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JP6728772B2 - 電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法 - Google Patents

電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フェノール系樹脂、樹脂組成物、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法に関する。
自動車用鉛蓄電池は、エンジン始動用及び電装品の電力供給用として広汎に用いられている。近年、環境保護及び燃費改善の取り組みとして、車両の一時停止時にはエンジンを止め、発進時に再始動するアイドリング・ストップ・システム(以下、「ISS」という)が実施され始めている。ISSにおいて使用される鉛蓄電池では、頻繁にエンジンの始動及び停止が繰り返されることにより、エンジン始動時の大電流放電回数が増え、電装品の使用と重なり放電負荷が多くなる。
自動車用鉛蓄電池の充電は、オルタネータによる定電圧充電である。近年、充電中の水分解による電解液の減少を抑制することを目的として、オルタネータ電圧の設定値は低下してきている。また、近年では、このような低い充電電圧を採用することに加えて、発電制御システムと呼ばれる「走行中のオルタネータによる充電を、車両の走行状態及び鉛蓄電池の充電状態に応じて制御することにより、エンジン負荷を低減し、燃費向上及びCO削減を図る」方式も採用されている。このような方式では、鉛蓄電池の充電が行われにくく、満充電状態になりにくい。このような使用条件において鉛蓄電池は、充分に充電されず放電過多で使用されることが多くなる。
鉛蓄電池の充電が完全に行われず、充電量の低い状態が継続すると、不活性の放電生成物である硫酸鉛が電極(極板等)に蓄積する現象(サルフェーション)が起こる場合がある。このような状況では、電極活物質が還元されにくい(充電されにくい)状態であることから、サイクル特性等の電池性能が低下することが知られている。
また、完全な充電が行われにくい場合には、鉛蓄電池内における電極(極板等)の上部と下部との間で、電解液である希硫酸の濃淡差が生じる成層化現象が起こる。この場合、電極の下部の希硫酸の濃度が高くなりサルフェーションが発生する。そのため、電極の下部の反応性が低下し、電極の上部だけが集中的に反応するようになる。その結果、電極活物質間の結びつきが弱くなる等の劣化が進み、電極の上部において、電極活物質を支持する集電体(例えば集電体格子)から電極活物質が剥離して、サイクル特性等の電池性能が低下する。
これに対し、サイクル特性等を向上させる手段として、下記特許文献1には、負極活物質と、フェノール類、アミノベンゼンスルホン酸及びホルムアルデヒドの縮合物とを用いて得られる鉛蓄電池用負極に関する技術が開示されている。
国際公開第1997/37393号
ところで、鉛蓄電池に対してはサイクル特性等の電池性能を更に向上させることが求められている。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を有するフェノール系樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記フェノール系樹脂を含有する樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記フェノール系樹脂を含む電極及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、前記電極を備える鉛蓄電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らの鋭意検討の結果、前記特許文献1に記載の鉛蓄電池用負極を用いた場合に充分なサイクル特性が得られないことが明らかとなった。これに対し、本発明者らは、フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、尿素及び尿素誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種とを反応させて得られるフェノール系樹脂を用いることにより前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明に係るフェノール系樹脂は、(a)フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(b)尿素及び尿素誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、の反応に由来する構造単位を有する。
本発明に係るフェノール系樹脂によれば、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を得ることができる。また、本発明に係るフェノール系樹脂によれば、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することができる。
前記のとおり優れたサイクル特性が得られる要因について、本発明に係るフェノール系樹脂を用いて得られる鉛蓄電池においては、鉛蓄電池の電極反応において生成する反応物が粗大化することが抑制されることにより電極の比表面積が高く保持されるためであると推測される。但し、要因はこれに限定されるものではない。
本発明に係るフェノール系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であることが好ましい。この場合、サイクル特性が向上しやすい。
本発明に係る樹脂組成物は、本発明に係るフェノール系樹脂を含有する。本発明に係る樹脂組成物においても、優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明に係る樹脂組成物のpHは、6.0〜14.0であることが好ましい。
本発明に係る電極は、電極活物質と、本発明に係るフェノール系樹脂と、を含む。本発明に係る鉛蓄電池は、本発明に係る電極を備えている。これらにおいても、優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明に係るフェノール系樹脂の製造方法は、(a)フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(b)尿素及び尿素誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させる工程を備える。
本発明に係るフェノール系樹脂の製造方法によれば、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を有するフェノール系樹脂を得ることができる。また、本発明に係るフェノール系樹脂の製造方法によれば、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することが可能なフェノール系樹脂を得ることができる。
本発明に係るフェノール系樹脂の製造方法は、(b)成分の配合量が(a)成分1.00モルに対して0.50〜5.00モルであり、(c)成分の配合量が(a)成分1.00モルに対してホルムアルデヒド換算で1.50〜9.00モルである態様が好ましい。この場合、更に優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明に係る電極の製造方法は、本発明に係るフェノール系樹脂の製造方法により得られたフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える。本発明に係る鉛蓄電池の製造方法は、本発明に係る電極の製造方法により電極を得る工程を備える。これらにおいても、優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明によれば、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を得ることができる。また、本発明によれば、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することができる。本発明によれば、フェノール系樹脂の鉛蓄電池への応用、及び、フェノール系樹脂を含有する樹脂組成物の鉛蓄電池への応用を提供できる。
特に、本発明によれば、前記フェノール系樹脂を含む負極を有する鉛蓄電池において優れた特性を得ることができる。本発明によれば、フェノール系樹脂の鉛蓄電池の負極への応用、及び、フェノール系樹脂を含有する樹脂組成物の鉛蓄電池の負極への応用を提供できる。
本発明によれば、フェノール系樹脂の自動車における鉛蓄電池への応用、及び、フェノール系樹脂を含有する樹脂組成物の自動車における鉛蓄電池への応用を提供できる。また、本発明によれば、充電容量の低下が極めて少ないことから、過酷な環境で使用されるISS車両用途として充分満足し得る鉛蓄電池を提供することができる。本発明によれば、フェノール系樹脂のISS車両における鉛蓄電池への応用、及び、フェノール系樹脂を含有する樹脂組成物のISS車両における鉛蓄電池への応用を提供できる。本発明によれば、鉛蓄電池のISS車両への応用を提供できる。
図1は、鉛蓄電池の一例を示す斜視図である。 図2は、図1に示す鉛蓄電池の内部構造の一部を示す図である。 図3は、極板群の一例を示す斜視図である。 図4は、H−NMRスペクトルの測定結果を示す図である。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<フェノール系樹脂、樹脂組成物及びこれらの製造方法>
本実施形態に係るフェノール系樹脂は、(a)フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、場合により「(a)成分」という)と、(b)尿素及び尿素誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、場合により「(b)成分」という)と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、場合により「(c)成分」という)と、を反応させて得られる樹脂であり、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応に由来する構造単位を有する。本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係るフェノール系樹脂を含有している。本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば25℃において液状の樹脂溶液である。以下、フェノール系樹脂を得るための成分、樹脂組成物の構成成分等について説明する。
((a)成分:フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体)
フェノールスルホン酸は、ベンゼン環に結合した水酸基(フェノール性水酸基)及びスルホ基(−SOH)を有する化合物である。水酸基及びスルホ基のそれぞれは、ベンゼン環に複数結合していてもよい。
フェノールスルホン酸としては、例えば、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、及び、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸が挙げられる。フェノールスルホン酸としては、放電特性及びサイクル特性に更に優れる観点から、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸及び2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸がより好ましい。
フェノールスルホン酸誘導体としては、例えば、フェノールスルホン酸のベンゼン環の少なくとも一つの水素原子が置換された化合物、及び、フェノールスルホン酸(4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸等)の少なくとも一つのスルホ基の水素原子がアルカリ金属(モノアルカリ金属塩等)又はアルカリ土類金属で置換された金属塩が挙げられる。
ベンゼン環の水素原子を置換する置換基としては、例えば、アルコキシ基(メトキシ基等)及びカルボキシ基が挙げられる。フェノールスルホン酸のベンゼン環の水素原子が置換された化合物としては、例えば、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゼンスルホン酸、及び、2−ヒドロキシ−5−スルホ安息香酸が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム及びカリウムが挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム及びカルシウムが挙げられる。金属塩としては、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ナトリウム塩及びカリウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体は、水和物であってもよい。(a)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。フェノールスルホン酸とフェノールスルホン酸誘導体とを併用してもよい。
((b)成分:尿素及び尿素誘導体)
尿素誘導体としては、例えば、モノメチロール尿素、ジメチロール尿素、アルコキシメチレン尿素、N−アルコキシメチレン尿素、及び、メチレン二尿素が挙げられる。(b)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。尿素と尿素誘導体とを併用してもよい。(b)成分としては、放電特性及びサイクル特性に更に優れる観点から、尿素、モノメチロール尿素及びジメチロール尿素からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、尿素がより好ましい。
フェノール系樹脂を得るための(b)成分の配合量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、(a)成分1.00モルに対して、0.30モル以上が好ましく、0.40モル以上がより好ましく、0.50モル以上が更に好ましい。(b)成分の配合量は、(a)成分1.00モルに対して、1.00モル以上であってもよく、1.50モル以上であってもよく、2.00モル以上であってもよく、2.50モル以上であってもよい。(b)成分の配合量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、(a)成分1.00モルに対して、7.00モル以下が好ましく、6.50モル以下がより好ましく、6.00モル以下が更に好ましく、5.50モル以下が特に好ましく、5.00モル以下が極めて好ましく、4.50モル以下が非常に好ましく、4.00モル以下がより一層好ましい。
((c)成分:ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体)
ホルムアルデヒドとしては、ホルマリン(例えばホルムアルデヒド37質量%の水溶液)中のホルムアルデヒドを用いてもよい。ホルムアルデヒド誘導体としては、例えば、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン及びトリオキサンが挙げられる。(c)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ホルムアルデヒドとホルムアルデヒド誘導体とを併用してもよい。
(c)成分としては、優れたサイクル特性が得られやすい観点から、ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、パラホルムアルデヒドがより好ましい。パラホルムアルデヒドは、例えば、下記一般式(I)で表される構造を有する。
HO(CHO)n1H …(I)
[式(I)中、n1は2〜100の整数を示す。]
フェノール系樹脂を得るための(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(b)成分の反応性が向上する観点から、(a)成分1.00モルに対して、1.50モル以上が好ましく、2.00モル以上がより好ましく、2.20モル以上が更に好ましく、2.40モル以上が特に好ましく、2.50モル以上が極めて好ましく、2.60モル以上が非常に好ましい。(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(a)成分1.00モルに対して、3.00モル以上であってもよく、4.00モル以上であってもよく、5.00モル以上であってもよい。(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、得られるフェノール系樹脂の溶媒への溶解性に優れる観点から、(a)成分1.00モルに対して、10.50モル以下が好ましく、10.00モル以下がより好ましく、9.50モル以下が更に好ましく、9.00モル以下が特に好ましく、8.00モル以下が極めて好ましく、7.00モル以下が非常に好ましく、6.00モル以下がより一層好ましい。
フェノール系樹脂は、例えば、下記式(II)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 0006728772

[式(II)中、R21は、アルカリ金属又は水素原子を示す。R22及びR23は、メチロール基(−CHOH)又は水素原子を示し、互いに同一であっても異なってもよい。R24は、アルカリ金属又は水素原子を示す。n21は、1〜200の整数を示し、n22は、1〜1000の整数を示し、n23は、1〜3の整数を示す。]
21及びR24のアルカリ金属としては、例えばナトリウム及びカリウムが挙げられる。n21は、サイクル特性及び溶媒への溶解性に更に優れる観点から、5〜100の整数が好ましい。n22は、サイクル特性に更に優れる観点、及び、樹脂の保存安定性に優れる観点から、1〜500の整数が好ましい。n23は、製造条件により変化するが、1又は2が好ましい。
フェノール系樹脂の重量平均分子量は、鉛蓄電池において電極からフェノール系樹脂が電解液に溶出することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすい観点から、500以上が好ましく、750以上がより好ましく、1000以上が更に好ましい。フェノール系樹脂の重量平均分子量は、電極活物質に対する吸着性が低下して分散性が低下することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすい観点から、100000以下が好ましく、75000以下がより好ましく、50000以下が更に好ましい。
フェノール系樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:GF−1G7B+GF−7MHQ×2(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(20mM)及びトリエチルアミン(400mM)を含有するメタノールの含有量が40体積%になるように前記メタノールと純水とを混合して得られた溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
本実施形態に係るフェノール系樹脂の製造方法は、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応させてフェノール系樹脂を得る樹脂製造工程を備えている。本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂製造工程において得られる組成物であってもよく、樹脂製造工程後にフェノール系樹脂と他の成分とを混合して得られる組成物であってもよい。
フェノール系樹脂は、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応溶媒中で反応させることにより得ることができる。反応溶媒は、水(例えばイオン交換水)であることが好ましい。反応を促進させるために、有機溶媒、触媒、添加剤等を用いてもよい。
樹脂製造工程は、サイクル特性が更に向上する観点から、(b)成分の配合量が(a)成分1.00モルに対して0.30〜7.00モルであり、且つ、(c)成分の配合量が(a)成分1.00モルに対してホルムアルデヒド換算で1.50〜10.50モルである態様が好ましい。(b)成分及び(c)成分の好ましい配合量は、(b)成分及び(c)成分の配合量のそれぞれについて上述した範囲である。
フェノール系樹脂は、充分量のフェノール系樹脂が得られやすい観点から、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を塩基性条件(アルカリ性条件)で反応させることにより得ることが好ましい。塩基性条件に調整するためには、塩基性化合物を用いてもよい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムが挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。塩基性化合物の中でも、反応性に優れる観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する反応溶液が反応開始時において中性(pH=7.0)である場合、フェノール系樹脂の生成反応が進行しにくい場合があり、反応溶液が酸性(pH<7.0)である場合、副反応が進行する場合がある。そのため、反応開始時の反応溶液のpHは、フェノール系樹脂の生成反応を進行させつつ副反応が進行することを抑制する観点から、アルカリ性である(7.0を超える)ことが好ましく、7.1以上がより好ましく、7.5以上が更に好ましく、8.0以上が特に好ましい。反応溶液のpHは、フェノール系樹脂の(b)成分に由来する基の加水分解が進行することを抑制する観点から、12.0以下が好ましく、11.0以下がより好ましく、10.0以下が更に好ましい。反応溶液のpHは、例えばアズワン株式会社製のTwin pHで測定することができる。pHは25℃におけるpHと定義する。
前記のようなpHに調整しやすいことから、強塩基性化合物の配合量は、(a)成分に含まれるスルホ基1.00モルに対して、1.03モル以上が好ましく、1.05モル以上がより好ましく、1.10モル以上が更に好ましい。強塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
フェノール系樹脂の合成反応は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分が反応してフェノール系樹脂が得られればよく、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を同時に反応させてもよく、(a)成分、(b)成分及び(c)成分のうちの2成分を反応させた後に残りの1成分を反応させてもよい。
フェノール系樹脂の合成反応は、次のように行うことが好ましい。溶媒(水等)及び塩基性化合物(例えば強塩基性化合物)を仕込んだ後に室温下で5〜30分間撹拌する。ここに(c)成分を加え、混合物が透明の均一系になるまで室温下で5〜30分間撹拌する。前記混合物に(a)成分及び(b)成分を加えて縮合反応させることによりフェノール系樹脂を得る。反応系の温度は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応性に優れる観点から、80℃以上が好ましく、85℃以上がより好ましく、95℃以上が更に好ましい。反応系の温度は、反応溶媒(例えば水)が蒸発することを抑制する観点から、120℃以下が好ましく、115℃以下がより好ましい。反応時間は、例えば1〜8時間である。
このようにして得られた反応物を乾燥して、溶媒(水等)、未反応の(c)成分などを除去することができる。乾燥方法としては、例えば、凍結乾燥、真空乾燥、スプレードライ及び加熱乾燥が挙げられる。乾燥方法としては、フェノール系樹脂を早く大量に処理する観点から、加熱乾燥及びスプレードライが好ましく、熱ストレスを少なくする観点、及び、乾燥後のフェノール系樹脂の形状を流動性の高い球形に保つ観点から、スプレードライがより好ましい。
フェノール系樹脂(スプレードライにおいて得られたフェノール系樹脂等)の粒径は、下記の範囲であることが好ましい。フェノール系樹脂の粒径は、取り扱い時に飛散すると共に帯電して周囲へ付着することを抑制しやすい観点、及び、水に溶解する時にママコが発生することが抑制されて取り扱い性が向上する観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。フェノール系樹脂の粒径は、水への溶解性を充分に確保する観点から、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、250μm以下が更に好ましい。これらの観点から、フェノール系樹脂の粒径は、1〜1000μmが好ましく、100〜500μmがより好ましく、20〜250μmが更に好ましい。フェノール系樹脂の粒径が20〜250μmであると、鉛粉と混練する際の取り扱い性に優れる。
電極層におけるフェノール系樹脂の含有量は、電極活物質の全質量を基準として、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、溶媒を更に含んでいてもよい。溶媒としては、例えば水(例えばイオン交換水)及び有機溶媒が挙げられる。樹脂組成物に含まれる溶媒は、フェノール系樹脂を得るために用いた反応溶媒であってもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、フェノール系樹脂以外の天然樹脂又は合成樹脂を更に含有していてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物におけるフェノール系樹脂の含有量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、樹脂組成物における不揮発分の全質量を基準として、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物における未反応の(c)成分(残存(c)成分)の含有量は、サイクル特性が更に向上する観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、1.0質量%以下が好ましく、0.9質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下が更に好ましい。未反応の(c)成分の含有量は、例えば、樹脂組成物を乾燥処理することにより低減することができる。未反応の(c)成分の含有量は、例えばガスクロマトグラフィーにより測定できる。
本実施形態に係る樹脂組成物における水分量は、品質管理及び操作性に優れる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。同様の観点から、水分量は、10.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましい。水分量は、例えばカールフィッシャー滴定により測定できる。
樹脂組成物のpHは、後述する電池作製プロセスにおいて、フェノール系樹脂の溶媒(水等)への溶解性に優れると共に、電極活物質(鉛、酸化鉛等)などへの樹脂組成物の濡れ性に優れる観点から、6.0以上が好ましく、7.0以上がより好ましく、7.0を超えることが更に好ましい。樹脂組成物のpHは、フェノール系樹脂の溶媒(水等)への溶解性に更に優れる観点から、6.0以上が好ましい。樹脂組成物のpHは、電極活物質(鉛、酸化鉛等)などへの樹脂組成物の濡れ性に更に優れる観点から、6.0以上が好ましい。樹脂組成物のpHは、フェノール系樹脂の(b)成分に由来する基の加水分解を低減できる観点から、14.0以下が好ましく、13.0以下がより好ましく、12.0以下が更に好ましく、11.0以下が特に好ましい。樹脂組成物のpHは、電極活物質(鉛、酸化鉛等)などへの樹脂組成物の濡れ性に更に優れる観点から、11.0以下が好ましい。特に、フェノール系樹脂5質量%を含有する水溶液(例えば、イオン交換水を含む水溶液)のpHが前記範囲であることが好ましい。また、樹脂製造工程において得られる組成物を樹脂組成物として用いる場合、樹脂組成物のpHは、前記範囲であることが好ましい。樹脂組成物のpHは、例えばアズワン株式会社製のTwin pHで測定することができる。pHは25℃におけるpHと定義する。樹脂組成物のpHは、例えば、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整することができる。
<電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法>
本実施形態に係る電極は、本実施形態に係るフェノール系樹脂を用いて製造されたものであり、電極活物質と、本実施形態に係るフェノール系樹脂とを含む。また、本実施形態に係る電極は、本実施形態に係るフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物を用いて製造されてもよい。本実施形態に係る電極の製造方法は、本実施形態に係るフェノール系樹脂の製造方法により得られたフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える。
電極が未化成である場合、電極は、例えば、電極活物質(負極活物質又は正極活物質)の原料等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。化成後の電極は、例えば、電極活物質(負極活物質又は正極活物質)等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。電極は、例えば、鉛蓄電池用の負極(負極板等)である。
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極活物質を得た後に未化成の負極活物質を化成することで得ることができる。化成後の負極活物質は、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)を含むことが好ましい。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極活物質を得た後に未化成の正極活物質を化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、例えば二酸化鉛を含む。
本実施形態に係る鉛蓄電池は、本実施形態に係る電極を備えている。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、例えば液式鉛蓄電池及び密閉式鉛蓄電池が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。
図1は、鉛蓄電池の一例を示す斜視図である。図1に示す鉛蓄電池1は、液式鉛蓄電池である。図2は、鉛蓄電池1の内部構造の一部を示す図である。鉛蓄電池1は、上面が開口して複数の極板群11が格納される電槽2と、電槽2の開口を閉じる蓋3とを備えている。蓋3は、例えば、正極端子4と、負極端子5と、蓋3に設けられた注液口を閉塞する液口栓6とを備えている。電槽2には、電解液(不図示)が収容されている。
極板群は、セパレータと、セパレータを介して交互に積層された正極板及び負極板とを有する。図3は、極板群の一例を示す斜視図である。図2及び図3に示すように、極板群11は、例えば、正極板12と、負極板13と、袋状のセパレータ14と、正極側ストラップ15と、負極側ストラップ16と、セル間接続部17と、極柱18とを備えている。正極板12及び負極板13の上側周縁部には、耳部と呼ばれる集電部22及び集電部32が設けられている。
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、本実施形態に係る電極の製造方法により電極を得る電極製造工程と、電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
電極製造工程では、例えば、電極ペーストを集電体(例えば集電体格子)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。電極ペーストは、例えば、フェノール系樹脂を含有する樹脂組成物を分散剤として含んでおり、電極活物質の原料、添加剤等を更に含有している。電極が負極である場合、負極活物質の原料は、鉛粉(例えばPbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)であることが好ましい。添加剤としては、例えば、硫酸バリウム、炭素材料及び補強用短繊維(アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等)が挙げられる。炭素材料としては、例えばカーボンブラック及び黒鉛が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びケッチェンブラックが挙げられる。
本実施形態に係る電極が負極である場合、負極ペーストは、例えば、鉛粉に添加剤(フェノール系樹脂等)を添加して混練することにより得られた混合物に希硫酸を加えることにより得ることができる。
負極ペーストにおいて、硫酸バリウム、炭素材料又はフェノール系樹脂を用いる場合、各成分の含有量は下記の範囲が好ましい。硫酸バリウムの含有量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.01〜1.0質量%が好ましい。炭素材料の含有量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.2〜1.4質量%が好ましい。本実施形態に係るフェノール系樹脂(樹脂固形分)の含有量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
集電体の材質としては、例えば、鉛−カルシウム−錫合金、鉛−アンチモン−ヒ素合金等の鉛合金が挙げられる。用途に応じて、セレン、銀、ビスマス等を集電体に適宜添加してもよい。これらの鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。
熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件としては、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
鉛蓄電池用の正極(正極板等)は、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、電極活物質の原料である鉛粉(PbO)に対して、補強用短繊維を加えた後、水及び希硫酸を加える。これを混練して正極ペーストを作製する。正極ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、鉛丹(Pb)を加えてもよい。この正極ペーストを集電体(集電体格子等)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極が得られる。正極ペーストにおいて、補強用短繊維の含有量は、正極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.005〜0.3質量%が好ましい。集電体の種類、熟成条件及び乾燥条件は、負極の場合とほぼ同様である。
組み立て工程では、例えば、前記のように作製した未化成の負極及び正極を、セパレータを介して交互に積層し、同極性の電極(極板等)同士をストラップで連結(溶接等)させて電極群(極板群等)を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成の電池を作製する。次に、未化成の電池に希硫酸を注液した後、直流電流を通電し化成を行うことにより鉛蓄電池が得られる。また、希硫酸を一度抜いた後、電解液(希硫酸)を注液してもよい。電解液(希硫酸)の比重(20℃換算)は1.25〜1.35が好ましい。
セパレータの材質としては、例えばポリエチレン及びガラス繊維が挙げられる。なお、化成条件及び電解液(希硫酸)の比重は、電極活物質の性状、電極のサイズ等に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程において実施されることに限られず、電極製造工程において実施されてもよい。
<自動車>
本実施形態に係る自動車は、本実施形態に係る鉛蓄電池を備える。本実施形態に係る自動車としては、例えばISS車両が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
<負極板の作製>
[実施例1]
ジムロート、メカニカルスターラー及び温度計を装着した反応容器に水酸化ナトリウム4.8質量部及び純水279.5質量部を加えた後、150rpmで10分間撹拌して、水酸化ナトリウム水溶液を調整した。この水溶液にパラホルムアルデヒド39.3質量部(ホルムアルデヒド換算)を加えた後に10分間撹拌してパラホルムアルデヒドを溶解し、均一の水溶液を得た。この水溶液に4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム・2水和物69.6質量部及び尿素45.0質量部を加えた。その後、115℃に設定したオイルバスを用いて、反応系内の温度を95℃に設定して、加熱しながら6時間撹拌した。これにより、フェノール系樹脂を得た。
尿素を加えた直後の反応開始時のpHを下記の測定条件で測定した。
(pH測定条件)
試験機:Twin pH(アズワン株式会社製)
校正液:pH6.86(25℃)、pH4.01(25℃)
測定温度:25℃
測定手順:校正液を用いて2点校正を行った。試験機のセンサ部の洗浄を行った後、測定溶液をスポイトで吸い取り、センサ部に0.1〜0.3mLを滴下した。画面上に測定終了の表示が現れたときのpHを測定値とした。
実施例1で得られたフェノール系樹脂の重量平均分子量を下記条件のGPCにより測定した。GPCを用いて測定される重量平均分子量は10000であった。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:GF−1G7B+GF−7MHQ×2(昭和電工株式会社製)
溶離液:LiBr(20mM)及びトリエチルアミン(400mM)を含有するメタノールの含有量が40体積%になるように前記メタノールと純水とを混合して得られた溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
実施例1で得られたフェノール系樹脂を減圧下の低温乾燥(40℃)で単離し、H−NMRスペクトルを下記条件で測定した。H−NMRスペクトルの測定結果を図4に示す。
装置:ECX400II(株式会社JEOL RESONANCE製)
重溶媒:D
実施例1で得られたフェノール系樹脂を5質量%含有する水溶液のpHを、反応開始時のpHの前記測定条件と同様の測定条件で測定した。
フェノール系樹脂0.2質量%と、ファーネスブラック0.2質量%と、硫酸バリウム1.0質量%とを鉛粉に対して添加した後に乾式混合した(配合量の基準:鉛粉の全質量)。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えながら混練して負極ペーストを作製した。負極ペーストを厚さ0.6mmのエキスパンド集電体(鉛−カルシウム−錫合金)に充填して負極板を作製した。負極板を通常の方法に従い、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の負極板を得た。
[実施例2〜4]
フェノール系樹脂を得るための成分を表1の成分へ変更したこと以外は実施例1と同様の方法により負極板を得た。また、実施例1と同様に、フェノール系樹脂の重量平均分子量、反応開始時のpH、及び、フェノール系樹脂を5質量%含有する水溶液のpHを測定した。なお、表1中、パラホルムアルデヒドの配合量は、ホルムアルデヒド換算の配合量である。
[比較例1]
フェノール系樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様の方法により負極板を得た。
[比較例2]
フェノール系樹脂を得るための成分を表1の成分へ変更したこと以外は実施例1と同様の方法により負極板を得た。また、実施例1と同様に、フェノール系樹脂の重量平均分子量、反応開始時のpH、及び、フェノール系樹脂を5質量%含有する水溶液のpHを測定した。表1中、37質量%ホルマリンの配合量は、ホルムアルデヒド換算の配合量である。
<正極板の作製>
0.01質量%(基準:鉛粉の全質量)の補強用短繊維(ポリエチレン繊維)を鉛粉に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えて混練して正極ペーストを作製した。鋳造格子体からなる正極集電体(鉛−カルシウム−錫合金)に正極ペーストを充填して、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に正極板を18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の正極板を得た。
<電池の組み立て>
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成の負極板を挿入した。次に、未化成の正極板と、前記袋状セパレータに挿入された未化成の負極板とが交互に積層されるように、6枚の未化成の負極板及び5枚の未化成の正極板を積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池を組み立てた。この電池に希硫酸(比重1.28(20℃換算))を注液した後に、50℃の水槽中、通電電流1.0Aで15時間の条件で化成した。そして、希硫酸を排出した後に、再び比重1.28(20℃換算)の希硫酸を注入して鉛蓄電池を得た。
<電池特性の評価>
前記の2V単セル電池について、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を下記のとおり測定した。比較例2の充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性の測定結果をそれぞれ100とし、各特性を相対評価した。結果を表1に示す。
(充電受け入れ性)
充電受け入れ性として、電池の充電状態(State of charge)が90%になった状態(つまり、定格容量に対する5時間率電流値において、満充電状態から電池容量の10%分を放電した状態)において、25℃、2.333Vで定電圧充電し、充電開始から5秒後の電流値を測定した。5秒後の電流値が大きいほど初期の充電容量が高く、充電受け入れ性が高い電池であると評価される。
(放電特性)
放電特性として、−15℃の雰囲気下で16時間以上おいた満充電状態の電池を、室温(25℃)下、5Cで定電流放電し、電池電圧が1.0Vに達するまでの放電持続時間を測定した。放電持続時間が長いほど放電特性に優れる電池であると評価される。なお、前記Cとは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。前記Cは、“放電電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を「1C」、2時間で放電させることができる電流を「0.5C」と表現する。
(サイクル特性)
サイクル特性は、日本工業規格の軽負荷寿命試験(JIS D 5301)に準じた方法で評価した。サイクル数が大きいほど耐久性が高い電池であると評価される。
Figure 0006728772
実施例では、比較例2と比べて充電受け入れ性が大きく向上していることが確認できる。実施例の放電特性は、比較例2とほぼ同等の水準に留まっており、この場合、例えばISS車両用途としての性能を充分満足できることが確認できる。実施例では、比較例1,2と比べてサイクル特性が大きく向上していることが確認できる。このように、実施例では、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性が両立されていることが確認できる。
本発明によれば、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を有するフェノール系樹脂及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記フェノール系樹脂を含有する樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、前記フェノール系樹脂を含む電極及びその製造方法を提供することができる。本発明は、前記電極を備える鉛蓄電池及びその製造方法を提供することができる。
1…鉛蓄電池、2…電槽、3…蓋、4…正極端子、5…負極端子、6…液口栓、11…極板群、12…正極板、13…負極板、14…セパレータ、15…正極側ストラップ、16…負極側ストラップ、17…セル間接続部、18…極柱、22,32…集電部。

Claims (6)

  1. 電極活物質と、フェノール系樹脂と、を含み、
    前記フェノール系樹脂が、(a)フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(b)尿素及び尿素誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、の反応に由来する構造単位を有する、電極。
  2. 前記フェノール系樹脂の重量平均分子量が500〜100000である、請求項1に記載の電極。
  3. 請求項1又は2に記載の電極を備える、鉛蓄電池。
  4. (a)フェノールスルホン酸及びフェノールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(b)尿素及び尿素誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させることにより得られたフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える、電極の製造方法。
  5. 前記(b)成分の配合量が前記(a)成分1.00モルに対して0.30〜7.00モルであり、前記(c)成分の配合量が前記(a)成分1.00モルに対してホルムアルデヒド換算で1.50〜10.50モルである、請求項4に記載の電極の製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の電極の製造方法により電極を得る工程を備える、鉛蓄電池の製造方法。
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