JP6787063B2 - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、このような用途においては、フィルムロールの搬送時のキズ付きを防止するために、ポリエステルフィルム上に耐スクラッチ層が積層された積層フィルムが使用されている。
また、光学用途に用いられる積層フィルムには、耐スクラッチ性以外にも、常温下だけでなく、高温高湿下における基材との接着性、透明性なども求められている。また、ディスプレイ等の表面に用いられることが多いため、光学用途に用いられる積層フィルムには視認性や意匠性が要求されている。
[I]2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層がSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有しており(前記無機粒子(A)を含有する表層を樹脂層と称す)、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)が、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きい、積層フィルム。
[II]前記平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)が、1.01以上3.0以下である[I]に記載の積層フィルム。
[III]前記樹脂層中の無機粒子(A)含有率が、無機粒子を含有する層全体に対して、10〜60重量%であることを特徴とする[I]または[II]に記載の積層フィルム。
[IV]前記樹脂層の厚みが、0.3〜5μm以下である[I]〜[III]のいずれかに記載の積層フィルム。
[V]結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、無機粒子(A)を含有する塗液を塗布し、次いで、前記熱可塑性樹脂フィルムを少なくとも一軸方向に延伸し、前記熱可塑性樹脂フィルムに熱処理を施して、該熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させる工程を含む[I]〜[IV]のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
本発明は、2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層がSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有しており(前記無機粒子(A)を含有する表層を樹脂層と称す)、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲(樹脂層の表面から0〜100nmの範囲)に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)が、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲(樹脂層の表面から150〜300nmの範囲)に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きい、積層フィルムである。
本発明の積層フィルムは、少なくとも一方の表層に、Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有することが必要である。
これらの中でも、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)粒子が、屈折率との整合の点で透明性に優れるため、好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明の無機粒子(A)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)とは、無機粒子(A)表面の一部または全部に、前述したアクリル樹脂(B)を有する粒子であることが、好ましい。
無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を有することにより、乾燥過程における無機粒子(A)の凝集を抑制し、透明性と耐スクラッチ性の向上が可能となる。
本発明の積層フィルムにおいて、表層にある無機粒子(A)を含有する樹脂層はアクリル樹脂(B)を含むことが好ましい。アクリル樹脂(B)を用いることで、樹脂層中の無機粒子(A)をナノ分散させることができ、樹脂層の透明性を維持すると共に、樹脂層に力が加わった際に該力を粒子へ分散させることができる。その結果、積層フィルムの耐スクラッチ性を向上させることが可能となる。
ここで、本発明におけるアクリル樹脂(B)は、式(1)で表されるモノマー単位(f1)を有する樹脂であることが好ましい。
特に、アクリル樹脂(B)の含有量は、樹脂層全体に対して20重量%以上70重量%以下であることがより、好ましく、樹脂層中のアクリル樹脂(B)の含有量は、20重量%以上60量%以下が好ましく、より好ましくは20%以上50重量%以下である。
本発明の積層フィルムは、前述した樹脂層の他に、基材層を有する。基材層として用いられる樹脂は特に限られるものではないが、ポリエステルを主成分とする層であることが好ましい(以下基材層として用いられるポリエステルを主成分とする層をポリエステルフィルムと呼ぶ場合がある)。なお、本発明において主成分とは、層を構成する樹脂全体に対して50重量%以上をしめる成分をあらわす。以下、本発明の積層フィルムの基材層に用いられるポリエステルについて述べる。まずポリエステルとは、エステル結合を主鎖に有する高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分とするものを好ましく用いることができる。
本発明の積層フィルムの樹脂層の製造方法について以下に例を示すが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の積層フィルムの製造方法について以下に例を示して説明するが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
また、無機粒子(A)と、アクリル樹脂(B)を含有する樹脂組成物をポリエステルフィルム上へ塗布し、樹脂組成物が溶媒を含む場合には、溶媒を乾燥させることによって、ポリエステルフィルム上に樹脂層を形成することによって得ることができる。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、樹脂層の厚みを測定した。樹脂層の厚みは、TEMにより10万倍の倍率で撮影した画像から樹脂層の厚みを読み取った。合計で20点の樹脂層厚みを測定して平均値とした。
SMI3200SE(SIINT(株)製)
FB−2000A II Micro Sampling System(日立(株)製)
Strata400S(FEI社製)
スパッタコート(白金、10nm)後に、C(炭素)のデポジション製膜を実施。
観察条件:加速電圧300kV。
(2−1)GD−OES(Glow discharge optical emission spectrometry)による平均元素存在比率の測定
以下の測定条件にて、「C(炭素)」、「O(酸素)」および「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の発光強度を測定し、各元素の発光強度の合計値を100としたときの、「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の発光強度を前後30点の平均値を算出し、各元素の平均元素存在比率とした。
・分析装置 :堀場製作所製 GD−Profiler2
・放電ガス :Ne+O 混合ガス
・測定径 :4mmφ
・パルススパッタ :ON(周波数:50%、高周波印加時間:0.25%)。
まず、「樹脂層とフィルムの界面」の同定について、「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の平均元素存在比率について、測定時間の前後10秒で平均元素存在比率の差が±3未満となる領域を「一定範囲」とし、発光強度が「一定範囲」の1/3となる点を「樹脂層とフィルムの界面」とした。次に(2−1)で求めた「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の平均元素存在比率について、(1)で求めた樹脂層の膜厚に基づき、樹脂層表面(測定開始後30点の平均値)から「樹脂層とフィルムの界面」に対し、樹脂層厚み毎の「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の平均元素存在比率を算出し、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)と、樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)を算出した。
なお、合計で3箇所の樹脂層を測定して、平均値を平均元素存在比率とした。
ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度50%)において、積層フィルムサンプルを40時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS K 7136「透明材料のヘイズの求め方」(2000年版)に準ずる方式で行った。なお、サンプルの樹脂層が積層された面側から光を照射して測定した。サンプルは一辺50mmの正方形のものを10サンプル準備し、それぞれ1回ずつ、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
また、透明性はヘイズ値により、4段階評価を行った。×は実用上問題のあるレベル、△は実用レベルであり、○と○○のものは良好とした。
○○:0.8%以下
○ :0.8%を超えて1.0%以下
△ :1.0%を超えて2.0%以下
× :2.0%を超える。
スチールウール(ボンスター#0000、日本スチールウール(株)製)を荷重200g/cm2で10往復擦過し、積層フィルムの表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記評価を実施した。
○○:傷なし
○:傷1〜5本
△:傷6〜10本
×:傷11本以上。
幅100mm、長さ200mmの積層フィルムサンプルを樹脂層側がステンレスロール(φ30mm)に接するように垂れ掛け、一方の端部に10g/cm2となるように垂直方向に荷重をかけながら、もう一方の端部を速度10mm/sで垂直方向(真下に向けて)に引っ張りサンプル表面を滑らせた。この摩擦処理を施したサンプルにて、上記と同様に静摩擦係数μsの測定を行い、以下の評価を行った。なお、静摩擦係数μsは、ASTM−D−1894−63に準じ、静摩擦新東科学(株)製表面性測定機HEIDON−14DRを用いて、サンプル移動速度200mm/min、荷重200g、接触面積63.5mm×63.5mmの条件で測定し、アナライジングレコーダTYPE:HEIDON3655E−99で記録し、以下の評価を行った。△は実用レベル、○以上のものを良好とした。
△:0.80以上1.00未満
×:1.00以上
(5)接着性
積層フィルムの樹脂層側に1mm2のクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製、CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cm2の荷重で押しつけた後、積層フィルムに対して90度方向に急速に剥離した。接着性は残存した格子の個数により、4段階評価を行った。評価は10回実施した平均の値で行った。Cは実用上問題のあるレベル、△は実用レベルであり、○と○○のものは良好とした。
○○:90〜100個残存
○:80〜89個残存
△:50〜79個残存
×:0〜49個残存。
樹脂層に含有する無機粒子の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により積層フィルムの断面構造を観察することにより求めた。倍率を50万倍とし、その画面内に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定し、その平均粒子径を求めた。画面内に10個の粒子が存在しない場合は、同じ条件で別の箇所を観察し、その画面内に存在する粒子の外径を測定して、合計で100個の粒子の外径を測定して平均値とした。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて樹脂層の表面を3万倍の倍率で観察することにより、ポリエステルフィルム上の樹脂層に含まれる粒子について、EDX(エネルギー分散型X線分光法)による元素分析を実施し、対象となる金属元素を定めた。
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(b’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(b’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(b’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(B−1)を得た。
無機粒子(A)およびアクリル樹脂(B−1)の添加量比(質量比)は、(A)/(B−1)=50/50とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(BA)における、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の質量比は、(A)/(B−1)=50/50であった(なお、質量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
無機粒子(A)として、Ti元素を含む“NanoTek”TiO2スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径36nmを使用した以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−2)を得た。
無機粒子(A)として、Si元素を含む“スノーテックス”OLコロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径40nm)を使用した以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−3)を得た。
参考例1の無機粒子(A)およびアクリル樹脂(B−1)の添加量比(質量比)を、(A)/(B−1)=30/70とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−4)を得た。
参考例1の無機粒子(A)およびアクリル樹脂(B−1)の添加量比(質量比)を、(A)/(B−1)=65/35とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−5)を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(b’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(b’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(b’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレ−ト(b’−4)10重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(B−2)を得た。
なお、無機粒子(A)、アクリル樹脂(B−1)およびアクリル樹脂(B−2)の添加量比(質量比)は、(A)/(B−1)/(B−2)=50/10/40とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(AB)における、無機粒子(A)、アクリル樹脂(B−1)およびアクリル樹脂(B−2)の質量比は、(A)/(B−1)/(B−2)=50/10/40であった(なお、質量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
なお、得られた組成物(AB)を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3000rpm、分離時間30分)、無機粒子(A)(及び無機粒子(A)の表面に吸着したアクリル樹脂(B))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固させた。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析した結果、無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)が存在することが確認された。つまり、無機粒子(A)の表面には、アクリル樹脂(B)が吸着・付着しており、得られた組成物(AB)が無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を有する粒子に該当することが判明した。
参考例6の無機粒子(A)を、Si元素を含む“スフェリカ”140(触媒化成株式会社製 数平均粒子径140nm)を用いた以外は、参考例6と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−7)を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、水酸基を有する(メタ)アクリレート(b’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート50重量部、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレ−ト(b’−4)50重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、フッ素含有アクリル樹脂(B−4)を得た。
窒素ガス雰囲気下かつ常温(25℃)下で、容器1に、水100重量部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16)1重量部および過硫酸アンモニウム0.5重量部を仕込み、これを70℃に昇温し、溶解させ、70℃の溶液1を得た。次に、常温(25℃)下で、容器2に、下記の原料を下記の比率で添加し、攪拌し、溶液2を得た。
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16) 5モル部
・メタクリル酸メチル 62モル部
・アクリル酸エチル 30モル部
・アクリル酸 2モル部
・N−メチロールアクリルアミド 1モル部
その後、100重量部の溶液2に対し、水50重量部を添加し、溶液3を得た。窒素ガス雰囲気下で、溶液1を反応器に移し、反応器内の溶液の温度を70℃に保ちつつ、溶液3を溶液1に3時間かけて連続滴下せしめた。滴下終了後、更に85度で2時間攪拌したのち、25度まで冷却し、アンモニア水で中和して、アクリル樹脂(B−3)エマルジョンを得た。
はじめに、樹脂組成物1を次の通り調製した。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合し、樹脂組成物1を得た。
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<積層フィルム>
次いで、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。
次に樹脂組成物1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布厚み約6μmで塗布した。樹脂組成物を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、樹脂組成物を乾燥させ、樹脂層を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて230℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおいてPETフィルムの厚みは50μm、樹脂層の厚みは1.0μmであった。
得られた積層フィルムの特性等を表に示す。
透明性、耐スクラッチ性、滑り性、接着性に優れるものであった。
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
<実施例3>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・アクリル樹脂(B−3)70重量部
<実施例4>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−4) 100重量部
<実施例5>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−4) 27重量部
・アクリル樹脂(B−3)73重量部
<実施例6>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−5) 100重量部
<実施例7>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Ti元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”TiO2スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径36nm:A−2)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−2) 100重量部
<実施例8>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Si元素を含む無機粒子(A)(“スノーテックス”OLコロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径40nm):A−3)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−3) 100重量部
<実施例9>
厚み50μmのPETフィルム(東レ(株)製“ルミラー(登録商標)”T60)の片面に、実施例2で用いた樹脂組成物を乾燥後の厚みが1.0μmになるように塗布し、熱風オーブンを用い、100℃で2分乾燥させた後、再度230℃で20秒乾燥させ、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・オキサゾリン系化合物(日本触媒製“エポクロス”WS500) 20重量部
<実施例11>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”APM) 20重量部
<実施例12〜14>
樹脂層の厚みを表2に通り変更した以外は、実施例2と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表2に示す。
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
<実施例16>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
<実施例17>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィ
ルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Mg元素を含む無機粒子(A)(“SMO”(堺化学工業株式会社製 数平均粒子径100nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<実施例18>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Zr元素を含む無機粒子(A)(“ナノユース”ZR(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径90nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<実施例19>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Fe元素を含む無機粒子(A)(“TECNADIS”FE−120(エアブラウン株式会社製 数平均粒子径10nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<比較例1>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<比較例2>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
<比較例3>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
・Si元素を含む無機粒子(A)(“シーホスター”KE30W(日本触媒株式会社製 数平均粒子径300nm:A−3) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<比較例4>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Au元素を含む無機粒子(Si、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feを含まない)(A)(金ナノ粒子 Au−WPP08―C(大日本塗料株式会社製 数平均粒子径10nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
Claims (6)
- 2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層がAl、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有しており(前記無機粒子(A)を含有する表層を樹脂層と称す)、前記無機粒子(A)が、二酸化チタン(TiO 2 )、二酸化ジルコニウム(ZrO 2 )、二酸化セレン(SeO 2 )、酸化鉄(Fe 2 O 3 )、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )、酸化マグネシウム粒子から選ばれる1種類以上を含み、
前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲に存在するAl、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)が、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲に存在するAl、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きく、
前記平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)が、1.01以上3.0以下であり、
ヘイズが2.0%以下である積層フィルム。 - 前記樹脂層中の無機粒子(A)含有率が、樹脂層全体に対して、10〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記表層にある無機粒子(A)を含有する樹脂層は化合物(C)を含み、前記化合物(C)がオキサゾリン化合物および/またはメラミン化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記樹脂層の厚みが、0.3〜5μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、無機粒子(A)を含有する塗液を塗布し、次いで、前記熱可塑性樹脂フィルムを少なくとも一軸方向に延伸し、前記熱可塑性樹脂フィルムに熱処理を施して、該熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させる工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
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