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JP6721222B2 - セルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物、その製造方法、これを用いた超延伸性樹脂フィルム及び超延伸性樹脂製品 - Google Patents

セルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物、その製造方法、これを用いた超延伸性樹脂フィルム及び超延伸性樹脂製品 Download PDF

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JP6721222B2
JP6721222B2 JP2019164590A JP2019164590A JP6721222B2 JP 6721222 B2 JP6721222 B2 JP 6721222B2 JP 2019164590 A JP2019164590 A JP 2019164590A JP 2019164590 A JP2019164590 A JP 2019164590A JP 6721222 B2 JP6721222 B2 JP 6721222B2
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Description

本発明は、セルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物、その製造方法、これを用いた超延伸性樹脂フィルム及び超延伸性樹脂製品に関し、詳しくは、重合性不飽和単量体を重合する際に、セルロースナノファイバーを含む水分散液中に水溶性セルロース化合物を併用することで、セルロースナノファイバーと、共重合体とを、凝集することなく均質に配合させることを可能にし、従来技術によっては達成できなかった、形成した樹脂フィルムや樹脂シートが高い引張伸度(%)を示す超延伸性のものになるセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物を提供する技術に関する。
セルロースナノファイバー(以下、CNFと略す場合がある)の特性は広く知られており、多くの用途分野で応用展開が期待されている。一般的に謳われるCNFの特徴としては、鋼鉄の5分の1の軽さでありながら、強度はその約5倍あり、熱にも強く、プラスチックよりも軽く、透明材料にもなるという夢のような素材とされている。他方、通常、CNFは、水等の液体に分散された状態で流通されているが、固形分が1%〜2%と少ない割には粘度が高く、樹脂等の他の材料との混合分散性が悪く、非常に扱い難い素材でもあり、広範な利用が期待されているものの、扱いが難しいことから、現状は汎用素材といえるものにはなっていない。
CNFは、他のフィラー類と同様、混合させることで、混合した材料で形成した成形物における強度の向上が図れ、このことがCNFを用いる大きな理由となっている。特許文献1では、CNFの分散液中で、エチレン性不飽和単量体を共重合させることで、CNFが、ゴムや樹脂中に均一に分散し、高い強度を発現するCNFと樹脂との複合体が製造できるようになるとしている。そして、その実施例では、厚さが1mm程度のシート状の成形体サンプルについて引張試験を行い、複合材料の強度の特性評価を行っている。
特開2016−155897号公報
上記した従来技術に対し、本発明者らは、CNFを用いることで、上記した強度の向上に加えて、材料に塑性を与えることを簡便に達成できれば、強度の高い樹脂フィルムや多用な樹脂製品の提供が可能になり、極めて有用であるとの認識をもった。一般的に、樹脂フィルムや樹脂製品の伸縮性をよくするためには、樹脂を柔らかくしたり、樹脂重合方法を調整してグラフト率を抑制したり、硬化剤等で架橋させるといった処理工程が多く用いられている。一方、CNFを含有させた樹脂フィルム等を得る場合には、樹脂中に、CNFを凝集させることなく、より高いレベルで均質に配合させる必要がある。しかし、前記した樹脂フィルムを伸びやすくするための従来技術を利用したとしても、従来技術によっては、このような状態に配合させることができていない。すなわち、本発明者らの検討によれば、従来技術によっては、CNFが良好な状態に分散したCNFを含有させた樹脂フィルムや樹脂シート、また、例えば、繊維状又はフィラー状等の樹脂製品の形成はできていない。
したがって、本発明の目的は、添加剤としてCNFを水系樹脂組成物中に均質に分散させる新たな技術を開発し、延性を飛躍的、画期的に上昇させた従来にない特性の超延伸性を示すCNFを含有させた樹脂フィルムや樹脂シート、また、例えば、繊維状又はフィラー状等の樹脂製品の提供を可能にできる、CNF含有の水系樹脂組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記のCNF含有の水系樹脂組成物を提供する。
[1]水溶性セルロース化合物を併存させたセルロースナノファイバーを含む水分散液中で重合性不飽和単量体を重合させてなることを特徴とする、セルロースナノファイバーと、重合体とを含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物であって、前記重合体が、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上重合した共重合体Aであり、且つ、前記水系樹脂組成物で作製した、セルロースナノファイバー含有樹脂シートにおける、引張速度20mm/分の条件で測定した引張伸度A1が2000%以上、及び/又は、前記引張伸度A1と、前記水溶性セルロース化合物及び前記セルロースナノファイバーを含まずに共重合体Aに用いたのと同一の重合性不飽和単量体を重合してなる共重合体(共重合体B)で作製したセルロースナノファイバーを含有しない樹脂シートの、前記引張伸度A1と同じ条件で測定した引張伸度B1と、を用いて下記式で計算される相対引張伸度Cが200%以上、である、形成した樹脂シートが超延伸性を示すことを特徴とするセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
相対引張伸度C(%)=(A1/B1)×100
上記した[1]のCNF含有の水系樹脂組成物の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
[2]前記共重合体Aの100質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが、0.2質量部以上、5.0質量部以下の範囲で含有されている[1]に記載のCNF含有の水系樹脂組成物。
[3]前記共重合体Aは、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を有する[1]又は[2]に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
[4]前記ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体として、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、窒素原子含有エチレン性不飽和単量体又はフッ素原子含有エチレン性不飽和単量体のいずれかを含む[1]〜[3]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物。
[5]前記水溶性セルロース化合物が、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースの少なくともいずれかであって、且つ、前記共重合体Aの100質量部に対して、前記水溶性セルロース化合物を、0.1質量部以上、10質量部以下の範囲で含む[1]〜[4]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物。
[6]前記引張伸度A1が、4000%以上、及び/又は、前記相対引張伸度Cが、400%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物。
[7]前記引張伸度A1が、8000%以上、及び/又は、前記相対引張伸度Cが、800%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物。
また、本発明は別の実施形態として、下記の製造方法を提供する。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法であって、予め、水分散型のセルロースナノファイバーと、水溶性セルロース化合物と、重合性不飽和単量体と、水とを含むセルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製し、撹拌動力が0.5kw/L以下の撹拌状態にある重合開始剤を含む水中に、前記セルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を滴下しながら乳化重合させて重合体を得る重合工程を有し、且つ、該重合工程で、前記重合性不飽和単量体としてビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上重合させて共重合体Aを得ることを特徴とするセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
上記したCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。
[9]前記セルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記セルロースナノファイバーを、0.2質量部以上、5.0質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水分散型のセルロースナノファイバーの量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する[8]に記載のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法。
[10]前記セルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記水溶性セルロース化合物を、0.1質量部以上、10質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水溶性セルロース化合物の量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する[8]に記載のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法。
また、本発明は別の実施形態として、下記の別の構成の製造方法を提供する。
[11]前記[1]〜[7]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法であって、水分散型のセルロースナノファイバーと、水溶性セルロース化合物とを含んで調製された、撹拌動力が0.5kw/L以下の撹拌状態にあるセルロースナノファイバーを含む水分散液中に、予め調製した、重合性不飽和単量体として、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含む不飽和単量体混合乳化物を滴下しながら乳化重合させて共重合体Aを得る重合工程を有することを特徴とするセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
上記した[11]のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。
[12]前記セルロースナノファイバーを含む水分散液及び前記不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記セルロースナノファイバーを、0.2質量部以上、5.0質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水分散型のセルロースナノファイバーの量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する[11]に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
[13]前記セルロースナノファイバーを含む水分散液及び前記不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記水溶性セルロース化合物を、0.1質量部以上、10質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水溶性セルロース化合物の量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する[11]に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
上記した[8]又は[11]のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。
[14]前記撹拌動力が、0.2kw/L以下である[8]〜[13]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法。
[15]前記撹拌動力が、0.1kw/L以下である[8]〜[13]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物の製造方法。
また、本発明は別の実施形態として、下記のCNF含有の超延伸性樹脂フィルムを提供する。
[16]前記[1]〜[7]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物を、厚さ200μm以下の樹脂皮膜にしてなることを特徴とするCNF含有の超延伸性樹脂フィルムを提供する。また、好適には、[17]前記樹脂皮膜は、塗布法又は溶媒キャスト法のいずれかによる形成物である[16]に記載のCNF含有の超延伸性樹脂フィルムを提供する。
また、本発明は別の実施形態として、下記のCNF含有の超延伸性樹脂製品を提供する。
[18]前記[1]〜[7]のいずれかに記載のCNF含有の水系樹脂組成物を、繊維状又はフィラー状又は粒子状に成形してなることを特徴とするセルロースナノファイバー含有の超延伸性樹脂製品を提供する。
本発明によれば、添加剤としてCNFを樹脂組成物中に均質に分散させることができる新規な技術が開発され、延性を飛躍的、画期的に上昇させたCNFを含有させた従来にない超延伸性の樹脂フィルムや、また、例えば、繊維状又はフィラー状等の樹脂製品の提供を可能にできる、CNF含有の水系樹脂組成物が提供される。
実施例1のCNF含有の水系樹脂組成物で形成した、CNFが均質に分散している塗膜状態を示すデジタルマイクロスコープの図である。 比較例5のCNF含有の水系樹脂組成物で形成した、CNFの凝集物がある塗膜状態を示すデジタルマイクロスコープの図である。 実施例1のCNF含有の水系樹脂組成物と、比較例1のCNFを含有しない水系樹脂組成物で形成したそれぞれの乾燥樹脂フィルムにおける、引張り応力−伸度曲線(SS曲線)である。
次に、発明の好ましい形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明の特許請求の範囲及び明細書における「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」及び「メタクリル」の双方を意味し、また、「(メタ)アクリレート」という用語は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を意味する。
[水系樹脂組成物]
本発明の水系樹脂組成物は、水溶性セルロース化合物を併存させたCNFの水分散液中で、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含む重合性不飽和単量体を重合してなることを特徴とする共重合体Aと、CNFとを含む水系樹脂組成物(以下、エマルションと呼ぶ場合もある)としたことを特徴とする。そして、上記構成としたことで、該水系樹脂組成物で形成した樹脂シートや樹脂フィルムは、従来にない超延伸性を示すものになる。本発明では、本発明の水系樹脂組成物で形成した樹脂シートや樹脂フィルムによって実現される従来にない超延伸性について、下記のように規定する。本発明の水系樹脂組成物で作製した、CNF含有樹脂シートの、引張速度20mm/分の条件で測定した引張伸度A1が2000%以上である、及び/又は、前記引張伸度A1と、前記水溶性セルロース化合物及び前記セルロースナノファイバーを含まずに共重合体Aに用いたのと同一の重合性不飽和単量体を重合してなる、CNFを含まない、共重合体(共重合体B)で作製した樹脂シートの、前記引張伸度A1と同じ条件で測定した引張伸度B1と、を用いて、下記式で計算される相対引張伸度Cが200%以上であることを特徴とする。なお、「引張伸度A1と同じ条件で測定」とは、引張伸度A1の測定に用いたセルロースナノファイバー含有樹脂シートと同じ形状にした共重合体Bで作製した樹脂シートを、引張速度20mm/分で測定することをいう。
相対引張伸度C(%)=(A1/B1)×100
本発明の水系樹脂組成物(物の発明)において存在する、製法で特定する「不可能・非実際的事情」について
本発明の水系樹脂組成物は、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含む重合性不飽和単量体を重合させてなる共重合体を含み、特に、水溶性セルロース化合物を併存させたCNFの水分散液中で、上記重合性不飽和単量体を重合させる構成としたことを特徴としており、この特有の製法で、CNFと共重合体とを含有させたことで、CNFと共重合体が均質に分散された状態の水系樹脂組成物になる。その結果、本発明の水系樹脂組成物で形成した樹脂シートや樹脂フィルムは、本発明で規定する従来にない高い延伸性を示す顕著な効果を発現したものになる。すなわち、上記したCNFと共重合体が均質に分散した本発明の樹脂組成物によって、形成した樹脂フィルム等に発現する優れた特性は、水溶性セルロース化合物を併存させたCNFの水分散液中で重合性不飽和単量体を重合させ、共重合体を含む水系樹脂組成物とする従来にない製法によって達成される。本発明では、CNF含有の水系樹脂組成物における、CNFと共重合体が均質に分散された状態にあることで生じる特性を、その用途となる、該樹脂組成物で形成した樹脂シートにおける引張伸度及び/又は相対引張伸度で特定した。当該特定は、「CNF含有の水系樹脂組成物」の特性を直接特定したものではない。
ここで、本発明のCNF含有の水系樹脂組成物を構成する重合体は、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上重合した共重合体(コポリマー)である。そして、コポリマーを合成する技術分野においては、得られるコポリマーは、モノマーの組合せや、モノマーなどの原材料の添加順序や添加方法などの製法の違いにより、分子量や分子構造が異なるポリマー分子の集合体(混合物)として得られ、その構造が複雑になりすぎて一般式(構造)で表すことは到底できないのが現状であり、このことは当業者間の技術常識である。加えて、本発明を構成する共重合体にあっては、水溶性セルロース化合物を併存させたCNFの水分散液中で複数のモノマーを重合させることで、CNFと共重合体が均質に分散された状態の樹脂組成物とすることを実現しており、これらの点については、その構造又は特性により直接特定することが不可能であり、樹脂(重合)組成物を得るためのプロセス(製法)によって初めて特定することが可能なものである。したがって、本発明のCNF含有の水系樹脂組成物の発明に関し、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定すること」が不可能又はおよそ非実際的である事情が存在する。
以下、本発明のCNF含有の水系樹脂組成物を構成するために用いる各成分について説明する。
〔水溶性セルロース化合物〕
本発明者らは、水溶性セルロース化合物を併存させたCNFを含む水分散液中で、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含む重合性不飽和単量体(モノマー)を共重合させるという簡便な方法で、CNFが均質に分散した状態で配合されてなる水系樹脂組成物が得られ、該組成物で形成した樹脂シートや樹脂フィルムが従来にない超延伸性を示すものになることを見出して本発明に至った。本発明で必要なことは、水溶性セルロース化合物を併存させたCNFを含む水分散液中で複数のモノマーを共重合させる構成とすることであり、このような重合状態にできればいずれの製法であってもよい。例えば、水溶性セルロース化合物と、CNFと、複数のモノマーとを含む不飽和単量体混合乳化物を予め調製し、重合開始剤を含む水中に、予め調製した不飽和単量体混合乳化物を滴下して乳化重合する方法や、CNFと、水溶性セルロース化合物とを含んで調製されたCNFの水分散液中に、予め調製した、複数のモノマーを含む不飽和単量体混合乳化物を滴下しながら乳化重合する方法などが挙げられる。詳細については後述する。
上記に挙げたような水溶性セルロース化合物を併存させたCNFを含む水分散液中で複数のモノマーを重合させる製法によって、本発明の水系樹脂組成物は、構成成分として水溶性セルロース化合物を含み、CNFと共重合体とが均質に分散された状態の水系樹脂組成物(エマルション)になる。本発明者らの検討によれば、後述する比較例のように、本発明で必須とする要件に反して、水溶性セルロース化合物が存在しない状態で、CNFを含む水分散液(スラリー)中で、モノマーを重合させた場合、凝集物が発生しやすく、均質に分散させることはできない。このため、形成した樹脂シートや樹脂フィルムを、本発明で規定した超延伸性を示す特性のものにすることはできない。
また、先に述べた通り、水等の液体に分散された状態で流通されているCNF素材は、固形分が1%〜2%と少ない割には、粘度が高く、樹脂等の他の材料との混合分散性が悪いという課題があり、樹脂中にCNFを混合分散させる従来の製造方法では高い撹拌動力を要し、しかも、高い撹拌動力にしたとしても、CNFをエマルション中に均質に分散させることはできない。これに対し、本発明によれば、撹拌動力が低くても、CNFを均質に分散した良好な状態の水系樹脂組成物を得ることができる。
本発明で使用する水溶性セルロース化合物には、従来公知のものをいずれも使用することができる。例えば、カルボキシセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を挙げることができる。また、水溶性セルロース化合物は、適当な粘度のものを使用することが好ましい。具体的には、濃度2%の粘度が200mPa・s/25℃以下であるもの、好ましくは、濃度2%の粘度が100mPa・s/25℃以下、より好ましくは、濃度2%の粘度が50mPa・s/25℃以下、さらに好ましくは、濃度2%の粘度が20mPa・s/25℃以下であるものを使用するとよい。また、希釈溶媒は、水であることが好ましい。
水溶性セルロース化合物の使用量は、本発明で規定する製法で重合して得られる100質量部の共重合体Aに対して、水溶性セルロース化合物、0.1質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。水溶性セルロース化合物の使用量が、0.1質量部未満であると、CNFと共重合体Aとを均質に分散することができなくなる場合がある。一方、水溶性セルロース化合物の使用量を10質量部超としても、さらなる効果の向上を期待することができない。
〔セルロースナノファイバー(CNF)〕
本発明で使用するCNFは、例えば、TEMPO酸化解繊(化学的解繊)で得られるものでも、物理・機械的粉砕解繊で得られるものでも、セルロース含有材料を水熱処理し、次いで、解繊処置する工程を含む方法により得られるもの(特開2014−177437号公報参照)でも、現在或いは将来に開発されるセルロースの解繊技術で得られたものも、問題なく用いることができる。CNFが化学修飾されていないものが好ましい。このためには、物理・機械的粉砕解繊で得られるCNF、或いは、上記した物理・機械的粉砕解繊する前にセルロース含有材料を水熱処理して得られるCNFを使用するとよい。本発明者らの検討によれば、特に、セルロース含有材料を、亜臨界水を用いて水熱処理することで得られるCNFを用いることが好ましい。また、本発明で使用するCNFは、そのアスペクト比が20〜250であることが好ましい。
CNFは、共重合体A100質量部に対して、0.2質量部以上、5.0質量部以下、できれば5.0質量部未満となる割合で、本発明の水系樹脂組成物に含有された構成とすることが好ましい。CNFの配合量が0.2質量部未満であると、延性を飛躍的、画期的に上昇させることが難しくなる場合がある。一方、5.0質量部超であったとしても、本発明が目的とするさらなる効果の向上を期待することができない。なお、先に挙げた、CNFを用いることで高強度の複合体を得ることを目的とした特許文献1では、CNFの配合量として、乾燥重量分で、モノマー100重量部に対して、5〜60重量部が適当であり、好ましくは10〜30重量部となるとしている。そして、その実施例で、固形分1.5%のカルボキシル変性のCNFを、樹脂100重量部に対して、10重量部配合した例が記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、少なくとも、化学修飾がされていないCNFを用いた場合、上記したような高い濃度で、分散してなる水系樹脂組成物を得ることはできない。
本発明の水系樹脂組成物を構成するCNFは、先述した水溶性セルロース化合物を併存させた状態のCNFの水分散液を用い、重合性不飽和単量体を重合させる構成としたことで、共重合体Aと共に均質に分散した状態で本発明の水系樹脂組成物に配合される。上記水分散液は、前記水溶性セルロース化合物と、CNFをそれぞれ水に分散させて得たものであってもよいが、水分散型CNFに、水溶性セルロース化合物を混合したものであってもよい。水分散型CNFを用いる場合、CNF濃度は、0.5%〜5.0%のものを使用することが好ましい。
〔共重合体A〕
(重合性不飽和単量体)
本発明の水系樹脂組成物を構成する共重合体Aは、先述した水溶性セルロース化合物を併存させたCNFを含む水分散液中で、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含む重合性不飽和単量体を重合してなるものである。共重合体Aの重合に用いられる重合性不飽和単量体は、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含むこと以外、特に限定はなく、従来公知の単量体を使用することができる。共重合体Aは、例えば、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体として、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分を重合させて得られた、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を有するものであることが好ましい。また、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体として、例えば、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、窒素原子を有するエチレン性不飽和単量体及び含フッ素エチレン性不飽和単量体からなる群から選ばれる単量体を含むことがより好ましい。本明細書において、(メタ)アクリル系単量体とは、(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基又はメタクリロイル基)を有する単量体を意味する。
(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、並びに、(メタ)アクリル酸等を挙げることができ、(メタ)アクリル酸は塩であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を用いることがより好ましく、(メタ)アクリル酸エステルを用いることがさらに好ましい。共重合体Aを構成する単量体成分において、(メタ)アクリル酸エステルは、単量体成分の全質量を基準として、50質量%以上(主成分)であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは、70質量%以上である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及びパーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明では、使用する重合性不飽和単量体が、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を含む構成であることが好ましい。このため、上述の(メタ)アクリル酸エステルの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業製の「プラクセルF」シリーズ等)などの水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマー類、特に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を用いることが好ましい。また、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として、ラジカル重合モノマーからなる機能付与型の界面活性剤である、反応性の乳化重合用乳化剤を用いることもできる。このようなものとしては、例えば、アデカリアソープ ER−10、ER−20、ER−30、ER−40(商品名、アデカ社製)等が挙げられる。上記したように、本発明では、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として、水酸基(ヒドロキシ基)で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。そのアルキル(メタ)アクリレートにおけるヒドロキシ基で置換されていてもよいアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、その炭素原子数は1〜8であることがより好ましい。
また、本発明では、使用するビニル基を有するエチレン性不飽和単量体として、窒素原子含有エチレン性不飽和単量体を含む構成であることも好ましい。窒素原子含有エチレン性不飽和単量体としては、下記に挙げるものが使用できる。例えば、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、モルホリンアクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モルホリンのエチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル系単量体が挙げられる。その他、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルメチルカルバメート、N,N−メチルビニルアセトアミド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルカルボン酸アミド等が挙げられる。
また、フッ素原子含有エチレン性不飽和単量体としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体や、フッ化ビニル等を挙げることができる。
本発明の水系樹脂組成物を構成する共重合体Aは、上記に挙げたようなビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上重合してなる。前記したように、共重合体Aは、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、窒素原子含有エチレン性不飽和単量体又はフッ素原子含有エチレン性不飽和単量体のいずれかを含むことが好ましい。また、共重合体Aは、上記に列挙した中でも、(メタ)アクリル系単量体からなる群の単量体のみを重合し得られた、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位のみを有するものであってもよい。しかしこれに限定されず、共重合体Aは、(メタ)アクリル系単量体と共に、共重合可能な、上記に列挙した中の(メタ)アクリル系単量体以外のビニル基を有するエチレン性不飽和単量体、さらに、上記に列挙した以外のビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体成分を重合させて得られたものであってもよい。この場合、共重合体Aは、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位と、(メタ)アクリル系単量体と共重合可能なその他の単量体に由来する構造単位を有するものになる。
(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な、先に列挙した以外の、その他の単量体としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸及びフマル酸等のカルボキシ基を有するモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン、バーサチック酸ビニル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び塩化ビニル等のビニル基を有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸及び無水イタコン酸等のカルボキシ基及び不飽和結合を有するモノマー等を挙げることができる。
さらに、共重合体Aを形成する単量体には、重合によって得られる樹脂粒子を架橋させ得る単量体を用いることもできる。そのような単量体としては、例えば、重合性二重結合を2つ以上有する単量体を挙げることができ、その1種又は2種以上を用いることができる。重合性二重結合を2つ以上有する単量体としては、例えば、上述したエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、及び、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の重合性二重結合を2つ以上有する(メタ)アクリル系単量体のほか、上述したジビニルベンゼン、及び、ジアリルフタレート等を挙げることができる。
共重合体Aの重合に用いられる重合性不飽和単量体は、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含むこと以外、特に限定はなく、上記したような多様な単量体が使用できる。すなわち、用途に合わせて適宜に単量体を選択すればよい。本発明において重要なことは、樹脂の種類についてではなく、セルロースナノファイバーを含む水分散液中で重合性不飽和単量体を重合させて共重合体を得る際に、上記水分散液に、水溶性セルロース化合物を併存させることである。このように構成したことで、本発明の水系樹脂組成物は、従来の水系樹脂組成物によっては実現できない、超延伸性樹脂フィルムや超延伸性樹脂製品を得ることができる。
(重合方法)
上記したようなビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上有する重合性不飽和単量体(以下、単に重合性不飽和単量体と呼ぶ)を、水溶性セルロース化合物を併存させたCNFを含む水分散液中で重合する重合工程を有する本発明の製造方法で、共重合体Aと、CNFとを均質に含む本発明の水系樹脂組成物を簡便に得ることができる。具体的には、本発明の製造方法では、異なる構成の、下記の第1の形態と、第2の形態とを規定したが、いずれの方法も極めて簡便であり、本発明の水系樹脂組成物を安定して得ることができる。第1の形態では、予め、水分散型のセルロースナノファイバーと、水溶性セルロース化合物と、重合性不飽和単量体と、水とを含むセルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製し、撹拌動力が0.5kw/L以下の比較的に緩い撹拌状態にある重合開始剤を含む水中に、前記セルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を滴下しながら乳化重合させて共重合体Aを得る重合工程を有することを特徴とする。また、第2の形態では、水分散型のセルロースナノファイバーと、水溶性セルロース化合物とを含んで調製された、撹拌動力が0.5kw/L以下の比較的に緩い撹拌状態にあるセルロースナノファイバーを含む水分散液中に、予め調製した、重合性不飽和単量体を含む不飽和単量体混合乳化物を滴下しながら乳化重合させて共重合体Aを得る重合工程を有することを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、撹拌動力が0.5kw/L以下の比較的に緩い撹拌状態で、水分散型のCNFと水溶性セルロース化合物と共重合体とが均質に分散した分散体を得ることができる。これに対し、水分散型のCNFと、樹脂エマルションとを混合分散する従来方法(以下、「コールドブレンド」と呼ぶ場合がある)では、先に述べたように、水分散型のCNFは、固形分が1%〜2%であっても粘度が高いため、樹脂等の他の材料との混合分散性が悪く、高圧ホモジナイザー等を用い、高せん断力下でなければ、CNFを分散させることができなかった。本発明者らの検討によれば、CNFと樹脂エマルションとを混合分散する従来の方法を、低せん断速度の機械撹拌で行った場合は、CNFと樹脂との凝集が起こってしまい、分散体と呼べる状態にすることはできなかった。また、高せん断力下で、CNFと樹脂エマルションとを混合分散させたとしても、本発明が目的としているCNFが均質に分散した水系樹脂組成物を得ることはできず、得られる組成物に、充分なCNFの添加効果を付与することができなかった。これに対し、本発明の水系樹脂組成物の製造方法では、いずれの形態の場合も、水溶性セルロース化合物を含むCNFの水分散液中で、単量体を重合させて共重合体Aとするため、コールドブレンドをする必要がなく、低い撹拌動力ですみ、また、重合(反応)系に、水溶性セルロース化合物を存在させたことで、低い撹拌動力で、CNFと樹脂エマルションとが均質に分散した水系樹脂組成物を得ることが可能になったと推定される。
ここで、本発明の製造方法で規定した撹拌動力は、緩い撹拌状態であることを示す目安である。エネルギー効率(経済性)の観点から、撹拌動力はより低いことが好ましい。本発明の製造方法によれば、0.2kw/L以下、さらには、0.1kw/L以下の、より緩い撹拌状態であっても、CNFが均質に分散した水系樹脂組成物を得ることができる。
<重合開始剤・重合促進剤>
本発明のCNF含有の水系樹脂組成物を得る際の重合性不飽和単量体の重合には、重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、及び、過酸化水素等の過酸化物、並びに、アゾ化合物等を挙げることができ、1種又は2種以上を用いることができる。また、過酸化物と併用したレドックス重合開始剤や、重合促進剤として、1種又は2種以上の還元剤を用いることもできる。
過硫酸塩の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウム等を挙げることができる。有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル及びジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシラウレート及びt−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等を挙げることができる。アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩及び4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等を挙げることができる。
重合促進剤としての還元剤は、特に限定されるものではないが、例えば、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、亜硫酸及びその塩、重亜硫酸及びその塩、チオ硫酸及びその塩、並びに鉄(II)塩等を挙げることができる。
<乳化剤>
本発明のCNF含有の水系樹脂組成物を得るための重合性不飽和単量体の重合の際に、乳化剤として界面活性剤を用いることができる。例えば、前記した第1の形態の本発明の製造方法で行う、水分散型のセルロースナノファイバーと、水溶性セルロース化合物と、重合性不飽和単量体と、水とを含むセルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製する場合や、前記した第2の形態の本発明の製造方法で行う、重合性不飽和単量体を含む不飽和単量体混合乳化物を調製する場合に乳化剤を使用することが好ましい。使用する乳化剤は、特に限定されるものではないが、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等を挙げることができ、1種又は2種以上の乳化剤を用いることができる。本発明においては、中でも、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム;並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム等の反応性アニオン性界面活性剤等を挙げることができる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体;並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテル等の反応性ノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
<連鎖移動剤>
本発明のCNF含有の水系樹脂組成物を得るための重合性不飽和単量体の重合の際に、必要に応じて連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、及び、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類等を用いることができる。なお、連鎖移動剤は、本発明が目的としている、水系樹脂組成物中にCNFを添加剤として均質に分散させることを達成し、得られたCNF含有の水系樹脂組成物で形成した、CNFを含有させた樹脂フィルムや樹脂シートの延性を、飛躍的、画期的に上昇させた従来にない特性の超延伸性を示す樹脂製品の提供することに関しては、特に重要な意味をもつものではない。したがって、適宜に使用すればよい。
先述した特許文献1では、その実施例で、固形分1.5%のカルボキシル変性のCNFスラリーと、重合性不飽和単量体と、乳化剤を混ぜて、その後重合開始剤を加えて乳化重合している。しかしながら、本発明者らの検討によれば、このような手順では、均一な分散は困難であり、形成した樹脂シートや樹脂フィルムでは、本発明が目的とする超延伸性を示すものにはならなかった。
〔CNF含有の水系樹脂組成物で作成した樹脂フィルムの物性〕
(引張伸度A1、相対引張伸度C)
以上で述べたような本発明の製造方法で簡便に得られる重合性不飽和単量体を重合してなる共重合体Aと、CNFとを含有する本発明の水系樹脂組成物は、形成した樹脂シートが、下記に示す通りの超延伸性を示すことを特徴とする。具体的には、本発明の水系樹脂組成物で作製したCNF含有樹脂シートを用いて評価した場合に、引張速度20mm/分の条件で測定した引張伸度A1が2000%以上、及び/又は、後述する相対引張伸度Cが200%以上である、超延伸性を示すことを特徴とする。
一般に、CNFを含まない重合体で形成したフィルムでは、引張速度2mm/分〜20mm/分における引張伸度は、せいぜい500〜1000%程度である。これに対し、本発明のCNF含有の水系樹脂組成物は、CNFと水溶性セルロース化合物を含む水分散液中で、重合性不飽和単量体を重合して共重合体Aを含有させる構成とすることを見出したことで、CNFが樹脂組成物中に均質に混合される結果、形成した樹脂シート或いは樹脂フィルムが超延伸性を示し、破壊し難くなることを達成している。具体的には、本発明のCNF含有の水系樹脂組成物によれば、引張伸度が2000〜8000%若しくはそれ以上に向上した優れた伸度を示す樹脂製品、特には樹脂フィルムを提供することが可能になる。
本発明で規定する上記引張伸度を測定するためのCNF含有樹脂シートは、以下のようにして作製した。本発明の水系樹脂組成物を用い、乾燥厚みが0.5mmの樹脂シートを作製し、シートを4〜10mmの幅の試験片に切断して、断面積が2〜5mm2程度のCNF含有樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを用い、23℃、50%RH雰囲気で、引張り速度20mm/分の条件で測定した値を、CNF含有の樹脂シートの引張伸度A1とした。
本発明の水系樹脂組成物で形成した、樹脂シート或いは樹脂フィルムの超延伸性は、下記の相対引張伸度Cによっても評価でき、その場合は、相対引張伸度Cが200%以上であることを特徴とする。相対引張伸度Cは、下記式に示す通り、水溶性セルロース化合物及び前記セルロースナノファイバーを含まずに共重合体Aに用いたのと同一の重合性不飽和単量体を重合してなる共重合体Bを用いて作製した、上記と同様の形状の試験片についてのCNFを含有しない樹脂シートの引張伸度B1に対する、上記したCNF含有樹脂シートの引張伸度A1の比である。
相対引張伸度C(%)=(A1/B1)×100
上記相対引張伸度Cは、下記のようにして求める。本発明の水系樹脂組成物を用い、前記したようにしてCNF含有樹脂シートの試験片を作製して、CNF含有樹脂シートの引張伸度A1を求める。一方で、上記測定に用いたCNF含有樹脂シートの試験片と同様の形状のCNFを含有しない樹脂シートを、CNF含有樹脂シートの作製に用いたのと同様の重合性不飽和単量体を、CNFを含まずに重合してなる共重合体Bで作製し、CNF含有樹脂シートの場合と同様の大きさ(形状)の試験片を作製する。そして、CNF含有樹脂シートの場合と同様の引張速度20mm/分の条件で、引張伸度B1を測定する。得られた測定値を用いて前記した式で相対引張伸度Cを計算する。相対引張伸度Cが、200%以上であれば、水系樹脂組成物により作製される樹脂製品は、優れた延伸性、すなわち「超延伸性」を示すものとなる。本発明は、超延伸性を示す樹脂シート或いは樹脂フィルムを開発することを目的としており、相対引張伸度の上限は特にないが、200〜800%程度であれば十分な「超延伸性」を示すものであるとできる。勿論、800%を超えていても問題ない。
〔超延伸性樹脂フィルム〕
本発明は、上記した本発明のCNF含有の水系樹脂組成物を、厚さ200μm以下の樹脂皮膜にしてなることを特徴とするCNF含有の超延伸性樹脂フィルムを提供する。なお、本発明において「フィルム」とは、特段の定めがない限り、厚さが200μm以下のフィルム状に成形されたものを言い、一般的なフィルム状物は当然として、例えば、被塗装物に塗装された塗膜であって、被塗装物から分離されていても、分離されていなくても、当該塗膜を「フィルム」という。
上記樹脂皮膜は、塗布法又は溶媒キャスト法のいずれかによる形成物であることが好ましい。塗布法としては、例えば、ディップコート法、ダイコート法、バーコード法、スピンコート法、オフセット法、スプレーコート法などを挙げることができる。これらに限らず、従来公知の方法を使用することができる。
〔超延伸性樹脂製品〕
上記した本発明のCNF含有の水系樹脂組成物を用いることで、樹脂シートや樹脂フィルム以外に、繊維状又はフィラー状又は粒子状に成形されてなるCNF含有の超延伸性樹脂製品の提供が可能になる。本発明の水性樹脂組成物により得られる樹脂製品は超延伸性を有するものとなるため、繊維状に成形することが期待できる。また、フィラー状や粒子状に成形することで、柔軟な製品の提供や、これらの材料を混合させることで、対象物に柔軟性を与えることが可能となることが期待できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。文中「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
各成分としては、以下のものを用いた。
●水分散型のセルロースナノファイバー
・CNF1:機械解繊CNF BiNFi−s WFo−100(商品名:濃度1%、スギノマシン社製)
●水溶性セルロース化合物
・CMC1:カルボキシメチルセルロース、第一工業製薬社製 セロゲン5A(商品名:2%希釈粘度5mPa・s/25℃以下)
・CMC2:カルボキシメチルセルロース、第一工業製薬社製 セロゲン6A(商品名:2%希釈粘度6〜10mPa・s/25℃)
・HEC:ヒドロキシエチルセルロース、住友精化社製 HEC AL−15(商品名:2%希釈粘度20〜30mPa・s/25℃)
●重合性不飽和単量体
・MA:メチルアクリレート
・EA:エチルアクリレート
・BA:ブチルアクリレート
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
・ST:スチレン
・2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
・4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
・AM:アクリルアミド
・AN:アクリルニトリル
・NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
・DAAM:ジアセトンアクリルアミド
・DMAEM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
・ER−10:(商品名、アデカ社製)、重合型ノニオン乳化剤(ラジカル重合モノマー)
・PF6EA:2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート
●乳化剤
・PD−104:花王社製 ラテムルPD−104(商品名:20%ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム)
●開始剤
・PBH:日本油脂製 パーブチルH69(商品名:69%t−ブチルハイドロパーオキサイド)
<実施例1>
予め、水分散型のセルロースナノファイバーとして、CNF1を100部、水溶性セルロース化合物として、CMC1を1.0部、水を20部、エチレン性不飽和単量体成分として、ブチルアクリレート(BA)を50部、メチルメタクリレート(MMA)を45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)を5.0部、連鎖移動剤として、N−ドデシルメルカプタン(L−SH)を0.5部、乳化剤として、ラテムルPD−104を12.5部、還元剤として、エリソルビン酸を0.3部添加し、撹拌動力0.25kw/Lのホモミキサーを用いて、5000rpmで10分間撹拌混合して、CNF含有の不飽和単量体混合乳化物を調製した。
次いで、撹拌機、温度計、還流コンデンサー付の2Lの4つ口丸底フラスコに水を100部仕込み、撹拌動力0.04kw/Lの緩い撹拌下で、75℃まで昇温した。そして、内温を75℃に保ち、重合開始剤として、PBH0.5部に水4.5部を加えて希釈したものを添加し、その中に、予め調製したCNF含有の単量体混合乳化物を2時間かけて滴下し、乳化重合反応させた。滴下終了後、内温80℃で、2時間の熟成を行った。熟成後に、室温まで冷却して、調整水を12部添加し、平均粒子径φ:250nm、蒸発残分約30%の本実施例のCNF含有の水系樹脂組成物を調製した。これをCNF含有の水性樹脂エマルション−1とした。上記CNF含有の水系樹脂組成物の製造方法は、本発明で規定する形態1の製造方法である。
実施例1の水性樹脂エマルション−1を用い、ガラス板上に塗布して得られたフィルム中におけるCNFの分散状態を、デジタルマイクロスコープで観察し評価した。その結果、図1に示すように、形成したフィルムに凝集物が認められず、実施例1のCNF含有の水系樹脂組成物は、CNFが均質に分散していることが確認できた。
<実施例2>
実施例1で用いた水溶性セルロース化合物を、CMC1を1.0部に替えて、CMC2を0.5部とした以外は同様にして調製したCNF含有の不飽和単量体混合乳化物を用い、実施例1に記載の方法と同様にして乳化重合を行った。そして、冷却後に調整水を11部添加し、平均粒子径φ:240nm、蒸発残分約30%である、本実施例のCNF含有の水系樹脂組成物を調製した。これをCNF含有の水性樹脂エマルション−2とした。
<実施例3>
実施例1で用いた水溶性セルロース化合物を、CMC1を1.0部に替えて、CMC2を1.0部とした以外は同様にして調製したCNF含有の不飽和単量体混合乳化物を用い、実施例1に記載の方法と同様にして乳化重合を行った。そして、冷却後に調整水を12部添加し、平均粒子径φ:240nm、蒸発残分約30%である、本実施例のCNF含有の水系樹脂組成物を調製した。これをCNF含有の水性樹脂エマルション−3とした。
<実施例4>
実施例1で用いた水溶性セルロース化合物を、CMC1を1.0部に替えて、CMC2を5.0部とした以外は同様にして調製したCNF含有の不飽和単量体混合乳化物を用い、実施例1に記載の方法と同様にして乳化重合を行った。そして、冷却後に調整水を22部添加し、平均粒子径φ:240nm、蒸発残分約30%である、本実施例のCNF含有の水系樹脂組成物を調製した。これをCNF含有の水性樹脂エマルション−4とした。
<実施例5>
予め、水100部、ブチルアクリレート(BA)を50部、メチルメタクリレート(MMA)を45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)を5.0部、連鎖移動剤として、N−ドデシルメルカプタン(L−SH)を0.5部、乳化剤として、PD−104を12.5部、還元剤として、エリソルビン酸を0.3部添加し、撹拌混合して、不飽和単量体混合乳化物を調製した。
次いで、撹拌機、温度計、還流コンデンサー付の2Lの4つ口丸底フラスコに、水分散型のセルロースナノファイバーとして、CNF1を100部、水溶性セルロース化合物として、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を1.0部、水20部を仕込みCNFを含む水分散液を調製し、撹拌動力0.04kw/Lの緩い撹拌下で、75℃まで昇温した。そして、内温を75℃に保ち、重合開始剤として、PBH0.5部に水4.5部を加えて希釈したものを添加し、予め調製した不飽和単量体混合乳化物を2時間かけて滴下し、乳化重合反応させた。滴下終了後、内温80℃で、2時間の熟成を行った。熟成後に室温まで冷却して、調整水を12部添加し、平均粒子径φ:300nm、蒸発残分約30%の、本実施例のCNF含有の水系樹脂組成物を調製した。これをCNF含有の水性樹脂エマルション−5とした。上記したCNF含有の水系樹脂組成物を得るための製造方法は、本発明で規定する、前記した形態2の製造方法である。なお、実施例5で行った製造方法を形態2にしたのは、形態2の簡便な製造方法によっても、実施例1などで使用した形態1の製造方法と同様に、良好なCNF含有の水系樹脂組成物を安定して調製できることを確認するためである。その結果、形態1の製造方法を用いた場合と同様に、簡便に安定して本発明の実施例のCNF含有の水系樹脂組成物を調製できることを確認した。
<実施例6〜30>
表1に示した種類と配合で、CNF、水溶性セルロース化合物、重合性不飽和単量体を用い、CNF含有の水性樹脂エマルション−6〜−30を得た。実施例9で連鎖移動剤を使用しなかったこと以外は、連鎖移動剤、乳化剤、還元剤及び重合開始剤は、実施例1〜5と同様のものを同じ量で用いた。製造には、実施例1で行った形態1の製造方法を用いた。
<比較例1>
実施例1に記載の反応方法に準じて、CNFを含有しない本比較例の水系樹脂組成物を調製した。具体的には、水分散型のセルロースナノファイバーであるCNF1と、水溶性セルロース化合物であるCMC1を使用せずに、且つ、水の使用量を20部から114部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、不飽和単量体混合乳化物を調製した。そして、実施例1と同様にして乳化重合及び熟成を行った。冷却後に調整水を12部添加し、平均粒子径φ:230nm、蒸発残分約30%の水性樹脂エマルション−比較1を調製した。
<比較例2>
実施例1に記載の反応方法に準じて、CNFを含有する本比較例の水系樹脂組成物を調製した。具体的には、水溶性セルロース化合物CMC1と、連鎖移動剤L−SHを使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、水分散型のセルロースナノファイバーであるCNF1を用いたCNF含有の不飽和単量体混合乳化物を調製した。そして、実施例1と同様にして乳化重合及び熟成を行った。冷却後に調整水を9部添加したが、凝集物が多く、重合安定性が不良であった。このため、150メッシュの濾布で濾過できず、後述する、粒子径測定、フィルム強伸度等の試験に供することはできなかった。
<比較例3>
実施例1に記載の反応方法に準じて、CNFを含有しない本比較例の水系樹脂組成物を調製した。具体的には、水分散型のセルロースナノファイバーCNF1を使用せずに、水を20部から117部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水溶性セルロース化合物CMC1を1.0部用いてCNFを含有しない不飽和単量体混合乳化物を調製した。そして、実施例1と同様にして乳化重合及び熟成を行った。冷却後に調整水を12部添加し、平均粒子径φ:250nm、蒸発残分約30%の、CNFを含有しない水性樹脂エマルション−比較3を調製した。
<比較例4>
実施例1に記載の反応方法に準じて、まず、下記のようにしてCNFを含有しない水性樹脂エマルションを調製し、次に、得られた水性樹脂エマルションに水分散型のセルロースナノファイバーをコールドブレンドして、本比較例のCNF含有の水系樹脂組成物を調製した。具体的には、まず、水分散型のセルロースナノファイバーと、水溶性セルロース化合物とを使用せずに、水を20部から37部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、不飽和単量体混合乳化物を調製した。次いで、撹拌機、温度計、還流コンデンサー付の2Lの4つ口丸底フラスコに、水を20部仕込み、撹拌下で75℃まで昇温した。そして、内温を75℃に保ち、重合開始剤として、PBH0.5部に水4.5部を加えて希釈したものを添加し、予め調製した不飽和単量体混合乳化物を2時間かけて滴下し、乳化重合反応し、滴下終了後、内温80℃で、2時間熟成を行った。熟成後、室温まで冷却して、平均粒子径φ:250nm、蒸発残分約59%に調整した水性樹脂エマルションを調製した。
上記で得た蒸発残分約59%に調整された水性樹脂エマルション(100部)に、水分散型のセルロースナノファイバーCNF1(100部)を、撹拌動力0.25kw/Lのホモミキサーを用いて、10000rpmで30分間コールドブレンドし、よく撹拌混合して蒸発残分約30%のCNF含有の水性樹脂エマルション−比較4を調製した。
比較例4で得た水性樹脂エマルション−比較4を用い、ガラス板上に塗布して得られたフィルム中におけるCNFの分散状態を、デジタルマイクロスコープで観察し評価した。その結果を図2に示す。本発明において必須成分である水溶性セルロース化合物を含まず、単純に、エマルションとCNFとをコールドブレンドした構成の比較例4のCNF含有の水系樹脂組成物は、一見分散しているようであるが、分散が不完全であるため、図2に示したように、形成した塗膜表面を拡大して観察すると、多くの凝集物が確認された。
<比較例5>
実施例1に記載の反応方法に準じて、CNFを含有する本比較例の水系樹脂組成物を調製した。具体的には、水溶性セルロース化合物CMC1を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、水分散型のセルロースナノファイバーであるCNF1を用いたCNF含有の不飽和単量体混合乳化物を調製した。そして、実施例1と同様にして乳化重合及び熟成を行った。冷却後に調整水を9部添加したが、凝集物が多く、重合安定性が不良であった。このため、150メッシュの濾布で濾過できず、後述する、粒子径測定、フィルム強伸度等の試験に供することはできなかった。
<評価方法>
それぞれ以下の方法にしたがって、実施例及び比較例の水性樹脂エマルションを得る際の重合安定性、CNFの分散状態及び形成した樹脂シートの引張強伸度を評価した。結果を表1及び表2に示した。
(1)重合安定性(凝集物の有無)
実施例1〜30、比較例1、比較例3及び比較例4のCNFを含む各水性樹脂エマルションを、150メッシュの濾布で濾過し、凝集物の有無を目視で観察し、表中に凝集物の有無を記載した。凝集物があった場合、重合安定性を×と評価し、凝集物がなかった場合、重合安定性を○と評価した。
(2)形成した樹脂フィルム中のCNFの分散状態
実施例1〜30、比較例1、比較例3及び比較例4のCNFを含む各水性樹脂エマルションをガラス板上に塗布して得られた樹脂フィルムを、デジタルマイクロスコープ(光学500倍から2000倍)を用いて観察し、CNFの分散状態を、以下の規準で評価した。なお、実施例1及び比較例4の樹脂フィルムについては、それぞれ図1及び図2にデジタルマイクロスコープの写真の図を示した。
(評価基準)
○:凝集物が認められず、分散性良好
△:やや凝集物が認められる
×:凝集物多い
(3)形成した樹脂シートの引張強度、引張伸度の測定
実施例1〜30、比較例1、比較例3及び比較例4の各水性樹脂エマルションを用い、乾燥厚さが0.5mm、幅10mm、長さ60mmの短冊状の樹脂シート試料(断面積=5mm2)を作製した。作製した樹脂シート試料(試験片)を用いて、以下の条件で、引張強度、引張伸度を測定した。また、各CNF含有の水性樹脂エマルションについての相対引張伸度C(%)は、「共重合体のみの樹脂シートの引張伸度」として、それぞれの実施例で使用したエチレン性不飽和単量体成分を用い、比較例1で行ったと同様の方法で共重合して得たCNFを含まない各水性樹脂エマルションを用いて作製した樹脂シートにおける引張伸度B1を用い、それぞれ、下記の式から算出した値である。
相対引張伸度C(%)=
(CNF含有の水性樹脂エマルションで形成した樹脂シートの引張伸度A1/CNF含有しない水性樹脂エマルションのみを用いて作製した樹脂シートの引張伸度B1)×100
測定条件 :23℃、50%RH雰囲気中
引張り速度:20mm/分
引張強度 :最大ずり応力(MPa)
引張伸度 :最大ひずみ(%)
表1−1〜表1−4に示した通り、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースといった水溶性セルロース化合物を併存させたCNFを含む水分散液中で、種々の2種以上の重合性不飽和単量体を重合させて共重合体Aを含有させることで、本発明の実施例のCNF含有の水性樹脂エマルションは、いずれも優れた特性のものであった。具体的には、まず、本発明の実施例のCNF含有の水性樹脂エマルションは、いずれも凝集物が認められず、良好な重合安定性を示すことを確認した。また、本発明の実施例のエマルションで形成した樹脂フィルムは、いずれも凝集物が認められず、CNFが良好に分散したフィルムとなることを確認した。例えば、実施例27に示したように、CNFを他の実施例よりも多く配合した、CNF:樹脂=2:100の構成であっても凝集物が認められず、CNFが良好に分散したフィルムが得られ、しかも、この場合は、CNFを多く含有させたことで高い引張強度の製品となることを確認した。逆に、実施例28に示したように、CNF:樹脂=0.5:100と、樹脂に対するCNFの配合が少ない場合にも、本発明の特徴である製品が高い延伸性を示すものになるCNF含有の水性樹脂エマルションが得られることを確認した。さらに、表1−1〜表1−4に示した通り、本発明の実施例のエマルションで形成したCNF含有の樹脂シートは、測定した引張伸度A1が、いずれも2000%以上と高く、しかも、本発明で規定する相対引張伸度Cが200%以上と大きく、高い延伸性を示すものになることを確認した。
また、これらの特性は、重合性不飽和単量体の種類によらず、実施例に示したように、2種以上の汎用のアクリル系単量体の組合せ、汎用のアクリル系単量体とスチレンとの組合せ、2種以上の汎用のアクリル系単量体の組合せに、さらに種々の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を含む組合せ、2種以上の汎用のアクリル系単量体の組合せに、さらに種々の窒素原子含有エチレン性不飽和単量体を含む組合せ、などを使用した場合も、従来技術によっては得ることができなかった本発明で規定する特有の特性を実現できることを確認した。また、実施例30に示したように、高電気陰性のモノマーである、フッ素原子含有エチレン性不飽和単量体を含有させて共重合体を得た場合も、本発明によって得られる特有の特性を有するものになる。この場合は、機能性のモノマーであるフッ素原子含有エチレン性不飽和単量体を用いたことに起因する別の特性を得ることが期待できる。実施例29で使用した、高親水性モノマーであるメチルアクリレートの場合も同様であり、表1に示した通り、本発明が目的とする特有の特性が得られるが、加えて、本発明のCNF含有の水性樹脂エマルションの形成に使用した上記機能性のモノマーに固有の特性が、製品にさらに発現することが期待できる。さらに、表1に示されている通り、重合の際に併存させる水溶性セルロース化合物の使用量を調整することで、本発明が目的とし、規定する引張伸度と相対引張伸度を調整することも可能である。上記した通り、本発明の技術を利用すれば、目的とする多様な製品に合わせて、その特性を適宜にコントロールすることが可能な、利用価値に優れるCNF含有の水系樹脂組成物を提供できることが確認された。
図3に、実施例1のCNF含有の水性樹脂エマルション−1で形成した乾燥樹脂シートと、比較例1の水性樹脂エマルション−比較1で形成した乾燥樹脂シートの引張り応力−伸度曲線(SS曲線)を示した。図3に示した通り、樹脂のみで形成した比較例1の樹脂シートの破断点を最大応力、最大伸度として見た場合、CMC添加によりCNFが1%均質に分散された実施例1のCNF含有の水性樹脂エマルション−1で形成した樹脂シートと、樹脂のみで形成した比較例1の樹脂シートとを比較すると、低伸度(伸度50%)におけるフィルム強度は、400%向上し、フィルム伸度は700%以上向上した。また、実施例1のCNF含有の水性樹脂エマルション−1で形成した樹脂シートは、伸度8000%でも破断しなかったため、優れた延性を有するものであるといえる。
図3に示した通り、実施例1のCNF含有の水性樹脂エマルション−1で形成した樹脂シートは、優れた延性を有するため、弾性体のSS曲線を呈し、一方、樹脂のみで形成した比較例1の樹脂シートは可塑性(可撓性)体のSS曲線を呈するものであった。両者は、樹脂成分としては同一であるにも関わらず、CNFを均質に含有させることを可能にしたことで、実施例1と比較例1の水性樹脂エマルションは、全く別の物理的特性を有するものになることが確認された。
本発明の技術によれば、水溶性セルロース化合物を用いたことで、CNFと、重合性不飽和単量体を重合してなる共重合体とを、凝集することなく均質に、水系樹脂組成物中に配合させることが可能になり、従来のCNF含有の共重合体組成物によっては達成できなかった高い引張伸度(%)を示す超延伸性CNF含有の水系樹脂組成物の提供が可能となり、その利用が期待される。

Claims (17)

  1. 水溶性セルロース化合物を併存させたセルロースナノファイバーを含む水分散液(但し、カルボキシレート基含有セルロースナノファイバーを含む場合を除く)中で重合性不飽和単量体を重合させてなることを特徴とする、セルロースナノファイバーと、重合体とを含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物であって、
    前記重合体が、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上重合した(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を有する共重合体Aであり、前記ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体が、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、窒素原子含有エチレン性不飽和単量体、フッ素原子含有エチレン性不飽和単量体又はメチルアクリレートのいずれかを含み、該共重合体Aを構成する単量体成分において、(メタ)アクリル酸エステルを単量体成分の全質量を基準として50質量%以上有し、さらに、メチルメタクリレートを有する場合は、単量体成分の全質量を基準として49質量%を超えない範囲で有し、且つ、
    前記水系樹脂組成物で作製した、セルロースナノファイバー含有樹脂シートにおける、引張速度20mm/分の条件で測定した引張伸度A1が2000%以上、及び/又は、前記引張伸度A1と、前記水溶性セルロース化合物及び前記セルロースナノファイバーを含まずに共重合体Aに用いたのと同一の重合性不飽和単量体を重合してなる共重合体(共重合体B)で作製したセルロースナノファイバーを含有しない樹脂シートの、前記引張伸度A1と同じ条件で測定した引張伸度B1と、を用いて下記式で計算される相対引張伸度Cが200%以上、
    である、形成した樹脂シートが超延伸性を示すことを特徴とするセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
    相対引張伸度C(%)=(A1/B1)×100
  2. 前記共重合体Aの100質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが、0.2質量部以上、5.0質量部以下の範囲で含有されている請求項1に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
  3. 記(メタ)アクリル酸エステルが、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及びパーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれるいずれかを含む請求項1又は2に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
  4. 前記水溶性セルロース化合物が、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースの少なくともいずれかであって、且つ、前記共重合体Aの100質量部に対して、前記水溶性セルロース化合物を、0.1質量部以上、10質量部以下の範囲で含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
  5. 前記引張伸度A1が、4000%以上、及び/又は、前記相対引張伸度Cが、400%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
  6. 前記引張伸度A1が、8000%以上、及び/又は、前記相対引張伸度Cが、800%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法であって、
    予め、水分散型のセルロースナノファイバー(但し、カルボキシレート基含有セルロースナノファイバーを含む場合を除く)と、水溶性セルロース化合物と、重合性不飽和単量体と、水とを含むセルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製し、撹拌動力が0.5kw/L以下の撹拌状態にある重合開始剤を含む水中に、前記セルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を滴下しながら乳化重合させて重合体を得る重合工程を有し、且つ、該重合工程で、前記重合性不飽和単量体としてビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上重合させて(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を有する共重合体Aを得る際に、前記ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、窒素原子含有エチレン性不飽和単量体、フッ素原子含有エチレン性不飽和単量体又はメチルアクリレートのいずれかを使用し、さらに、(メタ)アクリル酸エステルを、単量体成分の全質量を基準として50質量%以上使用し、且つ、メチルメタクリレートを使用する場合は、単量体成分の全質量を基準として49質量%を超えない範囲で使用することを特徴とするセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記セルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記セルロースナノファイバーを、0.2質量部以上、5.0質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水分散型のセルロースナノファイバーの量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する請求項7に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記セルロースナノファイバー含有の不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記水溶性セルロース化合物を、0.1質量部以上、10質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水溶性セルロース化合物の量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する請求項7に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法であって、
    水分散型のセルロースナノファイバーと、水溶性セルロース化合物とを含んで調製された、撹拌動力が0.5kw/L以下の撹拌状態にあるセルロースナノファイバーを含む水分散液(但し、カルボキシレート基含有セルロースナノファイバーを含む場合を除く)中に、予め調製した、重合性不飽和単量体として、ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を2種以上含む不飽和単量体混合乳化物を滴下しながら乳化重合させて(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を有する共重合体Aを得る際に、前記ビニル基を有するエチレン性不飽和単量体に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、窒素原子含有エチレン性不飽和単量体、フッ素原子含有エチレン性不飽和単量体又はメチルアクリレートのいずれかを使用し、さらに、(メタ)アクリル酸エステルを、単量体成分の全質量を基準として50質量%以上使用し、且つ、メチルメタクリレートを使用する場合は、単量体成分の全質量を基準として49質量%を超えない範囲で使用する重合工程を有することを特徴とするセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記セルロースナノファイバーを含む水分散液及び前記不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記セルロースナノファイバーを、0.2質量部以上、5.0質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水分散型のセルロースナノファイバーの量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する請求項10に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  12. 前記セルロースナノファイバーを含む水分散液及び前記不飽和単量体混合乳化物を調製する際に、前記共重合体Aの100質量部に対し、前記水溶性セルロース化合物を、0.1質量部以上、10質量部以下の範囲の量で含むセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物が得られるように、前記水溶性セルロース化合物の量と、前記重合性不飽和単量体の量を調整する請求項10に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  13. 前記撹拌動力が、0.2kw/L以下である請求項7〜12のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  14. 前記撹拌動力が、0.1kw/L以下である請求項7〜12のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物の製造方法。
  15. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物を、厚さ200μm以下の樹脂皮膜にしてなることを特徴とするセルロースナノファイバー含有の超延伸性樹脂フィルム。
  16. 前記樹脂皮膜は、塗布法又は溶媒キャスト法のいずれかによる形成物である請求項15に記載のセルロースナノファイバー含有の超延伸性樹脂フィルム。
  17. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー含有の水系樹脂組成物を、繊維状又はフィラー状又は粒子状に成形してなることを特徴とするセルロースナノファイバー含有の超延伸性樹脂製品。
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