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JP6790389B2 - 回転電機 - Google Patents

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JP6790389B2 JP2016050134A JP2016050134A JP6790389B2 JP 6790389 B2 JP6790389 B2 JP 6790389B2 JP 2016050134 A JP2016050134 A JP 2016050134A JP 2016050134 A JP2016050134 A JP 2016050134A JP 6790389 B2 JP6790389 B2 JP 6790389B2
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Description

本発明は、回転電機に関する。
永久磁石の磁束を利用してトルクを出力する回転電機では、永久磁石による有効磁束量を可変することができる回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、電機子巻線が巻かれた固定子と、該固定子と空隙を介して回転可能に設けられた回転子を有する回転電機において、固定子が回転軸方向に第1回転子と第2回転子とに二分割され、それぞれに極性の異なる界磁用磁石が回転方向に交互に配置された構造が記載されている。
このような構造から、特許文献1に記載の回転電機は、トルクや回転数の変化に応じて第2回転子を動作させ、第1回転子の永久磁石の極性と第2回転子の永久磁石の極性との位置関係を可変することによって、永久磁石による有効磁束量を調整することができる。このとき、特許文献1に記載の回転電機は、第1回転子の永久磁石の極性と第2回転子の永久磁石の極性との位置関係を可変するにあたって、アクチュエータに入力された制御信号により第2回転子を所定状態に位置させるように制御している。
特開2010−246196号公報
しかしながら、特許文献1に記載の回転電機は、上述したように、第2回転子を所定状態に位置させるため、アクチュエータや該アクチュエータを制御するための制御装置が必要である。また、第1回転子と第2回転子とが所定の位置関係となるように第2回転子を機械的に移動させていることから精密な制御が必要である。このため、低コストな構成で永久磁石の磁束を可変させることができない。
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、永久磁石を備えたロータからステータに鎖交する磁束を低コストな構成で可変させることができる回転電機を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、通電により磁束を発生させる電機子コイルを有するステータと、前記磁束の通過により回転するロータと、を備えた回転電機であって、前記ロータは、永久磁石及び磁束を導く磁路部材を有する複数の突極部と、前記ステータ側で発生した磁束に基づいて誘導電流を発生する誘導コイルが巻かれた複数の補極部と、前記誘導コイルで発生した誘導電流に基づいて前記ロータから前記ステータへ鎖交する磁束の磁束量を調整可能な可変界磁コイルと、を有し、前記磁路部材は、前記永久磁石の周囲で周方向に対して垂直な平面内に、環状に形成され、前記突極部に内包される内包部と、前記突極部から軸方向に延伸された延伸部とを有し、前記可変界磁コイルは、前記磁路部材の延伸部に設けられており、前記補極部は、隣接する前記突極部の間に空隙を介して配置されており、前記内包部の軸方向の両側の端面と前記延伸部の前記突極部側の端面との間には、所定の大きさのギャップが形成されており、前記ギャップは、前記可変界磁コイルに直流電流が供給されていないときには、前記永久磁石から前記ロータの軸方向に漏れる磁束が前記内包部から前記延伸部に流れることがない、又は流れても微量となるような大きさであって、前記ギャップは、前記可変界磁コイルに直流電流が供給されているときには、前記ロータの界磁量を強める磁束が前記延伸部から前記内包部に流れるような大きさに設定されており、前記可変界磁コイルは、前記ロータの界磁量を強める方向へ磁束が流れるように、前記延伸部に対して巻き回されている。
本発明によれば、永久磁石を備えたロータからステータに鎖交する磁束を低コストな構成で可変させることができる回転電機を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機の一部断面斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る回転電機のロータの一部を示す分解斜視図であり、磁路部材を装着した状態を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る回転電機のロータの周方向を直線状に描いた径方向断面の模式図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る回転電機のステータの電機子コイルに流れる各相の電流を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施形態に係る回転電機の電機子コイルに流れる電流を示すグラフであり、図5(a)は、高調波を重畳されたq軸電流を示すグラフであり、図5(b)は、図5(a)をq軸電流としたU相電流を示すグラフである。 図6は、本発明の一実施形態に係る回転電機の誘導コイル誘導起電力を示すグラフであり、図6(a)は、電流角の違いによる変化を示すグラフであり、図6(b)は、電流位相角の違いによる変化を示すグラフである。 図7は、本発明の一実施形態に係る回転電機における誘導コイル及び可変界磁コイルと整流回路との結線図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る回転電機の電機子コイルに流れる電流に高調波が重畳されないときのロータからステータに鎖交する磁束量を示す模式図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る回転電機の電機子コイルに流れる電流に高調波が重畳されるときのロータからステータに鎖交する磁束量を示す模式図である。 図10は、本発明の一実施形態に係る回転電機のステータ鎖交磁束数の構成を示すグラフである。 図11は、本発明の一実施形態の他の態様に係る回転電機のロータからステータに鎖交する磁束量を示す模式図であり、図11(a)は、電機子コイルに流れる電流に高調波が重畳されないときの模式図であり、図11(b)は、電機子コイルに流れる電流に高調波が重畳されるときの遮蔽磁束を示す模式図であり、図11(c)は、電機子コイルに流れる電流に高調波が重畳されるときの模式図である。 図12は、本発明の一実施形態の他の態様に係る回転電機の電機子コイルに流れる電流に高調波が重畳されることによるトルクの変化を示すグラフである。 図13は、本発明の一実施形態の他の態様に係る回転電機の電機子コイルに流れる電流に重畳される高調波の振幅及び周波数を変えたときのトルク及び可変界磁コイルに流れる電流の変化を示す図であり、図13(a)は、電機子コイルに流れる電流に重畳される高調波の振幅及び周波数示す表であり、図13(b)は、トルクの変化を示すグラフであり、図13(c)は、可変界磁コイルに流れる電流の変化を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1から図10は本発明の一実施形態に係る回転電機を説明する図である。
図1に示すように、回転電機1は、通電により磁束を発生させるW相、V相、U相の三相の電機子コイル11を有するステータ10と、ステータ10で発生した磁束の通過により回転するロータ20と、を備えている。
(ステータ)
ステータ10は、図示しないモータケースに固定されている。ステータ10は、高透磁率の磁性材料からなる環状のステータコア12を備えている。ステータコア12には、径方向の内方側に突出したステータティース13が周方向に沿って複数形成されている。周方向に隣り合うステータティース13の間には、溝状の空間であるスロット14が形成されている。
なお、「径方向」とは、回転軸2(図8参照)が延伸する方向に直交する方向であり、回転軸2を中心として放射方向に示される。「径方向の外方側」とは、径方向において回転軸2から遠い側のことであり、「径方向の内方側」とは、径方向において回転軸2に近い側のことである。
また、「周方向」とは、回転軸2を中心とする円周方向を示す。また、「軸方向」とは、回転軸2が延伸する方向を示す。
ステータコア12の各スロット14には、ステータコア12の周方向に沿ってW相、V相、U相の三相の電機子コイル11がそれぞれ配置されている。W相、V相、U相の各電機子コイル11は、分布巻によりステータティース13に巻き回されている。
ステータ10は、電機子コイル11に三相交流が供給されることで、周方向に回転する回転磁界を発生させる。ステータ10で発生した磁束(以下、この磁束を「主磁束」という)は、ロータ20に鎖交するようになっている。これにより、ステータ10は、ロータ20を回転させることができる。
(ロータ)
ロータ20は、外周面がステータコア12の内周面と対向するように、ステータコア12の径方向の内方側に配置されている。ロータ20は、ロータコア21と、補極部22とを含んで構成されている。
ロータコア21は、高透磁率の磁性材料からなり、回転軸2(図8参照)に一体回転可能に固定されている。ロータコア21には、ロータコア21から径方向の外方側に向けて突出した突極部23がロータコア21の周方向に沿って所定の間隔をおいて複数形成されている。
突極部23は、永久磁石24と、磁路部材25と、可変界磁コイル26とを備えている。永久磁石24は、例えばネオジウム磁石(Nd−Fe−B磁石)で構成されており、突極部23に内包されている。永久磁石24は、磁束の向きが径方向になるように突極部23に配置されている。周方向に隣接する突極部23の永久磁石24は、磁束の向きが逆向きになるように突極部23に配置されている。
磁路部材25は、永久磁石24の磁束を補助する可変界磁コイル26の磁束を導くもので、永久磁石24の周囲に環状に形成されている。
磁路部材25は、永久磁石24とともに突極部23に内包された内包部25aと、突極部23からロータコア21の軸方向に突出するよう延伸された延伸部25bとを備えている。磁路部材25は、永久磁石24の軸方向の側面24a側に位置する部分が突極部23から軸方向に延伸されるような形状で延伸部25bが形成されている。
内包部25aは、永久磁石24を径方向で挟み込むようにして永久磁石24の径方向の内方側及び外方側にそれぞれ配置されている。内包部25aは、永久磁石24からステータ10に鎖交する磁束を通すようになっている。
内包部25aは、例えば、複数の電磁鋼板を積層して形成される。電磁鋼板は、図2に示すように、内包部25aを通る磁束の向き(軸方向、図中矢印Bで示す)に磁束が通りやすいように周方向(図中矢印Aで示す)に積層されているとよい。なお、内包部25aは、強磁性体の微細な粉末が圧縮して固められた圧粉磁心によって形成されてもよい。
延伸部25bは、磁路部材25の突極部23から軸方向に延伸された部分に相当し、高磁気抵抗の領域を介して突極部23の軸方向の両側にそれぞれ設けられている。
延伸部25bは、例えば、複数の電磁鋼板を周方向に積層したものからコの字状に成形されている。電磁鋼板は、図2に示すように、延伸部25bを通る磁束の向き(軸方向及び径方向、図中矢印Cで示す)に磁束が通りやすいように周方向(図中矢印Aで示す)に積層されているとよい。
延伸部25bは、突極部23側の端面のそれぞれが各内包部25aの軸方向の両側の端面と対向するように配置されている。なお、延伸部25bは、強磁性体の微細な粉末が圧縮して固められた圧粉磁心によって形成されてもよい。
延伸部25bは、内包部25aとは別体として構成されており、図示しない連結部材を介してロータコア21に保持されている。これにより、内包部25aと延伸部25bとは、ロータコア21の軸方向で分離されている。
また、内包部25aの軸方向の両側の端面と延伸部25bの突極部23側の端面との間には、上述した高磁気抵抗の領域として所定の大きさのギャップG(図8参照)が形成されている。ギャップGは、後述する可変界磁コイル26に直流電流が供給されていないときには、永久磁石24からロータコア21の軸方向に漏れる磁束(以下、この磁束を「漏れ磁束」という)が内包部25aから延伸部25bに流れることがない、又は流れても微量となるような大きさである。また、ギャップGは、後述する可変界磁コイル26に直流電流が供給されているときには、ロータ20の界磁量を強める磁束が延伸部25bから内包部25aに流れるような大きさに設定されている。すなわち、磁路部材25は、ロータ20の界磁量を強めるために、延伸部25bから内包部25aへ磁束を導く磁路として機能する。
延伸部25bには、ロータコア21の周方向に沿って可変界磁コイル26が巻き回されている。可変界磁コイル26は、後述する誘導コイル28で発生した誘導電流の大きさに応じて、ロータ20の界磁量を強める磁束の磁束量を調整可能に機能するコイルである。すなわち、可変界磁コイル26は、ロータ20からステータ10へ鎖交する磁束の磁束量を調整することを可能にする。
可変界磁コイル26は、ロータ20の界磁量を強める方向(図9に矢印で示す方向)へ磁束(以下、この磁束を「誘導磁束」という)が流れるように、磁路部材25の延伸部25bに対して巻き回されている。すなわち、可変界磁コイル26は、ロータ20からステータ10へ鎖交する磁束の磁束量を増やすことのできる方向に誘導磁束が流れるように、延伸部25bに対して巻き回されている。このようにして、磁路部材25は、ロータ20の界磁量を強めるために、延伸部25bから内包部25aへ磁束を導く磁路として機能する。
また、可変界磁コイル26は、後述する整流回路30で整流された直流電流が供給されることにより誘導磁束を発生させて、図9に示すようにロータ20からステータ10に鎖交する磁束量を補助するようになっている。この誘導磁束の磁束量が調整されることによって、ロータ20の界磁量が調整される。
誘導磁束の磁束量は、可変界磁コイル26に供給される直流電流が大きいほど、可変界磁コイル26の巻き数が多いほど大きくなる。可変界磁コイル26の巻き数は、予め実験的に求められた巻き数に設定される。
補極部22は、図1及び図3に示すように、ロータコア21の周方向に隣り合う突極部23の間の各q軸上にそれぞれ配置されている。補極部22は、図3に示す径方向における断面を見たときに、隣り合う突極部23の間において空隙を介して配置されている。また、補極部22は、例えば樹脂等の非磁性体からなる図示しないブラケットや連結部材等を介してロータコア21又は回転軸2(図8参照)に保持されている。非磁性体を用いずに補極部22をロータコア21又は回転軸2に保持させる場合には、補極部22とロータコア21又は回転軸2との磁気的な結合を極力小さくした状態で互いに連結するのが好ましい。
このように、補極部22は、ロータコア21の突極部23と磁気的に遮蔽された状態でq軸上に配置される。これにより、突極比の低下が防止され、リラクタンストルクの低下が防止される。
補極部22は、例えば、複数の電磁鋼板を軸方向に積層したものからなる。なお、補極部22は、圧粉磁心によって形成してもよい。補極部22には、ステータ10側で発生した主磁束に重畳された高調波成分に基づいて誘導電流を発生する誘導コイル28が巻かれている。
本実施形態では、図4に示すように、電機子コイル11に供給される三相交流に対して各相の電流と非同期の高調波電流が、図示しない制御装置によって重畳されるようになっている。これにより、ステータ10側で発生した主磁束に高調波成分が重畳される。
図5(a)に示すように、q軸電流に高調波を重畳した電流と、d軸電流とを合成し三相交流に変換した場合、例えば、U相の電流は図5(b)に示すようになる。
図6(a)は、q軸電流に高調波を重畳しないsin波の電流を電機子コイル11に供給した場合と、q軸電流に高調波を重畳した電流を電機子コイル11に供給した場合の誘導コイル28における誘導起電力[V]の違いを示したグラフである。q軸電流に高調波を重畳した電流を電機子コイル11に供給すると、電気角全般において誘導コイル28に大きな起電力を発生させることができる。
また、図6(b)は、q軸電流に高調波を重畳しないsin波の電流を電機子コイル11に供給した場合と、q軸電流に高調波を重畳した電流を電機子コイル11に供給した場合の電流位相角βの変化による誘導コイル28における誘導起電力実効値[V]の違いを示したグラフである。q軸電流に高調波を重畳した電流を電機子コイル11に供給すると、電流位相角を変えることで誘導コイル28の起電力を変化させることができる。
なお、上述の高調波電流は、d軸と電気的、磁気的に直交するq軸電流として重畳される。このため、d軸上に配置された永久磁石24の磁束は、上述の高調波成分によって発生する磁束の影響を受けることがない。したがって、永久磁石24からステータ10に鎖交する磁束の磁束量を安定して制御することができる。
(整流回路)
また、回転電機1は、誘導コイル28で発生した誘導電流を整流して可変界磁コイル26に供給する整流回路30を備えている。
図7に示すように、整流回路30は、4つのダイオードD1,D2,D3,D4を整流素子として備え、これらダイオードD1,D2,D3,D4と誘導コイル28及び可変界磁コイル26とを結線した閉回路として構成されている。整流素子としては、ダイオードに限らず、他のスイッチング素子などの半導体素子を採用してもよい。
ダイオードD1,D2,D3,D4は、例えば図示しないダイオードケースに収納された状態でロータ20に設けられている。ダイオードD1,D2,D3,D4は、ロータ20の内部に実装するようにしてもよい。
整流回路30において、誘導コイル28で発生した交流の誘導電流は、ダイオードD1,D2,D3,D4により整流され、整流後の直流電流は、界磁電流として可変界磁コイル26に供給される。可変界磁コイル26は、直流電流が供給されることにより誘導磁束を発生させる。
(回転電機の作用)
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態に係る回転電機1の作用について説明する。
本実施形態に係る回転電機1は、以上説明したように、ロータ20に永久磁石24を備え、その永久磁石24の磁束を利用してトルクを出力する永久磁石型同期モータである。
従来の永久磁石型同期モータでは、永久磁石の磁束が一定のため、ロータの回転速度が上昇するにつれて永久磁石の磁束によってステータの電機子コイルに生じる逆起電力が増加する。そして、ロータの回転速度がある回転速度に達すると、電機子コイルに生じた逆起電力が永久磁石型同期モータの電源電圧と等しくなる。これにより、永久磁石型同期モータにはそれ以上電流を流すことができなくなる。この結果、ロータの回転速度を上昇させることができなくなってしまう。
従来、こうした問題を解決するために、ステータの電機子コイルに永久磁石による磁束を打ち消す電流を流すことにより電機子コイルに生じる逆起電力を等価的に低減させる弱め界磁制御が行われていた。
しかしながら、この弱め界磁制御は、永久磁石の磁束を打ち消す方向の磁束を発生させるべく電流を流すことから、トルクに寄与しない磁束を発生させることになるため、出力に対して無駄なエネルギーを消費しており、効率の低下を招いていた。
また、弱め界磁制御では、高調波磁束が生じるため、その高調波磁束に起因して永久磁石型同期モータの鉄損や電磁振動が増加するおそれがある。さらに、弱め界磁制御では、永久磁石の磁束に対して逆向きの磁束を発生させて永久磁石の磁束を抑え込むため、永久磁石の不可逆減磁が生じるおそれがある。このため、比較的保磁力の高い永久磁石を用いる必要があり、コストが増加してしまう。
また、永久磁石としてネオジウム磁石を用いた場合には、弱め界磁制御による外部磁場の変動により永久磁石に渦電流が生じ、永久磁石が発熱する。この発熱によって永久磁石の不可逆減磁が生じるおそれがある。したがって、耐熱性の高いレアアース等の材料を永久磁石に添加する必要がある。しかし、この場合には、添加されたレアアース等の材料が永久磁石にとって不純物となるため、永久磁石本来の性能を発揮させることができないおそれがある。
そこで、本実施形態に係る回転電機1では、弱め界磁制御を行わずに、上述した磁路部材25及び可変界磁コイル26の作用によって、ロータ20からステータ10に鎖交する磁束量を調整可能な構成とした。これにより、本実施形態に係る回転電機1は、上述したような弱め界磁制御による問題を解決することができる。
(正弦波励磁時)
本実施形態に係る回転電機1においてステータ10の電機子コイル11に供給される電流が、高調波成分を含まない正弦波電流である場合、ロータ20の誘導コイル28に鎖交する磁束はないか、あるいは鎖交していても微量である。このため、ロータ20の可変界磁コイル26は、誘導磁束を発生してないか、あるいは発生していても微量である。したがって、ギャップGにおいては、磁気抵抗が高い状態である。
この結果、図8に示すように、永久磁石24の磁束は、磁路部材25内を短絡しない。これにより、永久磁石24の磁束の全てがステータ10に鎖交する。
(高調波重畳励磁時)
本実施形態に係る回転電機1において、ステータ10の電機子コイル11に供給される電流が高調波成分を重畳された電流である場合、ロータ20の誘導コイル28に磁束が鎖交し、誘導電流が誘起される。この誘導電流が、整流回路30によって整流されて直流電流として可変界磁コイル26に供給される。直流電流が供給された可変界磁コイル26は、図9に示すように、誘導磁束を発生させる。この誘導磁束が内包部25aを通ってステータ10に鎖交する。このため、永久磁石24の磁束に加えて、可変界磁コイル26による誘導磁束をステータ10に鎖交させることができ、ロータ20の界磁量を強めることができる。
また、電機子コイル11に供給される電流に重畳される高調波電流の周波数や振幅を変更することで、誘導コイル28に鎖交する磁束密度を変えることができ、可変界磁コイル26に供給される電流の大きさを変えることができる。このため、可変界磁コイル26で発生する誘導磁束の磁束密度を変えることによって、ロータ20の強め界磁量を可変とすることができる。
このことから、ロータ20の回転数が高く弱め界磁が必要なときには上述の正弦波励磁を行ない、ロータ20の回転数が低く高いトルクが必要なときには上述の高調波重畳励磁を行なうことにより、図10に示すように、永久磁石24として、弱め界磁のときに鎖交させる磁束数の磁石を使用したとしても、電機子コイル11に供給する電流に重畳される高調波によって必要な磁束数をステータ10に鎖交させることができる。これにより、ロータ20の界磁量を強めることができる。したがって、磁石量を削減させたり、残留磁束密度の低い安価な磁石を使用したりしてもトルクを確保することができ、回転電機1のコストを低減させることができる。
さらに、弱め界磁を不要とすることができ、高回転時の出力増加と効率向上を図ることができる。加えて、弱め界磁磁束によって発生する高調波を無くすことができ、電磁振動を大幅に低減させることができる。
また、磁路部材25が永久磁石24の径方向の内方側にも設けられているため、可変界磁コイル26による磁束がロータ20の内部にまで通りやすくなり、誘導磁束の磁束数を増加させることができる。
(他の態様)
本実施形態の他の態様としては、図11に示すように、磁路部材25の内包部25aと延伸部25bを連結させた構成とする。
このようにすることで、図11(a)に示すように、永久磁石24の磁束の一部が漏れ磁束として磁路部材25内を短絡する。これにより、永久磁石24の磁束のうち漏れ磁束を除いた磁束がステータ10に鎖交する。すなわち、永久磁石24からステータ10に鎖交する磁束の磁束量が抑えられる。
また、電機子コイル11に供給される電流に高調波を重畳させて可変界磁コイル26に直流電流を供給させて、図11(b)に示すように、永久磁石24の漏れ磁束の方向とは反対方向の遮蔽磁束を発生させるように構成する。
このようにすることで、トルクが必要な場合には電機子コイル11に供給される電流に高調波を重畳させて遮蔽磁束を発生させ、図11(c)に示すように、磁路部材25内を短絡していた永久磁石24の漏れ磁束を無くすことができる。
これにより、永久磁石24の磁束の全てがステータ10に鎖交する。さらに、可変界磁コイル26に供給される直流電流が大きければ、可変界磁コイル26によって発生した遮蔽磁束が永久磁石24の磁束に加えられてステータ10に鎖交する。
このように、永久磁石24からステータ10に鎖交する磁束の磁束量を増加させることができる。
図12は、誘導コイル28と可変界磁コイル26を開放(切断)してq軸電流に高調波を重畳しないsin波の電流を電機子コイル11に供給した場合と、誘導コイル28と可変界磁コイル26を結線してq軸電流に高調波を重畳した電流を電機子コイル11に供給した場合の回転電機1の平均トルク[Nm]の違いを示したグラフである。
誘導コイル28と可変界磁コイル26を結線してq軸電流に高調波を重畳した電流を電機子コイル11に供給すると、トルクが向上していることが分かる。ロータ20の構造が順突極形のため、電流位相角βが遅角(電流位相角βはq軸基準)しているときに最大トルクとなる。
また、電機子コイル11に供給される電流に重畳される高調波電流の周波数や振幅を変更することで、誘導コイル28に鎖交する磁束量を変えることができる。これにより、可変界磁コイル26に供給される電流の大きさを変えることができる。このため、可変界磁コイル26で発生する遮蔽磁束の磁束量を変えることができ、ロータ20の強め界磁量を可変とすることが可能となる。
図13は、表のようにステータ10の電機子コイル11に供給される電流に重畳される高調波電流の振幅Iq ac[A]と周波数fq[Hz]を変えた場合の平均トルク[Nm]と可変界磁コイル26に供給される電流の平均値[A]を示したグラフである。
電機子コイル11に供給される電流に重畳される高調波電流の周波数や振幅を変更することで、可変界磁コイル26に供給される電流が変化することが分かる。これに伴い、回転電機1の平均トルクも変化することが分かる。
このように、本実施形態の他の態様によれば、弱め界磁を不要とすることができ、高回転時の出力増加と効率向上を図ることができる。加えて、弱め界磁磁束によって発生する高調波を無くすことができ、電磁振動を大幅に低減させることができる。
以上のように、本実施形態の回転電機1によれば、電機子コイル11に流れる電流に重畳された高調波電流を誘導コイル28に鎖交させることにより誘導電流を発生させ、その誘導電流を整流回路30で整流して可変界磁コイル26に供給する。これにより、ロータ20の界磁量を強める磁束が、磁路部材25の延伸部25bから内包部25aに流れるため、ロータ20の界磁量を調整することができる。
また、電機子コイル11に流れる電流に重畳される高調波電流の周波数や振幅を変えることで誘導コイル28に発生する誘導電流の大きさを変えて、ロータ20の強め界磁量を変えることができる。
回転電機1は、例えば車載用の電動機、風力発電用の発電機や工作機械用の電動機として好適に採用することができる。
なお、本実施形態では、電機子コイル11は分布巻によりステータティース13に巻き回されているが、集中巻によりステータティース13に巻き回されてもよい。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 回転電機
10 ステータ
11 電機子コイル
20 ロータ
22 補極部
23 突極部
24 永久磁石
24a 側面
25 磁路部材
25a 内包部
25b 延伸部
26 可変界磁コイル
28 誘導コイル
30 整流回路

Claims (3)

  1. 通電により磁束を発生させる電機子コイルを有するステータと、前記磁束の通過により回転するロータと、を備えた回転電機であって、
    前記ロータは、
    永久磁石及び磁束を導く磁路部材を有する複数の突極部と、
    前記ステータ側で発生した磁束に基づいて誘導電流を発生する誘導コイルが巻かれた複数の補極部と、
    前記誘導コイルで発生した誘導電流に基づいて前記ロータから前記ステータへ鎖交する磁束の磁束量を調整可能な可変界磁コイルと、を有し、
    前記磁路部材は、前記永久磁石の周囲で周方向に対して垂直な平面内に、環状に形成され、前記突極部に内包される内包部と、前記突極部から軸方向に延伸された延伸部とを有し、
    前記可変界磁コイルは、前記磁路部材の延伸部に設けられており、
    前記補極部は、隣接する前記突極部の間に空隙を介して配置されており、
    前記内包部の軸方向の両側の端面と前記延伸部の前記突極部側の端面との間には、所定の大きさのギャップが形成されており、
    前記ギャップは、前記可変界磁コイルに直流電流が供給されていないときには、前記永久磁石から前記ロータの軸方向に漏れる磁束が前記内包部から前記延伸部に流れることがない、又は流れても微量となるような大きさであって、
    前記ギャップは、前記可変界磁コイルに直流電流が供給されているときには、前記ロータの界磁量を強める磁束が前記延伸部から前記内包部に流れるような大きさに設定されており、
    前記可変界磁コイルは、前記ロータの界磁量を強める方向へ磁束が流れるように、前記延伸部に対して巻き回されている回転電機。
  2. 前記電機子コイルに供給される電流に高調波電流を重畳させることにより前記誘導コイルに前記誘導電流を発生させる請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記高調波電流の周波数及び振幅の少なくともいずれか一方を変更することで前記誘導コイルに発生する前記誘導電流を変更する請求項2に記載の回転電機。
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