本発明の実施形態として、電子部品100の一例を説明する。図1(a)は第1例の電子部品100を表から見たときの平面模式図であり、図1(b)は第1例の電子部品100を裏から見たときの平面模式図である。図2(a)、(b)は第1例の電子部品100の断面模式図である。図2(a)は図1(a)、(b)のA−a線における第1例の電子部品100の断面図であり、図2(b)は図1(a)、(b)のB−b線における第1例の電子部品100の断面図である。図3(a)、(b)は第1例の電子部品100の変形例である、第2例の電子部品100の、図2(a)、(b)と同様の箇所の断面図である。以下、主に第1例の電子部品100について、同じもしくは類似の部分には共通の符号を付けて、各図面を相互に参照しながら説明を行う。各図にはX方向、Y方向、Z方向を示している。
電子部品100は電子デバイス10と、電子デバイス10を収容する容器50を備える。容器50は、主に基体20と蓋体30と枠体40で構成される。詳しくは後述するが、容器50の内で基体20と枠体40は実装部材として機能し得る。枠体40は電子デバイス10に対応する開口を有する。蓋体30は光学部材として機能し得る。電子デバイス10は基体20に固定される。蓋体30は枠体40を介して基体20に固定され、内部空間60を介して電子デバイス10に対向する。枠体40は蓋体30と電子デバイス10との間の内部空間60を囲む。枠体40の開口内に上述した内部空間60が形成される。
電子部品100を構成する部材の位置関係は、電子デバイス10の位置に関連する基準面をもとに説明することができる。基準面は電子デバイス10の表面101と電子デバイス10の裏面102との間に位置し、電子デバイス10の側面105を貫く仮想的な平面である。表面101は基準面の一方の側(表面側)に位置し、裏面102は基準面の他方の側(裏面側)に位置する。基準面RPはX−Y方向に沿った平面であり、基準面RPに垂直な方向がZ方向である。面は電子デバイス10が半導体デバイスである場合、便宜的に、基準面RPを半導体層と絶縁体層との界面に設定してもよい。典型的には、X方向およびY方向は、電子デバイス10の表面101、電子デバイス10の裏面102、蓋体30の外面301および蓋体30の内面302に平行な方向である。表面101は内面302に対向し、裏面102は基体20の配置領域210に対向して基体20に接着されている。また、Z方向はこれら表面101、裏面102、内面301、外面302に垂直な方向である。典型的な電子デバイス10および電子部品100はX方向およびY方向において矩形を呈する。また、Z方向における寸法はX方向、Y方向における寸法よりも小さく、おおむね平板形状である。以下、便宜的にZ方向における寸法を厚みもしくは高さと呼ぶ。
X方向およびY方向において、電子部品100の外縁は、基体20の外縁205と枠体40の外縁405と蓋体30の外縁305で規定される。枠体40は外縁405に加えて内縁403を有する。ここで正射影領域について説明する。或る部材の正射影領域とは、基準面に垂直なZ方向においてその部材を投影可能な領域である。或る部材とは別の部材が、或る部材の正射影領域に位置することは、Z方向において、或る部材と別の部材とが重なることを意味する。つまり、或る部材の正射影領域内に別の部材が位置する場合、別の部材は、Z方向において或る部材と重なる領域に位置すると云うことができる。逆に、或る部材の正射影領域外に別の部材が位置する場合、別の部材の少なくとも一部は、或る部材と重らない領域に位置すると云うことができる。正射影領域の内外の境界は、対象の部材の輪郭である外縁および内縁(内縁は存在しない場合もある)に対応する。例えば、電子デバイス10に対向する蓋体30は、Z方向において電子デバイス10に重なる領域である、電子デバイス10の正射影領域に位置する。
電子デバイス10の種類は特に限定されないが、典型的には光デバイスである。本例の電子デバイス10は主部1と副部2を有している。典型的には主部1は電子デバイス10の中央に位置し、副部2はその周辺に位置する。電子デバイス10がCCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーなどの撮像デバイスであるなら主部1は撮像部である。電子デバイス10が液晶ディスプレイやELディスプレイなどの表示デバイスであるなら主部1は表示部である。撮像デバイスの場合、電子デバイス10の蓋体30との対向面である表面101が光入射面となる。この光入射面は、受光面を有する半導体基板の上に設けられた多層膜の最表層によって構成することができる。多層膜は、カラーフィルタ層やマイクロレンズ層、反射防止層、遮光層などの光学的な機能を有する層、平坦化層等の機械的な機能を有する層、パッシベーション層などの化学的な機能を有する層などを含む。副部2には主部1を駆動するための駆動回路や主部1からの信号(あるいは主部1への信号)を処理する信号処理回路が設けられる。電子デバイス10が半導体デバイスであると、このような回路をモノリシックに形成することが容易である。副部2には電子デバイス10と外部との信号の通信を行うための電極3(電極パッド)が設けられる。
基体20の中央領域の少なくとも一部が配置領域210である。配置領域210の上には電子デバイス10が配置され、電子デバイス10は基体20に固定される。典型的には、電子デバイス10は、図2(a)、(b)に示す様に、基体20の配置領域210と電子デバイス10の裏面102との間に配された接合材52を介して固定される。ただし、接合材52が電子デバイス10の側面である外縁105のみに接していて、基体20の配置領域210と電子デバイス10の裏面102との間に接合材52が位置しない形態であってもよい。接合材52は導電性であってもよいし絶縁性であってもよい。また、接合材52は高い熱伝導性を有することが好ましく、金属粒子を含有するものを用いることもできる。
容器50は、容器50の内側(内部空間60)に面する内部端子5と、容器50の外側に面する外部端子7とを有する。複数の内部端子5が並んで内部端子群を構成している。これら内部端子5や外部端子7は基体20と一体的に設けられている。本例では、図1(a)に示すように、X方向に沿って列状に並んだ10個の内部端子5からなる内部端子群がY方向に2列分(2群)配されている。このような内部端子5の配置に限らず、Y方向に沿って列状に並んだ内部端子群をX方向に2列分配することもできる。また、Y方向に沿って列状に並んだ内部端子群とX方向に沿って列状に並んだ内部端子群とをそれぞれ2列分配して、電子デバイス10を内部端子5が囲むようにすることもできる。また、複数の外部端子7が並んで外部端子群を構成している。本例では、図1(b)に示すように、X方向およびY方向に沿って行列状に並んだ外部端子群が電子部品100の裏側を成す、基体20の裏面206上に配されている。このような外部端子7の配置に限らず、外部端子群を、基体20の側面である外縁205に沿って、X方向および/またはY方向において、列状に設けることもできる。
内部端子5と外部端子7は基体20に内部配線として埋設された埋設部6を介して電気的に連続している。電子部品100を構成する電子デバイス10の電極3と容器50の内部端子5は、接続導体4を介して電気的に接続されている。本例では電極3と内部端子5の接続はワイヤーボンディング接続であって、接続導体4は金属ワイヤー(ボンディングワイヤー)であるが、電極3と内部端子5の接続をフリップチップ接続としてもよい。その場合、電極3は電子デバイス10の裏面102に設けられ、内部端子5や接続導体4は配置領域210に位置する。外部端子7は本例ではLGA(Land Grid Array)であるが、PGA(Pin Grid Array)やBGA(Ball Grid Array)、LCC(Leadless Chip Carrier)でもよい。このような形態では、複数の外部端子7は基体20上において蓋体30の正射影領域に位置し得る。そして、外部端子7は基体20の外縁205の内側、つまり基体20の正射影領域に位置することになる。さらに複数の外部端子7の一部は、基体20上において電子デバイス10の正射影領域に位置し得る。このように、外部端子7は、Z方向において電子デバイス10、基体20および蓋体30の少なくともいずれかに重なる領域に位置することができる。内部端子5と埋設部6と外部端子7とをリードフレームを用いて一体化してもよく、その場合、内部端子5がインナーリードとなり、外部端子7がアウターリードとなる。リードフレームを用いた形態では、複数の外部端子7は、基体20の外縁205から突出して、基体20や蓋体30の正射影領域の外に位置することになる。電子部品100は、その外部端子7がプリント配線板などの配線部材の接続端子と電気的に接続され、同時に、この配線部材に固着される。外部端子7は、はんだペーストを用いたリフローはんだ付けによって外部回路と電気的に接続することができる。このようにして電子部品100は配線部材に2次実装されて電子モジュールを構成する。電子モジュールもまた、電子部品として扱うことができる。実装の形態としては表面実装が好ましい。電子モジュールを筐体に組み込むことで、電子機器を構成する。
基体20は、中央領域が、中央領域を囲む周辺領域に対して窪んだ形状、すなわち凹形状を有している。具体的には、板状部の中央領域により凹形状の底部が、板状部の周辺領域の上に設けられた枠状部により凹形状の側部が構成される。基体20は、板材と枠材を積層することにより形成することができるほか、金型成形や切削加工等により一体的に形成することもできる。基体20は、内部端子5および外部端子7の絶縁を確保できれば金属板などの導電体でもよいが、典型的には絶縁体からなる。基体20は、ポリイミド基板などのフレキシブル基板であってもよいが、ガラスエポキシ基板、コンポジット基板、ガラスコンポジット基板、ベークライト基板、セラミック基板などのリジッド基板であることが好ましい。特にセラミック基板であることが好ましく、基体20にはセラミック積層体を用いることが好ましい。セラミック材料としては炭化珪素、窒化アルミニウム、サファイア、アルミナ、窒化珪素、サーメット、イットリア、ムライト、フォルステライト、コージライト、ジルコニア、ステアタイト等を用いることが可能である。
図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)にそれぞれ示す様に、凹形状の基体20の周辺領域は、段部と段差部で構成されている。段部とはX方向、Y方向に広がる部分であり、段差部とは、Z方向における高さが互いに異なる二つの段部の間に位置し、Z方向に広がる部分である。
ここで、内部端子5が設けられた段部を基準段部202と定める。本実施形態では、図2(a)、図3(a)に示す様に、Y方向において内部端子群よりも容器50の外縁側、つまり基体20の外縁205側に上段部204が位置している。そして上段部204は基準段部202に対して出張っている。つまりZ方向において上段部204は基準段部202よりも蓋体30側に位置する。基準段部202と上段部204の間には段差部203が位置している。段差部203は接続導体4と内部空間60の一部を介して対向している。
また、図2(a)、(b)に示した例では、基体20が、基準段部202と上段部204に加えて、下段部200を有する。下段部200は、内部端子群よりも基体20の外縁205から離れて位置する。つまり、下段部200は内部端子群よりも基体20の内方に位置する。そして、下段部200は、段差部201を介して基準段部202に対して窪んでいる。つまり、下段部200はZ方向において段差部201を介して、内部端子群よりも蓋体30から離れて位置する。段差部201は電子デバイス10の外縁105と内部空間60の一部を介して対向している。基準段部202は上段部204と下段部202の間に位置している。したがって、基準段部202を中段部と呼ぶこともできる。図2(b)に示す様に、内部端子5が設けられていないX方向においては、下段部200と上段部204の間には基準段部202は設けられていない。そして段差部203が上段部204と下段部200の間に位置している。X方向においても、Y方向と同様に、上段部204と下段部200の間に中段部を設けることもできるが、このように内部端子5が設けられないような中段部は、容器50の不要な大型化を招くため、設けないことが好ましい。
図3(a)、(b)に示した変形例では、基体20が段部および段差部を有しない平面形状である。そのため本例では、図3(a)、(b)で云うところの基準段部は基準面と言い換えることができる。内部端子5が配される基準面202に電子デバイス10や枠体40が固定されており、図2(a)、(b)に示したような下段部200や上段部204が無い。その結果、枠体40は内部空間60だけでなく、電子デバイス10を囲んでいる。なお、電子デバイス10と蓋体30の距離を小さくしたり、蓋体30に枠部を設けるなどしたりすることで、枠体40が内部空間60を囲まずに電子デバイス10のみを囲むようにしてもよい。つまり、枠体40は内部空間60および電子デバイス10の少なくとも一方を囲んでいればよい。ほかの点は、図2(a)、(b)で示した電子部品100と同様である。また、図示はしないが、上段部と下段部の2段構成として、上段部に枠体40を固定し、下段部に電子デバイス10を配置するとともに内部端子5を配置してもよい。
電子デバイス10に対向する蓋体30は、電子デバイス10を保護する機能を有する。電子デバイス10が光を扱うような撮像デバイスや表示デバイスであるならば、それらの光(典型的には可視光)に対して透明であることが求められる。そのような蓋体30としての好ましい材料はプラスチックやガラス、水晶などが挙げられる。蓋体30の表面には反射防止コーティングや赤外カットコーティングを設けることもできる。
図4は電子部品100の分解図である。図4から理解されるように、電子部品100は、あらかじめ用意された電子デバイス10と基体20と蓋体30と枠体40とZ方向に重ね合わせて構成されている。図4では、基体20と枠体40との関係を長破線で、電子デバイス10と基体20との関係を一点鎖線で、枠体40と蓋体30との関係を二点鎖線で示している。また、蓋体30の輪郭を枠体40に、電子デバイス10の輪郭を基体20に、枠体40の輪郭を基体20にそれぞれ破線で示している。
蓋体30は枠体40を介して基体20に固定されている。詳細には、枠体40と基体20とが、図2(a)、(b)に示す様に、基体20の中央領域を囲む周辺領域で接合材51を介して相互に接着されている。また、枠体40と蓋体30とが、図2(a)、(b)に示す様に蓋体30の中央領域を囲む周辺領域で接合材53を介して相互に接着されている。基体20の中央領域と蓋体30の中央領域との間に電子デバイス10および内部空間60が位置している。本実施形態では、蓋体30は、Z方向において枠体40よりも電子デバイス10や基体20から離れて位置しており、蓋体30の電子デバイス10との対向面である内面302に接合材53が設けられている。しかし、特開2003−101042号公報の図3の形態の様に、枠体40の一部をZ方向において蓋体30よりも電子デバイス10や基体20から離れて位置させて、蓋体30の外面301に接合材53を設けることもできる。接合材51、52、53の厚みは1〜1000μmであり、典型的には10〜100μmである。
具体的には、枠体40と基体20を接着剤を用いて相互に接着し、電子デバイス10と基体20を接着剤を用いて相互に接着し、蓋体30と枠体40を接着剤を用いて相互に接着する。これらの接着の順番は特に限定されないが、蓋体30と枠体40との接着に先立って枠体40と基体20との接着を行う場合に、本発明は好適である。また、電子デバイス10と基体20との接着に先立って枠体40と基体20との接着を行う場合に本発明は好適である。つまり、まず枠体40と基体20とを接着して実装部材を形成する。その実装部材に電子デバイス10を固定したのち、蓋体30を実装部材に接着するのである。
基体20と枠体40は、接合材51によってそれらの接合面の全周で接合されることが好ましい。また、蓋体30と枠体40も接合材53によってそれらの接合面の全周で接合されることが好ましい。このように、基体20および蓋体30のそれぞれの周辺領域の全周を接着領域として、電子デバイス10の周囲の内部空間60を外部の空気に対して気密な空間とすることにより、内部空間60への異物の侵入が抑制され、信頼性が向上する。気密性を確保するためには、十分な量の接着剤を用いればよい。
上で説明した接合材51、接合材52、接合材53は、それぞれ、塗布された接着剤が固化したものである。接着剤の種類としては、溶媒の蒸発による乾燥固化型、光や熱による分子の重合などによって硬化する化学反応型、融解した接着剤の凝固によって固化する熱溶融(ホットメルト)型などが挙げられる。典型的な接着剤としては、紫外線や可視光で硬化する光硬化型樹脂や、熱で硬化する熱硬化型樹脂が用いられる。接合材51用および接合材52用の接着剤としては熱硬化型樹脂を好適に用いることができ、接合材53用の接着剤としては光硬化型樹脂を好適に用いることができる。接着剤および接合材の色見としては、熱硬化性樹脂の場合には、白、黒、透明等特に限定は無く用いることが可能である。光硬化型樹脂の場合には、可視光及び/又は紫外光に対して透明である。接着剤および接合材は適度に無機あるいは有機のフィラーを含んでいてもよい。フィラーを含むことで耐湿性を向上することが可能である。接着剤の硬化後の接合材の弾性率は特に限定は無いが、異種材料同士を接着する場合には、比較的柔らかい樹脂(低弾性率樹脂)が好ましく、例えば1MPa以上100GPa以下の範囲が好適であるが、これに限るものではない。
枠体40は、基体20に対向し接合材51に接着された接合面401と、蓋体30に対向し接合材53に接着された接合面402を有する。枠体40は電子デバイス10と蓋体30の間の内部空間60を囲むように設けられている。枠体40の、内部空間60に面して内部空間60を囲む面が内縁403である。枠体40の外縁405は外部空間に露出している本例の枠体40は、X方向において、基体20と蓋体30との間から外部空間に向かって延在した拡張部404を有している。この拡張部404には、貫通穴406が設けられており、この貫通穴406を、電子機器の筐体等に固定するためのねじ止め用の穴として用いたり、位置決め用の穴として用いたりすることができる。電子デバイス100が撮像デバイスである場合、電子機器としては、スチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮影機能を有する情報端末が含まれる。
内部空間60の気密性を高める上では、枠体40は切れ目なく内部空間60を囲んでいることが好ましい。また、枠体40の剛性、ひいては電子部品100の剛性を確保する上でも、枠体40は切れ目のない閉ループであることが好ましい。また、後述するように熱伝導性を確保する上でも、枠体40は周方向において連続した閉ループであることが好ましい。しかしながら、製造上の制約により枠体40を辺ごとに複数に分割して配置してもよい。また、内部空間60と外部空間を連通させる目的で枠体40にスリットを設けてもよい。このように枠体40に切れ目が存在する場合、枠体40に生じる不連続な部分(スリット)は極力少ないことが望ましく、具体的には、内部空間60や電子デバイス10を囲む周の長さの10%未満にとどめておくことが望ましい。換言すれば、内部空間60や電子デバイス10を囲む周に沿って、その周の長さの90%以上にわたって枠体40が存在すれば、枠体40はこれらを囲むとみなすことができる。例えば、内縁403が縦20mm、横20mmの四辺形(内縁403の周長は80mm)であるとすれば、枠体40に設けるスリットの幅は総計で8mm未満であれば、枠体40が内部空間60を囲んでいるとみなすことができる。この場合でも、1つあたりのスリットの幅は小さいことが好ましく、例えば8mm幅のスリットを1つ設けるよりは、4mm幅のスリットを2つ設ける方がよい。
枠体40の材料は、樹脂、セラミック、金属を適宜使用することが可能である。なおここでいう金属とは単体の金属のみならず合金を含むものである。本実施形態は、接着剤を用いて枠体40と基体20とを貼り合せるものであるから、枠体40の材料が基体20の材料と異なる場合に好適である。また、本実施形態は、枠体40の材料は蓋体30の材料と異なる場合にも好適である。そのような場合とは、例えば、基体20の材料がセラミックであり、蓋体30の材料がガラスであり、枠体40の材料が金属または樹脂である場合である。
枠体40が高い熱伝導性を有する場合、拡張部404を介して電子デバイス10の熱を放熱することができる。放熱のためには、枠体40の熱伝導率は1.0W/m・K以上であることが好ましく、10W/m・K以上であることがより好ましい。典型的な樹脂の熱伝導率は1.0W/m・K未満である。
また、電子部品100に生じる応力を緩和する上で、枠体40の熱膨張率(線膨張率)は極力低いことが好ましい。具体的には枠体40の熱膨張率は50ppm/K以下であることが好ましい。一般的な樹脂の熱膨張率は50ppm/Kより大きい。
これら熱伝導や熱膨張の観点を考慮すると、枠体40の材料としては金属あるいはセラミックであることが好ましい。セラミックは金属と同等の熱的特性を有し得るが脆性材料であることから、加工性や機械的強度の点でセラミックよりも金属が好ましい。典型的な金属材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄合金などが挙げられる。これら材料は加工性に優れ、比較的安価でもある。また、電子デバイス10が撮像デバイスである場合には、屋外での使用を考えると、耐食性に優れるアルミニウムやアルミニウム合金、鉄合金が好適である。さらに、枠体40の材料としては、ステンレスを始めとして、クロムやニッケル、コバルトを含む鉄合金が好適である。例えば、このような材料として、フェライト系ステンレスであるSUS430やオーステナイト系ステンレスであるSUS304、42アロイ、コバールなどを用いることができる。
枠体40は、電子デバイス10と蓋体30との間隔を規定し、また、蓋体30を支持する機能をする。また、枠体40は上述したようなねじ止め用や位置決め用の穴を有していたり、高い熱伝導性を有することにより放熱部材としての機能を有していたりする。そのため、基体20と枠体40とを併せて実装部材と呼ぶことができる。
電子部品100に関する製造方法の一例を説明する。図5〜7は図1(a)、(b)のA−a線における断面模式図である。
図5(a)は、基体20を用意する工程aを示す。上述したように基体20は、内部端子5と埋設部6と外部端子7を有している。また基体20は、基準段部202と上段部204とを接続する段差部203を有し、さらには、基準段部202と下段部200とを接続する段差部201を有している。内部端子5は基準段部202に設けられている。外部端子7は基体20の裏面206に設けられている。
このような基体20は、例えば以下のように形成されるセラミック積層体から構成される。まず、ドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形法を用いて形成されたグリーンシートに板型の打ち抜き加工を施し、これを複数枚積層して生セラミックの板材を形成する。また、同様に形成されグリーンシートに枠型の打ち抜き加工を施し、これを複数枚積層して生セラミックの枠材を形成する。これらの板材と枠材を重ねて焼成することで、凹形状を有するセラミック積層体を作製し、これを基体20として用いすることができる。内部端子5、埋設部6および外部端子7は、グリーンシートを積層する過程でスクリーン印刷法等により形成された導電ペーストパターンを、焼成することで形成することができる。
ここでは焼成前に、生セラミック板材であった第1層21と、小内径の生セラミック枠材であった第2層22および大内径の生セラミック枠材であった第3層23とを示している。第2層22の枠型と第3層23の枠型の内径を異ならせることにより、容易に基準段部202を形成可能である。なお、図3(a)、(b)に示したように、下段部200を有しないような場合には、図3(a)、(b)のような例では基体20を構成する枠材を2種類(2層)ではなく、1種類で構成することができる。そうすれば打ち抜き加工の枠型は1種類でよいので、コストダウンを図ることができる。基体20の段差部203の内径DBIや外径DBOは実装される電子デバイスのサイズに応じて任意に決定される。
図5(b)は、基体20と枠体40を接着する工程の第1段階bを示す。成形された枠体40を用意する。枠体40の内径をDFI、外径をDFOとする。ここで、基体20と枠体40の大きさの関係を、DBI<DFIとしておく。また、DBO<DFOとしておく。枠体40の表面には、サンドブラスト加工により凹凸をつけておくと良い。次に第2段階として、基体20の上段部204と枠体40の第1の接合面401の少なくとも一方に接着剤510を塗布する。図5(b)に示す様に、枠体40の接合面401のみに接着剤510を塗布すると良い。基体20よりも枠体40の方が平坦性が高く、接着剤510の塗布量を制御しやすいためである。上述したように、典型的な接着剤510は熱硬化性樹脂である。接着剤510の塗布には印刷法やディスペンス法等を用いることができる。
図5(b)において、枠体40は完全に平坦であるものを例示しているが、それに限らず、枠体40の辺の少なくともいずれかが反りを有する形状であってもよい。詳しくは後述するが、接着する枠体40が反りを有することで、平坦性の高い枠体40を有する実装部材24を得ることができる。
次に第3段階として、枠体40を基体20の上段部204に乗せる。ここで、基体20の段差部203が、枠体40の内縁403よりも内部端子5側に位置している。このときの段差部203と内縁403のオフセット量DOSは、内径DFIと内径DBIの差に依存する。典型的にはDOS=(DFI−DBI)/2となる。これにより、枠体40と基体20との間に接着剤510が介在した状態で枠体40と基体20とが重ね合わせられる。一方、上段部204には、オフセット量DOSに対応した幅を有する、枠体40に重ならない領域(オフセット領域)が形成される。
当然、この時点で、接着剤510は液体である。枠体40の自重あるいは押圧により枠体40が基体20に押し付けられることにより、余分な接着剤510は枠体40と基体20の間からはみ出す場合がある。しかし、はみ出した接着剤510は上述したオフセット領域上に保持されることで、接着剤510が内部端子5などに付着することを抑制することができる。 図5(c)は、基体20と枠体40を接着する工程の第4段階cを示す。塗布された接着剤510を適当な方法で固化させる。好適な接着剤510は熱硬化性樹脂であり、80〜200℃程度の加熱によって熱硬化させる。これにより、液体である接着剤510は固体である接合材51となり、接合材51を介して枠体40と基体20とが接着される。第5段階として、熱硬化後に枠体40および基体20は所定の温度(例えば常温)まで冷却される。冷却の方法は特に限定されず、自然冷却でもよいし空冷等を用いた強制冷却であってもよい。このようにして、枠体40と基体20を備える実装部材24を製造することができる。
図6(d)は、基体20に電子デバイス10を固定する工程dを示す。電子デバイス10は電極3を有している。基体20の下段部200と電子デバイス10の裏面102の少なくとも一方(典型的には基体20の下段部200のみ)にダイボンドペーストなどの接着剤520を塗布する。そして、電子デバイス10を接着剤520の上に配置する。この後、図6(e)で示す様に、接着剤520を固化して接合材52を形成して、電子デバイス10と基体20を接着する。
図6(e)は、電子デバイス10と基体20とを電気的に接続する工程eを示す。本例ではワイヤーボンディング接続を用いている。キャピラリ345の先端から供給される金属ワイヤーの一端を電極3に接続し、次いで、金属ワイヤーの他端を内部端子5に接続する。この金属ワイヤーにより接続導体4が形成される。なお、フリップチップ接続採用する場合には、バンプが接合材52と接続導体4とを兼ねることもできる。ここで、基体20は電子デバイス10を下段部200に設けて、内部端子5が設けられた基準段部202を下段部200より上方に位置させている構成である。そのため、キャピラリ345が段差部203、上段部204さらには電子デバイス10に干渉しうる範囲を小さくすることができる。そのため、電子部品100の小型化が可能となる。
図6(f)は、蓋体30を枠体40に接着する工程の前半の段階fを示す。なお、図6(f)は、全ての内部端子5と全ての電極3とを接続導体4で接続した後の状態である。枠体40の接合面402と蓋体30の接合面(本例では内面302)の少なくとも一方に接着剤530を塗布する。上述したように、典型的な接着剤530は光硬化性樹脂である。接着剤530の塗布には印刷法やディスペンス法等を用いることができる。図6(f)に示す様に、蓋体30の内面302のみに接着剤530を塗布すると良い。ディスペンス法に依る場合、被塗物の塗布面にうねりがあると接着剤の塗布量がばらつくが、枠体40よりも蓋体30の方が平坦性が高く、接着剤530の塗布量を制御しやすいためである。
図6(g)は、蓋体30を枠体40に接着する工程の後半の段階gを示す。蓋体30を枠体40の上に乗せる。当然、この時点で、接着剤530は液体である。そのため、蓋体30の自重あるいは押圧により蓋体30が枠体40に押し付けられることにより、余分な接着剤530は枠体40と蓋体30の間からはみ出す場合がある。
その後、塗布された接着剤530を適当な方法で固化させる。これにより、液体である接着剤530は固体である接合材53となり、接合材53を介して枠体40と蓋体30とが接着される。接着剤530として光硬化性樹脂を用いるのは以下の理由が挙げられる。接着剤530を接合面の全周に形成される場合、接着剤530として熱硬化性接着剤を用いると、加熱時に内部空間60が熱膨張して、内圧により液体状態の接着剤530を押し出してしまう可能性があるためである。光硬化性接着剤を用いるとこのような可能性はなくなる。なお、光硬化性接着剤を光硬化によって半硬化させた後であれば、後硬化として補助的に熱硬化を用いることができる。光硬化性の接着剤510を好適に用いるうえでは、蓋体30は紫外線などの接着剤510が反応する波長に対して十分な光透過性を有することが好ましい。以上の様にして、電子部品100を製造することができる。
図7(h)は電子モジュール600の製造方法の前半の段階hを示している。上記の様にして作製した電子部品100を2次実装するための配線部材500を用意する。配線部材は、リジッド配線板やフレキシブル配線板、リジッドフレキシブル配線板などであり、典型的にはプリント配線板である。配線部材500の接続端子9にはんだペースト80(はんだクリーム)をスクリーン印刷法などの公知の方法で塗布する。そして、電子部品100を基体20の裏面206を配線部材500側に向けて配線部材500の上に乗せて、接続端子9と外部端子7との間にはんだペースト80を介在させる。
図7(i)は、電子モジュール600の製造方法の後半の段階iを示している。電子部品100と配線部材500とを加熱炉(リフロー炉)の中に入れて、180〜250℃程度ではんだペースト80を熔融し、接続導体8としてのはんだを形成する。このようにして、電子部品100はリフローはんだ付けを経て配線部材500に固着される。このようにして、電子部品100と配線部材500とを備える電子モジュール600を製造することができる。なお配線部材500の上には電子部品100以外の電子部品、例えば集積回路部品やディスクリート部品等を搭載することができる。
図7(j)は電子機器1000を示している。電子モジュール600の配線部材500を外部回路700に接続する。外部回路は例えばプロセッサやメモリである。なお外部回路は、上述した修正機回路部品であってもよい。外部回路にはディスプレイ等の他の電子部品が接続される。これらを筐体900に格納して、電子機器1000を製造することが出来る。なお、電子部品100に設けられた放熱用の拡張部404は、筐体900や筐体900内に設けられたヒートシンクへ熱的に接続される。これにより、電子デバイス10で生じた熱が拡張部404を介して外部へ放熱される。
以上の様に、実装部材24、電子部品100、電子モジュール600および電子機器1000を製造することができる。
以下、本実施形態における、電子デバイス10の熱膨張率αDと、基体20の熱膨張率αBと、枠体40の熱膨張率αFと、蓋体30の熱膨張率αLと、配線部材500の熱膨張率αCについて説明する。
電子部品100は使用時に電子デバイス10が発熱する際の熱膨張による変形を抑制するために、容器50の主たる構成部材は、配線部材500の熱膨張率αCよりも低く設定される。なぜなら、電子デバイス10が発熱源であり、電子デバイス10に距離的に近い材料である容器50の構成部材の方が温度が高くなる為である。具体的には、基体20の熱膨張率αB、枠体40の熱膨張率αFおよび蓋体30の熱膨張率αLが配線部材500の熱膨張率αCよりも低い(αB、αF、αL<αC)。配線部材500の熱膨張率αCは、50ppm/K以下であることが好ましく、25ppm/K以下であることがより好ましい。典型的な配線部材500の熱膨張率αCは、15〜20ppm/Kである。また、典型な電子デバイス10の線膨張率αDは、容器50の主たる構成部材より低い。具体的には、基体20の熱膨張率αB、枠体40の熱膨張率αFおよび蓋体30の熱膨張率αLが電子デバイス10の熱膨張率αDよりも高い(αB、αF、αL>αD)。そのため、典型的にはαC>αDとなる。
そして、本実施形態では、工程b〜工程cにおいて、略平坦な基体20と略平坦な枠体40とが熱硬化型樹脂である接着剤510によって接着される。この時、接着前は、基体20と枠体40は相対的に自由な膨張/収縮が可能である。しかし、接着後は基体20と枠体40は相対的に自由な膨張/収縮が不可能となる。そのため、基体20と枠体40の間の応力の変化は、熱硬化前の低温(常温)状態と熱硬化後の低温(常温)状態で不可逆的となる。そのため、図8(a)および図9(a)に示す様に平坦な基体20と平坦な枠体40とは、熱硬化型樹脂である接着剤510によって相互に接着された後は、高温(硬化温度)状態から低温状態へ至る冷却過程において、基体20と枠体40の収縮量に差が生じる。この収縮量の差によって、図8(b)、図9(b)に示す様に基体20に反りが生じる。この反りは、収縮量の大きい方の部材が、収縮量の小さい方の周辺領域を、収縮量の小さい方の中央領域側へ引っ張るように生じる。ここでは、熱硬化型接着剤を用いた例を挙げているが、基体20と枠体40とを加熱しながら接着する方法、つまり、常温よりも高温の状態で両者が固定されるような接着方法であれば、熱硬化型接着剤に限定されることはない。αF>αBであると、図8(b)に示す様に、基体20は枠体40とは反対側(下側)へ凸となる。これを下凸形状と呼ぶ。αF<αBであると、図9(b)に示す様に、基体20は、枠体40側(上側)へ凸となる。これを上凸形状と呼ぶ。このように、αFとαBの高低関係によって基体20の反る向きが異なる。工程c以降は、基体20の反りが拡大しないように、また、最終的に基体20が平坦に近づくように行われることが好ましい。αFとαBとの差(絶対値)は10.2ppm/K以下であることが好ましい。基体20の反りの大きさは、枠体40が中央領域を有しない形状であるがゆえに、αF>αBである場合のほうが小さくなる。そのため、αF>αBであることが好ましい。 以下、まずはαF>αBである場合について説明する。図8(c)に示す様に、実装部材24の下凸形状の基体20の中央領域(配置領域210)に固定される電子デバイス10は、基体20の配置領域210の下凸形状にならって、下凸形状に反りやすくなる。基体20の形状にならうように電子デバイス10に荷重をかけて反らせることができる。これは、後述するように、基体20が平坦になった際に、電子デバイス10も平坦にするためである。接着剤520が熱硬化型樹脂である場合、接着剤520の熱硬化時に基体20および電子デバイス10が熱膨張する。電子デバイス10の熱膨張率αDが基体20の熱膨張率αBより高い(αB<αD)場合には、熱硬化後の冷却時の電子デバイス10の収縮量が基体20の収縮量より大きくなり、基体20の下凸形状の反りが大きくなる場合がある。そのため、電子デバイス10の熱膨張率αDは基体20の熱膨張率αBよりも低い(αB>αD)ことが好ましい。
図8(d)に示す様に平坦な蓋体30は、光硬化型樹脂である接着剤530で接着された後は、平坦なままであってもよい。しかし、蓋体30と枠体40を加熱しながら接着する場合には、熱硬化時に蓋体30と基体20が熱膨張した状態で双方が固定されることになる。これは、例えば接着剤 530の固化に光硬化と熱硬化を併用する場合や専ら熱硬化を行う場合である。その場合において、蓋体30の熱膨張率αLが枠体40の熱膨張率αFよりも高い(αL>αF)と、蓋体30の収縮後には蓋体30が枠体40を内方に引っ張るために、基体20の下凸形状の反りが拡大する。その結果、基体20のコプラナリティが悪く、とりわけ周辺領域に位置する外部端子7のリフローはんだ付けの歩留まりが低くなる傾向にある。リフローはんだ付けの歩留まりを高くするためには、蓋体30の熱膨張率αLが枠体40の熱膨張率αFよりも低い(αL<αF)ことが好ましい。αLとαFが等しくてもよい。さらに、蓋体30の熱膨張率αLが基体20の熱膨張率αFよりも低い(αL<αB)ことが好ましい。αLとαBが等しくてもよい。
図8(e)及び(f)に示す様に、リフローはんだ付け前の電子部品100の基体20は下凸形状であるが、リフローはんだ付け前の配線部材500は平坦である。リフロー炉で加熱された基体20および配線部材500は、はんだ接合が完了して常温に戻る過程においては、配線部材500が基体20よりも大きな収縮量を示す。配線部材500の熱膨張αCが基体20の熱膨張率αBよりも高い(αC>αB)ためである。その結果、基体20と配線部材500との間には、配線部材500が基体20の反りを矯正するかのような応力が働き、常温では基体20の反りは小さくなり電子モジュール600は全体として平坦化する。配線部材500はフレキシブル基板であるよりもリジッド基板であるほうが、十分な矯正力を得ることが出来る。
基体20へは枠体40からは基体20が下凸形状に反るような応力が働く。しかし、配線部材500の熱膨張αCが、基体20の熱膨張率αB、枠体40の熱膨張率αFおよび蓋体30の熱膨張率αLよりも高い(αB、αF、αL<αC)。そのため、配線部材500の熱収縮が枠体40および蓋体30の熱収縮に勝るものと考えられる。
以上をまとめると、下記の関係(i)、(ii)および(iii)
(i) αL≦αB<αF<αC
(ii) αB<αL≦αF<αC
(iii) αB<αF<αL<αC
のいずれかを満たすことにより、最終的に基体20が平坦化することにより、電子デバイス10の平坦性が向上し、電子部品100の良好な性能が得られる。これらの関係の中でも、リフローはんだ付けの歩留まりを高くする上では、αL≦αFを満たす関係(i)、(ii)が好ましく、αL<αBを満たす関係(i)がより好ましい。
次に、αF<αBである場合について説明する。
図9(c)に示す様に、下凸形状の実装部材24の基体20の中央領域(配置領域210)に固定される電子デバイス10は、基体20の配置領域210の上凸形状にならって、上凸形状に反りやすくなる。基体20の形状にならうように電子デバイス10に荷重をかけることが好ましい。接着剤520が熱硬化型樹脂である場合、接着剤520の熱硬化時に基体20および電子デバイス10が熱膨張する。電子デバイス10の熱膨張率αDが基体20の熱膨張率αBより低い(αB>αD)場合には、熱硬化後の冷却時の基体20の収縮量が電子デバイス10の収縮量より大きくなり、基体20の上凸形状の反りが大きくなる。そのため、αF>αBである場合よりも良好に電子部品を製造するための条件が厳しくなる。
図9(e)に示す様に、蓋体30と枠体40を加熱しながら接着する場合には、熱硬化時に蓋体30と基体20が熱膨張した状態で双方が固定されることになる。これは、例えば、接着剤520の固化に光硬化と熱硬化を併用する場合や専ら熱硬化を行う場合である。その場合において、蓋体30の熱膨張率αLを枠体40の熱膨張率αFよりも高く(αL>αF)する。これにより、図9(d)に示す様に、上凸形状に沿った実装部材24の基体20は蓋体30の収縮によって、上凸形状の反りが緩和される。図9(e)には全体的に平坦化された電子部品100を示しているが、緩い上凸形状となる場合もある。さらに、蓋体30の熱膨張率αLが基体20の熱膨張率αFよりも高い(αL>αB)ことが好ましい。αLとαBは等しくてもよい。蓋体30の熱膨張率αLが基体20の熱膨張率αFよりも低いと、蓋体30によって上凸形状の反りを緩和する効果が低下する。場合によっては上凸形状の反りが拡大することもある。
図9(f)に示す様に、リフローはんだ付け前の電子部品100は平坦か緩い上凸形状であり、リフローはんだ付け前の配線部材500は平坦である。そのため、電子部品100の複数の外部端子7のコプラナリティが良好で、リフローはんだ付けの歩留まりが高くなる。しかし、配線部材500の熱膨張αCは基体20の熱膨張率αBよりも高い(αC>αB)。そのため、リフロー炉で加熱された基体20および配線部材500は、はんだ接合が完了して常温に戻る過程においては、配線部材500が基体20よりも大きな収縮量を示す。その結果、基体20と配線部材500との間には、配線部材500が基体20の反りを大きくさせるかのような応力が働き、常温では基体20の上凸形状の反りは大きくなるか、平坦であったものが上凸形状に反る。そのため、αF<αBである場合には、電子デバイス10の平坦性はαF>αBである場合に比べて低下する。そのため、撮像デバイスのように、電子デバイス10の平坦性が性能に大きく関わるような場合には、電子部品100以外での要因で電子デバイス10の平坦性の欠如を補償することが好ましい。このような補償としては例えば、光学系の焦点の調整やソフトウェアによる画像補正が挙げられる。
このように、下記の関係(iv)および(v)
(iv) αF<αB<αL<αC
(v) αF<αL≦αB<αC
のいずれかを満たすことにより、リフローはんだ付け時に基体20が平坦化することにより、リフローはんだ付けの歩留まりを高くすることができる。
上記した関係(i)および(ii)は、枠体40の両側に位置する基体20および蓋体30の双方の熱膨張率αBおよびαLが、枠体40の熱膨張率αFよりも低い。一方、関係(iv)および(v)は枠体40の両側に位置する基体20および蓋体30の双方の熱膨張率αBおよびαLが、枠体40の熱膨張率αFよりも高い。このように、枠体40の熱膨張率αFが基体20の熱膨張率αBと蓋体30の熱膨張率αLの間ではないことにより、電子部品100に生じる反りの非対称性を緩和することができる。その結果、リフローはんだ付けの歩留まりが向上する。 図10(a)〜(d)は、実装部材24を作製する際の枠体40の反りについて説明する断面図である。図10(a)〜(d)の各々の矢印の前後は、図5(b)、(c)で示した基体20と枠体40を接着する工程において、接着剤510の硬化前の低温(常温)状態と、接着剤510の硬化後(接合材51の形成後)の低温状態の変化を示している。図10(a)、(b)はαF>αBの場合であり、図10(c)、(d)はαB>αFの場合である。図10(a)、(c)は接着前に枠体40が平坦な形態であり、図10(b)、(d)は、接着前に枠体40が反りを有している形態である。
接着前に基体20に対して枠体40が有する反りの向きは、枠体40と基体20との熱膨張率の高低関係に基づいて決定される。枠体40の熱膨張率が基体20の熱膨張率よりも高い場合には、図10(b)のように、枠体40が基体20とは反対側へ凸になるように枠体40と基体20とを重ねる。一方、枠体40の熱膨張率が基体20の熱膨張率よりも低い場合には、図10(d)のように、枠体40が基体20側へ凸になるように枠体40と基体20とを重ねる。このようにすることで、冷却時には、枠体40が有する反りが、重ねた時に有していた反りに比べて、小さくなる。これにより、平面度の高い枠体40を備えた実装部材24を得ることができる。ここで、反りが小さくなることは、反り量が小さくなってより平坦に近づく過程を含むことを意味する。冷却時に枠体40に生じる変形の方向とは反対側の方向に予め枠体40を変形させておく(反らせておく)ことで、冷却時の変形分を吸収できるのである。
なお、この冷却が終了した状態において、枠体40が接着前の反りの向きとは逆向きの反りを有していてもよい。つまり、図10(b)のように加熱前に基体20とは反対側へ凸に反っていた枠体40が、冷却後において、基体20側へ凸に反っていてもよい。あるいは、図10(d)のように加熱前に基体20側へ凸に反っていた枠体40が、冷却後において、基体20側へ凸に反っていてもよい。この過程では、少なくとも常温より高いある温度で枠体40は、反り量が小さくなって一旦平坦になり、そこからさらに冷却されることで逆向きの反りが枠体40に生じることになる。なお、このように接着後に枠体40に逆向きの反りが生じる場合、接着後の逆向きの反り量が接着前の枠体40の反り量より小さいことが好ましい。しかし、接着後の逆向きの反り量が、接着前の反り量よりも大きくなってもよい。なぜなら、このように逆向きの反りが生じるような場合には、枠体40が接着前に反っていることで、枠体40が接着前に反っていない場合に比べて、接着後の反り量を低減できるからである。
枠体40の反りの変化について説明する。冷却工程において、冷却の過程では加熱時の高温の状態から基体20および枠体40の熱膨張率に応じた収縮が生じる。上述したように、本例では枠体40は基体20よりも高い熱膨張率を有するため、枠体40の収縮量が基体20の収縮量よりも大きくなる。枠体40と基体20は高温の状態で相互に固定されているため、基体40と枠体20の収縮量の違いを緩和するように、枠体40は平坦に近づく方向に変形する。基体40と枠体20の収縮量の違いが大きければ、枠体40が逆向きの反りを生じる可能性は高くなる。基体20は枠体40の反りの低減に追従して、反りを生じうる。具体的には、加熱前の枠体40の反りとは逆向きの反りが、冷却後の基体20に生じる。例えば加熱前に枠体40が基体20とは反対側に凸に反っている場合には、冷却後には基体20が枠体40とは反対側に凸に反る可能性がある。冷却後に基体20に生じうる反りは、接着前に枠体40が反っていない場合(図10(a)、(c))に比べて、接着前に枠体40が反っている場合の方が小さくなりうる。そのため、電子部品100や電子モジュール600の平坦性をより向上することができる。
枠体40の反りについて詳細に説明する。本例の枠体40は四辺形を呈する。枠体40の各辺は、枠体40の外縁405と、四辺形である枠体40の内縁403の各辺とで挟まれた帯状の部分(帯部)を含む。さらに枠体40の各辺は、帯部の両側に隣接する辺同士が共有する2つの角部を含む。従って、四辺形を呈する枠体40は4つの角部と4つの帯部を含む。1つの辺において、帯部の中で2つの角部の中間に位置する部分が中間部である。枠体40の辺が凸状の反りを有することは、定盤などの平らな面(基準面)に乗せた際に、基準面から中間部までの距離が、基準面から二つの角部の各々までの距離よりも大きいことを意味する。基体20に枠体40を載せた際には、基体20の枠体40との接合面をこの基準面と考えてよい。反り量は、基準面から二つの角部の各々までの距離の平均と、基準面から中間部までの距離の差で表される。
枠体40の各辺の少なくとも1辺が反りを有していれば、枠体40は反りを有すると言える。互いに対向する少なくとも1組の2辺がそれぞれ同様の方向の反りを有することが好ましい。枠体40が短辺と長辺を有する場合、少なくとも長辺が反りを有することが好ましい。少なくとも対向する長辺がそれぞれ同様の方向の反りを有することが好ましい。対向する2つの長辺の反り量が、対向する2つの短辺の反り量よりも小さいことも好ましい。長辺は、短辺に比べて冷却時の収縮量が大きくなるためである。
枠体40が有する反り量は枠体40の厚みより小さいことが好ましい。枠体40が、枠体40の厚みを超えるような極端に大きな反りがある場合、枠体40への接着剤510の塗布が難しくなったり、基体20と枠体40との接着が難しくなったりする可能性がある。各枠体40の厚みは基体20への接合面である下面401とその反対側の面であり蓋体30への接合面である上面402との距離である。本例の枠体40は角部と中間部とでほとんど厚みは異ならないが、枠体40の各辺の厚みは、各辺の二つの角部と中間部のそれらの厚みの平均で表される。実用的な効果を得る上では反り量は各辺の厚みの1/100以上とすることが好ましい。反り量は厚みの1/10以下であっても十分な効果が得られる。
また、反り量としては、30μm〜80μmであることが実用的である。接着前の反り量が20μmより小さい場合には、基体20と貼り合わせた後に、実装部材24の枠体40に生じる逆向きの反り量が大きくなる可能性が高くなる。また、反り量が80μmより大きい場合には、基体20と枠体40の各辺の中間部を接合する為の接着剤520の塗布高さが必要となり、接着不良を起こしやすくなる。また、反り量が大きすぎると、枠体40の吸着によるハンドリングが難しくなるなど、生産性が低下しやすくなる。さらに、反り量が大きすぎると、反りが小さくなった後でも、実装部材24の枠体40の上の反り量が十分に小さくならず、平坦性が低下するからである。
反りの形状は、特に限定されない。辺の長さ方向全体的に円弧状となっている形状であってもよく、これは、レベラー等を用いた矯正や、曲げ加工等の手法で形成可能である。円弧状ではなく、辺の角部から中央部までが直線状で、中央部が屈曲しているような形状であってもよく、これは例えば、辺の中央付近に支点を置いて、辺の両端から曲げ加工をすることで形成可能である。また、辺の中央部付近のみ凸形状に膨らんだ形状であってもよく、これは、辺の両端付近を抑えておいて、辺の中央付近を押し上げることで形成可能である。
以下、本発明の実施例を説明する。図2で示した電子部品100を作製した。X方向が長手方向でY方向が短手方向となる矩形板状の電子部品100である。
電子部品100においては、3層積層した矩形凹状の基体20を準備した。基体20においては、板状である第1層21の厚みが0.8mm、枠状である第2層22の厚み(段差部201の高さ)が0.4mm、枠状である第3層23の厚み(段差部203の高さ)が0.2mmである。第1層21のX方向における外径は32.0mmである。第1層21のY方向における外径は26.4mmである。第2層22のX方向における外径は32.0mmで内径は26.2mm(枠幅が2.9mm)である。第2層22のY方向における外径は26.4mmで内径は19.6mm(枠幅は3.4mm)である。第3層23のX方向における外径は32.0mmで内径は26.2mm(枠幅が2.9mm)である。第3層23のY方向における外径(DBOに相当)は26.4mmで内径(DBIに相当)は21.4mm(枠幅が2.5mm)である。内部端子5が設けられた基準段部202のY方向における幅はそれぞれ0.9mmとしている。
それぞれ、内部端子5、外部端子7として、ニッケルの下地に金めっきした積層膜を用いている。外部端子7はLGA型であり、125個の外部端子7が設けられている。
次に、枠体40を用意し、枠体40の一方の面に接着剤510として熱硬化型樹脂をスクリーン印刷で塗布した。そして、基体20の上段部204に載置した後加重した。熱硬化性樹脂の厚みが10〜50μmとなるように荷重を調整した。そして、120〜150℃程度の加熱を行って接着剤510としての熱硬化性樹脂を硬化させた。尚、枠体40の表面は、熱硬化性樹脂との接着力を向上させる為に、表面粗さRa値0.1〜0.2μm程度のサンドブラスト処理を実施して、表面に凹凸形状を形成しておいた。枠体40の厚みは0.8mm、X方向における外径は42.0mm(うち、左右に設けた拡張部404の幅は各4.5mm)で内径は27.4mmである。枠体40のY方向における外径は27.4mmで内径は22.6mmである。この時、枠体40の内縁403と基体20の段差部203とのオフセット距離を、X方向の左右において各0.60mm、Y方向の上下において各0.60mmとした。内縁403を段差部203よりも大きくすることにより、内縁403の全周が段差部203の外方(外縁205側)に位置するようになっている。また、枠体40は基体20の外縁205に対して、X方向の左右において最小で0.50mm最大で5.0mm(拡張部404分)だけ突出しており、Y方向の上下において0.50mmだけ突出している。外縁405を外縁205よりも大きくすることにより、外縁405の全周が外縁205の外方(外縁205側)に位置するようになっている。このようにして実装部材24を得る。
次に、電子デバイス10として、いわゆるAPS−CサイズのCMOSイメージセンサーを準備した。電子デバイス10のY方向における外径は18.0mm、厚みは0.75mmである。シリコンを主たる材料とする電子デバイス10の熱膨張率は2.5ppm/Kとみなしてよい。この電子デバイス10を、黒色のダイボンディング接着剤である接着剤520を用いて、基体20のほぼ中央に熱硬化により固定した。その後、チップの周辺領域に設けられ電極3と内部端子5とを、ワイヤーボンディング装置を用いて、金ワイヤーにて電気的接続を行った。Y方向における電子デバイス10の外縁105と枠体40の内縁403との距離は、X方向においては1.5mm、Y方向においては2.3mm(DCFに相当)である。そして、電子デバイス10と段差部203との距離はX方向においては0.9mm、Y方向においては1.7mmである。内部端子5と電子デバイス10の外縁105との距離DCTは0.8mmとした。
次に、蓋体30として、α線対策された厚み0.5mmの板材を用意した。蓋体30のX方向における寸法は31.8mm、Y方向における寸法は26.3mmとし、基体20の外径寸法と略一致させた。蓋体30の一方の面に接着剤530として紫外線硬化型樹脂をディスペンサで枠状に塗布し、接着剤530を塗布した面を枠体40の接合面402側にして、蓋体30を枠体40戴置し、適当に加重した。この時、接着剤530には直径30μmの球状粒子がスペーサ530として混入されており、接着剤530の厚みは概ね30μmとなった。この時、接着剤530が蓋体30と枠体40の間からはみ出したことを確認した。そして、蓋体30を介して紫外線を照射して光硬化処理を行った。さらに後硬化として、熱硬化処理を行って接着剤530を硬化させて、接合材53を形成した。電子デバイス10の表面101と蓋体30の内面302との距離は0.75mmとなった。このようにして、厚みが2.8mmの電子部品100を得る。
次に、適当な大きさの配線部材500を用意し、配線部材500の接続端子9上にはんだペースト80を印刷塗布し、リフロー炉にてはんだペースト80を溶融して、電子部品100を配線部材500に固着した。このようにして電子モジュール600(撮像モジュール)を得る。
以上の様にして作製した電子モジュール600を、基体20、蓋体30、枠体40および配線部材500の材料を異ならせたものをそれぞれ10個ずつ32通り作製した。そして、それらの製造過程における基体20の反りの状態、電子デバイス10の反りの状態およびそれに起因する事項を評価した。
表1には、蓋体30の熱膨張率αL、枠体40の熱膨張率αF、基体20の熱膨張率αBおよび配線部材500の熱膨張率αCおよびそれらの組み合わせを異ならせた、サンプルNo.1〜32までの32通りの組み合わせについての検討結果である。
蓋体30の熱膨張率αL、枠体40の熱膨張率αF、基体20の熱膨張率αBおよび配線部材500の熱膨張率αCを記載している。蓋体30の熱膨張率αLに関して、水晶が13、種類の異なるガラスが8.5、6.6、3.3である。枠体40の熱膨張率αFに関して、SUS430が10.3、SUS304が17.3、アルミニウムが23.1、42アロイが4.3、コバールが5.2である。基体20の熱膨張率αBに関して、酸化アルミニウム(アルミナ)のセラミックが7.1、窒化アルミニウムのセラミックが4.6である。配線部材500にはリジッドプリント配線板であるガラスエポキシ基板を用いており、熱膨張率αCに関しては20であるものと15であるものを用意した。これらの熱膨張率(線膨張率)の単位はppm/K(=10−6/℃)である。
条件1の列には、蓋体30の熱膨張率αLが枠体40の熱膨張率αFよりも低いという条件1(αL<αF)を満たす場合に○を、満たさない場合に×を記している。条件2の列には、枠体40の熱膨張率αFが基体20の熱膨張率αBよりも高いという条件2(αF>αB)を満たす場合に○を、満たさない場合に×を記している。また、枠体40の熱膨張率αFと基体20の熱膨張率αBとの差(絶対値)を記している。条件3の列には、蓋体30の熱膨張率αLが基体20の熱膨張率αBより低いという条件3(αL<αB)を満たす場合に○を、満たさない場合に×を記している。条件4の列には、枠体40の熱膨張率αFが配線部材500の熱膨張率αCより低いという条件4(αF<αC)を満たす場合に○を、満たさない場合に×を記している。
段階1の列には、図5(c)で示した実装部材24を作製した段階での実装部材24の基体20の反りの状態を3次元測定器で測定し、上凸形状か下凸形状かを記している。段階2の列には、図6(g)で示した電子部品100を作製した段階での電子部品100の電子デバイス10の反りの状態を記している。段階3の列には、図7(i)で示した電子モジュール600を作製した段階での電子デバイス10の反りの状態を記している。電子デバイス10の反りの評価、電子デバイス10自体の反り量を、蓋体30の上方からレーザー変位計により測定し、電子デバイス10の平坦度を測定した。電子デバイス10の平坦度は、電子デバイス10の4コーナーと、電子デバイス10の中央部までの距離を測長し、最も大きい値から最も小さい値の差を平坦度とした。そして、平坦度が10μm以下であるものを平坦、それ以外のものを上凸形状、もしくは、下凸形状と判定した。
蓋体30が水晶(熱膨張率:13)、枠体40がSUS430(熱膨張率:10.3)、基体20が酸化アルミニウムセラミック(熱膨張率:7.1)、配線部材500がガラスエポキシ(熱膨張率:20)である、サンプルNo.11の例では、次の通りである。段階1と段階2での基体20の反りの大きさは、それぞれ40μm、50μmである。段階2と段階3での電子デバイス10の反りの大きさは、それぞれ30μm、9μmである。
評価1の列には、配線部材500と電子部品100との接続導体8(はんだ)の電気的接続のオープン/ショート電気検査の結果を示している。各組み合せについて、10サンプルずつ作製したうちの良品の数を示している。そして、良品の数が10(全数)であったものには○を、良品の数が5〜9であったものには△を、良品の数が1〜4であったものには×を付している。
評価2の列には、電子デバイス10(CMOSセンサー)のカメラへの組込み時の焦点調整の結果を示している。具体的には、作製した電子モジュール600としての撮像ユニットを、予め準備しておいてカメラに組み込んでカメラへの取付けを実施した。取付けを行う際に、CMOSセンサーに焦点が合うように、カメラのマウント面からのフランジバック距離がある値の範囲に入るように、電子デバイス10のXYθ軸を適宜調整しながら取付けを行った。電子デバイス10の撮像面の全面において焦点調整できたものを合格とし、チップの反りが大きいことに起因して焦点調整ができなかったものを不合格とする判定を行った。各組み合せについて、10サンプルずつ作製したうちの合格の数を示している。そして、合格の数が10(全数)であったものには○を、合格の数が5〜9であったものには△を、合格の数が1〜4であったものには×を付している。
表1の結果を説明する。まず、条件2を満たすサンプルNo.1〜16、29〜32については、条件1,3に関わらず段階1および段階2で下凸形状を有している。このうち、条件4を満たすサンプルNo.1〜16は段階3で平坦化されていることが明らかとなった。そして、一方、条件4を満たさないサンプルNo.29〜32は段階3で下凸形状のままであった。その結果、評価1および評価2で好ましくない評価となった。
評価2で良好な結果が得られたNo.1〜16のうち、評価1で良好な結果が得られたNo.1〜10は条件2における枠体40の熱膨張率αFと基体20の熱膨張率αBとの差(絶対値)が10.2以下である。これに対して、熱膨張率αFと基体20の熱膨張率αBとの差が10.2を上回るNo.13〜16では、No.1〜10にくらべて評価1の結果が悪化していることが理解できる。したがって、熱膨張率αFと基体20の熱膨張率αBとの差が10.2以下であることが好ましいと云える。また、条件1を満たさないNo.11,12は関係(iii) αB<αF<αL<αCに該当するものであり、関係(i)や(ii)に該当するNo.1〜10にくらべて評価1の結果がやや悪化していることが理解できる。No.11,12について、反りの状態を詳細に調べると、No.1〜10は段階1から段階2にかけて反りが縮小しているのに対し、No.11,12は段階1から段階2にかけて反りが拡大していることが分かった。このことから、条件1を満たすことが好ましいと云える。
条件2を満たさないサンプルNo.17〜28については段階1で上凸形状を有している。このうち、条件1を満たさないNo.17〜25は、いずれも評価1で良好な結果が得られた。これに対して、条件1を満たすNo.26〜28は、評価1の結果がやや低下した。これは基体20から蓋体30へ向かって熱膨張率が低下する構成であるため、上凸形状の反りの度合いが、No.17〜25に比べて大きいためであると考えてよい。また、条件3を満たないNo.17〜22は段階2で平坦であり、条件3を満たすNo.23〜25に比べて評価2の結果が良好になる傾向を示している。No.17〜28の電子モジュール600はいずれも段階3で上凸形状に反っているが、段階2で平坦であるものの方が、段階3での上凸形状の反りを小さくできるためと考えられる。
次に、条件2を満たすサンプルNo.1〜16、29〜32について、枠体40の対向する2つの長辺を10〜80μm程度の反り量を有するように予め反らせたものを用意した。そして、枠体40が基体20とは反対側へ凸形状になるように枠体40と基体20とを重ねて、接着した。その結果、いずれも段階1においては基体20が下凸形状に反っていた。しかし、枠体40の反り量は平坦な枠体40を用いた場合に比べて、小さくなっていた。同様に、条件2を満たさないサンプルNo.17〜28については、枠体40が基体20側へ凸形状になるように枠体40と基体20とを重ねて、接着した。その結果、いずれも段階1においては基体20が下凸形状に反っていた。しかし、枠体40の反り量は平坦な枠体40を用いた場合に比べて、小さくなっていた。