[go: up one dir, main page]

JP6660254B2 - タイヤの修理方法および修理済みタイヤ - Google Patents

タイヤの修理方法および修理済みタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP6660254B2
JP6660254B2 JP2016113027A JP2016113027A JP6660254B2 JP 6660254 B2 JP6660254 B2 JP 6660254B2 JP 2016113027 A JP2016113027 A JP 2016113027A JP 2016113027 A JP2016113027 A JP 2016113027A JP 6660254 B2 JP6660254 B2 JP 6660254B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
tire
repair
modulus
adjacent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016113027A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017217796A (ja
Inventor
茂昭 杉本
茂昭 杉本
豊田 憲司
憲司 豊田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2016113027A priority Critical patent/JP6660254B2/ja
Publication of JP2017217796A publication Critical patent/JP2017217796A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6660254B2 publication Critical patent/JP6660254B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、タイヤの修理方法および修理済みタイヤ(以下、単に「修理方法」および「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、カーカスプライのプライコードが破断した損傷部を有する空気入りタイヤ、特には、建設車両用タイヤの修理方法および修理済みタイヤに関する。
タイヤのうちでも、特に、建設車輌用タイヤなどの超大型タイヤにおいては、岩や大きな突起物などによりタイヤが損傷して、カーカスプライのプライコードがプライゴムとともに破断し、場合によっては、さらにタイヤ内方のインナーライナーまで貫通してしまう場合があった。
このような場合に損傷したタイヤを修理する方法としては、タイヤ外面側からは、損傷部を埋めるための充填用ゴムを貼り付ける方法があり、タイヤ内面側からは、損傷部のプライコードを補強するための、互いに平行に配列された複数本の補強素子を被覆ゴムにより被覆した補強シートからなるリペア用パッチを貼り付ける方法がある。
また、例えば、特許文献1には、修理あるいは更正を行うラジアルプライタイヤの側壁にあてがうための台形形状を有し、径方向の金属コードを有する金属コード付きラバー層の下に長手軸に平行あるいは非平行な合成コードを有するゴム引布層が設けられていないか、あるいはゴム引布層が一層または数層設けられ、ゴム引布層の下に一層あるいは多層のラバー層が設けられ、このラバー層の各々が異なる弾性を有し、取付面及びそれと対向する面にきざみが形成され、パッチラバーが長手方向にカーブしていてパッチラバーの凸部が取付面に面し、ゴム製のプラグが設けられ、このプラグが破損あるいは傷んだコードを取除いたタイヤ側壁のウィンドウの中に嵌め込まれ、金属コード付きラバー層が平坦な取付面、すなわちパッチラバーのゴム引布層から隆起しており、金属コード付きラバー層がその下ではプラグのベースと同じ幅を有し、プラグの長手方向のトレッド及びビード側では金属コード付きラバー層の幅はプラグのベース側部の台形延長部であるパッチラバーが開示されている。
特開平2−162029号公報
上記特許文献1におけるように、損傷したタイヤの修理方法に関しては、従来より種々提案されてきている。しかしながら、修理済みタイヤにおいては、修理後において、貼り付けられた修理用ゴム部材の端部の剥離や修理用ゴム部材自体の脱落が発生する場合があり、この点については、未だ十分な検討がなされていなかった。
そこで本発明の目的は、修理後における、貼り付けられた修理用ゴム部材の端部の剥離や修理用ゴム部材自体の脱落の発生を抑制することができるタイヤの修理方法、および、修理済みタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、修理に用いるゴム部材の剛性を適切に設定することで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のタイヤの修理方法は、複数本のプライコードをプライゴムで被覆した少なくとも1枚のカーカスプライからなり一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを骨格とし、タイヤ内面にゴムよりなるインナーライナーが配設されており、該プライコードが破断した損傷部を有するタイヤの修理方法であって、
前記損傷部に対し、タイヤ外面側から充填用ゴム部材を貼り付けるとともに、タイヤ内面側からリペア用パッチを貼り付けた後、該損傷部に対し部分加硫を施すことにより、該充填用ゴム部材および該リペア用パッチをそれぞれ加硫させて、該損傷部を修理するにあたり、
前記リペア用パッチとして、互いに平行に配列された複数本の補強素子を被覆ゴムにより被覆してなる補強シートと、該補強シートをタイヤ内面側から被覆するゴムシートと、を含むものを用いて、該リペア用パッチを、該ゴムシートの縁部が前記インナーライナーに接触するように配置するとともに、
前記充填用ゴム部材として、前記損傷部の表面に隣接して貼り付けられる隣接ゴムと、該隣接ゴムに隣接して貼り付けられる充填ゴムと、からなり、該損傷部におけるタイヤを構成するゴムの修理後における300%モジュラスをMd、該隣接ゴムの修理後における300%モジュラスをMn、前記充填ゴムの修理後における300%モジュラスをMfとしたとき、下記式、
1.4Md≧Mf、かつ、0.8Md≧Mn
で示される関係を満足するものを用いることを特徴とするものである。
本発明の修理方法においては、前記リペア用パッチとして、前記インナーライナーの修理後における300%モジュラスをMi、前記ゴムシートの修理後における300%モジュラスをMsとしたとき、下記式、
1.2Mi≧Ms
で示される関係を満足するものを用いることが好ましい。
また、本発明の修理方法においては、前記充填用ゴム部材として、前記隣接ゴムの修理後における300%モジュラスMn、および、前記充填ゴムの修理後における300%モジュラスMfが、下記式、
Mn>Mf
で示される関係を満足するものを用いることが好ましい。さらに、前記充填用ゴム部材として、前記充填ゴムが複数の充填ゴム層からなるものを用いることも好ましい。
また、本発明の修理済みタイヤは、複数本のプライコードをプライゴムで被覆した少なくとも1枚のカーカスプライからなり一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを骨格とし、タイヤ内面にゴムよりなるインナーライナーが配設されており、該プライコードが破断した損傷部が修理されてなる修理済みタイヤであって、
前記損傷部の、タイヤ外面側には充填用ゴム部材が、タイヤ内面側にはリペア用パッチが、それぞれ配置されて加硫されており、
前記リペア用パッチが、互いに平行に配列された複数本の補強素子を被覆ゴムにより被覆してなる補強シートと、該補強シートをタイヤ内面側から被覆するゴムシートと、からなり、該ゴムシートの縁部が前記インナーライナーに接触するように配置されており、
前記充填用ゴム部材が、前記損傷部の表面に隣接して配置される隣接ゴムと、該隣接ゴムに隣接して配置される充填ゴムと、からなり、該損傷部におけるタイヤを構成するゴムの修理後における300%モジュラスをMd、該隣接ゴムの修理後における300%モジュラスをMn、前記充填ゴムの修理後における300%モジュラスをMfとしたとき、下記式、
1.4Md≧Mf、かつ、0.8Md≧Mn
で示される関係を満足することを特徴とするものである。
本発明によれば、修理後における、貼り付けられた修理用ゴム部材の端部の剥離や修理用ゴム部材自体の脱落の発生を抑制することができるタイヤの修理方法および修理済みタイヤを実現することが可能となった。
本発明の修理済みタイヤの一例を示す幅方向片側断面図である。 図1の修理箇所を拡大して示す幅方向断面図である。 本発明に係る充填用ゴム部材の他の例を示す拡大部分断面図である。 (a)〜(e)は、本発明のタイヤの修理方法の一例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の修理済みタイヤの一例を示す幅方向片側断面図であり、図2は、図1の修理箇所を拡大して示す幅方向断面図である。また、図3は、本発明に係る充填用ゴム部材の他の例を示す拡大部分断面図である。
図1に示す修理済みタイヤ1は、一対のビード部2と、そのタイヤ半径方向外側に延びる一対のサイドウォール部3と、両サイドウォール部3間に延在するトレッド部4からなる。また、図示する修理済みタイヤ1は、複数本のプライコードをプライゴムで被覆した少なくとも1枚のカーカスプライ、例えば、1枚のカーカスプライからなり一対のビード部2間にトロイド状に延在するカーカス5を骨格とし、タイヤ内面には、ゴムよりなるインナーライナー6が配設されている。なお、図中の符号8はベルトを示し、符号9はビードコアを示す。本発明は、貫通故障などの、カーカス5のプライコードが破断した損傷部を有するタイヤの修理方法の改良に係るものである。
図1,2に示すように、タイヤの貫通故障の修理を行う際には、損傷部に対し、タイヤ外面側から、修理用ゴム部材としての充填用ゴム部材10を貼り付けるとともに、タイヤ内面側から、修理用ゴム部材としてのリペア用パッチ20を貼り付けて、損傷部の修理を行う。本発明においては、充填用ゴム部材10として、損傷部の表面に隣接して貼り付けられる隣接ゴム11と、隣接ゴム11に隣接して貼り付けられる充填ゴム12と、からなる積層ゴムを用いるとともに、リペア用パッチ20として、互いに平行に配列された複数本の補強素子を被覆ゴムにより被覆してなる補強シート21と、この補強シート21をタイヤ内面側から被覆するゴムシート22と、を含むものを用いる。このうちリペア用パッチ20は、図示するように、ゴムシート22の縁部がインナーライナー6に接触するように配置する。
また、本発明においては、かかる充填用ゴム部材10を構成するゴムの剛性が、損傷部におけるタイヤを構成するゴム7の加硫後における300%モジュラスをMd、隣接ゴム11の加硫後における300%モジュラスをMn、充填ゴム12の加硫後における300%モジュラスをMfとしたとき、下記式、
1.4Md≧Mf、かつ、0.8Md≧Mn
で示される関係を満足する点が重要である。
ここで、本発明において各ゴムの300%モジュラスは、JIS K 6301に規定される引張試験法に準拠して、25℃において測定された値(MPa)を意味する。また、本発明において、損傷部におけるタイヤを構成するゴム(以下、「タイヤゴム」とも称する)7とは、損傷箇所の周囲の、隣接ゴム11と接する部分のゴムを意味し、例えば、サイドウォール部であれば、損傷箇所の周囲のサイドゴムである。また、損傷箇所が複数のゴム種に跨っている場合、より剛性の低いゴム種の300%モジュラスを、Mdとして用いる。
従来は、修理に使用するゴムの加硫後の剛性についてはあまり着目されておらず、リペアの容易性の観点から、種々のタイヤに適用できるように、元のタイヤに使用されているゴムより剛性が高いものが使用されることが一般的であった。そのため、修理済みタイヤが荷重負荷などで変形した際に、修理部分のゴムが追随できず、元のタイヤゴムと修理部分のゴムとの間に大きな歪が発生し、そこから亀裂(クラック)が発生して、修理部分のゴムの脱落などのリペア故障につながっていたと考えられる。かかる観点から、本発明者らは鋭意検討した結果、損傷部に貼り付ける充填用ゴム部材10に使用するゴムとして、損傷部におけるタイヤを構成するゴムよりも低い加硫後剛性を有するものを用いることで、元のタイヤゴムと充填用ゴム部材10との間で発生する歪を低減して、充填用ゴム部材10の端部での剥離や脱落を抑制することができ、これに起因するリペア故障の発生を抑制することが可能となることを見出した。
また、充填用ゴム部材10を、隣接ゴム11と充填ゴム12とからなる積層ゴムにより構成した場合、隣接ゴム11と充填ゴム12との間は未加硫ゴム同士の接着になるのに対し、タイヤゴム7と隣接ゴム11との間は加硫済みゴムと未加硫ゴムとの接着になるため、接着力が弱く、クラックが発生しやすくなる。特に、隣接ゴム11の端部はクラックが発生しやすい。このような観点から、本発明者らはさらに検討した結果、元のタイヤゴム7と、隣接ゴム11および充填ゴム12との剛性の関係を所定に規定することで、修理済みタイヤの変形に対し隣接ゴム11が追従しやすく、かつ、タイヤの変形を充填ゴム12により吸収できるために、より効果的にリペア故障の発生を抑制できることを見出したものである。
具体的には、充填ゴム12の加硫後300%モジュラスMfが低いほど、タイヤゴム7の変形に対して、充填用ゴム部材10が追随するときに、充填ゴム12の変形度合が増えて、隣接ゴム11の変形が緩和されると考えられる。そのため、本発明においては、隣接ゴム11に隣接する充填ゴム12の加硫後300%モジュラスMfを、タイヤゴム7の加硫後300%モジュラスMdの1.4倍以下に設定している。これにより、タイヤの変形を充填ゴム12により吸収できるので、隣接ゴム11の変形が抑制されて、タイヤゴム7と隣接ゴム11との間の歪がより確実に抑制されるものとなる。充填ゴム12のモジュラスMfが1.4Mdを超えると、隣接ゴム11の変形が大きくなって、タイヤゴム7と隣接ゴム11との間の歪が大きくなるために、当該部分にクラックが発生しやすくなる。
また、加硫済みゴムであるタイヤゴム7と未加硫ゴムである充填用ゴム部材10との間の接着を担う隣接ゴム11は、タイヤゴム7のバフ面へのなじみやすさ(アンカー効果)を得るために、未加硫ゴム状態においてある程度の柔らかさ(低粘度)が求められ、それに伴い、加硫後ゴムの300%モジュラスも低い値になる。そのため、本発明においては、隣接ゴム11の加硫後300%モジュラスMnを、タイヤゴム7の加硫後300%モジュラスMdの0.8倍以下に設定している。隣接ゴム11のモジュラスMnが0.8Mdより大きくなると、隣接ゴム11の生ゴムの粘度が高すぎるために、タイヤゴム7との接着が十分に得られなくなる。
一方、パッチは通常、補強コードにより剛性が高いために、元タイヤの変形に追随できずに、特にパッチ端から剥離しやすいが、本発明においては、リペア用パッチ20を、ゴムシート22の縁部がインナーライナー6に接触するように配置して、補強シート21をゴムシート22で覆って抑え込むようにしてインナーライナー6と接着させることで、リペア用パッチ20が修理済みタイヤの変形に追従しやすくなって、パッチ端部からの剥離や、パッチ自体の脱落を抑制することができ、これに起因するリペア故障の発生を抑制することが可能となる。
充填用ゴム部材10における隣接ゴム11および充填ゴム12のモジュラスは、好適には、下記式、
Mn>Mf
で示される関係を満足するものとする。充填ゴム12のモジュラスMfを、隣接ゴム11のモジュラスMnより低くすることで、隣接ゴム11の変形をより抑制でき、タイヤゴム7と隣接ゴム11との間の歪をさらに抑制することができ、好ましい。
また、図3に示すように、本発明においては、充填ゴム12を、複数、図示する例では3層の充填ゴム層12a〜12cからなるものとしてもよい。こうすることによっても、先の構造同様に、タイヤゴム7と隣接ゴム11との間の歪を低減することができる。この場合、充填ゴム層12a〜12cの加硫後における300%モジュラスをMfa〜Mfcとしたとき、モジュラスをMfa〜Mfcのうちの少なくともいずれかが1.4Md以下であれば、その1.4Md以下であるモジュラスを有する充填ゴム層が大きく変形することで、隣接ゴム11の歪の緩和効果を得ることができる。充填ゴム層12a〜12cのモジュラスMfa〜Mfcは、好適にはさらに、
Mn>Mfa,Mfb,Mfc
で示される関係を満足する。ここで、本発明においては、各充填ゴム層12a〜12cのモジュラスMfa,Mfb,Mfcの大小関係は、特に制限されない。
本発明においては、隣接ゴム11のモジュラスMnおよび充填ゴム12のモジュラスMfの具体的な値については、タイヤゴム7との間で上記関係を満足するものであれば特に制限はなく、適宜設定することが可能である。また、各充填ゴム層12a〜12cのモジュラスMfa,Mfb,Mfcについても、充填ゴム12の加硫後300%モジュラスMfと同様に、上記条件を満足する範囲で、適宜設定することができる。
また、本発明においては、リペア用パッチ20として、インナーライナー6の加硫後における300%モジュラスをMi、ゴムシート22の加硫後における300%モジュラスをMsとしたとき、下記式、
1.2Mi≧Ms
で示される関係を満足するものを用いることが好ましい。補強シート21自体は補強素子を含むために高剛性であるものの、補強シート21を覆うゴムシート22としてインナーライナー6よりも低い加硫後剛性を有するものを用いて、リペア用パッチ20をこのゴムシート22によりインナーライナー6と接着させることで、リペア用パッチ20が修理済みタイヤの変形に追従しやすくなって、パッチ端部からの剥離や、パッチ自体の脱落を抑制することができ、これに起因するリペア故障の発生を抑制することが可能となる。
具体的には、本発明においては、ゴムシート22の加硫後300%モジュラスMsが、インナーライナー6の加硫後300%モジュラスMiの1.2倍以下であることが好ましい。ゴムシート22のモジュラスMsが低いほど、ゴムシート22とインナーライナー6との剛性段差が小さくなって、リペア用パッチ20が、タイヤのインナーライナーゴムの変形に対して追随しやすくなり、ゴムシート22とインナーライナー6との間の応力が抑制されて、パッチ端部がより剥離しにくくなるため、好ましい。ゴムシート22のモジュラスMsが1.2Mdを超えると、ゴムシート22とインナーライナーゴムとの間の応力が大きくなり、剥離しやすくなる。
リペア用パッチ20に含まれる補強シート21は、外観上平坦なシート形状であって、補強素子の延在方向が、プライコードの延在方向と実質的に一致するように、タイヤ内面に貼り付けることができる。補強シート21は、複数層積層して用いることが、補強効果の観点から好ましく、例えば、3〜6層で積層することができる。また、補強シートに用いる補強素子は、損傷部分を補強できる素子であれば限定されるものではなく、撚られたコードの他、単一のフィラメントや複数本のフィラメントを引き揃えたものも用いることができる。
また、リペア用パッチ20に含まれるゴムシート22は、インナーライナー6に用いられるのと同種のブチル系ゴムからなるものとすることが好ましい。本発明においてリペア用パッチ20は、補強シート21をタイヤ内面側からゴムシート22で覆って、ゴムシート22の周縁部とインナーライナー6とを接着させることで、タイヤ内面に貼り付けられる。補強シート21単体ではなく、ゴムシート22を用いてインナーライナー6に貼り付けるものとすることで、リペア用パッチ20が剥離しにくくなっている。また、ゴムシート22をインナーライナー6とオーバーラップさせることで、タイヤ構造内への酸素の透過を抑制でき、これにより、タイヤ構造内のゴムおよびパッチゴムの硬化を抑制して、パッチ端の耐剥離性の悪化を抑制できる。酸素が透過してしまうと、タイヤを構成するゴムやパッチのゴムが硬化してしまい、タイヤの変形に追随できなくなって、パッチ端が剥離しやすくなってしまう。
次に、本発明の修理方法を、図面を参照しつつ説明する。図4(a)〜(e)に、本発明の修理方法の一例を示す説明図を示す。図4(a)は、タイヤがタイヤ内面側からタイヤ外面側まで貫通故障した損傷部40において、カーカスプライ5が破断した状態を示している。
この場合、まず、図4(b)に示すように、損傷部40周辺のタイヤゴム7およびインナーライナー6を、それぞれ除去する。タイヤゴム7およびインナーライナー6の除去は、例えば、リグルーバを用いて行うことができ、充填用ゴム部材やリペア用パッチが貼り付けやすいように、バフ研磨などで仕上げ作業を行って、貼り付け面の凹凸状態を調整することもできる。
次に、図4(c)に示すように、損傷部40のうちカーカスプライ5とインナーライナー6との間に当たる部位に、未加硫の中間ゴム30を充填する。この中間ゴム30については、従来、タイヤの修理用途に使用されるゴム種および剛性のものを適宜用いることができ、特に制限はない。
次に、図4(d)に示すように、損傷部40のうちカーカスプライ5からタイヤゴム7までの部位に、タイヤ外面側から、充填用ゴム部材10を充填する。具体的には、まず、未加硫の隣接ゴム11を、中間ゴム30の表面およびタイヤゴム7の損傷部40に面する表面に、貼り付ける。次に、未加硫の充填ゴム12を、隣接ゴム11の損傷部40に面する表面に、詰め込むことで、充填用ゴム部材10を充填することができる。充填ゴム12が複数の充填ゴム層12a〜12cからなる場合には、内層側に位置する充填ゴム層12aから順次、充填すればよい。
次に、図4(e)に示すように、損傷部40に対し、タイヤ内面側から、リペア用パッチ20を貼り付ける。具体的には、タイヤ内面側から、図示する例では中間ゴム30の表面に、未加硫の補強シート21の適宜層数の積層体、および、未加硫のゴムシート22からなるリペア用パッチ20を貼り付ける。補強シート21は、ゴムシート30と一体化した状態で貼り付けてもよく、接着剤を用いるなどして貼り付けることもできる。
なお、本発明においては、図4(a)〜(e)で示した手順に限られず、充填用ゴム部材10およびリペア用パッチ20の貼り付けを、上記手順と逆に行ってもよく、また、中間ゴム30を最初に充填せずに、まず充填用ゴム部材10またはリペア用パッチ20を貼り付けて、次に中間ゴム30を充填し、最後にリペア用パッチ20または充填用ゴム部材10を貼り付ける手順を用いてもよい。
その後、損傷部40に対し、常法に従い部分加硫を施すことにより、充填用ゴム部材10、中間ゴム30およびリペア用パッチ20をそれぞれ加硫させて、修理済みタイヤを得ることができる。
本発明は、いかなるタイヤに対しても適用可能であるが、大きなサイドカット等により貫通故障を起こしやすく、かつ、1本当たりの価格の高い、建設車両用タイヤなどの超大型タイヤに適用した場合に、特に有用である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
タイヤサイズ27.00R49のタイヤを、JATMA規格に定める適用リムに装着して、内圧700kPaを充填し、荷重27.25トンを負荷した状態で、速度8km/hで3000時間走行させた後に、カーカスプライ3本が破断するサイドカットを与えた。このタイヤは、1枚のカーカスプライからなるカーカスを骨格とし、プライコードとしてはコード径2.7mmのスチールコード、プライゴムとしては天然ゴムを主成分とするゴム組成物を用いた。
サイドカットによる損傷部は、破断したプライコードに着目し、サイドウォール部のタイヤ内方から、カーカスプライ5を透視した平面視にて、破断したプライコードのうち最もタイヤ周方向に離れている2本のプライコードの計4つの破断コード端部を結んだ略台形状の領域とした。この損傷部の大きさは、略台形状の平行な2辺のうち一辺の長さxが21mmであり、他辺の長さyが19mmであり、これら2辺のそれぞれの中点を結ぶ直線の長さzが100mmであった。
このタイヤについて、図4(b)に示すように、損傷部周辺のタイヤゴムおよびインナーライナーを、リグルーバを用いてそれぞれ除去し、バフ研磨で仕上げ作業を行って、貼り付け面の凹凸状態を調整した。次に、図4(c)に示すように、損傷部のうちカーカスプライとインナーライナーとの間に当たる部位に、未加硫の中間ゴムを充填した。
次に、図4(d)に示すように、損傷部に対し、タイヤ外面側から、未加硫の隣接ゴム(加硫後における300%モジュラスMn:下記表中)を、中間ゴムの表面およびタイヤゴムの内面に貼り付けた。次に、隣接ゴムの表面に、未加硫の充填ゴム(加硫後における300%モジュラスMf:下記表中)を充填して、損傷部に充填用ゴム部材を配設した。
次に、図4(e)に示すように、損傷部に対し、タイヤ内面側から、未加硫の補強シートおよび未加硫のゴムシートからなるリペア用パッチを貼り付けた。
ここで、リペア用パッチとしては、互いに平行に配列されたコード径0.6mmのナイロンコードを、天然ゴムを主成分とするゴム組成物により被覆してなる略台形状の未加硫の補強シート(打込み本数:10本/cm)を5層積層したものを用いた。また、補強素子は、補強シートの略台形状の平行な2辺のそれぞれの中点を結ぶ直線に対する交差角度θが、0°となるよう埋設した。リペア用パッチの大きさは、それぞれ、損傷部の、長さxの辺に対応する辺の長さがx/2の3倍、長さyの辺に対応する辺の長さがy/2の3倍、長さzの直線に対応する直線の長さがz/2の3倍となるような略台形状とした。このリペア用パッチを、補強シートの略台形状の平行な2辺のそれぞれの中点を結ぶ直線が、破断したプライコードのうち中央のプライコードの延在方向となるよう、損傷部に貼り付けた。
その後、損傷部に対して部分加硫を行って、修理済みタイヤを得た。
隣接ゴムおよび充填ゴムの加硫後300%モジュラスを下記の表1中に示すようにそれぞれ変えて得られた修理済みタイヤを、前述と同様にして再度走行させて、充填用ゴム部材の隣接ゴム端が剥離するまでの走行時間を確認した。走行時間が1500時間以上であれば、修理済みタイヤとしてのコスト性に優れるといえる。
その結果を、下記の表1中に併せて示す。
Figure 0006660254
*1)充填ゴムおよび隣接ゴムの300%モジュラスの値は、サイドゴムの300%モジュラスの値を100としたときの比率で示した指数である。数値が大きいほど、300%モジュラスが高いことを意味する。
上記表中の結果からわかるように、本発明の剛性条件を満足する充填用ゴム部材を用いて修理を行ったタイヤにおいては、1500時間以上の走行時間が確保されることが確かめられた。
また、実施例3において、リペア用パッチのゴムシートの加硫後300%モジュラスMsを、下記の表2中に示すようにそれぞれ変えて得られた修理済みタイヤを、前述と同様にして再度走行させて、充填用ゴム部材の隣接ゴム端が剥離するまでの走行時間を確認した。走行開始から1000時間経過後から、200時間毎に車両を止め、リム解きして、タイヤ内面のリペア用パッチを被覆しているゴムシートの剥離状態を確認し、剥離を確認したときの時間を記録した。走行時間が1500時間以上であれば、修理済みタイヤとしてのコスト性に優れるといえる。
その結果を、下記の表2中に併せて示す。
Figure 0006660254
*2)ゴムシートの300%モジュラスの値は、インナーライナーゴムの300%モジュラスの値を100としたときの比率で示した指数である。数値が大きいほど、300%モジュラスが高いことを意味する。
上記表中の結果からわかるように、本発明の剛性条件を満足する充填用ゴム部材に加えて、さらにリペア用パッチを用いて修理を行ったタイヤにおいては、1500時間以上の良好な走行時間が確保されることが確かめられた。
1 修理済みタイヤ
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 トレッド部
5 カーカス(カーカスプライ)
6 インナーライナー
7 タイヤゴム
8 ベルト
9 ビードコア
10 充填用ゴム部材
11 隣接ゴム
12 充填ゴム
12a〜12c 充填ゴム層
20 リペア用パッチ
21 補強シート
22 ゴムシート
30 中間ゴム
40 損傷部

Claims (5)

  1. 複数本のプライコードをプライゴムで被覆した少なくとも1枚のカーカスプライからなり一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを骨格とし、タイヤ内面にゴムよりなるインナーライナーが配設されており、該プライコードが破断した損傷部を有するタイヤの修理方法であって、
    前記損傷部に対し、タイヤ外面側から充填用ゴム部材を貼り付けるとともに、タイヤ内面側からリペア用パッチを貼り付けた後、該損傷部に対し部分加硫を施すことにより、該充填用ゴム部材および該リペア用パッチをそれぞれ加硫させて、該損傷部を修理するにあたり、
    前記リペア用パッチとして、互いに平行に配列された複数本の補強素子を被覆ゴムにより被覆してなる補強シートと、該補強シートをタイヤ内面側から被覆するゴムシートと、を含むものを用いて、該リペア用パッチを、該ゴムシートの縁部が前記インナーライナーに接触するように配置するとともに、
    前記充填用ゴム部材として、前記損傷部の表面に隣接して貼り付けられる隣接ゴムと、該隣接ゴムに隣接して貼り付けられる充填ゴムと、からなり、該損傷部におけるタイヤを構成するゴムの修理後における300%モジュラスをMd、該隣接ゴムの修理後における300%モジュラスをMn、前記充填ゴムの修理後における300%モジュラスをMfとしたとき、下記式、
    1.4Md≧Mf、かつ、0.8Md≧Mn
    で示される関係を満足するものを用いることを特徴とするタイヤの修理方法。
  2. 前記リペア用パッチとして、前記インナーライナーの修理後における300%モジュラスをMi、前記ゴムシートの修理後における300%モジュラスをMsとしたとき、下記式、
    1.2Mi≧Ms
    で示される関係を満足するものを用いる請求項1記載のタイヤの修理方法。
  3. 前記充填用ゴム部材として、前記隣接ゴムの修理後における300%モジュラスMn、および、前記充填ゴムの修理後における300%モジュラスMfが、下記式、
    Mn>Mf
    で示される関係を満足するものを用いる請求項1または2記載のタイヤの修理方法。
  4. 前記充填用ゴム部材として、前記充填ゴムが複数の充填ゴム層からなるものを用いる請求項1〜3のうちいずれか一項記載のタイヤの修理方法。
  5. 複数本のプライコードをプライゴムで被覆した少なくとも1枚のカーカスプライからなり一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを骨格とし、タイヤ内面にゴムよりなるインナーライナーが配設されており、該プライコードが破断した損傷部が修理されてなる修理済みタイヤであって、
    前記損傷部の、タイヤ外面側には充填用ゴム部材が、タイヤ内面側にはリペア用パッチが、それぞれ配置されて加硫されており
    前記リペア用パッチが、互いに平行に配列された複数本の補強素子を被覆ゴムにより被覆してなる補強シートと、該補強シートをタイヤ内面側から被覆するゴムシートと、からなり、該ゴムシートの縁部が前記インナーライナーに接触するように配置されており、
    前記充填用ゴム部材が、前記損傷部の表面に隣接して配置される隣接ゴムと、該隣接ゴムに隣接して配置される充填ゴムと、からなり、該損傷部におけるタイヤを構成するゴムの修理後における300%モジュラスをMd、該隣接ゴムの修理後における300%モジュラスをMn、前記充填ゴムの修理後における300%モジュラスをMfとしたとき、下記式、
    1.4Md≧Mf、かつ、0.8Md≧Mn
    で示される関係を満足することを特徴とする修理済みタイヤ。
JP2016113027A 2016-06-06 2016-06-06 タイヤの修理方法および修理済みタイヤ Active JP6660254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016113027A JP6660254B2 (ja) 2016-06-06 2016-06-06 タイヤの修理方法および修理済みタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016113027A JP6660254B2 (ja) 2016-06-06 2016-06-06 タイヤの修理方法および修理済みタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017217796A JP2017217796A (ja) 2017-12-14
JP6660254B2 true JP6660254B2 (ja) 2020-03-11

Family

ID=60657495

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016113027A Active JP6660254B2 (ja) 2016-06-06 2016-06-06 タイヤの修理方法および修理済みタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6660254B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114987121A (zh) * 2022-04-18 2022-09-02 河南谭双有汽车维修服务有限公司 轮胎修补方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017217796A (ja) 2017-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8900389B2 (en) Method for producing pneumatic tire
JP5811249B2 (ja) 空気入りタイヤの製造方法
WO2015076383A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP5769739B2 (ja) ラジアルタイヤの修理用パッチラバー、およびそれを用いたラジアルタイヤの修理方法、並びに修理済みラジアルタイヤ
US10046529B2 (en) Method for repairing radial tire, repaired radial tire, and patch rubber
CN102149534B (zh) 集成的增强补片
CN105437875B (zh) 充气轮胎
JP6927221B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP3568334B2 (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP6660254B2 (ja) タイヤの修理方法および修理済みタイヤ
US11254165B2 (en) Precured tire tread with fabric reinforcing layer
JP2006160106A (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
WO2019050030A1 (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
CN101396873A (zh) 强化复新子午线轮胎的方法
US20220371374A1 (en) Pneumatic tire
JP6384538B2 (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP2011255804A (ja) 空気入りタイヤおよびその製造方法
JP5628593B2 (ja) プレキュアトレッド及びプレキュアトレッドを用いた更生タイヤ
WO2020022161A1 (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP2013147162A (ja) 更生タイヤ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191015

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6660254

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250