以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」と「メタクリロイル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
(基材粒子)
本発明に係る基材粒子では、基材粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)が1500N/mm2以下であり、20%圧縮したときの圧縮弾性率(20%K値)が1000N/mm2以下である。さらに、本発明に係る基材粒子では、基材粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)の基材粒子を20%圧縮したときの圧縮弾性率(20%K値)に対する比(10%K値/20%K値)が1.5以上である。
本発明に係る基材粒子は、圧縮初期において、比較的柔らかい。また、本発明に係る基材粒子では、圧縮後期においても、十分な柔軟性がある。また、圧縮初期から圧縮後期を通じて、圧縮弾性率が比較的低く設計されている。
また、本発明に係る基材粒子では、該基材粒子を50%圧縮する圧縮試験での圧縮変位−圧縮荷重曲線において、上記基材粒子が50%圧縮するまでの間に屈曲部が存在しない。
なお、「屈曲部が存在しない」とは、荷重負荷速度0.3mN/秒で50%圧縮するまでの間に粒子の破壊が生じないこと、又は、50%圧縮するまでの間に粒子の破壊は生じるが不連続破壊は生じないことをいう。本発明において、50%圧縮変形以下での、「屈曲部が存在しない」とは、50%圧縮するまでの間に粒子の破壊が生じないことを意味していてもよく、50%圧縮するまでの間に粒子の破壊は生じるが不連続破壊は生じないことを意味していてもよい。50%圧縮変形以下での屈曲部が存在するか否かは、50%圧縮変形における圧縮変位(X軸)と圧縮荷重(Y軸)との関係を示す二次元グラフにおいて、僅かな荷重差において、不連続に圧縮変位が変化する点を基準に判断され、荷重値0.05mNの範囲内で圧縮変位差が0.1μm以下の場合を「屈曲部が存在しない」と評価する。
本発明では、上記の構成が備えられているので、被着体の傷付きを抑え、被着体が反っても基材粒子及び基材粒子を用いた粒子を被着体に良好に接触させることができる。さらに、導電層を形成した後の導電性粒子を用いて、電極間を電気的に接続する場合に、低い圧力で圧着を行ったとしても、接続抵抗を低くすることが可能である導電性粒子を得ることができる。本発明に係る基材粒子を用いた導電性粒子の使用により、導通信頼性が高くなる。低い圧力であっても、導電性粒子は、電極に十分に接触させることができる。また、電極に導電性粒子が押し込まれ形成された凹部である圧痕を形成することができる。なお、この圧痕は、電極に意図せずに形成される傷には含まれない。また、圧着中期に基材粒子が充分に変形するために、導電性粒子が電極に十分に接触して、接続抵抗が低くなる。
傷付きを効果的に抑え、基材粒子及び基材粒子を用いた粒子の接触性を効果的に高める観点からは、上記10%K値は、好ましくは1500N/mm2以下、より好ましくは1200N/mm2以下、更に好ましくは1100N/mm2以下である。上記10%K値は、300N/mm2以上であってもよく、500N/mm2以上であってもよい。
傷付きを効果的に抑え、基材粒子及び基材粒子を用いた粒子の接触性を効果的に高める観点からは、上記20%K値は、好ましくは1000N/mm2以下、より好ましくは800N/mm2以下、更に好ましくは750N/mm2以下である。上記20%K値は、150N/mm2以上であってもよく、250N/mm2以上であってもよい。
傷付きを効果的に抑え、基材粒子及び基材粒子を用いた粒子の接触性を効果的に高める観点からは、上記比(10%K値/20%K値)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.55以上、更に好ましくは2.0以上である。上記比(10%K値/20%K値)は、3.0以下であってもよく、2.5以下であってもよい。
本発明において、50%圧縮してから80%圧縮するまでの間に屈曲部が存在していてもよく、50%圧縮してから80%圧縮するまでの間に屈曲部が存在していなくてもよい。
本発明において、50%圧縮してから80%圧縮するまでの間における「屈曲部が存在する」とは、荷重負荷速度0.3mN/秒で50%を超えて圧縮してから80%圧縮するまでの間に基材粒子の一部の破壊が生じているか又は基材粒子の完全破壊が生じていることをいう。50%圧縮してから80%圧縮するまでの間に屈曲部が存在するか否かは、50%圧縮してから80%圧縮するまでの間に基材粒子の一部の破壊が生じていることを意味していてもよく、50%圧縮してから80%圧縮するまでの間に基材粒子の完全破壊が生じていることを意味していてもよい。
50%圧縮変形よりも大きい領域での屈曲部が存在するか否かは、圧縮変形(X軸)と圧縮荷重(Y軸)との関係を示す二次元グラフにおいて、僅かな荷重差において、不連続に圧縮変位が変化する点を基準に判断され、荷重値0.2mNの範囲内で圧縮変位差が0.03μmを超える場合を「屈曲部が存在する」と評価する。
本発明の一実施形態に係る基材粒子では、例えば、図6に示す圧縮試験での圧縮変位(X軸)−圧縮荷重(Y軸)曲線を示す二次元グラフが得られる。
上記屈曲部の存在の有無、並びに破壊変位率は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で基材粒子を圧縮する。基材粒子の一部の破壊が確認されたときの圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値及び基材粒子の平均粒子径から、破壊変位率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
破壊変位率(%)=D/(2R)×100
D:圧縮変形50%以下の領域において圧縮荷重0.05mNの範囲内で圧縮変位差が0.1μmを超えたときの屈曲開始点の圧縮変位、及び、50%圧縮よりも大きい領域において圧縮荷重0.2mNの範囲内で圧縮変位差が0.03μmを超えたときの屈曲開始点の圧縮変位のうち小さいほうの圧縮変位(mm)
R:基材粒子の半径(mm)
上記基材粒子における上記圧縮弾性率(10%K値及び20%K値)は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で基材粒子1個を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
10%K値又は20%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:基材粒子が10%又は20%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:基材粒子が10%又は20%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:基材粒子の半径(mm)
上記圧縮弾性率は、基材粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、基材粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
上記基材粒子の圧縮回復率は好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上であり、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、更に好ましくは50%以下である。上記圧縮回復率が上記下限以上及び上記上限以下であると、傷付きを効果的に抑え、基材粒子及び基材粒子を用いた粒子の接触性を効果的に高めることができる。
上記圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
試料台上に基材粒子を散布する。散布された基材粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃で、基材粒子の中心方向に、基材粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重−圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
上記基材粒子の用途は特に限定されない。上記基材粒子は、様々な用途に好適に用いられる。上記基材粒子は、表面上に導電層が形成され、上記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられるか、又は液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましい。本発明に係る基材粒子は、表面上に導電層が形成され、上記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられることが好ましい。上記基材粒子は、液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましく、液晶表示素子用周辺シール剤に用いられることが好ましい。該液晶表示素子用周辺シール剤において、上記基材粒子は、スペーサとして機能することが好ましい。上記基材粒子は、良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を有するので、上記基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いて基板間に配置したり、表面に導電層を形成して導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続したりした場合に、液晶表示素子用スペーサ又は導電性粒子が、基板間又は電極間に効率的に配置される。さらに、上記基材粒子では、液晶表示素子用部材の傷付きが抑えられるので、上記液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子及び上記導電性粒子を用いた接続構造体において、接続不良及び表示不良が生じ難くなる。
さらに、上記基材粒子は、無機充填材、トナーの添加剤、衝撃吸収剤又は振動吸収剤としても好適に用いられる。例えば、ゴム又はバネ等の代替品として、上記基材粒子を用いることができる。
上記基材粒子が、上記の圧縮特性を有するようにするために、以下に説明する基材粒子の構成を採用することができる。
上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子ではないことが好ましく、基材粒子内で、コアとシェルとの界面を有さないことが好ましい。上記基材粒子は、基材粒子内で、界面を有さないことが好ましく、異なる面同士が接触している界面を有さないことがより好ましい。上記基材粒子は、表面が存在する不連続部分を有さないことが好ましく、構造表面が存在する不連続部分を有さないことが好ましい。
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記基材粒子では、内部形成材料の組成と表面部形成材料の組成とが異なることが好ましい。上記基材粒子では、内部が上記内部形成材料を用いて形成されており、表面部が上記表面部形成材料を用いて形成されていることが好ましい。また、上記基材粒子では、上記内部形成材料と上記表面部形成材料との双方を含む領域が存在することが好ましい。上記基材粒子では、上記内部形成材料を含み、かつ上記表面部形成材料を含まないか又は上記表面部形成材料を25%未満で含む領域を、基材粒子が中心に有することが好ましい。
上記基材粒子では、上記表面部形成材料を含み、かつ上記内部形成材料を含まないか又は上記内部形成材料を25%未満で含む領域を、基材粒子が表面に有することが好ましい。上記基材粒子の全体で、単一の組成を有さないことが好ましい。上記内部形成材料は、基材粒子の中心を含む領域を形成している材料であり、表面を形成している材料とは異なることが好ましい。上記表面部形成材料は、基材粒子の表面を含む領域を形成している材料であり、基材粒子の中心を形成している材料とは異なることが好ましい。
上記表面部形成材料は、上記基材粒子の表面から内側に向かって厚み1/10の距離部分(図1に示す破線r1の位置)に含まれていることが好ましい。この場合には、表面部形成材料は一般に、粒子を表面処理している表面処理剤とは異なる。例えば、粒子をシランカップリング剤などで表面処理すると、表面処理物質の厚みはさほど厚くならない。
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記基材粒子は、アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマーと、単官能モノマーとを重合させることで得られることが好ましく、上記基材粒子は、アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマーと、単官能モノマーとの重合体であることが好ましい。また、良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記単官能モノマー及び上記多官能モノマーの少なくとも一方が、重合性有機基を有するシラン化合物を含むことが好ましく、上記単官能モノマーが、重合性有機基を有するシラン化合物を含むことがより好ましい。良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記単官能モノマーは、芳香族炭化水素骨格又は環状炭化水素骨格を有することが好ましい。上記重合性有機基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
上記多官能モノマーとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、PEG200#ジ(メタ)アクリレート、PEG600#ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記多官能モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有することが好ましい。上記多官能モノマーが、アルキレングリコール鎖を2個以上有することが好ましい。上記多官能モノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記多官能モノマーは、シラン化合物であってもよく、シラン化合物でなくてもよい。
上記環状炭化水素を有する単官能モノマーとしては、スチレン、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記単官能モノマーが、ビニル基を1個又は(メタ)アクリロイル基を1個有することが好ましい。上記単官能モノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記単管能モノマーは、シラン化合物であってもよく、シラン化合物でなくてもよい。
上記重合性有機基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及び片末端もしくは両末端(メタ)アクリル変性シリコーンオイル等が挙げられる。上記シラン化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、用いなくてもよい。
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記基材粒子は、上記アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマーと上記単官能モノマーとを重量比で、50:50〜95:5で重合させることで得られることが好ましく、50:50〜90:10で重合させることで得られることがより好ましく、50:50〜85:15で重合させることで得られることが更に好ましく、50:50〜75:25で重合させることで得られることが特に好ましい。上記重合体を構成する多官能モノマーと単官能モノマーとの重量比がこれらの範囲を満足することが好ましい。この場合に、アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマー以外の多官能モノマー(他の多官能モノマー)を用いてもよい。他の多官能モノマーを用いる場合に、上記アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマーと、上記単官能モノマーと、上記他の多官能モノマーとの合計100重量%中、上記他の多官能モノマーの使用量は好ましくは20重量%以下、より好ましくは14重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記基材粒子において、上記アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマーに由来する骨格と、上記単官能モノマーに由来する骨格と、上記他の多官能モノマーに由来する骨格の合計100重量%中、上記他の多官能モノマーに由来する骨格の含有量は好ましくは20重量%以下、より好ましくは14重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。
上記基材粒子は、第1の重合開始剤と、上記第1の重合開始剤の10時間半減期温度よりも高い10時間半減期温度を有する第2の重合開始剤とを用いて、アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマーと、単官能モノマーとを重合させる工程を経て得られることが好ましい。「10時間半減期温度」とは、重合開始剤の半減期が10時間となる分解温度を示す。第2の重合開始剤の10時間半減期温度は、第1の重合開始剤の10時間半減期温度よりも3℃以上高いことが好ましく、5℃以上高いことが更に好ましく、10℃以上高いことが特に好ましい。
上記第1,第2の重合開始剤の使用により、上記第1の重合開始剤によって、基材粒子における内部を形成し、上記第2の重合開始剤によって、基材粒子における表面部を形成することができる。結果として、内部形成材料の組成と表面部形成材料の組成とが異なる基材粒子を容易に得ることができる。また、上記第1の重合開始剤による重合と、上記第2の重合開始剤による重合とを連続的に行うことで、基材粒子内で、コアとシェルとの界面を有さない基材粒子を得ることができる。内部形成材料における重合に寄与した重合開始剤と、表面部形成材料における重合に寄与した重合開始剤とが異なることが好ましい。
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記第1の重合開始剤と上記第2の重合開始剤とのうち、一方がアゾ化合物であり、他方が有機過酸化物であることが好ましい。
上記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド及びジアルキルパーオキサイド等が挙げられる。上記ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド及びtert−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
上記多官能モノマーと上記単官能モノマーとの合計100重量部に対して、上記第1の重合開始剤と上記第2の重合開始剤との合計の使用量は好ましくは1重量部以上、より好ましくは2重量部以上である。
良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を容易に達成する観点から、上記第1の重合開始剤と上記第2の重合開始剤との使用量は、重量比で、0.5:1.5〜1.5:0.5であることが好ましく、0.8:1.2〜1.2:0.8であることがより好ましい。
上記基材粒子の粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記基材粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、良好な圧縮変形特性及び圧縮破壊特性を示すことが容易であり、基材粒子を導電性粒子及び液晶表示素子用スペーサの用途に好適に使用可能になる。
上記基材粒子の粒径は、上記基材粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記基材粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。また、基材粒子の粒径は、基材粒子を任意の粒径測定装置により測定した平均粒径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。更に具体的には、複数の基材粒子の場合には、基材粒子の粒径の測定方法としては、例えば、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の粒径を測定し、平均粒径を測定する方法が挙げられる。上記平均粒径は、数平均粒径を示す。
上記基材粒子のアスペクト比は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。上記アスペクト比は、長径/短径を示す。複数の基材粒子の場合には、好ましくは、上記アスペクト比は、任意の基材粒子10個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、最大径と最小径をそれぞれ長径、短径とし、各粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求められる。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、上述した基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電層2とを有する。導電層2は、基材粒子11の表面を被覆している。導電性粒子1は、基材粒子11の表面が導電層2により被覆された被覆粒子である。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図2に示す導電性粒子21は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電層22とを有する。導電層22は、内層である第1の導電層22Aと外層である第2の導電層22Bとを有する。基材粒子11の表面上に、第1の導電層22Aが配置されている。第1の導電層22Aの表面上に、第2の導電層22Bが配置されている。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図3に示す導電性粒子31は、基材粒子11と、導電層32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。
導電層32は、基材粒子11の表面上に配置されている。導電性粒子31は導電性の表面に、複数の突起31aを有する。導電層32は外表面に、複数の突起32aを有する。このように、上記導電性粒子は、導電性粒子の導電性の表面に突起を有していてもよく、導電層の外表面に突起を有していてもよい。複数の芯物質33が、基材粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質33は導電層32内に埋め込まれている。芯物質33は、突起31a,32aの内側に配置されている。導電層32は、複数の芯物質33を被覆している。複数の芯物質33により導電層32の外表面が隆起されており、突起31a,32aが形成されている。
導電性粒子31は、導電層32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電層32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
上記導電層を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、珪素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
導電性粒子1,31のように、上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
上記基材粒子の表面上に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは520μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。また、導電性粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
上記導電性粒子の粒径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。
上記導電層の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。上記導電層の厚みは、導電層が多層である場合には導電層全体の厚みである。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記最外層が金層である場合に、金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。上記導電層の厚みについては、任意の導電層の厚み5箇所の平均値を1個の粒子の導電層の厚みとして算出することが好ましく、導電層全体の厚みの平均値を1個の導電層の厚みとして算出することがより好ましい。複数の導電性粒子の場合には、上記導電層の厚みは、好ましくは、任意の導電性粒子10個について、これらの平均値を算出して求められる。
上記導電性粒子は、導電性の表面に突起を有していてもよい。上記導電性粒子は、上記導電層の外表面に突起を有していてもよい。該突起は複数であることが好ましい。導電層の表面並びに導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電層とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成する途中段階で芯物質を添加する方法等が挙げられる。例えば、無電解めっきにより芯物質を用いずに突起を形成する方法として、無電解めっきにより金属核を発生させ、基材粒子又は導電層の表面に金属核を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。
上記導電性粒子は、上記導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を備えていてもよい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が上記導電層の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。上記絶縁性物質は、絶縁性樹脂層又は絶縁性粒子であることが好ましく、絶縁性粒子であることがより好ましい。上記絶縁性粒子は、絶縁性樹脂粒子であることが好ましい。
上記導電層の外表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電層の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電層の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していても構わない。
(導電材料)
上記導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より一層好ましくは40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体及び液晶表示素子)
上述した導電性粒子を用いて、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、上記接続部の材料が、上述した導電性粒子であるか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料であることが好ましい。上記接続部が、上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材は、第1の電極を表面に有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は、第2の電極を表面に有することが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。
図4は、図1に示す導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1の接続対象部材52と第2の接続対象部材53とを接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図4では、図示の便宜上、導電性粒子1は略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子21,31などの他の導電性粒子を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。フレキシブルプリント基板の電極、樹脂フィルム上に配置された電極及びタッチパネルの電極を接続するための上記加圧の圧力は9.8×104〜1.0×106Pa程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
上記導電性粒子及び上記導電材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブル基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
また、上記基材粒子は、液晶表示素子用スペーサとして好適に用いられる。すなわち、上記基材粒子は、液晶セルを構成する一対の基板と、該一対の基板間に封入された液晶と、上記一対の基板間に配置された液晶表示素子用スペーサとを備える液晶表示素子を得るために好適に用いられる。上記液晶表示素子用スペーサは、周辺シール剤に含まれていてもよい。
図5に、本発明の一実施形態に係る基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いた液晶表示素子を断面図で示す。
図5に示す液晶表示素子81は、一対の透明ガラス基板82を有する。透明ガラス基板82は、対向する面に絶縁膜(図示せず)を有する。絶縁膜の材料としては、例えば、SiO2等が挙げられる。透明ガラス基板82における絶縁膜上に透明電極83が形成されている。透明電極83の材料としては、ITO等が挙げられる。透明電極83は、例えば、フォトリソグラフィーによりパターニングして形成可能である。透明ガラス基板82の表面上の透明電極83上に、配向膜84が形成されている。配向膜84の材料としては、ポリイミド等が挙げられている。
一対の透明ガラス基板82間には、液晶85が封入されている。一対の透明ガラス基板82間には、複数の基材粒子11が配置されている。基材粒子11は、液晶表示素子用スペーサとして用いられている。複数の基材粒子11により、一対の透明ガラス基板82の間隔が規制されている。一対の透明ガラス基板82の縁部間には、シール剤86が配置されている。シール剤86によって、液晶85の外部への流出が防がれている。シール剤86には、基材粒子11と粒径のみが異なる基材粒子11Aが含まれている。
上記液晶表示素子において1mm2あたりの液晶表示素子用スペーサの配置密度は、好ましくは10個/mm2以上であり、好ましくは1000個/mm2以下である。上記配置密度が10個/mm2以上であると、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が1000個/mm2以下であると、液晶表示素子のコントラストがより一層良好になる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)基材粒子の作製
種粒子として平均粒子径0.80μmのポリスチレン粒子を用意した。該ポリスチレン粒子3.9重量部と、イオン交換水500重量部と、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液120重量部とを混合し、超音波により分散させた後、セパラブルフラスコに添加し、均一に撹拌した。
また、アルキレングリコール鎖を有する多官能モノマーとしてポリテトラメチレングリコールジアクリレート50重量部と、単官能モノマーとしてベンジルメタクリレート25重量部と、イソボルニルアクリレート25重量部とを混合し、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V−601」)1.5重量部と、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)1.5重量部とを溶解させ、ラウリル硫酸トリエタノールアミン3.0重量部と、エタノール40重量部と、イオン交換水400重量部とを更に添加し、超音波ホモジナイザーにて20分乳化を行い、乳化液を調製した。
種粒子としての上記ポリスチレン粒子が添加されたセパラブルフラスコに、上記乳化液をさらに添加し、4時間撹拌し、種粒子にモノマーを吸収させて、モノマーが膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
その後、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液360重量部を添加し、加熱を開始して67℃で5時間、その後76℃で6時間反応させ、平均粒子径3.00μmの基材粒子を得た。
(2)導電性粒子の作製
得られた基材粒子を洗浄し、乾燥した。その後、無電解めっき法により、得られた基材粒子の表面に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。
(実施例4〜9、参考例2,3,10及び比較例1〜4)
基材粒子の作製時に用いたモノマーの種類及び配合量、重合開始剤の種類及び配合量、並びに基材粒子の平均粒子径を下記の表1,2に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、基材粒子を得た。得られた基材粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例11)
(1)パラジウム付着工程
実施例1で得られた基材粒子を用意した。得られた基材粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に樹脂粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に基材粒子を添加し、パラジウムが付着された基材粒子を得た。
(2)芯物質付着工程
パラジウムが付着された基材粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を得た。
(3)無電解ニッケルめっき工程
実施例1と同様にして、基材粒子の表面上に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。
(実施例12)
(1)絶縁性粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
実施例1で得られた導電性粒子10重量部をイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4重量部を添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
(実施例13)
実施例1で得られた基材粒子を用いて、ニッケル粒子スラリーを使用せずに、めっき浴内に反応によりニッケル芯物質を生成し、生成した芯物質と共に無電解ニッケルめっきを共析出させることで、ニッケル層の外表面に複数の突起を有する導電性粒子を得た。
(評価)
(1)基材粒子の粒径
得られた基材粒子について、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の粒径を測定し、平均粒径を測定した。
(2)基材粒子の圧縮弾性率(10%K値及び20%K値)
得られた基材粒子の上記圧縮弾性率(10%K値及び20%K値)、並びに上記荷重値(10%荷重値及び20%荷重値)を、23℃の条件で、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。10%K値、20%K値及び10%K値/20%K値を求めた。
(3)基材粒子の圧縮回復率及び破壊変位率、並びに、基材粒子の圧縮試験における屈曲部の有無
基材粒子の上記圧縮回復率及び破壊変位率、並びに、基材粒子の圧縮試験における屈曲部の有無を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。0〜50%(0%以上、50%以下)圧縮時の屈曲部の有無、及び50〜80%(50%を超え、80%以下)圧縮時の屈曲部の有無を評価した。
(4)接続抵抗
接続構造体の作製:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート1009」)10重量部と、アクリルゴム(重量平均分子量約80万)40重量部と、メチルエチルケトン200重量部と、マイクロカプセル型硬化剤(旭化成イーマテリアルズ社製「HX3941HP」)50重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部とを混合し、導電性粒子を含有量が3重量%となるように添加し、分散させ、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、片面が離型処理された厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布し、70℃の熱風で5分間乾燥し、異方性導電フィルムを作製した。得られた異方性導電フィルムの厚さは12μmであった。
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断された異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有するアルミニウム電極(高さ0.2μm、L/S=20μm/20μm)が設けられたガラス基板(幅3cm、長さ3cm)のアルミニウム電極のほぼ中央部へ貼り付けた。次いで同じアルミニウム電極が設けられた2層フレキシブルプリント基板(幅2cm、長さ1cm)を電極同士が重なるように、位置合わせをしてから貼り合わせた。このガラス基板と2層フレキシブルプリント基板との積層体を、30N、180℃、及び20秒間の圧着条件で熱圧着し、接続構造体を得た。
接続抵抗の測定:
得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。接続構造体の接続抵抗を下記の基準で判定した。
[接続抵抗の評価基準]
○○:接続抵抗が3.0Ω以下
○:接続抵抗が3.0Ωを超え、4.0Ω以下
△:接続抵抗が4.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
基材粒子及び導電性粒子の詳細及び結果を下記の表1,2に示す。
(5)液晶表示素子用スペーサとしての使用例
STN型液晶表示素子の作製:
イソプロピルアルコール70重量部と水30重量部とを含む分散媒に、得られるスペーサ分散液100重量%中で実施例1,4〜9,11〜13及び参考例2,3,10の加熱前の液晶表示素子用スペーサ(基材粒子)を固形分濃度が2重量%となるように添加し、撹拌し、液晶表示素子用スペーサ分散液を得た。なお、液晶表示素子用スペーサとして用いた実施例11〜13の基材粒子は、実施例1の基材粒子と同じである。
一対の透明ガラス板(縦50mm、横50mm、厚さ0.4mm)の一面に、CVD法によりSiO2膜を蒸着した後、SiO2膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成した。得られたITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜組成物(日産化学社製、SE3510)を塗工し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。配向膜にラビング処理を施した後、一方の基板の配向膜側に、液晶表示素子用スペーサを1mm2当たり100個となるように湿式散布した。他方の基板の周辺にシール剤を形成した後、この基板とスペーサを散布した基板とをラビング方向が90°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた。その後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させて、空セル(液晶の入ってない画面)を得た。得られた空セルに、カイラル剤入りのSTN型液晶(DIC社製)を注入し、次に注入口を封止剤で塞いだ後、120℃で30分間熱処理してSTN型液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子では、実施例1,4〜9,11〜13及び参考例2,3,10の加熱前の液晶表示素子用スペーサにより基板間の間隔が良好に規制されていた。また、液晶表示素子は、良好な表示品質を示した。また、実施例1,4〜9,11〜13及び参考例2,3,10の液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子を75℃で168時間放置した結果、スプリングバックが抑えられており、液晶表示素子の表示品質は良好に維持されていた。なお、液晶表示素子の周辺シール剤に、実施例1,4〜9,11〜13及び参考例2,3,10の基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いた場合でも、得られた液晶表示素子の表示品質は良好であった。