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JP6635086B2 - 溶融金属めっき鋼帯の製造方法 - Google Patents

溶融金属めっき鋼帯の製造方法 Download PDF

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JP6635086B2 JP2017075451A JP2017075451A JP6635086B2 JP 6635086 B2 JP6635086 B2 JP 6635086B2 JP 2017075451 A JP2017075451 A JP 2017075451A JP 2017075451 A JP2017075451 A JP 2017075451A JP 6635086 B2 JP6635086 B2 JP 6635086B2
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Description

本発明は、溶融金属めっき鋼帯の製造方法に関し、特に、鋼帯表面の溶融金属の付着量(以下、「めっき付着量」ともいう。)を調整するガスワイピングに関するものである。
連続溶融金属めっきラインでは、図1に示すように、還元雰囲気の連続焼鈍炉で焼鈍された鋼帯Sは、スナウト10内を通過して、めっき槽12内の溶融金属浴14中に連続的に導入される。その後鋼帯Sは、溶融金属浴14中のシンクロール16、サポートロール18を介して溶融金属浴14の上方に引き上げられ、ガスワイピングノズル20A,20Bで所定のめっき厚みに調整された後に、冷却されて後工程に導かれる。ガスワイピングノズル20A,20Bは、めっき槽12上方に、鋼帯Sを挟んで対向して配置され、その噴射口から鋼帯Sの両面に向けてガスを吹き付ける。このガスワイピングにより、余剰な溶融金属が掻き取られて、鋼帯表面のめっき付着量が調整されるとともに、鋼帯表面に付着した溶融金属が板幅方向及び板長手方向で均一化される。ガスワイピングノズル20A,20Bは、多様な鋼帯幅に対応するとともに、鋼帯引き上げ時の幅方向の位置ズレなどに対応するため、通常、鋼帯幅より幅広く構成され、鋼帯の幅方向端部より外側まで延びている。
このようなガスワイピング方式では、(1)ワイピングガスの衝突圧力の振動、(2)溶融金属の酸化/冷却による粘度ムラ、の一方又は両方に起因して、製造された溶融金属めっき鋼帯のめっき表面に波形流紋状の湯ジワ(湯ダレ)が発生しやすい。このような湯ジワが生じためっき鋼板は、外装板の用途において、そのめっき表面を塗装下地表面とした場合に、塗膜の表面性状、特に平滑性を阻害する。そのため、湯ジワが生じためっき鋼板は、外観の優れた塗装処理が求められる外装板に用いることができず、めっき鋼板の歩留まりに大きな影響を及ぼす。
湯ジワというめっき表面欠陥を抑制する方法としては、以下の方法が知られている。特許文献1には、めっき後の工程である調質圧延に際して、調質圧延ロールの表面性状や圧延条件を変えることで、湯ジワを目立たなくする方法が記載されている。特許文献2には、鋼板を溶融亜鉛めっき浴中に導入する前に、スキンパスミル及びテンションレベラー等を用いて鋼板表面の粗さをめっき付着量に応じて調整して、湯ジワの発生を抑制する方法が記載されている。
特開2004−27263号公報 特開昭55−21564号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところによれば、特許文献1に示された方法では、軽微な湯ジワは改善されるが、重度の湯ジワに対しては効果が見られなかった。また、特許文献2に示された方法では、溶融亜鉛めっき浴の前工程にスキンパスミル、テンションレベラー等を設置する必要性からコスト的な問題がある。また、これらを設置した場合も、前処理設備及び焼鈍炉での酸洗及び再結晶化に伴う亜鉛めっき被膜の化学的・物理的変化によって、理想とする表面粗度が得られにくく、湯ジワ発生を十分に抑制することが困難であると考えられる。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、湯ジワの発生を十分に抑え、高品質の溶融金属めっき鋼帯を低コストで製造可能な溶融金属めっき鋼帯の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するべく本発明者らが鋭意検討したところ、ガスワイピングノズルのヘッダ圧力とガス衝突圧変動量との間に正の線形相関があること、すなわち、ヘッダ圧力を制御することによってガスの衝突圧変動量を制御できることを初めて見出した。そして、ガスの衝突圧変動量を、鋼帯の走行速度及び目標のめっき厚さを考慮して、所定の値に設定することによって、湯ジワの発生を十分に抑えることができるとの知見を得た。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]溶融金属浴に連続的に鋼帯を浸漬し、
前記溶融金属浴から引き上げられる鋼帯に、該鋼帯を挟んで配置される一対のガスワイピングノズルからガスを吹き付けて、該鋼帯の両面の溶融金属の付着量を調整して、
連続的に溶融金属めっき鋼帯を製造する溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、
前記ガスの衝突圧変動量σを、前記鋼帯の走行速度L及び目標のめっき厚さWに応じて、以下の式(1)を満足するように制御することを特徴とする、溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
Figure 0006635086
σ:ガスの衝突圧変動量[Pa]
L:鋼帯の走行速度[m/min]
W:目標のめっき厚さ[μm]
α,β:定数
[2]前記ガスワイピングノズルのヘッダ圧力P[kPa]と、前記ガスの衝突圧変動量σとの関係を予め求め、
前記ガスの衝突圧変動量σが式(1)を満足するように前記ヘッダ圧力Pを設定する、上記[1]に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
[3]前記ガスワイピングノズルの先端の高さを、前記溶融金属浴の表面から250mm以下とする、上記[1]又は[2]に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
[4]前記鋼帯の幅方向端部近傍の鋼帯延長面上に、前記一対のガスワイピングノズルから噴射されたガス同士の衝突を回避するバッフルプレートを設置する、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
[5]前記溶融金属の成分は、Al:1.0〜10質量%、Mg:0.2〜1質量%、Ni:0〜0.1質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
本発明の溶融金属めっき鋼帯の製造方法によれば、湯ジワの発生を十分に抑え、高品質の溶融金属めっき鋼帯を低コストで製造できる。
連続溶融金属めっき設備の構成を示す模式図である。 図1に示す連続溶融金属めっき設備における、ガスワイピングノズル20Aの先端部の周辺の拡大図である。 本実施形態で用いる連続溶融金属めっき設備における、鋼帯Sの幅方向端部近傍の構成を示す斜視図である。 一実験例における、ヘッダ圧力Pとガスの衝突圧変動量σとの関係を示すグラフである。
図1を参照して、本発明の一実施形態による溶融金属めっき鋼帯の製造方法で使用可能な連続溶融金属めっき設備100(以下、単に「めっき設備」とも称する。)を説明する。
図1を参照して、本実施形態のめっき設備100は、スナウト10と、溶融金属を収容するめっき槽12と、シンクロール16と、サポートロール18とを有する。スナウト10は、鋼帯Sが通過する空間を区画する、鋼帯進行方向に垂直な断面が矩形状の部材であり、その先端は、めっき槽12に形成される溶融金属浴14に浸漬されている。一実施形態において、還元雰囲気の連続焼鈍炉で焼鈍された鋼帯Sは、スナウト10内を通過して、めっき槽12内の溶融金属浴14中に連続的に導入される。その後鋼帯Sは、溶融金属浴14中のシンクロール16、サポートロール18を介して溶融金属浴14の上方に引き上げられ、一対のガスワイピングノズル20A,20Bで所定のめっき厚みに調整された後に、冷却されて後工程に導かれる。
一対のガスワイピングノズル20A,20B(以下、単に「ノズル」ともいう。)は、めっき槽12上方に、鋼帯Sを挟んで対向して配置される。図1に加えて図2も参照して、ノズル20Aは、その先端で鋼帯の板幅方向に延在する噴射口26(ノズルスリット)から鋼帯Sに向けてガスを吹き付け、鋼帯の表面のめっき付着量を調整する。他方のノズル20Bも同様であり、これら一対のノズル20A,20Bによって、余剰な溶融金属が掻き取られて、鋼帯Sの両面のめっき付着量が調整され、かつ、板幅方向及び板長手方向で均一化される。
ノズル20A,20Bは、多様な鋼帯幅に対応するとともに、鋼帯引き上げ時の幅方向の位置ズレなどに対応するため、通常、鋼帯幅より長く構成され、鋼帯の幅方向端部より外側まで延びている。また、図2に示すように、ノズル20Aは、ノズルヘッダ22と、このノズルヘッダ22に連結された上ノズル部材24A及び下ノズル部材24Bとを有する。上下ノズル部材24A,24Bの先端部分は、鋼帯Sに垂直な断面視で互いに平行に対向する面を有し、これによりガスの噴射口26(ノズルスリット)を形成している。噴射口26は、鋼帯Sの板幅方向に延在している。ノズル20Aの縦断面形状は、先端に向かって先細りするテーパ形状となっている。上下ノズル部材24A,24Bの先端部の厚みは、1〜3mm程度とすればよい。また、噴射口の開口幅(ノズルギャップB)は、特に限定されないが0.5〜3.0mm程度とすることができる。図示しないガス供給機構から供給されるガスが、ヘッダ22の内部を通過し、さらに上下ノズル部材24A,24Bが区画するガス流路を通過し、噴射口26から噴射されて、鋼帯Sの表面に吹きつけられる。他方のノズル20Bも同様の構成を有する。本発明において、ノズルヘッダ22内でのガスの圧力を「ヘッダ圧力P」と定義する。
本実施形態の溶融金属めっき鋼帯の製造方法では、溶融金属浴14に連続的に鋼帯Sを浸漬し、溶融金属浴14から引き上げられる鋼帯Sに、該鋼帯Sを挟んで配置される一対のガスワイピングノズル20A,20Bからガスを吹き付けて、鋼帯Sの両面の溶融金属の付着量を調整して、連続的に溶融金属めっき鋼帯を製造するものである。
ここで、上記で説明した湯ジワの発生原因としては、ワイピングガスが溶融金属表面に衝突する点(淀み点)での初期凹凸の生成が挙げられる。初期凹凸の生成原因は、(1)ワイピングガスの衝突圧力の振動、(2)溶融金属の酸化/冷却による粘度ムラ、の一方又は両方に起因して、鋼帯上で溶融金属が不規則に流れることであると考えられる。本発明は、このうち上記(1)の現象を抑えることによって、湯ジワの発生を抑制しようとするものである。
そこで本発明者らは、ワイピングガスの衝突圧の変動量を抑える方法について検討した。具体的には、ヘッダ圧力Pを変更しながらワイピングを実施し、ワイピングガスの衝突圧変動量σの測定と、ワイピング後の表面外観の検査を実施した。なお、ワイピングガスの衝突圧は、ワイピングガスが溶融金属表面に衝突する点(淀み点)で発生する音圧をマイクロフォンで測定することにより、測定することができる。この衝突圧は、ワイピングガスをある一定のヘッダ圧力で噴射していても、ある圧力値を中心に経時的にわずかに変動する。本発明において、衝突圧変動量σは、所定期間中に測定した衝突圧の値の標準偏差と定義する。この所定期間は0.1秒以上とする。0.1秒以上の期間で標準偏差を取れば、衝突圧のバラつきを精度よく評価することができるからである。なお、衝突圧の測定は、鋼帯の幅方向中心部で測定することが好ましいが、鋼帯幅方向端部から100mm以上内側であれば、測定値は同等である。鋼板端部では、衝突したワイピングガスは乱れてしまうため測定に適さない。
図4に、一実験例におけるヘッダ圧力Pとガスの衝突圧変動量σとの関係を示す。図4から明らかなように、ヘッダ圧力Pとガスの衝突圧変動量σとの間には正の線形相関があることがわかった。ヘッダ圧力Pを増加させれば、衝突圧そのものも増加することは自明である。しかしながら、本発明者らは、図4に示すように、衝突圧変動量σも、ヘッダ圧力が増加するほど大きくなることを初めて見出したのである。そして、この実験例では、衝突圧変動量σが300Pa以上の範囲で湯ジワの発生を確認した。
衝突圧変動量σが大きい場合、衝突圧の変動がめっきの初期凹凸を発生させ、湯ジワ欠陥となってしまうと考えられる。従って、湯ジワ抑制には衝突圧変動量σの低減が有効である。そして、図4に示す知見によれば、ヘッダ圧力を制御することによってガスの衝突圧変動量を制御できることがわかる。衝突圧変動量σを制御することによって、目標のめっき付着量を高精度に実現しやすくなり、湯ジワの発生を十分に抑え、高品質の溶融金属めっき鋼帯を低コストで製造できる。
ただし、ヘッダ圧力Pと衝突圧変動量σとの関係は、正の線形相関があることは変わらないものの、具体的な値の関係については、ノズルの形状、ノズルのスリットギャップB、及びノズル角度θによって異なる。また、湯ジワが発生し始める衝突圧変動量の閾値は、鋼帯の走行速度L及び目標のめっき厚さWによって異なることがわかった。
そこで、本発明者らがさらに検討を進めたところ、ガスの衝突圧変動量σを、鋼帯の走行速度L及び目標のめっき厚さWに応じて、以下の式(1)を満足するように制御することにより、湯ジワの発生を十分に抑え、高品質の溶融金属めっき鋼帯を製造できることがわかった。
Figure 0006635086
σ:ガスの衝突圧変動量[Pa]
L:鋼帯の走行速度[m/min]
W:目標のめっき厚さ[μm]
α,β:定数
以下、式(1)を利用した操業条件の決定方法の一例について述べる。
(A)ノズルの形状、ノズルのスリットギャップB、及びノズル角度θが確定した使用めっき設備において、図4に示すような、ヘッダ圧力Pと衝突圧変動量σとの関係を予め求める。
(B)次に、目標のめっき厚さWを設定する。
(C)次に、鋼帯の厚さ及び幅に応じて、適正な鋼帯の走行速度Lを適宜決定する。
(D)次に、設定された目標のめっき厚さW及び鋼帯の走行速度Lを式(1)に代入して、ガスの衝突圧変動量σの好適範囲を決定する。
(E)次に、予め求めていたヘッダ圧力Pと衝突圧変動量σとの関係に基づいて、式(1)を満たすヘッダ圧力Pを決定する。
(F)次に、決定した鋼帯の走行速度L及びヘッダ圧力Pを考慮して、目標のめっき厚さWを得るための、ノズル先端−鋼帯間の距離D(図2参照)を決定する。
なお、一般的な操業条件では、距離Dは3〜40mm程度とするが、この範囲内においては、距離Dの値に関わらず、ヘッダ圧力Pと衝突圧変動量σとの関係は変わらないことを、本発明者らは確認した。よって、上記(A)〜(F)の手順によって、湯ジワの発生を十分に抑えた操業が可能である。
ここで、式(1)における定数α,βは、ノズルの形状、ノズルのスリットギャップB、及びノズル角度θによって異なるため、オンライン実験で事前に決定する。以下、これら定数の求め方と、式(1)の技術的な意味について説明する。
ここで、式(1)の右辺は、湯ジワが発生しない衝突圧変動量σの上限値を示している。式(1)の右辺における各パラメータの意味について述べる。目標のめっき厚さWが増加すると、湯ジワが発生しやすくなるため、衝突圧変動量σの上限値が減少する。鋼帯走行速度Lが増加すると、ワイピングガスが衝突する時間が短くなり、湯ジワが発生しづらくなるため、衝突圧変動量σの上限値が上昇する。
ここで、定数α,βは以下のように求める。既述の(B),(C)の方法で決定した目標のめっき厚さW及び鋼帯の走行速度Lの値の組み合わせ(W1、L1)において、ヘッダ圧力Pを種々変更して、湯ジワが発生し始める境界の衝突圧変動量σ1を求める。なお、めっき厚は、ヘッダ圧Pと、距離Dと、鋼帯の走行速度Lに依存する。よって、走行速度L1の操業下において、ヘッダ圧Pを種々変更するのに合わせて、目標めっき厚さW1を実現できるように、距離Dも適宜変更する必要がある。
さらに、既述の(B),(C)の方法で決定した別のW及びLの値の組合せ(W2、L2)において、ヘッダ圧力Pを種々変更して、湯ジワが発生し始める境界の衝突圧変動量σ2を求める。同様に、W及びLの値の複数の組合せ(Wk、Lk)(k;1〜nの整数)において、湯ジワが発生し始める境界の衝突圧変動量σkを求める。横軸をL/W2として、縦軸をσとしたグラフに、求めたn点をプロットする。n点のプロットから、最小二乗法で残差平方和が最小となる直線を求め、傾きの値をαとし、縦軸の切片をβとする。なお、「湯ジワが発生し始める境界の衝突圧変動量」とは、ワイピング後の鋼帯表面において、JIS B0601-2001の規格に基づいて測定した算術平均うねりWaが1.00μmとなる衝突圧変動量を意味するものとする。Waが1.00μmを超えると、目視で小さな湯ジワが確認できるからである。定数α,βの精度の観点から、nは4以上であることが好ましい。


このように、湯ジワ欠陥を抑制するためには、鋼帯の走行速度L及び目標のめっき厚さWに応じて、ガスの衝突圧変動量σを制御する必要がある。そして、具体的には、図4に示すようなガスワイピングノズルのヘッダ圧力Pとガスの衝突圧変動量σとの関係を予め求め、ガスの衝突圧変動量σが式(1)を満足するようにヘッダ圧力Pを設定することができる。
そして、使用するめっき設備条件(ノズルの形状、ノズルのスリットギャップB、及びノズル角度θ)ごとに、図4に示すようなガスワイピングノズルのヘッダ圧力Pとガスの衝突圧変動量σとの関係を予め求め、また、オンライン実験で定数α,βを事前に決定しておく。そして、操業条件としての鋼帯の走行速度L及び目標のめっき厚さWの少なくとも1つが変更になった場合には、それに伴って、衝突圧変動量σの好適範囲、及びそれに対応するヘッダ圧力Pの好適範囲を変更する。
なお、図4に示す知見に従えば、湯ジワの発生を防ぐだけであれば、衝突圧変動量σ、すなわちヘッダ圧力Pを極力小さく設定すればよく、殊更に式(1)で湯ジワが発生しない衝突圧変動量σの上限値を把握する必要もない。しかしながら、衝突圧変動量σを低下させるためにヘッダ圧力Pを小さくすると、目標めっき厚さWを実現するために、距離Dを小さくせざるを得なくなる。すると、鋼帯の反りが発生した場合に、ノズルが鋼帯に接触したり、スプラッシュがノズルに付着しやすくなったりして、めっき表面に傷や欠陥が発生することが懸念される。また、ヘッダ圧力Pを小さくすると、特に鋼帯エッジ部の衝突圧力が弱まり、エッジ部の付着量が厚くなりすぎるため、鋼帯幅方向で不均一な付着量となってしまう可能性がある。この現状を本明細書ではエッジオーバーコートと呼ぶ。このような観点から、ヘッダ圧力Pは、衝突圧変動量σが式(1)を満たす範囲で極力大きく設定することが好ましい。そのため、本発明では、式(1)で湯ジワが発生しない衝突圧変動量σの上限値を把握することに意義がある。
また、エッジオーバーコートを防ぐ有効な手段としては、ノズルの浴面からの高さの低下やバッフルプレートの使用が挙げられる。これらの手段の両方又は一方を実施することで、湯ジワやエッジオーバーコートの無いより美麗な外観を得ることが可能になる。
ノズル高さを低下させると、鋼帯エッジ部のめっき表層が凝固する前にワイピングできるため、エッジオーバーコートを防止可能である。この観点から、ガスワイピングノズルの先端の高さを、溶融金属浴の表面から250mm以下とすることが好ましい。しかし、ワイピングノズル高さは低くしすぎると、浴面上でスプラッシュが多量に発生するため、100mm以上の高さが望ましい。
また、図3を参照して、バッフルプレート28は、鋼帯Sの幅方向端部近傍の鋼帯延長面上に配置されるプレートを指す。バッフルプレートを設置することで、一対のガスワイピングノズルから噴射されたガス同士の衝突を回避できるため、エッジオーバーコートの防止が可能である。図3では、鋼帯Sの幅方向片側端部近傍に配置されたバッフルプレート28を図示したが、鋼帯幅方向の両側の端部近傍に、それぞれバッフルプレートを配置することが好ましい。バッフルプレート28と鋼帯Sの幅方向端部との最短距離dは、1〜10mm程度とすることが好ましい。
ノズル20A,20Bから噴射されるガスは、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスにすることで、鋼帯表面上の溶融金属の酸化を防止できるため、溶融金属の粘度ムラをさらに抑制することができる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態において、溶融金属の成分は、Al:1.0〜10質量%、Mg:0.2〜1質量%、Ni:0〜0.1質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなることが好ましい。このようにMgが含まれると、溶融金属の酸化/冷却による粘度ムラが生じやすく、湯ジワが発生しやすくなることが確認されている。また、上記の成分系では、Zn100%の溶融金属と比較すると粘度が低いため、淀み点で初期凹凸が発生した際に、溶融金属が固まる前により初期凹凸が大きく成長するため、湯ジワが発生しやすくなる。そのため、溶融金属が上記成分組成を有する場合に、本発明の湯ジワを抑制する効果が顕著に表れる。また、溶融金属の組成が、5質量%Al−Znの場合や、55質量%Al−Znの場合にも、本発明の湯ジワを抑制する効果を得ることができる。
本発明の製造方法で製造される溶融金属めっき鋼帯としては、溶融亜鉛めっき鋼板を挙げることができ、これは、溶融亜鉛めっき処理後合金化処理を施さないめっき鋼板(GI)と、合金化処理を施すめっき鋼板(GA)のいずれも含む。
溶融亜鉛めっき鋼帯の製造ラインにおいて、溶融亜鉛めっき鋼帯の製造試験を行った。各発明例及び比較例で、図1に示すめっき設備を用いた。ガスワイピングノズルは、ノズルギャップBが1.2mmのものを使用した。各発明例及び比較例で、めっき浴の組成、めっき浴の温度T、めっき浴の融点TM、目標のめっき厚さW、鋼帯の走行速度L、ワイピングノズルのヘッダガス圧力P、ワイピングガスの衝突圧変動量σ、ノズル先端と鋼帯との距離D、ノズル角度θ、ノズル高さH、バッフルプレートの使用有無は、表1に示すものとした。ノズル先端と鋼帯との距離Dは、鋼帯片面中央部のめっき付着量がWを満たすよう、鋼帯走行速度Lやヘッダ圧力Pの値を考慮して設定した。
ガスワイピングノズルへのガス供給方法として、コンプレッサーで所定圧力に加圧したものを供給する方法を採用した。こうして、板厚1.2mm×板幅1000mmの鋼帯を通板して、溶融亜鉛めっき鋼帯を製造した。
なお、事前のオンラインテストで式(1)中の定数をそれぞれ求めたところ、α=1725,β=-60であった。式(1)から算出される衝突圧変動量σの好適範囲も表1に示す。
また、製造された溶融亜鉛めっき鋼帯の外観と、両面の合計めっき付着量を評価した。鋼板の外観評価については、以下の基準で合否を判定した。結果を表1に示す。
×:不合格=目視で大きな湯ジワが確認できる亜鉛めっき鋼板(1.50<Wa)
△:不合格=目視で小さな湯ジワが確認できる亜鉛めっき鋼板(1.00<Wa≦1.50)
○:合格=目視で湯ジワが確認できない美麗な亜鉛めっき鋼板(0.50<Wa≦1.00)
◎:合格=目視で湯ジワが確認できない非常に美麗な亜鉛めっき鋼板(0<Wa≦0.50)
なお、Waは、JIS B0601-2001の規格に基づいて測定した算術平均うねりWa[μm]の値である。
また、表1中のCは、C=(鋼帯端部の付着量−鋼帯中央部の付着量)/鋼帯中央部の付着量×100で示される、鋼帯中央と鋼帯端部のめっき付着量偏差[%]の値である。
Figure 0006635086
表1から明らかなように、衝突圧変動量σが式(1)を満たしている場合、Waが低く美麗な表面外観が得られるのに対して、衝突圧変動量σが式(1)を満たしていない場合、Waが大きくなってしまった。特に、めっき種B,Eでは、衝突圧変動量σを本発明範囲とした場合の効果が顕著に得られた。
また、ノズル高さHが250mm以下を満たしている場合やバッフルプレートを使用した場合は、幅方向の付着量偏差Cが低下しており、エッジオーバーコートを防止する効果を得られた。
本発明の溶融金属めっき鋼帯の製造方法によれば、湯ジワの発生を十分に抑え、高品質の溶融金属めっき鋼帯を低コストで製造できる。
100 連続溶融金属めっき設備
10 スナウト
12 めっき槽
14 溶融金属浴
16 シンクロール
18 サポートロール
20A,20B ガスワイピングノズル
22 ノズルヘッダ
24A 上ノズル部材
24B 下ノズル部材
26 噴射口(ノズルスリット)
28 バッフルプレート
S 鋼帯
B スリットギャップ
D ガスワイピングノズルの先端と鋼帯との距離
θ ノズル角度

Claims (4)

  1. 溶融金属浴に連続的に鋼帯を浸漬し、
    前記溶融金属浴から引き上げられる鋼帯に、該鋼帯を挟んで配置される一対のガスワイピングノズルからガスを吹き付けて、該鋼帯の両面の溶融金属の付着量を調整して、
    連続的に溶融金属めっき鋼帯を製造する溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、
    前記ガスワイピングノズルのヘッダ圧力P[kPa]と、前記ガスの衝突圧変動量σとの関係を予め求め、
    当該関係に基づいて、前記ガスの衝突圧変動量σ、前記鋼帯の走行速度L及び目標のめっき厚さWに応じて、以下の式(1)を満足するように前記ヘッダ圧力Pを決定し、
    目標のめっき厚さWを得るためのノズル先端−鋼帯間の距離Dを決定し、
    決定された前記ヘッダ圧力P及び前記距離Dの条件下で、前記ガスの吹き付けを行うことを特徴とする、溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
    Figure 0006635086
    σ:ガスの衝突圧変動量[Pa]
    L:鋼帯の走行速度[m/min]
    W:目標のめっき厚さ[μm]
    α,β:定数
  2. 前記ガスワイピングノズルの先端の高さを、前記溶融金属浴の表面から250mm以下とする、請求項に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
  3. 前記鋼帯の幅方向端部近傍の鋼帯延長面上に、前記一対のガスワイピングノズルから噴射されたガス同士の衝突を回避するバッフルプレートを設置する、請求項1又は2に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
  4. 前記溶融金属の成分は、Al:1.0〜10質量%、Mg:0.2〜1質量%、Ni:0〜0.1質量%を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
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