用して、その2つ以上のシステム上で単一のモバイル装置に同一の、または異なる動作を実行させるように設計することができる。モバイル装置は、オートサンプラの使用を支援するために、オートサンプリングルーチン、コードまたはルックアップテーブルと共にプリロードされてもよい。モバイル装置を、無線式で(例えば、近距離無線通信、Bluetooth(登録商標)、または他の無線装置及びプロトコルを用いて)オートサンプラ(またはオートサンプラを備えるシステム)に結合して、モバイル装置とオートサンプラの間で情報を送受信することができる。オートサンプラを用いた特定の手法をユーザーが選択することを可能にするために、1つ以上のメニューがモバイル装置上に存在することができる。他の場合には、システムは、システムの動作を可能とするメニューを表示するように設計されているディスプレイまたはタッチスクリーンを備えてもよい。
ある特定の場合において、コード体系の一般化について以下に記載する。ここで、要素は、2つの異なる種類(ノッチまたはギャップ)のいずれか一方であることにもはや制限されないが、その代わり、識別可能な種類の数はある数Ntに等しい。物理的要素及び検出機構の観点では、このことは、単に「全か無か」ではなく一組の解像可能な信号減衰値を有することに対応する。例えば、様々な厚さの要素と組み合わせてX線減衰検出を行う設定により、2つ以上の異なる種類の要素を得ることができる。
この拡張をここで更に展開する。特に、モデルの基本方程式(3)〜(5)に対する効果を検討する。隣接する素子の種類は、検出器がそれらを識別することが可能であるように異なっている必要があるため、Nt=2のシステムに対する唯一の選択肢は、「黒」と「白」(ノッチとギャップ)を交互にすることである。任意のコード語長に対して、このことは2つの択一的なコード語の種類のみを可能とする。すなわち、「奇数」(黒/ノッチから始まる)及び「偶数」(白/ギャップから始まる)である。Nt>2の場合、奇数/偶数の概念はその意味を失うため、異なるコード語の種類の数がコード語長と共に非常に急速に増加し、そのことからコード語はもはや独立ではなくなる。所与のNt及びNcに対して、異なるコード語の種類の数は以下に等しい。
Nt(Nt−1)Nc−1
(既に検討した)Nt=2の場合には2が得られる。これにより、任意のNtに対して方程式(3)〜(5)の一般化が可能となる。ここで、要素の(最大)数に対する式は以下となる。
この方程式は、増加による利点が重要であることを示す。図27では、完全な(最大)コードの例が、{Nt、Ns、Nc}={3,2,2}に対して与えられている。2つの要素(及び2つの識別可能な要素サイズ)のみのコード長の場合、全要素数(Ne)は24である。
ここで、方程式(4)及び(5)を同じように拡張することができる。基本単位の数は以下によって与えられる。
ここで、平均分解能、ならびにワーストケースのインクリメンタル及びアブソリュート分解能は以下となる。
(10)
この拡張により、図3の表に要素(dimention)が加えられる。ここで、この要素は、Ntの種々の値に対して、積み重ねられた表の最下層として見ることができる。一例として、Nt=3の層が図28に表されている。全ての分解能はワーストケースである。この拡張により、コード化のタスクは、一般に、特別なノッチ/ギャップの場合(Nt=2)よりも複雑になる。混交したデブルーイン系列を見出す代わりに、等しい長さを有する一組のNt(Nt−1)Nc−1個の混交した短縮型デブルーイン系列を構築することがここで課題となる。しかしながら、混交させることは、奇数コードと偶数コードとが厳密に交互のパターンに従うノッチ/ギャップの場合に可能であるように、必ずしも「均一に」実行される必要があるわけではない。このことは構築工程に自由度を加え、複雑さの増大とは反対に作用する。
ある特定の参考文献が本明細書で参照されてきたが、そのような文献としては以下のものが挙げられる。
参考文献1:De Bruijn,N.G.(1946)−−A combinatorial problem−−Koninklijke Nederlandsche Akademie van Wetenschappen,Proceedings of the Section of Sciences−−v.XLIX,nr.6−10,p.758−764;
参考文献2:De Bruijn,N.G.及びVan Aardenne−Ehrenfest,T.(1951)−−Circuits and trees in oriented linear graphs−−Simon Stevin−−v.28,p.203−217;
参考文献3:Makino,Shigeru(1994)−−Absolute encoder−−日本特許JPH06347288(A)−−1994年4月14日出願、1994年12月20日発行;
参考文献4:Agrawal,Amit及びThornton,Jay(2013)−−Self−Calibrating Single Track Absolute Rotary Encoder−−米国特許US2013253870(A1)−−2013年5月21出願、2013年9月26日発行;
参考文献5:Urabe,Hideki(2009)−−Optical Absolute Rotary Encoder−−米国特許US2009108188(A1)−−2007年9月28日出願、2009年4月30日発行;
参考文献6:Petriu,E.M.(1985)−−Absolute−type pseudorandom shaft encoder with any desired resolution−−Electronics Letters,v.21;
参考文献7:i Fuertes,J.;Balle,B.及びVentura,E.(2008)−−Absolute−Type Shaft Encoding Using LFSR Sequences With a Prescribed Length−−Instrumentation and Measurement,IEEE Transactionson,v.57,i.5,p.915−922;
参考文献8:Fuertes,J.;Balle,B.及びVentura,E.(2009)−−Single−tracked shaft encoders with LFSR sequences of low combinatorial complexity−−invited post ICM09 paper;
参考文献9:Schwartz,M.及びEtzion,T.(1999)−−The Structure of Single−Track Gray Codes−−IEEE Transactions on Information Theory,v.45,i.7,p.2383−2396;
参考文献10:Yinghao,Tan;Bo,Yuan及びZibo,Meng(2012)−−Absolute shaft angle encoding system based on array detector−−中国特許CN102322882(A)−−2011年6月2日出願、2012年1月18日発行
参考文献11:Zhengang,Wang(2008)−−Single−code track absolute angle coded circle and encoder using the same−−中国特許CN101153808(A)−−2007年9月19日出願、2008年4月2日発行;ならびに
参考文献12:Litao,Liang(2009)−−Single−code channel absolute position encoding method−−中国特許CN101476902(A)−−2009年1月13日出願、2009年7月8日発行
本明細書に開示された例の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said(前記)」は、1つ以上の要素が存在することを意味するように意図される。用語「comprising(備える)」、「including(含む)」及び「having(有する)」は、非限定的であることを意図したものであり、列挙された要素以外の追加要素があってもよいことを意味する。本開示の利点を前提として、各例の各種要素を他の例の各種要素と交換または置換できることが当業者によって認識されよう。
ある特定の態様、例及び実施形態について上述してきたが、本開示の利点を前提として、開示された例示的な態様、例及び実施形態の追加、置換、修正及び変更が可能であることが当業者によって認識されよう。