以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の熱交換器1は、複数の流路管10を積層した積層型熱交換器である。この熱交換器1は、複数の流路管10同士の間に配置された熱交換対象2である複数の電子部品の冷却を行う冷却器として用いられるものである。その複数の電子部品は、例えば、走行用電動機に対して三相交流を供給するインバータ回路に適用されるパワーカードである。なお、本実施形態の熱交換器1の熱交換対象2は電子部品に限らない。熱交換器1は、電子部品以外の物体または流体の冷却または加熱に用いることも可能である。
図1〜図4に示すように、熱交換器1は、流路管10、中間プレート20、インナーフィン30、第1リブ21および第2リブ22などを備えている。図1に示すように、複数の流路管10は、連結パイプ3を介して積層方向に連結されている。積層方向の最上部の流路管10には、熱媒体が供給される入口パイプ4と、熱媒体を排出する出口パイプ5が接続されている。熱交換器1を構成する部材は、例えばアルミニウムまたは銅など、高い熱伝導性を有する金属により形成されている。また、熱交換器1を構成する部材は、熱交換器1の製造工程において、互いに組み合された後、加熱炉内で加熱されることで、ろう付けにより接合されている。
図2に示すように、流路管10は、2枚の外殻プレート11、12により構成されている。2枚の外殻プレート11、12はいずれも皿状に形成されている。一方の外殻プレート11の外縁と、他方の外殻プレート12の外縁との間に、板状の中間プレート20の外縁が挟まれている。一方の外殻プレート11と中間プレート20との間に形成される一方の媒体流路13に、第1インナーフィン30aが配置されている。また、他方の外殻プレート12と中間プレート20との間の形成される他方の媒体流路13に、第2インナーフィン30bが配置されている。なお、本実施形態では、第1インナーフィン30aと第2インナーフィン30bとは同一の構成である。
図3は、図2のIII−III線の断面において、外殻プレート11、インナーフィン30、第1リブ21および第2リブ22を示している。なお、第1リブ21と第2リブ22は、中間プレート20から切り起こされたものである。
図3に示すように、流路管10を構成する外殻プレート11の長手方向の一方には、媒体流路13に熱媒体が流入する流入口14が設けられている。また、流路管10を構成する外殻プレート11の長手方向の他方には、媒体流路13から熱媒体が流出する流出口15が設けられている。流入口14および流出口15は、流路管10を積層方向に接続する連結パイプ3(図1参照)に連通している。入口パイプ4および連結パイプ3を介して、流入口14から各流路管10の媒体流路13に流入した熱媒体は、その媒体流路13を流入口14側から流出口15側に向かって流れ、流出口15から連結パイプ3および出口パイプ5を介して流出する。熱媒体として、例えば、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、アンモニアまたは水などの自然冷媒を用いることができる。
なお、以下の説明では、流路管10の積層方向に垂直で、かつ、流路管10の長手方向に垂直な方向を、幅方向という。
図3および図4に示すように、媒体流路13に配置されるインナーフィン30は、流入口14側から、第1ストレート部31、ウェーブ部33、および、第2ストレート部32を有している。第1ストレート部31は、インナーフィン30のうち長手方向の中央位置34よりも流入口14側に配置されている。第2ストレート部32は、その中央位置34よりも流出口15側に配置されている。詳細には、第1ストレート部31は、インナーフィン30のうち流入口14側の端部に配置されている。第2ストレート部32は、インナーフィン30のうち流出口15側の端部に配置されている。
第1ストレート部31と第2ストレート部32はいずれも、流入口14側から流出口15側へ向かって熱媒体が直線状に流れる複数の流路を形成している。ウェーブ部33は、流入口14側から流出口15側へ熱媒体が蛇行して流れる複数の流路を形成している。なお、第1ストレート部31に形成される流路と、ウェーブ部33に形成される流路と、第2ストレート部32に形成される流路とは、連通している。
本実施形態のインナーフィン30は、第1ストレート部31が、第2ストレート部32よりも媒体流路13の長手方向に長く形成されている。そのため、このインナーフィン30は、長手方向の中央位置34より第1ストレート部31側の領域の熱交換性能と、中央位置34より第2ストレート部32側の領域の熱交換性能とが異なっている。したがって、このインナーフィン30は、流路管10の流入口14側と流出口15側に配置される向きが設定されているものである。また、このインナーフィン30は、熱交換対象2から熱媒体への放熱面積を増加させて熱伝達率を高める機能と共に、媒体流路13を流れる熱媒体の圧力により外殻プレート11、12が膨らむことを防ぐ機能も備えている。
ここで、本実施形態の熱交換器1の熱交換性能について、図5を参照して説明する。
図5(A)は、外殻プレート11とインナーフィン30を示している。ここでは、熱交換器1が熱交換を行う領域を、インナーフィン30の長手方向の中央位置34より流入口14側の第1領域S1と、その中央位置34より流出口15側の第2領域S2に分けて説明する。なお、流路管10の外側において、熱交換対象2は、第1領域S1と第2領域S2に対応する位置に設置されるものとする。
図5(B)の実線Aは、熱交換対象2の温度を示している。図5(B)の実線Bは、媒体流路13を流れる熱媒体の温度を示している。熱媒体の温度は、流入口14から媒体流路13に流入したときが最も低く、媒体流路13を流入口14側から流出口15側に流れるに従い、熱交換対象2から吸熱して次第に高くなる。そのため、熱媒体と熱交換対象2との温度差は、流入口14側が最も大きく、流入口14側から流出口15側に向かって次第に小さくなる。したがって、仮に、熱交換器1における熱媒体と熱交換対象2との熱伝達率が、流入口14側から流出口15側に亘って同一である場合、第1領域S1における冷却性能より、第2領域S2における冷却性能が低いものとなる。
そこで、本実施形態では、インナーフィン30の第1ストレート部31を第2ストレート部32よりも長い構成としている。これにより、ウェーブ部33は、第1領域S1に配置される面積より、第2領域S2に配置される面積が小さくなる。
図5(C)に示すように、インナーフィン30のうち、第1ストレート部31の熱伝達率は、ウェーブ部33の熱伝達率より小さい。そのため、第1領域S1における冷却性能は、第2領域S2における冷却性能より低いものとなる。また、第1領域S1における冷却性能を低くすることで、第2領域S2で熱媒体と熱交換対象2との温度差が小さくなることが抑制される。そのため、第2領域S2における冷却性能が向上する。したがって、この熱交換器1は、第1領域S1の冷却性能と、第2領域S2の冷却性能とを均一化することができる。
本実施形態の熱交換器1が上述した熱交換性能を発揮するためには、本実施形態のインナーフィン30が、正しい向きで、媒体流路13の正規の位置に配置されていなければならない。しかし、熱交換器1が完成した状態で、インナーフィン30を外部から視認することはできないので、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぐことは、重要な課題となる。
そこで、図2、図4、図6および図7に示すように、本実施形態では、中間プレート20に第1リブ21と第2リブ22を設けている。第1リブ21と第2リブ22はいずれも、中間プレート20から切り起こされている。
中間プレート20の幅方向の一方の第1リブ21aは、中間プレート20の板厚方向の一方に配置される第1インナーフィン30a側に切り起こされており、その第1インナーフィン30aの第1ストレート部31に嵌合する。中間プレート20の幅方向の他方の第1リブ21bは、中間プレート20の板厚方向の他方に配置される第2インナーフィン30b側に切り起こされており、その第2インナーフィン30bの第1ストレート部31に嵌合する。
中間プレート20の幅方向の一方の第2リブ22bは、中間プレート20の板厚方向の他方に配置される第2インナーフィン30b側に切り起こされており、その第2インナーフィン30bの第2ストレート部32に嵌合する。中間プレート20の幅方向の他方の第2リブ22aは、中間プレート20の板厚方向の一方に配置される第2インナーフィン30a側に切り起こされており、その第2インナーフィン30aの第2ストレート部32に嵌合する。
なお、中間プレート20は、外殻プレート11、12に設けられた流入口14に対応する位置に、熱媒体が流れる流入穴24を有し、流出口15に対応する位置に、熱媒体が流れる流出穴25を有している。
図8は、外殻プレート11側から見た、中間プレート20と、その上に配置されたインナーフィン30を示している。図8に示すように、第1リブ21は、インナーフィン30が正しい向きで、媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された状態で第1ストレート部31に嵌合する位置に設けられている。また、第2リブ22は、インナーフィン30が正しい向きで、媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された状態で第2ストレート部32に嵌合する位置に設けられている。
なお、図8に関し、実際には、中間プレート20の上にインナーフィン30が配置された場合、第1リブ21と第2リブ22はそれぞれ第1ストレート部31と第2ストレート部32に嵌合するので、その嵌合している部分はいずれも視認することができない。しかし、図8では、第1リブ21と第2リブ22の位置を分かりやすく示すために、第1リブ21と第2リブ22の位置にハッチングを付している。このことは、後の説明で参照する図9〜図19についても同じである。
図8に示すように、本実施形態では、インナーフィン30が有する第1ストレート部31が第2ストレート部32より長いことに対応して、第1リブ21は、第2リブ22よりも長い構成となっている。これにより、第1リブ21と第1ストレート部31との対応関係が明確となり、第2リブ22と第2ストレート部32との対応関係が明確となる。
第1リブ21のうち流出口15側(すなわち、流出穴25側)の端部は、第1ストレート部31とウェーブ部33との境界に近い位置にある。第2リブ22のうち流入口14側(すなわち、流入穴24側)の端部は、第2ストレート部32とウェーブ部33との境界に近い位置にある。これにより、媒体流路13内で正規の位置に配置されたインナーフィン30が、その正規の位置から流入口14側または流出口15側にずれることが防がれている。
なお、上述したように、インナーフィン30が有する流入穴24は、外殻プレート11が有する流入口14に対応する位置にあり、インナーフィン30が有する流出穴25は、外殻プレート11が有する流出口15に対応する位置にある。そのため、「流入口14側」と「流入穴24側」とは同じ側を意味しており、「流出口15側」と「流出穴25側」とは同じ側を意味している。
以下、第1リブ21と第2リブ22が設けられる位置について、図8を参照して詳細に説明する。
第1リブ21のうち流出口15側(すなわち、流出穴25側)の端部からインナーフィン30の中央位置34までの距離をDR1とする。第2リブ22のうち流入口14側(すなわち、流入穴24側)の端部からインナーフィン30の中央位置34までの距離をDR2とする。第1ストレート部31とウェーブ部33との境界からインナーフィン30の中央位置34までの距離をDS1とする。第2ストレート部32とウェーブ部33との境界からインナーフィン30の中央位置34までの距離をDS2とする。
本実施形態では、第1ストレート部31が第2ストレート部32よりも媒体流路13の長手方向に長い構成となっている。そのため、第1リブ21のうち流出口15側(すなわち、流出穴25側)の端部からインナーフィン30の中央位置34までの距離DR1は、第2ストレート部32とウェーブ部33との境界からインナーフィン30の中央位置34までの距離DS2より短い構成とされている。この構成により、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぐことが可能となる。
なお、第2リブ22のうち流入口14側(すなわち、流入穴24側)の端部からインナーフィン30の中央位置34までの距離DR2は、第1ストレート部31とウェーブ部33との境界からインナーフィン30の中央位置34までの距離DS1より長い構成とされている。
図9は、インナーフィン30が逆向きで、媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された状態を示している。本実施形態において、インナーフィン30が逆向きに配置されているとは、インナーフィン30の第1ストレート部31が流出口15側(すなわち、流出穴25側)にあり、第2ストレート部32が流入口14側(すなわち、流入穴24側)にある状態をいう。この状態で、第1リブ21は、第2ストレート部32とウェーブ部33との境界を跨いでウェーブ部33と重なる場所に位置している。このとき、第1リブ21はウェーブ部33に嵌合することなく、第1リブ21の上にインナーフィン30が載った状態となる。すなわち、第1リブ21は、ウェーブ部33に干渉する。そのため、インナーフィン30が逆向きに配置された状態では、中間プレート20とインナーフィン30と外殻プレート11、12の組み付けができない。したがって、この熱交換器1は、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぎ、インナーフィン30を、媒体流路13の正規の位置に、正しい向きで配置することが可能である。
上述した第1実施形態の熱交換器1は、次の作用効果を奏することが可能である。
(1)第1実施形態では、流路管10に配置される向きが設定されているインナーフィン30は、第1ストレート部31と第2ストレート部32の長さが異なる構成である。そのインナーフィン30が有する第1ストレート部31と第2ストレート部32に対し、第1リブ21と第2リブ22を嵌合させることで、インナーフィン30を正しい向きで組み付けることが可能である。そして、この熱交換器1は、インナーフィン30を逆向きに配置すると、第1リブ21または第2リブ22が、第1ストレート部31または第2ストレート部32に嵌合することなく、ウェーブ部33に干渉し、媒体流路13の正規の位置にインナーフィン30の組み付けができない構成である。したがって、この熱交換器1は、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぐことができる。
また、この熱交換器1は、第1リブ21と第2リブ22を備えていることで、媒体流路13内で正規の位置に配置されたインナーフィン30が、その正規の位置から流入口14側または流出口15側にずれることを防ぐことができる。
(2)第1実施形態では、インナーフィン30は、第1ストレート部31が第2ストレート部32よりも媒体流路13の長手方向に長い構成となっている。これによれば、インナーフィン30は、流入口14側の第1ストレート部31が長いので、第1領域S1における冷却性能が低下する。また、第2領域S2で熱媒体と熱交換対象2との温度差が小さくなることが抑制されるので、第2領域S2における冷却性能が向上する。したがって、この熱交換器1は、第1領域S1の冷却性能と、第2領域S2の冷却性能とを均一化することができる。
(3)第1実施形態では、第1リブ21のうち流出口15側(すなわち、流出穴25側)の端部からインナーフィン30の中央位置34までの距離DR1は、第2ストレート部32とウェーブ部33との境界からインナーフィン30の中央位置34までの距離DS2より短い構成とされている。これによれば、この熱交換器1は、インナーフィン30が逆向きで、媒体流路13の正規の位置に配置されるとき、第1リブ21が、ウェーブ部33に干渉する構成とすることができる。
(4)第1実施形態では、第1リブ21と第2リブ22は、中間プレート20から切り起こされている。
これによれば、第1リブ21と第2リブ22と中間プレート20を単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器1の構成を簡素にすることができる。
(5)第1実施形態では、第1リブ21は、第2リブ22よりも長い構成となっている。これによれば、第1リブ21と第1ストレート部31との対応関係が明確となり、第2リブ22と第2ストレート部32との対応関係が明確となる。そのため、この熱交換器1は、第1リブ21と第2リブ22の長さに対応させて、インナーフィン30の第1ストレート部31と第2ストレート部32を配置することで、インナーフィン30を正しい向きで容易に配置することができる。したがって、この熱交換器1は、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぐことが可能である。
(6)第1実施形態では、インナーフィン30は、中間プレート20の板厚方向の一方の側に配置される第1インナーフィン30aと、中間プレート20の板厚方向の一方の側に配置される第2インナーフィン30bと、を備えている。第1リブ21と第2リブ22は、中間プレート20から第1インナーフィン30a側と第2インナーフィン30b側にそれぞれ切り起こされている。
これによれば、流路管10の内側に2枚のインナーフィン30a、30bが設置されている場合でも、第1リブ21と第2リブ22と中間プレート20を単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器1の構成を簡素にすることができる。
また、この熱交換器1は、第1外殻プレート11の外側にある所定の熱交換対象2に対する熱交換性能と、第2外殻プレート12の外側にある他の熱交換対象2に対する熱交換性能とを均一化することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態では、インナーフィン30の組み付け間違いを第1実施形態よりも確実に防ぎ、高い品質を保証できるようにしたものである。
まず、上述した第1実施形態の課題について詳細に説明する。
図10は、熱交換器1の製造工程において、インナーフィン30が逆向きの状態で中間プレート20に載置され、さらに、インナーフィン30の位置が媒体流路13の長手方向にずれた状態を示したものである。このように、例えば人が組付け作業する場合や、ロボットなどを使用した製造工程においても、インナーフィン30の位置が長手方向にずれることが無いとは言えない。図10に示した状態で、第1リブ21は、インナーフィン30の有する第2ストレート部32に嵌合し、第2リブ22は、第1ストレート部31に嵌合している。そのため、この状態であれば、中間プレート20とインナーフィン30と外殻プレート11、12を組み合わせることが可能になるので、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぐことが困難になる。
そこで、図11に示すように、第2実施形態では、媒体流路13の長手方向の正規の位置にインナーフィン30を位置決めするための位置決め部41、42を設けている。位置決め部41、42は、インナーフィン30が媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置されたとき、そのインナーフィン30と干渉することのない位置に設けられている。詳細には、位置決め部41、42は、インナーフィン30が媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置されたとき、そのインナーフィン30よりも流出口15側(すなわち、流出穴25側)の位置に設けられている。
位置決め部41、42は、媒体流路13を構成する中間プレート20または外殻プレート11、12に固定されたものであればよい。第2実施形態では、位置決め部41、42は、中間プレート20から切り起こされたものである。中間プレート20の幅方向の一方の位置決め部41は、中間プレート20から第1インナーフィン30a側に切り起こされている。また、中間プレート20の幅方向の他方の位置決め部42は、中間プレート20から第2インナーフィン30b側に切り起こされている。これにより、2個の位置決め部41、42と中間プレート20を単一の部品で構成することが可能である。
図10を参照して説明したように、インナーフィン30が逆向きの状態で中間プレート20に載置される場合、そのインナーフィン30の位置が流出口15側にずれると、第1リブ21が第2ストレート部32に嵌合する可能性がある。これに対し、第2実施形態では、位置決め部41、42が、インナーフィン30が正規の位置から流出口15側にずれたときにインナーフィン30と干渉する位置に設けられている。これにより、インナーフィン30が正規の位置から流出口15側にずれて配置されると、位置決め部41、42とインナーフィン30とが干渉するため、中間プレート20とインナーフィン30と外殻プレート11、12の組み付けができない。したがって、この熱交換器1は、インナーフィン30の組み付け間違いを確実に防ぐことができる。
以上説明した第2実施形態は、次の作用効果を奏することができる。
(1)第2実施形態では、熱交換器1は、媒体流路13の長手方向の正規の位置にインナーフィン30を位置決めする位置決め部41、42を備えている。これによれば、熱交換器1は、インナーフィン30が逆向きに配置され、さらに、そのインナーフィン30の位置が媒体流路13の長手方向にずれたとき、位置決め部41、42とインナーフィン30とが干渉する構成となる。したがって、この熱交換器1は、インナーフィン30の組み付け間違いを確実に防ぎ、高い品質を保証することができる。
(2)第2実施形態では、位置決め部41、42は、インナーフィン30が正規の位置に配置されるときにインナーフィン30と干渉することなく、インナーフィン30が正規の位置からずれたときにインナーフィン30と干渉する位置に設けられる。これによれば、位置決め部41、42は、インナーフィン30が媒体流路13の長手方向の正規の位置からずれた位置で組み付けられることを防ぐことが可能である。したがって、この熱交換器1は、インナーフィン30の組み付け間違いを確実に防ぎ、高い品質を保証することができる。
(3)第2実施形態では、位置決め部41、42は、中間プレート20から切り起こされている。これによれば、中間プレート20と位置決め部41、42を単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器1の構成を簡素にすることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第2実施形態に対して位置決めリブの構成を変更したものであり、その他の構成については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図12に示すように、第3実施形態では、位置決め部43、44は、流路管10と一体に設けられている。詳細には、位置決め部43、44は、流路管10を構成する外殻プレート11、12の内壁から幅方向内側に突出するように設けられている。なお、第3実施形態では、位置決め部43、44は、インナーフィン30が媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置されたとき、そのインナーフィン30よりも流出口15側の位置と、流入口14側の位置にそれぞれ設けられている。
第3実施形態においても、インナーフィン30が逆向きに配置され、さらに、そのインナーフィン30の位置が媒体流路13の長手方向にずれたとき、位置決め部43、44とインナーフィン30とが干渉する構成である。したがって、第3実施形態の熱交換器1も、インナーフィン30の組み付け間違いを確実に防ぎ、高い品質を保証することができる。
また、第3実施形態では、流路管10と位置決め部43、44を単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器1の構成を簡素にすることができる。
さらに、第3実施形態の位置決め部43、44は、流入口14から媒体流路13に流入した熱媒体がインナーフィン30の幅方向の両端部に流れることを抑制することも可能である。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態等に対して第1リブ21と第2リブ22の構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
図13に示すように、第4実施形態では、第1リブ21と第2リブ22は、流路管10の幅方向の中央寄りの位置に設けられている。このような構成でも、第4実施形態は、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態等に対してインナーフィン30の構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
図14に示すように、第5実施形態においても、インナーフィン30は、流入口14側から、複数の第1ストレート部31、複数のウェーブ部33、および、複数の第2ストレート部32を有している。第5実施形態では、インナーフィン30のウェーブ部33を、ウェーブフィンに代えて、オフセットフィンにより構成している。すなわち、ウェーブ部33は、流入口14側から流出口15側へ熱媒体が蛇行して流れる複数の流路を形成し、且つ、第1リブ21および第2リブ22と干渉する構造を有するものであれば、種々の形状のフィンを採用することが可能である。
第5実施形態も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第1実施形態等に対して第1リブ21と第2リブ22の構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
図15に示すように、第6実施形態では、第1リブ21と第2リブ22は、外殻プレート11、12に固定されている。なお、図15では、第1リブ21のみを示している。このように、第1リブ21と第2リブ22は、中間プレート20から切り起こされたものに限らず、媒体流路13内に固定されるものであれば、種々の形態を採用することが可能である。
第6実施形態も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。第7実施形態は、第1実施形態等に対してストレート部とリブの構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
図16に示すように、第7実施形態では、インナーフィン30は、長手方向の途中に、1つのストレート部300を有している。具体的には、インナーフィン30は、流入口14側(すなわち、流入穴24側)から、第1ウェーブ部33a、ストレート部300、第2ウェーブ部33bを有している。ストレート部300は、インナーフィン30のうち長手方向の中央位置34よりも流入口14側(すなわち、流入穴24側)に配置されている。そのため、このインナーフィン30は、長手方向の中央位置34より流入口14側(すなわち、流入穴24側)の第1領域S1の熱交換性能と、中央位置34より流出口15側(すなわち、流出穴25側)の第2領域S2の熱交換性能とが異なっている。したがって、このインナーフィン30は、流路管10の流入口14側と流出口15側に配置される向きが設定されているものである。
インナーフィン30のストレート部300には、媒体流路13内に固定されたリブ200が嵌合している。リブ200は、中間プレート20から切り起こされ、インナーフィン30が正しい向きで媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された場合にストレート部300に嵌合する位置に設けられている。
リブ200のうち流入口14側(すなわち、流入穴24側)の端部は、第1ウェーブ部33aとストレート部300との境界に近い位置にある。また、リブ200のうち流出口15側(すなわち、流出穴25側)の端部は、ストレート部300と第2ウェーブ部33bとの境界に近い位置にある。これにより、媒体流路13内で正規の位置に配置されたインナーフィン30が、その正規の位置から流入口14側または流出口15側にずれることが防がれている。
図17は、インナーフィン30が逆向きで、媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された状態を示している。なお、インナーフィン30が逆向きで配置されているとは、インナーフィン30のうち長手方向の中央位置34よりも流出口15側(すなわち、流出穴25側)に、ストレート部300が配置される状態をいう。この状態で、リブ200は、第2ウェーブ部33bと重なる場所に位置している。このとき、リブ200は第2ウェーブ部33bに嵌合することなく、リブ200の上にインナーフィン30が載った状態となる。すなわち、リブ200は、第2ウェーブ部33bに干渉する。そのため、インナーフィン30が逆向きに配置された状態では、中間プレート20とインナーフィン30と外殻プレート11、12の組み付けができない。したがって、第7実施形態も、上述した第1実施形態等と同様に、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぎ、インナーフィン30を、媒体流路13の正規の位置に、正しい向きで配置することが可能である。
また、第7実施形態では、ストレート部300は、インナーフィン30のうち長手方向の中央位置34よりも流入口14側(すなわち、流入穴24側)に配置されている。これにより、インナーフィン30は、長手方向の中央位置34より流入口14側の第1領域S1の熱交換性能が、中央位置34より流出口15側の第2領域S2の熱交換性能より低下する。また、第2領域S2で熱媒体と熱交換対象2との温度差が小さくなることが抑制されるので、第2領域S2における冷却性能が向上する。したがって、この熱交換器1は、熱交換対象2に対する第1領域S1の冷却性能と、第2領域S2の冷却性能とを均一化することができる。その他、第7実施形態も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。第8実施形態は、第1実施形態等に対してストレート部とリブの構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
図18に示すように、第8実施形態では、インナーフィン30は、長手方向の途中に、2つのストレート部31、32を有している。インナーフィン30が有するストレート部31、32は、第1ストレート部31と第2ストレート部32を含んで構成されている。具体的には、インナーフィン30は、流入口14側(すなわち、流入穴24側)から、第1ウェーブ部33a、第1ストレート部31、第2ウェーブ部33b、第2ストレート部32、第3ウェーブ部33cを有している。
第1ストレート部31は、第2ストレート部32よりも媒体流路13の長手方向に長く形成されている。その第1ストレート部31は、インナーフィン30のうち長手方向の中央位置34よりも流入口14側(すなわち、流入穴24側)に配置されている。第2ストレート部32は、インナーフィン30のうち長手方向の中央位置34よりも流出口15側(すなわち、流出穴25側)に配置されている。そのため、このインナーフィン30は、長手方向の中央位置34より流入口14側(すなわち、流入穴24側)の第1領域S1の熱交換性能と、中央位置34より流出口15側(すなわち、流出穴25側)の第2領域S2の熱交換性能とが異なっている。したがって、このインナーフィン30は、流路管10の流入口14側と流出口15側に配置される向きが設定されているものである。
インナーフィン30が有する第1ストレート部31には、媒体流路13内に固定された第1リブ21が嵌合している。インナーフィン30が有する第2ストレート部32には、媒体流路13内に固定された第2リブ22が嵌合している。第1リブ21は、中間プレート20から切り起こされ、インナーフィン30が正しい向きで媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された場合に、第1ストレート部31に嵌合する位置に設けられている。第2リブ22は、中間プレート20から切り起こされ、インナーフィン30が正しい向きで媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された場合に、第2ストレート部32に嵌合する位置に設けられている。
第1リブ21は、第2ストレート部32よりも媒体流路13の長手方向に長く形成されている。そのため、インナーフィン30が逆向きで、媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された場合、第1リブ21の全部が第2ストレート部32に嵌合することはない。すなわち、第1リブ21の少なくとも一部は、第2ストレート部32からはみ出すことになる。したがって、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぐことが可能である。
第1リブ21のうち流出口15側(すなわち、流出穴25側)の端部からインナーフィン30の中央位置34までの距離をDR1inとする。第2ストレート部32と第2ウェーブ部33bとの境界からインナーフィン30の中央位置34までの距離をDS2inとする。第8実施形態では、第1リブ21のうち流出口15側の端部からインナーフィン30の中央位置34までの距離DR1inは、第2ウェーブ部33bと第2ストレート部32との境界からインナーフィン30の中央位置34までの距離DS2inより短い構成とされている。この構成によっても、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぐことが可能である。
図19は、インナーフィン30が逆向きで、媒体流路13の長手方向の正規の位置に配置された状態を示している。なお、インナーフィン30が逆向きで配置されているとは、第1ストレート部31が、インナーフィン30のうち長手方向の中央位置34よりも流出口15側(すなわち、流出穴25側)に配置される状態をいう。この状態で、第1リブ21は、第2ウェーブ部33bと重なる場所に位置している。このとき、第1リブ21は第2ウェーブ部33bに嵌合することなく、第1リブ21の上にインナーフィン30が載った状態となる。すなわち、第1リブ21は、第2ウェーブ部33bに干渉する。そのため、インナーフィン30が逆向きに配置された状態では、中間プレート20とインナーフィン30と外殻プレート11、12の組み付けができない。したがって、第8実施形態も、上述した第1実施形態等と同様に、インナーフィン30の組み付け間違いを防ぎ、インナーフィン30を、媒体流路13の正規の位置に、正しい向きで配置することが可能である。
なお、上述した第8実施形態において、第1ストレート部31、第2ストレート部32、第1リブ21、第2リブ22の位置は、図18および図19に示した位置に限られない。これらの構成は、インナーフィン30が正しい向きで配置された場合に、全てが嵌合し、インナーフィン30が逆向きに配置された場合に、第1リブ21または第2リブ22とウェーブ部33a、33b、33cの少なくとも一部が干渉する位置に設けられていればよい。
また、第8実施形態では、第1ストレート部31が、第2ストレート部32よりも媒体流路13の長手方向に長く形成されている。第1ストレート部31は、第1領域S1に配置され、第2ストレート部32は、第2領域S2に配置されている。これにより、インナーフィン30は、第1領域S1における冷却性能が低下する。また、第2領域S2で熱媒体と熱交換対象2との温度差が小さくなることが抑制されるので、第2領域S2における冷却性能が向上する。したがって、この熱交換器1は、熱交換対象2に対する第1領域S1の冷却性能と、第2領域S2の冷却性能とを均一化することができる。その他、第8実施形態も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(1)上記実施形態では、インナーフィン30は、第1ストレート部31が、第2ストレート部32よりも長い構成としたが、このような構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、インナーフィン30は、第2ストレート部32が、第1ストレート部31よりも長い構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、熱交換器1は、中間プレート20を備えるものとして説明したが、このような構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、熱交換器1は、中間プレート20を備えていない構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、熱交換器1は、流路管10と熱交換対象2である電子部品とを交互に積層する構成としたが、このような構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、熱交換器1は、例えば、流体同士の熱交換を行うシェルアンドチューブ型であってもよく、または、異種の熱媒体が流れる流路管10同士を交互に積層して構成したものであってもよい。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、熱交換器は、流路管、流入口、流出口、インナーフィン、およびリブを備える。流路管は、熱媒体が流れる媒体流路を有する。流入口は、流路管の長手方向の一方に設けられ、媒体流路に熱媒体が流入する。流出口は、流路管の長手方向の他方に設けられ、媒体流路から熱媒体が流出する。インナーフィンは、媒体流路に設けられ、熱媒体が蛇行して流れる複数の流路を形成するウェーブ部、および、複数の直線状の流路を形成するストレート部を有し、流路管の流入口側と流出口側に配置される向きが設定されている。リブは、媒体流路内に固定される。ここで、インナーフィンが正しい向きで、媒体流路の長手方向の正規の位置に配置されるとき、リブとストレート部とが嵌合し、インナーフィンが逆向きで、媒体流路の長手方向の正規の位置に配置されるとき、リブの少なくとも一部がウェーブ部に干渉する構成である。
第2の観点によれば、ストレート部は、インナーフィンのうち長手方向の中央位置よりも流入口側に配置される第1ストレート部、および、インナーフィンのうち中央位置よりも流出口側に配置される第2ストレート部を含んで構成されている。その第1ストレート部は、第2ストレート部よりも、媒体流路の長手方向に長く形成されている。ここで、インナーフィンが正しい向きで、媒体流路の長手方向の正規の位置に配置されるとき、第1ストレート部または第2ストレート部とリブとが嵌合する。これに対し、インナーフィンが逆向きで、媒体流路の長手方向の正規の位置に配置されるとき、リブの少なくとも一部がウェーブ部に干渉する構成である。
一般に、流入口から流路管に流入した熱媒体は、流路管の外側の熱交換対象と熱交換を行うことで、流入口側から流出口側に流れるに従い熱交換対象との温度差が次第に小さくなる。そのため、熱交換器は、媒体流路の流出口側の領域で、熱交換性能が低下する傾向にある。そこで、この熱交換器は、インナーフィンのうち中央位置よりも流入口側に配置される第1ストレート部を長く形成することで、インナーフィンの流入口側の領域の熱交換性能を低下させている。これにより、媒体流路の流出口側の領域で熱媒体と熱交換対象との温度差が小さくなることが抑制されるので、媒体流路の流出口側の領域の熱交換性能が向上する。したがって、この熱交換器は、熱交換対象に対する流入口側の領域の熱交換性能と、流出口側の領域の熱交換性能とを均一化することができる。
第3の観点によれば、第1ストレート部は、インナーフィンのうち流入口側の端部に配置されている。また、第2ストレート部は、インナーフィンのうち流出口側の端部に配置されている。リブは、第1リブおよび第2リブを含んで構成されている。ここで、第1リブのうち流出口側の端部からインナーフィンの中央位置までの距離は、第2ストレート部とウェーブ部との境界からインナーフィンの中央位置までの距離より短い構成とされている。
これによれば、この熱交換器は、インナーフィンが逆向きで、媒体流路の正規の位置に配置されるとき、第1リブがウェーブ部に干渉する構成となる。
第4の観点によれば、第1リブは、第2リブよりも媒体流路の長手方向に長く形成されている。
これによれば、第1リブと第1ストレート部との対応関係が明確となり、第2リブと第2ストレート部との対応関係が明確となる。そのため、この熱交換器は、第1リブと第2リブの長さに対応させて、インナーフィンの第1ストレート部と第2ストレート部を配置することで、インナーフィンを正しい向きで容易に配置することができる。したがって、この熱交換器は、インナーフィンの組み付け間違いを防ぐことが可能である。
第5の観点によれば、熱交換器は、媒体流路内でインナーフィンの厚み方向の一方に設けられる中間プレートをさらに備える。第1リブと第2リブは、中間プレートから切り起こされている。
これによれば、第1リブと第2リブと中間プレートを単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器の構成を簡素にすることができる。
第6の観点によれば、熱交換器は、媒体流路内に固定され、媒体流路の長手方向の正規の位置にインナーフィンを位置決めする位置決め部をさらに備える。位置決め部は、インナーフィンが媒体流路の長手方向の正規の位置に配置されるとき、インナーフィンと干渉することなく、インナーフィンが媒体流路の長手方向の正規の位置からずれたとき、インナーフィンと干渉する位置に設けられる。
ところで、仮に、インナーフィンが逆向きの状態で媒体流路に配置された場合でも、インナーフィンが媒体流路の正規の位置から長手方向にずれてしまうと、第1リブと第2ストレート部が嵌合し、第2リブと第1ストレート部が嵌合することがある。そこで、この熱交換器は、位置決め部により、媒体流路の長手方向の正規の位置にインナーフィンを位置決めすることで、インナーフィンが逆向きに配置されたときにインナーフィンの組み付けができない構成としている。したがって、この熱交換器は、インナーフィンの組み付け間違いを確実に防ぎ、高い品質を保証することができる。
第7の観点によれば、位置決め部は、インナーフィンの厚み方向の一方に設けられる中間プレートから切り起こされている。
これによれば、中間プレートと位置決め部を単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器の構成を簡素にすることができる。
第8の観点によれば、位置決め部は、流路管に設けられている。
これによれば、流路管と位置決め部を単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器の構成を簡素にすることができる。
第9の観点によれば、インナーフィンは、流路管の内側に設けられた中間プレートの板厚方向の一方の側に配置される第1インナーフィンと、中間プレートの板厚方向の一方の側に配置される第2インナーフィンを備えている。リブは、中間プレートから第1インナーフィン側と第2インナーフィン側に切り起こされている。
これによれば、流路管の内側に2枚のインナーフィンが設置されている場合でも、第1リブと第2リブと中間プレートを単一の部品で構成することが可能である。したがって、部品点数の増加を防ぎ、熱交換器の構成を簡素にすることができる。
また、この熱交換器は、流路管の一方側にある所定の熱交換対象に対する熱交換性能と、流路管の他方側にある他の熱交換対象に対する熱交換性能とを均一化することができる。