以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
以下添付図面を参照しつつ、実施形態に係る内視鏡について説明する。図1は、処置具起立装置の全体構成を示す図である。
〔第1実施形態〕
処置具起立装置10は、管路本体12と、管路本体12の基端側に設けられる起立操作部14と、起立機構として管路本体12の先端側に設けられた起立台16と、を備えている。
管路本体12は、処置具が挿通可能な処置具チャンネル12Aと操作ワイヤ18が挿通可能なワイヤチャンネル12Bとを備えている。
本実施形態において、管路本体12はマルチルーメンチューブで構成されることが好ましい。マルチルーメンチューブとは、1つのチューブ内に2つ以上の孔を構成する中空部を有するチューブであり、例えば、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂、又はフッ素系樹脂等で構成される。但し、これらの樹脂に限定されない。管路本体12をマルチルーメンチューブで構成することにより、管路本体12に処置具チャンネル12Aとワイヤチャンネル12Bとを形成することができる。
管路本体12を、処置具チャンネル12Aとワイヤチャンネル12Bの導出口側から視認した際、ワイヤチャンネル12Bを構成する小さなルーメンの外周と、処置具チャンネル12Aを構成する大きなルーメンの外周とが、連続する円を構成してもよい。また瓢箪形状のように、ワイヤチャンネル12Bを構成する小さなルーメンが、処置具チャンネル12Aを構成する大きなルーメンから突出する形状とすることができる。
管路本体12を、外周に密着コイルを巻回したチューブ、又はブレードチューブにより構成することが好ましい。管路本体12の耐久性を向上させることができる。密着コイルは、密着に巻いた長尺なコイルをいう。ブレードチューブは、細いステンレス鋼等の金属や合成樹脂からなる線材を編組したメッシュ状のスリーブが埋め込まれたチューブをいう。
管路本体12として、マルチルーメンチューブではなく、複数のルーメンチューブを長手方向に揃え、複数のルーメンチューブを固定する構成を適用することができる。
操作ワイヤ18はワイヤチャンネル12Bに挿通され、操作ワイヤ18の基端側が、起立操作部14に接続される。また、操作ワイヤ18の先端側が、管路本体12の先端側に取り付けられた起立台16に接続される。
起立操作部14により、操作ワイヤ18が、押し引きの操作がされる。この押し引きの操作により起立機構である起立台16を倒伏位置と起立位置との間で移動(回転)させることができる。
管路本体12には、ワイヤチャンネル12Bに連通する洗浄孔12Cが設けられていることが好ましい。洗浄孔12Cから洗浄液、又は消毒液を注入することができる。また、洗浄孔12CからEOG(Ethylene Oxide Gas)滅菌におけるガス、又はオートクレーブ滅菌における水蒸気を流入させることができる。したがって、操作ワイヤ18、及びワイヤチャンネル12Bの内部を洗浄並びに消毒、又は滅菌をすることができる。
管路本体12の処置具チャンネル12Aには、処置具(不図示)が挿通され、処置具が処置具チャンネル12Aの先端側から導出される。導出された処置具の方向は、起立機構である起立台16により変化させることができる。
管路本体12の先端側には支持体20が設けられている。起立台16は軸部22を介して回転自在に支持体20に固定されている。操作ワイヤ18の押し引きの操作により起立台16は軸部22を中心に、倒伏位置から起立位置の間を回転させて、移動させることができる。起立操作部14による操作ワイヤ18の押し引きの操作については後述する。
本実施形態の処置具起立装置10において、管路本体12の基端側であって、処置具チャンネル12Aの導入口には鉗子栓26が装着可能な鉗子口金24が備えられることが好ましい。鉗子口金24は、例えば、処置具チャンネル12Aに通じる内部管路を有する。鉗子口金24は、その一部が導入口の内部に固定される。鉗子口金24は、処置具チャンネル12Aの導入口から突出するフランジ(不図示)を備える。
処置具チャンネル12Aの導入口には、鉗子口金24を介して、鉗子栓26が取り付けられることが好ましい。鉗子栓26は、例えば、鉗子口金24の導入口から突出するフランジに固定される。
鉗子栓26により、被検体の体内から逆流する血液、体内汚物、及び体内洗浄用の生理食塩水などが処置具チャンネル12Aを介して外部に洩れ出ることを防止することができる。鉗子栓26は、被検者や術者への感染防止のために、滅菌済みとなっており使用後は使い捨てとなるディスポーザルタイプとすることが好ましい。
図2は、処置具起立装置10の先端側の拡大図である。図2に示されるように、起立台16に弾性部材として、ねじりコイルバネ28を設けることが好ましい。ねじりコイルバネ28の一方のアーム28Aが支持体20に取り付けられ、他方のアーム28Bが起立台16に取り付けられる。アーム28Bにより、起立台16は倒伏位置の方向に付勢される。
起立台16は操作ワイヤ18を牽引することにより、比較的容易に起立台16を起立位置に移動させることができる。一方、操作ワイヤ18の押し操作では、起立台16を倒伏位置に移動させることが困難な場合が考えられる。
本実施形態では、ねじりコイルバネ28が、操作ワイヤ18による起立台16の押し操作を補助する構成となる。起立台16を倒伏位置に確実に移動させることが可能となる。
次に、起立台16とは異なる起立機構について説明する。図3は、別の起立機構を備える処置具起立装置の先端側の拡大図である。図3に示されるように、本実施形態では、管路本体12の先端側をカットすることにより、起立機構として起立部30を設けている。起立部30は、管路本体12の軸線方向に平行、かつ管路本体12の軸線方向に垂直に、管路本体12をカットすることにより形成される。起立部30は、管路本体12の先端側の一部が除去された構成となる。管路本体12の残りの一部により樋形状部30Aが構成される。樋形状部30Aの基端がカットされ、樋形状部30Aの基端に切欠部30Bが形成される。操作ワイヤ18により、樋形状部30Aが倒伏位置と起立位置との間で移動される。樋形状部30Aの基端に切欠部30Bを設けているので、樋形状部30Aの移動が容易になる。樋形状とは、断面視において、円弧形状をいう。円弧は半径が一定である必要はない。
本実施形態では、樋形状部30Aの外周で、かつ樋形状部30Aの形状に合わせた金属部材32が設けられていることが好ましい。金属部材32により樋形状部30Aを補強することができる。また、金属部材32にワイヤ固定部32Aを設けることで、操作ワイヤ18を金属部材32に固定することができる。操作ワイヤ18を、押し引きの操作をすることにより、金属部材32が切欠部30Bの辺りを中心に移動し、樋形状部30Aを起立させることができる。樋形状部30Aが起立するので、処置具チャンネル12Aの先端側に導出される処置具(不図示)の導出方向を変化させることができる。
次に、上述した処置具起立装置を利用した内視鏡について説明する。図4は、内視鏡の概略構成図である。内視鏡100は、内視鏡本体102と、内視鏡本体102の挿通チャンネル104に対して挿抜される処置具起立装置10と、を備える。内視鏡本体102は、被検体の体内に挿入される挿入部106を備え、挿入部106の基端側に操作部108が連結される。操作部108にはユニバーサルコード110が接続され、内視鏡本体102はユニバーサルコード110を介して不図示の光源装置、画像処理装置及び送気送水装置に接続される。
挿入部106は、先端と基端とを有し、先端側から基端側に向かって先端部112と、湾曲部114と、軟性部116とが連結されて構成される。挿入部106の内部には、処置具起立装置10を先端部112に導く挿通チャンネル104と、光源装置から供給される照明光を先端部112に導くライトガイド(不図示)と、送気送水装置から供給されるエアと水を先端部112に導く送気送水チューブ(不図示)と、先端部112に配置された撮像部(不図示)からの信号を伝送する信号ケーブル(不図示)とが挿通されている。
操作部108には、湾曲部114を湾曲操作する2つのアングルノブ118と、先端部112に設けられた送気送水ノズル120からエアと水を噴出させるための送気送水ボタン122と、先端部112から血液等の体液を吸引させるための吸引ボタン124と、が所定の位置に設けられている。吸引ボタン124を利用した吸引機構については後述する。
湾曲部114は、複数のアングルリング(不図示)が相互に回転可能に連結されてなる構造体を有する。湾曲部114は、この構造体の外周に金属線で編んだ筒状の網体が被覆され、この網体の外周面にゴム製の外皮を被覆することによって構成される。また、操作部108の2つのアングルノブ118から湾曲部114にかけて、複数本のワイヤ(不図示)が配設されている。これらワイヤの先端が湾曲部114を構成するアングルリングの先端部に固定されている。これにより、2つのアングルノブ118の回転操作により、これらのワイヤを、押し引きの操作をすることにより湾曲部114が上下左右に湾曲される。
軟性部116は、弾性を有する薄い金属製の帯状板を螺旋状に巻回してなる螺旋管を有する。軟性部116は、この螺旋管の外側に被覆された金属線で編んだ筒状の網体と、この網体の外周面に被覆された樹脂からなる外皮とを有している。
また、操作部108には、処置具起立装置10を導入する導入口126が設けられている。導入口126から導入された処置具起立装置10は、挿入部106に挿通された挿通チャンネル104を介して、先端部112の先から外部に導出される。
処置具起立装置10の起立操作部14は、導入口126に設けられた取付部128に固定されることが好ましい。起立操作部14が固定されるので、起立操作部14に対して操作が容易となる。
先端部112には、先端部本体130が設けられる。先端部本体130には、照明窓132と観察窓134とが隣接して配設される。先端部本体130には、観察窓134に向けられた送気送水ノズル120が設けられる。本実施形態の内視鏡100は、いわゆる斜視型の内視鏡として構成される。斜視型の内視鏡は、挿入部106の軸線方向に対して斜めの光軸を有する光学系(照明窓132及び観察窓134)を備える。なお、内視鏡100は直視型の内視鏡で構成されてもよい。
送気送水ノズル120は、挿入部106に挿通された送気送水チューブ(不図示)を介して送気送水装置に接続される。図4に示した操作部108の送気送水ボタン122を操作することによって、圧縮エア又は水が送気送水ノズル120から観察窓134に向けて噴射され、観察窓134が洗浄される。
先端部本体130の内部には、不図示の照明部及び撮影部が収容される。照明部は、照明窓132の内側に設置された照明レンズと、この照明レンズに先端が臨むように配置されたライトガイドとを備えている。ライトガイドは、内視鏡本体102の挿入部106に挿通され、その基端が光源装置に接続される。これにより、光源装置からの照射光がライトガイドを介して伝達され、照明窓132から外部に照射される。
撮影部は、観察窓134の内側に配設された撮影光学系と、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(charge coupled device)型の撮像素子とを備えている。撮像素子は、挿入部106及びユニバーサルコード110に挿通された信号ケーブルを介して前述の画像処理装置に接続される。撮影部によって得られた被写体像の撮像信号は、信号ケーブルを介して前述の画像処理装置に出力されて画像処理された後、画像処理装置に接続されたモニタに被写体像として表示される。
内視鏡100を使用する場合、内視鏡本体102と処置具起立装置10とを準備する。内視鏡本体102の導入口126から処置具起立装置10を導入する。処置具起立装置10の起立台16及び管路本体12を挿通チャンネル104に挿通させる。処置具起立装置10の起立台16と管路本体12の一部とが、内視鏡本体102の挿通チャンネル104の先端側から導出される。
なお、内視鏡本体102の導入口126に鉗子栓(不図示)を装着することができる。鉗子栓により、被検体の体内から逆流する血液、体内汚物、及び体内洗浄用の生理食塩水などが挿通チャンネル104を介して外部に洩れ出ることを防止することができる。
処置具140が鉗子栓26から挿入される。挿入された処置具140は、処置具起立装置10の管路本体12の処置具チャンネル12Aに挿通される。処置具140の先端が、管路本体12の処置具チャンネル12Aの先端側から導出される。
処置具起立装置10の起立操作部14により操作ワイヤ18を押し引きの操作をすることで、軸部22を中心に起立台16を倒伏位置と起立位置との間で回転させ、移動させる。起立台16の姿勢を変更するにより、処置具チャンネル12Aから導出された処置具140の導出方向が被検体内において変更される。
内視鏡100による検査や処置を終えると、内視鏡100が洗浄される。内視鏡100を洗浄する際、処置具140が処置具起立装置10の処置具チャンネル12Aから引き抜かれる。処置具起立装置10が、内視鏡本体102から引き抜かれる。構造が複雑な起立台16、及び洗浄が容易でない操作ワイヤ18を含む処置具起立装置10が一体として、引き抜かれる。処置具起立装置10を内視鏡本体102から取り外すことにより、起立台16及び操作ワイヤ18を徹底的に洗浄、及び消毒をすることができる。起立台16の周辺が開放されているため、起立台16の構造上の小さな隙間部も確実に洗浄することができる。また、管路本体12に、ワイヤチャンネル12Bに連通する洗浄孔12Cが設けられている場合、上述したように、操作ワイヤ18及びワイヤチャンネル12Bに対して、洗浄、消毒、EOG滅菌、又はオートクレーブ滅菌等を行うことができる。
起立台、操作ワイヤ等が内視鏡本体に組み込まれている場合、他の構成との配置関係でブラシが入りづらく、構造上の隙間部を十分に洗浄できない懸念がある。起立台と操作ワイヤを滅菌するために、オートクレーブに入れると内視鏡本体が破壊される懸念がある。本実施形態の処置具起立装置10ではこれらの懸念が解消される。
なお、図4の内視鏡100において、先端部112に設けられた先端部本体130に、後述する先端キャップ136を取り付けることもできる。
以下、本実施形態の処置具起立装置10、及び内視鏡100に関して、好ましい態様について説明する。
図5は、挿入部の先端部の構成を示す組立斜視図である。図5に示される内視鏡はいわゆる側視型の内視鏡として構成される。側視型の内視鏡は、挿入部106の先端部112の側面に、挿入部106の軸線方向に対して略直交する光軸を有する光学系(照明窓132及び観察窓134)を備える。図5に示されるように、起立台16を含む処置具起立装置10が、内視鏡本体102の挿通チャンネル104に挿通される。挿通チャンネル104から導出された処置具起立装置10は、先端部本体130の導出口130Aから導出される。先端部本体130には、先端キャップ136が取り付けられる。
本実施形態の内視鏡においては、上述したように、内視鏡本体102に処置具起立装置10が挿通されている。検査、及び処置中において処置具起立装置10の起立台16を操作した際に、内視鏡本体102の先端部112で、処置具起立装置10の管路本体12が挿通チャンネル104内で意図しない方向に回転することは好ましくない。管路本体12が回転すると、起立台16の位置が変わり、処置具(不図示)の導出方向が変化する場合がある。
本実施形態では、図5に示されるように、管路本体12が先端部112で回転することを防止するため、導出口130Aに設けられた切欠部を第1係合部130Bとし、管路本体12のワイヤチャンネル12Bを構成するルーメンの外周を第2係合部12Dとし、先端部本体130に処置具起立装置10の管路本体12を挿通した際、第1係合部130Bと第2係合部12Dとが係合するよう構成されている。第1係合部130Bと第2係合部12Dとを係合することにより、先端部112において管路本体12が回転することを規制することができる。
管路本体12の回転が先端部本体130により規制される限りにおいて、第1係合部130Bと第2係合部12Dの構成はこれに限定されない。また、本実施形態では、先端部本体130に第1係合部130Bを設ける場合を示したが、先端キャップ136に第1係合部を設けることもできる。
次に、図6から図8に示される実施形態では、図5の実施形態とは異なり、内視鏡本体の先端部において、処置具起立装置の管路本体の回転を許容し、かつ管路本体の位置を固定する構成とすることもできる。管路本体の回転と固定とを制御しながら切り換えることにより、起立台の位置を変更でき、処置具の導出方向の自由度を高めることができる。
図6は、管路本体の回転と固定とを切り換える切換機構の構成の概略図である。図6に示されるように、処置具起立装置10における管路本体12の基端側には、起立操作部14と、鉗子栓26とが設けられている。本実施形態においては、管路本体12の基端側で起立操作部14より先端側にテーパー部38が設けられている。テーパー部38は先端側に向けた先細りの形状を有している。内視鏡本体102(不図示)の操作部108(不図示)の導入口126には、テーパー部38を受け入れる凹部128Aを備える取付部128が設けられている。凹部128Aは、開口径が先端側に向けて先細りとなる形状を有し、テーパー部38が嵌め込めるよう構成されている。
テーパー部38は管路本体12に固定されている。例えば、テーパー部38を回転させることにより、管路本体12を回転させることが可能となる。管路本体12の位置が決定されると、処置具起立装置10が内視鏡本体102(不図示)の導入口126の側に押し込まれる。テーパー部38と凹部128Aとが係合し、テーパー部38と凹部128Aとの摩擦力により管路本体12が回転することを抑制することができる。本実施形態では、テーパー部38と取付部128の凹部128Aとが切換機構を構成する。
図7は、別の切換機構の構成の概略図である。図6と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。図7の実施形態では、図6に示されるテーパー部38に代えて、Oリング40が、管路本体12の基端側で起立操作部14より先端側に設けられている。操作部108(不図示)の導入口126には、Oリング40を受け入れる凹部128Aを備える取付部128が設けられている。
Oリング40は、管路本体12に固定されている。例えば、Oリング40を回転させることにより、管路本体12を回転させることが可能となる。管路本体12の位置が決定されると、処置具起立装置10が内視鏡本体102(不図示)の導入口126の側に押し込まれる。Oリング40と凹部128Aとが係合し、Oリング40と凹部128Aとの摩擦力により管路本体12が回転することを抑制することができる。本実施形態では、Oリング40と取付部128の凹部128Aとが切換機構を構成する。
図8は、別の切換機構の構成の概略図である。図6、図7と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。図8の実施形態では、図6に示されるテーパー部38に代えて、フランジ42とスプライン44とが起立操作部14から先端側に向けてこの順で設けられている。スプライン44には、その外周に沿って、凹凸が形成されている。操作部108(不図示)の導入口126には、スプライン44の凹凸を受け入れる凹部128Aを備える取付部128が設けられている。
フランジ42とスプライン44とが、管路本体12に固定されている。例えば、フランジ42を回転させることにより、管路本体12を回転させることが可能となる。管路本体12の位置が決定されると、処置具起立装置10が内視鏡本体102(不図示)の導入口126の側に押し込まれる。スプライン44と凹部128Aとが係合し、さらにフランジ42が取付部128の上部と当接することにより、管路本体12が回転することを抑制することができる。本実施形態では、フランジ42と、スプライン44と、取付部128の凹部128Aとが切換機構を構成する。
次に、操作ワイヤの押し引きの操作を実行する好ましい構成について図9から図14に基づいて説明する。図9は処置具起立装置の起立操作部の概略を示す構成図である。図9に示されるように、起立操作部14は、回転操作部50と、回転操作部50の内部に収容される可動リング52と、を備える。回転操作部50には、その内周に、回転操作部50の軸線方向に対して傾けられたカム溝50Aが設けられている。カム溝50Aの深さは回転操作部50を貫通しない程度の深さに設定される。可動リング52には、外周に向けて突出するピン52Aが設けられている。可動リング52にはワイヤ固定部52Bが設けられている。ワイヤ固定部52Bと操作ワイヤ18とが固定される。可動リング52のピン52Aは、回転操作部50のカム溝50Aに摺動可能に係合される。
操作ワイヤ18の押し引きの操作について説明する。右手により、回転操作部50を回転させることにより、カム溝50Aに従動して、可動リング52のピン52Aが摺動して移動する。その結果、可動リング52を、可動リング52の軸線方向に沿って往復直線運動させることができる。可動リング52には操作ワイヤ18が固定されているので、操作ワイヤ18に対して押し引きの操作をすることができる。操作ワイヤ18を、押し引きの操作をすることにより、起立台16(不図示)を倒伏位置と起立位置との間で移動させることができる。
また、可動リング52の回転を抑制するため、可動リング52にキー(不図示)を設け、固定部材(不図示)に係合させることが好ましい。可動リング52を確実に直線運動に変換することができる。
本実施形態では、カム溝50Aとピン52Aとがカム機構を構成する。
図10は起立操作部の概略を示す構成図であり、図11は起立操作部の分解図である。図10に示されるように、操作部108の導入口126に、リング60と、レバー62と、軸部64とが取り付けられている。リング60は導入口126の外周に沿う形状を有し、導入口126に固定される。軸部64は、レバー62をリング60に、回転自在に固定する。リング60と、レバー62と、軸部64とが起立操作部14を構成する。
レバー62は第1部分62Aと第2部分62Bと開口62Cとを有し、第1部分62Aと第2部分62Bとが略L字形状を構成する。レバー62は、L字形状の角部においてリング60に軸部64を介して回転自在に固定される。
レバー62の第2部分62Bの先端に操作ワイヤ18が固定される。レバー62は、第1部分62Aが基端側を向く位置で、リング60に固定される。
操作ワイヤ18の押し引きの操作について説明する。レバー62の第1部分62Aを、例えば、左手の第2指及び第3指で握ると、軸部64を中心に、第1部分62Aが操作部108に近づく。一方、第2部分62Bは操作部108から遠ざかる。その結果、第2部分62Bに固定された操作ワイヤ18を牽引することができる。操作ワイヤ18を牽引することにより、起立台16(不図示)を起立位置の方向に移動することができる。
レバー62の握りを弛めると、レバー62は元の状態に復帰するので、操作ワイヤ18が押し込まれ、起立台16(不図示)を倒伏位置の方向に移動することができる。本実施形態においては、図2に示されるように、ねじりコイルバネ28により起立台16を倒伏位置の方向に付勢することが好ましい。また、処置具は開口62Cを介して処置具チャンネル12A(不図示)に挿入される。
図12は起立操作部の概略を示す構成図であり、図13は起立操作部の分解図である。図12に示されるように、操作部108に、リング70と、レバー72と、軸部74とが取り付けられている。リング70は、操作部108の外周に沿う形状を有し、操作部108に固定される。軸部74は、レバー72をリング70に、回転自在に固定する。リング70と、レバー72と、軸部74とが起立操作部14を構成する。
レバー72は第1部分72Aと第2部分72Bとを有し、第1部分72Aと第2部分72Bとが略L字形状を構成する。レバー72はL字形状の角部においてリング70に軸部64を介して回転自在に固定される。
レバー72の第2部分72Bの先端に操作ワイヤ18が固定される。レバー72は、第1部分72Aが先端側を向く位置に、かつ導入口126とは反対側の位置で、操作部108に固定される。
操作ワイヤ18の押し引きの操作について説明する。レバー72の第1部分72Aを、例えば、左手の第1指で握ると、軸部74を中心に、第1部分72Aが操作部108に近づく。一方、第2部分72Bは操作部108から遠ざかる。その結果、第2部分72Bに固定された操作ワイヤ18を牽引することができる。操作ワイヤ18を牽引することにより、起立台16(不図示)を起立位置の方向に移動することができる。
レバー72の握りを弛めると、レバー72は元の状態に復帰するので、操作ワイヤ18が押し込まれ、起立台16(不図示)を倒伏位置の方向に移動することができる。本実施形態においては、図2に示されるように、ねじりコイルバネ28により起立台16を倒伏位置の方向に付勢することが好ましい。
図14は起立操作部の概略を示す構成図である。図14に示されるように、管路本体12の基端側に、管路本体12に対してスライド可能な円筒部材80が取り付けられる。円筒部材80の基端側には、円筒部材80の外周から突出する2つの指掛け部80Aが設けられている。2つの指掛け部80Aは対象の位置に設けられる。操作ワイヤ18を固定するワイヤ固定部80Bが、円筒部材80の外周、かつ円筒部材80の先端側に設けられる。また、円筒部材80の外周に、外側に延びる突起80Cが設けられる。例えば、突起80Cは円筒部材80の基端側と先端側との間の位置に設けられる。
内視鏡本体の操作部の導入口126に、リング部材138が取り付けられる。リング部材138の内周には、導入口126の軸線方向に沿って延びる溝138Aが設けられる。溝138Aはリング部材138の軸線方向に亘って形成される。円筒部材80の突起80Cは溝138Aを軸線方向にスライドすることができる。リング部材138には凹部138Bが設けられる。凹部138Bは、溝138Aと異なり、リング部材138の軸線方向に亘っては形成されていない。凹部138Bは、溝138Aと比較して、長さが短く、底面138Cを有している。
リング部材138には、円筒部材80のワイヤ固定部80Bを収容することができる切欠部138Dが設けられる。
操作ワイヤ18の押し引きの操作について説明する。円筒部材80の指掛け部80Aに、例えば、第2指及び第3指を掛けて、円筒部材80を引っ張る。円筒部材80は、突起80Cが溝138Aに案内されながら、管路本体12に沿って先端側へ移動する。円筒部材80には操作ワイヤ18は固定され、かつ円筒部材80は管路本体12に対してスライドするので、操作ワイヤ18のみを牽引することができる。操作ワイヤ18を牽引することにより、起立台16(不図示)を起立位置の方向に移動することができる。
円筒部材80の位置を固定する場合について説明する。円筒部材80の突起80Cがリング部材138の上面138Eから飛び出る位置まで、円筒部材80を移動し、次いで、円筒部材80を回転し、突起80Cを凹部138Bに嵌める。凹部138Bには底面138Cが設けられているので、突起80Cの移動が規制され、突起80Cの位置を固定することができる。つまり、円筒部材80の位置を固定することができ、結果として起立台16の姿勢を固定することができ、操作ワイヤ18をロックする必要がある場合等に有効である。
なお、リング部材138に設けられた切欠部138Dにより、円筒部材80を回転させた際の、ワイヤ固定部80Bの移動を許容することができる。
円筒部材80を手で押し込むことにより、円筒部材80を元に位置に戻すことができる。この操作により、操作ワイヤ18が押し込まれるので、起立台16(不図示)を倒伏位置の方向に移動することができる。本実施形態においては、図2に示されるように、ねじりコイルバネ28により起立台16を倒伏位置の方向に付勢することが好ましい。上記実施形態において、図4に示されるように、鉗子栓26を導入口126に装着することができる。
次に、本実施形態の処置具起立装置を内視鏡本体に挿通した内視鏡における、好ましい吸引機構について、図15から図19に基づいて説明する。
図15は内視鏡の吸引機構の構成を示す概略図である。図15に示されるように、内視鏡本体102に処置具起立装置10が挿通されている。処置具起立装置10の管路本体12の起立操作部14の側に、分岐管路90が設けられる。分岐管路90は、管路本体12の処置具チャンネル12A(不図示)から分岐されている。したがって、分岐管路90と処置具チャンネル12Aとは連通する。分岐管路90の他方端は切換弁150に接続される。切換弁150は、内視鏡本体102に設けられた吸引ボタン124の上に設けられる。吸引ボタン124は切換弁150の台座として機能する。また、切換弁150は吸引ボタン124が装着されるシリンダ(不図示)に直接装着されてもよい。
切換弁150には、不図示の吸引装置に接続される吸引管路92が接続される。切換弁150を操作することにより、分岐管路90と吸引装置に接続された吸引管路92との開閉状態を切り替えることができる。
検査、及び処置の間において吸引装置は常時駆動されている。しかしながら、切換弁150を操作しない限り、切換弁150は分岐管路90と吸引管路92とを閉状態に維持する。したがって、吸引装置が発生する負圧が分岐管路90に対して遮断され、処置具チャンネル12Aを介して血液等の体液が吸引装置に吸引されない。なお、切換弁150が閉状態の場合、吸引管路92は外部大気に連通される。
切換弁150を操作すると、切換弁150は分岐管路90と吸引管路92とを開状態にし、吸引装置が発生する負圧により、処置具起立装置10の処置具チャンネル12Aを介して血液等の体液が分岐管路90から吸引装置に吸引される。
図16は、別の内視鏡の吸引機構の構成を示す概略図であり、図17は内視鏡本体の内部の概略構成図である。図15と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。図16の実施形態では、図15の実施形態と異なり、分岐管路90が切換弁150を介して内視鏡本体102に挿通されている。図17に示されるように、分岐管路90は、切換弁150を介して内視鏡本体102の内部に設けられる吸引管路92(吸引チャンネルともいう)に接続される。吸引管路92は吸引装置(不図示)に接続される。
内視鏡本体102に設けられた切換弁150を操作することにより、分岐管路90と吸引装置に接続された吸引管路92との開閉状態を切り替えることができる。
図15の実施形態と同様、切換弁150を操作しない場合、吸引管路92は外部大気に連通される。切換弁150を操作した場合、分岐管路90と吸引管路92とは開状態となり、吸引装置が発生する負圧により、処置具起立装置10の処置具チャンネル12A(不図示)を介して血液等の体液が分岐管路90から吸引装置に吸引される。
図18は、別の内視鏡の吸引機構の構成を示す概略図であり、図19は内視鏡本体の内部の概略構成図である。図15と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。図18の実施形態では、図15の実施形態と異なり、分岐管路90が内視鏡本体102に挿通される。図18、及び図19に示されるように、内視鏡本体102には、吸引用の口金94と、コネクタ95とが設けられる。図19に示されるように、口金94と吸引ボタン124との間を連通する連通管路96が設けられる。分岐管路90は、コネクタ95と、口金94と、連通管路96と、吸引ボタン124とを介して、内視鏡本体102の内部に設けられる吸引管路92(吸引チャンネルともいう)に接続される。吸引管路92は吸引装置(不図示)に接続される。
内視鏡本体102に設けられた吸引ボタン124を操作することにより、分岐管路90と吸引装置に接続された吸引管路92との開閉状態を切り替えることができる。本実施形態では、吸引ボタン124が切換弁として機能する。
図15の実施形態と同様、吸引ボタン124を操作しない場合、吸引管路92は外部大気に連通される。吸引ボタン124を操作した場合、分岐管路90と吸引管路92とは開状態となり、吸引装置が発生する負圧により、処置具起立装置10の処置具チャンネル12A(不図示)を介して血液等の体液が分岐管路90から吸引装置に吸引される。
〔第2実施形態〕
第1実施形態とは別の処置具起立装置を適用する内視鏡について説明する。第1実施形態と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。図20は、内視鏡の概略構成図である。内視鏡100は、内視鏡本体102と、内視鏡本体102の外周に固定される処置具起立装置10と、を備える。
第2実施形態の処置具起立装置は、第1実施形態の処置具起立装置とは異なり、内視鏡本体102の外周に固定される。
本実施形態の内視鏡本体102は、被検体の体内に挿入される挿入部106を備え、挿入部106の基端側に操作部108が連結される。操作部108にはユニバーサルコード110が接続され、内視鏡本体102はユニバーサルコード110を介して不図示の光源装置、画像処理装置及び送気送水装置に接続される。
挿入部106は、先端と基端とを有し、先端側から基端側に向かって先端部112と、湾曲部114と、軟性部116とが連結されて構成される。挿入部106の内部には、処置具を先端部112に導く挿通チャンネル104と、光源装置から供給される照明光を先端部112に導くライトガイド(不図示)と、送気送水装置から供給されるエアと水を先端部112に導く送気送水チューブ(不図示)と、先端部112に配置された撮像部(不図示)からの信号を伝送する信号ケーブル(不図示)とが挿通されている。図20に示される内視鏡はいわゆる側視型の内視鏡として構成される。但し、側視型の内視鏡に限定されず、斜視型の内視鏡にも適用できる。
操作部108には、湾曲部114を湾曲操作する2つのアングルノブ118と、先端部112に設けられた送気送水ノズル120からエアと水を噴出させるための送気送水ボタン122と、先端部112に設けられた吸引口(不図示)から血液等の体液を吸引させるための吸引ボタン124と、が所定の位置に設けられている。
湾曲部114は、複数のアングルリング(不図示)が相互に回転可能に連結されてなる構造体を有する。湾曲部114は、この構造体の外周に金属線で編んだ筒状の網体が被覆され、この網体の外周面にゴム製の外皮を被覆することによって構成される。また、操作部108の2つのアングルノブ118から湾曲部114にかけて、複数本のワイヤ(不図示)が配設されている。これらワイヤの先端が湾曲部114を構成するアングルリングの先端部に固定されている。これにより、2つのアングルノブ118の回転操作により、これらのワイヤを、押し引きの操作をすることにより湾曲部114が上下左右に湾曲される。
軟性部116は、弾性を有する薄い金属製の帯状板を螺旋状に巻回してなる螺旋管を有する。軟性部116は、この螺旋管の外側に、被覆された金属線で編んだ筒状の網体と、この網体の外周面に被覆された樹脂からなる外皮とを有している。操作部108には、処置具を導入する導入口126が設けられる。
本実施形態の処置具起立装置10は、先端側に、内視鏡本体102の先端部112の先端部本体130に装着される装着部材(不図示)を備えた先端キャップ136を備える。起立台16が装着部材に回転自在に取り付けられる。処置具起立装置10は、基端側に起立操作部14を備える。処置具起立装置10の起立操作部14は、内視鏡本体102の導入口126に設けられた取付部128に固定されることが好ましい。起立操作部14が固定されるので、起立操作部14に対して操作が容易となる。
処置具起立装置10は、起立台16に先端側が接続され、起立操作部14に基端側が接続される操作ワイヤ18を備える。さらに、操作ワイヤ18が挿通される保護管46を備える。保護管46はコイル等で構成される。
起立操作部14から露出し、操作ワイヤ18を挿通した保護管46が、内視鏡本体102の外周に沿って、操作部108から挿入部106の先端部112まで案内される。保護管46は、例えば、サージカルテープ48により、内視鏡本体102に固定される。
処置具起立装置10の起立操作部14により、操作ワイヤ18を、押し引きの操作をすることにより起立台16を倒伏位置と起立位置との間で移動させることができる。
処置具起立装置10の起立操作部14は導入口を有し、導入口には、口金(不図示)を介して、鉗子栓26が取り付けられる。
内視鏡100を使用する場合、内視鏡本体102と処置具起立装置10とを準備する。内視鏡本体102の導入口126に処置具起立装置10が取り付けられる。処置具起立装置10の起立台16を支持する支持部材及び先端部本体に装着するための装着部材を備えた先端キャップ136が、内視鏡本体102の先端部本体130に固定される。
処置具140が鉗子栓26から挿入される。挿入された処置具140は、内視鏡本体102の挿通チャンネル104に挿通される。処置具140は挿通チャンネル104の先端側から導出される。処置具起立装置10の起立操作部14により、操作ワイヤ18を、押し引きの操作をすることで、起立台16を倒伏位置と起立位置との間で回転させ、移動させる。起立台16の姿勢を変更するにより、挿通チャンネル104から導出された処置具140の導出方向が被検体内において変更される。
本実施形態においては、先端キャップ136に開口が設けられている。保護管46により先端部112まで案内された操作ワイヤ18は、開口を介して起立台16と接続される。但し、操作ワイヤ18と起立台16とを接続できる限りにおいて、構造は、特に限定されない。
検査、及び処置の間において、内視鏡本体102の吸引ボタン124を操作することにより、挿通チャンネル104の先端側から血液等の体液を吸引させることができる。
内視鏡100による検査や処置を終えると、内視鏡100が洗浄される。内視鏡100を洗浄する際、処置具140が挿入部106の挿通チャンネル104から引き抜かれる、サージカルテープ48を取り外すことにより、保護管46は挿入部106との固定が解除される。さらに、先端部本体130から先端キャップ136を取り外すことによって処置具起立装置10が、内視鏡本体102から取り外される。構造が複雑な起立台16、及び洗浄が容易でない操作ワイヤ18を含む処置具起立装置10が一体として、内視鏡本体102から取り外される。処置具起立装置10を内視鏡本体から取り外すことにより、起立台16及び操作ワイヤ18を徹底的に洗浄、及び消毒をすることができる。起立台16の周辺が開放されているため、起立台16の構造上の小さな隙間部も確実に洗浄することができる。
保護管46内に挿通される操作ワイヤ18に対して、洗浄液による洗浄、消毒液による毒、EOG滅菌、又はオートクレーブ滅菌等を行うことができる。
起立台、操作ワイヤ等が内視鏡本体に組み込まれている場合、他の構成との配置関係でブラシが入りづらく、構造上の隙間部を十分に洗浄できない懸念がある。起立台と操作ワイヤを滅菌するために、オートクレーブに入れると内視鏡本体が破壊される懸念がある。本実施形態の処置具起立装置10ではこれらの懸念が解消される。
なお、第1実施形態で説明した図9から図14に示される起立操作部の構成を適用することができる。