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JP6692633B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキンや失禁パッド、おむつなどの吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品においては、各部材の材料や構造を改良し、その機能や着用感の向上が図られてきた。部材としての表面シートや吸収体についても、かかる改良を企図して開発がなされている。
例えば、特許文献1には、ナプキンの変形やヨレ等の防止、液の横漏れ防止のため、表面シートと吸収体とを一体的に圧搾する圧搾溝を蛇行形状としたものが記載されている。
また、特許文献2には、ナプキン内の吸収体のヨレ及び横漏れの抑制のため、吸収体の両側にそれぞれ長手方向に沿ってエンボスを配したものが記載されている。該エンボスは、直線部と円弧状部とを交互に複数配置したパターンとされている。
国際公開第2004/078085号 特開2014−147446号公報
一方で、着用感の向上の観点からは、肌に触れる表面シートをより柔らかな肌触りやドライ感のさらなる向上が求められるようになってきた。これに対し、表面シートを凹凸にして嵩高くして、肌触りや通気性、液透過性をさらに向上させることが試みられるようになってきた。
しかし、上記のような表面シートの嵩高い凹凸部分は、その柔らかさゆえに、防漏溝としての前述した圧搾溝等に隣接する部分では潰れやすい。表面シートが中空部を有する場合は特に潰れやすいものとなってしまう。これでは、吸収性物品へ該表面シートを組み込んだときに、嵩高い表面シート本来の機能が損なわれ十分発揮されない場合がある。
防漏溝としての圧搾溝等は、前述のとおり、ヨレや液の横漏れの防止の観点からは非常に有用なものであるが、凹凸を有する嵩高い表面シートとの両立が難しい。この問題について上記特許文献1及び2には記載はない。
そこで、本発明は、防漏溝(圧搾溝)の周辺において表面シートの凹凸による嵩高さを維持し、防漏溝によるヨレ及び液横漏れに対する優れた防止性能と、表面シートによる柔らかい肌触り性やドライ感などの優れた着用感とを両立する吸収性物品に関する。
本発明は、肌当接面側の表面シート、非肌当接面側の裏面シート、及び、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体を有し、着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘る長手方向と、該長手方向と直交する幅方向とを有する吸収性物品であって、前記表面シートは、肌側面及び吸収体側面に、エンボス部を伴わない凹凸面と中空部とを有し、前記表面シートから前記吸収体へと部分的に窪んだ防漏溝が、該表面シート上に少なくとも左右一対配されており、前記防漏溝は、前記表面シートと前記吸収体とが一体的な圧密状態で窪んだ圧密部を有する構造であって、前記左右一対の防漏溝は、前記表面シートの平面視においてそれぞれ前記長手方向に延在する波形状を有し、かつ、前記長手方向に延びる幅方向中心線を軸として形状が左右対称である吸収性物品を提供する。
本発明の吸収性物品は、防漏溝の周辺において表面シートの凹凸による嵩高さを維持し、防漏溝によるヨレ及び液横漏れに対する優れた防止性能と、表面シートによる柔らかい肌触り性やドライ感などの優れた着用感とを両立することができる。
本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを伸長した状態で肌当接面側から模式的に示す一部切欠斜視図である。 本実施形態の生理用ナプキンにおける表面シートの好ましい態様を模式的に示す一部切欠斜視図である。 本実施形態の生理用ナプキンにおける表面シートの他の好ましい態様を模式的に示す一部切欠斜視図である。 (A)は本実施形態における防漏溝としての圧搾溝の波形状の好ましい態様を模式的に示す平面図であり、(B)は(A)に示す圧搾溝の外側湾曲部を部分的に拡大して示す平面図である。 (A)及び(B)は、本実施形態の防漏溝としての圧搾溝によって表面シートの突出部を圧搾するパターンを模式的に示す説明図であり、(C)は、従来の直線状の圧搾溝によって表面シートの突出部を圧搾するパターンを模式的に示す説明図である。 (A)は図4(A)のRA−RA線断面を模式的に示す断面図であり、(B)は図4(A)のRB−RB線断面を模式的に示す断面図である。 (A)は図5に示すアーチ形状の防漏溝が有するポケット部の配列と受液領域との配置関係を示す平面図であり、(B)は、直線形状の防漏溝が有するポケット部の配列と受液領域との配置関係を示す平面図である。 (A)は本実施形態における防漏溝としての圧搾溝の波形状の他の好ましい態様を模式的に示す平面図であり、(B)は(A)に示す圧搾溝の外側湾曲部を部分的に拡大して示す平面図である。 (A)は図8(A)のRC−RC線断面を模式的に示す断面図であり、(B)は図4(A)のRD−RD線断面を模式的に示す断面図である。 図8に示す圧搾溝において、幅方向内側(受液領域側)の溝縁の曲率と幅方向外側(外縁側)の溝縁の曲率とが異なる態様も模式的に示す平面図である。 防漏溝としての圧搾溝の波形状の波の高さと表面シートの凹凸ピッチとの関係を模式的に示す説明図であり、(A)は図2の表面シートと図8の圧搾溝との組み合わせを示しており、(B)は図2の表面シートと図4の圧搾溝との組み合わせをしており、(C)は図3の表面シートと図8の圧搾溝との組み合わせを示しており、(D)は図3の表面シートと図4の圧搾溝との組み合わせを示している。 高圧搾部と低圧搾部との組み合わせからなる圧搾溝の好ましい態様を模式的に示した平面図であり、(A)は図4の圧搾溝の場合を示しており、(B)及び(C)は図8の圧搾溝の場合を示しており、(D)及び(E)は図10の圧搾溝の場合を示している。 (A)は、高圧搾部を低圧搾部で囲む配置とした場合の張力の波及について示す説明図であり、(B)は高圧搾部を低圧搾部で囲まない配置とした場合の張力の波及について示す説明図である。 防漏溝としての圧搾溝が複数対配される場合の配置を模式的に示す説明図である。 (A)及び(B)は、図14の圧搾溝の配置構成の場合における幅方向からの外力がかかった場合の変形について模式的に示す説明図であり、(C)及び(D)は、図1の圧搾溝の配置構成の場合における幅方向からの外力がかかった場合の変形について模式的に示す説明図である。 図14の排泄部対応領域で離間させて配置した2対の非圧搾領域について模式的に示す平面図である。 (A)は実施例1の試料における圧搾溝付近の断面を撮像した図面代用写真であり、(B)は比較例1の試料における圧搾溝付近の断面を撮像した図面代用写真であり、(C)は実施例1の試料に対し漏れ防止試験をして6g注入した状態を表面シート上から撮像した図面代表写真であり、(D)は比較例1の試料に対し実施例1と同様に6g注入した状態を表面シート上から撮像した図面代表写真である。
まず、本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキン(以下、ナプキンとも言う)10について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すナプキン10は、肌当接面側の表面シート1、非肌当接面側の裏面シート2、及び表面シート1と裏面シート2との間に位置する吸収体3を有する。本実施形態においては、さらに、表面シート1の肌当接面側の両側にサイドシート4が積層されている。サイドシート4と裏面シート2とが吸収体3の幅方向外方に延出して、ナプキンン10の下着等への固定手段であるウイング部5を形成している。このシートの積層構造において、ナプキン10の外周縁は、吸収体3を介在させずに接合された外周シール部9となっている。
表面シート1は、肌側面及び吸収体側面(非肌当接面側)に、エンボス部を伴わない凹凸面と中空部とを備えた嵩高構造を有する。ここで言うエンボス部とは、表面シートに設けられた、その周囲よりも高密度化され、繊維同士が融着している部分であり、当該部分は吸収体には形成されていないものである。したがって、エンボス部は言い換えれば、表面シートに設けられ、吸収体にまで及ばない高密度化融着部である。したがって、後述する圧搾部6はここで言うエンボス部とは区別されるものである。エンボス部を伴わない凹凸面と中空部とを備えた嵩高構造を有する表面シートとしては、例えば、特開2013−133574号公報に記載されている。これにより、表面シート1は、着用者の肌に直接触れる部分として、肌触りが柔らかく、通気性が良く、素早い液透過性で液残りが生じ難い。
この表面シート1上には、表面シート1から吸収体3へと部分的に窪んだ防漏溝としての圧搾溝6が、少なくとも幅方向に左右一対配されている。左右一対の圧搾溝6、6は、表面シート1の平面視においてそれぞれ長手方向(Y方向)に延在する波形状を有する。該波形状は、ナプキン10の長手方向に延びる幅方向中心線Lを軸として左右対称である。これにより、圧搾溝6の周辺を含めた圧搾溝6以外の部分で、表面シート1の前記嵩高構造が十分に維持された領域を広く有するナプキン10となる。
この表面シート1の嵩高構造及びの圧搾溝6の波形状の詳細は後述する。
ナプキン10は、長手方向(Y方向)と、該長手方向と直交する幅方向(X方向)とを有する、縦長形状である。長手方向は、ナプキン10の装着時における、着用者の肌側部と背側部とを股下部を介して繋ぐ方向である。すなわち、ナプキン10は、着用の際、表面シート1側を着用者の肌側に向け、長手方向を着用者の下腹部から股下部を介して背側部に亘って配し、幅方向を左右の足を繋ぐ方向に向けて配して着用される。その際、ウイング部5,5を折り曲げて下着のクロッチ部分に巻き付け、ウイング部5が備える粘着部(図示せず)でナプキン10を固定する。
ナプキン10は、着用者の排泄ポイントに対応して配置される排泄部対応領域Cを有する。さらに排泄部対応領域Cよりも前方の下腹部に配置される前方部Fとし、後方の臀部側に配置される後方部Rとして区分できる。また、排泄部対応領域Cの幅方向において、特に後述する圧搾溝6,6よりも内方の、排泄液を直接受け止める領域を受液領域C1という。本実施形態において、この3つの領域は、ナプキン10を長手方向に3等分に区分した領域であり、ウイング部がある領域が排泄部対応領域である。この区分は、使用目的等によって変わる吸収性物品の大きさに合わせて設定され得る。例えば、通常、昼用のナプキンなど前後対称に形成される場合は、ナプキンを縦方向に3等分した場合の中央部分が排泄部対応領域となる。夜用のナプキンなどは、後方に臀部を覆う左右幅広な後方フラップを有るため、排泄部対応領域はナプキンを長手方向に2等分した際の前側の中央寄りにある。また、昼用、夜用にかかわらず、ショーツの股下部に折り曲げて固定するウイングを備える場合は、該ウイングの存在する領域が排泄部対応領域となる。一方で、ウイング部を備えない場合においては、排泄部対応領域は、一般に、ナプキン10を長手方向Yに三等分した際の中央の領域である。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚みという。
次に、表面シート1について説明する。
表面シート1は、肌側面Z1と吸収体側面(非肌側面)Z2とにそれぞれ、エンボス部を伴わない凹凸面11を有する(肌側面Z1のものを凹凸面11A、吸収体側面Z2のものを凹凸面11Bと区別していうことがある。)。なお、凹凸面11は、後述する圧搾溝により直接圧搾された部分を除いた部分を意味する。本実施形態においては、凹凸面11は、圧搾溝6以外の表面シート1の全域に配されている。
表面シート1は、両面の凹凸面11によって厚みを有し、該厚み部分に中空部を有する。この凹凸面と中空部とにより、表面シート1は嵩高く柔らかい肌触りのものとなり、通気性に優れる。しかも、凹凸面はエンボス部を有さないため硬くなる部分がなく、体圧による変形が滑らかで肌への追従性、フィット性に優れる。このような表面シート1は、特にエアスルー法により形成されたエアスルー不織布が好ましい。また、表面シート1は、柔らかさの観点から、1枚の不織布からなることが好ましい。
表面シート1の具体例について図2及び図3を参照して説明する。ただし、表面シート1は図2及び図3の形態に限定されるものでなく、両面がエンボスを伴わない凹凸面で中空部を有し、嵩高いものであれば種々の形態をとり得る。
図2に示す表面シート1Aは、肌側面Z1の第1突出部21と、該第1突出部21とは反対方向に突出している、吸収体側面Z2の第2突出部22とを有する。第1突出部21と第2突出部22とは、平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に複数配されている。上記異なる方向とは、例えば、ナプキン10の長手方向(Y方向)と幅方向(X方向)である。ただし、交差する異なる方向は、この直交するX方向、Y方向に限定されることなく、種々の角度で交差する互いに異なる方向を含む。この交互配置がシート平面方向に複数配されている。この複数配列において、隣接して並走する配列同士で、第1突出部21と第2突出部22との交互配置が半ピッチずれた千鳥配置であることが、第1突出部21への体圧の荷重をできるだけ均一化して形状保持性を高める観点から好ましい。
第1突出部21は中空部21Kを有し、第2突出部22は中空部22Kを有する。第1突出部21の中空部21Kは、吸収体側面Z2で開口された内部空間であり、吸収体側面Z2の凹部をなしている(以下、吸収体側凹部21Kともいう。)。第2突出部22の中空部22Kは、肌側面Z1で開口された内部空間であり、肌側面Z1の凹部をなしている(以下、肌側凹部22Kともいう。)。これにより、表面シート1の肌側面Z1は、第1突出部21と肌側凹部22Kとが、平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に複数配された凹凸面11Aを有する。また、第1不織布シートの吸収体側面Z2は、第2突出部22と吸収体側凹部21Kとが、平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に複数配された凹凸面11Bを有する。
表面シート1Aは、後述の圧搾溝6を除いて、第1突出部21及び第2突出部22がエンボス部を伴わずに平面方向に連なった構造となっている。また、本実施形態の表面シート1Aは屈曲部を有さず、全体が連続した曲面で構成されている。ここでの「連続」とは、繊維の断絶した部分や貫通孔を有さないものである。この貫通孔とは、繊維間の隙間のような微細な孔を意味するのではなく、繊維が断絶された部分である。例えは、円相当径で1mm以上の孔を貫通孔と定義できる。表面シート1は、このような貫通孔を有さない。
本実施形態において第1突出部21及び第2突出部22は頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。すなわち、第1突出部21及び第2突出部22はそれぞれ、筋状でなく、独立したドーム状の突出形状である。なお、第1突出部21及び第2突出部22は上記形状に限定されず、独立した突出形状であれば、どのような形態でもよく、例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。本実施形態において第1突出部21及び第2突出部22の内部空間21K及び22Kは、各突出部の外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の空間となっている。
表面シート1Aの肌側面Z1及び吸収体側面Z2において、中空部21K及び中空部22Kの開口部分は、第1突出部21、21同士、第2突出部22、22同士を結ぶ、尾根部23で隔てられた独立した空間となっている。表面シート1のシート厚み方向において、第1突出部21と第2突出部22とは、壁部24を介して連なり、壁部24が内部空間21Kと22Kとを区画している。この壁部24は、内部空間を囲むように平面方向に環状にし、該環をシート厚み方向に連続させた形状である。ここでいう「環」とは、平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円または楕円が好ましい。図2の表面シート1は、壁部24及び尾根部23を介して両突出部が連続するシート構造となっている。
また、壁部24は、環に沿ったいずれの地点においても、その起立方向に沿った繊維配向性を有する。言い換えると、壁部24は、第2突出部22との関係においては、第2突出部22の頂点22Tに向かって収束する放射状の繊維配向性を有する。具体的には、特開2012−136790号公報の段落[0014]〜[0020]に記載の繊維配向性である。
表面シート1Aの全体を見たときのシート厚みにおいて、第1突出部21、壁部24、第2突出部22は、典型的には3等分に区分された部位として定義される。これらの厚みはシート厚みによって自ずと定まる(P1=P2=P3)。ただし、第1突出部21と第2突出部22との頂部の尖度ないし曲率が異なるときには、断面において直線状になった比較的狭い部分を壁部24とし、そこから湾曲しし丸みを帯びいく領域をそれぞれ第1突出部21及び第2突出部22としてもよい。後者の定義において、例えば、第1突出部21の方が第2突出部22よりも曲率が小さく(曲率半径が大きく)緩やかな曲面である場合、第2突出部22の方が第1突出部1よりのシート厚み方向に長く区分され、全体において厚み方向に偏倚のある形態となる。
表面シート1Aは、優れたクッション性を有する。
表面シート1Aは、両面において、他の部材や肌等に小さい面積で接触し、該部材や肌の三次元的な動きに対してもよく追従して柔軟に変形する立体的なクッション性を有する。また、中空部21K、22Kを有することで、表面シート1Aに肌が触れたときの感触が柔らかなクッション性となる。加えて、壁部24の介在により、第1突出部21及び第2突出部22が、応力に対して、互いに干渉し合わない独立した変形を可能にし、立体的なクッション性を有する。さらに、環状の壁部24が第1突出部21と第2突出部22とを繋いで、一方の突出部にかかる応力を環状に分散させて、他方の突出部への波及を軽減する。これにより、表面シート1A全体が完全に潰れてしまうことのないことないクッション性を有する。またこの応力分散により、表面シート1A全体の形状保持性が高く、押し潰されても形状復元力が大きい。また、壁部24においては、前述のとおり環のいずれの地点においても起立方向に沿った繊維配向性を有することで、しっかりとしたコシが生まれ上記のクッション性を高める。
その結果、表面シート1Aは、例えばナプキン10の梱包状態や着用が継続されても初期のクッション性を喪失しにくい。
表面シート1Aは、高い液透過性で液が残り難く、優れた通気性を有する。
表面シート1Aは、両面の突出部により肌と吸収体とを離間させる嵩高さを有し、両面の中空部21K、22Kにより優れた液透過性を有して、液が残り難い。同時に透過した液が肌側に戻り難い。さらに、前述した両面が小面積で接触している構造と中空部21K、22Kとにより、肌との接触面積を抑え、通気性に優れる。これらのことにより、尿や便、経血やおりものの排泄ののちにも、幅広く対応して極めて良好なサラッとしたドライ感が持続される。
特に、独立した複数の中空部21Kや22Kでは、排泄液を分散捕集して、肌から素早く引き離すことができる。これにより、表面シート1A表面に液を滞留させることなく、吸収体3へと素早く引き渡すことができる。具体的には、排泄物が経血や軟便等の粘度が高く浸透性の低いものである場合、肌側面Z1の肌側凹部(第2突出部の中空部)22Kへと一旦分散捕集され、肌への接触を効果的に抑制できる。また、一度捕集された液が、壁部24から第1突出部21の内部空間21Kに取り込まれ捕集される。さらに、排泄物が尿等の粘土の粘度が低く浸透性の高いものである場合、第1突出部21から直接的に透過され、吸収体側面Z2の吸収体側凹部(第1突出部21の中空部)21Kにも取り込まれる。これにより、積層不織布10においける排泄物分散捕集が促進されて、効率よく吸収体3へと引き渡されて、高い液透過性を備える。
表面シート1は、上記の表面シート1Aの他に、例えば図3に示すような表面シート1Bであってもよい。
図3に示す表面シート1Bでは、肌側面Z1の第3突出部25と、吸収体側面Z2の第4突出部26とが、長手方向(Y方向)に延出した筋状の突出形状を有する。第3突出部25と第4突出部26とは互いに反対方向に突出しており、幅方向(X方向)に交互に配置されてトタンのような波形形状を有する。
第3突出部25は中空部25Kを有し、第4突出部26は中空部26Kを有する。第3突出部25の中空部25Kは、吸収体側面Z2で開口された内部空間であり、吸収体側面Z2の筋状の凹部をなしている(以下、吸収体側凹部25Kともいう。)。第4突出部26の中空部64Kは、肌側面Z1で開口された内部空間であり、肌側面Z1の筋状の凹部をなしている(以下、肌側凹部26Kともいう。)。これにより、表面シート1Bの肌側面Z1は、長手方向に延出する第3突出部25と肌側凹部26Kとが、幅方向に交互に複数配された凹凸面11Aを有する。また、第1不織布シートの吸収体側面Z2は、長手方向に延出する第4突出部26と吸収体側凹部25Kとが、幅方向に交互に複数配された凹凸面11Bを有する。
この表面シート1Bも、後述の圧搾溝6を除いて、エンボス部を伴わずに第3突出部25と第4突出部26とが連続的に交互に連なり、屈曲部のない連続した曲面で構成されている。これにより、表面シート1Bは、肌と吸収体とを離間させる嵩高さを有し、優れたクッション性を有する。また、前記嵩高さと、中空部による液透過性とにより、液が残り難く、液の戻りが生じ難い。加えて、通気性に優れ装着時のドライ感が持続しやすい。
ナプキン10は、上記のような表面シート1を備え、かつ、表面シート1から吸収体3へと部分的に窪んだ圧搾溝6を表面シート1上に少なくとも左右一対有する。
圧搾溝6は、圧搾により部材の構成繊維を圧着、圧密した部分である。圧着により液の幅方向への移行を遮断する。また、圧密により毛管力が他の部分よりも高く、液を厚み方向内部へ引き込む力が強く作用する。これらにより、圧搾溝6は、液移行に対する遮断機能を果たす。
次に、この防漏溝としての圧搾溝6について以下に説明する。なお、本明細書において圧搾溝とは、表面シート1と吸収体3とが一体的に圧搾されて形成された溝のことである。言い換えれば、防漏溝は、前記表面シートと前記吸収体とが一体的な圧密状態で窪んだ圧密部を有する構造で、該圧密部が底部をなす溝形状となっている。溝は左右の側壁部と底部とを備えており、圧搾溝6,6の底部では、圧搾溝の周辺部、すなわち圧搾溝が形成されていない部分と比較して、表面シート1及び吸収体3各々の密度が高くなっている。したがって、圧搾溝とは、少なくともその底部の密度が周辺部よりも高くなされた溝のことである。なお、本明細書において「圧密部」とは、その周囲と比較して密度が高く窪んだ部分のことであり、本実施形態のように、代表的には部材に圧力を加えて高密度化する方法で作成される。
圧搾溝6は、平面視において、長手方向に延在する波形状を有する。すなわち、平面視において所定幅を有しながら外縁が波を打つようにして線状に延出させた形状である。この波形状は、長手方向に延びる幅方向中心線Lを軸として左右対称にされている。本実施形態において、圧搾溝6は排泄部対応領域Cの左右両側の位置で長手方向に延在する配置とされている。ただし、圧搾溝6の配置は、必ずしも排泄部対応領域Cのみに限定されるものでなく、排泄部対応領域Cから前方部F及び後方部Rに及んでもよい。
さらに本実施形態において、圧搾溝6、6はそれぞれ、波を繋いで延出した全体形状がナプキン10の幅方向外方へ向けて湾曲した1つの大きな緩やかなアーチ(弓)形状である。このアーチ形状は、後述の波形状による張力緩和作用を高めるとともに、ナプキン10全体として、装着時の幅方向の圧力を吸収、緩和するように働く。これにより、受液領域C1の部材構成のヨレが抑えられ、表面シートの、中空部を備えた両面凹凸面の嵩高構造が装着時においても維持されやすく好ましい。
このような圧搾溝6の具体例について、図4〜16を参照して以下に説明する。ただし、圧搾溝6は、これらの形態に限定されるものでなく、表面シート1の嵩高構造を保持できる波形状であれば種々の形態をとり得る。
まず、図4(A)には、1例としての圧搾溝6Aが示されている。
図4(A)の圧搾溝6は、溝幅を一定にして蛇行する形状である。すなわち、圧搾溝6Aは、ナプキン10の幅方向内側(受液領域側)の内溝縁61とナプキン10の幅方向外側(外縁側)の外溝縁62との間の所定幅tを一定に保ちながら、溝の延出線上で蛇行する曲線形状である。これにより、圧搾溝6Aの延出線の縁において、図5(C)に示すような直線状圧搾溝99による表面シート1の突出部の連続的な潰れが回避される。その結果、圧搾溝6Aの周辺ないし縁において表面シート1の突出部が残る領域が生まれる。例えば、表面シート1Aにおいては、圧搾溝6Aの波に沿ってその周辺に、第1突出部21及び第2突出部22が非連続的に存続する(図5(A)参照)。表面シート1Bにおいては、筋状の第3突出部23及び第4突出部24が圧搾溝6Aの波によって一部のみの圧搾に止まり存続する(図5(B)参照)。これにより、表面シート1の両面凹凸面による嵩高さが、圧搾溝6Aの周辺の硬さを緩和して、ナプキン10の外縁部分にも柔らかさを与え、良好な装着感となる。なお、図5(A)〜(C)中、網掛け部分は突出部が潰れた部分を示す。
加えて、圧搾溝6Aの幅方外側に振れる外側湾曲部63の内側(受液領域C1側)に、圧搾溝6Aで囲まれた表面シート1のポケット部12がある(図4(B)参照)。このポケット部12には、表面シート1の、中空部を備えた両面凹凸面の嵩高構造が存在する(図6(A)参照)。そのため、ナプキン10の幅方向の外周縁に近い位置にありながら、表面シート1の前述した液透過性が発揮される。この液透過性が拡散する液量を抑えて圧搾溝6Aによる液遮断機能を助ける。また、外側湾曲部63は、圧搾溝6Aの一部として前述した毛管力が強く働く。この外側湾曲部63がポケット部12を囲むことで、圧搾溝自身による液引き込みとともに、ポケット部12内で液を囲い込み一時保持しながら表面シートでの液透過を促す方向に作用する。ポケット部12は、このような表面シート1と圧搾溝6Aの外側湾曲部63との相互作用で、液の横漏れ抑制に有効である。さらにポケット部12において、表面シート1の中空部が存在するため、風合いがよく、吸収体からの液戻りが生じ難い。またこのポケット部12においては、圧搾溝6Aまでの適度な距離を保てるので突出部から落ちた液が圧搾溝6Aを超えにくくなり、この点においても液の横漏れ抑制に有効である。
また、圧搾溝6A全体が前述のアーチ形状であることから、直線形状の圧搾溝よりもポケット部12が多く存在し、且つ受液領域を取り囲むようにポケットが存在する(図7(A)、(B)参照)。これにより、アーチ形状の圧搾溝6Aは、直線形状の圧搾溝よりも横漏れ抑制に一層有効である。より具体的には、図7(A)のアーチ形状の圧搾溝6Aは、図7(B)の直線形状の圧搾溝に比べて、ポケット部12と受液領域C1との距離が、長手方向の中央から前後部に向かっても離れず、比較的一定の距離を保っている。これにより、圧搾溝6Aの複数のポケット部12は、受液領域C1から四方に拡散する液を包囲するようにして受け止めることができ、液が横方向から漏れるのを防ぐのに非常に有用である。
また、波形状の圧搾溝6A,6Aが左右対称に配されていることで、図4(A)に示すように、外側に振れた外側湾曲部63が互いに対向配置される。これにより、外側湾曲部63、63同士の間の距離W1(内溝縁61、61間の距離)が通常の直線状の圧搾溝間よりも広がり、その間の表面シート1に対する張力が低減される。その結果、外側湾曲部63、63の周辺から受液領域C1に亘る幅方向の領域で、表面シート1の中空部の潰れが抑制され内部空間が残りやすい。そして、表面シート1の両面凹凸による嵩高さが維持され、前述した高いクッション性、それによる柔らかな肌触り、優れた液透過性及び通気性が十分に発現される。加えて、前述のとおり、圧搾溝6A、6Aそれぞれが全体として幅方向外方へ向けて湾曲した1つの大きな緩やかなアーチ形状であることも張力を弱める方向に作用し、表面シート1の前記作用に寄与する。
さらに、図4(A)のとおり、幅方向内側に振れた内側湾曲部64、64も互いに対向配置されている。内側湾曲部64、64同士の間の距離W2は、外側湾曲部63、63同士の間の距離W1よりも短く、相対的に表面シート1に対する張力Fが強く働く(図6(B)参照)。これにより、内側湾曲部64、64同士の間では、圧搾溝6Aにおける厚み方向の液引き込み力が強く働く。
このように、一対の波形状の圧搾溝6A、6A間においては、ナプキン10の長手方向に沿って、表面シート1に対する張力が強く働く部分と、張力が弱く働く部分とを交互に有する。これにより、表面シート1の嵩高さによるクッション性及び液透過性と圧搾溝6Aによる液遮断機能とがバランスよく作用する。
また、圧搾溝6Aの幅方向外側においても同様の作用が生じ、股下に感じる硬さを更に緩和して、液残りなく良好なドライ感を与える。内側湾曲部64の外側では、図6(B)のように、表面シート1の凹凸面の嵩高構造が存在してクッション性と柔らかい肌触りが生じ、高い液透過性で良好なドライ感が得られる。また、外側湾曲部分63の外側では、外周シール部9との距離が内側湾曲部64よりも短く、圧搾溝6Aの張力で液の遮断機能が働く。したがって、ナプキン10の幅方向に沿って、圧搾溝6Aの幅方向内側(ナプキン10の受液領域C1側)と幅方向外側(ナプキン10の外縁側)とで異なる作用が発現する。これにより、ナプキン10全体で表面シート1の嵩高さによるクッション性及び液透過性と圧搾溝6Aによる液遮断機能とが更にバランスよく機能する。
さらに、波形状の圧搾溝6Aは、外側湾曲部分63と内側湾曲部64とからなり、直線部分を含まない。すなわち、屈曲部分を有さない曲線状である。これにより、屈曲する角部分での液だまりが生じ難くドライ感に優れる。また装着時の外力にも屈曲部分での角張った変形が無く柔らかい柔軟な変形となって、柔らかな肌触りが維持される。また、肌にフィットしやすくなる。
圧搾溝6の波形状は、前述の図4(A)に示す蛇行する形状の他、図8(A)に示すような幅方向にくびれのある形状であってもよい。
図8(A)の圧搾溝6Bは、ナプキン10の幅方向内側(受液領域側)の内溝縁61とナプキン10の幅方向外側(外縁側)の外溝縁62との間の幅が一定でなく、最大幅tmと最小幅tsとを交互に複数有する。圧搾溝6の波形状は、最大幅tmと最小幅tsとの間を内溝縁61及び外溝縁62が曲線でゆるやかに繋いだ形状である。最小幅tsの部分がくびれ部65である。これに対して最大幅txの部分を拡幅部66という。このくびれ部65と拡幅部66との間で緩やかに溝の幅が変化して、圧搾溝6Bの波形状となる。したがって、この場合も、直線状の部分を有さない、屈曲部分のない曲線状にされている。
図8(A)の圧搾溝6Bにおいては、くびれ部65の両側(受液領域側及び外縁側)で、表面シート1の、中空部を有する両面凹凸面の嵩高構造が存在する(図9(A)参照)。また、くびれ部65自体も最小幅tsであるため、圧搾溝6Bの他の部分にくらべ剛性が高くない。このような構成により、くびれ部65の周辺の柔らかさは、前述の圧搾溝6Aのものよりも更に高いものとなる。一方、拡幅部66では最大幅tmで最も高い液遮断機能を有する。加えて、圧搾溝6Bのくびれ部65の幅方向内側では、圧搾溝6Aと同様にポケット部12がある(図8(B)参照)。このポケット部12が、前述した嵩高構造の表面シート1と波形状の圧搾溝6Bとの相互作用による液の囲い込みを発現し、液の横漏れ抑制に有効である。
さらに、圧搾溝6Bの波形状は、長手方向に延びる幅方向中心線Lを軸として左右対称にされている。これにより、圧搾溝6B、6B間においては、圧搾部6Aの場合と同様に、ナプキン10の長手方向に沿って、表面シートに対する強い張力FTが働く部分と、弱い張力FSが働く部分とを交互に有する(図8(A)、図9(A)及び(B)参照)。さらに、圧搾溝6B、6Bそれぞれの幅方向外側でも、張力の強弱が幅方向内側と同様の繰り返しパターンとなる。これにより、表面シート1の嵩高さによるクッション性及び液透過性と圧搾溝6Bにより液遮断機能とがバランスよく作用する。加えて、前述のとおり、圧搾溝6B、6Bそれぞれが全体として幅方向外方へ向けて湾曲した1つの大きな緩やかなアーチ形状であることも張力を弱める方向に作用し、表面シート1の前記作用に寄与する。
圧搾溝6Bにおいては、柔らかさとともに液の横漏れ抑制をより確かなものとするため、波形状の幅方向に突出する部分の波の高さを次のようにすることが好ましい。すなわち、波形状の幅方向に突出する部分の波の高さがナプキン10の幅方向内側と幅方向外側とで異なり、幅方向内側(内溝縁61側)の波の高さが幅方向外側(外溝縁62側)の波の高さよりも大きいことが好ましい(図10参照)。
これにより、液遮断機能を受液領域側に集中させて高め、ナプキン10の幅方向外側の股付近にあたる部分の剛性を緩和させることができる。また、拡幅部66の幅方向内側の波の高さを大きくとることで、くびれ部65と拡幅部66とを結ぶ内溝縁61を長くとることができ、漏れ防止に有効である。また、これにより前述のポケット部が大きくなり、液の囲い込みによる一時保持が可能で、横漏れ抑制に有効である。
上記の圧搾溝6の波の高さは、圧搾溝6の平面視において、溝の縁における幅方向に突出する部分の波の高さである。幅方向内側である受液領域側の波の高さは、内溝縁61における、拡幅部66の頂点61Tとくびれ部65の底部61Bとの間の幅方向の長さ(波の高低差)M1である(以下、波の高さM1という。)。また、幅方向外側である外縁側の波の高さは、外溝縁62における、拡幅部66の頂部62Tとくびれ部65の底部62Bとの間の幅方向の長さ(波の高低差)M2である(以下、波の高さM2という。)。
この受液領域側の波の高さM1が外縁側の波の高さM2よりも大きいことが上記作用の観点から好ましい。この大小関係において、波の高さの差(M1−M2)は、物品の大きさ等によっても異なり一概に定めることができないものの、例えば生理用ナプキンの場合、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。また、前記波の高さ(M1−M2)は、9.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。具体的には、前記波の高さの差(M1−M2)は、0.5mm以上9.0mm以下が好ましく、1.0mm以上5.0mm以下がより好ましい。このような大小関係は、長手方向の同じ位置において、成立することが好ましい。
さらに、圧搾溝6のいずれの形態においても、表面シート1の、中空部を有する両面凹凸面の嵩高構造をより確実に存続させる観点から、次のような構成を有することが好ましい。すなわち図11に示すように、圧搾溝6の幅方向に突出する部分の波の高さM1は、表面シート1の幅方向の凹凸のピッチM3よりも小さいことが好ましい。これにより、圧搾溝6と表面シート1の突出部とが重なる領域が小さくなり、圧搾溝6の周辺において、表面シート1の凹凸面が潰にくくなり好ましい。
ここでの圧搾溝6の波の高さは、前述した定義の幅方向に突出する部分の波の高さである。典型的には、内溝縁61における波の高低差である。例えば、圧搾溝6Bにおいては、前述したとおり、拡幅部66の内溝縁61の頂点61Tと、くびれ部65の内溝縁61の底点61Bと間の幅方向の長さ(波の高低差)M1を意味する。また、圧搾溝6Aにおいては、蛇行線上における内溝縁61の受液領域側に最も寄った頂点61Tと、受液領域側から最も離れた底点61Bと間の幅方向の長さ(波の高低差)を意味する。
また、表面シート1の幅方向の凹凸ピッチM3とは、表面シート1の肌当接面側において、突出部と凹部とを1組の繰り返し単位としたときの、幅方向の突出部間の長さを意味する。
表面シート1の凹凸のピッチ(M3)に対する、圧搾溝6の波の高さ(M1)の比(M1/M3)は、表面シート1の凹凸を保持する観点から、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。また、前記比(M1/M3)は、ポケット部内の中空構造を維持する観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましい。より具体的には、前記比(M1/M2)は、0.1以上0.9以下が好ましく、0.3以上0.8以下がより好ましく、0.5以上0.7以下が更に好ましい。
圧搾溝6の波の高さ(M1)は、適用される吸収性物品の大きさや用途によっても異なるが、例えば生理用ナプキンの場合、経血のモレ防止の観点から、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましい。また、波の高さ(M1)は、剛性が高くなる圧搾溝部の面積を抑制し、装着違和感を解消する観点から、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、6mm以下がさらに好ましい。
表面シート1の凹凸のピッチ(M2)は、適用される吸収性物品の大きさや用途によっても異なるが、例えば生理用ナプキンの場合、表面シートの嵩高構造を維持し、装着時のクッション性を向上させる観点から、2mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3mm以上がさらに好ましい。また、ピッチ(M2)は、 表面シートの滑らかな肌触りを維持する観点から、12mm以下が好ましく10mm以下がより好ましく、8mm以下がさらに好ましい。
また、圧搾溝6はいずれの形態であっても、ナプキン10の厚み方向において、一律同じ圧搾深さではなく、深さの異なる高圧搾部67と低圧搾部68とを組み合わせてなることが好ましい。高圧搾部67とは低圧搾部68よりも溝の深さが深い部分であって、溝底部の密度が低圧搾部68の溝底部の密度よりも高い。低圧搾部68では高圧搾部67よりも表面シート1に対する張力が緩和されおり、表面シート1の、中空部を有する両面凹凸面の嵩高構造が更に潰れにくくなる。また、これにより、ナプキン10の、波形状の圧搾部6による柔らかな肌触り、優れた柔軟性を更に高めることができる。
具体的な態様としては、図12(A)〜(E)に示すような配置が挙げられる。図12(A)は圧搾溝6Aを高圧搾部67及び低圧搾部68で構成としたものであり、図12(B)〜(E)は圧搾溝6Bを高圧搾部67及び低圧搾部68で構成としたものである。図1(A)は、高圧搾部67が、圧搾溝6Aの幅方向内側及び外側に振れた部分にある態様を示している。図12(B)〜(E)は、高圧搾部67が拡幅部66にある態様(図12(B)及び(D))、高圧搾部67がくびれ部65にある態様(図12(C)及び(E))を示している。いずれの態様であってよい。ただし、くびれ部65による表面シート1の柔らかさ創出と拡幅部66による液遮断の機能分担の観点から、高圧搾部67が拡幅部66にある態様がより好ましい。
また、いずれの態様であっても、液移行に対する段階的かつ確実な遮断機能と、更なる柔らかさとを両立する観点から、高圧搾部67は低圧搾部68に囲まれる配置であることがより好ましい。すなわち、高圧搾部67の前後左右の外周が低圧搾部68に囲まれる配置が好ましい。この場合、圧搾溝6(6A、6B)の波形状、すなわち内溝縁61及び外溝縁62の打つ波は、低圧搾部68により形成されることとなる。これにより、高圧搾部67の張力は、これよりも張力の弱い低圧搾部68の介在で圧搾溝6の溝縁の外に伝わり難くなる。その結果、前述した波形状で、かつ、左右対称配置としたことによる張力緩和は更に高められ、表面シートの嵩高構造が更に維持されやすくなる。また、表面シート1の嵩高構造による前述した液の透過性とともに、液の移行方向に対して、低圧搾部68、高圧搾部67と段階的な防護壁を構えることとなる。すなわち、表面シート1の作用と協働して、圧着の2段構えと、繊維密度の勾配による毛管力の2段構えにより効果的に液移行を遮断することができる。
圧搾溝6を高圧搾部67及び低圧搾部68で構成することの作用について図13(A)及び(B)を参照して説明する。
図13(A)は、ナプキン10の幅方向において、高圧搾部67が低圧搾部68によって囲まれた態様を示している。すなわち、低圧搾部68が高圧搾部67の外周に隣接し、圧搾溝6の幅方向内側の内溝縁61を形成している(図示しないが、低圧搾部68は、高圧搾部67の幅方向外側にも配され、外溝縁62を形成している。)。これに対し図13(B)では、ナプキン10の幅方向において、高圧搾部67のみで内溝縁61までの圧搾溝6を形成している。高圧搾部67は、両図ともに、表面シート1と吸収体3とを圧搾し、ナプキン10の厚みH1を厚みH2にまで縮めて圧着している。一方、低圧搾部68では、図13(A)に示すように、表面シート1と吸収体3とを高圧搾部67よりも弱い圧搾とし、ナプキン10の厚みH1を厚みH3に留めている。したがって、高圧搾部67の厚みH2は低圧搾部の厚みH3よりも薄くされている。このとき、高圧搾部67の底部67Tでは、圧着により、非圧搾部分の表面シート1を引き込もうとする張力F1が働く。低圧搾部68では、この張力F1よりも弱い張力F2が働く。
低圧搾部68がない図13(B)の態様では、底部67Tの張力F1は圧搾されていない周辺部Wの表面シート1に直接的に作用する。これに対し、低圧搾部68で囲んだ図13(A)の態様では、底部67Tの張力F1の波及は、低圧搾部68の底部68Tでの圧着部分で防御されている。そのため、圧搾されていない周辺部Wの表面シート1に対しては、張力F1よりも弱い、低圧搾部68の底部68Tの張力F2が作用することとなる。その結果、表面シート1に対して、圧搾溝6の張力の影響が更に弱められる。このことが、圧搾溝6を波形状で左右対称としたことによる張力の緩和をさらに助けて、表面シート1の嵩高構造がより維持されやすくなる。また、圧搾溝6の波形状によって表面シート1の突出部の直接的な圧搾を回避した部分に対しても張力が弱められる。このため、圧搾溝6に隣接する表面シート1がより柔らかく、通気性に優れ、高い液透過性が維持される。
また、ナプキン10は、前述した左右一対の圧搾溝6を複数対有していてもよい。この場合には、幅方向に隣り合う圧搾溝間の離間領域が最も広い一対の圧搾溝6が、排泄部対応領域Cの受液領域C1にあることが好ましい。
上記の複数対の具体例としては、図14に示す態様が挙げられる。図14においては、圧搾溝6P、6Pの対の前方部Fと後方部Rにそれぞれ、圧搾溝6Q、6Qの対、圧搾溝6R、6Rの対が配されている。さらに、圧搾溝6P、6Pそれぞれの幅方向外側の離間した位置に、圧搾溝6S、6Sの対が配されている。
圧搾部6Pは、波を繋いで延出した全体形状が、排泄部対応領域Cの受液領域C1の幅方向外縁を囲むように湾曲した1つの大きな緩やかなアーチ形状である。圧搾溝6Qは、圧搾溝6Pよりも短い長さで波を繋いで幅方向外側に湾曲した1つの弧を描き、さらにナプキン10の前端部側で他方の圧搾溝6Qと連結して円弧状になっている。同様に、圧搾溝6Rも圧搾溝6Pよりも短い長さで波を繋いで幅方向外側に湾曲した1つの弧を描き、他方の圧搾溝6Rと連結して円弧状になっている。圧搾溝6Sは、圧搾溝6Pの幅方向外側で対をなして配置されている。より具体的には、圧搾溝6Sは、圧搾溝6Pよりも短い長さで圧搾溝6Pの外縁側を囲むように、波を繋いで幅方向外側に湾曲した1つの弧を描いている。各圧搾溝は、対をなすもの同士で左右対称とされている。
また、圧搾溝6Pと圧搾溝6Sとの間は、ナプキン10の両側における非圧搾領域8、8となっている。また、ナプキン10の左右両側それぞれにおいて、圧搾溝6Pと圧搾溝6Sは左右対称にされている。そのため、両圧搾部6P、6S間には、互いの波が引いたポケット部12Sが複数配されている。
さらに、圧搾溝6Q、圧搾溝6Rは、圧搾溝6Pの前後端と連接され、前後左右4か所に連接部69がある。各連接部69は、互いの圧搾部のアーチが幅方向内側へ入り込む部分で形成されているため、幅方向内側への窪んだ形状となっている。
このような圧搾溝が複数対ある構成においては、波形状による張力緩和の領域が多くなり、表面シート1の嵩高構造が広い範囲で維持される。加えて、ナプキン10の装着時における幅方向の外力に対し、圧搾溝6による圧力吸収、緩和をより高めることができる。これにより、受液領域C1の部材構成のヨレが抑えられ、表面シートの、中空部を備えた両面凹凸面の嵩高構造が、ナプキン10使用時においてもさらに維持されやすく好ましい。加えて、ナプキン10の外周縁における液吸収性も更に優れたものとなる。これにより、ナプキン10の装着時における様々な状況(例えば、歩行中や、仕事中の瞬間的な体勢の変化、長時間の着座姿勢の継続などの状況)にあっても、液の横漏れを防いでしっかり吸収を実現することができるので好ましい。
例えば、図14の態様の場合、図15(A)及び(B)に示すように、股下からの外力F9が加わった際に、圧搾溝6Pが外力F9を受け止める。その際、圧搾溝6Pが前後の圧搾溝6Q及び6Rと連結部69で連結されてナプキン長手方向に亘る防波堤となっている。そのため、圧搾溝6Pにかかる外圧F9は、前後の圧搾溝6Q及び6Rの剛性を伴って受液領域C1の内方への波及が弱められる。また、連結部69が内方側へ窪んだ形状であることで、外力F9は前後の圧搾溝6Q、6R及びその周辺の変形には結び付き難くなっている。これにより、受液領域C1におけるヨレ、それにともなう表面シート1の嵩高構造が装着時においても維持されやすく、適切な液吸収が実現され好ましい。また、図示しないが、圧搾溝6Sが外圧に対する第一の防波堤となるため、受液領域C1の内方への外力の波及を更に防御でき好ましい。これに対し、図15(C)及び(D)のように一対の圧搾溝からなる場合、外力F9の波及は、その力の強さによっては、上記の場合よりも受液領域C1に強く作用する場合がある。このことから、圧搾溝を複数対有することが使用時の性能維持の観点から更に好ましい。
さらに、圧搾溝6Pと圧搾溝6Sとの間の非圧搾領域8は、図16に示すように、互いの波が引いたポケット部12Sを有する。ポケット部12Sでは、表面シート1の嵩高構造が残る。これにより、この部分においても素早い液透過が作用し、液漏れの更なる防波堤として機能し好ましい。また、圧搾溝6Pと圧搾溝6Sとの間のポケット部12Sによって股下に当たる部分が更に柔らかい肌触りとなって好ましい。
高圧搾部67と低圧搾部68とを組み合わせた圧搾溝6である場合、高圧搾部67の平面形状はどのような態様でもよい。圧搾溝6Bの波形状の場合、くびれ部65との関係で、高圧搾部67の平面形状の前後端が先細りする形状であることが好ましい。例えば、円形や楕円形、ひし形などが挙げられる。
上記のような圧搾溝6の形成方法は、この種の物品に用いられる通常の方法を採用して行うことができる。例えば、表面が凹凸にされて押圧部を有する押圧ロール(図示せず)を用いて熱シール加工する方法が挙げられる。押圧部の形状(高さ、幅、凹凸形状等)は、押圧強度等の観点から適宜設定できる。また、押圧圧力、加熱温度(ヒートシール温度)、押圧時間などの加工条件を適宜に設定して、押圧強度や圧搾深さを調製することができる。
ナプキン10において、前述した表面シート1の嵩高構造は、不織布における種々の賦形方法を適宜採用することができる。
例えば、図2に示す表面シート1Aの場合、エアスルー法において、表面が凹凸にされた賦形支持体上に繊維ウエブを載置し、吹き付ける熱風の温度や風速を制御して賦形処理及び熱融着処理を施して得ることができる。例えば、特開2012−136790号公報の段落[0031]に記載の方法や特開2012−149371号公報の段落[0033]〜[0061]に記載の方法を用いることができる。また、その際に用いる賦形支持体としては、特開2012−149370号公報の図1に示す支持体や特開2012−149371号公報の図1、3、4に示す支持体などが挙げられる。
また、図3に示す表面シート1Bの場合、繊維ウエブの構成繊維同士の交点を熱融着して不織布化した後、互いに噛み合う一対の凹凸(歯溝)ロール間に搬入して一方向に延伸させて得ることができる。
ナプキン10を構成する表面シート1、裏面シート2、吸収体3及びサイドシート4の形成材料は、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
例えば表面シート1を不織布からなるものとし、その形成材料として、例えば親水化処理された熱可塑性樹脂繊維で、特開2012−136791号の段落[0032]に記載の繊維素材などを用いることができる。また、不織布に開孔フィルム等の液透過性のシートを組み合わせてもよい。前記形成素材に関し、2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維でこれを親水化処理したものであってもよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、通常用いられる種々の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
裏面シート2としては、不透湿性若しくは透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿性フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合の透湿性フィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。本発明に関わる湿度排出の性能を十分に発現し、かつ、水分のにじみ出しがない防漏層を具現化するには、透湿度は、0.7g/100cmhr以上3.0g/100cmhr以下の範囲にあることが好ましく、1.0g/100cmhr以上2.5g/100cmhr以下の範囲にあることが更に好ましい。さらっと感を十分に高める観点からは1.5g/100cmhr以上2.5g/100cmhr以下にあることが最も好ましい。また、フィルムの破れ等のトラブルなく使用可能であるためには、フィルム坪量は18g/m以上70g/m以下、より好ましくは25g/m以上60g/m以下である。また好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の質量に対するフィラーの質量%として30質量%以上65質量%以下、より好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
吸収体3の構成材料としては、特に制限はないが繊維材料、繊維材料と多孔質体との混合積繊体などをコアラップシート(紙や不織布など)で挟持したものなど、を用いることができる。繊維素材としては例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成繊維からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。例えば、熱によって繊度は大きくなるが繊維長は短くなるものや、熱によって繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変化することでみかけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。多孔質体としては、スポンジ、不織布、高吸水性ポリマーの凝集物(高吸水性ポリマーと繊維とが凝集したもの)などを用いることができる。
サイドシート4としては、撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態の生理用ナプキンに制限されるものではなく、例えば失禁パッド、失禁ライナ、尿とりパッド、使い捨ておむつ等に適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、上記構成部材の他、用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品を開示する。
<1>
肌当接面側の表面シート、非肌当接面側の裏面シート、及び、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体を有し、着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘る長手方向と、該長手方向と直交する幅方向とを有する吸収性物品であって、
前記表面シートは、肌側面及び吸収体側面に、エンボス部を伴わない凹凸面と中空部とを有し、前記表面シートから前記吸収体へと部分的に窪んだ防漏溝が、該表面シート上に少なくとも左右一対配されており、
前記防漏溝は、前記表面シートと前記吸収体とが一体的な圧密状態で窪んだ圧密部を有する構造であって、
前記左右一対の防漏溝は、前記表面シートの平面視においてそれぞれ前記長手方向に延在する波形状を有し、かつ、前記長手方向に延びる幅方向中心線を軸として形状が左右対称である吸収性物品。
<2>
前記防漏溝は、幅方向内側の溝縁と幅方向外側の溝縁との間の幅が一定である前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記防漏溝は、前記幅方向のくびれを有する、前記<1>に記載の吸収性物品。
<4>
前記防漏溝の波形状の幅方向に突出する部分の波の高さが、前記吸収性物品の幅方向内側と幅方向外側とで異なり、前記幅方向内側の波の高さが前記幅方向外側の波の高さよりも高い、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記防漏溝の幅方向に突出する部分の波の高さは、前記表面シートの幅方向の凹凸ピッチより小さい、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記表面シートの凹凸のピッチM3に対する、防漏溝の波の高さM1の比M1/M3は
0.1以上0.9以下、好ましくは0.3以上0.8以下、更に好ましくは0.5以上0.7以下である、前記<5>に記載の吸収性物品。
<7>
前記防漏溝の幅方向に突出する部分の波の高さが1mm以上10mm以下、好ましくは3mm以上8mm以下、更に好ましくは5mm以上6mm以下である前記<1>〜<6>の何れか1つに記載の吸収性物品。
<8>
前記防漏溝は高圧搾部と低圧搾部とを含んでなり、前記高圧搾部は互いに離間して配置されている前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記高圧搾部は前記低圧搾部に囲まれている前記<8>に記載の吸収性物品。
<10>
前記左右一対の防漏溝が複数配されており、前記幅方向に隣り合う前記防漏溝間の離間領域が最も広い一対の防漏溝が受液領域にある、前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<11>
前記防漏溝には、前記くびれ部と連続して拡幅部が存在している前記<3>記載の吸収性物品。
<12>
前記防漏溝は高圧搾部と低圧搾部を含んでなり、該高圧搾部が前記拡幅部にある前記<11>に記載の吸収性物品。
<13>
前記冒頭溝は高圧搾部と低圧搾部を含んでなり、該高圧搾部が前記くびれ部にある前記<11>に記載の吸収性物品。
<14>
前記表面シートの凹凸面は屈曲部を有さず、全体が連続した曲面で構成されている前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<15>
前記表面シートは、肌側に突出する第1突出部と吸収体側に突出する第2突出部とを有し、平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に複数配されている前記<1>〜<14>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記表面シートにおいて、隣接して並走する配列同士で、前記第1突出部と前記第2突出部との交互配置が半ピッチずれた千鳥配置である前記<15>に記載の吸収性物品。
<17>
前記第1突出部及び第2突出部は錐体形状である、前記<15>又は<16>に記載の吸収性物品
<18>
前記第1突出部及び第2突出部は頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状である、前記<15>又は<16>に記載の吸収性物品。
<19>
前記表面シートは、筋状の凹凸が、幅方向に交互に配置された波形形状を有する<1>〜<14>の何れか1つに記載の吸収性物品。
<20>
前記左右一対の防漏溝を複数対有する前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<21>
着用者の排泄部に対向する、前記吸収性物品の排泄部対応領域において、受液領域を挟んで対をなす防漏溝と、その幅方向外側で対をなす防漏溝が配置されている前記<20>に記載の吸収性物品。
<22>
前記防漏溝はそれぞれ、全体形状が吸収性物品の幅方向外方へ向けて湾曲した1つの大きな緩やかなアーチ形状となっている、前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<23>
前記吸収性物品が生理用ナプキンである、前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の吸収性物品。
以下に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定されるものではない。
(実施例1)
まず、図2に示した不織布を作製し、表面シート用の大きさに裁断した。具体的には、特開2013−133574号公報に記載の方法により製造したシートを用いた。表面シートは、上層に芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtexで12g/mの坪量、下層に芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.9dtex繊維で18g/mの坪量となるように計30g/mに調整し、表面シートの全体の厚さを2.2mmに調整した。また、表面シートは、幅方向(X方向)に隣り合う肌側突出部の頂部どうしの間隔5mmであり、長手方向(Y方向)に隣り合う肌側突出部の頂部どうしの間隔が8mmであった。
得られた表面シートを、吸収体(坪量280gsmのパルプに高吸水性ポリマー0.1gを散布してティッシュペーパーで包んだもの)、裏面シート(坪量23gsmのポリエチレンフィルム)及びサイドシート(坪量20gsmのスパンボンド不織布)を積層固定した。次いで、図4に示す左右対称の1対の圧搾溝を形成した。圧搾溝の波形状は、図1のパターンとした。このときの波の高さは、3mmとした。図17(A)の図面代用写真では、得られた試料の、波形形状の圧搾溝6Aの外側湾曲分63とその受液領域側の一部(ポケット部12)の断面が示されている。図17(A)の代用写真上には、外側湾曲部63の湾曲状態の把握の一助のため、1点鎖線を付した。該1点鎖線は圧搾溝6Aの底部の縁の湾曲部分を示している。すなわち、外側湾曲部分63が右側に湾曲し、外側湾曲部63の左側が表面シート1のポケット部12である部分を示している。図17(A)の撮像写真が示す通り、ポケット部12は圧搾溝6Aの縁で、表面シート1は中空部21Kがしっかりと残って両面凹凸の嵩高構造が存在していた。
(比較例1)
実施例1と同じ表面シート、吸収体、裏面シート及びサイドシートを用いて、積層固定し、波形状を有さない直線状の圧搾溝を形成した。図17(B)から分かる通り、圧搾溝の縁の表面シートは、中空部が潰れ、実施例1のものよりも凹凸が潰れていた。
(試験方法)
1.圧搾溝周辺の表面シートの液残り試験
各評価用の生理用ナプキンに、無加圧の状態で圧搾溝に沿って35mmの範囲に脱繊維馬血2.0gを流し込んだ。脱繊維馬血を流し込んでから60秒後に、脱繊維馬血の投入位置を中心とする直径8mmの範囲のL値を測定した。測定には、日本電色工業株式会社製の簡易型分光色差計NF333を用いた。
L値(明度)はその値が大きいほど、色が白に近づき、表面シートに赤みが見えにくいことを示す。すなわち、L値が大きいほど表面シートの液残りが少ないことを示す。
なお、脱繊維馬血は粘度を8.0±0.1cP(25℃)に調整したものを用いた。粘度の調整は、馬血に、馬血自体から取り出した血漿と血球成分を加えることにより、調整した。血漿と血球成分は、馬血を放置して分離した際の、それぞれ上澄み部分と沈殿部分である。
2.圧搾溝による漏れ防止の試験
各評価用の生理用ナプキンを平面状に拡げ、表面シートを上に向けて、水平面に対する傾斜角度が45°の平滑な傾斜面上に無加圧状態で固定した。表面シート上の圧搾溝(受液領域に隣接する圧搾溝)から10mm受液領域側のところに、前述のものと同様の脱繊維馬血を1g/10秒の速度で注入した。脱繊維馬血が圧搾溝を乗り越えた時点での注入量(限界注入量)を測定した。測定した注入量が多いほど、圧搾溝による漏れ防止性能が高いことを意味する。
なお、図17(C)及び(D)の図面代用写真は、注入を継続して累計6g注入時点での圧搾溝及び注入点周辺の状態を撮像したものである。
上記表1が示す通り、実施例1は、比較例1に比べて、L値が約13%も向上しており、圧搾溝周辺において、表面シートの液透過性とそれによる液残り防止性に優れていた。また、実施例1は、比較例1に比べて、限界注入量が約50%も向上しており、圧搾溝の縁における表面シートの液透過性が極めて優れたものであった。これは、図17(A)と(B)との比較から分かる通り、実施例1の表面シートの方が、比較例1の表面シートに比べて、圧搾溝の周辺で中空部が大きく凹凸が高くされ、明確な嵩高構造が存在していたことによるものと思われる。すなわち、圧搾溝の波形状により、圧搾溝周辺の表面シートの嵩高構造が存続して、該嵩高構造による液透過性でより多くの液が吸収体へと導かれ、圧搾溝による液防御機能を補ったものと思われる。また、実施例1の表面シートは、上記の嵩高構造により、比較例1のものに比べて肌に触れた感触が柔らかいものであった。
1、1A、1B 表面シート
21 第1突出部
22 第2突出部
25 第3突出部
26 第4突出部
2 裏面シート
3 吸収体
6、6A、6B 圧搾溝(防漏溝)
61 受液領域側の溝縁(内溝縁)
62 外縁側の溝縁(外溝縁)
63 外側湾曲部
64 内側湾曲部
65 くびれ部
66 拡幅部
67 高圧搾部
68 低圧搾部
69 連結部
10 生理用ナプキン

Claims (6)

  1. 肌当接面側の表面シート、非肌当接面側の裏面シート、及び、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体を有し、着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘る長手方向と、該長手方向と直交する幅方向とを有する吸収性物品であって、
    前記表面シートは、肌側面及び吸収体側面に、エンボス部を伴わない凹凸面と中空部とを有し、前記表面シートから前記吸収体へと部分的に窪んだ防漏溝が、該表面シート上に少なくとも左右一対配されており、
    前記防漏溝は、前記表面シートと前記吸収体とが一体的な圧密状態で窪んだ圧密部を有する構造であって、
    前記左右一対の防漏溝は、前記表面シートの平面視においてそれぞれ前記長手方向に延在する波形状を有し、かつ、前記長手方向に延びる幅方向中心線を軸として形状が左右対称であり、
    前記防漏溝の前記波形状は、前記着用者の排泄ポイントに対応する排泄部対応領域の左右両側の位置で、内溝縁と外溝縁のそれぞれが複数の波を繋いだ形状であり、平面視において幅方向に突出する部分の波の高さが、前記表面シートの幅方向の凹凸ピッチより小さくされている、吸収性物品。
  2. 前記防漏溝は、前記幅方向のくびれを有する、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記防漏溝の波形状の幅方向に突出する部分の波の高さが、前記吸収性物品の幅方向内側と幅方向外側とで異なり、前記幅方向内側の波の高さが前記幅方向外側の波の高さよりも高い、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記防漏溝は高圧搾部と低圧搾部とを含んでなり、前記高圧搾部は互いに離間して配置されている請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記高圧搾部は前記低圧搾部に囲まれている請求項記載の吸収性物品。
  6. 前記左右一対の防漏溝が複数配されており、前記幅方向に隣り合う前記防漏溝間の離間領域が最も広い一対の防漏溝が受液領域にある、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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