JP6745059B2 - 複合焼結体切削工具 - Google Patents
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Description
本願は、2015年5月28日に日本に出願された特願2015−108977号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
また、上記特許文献3に示す超硬合金とサーメットからなる複合焼結体において、超硬合金層とサーメット層との境界に凹凸を形成する必要があるばかりか、焼結時の変形が少ない複合焼結体を得るためには、プレス体の焼結時の収縮特性が異種材料間で揃っている必要があり、そのため、かかる複合焼結体から作製した切削工具では、タングステン使用量の低減はせいぜい30%程度に留まっており、省資源の観点からは十分満足できるものではないばかりか、湿式断続切削などの激しい熱履歴を受ける切削条件下では、クラックの進展等により刃先の超硬合金が破壊する恐れがあり、十分な信頼性があるとはいえなかった。
そこで、本発明では、TiCN基サーメットとWC基超硬合金からなる複合焼結体を工具基体とする切削工具において、希少金属であるタングステンの使用量の低減を図るとともに、切れ刃に断続的・衝撃的な高負荷が作用する断続切削に用いた場合でも、クラック進展抑制作用を備え、耐異常損傷性に優れた切削工具を提供することを目的とする。
即ち、TiCN基サーメットとWC基超硬合金の複合焼結体切削工具において、工具の切れ刃を含む外周部(逃げ面)をWC基超硬合金で構成し、該WC基超硬合金からなる外周部(逃げ面)の内部にTiCN基サーメットを充填することにより複合焼結体切削工具を構成した場合には、複合焼結体の焼結時の熱膨張率差で、内部のTiCN基サーメットによって、切れ刃を含む外周部を構成するWC基超硬合金には圧縮応力が形成され、これによって、工具の断続切削性能が改善されることを見出したのである。
そしてこの場合、切削工具全体がWC基超硬合金で構成されているものに比して、タングステンの使用量の大幅な低減を図り得るのである。
つまり、本発明者らは、上記構造の複合焼結体を工具基体とする切削工具においては、希少金属であるタングステンの使用量を大幅に低減できるとともに、切れ刃に断続的・衝撃的な高負荷および熱的負荷が作用する合金鋼等の湿式断続切削においても、クラックの伝播・進展が防止され、長期の使用に亘って、すぐれた耐異常損傷性、耐摩耗性を発揮することを見出したのである。
「(1)TiCN基サーメット層とWC基超硬合金層との複合焼結体からなる切削工具において、
(a)上記切削工具は、すくい面の平面形状が円形または多角形であり、すくい面と逃げ面のなす角度は90度または90度未満であり、
(b)上記切削工具の切れ刃を含む外周部は、鉄族金属成分を4〜17質量%、残部はWCを主たる硬質相成分とするWC基超硬合金層で構成され、また、外周部に囲繞された内部はTiCN基サーメット層で構成され、
(c)上記WC基超硬合金層からなる外周部の幅は、上記複合焼結体におけるすくい面の最大内接円直径の0.03〜0.15倍であり、
(d)上記WC基超硬合金層からなる外周部で囲繞された内部のTiCN基サーメット層は、少なくとも1層以上のTiCN基サーメット層から構成され、WC基超硬合金層と隣接するTiCN基サーメット層は、該サーメットの構成成分の含有割合を金属成分の含有割合で表現した場合、少なくとも鉄族金属成分を4〜25質量%、Wを15質量%未満、Moを2〜15質量%、Nbを2〜10質量%、Crを0.2〜2質量%を含有し、かつ、鉄族金属成分であるCoとNiについて、CoとNiの合計含有量に対するCo含有割合を質量比で表現した場合、0.5〜0.8を満足することを特徴とする複合焼結体切削工具。
(2)前記TiCN基サーメット層とWC基超硬合金層とからなる複合焼結体の少なくともWC基超硬合金層の表面に、硬質被覆膜が形成されていることを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆複合焼結体切削工具。」
を特徴とするものである。
図1は、すくい面の平面形状が円形であり、すくい面と逃げ面のなす角度が90度の複合焼結体切削工具を示し、図2は、図1に示される複合焼結体切削工具において、TiCN基サーメット層を複数のTiCN基サーメット層で構成したものを示し、図3は、すくい面の平面形状が多角形であり、すくい面と逃げ面のなす角度が90度の複合焼結体切削工具を示し、図4は、図3に示される複合焼結体切削工具において、TiCN基サーメット層を複数のTiCN基サーメット層で構成したものを示し、図5は、すくい面の平面形状が円形であり、すくい面と逃げ面のなす角度が90度未満の複合焼結体切削工具を示し、図6は、すくい面の平面形状が多角形状であり、すくい面と逃げ面のなす角度が90度未満の複合焼結体切削工具を示す。
この発明の複合焼結体切削工具(以下、「切削工具」ともいう)においては、図1(a)、図2(a)に示すように、すくい面の平面形状が、円形(楕円形も含む)の場合には、円周上のいかなる位置も切れ刃として使用することができ、また、図3(a)、図4(a)に示すように、すくい面の平面形状が多角形(四角形、あるいは、ひし形等)の場合には、角形の各頂点を切れ刃として使用することができる。
なお、図1〜図6に示す切削工具では、WC基超硬合金層の表面に被覆する硬質被覆膜についての記載を省略しているが、図1〜図6において、WC基超硬合金層で構成された少なくとも切れ刃を含む外周部に対して、周知の成膜手段で硬質被覆膜を形成すれば、表面被覆複合焼結体切削工具として使用することができる。
まず、所定組成を有するWC基超硬合金粉末を、焼結後所望のWC基超硬合金層の幅となるよう内周側に入れ子を用い、切削工具におけるWC基超硬合金の形状と同一の外周形状になるようにプレスで仮成形してWC基超硬合金仮成形体を作製し、次いで、所定組成を有する少なくとも1種類以上のTiCN基サーメット粉末を用意し、該TiCN基サーメット粉末を上記WC基超硬合金仮成形体の内周部に配置した状態で複合プレス成形することにより、外周部がWC基超硬合金で構成され、その外周部によって囲繞される内部にTiCN基サーメットが充填された複合成形体を作製する。
なお、TiCN基サーメット粉末については、必ずしも1種類の粉末を用いる必要はなく、成分組成の異なる複数種類の粉末を用いることができる。この場合には、それぞれ成分組成の異なる複数種類の粉末を、ほぼ同心円状に配置した状態で仮成形すればよく、これにより、謂わば複数のTiCN基サーメット層が同心円状に積層された積層TiCN基サーメット仮成形体(図2(a)、(b),図4(a)、(b)に類似する構造)を作製することができる。
ついで、この複合成形体を、例えば、0.1kPaの窒素雰囲気中にて、1420℃×1hrの条件で焼結して複合焼結体を作製し、ついで、得られた複合焼結体を所定の形状に加工することで本発明の切削工具を作製する。
また、上記で作製した本発明の切削工具の少なくともWC基超硬合金層の表面に、物理蒸着法、化学蒸着法等の従来周知の成膜法により、Ti化合物層、TiとAlの複合窒化物層、Al2O3層等の硬質被覆膜を単層でまたは複数層の積層皮膜として蒸着形成することによって、本発明の表面被覆複合焼結体切削工具を製造することができる。
この発明で用いられるWC基超硬合金と隣接するTiCN基サーメット層は、少なくとも、TiCNを主たる硬質成分とし、鉄族金属(例えば、Co、Ni、Fe)を主たる結合相成分とするサーメットとする。
前記TiCN基サーメットの含有成分を金属成分元素に換算した場合、鉄族金属成分を4〜25質量%、Wを15質量%未満、Moを2〜15質量%、Nbを2〜10質量%、Crを0.2〜2質量%を含有し、かつ、鉄族金属成分のうちのCoとNiについては、CoとNiの合計含有量に対するCo含有量の比は、質量比で0.5〜0.8とする。
鉄族金属成分はTiCN基サーメット中で硬質成分と強固に結合し、工具基体の強度及び靱性を向上させる作用があるが、その含有量が4質量%未満もしくは25質量%を超えると、TiCN基サーメット中とWC基超硬合金中の結合相量の差が大きくなり、WC基超硬合金層からTiCN基サーメット層中に、もしくは、TiCN基サーメット層からWC基超硬合金層中に結合相成分が大きく拡散し、工具全体の結合相分布が不均一になり、工具としての安定性を欠く結果となる。このことから、TiCN基サーメット中の鉄族金属成分含有量を4〜25質量%と定めた。
WはTiCN基サーメット中での含有量が増えるほど、TiCN基サーメットの特性がWC基超硬合金に近づくので、複合体としての焼結は容易となるが、本発明で目的としているように含有量の削減が求められる成分元素であることから、この発明では、W含有量を15質量%未満と定めた。
Moは、TiCN基サーメットにおいて、硬質相と結合相との濡れ性を高め、焼結性を向上させる作用を有する成分元素であるが、その含有量が2質量%未満では、濡れ性の向上効果が十分ではなく、一方、含有量が15質量%を超えると、硬質相にMoが溶け込み、強度、靭性を低下させるようになるため、Moの含有量は2〜15質量%と定めた。
Nbは、TiCN基サーメットの高温耐酸化性を向上させる効果があるが、その含有量が2質量%未満の場合、あるいは、10質量%を超える場合には、高温耐酸化性向上効果が低下するため、Nbの含有量は2〜10質量%と定めた。
Crは、TiCN基サーメットの焼結温度をWC基超硬合金のそれに近づける効果を有するが、その含有量が0.2質量%未満では、その効果が十分ではなく、一方、その含有量が2質量%を超えると、Cr3C2の遊離相が析出し焼結体の靭性を低下させるようになるため、Crの含有量は0.2〜2質量%と定めた。
Coは、鉄族金属成分であって、TiCN基サーメットにおける結合相成分であるが、同じく鉄族金属成分であるNiとの関連において、CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))を、質量比で0.5〜0.8の範囲内とすることが必要である。CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))が0.5未満であると、TiCN基サーメットとWC基超硬合金の複合成形体を焼結する際に、TiCN基サーメット中のNi成分がWC基超硬合金に拡散し、WC基超硬合金の高温硬さを低下させることになり、一方、CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))が0.8を超えると、TiCN基サーメットの靭性が低下し、複合焼結体の破損を招く恐れがある。
したがって、TiCN基サーメットに含有される成分であるCoとNiについては、CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))を、質量比で0.5〜0.8の範囲内とする。
即ち、図2(a)、(b)あるいは図4(a)、(b)に示すように、TiCN基サーメット層を複数のTiCN基サーメット層の積層体として構成することができる。
図2(a)、(b)あるいは図4(a)、(b)には、TiCN基サーメット層を「TiCN基サーメット層1」と「TiCN基サーメット層2」による2層の積層体として構成した例を示したが、TiCN基サーメット層は、2層以上のTiCN基サーメット層の積層体として構成することもできる。
ここで、WC基超硬合金層に接するTiCN基サーメット層(即ち、図2(a)、(b)あるいは図4(a)、(b)に示す「TiCN基サーメット層1」)については、その成分組成を前記した如く定める必要があるが、WC基超硬合金に直接接していないTiCN基サーメット層(即ち、図2(a)、(b)あるいは図4(a)、(b)に示す「TiCN基サーメット層2」)については、通常用いられるTiCN基サーメットの成分組成であっても構わない。
TiCN基サーメットに通常含有される成分、例えば、ZrC、TaC等、については、通常含有される範囲内であれば、本発明のTiCN基サーメットにこれらを含有させることができる。また、W含有量については、8質量%以下、好ましくは、4質量%以下とすることができる。これによって、複合焼結体切削工具、表面被覆複合焼結体切削工具の切削性能を劣化させることなく、TiCN基サーメット中に含有されるW含有量をより一層低減することができるので、Wの使用量削減効果が大となる。
TiCN基サーメットと複合焼結体を構成するWC基超硬合金は、主たる硬質相成分であるWCと主たる結合相成分である鉄族金属(例えば、Co、Ni、Fe)とからなる。結合相成分は、硬質相成分と強固に結合し、工具基体の強度および靭性を向上させる作用があるが、その含有量が4質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が17質量%を越えると、耐摩耗性が低下するようになることから、結合相成分である鉄族金属(例えば、Co、Ni、Fe)の含有量合計は、4〜17質量%とする。
また、Ti、Zr、Nb、TaおよびCrの各成分は、炭化物、窒化物、炭窒化物等を形成して、WC基超硬合金の硬さを高め、耐摩耗性を向上させる作用があるが、これらの硬質相成分の含有量合計が10質量%(但し、金属成分として換算)を越えると靭性が低下するようになることから、Ti、Zr、Nb、TaおよびCrの各成分の含有量合計は10質量%以下とすることが好ましい。
TiCN基サーメット層とWC基超硬合金層からなる複合焼結体のうち、WC超硬合金層が切れ刃を含む外周部を構成することにより切れ刃及び逃げ面はWC基超硬合金層によって構成され、一方、該外周部によって囲繞される内部にTiCN基サーメット層が充填されることによって切削工具のすくい面の主体はTiCN基サーメット層で構成される。
また、本発明では、工具のすくい面と逃げ面のなす角度は90度あるいは90度未満であって、所謂、ネガティブインサートおよびポジティブインサートの何れに対しても適用可能である。
本発明の切削工具においては、切れ刃を含む外周部(即ち、切れ刃及び逃げ面)のWC基超硬合金層は、複合焼結体におけるすくい面の最大内接円直径の0.03〜0.15倍の幅とする。
これは、WC基超硬合金層の幅が、複合焼結体におけるすくい面の最大内接円直径の0.03倍未満である場合には、切削加工時に靭性に劣るTiCN基サーメットに大きな負荷がかかり、欠けが発生し易くなり、一方、WC基超硬合金層の幅が、複合焼結体におけるすくい面の最大内接円直径の0.15倍を超える場合には、WC基超硬合金層に形成される残留圧縮応力が小さくなり、耐チッピング性、耐欠損性が低下するばかりか、W使用量の削減という本発明の目的にそぐわなくなるという理由による。
したがって、本発明では、WC基超硬合金の幅は、複合焼結体におけるすくい面の最大内接円直径の0.03〜0.15倍とする。
本発明の切削工具は、複合焼結体のWC基超硬合金層を、切れ刃を含む外周部(即ち、切れ刃及び逃げ面)とすることによって、そのまま切削工具として用いることができるが、少なくとも、切れ刃を含む外周部(即ち、切れ刃及び逃げ面)を構成するWC基超硬合金層の表面に、物理蒸着法、化学蒸着法等によって、例えば、TiとAlの複合窒化物層を被覆形成することによって、より切削性能を高めることができる。
なお、硬質被覆膜としては、TiとAlの複合窒化物層ばかりでなく、Tiの窒化物層、炭化物層、炭窒化物層、AlとCrの複合窒化物層、Al2O3層など、既に知られている各種の硬質被覆膜を、それぞれ単層として、あるいは、複数の層の積層として被覆形成することができる。
表1に示す配合組成の平均粒径0.5〜3μmのWC基超硬合金原料粉末を用意する。
また、表2に示す配合組成の平均粒径0.5〜3μmのTiCN基サーメット原料粉末を用意する。
まず、上記WC基超硬合金原料粉末を、ISOインサート形状RNMA120400の素材用金型および内周部に空隙を設けるための入れ子を用いプレスして、表3に示す仮成形体1〜9を作製した。
次に、上記仮成形体1〜9の内周に、TiCN基サーメット原料粉末を配置し、上記仮成形体1〜9とともに、表3に示す組合せでISOインサート形状RNMA120400の素材用金型でプレスし、複合成形体1〜9を作製した。
上記仮成形体のうち、仮成形体6〜9については、複数種類のTiCN基サーメット原料粉末を用い、それぞれのTiCN基サーメット原料粉末が中心に対してほぼ同心円状になるように充填して、表3に示す仮成形体を作製した。
なお、作製した複合成形体1〜9は、WC基超硬合金原料粉末と一種類のTiCN基サーメット原料粉末からなる複合成形体1〜5と、WC基超硬合金原料粉末とTiCN基サーメット層1用原料粉末とTiCN基サーメット層2用原料粉末の二種類のTiCN基サーメット原料粉末を用いた複合成形体6〜9である。
焼結条件は、次のとおりである。
複合成形体を焼結温度にまで昇温するに際し、室温から1280℃までは5℃/minの昇温速度で昇温し、液相が出現する1280℃から1380℃までの温度域は、いずれも30℃/min以上の昇温速度で高速昇温し、1380℃から所定の1420℃までは5℃/minの昇温速度で昇温し、0.1kPaの窒素雰囲気中にて、1420℃の焼結温度に1時間保持後、冷却した。
ついで、得られた複合焼結体1〜9について、WC基超硬合金層からなる切れ刃を含む外周部について、R=0.04のホーニング加工を施して刃先を形成することにより表5、表6に示すRNMA120400形状の複合焼結体切削工具1〜9(以下、本発明工具1〜9という)を作製した。
また、上記本発明工具6〜9については、WC基超硬合金層とTiCN基サーメット層1の界面から、WC基超硬合金層の内部側へ100μmの位置、また、TiCN基サーメット層1の内部側へ100μmの位置、さらに、TiCN基サーメット層1とTiCN基サーメット層2の界面からTiCN基サーメット層2の内部側へ100μmの位置における組成析を行い、10点測定の平均値を求めることにより、WC基超硬合金層、TiCN基サーメット層1及びTiCN基サーメット層2の成分組成を求めた。
表5、表6に、これらの値を示す。
表5、表6に、これらの値を示す。
表5、表6に、蒸着形成した硬質被覆膜の膜厚を示す。
また、TiCN基サーメット原料粉末を使用することなく表1に示す配合組成のWC基超硬合金原料粉末のみから、WC基超硬合金のみからなる比較例焼結体7〜9(便宜上、比較例複合焼結体7〜9という)を作製した。
ついで、得られた比較例複合焼結体1〜9について、WC基超硬合金(層)からなる切れ刃を含む外周部について、R=0.04のホーニング加工を施して刃先を形成することにより、表6に示すRNMA120400形状の比較例複合焼結体切削工具1〜9(以下、比較例工具1〜9という)を作製した。
また、比較例工具1〜6のWC基超硬合金層とTiCN基サーメット層の幅を、光学顕微鏡で観察して測定し、異なる5点において測定された幅を平均して平均幅とした。
表7に、これらの値を示す。
表7に、蒸着形成した硬質被覆膜の膜厚を示す。
[切削条件1]
被削材:JIS・SCM440の長さ方向4本溝入り丸棒、
切削速度:390 m/min.、
切り込み:0.3 mm、
送り:0.3 mm/rev.、
切削時間:10 分
の条件で、合金鋼の湿式高速断続加工試験(通常の切削速度は、200m/min.)を行い、逃げ面摩耗量、あるいは、寿命に至るまでの切削時間を測定した。
[切削条件2]
被削材:JIS・S45Cの長さ方向等間隔4本溝入丸棒
切削速度:320 m/min.、
切り込み: 2.0 mm、
送り: 0.2 mm/rev.,
切削時間:5 分
の条件で、炭素鋼の湿式断続切削加工試験を行い、耐異常損傷性を評価した。切れ刃にクラック、チッピング、欠損を生じた場合、異常損傷「有」とし、クラック、チッピング、欠損を生じない場合、異常損傷「無」とした。
さらに、本発明工具1〜9および比較例工具1〜6については、各工具においてサーメットと積層せず、全体をWC基超硬合金とした場合からの使用W量削減率(質量%)を算出した。
表8に、これらの結果を示す。
さらに、耐異常損傷性の観点から見れば、本発明工具1〜9は比較例工具7〜9と比較して、優れた耐異常損傷性を有している。
これに対して、比較例工具1〜6は、タングステン使用量は削減されているものの、耐熱亀裂性が劣るものであって、短時間で使用寿命に至ることは明らかである。
表1に示す配合組成の平均粒径0.5〜3μmのWC基超硬合金原料粉末を用意する。
また、表2に示す配合組成の平均粒径0.5〜3μmのTiCN基サーメット原料粉末を用意する。
まず、上記WC基超硬合金原料粉末をISOインサート形状SNMN120408の素材用金型および内周部に空隙を設けるための入れ子を用いプレスして、表9に示す仮成形体11〜19を作製した。
次に、上記仮成形体11〜19の内周に、TiCN基サーメット原料粉末を配置し、上記仮成形体11〜19とともに、ISOインサート形状SNMN120408の素材用金型でプレスし、複合成形体11〜19を作製した。
上記仮成形体のうち、仮成形体16〜19については、複数種類のTiCN基サーメット原料粉末を用い、それぞれのTiCN基サーメット原料粉末の中心位置がほぼ同位置になるように充填して、表9に示す仮成形体を作製した。
なお、作製した複合成形体11〜19は、WC基超硬合金原料粉末と一種類のTiCN基サーメット原料粉末からなる複合成形体11〜15と、WC基超硬合金原料粉末とTiCN基サーメット層1用原料粉末とTiCN基サーメット層2用原料粉末の二種類のTiCN基サーメット原料粉末を用いた複合成形体16〜19である。
さらに、WC基超硬合金層とTiCN基サーメット層の幅、また、TiCN基サーメット層1、TiCN基サーメット層2の幅を光学顕微鏡で観察して測定し、異なる5点において測定された幅を平均して平均幅とした。
表11、表12に、これらの値を示す。
表10に、蒸着形成した硬質被覆膜の膜厚を示す。
また、TiCN基サーメット原料粉末を使用することなく表1に示す配合組成のWC基超硬合金原料粉末のみから、WC基超硬合金のみからなる比較例焼結体17〜19を作製した。
ついで、実施例1と同じ条件でホーニング加工を施すことにより、表13に示すSNMN120408形状の複合焼結体切削工具11〜19(以下、比較例工具11〜19という)を作製した。
また、WC基超硬合金層とTiCN基サーメット層の幅も求めた。
表13に、これらの値を示す。
表13に、蒸着形成した硬質被覆膜の膜厚を示す。
これに対して、比較例工具11〜16は、タングステン使用量は削減されているものの、耐熱亀裂性が劣るものであって、短時間で使用寿命に至っており、比較例工具17〜19はタングステン使用量は削減されておらず、耐摩耗性に関しては本発明工具同等であるが、耐異常損傷性に関しては劣位であることは明らかである。
表1に示す配合組成の平均粒径0.5〜3μmのWC基超硬合金原料粉末を用意する。
また、表2に示す配合組成の平均粒径0.5〜3μmのTiCN基サーメット原料粉末を用意する。
まず、上記WC基超硬合金原料粉末を、ISOインサート形状RGEN2004M0ENの素材用金型および内周部に空隙を設けるための入れ子を用いプレスして、表15に示す仮成形体21〜25を作製した。
次に、上記仮成形体21〜25の内周に、TiCN基サーメット原料粉末を配置し、上記仮成形体21〜25とともに、ISOインサート形状RGEN2004M0ENの素材用金型でプレスし、複合成形体21〜25を作製した。
次に、上記仮成形体26〜30の内周に、TiCN基サーメット原料粉末を配置し、上記仮成形体26〜30とともに、ISOインサート形状SEEN1203AFEN1の素材用金型でプレスし、複合成形体26〜30を作製した。
また、WC基超硬合金層とTiCN基サーメット層の最大厚さ、最小厚さを光学顕微鏡で観察して測定し、異なる5点において測定された幅を平均して平均幅とした。
表16に、これらの値を示す。
表16に、蒸着形成した硬質被覆膜の膜厚を示す。
[切削条件1]
被削材:JIS・SCr420の幅100mm、長さ400mmのブロック材、
切削速度:250m/min.、
切り込み:0.12mm、
送り:0.1mm/rev.、
切削時間:10分
の条件で、合金鋼の湿式フライス切削試験を行い、逃げ面摩耗量を測定した。
[切削条件2]
被削材:JIS・SCr440の幅100mm、長さ400mmのブロック材、
切削速度:315m/min.、
切り込み:0.11mm、
送り:0.1mm/rev.、
切削時間:5分
の条件で、合金鋼の湿式フライス切削試験を行い、異常損傷の有無を確認した。
さらに、本発明工具21〜30について、各工具においてサーメットと積層せず、全体をWC基超硬合金とした場合からの使用W量削減率(質量%)を算出した。
表17に、これらの結果を示す。
Claims (2)
- TiCN基サーメット層とWC基超硬合金層との複合焼結体からなる切削工具において、
(a)上記切削工具は、すくい面の平面形状が円形または多角形であり、すくい面と逃げ面のなす角度は90度または90度未満であり、
(b)上記切削工具の切れ刃を含む外周部は、鉄族金属成分を4〜17質量%、残部はWCを主たる硬質相成分とするWC基超硬合金層で構成され、また、外周部に囲繞された内部はTiCN基サーメット層で構成され、
(c)上記WC基超硬合金層からなる外周部の幅は、上記複合焼結体におけるすくい面の最大内接円直径の0.03〜0.15倍であり、
(d)上記WC基超硬合金層からなる外周部で囲繞された内部のTiCN基サーメット層は、少なくとも1層以上のTiCN基サーメット層から構成され、WC基超硬合金層と隣接するTiCN基サーメット層は、該サーメットの構成成分の含有割合を金属成分の含有割合で表現した場合、少なくとも鉄族金属成分を4〜25質量%、Wを15質量%未満、Moを2〜15質量%、Nbを2〜10質量%、Crを0.2〜2質量%を含有し、かつ、鉄族金属成分であるCoとNiについて、CoとNiの合計含有量に対するCo含有割合を質量比で表現した場合、0.5〜0.8を満足することを特徴とする複合焼結体切削工具。 - 前記TiCN基サーメット層とWC基超硬合金層とからなる複合焼結体の少なくともWC基超硬合金層の表面に、硬質被覆膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆複合焼結体切削工具。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2016/065394 WO2016190330A1 (ja) | 2015-05-28 | 2016-05-25 | 複合焼結体切削工具 |
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