JP6709749B2 - 無鉛ガソリン - Google Patents
無鉛ガソリン Download PDFInfo
- Publication number
- JP6709749B2 JP6709749B2 JP2017082947A JP2017082947A JP6709749B2 JP 6709749 B2 JP6709749 B2 JP 6709749B2 JP 2017082947 A JP2017082947 A JP 2017082947A JP 2017082947 A JP2017082947 A JP 2017082947A JP 6709749 B2 JP6709749 B2 JP 6709749B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- volume
- base material
- gasoline
- distillation temperature
- content
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
Description
これらの基材の内、接触改質ガソリンは、密度が高く、高オクタン価成分である芳香族化合物を豊富に含む高オクタン価基材である。特に、接触改質ガソリンを分留することにより得られる重質接触改質ガソリンは芳香族分の含有率が高い。
点火プラグのくすぶりは、特にガソリン中の芳香族分が多いほど起こり易いことが知られている。また、ガソリン中に芳香族分が多く含まれると吸気バルブデポジット[IVD(Inlet Valve Deposit)、以下同じ。]が増加する傾向を示すことが知られている。
<1> 下記(1)に示す軽質接触分解ガソリン基材Aを無鉛ガソリンの全容量に対して20容量%〜60容量%と、下記(2)に示す重質接触改質ガソリン基材Bを無鉛ガソリンの全容量に対して20容量%〜55容量%と、を配合し、かつ、下記(3)〜(14)を満たす無鉛ガソリン。
10容量%留出温度が30℃〜45℃、50容量%留出温度が35℃〜50℃、90容量%留出温度が55℃〜75℃、終点が80℃〜100℃、15℃における密度が0.650g/cm3〜0.670g/cm3、オレフィン分が軽質接触分解ガソリン基材Aの全容量に対して40容量%〜55容量%、かつ炭素数7以上の炭化水素分が軽質接触分解ガソリン基材Aの全容量に対して10容量%以下である、軽質接触分解ガソリン基材。
下記の基材b1と下記の基材b2と、を含み、基材b1及び基材b2の配合比率(b1:b2)が容量基準で95:5〜5:95の範囲である、重質接触改質ガソリン基材。
基材b1は、10容量%留出温度が95℃〜115℃、50容量%留出温度が100℃〜120℃、90容量%留出温度が105℃〜125℃、終点が110℃〜130℃、15℃における密度が0.840g/cm3〜0.860g/cm3、炭素数7の芳香族分が基材b1の全容量に対して70容量%以上85容量%以下、炭素数8の芳香族分が基材b1の全容量に対して10容量%以下、かつ炭素数9の芳香族分が基材b1の全容量に対して5容量%以下である。
基材b2は、10容量%留出温度が155〜165℃、50容量%留出温度が160℃〜170℃、90容量%留出温度が165℃〜175℃、終点が175〜190℃、15℃における密度が0.860g/cm3〜0.880g/cm3、かつ炭素数9の芳香族分が基材b2の全容量に対して90容量%以上である。
(4)モーター法オクタン価が85以上92未満
(5)15℃における密度が0.710〜0.783g/cm3
(6)50容量%留出温度が75〜110℃
(7)70℃留出量が18〜45容量%
(8)リード蒸気圧が45〜93kPa
(9)ベンゼンの含有量が1容量%以下
(10)硫黄分が無鉛ガソリンの全容量に対して10質量ppm以下
(11)オレフィン分が無鉛ガソリンの全容量に対して10〜30容量%
(12)芳香族分が無鉛ガソリンの全容量に対して15〜45容量%
(13)炭素数7の芳香族分が無鉛ガソリン中の芳香族分の全容量に対して40容量%以下
(14)炭素数8の芳香族分が無鉛ガソリン中の芳香族分の全容量に対して5容量%以下
なお、本明細書中、数値範囲を現す「〜」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「〜」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書においてガソリン中の各成分の比率又は量は、ガソリン中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、ガソリン中に存在する当該複数種の物質の合計の比率又は量を意味する。
本明細書において、ガソリンの「芳香族分」は、ベンゼン以外の単環又は多環の芳香族炭化水素を包含し、これらは構造中にヘテロ原子を有するものであってもよい。
本発明の無鉛ガソリンは、下記(1)に示す軽質接触分解ガソリン基材Aを組成物の全容量に対して20容量%〜60容量%と、下記(2)に示す重質接触改質ガソリン基材Bを組成物の全容量に対して20容量%〜55容量%と、を少なくとも配合する。
基材b1は、10容量%留出温度が95℃〜115℃、50容量%留出温度が100℃〜120℃、90容量%留出温度が105℃〜125℃、終点が110℃〜130℃、15℃における密度が0.840g/cm3〜0.860g/cm3、炭素数7の芳香族分が基材b1の全容量に対して70容量%以上85容量%以下、炭素数8の芳香族分が基材b1の全容量に対して10容量%以下、かつ炭素数9の芳香族分が基材b1の全容量に対して5容量%以下である。
基材b2は、10容量%留出温度が155〜165℃、50容量%留出温度が160℃〜170℃、90容量%留出温度が165℃〜175℃、終点が175〜190℃、15℃における密度が0.860g/cm3〜0.880g/cm3、かつ炭素数9の芳香族分が基材b2の全容量に対して90容量%以上である。
以下、本発明の無鉛ガソリンについて詳細に説明する。
軽質接触分解ガソリン基材Aは、流動接触分解装置から留出する軽質接触分解ガソリンからなる基材であり、上記の(1)に示す特定の組成及び性状を有する。
本明細書において、ガソリンの沸点以上で沸騰する炭化水素混合物には、原油を常圧又は減圧蒸留で得られる、軽油留分、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油等を意味し、コーカー軽油、溶剤脱瀝油、溶剤脱瀝アスファルト、タールサンド油、シェールオイル油、石炭液化油なども包含される。
更に、これらの原料炭化水素は、公知の水素化処理、例えば、Ni−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒などの水素化処理触媒の存在下、高温・高圧下で水素化脱硫した水素化処理油であってもよく、水素化処理油も原料炭化水素油としてFCCプロセスに使用してもよい。
圧力が5kg/cm3以下であると、分解反応によりモル数の増加を抑制することが可能となり、分解反応の進行が低下を防ぐことが可能となる。また、触媒と原料炭化水素油との配合比(触媒/原料炭化水素油)が2以上であると、クラッキング反応器内の触媒濃度が低くなりすぎず、原料油分解の進行の低下を防ぐことが可能となる。また、配合比が20以下であると、触媒の効果を効果的に発揮させること可能となる。
軽質接触分解ガソリン基材Aの10容量%留出温度、50容量%留出温度、90容量%留出温度、及び終点が、上記範囲内であると、軽質接触分解ガソリン基材Aのオクタン価を高く維持することができるため、高オクタン価を有する無鉛ガソリンを効率良く製造することができる。更に、軽質接触分解ガソリン基材Aを用いて製造した本発明の無鉛ガソリンは、運転性能及びエンジン清浄性に優れる傾向がある。
上記の観点から、軽質接触分解ガソリン基材Aは、好ましくは、10容量%留出温度が33℃〜44℃、50容量%留出温度が38℃〜50℃、90容量%留出温度が58℃〜73℃、終点が85℃〜100℃であり、より好ましくは、10容量%留出温度が35℃〜43℃、50容量%留出温度が40℃〜50℃、90容量%留出温度が60℃〜70℃、終点が90℃〜100℃である。
リサーチ法オクタン価が92以上であると、重質接触改質ガソリン基材Bの配合量を抑えることができるので、規格を満たす製品ガソリンの調製が容易となる。
なお、このリサーチ法オクタン価は、JIS K 2280−1(2013)に準拠して測定した値である。
密度が上記範囲内であると、本発明の無鉛ガソリンの軽質化を抑制できる。
なお、上記密度は、JIS K 2249(2011)に準拠して測定した値である。
軽質接触分解ガソリン基材Aのオレフィン分が上記範囲内であると、軽質接触分解ガソリン基材Aのオクタン価を高いレベルで維持することが可能となる。
なお、オレフィン分は、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
上記観点から、軽質接触分解ガソリン基材Aにおける炭素数7以上の炭化水素分は、軽質接触分解ガソリン基材Aの全容量に対して、好ましくは9容量%以下、さらに好ましくは8容量%以下である。
また、軽質接触分解ガソリン基材Aにおける炭素数5の炭化水素分は、軽質接触分解ガソリン基材Aの全容量に対して、68容量%以下が好ましく、より好ましくは65容量%以下、下限は好ましくは63容量%である。
また、軽質接触分解ガソリン基材Aにおける炭素数6の炭化水素分は、軽質接触分解ガソリン基材Aの全容量に対して、45容量%以下が好ましく、より好ましくは43容量%以下であり、下限は好ましくは40容量%である。
軽質接触分解ガソリン基材Aは、高オクタン価とする観点から、炭素数5の炭化水素分が68容量%以下、炭素数6の炭化水素分が45容量%以下、及び炭素数7以上の炭化水素分が10容量%以下であることが特に好ましい。
なお、各炭素数の炭化水素分の含有量は、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
重質接触改質ガソリン基材Bは、接触改質装置から留出する重質接触改質ガソリンからなる基材であり、後述の基材b1と基材b2とを含み、かつ既述の(2)に示す特定の組成及び性状を有する。
基材b1の蒸留性状は、10容量%留出温度(T10)が95℃〜115℃、50容量%留出温度(T50)が100℃〜120℃、90容量%留出温度(T90)が105℃〜125℃、終点(EP)が110℃〜130℃である。
基材b1の10容量%留出温度、50容量%留出温度、90容量%留出温度、及び終点が、上記範囲内であると、運転性を維持しつつ、排出ガス中の有害成分の増加及びエンジン清浄性の悪化を防止することが可能となる。
上記の観点から、基材b1は、好ましくは、10容量%留出温度が85℃〜125℃、50容量%留出温度が90℃〜130℃、90容量%留出温度が95℃〜135℃であり、より好ましくは、10容量%留出温度が95℃〜105℃、50容量%留出温度が100℃〜110℃、90容量%留出温度が105℃〜115℃である。
なお、上記の蒸留性状はJIS K 2254(1998)に準拠して測定した値である。
リサーチ法オクタン価が103以上であると、基材b2の配合量を抑えることが可能となり、規格を満たす製品ガソリンの調整が容易となる。
なお、このリサーチ法オクタン価は、JIS K 2280−1(2013)に準拠して測定した値である。
上記観点から、密度としては、好ましくは0.840〜0.850g/cm3、より好ましくは0.840〜0.845g/cm3である。
なお、この密度は、JIS K 2249(2011)に準拠して測定した値である。
基材b1において、炭素数7の芳香族分、炭素数8の芳香族分及び炭素数9の芳香族分が、上記範囲内であると、運転性能を維持しつつ、点火プラグのくすぶりを抑制し、エンジン内における吸気弁デポジット(IVD)量の増加を防ぎ、かつ排出ガス中の有害成分の増加を抑制することが可能となる。
なお、各炭素数の芳香族分は石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
基材b2の蒸留性状は、10容量%留出温度(T10)が155℃〜165℃、50容量%留出温度(T50)が160℃〜170℃、90容量%留出温度(T90)が165℃〜175℃、終点(EP)が175℃〜190℃である。
基材b2の10容量%留出温度、50容量%留出温度、90容量%留出温度及び終点が上記範囲内であると、重質接触改質ガソリン基材Bの重質化を防止することが可能となる。そのため、始動性、加速性などの運転性能を維持しつつ、排出ガス中の有害成分の増加及びエンジン清浄性の悪化を防止することが可能となる。
上記観点から、基材b2の蒸留性状としては、好ましくは、10容量%留出温度が157℃〜165℃、50容量%留出温度が160℃〜168℃、90容量%留出温度が165℃〜173℃、終点が180℃〜190℃であり、より好ましくは、10容量%留出温度が160℃〜165℃、50容量%留出温度が162℃〜165℃、90容量%留出温度が165℃〜170℃、終点が183℃〜188℃である。
なお、上記の蒸留性状はJIS K 2254(1998)に準拠して測定した値である。
上記観点から、密度としては、好ましくは0.865〜0.880g/cm3、より好ましくは0.870〜0.880g/cm3である。
なお、上記の密度は、JIS K 2249(2011)に準拠して測定した値である。
基材b2において、炭素数9の芳香族分は90容量%以上であると、運転性能を維持しつつ、くすぶり性の悪化を防止し、エンジン内デポジット(堆積物)量の増加を防ぎ、かつ、排出ガス中の有害成分の増加を抑制することが可能となる。
上記観点から、基材b2において、炭素数9の芳香族分は、好ましくは91容量%以上、より好ましくは94容量%以上である。
なお、上記の炭素数9の芳香族分は石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンにおいて、軽質接触分解ガソリン基材Aの含有量は、無鉛ガソリンの全容量に対して、20〜60容量%であり、好ましくは25〜55容量%、より好ましくは28〜50容量%である。
重質接触改質ガソリン基材Bの含有量は、20〜55容量であり、好ましくは20〜53容量%、より好ましくは23〜52容量%である。
重質接触改質ガソリン基材Bにおける基材b1と基材b2との配合比率(b1:b2)は、容量基準で、95:5〜5:95であり、好ましくは90:10〜10:90、より好ましくは80:20〜10:90である。
本発明の無鉛ガソリンは、軽質接触分解ガソリン基材A及び重質接触改質ガソリン基材Bに加えて、さらに、含酸素基材を含んでいてもよい。本発明の無鉛ガソリンが、含酸素基材を含む場合、本発明の無鉛ガソリンのオクタン価を更に向上させることが可能となる。
二酸化炭素排出量の削減、及び環境保全の観点から、含酸素化合物としては、バイオマス由来のアルコール、アルコールからの誘導体であるエーテル又はエステルであることが好ましい。
アルコールからの誘導体であるエーテル及びエステルとしては、炭素数4〜8のエーテルとしては、エチルイソプロピルエーテル、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)、エチルセカンダリーブチルエーテル(ESBE)、ジイソプロピルエーテル、ターシャリーアミルエチルエーテル(TAEE)が挙げられる。
炭素数4〜8のエステルとしては、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。
本発明の無鉛ガソリンは、軽質接触分解ガソリン基材A、重質接触改質ガソリン基材B、及び含酸素基材以外の基材(以下、「その他の基材」ともいう。)を含んでいてもよい。その他の基材としては、例えば以下の(a)〜(d)の成分等が挙げられる。
(b)イソブタンと低級オレフィン(ブテン、プロピレン等)を原料として、酸触媒(硫酸、フッ化水素、塩化アルミニウム等)の存在下で反応させて得られるアルキレート。
(c)原油や粗油等の常圧蒸留時、改質ガソリン製造時または分解ガソリン製造時等に蒸留して得られるブタン、ブテン類を主成分としたC4留分。
(d)直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメレートまたはアイソメレートを精密蒸留して得られるイソペンタン。
本発明の無鉛ガソリンに清浄剤を添加する場合、清浄剤の添加量は、無鉛ガソリンの全質量に対し、50質量ppm〜1000質量ppmが好ましく、より好ましくは100〜500質量ppmである。
清浄剤の添加量が50質量ppm以上であると、吸気バルブデポジット(IVD)の増加を防ぐことが可能となる。また、清浄剤の添加量が、1000質量ppm以下であると、燃焼室デポジットの増加を防ぐことが可能となる。
本発明の無鉛ガソリン清浄剤を、好ましくは上記の範囲で含む場合、重質接触改質ガソリン基材Bの適用によりエンジン内デポジットの生成が抑制される効果と相まって、燃焼室デポジットの生成をより効果的に抑制することが可能となる。
添加剤としては、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤、チオアミド化合物等の金属不活性剤、有機リン系化合物等の表面着火防止剤、多価アルコールおよびそのエーテル等の氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル等の助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の帯電防止剤、アルケニルコハク酸エステル等の錆止め剤、及びアゾ染料等の着色剤等、公知の燃料添加剤が挙げられる。
添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
添加剤の添加量としては、任意であり、通常、添加剤の合計添加量は、無鉛ガソリンの全質量に対して、0.1質量%以下とすることが好ましい。
本発明の無鉛ガソリンの製造方法としては、例えば、無鉛ガソリンの全容量に対して、軽質接触分解ガソリン基材Aが20容量%〜60容量%、重質接触改質ガソリン基材Bが20容量%〜55容量%、となるように配合して、後述の(3)〜(14)を満たすように調製すればよい。
本発明の無鉛ガソリンは、既述のとおり、(1)に示す軽質接触分解ガソリン基材Aを無鉛ガソリンの全容量に対して20容量%〜60容量%と、(2)に示す重質接触改質ガソリン基材Bを無鉛ガソリンの全容量に対して20容量%〜55容量%と、を配合し、かつ(3)〜(14)を満たすものである。以下、無鉛ガソリンにおける各性状について説明する。
本発明の無鉛ガソリンは、リサーチ法オクタン価(RON)が98以上103未満であり、好ましくは98〜102である。
リサーチ法オクタン価が98以上であると、高い運転性能を維持することが可能となる。
リサーチ法オクタン価は、JIS K 2280−1(2013)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、モーター法オクタン価(MON)が85以上92未満であり、好ましくは85〜90である。
モーター法オクタン価が85以上であると、高速走行時のアンチノック性の低下を防止することが可能となる。
モーター法オクタン価は、JIS K 2280−2(2013)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、15℃における密度が0.710g/cm3〜0.783g/cm3であり、好ましくは0.710〜0.770g/cm3である。
密度が0.710g/cm3以上であると、良好な燃費を確保することが可能となる。また、密度を0.783g/cm3以下であると、高密度の芳香族分を低減摺る傾向となり、排出ガスによる大気への芳香族化合物の排出量を低減することが可能となる。
なお、上記密度は、JIS K 2249−4(2011)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、50容量%留出温度(T50)が75℃〜110℃であり、好ましくは75℃〜105℃である。
また、本発明の無鉛ガソリンは、70℃留出量(E70)が18容量%〜45容量である、好ましくは20〜45容量%である。
50容量%留出温度及び70℃留出量が上記範囲内であれると、始動性、加速性等の運転性能に関する不具合を防ぐ傾向がある。
なお、50容量%留出温度及び70℃留出量は、はJIS K 2254(1998)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、リード蒸気圧(RVP)が、45〜93kPa、好ましくは50〜90kPaである。リード蒸気圧を93kPa以下にすることによって蒸発ガスの量を少なくすることができ、45kPa以上とすることで低温始動性、暖気性の低下を防ぐことができる。なお、このリード蒸気圧は、JIS K 2258−(2009)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、ベンゼン含有量が、無鉛ガソリンの全容量に対して、1容量%以下である、好ましくは0.8容量%以下である。ベンゼン含有量が1容量%以下であると、大気中のベンゼン濃度の増加を抑制する傾向となり、環境汚染を低減できる可能性がある。
なお、ベンゼン含有量は、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、硫黄分は、無鉛ガソリンの全容量に対して、10質量ppm以下であり、好ましくは8質量ppm以下である。
硫黄分が10質量ppm以下であると、排出ガス浄化触媒の能力低下を抑制する傾向となり、排出ガス中の窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)及び全炭化水素(THC)の濃度上昇を抑制できる可能性がある。
なお、硫黄分はJIS K 2541−6(2003)「原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第6部:紫外蛍光法」に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、オレフィン分が、無鉛ガソリンの全容量に対して、10容量%〜30容量%であり、好ましくは10容量%〜28容量%である。
オレフィン分が、10容量%〜30容量%であると、酸化安定性の低下の抑制が可能となる。
なお、オレフィン分とは、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値であり、無鉛ガソリンが含むオレフィンの分の合計(容量%)を意味する。
本発明の無鉛ガソリンは、芳香族分が、無鉛ガソリン中の芳香族分の全容量に対して、15容量%〜45容量%、好ましくは20〜45容量%である。この芳香族分が45容量%以下であれば、排出ガス中の有害成分の増加を防ぐことができる。
なお、この芳香族分は、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
本発明の無鉛ガソリンは、炭素数7の芳香族分が、無鉛ガソリン中の芳香族分の全容量に対して、40容量%以下であり、好ましくは24容量%である。
炭素数7の芳香族分が40容量%以下であると、ミックスキシレンの増産が可能となる。
なお、炭素数7の芳香族分は、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値であり、無鉛ガソリンが含む全芳香族化合物の含有量に占める炭素数7の芳香族化合物の含有量の合計量の割合(容量%)を意味する。後述する炭素数8の芳香族分の場合も同様である。
本発明の無鉛ガソリンは、炭素数8の芳香族分が、無鉛ガソリン中の芳香族分の全容量に対して、5容量%以下であり、好ましくは4容量%である。
炭素数8の芳香族分が5容量%以下であると、ミックスキシレンの増産が可能となる。なお、この炭素数8の芳香族分は、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値であり、無鉛ガソリンが含む炭素数8の芳香族化合物の含有量の合計(容量%)を意味する。
表1に示す性状の重質接触改質ガソリン基材(b1及びb2)、軽質接触分解ガソリン基材(A1、A2及びC)、及びその他の基材(アルキレート及びC4留分)を用い、表3及び表4に示す性状の無鉛ガソリンを得た。
重質接触改質ガソリン基材b1及びb2は、それぞれ既述の基材b1及び基材b2に包含される基材である。
軽質接触分解ガソリン基材A1及びA2は、いずれも既述の重質接触改質ガソリン基材Aに包含される基材である。
軽質接触分解ガソリン基材Cは、既述の軽質接触分解ガソリン基材Aの範囲外の基材である。
C5炭化水素分、C6炭化水素分、及びC7以上の炭化水素分の割合(容量%)は、いずれも、ガソリン基材の全容量を基準とする。
C6芳香族分、C7芳香族分、C8芳香族分、C9芳香族分、C10芳香族分、C11芳香族分、C12芳香族分、及びC13以上芳香族分の割合(容量%)は、いずれも、ガソリン基材の全容量を基準とする。
・ETBE:エチルターシャリーブチルエーテル(含酸素化合物)
ベンゼン含有量、C7芳香族分、C8芳香族分、及びC9以上芳香族分の割合(容量%)は、いずれも、ガソリン基材の全容量を基準とする。
実施例1〜12及び比較例1〜10で得られたガソリンを用いて、以下に述べる各種の性能評価試験を行った。結果を表7及び表8に示す。
始動性の評価は、排気量2L、直接噴射方式(DI)、オートマチックトランスミッション(AT)の車両を用い、試験温度20℃、湿度50%の条件で行った。
車両を始動させ、クランキング開始から完爆までの時間(即ち、エンジンが自力で回転が続けられるようになるまでの時間)を測定した。
始動時間が2.00秒以内である場合は、加速性に優れると評価する。
加速性の評価は、排気量2L、直接噴射方式(DI)、オートマチックトランスミッション(AT)の車両を用い、試験温度20℃、湿度50%の条件で行った。
車両のエンジンを始動後、10秒間アイドリングを行い、アクセル開度50%で車速が40km/hに到達するまでの時間を測定した。
加速時間が4.20秒以内である場合は、加速性に優れると評価する。
排気量2L、MPI方式、オートマチックトランスミッション(AT)の車両を用い、−10℃の試験温度条件で、下記に示す1サイクル約30分の評価試験を行った後、点火プラグの絶縁抵抗値を絶縁抵抗計(型番:DM−1526、三和電気計器(株)製)用いて測定した。
エンジン始動を始動し、10km/h〜20km/hの加減速を10回繰り返した後、エンジンを切り、28分間冷却する。
点火プラグの絶縁抵抗値の変動は、点火プラグの汚損度の指標となる。
点火プラグの絶縁抵抗値が100MΩ以下に達したときに、プラグのくすぶりが発生したと判定する。評価試験は、プラグのくすぶりが発生したと判定されるまで繰返して行い、プラグのくすぶりが発生したと判定されるまでの試験回数(サイクル数)によって、プラグのくすぶり性を評価した。
サイクル数が11回以上の場合を、点火プラグのくすぶり抑制に優れると判断する。
排気量1.5L、マルチポイントインジェクション(MPI)方式の車両を用い、シャシーダイナモにおいて、60−100km/hの加減速×1,500サイクル(8,000km走行)の条件で行った。
運転前後の吸気バルブの重量を秤量し、運転前後の吸気バルブの重量の差分を吸気バルブに付着したデポジット(IVD)発生量(mg/v)として評価した。
IVDの発生量が17(mg/v)以下の場合を、IVDの発生抑制に優れると判断する。
一方、基材の配合又は燃料性状において、本発明に係る構成要素を一つでも満たさない比較例のガソリンは、実施例のガソリンとの対比において、始動性、加速性、点火プラグのくすぶり性、及びIVD試験のいずれか1つ又は2つ以上の評価結果に劣っていた。
また、表8に示すように、実施例7〜12のガソリンは、含酸素化合物であるETBEを配合していながらも、始動性、加速性、点火プラグのくすぶり性、及びIVD試験のいずれの評価においても良好な結果が示されることが分かる。
また、本発明の無鉛ガソリンは、含酸素基材を配合した場合であっても、内燃機関の始動性、車両の加速性、点火プラグのくすぶり抑制、及びIVDの発生抑制に優れることから、自動車の走行に必要とされる実用性能を維持しつつも、大気環境の保全を図ることが期待できることが確認された。
Claims (2)
- 下記(1)に示す軽質接触分解ガソリン基材Aを無鉛ガソリンの全容量に対して20容量%〜60容量%と、下記(2)に示す重質接触改質ガソリン基材Bを無鉛ガソリンの全容量に対して20容量%〜55容量%と、を配合し、かつ、下記(3)〜(14)を満たす無鉛ガソリン。
(1)軽質接触分解ガソリン基材A: 10容量%留出温度が30℃〜45℃、50容量%留出温度が35℃〜50℃、90容量%留出温度が55℃〜75℃、終点が80℃〜100℃、15℃における密度が0.650g/cm3〜0.670g/cm3、オレフィン分が軽質接触分解ガソリン基材Aの全容量に対して40容量%〜55容量%、かつ炭素数7以上の炭化水素分が軽質接触分解ガソリン基材Aの全容量に対して10容量%以下である、軽質接触分解ガソリン基材。
(2)重質接触改質ガソリン基材B: 下記の基材b1と下記の基材b2と、を含み、基材b1及び基材b2の配合比率(b1:b2)が容量基準で95:5〜5:95の範囲である、重質接触改質ガソリン基材。
基材b1は、10容量%留出温度が95℃〜115℃、50容量%留出温度が100℃〜120℃、90容量%留出温度が105℃〜125℃、終点が110℃〜130℃、15℃における密度が0.840g/cm3〜0.860g/cm3、炭素数7の芳香族分が基材b1の全容量に対して70容量%以上85容量%以下、炭素数8の芳香族分が基材b1の全容量に対して10容量%以下、かつ炭素数9の芳香族分が基材b1の全容量に対して5容量%以下の重質接触改質ガソリン基材であり、基材b2は、10容量%留出温度が155〜165℃、50容量%留出温度が160℃〜170℃、90容量%留出温度が165℃〜175℃、終点が175〜190℃、15℃における密度が0.860g/cm3〜0.880g/cm3、かつ炭素数9の芳香族分が基材b2の全容量に対して90容量%以上の重質接触改質ガソリン基材である。
(3)リサーチ法オクタン価が98以上103未満
(4)モーター法オクタン価が85以上92未満
(5)15℃における密度が0.710〜0.783g/cm3
(6)50容量%留出温度が75〜110℃
(7)70℃留出量が18〜45容量%
(8)リード蒸気圧が45〜93kPa
(9)ベンゼンの含有量が1容量%以下
(10)硫黄分が無鉛ガソリンの全容量に対して10質量ppm以下
(11)オレフィン分が無鉛ガソリンの全容量に対して10〜30容量%
(12)芳香族分が無鉛ガソリンの全容量に対して15〜45容量%
(13)炭素数7の芳香族分が無鉛ガソリン中の芳香族分の全容量に対して40容量%以下
(14)炭素数8の芳香族分が無鉛ガソリン中の芳香族分の全容量に対して5容量%以下 - さらに、含酸素基材を無鉛ガソリンの全容量に対して1容量%〜15容量%配合する請求項1に記載の無鉛ガソリン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017082947A JP6709749B2 (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 無鉛ガソリン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017082947A JP6709749B2 (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 無鉛ガソリン |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017125213A JP2017125213A (ja) | 2017-07-20 |
JP6709749B2 true JP6709749B2 (ja) | 2020-06-17 |
Family
ID=59365445
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017082947A Active JP6709749B2 (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 無鉛ガソリン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6709749B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7469927B2 (ja) * | 2020-03-24 | 2024-04-17 | コスモ石油株式会社 | ガソリン基材 |
-
2017
- 2017-04-19 JP JP2017082947A patent/JP6709749B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017125213A (ja) | 2017-07-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5142588B2 (ja) | ガソリン組成物の製造方法 | |
JP5265435B2 (ja) | 筒内直接噴射式ガソリンエンジン用無鉛ガソリン組成物 | |
JP5072005B2 (ja) | 無鉛ガソリン組成物の製造法 | |
JP5137335B2 (ja) | ガソリン組成物の製造方法 | |
JP6709749B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP6709751B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP6709750B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5403596B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5285222B2 (ja) | 無鉛ガソリン組成物 | |
JP5383618B2 (ja) | 過給エンジン用燃料組成物 | |
JP2012201712A (ja) | ガソリン組成物 | |
JP5667271B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5403594B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5403595B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5702456B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5499396B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5405171B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP5405170B2 (ja) | 無鉛ガソリン | |
JP4881638B2 (ja) | 無鉛高オクタン価ガソリン及びその製造方法 | |
JP2007270092A (ja) | 無鉛ガソリン組成物 | |
JP5383619B2 (ja) | 過給エンジン用燃料組成物 | |
JP2015108159A (ja) | ガソリン組成物 | |
JP2015180758A (ja) | ガソリン組成物 | |
JP4804970B2 (ja) | 無鉛高オクタン価ガソリン及びその製造方法 | |
JP5623611B2 (ja) | ガソリン組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191011 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200422 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200519 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200525 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6709749 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |