以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、薬剤供給装置1の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態の薬剤供給装置1は、装置の外形を成す筐体2を備えている。筐体2は、上部筐体3と、下部筐体4とを有している。上部筐体3は、下部筐体4に対し上方に配置されている。下部筐体4は、上部筐体3に対し下方に配置されている。
筐体2の最上部には、天井部5が設けられている。天井部5は、平面視矩形状の形状を有している。平面視した上部筐体3の四隅には、左前柱部11、右前柱部12、図1には図示しない左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14の上端は、それぞれ天井部5に連結されている。天井部5は、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13および右後柱部14によって、支持されている。
上部筐体3の内部には、略円筒状の外形を有するドラム20が配置されている。ドラム20の詳細構成については後述する。なお、上部筐体3には、実際には四方の側面を覆うカバーが設けられているが、図1および後述する図では、ドラム20をより明確に図示する目的で、カバーは図示を省略されている。上部筐体3の前側のカバーは、開閉可能に構成されている。
下部筐体4の前面には、開閉扉6,7が設けられている。開閉扉6,7は開閉可能に構成されている。薬剤供給装置1を使用する作業者は、開閉扉6,7を開けて、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を、下部筐体4の内部から取り出すことができる。開閉扉6,7には、開口が設けられてもよく、この開口から、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を取り出すことができるようにしてもよい。
図2は、弧状分割体30の構成を示す斜視図である。図2に示す弧状分割体30は、図1に示す略円筒状のドラム20を、周方向に分割したものである。弧状分割体30の概略の外形は、中空円筒を周方向に等分割した形状である。複数の弧状分割体30が組み立てられて、図1に示すドラム20が形成されている。図1に示すドラム20は、弧状分割体30が組み合わされて構成された、中空筒状体である。
図2に示す弧状分割体30は、複数の薬剤収容部31と、薬剤収容部31と同数の支持体32とを有している。薬剤収容部31は、中空の容器である。薬剤収容部31は、開閉可能な蓋部を有している。複数の薬剤収容部31の各々の内部空間には、薬剤が収容されている。薬剤は、蓋部を開放することにより、薬剤収容部31に収容される。本実施の形態の薬剤収容部31に収容されている薬剤の剤形は、錠剤である。本実施の形態の薬剤供給装置1は、一種類または複数種類の錠剤を分包して供給するための装置である。
各々の支持体32は、板状に形成されている。支持体32は、互いに間隔を空けて並べられている。薬剤収容部31は、上下の支持体32間に、着脱自在に取り付けられている。各々の薬剤収容部31は、薬剤供給装置1に装着および薬剤供給装置1からの取り外しが可能な、カセットとして設けられている。
弧状分割体30の上端部分には、円環板を周方向に分割した形状の天井部34が設けられている。弧状分割体30の下端部分には、薄肉円筒を周方向に分割した形状の外装板35が設けられている。外装板35の一部が切り欠かれて、穴部36が形成されている。穴部36は、薬剤供給装置1を使用する作業者が手指を挿し入れ可能なように、形成されている。
図3は、図2とは異なる角度から見た弧状分割体30の斜視図である。図3に示すように、弧状分割体30は、内周面39を有している。内周面39は、中空円筒を周方向に分割した弧状分割体30の外表面のうち、当該中空円筒の中心線に向く表面である。内周面39は、円筒面を周方向に分割した形状を有している。内周面39は、円筒面の一部の形状を有している。内周面39は、部分円筒面状である。
図3および他の図中に示す軸方向Zは、内周面39を形成する部分円筒面の軸方向を示している。図3および他の図中に示す径方向Rは、内周面39を形成する部分円筒面の径方向を示している。図3および他の図中に示す周方向θは、内周面39を形成する部分円筒面の周方向を示している。
弧状分割体30には、径方向Rに延びる複数の枝通路部37が形成されている。各々の枝通路部37内には、第1表面38が設けられている。図3に示す第1表面38は、軸方向Zに対して傾斜しており、枝通路部37内の底面を構成している。各々の枝通路部37は、弧状分割体30の内周面39に開口している。また枝通路部37は、図1に示す薬剤収容部31の内部空間に繋がっている。枝通路部37は、薬剤収容部31の各々と、内周面39とを連通している。
図3に示すように、枝通路部37は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。図2に示すように、薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。薬剤収容部31および枝通路部37は、軸方向Zおよび周方向θに並んで配置されている。弧状分割体30は、軸方向Zに並んで配置された薬剤収容部31を、複数列備えている。複数列の薬剤収容部31が、周方向θに並んでいる。薬剤収容部31は、弧状分割体30の外周面に面して配置されている。薬剤収容部31は、径方向Rに移動可能に設けられている。支持体32は、径方向Rに延びている。
弧状分割体30は、第1の側面40と、第2の側面43とを有している。第1の側面40と第2の側面43とは、平面状の形状を有している。第1の側面40と第2の側面43とは、弧状分割体30の下端から上端に亘って軸方向Zに延びており、かつ、弧状分割体30の内周面39から外周面に亘って径方向Rに延びている。
弧状分割体30の第1の側面40には、上方軸支持部41が固定されている。上方軸支持部41には、2箇所の貫通穴部が形成されている。これら2つの貫通穴部は、軸方向Zに離れて形成されている。2つの貫通穴部は、円形に形成されており、平面視において中心を共通している。上方軸支持部41は、図示しない上方回動軸部を受けて、上方回動軸部に対して相対回転可能に設けられている。この上方回動軸部は、ドラム20の躯体に取り付けられている。
弧状分割体30の第1の側面40にはまた、下方回動軸部42が取り付けられている。第1の側面40には、下方軸支持部が固定されており、下方軸支持部には上方軸支持部41と同様の2つの貫通穴部が形成されている。下方回動軸部42は、下方軸支持部に形成された貫通孔部を貫通している。下方回動軸部42は、第1の側面40の下端部よりも下方に延びている。下方回動軸部42は、ドラム20の躯体に係合している。
図3中に一点鎖線で示す回転軸Aは、軸方向Zに延びる仮想的な直線である。回転軸Aは、上方軸支持部41に形成された2つの貫通穴部の中心を通り、下方回動軸部42の軸線を通っている。回転軸Aは、弧状分割体30の回転の中心となる。弧状分割体30は、回転軸Aを中心として回動可能である。
図4は、薬剤供給装置1の部分断面図である。図4に示す部分断面図は、図1に示す薬剤供給装置1を、軸方向Zに直交する方向に延びドラム20を通る平面に沿って切断した下側の切断面を示している。図4に示すように、上部筐体3を平面視した四隅には、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。
ドラム20は、4つの弧状分割体30を有している。図2,3に示す弧状分割体30が、内周面39を円筒状に沿わせて4つ並んで配置されることにより、図4に示す略円筒形状のドラム20が形成されている。弧状分割体30は、略円筒形状のドラム20を、周方向に4分割したものである。各々の弧状分割体30は、周方向θに4列並べられた複数の薬剤収容部31を有している。
図4に示す中心線Oは、図4に示すように並べて配置された弧状分割体30の、部分円筒面状の内周面39の中心線を示している。中心線Oはまた、略円筒形状のドラム20の中心線を示している。中心線Oは、図4の紙面垂直方向に延びている。図3,4に示す回転軸Aは、中心線Oから離れる位置に設けられ、中心線Oと平行に延びている。回転軸Aは、ドラム20の外周縁の近傍に設けられている。回転軸Aは、図4の紙面垂直方向に延びている。図2,3に示す軸方向Zは、図4の紙面垂直方向に相当する。
薬剤収容部31に対しドラム20の中心線O近くに、上述した枝通路部37が形成されている。
複数の弧状分割体30は、中心線Oを中心として周方向に並べられ、中空円筒状の形状を形成している。複数の弧状分割体30は、図4中に両矢印で示す回動方向DR1のように、中心線Oを中心として一体的に回動可能である。複数の弧状分割体30は、上部筐体3に対して相対回転可能に設けられており、薬剤供給装置1の前面に各々の弧状分割体30を順次移動できるように、構成されている。なお、図4中の下側が薬剤供給装置1の前面に相当する。
弧状分割体30に対し中心線O近くに、ドラム20の躯体の一部を構成する支柱50が配置されている。支柱50は、中心線Oに沿って、図4の紙面垂直方向に延びている。支柱50は、中空に形成されている。支柱50の内部には、中空空間53が形成されている。支柱50の、中空空間53に面する内周面には、4本の構造柱54が設けられている。構造柱54は、図4の紙面垂直方向に延びる中実円柱状の形状を有している。
支柱50の外周面には、図4の紙面垂直方向に延びる複数の溝形状が形成されている。この溝形状は、軸方向Zに延びる主通路部51を構成している。複数の溝形状が、複数の主通路部51を形成している。複数の主通路部51は、互いに平行に延びている。弧状分割体30の内周面39は、主通路部51に面している。弧状分割体30の内周面39は、主通路部51の壁面の一部を構成している。内周面39は、主通路部51の径方向Rにおける外側の壁面を構成している。
主通路部51は、弧状分割体30に対して径方向Rの内方に形成されている。薬剤収容部31は薬剤供給装置1の前面に面して配置されており、主通路部51は、薬剤収容部31に対して、薬剤供給装置1の奥側に形成されている。
図4に示すように、本実施の形態では、支柱50の外周面には、周方向に8箇所の主通路部51が形成されている。8箇所の主通路部51は、周方向θに並んでいる。1つの弧状分割体30に対し、2つの主通路部51が形成されている。周方向θに並ぶ2列の薬剤収容部31に対して、1つの主通路部51が設けられている。2つの枝通路部37に対し、1つの主通路部51が形成されている。枝通路部37は、主通路部51に連通している。薬剤収容部31と主通路部51とは、枝通路部37を介して、互いに連通している。
各々の下方回動軸部42に対し中心線O近くに、補強ステー49が配置されている。本実施の形態では、ドラム20は4つの弧状分割体30を有し、4つの下方回動軸部42を有しているため、補強ステー49も4箇所に設けられている。補強ステー49は、図4の紙面垂直方向に延びている。補強ステー49は、上部筐体3の下端部近傍から上端部近傍まで、上下方向に延在している。ドラム20は、円環平板状の底板21と、底板21と同形状の図示しない天井板とを有している。補強ステー49の下端は、底板21に固定されている。補強ステー49の上端は、天井板に固定されている。
図5は、薬剤が通過する経路の構成を示す部分断面図である。上述したように、薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられて配置されており、上下の支持体32間に挟まれて配置されている。枝通路部37は、薬剤収容部31に連通している。枝通路部37は、第1表面38を有している。枝通路部37は、主通路部51に連通している。弧状分割体30の内周面39は、主通路部51に面しており、主通路部51の壁面の一部を構成している。図5に示すように、内周面39に対向する対向面52が、主通路部51の壁面の一部を構成している。内周面39と対向面52とは、軸方向Zに沿って延びており、略平行に形成されている。
図5に示すように、薬剤供給装置1は、可動部材90を備えている。可動部材90は、ベース部91と、板状部94とを有している。ベース部91は、略円筒状の形状を有している。ベース部91の軸方向は、図5中の紙面垂直方向である。ベース部91の中心部分に、回動軸92が設けられている。回動軸92は、図5中の紙面垂直方向に延在している。回動軸92は、主通路部51の表面を構成している内周面39の近傍に設けられている。詳細を後述する通り、可動部材90は、回動軸92を中心にして回動可能である。
ベース部91は、主通路部51に面して配置されている。略円筒状のベース部91の外表面の一部が、内周面39に対して突出し、主通路部51内に突出している。この主通路部51内に突出する部分は、突出部93を構成している。
板状部94は、略円筒状のベース部91の外表面に連なるように、ベース部91に連結されている。板状部94は、平板状の形状を有している。板状部94の主表面の一方が、第1表面38を構成している。板状部94の主表面の他方は、弧状分割体30の躯体に面している。第1表面38は、略円筒状のベース部91の外周面に対する接平面をなしている。図5に示す可動部材90の配置において、第1表面38は、枝通路部37内に配置されており、軸方向Zに対して斜めに傾斜している。図5に示す可動部材90の配置を、傾斜位置と称する。傾斜位置にある可動部材90の第1表面38が、枝通路部37の底面を構成している。
枝通路部37と主通路部51とは、薬剤収容部31から排出される薬剤が通過する経路である薬剤通路部を構成している。図6は、枝通路部37および主通路部51を通過する薬剤Mを示す部分断面図である。図6に示すように、複数の薬剤収容部31の各々から排出される薬剤Mは、枝通路部37、主通路部51を順に経由して落下し、供給される。
薬剤収容部31から排出される薬剤Mは、まず、枝通路部37を通過する。枝通路部37を通過する薬剤Mは、枝通路部37の底面を構成する第1表面38に沿って、移動する。枝通路部37を通過する薬剤Mは、第1表面38上を滑り落ちる、または第1表面38に沿って転がり落ちるように、移動する。
枝通路部37を通過した薬剤Mは、主通路部51へ入る。枝通路部37から主通路部51へ移動した薬剤Mは、枝通路部37内を落下した勢いによって、内周面39から対向面52へ向かう速度成分を有している。図6に示すように、いくつかの薬剤Mは、対向面52にまで到達する。対向面52にまで到達した薬剤Mは、対向面52と衝突して跳ね返り、対向面52から離れ内周面39に近づくように移動しながら、主通路部51内を落下する。
本実施の形態の薬剤供給装置1において、軸方向Zは、鉛直方向であってもよい。または、軸方向Zは、鉛直方向に対して傾斜する方向であってもよい。主通路部51の上端と下端とが一義的に定められ、主通路部51に入りこんだ薬剤Mが重力の作用によって下端へ向かって移動するように、鉛直方向および水平方向に対する薬剤供給装置1の配置が規定されている。
図7は、弧状分割体30を回転させた状態を示す斜視図である。図8は、弧状分割体30を回転させた状態を示す部分断面図である。図7,8に示すように、弧状分割体30は、軸方向Zに延びる回転軸Aを中心として、回動可能である。弧状分割体30は、図8中に両矢印で示す回動方向DR2のように、回転軸Aを中心として回動可能である。図2を参照して説明した通り、弧状分割体30は、周方向θに並ぶ複数列の薬剤収容部31を有している。周方向θに並ぶ複数列の薬剤収容部31が、回転軸Aを中心として、一体的に回動可能である。
ドラム20の底板21には、受け部材71が固定されている。ドラム20の外装板35(図2)の、穴部36が形成された位置の上方に、フック部材75が取り付けられている。受け部材71とフック部材75とは、ドラム20の躯体に対して弧状分割体30を移動不能にロックする、ロック装置を構成している。
図7,8において、弧状分割体30は、ドラム20の略円筒形状の径方向外側へ向けて、回動している。弧状分割体30の内周面39は、弧状分割体30の回動に伴って、回転軸Aを中心として移動する。内周面39は、主通路部51の壁面を構成している。図8に示す、弧状分割体30を回転軸Aを中心に時計回り方向に移動させた状態で、内周面39が移動した結果、主通路部51の壁面の一部が移動している。図7,8に示す、弧状分割体30を回転軸Aを中心に中心線Oから離れる方向へ回動させた状態で、主通路部51が露出している。この状態で、薬剤供給装置1を使用する作業者は、対向面52などの主通路部51の壁面、および弧状分割体30の内周面39に、容易にアクセス可能となる。
図9は、実施の形態1における薬剤が通過する通路の清掃の状況を示す第1の部分断面図である。実施の形態1では、薬剤が通過する通路を清掃するとき、薬剤供給装置1を使用する作業者が図9〜11に示す払拭部材61を手に持って、弧状分割体30の内周面39に沿って払拭部材61を移動させる。これにより払拭部材61は、内周面39上を摺動して、内周面39を払拭する。図7,8に示すように弧状分割体30を回動させることにより、作業者は内周面39に容易にアクセス可能になっている。
払拭部材61は、主通路部51の表面上を滑らかに摺動可能に形成されている。払拭部材61は、容易に弾性変形可能な素材で形成されていてもよい。払拭部材61はたとえば、ブラシ、フェルト、スポンジ、ゴム、および不織布からなる群から選ばれたいずれか1つの構成を含んで構成されていてもよい。
払拭部材61は、内周面39上を摺動しながら、図9中の矢印で示すように下方へ移動し、可動部材90に接近する。図9に示す可動部材90は、傾斜位置に配置されている。
図10は、実施の形態1における薬剤が通過する通路の清掃の状況を示す第2の部分断面図である。図9に示す配置から払拭部材61がさらに移動することにより、払拭部材61は可動部材90の突出部93に当接する。払拭部材61が突出部93に当接した状態で図10中の矢印で示すように下方へ移動することにより、可動部材90に回動軸92回りのモーメントが作用する。これにより可動部材90は、回動軸92を中心にして、図10中の時計回り方向に回動する。可動部材90は、回動軸92を支点にして跳ね上がり、図9に示す傾斜位置から移動する。
可動部材90の板状部94は、第1表面38と、第1表面38とは反対側の第2表面95とを有している。弧状分割体30は、図10に示すように、軸方向Zに対して傾斜する傾斜面38aを有している。可動部材90が傾斜位置にあるときには、図9に示すように、可動部材90の第2表面95は傾斜面38aに接触している。可動部材90が図10中に示す曲線矢印方向に移動することにより、可動部材90の第2表面95は、傾斜面38aから離れる。図10に示す配置では、可動部材90の第1表面38が軸方向Zに対して傾斜する角度が、図9に示す傾斜位置の配置よりも小さくなっている。
図11は、実施の形態1における薬剤が通過する通路の清掃の状況を示す第3の部分断面図である。図10に示す配置から払拭部材61がさらに移動することにより、可動部材90もまた、回動軸92を中心にして図11中の時計回り方向にさらに回動する。可動部材90の第1表面38は、軸方向Zに沿って延びている。これにより、可動部材90の第1表面38が、払拭部材61に面接触する。図11に示す可動部材90の配置を、払拭位置と称する。
払拭部材61が可動部材90の第1表面38に接触した状態で、払拭部材61が図11中の矢印で示すように下方へ移動することにより、払拭部材61は払拭位置にある可動部材90の第1表面38上を摺動して、第1表面38を払拭する。払拭部材61が内周面39に沿って下向きに移動することにより、複数の可動部材90が順に清掃される。払拭部材61が内周面39の上端縁から下端縁にまで移動することにより、複数の可動部材90の全てが清掃される。
(実施の形態2)
図12は、実施の形態2における清掃部60の構成を示す模式図である。図12に示すように、実施の形態2の薬剤供給装置1は、主通路部51と枝通路部37の底面とを自動で清掃するための清掃部60を備えている。清掃部60は、払拭部材61と、駆動部62と、索状部63とを有している。
図12に示す払拭部材61は、主通路部51を清掃しておらず、待機状態にある。待機状態にある払拭部材61は、主通路部51の上方の外部に配置されている。駆動部62は、主通路部51の上方の外部に配置されている。払拭部材61と駆動部62とは、主通路部51に対して上方に配置されている。払拭部材61と駆動部62とは、主通路部51の上端よりも上方に配置されている。索状部63は、払拭部材61と駆動部62とを連結している。索状部63は、駆動部62から下方に吊り下げられている。索状部63の下端に、払拭部材61が連結されている。索状部63は、主通路部51の上方の外部に配置されている。
駆動部62は、払拭部材61を軸方向Zに移動させる駆動力を発生する。駆動部62は、索状部63が軸方向Zに延びる長さを変更する。図12に示す索状部63は、軸方向Zに延びる長さが最も小さい状態である。図12に示す状態から、索状部63が軸方向Zに延びる長さが増大するにつれて、索状部63の下端に連結された払拭部材61が、下方へ移動する。索状部63が軸方向Zに延びる長さが減少すると、索状部63の下端に連結された払拭部材61が上方へ移動する。
払拭部材61は、主通路部51内を、軸方向Zに移動可能に設けられている。払拭部材61は、主通路部51の上方の外部から、主通路部51の上端を経由して主通路部51内に移動可能である。払拭部材61は、主通路部51の内部から、主通路部51の上端を経由して主通路部51の上方の外部へ移動可能である。
索状部63として、チェーン、フレキシブルラックなどの、主通路部51内における軸方向Zの延在長さを調節可能な任意の部材が用いられてもよい。駆動部62は、モータを含んで構成されていてもよい。
払拭部材61は、主通路部51の内表面に接触している。払拭部材61は、主通路部51の表面を構成している対向面52と内周面39との両方に、面接触している。軸方向Zに移動する払拭部材61は、対向面52および内周面39を含む主通路部51の表面上を摺動して、主通路部51の表面を払拭する。
払拭部材61は、当接部61aを有している。当接部61aは、払拭部材61の本体部から、下方に突出している。当接部61aは、払拭部材61の下面のうち、弧状分割体30の内周面39側の縁部に、設けられている。なお、払拭部材61には、本体部から下方に突出する当接部が必ずしも設けられなくてもよい。払拭部材61が主通路部51の表面を払拭するとき、払拭部材61の本体部の一部が、可動部材90の突出部93に当接する構成としてもよい。
実施の形態2では、薬剤が通過する通路を清掃するとき、清掃部60が稼働することによって、自動で清掃が行なわれる。駆動部62は、払拭部材61を、図12に示す主通路部51の上方の外部から、主通路部51の下端部分にまで、軸方向Zに移動させる。払拭部材61が主通路部51内を下方へ移動するとき、対向面52および内周面39を含む主通路部51の内表面の全体に対して、払拭部材61が摺動する。これにより、主通路部51の内表面の全体が払拭部材61により払拭され、主通路部51の表面に付着した薬剤Mの粉塵が清掃される。払拭部材61を主通路部51の下端部分まで移動させた後に、駆動部62は、払拭部材61を上方へ移動させ、図12に示す主通路部51の上方の外部にまで払拭部材61を戻す。
図13は、実施の形態2における可動部材90の斜視図である。図14は、実施の形態2における可動部材90の側面図である。図13,14に示すように、可動部材90は、磁性体96を有している。磁性体96は、薄い平板状の形状を有している。磁性体96は、たとえば鋼製である。磁性体96は、可動部材90の板状部94の第2表面95に取り付けられている。磁性体96は、図13に示すように板状部94の第2表面95に露出する一方、板状部94の第1表面38には露出しないように、設けられている。
図13,14に示す磁性体96は、可動部材90の板状部94に埋め込まれるように配置されている。この例のほか、磁性体96は、平面状の第2表面95上に貼着されてもよい。磁性体96に替えて、可動部材90に永久磁石が取り付けられていてもよい。
図15は、実施の形態2における薬剤が通過する通路の清掃の状況を示す第1の部分断面図である。払拭部材61は、内周面39上を摺動しながら、図15中の矢印に示すように主通路部51内を下方へ移動し、可動部材90の突出部93に当接する。払拭部材61の当接部61aが、可動部材90の突出部93に当接する。払拭部材61が突出部93に当接した状態で図15中の矢印で示すように下方へ移動することにより、可動部材90に回動軸92回りのモーメントが作用する。これにより可動部材90は、回動軸92を中心にして回動し、傾斜位置から移動する。
可動部材90が図15中に示す曲線矢印方向に移動することにより、可動部材90の第2表面95は、傾斜面38aから離れる。図15に示す配置では、可動部材90の第1表面38が軸方向Zに対して傾斜する角度が、傾斜位置の配置よりも小さくなっている。
図16は、実施の形態2における薬剤が通過する通路の清掃の状況を示す第2の部分断面図である。図15に示す配置から払拭部材61がさらに移動することにより、可動部材90もまた、回動軸92を中心にしてさらに回動して、払拭位置に移動する。払拭位置にある可動部材90の第1表面38は、軸方向Zに沿って延びている。これにより、可動部材90の第1表面38が、払拭部材61に面接触する。
図15,16に示すように、払拭部材61には、磁石66が取り付けられている。磁石66は、払拭部材61の内部に埋め込まれている。磁石66は、払拭部材61の内部における、内周面39上を摺動する面により近く、対向面52上を摺動する面からより離れる位置に、配置されている。
払拭部材61が磁石66を有し、可動部材90が図13,14に示す磁性体96を有することにより、磁力の作用によって、可動部材90が払拭部材61に引き寄せられる。磁性体96は、磁石66に吸引される被吸引部材としての機能を有している。これにより、可動部材90の第1表面38が払拭部材61に確実に面接触できる構成が、実現されている。
払拭部材61が可動部材90の第1表面38に接触した状態で図16中の矢印で示すように下方へ移動することにより、払拭部材61は払拭位置にある可動部材90の第1表面38上を摺動して、第1表面38を払拭する。払拭部材61が内周面39に沿って下向きに移動することにより、複数の可動部材90が順に清掃される。払拭部材61が内周面39の上端縁から下端縁にまで移動することにより、複数の可動部材90の全てが清掃される。
可動部材90が払拭位置にあり、払拭部材61が可動部材90の第1表面38を払拭するときに、磁性体96が磁力の作用で磁石66に吸引されていることにより、可動部材90が払拭部材61から離れる方向へ移動することが抑制されている。磁石66と磁性体96とは、払拭位置にある可動部材90の払拭部材61から離れる方向への移動を抑制する、移動抑制部としての機能を有している。
実施の形態2の払拭部材61は、薬剤供給装置1に対して着脱可能であってもよい。払拭部材61が薬剤供給装置1から取り外し可能であるため、払拭部材61を薬剤供給装置1から取り外した状態で、容易に払拭部材61を整備することができる。払拭部材61が薬剤通路部の表面上を払拭する能力が低下した場合には、新しい払拭部材61に容易に交換することができる。
実施の形態2の清掃部60は、複数の主通路部51に対して1つ設けられてもよい。複数の主通路部51を、図4中に両矢印で示す回動方向DR1に回動することにより、清掃部と主通路部51とを相対的に移動させて、各々の主通路部51を順に清掃部60に合わせて配置することができる。1つの清掃部60を用いて複数の主通路部51を順に清掃する構成とすることにより、薬剤供給装置1の部品点数を削減することができる。
実施の形態2で説明した移動抑制部を構成している磁石66と磁性体96とを、実施の形態1の薬剤供給装置1に適用してもよい。移動抑制部は、磁石と磁性体との組合せに限られず、可動部材90と払拭部材61との両方に磁石が設けられてもよい。また、移動抑制部は、磁石を用いる構成の他、可動部材が払拭部材から離れる方向へ移動することを抑制できるのであれば、どのような構成であってもよい。たとえば、可動部材を払拭位置に保持するための構成を別に設けてもよく、払拭位置にある払拭部材と可動部材とを機械的に係合する構成を設けてもよく、エアの吸引によって可動部材を払拭部材に吸着する構成を設けてもよい。
以上説明した実施の形態の薬剤供給装置1の構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。なお、実施の形態の構成に参照番号を付すが、これは一例である。
上述した実施の形態に係る薬剤供給装置1は、図5に示すように、主通路部51と、複数の枝通路部37とを備えている。主通路部51は、鉛直方向に沿って延びており、複数の枝通路部37と連通している。図6に示すように、複数の薬剤収容部31の各々から排出される薬剤は、枝通路部37を通過する。枝通路部37を通過した薬剤は、主通路部51を落下する。
薬剤供給装置1は、可動部材90を備えている。可動部材90は、第1表面38を有している。可動部材90は、第1表面38が枝通路部37内において鉛直方向に対して傾斜する図5,9に示す傾斜位置と、第1表面38が鉛直方向に延びる図11,16に示す払拭位置とに移動可能である。傾斜位置にある可動部材90の第1表面38が、枝通路部37の底面を構成している。
薬剤収容部31から排出される薬剤Mは、枝通路部37の底面を構成する第1表面38に沿って、枝通路部37を通過する。枝通路部37を移動する薬剤Mが第1表面38に接触することにより、薬剤Mの表面に削れまたは欠けが発生し、薬剤Mの粉塵が第1表面38に付着する。そのため、第1表面38を定期的に清掃する必要がある。本実施の形態によれば、可動部材90を払拭位置に移動することにより、主通路部51の表面を清掃する作業の際に、同時に第1表面38を清掃できる。したがって、枝通路部37の底面を容易に清掃することができ、枝通路部37の清掃作業に要する手間を軽減することができる。
また図11に示すように、主通路部51の表面上を摺動して払拭する払拭部材61が、払拭位置にある可動部材90の第1表面38上を摺動して払拭する。払拭部材61が主通路部51の表面と第1表面38との両方を払拭する構成とすることにより、主通路部51の表面を清掃する作業の際に、第1表面38を確実に清掃することができる。
また図10,15に示すように、可動部材90は、主通路部51内に突出する突出部93を有している。可動部材90は、払拭部材61が突出部93に当接することにより、傾斜位置から払拭位置へ向けて移動する。このようにすれば、可動部材90を傾斜位置から払拭位置へ変位させるための駆動源を設ける必要がなく、簡単な構成で可動部材90を払拭位置へ移動することができ、薬剤供給装置1の部品点数を削減することができる。
また図12に示すように、薬剤供給装置1は、払拭部材61と、払拭部材61を鉛直方向に移動させる駆動部62をさらに備えている。払拭部材61は、主通路部51内を鉛直方向下向きに移動するとき突出部93に当接する当接部61aを有している。図16に示すように、払拭部材61は、主通路部51の表面上を摺動して払拭するとともに、払拭位置にある可動部材90の第1表面38上を摺動して払拭する。
駆動部62が払拭部材61を鉛直方向に移動させることにより、払拭部材61が主通路部51の表面上および枝通路部37の底面上を摺動して払拭する。これにより、自動で主通路部51の表面と枝通路部37の底面とを清掃できる。当接部61aが突出部93に当接して可動部材90を払拭位置へ移動させることにより、確実に払拭部材61に可動部材90の第1表面38を払拭させることができる。したがって、枝通路部37の底面を清潔な状態に保つことができ、枝通路部37の清掃作業に要する手間を軽減することができる。
また図15,16に示すように、払拭部材61は、磁石66を有している。図13,14に示すように、可動部材90は磁性体96を有している。磁性体96は、磁石66に吸引される被吸引部材としての機能を有している。磁石66と磁性体96とは、払拭位置にある可動部材90の払拭部材61から離れる方向への移動を抑制する移動抑制部を構成している。
このようにすれば、可動部材90が磁力によって払拭部材61に引き寄せられて、可動部材90の払拭位置への移動が促進される。払拭位置に移動した可動部材90は、磁力によって払拭部材61に吸着されるので、可動部材90の第1表面38を払拭部材61に密着させることができる。払拭位置にある可動部材90は、磁石66と磁性体96との吸引によって、払拭部材61から離れる方向へ移動することが抑制されている。したがって、枝通路部37の底面を構成する第1表面38を、確実に払拭することができる。
また図9〜11に示すように、可動部材90は、回動軸92を中心にして回動可能である。回動軸92は、主通路部51の表面を構成している内周面39の近傍に設けられている。このようにすれば、簡単な構成で可動部材90を傾斜位置と払拭位置とに変位させることができる。
なお、これまでの説明においては、複数の薬剤収容部31が軸方向Zおよび周方向θに並んで配置されて略円筒状のドラム20を形成する例について説明した。この例に限られず、略鉛直方向に並べられた複数の薬剤収容部の背後に薬剤が通過する薬剤通路部が形成される任意の構成としてもよい。たとえば、複数の薬剤収容部が鉛直面上に縦横に並べられ、これら薬剤収容部の背後に薬剤通路部が形成される構成としてもよい。この場合においても、上記の実施の形態で説明した清掃部60を用いて薬剤通路部を清掃するようにすれば、薬剤通路部の清掃作業に要する手間を軽減できる効果を、同様に得ることができる。
可動部材90は、回動軸92を中心にして回動する例に限られるものではなく、払拭部材61の主通路部51内の移動に伴って傾斜位置からスライド移動して、第1表面38が主通路部51に面する位置まで移動する構成としてもよい。薬剤供給装置1は、可動部材90を傾斜位置から払拭位置へ移動させるための駆動源を備えてもよい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。