以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
(実施の形態の概要)
まず、実施の形態に先立って、実施の形態の概要について説明する。図1を用いて、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1について説明する。図1は、実施の形態の概要にかかる無線通信装置の構成例を示す構成図である。
無線通信装置1は、無線LAN通信に対応する通信装置であって、例えば、モバイルルータ、無線LANアクセスポイント、リピータ、携帯電話端末、スマートフォン端末、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ装置等であってもよい。無線通信装置1は、CSMA−CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式に対応する無線通信装置である。無線通信装置1は、通信制御部2と、電源制御部3とを備える。
通信制御部2は、CSMA−CA方式により他の無線通信装置との間において取得した通信可能時間であって、図示しない無線通信端末との通信可能時間を、無線通信端末にデータを送信可能な送信可能時間を含む少なくとも1つの通信サイクルに区分する。通信制御部2は、第1の送信可能時間の経過後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間に無線通信端末に送信するデータが発生した場合、当該データを第1の送信可能時間よりも後の第2の送信可能時間に送信するように制御する。通信制御部2は、発生した無線通信端末に送信するデータの時間を含む時間を休止時間に設定する。
電源制御部3は、通信制御部2が設定した休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させる。
以上説明したように、通信制御部2は、無線通信端末との通信可能時間を、無線通信端末にデータを送信可能な送信可能時間を含む通信サイクルに区分する。そして、通信制御部2は、無線通信端末に送信するデータを送信可能時間に送信するように制御し、送信可能時間以外に発生したデータの時間を休止時間に割り当てる。電源制御部3は、通信制御部2が設定した休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させる。すなわち、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1は、無線チャネルが空き状態でない場合であっても、無線通信端末へのデータ送信を制御して休止時間を創出し、自装置を省電力状態に遷移させる。したがって、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1によれば、省電力化を図ることが可能となる。
(実施の形態1)
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。まず、実施の形態1について説明する。
<無線通信システムの構成例>
図2を用いて、実施の形態1にかかる無線通信システム100について説明する。図2は、実施の形態にかかる無線通信システムの概略を示す概略図である。無線通信システム100は、無線LANシステムである。無線通信システム100は、AP(Access Point)10と、無線子機20と、を備える。
AP10は、実施の形態の概要における無線通信装置1に対応する。AP10は、無線LANのアクセスポイントとして機能する無線通信装置である。AP10は、無線子機20と接続し、無線子機20と通信を可能とする。つまり、AP10および無線子機20は、1つの無線LANネットワークを形成する。AP10は、インターネット30と接続され、無線子機20が、例えば、インターネット30上のWebサーバのデータを閲覧する場合等、インターネット30上のデータを受信して無線子機20に送信する。また、AP10は、CSMA−CA方式に対応し、AP10がデータを送受信する場合、他の無線通信装置との間で通信可能時間を取得してデータの送受信を行う。
無線子機20は、実施の形態の概要における無線通信端末に対応する。無線子機20は、AP10を親機とする無線LANの子機である。無線子機20は、携帯電話端末、スマートフォン端末、タブレット型端末、モバイルルータ、パーソナルコンピュータ装置等であってもよい。
<APの構成例>
続いて、AP10の構成例について説明する。AP10は、無線通信部11、制御部12、送信バッファ13およびネットワークI/F(Interface)14を備える。
無線通信部11は、無線子機20と接続する通信部であって、無線子機20とデータの送受信を行う通信部である。無線通信部11は、図示しない、無線モジュールおよびアンテナを備えている。無線モジュールは、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格に準拠し、アンテナおよび無線回線を介して、無線子機20と接続および通信を行う。
制御部12は、AP10における各種制御を行う制御部であって、CPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、図示しないFROMに格納されたファームウェアなどのプログラムをRAMに展開して実行することによりAP10の動作を実行する。また、制御部12は、FROMに格納された当該プログラムを実行することにより、通信制御部121および電源制御部122として機能する。
通信制御部121は、実施の形態の概要にかかる通信制御部2に対応する。通信制御部121は、無線子機20を含む他の無線通信装置との通信を制御する制御部である。通信制御部121は、他の無線通信装置との間で取得した通信可能時間であって、無線子機20との通信が可能な時間である通信可能時間を、少なくとも1つの通信サイクルに区分する。
具体的には、通信制御部121は、通信可能時間を、無線子機20と同期を取るために用いるビーコン信号の送信間隔を示すビーコンサイクルを通信サイクルとする。なお、以降の説明において、通信サイクルをビーコンサイクルと称して記載することがある。
なお、通信制御部121は、通信可能時間を、ビーコンサイクルとは異なる所定時間毎の通信サイクルとして区分してもよい。もしくは、通信制御部121は、経過した通信サイクルにおいて、無線子機20に送信したデータ量に基づいて、通信サイクルの時間を可変にしてもよい。
通信制御部121は、ビーコンサイクル内に、無線子機20にデータを送信可能な送信可能時間と、無線子機20からデータを受信可能な受信可能時間と、を設定する。また、通信制御部121は、送信可能時間経過後に、所定時間内に無線子機20からデータを受信したか否かを判定するための無通信タイマを設定する。無通信タイマは、無線子機20との通信が行われているか否かを監視する無通信監視タイマとも言える。なお、以降の説明において、送信可能時間を送信ゲートと称して記載することがある。
送信可能時間(送信ゲート)は、任意に設定可能な時間であってもよい。例えば、送信可能時間(送信ゲート)は、ビーコンサイクルの半分の時間であってもよい。もしくは、送信可能時間(送信ゲート)は、ビーコンサイクルの3/4の時間であってもよい。もしくは、送信可能時間(送信ゲート)は、AP10を管理する管理者が任意に設定した時間であってもよい。なお、説明を行う上で便宜的に、以降の説明においては、送信可能時間(送信ゲート)は、ビーコンサイクルの半分の時間であるとして説明を行う。
受信可能時間は、送信可能時間と重複するように設定される。受信可能時間は、任意に設定可能な時間であってもよい。例えば、受信可能時間は、ビーコンサイクルの開始から終了までの時間であってもよい。もしくは、受信可能時間は、ビーコンサイクル内において、送信可能時間よりも長い時間であって、制限された時間であってもよい。なお、説明を行う上で便宜的に、以降の説明においては、受信可能時間は、ビーコンサイクルの開始から終了までの時間であるとして説明を行う。
また、通信制御部121は、無線子機20に送信するデータの送信を制御し、無線子機20に送信するデータが送信ゲートに送信されるように制御を行う。換言すると、通信制御部121は、送信ゲート以外の時間に発生した、無線子機20へ送信するデータを送信ゲートに送信するように制御を行い、送信ゲート以外の時間に発生したデータの送信時間を、無線子機20と通信を行わない休止時間に割り当てる。送信データを効率よく送る仕組みとして、フレームAggregation技術があるが、本実施の形態では、通信制御部121は、さらに送信ゲートを設定して送信データを送信する期間を限定することで、明確に送信しない時間(休止時間)を創出する。また、通信制御部121は、無通信タイマを用いて、無線子機20から受信するデータの発生状況を考慮して、休止時間を創出する制御を行う。
通信制御部121は、休止時間を設定すると、休止時間を含むダミーデータを無線子機20に送信して、無線子機20を含む他の無線通信装置からデータが送信されることを抑制する。具体的には、通信制御部121は、休止時間をヘッダ情報の送信禁止時間NAV(Network Allocation Vector)に設定し、データ部分を含まないダミーデータを生成して、無線子機20に送信する。ダミーデータは、データ部分を含まないデータであることからNullデータとも言える。なお、以降の説明において、ダミーデータをNullデータと称して記載することがある。
なお、本実施の形態では、上記のNullデータを用いて、設定した休止時間を他の無線通信装置に送信するが、CTS−to−Selfを用いてもよい。この場合、通信制御部121は、Nullデータを送信する代わりにCTS(Clear To Send)を送信する。通信制御部121は、CTSに含まれるNAVに休止時間を設定するようにしてもよい。
また、設定された休止時間が解除された後においても、例えば、送受信データが無い場合など、再度、休止時間を設定する条件に合致する場合も想定されるが、この場合、通信制御部121は、2回以上のNullデータを送信するようにしてもよい。
さらに、通信制御部121は、送信ゲートが終了すると、後述する送信バッファ13に蓄積されているデータ量に基づいて、送信ゲートの制御を行う。具体的には、通信制御部121は、送信ゲート終了時点で、当該送信ゲートの終了時点における送信バッファ13に蓄積されているデータ量と、当該送信ゲートの1つ前の送信ゲートの終了時点における送信バッファ13に蓄積されているデータ量とを比較する。1つ前の送信ゲートの終了時点における送信バッファ13に蓄積されたデータ量よりも、上記送信ゲートの終了時点における送信バッファ13に蓄積されたデータ量が多い場合、通信制御部121は、送信データを処理しきれなかったと判断できる。そのため、通信制御部121は、上記送信ゲートを含むビーコンサイクル内に、さらに送信ゲートを設定するように制御する。
通信制御部121は、上記送信ゲートを含むビーコンサイクルの全てを送信ゲートに設定するように制御してもよい。もしくは、通信制御部121は、上記送信ゲートを含むビーコンサイクルに、例えば、送信ゲートの半分の時間をさらに送信ゲートとして設定してもよい。もしくは、通信制御部121は、AP10の管理者が任意に設定した時間を、さらに設定する送信ゲートとしてもよい。もしくは、通信制御部121は、後述する送信バッファに残っているデータ量に基づいて、設定する送信ゲートを決定し、決定した送信ゲートをさらに設定してもよい。もしくは、通信制御部121は、上記送信ゲートを含むビーコンサイクルの次のビーコンサイクルの送信ゲートを、上記送信ゲートよりも長い時間とするように制御をしてもよい。なお、説明を行う上で便宜的に、以降の説明においては、通信制御部121は、上記送信ゲートを含むビーコンサイクルの全てを送信ゲートに設定すると仮定して説明を行う。上述した通信制御部121の構成について、以降において図を用いてさらに説明する。
次に、電源制御部122について説明する。電源制御部122は、実施の形態の概要にかかる電源制御部3に対応する。電源制御部122は、通信制御部121が休止時間を設定すると、休止時間の間、AP10を省電力状態に遷移させる。電源制御部122は、無線通信部11への電力供給を停止することにより、AP10を省電力状態に遷移させてもよい。もしくは、電源制御部122は、無線通信部11に対して、無線子機20との通信を行わないように指示し、無線通信部11が無線子機20との通信を遮断することにより省電力状態に遷移させてもよい。
次に、送信バッファ13について説明する。送信バッファ13は、無線子機20に送信する送信データを一時的に蓄積するバッファである。送信バッファ13は、通信制御部121が無線子機20に送信データを送信する制御をする場合、蓄積した送信データのうち、無線子機20に送信する送信データを取り出して、無線通信部11を介して、無線子機20に送信する。送信バッファ13は、無線子機20に送信データが送信されると、送信したデータ量分が減算される。一方、送信バッファ13は、無線子機20に送信するデータを受信すると、当該データ量分が加算される。
ネットワークI/F14は、インターネット30と接続および通信を行う通信部である。例えば、無線子機20がWEBページなどを閲覧した場合、無線通信部11およびネットワークI/F14を介して、インターネット30に設けられたWEBサーバと無線子機20との間においてデータの送受信を行う。
<通信制御部の構成の詳細>
続いて、通信制御部121の構成の詳細を説明する。まず、図3を用いて、送信可能時間、受信可能時間および休止時間について説明する。図3は、送信可能時間、受信可能時間および休止時間の関係を説明する図である。また、図3は、時刻と、AP10におけるデータの送受信状況および消費電力と、の関係を示す図である。
図3(A)は、無線子機20との通信可能時間において、無線子機20へ送信するデータ(送信データ)および無線子機20から受信するデータ(受信データ)の発生状況を示す図である。図3(B)は、通信制御部121が制御を行った後の状況を示す図である。
図3(A)および図3(B)は、横軸を時間とし、縦軸をAP10における消費電流とする図である。図3(A)の横軸と、図3(B)の横軸および縦軸のスケールとは対応しており、tx(x:1以上の自然数)は、時刻txであることを示している。図3(A)および図3(B)において、ハッチングされたブロックはAP10において送受信されるデータを示している。斜線によりハッチングされたブロックは、ビーコン信号を示しており、横線によりハッチングされたブロックは、無線子機20に送信する送信データを示している。縦線によりハッチングされたブロックは、無線子機20から受信する受信データを示しており、点によりハッチングされたブロックは、Nullデータを示している。
まず、図3(A)について説明する。一例として、図3(A)は、時刻t1までに無線子機20から受信データを受信(受信データが発生)し、時刻t1からt2までの間に無線子機20に送信する送信データが発生していることを示している。また、時刻t2からt3までの間は、無線子機20から受信データを受信し、時刻t3からt4の間は、無線子機20との同期を取るためのビーコン信号を送信していることを示している。時刻t7からt8の間は、送信データも受信データも発生していないことを示している。
次に、図3(B)について説明する。図3(B)に示す様に、通信制御部121は、無線子機20との通信可能時間を、ビーコン送信間隔を示すビーコンサイクルに区分する。図3(B)では、通信制御部121は、通信可能時間を、ビーコンサイクル#n−1、#nおよび#n+1(n:1以上の自然数)に区分したことを示している。
そして、通信制御部121は、ビーコンサイクル内に、送信ゲートと、受信可能時間と、を設定する。ビーコンサイクル#nを例にすると、通信制御部121は、時刻t3からt14までの時間を送信ゲート#nに設定し、時刻t3からt10までの時間を受信可能時間#nに設定する。同様に、通信制御部121は、ビーコンサイクル#n−1および#n+1においても、送信ゲートと受信可能時間とを設定する。
ここで、通信制御部121は、送信ゲート以外の時間に発生した送信データを、次のビーコンサイクルにおける送信ゲートに送信するように制御を行い、発生した送信データの時間分を休止時間に設定する。
具体的に説明すると、図3(A)において、時刻t1からt2の間に、送信データData#1が発生している。しかし、図3(B)に示すように、時刻t13(時刻t13<時刻t1)において、ビーコンサイクル#n−1の送信ゲート#n−1が終了している。そのため、通信制御部121は、送信データData#1を送信ゲート#n−1の次の送信ゲート#nに送信するように制御を行い、送信データData#1の送信時間分を含むように休止時間に設定する。通信制御部121は、次のビーコン信号の送信までの残り時間および最大送信時間(Max−TXOP)のうちの小さい時間を休止時間に設定する。換言すると、休止時間は、設定された休止時間を含む通信サイクルの終了までの時間、および最大送信時間(Max−TXOP)のうちの小さい時間である。
通信制御部121は、設定した休止時間をヘッダ情報の送信禁止時間NAVに設定し、データ部分を含まないNullデータ#1を生成して、無線子機20を含む他の無線通信装置に送信する。例えば、通信制御部121が次のビーコン信号の送信までの残り時間を休止時間として設定したとすると、図3(B)の時刻t1において、設定した休止時間を含むNullデータ#1を他の無線通信装置に送信する。そうすると、時刻t1からt3までの間は、送信禁止時間として設定されるので、無線子機20を含む他の無線通信装置からデータが送信されることを抑制することが出来る。すなわち、送信データも受信データも発生しない状態とすることが可能となるため、通信制御部121は、時刻t1からt3までの間を休止時間として設定して、電源制御部122に休止時間を設定したことを通知する。電源制御部122は、通信制御部121がNullデータを送信すると、AP10を省電力状態に遷移させる。
また、通信制御部121は、送信ゲート経過後の受信可能時間において、無通信タイマを設定する。通信制御部121は、無通信タイマが満了するまでの間に、無線子機20からデータを受信しない場合または無線子機20に送信するデータが発生しない場合、休止時間を設定する。無通信タイマが満了するまでの間に、無線子機20からデータを受信しない場合、通信制御部121は、無線子機20における送信バッファにデータが蓄積されていない状態(空の状態)であると判断することが出来るからである。通信制御部121は、休止時間を設定する場合、上記と同様に、休止時間をヘッダ情報の送信禁止時間NAVに設定したNullデータを、無線子機20を含む他の無線通信装置に送信する。なお、通信制御部121は、無通信タイマの間に、無線子機20からデータを受信した場合、無通信タイマを初期化して、無線子機20からデータを受信することを待つ状態を継続する。
具体的に説明すると、図3(B)において、時刻t14で送信ゲート#nが終了すると、通信制御部121は、無通信タイマを設定する。時刻t14からt7までの間には、受信データが発生している。そのため、通信制御部121は、無通信タイマが満了した後、無通信タイマを初期化して無通信タイマを起動し続ける。
時刻t7において、無線子機20からのデータが終了して、無通信タイマが満了したとすると、通信制御部121は、無線子機20における送信バッファが空の状態であると判断することが出来るので、休止時間を設定する。例えば、通信制御部121が次のビーコン信号の送信までの残り時間を休止時間として設定したとすると、図3(B)の時刻t7において、設定した休止時間を含むNullデータ#2を他の無線通信装置に送信する。そうすると、時刻t7からt10までの間は、送信禁止時間として設定されているため、他の無線通信装置からデータが送信されることを抑制することが出来る。すなわち、送信データも受信データも発生しない状態とすることが可能となるため、通信制御部121は、時刻t7からt10までの間を休止時間として設定して、電源制御部122に休止時間を設定したことを通知する。
なお、図3(A)に示すように、時刻t8からt9の間に、送信データData#3が発生しているが、次の送信ゲートである送信ゲート#n+1に、送信データData#3を送信するように制御する。この場合、既に休止時間が設定されているため、通信制御部121は、再度休止時間を設定しない。
続いて、図4を用いて、送信バッファ13を用いた通信制御部121の処理について説明を行う。図4は、送信バッファを用いた通信制御部の処理を説明するための図である。図4は、例えば、無線子機20がWebページなどを閲覧した際に発生する、送受信データの状況を示している。また、図4は、時刻と、AP10におけるデータの送受信状況、消費電力および送信バッファ13の状態と、の関係を示す図である。
図4の上図は、送信バッファ13の状態を示している。円筒形のブロックは、送信バッファ13が蓄積可能なデータ量を示し、円筒形のブロックのうち、ハッチングされた部分は、送信バッファ13に蓄積されている、無線子機20に送信する送信データ(蓄積データと称して説明する)を示している。
図4の上図に示すように、無線子機20がFTPで大きなファイルをダウンロードするなどでない場合、大抵の無線通信は間欠動作になる。無線LANの送信負荷は、物理層のプロトコルがIEEE 802.11acなのかIEEE 802.11nなのか、などによって能力が変わってくるが、間欠通信中である多くの場合、必要となるスループットは、能力よりも十分に低い。本実施の形態では、送信が滞りなく捌けているかを知る指標として、送信バッファ13を用いる。送信バッファ13の蓄積データが一杯になっているということは、AP10の送信能力を越えたデータが滞留していることを示しているし、送信バッファ13が空であるということは、送信するデータが無い状態を示している。
図4の下図は、図3(A)および図3(B)と同様に、横軸を時間とし、縦軸をAP10における消費電流とする図を示している。また、図4の下図におけるハッチングされたブロックは、図3(B)と同様であるため説明を割愛する。また、図4は、通信制御部121が、通信可能時間を、ビーコンサイクル#m(m:1以上の自然数)と、ビーコンサイクル#m+1に区分し、各ビーコンサイクルに送信ゲートと受信可能時間とを設定していることを示している。
図4のうち、ビーコンサイクル#mは、上述したように、通信制御部121が、休止時間を設定する場合の送受信データの状況および送信バッファ13の状態を示している。また、図4のうち、ビーコンサイクル#m+1は、通信制御部121が休止時間を設定せずに、さらに送信ゲートを設定する場合の送受信データの状況および送信バッファ13の状態を示している。
まず、図4のうち、ビーコンサイクル#mについて説明する。図4において、送信バッファ13の状態1は、送信ゲート#mが開始した時点の送信バッファ13の状態を示している。送信ゲート#mが開始すると、通信制御部121は、送信バッファ13の蓄積データのうち、無線子機20に送信する送信データを取り出し、無線子機20に送信する。図4に示す一例では、通信制御部121は、送信データData#11および送信データData#12を送信バッファ13から取り出して、無線子機20に送信する制御を行う。
送信バッファ13の状態2は、送信ゲート#mが終了した時点の送信バッファ13の状態を示している。状態2において、送信バッファ13は、送信データData#11および送信データData#12が取り出されているため、状態1の蓄積データ量よりも少ないデータ量が蓄積されている。
送信ゲート#mが終了すると、通信制御部121は、送信ゲート#mが経過した時点における送信バッファ13の蓄積データ量と、送信ゲート#m−1が経過した時点における送信バッファ13の蓄積データ量と、を比較する。比較した結果、送信ゲート#mが経過した時点の送信バッファ13の蓄積データ量が、送信ゲート#m−1が経過した時点の送信バッファ13の蓄積データ量よりも少ない場合、通信制御部121は、送信データを滞りなく送信していると判断することが出来る。そのため、通信制御部121は、さらに送信ゲートを設定する必要がないと判断して、休止時間を設定可能であれば、休止時間を設定する。ビーコンサイクル#mにおいて、通信制御部121が休止時間を設定する場合、上述した様に、Nullデータ#11を他の無線通信装置に送信して、省電力状態に遷移する。なお、省電力状態においても、ネットワークI/F14は動作可能であるため、無線子機20に送信する送信データが発生する可能性があるが、発生した送信データは送信バッファ13に蓄積される。
続いて、ビーコンサイクル#m+1について説明する。送信バッファ13の状態3は、送信ゲート#m+1が開始した時点の送信バッファ13の状態を示している。休止時間#mにおいて、送信データが多量に発生した場合、送信バッファ13の状態は、状態#3のように、蓄積データ量が状態#1の蓄積データ量よりも多く蓄積されることになる。送信ゲート#m+1が開始すると、送信ゲート#mと同様に、通信制御部121は、送信バッファ13の蓄積データのうち、無線子機20に送信する送信データを取り出し、無線子機20に送信する。図4に示す一例では、通信制御部121は、送信データData#13および送信データData#14を送信バッファ13から取り出して、無線子機20に送信する制御を行う。
送信バッファ13の状態4は、送信ゲート#m+1が終了した時点の送信バッファ13の状態を示している。状態4において、送信バッファ13は、送信データData#13および送信データData#14が取り出されているため、状態3の蓄積データ量よりも少ないデータ量が蓄積されている。
送信ゲート#m+1が終了すると、通信制御部121は、送信ゲート#m+1が経過した時点における送信バッファ13の蓄積データ量と、送信ゲート#mが経過した時点における送信バッファ13の蓄積データ量と、を比較する。比較した結果、送信ゲート#m+1が経過した時点における送信バッファ13の蓄積データ量が、送信ゲート#mが経過した時点における送信バッファ13の蓄積データ量よりも多い場合、通信制御部121は、送信能力を超えたデータが滞留していると判断する。そのため、通信制御部121は、ビーコンサイクル#m+1において、さらに送信ゲートを設定するように制御を行う。通信制御部121は、ビーコンサイクル#m+1において、送信ゲート#m+1’をさらに設定する。
送信ゲート#m+1’が開始すると、通信制御部121は、上記と同様の処理を行い、無線子機20に送信データData#15および送信データData#16を送信する。そうすると、送信バッファ13の状態は、状態5のように、状態4の蓄積データ量よりも少ないデータ量とすることが可能となる。
このように、通信制御部121は、送信ゲートが終了した時点で、当該送信ゲートの前の送信ゲートが終了した時点の蓄積データ量と、当該送信ゲートが終了した時点の蓄積データ量との比較を行う。そして、通信制御部121は、比較結果に基づいて、滞りなく送信データを送信出来ている場合には休止時間を創出するように制御を行う。一方、通信制御部121は、送信能力を超えるデータ量を送信バッファ13に蓄積している場合には、送信データを滞りなく送信出来るように、さらに送信ゲートを設定するように制御する。このような制御をすることによって、無線子機20との通信に与える影響を低減するようにして、休止時間を創出するように制御を行う。
<APの動作例>
続いて、図5を用いて、実施の形態1にかかるAP10の動作例について説明する。図5は、実施の形態1にかかるAPの動作例を示すフローチャートである。まず、前提として、通信制御部121は、無線子機20との通信可能時間を、ビーコンサイクルに区分し、送信ゲートおよび受信可能時間を設定する。図5は、ビーコンサイクル毎に行う動作である。
まず、通信制御部121は、ビーコンサイクルが開始されると、無線通信部11を介して、ビーコン信号を送信する(ステップS1)。次に、通信制御部121は、送信ゲート内であるか否かを判定する(ステップS2)。
通信制御部121が送信ゲート内であると判定すると(ステップS2のYES)、送信データがある場合、送信バッファ13から取り出して、無線子機20に送信する(ステップS3)。そして、ステップS2に戻り、送信ゲートが終了するまで、送信データがある場合、送信バッファ13から取り出して、無線子機20に送信する。
一方、ステップS2において、通信制御部121が送信ゲート内ではないと判定すると(ステップS2のNO)、通信制御部121は、ビーコンサイクルが終了しているか否かを判定する(ステップS4)。通信制御部121は、ビーコンサイクルが終了していると判定すると(ステップS4のYES)、処理を終了する。
一方、通信制御部121は、ビーコンサイクルが終了していないと判定すると(ステップS4のNO)、送信バッファ13の蓄積データ量が、1つ前の送信ゲート終了時の蓄積データ量よりも多いかを判定する(ステップS5)。
通信制御部121は、送信バッファ13の蓄積データ量が、1つ前の送信ゲート終了時の蓄積データ量よりも少ないと判定する場合(ステップS5のNO)、無通信タイマを設定する(初期化する)(ステップS6)。
次に、通信制御部121は、受信可能時間内かを判定する(ステップS7)。受信可能時間内である場合(ステップS7のYES)、ステップS8に進む。一方、受信可能時間内である場合、つまり、受信可能時間が終了した場合(ステップS7のNO)、処理を終了する。
ステップS8において、通信制御部121は、送信データがあるか、または受信データがあるか、を判定する(ステップS8)。ステップS8において、受信データが有る場合、つまり、無線子機20からデータを受信した場合、ステップS6に戻る。
一方、ステップS8において、受信データが無い場合、または送信データが有る場合、通信制御部121は、休止時間をヘッダ情報に設定したNullデータを、無線通信部11を介して、他の無線通信装置に送信する(ステップS9)。つまり、ステップS8において、無通信タイマが満了した場合、または、送信ゲート経過後に送信データが発生した場合、通信制御部121は、休止時間を設定する。そして、通信制御部121は、休止時間をヘッダ情報に設定したNullデータを、無線通信部11を介して、他の無線通信装置に送信する。また、通信制御部121は、Nullデータを送信すると、電源制御部122に通知する。
次に、電源制御部122は、通信制御部121が設定した休止時間の間、AP10を省電力状態に遷移させて(ステップS10)、処理を終了する。AP10は、次のビーコンサイクルが開始されるタイミングで省電力状態を解除して、図5に示す動作を行う。
また、ステップS5において、通信制御部121は、送信バッファ13の蓄積データ量が、1つ前の送信ゲート終了時の蓄積データ量よりも多いと判定すると(ステップS5のYES)、同一のビーコンサイクルに送信ゲートをさらに設定する(ステップS11)。AP10は、ステップS11の動作を行うと、ステップS2に戻る。
以上説明したように、通信制御部121は、無線子機20に送信するデータの送信を送信可能時間に制御し、休止時間を創出して設定する。そして、電源制御部122は、通信制御部121が設定した休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させる。そのため、実施の形態1にかかるAP10を用いることによって、無線チャネルが空き状態でない場合であっても、省電力化を図ることが可能となる。
そして、通信制御部121は、無線子機20に送信するデータの送信を制御し、送信可能時間にひとまとめにして無線子機20にデータを送信する。そのため、通常であれば、無線子機20に送信するデータの発生時間が分散し、伝送効率が低下する場合であっても、本実施の形態にかかるAP10を用いることにより、伝送効率を高めることが可能となる。
また、通信制御部121は、送信ゲートが終了した後、無通信タイマを設定して、無通信タイマの間に無線子機20からの受信データが無い場合、休止時間を設定する。そして、電源制御部122は、通信制御部121が設定した休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させる。そのため、実施の形態1にかかるAP10を用いることによって、不定期に受信データが発生し得る受信可能時間においても省電力化を図ることが可能となる。
上述したように、例えば、Webページなどを無線子機20が閲覧した場合など、間欠通信時のAPの省電力化は、データを受信する際の待機電力を削減することが重要になる。無線子機20は、例えば、PS−Poll方式等を用いることにより、任意のタイミングで省電力化を図ることが可能となる。一方、APは、受信データが不定期に発生し得るため、常に受信回路を活性化させていなければならない。そこで、実施の形態にかかるAP10を、上述したように構成することによって、受信データが不定期に発生し得る状況においても、省電力化を図ることが可能となる。
さらに、通信制御部121は、無通信タイマが満了しても、無線子機20から受信データを受信しない場合に休止時間を設定する。また、通信制御部121は、送信バッファ13の蓄積データ量に基づいて、滞りなく送信データを送信出来ている場合にのみ休止時間を設定する。そのため、実施の形態1によれば、無線子機20との通信への影響を低減しつつ省電力化を図ることが可能となる。
またさらに、通信制御部121は、休止時間を設定したNullデータを他の無線通信装置に送信することにより、他の無線通信装置におけるデータ送信を抑制する。したがって、本実施の形態によれば、他の無線通信装置においても、休止時間の間は電力消費を低減することが出来るという効果も有する。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1の改良例である。まず、実施の形態2の詳細を説明する前に、実施の形態2の概要を説明する。
無線通信システム内の各無線通信装置は、1つの媒質である大気中を多数の無線通信装置で共有するために、CSMA−CA方式に基づいて自立共存できるようになっている。しかし、仮に、各APが、全ての受信データにおける全ての情報をモニタしてしまうと、送信データが一切無かった場合であっても、常に全ての受信データにおける全ての情報をモニタする必要が生じてしまう。そのため、この場合、各APは、省電力状態に遷移することが出来ない。
そこで、本実施の形態では、各APは、受信したデータが自装置宛のデータであるか否かを判定する。そして、各APは、自装置宛のデータではないと判定すると、受信データのうち、自装置宛のデータではないと判定した以降のデータ分の時間に省電力状態に遷移させるように制御する。それでは、実施の形態2の詳細を説明する。
<無線通信システムの構成例>
図6を用いて、実施の形態2にかかる無線通信システム200について説明する。図6は、実施の形態2にかかる無線通信システムの概略を示す概略図である。
無線通信システム200は、AP40および50と、無線子機20および60と、を備える。つまり、無線通信システム200は、実施の形態1にかかる無線通信システム100と比較すると、AP10がAP40に置き換わり、AP50および無線子機60をさらに備える構成である。
AP40および50は、無線LANのアクセスポイントとして機能する無線通信装置である。AP40および50は、CSMA−CA方式に対応するアクセスポイントである。AP40は、実施の形態1のAP10に対応している。AP40および50は、同じ構成であってもよく、異なる構成であってもよい。なお、以降の説明において、AP50の構成は、AP40の構成と同じ構成であるとして説明を行う。また、図6において、AP50は、インターネット30と接続されていないように図示されているが、インターネット30に接続されていてもよい。
AP40は、無線子機20と接続し、無線子機20と通信を可能とする。AP50は、無線子機60と接続し、無線子機60と通信を可能とする。AP40および無線子機20は、無線LANネットワークを形成する。AP50および無線子機60は、AP40および無線子機20が形成する無線LANネットワークと異なる無線LANネットワークを形成する。つまり、無線通信システム200は、複数の無線LANネットワークが含まれる無線通信システムと言える。
AP40および無線子機20が形成する無線LANネットワークの識別子はBSS(Basic Service Set)#1であり、AP50および無線子機60が形成する無線LANネットワークの識別子はBSS#2である。BSS#1およびBSS#2には、それぞれ固有のBSSIDが割り振られており、異なる無線LANネットワークの通信装置(アクセスポイント、無線子機)とは通信を行わない。なお、BSS#1およびBSS#2において、無線子機は1台(無線子機20または無線子機60)のみが記載されているが、当然ながら複数台の無線子機を有していてもよい。また、無線通信システム200に含まれる無線LANネットワークは3つ以上であってもよい。
無線子機20および60は、それぞれ、AP40および50を親機とする無線LANの子機である。無線子機20は、実施の形態1における無線子機20に対応する。無線子機20および60は、携帯電話端末、スマートフォン端末、タブレット型端末、モバイルルータ、パーソナルコンピュータ装置等であってもよい。
<APの構成例>
続いて、実施の形態2にかかるAPの構成例について説明する。上述したように、AP40および50は同様の構成であるため、AP40を用いて、実施の形態2にかかるAPの構成例を説明する。
AP40は、実施の形態1にかかるAP10の構成のうち、制御部12が制御部42に置き換わっている。具体的には、AP40は、通信制御部121が通信制御部421に置き換わっており、電源制御部122が電源制御部422に置き換わっている。なお、制御部42の構成は、基本的に実施の形態1の制御部12と同様である。また、AP40の構成のうち、その他の構成については、実施の形態1と同様である。そのため、本実施の形態において、通信制御部421および電源制御部422の構成を説明する。
通信制御部421は、実施の形態1にかかる通信制御部121と基本的に同様の構成をしているが、以下の点で異なる。そのため、本実施の形態において、通信制御部421の構成のうち、実施の形態1の通信制御部121の構成と異なる点を説明し、実施の形態1と同様の構成については説明を割愛する。
通信制御部421の構成例を、図7および図8を用いて説明する。図7および図8は、通信制御部の構成例を説明するための図である。
まず、図7について説明する。図7は、無線通信システム200の1つの媒質である大気中を送受信されるデータ構造の一例を示す図(図7(A))と、通信制御部421の構成例を説明する図(図7(B)および図7(C))とを含む図である。
図7(A)は、IEEE802.11ac通信規格に準拠したデータ(Wi−Fiフレームと称して記載する)の構造を示している。図7(A)に示すWi−Fiフレームは、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol/Procedure) Preambleと、Signalと、MAC(Media Access Control) Headerと、Packet Dataと、を含む。図7(A)のフレーム構造は、一般的なIEEE802.11ac通信規格に準拠したデータの構造と同様であるため詳細な説明を割愛する。
次に、図7(B)および図7(C)を用いて、通信制御部421の構成例を説明する。図7(B)を用いて、AP40がIEEE802.11n通信規格に準拠したアクセスポイントであって、図7(A)に示すIEEE802.11acのWi−Fiフレームを受信した場合の通信制御部421の構成例を説明する。
AP40が図7(A)のWi−Fiフレームを受信すると、通信制御部421は、PLCP PreambleとSignalとを確認して、自装置宛のデータであるか否かを判定する。この場合、通信制御部421は、PLCP PreambleとSignalとを確認することにより、図7(A)のWi−Fiフレームが、自装置と異なる通信規格のWi−Fiフレームであると判定出来る。つまり、通信制御部421は、受信したWi−Fiフレームが自装置宛ではないWi−Fiフレームであることを判定することが出来る。そのため、通信制御部421は、MAC Header以降のデータを読み込まず、電源制御部422を介して、MAC Header以降のデータ分の時間に省電力状態に遷移させる。
次に、図7(C)を用いて、AP10がIEEE802.11ac通信規格に準拠したアクセスポイントであって、自装置宛ではないWi−Fiフレームを受信した場合の通信制御部421の構成例を説明する。
AP40が図7(A)のWi−Fiフレームを受信すると、通信制御部421は、通信規格が同じであるため、MAC HeaderのMACアドレスを確認し、自装置宛であるか否かを判定する。通信制御部421がMACアドレスを確認して、受信したWi−Fiフレームが自装置宛ではないWi−Fiフレームであると判定した場合、通信制御部421は、Packet Data以降のデータを読み込まない。そして、通信制御部421は、電源制御部422を介して、Packet Data以降のデータ分の時間に省電力状態に遷移させる。
このように、通信制御部421は、データを受信した場合、受信したデータのヘッダ情報を確認して、自装置宛のデータであるか否かを判定する。
次に、図8を用いて、受信したデータの一部に、自装置宛のデータではないデータが含まれている場合の通信制御部421の構成例を説明する。図8は、時刻と、AP40におけるデータの送受信状況および消費電力と、の関係を示す図である。
図8(A)は、AP40のデータの送受信状況を示しており、ビーコンサイクル#l(l:1以上の自然数)の時刻t31からt32、および時刻t33からt34において、AP40が無線子機20からデータを受信していることを示している。また、時刻t32からt33、および時刻t34からt35において、AP40は、BSS#2のデータを受信したことを示している。
図8(B)は、図8(A)の状況において、通信制御部421が制御を行った後の状況を示す図である。通信制御部421は、データを受信すると、受信したデータが自装置宛のデータであるか否かをデータのヘッダ情報を確認して判定する。そうすると、通信制御部421は、時刻t32からt33、および時刻t34からt35において、自装置宛のデータではないデータを受信したと判定する。そのため、図8(B)に示すように、通信制御部421は、時刻t32からt33、および時刻t34からt35に、電源制御部422を介して、AP40を省電力状態に遷移させる。なお、上記のように、通信制御部421は、受信したデータのヘッダ情報を判定するので、図8(B)に示すように、受信したデータが自装置宛のデータではないと判定した後に、AP40を省電力状態に遷移させる。
続いて、図6および図8を用いて、電源制御部422について説明する。電源制御部422は、実施の形態1にかかる電源制御部122と基本的に同様の構成をしているが、以下の点で異なる。そのため、本実施の形態において、電源制御部422の構成のうち、実施の形態1の電源制御部122の構成と異なる点を説明し、実施の形態1と同様の構成については説明を割愛する。
電源制御部422は、通信制御部421が、受信したデータが自装置宛のデータではないと判定した場合、当該データのうち、自装置宛のデータではないと判定した以降のデータ分の時間に、自装置を省電力状態に遷移させる。
<APの動作例>
続いて、図9を用いて、実施の形態2にかかるAP40の動作例について説明する。図9は、実施の形態2にかかるAPの動作例を説明するフローチャートである。図9は、AP40が、データを受信した場合に行う動作例である。
まず、AP40は、データを受信すると(ステップS21)、通信制御部421は、受信したデータが自装置宛のデータであるか否かを判定する(ステップS22)。通信制御部421が、自装置宛のデータであると判定する場合(ステップS22のYES)、特に何もせず、実施の形態1と同様の動作を行う。
一方、通信制御部421が、受信したデータが自装置宛のデータではないと判定した場合(ステップS22のNO)、自装置宛のデータではないと判定した以降のデータ分の時間に、電源制御部422を介して、省電力状態に遷移させる(ステップS23)。その後、受信したデータのうち、自装置宛のデータではないと判定した以降のデータが終了した時点で、電源制御部422は、省電力状態を解除して、実施の形態1と同様の動作を行う。
以上、説明したように、通信制御部421は、受信したデータが自装置宛のデータであるか否かを判定し、自装置宛のデータではない場合、電源制御部422を介して、自装置を省電力状態に遷移させる。他のBSSの通信が行われている場合は、自装置を省電力状態とすることが可能であり、省電力状態とした方が好ましいからである。本実施の形態にかかるAP40を用いることにより、他のBSSの通信状況を加味した省電力化を図ることが可能となる。したがって、本実施の形態によれば、実施の形態1よりも省電力を図ることが可能となる。
また、無線通信システム200において、無線が混雑している状態である混雑環境下においては、他のBSSの通信が増加する可能性がある。したがって、このような場合には、本実施の形態にかかるAP40をも散ることによって、より効果的な省電力化を図ることが可能となる。
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。実施の形態3は、実施の形態1および2の改良例である。そのため、実施の形態3は、実施の形態2を用いて説明する。実施の形態3にかかるAPは、実施の形態2と同様に、CSMA−CA方式に対応するアクセスポイントである。本実施の形態にかかるAPは、他の通信有無および電子機器が発するノイズ有無を判定することにより、無線通信システムにおける無線環境が混雑していない状態であるかを判定し、無線環境が混雑していない場合、さらに休止時間を設定する。
<無線通信システムの構成例>
図10を用いて、実施の形態3にかかる無線通信システム300について説明する。図10は、実施の形態3にかかる無線通信システムの概略を示す概略図である。
無線通信システム300は、AP50および70と、無線子機20および60と、電子機器80と、を備える。つまり、無線通信システム300は、実施の形態2にかかる無線通信システム200と比較すると、AP40がAP70に置き換わり、電子機器80をさらに備える構成である。無線通信システム300において、AP50および70は、実施の形態2と同様にCSMA−CA方式に対応するアクセスポイントである。なお、AP50および70と、無線子機20および60とは、実施の形態2と基本的に同様であるため説明を割愛する。また、AP50および70は、実施の形態2と同様に、同じ構成を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。なお、以降の説明においては、AP50および70は同じ構成であるとして説明を行う。
電子機器80は、例えば、電子レンジなどの電子機器である。電子機器80は、電子機器80が動作する場合に電波を発する。当該電波は、BSS#1およびBSS#2に属する通信装置に対してはノイズとなる電波となる。なお、図10において、電子機器80は、1台のみが記載されているが、複数台であってもよい。
<APの構成例>
続いて、AP70を用いて、APの構成例について説明する。AP70は、実施の形態2にかかるAP40の構成のうち、制御部42が制御部72に置き換わっている。具体的には、AP70は、通信制御部421が通信制御部721に置き換わっており、電源制御部422が電源制御部722に置き換わっている。なお、制御部72の構成は、基本的に実施の形態2の制御部42と同様である。また、AP70の構成のうち、その他の構成については、実施の形態2と同様である。そのため、本実施の形態において、通信制御部721および電源制御部722の構成を説明する。
通信制御部721は、実施の形態2にかかる通信制御部421と基本的に同様の構成をしているが、以下の点で異なる。そのため、本実施の形態において、通信制御部721の構成のうち、実施の形態2の通信制御部421の構成と異なる点を説明し、実施の形態2と同様の構成については説明を割愛する。
ここで、図11を用いて、通信制御部721の構成について説明する。図11は、実施の形態3にかかる通信制御部の構成例を説明する図である。図11には、AP70を含むBSS#1のデータの送受信状況と、電子機器80の電波の発生状況(Noise Energyの放出状況)と、AP50を含むBSS#2のデータの送受信状況と、を示している。
AP70はCSMA−CA方式に対応するアクセスポイントである。そのため、通信制御部721は、送受信データが他の無線通信装置が送受信するデータと衝突しないように、データの送受信前にバックオフタイムに基づくキャリアセンス(Carrier Sense)とエナジーデテクション(Energy Detection)を行う。
図11に示す一例では、AP70を含むBSS#1による通信が終わった後、電子機器80によるNoise Energyが放出され、当該ノイズが消えるのを待って、BSS#2の通信が行われる。つまり、BSS#2の通信は、電子機器80のノイズを検出しなくなった時点で開始される。通信制御部721は、BSS#1の通信が終わった後、電子機器80のノイズを検出しなくなった後、BSS#2の通信が終わった後に、バックオフ時間1101を設定する。そして、通信制御部721は、バックオフ時間1101において、他の通信有無または電子機器80の動作有無を監視および判定する。つまり、通信制御部721は、バックオフ時間1101を設定して、バックオフ時間1101が経過するまで無線チャネルが空いている状態であるか否かを監視および判定する。なお、バックオフ時間1101は、コンテンションウィンドウ(Contention Window)の最大値CWmaxであってもよい。
通信制御部721は、バックオフ時間1101が経過しても他の通信が無い場合、つまり、無線チャネルが空き状態であると判定した場合、その後の通信をガードするために、休止時間1102を設定する。
図11に示す一例では、AP70の通信制御部721は、BSS#1の通信が終了した時点で設定したバックオフ時間1101内に、電子機器80のノイズが発生し、通信制御部721がノイズを検出しているので、通信制御部721は何も行わない。また、電子機器80のノイズを検出しなくなった時点で設定したバックオフ時間1101内に、BSS#2の通信が発生しているので、通信制御部721は何も行わない。一方、BSS#2の通信が終了した時点で設定したバックオフ時間1101内に、他の通信が発生せず、さらに電子機器80が動作することによるノイズが発生していない。この場合、通信制御部721は、無線チャネルが空き状態であると判定し、休止時間1102を設定する。
そして、通信制御部721は、休止時間1102をヘッダ情報に設定したNullデータを生成して、他の無線通信装置に送信する。通信制御部721は、休止時間1102を設定したNullデータを送信すると、電源制御部722に通知する。なお、通信制御部721は、実施の形態1と同様に、次のビーコン信号の送信までの時間および最大送信時間(Max−TXOP)のうちの小さい時間を休止時間1102に設定する。
電源制御部722は、実施の形態1および2と同様に、通信制御部721が設定した休止時間1102の間、AP70を省電力状態に遷移させる。
<APの動作例>
続いて、図12を用いて、実施の形態3にかかるAP70の動作例を説明する。図12は、実施の形態3にかかるAPの動作例を説明するフローチャートである。図12に示す動作は、自装置が含まれるBSS#1の通信が終了した時点、BSS#2の通信が終了した時点および電子機器80のノイズが検出されなくなった時点で行う動作である。
まず、BSS#1、電子機器80およびBSS#2の通信または動作が終了すると、通信制御部721は、バックオフ時間1101を設定して、他の通信有無または電子機器80が動作する際に発生するノイズ有無を監視する(ステップS31)。
次に、通信制御部721は、バックオフ時間1101において、他の通信有無およびノイズ有無を判定する(ステップS32)。つまり、通信制御部721は、バックオフ時間1101において、無線チャネルが空き状態であるか否かを判定する。ステップS32において、バックオフ時間1101において、他の通信がある場合、および/またはノイズがある場合、処理を終了する。なお、ノイズがある場合とは、通信制御部721が、電子機器80が発するノイズを検出しなくなった場合である。
一方、ステップS32において、バックオフ時間1101において、他の通信が無く、かつ、電子機器80の動作に伴うノイズが無い場合、通信制御部721は、休止時間1102を設定したNullデータを他の無線通信装置に送信する(ステップS33)。つまり、通信制御部721は、バックオフ時間1101において、他の通信が無く、かつ、電子機器80の動作に伴うノイズが無い場合、無線チャネルが空き状態であると判定する。そして、通信制御部721は、休止時間1102を設定したNullデータを他の無線通信装置に送信する。通信制御部721は、Nullデータを送信すると同時に、電源制御部722に自装置を省電力状態に遷移させることが可能であることを通知する。
次に、電源制御部722は、Nullデータに設定された休止時間1102の間、AP70を省電力状態に遷移させる(ステップS34)。電源制御部722は、休止時間が経過すると、省電力状態を解除して通常動作を行う。
以上説明したように、本実施の形態においては、通信制御部721は、BSS#1およびBSS#2の通信が終了した場合および電子機器80のノイズが検出されなくなった場合の少なくとも1つを満たす場合、無線チャネルが空き状態であるか否かを判定し、無線チャネルが空き状態であると判定した場合、直後の通信サイクルに休止時間を設定する。したがって、本実施の形態によれば、無線チャネルが空き状態である場合に、さらに省電力を図ることが可能となる。
また、通信制御部721は、無線チャネルが空き状態の場合に、休止時間を設定したNullデータを他の無線通信装置に送信する。Nullデータを受信した他の無線通信装置は、休止時間の間、通信を行わないように制御を行う。すなわち、本実施の形態によれば、自装置だけでなく、他の無線通信装置の通信も抑制することから、自装置だけでなく他の無線通信装置の電力消費も低減することが可能となる。
(他の実施の形態)
図13は、上述した実施の形態において説明した無線通信装置1、AP10、40、50および70(以下、無線通信装置1等と称する)の構成例を示すブロック図である。図13を参照すると、無線通信装置1等は、ネットワーク・インターフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワーク・インターフェース1201は、他の無線通信装置と通信するために使用される。ネットワーク・インターフェース1201は、例えば、IEEE 802.11 series、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインターフェースカード(NIC)を含んでもよい。
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートを用いて説明された無線通信装置1等の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
図13の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された無線通信装置1等の処理を行うことができる。
図13を用いて説明したように、無線通信装置1等が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1または複数のプログラムを実行する。
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/Wを含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施の形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
他の無線通信装置との間において取得した通信可能時間であって、無線通信端末との通信可能時間を、前記無線通信端末にデータを送信可能な送信可能時間を含む少なくとも1つの通信サイクルに区分し、第1の送信可能時間の経過後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間に前記無線通信端末に送信するデータが発生した場合、当該データを前記第1の送信可能時間よりも後の第2の送信可能時間に送信し、前記無線通信端末に送信するデータが発生した時間を含む休止時間を設定する通信制御部と、
前記設定された休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させる電源制御部と、を備える無線通信装置。
(付記2)
前記通信制御部は、第1の送信可能時間の経過後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間の所定時間内に、前記無線通信端末からデータを受信しない場合、前記所定時間が経過した後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間に休止時間を設定する、付記1に記載の無線通信装置。
(付記3)
前記通信制御部は、前記設定された休止時間を含むダミーデータを、前記無線通信端末を含む他の無線通信装置に送信し、
前記電源制御部は、前記ダミーデータを送信した後に、前記設定された休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させる、付記1または2に記載の無線通信装置。
(付記4)
前記無線通信端末に送信するデータを一時的に蓄積する送信バッファをさらに備え、
前記通信制御部は、前記第1の送信可能時間の終了時点において、前記第1の送信可能時間の終了時点における前記送信バッファに蓄積された第1のデータ量と、前記第1の送信可能時間の1つ前の第3の送信可能時間の終了時点における前記送信バッファに蓄積された第2のデータ量と、を比較し、比較結果に基づいて、前記第1の送信可能時間を含む通信サイクルの送信可能時間を制御する、付記1〜3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記5)
前記通信制御部は、前記第1のデータ量が、前記第2のデータ量よりも多い場合、前記第1の送信可能時間を含む通信サイクルに送信可能時間をさらに設定する、付記4に記載の無線通信装置。
(付記6)
前記通信制御部は、他の無線通信装置からデータを受信した場合、前記受信したデータが自装置を宛先とするデータであるか否かを判定し、
前記電源制御部は、前記受信したデータが自装置を宛先とするデータではないと前記通信制御部が判定した場合、前記受信したデータの終了までの間、自装置を省電力状態に遷移させる、付記1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記7)
前記通信制御部は、自装置の通信が終了した場合、他の無線通信装置の通信が終了した場合およびノイズとなる電波を発する電子機器の前記ノイズを検出しなくなった場合の少なくとも1つを満たす場合、無線チャネルが空き状態であるか否かを判定し、前記無線チャネルが空き状態であると判定した場合、前記無線チャネルが空き状態であると判定した直後の通信サイクルに休止時間を設定する、付記1〜6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記8)
前記通信制御部は、自装置の通信が終了した場合、他の無線通信装置の通信が終了した場合およびノイズとなる電波を発する電子機器の前記ノイズを検出しなくなった場合の少なくとも1つを満たす場合、バックオフ時間を設定し、前記バックオフ時間に他の無線通信装置における通信が行われない場合および前記ノイズを検出しない場合の少なくとも一方を満たす場合に、前記無線チャネルが空き状態であると判定する、付記7に記載の無線通信装置。
(付記9)
前記休止時間は、前記設定された休止時間を含む通信サイクルの終了までの時間、および最大送信時間のうちの小さい時間である、付記1〜8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記10)
前記通信サイクルは、ビーコン信号の送信周期である、付記1〜9のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記11)
前記無線通信端末と通信を行う無線通信部をさらに備え、
前記電源制御部は、前記無線通信部への電力供給を停止することにより、自装置を省電力状態に遷移する、付記1〜10のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記12)
他の無線通信装置との間において取得した通信可能時間であって、無線通信端末との通信可能時間を、前記無線通信端末にデータを送信可能な送信可能時間を含む少なくとも1つの通信サイクルに区分することと、
第1の送信可能時間の経過後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間に前記無線通信端末に送信するデータが発生した場合、当該データを前記第1の送信可能時間よりも後の第2の送信可能時間に送信し、前記無線通信端末に送信するデータが発生した時間を含む休止時間を設定することと、
前記設定された休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させることと、を含む電源制御方法。
(付記13)
他の無線通信装置との間において取得した通信可能時間であって、無線通信端末との通信可能時間を、前記無線通信端末にデータを送信可能な送信可能時間を含む少なくとも1つの通信サイクルに区分することと、
第1の送信可能時間の経過後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間に前記無線通信端末に送信するデータが発生した場合、当該データを前記第1の送信可能時間よりも後の第2の送信可能時間に送信し、前記無線通信端末に送信するデータが発生した時間を含む休止時間を設定することと、
前記設定された休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させることと、をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記14)
無線通信装置と、前記無線通信装置と通信を行う無線通信端末と、を備え、
前記無線通信装置は、
他の無線通信装置との間において取得した通信可能時間であって、無線通信端末との通信可能時間を、前記無線通信端末にデータを送信可能な送信可能時間を含む少なくとも1つの通信サイクルに区分し、第1の送信可能時間の経過後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間に前記無線通信端末に送信するデータが発生した場合、当該データを前記第1の送信可能時間よりも後の第2の送信可能時間に送信し、前記無線通信端末に送信するデータが発生した時間を含む休止時間を設定する通信制御部と、
前記設定された休止時間の間、自装置を省電力状態に遷移させる電源制御部と、を備える無線通信システム。
(付記15)
前記通信制御部は、第1の送信可能時間の経過後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間の所定時間内に、前記無線通信端末からデータを受信しない場合、前記所定時間が経過した後、当該第1の送信可能時間を含む通信サイクルの終了までの間に休止時間を設定する、付記14に記載の無線通信システム。