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JP6688413B1 - 水硬化型組成物及びその硬化物、並びに白華現象の防止方法 - Google Patents

水硬化型組成物及びその硬化物、並びに白華現象の防止方法 Download PDF

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JP6688413B1
JP6688413B1 JP2019032514A JP2019032514A JP6688413B1 JP 6688413 B1 JP6688413 B1 JP 6688413B1 JP 2019032514 A JP2019032514 A JP 2019032514A JP 2019032514 A JP2019032514 A JP 2019032514A JP 6688413 B1 JP6688413 B1 JP 6688413B1
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Abstract

【課題】白華現象の発生を回避できる硬化物の形成に適した、マグネシア系結合材を含む水硬化型組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】下記成分を含有する水硬化型組成物。成分(A):酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを含み、酸化マグネシウムの含有量(重量基準)が、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムのいずれの含有量より多いマグネシア系結合材成分(B):針状メタケイ酸カルシウム成分(C):水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン及び/又は水系シラン撥水性エマルジョン成分(D):水溶性高分子分散助剤【選択図】なし

Description

本発明は、白華現象の防止性に優れた硬化物を与えることができる水硬化型組成物及びその硬化物に関する。
マグネシア系結合材ベースの水硬化型組成物は、製造に焼成工程を必要とせず、軽量で機械的強度に優れた硬化物を与えることができる。そのため、このような水硬化型組成物は、セメント組成物の代替材料として、様々な用途に応用されている。
例えば、特許文献1にはマグネシア系結合材及び針状メタケイ酸カルシウムを含有する水硬化型組成物に加水して硬化した硬化物は、機械的強度と意匠性に優れるため、壁やタイル等の用途に適用することが記載されている。
また、特許文献2には、所定割合の酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムを含有するマグネシア系結合材とペーパースラッジ灰とを混合して加水して硬化した硬化物は、圧縮硬度に優れたポルトランドセメント硬化物の代替材料として好適であることが記載されている。
一方、セメント組成物は、その硬化物に含まれる成分が水分との過剰接触によって水に溶解して硬化物表面に移行し空気中の二酸化炭素と化学反応して水不溶性の反応物を形成する、いわゆる「白華現象」による外観不良という問題がある。マグネシア系結合材ベースの水硬化型組成物の硬化物についても白華現象は解決すべき課題となっていた。
従来のセメント組成物の白華現象を防止する技術として、セメント原料に無機材料やポリマーを配合する方法が知られている。
無機材料を配合した低白華性のセメント組成物として、例えば、特許文献3には、セメント組成物に焼成粘土鉱物を特定の割合で配合したモルタルの白華抑制剤組成物が報告されている。また、特許文献4には、白華抑制剤として酸化亜鉛を配合した石灰系のセメント組成物が報告されている。また、特許文献5には、アルミナセメントに対し、特定割合のマイクロシリカ及びジルコニアを配合した白華しにくいセメント系固化材が報告されている。
また、ポリマーを配合した低白華性のセメント組成物として、例えば、特許文献6にはエポキシ樹脂及び硬化剤、ポルトランドセメント、カルシウムアルミネート系化合物、石膏並びにリチウム化合物を含有してなるポリマーセメント系複合材が報告されている。また、特許文献7には、ポルトランドセメント等のセメント原料に特定の組成、分子量のフッ素樹脂とアクリル樹脂の混合体を配合したポリマーセメント組成物が報告されている。また、特許文献8には、ポルトランドセメント、ホワイトセメント、早強セメント、アルミナセメント等のセメント原料に、特定のα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体の構造単位及び芳香環含有不飽和単量体由来の構造単位を含む疎水性単量体由来の構造単位(A)と、特定の親水性単量体由来の構造単位の共重合体を配合した合成樹脂エマルジョンを配合したポリマーセメント組成物が報告されている。
特開2017−100928号公報 特開2014-24728号公報 特開2014−189470号公報 特開2003−49122号公報 特開2017−66015号公報 特許第3624294号公報 特開2018−16532号公報 特開2015−147698号公報
上述の特許文献3〜8の通り、セメント組成物の白華現象抑制方法が種々提案されている。しかしながら、これらの方法は、ポルトランドセメント、ホワイトセメント、早強セメント、アルミナセメントのセメント原料が対象であって、マグネシア系セメントを対象としたものではない。そして、マグネシア系セメントは、他のセメント材料と性質が異なるため、他のセメントで有効な白華現象抑制方法が必ずしもマグネシア系セメントに適用できるとは限らないのが実情である。
かかる状況下、本発明の目的は、白華現象の発生を回避できる硬化物の形成に適した、マグネシア系結合材を含む水硬化型組成物及びその硬化物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 下記成分を含有する水硬化型組成物。
成分(A):酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを含み、酸化マグネシウムの含有量(重量基準)が、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムのいずれの含有量より多いマグネシア系結合材
成分(B):針状メタケイ酸カルシウム
成分(C):水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン及び/又は水系シラン撥水性エマルジョン
成分(D):水溶性高分子分散助剤
<2> 成分(C)が、水系シラン撥水性エマルジョンである<1>に記載の水硬化型組成物。
<3> 成分(D)が、カルボキシメチルセルロースである<1>または<2>に記載の水硬化型組成物。
<4> 成分(A)100重量部に対する成分(B)の重量割合が5〜45重量部であり、
成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対する成分(C)の重量割合が3〜15重量部、成分(D)の重量割合が0.3〜5重量部である<1>から<3>のいずれかに記載の水硬化型組成物。
<5> さらに成分(E)として、修飾フィラーを含有する<1>から<4>のいずれかに記載の水硬化型組成物。
<6> <1>から<5>のいずれかに記載の水硬化型組成物に加水して硬化させてなる硬化物。
<7> <1>から<5>のいずれかに記載の水硬化型組成物を、水と混合して硬化する前に、白華現象が生じる対象に塗工し、硬化させる工程を有する白華現象の防止方法。
本発明によれば、白華現象が抑制されたマグネシア硬化物を与えることができる水硬化型組成物が提供される。
評価開始7日後の実験例2の硬化物(空気暴露部分)の写真である。 評価開始7日後の実験例3の硬化物(空気暴露部分)の写真である。 評価開始7日後の実験例4の硬化物(空気暴露部分)の写真である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「〜」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。
本発明は、下記成分を含有する水硬化型組成物に関する。
成分(A):酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを含み、酸化マグネシウムの含有量(重量基準)が、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムのいずれの含有量より多いマグネシア系結合材
成分(B):針状メタケイ酸カルシウム
成分(C):水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン及び/又は水系シラン撥水性エマルジョン
成分(D):水溶性高分子分散助剤
本発明の水硬化型組成物は、白華現象が抑制されたマグネシア硬化物を与えることができる。本発明の水硬化型組成物において、上記成分のうち、成分(A)及び成分(B)はマグネシア系硬化物の主材成分であり、成分(A)はマグネシア系セメントの主成分であり、成分(B)は硬化物に機械的強度を付与する成分である。そして、硬化物に「白華現象抑制作用」を付与する成分は、成分(C)及び成分(D)である。
このように、マグネシア系水硬化型組成物において、主材成分(成分(A)及び成分(B))に対し、成分(C)やその分散助剤である成分(D)を含有させることによって、得られるマグネシア硬化物の白華現象を抑制することについては、これまでに全く報告されていない。
以下、本発明の水硬化型組成物が含有する各成分について詳細に説明する。
<成分(A)>
成分(A)は、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを含み、酸化マグネシウムの含有量(重量基準)が、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムのいずれの含有量より多いマグネシア系結合材である。すなわち、成分(A)は、酸化マグネシウムを主原料とするマグネシア系結合材である。
本発明の水硬化型組成物において、マグネシア系結合材は、加水して混合することによって硬化し、水硬化型組成物を固化させる作用を有する。
成分(A)は、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを含むことが必須である。マグネシア系結合材の原料として、酸化マグネシウムを使用せず、酸化マグネシウム及び塩化マグネシウムのみを用いた場合、当該原料に水を混合して水硬させてなる硬化物は、吸湿性が高いため反り及び膨張が生じ易いのに加え、耐水性及び耐久性が著しく低い場合がある。一方、マグネシア系結合材の原料として酸化マグネシウム及び硫酸マグネシウムのみを用いた場合、当該原料に水を混合して水硬させてなる固形体に膨張又はひび割れが発生するおそれがある。
これに対して、結合材の原料として酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムを用いた場合は、3つの原料を所定の割合で混合することによって、固形体に前述した如き反り、膨張及びひび割れが生じることなく、また、「酸化マグネシウム及び塩化マグネシウムのみ」あるいは「酸化マグネシウム及び硫酸マグネシウムのみ」の場合よりも耐水性及び耐久性が著しく改善される。
酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムの3原料を混合する好ましい割合を例示すると、酸化マグネシウム含有量が35〜65重量%であり、硫酸マグネシウム含有量が25〜40重量%であり、塩化マグネシウム含有量が10〜25重量%である。
成分(A)の粒径は、他の成分と均一に混合できる範囲で決定され、通常、5〜60μmである。
<成分(B)>
成分(B)である針状メタケイ酸カルシウムは、いわゆる針状無機フィラーであり、本発明の硬化物に優れた機械的強度(曲げ強度、衝撃強度等)を与えることができる。また、針状メタケイ酸カルシウムは、化学的に安定が高いため、本発明の硬化物に耐久性を付与することができる。
針状メタケイ酸カルシウムは、化学式CaSiO3を主成分とする、白色の針状の結晶形状を有し、アスペクト比(直径に対する長さの比)が10倍以上である物質である。針状メタケイ酸カルシウムは、数十〜数百μm程度の範囲で長さ分布があるが、本発明の水硬化型組成物として適した長さ分布のものを使用すればよい。
なお、本発明で使用される針状メタケイ酸カルシウムには、針状形状に類似する細管状、短冊状の結晶形状も含まれるものとする。強度のバランスに優れた硬化物が供給される点で、アスペクト比(直径に対する長さの比)は、15以上が好ましい。
針状メタケイ酸カルシウムは、天然物であっても、人工物であってもよい。特に天然物であるワラストナイト(Wollastonite)が好適である。ワラストナイトは、硬度4.5〜5の結晶性鉱物であり、粉砕すると白色の針状粒子となる。当該針状粒子を針状メタケイ酸カルシウムとして本発明の水硬化型組成物に使用すると、曲げ強度が顕著に増大する。
針状メタケイ酸カルシウムの長さはレーザー解析散乱式測定、アスペクト比は電子顕微鏡(SEM)で観察した任意の粒子10個の平均値として求めることができる。
本発明の水硬化型組成物において、マグネシア系結合材(成分(A))100重量部に対する成分(B)の重量割合が、5〜45重量部であることが好ましく、より好ましくは、20〜40重量部である。
この範囲であれば、得られる硬化物は結合性が高く、高硬度で緻密であり、ひび割れなどが生じづらい水硬化型組成物を与えることができる。この範囲において、その使用時の状況に応じてそれぞれの成分含量を適宜設定し使用すればよい。
<成分(C)>
成分(C)は、水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン及び/又は水系シラン撥水性エマルジョンである。以下、水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョンを「成分(C1)」、水系シラン撥水性エマルジョンを「成分(C2)」と称す。
本発明の水硬化型組成物において、成分(C)である水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン及び/又は水系シラン撥水性エマルジョンは、その分散助剤である成分(D)と共に、主材成分(成分(A)及び成分(B))に含有させることによって、マグネシア硬化物の白華現象を抑制する作用を有する。なお、成分(C)の添加により、マグネシア硬化物の白華が抑制される理由については現段階では完全には明らかではないが、無機系樹脂であるシリコーン変性ウレタン樹脂(成分(C1))、水系シラン(成分(C2))が無機系のマグネシア成分に対して親和性を有すること、これらの樹脂成分が水分を排除する作用を有していることに一因があると予測される。
成分(C1)「水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン」、成分(C2)「水系シラン撥水性エマルジョン」のいずれにも白華現象抑制作用が認められるが、特に成分(C2)「水系シラン撥水性エマルジョン」はより白華の抑制作用に優れる。
以下、成分(C1),成分(C2)について詳述する。
成分(C1):シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン
成分(C1)は、透明なシリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョンであり、樹脂組成中にポリシロキサンを含有する水性シリコーン変性ウレタン樹脂を、溶剤として水、及び水を含む有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)に分散したものが挙げられる。
本発明に好適に用いられる水性シリコーン変性樹脂エマルジョンとして、具体的には、DIC社製のセラネート(登録商標)WSA−104、WSA−1060、WSA−1070、WHW−822、MFGコートSD−101等を好ましく例示することができ、また特開平10−36514号公報、特開平10−36515号公報、特開平11−92536号公報等に記載された方法で製造される水性シリコーン変性樹脂を使用したエマルジョンも好ましい。
後述する実施例で使用したDIC社製のセラネートWHW−822は、特に好ましい水性シリコーン変性樹脂エマルジョンの一例である。
成分(C2):水系シラン撥水性エマルジョン
成分(C2)は、水系シラン撥水性エマルジョンであり、樹脂組成中に水系シランを含有する樹脂を溶剤として水、及び水を含む有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)に分散したものが挙げられる。
本発明に用いられる水性シリコーン変性樹脂エマルジョンとして、具体的には、BASFポゾリス社製「プロテクトシルSCコンセントレイト(商品名)」が好適な一例として挙げられる。当該水性シリコーン変性樹脂エマルジョンは水に対する分散性がよく、任意の量の水に添加して希釈して使用することができる。
本発明の水硬化型組成物において、成分(C)の含有量は、白華現象が抑制できる範囲で適宜決定される。好適には主材成分(成分(A)及び成分(B)の合計)100重量部に対する成分(C)の重量割合が、3〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは、5〜12重量部である。この範囲において、その使用時の状況に応じてそれぞれの成分含量を適宜設定し使用すればよい。
<成分(D)>
成分(D)である水溶性高分子分散助剤は、主材成分(成分(A)及び成分(B))に対して、成分(C)を均一に分散させるために加えられる助剤である。成分(D)を含ませない場合、硬化の際に成分(C)が偏在して、組成物中に成分(C)が均一に分散できず、部分的に白華現象が生じる場合がある。
成分(D)は、成分(C)の分散性を高める作用を有し、具体的には、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール及びアルギン酸ナトリウム等を使用できるが、カルボキシアルキルセルロースが好ましく用いられる。カルボキシアルキルセルロースして具体的には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシエチルセルロース等が挙げられ、特に入手しやすく、化学的な安定性に優れた、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
本発明の水硬化型組成物において、成分(D)の含有量は、組成物中に成分(C)が均一に分散できる範囲で適宜決定される。好適には成分(C)に対して、通常、5〜20重量%であり、主材成分(成分(A)及び成分(B))100重量部に対して0.3〜5重量部である。
(その他の成分)
本発明の水硬化型組成物は、成分(A)〜(D)を必須成分として含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいてよい。これらの添加物の添加量は任意であり、目的に応じて適時設定される。
本発明の水硬化型組成物に含有させる好ましい成分として、以下に説明する修飾フィラー(成分(E)と称す)が挙げられる。
<成分(E)>
成分(E)である修飾フィラーは、本発明の水硬化型組成物に様々な機能や意匠性等を付与するために含有させるフィラーである。成分(E)は1種類でもよく、2種類以上を併せて使用してもよい。
成分(E)としては、必須成分である成分(A)〜(D)に基づく作用、機能が損なわれないものであれば任意であるが、以下に説明する自然材料、特には石粒・石粉や木材チップスが好適に使用される。なお、これらの自然素材の産地は特に限定はないが、特には天草阿蘇横断地域の自然素材が好ましく使用される。
(石粒粉)
石粒粉は、石粒や石粉を総称したものである。粒径は任意であるが、粒径が0.3〜2.4mmの石粒、0.3mm未満の石粉を、成分(A)〜(D)に基づく作用、機能が損なわれない範囲で必要に応じて含有させて使用することが好ましい。
(木材チップス)
木質チップスは木繊維あるいは木チップなどの総称であり、得られる硬化物に意匠性と共に超軽量化をもたらす。特に、木繊維の場合にはすずめ模様を、木チップの場合には白みかがったかすかな輪郭模様が浮かび上がる。原料となる木材の限定はないが、杉は好ましい材の一例である。
他の成分して、例えば、天草白土、天草黄土、朝倉黄土、新紅土、竹チップ、竹炭等も挙げられる。
本発明の水硬化型組成物は、従来公知の手段によって製造することができる。混合順序も任意であり、水硬化型組成物の構成成分(成分(A)〜(D)、任意成分(成分(E)))のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
本発明の硬化物は、上述の水硬化型組成物と、加水して水と混合し硬化して製造される。より詳細には本発明の硬化物は、所定の量の水硬化型組成物に、適宜量の水を入れて十分に撹拌混練し、必要に応じて成形用の型に入れたのち混練物の水硬化・養成を行うことで得ることができる。本発明の水硬化型組成物は、加水し水と混合して硬化するまで、ある程度の時間があるため、適用状況に応じて適当な形状の硬化物を得ることができる。
水硬化型組成物に加える水の量は、水硬化型組成物の成分割合や、温度、湿度、目標とする硬化時間等の諸条件を考慮して適宜決定すればよい。
本発明の硬化物は、白華現象が発生することが回避又は抑制できるため、室外、室内を問わず、水分と接触しやすい環境下においても白華現象による外観不良が生じず、長期間使用することができる。また、機械的強度や付着特性にも優れるため、機械的強度と表面装飾性を有する用途に好適である。
本発明の硬化物は、針状メタケイ酸カルシウムに由来する表面光沢性を有する。また、成分(E)である修飾フィラーを含む場合には、それぞれの修飾フィラーに由来する意匠性を有する。
本発明の硬化物の用途は特に限定がなく、水分が接触しうる環境で使用される任意の用途に使用できる。具体的には、艶のあるパネル、塗り壁、各種プランターおよび花器などがある。
本発明の水硬化型組成物は、既存の白華現象が生じる対象に対しても使用することもできる。すなわち、本発明の白華現象の防止方法は、本発明の水硬化型組成物を、水と混合して硬化する前に、白華現象が生じる対象に塗工し、硬化させる工程を有する方法である。
このような用途で使用する対象は、加水した本発明の水硬化型組成物を塗工できるものであれば任意である。特に、コンクリートを使用した既存の建設物は好適な対象であり、内外壁や床面にも使用することができる。
また、水硬化型組成物は、塗工対象に対する接着力に優れ、かつ、硬化した後には優れた機械的強度と意匠性を有する。また、ベースとなる水硬化型組成物(成分(A)〜(D))は白色であるため着色材を混合したり、硬化後の表面を着色したりして、任意の色にすることができる。そのため、塗工対象が既に白華現象が生じていた場合でも、外観を改善することが容易である。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示であって制限的なものではない。特に、上記で明示的に開示されていない事項は、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)原材料
成分(A)〜(D)として、以下を使用した。
・成分(A):「マグネシア系結合材」
酸化マグネシウム50重量部、硫酸マグネシウム25重量部、塩化マグネシウム25重 量部を、均一になるまで混合して得られたマグネシア系結合材を使用した。
・成分(B):「針状メタケイ酸カルシウム」
ワラストナイト(NYCO Miner ala社、長さ:600μm、アスペクト比:15)を使用した。
・成分(C1):「水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン」
製品名:セラネートWHW−822、メーカー:DIC(株)
・成分(C2):「水系シラン撥水性エマルジョン」
製品名:プロテクトシルSCコンセントレイト、メーカー:BASFジャパン(株)
・成分(D):「カルボキシメチルセルロース」
製品名:CMCTD−1、メーカー:(株)立花マテリアル
(2)サンプルの調製
(実験例1)
成分(A)100重量部と成分(B)10重量部とを均一になるまで混合することにより、実験例1の組成物を得た。実験例1の組成物1000gに、水300gを加えて、均一になるまで混合し、シート状に成形したのちに、室温で48時間養生し、実験例1の硬化物(シート状)を得た。
(実験例2)
実験例1の組成物100重量部に対し、成分(D)1重量部を加え、均一になるまで混合することにより、実験例2の組成物を得た。実験例2の組成物1000gに、水300gを加えて、均一になるまで混合し、シート状に成形したのちに、室温で48時間養生し、実験例2の硬化物(シート状)を得た。
(実験例3)
実験例1の組成物100重量部に対し、成分(C1)8重量部、成分(D)1重量部を加え、均一になるまで混合することにより、実験例3の組成物を得た。実験例3の組成物1000gに、水300gを加えて、均一になるまで混合し、シート状に成形したのちに、室温で48時間養生し、実験例3の硬化物(シート状)を得た。
(実験例4)
実験例1の組成物100重量部に対し、成分(C2)4重量部、成分(D)1重量部を加え、均一になるまで混合することにより、実験例4の組成物を得た。実験例4の組成物1000gに、水300gを加えて、均一になるまで混合し、シート状に成形したのちに、室温で48時間養生し、実験例4の硬化物(シート状)を得た。
(3)評価方法・結果
白華現象の評価は以下の方法で行った。
実験例1〜4の硬化物(シート状、約10×20cm、厚み:約1cm)の下半分を水につけて、上半分を空気中に晒した状態で、経過日数7日の間に、水面の境界の上(上半分)で、どのような変状が生じるかを観察した。温度は20〜25℃であった。
この評価では、空気中に晒された部分(硬化物上半分)には常に水蒸気が接触し、白華現象が起こりやすい条件である。
評価開始から、それぞれの硬化物(空気暴露部分)を目視にて確認したところ、成分(A)「マグネシア系結合材」及び成分(B)「針状メタケイ酸カルシウム」からなる実験例1の硬化物は、評価開始1日後には全面に白い粉状物が生成する著しい白華現象が確認された(図示せず)。また、成分(A)、(B)及び成分(D)「カルボキシメチルセルロース」からなる実験例2の硬化物についても、評価開始1日後には白い粉状物が生成しはじめ、評価開始7日後には多量の粉状物が生成していた(図1(写真1)参照)。
一方、成分(A)、(B)、(D)及び成分(C1)「水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン」からなる実験例3の硬化物では、評価開始1日後には白い粉状物が認められず、評価開始7日後においてもわずかな粉状物が認められるのみであった(図2(写真2)参照)。
さらに、成分(A)、(B)、(D)及び成分(C2)「水系シラン撥水性エマルジョン」からなる実験例4の硬化物では、評価開始1日後のみならず、評価開始7日後においても粉状物の生成が認められなかった。(図3(写真3)参照)。
以上の結果から、成分(C1)、成分(C2)を含有させることによって、マグネシア系水硬化型組成物の白華現象を抑制できることが確認された。
本発明の水硬化型組成物は、加水するだけで容易に硬化させることでき、白華現象の生じない硬化物が得られるので、産業上有望である。

Claims (7)

  1. 下記成分を含有することを特徴とする水硬化型組成物。
    成分(A):酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを含み、酸化マグネシウムの含有量(重量基準)が、硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムのいずれの含有量より多いマグネシア系結合材
    成分(B):針状メタケイ酸カルシウム
    成分(C):水性シリコーン変性ウレタン樹脂エマルジョン及び/又は水系シラン撥水性エマルジョン
    成分(D):カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はカルボキシエチルセルロースからなる水溶性高分子分散助剤
  2. 成分(C)が、水系シラン撥水性エマルジョンである請求項1に記載の水硬化型組成物。
  3. 成分(D)が、カルボキシメチルセルロースである請求項1または2に記載の水硬化型組成物。
  4. 成分(A)100重量部に対する成分(B)の重量割合が5〜45重量部であり、
    成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対する成分(C)の重量割合が3〜15重量部、成分(D)の重量割合が0.3〜5重量部である請求項1から3のいずれかに記載の水硬化型組成物。
  5. さらに成分(E)として、修飾フィラーを含有する請求項1から4のいずれかに記載の水硬化型組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の水硬化型組成物に加水して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の水硬化型組成物を、水と混合して硬化する前に、白華現象が生じる対象に塗工し、硬化させる工程を有することを特徴とする白華現象の防止方法。
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