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JP6666089B2 - プロピレン系樹脂組成物および成形体 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Description

本発明は、透明性に優れるプロピレン系樹脂組成物、および該組成物から形成される成形体に関する。
ゼリー、プリン、コーヒー等の食品の包装容器(以下、食品包装容器とも記す)として、内容物の視認性、すなわち透明性に優れる容器が従来から求められている。透明性に優れる容器としては、その原料として、耐熱性、剛性および透明性に優れるプロピレン系樹脂組成物が用いられることが多い。
また、食品はその保管・流通において、低温の環境で扱われることが多いため、食品包装容器には、常温における耐衝撃性だけではなく、低温時の耐衝撃性、すなわち低温耐衝撃性が求められる。
耐衝撃性に優れるプロピレン系樹脂組成物として、プロピレン‐エチレンブロック共重合体、造核剤、および低密度ポリエチレン樹脂若しくは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含む組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
耐衝撃性に優れるプロピレン系樹脂組成物としては、プロピレンブロック共重合体と、エチレン系樹脂からなる、特定の物性を有する組成物が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
また、特許文献4には、特定のポリプロピレン樹脂と、特定のエチレン・α-オレフィン共重合体と、造核剤とを含むプロピレン系樹脂組成物、および該組成物から得られる成形体や容器が知られている。
従来から、弾性率などの機能に優れた食品包装容器を製造するために、プロピレン系樹脂にエチレン系樹脂を添加することが行われてきたが、このようにして得られた組成物は、プロピレン系樹脂単味の場合に比べると透明性が劣後することが知られており、適度なエチレン系樹脂を配合した透明性の高い材料が求められていた。
特開2001−26686号公報 特開2002−187996号公報 特開2002−187997号公報 国際公開第2010/074001号
本発明は上記従来技術の有する課題を鑑みてされたものであり、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、透明性に優れるだけでなく、低温耐衝撃性および剛性のいずれにも優れるプロピレン系樹脂組成物および該組成物から形成される容器等の成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のポリプロピレン樹脂、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂、および特定のオレフィン系樹脂を含む組成物が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のプロピレン系樹脂組成物は下記要件(A1)〜(A3)を満たすポリプロピレン樹脂(A)57〜80重量部、下記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)17〜40重量部、および下記要件(C1)〜(C4)を満たすオレフィン系樹脂(C)3〜20重量部(ただし、ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)、およびオレフィン系樹脂(C)の合計を100重量部とする)と、造核剤0.1〜1.0重量部とを含むことを特徴とする。
(A1)ポリプロピレン樹脂(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(25rad/s)が100〜1000Pa・sである。
(A2)ポリプロピレン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が10〜170g/10分である。
(A3)ポリプロピレン樹脂(A)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、プロピレン由来の構成単位を80モル%超100モル%以下有する。
(B1)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度が885〜925kg/m3である。
(B2)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が0.1〜100g/10分である。
(B3)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、エチレン由来の構成単位を80モル%超99モル%以下で有する。
(C1)オレフィン系樹脂(C)が、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる主鎖およびプロピレン重合体からなる側鎖を有するグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む。
(C2)オレフィン系樹脂(C)に含まれるプロピレン重合体の割合をP重量%としたとき、Pが5〜60の範囲にある。
(C3)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm)が120〜165℃の範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が−80〜−40℃の範囲にある。
(C4)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある。
上記オレフィン系樹脂(C)の熱キシレン不溶解量は3.0重量%未満であることが好ましい。
上記オレフィン系樹脂(C)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、オレフィン系樹脂(C)はエチレン由来の構成単位を20〜80モル%有することが好ましい。
上記オレフィン系樹脂(C)においてオルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク温度が65℃未満である成分の、前記オレフィン系樹脂(C)に対する割合をE重量%としたとき、下記関係式(Eq−1)で表される値aが1.4以上であることが好ましい。
a=(100−E)/P (Eq−1)
上記オレフィン系樹脂(C)のグラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は93%以上であることが好ましい。
上記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量は5000〜100,000の範囲にあることが好ましい。
上記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖を構成する前記エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量は50,000〜200,000の範囲にあることが好ましい。
上記オレフィン系樹脂(C)は、非晶性成分により形成される海相と結晶性成分により形成される島相とからなる相分離構造を有し、透過型電子顕微鏡像における前記島相の平均径が50nm〜500nmの範囲にあることが好ましい。
オレフィン系樹脂(C)に含まれるプロピレン重合体の割合P重量%が30〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
オレフィン系樹脂(C)とエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)とのMFR比 MFR(C)/MFR(B)(230℃)は0.8〜3.5であることが好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、引張弾性率が900〜1400MPaであることが好ましい。
本発明の成形体は上記プロピレン系樹脂組成物から形成される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、透明性に優れるだけでなく、低温耐衝撃性および剛性のいずれにも優れる。
オレフィン系樹脂(C)全量に対する割合E(重量%)および割合P(重量%)とa値との関係について示したグラフである。 実施例および比較例で作製した各試験片の弾性率とシャルピー強度の関係を示したグラフである。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、特定のポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)、およびオレフィン系樹脂(C)を含む。
(ポリプロピレン樹脂(A))
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、下記要件(A1)〜(A3)を満たすポリプロピレン樹脂(A)を含む。なお、要件(A1)〜(A3)を満たすポリプロピレン樹脂(A)を、以下、単にポリプロピレン樹脂(A)とも記載する。
(A1)ポリプロピレン樹脂(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(25rad/s)が100〜1000Pa・sである。
(A2)ポリプロピレン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が10〜170g/10分である。
(A3)ポリプロピレン樹脂(A)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、プロピレン由来の構成単位を80モル%超100モル%以下有する。
(要件(A1))
上記ポリプロピレン樹脂(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)は100〜1000Pa・sであり、好ましくは100〜700Pa・sである。前記粘度η*は、温度210℃で測定した温度であるが、該温度は、本発明のプロピレン系樹脂組成物の成形に適した範囲(約170〜240℃)の代表値であり、要件(A1)を満たすと、プロピレン系樹脂組成物の成形性に優れる傾向がある。
(要件(A2))
上記ポリプロピレン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が10〜170g/10分であり、好ましくは10〜130g/10分であり、さらに好ましくは10〜100g/10分である。
ポリプロピレン樹脂(A)のMFRが上記範囲を上回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性が劣り、またポリプロピレン樹脂(A)のMFRが上記範囲を下回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いて、容器等の成形体を製造する際の樹脂の流動性が劣り、薄肉化した成形体を製造することが困難となる。
なお、ポリプロピレン樹脂(A)のMFRは、重合時に水素を連鎖移動剤として用いるなどの製造条件を調整することにより、任意のMFRに調整することができる。また、上記方法以外でも、重合で得られたポリプロピレン樹脂を有機過酸化物存在下で溶融混練処理することによりMFRを調整することができる。重合で得られたポリプロピレン樹脂を、有機過酸化物存在下での溶融混練処理を行うことによりMFRは高くなり、有機過酸化物存在下での溶融混練処理を行う際の有機過酸化物の添加量を増やすことでMFRをより高くすることができる。
(要件(A3))
上記ポリプロピレン樹脂(A)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、プロピレン由来の構成単位は80モル%超100モル%以下であり、好ましくは90モル%以上100モル%以下である。したがって、ポリプロピレン樹脂(A)は要件(A1)〜(A3)を満たす、プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体である。ポリプロピレン樹脂がプロピレン共重合体である場合には、プロピレンとエチレンおよびα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィン系単量体(a)との共重合体であることが好ましい。ポリプロピレン樹脂がプロピレンとオレフィン系単量体(a)との共重合体である場合には、ポリプロピレン樹脂(A)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、プロピレン由来の構成単位が80モル%超100モル%未満であり、オレフィン系単量体(a)由来の構成単位が0モル%超〜20モル%未満であることが好ましく、プロピレン由来の構成単位が90モル%以上100モル%未満であり、オレフィン系単量体(a)由来の構成単位が0モル%超10モル%以下であることがより好ましい。
上記オレフィン系単量体(a)としては、エチレン、炭素原子数4〜20のα−オレフィンが挙げられるが、中でも、エチレン、炭素原子数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A)は、上記要件(A1)〜(A3)に加え、下記要件(A4)〜(A6)のうち1つ以上を満たすことが好ましい。
(要件(A4))
ポリプロピレン樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は特に制限されないが、好ましくは1.5〜7.0、より好ましくは1.5〜6.0、さらに好ましくは1.5〜5.5である。
Mw/Mnが上記範囲内にあることにより、得られるプロピレン系樹脂組成物および該組成物から得られた成形体の透明性に優れ、上記上限値を上回ると透明性が悪化し、ヘイズが大きくなる傾向がある。
(要件(A5))
ポリプロピレン樹脂(A)のmmmm(ペンタッド分率)が、好ましくは91〜100%である。
mmmmは、例えば特開2007−186664号公報に記載されているように、13C−NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック連鎖の存在割合、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、同公報に開示された測定法によって算出することができる。なお、13C−NMRの測定条件としては、特に制限されないが、例えば実施例に記載の測定条件とすることができる。
(要件(A6))
示差走査熱量計(DSC)によって測定した、ポリプロピレン樹脂(A)の融解温度(Tm)ピークの半値幅が、好ましくは5.0〜20.0℃である。
Tmピークの半値幅は、ポリプロピレン樹脂(A)の立体規則性分布の指標であり、半値幅が上記範囲内にあると、得られるプロピレン系樹脂組成物、および該組成物から形成される成形体のヘイズが特に小さくなる傾向にある。
(ポリプロピレン樹脂(A)の製造方法)
ポリプロピレン樹脂(A)の製造方法は、特に制限されないが、通常、メタロセン化合物含有触媒存在下、あるいはチーグラーナッタ触媒存在下、プロピレンを重合することにより、ポリプロピレン樹脂(A)を製造できる。また、ポリプロピレン樹脂(A)が、プロピレンと少量のオレフィン系単量体(a)との共重合体である場合には、通常重合時に、プロピレンに加えて、少量のオレフィン系単量体(a)(但し、プロピレンを除く)が添加される。重合は、気相重合法あるいは溶液重合法、懸濁重合法などの液相重合法いずれで行ってもよく、各段を別々の方法で行ってもよい。また連続式、半連続式のいずれの方式で行ってもよく、各段を複数の重合器たとえば2〜10器の重合器に分けて行ってもよい。工業的には連続式の方法で重合するのが最も好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A)は、有機過酸化物存在下で溶融混練処理して使用してもよい。かかる場合、ポリプロピレン樹脂(A)100重量部に対して有機過酸化物を0.005〜0.05重量部使用することが好ましい。
上記溶融混練処理で使用できる有機過酸化物としては、特に制限されないが、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキユミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5,−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキユミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キユメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物などが挙げられる。これら有機過酸化物の中でも、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましい。
また、上記ポリプロピレン樹脂(A)として、上記要件(A1)〜(A3)、好ましくはさらに上記要件(A4)〜(A6)のうち1つ以上を満たすように2種以上のポリプロピレン樹脂を混合して得られる、ポリプロピレン樹脂混合物を用いてもよい。
(エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B))
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、下記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を含む。なお、要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を、以下、単にエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)とも記載する。
(B1)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度が885〜925kg/m3である。
(B2)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が0.1〜100g/10分である。
(B3)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、エチレン由来の構成単位を80モル%超99モル%以下で有する。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)は、要件(B1)〜(B3)を満たしていれば、特に制限されないが、耐衝撃性および透明性に優れる観点から、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィンを共重合することにより得られる共重合体である。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも、透明性・耐衝撃性・剛性・経済性の観点から炭素原子数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)は、例えば、いわゆるシングルサイト触媒、またはチーグラーナッタ触媒などのマルチサイト触媒を用いて、重合することにより製造できる。
シングルサイト触媒としては、例えば、拘束幾何錯体を含んだ触媒(いわゆる拘束幾何触媒(CGC(constrained geometry catalyst)触媒ともいわれる))、メタロセン化合物含有触媒などが挙げられる。 エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)がシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体を用いると、より透明性の高いプロピレン系樹脂組成物を得ることができる傾向がある。また、メタロセン化合物含有触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体を用いると、より低温耐衝撃性が良好なプロピレン系樹脂組成物を得ることができる傾向がある。
シングルサイト触媒を用いて、上記エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を製造する方法としては、例えば、国際公開第2010/074001号 段落[0131]−[0167]に記載の方法などが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)は、いわゆる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であり、上記要件を満たせば、市販のものが利用できる。例えば、エボリュー(登録商標:(株)プライムポリマー製)、スミカセン−L(登録商標:住友化学(株))、ノバテックLL(登録商標:日本ポリエチレン(株))などとして市販されるもので、上記要件を満たすものが使用できる。
(要件(B1))
上記エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度は885〜925kg/m3であり、好ましくは900〜919kg/m3である。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度が上記下限値を下回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の剛性、透明性が劣る傾向がある。これはエチレン・α−オレフィン共重合体の結晶性の低下し、かつポリプロピレン樹脂(A)との屈折率差も大きくなるためと推測される。
一方、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度が上記上限値を上回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の透明性が低下する傾向がある。これはエチレン・α−オレフィン共重合体とポリプロピレン樹脂(A)との屈折率差が大きくなるためと推定される。つまり、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度範囲が上記範囲から外れると、透明性が悪化する。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度は、後述する製造条件を調整することにより所望の値とすることができる。例えば、後述するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の重合において、エチレン・αオレフィン共重合体を重合する際の、エチレンとα−オレフィンのフィード量の比率を変えることにより、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度を所望の値に調整可能である。具体的には、エチレンのフィード量に対してα−オレフィンのフィード量を多くすることにより、密度を低くすることが可能であり、エチレンのフィード量に対してα−オレフィンのフィード量を少なくすることにより、密度を高くすることが可能である。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したものをサンプルとし、密度勾配管法により測定した。
(要件(B2))
上記エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)は0.1〜100g/10分であり、好ましくは1〜20g/10分であり、より好ましくは2〜10g/10分である。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のMFRが上記下限値を下回ると、分子量が高くなるため、容器等の成形体を製造する際の樹脂の流動性が劣り、薄肉化した成形体を製造することが困難となり、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のMFRが上記上限値を上回ると、分子量が低く衝撃に対しての吸収エネルギーが低くなるため、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性が劣る傾向にある。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のMFRは、後述する製造条件を調整することにより所望の値とすることができる。例えば、後述するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の重合において、重合する際のエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を変えることによりエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のMFRを所望の値に調整可能である。具体的には、重合する際のエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を多くすることでMFRを高くすることが可能であり、エチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を少なくすることでMFRを低くすることが可能である。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)は通常は200〜2400Pa・sであり、好ましくは250〜1500Pa・sである。上記粘度η*は、温度210℃で測定した温度であるが、該温度は、本発明のプロピレン系樹脂組成物の成形に適した範囲であり、上記範囲内では、プロピレン系樹脂組成物の成形性に優れる傾向がある。
(要件(B3))
上記エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、エチレン由来の構成単位は80モル%超99モル%以下であり、好ましくは90モル%以上99モル%以下である。また、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、α−オレフィン由来の構成単位は、好ましくは1モル%以上20モル%未満であり、より好ましくは1モル%以上10モル%以下である。
(オレフィン系樹脂(C))
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、下記要件(C1)〜(C4)を満たすオレフィン系樹脂(C)を含む。また、該オレフィン系樹脂(C)は、オレフィン系重合体一種のみで構成されていてもよいし、二種以上のオレフィン系重合体から構成されていてもよい。なお、要件(C1)〜(C4)を満たすオレフィン系樹脂(C)を、以下、単にオレフィン系樹脂(C)とも記載する。
(C1)オレフィン系樹脂(C)が、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる主鎖およびプロピレン重合体からなる側鎖を有するグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む。
(C2)オレフィン系樹脂(C)に含まれるプロピレン重合体の割合をP重量%としたとき、Pが5〜60の範囲にある。
(C3)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm)が120〜165℃の範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が−80〜−40℃の範囲にある。
(C4)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある。
(要件(C1))
オレフィン系樹脂(C)は、グラフト型オレフィン系重合体[R1]を必須の構成成分として含む。該グラフト型オレフィン系重合体[R1]は、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる主鎖およびプロピレン重合体からなる側鎖を有するグラフト共重合体である。なお、本発明において「グラフト共重合体」という語は、主鎖に対し側鎖が1本以上結合したポリマーである。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]は、非晶性または低結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる主鎖にプロピレン重合体からなる側鎖が化学的に結合した構造であるので、グラフト型オレフィン系重合体[R1]を含むオレフィン系樹脂(C)は、直鎖構造のエチレン・αオレフィン共重合体と比べてポリプロピレン樹脂に対して高い相溶性を示す。このため、オレフィン系樹脂(C)はエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)をポリプロピレン樹脂(A)に良好に分散させる相溶化剤として機能し、本発明のプロピレン系樹脂組成物は高い透明性が確保され、剛性と低温耐衝撃性において、極めて優れた物性バランスを発現することができる。
オレフィン系樹脂(C)は前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]を含み、加えて要件(C2)〜(C4)を満たすものであれば特に制限はなく用いることができる。例えば特開2009−227898号公報に開示されている、マレイン酸やハロゲン、脱離性金属などの反応性官能基をポリオレフィンに導入し、エチレン・α−オレフィン系共重合体鎖と結晶性のプロピレン重合体鎖をカップリング反応させる方法により製造された樹脂でも良く、また特開2001−527589号公報、国際公開第2013/061974号、特開2014−214204号公報に記載されている、重合触媒を用いて得られるエチレン、α−オレフィンの共重合体よりなる主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含むオレフィン系樹脂でも良い。
特に、着色や異臭、溶出成分による汚染等の原因となる副生成物や残留基質が少なく、経済性に優れる点で、重合触媒を用いて得られるエチレン、α−オレフィンの共重合体よりなる主鎖と、片末端にビニル基を含有する結晶性プロピレン重合体に由来する側鎖とを有する分岐構造オレフィン系共重合体を含むオレフィン系樹脂が好ましい。さらに、後述する製造方法によって得られるオレフィン系樹脂(C)は、グラフト型オレフィン系重合体[R1]を高含量に含むため、透明性および剛性と低温耐衝撃性の優れた物性バランスを発現させるうえで好ましい態様である。
また、オレフィン系樹脂(C)は上記構造のグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含むことから、一般的なエチレン系エラストマー(例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体やエチレン/オクテン共重合体)に比べ、べたつきが小さく、製品ペレットのハンドリング性に優れるという特徴を持つ。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]は、前述のとおり、主鎖および側鎖を有するグラフト共重合体である。本発明において、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖および側鎖は、下記(i)〜(iv)の要件を満たすことが好ましい。
(i)主鎖が、エチレン由来の構成単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位とからなり、前記α−オレフィン由来の構成単位の割合が、主鎖を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、10〜50モル%の範囲である。
(ii)主鎖が、重量平均分子量が50,000〜200,000であるエチレン・α−オレフィン共重合体に由来する。
(iii)側鎖が、実質的にプロピレン由来の構成単位からなる。
(iv)側鎖が、重量平均分子量が5000〜100,000であるプロピレン重合体に由来する。
以下、これらの要件(i)〜(iv)について具体的に説明する。
〔要件(i)〕
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖はエチレン・α−オレフィン共重合体からなり、グラフト型オレフィン系重合体[R1]において、柔軟性や、改質材として要求される低温特性などの特性を担う部位となる。そのような特性を担保するために、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖は、エチレン由来の構成単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位とからなる。
ここでエチレン・α−オレフィン共重合体においてエチレンと共重合している炭素原子数3〜20のα−オレフィンの具体例としてはプロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等を挙げることができる。
より好ましくは、炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、さらより好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの直鎖状オレフィン、および4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等の分岐状オレフィンを挙げることができ、中でもプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンがさらに好ましい。エチレンと共重合する炭素原子数3〜20のα−オレフィンとして1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、または1−オクテンを用いることで、最も剛性と耐衝撃性との物性バランスが良好なプロピレン系樹脂組成物が得られる。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖中のエチレン由来の構成単位の割合は、主鎖を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、50〜90モル%、好ましくは60〜90モル%の範囲である。また、α−オレフィン由来の構成単位の割合は主鎖を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、10〜50モル%、好ましくは10〜40モル%の範囲である。
用いるα−オレフィンの種類によって上記エチレンおよびα−オレフィン由来の構成単位の割合とガラス転移温度(Tg)の関係は異なるが、上記要件(C3)に記載のガラス転移温度(Tg)の範囲を達成するうえで、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖中のエチレンおよびα−オレフィン由来の構成単位の割合は上記範囲にあることが好ましい。
主鎖中のエチレンおよびα−オレフィン由来の構成単位の割合が上記範囲にあることで、オレフィン系樹脂(C)は柔軟性に富み低温特性に優れた性質となるので、オレフィン系樹脂(C)を含むプロピレン系樹脂組成物は低温耐衝撃性に優れる。一方、α−オレフィン由来の構成単位が10モル%より少ないと、得られるオレフィン系樹脂が柔軟性や低温特性に劣る樹脂となるため、該樹脂を含むプロピレン系樹脂組成物は低温耐衝撃性に劣る場合がある。
主鎖中のエチレンおよびα−オレフィン由来の構成単位のモル比は、主鎖を製造する工程で重合系内に存在させるエチレンの濃度とα−オレフィンの濃度との割合を制御することにより調整できる。
なお、主鎖に含まれるα−オレフィン由来の構成単位のモル比(モル%)、すなわち主鎖中のα−オレフィン組成は、例えば、後述する末端不飽和ポリプロピレンを含まない条件下で得られるエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン組成を常法により求めることや、オレフィン系樹脂(C)のα−オレフィン組成から末端不飽和ポリプロピレンや側鎖に由来する影響を差し引くことから求められる。
〔要件(ii)〕
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖を構成する前記エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量が50,000〜200,000の範囲にある。本発明のプロピレン系樹脂組成物において、機械強度を保持しながら成形性(流動性)を向上させるためには、上記重量平均分子量が80,000〜200,000の範囲であることが好ましい。前記重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められるポリエチレン換算の重量平均分子量である。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量が上記範囲にあると、オレフィン系樹脂(C)を含むプロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性、剛性および靭性のバランスがより良好になる傾向がある。一方、前記重量平均分子量が50,000より小さいと耐衝撃性や靭性が低下し、200,000より大きいとポリプロピレン樹脂(A)への分散不良がおこり所望の物性バランスを得ることが困難になる場合がある。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量は、例えば、後述する製造工程において、重合系内のエチレン濃度を制御することで調整できる。エチレン濃度の制御方法としては、エチレン分圧調整や重合温度の調整が挙げられる。主鎖を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量の調整は重合系内に水素を供給することでも可能である。
主鎖を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量は、例えば、後述する末端不飽和ポリプロピレンを含まない条件下で製造した場合のエチレン・α−オレフィン共重合体を分析することや、オレフィン系樹脂(C)を分析し末端不飽和ポリプロピレンや側鎖に由来する影響を差し引くことから求められる。
〔要件(iii)〕
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖は、実質的にプロピレン由来の構成単位からなる。グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖は、実質的にプロピレン由来の構成単位からなるアイソタクチック規則性を有するプロピレン重合体である。
実質的にプロピレン由来の構成単位からなるプロピレン重合体とは、全モノマー由来の構成単位中、プロピレン由来の構成単位を主として含む単独重合体または共重合体で、その役割と特徴を損なわない範囲で他の単量体由来の構成単位、例えばエチレンおよびプロピレン以外のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一つの単量体由来の構成単位を含んでいてもよい重合体であり、好ましくは、該プロピレン重合体に含まれる全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、プロピレン由来の構成単位の割合が、99.5〜100モル%の重合体である。なお共重合体である場合には、0.05モル%以下の量でエチレンおよびプロピレン以外のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一つの単量体由来の構成単位が含まれていることが好ましい。
さらに好ましくは、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖は、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上のプロピレン重合体鎖である。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖が上記特徴を有することにより、側鎖は結晶性を示し、融点を持つ。グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖が高融点のアイソタクチックポリプリプロピレン重合体であることが、オレフィン系樹脂(C)のポリプロピレン樹脂(A)への相溶性を高めることになる。このため、得られるプロピレン系樹脂組成物は、良好に耐衝撃性を発現しながら、剛性および硬度を良好に保持する。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]は、例えば、後述するオレフィン系樹脂(C)の製造工程(P2)において、工程(P1)で生成する末端不飽和ポリプロピレンとエチレンおよびα−オレフィンを共重合することにより得ることができる。すなわち、末端不飽和ポリプロピレンの組成および立体規則性が、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖の組成および立体規則性に相当する。したがって工程(P1)で生成する末端不飽和ポリプロピレンの組成および立体規則性を公知の方法を用いて算出し、その組成および立体規則性をグラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖の組成および立体規則性と定義できる。
〔要件(iv)〕
側鎖が、重量平均分子量が5000〜100,000であるプロピレン重合体に由来する。すなわち、グラフト型オレフィン系重合体[R1]は、重量平均分子量が5000〜100,000であるプロピレン重合体であるマクロモノマーがエチレン・α−オレフィン共重合体に結合してなる構造を有し、プロピレン重合体部位が側鎖となる。前記重量平均分子量は、好ましくは5000〜60,000の範囲である。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量が上記範囲にあることで、ポリプロピレン樹脂(A)とオレフィン系樹脂(C)との相溶性が高まり、ポリプロピレン樹脂(A)とオレフィン系樹脂(C)とを含むプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性や破断伸びが良好に発現され、さらに射出成形時の流動性も良好になる。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量が5000より小さいと、ポリプロピレン樹脂(A)との界面強度が弱くなり、プロピレン系樹脂組成物の伸びや耐衝撃性が低下する場合がある。
グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量が100,000より大きいと、オレフィン系樹脂(C)を含む樹脂組成物の成形時における流動性が悪くなり、加工性の悪化の原因となる場合がある。また、ポリプロピレン樹脂(A)とオレフィン系樹脂(C)との相溶性が低下して、ポリプロピレン樹脂(A)とオレフィン系樹脂(C)とを含むプロピレン系樹脂組成物の引張伸びや耐衝撃性が低下する場合、プロピレン系樹脂組成物から得られる成形体の表面硬度が低下する場合がある。
なお、側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量は、例えば、前述した「要件(iii)」の記載と同様に、工程(P1)で生成する末端不飽和ポリプロピレンの重量平均分子量を常法にて測定することで求めることができる。例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる前記末端不飽和ポリプロピレンのポリプロピレン換算の重量平均分子量を、側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量として用いことができる。
側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量の調整方法としては、例えば、後述する製造工程(P1)において、重合温度や重合圧力を調整する方法が挙げられる。
(要件(C2))
前記オレフィン系樹脂(C)に含まれるプロピレン重合体の割合(以下、割合Pともいう)をP重量%としたとき、Pが5〜60重量%の範囲にあり、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは45〜55重量%である。
割合Pが上記範囲にあると、オレフィン系樹脂(C)中でのプロピレン重合体の相溶性が高まり、オレフィン系樹脂(C)とを含むプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性や破断伸びが良好に発現される。割合Pが5より小さいと、オレフィン系樹脂(C)中でのプロピレン重合体の相溶性が低く、得られるプロピレン系樹脂組成物は耐衝撃性や破断伸びにおいて良好な物性を発現しない場合がある。割合Pが60より大きいと、エチレン・α−オレフィン共重合体の相対的な含有量が少ないことにより、得られるプロピレン系樹脂組成物が低温耐衝撃性や破断伸びにおいて良好な物性を発現しない場合がある。
ここで、オレフィン系樹脂(C)に含まれるプロピレン重合体とは、例えば、後述する重合工程(P2)において主鎖に取り込まれたプロピレン重合体側鎖と主鎖に取り込まれなかったプロピレン重合体との総和を示す。
割合Pは、たとえば後述する重合工程(P2)に用いる末端不飽和ポリプロピレンの重量と、得られたオレフィン系樹脂(C)の重量の比率から求められる。
また、末端不飽和ポリプロピレンとは、下記末端構造(I)〜(IV)で表される不飽和末端をもつポリプロピレンを意味する。末端構造(I)〜(IV)における「Poly」は、末端構造と、該末端構造以外のプロピレン重合体分子鎖との結合位置を示す。
上記末端不飽和ポリプロピレンにおける不飽和末端の割合は1000炭素原子あたり通常0.1〜10であるが、より好ましくは0.4〜5.0である。さらに、一般的に末端ビニルと呼ばれる末端構造(I)で表される不飽和末端割合は炭素原子1000個あたり、通常0.1〜2.0個の範囲にある。
上記不飽和末端の定量は、末端不飽和ポリプロピレンの末端構造を1H−NMRで決定することにより求められる。1H−NMRは常法に従って測定すればよい。末端構造の帰属は、Macromolecular Rapid Communications 2000, 1103等に記載の方法に従って行うことができる。
例えば、末端構造(I)の場合、δ4.9〜5.1(2H)の積分値A、プロピレン重合体に由来する全積分値をBとすると、1000炭素原子あたりの末端構造(I)の割合は1000×(A/2)/(B/2)の式で求められる。他の末端構造の割合を求める場合も、水素の比に注意しながら各構造に帰属されるピークの積分値に置き換えればよい。
(要件(C3))
オレフィン系樹脂(C)は、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm)が120〜165℃の範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が−80〜−40℃の範囲にある。
オレフィン系樹脂(C)の融点は、好ましくは130〜160℃、より好ましくは140℃〜160℃である。すなわち、オレフィン系樹脂(C)は、示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピークを120〜165℃、好ましくは130〜160℃、より好ましくは140℃〜160℃の範囲に有する。
上記融解ピークが現れる温度、すなわち融点(Tm)および後述する融解熱量(ΔH)は、試料をDSCにより一度昇温工程により融解させた後、30℃までの冷却工程により結晶化させ、2度目の昇温工程(昇温速度10℃/分)で現れる吸熱ピークを解析したものである。
上記範囲に観測される融点(Tm)および融解熱量(ΔH)は、主にオレフィン系樹脂(C)を構成するグラフト型オレフィン系重合体[R1]のポリプロピレン側鎖に起因している。融点(Tm)が上記範囲にあり、さらに好ましくは融解熱量(ΔH)が後述する範囲にあることで、オレフィン系樹脂(C)はポリプロピレン樹脂(A)に良好に相溶することができ、その結果、オレフィン系樹脂(C)およびポリプロピレン樹脂(A)を含むプロピレン系樹脂組成物は、剛性、耐熱性および靭性のバランスが良好となる。上記範囲の融点(Tm)に調整する方法として、後述する製造工程(P1)において、重合温度や重合圧力を調整する方法が挙げられる。
オレフィン系樹脂(C)の前記ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70〜−40℃、より好ましくは−70℃〜−50℃である。
ガラス転移温度(Tg)は、主にグラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖のエチレン・α−オレフィン共重合体の性質に起因する。ガラス転移温度(Tg)が、−80℃〜−40℃の範囲にあることにより、オレフィン系樹脂(C)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性を良好に発現する。
前記範囲のガラス転移温度(Tg)は、エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンの種類や組成を制御することで得ることができる。
(要件(C4))
オレフィン系樹脂(C)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲、好ましくは1.0〜4.0dl/gの範囲、さらに好ましくは1.0〜3.0dl/gの範囲である。上記極限粘度[η]が前記範囲にあることにより、オレフィン系樹脂(C)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性に加え、良好な剛性や機械強度を有し、さらに良好な成形加工性も有する。
オレフィン系樹脂(C)は、上記要件(C1)〜(C4)に加え、下記要件(C5)〜(C10)のうち1つ以上を満たすことが好ましい。
(要件(C5))
オレフィン系樹脂(C)の熱キシレン不溶解量が3.0重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、より好ましくは2.0重量%未満である。
熱キシレン不溶解量は、次の方法で算出される値である。
試料を熱プレス(180℃、加熱5分間、冷却1分間)により厚み0.4mmのシート状にし、細かく裁断する。それを約100mg秤量し、325メッシュのスクリーンに包んで、密閉容器中にて30mlのp−キシレンに140℃で3時間浸漬する。次に、そのスクリーンを取り出し、80℃にて2時間以上、恒量になるまで乾燥する。熱キシレン不溶解量(重量%)は、次式で表わされる。
熱キシレン不溶解量(重量%)=100×(W3−W2)/(W1−W2)
W1:試験前のスクリーンおよびサンプルの合計の重量、W2:スクリーン重量、W3:試験後のスクリーンおよびサンプルの合計の重量
オレフィン系樹脂(C)は、上記の通り、熱キシレン不溶解量を全く含まないか、含んでも少量であるので、ポリプロピレン樹脂(A)に良好に分散することができ、その結果、所望の効果を発現する。一方、熱キシレン不溶解量が3重量%以上であると、プロピレン系樹脂組成物から得られた成形体においてブツと呼ばれる外観不良が生じる場合がある。
後述する製造方法に示した通り、重合工程から直接グラフト型オレフィン系重合体を得る方法を採用することで、熱キシレン不溶解成分が上記範囲のオレフィン系樹脂(C)を得ることができる。
(要件(C6))
オレフィン系樹脂(C)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、エチレン由来の構成単位を、20〜80モル%有し、好ましくは30〜80モル%、より好ましくは40〜80モル%、さらに好ましくは40〜75モル%有する。エチレン由来の構成単位が上記範囲にあると、オレフィン系樹脂(C)はエチレン・α−オレフィン共重合体をより多く含んだ態様であることになり、オレフィン系樹脂(C)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性や破断伸びが良好になる。
(要件(C7))
オレフィン系樹脂(C)は、オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク温度が65℃未満である成分の割合(以下、割合Eともいう)をE重量%としたとき、下記関係式(Eq−1)で表される値a(以下、a値ともいう)が1.4以上であり、好ましくは1.6以上である。
a=(100−E)/P (Eq−1)
上記微分溶出曲線は、溶出温度が−20℃〜140℃の範囲において、得られる累積溶出曲線を微分して得られるものである。さらに上記微分溶出曲線において現れる各溶出ピークを正規分布曲線にピーク分離することで、各溶出ピークの成分比を求めることができる。ここで、−20℃未満での可溶成分割合(CFC測定の冷却工程において−20℃においても温度上昇溶離分別(TREF)カラム内にコーティングされない成分の割合)をE(<-20)重量%、−20℃以上65℃未満にピークを持つ溶出成分の割合の和をE(<65)重量%、65℃以上140℃以下にピークを持つ溶出成分の割合の和をE(65)重量%、140℃で溶解しない成分割合をE(>140)重量%とし、E(<-20)+E(<65)+E(65)+E(>140)=100とした場合、E=E(<-20)+E(<65)、と定義される。
通常、オレフィン系樹脂(C)は140℃のオルトジクロロベンゼンに対して全量可溶であり、65℃以上にピーク分離が容易である明瞭なピークを検出できることから、E(>140)=0の場合、E=100−E(65)と定義される。
上記CFC測定における検出計としては、赤外分光光度計(検出波長3.42μm)を用いることが好ましい。
なお、前述のオレフィン系樹脂(C)全量に対する割合Eと割合Pにおいて、全量というのは後述する重合工程を経て得られた樹脂のみに対するものであり、別途加えられた樹脂、添加剤等は前述の全量には含まれない。
上記a値が前記範囲にあることは、オレフィン系樹脂(C)が、グラフト型オレフィン系重合体[R1]、すなわちプロピレン重合体部位を側鎖として有すエチレン・α−オレフィン共重合体を相当量含むことを示している。上記a値が前記範囲にあるオレフィン系樹脂(C)は、例えば後述する製造方法により製造できる。
割合E(重量%)および割合P(重量%)とa値との関係について示した図が図1である。
図1において、a=1の関係を示す点線は、グラフト型オレフィン系重合体[R1]を含まない場合、すなわちエチレン・α−オレフィン系共重合体とプロピレン重合体の混合物の場合を示す。一方、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の生成効率が高まるにつれ、割合Pに対する割合Eの値は小さくなる。図1に示すように、a値が大きな値をとることは、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の生成効率が高いことを示す。本発明のオレフィン系樹脂(C)は、a値が1.4以上であることを特徴とする。
通常、ポリプロピレン樹脂改質材等に使用される市販のオレフィン系エラストマーは、エチレン・α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン/ブテン共重合体やエチレン/オクテン共重合体)からなり、エチレン由来の構成単位の割合が90モル%〜50モル%程度に調整されたポリマーである。したがって、通常のエチレン・α−オレフィン共重合体の溶出成分割合Eは実質的に100%となる。
(要件(C8))
オレフィン系樹脂(C)の弾性率が200MPa以下、好ましくは100MPa以下、より好ましくは50MPa以下である。
オレフィン系樹脂(C)は、グラフト型オレフィン系重合体[R1]を含み、その主鎖であるエチレン・α−オレフィン共重合体部位を豊富に含むので、当該共重合体部位に起因する柔軟性を有している。オレフィン系樹脂(C)の弾性率が上記範囲にあることにより、オレフィン系樹脂(C)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性を良好に発現する。なお、弾性率はASTM D638に準拠した引張弾性率である。
(要件(C9))
オレフィン系樹脂(C)が、非晶性成分により形成される海相と結晶性成分により形成される島相とからなる相分離構造を有し、透過型電子顕微鏡像における島相の平均径が、50nm〜500nmの範囲、好ましくは50nm〜300nmの範囲である。
前述の相構造を有しているかどうかの観察は、例えば以下のように行う。
まず、オレフィン系樹脂を混練成形評価装置に投入し、200℃、60rpmで5分間溶融混練する。このオレフィン系樹脂を170℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、5分間余熱後、10MPa加圧下、1分間かけて成形したのち、20℃で10MPaの加圧下で3分間冷却することにより所定の厚みのプレスシートを作製する。
上記のプレスシートを0.5mm角の小片とし、ルテニウム酸(RuO4)によって染色する。さらにダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで前記小片を約100nmの膜厚の超薄切片とする。この超薄切片にカーボンを蒸着させて、透過型電子顕微鏡(加速電圧100kV)で観察する。島相の平均粒径は、得られた観察像を、市販の画像解析ソフトを用いて、画像処理および画像解析をすることにより、島相の平均長径として得ることができる。
このような観察方法によると、プロピレン系重合体成分は、該成分が形成するラメラ構造の結晶間非晶部位が選択的にオスニウム酸に染色にされるため、より高いコントラストとして観察される。
オレフィン系樹脂(C)の相分離構造において、海相は、非晶性または低結晶性であるエチレン・α−オレフィン共重合体から形成され、島相は結晶性であるプロピレン重合体から形成されたものである。
エチレン・α−オレフィン共重合体が海相となることは、該重合体成分が主成分として存在していることを示している。このことにより、プロピレン系樹脂組成物に耐衝撃性を付与することができる。さらに、オレフィン系樹脂(C)が上記のような非常に微細なミクロ相分離構造を形成することは、オレフィン系樹脂(C)に、非晶成分または低結晶性成分と結晶成分との相溶効果を高めるグラフト型オレフィン系重合体[R1]が高含量に含まれていることを示している。このことにより、オレフィン系樹脂(C)を含むプロピレン系樹脂組成物の物性バランスは著しく優れる。
一方、エチレン・α−オレフィン共重合体を主成分として十分に含まない樹脂は、結晶成分に起因する相が明瞭な島相とならず、連続相が形成される場合がある。このような樹脂を用いた場合、耐衝撃性の著しく劣る樹脂組成物が得られる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体とポリプロピレン樹脂との単なるポリマーブレンドやグラフト型オレフィン系重合体[R1]を十分に含まない樹脂の場合は、上記のような微細な相分離構造は形成されず、粗大な島相が観測される。このような樹脂を用いた場合、得られるプロピレン系樹脂組成物は良好な物性バランスを発現しない。
(要件(C10))
オレフィン系樹脂(C)の示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピーク(Tm)における融解熱量ΔHが、5〜50J/gの範囲、好ましくは10〜50J/gの範囲にある。
上記範囲に観測される前記融解ピーク(Tm)は、グラフト型オレフィン系重合体[R1]のプロピレン重合体からなる側鎖と、オレフィン系樹脂(C)に含まれる不飽和末端を持つプロピレン重合体と、に由来しており、前記融解熱量(ΔH)が上記範囲に観測されるということは、オレフィン系樹脂(C)に含まれるグラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖部位を相当量含んでいることを示している。本発明のオレフィン系樹脂(C)において、グラフト型オレフィン系重合体[R1]のプロピレン重合体側鎖の存在により、べたつきが少なく、耐熱エラストマー様の物性を発現させる。
一方、融解熱量(ΔH)が上記範囲を下回る場合には、プロピレン重合体側鎖の割合が少ないことを意味し、直鎖状のオレフィン系エラストマー同様、耐熱性を有さず、べたつきが高い。また、ポリプロピレン樹脂(A)に対する改質効果も十分ではない。また、融解熱量(ΔH)が上記範囲を上回る場合には、柔軟性や低温特性等のエチレン・α−オレフィン共重合体に由来する特性が損なわれるおそれがある。
オレフィン系樹脂(C)は、さらに、着色、異臭および最終製品の汚染などの原因になる物質を含まないことが好ましい。
前記着色、異臭および最終製品の汚染などの原因になる物質としては、具体的には、ヘテロ原子含有化合物が挙げられ、前記ヘテロ原子含有化合物としては、塩素原子、臭素原子などハロゲン原子を含有する化合物、酸素原子、硫黄原子などのカルコゲン原子を含有する化合物、窒素原子やリン原子などのプニクトゲン化合物を含有する化合物などが挙げられる。前記酸素原子を含有する化合物としては、具体的には、無水マレイン酸や無水マレイン酸反応物が挙げられる。
また、前記着色、異臭および最終製品の汚染などの原因になる物質としては、金属原子含有化合物も挙げられ、具体的にはナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属含有化合物、マグネシウムやカルシウムのようなアルカリ土類金属含有化合物が挙げられる。
オレフィン系樹脂(C)は、前記ヘテロ原子含有化合物の含有量が1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、さらにより好ましくは10ppm以下である。また、オレフィン系樹脂(C)は、前記金属原子含有化合物の含有量が1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
上記オレフィン系樹脂(C)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)は、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは1〜20g/10分である。
上記オレフィン系樹脂(C)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)は、好ましくは100〜10000Pa・sであり、より好ましくは500〜5000Pa・sである。
(オレフィン系樹脂(C)の製造方法)
オレフィン系樹脂(C)は、たとえば下記(P1)、(P2)の各工程を含む製造方法により製造される。
(P1)ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合し、末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程
(P2)下記一般式[B]で表される架橋メタロセン化合物[B]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、工程(P1)で製造される末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合する工程
上記一般式[B]において、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち相互に隣り合う二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよく、
6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよいが、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはなく、
13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示し、
1はジルコニウム原子またはハフニウム原子を示し、
1は炭素原子またはケイ素原子を示し、
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記製造方法によれば、グラフト型オレフィン系重合体[R1]が高含量であるオレフィン系樹脂(C)が得られ、好適である。
以下、(P1)、(P2)の工程について順に説明する。
〔工程(P1)〕
工程(P1)は、グラフト型オレフィン系重合体[R1]のポリプロピレン側鎖の原料となる末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程である。
本工程は、ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[A]の存在下で、プロピレンを重合し末端不飽和ポリプロピレンを製造する工程である。
前記末端不飽和ポリプロピレンの不飽和末端とは前述の末端構造 (I)〜(IV)を意味する。前記不飽和末端のうち末端構造(I)の占める割合は、通常30%以上であり、好ましくは50%以上、より好ましく60%以上である。なお、前述の不飽和末端のうち末端構造(I)の占める割合は、末端不飽和ポリプロピレンに含まれる1000炭素原子あたりに存在する前述の末端構造(I)〜(IV)のそれぞれの個数の和に対する、1000炭素原子あたりに存在する末端構造(I)の個数の比を百分率で表したものである。
遷移金属化合物[A]は後述する化合物[C]と組み合わせて末端不飽和ポリプロピレンを製造する重合触媒として機能する。
末端不飽和ポリプロピレンを製造するオレフィン重合用触媒としては、Resconi, L. JACS 1992, 114, 1025−1032などで古くから知られているが、オレフィン系共重合体[R1]の側鎖としては、アイソタクチックまたはシンジオタクチックな末端不飽和ポリプロピレン、より好ましくはアイソタクチックな末端不飽和ポリプロピレンが好適である。
このような高立体規則性かつ、末端構造(I)を持つ末端不飽和ポリプロピレン含量の高いポリプロピレンを製造するのに用いられるオレフィン重合用触媒に含まれる遷移金属化合物[A]としては、特開平6−100579号、特表2001−525461号、特開2005−336091号、特開2009−299046号、特開平11−130807号、特開2008−285443号等により開示されている化合物を好適に用いることができる。
上記遷移金属化合物[A]としてより具体的には、架橋ビス(インデニル)ジルコノセン類またはハフノセン類からなる群から選択される化合物を好適例として挙げることができる。より好ましくは、ジメチルシリル架橋ビス(インデニル)ジルコノセンまたはハフノセンである。さらに好ましくは、ジメチルシリル架橋ビス(インデニル)ジルコノセンであり、ジルコノセンを選択することで、末端不飽和ポリプロピレンの挿入反応により生じる長鎖分岐ポリマーの生成が抑制され、オレフィン系樹脂(C)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、所望の物性を発現する。一方、工程(P1)において前記長鎖分岐ポリマーが多く生成される場合、オレフィン系樹脂(C)を含んだプロピレン系樹脂組成物は、剛性等の物性を損なう恐れがある。
より具体的には、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドまたはジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルを好適な化合物として用いることができる。
工程(P1)は、気相重合、スラリー重合、バルク重合、溶液(溶解)重合のいずれの方法においても実施可能であり、特に重合形態は限定されない。
工程(P1)が、溶液重合で実施される場合、重合溶媒としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;等が挙げられる。これら重合溶媒の中でも、後処理工程の負荷低減の観点などからは、ヘキサンが好ましい。これら重合溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
また、工程(P1)の重合温度は、通常50℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃の範囲、より好ましくは、80℃〜130℃の範囲である。重合温度を適切にコントロールすることで、所望の分子量および立体規則性の末端不飽和ポリプロピレンを得ることが可能となる。
工程(P1)の重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下である。工程(P1)の重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。本発明ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
工程(P1)の反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
工程(P1)における、ポリマー濃度は、定常運転時は、5〜50重量%であり、好ましくは、10〜40重量%である。重合能力における粘度制限、後処理工程(脱溶媒)の負荷および生産性の観点から、15〜50重量%であることが好ましい。
工程(P1)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンの重量平均分子量は、5000〜100,000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは5000〜60,000、さらにより好ましくは5000〜25,000の範囲である。前記範囲の重量平均分子量を有する末端不飽和ポリプロピレンであることにより、後述する工程(P2)において、末端不飽和ポリプロピレンのモル濃度をエチレンあるいはα−オレフィンに対して相対的に高めることができ、主鎖への導入効率が高くなる。一方、上記範囲を上回る場合、末端不飽和ポリプロピレンのモル濃度が相対的に低くなり、主鎖への導入効率が低くなる。また、上記範囲を下回る場合、融点が低下など実用上の問題がある。
工程(P1)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンの分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜3.0、典型的には1.7〜2.5程度である。場合によっては、異なる分子量を有する側鎖の混合物を用いてもよい。
工程(P1)において製造される末端不飽和ポリプロピレンの1H−NMRにて測定する不飽和末端の割合は、1000炭素原子あたり通常0.1〜10個であるが、より好ましくは0.4〜5.0個である。さらに末端構造(I)を持つ不飽和末端の割合、いわゆる末端ビニル量は、炭素原子1000個あたり、通常0.1〜2.0個であるが、好ましくは、0.4〜2.0個の範囲にある。末端ビニル量が少ない場合、後工程(P2)における当該末端不飽和ポリプロピレンの主鎖への導入量が低くなり、グラフト型オレフィンポリマーの生成量が少なくなるため所望の効果が得られない場合がある。
1H−NMR測定による不飽和末端の量および各末端構造の割合の算出は、前述したとおり、例えばMacromolecular Rapid Communications 2000, 1103に記載の方法に従って行うことができる。
〔工程(P2)〕
工程(P2)は、上記式[B]で表わされる架橋メタロセン化合物[B]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、工程(P1)で製造される末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合する工程である。
工程(P2)においては、高温にて十分な活性を発現し、高共重合性かつ高分子量化可能な触媒の選定が重要となる。末端ビニルポリプロピレン(前記末端構造(I))は、4位にメチル分岐を有し、立体的に嵩高い構造を有するので、直鎖状のビニルモノマーに比べ重合が難しい。また、末端ビニルポリプロピレンは、ポリマーが析出してくる低温条件では、共重合されにくい。このため、触媒には、好ましくは、90℃以上の重合温度にて十分な活性を発現し、主鎖を所望の分子量にする性能が求められる。
このような観点から、高含量のポリプロピレンを含有したオレフィン系樹脂(C)に得るには、工程(P2)において、架橋メタロセン化合物[B]が好適に用いられる。
架橋メタロセン化合物[B]は、後述する化合物[C]と組み合わせて工程(P1)で製造される末端不飽和ポリプロピレンと、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合するオレフィン重合用触媒として機能する。
以下、本発明で用いられる架橋メタロセン化合物[B]の化学構造上の特徴について説明する。
架橋メタロセン化合物[B]は、構造上、次の特徴[m1]および[m2]を備える。
[m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、他の一つは置換基を有するフルオレニル基(以下「置換フルオレニル基」ともいう。)である。
[m2]二つの配位子が、アリール(aryl)基を有する炭素原子またはケイ素原子からなるアリール基含有共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。
以下、架橋メタロセン化合物[B]が有する、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換フルオレニル基、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
(置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基)
式[B]中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示すものであり、末端ビニルポリプピレンを良好に取り込む構造として、R1、R2、R3およびR4は全て水素原子であるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか一つ以上がメチル基である構造が特に好ましい。
(置換フルオレニル基)
式[B]中、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。R6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、“R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であること”はない。
重合活性の視点からは、R6およびR11がいずれも水素原子でないことが好ましく;R6、R7、R10およびR11がいずれも水素原子ではないことがさらに好ましく;R6およびR11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であり、且つR7とR10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。また、R6およびR7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R10およびR11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることも好ましい。
5〜R12における炭化水素基の例示および好ましい基としては、例えば、炭化水素基(好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基、以下「炭化水素基(f1)」として参照することがある。)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基、以下「ケイ素含有基(f2)」として参照することがある。)が挙げられる。その他、置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)を挙げることもできる。炭化水素基(f1)としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、アリル(allyl)基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換された基が挙げられる。R5〜R12におけるケイ素含有基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基であり、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられ、具体的には、アルキルシリル基(例:トリメチルシリル基)、アリールシリル基(例:トリフェニルシリル基)が挙げられる。
ヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基N−メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
炭化水素基(f1)の中でも、炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などが好適な例として挙げられる。
6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基としては、後述する一般式[II−C]〜[VI−C]で表される化合物に由来する基が好適な例として挙げられる。
(架橋部)
式[B]中、R13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示し、Y1は炭素原子またはケイ素原子を示す。オレフィン重合体の製造方法において重要な点は、架橋部の架橋原子Y1に、互いに同一でも異なっていてもよいアリール(aryl)基であるR13およびR14を有することである。製造上の容易性から、R13およびR14は互いに同一であることが好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、上記炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの炭素原子数6〜14、好ましくは6〜10の非置換アリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;シクロヘキシルフェニル基などのシクロアルキル基置換アリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基などのハロゲン化アリール基;(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのハロゲン化アルキル基置換アリール基が挙げられる。置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニル基がさらに好ましい。
(架橋型メタロセン化合物のその他の特徴)
式[B]中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Qにおける炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3〜10の脂環族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が挙げられる。脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が挙げられる。
Qにおけるハロゲン化炭化水素基としては、Qにおける上記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
式[B]中、M1はジルコニウム原子またはハフニウム原子を示し、ハフニウム原子が末端不飽和ポリプロピレンを高効率で共重合し、また高分子量に制御できる点でも好ましい。末端不飽和ポリプロピレンを高効率で共重合し、また高分子量に制御できる性能を備えた触媒を用いることは、高い生産性を確保するために重要である。なぜなら、高い生産性を確保するために高温条件下で反応を行うことが望ましいが、高温条件下では生成分子量の低下が起こる傾向となるためである。
(好ましい架橋型メタロセン化合物[B]の例示)
以下に架橋型メタロセン化合物[B]の具体例を式[II−C]〜[VI−C]に示す。なお、例示化合物中、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルとは式[II−C]で示される構造の化合物に由来する基を指し、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[III−C]で示される構造の化合物に由来する基を指し、ジベンゾフルオレニルとは式[IV−C]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[V−C]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[VI−C]で示される構造の化合物に由来する基を指す。
架橋メタロセン化合物[B]としては、例えば、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(1−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジ(p−イソプロピルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(ジベンゾフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,1’,3,6,8,8’−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(1,3,3’,6,6’,8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(トリメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−(ジメチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,3,6,7−テトラtert−ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
架橋メタロセン化合物[B]としては、上記例示の化合物の「ジクロリド」を「ジフロライド」、「ジブロミド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」または「メチルエチル」などに代えた化合物、「シクロペンタジエニル」を「3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル」、「3,5−ジメチル−シクロペンタジエニル」、「3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル」または「3−メチル−シクロペンタジエニル」などに替えた化合物を挙げることもできる。
以上の架橋メタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の方法としては、例えば、本出願人による国際公開第01/27124号パンフレット、国際公開第04/029062号パンフレットに記載の方法が挙げられる。
以上のような架橋メタロセン化合物[B]は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
工程(P2)は、溶液(溶解)重合において実施可能であり、重合条件については、オレフィン系ポリマーを製造する溶液重合プロセスを用いれば、特に限定されないが、下記重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
重合反応液を得る工程とは、脂肪族炭化水素を重合溶媒として用いて、架橋メタロセン化合物[B]、好ましくは、上記一般式[B]におけるY1に結合しているR13、R14がフェニル基、あるいは、アルキル基またはハロゲン基により置換されたフェニル基であり、R7、R10がアルキル置換基を有する遷移金属化合物を含むメタロセン触媒の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、工程(P1)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンとの共重合体の重合反応液を得る工程である。
工程(P2)では、工程(P1)にて製造される末端不飽和ポリプロピレンが溶液状またはスラリー状にて工程(P2)における反応器にフィードされる。フィード方法は、特段限定されるものではなく、工程(P1)にて得られた重合液を連続的に工程(P2)の反応器にフィードしても、工程(P1)の重合液を一旦バッファータンクに溜めたのちに、工程(P2)にフィードしても良い。
工程(P2)の重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられ、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、工程(P2)の重合溶媒は、工程(P1)の重合溶媒と同一でも異なっていてもよい。なお、これらのうち、工業的観点からはヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましく、さらにオレフィン系樹脂(C)との分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
また、工程(P2)の重合温度は、90℃〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは、100℃〜200℃の範囲である。このような温度が好ましいのは、前述の重合溶媒として工業的に好ましく用いられるヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素中で、不飽和末端ポリプロピレンが良好に溶解する温度が90℃以上であるためである。より高温であることがポリプロピレン側鎖の導入量を向上させる上で好ましい。さらに生産性向上の観点からもより高温であることが好ましい。
工程(P2)の重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。本発明ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
工程(P2)の反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
工程(P2)における、ポリマー濃度は、定常運転時は、5〜50重量%であり、好ましくは、10〜40重量%である。重合能力における粘度制限、後処理工程(脱溶媒)負荷および生産性の観点から、15〜35重量%であることが好ましい。
得られる共重合体の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調整することができる。さらに、後述の化合物[C1]の使用量により調整することもできる。具体的には、トリイソブチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、ジエチル亜鉛等が挙げられる。水素を添加する場合、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
[化合物[C]]
上記オレフィン系樹脂(C)の製造方法では、前述した工程(P1)、(P2)においてオレフィン重合用触媒として用いられる遷移金属化合物[A]および架橋ハメタロセン化合物[B]とともに、後述する化合物[C]を用いることが好ましい。
化合物[C]は、遷移金属化合物[A]および架橋メタロセン化合物[B]と反応して、オレフィン重合用触媒として機能するものであり、具体的には、[C1]有機金属化合物、[C2]有機アルミニウムオキシ化合物、および、[C3]遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれるものである。以下、[C1]〜[C3]の化合物について順次説明する。
([C1]有機金属化合物)
本発明で用いられる[C1]有機金属化合物として、具体的には下記の一般式(C1−a)で表わされる有機アルミニウム化合物、一般式(C1−b)で表わされる周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、および一般式(C1−c)で表わされる周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。なお、[C1]有機金属化合物には、後述する[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は含まないものとする。
a pAl(ORbqrs (C1−a)
上記一般式(C1−a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+r+s=3である。)
3AlRc 4 (C1−b)
上記一般式(C1−b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rcは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
de4 (C1−c)
上記一般式(C1−c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。
上記一般式(C1−a)で表わされる有機アルミニウム化合物としては、次のような一般式(C−1a−1)〜(C−1a−4)で表わされる化合物を例示できる。
a pAl(ORb3-p (C−1a−1)
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlY3-p (C−1a−2)
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlH3-p (C−1a−3)
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAl(ORbqs (C−1a−4)
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
一般式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ORb0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(C1−a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物として例えば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などが挙げられる。
前記一般式(C1−b)に属する化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などが挙げられる。
前記一般式(C1−c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどが挙げられる。
またその他にも、[C1]有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどが使用できる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせなどが、前記[C1]有機金属化合物として使用できる。
上記のような[C1]有機金属化合物は、1種類単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
([C2]有機アルミニウムオキシ化合物)
本発明で用いられる[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。[C2]有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられる。
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお上記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収されたアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、上記一般式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることが好ましい。
本発明で用いられる[C2]有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(III−C2)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
(一般式(III−C2)中、R17は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、4つのR18は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
上記一般式(III−C2)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(IV−C2)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
19−B(OH)2 (IV−C2)
(一般式(IV−C2)中、R19は上記一般式(III−C2)におけるR17と同じ基を示す。)
上記一般式(IV−C2)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、上記一般式(C1−a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
上記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記[C2]有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
([C3]遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物)
本発明で用いられる、遷移金属化合物[A]または架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物[C3](以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、上記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどである。
上記イオン性化合物としては、例えば下記一般式(V−C3)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(V−C3)中、R20はH+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R21〜R24は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)。
上記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
上記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
上記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
15としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
上記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
上記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
上記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VI−C3)または(VII−C3)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
(式(VI−C)中、Etはエチル基を示す。)
(式(VII−C)中、Etはエチル基を示す。)
イオン化イオン性化合物(化合物[C3])の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるカルボラン化合物として具体的には、例えば4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルウンバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、上記塩としては、上記酸の、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるイソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、上記塩としては、上記酸の例えば周期表第1族または第2族の金属、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
上記イオン化イオン性化合物([C3]遷移金属化合物[A]、架橋メタロセン化合物[B]と反応してイオン対を形成する化合物)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
遷移金属化合物[A]、架橋メタロセン化合物[B]に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの[C2]有機アルミニウムオキシ化合物を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
有機金属化合物[C1]は、有機金属化合物[C1]と、工程(P1)においては遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C1/M)が、工程(P2)においては架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C1/M)が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物[C2]は、有機アルミニウムオキシ化合物[C2]中のアルミニウム原子と、工程(P1)においては遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C2/M)が、工程(P2)においては架橋メタロセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C2/M)が、通常10〜500,000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物[C3]は、イオン化イオン性化合物[C3]と、工程(P1)においては遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比(C3/M)が、工程(P2)においては架橋ハフノセン化合物[B]中の遷移金属原子(M)(ハフニウム原子)とのモル比(C2/M)が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
〔工程(C)〕
オレフィン系樹脂(C)の製造方法は、工程(P1)および(P2)に加え、必要に応じて、工程(P2)で生成する重合体を回収する工程(C)を含んでも良い。本工程は、工程(P1)および(P2)において用いられる有機溶媒を分離してポリマーを取り出し製品形態に変換する工程であり、溶媒濃縮、押し出し脱気、ペレタイズ等の既存のポリオレフィン樹脂を製造する過程であれば特段制限はない。
(造核剤)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)、オレフィン系樹脂(C)に加えて、さらに造核剤を含む。
本発明のプロピレン系樹脂組成物に含まれる造核剤としては、特に制限されないが、ソルビトール系造核剤、リン系造核剤、カルボン酸金属塩系造核剤、ポリマー造核剤、無機化合物等を用いることができる。造核剤としては、ソルビトール系造核剤、リン系造核剤、ポリマー造核剤を用いることが好ましい。造核剤は一種単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
ソルビトール系造核剤としては、例えば、ノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン](nonitol 1,2,3 -trideoxy-4,6:5,7 -bis- O-[(4-propylphenyl) methylene])、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトールなどが挙げられる。
リン系造核剤としては、例えば、ナトリウム−ビス−(4―t―ブチルフェニル)フォスフェート、カリウム−ビス−(4―t―ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ―t―ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ―t―ブチルフェニル)フォスフェート、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩などが挙げられる。
カルボン酸金属塩造核剤としては、例えば、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。
ポリマー造核剤としては、分岐状α−オレフィン重合体が好適に用いられる。分岐状α−オレフィン重合体としては、例えば、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンの単独重合体、あるいはそれら相互の共重合体、さらにはそれらと他のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。透明性、低温耐衝撃性、剛性の特性が良好であること、および経済性の観点から、特に、3−メチル−1−ブテンの重合体が好ましい。
無機化合物としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
これらの造核剤の中でも、透明性、低温耐衝撃性、剛性および低臭気であるとの観点から、ノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]、および/またはビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩を用いることが好ましい。
本発明に用いる造核剤としては、市販品を用いることができ、例えば、ノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]は、ミラードNX8000(ミリケン社製)の商品名で市販されており、アデカスタブNA−21(商品名、アデカ社製)はビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩を主成分として含んだ造核剤として市販されている。
本発明のプロピレン系樹脂組成物が、造核剤を含有する場合には、本発明の組成物から形成される容器等の成形体の剛性および透明性に優れる傾向がある。これはプロピレン系樹脂組成物中の結晶の球晶サイズが小さくなり、光の乱反射が低減されることによる透明性の向上と、結晶化度の向上による高剛性化によると推定される。
プロピレン系樹脂組成物の造核剤の含量が、下記範囲より少ないと、剛性および透明性の改良効果が不充分であり、造核剤の含量が下記範囲より多いと、それ以上の改良効果は少なく、経済的でない。
〔プロピレン系樹脂組成物〕
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)、オレフィン系樹脂(C)を含む。プロピレン系樹脂組成物の各成分の含有量は、ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)およびオレフィン系樹脂(C)の合計を100重量部とすると、通常はポリプロピレン樹脂(A)57〜80重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)17〜40重量部、オレフィン系樹脂(C)3〜20重量部であり、好ましくはポリプロピレン樹脂(A)62〜75重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)22〜35重量部、オレフィン系樹脂(C)3〜10重量部である。プロピレン系樹脂組成物はさらに造核剤を含有するが、その含有量は、ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)およびオレフィン系樹脂(C)の合計を100重量部とすると、0.1〜1.0重量部であり、好ましくは0.1〜0.4重量部である。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜、中和剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、気泡防止剤、分散剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、架橋剤、架橋助剤等の添加剤、デグラ剤(有機過酸化物);染料、顔料等の着色剤等の他の成分を含んでいてもよい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物が、他の成分を含む場合には、ポリプロピレン樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の合計を100重量部とすると、通常は0.00001〜10重量部の範囲で含まれる。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)(測定温度230℃、荷重2.16kg)が20〜200g/10分であることが好ましく、25〜140g/10分であることがより好ましく、30〜80g/10分であることがさらに好ましい。上記範囲では、プロピレン系樹脂組成物を用いて容器等の成形体を成形する際の流動性に優れるため好ましい。
プロピレン系樹脂組成物のMFRは、プロピレン系樹脂組成物を構成するポリプロピレン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)を適宜選択することにより調整が可能である。
また、上記方法以外でも、各成分を混練機で溶融混練する際に、有機過酸化物を共存させることにより、調整が可能である。すなわち、溶融混練する際に有機過酸化物を添加すること、あるいは溶融混練する際に、有機過酸化物の添加量を増やすことにより、プロピレン系樹脂組成物のMFRを高くすることができる。本発明で使用することができる有機過酸化物としては、特に限定はされないが、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキユミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5,−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキユミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キユメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンなどが挙げられる。また、これらの中でも、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンがより好ましい。有機過酸化物を使用する場合、ポリプロピレン樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の合計100重量部に対して0.005〜0.05重量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、引張弾性率が900〜1400MPaであることが好ましく、900〜1200MPaであることがより好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の引張弾性率は、該組成物を型締め力40トンの射出成形機を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度40℃の条件で、射出成形することにより得られる引張弾性率用試験片を用いて測定される。プロピレン系樹脂組成物の引張弾性率の具体的な測定方法としては、後述の実施例に記載した方法が挙げられる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、実施例に記載の方法で測定したシャルピー衝撃強度が、1.5kJ/m2以上であることが好ましく、1.7kJ/m2以上であることがより好ましい。上限としては特に限定は無いが、通常は4.0kJ/m2以下である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、実施例に記載の方法で測定したヘイズが、15%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましい。下限としては特に限定は無い。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の引張弾性率が上記範囲内であると、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を従来よりも薄肉化、軽量化しても剛性が高く、大きな荷重がかかっても変形し難いため好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、主としてポリプロピレン樹脂(A)を連続相、すなわち海相とした、いわゆる海島構造をとる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)は主に島相を構成する。このため、本発明のプロピレン系樹脂組成物は高い剛性と耐衝撃性とを両立できる。また、オレフィン系樹脂(C)は、ポリプロピレン樹脂(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)との界面に存在することが望ましく、その場合は成形体が高透明になる。
(粘度比)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)とポリプロピレン樹脂(A)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Bの粘度/Aの粘度)が、通常は2.0〜6.0であり、好ましくは2.0〜5.5であり、より好ましくは2.5〜5.0である。
この範囲を上回るとプロピレン系樹脂組成物のヘイズが悪化する。また、この範囲を下回るとプロピレン系樹脂組成物のMFRが著しく低くなり望ましくない。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、オレフィン系樹脂(C)と上記エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Cの粘度/Bの粘度)が、通常は1.0〜4.4であり、好ましくは1.0〜4.0であり、より好ましくは1.0〜3.0であり、特に好ましくは1.0〜2.0である。
この範囲を上回るとプロピレン系樹脂組成物のヘイズが悪化する場合がある。
ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)、オレフィン系樹脂(C)それぞれの粘度は、レオメータを用い、温度210℃、周波数25rad/sで測定することが可能である。
プロピレン系樹脂組成物を成形すると、ポリプロピレン樹脂(A)から形成される海相に、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)から形成される島相が分散した相構造を形成する。オレフィン系樹脂(C)と上記エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比が上記範囲内であると、オレフィン系樹脂(C)が、ポリプロピレン樹脂(A)から形成される海相に単独で分散せず、ポリプロピレン樹脂(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)との界面にオレフィン系樹脂(C)が配置され、より透明性に優れる傾向があり、好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を射出成形した場合には、成形体の表面付近と、成形体内部とで島構造が異なる。具体的には、表面に近い部分では、島構造が扁平(成形体の深さ方向が短い扁平)となり、成形体内部では球形に近づく。成形体の表面付近の島構造が扁平であるため、当該部分における光散乱が抑制され内部ヘイズが小さくなる。このため本発明の成形体は透明性に優れる。また、ポリプロピレン樹脂(A)として、シングルサイト触媒により得られた重合体を用いることにより、内部ヘイズを小さくする効果をより発揮することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前述の各成分を上記範囲で含むため、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、従来と同等の剛性、従来と同等あるいはそれ以上の低温耐衝撃性を有し、かつ従来よりも透明性に優れる。
(MFR比)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、オレフィン系樹脂(C)とエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)との、230℃で測定した、MFR比 (MFR(C)/MFR(B))は、好ましくは0.8〜3.5であり、より好ましくは0.8〜2.5であり、さらに好ましくは0.8〜1.5である。
MFR比が上述の上限値を上回るとプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体の強度が著しく低下する。また、MFR比が上述の下限値を下回るとヘイズが著しく高くなる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、該製造方法としては、例えば各成分を混練機で溶融混練して、プロピレン系樹脂組成物を製造する方法が挙げられる。混練機として、例えば単軸混練押出機、多軸混練押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。溶融混練条件は、混練時の剪断、加熱温度、剪断による発熱などによって溶融樹脂の劣化が起こらない限り、特に制限されない。溶融樹脂の劣化を防止する観点から、加熱温度を適正に設定したり、酸化防止剤や熱安定剤を添加したりすることは、効果的である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を公知の成形技術に従い成形することにより、さまざまな成形品を得ることができる。成形技術としては、例えば射出成形、射出延伸ブロー成形、圧縮成形、射出圧縮成形、Tダイフィルム成形、延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、シート成形、カレンダ成形、圧空成形、真空成形、パイプ成形、異型押出成形、中空成形、ラミネート成形等が挙げられる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物から形成される成形体としては、容器、家電部品、日用品等が挙げられる。中でも耐衝撃性・剛性の観点から容器が好ましい。
本発明の容器は、前述のプロピレン系樹脂組成物から形成される。容器としては、洗髪剤・調髪剤・化粧品・洗剤・殺菌剤などの液体日用品用の包装容器;清涼飲料水・水・調味料などの液体用の食品包装容器;ゼリー、プリン、ヨーグルトなどの固体用の食品包装容器;その他の薬品用の包装容器;工業用の液体用の包装容器などとして広範囲に使用できる。
中でも、従来よりも薄肉化、軽量化することが求められるとともに、内容物の視認性に優れ、臭気が少ないことが求められる食品包装容器として好適に用いることができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物から形成される容器(例えば食品包装容器)は射出成形または射出延伸ブロー成形により得られることが好ましい。
射出成形の方法としては例えば射出成形機を用いて下記のような方法で成形を行うことができる。まず、射出機構のホッパー内にプロピレン系樹脂組成物を導入し、およそ200℃〜250℃に加熱してあるシリンダーにプロピレン系樹脂組成物を送り込み、混練可塑化して溶融状態にする。これをノズルから高圧高速(最大圧力700〜1500kg/cm3)で、冷却水あるいは温水等により5〜50℃好ましくは30〜50℃に温調された、型締め機構にて閉じられている金型内に射出する。金型からの冷却により射出されたプロピレン系樹脂組成物を冷却固化させ型締め機構にて金型を開き、成形品を得ることにより行うことができる。
また、射出延伸ブロー成形としては例えば、射出成形機のホッパー内にプロピレン系樹脂組成物を導入し、およそ200℃〜250℃に加熱してあるシリンダーに樹脂を送り込み、混練可塑化して溶融状態にする。これをノズルから高圧高速(最大圧力700〜1500kg/cm3)で、冷却水あるいは温水等により5〜50℃好ましくは10〜30℃に温調された、型締め機構にて閉じられている金型内に射出成形し、そこで1.0〜3.0秒間冷却してプリフォームを形成し、その後直ちに型を開き延伸ロッドを用いて縦方向へと延伸配向し、さらにブロー成形によって横方向へと延伸配向させ成形品を得ることにより行うことができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[評価方法]
以下に記載の方法に従い、ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)、オレフィン系樹脂(C)およびプロピレン系樹脂組成物の物性を測定した。
(ポリプロピレン樹脂(A)の物性の測定方法)
(1)粘度η*
粘度η*はレオメータ(アントンパールジャパン製 PHYSICA MCR301)を用いて測定した。
測定条件は以下の通り設定した。
サンプル:プレス板 28mmφ×1mm
測定治具:プレート−プレート
ギャップ:0.8mm
測定温度:210℃
測定周波数:25rad/s
(2)メルトフローレート(MFR)
MFRは、ASTM D 1238に従い、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(3)ポリプロピレン樹脂(A)中のプロピレン由来の構成単位の割合
ポリプロピレン樹脂(A)のプロピレン由来の構成単位の割合(モル%)を、13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
(4)GPC測定(Mn、Mw、Mw/Mn)
ポリマーの分子量分析のために、次の条件でGPC分析を実施した。 GPC測定により得られたクロマトグラムから、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を求め、Mw/Mnの値を算出した。
装置:Waters社製 Alliance GPC 2000型
カラム:TSKgel GMH6−HTx2 TSKgel GMH6−HTLx2(いずれも東ソー社製、内径7.5mmx長さ30cm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロロベンゼン(0.025%ジブチルヒドロキシトルエン含有)
検出器:示差屈折計
流量:1.0mL/min
試料濃度:0.15%(w/v)
注入量:0.5mL
サンプリング時間間隔:1秒
カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)。
(5)立体規則性 ペンタッド分率(mmmm:〔%〕)
ポリプロピレン樹脂(A)のペンタッド分率(mmmm,%)を、Macromolecules 8,687(1975)に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
(6)立体規則性分布 DSC半値幅
ポリプロピレン樹脂(A)の融解温度(Tm)ピークの半値幅は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
示差走査熱量計〔SII社 RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度500℃/minで230℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/minで50℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/minで190℃まで昇温した。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピークとし、その温度を融解温度(Tm)として求め、そのピークの半値幅を導出した。
(エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の物性の測定方法)
(7)密度
密度は、下記の方法で測定した。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の、測定温度190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート測定時(ASTM D−1238)に得られるストランドを、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したものをサンプルとして用い、密度勾配管法にて密度の測定を行った。
(8)メルトフローレート(MFR)
MFRは、上記(2)と同様の方法によって測定した。
(9)粘度η*
粘度η*は、上記(1)と同様の方法によって測定した。
(10)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)中のエチレン由来の構成単位の割合
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のエチレン由来の構成単位の割合(モル%)を、13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
(オレフィン系樹脂(C)および末端不飽和ポリプロピレンの物性測定方法)
(11)13C−NMR測定
ポリマー中のエチレン由来の構成単位の割合、α−オレフィン由来の構成単位の割合、および末端不飽和ポリプロピレンの立体規則性の確認を目的に、次の条件で13C−NMR測定を実施した。装置:ブルカーバイオスピン社製AVANCEIII500CryoProbe Prodigy型核磁気共鳴装置、測定核:13C(125MHz)、測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅:45°(5.00μ秒)、ポイント数:64k、測定範囲:250ppm(−55〜195ppm)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:512回、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1 v/v)、試料濃度:ca.60mg/0.6mL、測定温度:120℃、ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)、ケミカルシフト基準:ベンゼン−d6(128.0ppm)。
(12)1H−NMR測定
末端不飽和ポリプロピレンの末端構造の分析のため、次の条件で1H−NMR測定を実施した。装置:日本電子製ECX400P型核磁気共鳴装置、測定核:13H(400MHz)、測定モード:シングルパルス、パルス幅:45°(5.25μ秒)、ポイント数:32k、測定範囲:20ppm(−4〜16ppm)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:64回、測定溶媒:1,1,2,2,−テトラクロロエタン−d2、試料濃度:ca.60mg/0.6mL、測定温度:120℃、ウインドウ関数:exponential(BF:0.12Hz)、ケミカルシフト基準:1,1,2,2,−テトラクロロエタン(5.91ppm)。
(13)GPC測定(Mn、Mw、Mw/Mn)
GPC測定は、上記(4)と同様の方法によって行った。
(14)オレフィン系樹脂(C)に含まれるプロピレン重合体のオレフィン系樹脂(C)に対する割合Pの測定
前述したとおり、工程(P−2)に用いる末端不飽和ポリプロピレンの重量と、得られたオレフィン系樹脂(C)の重量の比率から算出した。
(15)クロス分別クロマトグラフ(CFC)測定
オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク値が65℃未満である成分のオレフィン系樹脂に対する割合Eおよび50℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合(重量%)の算出方法については、要件(III)および要件(XI)の項に記載したが、実施例および比較例において具体的には、以下のとおりである。
装置:クロス分別クロマトグラフCFC2(Polymer ChAR)、検出器(内蔵):赤外分光光度計 IR4(Polymer ChAR)、検出波長:3.42μm(2,920cm−1);固定、試料濃度:120mg/30mL、注入量:0.5mL、降温時間:1.0℃/min、溶出区分:4.0℃間隔(−20℃〜140℃)、GPCカラム:Shodex HT−806M×3本(昭和電工社)、GPCカラム温度:140℃、GPCカラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社)、分子量較正法:汎用較正法(ポリスチレン換算)、移動相:o−ジクロロベンゼン(BHT添加)、流量:1.0mL/min。
ピーク温度が65℃未満である成分のオレフィン系樹脂に対する割合Eの算出においては、上記CFC測定による微分溶出曲線を正規分布曲線によりピーク分離し、65℃以上にピーク温度を持つ溶出成分の割合(wt%)の和E(>65)を求め、E=100−E(>65)として求めた。
50℃以下のオルトジクロロベンゼン可溶成分の割合(wt%)は、上記CFC測定による累積溶出曲線の50℃における累積溶出量(−20℃可溶成分を含む)である。
(16)融点(Tm)および融解熱量ΔHの測定
融点(Tm)および融解熱量ΔHの測定は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
示差走査熱量計〔SII社 RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/分で200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/分で30℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピークとし、その融解ピークが現れる温度を融点(Tm)として求めた。また、融解熱量ΔHは上記融解解ピークの面積を算出して求めた。なお融解ピークが多峰性の場合は、全体の融解ピークの面積を算出して求めた。
(17)ガラス転移温度(Tg)の測定
ガラス転移温度(Tg)の測定は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
示差走査熱量計〔SII社 RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/分で200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/分で−100℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。ガラス転移温度(Tg)は、2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(18)熱キシレン不溶解量
試料を熱プレス(180℃、加熱5分−冷却1分)により厚み0.4mmのシート状にし、細かく裁断した。それを約100mg秤量し、325メッシュのスクリーンに包んで、密閉容器中にて30mlのp−キシレンに、140℃で3時間浸漬した。次に、そのスクリーンを取り出し、80℃にて2時間以上恒量になるまで乾燥した。熱キシレン不溶解量(wt%)は、次式で表わされる。
熱キシレン不溶解量(wt%)=100×(W3−W2)/(W1−W2)
W1:試験前のスクリーンおよびサンプルの重量、W2:スクリーン重量、W3:試験後のスクリーンおよびサンプルの重量。
(19)極限粘度測定
極限粘度測定[η]は135℃のデカリン中で測定した。
具体的には、約20mgの樹脂をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、前記と同様にして比粘度ηspを測定した。
この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
(20)オレフィン系樹脂(C)中のエチレン由来の構成単位の割合
オレフィン系樹脂(C)中のエチレン由来の構成単位の割合は、上記(10)と同様の方法によって測定した。
(21)透過型電子顕微鏡観察
オレフィン系樹脂(C)の相構造の観察は透過型電子顕微鏡を用いて以下の通り実施した。オレフィン系樹脂(C)40g、酸化防止剤Irganox(40mg)をラボプラストミル(東洋精機製作所社製)に投入し、200℃、60rpmで5分間溶融混練し、ブレス加工によりシート状に成形した。得られた成形体を、0.5mm角の小片とし、ルテニウム酸(RuO4)によって染色した。さらにダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで得られた小片を約100nmの膜厚の超薄切片とした。この超薄切片にカーボンを蒸着させて透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−7650)を用いて相構造を観察した。島相の平均粒径は、得られた観察像を、画像解析ソフト「macview」を用いて、画像処理および画像解析をすることにより、島相の平均長径として得た。
(22)メルトフローレート(MFR)
MFRは、上記(2)と同様の方法によって測定した。
(23)粘度η*
粘度η*は、上記(1)と同様の方法によって測定した。
(プロピレン系樹脂組成物の物性測定方法)
(24)ヘイズ
各実施例、比較例で得たヘイズ測定用角板試験片のヘイズは、JIS K 7136に定められたヘイズ試験法に従って日本電色工業社製NDH2000を用いて測定した。
試験片は後述の射出成形で得られた、長さ60mm、幅60mm、厚さ1mmの試験片を用いた。この、ヘイズの評価結果を透明性の指標とした。つまり、値の小さいものが透明性に優れているとした。
(25)引張弾性率
各実施例、比較例で得た引張弾性率測定用の試験片の引張弾性率は、JIS K7202に定められた引張弾性率試験法に従って、下記測定条件で行った。
<測定条件>
温度 : 23℃
試験片 : JIS K7162−BA ダンベル
5mm(幅)×2mm(厚さ)×75mm(長さ)
引張速度 : 1.0mm/分
スパン間距離 : 58mm
(26)低温耐衝撃性
シャルピー衝撃試験を、JIS K7111に従って下記の条件で行い、シャルピー衝撃強度〔kJ/m2〕を求めた。
<試験条件>
温度:0℃
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ)
シングルノッチ、エッジワイズ垂直、 ノッチは機械加工
(27)メルトフローレート(MFR)
MFRは、上記(2)と同様の方法によって測定した。
(使用原料)
(ポリプロピレン系樹脂(A))
ポリプロピレン系樹脂(A)として、下記の物性を有するチーグラーナッタ触媒により製造されたポリプロピレン樹脂を用いた。
粘度η*(周波数:25rad/s)(210℃):550Pa・s
MFR(230℃、荷重2.16kg):26g/10分
プロピレン由来の構成単位:100モル%
Mw/Mn:5.3
mmmm(ペンタッド分率):98%
融解温度(Tm):160℃
融解温度(Tm)ピークの半値幅:10.7℃
(エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B))
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)として、メタロセン化合物触媒により製造されたエボリューSP1510(プライムポリマー製)を使用した。
該エチレン・α―オレフィン共重合体樹脂(B)は、以下の物性を有する。
密度:913kg/m3
MFR(230℃、荷重2.16kg):1.7g/10分
粘度η*(周波数:25rad/s)(210℃):332Pa・s
エチレン由来の構成単位:97モル%
(オレフィン系樹脂(C))
オレフィン系樹脂(C)として、下記製造例1により得られたオレフィン系樹脂(C−1)を用いた。
(使用試薬)
以下の製造例では、トルエンはGlassContour社製有機溶媒精製装置を用いて精製したものを用いた。また、アルミノキサンのトルエン溶液は、日本アルキルアルミ社製の20重量%メチルアルミノキサン/トルエン溶液を用い、トリイソブチルアルミは東ソー・ファインケム社製のものをトルエンで希釈(1.0M)して用いた。
[製造例1]
以下の手順により、オレフィン系樹脂(C−1)を得た。
(1)工程(P1):末端不飽和ポリプロピレン(M−2)の製造
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、窒素流通下でトルエン500mLおよびメチルアルミノキサン(PMAOとも記す)のトルエン溶液(1.5mol/L)0.67mL(1.0mmol)を入れた。その後オートクレープを閉鎖し、85℃に昇温した。次に600rpmで重合器内部を撹拌しながらプロピレン分圧を0.3MPaに昇圧し、引き続き85℃を維持した。そこにジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(0.0010mol/L)を1.0mL(0.001mmol)圧入し重合を開始した。プロピレンガスを連続的に供給しながら圧力を保ち、85℃で20分間重合を行った後、5mLのメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られた重合反応液を、少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノールに加え、重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、末端不飽和ポリプロピレン(M−2)14.9gを得た。得られた重合体の分析結果を表1に示す。
(2)工程(P2):オレフィン系樹脂(C−1)の製造
触媒として使用した下記式(1)で示される化合物(1)は公知の方法によって合成した。
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、末端不飽和ポリプロピレン(M−2)15.0gとキシレン500mlを入れたのち、110℃に昇温しマクロモノマーを溶解させた。そこに、600rpmで重合器内部を撹拌しながら、エチレンおよび1−ブテンをそれぞれ120リットル/hrおよび15リットル/hrで連続的に供給し、液相および気相を飽和させた。引き続きエチレンおよび1−ブテンを連続的に供給した状態で、トリイソブチルアルミニウム(iBu3Alとも記す)のデカン溶液(1.0mol/L)を1.0mL(1.00mmol)、上記化合物(1)のトルエン溶液(0.0020mol/L)を6.0mL(0.012mmol)、ついでトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4とも記す)のトルエン溶液(4.0mmol/L)を6.25mL(0.025mmol)加え、常圧下、110℃で40分間重合を行った。重合の停止は少量のイソブタノールを添加することにより行った。得られた重合反応液を、少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加え、重合体を析出させた。析出物をメタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、31.1gのオレフィン系樹脂(C−1)を得た。
オレフィン系樹脂(C−1)の分析結果を表2に示す。
末端不飽和ポリプロピレン(M−1)を添加しない以外は実施例1と同様に重合して得られた樹脂(C’−1)を既述の方法で分析した結果を表3に示す。この樹脂(C’−1)を、オレフィン系樹脂(C−1)の主鎖を構成する共重合体であるとした。
また、得られた樹脂(C―1)を透過型電子顕微鏡で相構造を観察した。その結果、樹脂(C−1)は非晶性成分により形成される海相と結晶性成分により形成される島相とからなる相分離構造を有し、島相の平均径は350nmであった。
[製造例2]
上記ポリプロピレン樹脂(A)100重量部、造核剤としてミラードNX8000(ミリケン社製)0.41重量部、および添加剤としてリン系酸化防止剤[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト]0.14重量部、および中和剤としてステアリン酸カルシウム0.12重量部をヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、その混合物をナカタニ機械社製の二軸押出機(NR−36)を用いて下記の条件にて溶融混練しストランドを得た。得られたストランドを水冷後ペレタイザーにて切断する事によりポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤を混合した原料組成物(A)のペレットを得た。
(二軸押出機条件)
型式:NR−36
スクリュー回転数250rpm
樹脂温度200℃
[実施例1]
原料組成物(A)69重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)26重量部、およびオレフィン系樹脂(C1)5重量部を混合し、その混合物を東洋精機製作所社製の二軸押出機(ラボプラストミル・マイクロ)を用いて下記の条件で溶融混練しストランドを得、さらにペレタイザーで切断し、プロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたプロピレン系樹脂組成物に含まれる各成分の組成比を表4にまとめる。
(二軸押出機条件)
型式:ラボプラストミル・マイクロ
スクリュー回転数45rpm
樹脂温度200℃
得られたペレットから、型締め力40トンの電動射出成形機(東芝機械製シリーズモデルEC40N II)を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度40℃の条件で、長さ60mm、幅60mm、厚さ1mmの試験片を射出成形しヘイズ測定用角板試験片を得た。
また、同条件で引張弾性率用試験片(JIS K7162-BA)、シャルピー強度用試験片(10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ))を作製した。
これら試験片を用いて、ヘイズ、引張弾性率、シャルピー強度(シングルノッチ、エッジワイズ垂直、温度0℃)を測定した。結果を表5および図2に示した。なお図2は、試験片の弾性率とシャルピー強度との関係を示したものである。
[比較例1]
表4に記載された組成比となる様にオレフィン系樹脂(C)を添加せずに、ポリプロピレン系樹脂(A)の添加量を73重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の添加量を27重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、プロピレン系樹脂組成物のペレットの作製、得られたペレットからの試験片の作製を行い、物性を測定した。結果を表5および図2に示した。
[比較例2]
表4に記載された組成比となる様にオレフィン系樹脂(C−1)に替えて下記PERを用いる以外は実施例1と同様にして、プロピレン系樹脂組成物のペレットの作製、得られたペレットからの試験片の作製を行い、物性を測定した。結果を表5および図2に示した。
PER:プロピレン・エチレン共重合体
プロピレン由来の構成単位の含有割合:76モル%
MFR(230℃、荷重2.16kg):2.1g/10分
粘度η*(周波数:25rad/s)(210℃):3250Pa・s
[比較例3]
プロピレン樹脂(A)95重量部、造核剤(ミラードNX8000)0.3重量部、リン系酸化防止剤[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト]0.13重量部、および中和剤としてステアリン酸カルシウム0.11重量部をヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、その混合物をナカタニ機械社製の二軸押出機(NR−36)を用いて下記の条件にて溶融混練しストランドを得た。得られたストランドを水冷後ペレタイザーにて切断する事によりポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤を混合した原料組成物(B)のペレットを得た。
この原料組成物(B)98.24重量部に、オレフィン系樹脂(C)5重量部を混合し、実施例1と同様にして、プロピレン系樹脂組成物のペレットの作製、得られたペレットからの試験片の作製を行い、物性を測定した。結果を表5および図2に示した。
一般に、図2に示される比較例1〜3の結果からも分かるとおり、剛性(弾性率)は低温耐衝撃性の上昇に伴い低下する傾向にある。しかし、本願発明のプロピレン系樹脂組成物は、剛性と低温耐衝撃性のバランスに優れており、同等の低温耐衝撃性を有する組成物で比較した場合、比較例の組成物に対し74MPa高剛性化していることが分かる。また表5から、本願発明のプロピレン系樹脂組成物は透明性にも優れることが分かる。

Claims (11)

  1. 下記要件(A1)〜(A3)を満たすポリプロピレン樹脂(A)57〜80重量部、下記要件(B1)〜(B3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)17〜40重量部、および下記要件(C1)〜(C4)を満たすオレフィン系樹脂(C)3〜20重量部(ただし、ポリプロピレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)、およびオレフィン系樹脂(C)の合計を100重量部とする)と、造核剤0.1〜1.0重量部とを含むプロピレン系樹脂組成物。
    (A1)ポリプロピレン樹脂(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(25rad/s)が100〜1000Pa・sである。
    (A2)ポリプロピレン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が10〜170g/10分である。
    (A3)ポリプロピレン樹脂(A)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、プロピレン由来の構成単位を80モル%超100モル%以下有する。
    (B1)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)の密度が885〜925kg/m3である。
    (B2)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が0.1〜100g/10分である。
    (B3)エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、エチレン由来の構成単位を80モル%超99モル%以下で有する。
    (C1)オレフィン系樹脂(C)が、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる主鎖およびプロピレン重合体からなる側鎖を有するグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含み、グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、その主鎖中のエチレン由来の構成単位の割合が60〜90モル%の範囲であり、α−オレフィン由来の構成単位の割合が10〜40モル%の範囲であり、側鎖のプロピレン重合体に含まれる全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、プロピレン由来の構成単位の割合が、99.5〜100モル%である。
    (C2)オレフィン系樹脂(C)に含まれるプロピレン重合体の割合をP重量%としたとき、Pが30〜60の範囲にある。
    (C3)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm)が120〜165℃の範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が−80〜−40℃の範囲にある。
    (C4)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にある。
  2. 上記オレフィン系樹脂(C)の熱キシレン不溶解量が3.0重量%未満である請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 上記オレフィン系樹脂(C)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とした場合、オレフィン系樹脂(C)がエチレン由来の構成単位を20〜80モル%有する請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 上記オレフィン系樹脂(C)においてオルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(CFC)により測定される微分溶出曲線のピーク温度が65℃未満である成分の、前記オレフィン系樹脂(C)に対する割合をE重量%としたとき、下記関係式(Eq−1)で表される値aが1.4以上である請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
    a=(100−E)/P (Eq−1)
  5. 上記オレフィン系樹脂(C)のグラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が93%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 上記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成するプロピレン重合体の重量平均分子量が5000〜100,000の範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
  7. 上記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖を構成する前記エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量が50,000〜200,000の範囲にある請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
  8. 上記オレフィン系樹脂(C)が、非晶性成分により形成される海相と結晶性成分により形成される島相とからなる相分離構造を有し、透過型電子顕微鏡像における前記島相の平均径が50nm〜500nmの範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
  9. オレフィン系樹脂(C)とエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(B)とのMFR比 MFR(C)/MFR(B)(230℃)が0.8〜3.5であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
  10. 引張弾性率が900〜1400MPaである請求項1〜9のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物から形成される成形体。

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