次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明におけるパレット搬送装置10を示す。各図において、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、パレット搬送装置10の構成について説明する。
このパレット搬送装置10は、ワーク(図示せず。以下同様)を搭載したパレット11を複数のパレットレール21,31,36に移動可能に搭載し、そのパレット11を複数のパレットレール21,31,36に沿って搬送するパレット搬送装置10である。
本実施の形態におけるパレット搬送装置10は、パレット11を移動可能に搭載する複数のパレットレールとして、水平横方向(X軸方向)に延びて鉛直方向(Z軸方向)に所定の間隔を開けて(図2)互いに平行に設けられた第一パレットレール21及び第二パレットレール31と、上面視においてそれらと水平前後方向(Y軸方向)に所定の間隔を開けて平行に設けられ、水平面に対して傾斜し(図3)、一端が第一パレットレール21の一端に対向し、他端が第二パレットレール31の他端に対向する第三パレットレール36を備える場合について説明する。
この第一〜第三パレットレール21,31,36は同一構造であるため、水平方向に延びる第一パレットレール21を代表して説明すると、この第一パレットレール21は、パレット11を水平状態で搭載するものであって、図4及び図5に詳しく示すように、架台9上に直接固定されて設けられた支持板22と、その支持板22の上縁にねじ止めにより固定された市販の直線運動ガイドレール23を備える。
図2に示すように、第一パレットレール21の上方には水平な基板8が設けられ、この基板8に第二パレットレール31における支持板22が設けられる。これにより、第一パレットレール21及び第二パレットレール31は鉛直方向に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられるものとする。なお、基板8は架台9に支柱8aを介して取付けられる。
一方、図1及び図3に示すように、上面視においてそれらと水平前後方向(Y軸方向)に所定の間隔を開けた架台9には、架台9の水平な上面に対して傾斜する傾斜板7が設けられ、この傾斜板7に第三パレットレール36における支持板22が設けられる。これにより、水平面に対して傾斜し、一端が第一パレットレール21の一端に対向し、他端が第二パレットレール31の他端に対向する第三パレットレール36が、傾斜板7を介して架台9に取付けられる。
図4及び図5に示すように、第一〜第三パレットレール21,31,36に搭載されるパレット11は、直線運動ガイドレール23を跨いで第一〜第三パレットレール21,31,36上を移動可能に構成された直線運動ブロック12と、その直線運動ブロック12にねじ止めされた台座13と、その台座13に設けられた係止部材14とを有する。
この直線運動ブロック12は直線運動ガイドレール23と対に販売される市販のものであって、図示しないローラリテーナを備えるものが好ましい。このローラリテーナを備える直線運動ブロック12を用いることにより、その幅方向の移動や第一〜第三パレットレール21,31,36に対する幅方向の傾動を禁止しつつ、パレット11が第一〜第三パレットレール21,31,36上を移動する抵抗を著しく軽減することができるものである。
台座13の一方の側部にはワークを搭載する搭載具(図示せず。以下同様)がその上面に設けられる。そして、直線運動ブロック12は台座13の他方の側部に固定され、係止部材14は、この直線運動ブロック12と搭載具の間の台座13に設けられる。
このように、台座13の他方の側部に固定された直線運動ブロック12を、第一〜第三パレットレール21,31,36における直線運動ガイドレール23に跨がせて移動可能に支持させることにより、パレット11は水平状態で第一及び第二パレットレール21,31に移動可能に搭載され、第三パレットレール36には、それらの水平面に対する傾斜角度に等しい傾斜において移動可能に搭載されることになる。
図1〜図3に示すように、本発明のパレット搬送装置10は、パレット11を各パレットレール21,31,36に沿って搬送するパレット送り手段41,51,56を備える。
この実施の形態では、第一パレットレール21に搭載されたパレット11をその第一パレットレール21に沿って搬送させる第一パレット送り手段41と、第二パレットレール21に搭載されたパレット11をその第二パレットレール31に沿って搬送させる第二パレット送り手段51と、第三パレットレール36に搭載されたパレット11をその第三パレットレール36に沿って搬送させる第三パレット送り手段56(図1)を備える場合を示す。
これらのパレット送り手段41,51,56はパレットレール21,31,36の水平又は傾斜の方向に沿って設けられるものであり、この実施の形態における第一〜第三パレット送り手段41,51,56は同一構造であるで、以下に第一パレット送り手段41を代表して説明する。
図1及び図2に示すように、この第一パレット送り手段41は、パレット11と係合可能に構成され第一パレットレール21に沿って無端で設けられて循環する循環ベルト42と、この循環ベルト42を循環させる循環機構43(図2)とを備える。
図2に示すように、第一パレットレール21における支持板22には、その四隅に従動プーリ44が設けられ、循環ベルト42はこれらの四つの従動プーリ44を包囲するように掛け回される。
また、この支持板22には、この循環ベルト42を循環させる循環機構であるサーボモータ43が設けられ、その回転軸43aに駆動プーリ45が取付けられる。駆動プーリ45は四つの従動プーリ44と同一面上に設けられ、その駆動プーリ45の近傍には、その駆動プーリ45に循環ベルト42を掛け回すようにその循環ベルト42を転向させる一対の転向プーリ46が支持板22に枢支される。
そして図示しないコントローラからの指令によりサーボモータ43が駆動すると、回転軸43aが駆動プーリ45とともに回転し、駆動プーリ45に掛け回された循環ベルト42が四つの従動プーリ44を包囲した状態で循環するように構成される。
循環ベルト42はいわゆる歯付きベルトである。この循環ベルト42は、図2の拡大図に示すように、幅方向に延びる凹凸42a,42bが長手方向に交互に連続するベルトであって、その凹凸42a,42bに係合可能な被凹凸14a,14bがパレット11に形成される。被凹凸14a,14bはパレット11を構成する係止部材14に形成される。
直線運動ブロック12と同じ下側に設けられた係止部材14は、循環ベルト42に重合して係合するように構成される。即ち、係止部材14に循環ベルト42が重合すると、この係止部材14に形成された被凹凸14a,14bに、循環ベルト42に形成された凹凸42a,42bが係合し、循環ベルト42から係止部材14が浮き上がって離間すると、循環ベルト42の凹凸42a,42bと係止部材14の被凹凸14a,14bとの係合が解除されるように構成される。
パレット11における被凹凸14a,14bが循環ベルト42の凹凸42a,42bに係合すると、循環ベルト42と独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止される。これにより、サーボモータ43を駆動させて、パレット11が係合された循環ベルト42を循環させると、パレット11がその循環ベルト42とともに移動し、循環ベルト42が沿う第一〜第三パレットレール21,31,36に沿ってそのパレット11は搬送されることになる。
ここで、図2の符号47は、従動プーリ44間の循環ベルト42が弛むことを防止して係止部材14から循環ベルト42が離間することを防止する支持材47であり、符号48は、その支持材47を支持板22に取付ける取付具48を示す。
図1に示すように、第一及び第三パレットレール21,36の一端の間、並びに第二及び第三パレットレール31,36の他端の間には、パレット移動手段61がそれぞれ設けられる。そして、このパレット移動手段61は、第一及び第三パレットレール21,36の一端の間においてパレット11を移動させ、並びに第二及び第三パレットレール31,36の他端の間においてパレット11を移動させるものである。
これらのパレット移動手段61は同一構造であって、それらのパレット移動手段61は、一端を回転軸として揺動する揺動部材62と、その揺動部材62の半円又は円弧状に移動する他端に接線方向に設けられた短レール63とをそれぞれ備える。これらのパレット移動手段61における揺動部材62は、図1に一点鎖線で示すように、上面視において所定の間隔を開けて設けられた第一及び第三パレットレール21,36の中間線m上の鉛直軸を一端における回転軸として揺動可能とされる。
一方、架台9及び基板8には、この揺動部材62を揺動させるアクチュエータ64が設けられる。図6及び図7に示すように、この実施の形態におけるアクチュエータ64は、方形箱型を有する本体部64aの上面略中央部分から鉛直線を回転軸Oとして上方に突出する回転ロッド64bを有し、この回転ロッド64bの回転軸Oを第一及び第三パレットレール21,36の中間線m上の鉛直軸上に位置させてその本体部64aが架台9及び基板8(図2)に取付けられる場合を示す。
揺動部材62はこの回転ロッド64bの上端に水平状態でその一端がネジ止めされ、アクチュエータ64は、本体部64aに給排される流体圧により回転ロッド64bを180度以内で正逆回転可能に構成され、その回転により、図12の実線矢印で示すように、揺動部材62は一端を回転軸Oとして揺動するように構成される。
一方、短レール63は、パレット移動手段61を構成する揺動部材62の半円又は円弧状に移動する他端に、その接線方向に延びて設けられる。
この実施の形態では、揺動部材62の他端に、短レール傾斜手段であるモータ65を介して短レール63が設けられる場合を例示する。具体的には、揺動部材62の揺動半径方向外側にモータ65の回転軸65aを一致させた状態で、モータ65の本体65bが揺動部材62の他端に取付けられる。
短レール63は、第一〜第三パレットレール21,31,36における直線運動ガイドレール23と同一のものが用いられる。この短レール63の長さW(図1)は、パレット11の搬送方向の長さL(図1)と同一又はそれよりも長く形成され、この短レール63は、取付板66を介してモータ65の回転軸65aに取付けられる。具体的に、この短レール63は、揺動部材62の回転軸Oからの長さが、第一及び第三パレットレール21,36の間隔の半分となるように、モータ65の回転軸65aに直交して取付けられる。
これにより、第三パレットレール36の一端側に設けられたパレット移動手段61では、回転軸Oを中心として揺動部材62を180度揺動させると、揺動部材62の他端に設けられた短レール63は、第一パレットレール21における直線運動ガイドレール23の一端と、第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23の一端との間を半円状に往復移動することに成り、第三パレットレール36の他端側に設けられたパレット移動手段61では、第二パレットレール31における直線運動ガイドレール23の他端と、第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23の他端との間を半円状に往復移動することに成る。
そして、短レール63が水平であれば、水平方向に延びる第一パレットレール21の一端に又は第二パレットレール31の他端に到達した場合に、それらにその短レール63は連続するように配置される。
そして、水平な第一及び第二パレットレール21,31の直線運動ガイドレール23に水平な短レール63が連続した場合に、その短レール63は、第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23から移動したパレット11を搭載し、又は、短レール63に搭載されたパレット11をそれらの直線運動ガイドレール23に移動可能に構成される。
一方、第三パレットレール36を水平面に対して傾斜させたので、短レール63が水平であれば、傾斜する第三パレットレール36の一端又は他端に到達した短レール63は、第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23に連続することはできない。
けれども、図9に示すように、短レール63を水平面に対して傾斜可能に構成しているので、モータ65を駆動して回転軸65aを回転させ、そこに直交して設けられた短レール63の水平面に対する角度を、第三パレットレール36における傾斜角に一致させることにより、第三パレットレール36の一端又は他端に到達した短レール63は、第三パレットレール36の直線運動ガイドレール23と連続するように構成される。
そして、水平面に対して傾斜する第三パレットレール36の直線運動ガイドレール23に傾斜させた短レール63が連続した場合に、その短レール63は、第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23から移動したパレット11を搭載し、又は、短レール63に搭載されたパレット11を第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23に移動可能に構成される。
図6〜図9に示すように、短レール63が取付けられた取付板66には、その短レール63にパレット11が搭載された状態で、パレット11の移動を防止するパレット係止機構71が設けられる。
この実施の形態におけるパレット係止機構71は、取付板66に設けられて短レール63に搭載されたパレット11に上端が当接可能に形成された昇降ロッド72と、その上端をパレット11に接触させる方向に昇降ロッド72を付勢する弾性体73と、昇降ロッド72の所定量以上の上昇を禁止するストッパ74とを備える。
取付板66には昇降ロッド72が貫通する貫通孔66aが形成され、昇降ロッド72はその貫通孔66aを貫通して鉛直方向に移動可能に設けられ、その上端近傍にフランジ72aが設けられる。
弾性体であるコイルスプリング73はそのフランジ72aと取付板66の間に圧縮された状態で介装され、コイルスプリング73の伸張しようとする付勢力により、昇降ロッド72を上方に付勢するものとする。
ストッパ74は、取付板66の下方における昇降ロッド72に設けられ、取付板66における貫通孔66aの孔縁に下方から接触することにより、昇降ロッド72の所定量以上の上昇を防止するように構成される。
フランジ72aから突出する昇降ロッド72の上端72bは円錐又は半球状に形成され、ストッパ74が貫通孔66aの孔縁に接触した状態で、第一〜第三パレットレール21,31,36から短レール63にパレット11が移動すると、パレット11における台座13が昇降ロッド72の上端72bにおける円錐の傾斜部又は半球部に接触し、更にパレット11が移動すると、その上端72bにおける傾斜部又は半球部により案内されて昇降ロッド72が弾性体であるコイルスプリング73の付勢力に抗して下方に移動するように構成される。
そして、短レール63にパレット11が搭載されると、コイルスプリング73の付勢力により昇降ロッド72の上端72bがパレット11における台座13に押しつけられ、この昇降ロッド72との接触抵抗により短レール63に搭載されたパレット11の自由な移動を防止するように構成される。従って、この状態でパレット11とともに揺動部材62を揺動させ、パレット11が搭載された短レール63を半円状に移動させても、その移動の間に短レール63に搭載されたパレット11の短レール63に対する位置がずれることは防止されることになる。
その一方で、コイルスプリング73が昇降ロッド72をパレット11における台座13に押しつけることにより生じる接触抵抗に抗して、短レール63に搭載されたパレット11を移動させると、短レール63からパレット11をその短レール63に連続する第一〜三パレットレール21,31,36に移動することが可能になるのである。
図1〜図3に示すように、このパレット搬送装置10は、第一〜第三パレットレール21,31,36に沿って搬送されたパレット11を第一〜第三パレットレール21,31,36から第一〜第三パレットレール21,31,36に連続する短レール63に移動させるか、或いはその短レール63に搭載されたパレット11を短レール63に連続する第一〜第三パレットレール21,31,36に移動させるパレット送り補助手段81を備える。
パレット送り補助手段81は、第一〜第三パレットレール21,31,36の端部にそれぞれ設けられ、これらは同一構造である。
この実施の形態におけるパレット送り補助手段81は、第一〜第三パレットレール21,31,36の端部及びその端部に連続する短レール63に沿って循環するように循環ベルト42に連続して設けられた補助循環ベルト82と、これらの補助循環ベルト82を循環させる補助循環機構83(図2及び図3)を備える。
補助循環ベルト82は、循環ベルト62と同様のいわゆる歯付きベルトであり、この補助循環ベルト82にも、幅方向に延びる凹凸82a,82bが長手方向に交互に連続して形成される(図3の拡大図)。そして、パレット11の係止部材14に形成された被凹凸14a,14bが、この凹凸82a,82bにも係合可能に構成される。
図2,図3及び図6に示すように、補助板91が流体圧シリンダ95を介して架台9、基板8及び傾斜板7に取付けられる。この補助板91は、第一〜第三パレットレール21,31,36におけるそれぞれの支持板22に連続するように取付けられる。
この補助板91の上端には第一〜第三パレットレール21,31,36の端部及びこの第一〜第三パレットレール21,31,36に連続する短レール63に沿ってガイド材92が設けられる。
即ち、第一及び第二パレットレール21,31の端部におけるパレット送り補助手段81では、ガイド材92がX軸方向に延びて水平に設けられ、第三パレットレール36の端部におけるパレット送り補助手段81では、ガイド材92が第三パレットレール36の傾斜に等しい傾斜において設けられる。
このガイド材92は、第一〜第三パレットレール21,31,36の端部及びこの第一〜第三パレットレール21,31,36に連続する短レール63に沿う補助循環ベルト82を下方から支えるものである。
また、ガイド材92の両側における補助板91には、補助循環ベルト82を転向させる補助プーリ93が枢支される。
また、この補助板91には、この補助循環ベルト82を循環させる補助循環機構であるサーボモータ83が設けられ、その回転軸83aに補助駆動プーリ84が取付けられる。
補助駆動プーリ84は2つの補助プーリ93と同一面上に設けられ、その補助駆動プーリ84と補助プーリ93に補助循環ベルト82が掛け回される(図2及び図3)。
そして、図示しないコントローラからの指令によりサーボモータ83が駆動すると、補助駆動プーリ84に掛け回された補助循環ベルト82が循環し、二つの補助プーリ93間の補助循環ベルト82がガイド材92の上面を移動して第一〜第三パレットレール21,31,36の端部及びこの第一〜第三パレットレール21,31,36に連続する短レール63に沿うように構成される。
この補助循環ベルト82も循環ベルト42と同形の幅方向に延びる凹凸82a,82bが長手方向に交互に連続して形成されるので、係止部材14に補助循環ベルト82が重合すると、補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが係止部材14における被凹凸14a,14bに係合することになる。
従って、この補助循環ベルト82の凹凸82a,82bを循環ベルト42の凹凸42a,42bに連続させた状態で、補助循環ベルト82を循環ベルト42と同一の速度で同一の方向に循環させると、循環ベルト42に係合して第一パレットレール21を移動するパレット11は、図10の実線矢印で示す様に、第一パレットレール21の端部においてその循環ベルト42から補助循環ベルト82に係合が移る。
図3の左の拡大図に示すように、パレット11における被凹凸14a,14bが補助循環ベルト82の凹凸82a,82bに係合すると、補助循環ベルト82と独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止される。このためパレット11が係合された補助循環ベルト82を循環させると、パレット11がその補助循環ベルト82とともに移動し、補助循環ベルト82が沿う短レール63又は第一〜第三パレットレール21,31,36に沿ってそのパレット11は搬送されることになる。
従って、係止部材14が係合した補助循環ベルト82を更に循環させると、図11に示すように、そのパレット11を第一〜第三パレットレール21,31,36の端部から、それらに連続する短レール63にまで移動させることになる。そして、補助循環ベルト82を逆に循環させると、短レール63に搭載されたパレット11を第一〜第三パレットレール21,31,36にまで移動させるように構成される。
また、パレット搬送装置10は、図2及び図3に示すように、パレット送り補助手段81を昇降させる昇降手段95を備える。この実施の形態における昇降手段は、出没ロッド95aを上方に向けて本体95bが架台9や基板8や傾斜板7に固定された一対の流体圧シリンダ95であって、それらの出没ロッド95aの上端に補助板91の両端が取付けられる。
この流体圧シリンダ95は、出没ロッド95aを上方に突出した状態で、補助板91における補助循環ベルト82が短レール63に搭載されたパレット11の係止部材14に重合するように構成される。
一方、図3に示すように、係止部材14はパレットにおける台座13の下面に設けられているので、流体圧シリンダ95の出没ロッド95aをその下方にある本体95bに没入させると、その上端に取付けられた補助板91を含むパレット送り補助手段81が下降し、補助板91における補助循環ベルト82も下降するように構成される。
パレット係止機構71により短レール63に搭載されたパレット11の自由な移動が禁止された状態で、そのパレット11の係止部材14における被凹凸14a,14bが補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bに係合すると、その短レール63が設けられた揺動部材62の自由な揺動は禁止されることになる。
けれども、図3の右の拡大図及び図7に示すように、補助板91を下降させてパレット送り補助手段81を下降させると、係止部材14に補助循環ベルト82が重合した状態で短レール63にまで移動したパレット11の係止部材14における被凹凸14a,14bから補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが離間する。
これにより、補助循環ベルト82の凹凸82a,82bと係止部材14の被凹凸14a,14bとの係合は解除され、パレット11が搭載された短レール63を有するパレット移動手段61を構成する揺動部材62の水平面内における揺動を許容するように構成される。
そして、図6に示すように、その揺動部材62の周囲に設けられた短レール63が第一〜第三パレットレール21,31,36に連続した状態で、流体圧シリンダ95の出没ロッド95を再び上方に突出させて、下降していた補助板91を上昇させると、パレット11における係止部材14に補助循環ベルト82が重合し、補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが係止部材14における被凹凸14a,14bに再び係合するように構成される。
次に、上記パレット搬送装置を用いたパレット搬送方法を説明する。
上記パレット搬送装置10を用いたこの実施の形態におけるパレット搬送方法は、第一パレットレール21に搭載されたパレット11を第一パレットレール21に沿って搬送する第一パレット搬送工程と、第一パレットレール21の一端に達したパレット11を第三パレットレール31に移動させる第一パレット移動工程と、第三パレットレール36に搭載されたパレット11を第三パレットレール36に沿って搬送する第二パレット搬送工程と、第三パレットレール36の他端に達したパレット11を第二パレットレール31に移動させる第二パレット移動工程と、第二パレットレール31に搭載されたパレット11を第二パレットレール31に沿って搬送する第三パレット搬送工程とを有する。
以下に各工程を説明する。
<第一パレット搬送工程>
この工程では、第一パレットレール21に搭載されたパレット11を搬送する。
パレット11の第一パレットレール21への搭載は、パレット11の直線運動ブロック12を第一パレットレール21における直線運動ガイドレール23の端部から搭載することにより行われる。
図2および図4に示すように、パレット11を第一パレットレール21に搭載すると、パレット11に設けられた被凹凸14a,14bは第一パレットレール21に沿って設けられた循環ベルト42の凹凸42a,42bに係合することになる。このため、その後、駆動機構であるサーボモータ43を駆動することによりその循環ベルト42を循環させることにより、第一パレットレール21に沿ってそれらのパレット11を搬送することが可能になる。
この搬送はパレット11が図示しない工作機に対峙するまで行われ、その状態でサーボモータ43aを停止させ、パレット11に搭載されたワークをそれらの各工作機において加工を施すことができる。この時、各工作機のピッと同一のピッチで複数のパレット11を搬送させることにより、複数の工作機による加工を同時に行うことが可能となる。
<第一パレット移動工程>
この工程では、第一パレットレール21の端部に達したパレット11を第三パレットレール36に移動させる。この移動は第一〜第三パレットレール21,31,36の一方の端部に設けられたパレット移動手段61により行われる。
循環ベルト42に連続して補助循環ベルト82を設けたこの実施の形態では、前述の第一パレット搬送工程において、昇降手段における流体圧シリンダ95の出没ロッド95aを上方に突出させて、パレット送り補助手段81を上昇させておくと、第一パレットレール21に沿って移動するパレット11は、第一パレットレール21の端部に達する直前で、図10の実線矢印で示すように、循環ベルト42から、それに連続する補助循環ベルト82に係合することになる。
このため、補助循環ベルト82の凹凸82a,82bを循環ベルト42の凹凸42a,42bに連続させた状態で、補助循環ベルト82を循環ベルト42と同一の速度で同一の方向に循環させることにより、パレット11は第一パレットレール21の端部にまで至ることになる。
ここで、この実施の形態では、第一パレットレール21の端部及びその端部に連続する短レール63に沿って循環する補助循環ベルト82を循環ベルト42に連続して設けた。このため、補助循環ベルト82の循環を停止させてその補助循環ベルト82に係合したパレット11を第一パレットレール21の端部に留め置き、それと別に循環ベルト42を循環させれば、第一パレットレール21におけるパレット11をその第一パレットレール21に沿って移動させることができる。即ち、補助循環ベルト82を循環ベルト42に連続して設けることにより、この第一パレット移動工程と別に、第一パレットレール21では、パレット11を移動させることができることになる。
この第一パレット移動工程では、パレット移動手段61におけるアクチュエータ64により揺動部材62を揺動させて(図8)、短レール63を第一パレットレール21に連続させ、この状態で補助循環ベルト82を循環させて、第一パレットレール21の端部に達したパレット11を第一パレットレール21から短レール63に移動させて、図11に示すように、その短レール63に搭載させる。
この時、図8に示すように、第一パレットレール21から短レール63にパレット11が移動すると、揺動部材62に設けられた昇降ロッド72の上端72bにおける円錐の傾斜部又は半球部にパレット11における台座13が接触し、その傾斜部又は半球部により案内されて昇降ロッド72は弾性体であるコイルスプリング73の付勢力に抗して下方に移動する。
そして、短レール63にパレット11が搭載されると、コイルスプリング73の付勢力により昇降ロッド72の上端がパレット11における台座13に押しつけられ、この昇降ロッド72との接触抵抗により短レール63に搭載されたパレット11の自由な移動を防止することになる。これにより、パレット11をその後に半円状に移動させる途中において、その短レール63に搭載されたパレット11の短レール63に対する移動を停止することができる。
そして、図3の右の拡大図に示すように、この状態で昇降手段における流体圧シリンダ95の出没ロッド95aをその下方にある本体95bに没入し、図7に示すように、その上端に取付けられたパレット送り補助手段81を下降させ、パレット11と補助循環ベルト82との係合を解消させる。
その後、アクチュエータ64は、図12に示すように、揺動部材62を揺動させて、パレット11が搭載された短レール63を第一パレットレール21に連続する第一位置から離して、第三パレットレール36に連続する第二位置まで半円状に移動させる。この時、第三パレットレール36に連続して設けられたパレット送り補助手段81は、下降させておく。
ここで、第三パレットレール36は水平面に対して傾斜しているので、水平な第一パレットレール21から短レール63に搭載され、水平な状態で移動した短レール63が第三パレットレール36に連続する第二位置に達した後、又はそれ以前に、図9に示すように、モータ65を駆動して短レール63を傾斜させる。そして、その短レール63の傾斜角度を第三パレットレール36の傾斜角度に一致させて、パレット11が搭載された短レール63を第三パレットレール36の直線運動ガイドレール23に連続させる。
このように、パレット11が搭載された短レール63が第三パレットレール36の直線運動ガイドレール23に連続した後には、第三パレットレール36に連続して設けられた流体圧シリンダ95の出没ロッド95を上方に突出させて、下降していたパレット送り補助手段81を上昇させて第三パレットレール36に連続させる。これにより、パレット11における係止部材14に第三パレットレール36に連続する補助循環ベルト82が重合し、補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが係止部材14における被凹凸14a,14bに係合させる。
パレット送り補助手段81の上昇にあっては、パレット11の係止部材14の被凹凸14a,14bと補助循環ベルト82の凹凸82a,82bとが確実に係合できる位置となるように予め設定されたプログラムによりサーボモータ83の回転角度を制御する。
その後、図9及び図12の破線矢印で示す様に、パレット11が係合された第三パレットレール36の端部における補助循環ベルト82を循環させ、昇降ロッド72が接触する接触抵抗に抗してパレット11をその補助循環ベルト82とともに移動させ、短レール63に搭載されたパレット11を第三パレットレール36にまで移動させる。
このようにして、そのパレット11を第一パレットレール21の端部から第三パレットレール36にまで移動させる。
<第二パレット搬送工程>
この工程では、第三パレットレール36に搭載されたパレット11を搬送する。前の第一パレット移動工程では、図12に示すように、短レール63から第三パレットレール36に移動したパレット11は第三パレットレール36の端部に、それに沿って設けられた補助循環ベルト82に係合した状態で移動する。
この第二パレット搬送工程では、第三パレットレール36に搭載されたパレット11を搬送するので、この補助循環ベルト82には、第三パレットレール36に沿って設けられた循環ベルト42が連続するために、この補助循環ベルト82の凹凸82a,82bを循環ベルト42の凹凸42a,42bに連続させた状態で、補助循環ベルト82を循環ベルト42と同一の速度で同一の方向に循環させる。
これにより、パレット11は第三パレットレール36の端部から反対方向に向かって移動を初め、図13に示すように、その端部から離間すると補助循環ベルト82から循環ベルト42に新たに係合し、この循環ベルト42を循環させることによりパレット11を水平面に対して傾斜する第三パレットレール36に沿って搬送することができる。
<第二パレット移動工程>
この工程では、第三パレットレール36の端部に達したパレット11を第二パレットレール31に移動させる。この移動は第一〜第三パレットレール21,31,36の他方の端部に設けられたパレット移動手段61により行われる。
ここで、第三パレットレール36は水平面に対して傾斜させているので、傾斜する第三パレットレール36から傾斜する短レール63に搭載されたパレット11を、その短レール36と共に半円状に移動させて、第二パレットレール31の端部にまで移動させ、その後又はそれ以前にその短レール36を水平に戻して第二パレットレール31に連続させ、その状態で第二パレットレール31に移動させる。
その他の具体的な移動の手順は、先の第一パレット移動工程と同一であるので、繰り返しての説明を省略する。
<第三パレット搬送工程>
この工程では、第二パレットレール31に搭載されたパレット11を、パレット送り手段51を用いて、第二パレットレール31に沿って搬送する。その具体的な搬送手順は、先の第一及び第二パレット搬送工程と同一であるので、繰り返しての説明を省略する。
このように、上述した各工程が順次繰り返されることにより、パレット11を第一〜第三パレットレール21,31,36に順次搬送することができる。
ここで、この実施の形態では、第一〜第三パレットレール21,31,36の端部及びその端部に連続する短レール63に沿って循環する補助循環ベルト82を循環ベルト42に連続して設けた。このため、循環ベルト42の循環と補助循環ベルト82の循環を別々に行い、図12に示すように、補助循環ベルト82の循環により短レール63からパレット11を第一〜第三パレットレール21,31,36の端部に移動した後にその循環を停止させることにより、そのパレット11を第一〜第三パレットレール21,31,36の端部に維持させることができる。
また、補助循環ベルト82の循環と別に循環ベルト42を循環させると、その循環ベルト42に係合するパレット11は第一〜第三パレットレール21,31,36を搬送されることになり、第一〜第三パレットレール21,31,36の端部に搭載されて補助循環ベルト82に係合するパレット11を移動させること無く、循環ベルト42が係合して第一〜第三パレットレール21,31,36に搭載されたパレット11を移動させることができる。
そして、循環ベルト42が係合するパレット11と所定のピッチになったときに、補助循環ベルト82を循環させ、それに係合するパレット11を移動させて循環ベルト42に係合させるようにすれば、複数のパレット11を所定のピッチで第一〜第三パレットレール21,31,36上を搬送させることができる。
また、本発明のパレット搬送装置10では、揺動部材62の揺動半径の直交面に沿って短レール63が傾斜するようにしたので、水平な第一及び第二パレットレール21,31により搬送されて短レール63にまで至った水平なパレット11は、傾斜する第三パレットレール36の端部にまで移動させた後に、又はそれ以前に短レール63と共に傾斜させることにより、傾斜する第三パレットレール36にそのパレット11を移動させて搭載することが可能となる。
即ち、本発明では、揺動部材62に短レール63を傾斜可能に設けたので、パレットレール36を水平面に対して傾斜させても、その傾斜したパレットレール36の端部からのパレット11の移動、及び傾斜したパレットレール36へのパレット11の移動を行わせることが可能になる。
また、本発明のパレット搬送装置10では、補助循環ベルト82が短レール63に搭載されたパレット11と係合するようなものであり、パレット送り補助手段81を昇降させる昇降手段95を備える。このため、パレット送り補助手段81を下降させることにより、短レール63に搭載されたパレット11とパレット送り補助手段81の係合を解消させることができる。このため、揺動部材62を短レール63とともに揺動回転させることにより、一方のパレットレール21の端部から他方のパレットレール31の端部にまで、パレット11を確実に半円状に移動させることができる。
そして、その後、パレット送り補助手段81を上昇させると、短レール63に搭載されたパレット11に補助循環ベルト82が再び係合するので、パレット11とともに半円状に移動して他方のパレットレール31の端縁に接続した短レール63から、そのパレット11を他方のパレットレール31にまで確実に移動させることができる。
ここで、パレット11とパレット送り補助手段81の係合及びその解消にあっては、パレット11を昇降させることも考えられるけれども、ワークを搭載するパレット11の重量は比較的大きくなり、それを昇降させることは動力の消費を招くと共に、ワークも昇降することから、その昇降に耐え得るようにする必要から、ワークを搭載する搭載具の構造が複雑になることが考えられる。
これに対して、本発明では、パレット送り補助手段81を昇降させるので、少ない動力でパレット11とパレット送り補助手段81の係合及びその解消を行うことができ、ワークを搭載する搭載具の構造にあっても、ワークの昇降を考慮する必要がなくなり、その構造を比較的単純化させることができる。
また、本発明では、揺動部材62を揺動させて、その他端に設けられた短レール63を円弧状又は半円状に移動させるので、その短レール63を第一〜第三パレットレール21,31,36に比較的容易に連続させることが可能となり、その構造を更に単純化させることができる。
また、その揺動部材62を揺動させるアクチュエータ64が流体圧により回転ロッド64bを正逆回転可能に構成されたものであれば、更に構造が単純化し、この結果、本発明におけるパレット搬送装置10の単価が押し上げられることを回避することができる。
また、このパレット搬送装置10では、パレット11を無端で設けられて循環する循環ベルト42に係合させ、第一〜第三パレットレール21,31,36に沿ってパレット11の搬送を行うので、パレット11の循環ベルト42に係合する位置を変化させることにより、その循環ベルト42に係合して搬送された先のパレット11との間隔、即ち先のパレット11との搬送ピッチを容易に変更することができる。
なお、上述した実施の形態では、第一〜第三パレットレール21,31,36が上面視において互いに平行に設けられ、その両端部にパレット移動手段61がそれぞれ設けられる場合を説明した。けれども、図14に示すように、複数のパレットレール21,31,36は、単一のパレット移動手段61を中心に、その周囲に上面視において直角又は所定の角度で設けるようにしても良い。
図14に示すパレット搬送装置10は、パレット11を移動可能に搭載する複数のパレットレールとして、水平方向(Y軸方向)に所定の間隔を開けて上面視において互いに平行に設けられた第一パレットレール21及び第二パレットレール31と、それらの端部に設けられた単一のパレット移動手段61を中心に、上面視においてそれらと直角、即ち90度において交差する第三パレットレール36を備える場合を示す。
そして、この第一〜第三パレットレール21,31,36は、揺動部材62の揺動により円弧状に往復移動する短レール63の、いずれかの位置の短レール63に連続するように配置され、第一パレットレール21は水平方向に延びるけれども、第二及び第三パレットレール31,36は、水平面に対して傾斜するものとする。
ここで、半円状又は円弧状に往復移動する短レール63のいずれかの位置に連続する三本以上のパレットレール21,31,36を設けると、短レール63が往復移動する範囲の両側を除くパレットレールでは(図14では第三パレットレール36)、短レール63をその端部において通過させるとともに、その短レール63とのパレット11の乗り換えを行う必要が生じる。
このため、短レール63を端部において通過させるパレットレール36にあっては、短レール63の移動を確保するために、そのパレットレール36と短レール63との間隔を拡げると、短レール63とパレットレール36の間のパレット11の移動が困難になるので、図14に示すように、その間に補助レール96を設けることが好ましい。
図に示す補助レール96は、第三パレットレール36の端部に連続するように第三パレットレール36の同一直線上及びパレット送り補助手段81に沿って設けられるものであり、この補助レール96は、第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23や短レール63と同一のものが用いられる。この補助レール96の長さは、この補助レール96がないとすると、第一〜第三パレットレール21,31,36間における短レール63の半円状又は円弧状の移動を許容し得る長さに設定される。
そして、この補助レール96とともに、この補助レール96を第三パレットレール21,31の端部に連続する第一位置と、その第一位置より下方の第二位置の間で昇降させる補助レール昇降手段97が更に設けられる。
図15〜図17に示すように、この実施の形態における補助レール96は第三パレットレール36に近い側の端部に支点96aを設け、その支点96aを回転軸として短レール63に臨む他端が昇降するように構成される。
具体的には、第三パレットレール36の端部近傍の架台9に枢支柱90が立設され、その枢支柱90の上端に、補助レール96の第三パレットレール36に近い側の端部における支点96aを枢支する。補助レール昇降手段97は、出没ロッド97aを上方に向けて本体97bが架台9に固定された流体圧シリンダ97であって、その出没ロッド97aの上端に補助レール96の他端が枢支される。
図15及び図17に示すように、この流体圧シリンダ97は、出没ロッド97aを上方に突出した状態で、補助レール96が第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23とそれに連続する短レール63との間の隙間を塞いでそれらを連続させるように構成される。
一方、補助レール96の他端には、その下面に長手方向に延びる長孔96bが形成された係止板96cが取付けられ、この長孔96bに補助レール昇降手段である流体圧シリンダ97の出没ロッド97aの上端がピン96dを介して枢支される。そして、その出没ロッド97aをその下方にある本体97bに没入させると、図16に示すように、その上端に設けられたピン96dが長孔96bの内部で移動しつつ、補助レール96の他端を下降させるように構成される。
図17に示すように、短レール63が第三パレットレール36と同様に傾き、補助レール96が第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23とそれに連続する短レール63との間の隙間を塞いでいると、この補助レール96の存在により、パレット11を第三パレットレール36からそれに連続する短レール63に移動させるか、又は短レール63から第三パレットレール36に移動させることが容易になる。
一方、補助レール96が第三パレットレール36における直線運動ガイドレール23とそれに連続する短レール63との間の隙間を塞いでいると、短レール63の補助レール96側への移動が不能になるので、その短レール63が設けられた揺動部材62の自由な揺動回転は禁止されることになる。
けれども、図16に示すように、短レール63に臨む補助レール96の他端を下降させると、短レール63の補助レール96側への移動が可能になるので、パレット11が搭載された短レール63を有する揺動部材62の揺動回転は許容されることになる。
よって、このような補助レール96及び補助レール昇降手段97を備えるようにすれば、第三パレットレール36からそれに連続する短レール63へのパレット11の移動、又は短レール63から第三パレットレール36へのパレット11の移動を確実にするとともに、揺動部材62の自由な揺動回転も許容するものとなる。この結果、複数のパレットレール21,31,36が水平であろうと、又は水平面に対して傾斜していようと、いずれのパレットレール21,31,36にもパレット11を移動させて搬送し得るパレット搬送装置10となる。
なお、上述した実施の形態では、互いに平行な第一及び第二パレットレール21,31と、それらと直角(90度)に交差する第三パレットレール36を備える場合を示したが、揺動部材62の揺動範囲内であれば、例えば第一パレットレール21と第二パレットレール31とが互いに45度の角度で交差し、さらに第一パレットレール21と第三パレットレール31とが互いに135度の角度で交差する構成であってもよい。
また、上述した実施の形態では、パレット送り手段41,51,56として、循環ベルト42と、この循環ベルト42を循環させる循環機構43とを備えるものを例示したけれども、このパレット送り手段41,51,56はこれに限らず、パレット11をパレットレール21,31,36に沿って搬送しうる限り、別の構成のものであっても良い。
また、上述した実施の形態では、パレット送り補助手段81を流体圧シリンダ95により昇降させる場合を説明したけれども、パレット送り補助手段81の片側を下げるように回転させて、パレット送り補助手段81のパレット11とのの係合を解消させるようにしても良い。
また、上述した実施の形態では、補助レール96の他端を昇降させる場合を説明したけれども、補助レール昇降手段97は、補助レール96をパレットレールと等しい傾斜の状態で昇降させるようなものであってもよい。
また、上述した実施の形態では、台座13の一方の側部にワークを搭載する搭載具が設けられる場合を説明した。けれども、図示しないが、台座13に貫通孔を形成し、その貫通孔に搭載具を設け、この貫通孔を介してワークを台座13に貫通して搭載するようにしても良い。
また、上述した実施の形態では、揺動部材62を揺動させるアクチュエータとして、本体部64aに給排される流体圧により回転ロッド64bを180度以内で正逆回転可能に構成されたものを例示したけれども、このアクチュエータは、回転軸を180度以内で正逆回転可能に構成された電動モータのようなものであっても良い。
更に、上述した実施の形態では、モータ65により短レール63を傾斜させる場合を説明した。けれども、短レール63を傾斜させる手段は、モータに限らず、流体圧により短レール63を傾斜させるようなアクチュエータであっても良く、カムを用いて短レール63を傾斜させるようにしても良い。