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JP6758145B2 - 油脂組成物及びカプセル剤 - Google Patents

油脂組成物及びカプセル剤 Download PDF

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Description

本発明は、油脂組成物及びカプセル剤に関する。
ヒトを含む動物は、ステアリン酸からオレイン酸を生成するΔ9−脂肪酸デサチュラーゼを有してはいるものの、Δ12−脂肪酸デサチュラーゼもΔ15−脂肪酸デサチュラーゼもどちらも有していないので、リノール酸もα−リノレン酸もどちらも自ら合成することができない。このため、ω−3脂肪酸及びω−6脂肪酸が、必須脂肪酸となっている。
栄養学的に必須なω−3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、α−リノレン酸(ALA)といわれている。また、必須のω−6脂肪酸としては、リノール酸が代表的である。
一方、ω−3脂肪酸と、ω−6脂肪酸とは、適切な比率で摂取する必要があり、そのような調節を行った食品組成物として、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の不飽和脂肪酸にセサミン等を配合した食品組成物が知られている(特許文献1)。
ドコサヘキサエン酸(DHA)等の不飽和脂肪酸が適切に摂取されていない場合等には、健康を維持・増進のために、これらを補給する必要がある。
このような際、ω−3脂肪酸等の不飽和脂肪酸を摂取するために有効な形態として、カプセル化のように、摂取にあたっての利便性のよい形態とすることが一般消費者にとって好都合である。
しかし、ω−3脂肪酸等の不飽和脂肪酸は、酸化され易く、カプセル化する際等に、酸化防止について対策を講じる必要がある。また、カプセル化する場合には、カプセル自体の耐久性能も十分に考慮されなければならない。
特許第3512196号公報
前記事情に対して、本発明は、カプセル化した際等に、含有する油脂の酸化を有効に防止することを可能とする油脂組成物及び該油脂組成物を内蔵するカプセルの耐久性能の向上を図ったカプセル剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、カプセル化した際等に、含有するω−3脂肪酸等の油脂の酸化を有効に防止することを可能とする油脂組成物及びこのような油脂組成物を内蔵するカプセルの耐久性能について鋭意検討を行った結果、本発明に想到した。
前記目的を達成するため、本発明は、その一の側面で油脂組成物であり、該油脂組成物は、油脂と水との接触で水素を生じる粉末とを含む。
本発明に係る油脂組成物は、その好適な実施の形態で、前記油脂が不飽和脂肪酸であり、該不飽和脂肪酸の酸化安定性が、前記粉末との併用により改善されている。
前記目的を達成するため、本発明は、他の側面で、カプセル剤であり、10%未満の水分値を持つカプセルに、前記油脂組成物を封入してなる。
本発明に係るカプセル剤は、その好適な実施の形態で、前記カプセルがセルロース誘導体を含むツーピースハードカプセルである。
本発明によれば、カプセル化した際等に、含有する油脂の酸化を有効に防止することを可能とする油脂組成物及び該油脂組成物を内蔵するカプセルの耐久性能の向上を図ったカプセル剤が提供される。
以下、本発明に係る油脂組成物及びカプセル剤の実施の形態について、詳細に説明する。もっとも、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明に係る油脂組成物は、油脂と、水との接触で水素を生じる粉末とを含む。
油脂としては、任意の動植物又は微生物由来の油脂及びその遊離脂肪酸、並びにこれらを脱酸、脱ガム、脱臭したもの、これらに加え前記油脂を分別、混合、水素添加、精製、エステル交換等をすることにより脂肪酸組成を調整して得られる油脂からなる群から選ばれる1種又は2種類以上を組み合わせたものを採用することができる。
脂肪酸は、グリセリンをエステル化して油脂を構成する。油脂は、脂質として利用される。このようなことから油脂という場合に、狭義には、脂肪酸により、グリセリンをエステル化した常温で固体状のものを油脂と呼んでいる。しかし、このような油脂を脂質と捉え、常温で液体状の遊離脂肪酸又はこれを多く含むものを油と捉え、脂質と油との総称として「油脂」の語を用いることもある。本明細書及び特許請求の範囲の記載では、ほとんどの場合、「油脂」の語をこのような総称として用いている。
前記任意の動植物又は微生物由来の油脂としては、具体的には、菜種油、サフラワー油、オリーブ油、大豆油、米油、小麦胚芽油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、ごま油、ヒマワリ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、クルミ油、月見草油、あんず油、アルガン油、グレープシード油、亜麻仁油、ホホバ油、パパイヤ油、アマニ油、エゴマ油、シソ油、ツバキ油、ノコギリヤシ油、クリル油、ユーカリ油、豚脂、牛脂、馬油、魚油、卵油、乳脂肪、藻類油、アラキドン酸産生微生物油、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸等を挙げることができる。
脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸に分類され、後者はさらに、脂肪酸分子内に炭素−炭素2重結合を1つだけ持つ一価不飽和脂肪酸及び分子内に2以上の炭素−炭素2重結合を持つ多価不飽和脂肪酸に細別される。多価不飽和脂肪酸のうち、2重結合を3つ以上持つ脂肪酸は特に酸化が進みやすい。
不飽和脂肪酸の脂肪酸鎖長については、特に限定されるものではなく、本発明で採用することができる不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ガトレン酸、エルカ酸、アラキドン酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸等を挙げることができる。
ω−3脂肪酸としては、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、α−リノレン酸(ALA)、ドコサペンタエン酸(DPA)が好適であり、ドコサヘキサエン酸(DHA)が特に好適である。ω−6脂肪酸としては、リノール酸を本発明に好適に採用することができる。
本発明に係る油脂組成物は、含む油脂として、不飽和脂肪酸が好適であり、さらに好適には、油脂としてω−3脂肪酸及び/又はω−6脂肪酸を含む。
水との接触で水素を生じる粉末を構成する水素発生物質は、水と反応することにより水素を放出する水素発生成分を含む物質であり、水素発生成分としては、具体的には、金属、水素化金属化合物、金属水素錯化合物、水素吸蔵粒子を挙げることができる。
発生した水素は、配合される油脂の酸化を抑制する。油脂自体には、通常僅かの水分が含まれており、このような水分と反応することによって生成する水素が油脂の酸化を抑制する。また、水素発生物質は、摂取されることにより、体内で発生した水素により、抗酸化作用・電子供与作用を発揮し、血液の粘性を低下させ、血流を改善する。特に、動脈硬化の抑制に卓効がある。なお、後述するように、カプセル皮膜が含有する水分が水素発生物質と接触することによっても水素を発生させることができる。
金属としては、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等の金属を挙げることができる。これらの金属を粒子化して配合することができる。
水素化金属化合物としては、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム等を挙げることができる。これらの水素化金属化合物を粒子化して配合することができる。
金属水素錯化合物としては水素化リチウムアルミニウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム等を挙げることができる。これらの金属水素錯化合物を粒子化して配合することができる。
これらの金属、水素化金属化合物、及び金属水素錯化合物の少なくともいずれか一を、水溶性ポリマー等の樹脂に混合して、粒子状に成型したものも採用することができる。
水素吸蔵粒子としては、セラミック、ガラス、シリカゲル、焼成カルシウム、サンゴ末、ゼオライト、モレキュラーシーブ、活性炭などの多孔質体に水素を吸蔵させたものを挙げることができる。これらの水素吸蔵粒子を粒子化して配合することができる。
これらの水素発生物質は、1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。もっとも、特に好適なものは、水素吸蔵粒子である。
水素吸蔵粒子の中でも、特に水素吸蔵シリカが好適である。水素吸蔵シリカは、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物であり、単量体のシルセスキオキサンのかごの間隙に水素化物陰イオンを持つ構造を備えている。このようなシリカは、溶液中で水素陰イオンに対する運搬体として作用する。
本発明に係る油脂組成物では、好適には、油脂100.0質量部に対し、水素発生物質が1.0〜20.0質量部、さらに好適には、5.0〜15.0質量部含まれるように配合することが好適である。なお、水素発生物質は、水素を0.01〜0.1質量%含むことが好適である。水素発生物質は、油脂組成物の酸化を有効に防止するのに十分な量であると共に、体内に取り込まれた際、血流の改善、動脈硬化の抑制等の効果を奏することができるように配合することが好適である。
本発明に係る油脂組成物は、セサミン、セサミノール、エピセサミン等のジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン誘導体(以下、セサミン等という)を含むことができる。このような成分は、油脂の酸化防止抑制に寄与すると共に、摂取することにより肝機能改善作用、コレステロール降下作用、悪酔防止作用、オメガ6系・オメガ3系不飽和脂肪酸のバランス調節作用などがあることから配合することが好適である。セサミン等は、油脂組成物の全量中、含む場合には、好適には、0.1〜20.0質量%、さらに好適には、1.0〜15.0 質量%含むことが好適である。
また、本発明に係る油脂組成物は、トコフェロール、ビタミンCパルミチン酸エステル、ローズマリー抽出物、茶抽出物、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の抗酸化剤等の他の成分を含むことができる。これらの抗酸化剤は、油脂組成物の全量中、含む場合には、好適には、0.001〜1.0質量%、さらに好適には、0.01〜0.5 質量%含むことが好適である。
本発明に係る油脂組成物は、例えば、ボディ部とキャップ部に分離できるカプセル(ツーピース型)を用い、ボディ部に油脂組成物を充填した後に、キャップ部を結合し、結合部分にエタノール水溶液等のカプセルシール剤を注入後、 1〜2時間放置する、または20℃〜50℃の乾燥空気で1分〜5分間乾燥させることで、ボディ部とキャップ部が融合した液体充填ハードカプセル剤とすることができる。
このようなカプセルを構成するためのカプセル皮膜原料としては、カプセルに成形でき、かつ水溶性であれば特に限定されるものではなく、種々の水溶性フィルム形成ポリマーを挙げることができる。水溶性とするのは、摂取された際体内で溶解し、内蔵する有効成分が吸収されるようにするためである。
具体的には、動物性原料としてはゼラチン、植物性原料としてはプルラン、寒天、カラギーナン、デンプン、デンプン分解物、アルギン酸やHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン誘導体、ジェランガム等が挙げることができる。これらのうちでも、植物性の水溶性フィルム形成ポリマーが、好適である。水溶性フィルム形成ポリマーは1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。なお、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)が特に好適である。
ゼラチンを使用したカプセルは、内容物充填時以降、カプセル皮膜が10質量%以下の水分を含む状態にあることが好適である。
植物性の水溶性フィルム形成ポリマーを使用したカプセルは、内容物充填時以降、カプセル皮膜が10質量%以下の水分を含む状態にあることが好適である。カプセル皮膜が含有する水分は、水素発生物質と接触することによって水素を発生させることができる。仮にカプセル皮膜に含まれる水分量が多いと、水素発生物質と接触することで発生する水素量が過剰になりすぎ、カプセルの内圧が高まるおそれがある。これに対して、カプセル皮膜の水分量を10質量%以下とすることで、内圧が高まることによるカプセルの損傷や割れの発生などを抑制することができる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ハードカプセルでは、内容物充填時に3〜9質量%の水分を含む状態にあることが好適である。
本発明に係る油脂組成物は、栄養補助食品、機能性食品の他、乳幼児用食品、妊産婦用食品等に用いることができる。本発明に係るカプセル剤も同様である。
本発明に係る油脂組成物を採用したカプセル剤の好適な配合例としては、一日当たり3粒摂取を想定して、以下のようなものを挙げることができる。

ドコサヘキサエン酸(DHA) 200〜2000mg
エイコサペンタエン酸(EPA) 200〜2000mg
ドコサペンタエン酸(DPA) 200〜2000mg
セサミン 1〜20mg
ビタミンE(d−α−トコフェロール) 1〜150mg
水素吸蔵シリカ 10〜1000mg
以下に、本発明に係る油脂組成物及びカプセル剤の実施例を示す。もっとも、本発明に係る油脂組成物及びカプセル剤は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:CDM試験
実施例1−1:精製魚油を用いた例
精製魚油(DDオイル、日本水産(株)製)単体、この精製魚油100.0質量部にセサミンを10.7質量部添加したもの、この精製魚油100.0質量部に水素発生物質として水素吸蔵シリカ(商品名:MJH001、ユニライフジャパン製、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物を主成分とする。)を10.7質量部添加したものについて、CDM試験(80℃)を行った。
なお、MJH001は、微粒酸化ケイ素及び水素を含む水素発生物質である。使用したMJH001は、微粒酸化ケイ素を1.95質量%(水素を除いて)、水素を0.05質量%含む。微粒酸化ケイ素は、前記したシルセスキオキサンからなり、水素を吸蔵することによって水素発生成分(水素吸蔵シリカ)を構成している。使用したMJH001は、微粒酸化ケイ素100g当たり、水素を2.56g含んでいたこととなる。なお、本明細書に記載したMJH001を採用した他の実施例で、MJH001について以上の成分比に関する特徴は同一である。
CDM試験は、基準油脂分析試験法(2.5.1.2−1996)及びアメリカ油化学協会(AOCS Cd 12b−92)に公定法として収載されている試験法である。
CDM試験は、油脂の酸化により発生した揮発性分解生成物を純水中に捕集し、その導電率を継続的に測定し急激に変化する折曲点までの時間を求める方法である。
その結果、コントロール[精製魚油(DDオイル、日本水産(株)製)単体]が5時間弱であったのに対し、精製魚油に水素吸蔵シリカを添加したもの、すなわち、本発明に係る油脂組成物では、27時間弱であり、変敗するまでに5倍以上の時間を要した。すなわち、本発明に係る油脂組成物の抗酸化能の高さが実証された。精製魚油にセサミンを添加したものでは、CDM試験に関し、コントロールと同等の結果であった。
なお、精製魚油には、50mg/gのエイコサペンタエン酸(EPA)、400mg/gのドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれていた。
実施例1−2:オリーブオイルを用いた例
オリーブオイル(食用オリーブ油、(株)J−オイルミルズ製)単体、このオリーブオイル100.0質量部に水素発生物質として水素吸蔵シリカ(商品名:MJH001、ユニライフジャパン製、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物を主成分とする。)を10.7質量部添加したものについて、実施例1−1と同様のCDM試験(120℃)を行った。
その結果、コントロール[オリーブオイル単体]が8時間強であったのに対し、オリーブオイルに水素吸蔵シリカを添加したもの、すなわち、本発明に係る油脂組成物では、11時間強であり、変敗するまでにより多くの時間を要した。すなわち、本発明に係る油脂組成物の抗酸化能の高さが実証された。
実施例1−3:エゴマオイルを用いた例
エゴマオイル(Perilla Oil 60% ALA 、Sanmark社製)単体、このエゴマオイル100.0質量部に水素発生物質として水素吸蔵シリカ(商品名:MJH001、ユニライフジャパン製、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物を主成分とする。)を10.7質量部添加したものについて、実施例1−1と同様のCDM試験(100℃)を行った。
その結果、コントロール[エゴマオイル単体]が2.3時間であったのに対し、エゴマオイルに水素吸蔵シリカを添加したもの、すなわち、本発明に係る油脂組成物では、11.8時間であり、変敗するまでに5倍の時間を要した。すなわち、本発明に係る油脂組成物の抗酸化能の高さが実証された。
実施例2:精製魚油についての加速条件下での酸化劣化の評価
精製魚油(DDオイル、日本水産(株)製)単体、この精製魚油100.0質量部にセサミンを10.7質量部添加したもの、この精製魚油100.0質量部に水素発生物質として水素吸蔵シリカ(商品名:MJH001、ユニライフジャパン製、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物を主成分とする。)を10.7質量部添加したものについて、40℃、75%RHの加速条件下で、油脂の酸化劣化を評価した。なお、精製魚油には、50mg/gのエイコサペンタエン酸(EPA)、400mg/gのドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれていた。結果を表1に示す。
Figure 0006758145
コントロール、精製魚油にセサミンを加えたものは、加速1週間、加速1ケ月で、劣化の傾向が見られる。これに対し、精製魚油に水素吸蔵シリカを添加したものは、酸価、過酸化物価、カルボニル価ともに初発と同程度、又は低い値で推移しており、水素吸蔵シリカの添加が油脂の酸化安定性に大きく寄与したことが示された。
実施例3:加速条件におけるカプセル剤の安定性
精製魚油(アルガトリウム、登録商標)単体、及びこの精製魚油100.0質量部に水素発生物質として水素吸蔵シリカ(商品名:MJH001、ユニライフジャパン製、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物を主成分とする。)を10.7質量部添加したものを、1号サイズの水分規格値9%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を皮膜とするハードカプセル(Vcaps Plus、登録商標、カプスゲル・ジャパン製)に各々充填した。各々ついて、40℃、75%RHの加速条件下で、7日間保存した後、油脂の酸化劣化を評価した。なお、精製魚油には、60mg/gのエイコサペンタエン酸(EPA)、540mg/gのドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれていた。結果を表2に示す。
Figure 0006758145
コントロールでは、7日保存後に、劣化の傾向が見られる。これに対し、精製魚油に水素吸蔵シリカを添加したものは、酸価、過酸化物価、カルボニル価ともに初発と同程度で推移しており、カプセル剤としても、水素吸蔵シリカの添加が油脂の酸化安定性に大きく寄与したことが示された。
実施例4:液体充填ハードカプセルへの水素粉末含有油脂の充填試験
<液体充填ハードカプセル内溶液の調製>
精製魚油(アルガトリウム、登録商標)280質量部、ビタミンE含有油脂20質量部、グリセリン脂肪酸エステル質量3.8部、中鎖脂肪酸トリグリセリド33.1質量部を混合し、油脂混合物を得た。この油脂混合物に二酸化ケイ素粉末質量9.1部、水素吸蔵シリカ(商品名:MJH001、ユニライフジャパン製、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物を主成分とする。)30質量部及びセサミン粉末7.4質量部を加え、高速乳化装置(ハイシェアミキサー L5M型、シルバーソン製)を用いて、8000rpm、5分間の高速攪拌処理を行い、油脂中に水素発生粉末が懸濁した組成物を得た(油脂組成物1)。
前記水素吸蔵シリカ含有油脂組成物と同様の方法で、水素吸蔵シリカだけを除き、同様の方法で水素発生粉末を含まない粉末含有油脂組成物を調製した(油脂組成物2)。
<液体充填ハードカプセルへの充填及び漏れ・割れの評価>
油脂組成物1及び油脂組成物2を、1号サイズの水分規格値12.5−16%のゼラチンハードカプセル(カプスゲル・ジャパン製)及び水分規格値9%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を皮膜とするハードカプセル(Vcaps Plus、登録商標、カプスゲル・ジャパン製)にそれぞれ充填した。カプセルをボディ部とキャップ部に分離し、ボディ部に油脂組成物を380mgの質量となるように充填した後に、キャップ部を結合し、結合部分にエタノール水溶液を注入後、2時間放置することで、シール済み液体充填ハードカプセルを得た。
得られた液体充填ハードカプセルをアルミパウチに封入し、40℃、7日間保管後の液漏れ状態を評価したところ、ゼラチンカプセル又はHPMCカプセルのいずれも、水素発生粉末を含まない油脂組成物2の液体充填ハードカプセルでは液漏れは確認されなかったが、水素発生粉末が含まれる油脂組成物1の液体充填ハードカプセルでは、ゼラチンカプセルにおいて液漏れが確認され、HPMCカプセルでは液漏れは確認されなかった。
また、ゼラチンカプセルに水素発生粉末を含む油脂組成物1を封入した液体充填ハードカプセルはカプセル表面の硬化が確認され、衝撃に対して脆くなっていることが示唆された。これは、内溶液に含まれる水素発生粉末がカプセル皮膜の水分と反応することでカプセル皮膜の水分が内部に移行したためであると思われる。また、ゼラチンカプセルはより多くの水分を含むことで、より多くの水分が水素発生粉末と接触し得る。そのためゼラチンカプセル内に水素が過剰に発生し、ゼラチンカプセルの内圧が高まった結果、ゼラチンカプセルに割れが生じたと考えられる。以上より、低水分のHPMCカプセルは、水素発生粉末を含有した油脂組成物への適合性に優れることが示された。
40℃、7日後の液体充填ハードカプセルの液漏れ評価
Figure 0006758145
実施例5:
精製魚油(アルガトリウム、登録商標)100質量部に水素発生物質として水素吸蔵シリカ(商品名:MJH001、ユニライフジャパン製、シルセスキオキサンを含むケイ質化合物を主成分とする。)を10.7質量部添加したものを、1号サイズの水分規格値12.5-16%のゼラチンハードカプセル(カプスゲル・ジャパン製)及び水分規格値9%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を皮膜とするハードカプセル(Vcaps Plus、登録商標、カプスゲル・ジャパン製)にそれぞれ充填した。
一定湿度条件(50%RH)に3週間保存したのち、以下の強度試験を行った。
強度試験:
平らな面に横向きにおいたカプセルに重さ100gの分銅を8cmの高さから落下させ、割れたカプセル数をカウントした。各々50個について試験した。
試験結果:
ゼラチンハードカプセルについては、82%、すなわち41個のものについて割れが発生したのに対し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を皮膜とするハードカプセルは、50個全個について、割れるものはなかった。HPMCハードカプセルは、水分が少なく水素の過剰な発生を抑制することができる。よって、HPMCハードカプセルの内圧が高まらず、割れるものがなかったものと判断される。

Claims (4)

  1. 油脂と、水との接触で水素を生じる粉末として水素吸蔵シリカとを含む、油脂組成物。
  2. 前記油脂が不飽和脂肪酸であり、該不飽和脂肪酸の酸化安定性が、前記粉末との併用により改善されている、請求項1記載の油脂組成物。
  3. 10%未満の水分値を持つカプセルに、請求項1又は請求項2に記載の油脂組成物を封入してなる、カプセル剤。
  4. 前記カプセルがセルロース誘導体を含むツーピースハードカプセルである、請求項3記載のカプセル剤。
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