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JP6665612B2 - プレス成形品の製造方法及びプレス装置 - Google Patents

プレス成形品の製造方法及びプレス装置 Download PDF

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JP6665612B2 JP2016056041A JP2016056041A JP6665612B2 JP 6665612 B2 JP6665612 B2 JP 6665612B2 JP 2016056041 A JP2016056041 A JP 2016056041A JP 2016056041 A JP2016056041 A JP 2016056041A JP 6665612 B2 JP6665612 B2 JP 6665612B2
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Description

本発明は、プレス成形品の製造方法及びプレス装置に関する。
自動車の車体は、多数の成形パネルの縁部同士を重ね合わせて、スポット溶接により接合して箱体とし、この箱体の要所に構造部材をスポット溶接により接合することにより、組み立てられる。例えば、自動車の車体の側部(ボディサイド)には、構造部材として、フロアパネルの両側部に接合されるサイドシル、サイドシルの前部に上方へ向けて立設されるAピラーロアー及びAピラーアッパー、Aピラーアッパーの上端部に接合されるルーフレール、更には、サイドシル及びルーフレールを接合するBピラー等が用いられる。
Aピラーロアー、Aピラーアッパー、ルーフレール等の構造部材の構成要素(例えば、それぞれのアウターパネル)は、一般的に、長手方向へ延びて存在する天板と、この天板の両側にそれぞれつながる2つの凸稜線部と、これら2つの凸稜線部にそれぞれつながる2つの縦壁と、これら2つの縦壁にそれぞれつながる2つの凹稜線部と、これら2つの凹稜線部にそれぞれつながる2つのフランジとからなる略ハット型の横断面形状を有することが多い。
上述の構成要素は、比較的複雑な横断面形状を有するとともに長尺である。そこで、製造コストの上昇を抑制するために、上述の構成要素は、一般的に、冷間でのプレス成形により製造されている。また、燃費向上のための車体の軽量化及び強度向上を両立するために、上述の構造部材として、例えば、引張強度が440MPa以上の高張力鋼板を用いる薄肉化も推進されている。
しかし、高張力鋼板を冷間でのプレス成形により、例えば、ルーフレールアウターパネル(以下、ルーフ部材という。ルーフ部材とは、自動車の構造部材である。)のような、長手方向に湾曲している構成要素を製造しようとすると、プレス型から離型の際にスプリングバックが発生して、天板にねじれが生じるおそれがある。その結果、ルーフ部材を所望の形状に成形できないという形状凍結性の問題が生じる。
例えば、特許文献1には、長手方向へ均一なハット型の横断面を有するプレス成形品を製造する際に、段差を付与することにより口開きの発生を抑制して形状凍結性を高める発明が開示されている。
また、特許文献2には、天板、縦壁及びフランジを有し、長手方向に湾曲するプレス成形品を製造する際に、1工程目で形成したフランジを2工程目で曲げ戻してフランジの残留応力を低減することで形状凍結性を高める発明が開示されている。
特開2004−31423号公報 特許第5382281号明細書
特許文献1により開示された発明により、例えば、Aピラーロアー、Aピラーアッパー及びルーフレールの構成部材の構成要素のように、その長手方向に湾曲した形状のプレス成形品を製造すると、離型後のスプリングバックにより湾曲壁に曲がりが生じ、所望の形状に成形できない。
特許文献2により開示された発明により、長手方向及び高さ方向へ湾曲するプレス成形品を製造すると、フランジの残留応力、縦壁及び天板の面内の残留応力並びに縦壁及び天板の面内の偏差残留応力が発生する。その結果、プレス成形品には離型後のスプリングバックにより天板側から見た曲がり(天板の短手方向における曲がり)が生じ、所望の形状に成形できない。
本発明は、天板側から見た曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品の製造方法の提供を目的とする。ここで、特定プレス成形品とは、長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁とを含んで構成されるプレス成形品のことをいう(以下、本明細書において同様とする)。
本発明に係るプレス成形品の製造方法は、長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁とを含んで構成されるプレス成形品の製造方法であって、ブランクをプレスして、前記天板と、前記両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁とを含んで構成され、前記縦壁が互いに対向する対向側と反対側に突出している段差部が前記天板の長手方向に亘って前記湾曲壁に形成された中間成形品を成形する第1工程と、前記中間成形品をプレスして、前記湾曲壁における前記段差部よりも他端側の部分を前記対向側と反対側に移動させる第2工程と、を含む。
本発明に係るプレス装置は、ブランクをプレスして、前記天板と、前記両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁に形成された中間成形品を成形する第1プレス装置と、前記中間成形品をプレスして、前記湾曲壁における前記段差部よりも他端側の部分を前記対向側と反対側に移動させる第2プレス装置と、を備えている。
また、本発明に係るプレス装置は、第1ダイと第1パンチとでブランクをプレスして中間成形品を成形する第1プレス装置と、第2ダイと第2パンチとで前記中間成形品をプレスする第2プレス装置とを備えたプレス装置であって、前記第1ダイには、長尺な第1底面と、各一端が該第1底面の短手方向の端部に繋がり、互いに対向する第1側面とを含んで構成される長尺な第1溝が形成され、少なくとも前記第1側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1側面の対向幅を広がらせる第1段差部が前記第1側面の長手方向に亘って形成された第1湾曲面とされ、前記第1パンチの形状は、型閉じ時に前記第1溝の形状に合わせて嵌る形状である、第1プレス装置と、前記第2ダイには、長尺な第2底面と、各一端が該第2底面の短手方向の端部に繋がり、互いに対向する第2側面とを含んで構成される長尺な第2溝が形成され、少なくとも前記第2側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1段差部に対応する位置に第2段差部が形成された第2湾曲面とされ、前記第2湾曲面における前記第2段差部よりも他端側の部分が前記型閉じ方向に対して傾斜する角度は、前記第1湾曲面における前記第1段差部よりも他端側の部分が前記型閉じ方向に対して傾斜する角度に比べて大きく、前記第2パンチの形状は、型閉じ時に前記第2溝の形状に合わせて嵌る形状である、第2プレス装置と、を備えている。
本発明に係るプレス成形品の製造方法を用いれば、特定プレス成形品の所望の形状からのスプリングバックによる短手方向への曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品を製造することができる。
本発明に係るプレス装置を用いれば、特定プレス成形品の所望の形状からのスプリングバックによる短手方向への曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品を製造することができる。
第1実施形態のルーフ部材の図であって、長手方向における横断面図を含んで示した斜視図である。 第1実施形態のルーフ部材の断面図を示す図であって、図1における2−2線断面図である。 第1実施形態の中間成形品の図であって、長手方向における横断面図を含んで示した斜視図である。 第1実施形態の中間成形品の横断面図を示す図であって、図3における4−4線断面図である。 図4の横断面図の一部(実線)に、図2の断面図の一部(二点鎖線)を重ね合わせた模式図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第1工程で用いられる第1プレス装置の金型の斜視図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第1工程で用いる第1プレス装置と、ブランクとの横断面図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第2工程で用いられる第2プレス装置の金型の斜視図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第2工程で用いる第2プレス装置と、中間成形品との横断面図である。 曲がりの評価方法を説明するための図である。 第2実施形態のルーフ部材の図であって、長手方向における横断面図を含んで示した斜視図である。 第2実施形態のルーフ部材の断面図を示す図であって、図11における12−12線断面図である。 実施例及び比較例における外側縦壁変化開始点及び内側縦壁変化開始点を説明するための図である。 第1実施形態の実施例(実施例1〜19)のルーフ部材の曲がり、及び、比較例(比較例1〜6)のルーフ部材の曲がりについてのシミュレーションによる評価結果を示す表である。 第2実施形態の実施例(実施例20〜37)のルーフ部材の曲がり、及び、比較例(比較例7〜12)のルーフ部材の曲がりについてのシミュレーションによる評価結果を示す表である。
≪概要≫
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について、2つの実施形態(第1及び第2実施形態)を例示して説明する。次いで、実施例について説明する。
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態について説明する。まず、本実施形態のルーフ部材1(図1及び図2参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のプレス装置17(図6、図7、図8及び図9参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のルーフ部材1の製造方法について説明する。次いで、本実施形態の作用について説明する。なお、本実施形態のルーフ部材は、後述する実施例における実施例9に相当する(図14参照)。
<ルーフ部材の構成>
まず、本実施形態のルーフ部材1の構成について、図面を参照しつつ説明する。ここで、ルーフ部材1は、プレス成形品及び特定プレス成形品の一例である。
図1及び図2に示されるように、ルーフ部材1は、天板2と、2つの凸稜線部3a、3bと、2つの縦壁4a、4bと、2つの凹稜線部5a、5bと、2つのフランジ6a、6bと、を一体的に含んで構成されている、断面形状が略ハット型の長尺部材とされている。ここで、凸稜線部3a、3bは、稜線部の一例である。ルーフ部材1は、一例として、引張強度が1470MPa級の高張力鋼板を素材とする冷間プレス成形品とされている。
天板2は、図1に示されるように、長尺とされている。また、天板2は、(天板2の)上側から見ると、長手方向(図中矢印L1方向)に沿っている。2つの凸稜線部3a、3bは、天板2の短手方向の両端に形成されている。2つの縦壁4a、4bは、それぞれ一端が凸稜線部3a、3bに繋がった状態で互いに対向している。すなわち、本実施形態のルーフ部材1は、長尺な天板2と、天板2の短手方向の両端の凸稜線部3a、3bと、一端が凸稜線部3a、3bに繋がった状態で互いに対向する縦壁4a、4bと、を含んで構成されている。また、2つの縦壁4a、4bは、図1に示されるように、天板2の上側から見て、天板2の長手方向に沿って湾曲している。すなわち、本実施形態の2つの縦壁4a、4bは、少なくとも一方(本実施形態の場合は両方)が天板2の上側から見て湾曲している湾曲壁とされている。ここで、縦壁4aは、湾曲壁の一例である。なお、本実施形態では、一例として、縦壁4aは縦壁4b側(縦壁4b側に対向する側)と反対側に向かって凸状に湾曲し、縦壁4bは縦壁4a側(縦壁4a側に対向する側)と反対側に向かって凹状に湾曲している。
また、本実施形態の天板2の長手方向の垂直な各断面(横断面)は、一例として、長手方向における各位置で、短手方向に直線状に延びている(図1参照)。すなわち、本実施形態の天板2は、その長手方向における垂直な各断面を見ると、長手方向における各位置で、平坦とされている(図2参照)。ここで、凸稜線部3aは、図2に示されるように、天板2と、縦壁4aとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向の垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。図中の2本の一点鎖線は、それぞれ天板2及び縦壁4aに繋がる凸稜線部3aの両端を示している。凸稜線部3bは、一点鎖線による両端の図示を省略するが、天板2と、縦壁4bとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向に垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。
また、2つの凹稜線部5a、5bは、図2に示されるように、それぞれ2つの縦壁4a、4bにおける天板2に繋がっている側と反対側の端部に形成されている。2つのフランジ6a、6bは、それぞれ2つの凹稜線部5a、5bに繋がっている。凹稜線部5aは、一点鎖線による両端の図示を省略するが、縦壁4aと、フランジ6aとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向に垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。また、凹稜線部5bは、一点鎖線による両端の図示を省略するが、縦壁4bと、フランジ6bとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向に垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。
ルーフ部材1は、図1に示されるように、天板2側から見ると、長手方向の一端1aから他端1bに亘って湾曲している。また、ルーフ部材1は、一端1aを含む第1の部分8と、他端1bを含む第3の部分10と、第1の部分8と第3の部分10とを繋ぐ第2の部分9と、を含んで一体的に構成されているといえる。
ここで、本実施形態では、天板2側から見ると、第1の部分8の曲率半径が一例として2000(mm)以上9000(mm)以下とされ、第2の部分9の曲率半径が一例として500(mm)以上2000(mm)以下とされ、第3の部分10の曲率半径が一例として2500(mm)以上9000(mm)以下とされている。
図2に示されるように、凸稜線部3aの天板2側のR開始点(R止まり)の板厚中心、すなわち、天板2の板厚中心から縦壁4aにおける凹稜線部5a側の端(縦壁4aの下端)までの高さを高さhとする。そうすると、縦壁4aには、天板2の板厚中心から高さhの40%以上離れた部分に、長手方向に亘って、段差量a2(mm)の段差部11aが形成されている。また、凸稜線部3bの天板2側のR開始点(R止まり)の板厚中心、すなわち、天板2の板厚中心から縦壁4bの下端までの高さを高さh’とする。そうすると、縦壁4bには、天板2の板厚中心から高さh’の40%以上離れた部分に、長手方向に亘って、段差量a2’(mm)の段差部11a’が形成されている。本明細書では、天板2の板厚中心を、天板2の高さ方向の位置とする。なお、段差部11a、11a’の突出幅a2、a2’は、天板2の長手方向における各位置で、当該各位置における天板2の短手方向の幅Wの20%以下とされている。
段差部11aの両端のうち天板2に近い側(上側)の部位を凹部11a1、天板2から遠い側(下側)の部位を凸部11a2とする。また、段差部11bの両端のうち天板2に近い側(上側)の部位を凹部11a’1、天板2から遠い側(下側)の部位を凸部11a’2とする。そして、段差部11a、11a’の両端について一般化すると、以下のように言い換えられる。段差部11aの両端のうち天板2に近い側(上側)の端とされる凹部11a1は縦壁4aの内表面において内表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位とされ、天板2から遠い側(下側)の端とされる凸部11a2は縦壁4aの内表面において外表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位とされている。また、段差部11a’の両端のうち天板2に近い側(上側)の端とされる凹部11a’1は縦壁4bの内表面において内表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位、天板2から遠い側(下側)の端とされる凸部11a’2は縦壁4bの内表面において外表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位とされている。なお、図2に示されるように、段差部11aの突出幅a2は、ルーフ部材1の長手方向に垂直の断面を見た場合、天板2の短手方向における、凸部11a2と凹部11a1との離間幅のことをいう。また、段差部11a’の突出幅a2’は、ルーフ部材1の長手方向に垂直の断面を見た場合、天板2の短手方向における、凸部11a2’と凹部11a1’との離間幅のことをいう。
ルーフ部材1は、フランジ6a、6bの断面形状が長手方向の一端1aと他端1bとにおいて異なっている(図示省略)。縦壁4bに対するフランジ6bの角度は、一端1aでは30°とされ、他端1bでは40°とされている。そして、縦壁4aに対するフランジ6a、6bの角度は、それぞれ、長手方向に亘って連続的に変化している。また、天板2の短手方向の幅は、長手方向に亘って一端1aから他端1bに亘って連続的に広くなるように変化している。
以上が、本実施形態のルーフ部材1の構成についての説明である。
<プレス装置の構成>
次に、本実施形態のプレス装置17について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のプレス装置17は、本実施形態のルーフ部材1を製造するためのものである。プレス装置17は、図6、図7、図8及び図9に示されるように、第1プレス装置18と、第2プレス装置19と、を含んで構成されている。本実施形態のプレス装置17では、第1プレス装置18を用いてブランク25(図7参照)を絞り加工によりプレス成形して中間成形品30(図3及び図4参照)を成形し、次いで、第2プレス装置19により中間成形品30をプレス成形して、製品、すなわち、ルーフ部材1を製造するようになっている。なお、ブランク25は、ルーフ部材1を製造するための基材である長尺の高張力鋼板とされている。
ここで、中間成形品30は、図3及び図4に示されるように、天板2と、2つの凸稜線部3a、3bと、2つの縦壁33a、33bと、2つの凹稜線部34a、34bと、2つのフランジ35a、35bと、を含んで構成される略ハット型の部材とされている。また、2つの縦壁33a、33bには、それぞれ縦壁33a、33bの長手方向の一端から他端に亘る段差部11a、11a’が形成されている。また、本明細書において、「プレス成形する」とは、成形対象品(例えば、ブランク25、中間成形品30のことをいう。)を金型(例えば、後述する第1金型20、第2金型40のことをいう。)にセットしてから型閉じして型開きをするまでの行為のことをいう。なお、「プレス成形する」とは、成形対象品をプレス(加圧)して成形することを意味する。
[第1プレス装置]
第1プレス装置18は、成形対象品であるブランク25をプレスして、中間成形品30を成形する機能を有する。
第1プレス装置18は、図7に示されるように、第1金型20と、第1移動装置25と、を含んで構成されている。第1金型20は、図6及び図7に示されるように、上型(ダイ)21と、下型(パンチ)22と、第1のホルダ23と、第2のホルダ24とを有している。上型21は上側、下型22は下側に配置されている。
上型21と下型22とは、図6に示されるように、それぞれ長尺とされている。上型21と下型22とを、上型21と下型22との対向方向から見ると、下型22は、長手方向に沿って湾曲して突出し、上型21には、下型22に沿って湾曲する溝が形成されている。また、上型21は、上型21の短手方向から見ると、溝の底から溝の開口側に向けて(上側から下側に向けて)、溝の幅が連続的に広くなっている。下型22は、下型22の短手方向から見ると、下側から上側に向けて、突出する部分の幅が連続的に狭くなっている。そして、下型22の形状は、型閉じ時に上型21の溝の形状に合わせて嵌る形状とされている。
また、図7に示されるように、下型22を長手方向から見ると、下型22の両側面には、それぞれ段差部22aが形成されている。また、上型21の溝の両側面には、それぞれ段差部22aに沿った段差部21a、21a’が形成されている。また、段差部21aが形成されている側面における段差部21aよりも下側の部分の上下方向(上型21と下型22との対向方向)に対する傾斜角は、θ1とされている。
第1のホルダ23及び第2のホルダ24は、上型21及び下型22に沿って、長尺とされている。第1のホルダ23と、第2のホルダ24とは、図6及び図7に示されるように、それぞれ下型22の短手方向の両側に配置されている。また、第1のホルダ23及び第2のホルダ24は、図7に示されるように、ばね26、27により上側に付勢されている。
第1移動装置25は、上型21を下型22に向けて移動させるようになっている。すなわち、第1移動装置は、上型21を下型22に対して相対的に移動させるようになっている。
上型21と下型22との隙間の定められた位置にブランク25が配置された状態で、第1移動装置が上型21を下型22に向けて移動させると、図7に示されるように、ブランク25における短手方向の両端側がそれぞれ第1のホルダ23及び第2のホルダ24と上型21とに挟まれた状態で、ブランク25がプレスされて中間成形品30が成形されるようになっている。そして、中間成形品30の成形に伴い、段差部22a(22a’)と段差部21a(21a’)とでブランク25がプレスされることで、縦壁33a、33bにおける天板2の位置から縦壁33a、33bの高さの40%以上離れた部分に、突出幅a1(mm)の段差部11a、11a’が形成されるようになっている(図4参照)。なお、上型21の溝の形状及び下型22の突出部の形状は、前述のとおりであることから、段差部21a、21a’は、天板2の長手方向から見て、天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなる(対向幅を広げる)ように傾斜している。別の見方をすると、段差部21a、21a’が天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなるように傾斜している。
以上のとおり、第1プレス装置18について説明したが、第1プレス装置18について別の見方をすると、以下のとおりとなる。すなわち、上型21(第1ダイの一例)には、長尺な底面(第1底面)と、各一端が底面の短手方向の両端に繋がった状態で互いに対向する側面(第1側面)とを含んで構成される長尺な溝(第1溝の一例)が形成されている。そして、側面(第1側面)は、型閉じ方向(上型21と下型22との対向方向)から見て湾曲し、底面(第1底面)から溝(第1溝)の深さの40%以上離れた部分に底面(第1底面の一例)の短手方向の幅の20%以下の幅の段差部11a、11a’(第1段差部)が側面(第1側面)の長手方向に亘って形成された湾曲面(第1湾曲面の一例)とされている。また、下型22(第1パンチの一例)には、型閉じ時に溝(第1溝)内に合わせて嵌るようになっている。すなわち、下型22における段差部22aよりも下側の部分の上下方向(上型21と下型22との対向方向)に対する傾斜角は、θ1とされている。
[第2プレス装置]
第2プレス装置19は、成形対象品である中間成形品30をプレスして、中間成形品30の縦壁33aに形成された段差部11aよりも他端側(凹稜線部34a側)の部分33a1(図3、図4及び図5参照)を、縦壁33a、33b同士が対向する側(対向側)と反対側(図中矢印A方向側)に移動させる機能を有する。
第2プレス装置19は、図9に示されるように、第2金型40と、第2移動装置45と、を含んで構成されている。第2金型40は、図8及び図9に示されるように、上型41と、下型43と、ホルダ42とを有している。上型41は上側、下型43は下側に配置されている。下型43は、ばね46により下側から付勢されている。そして、第2プレス装置19は、下型43に中間成形品30が嵌め込まれた状態で、第2移動装置45により上型41を下型43側に移動させて、中間成形品30における2つのフランジ35a、35bの角度を変更するようになっている。
また、図9に示されるように、下型43を長手方向から見ると、下型43の両側面には、それぞれ段差部43aが形成されている。また、上型41の溝の両側面(湾曲面)には、それぞれ段差部43aに沿った段差部41a(第2段差部の一例)が形成されている。段差部43a(41a)の形状(下型43の短手方向における幅)は第1プレス装置18の段差部22a(21a)の形状と同等である。また、段差部43a(41a)は、段差部22a(22a’)に対応する位置(中間成形品30の段差部11a、11a’が重なる位置)に形成されている。なお、上型41は、図9に示されるように、上型41の長手方向から見ると、溝の底から溝の開口側に向けて(上側から下側に向けて)、溝の幅が連続的に広くなっている。下型43は、下型43の長手方向から見ると、下側から上側に向けて、突出する部分の幅が連続的に狭くなっている。そして、下型43の形状は、型閉じ時に上型41の溝の形状に合わせて嵌る形状とされている。
下型43に中間成形品30が嵌め込まれた状態で、第2移動装置45が上型41を下型43に向けて移動させると、中間成形品30がプレスされてルーフ部材1が成形されるようになっている。中間成形品30の成形に伴い、縦壁33aにおける段差部36aよりも他端側の部分33a1は縦壁33a、33b同士が対向する側(対向側)と反対側(外側)に移動されるようになっている。このため、下型43における段差部43aよりも下側の部分の上下方向(上型21と下型22との対向方向)に対する傾斜角θ2は、傾斜角θ1よりも大きい。なお、上型41の溝の形状及び下型43の突出部の形状は、前述のとおりであることから、段差部43a、41aは、天板2の短手方向から見て、天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなる(対向幅を広げる)ように傾斜している。別の見方をすると、段差部41a、41a’が天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなるように傾斜している。
以上のとおり、第2プレス装置19について説明したが、第2プレス装置19について別の見方をすると、以下のとおりとなる。すなわち、上型41(第2ダイの一例)には、第1プレス装置18の上型21の底面(第1底面の一例)と型閉じ方向から見て、同じ形状の底面(第2底面の一例)と、各一端が第2底面の短手方向の両端に繋がり、互いに対向する側面(第2側面の一例)とを含んで構成される長尺な溝(第2溝の一例)が形成されている。そして、第2側面(のうち少なくもと一方を第2湾曲面という。)は、型閉じ方向(上型41と下型43との対向方向)から見て湾曲し、第1段差部に対応する位置に第2段差部が形成された第2湾曲面とされている。さらに、第2湾曲面における第2段差部よりも他端側の部分が型閉じ方向に対して傾斜する角度θ2は、第1湾曲面における第1段差部よりも他端側の部分が型閉じ方向に対して傾斜する角度θ1に比べて大きい。また、下型43(第2パンチ)は、型閉じ時に溝(第2溝)の形状に合わせて嵌るようになっている。すなわち、下型43(第2パンチの一例)の形状は、型閉じ時に溝(第2溝)に合わせて嵌る形状とされている。
以上が、本実施形態のプレス装置17の構成についての説明である。
<ルーフ部材の製造方法>
次に、本実施形態のルーフ部材1の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のルーフ部材1の製造方法は、プレス装置17を用いて行われる。また、本実施形態のルーフ部材1の製造方法は、第1プレス装置18により行われる工程(第1工程)と、第2プレス装置19により行われる工程(第2工程)と、を含む。
[第1工程]
第1工程では、上型21と下型22との隙間にブランク25を配置する。次いで、作業者が第1プレス装置18を操作すると、第1移動装置により上型21が下型22側に移動されて、ブランク25が絞り加工によりプレス成形される。すなわち、第1工程では、上型21と下型22とを用いて成形対象品であるブランク25をプレスする。その結果、ブランク25から中間成形品30が成形される。そして、第1金型20から中間成形品30が取り外されて、第1工程が終了する。
[第2工程]
次いで、中間成形品30は、第2プレス装置19の第2金型40の下型43に嵌め込まれる。そして、作業者が第2プレス装置19を操作すると、第2移動装置により上型41が下型43側に移動されて、中間成形品30がプレスされる。すなわち、第2工程では、上型21と下型22とを用いて第1工程で成形されたブランク25をプレスする。その結果、中間成形品30からルーフ部材1が成形される。そして、第2金型40からルーフ部材1が取り外されて、第2工程が終了する。これに伴い、本実施形態のルーフ部材1の製造方法が終了する。
以上が、本実施形態のルーフ部材1の製造方法についての説明である。
<作用>
次に、本実施形態の作用について、本実施形態を後述する比較形態(図示省略)と比較して説明する。比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。なお、比較形態のルーフ部材1(図示省略)は、後述する比較例における比較例5に相当する(図9参照)。
比較形態の場合、第2プレス装置19によりブランク25をプレスしてルーフ部材を成形する。比較形態は、この点以外、本実施形態と同じである。
比較形態(比較例5)についての評価結果によると、図14の表に示されるように、先端部曲がりが4.38(mm)、後端部曲がりが5.85(mm)、平均曲がり量が5.12(mm)であった。
ここで、先端部曲がり及び後端部曲がりの評価では、設計データに対する、比較形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材のデータと、本実施形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1のデータとを比較した。具体的には、コンピュータ(図示省略)を用いて、天板2の長手方向の中央部分の断面を一致(ベストフィット)させて、設計データにおける先端部(後端部)の中心位置に対する、測定したデータの先端部(後端部)の中心位置の幅方向におけるずれ量を曲がりとし、先端部曲がりの値と後端部曲がりの値との平均の値を平均曲がり量とした(図10参照)。
これに対して、本実施形態(実施例9)の評価によると、図14の表に示されるように、本実施形態のルーフ部材の製造に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1の先端部曲がりが5.02(mm)、後端部曲がりが4.34(mm)、平均曲がり量が4.68(mm)であった。すなわち、本実施形態は、比較形態に比べて、スプリングバックによる天板2の短手方向への曲がりの発生が抑制されているといえる。
以上のように、本実施形態の場合、比較形態の場合に比べて、天板2側から見た曲がりの発生が抑制されている理由は、以下のように推認される。すなわち、比較形態の場合、前述のとおり、第2プレス装置19によりブランク25をプレスしてルーフ部材を成形する。そして、ルーフ部材における縦壁4aは、天板2側から見ると、縦壁4bに対向する側と反対側に凸状に湾曲する湾曲面とされている。また、縦壁4bは上下方向(天板2の板厚方向)に対して傾斜している。そのため、比較形態の場合、ルーフ部材がプレス成形されて第2金型40から取り外されると、縦壁4aの外表面には天板2の長手方向に圧縮応力が働く。特に、縦壁4aにおける段差部11aよりも凹稜線部5a側の部分4a1(図1及び図2参照)は、縦壁4aにおける段差部11aよりも凸稜線部3a側の部分4a2(図1及び図2参照)に比べて、凸稜線部3aから離れている。そのため、部分4a1の外表面は、部分4a2の外表面に比べて、天板2の長手方向に働く圧縮応力が大きい。以上の結果により、比較形態のルーフ部材には、天板2側から見た曲がりが発生していたと推認される。これに対して、本実施形態の場合、第2工程において、中間成形品30の縦壁33aに形成された段差部11aよりも他端側(凹稜線部34a側)の部分33a1(図3、図4及び図5参照)が、縦壁33a、33b同士が対向する側(対向側)と反対側(図中矢印A方向側)に移動させて部分4a1となる(図5参照)。そのため、本実施形態は、比較形態に比べて、部分4a1の長手方向にかかる圧縮応力が低減された状態となる。その結果、本実施形態の場合、比較形態の場合に比べて、部分4a1の外表面に圧縮応力が働いて曲がった後に狙いの形状(曲がりの許容値)になり易い。
したがって、本実施形態によれば、第2工程において、中間成形品30の縦壁33aを、縦壁33a、33b同士が対向する側(対向側)と反対側(図中矢印A方向側)に移動させない場合に比べて、スプリングバックによる天板2の短手方向への曲がりの発生が抑制される。なお、本実施形態の場合、第2工程において縦壁4aのうち凸稜線部3aから離れた部分33a1を縦壁33a、33b同士が対向する側(対向側)と反対側に移動させるため、スプリングバックによる天板2の短手方向への曲がりの発生が抑制される効果はより顕著となる。
以上が、本実施形態の作用についての説明である。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について説明する。まず、本実施形態のルーフ部材1A(図11及び図12参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のプレス装置(図示省略)の構成について説明する。次いで、本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法について説明する。次いで、本実施形態の作用について説明する。なお、以下の説明では、本実施形態について第1実施形態と異なる部分について説明する。
<ルーフ部材の構成>
まず、本実施形態のルーフ部材1Aの構成について、図面を参照しつつ説明する。ここで、ルーフ部材1Aは、プレス成形品及び特定プレス成形品の一例である。
本実施形態のルーフ部材1A(図11及び図12参照)は、フランジ6a、6b(図1及び図2)を備えていない。本実施形態のルーフ部材1Aは、この点以外、第1実施形態のルーフ部材1と同様の構成とされている。
<プレス装置の構成>
次に、本実施形態のプレス装置について説明する。本実施形態のプレス装置は、ルーフ部材1Aを製造するためのものである。
本実施形態の第1プレス装置は、第1実施形態の第1プレス装置18と異なり、ホルダ23、24(図6及び図7)を備えていない。本実施形態の第1プレス装置は、この点以外、第1実施形態のプレス装置17と同様の構成とされている。また、第1プレス装置により成形される中間成形品は、第1実施形態の中間成形品30の2つのフランジ35a、35b(図3及び図4)を備えていない点以外は、第1実施形態の中間成形品30と同様の構成とされている。すなわち、本実施形態の中間成形品は、天板2の長手方向から見た横断面が溝型の部材とされている。
<ルーフ部材の製造方法>
次に、本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法について説明する。本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法は、第1実施形態の第1プレス装置18に換えて本実施形態の第1プレス装置を用いる点以外は、第1実施形態の場合と同じである。なお、本実施形態の場合、第1工程でブランク25が曲げ加工によりプレス成形されて中間成形品が成形されて、第2工程で当該中間成形品が曲げ加工によりプレス成形されてルーフ部材1Aが成形される。
<作用>
本実施形態の作用は、第1の実施形態の作用と同様である(後述する図15の表を参照)。
以上が、第2実施形態についての説明である。
≪実施例≫
次に、実施例及び比較例のシミュレーションについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、本実施形態及び比較形態で用いた部品等の符号と同様の部品等の符号を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いる。
本シミュレーションでは、図14の表に示されるように、第1実施形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1(実施例1〜19)と、前述の比較形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材(比較例1〜6)とについて、一端1a及び他端1bでの曲がり及び平均曲がり量を評価した。また、本シミュレーションでは、図15の表に示されるように、第2実施形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1(実施例20〜37)と、前述の比較形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材(比較例7〜12)とについて、一端1a及び他端1bでの曲がり及び平均曲がり量を評価した。
[図14の表についての説明]
図14の表には、実施例1〜19(ハット形状)及び比較例1〜6(ハット形状)についてのシミュレーションの条件と、評価結果とが記載されている。ここで、図14の表について説明すると、板厚とは、シミュレーションに用いたブランク25の厚みである。強度とは、シミュレーションに用いたブランク25の引張強度である。外側縦壁変化開始点(%)とは、中間成形品30の凸部11a2を基準(0%)として、部分33a1における他端(凹稜線部34aに繋がる端部)の高さ方向の位置を100%とした場合の部分33a1の開始位置を示す。例えば、図13では、外側縦壁変化開始点を50%とした場合を示している。また、外側縦壁変化開始点(%)が「−」とは、そもそも変化開始点がない、すなわち、第2工程において部分33a1を移動させていないことを意味する。内側縦壁変化開始点(%)とは、中間成形品30の凸部11a’2を基準(0%)として、凸部11a’2よりも下側の部分33b1(図13参照)における他端(凹稜線部34bに繋がる端部)の高さ方向の位置を100%とした場合の部分33b1の開始位置を示す。例えば、図13では、内側縦壁変化開始点を50%とした場合を示している。また、内側縦壁変化開始点(%)が「−」とは、そもそも変化開始点がない、すなわち、第2工程において部分33b1を移動させていないことを意味する。そのため、図13におけるルーフ部材1を成形するには、第2プレス装置(図示省略)のみが、第1実施形態のプレス装置17の第2プレス装置19と異なる。具体的には、第2プレス装置は、第1ダイの断面上に投影した第2ダイの断面の前記第2湾曲面における前記第2段差部よりも他端側の部分の少なくとも一部が、前記第1湾曲面における前記第1段差部よりも他端側の部分に比べ外側にある構成とされている。すなわち、第2プレス装置は、成形対象品である中間成形品30をプレスして、中間成形品30の縦壁33bに形成された段差部11a’よりも他端側(凹稜線部34b側)の部分33b1(図13参照)を、縦壁33a、33b同士が対向する側(対向側)と反対側(図中矢印A方向側)に移動させる機能を有する。
比較例1〜4のルーフ部材は、前述の比較形態の例である。実施例1〜19のルーフ部材は、第1実施形態のルーフ部材1の例である。
[評価結果及び考察]
図14の表から、実施例のルーフ部材は、比較例のルーフ部材に比べて、同じ板厚、強度の条件の場合、実施例の方が比較例に比べて曲がりが小さい(曲がり量が少ない)ことがわかる。例えば、実施例1と比較例1とを比較し、実施例3と比較例2とを比較すると、何れも実施例の方が比較例に比べて曲がりが小さい(曲がり量が少ない)。すなわち、これらの実施例は、第1実施形態における作用効果を奏すると考えられる。
また、実施例14と比較例5とを比較すると、実施例14の方が比較例5に比べて曲がりが小さい(曲がり量が小さい)。実施例14では、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる縦壁4bにおける段差部11a'よりも下側の部分33b1を縦壁33a、33bとの対向方向と反対方向(図13中の矢印A方向の反対方向)に移動させている。縦壁4bは、天板2から見て縦壁4bに対向する側と反対側に凹状に湾曲する湾曲面とされている。そして、実施例14のルーフ部材の場合比較例5に比べて、実施例5及び9のルーフ部材の場合比較例5に比べて、移動された部分33b1の外表面に引張応力が働いて曲がった後に狙いの形状(曲がりの許容値)になり易いと考えられる。
[図15の表についての説明]
図14の表には、実施例20〜37(溝形状)及び比較例7〜12(溝形状)についてのシミュレーションの条件と、評価結果とが記載されている。
比較例7〜12のルーフ部材は、前述の比較形態の例である。実施例20〜37のルーフ部材は、第1実施形態のルーフ部材1の例である。
[評価結果及び考察]
図15の表から、実施例のルーフ部材は、比較例のルーフ部材に比べて、同じ板厚、強度の条件の場合、実施例の方が比較例に比べて曲がりが小さい(曲がり量が少ない)ことがわかる。例えば、実施例20と比較例7とを比較し、実施例21と比較例8とを比較すると、何れも実施例の方が比較例に比べて曲がりが小さい(曲がり量が少ない)。すなわち、これらの実施例は、第2実施形態における作用効果を奏すると考えられる。
また、実施例31と比較例11とを比較すると、実施例31の方が比較例11に比べて曲がりが小さい(曲がり量が小さい)。実施例31では、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる縦壁4bにおける段差部11a'よりも下側の部分33b1を縦壁33a、33bとの対向方向と反対方向(図13中の矢印A方向の反対方向)に移動させている。縦壁4bは、天板2から見て縦壁4bに対向する側と反対側に凹状に湾曲する湾曲面とされている。そして、実施例31のルーフ部材の場合、比較例11に比べて、移動された部分33b1の外表面に引張応力が働いて曲がった後に狙いの形状(曲がりの許容値)になり易いと考えられる。
以上が、実施例についての説明である。
以上のとおり、本発明を特定の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲には前述した本実施形態以外の形態も含まれる。例えば、本発明の技術的範囲には、下記のような形態も含まれる。
各実施形態及び実施例では、プレス成形品の一例はルーフ部材であるとして説明した。しかしながら、中間成形品をプレスして、湾曲壁における段差部よりも他端側の部分を対向側と反対側に移動させる工程を含んで製造される物であれば、プレス成形品は、ルーフ部材以外の自動車用の部品であってもよい。また、中間成形品をプレスして、湾曲壁における段差部よりも他端側の部分を対向側と反対側に移動させる工程を含んで物であれば、自動車用の部品以外の部品であってもよい。
各実施形態及び実施例では、縦壁4a、4bは、湾曲壁とされているとして説明した。しかしながら、何れか一方の縦壁4a、4bが湾曲壁であり、かつ、中間成形品をプレスして、湾曲壁における段差部よりも他端側の部分を対向側と反対側に移動させる工程を含んで成形されれば、他方の縦壁4a、4bは、湾曲壁でなくてもよい。例えば、当該他の縦壁4a、4bは、長手方向に沿った直線状の壁であってもよい。
1 ルーフ部材(プレス成形品の一例)
2 天板
3a、3b 凸稜線部
4a、4b 縦壁(湾曲壁の一例)
17 プレス装置
18 第1プレス装置
19 第2プレス装置
25 ブランク
30 中間成形品
段差部 36a、36a’

Claims (6)

  1. 長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁とを含んで構成されるプレス成形品の製造方法であって、
    ブランクをプレスして、前記天板と、前記両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁とを含んで構成され、前記縦壁が互いに対向する対向側と反対側に突出している段差部が前記天板の長手方向に亘って前記湾曲壁に形成された中間成形品を成形する第1工程と、
    前記中間成形品をプレスして、前記湾曲壁における前記段差部よりも他端側の部分を前記対向側と反対側に移動させる第2工程と、
    を含むプレス成形品の製造方法。
  2. 前記第1工程では、前記天板の位置を基準として、前記天板から前記湾曲壁の下端までの高さの40%以上離れた前記湾曲壁の部分に前記段差部を形成する、
    請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. 前記第1工程では、前記段差部の突出幅が前記天板の短手方向の幅の20%以下とされる前記段差部を形成する、
    請求項2に記載のプレス成形品の製造方法。
  4. 長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁とを含んで構成されるプレス成形品のプレス装置であって、
    ブランクをプレスして、前記天板と、前記両端の稜線部と、各一端が該稜線部に繋がった状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる一対の縦壁とを含んで構成され、前記縦壁が互いに対向する対向側と反対側に突出している段差部が前記天板の長手方向に亘って前記湾曲壁に形成された中間成形品を成形する第1プレス装置と、
    前記中間成形品をプレスして、前記湾曲壁における前記段差部よりも他端側の部分を前記対向側と反対側に移動させる第2プレス装置と、
    を備えたプレス成形品のプレス装置。
  5. 第1ダイと第1パンチとでブランクをプレスして中間成形品を成形する第1プレス装置と、第2ダイと第2パンチとで前記中間成形品をプレスする第2プレス装置とを備えたプレス装置であって、
    前記第1ダイには、長尺な第1底面と、各一端が該第1底面の短手方向の端部に繋がり、互いに対向する第1側面とを含んで構成される長尺な第1溝が形成され、
    少なくとも前記第1側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1側面の対向幅を広がらせる第1段差部が前記第1側面の長手方向に亘って形成された第1湾曲面とされ、
    前記第1パンチの形状は、型閉じ時に前記第1溝の形状に合わせて嵌る形状である、
    第1プレス装置と、
    前記第2ダイには、長尺な第2底面と、各一端が該第2底面の短手方向の端部に繋がり、互いに対向する第2側面とを含んで構成される長尺な第2溝が形成され、
    少なくとも前記第2側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1段差部に対応する位置に第2段差部が形成された第2湾曲面とされ、
    前記第2湾曲面における前記第2段差部よりも他端側の部分が前記型閉じ方向に対して傾斜する角度は、前記第1湾曲面における前記第1段差部よりも他端側の部分が前記型閉じ方向に対して傾斜する角度に比べて大きく、
    前記第2パンチの形状は、型閉じ時に前記第2溝の形状に合わせて嵌る形状である、
    第2プレス装置と、
    を備えたプレス装置。
  6. 第1ダイと第1パンチとでブランクをプレスして中間成形品を成形する第1プレス装置と、第2ダイと第2パンチとで前記中間成形品をプレスする第2プレス装置とを備えたプレス装置であって、
    前記第1ダイには、長尺な第1底面と、各一端が該第1底面の短手方向の端部に繋がり、互いに対向する第1側面とを含んで構成される長尺な第1溝が形成され、
    少なくとも前記第1側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1側面の対向幅を広がらせる第1段差部が前記第1側面の長手方向に亘って形成された第1湾曲面とされ、
    前記第1パンチの形状は、型閉じ時に前記第1溝の形状に合わせて嵌る形状である、
    第1プレス装置と、
    前記第2ダイには、長尺な第2底面と、各一端が該第2底面の短手方向の端部に繋がり、互いに対向する第2側面とを含んで構成される長尺な第2溝が形成され、
    少なくとも前記第2側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1段差部に対応する位置に第2段差部が形成された第2湾曲面とされ、
    第1ダイの断面上に投影した第2ダイの断面の前記第2湾曲面における前記第2段差部よりも他端側の部分の少なくとも一部は、前記第1湾曲面における前記第1段差部よりも他端側の部分に比べ外側にあり、
    前記第2パンチの形状は、型閉じ時に前記第2溝の形状に合わせて嵌る形状である、
    第2プレス装置と、
    を備えたプレス装置。
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