以下、本発明による保持具および介助ロボットの一実施形態について説明する。図1および図2は、この介助ロボット20を示す右側面図および平面図である。
介助ロボット20は、被介助者M1の体の一部(例えば、上半身特に胸部)を支えて起立および着座を補助するための介助ロボットである。この介助ロボット20は、図1および図2に示すように、基台21、ロボットアーム部22、保持部23(30)、ハンドル24、操作装置25、記憶装置26および制御装置27を含んで構成されている。
基台21は、左右基部21a,21bと左右脚部21c,21dを備えている。左右基部21a,21bは、左右方向に所定距離を置いて配設されており、左右基部21a,21bには、図2に示すように、左右駆動輪21e,21fがそれぞれ設けられるとともに、左右駆動輪21e,21fをそれぞれ駆動する駆動源である左右駆動輪用モータ21g,21hが内蔵されている。介助ロボット20は、左右駆動輪用モータ21g,21hによりそれぞれ駆動する左右駆動輪21e、21fによって走行する。
なお、左右駆動輪21e,21fおよび左右駆動輪用モータ21g,21hから走行用駆動部ACが構成されている。また、基台21に設けた前記駆動源を省略して構成して、被介助者M1により押されて移動するようにしてもよい。
左右脚部21c,21dは、左右基部21a,21bから前方方向(図1,2において左方向)に水平に延設されている。左右脚部21c,21dの先端部には、左右従動輪21i,21jがそれぞれ設けられている。また、左右脚部21c,21dの先端には、一対の衝突防止センサ21k,21lがそれぞれ設けられている。衝突防止センサ21k,21lは、障害物を検知するセンサであり、その検出信号は制御装置27に送信されるようになっている。
ロボットアーム部22は、基台21にその基部が取り付けられており、主として図3a、図4aに示すように、第1および第2回転用モータ22a1c,22b3およびスライド用モータ22a2bを含んで構成される駆動部によって互いに相対移動が可能である複数のアーム22a,22b,22cを備えている。なお、ロボットアーム部22は、複数の軸から構成するようにしてもよい。この場合の軸は回転軸およびスライド軸の少なくともいずれかを含めばよい。
図3a,3bおよび図4a〜4cに示すように、第1アーム22aは、その基部が基台21に取りつけられている。第1アーム22aは、スライド基部22a1、第1スライド部22a2および第2スライド部22a3を備えている。
スライド基部22a1は、図1,2に示すように、ほぼ直方体状に形成されている。スライド基部22a1は、主として図3aに示すように、その基端部が基台21に第1回転軸22a1a回りに回転可能に取り付けられているフレーム22a1bを備えている。このフレーム22a1bは、ほぼ断面U字状に形成されており、主として図4bに示すように、曲げて形成された左右板状部材22a1b1,22a1b2と左右板状部材22a1b1,22a1b2の上部後端に左右両端が接続された後板状部材22a1b3とから構成されている。
第1回転用モータ22a1cは、図3aに示すように、基台21に設けられている。第1駆動ベルト22a1dは、この第1回転用モータ22a1cのプーリと第1回転軸22a1aのプーリとの間に装架されている。第1回転用モータ22a1cが駆動すると、フレーム22a1bすなわちスライド基部22a1が第1回転軸22a1a回りに前方向または後方向に回転する。
図4bに示すように、フレーム22a1bの内側(左右板状部材22a1b1、22a1b2の内側)には、後述する第1スライド部22a2のフレーム22a2aの後板状部材22a2a2の左右端に摺動可能に係合する左右ガイド溝22a1eが形成されている。フレーム22a1bの左板状部材22a1b1の上部には、後述するスライド用ベルト22a2eに取り付けられて固定される固定部22a1fが設けられている(図3b、図4c参照)。
スライド基部22a1は、図1に示すように、膝センサ22a1gを備えている。膝センサ22a1gは、スライド基部22a1の前面(図1および図2にて左方が前方である)に前方に向けて設けられており、着座部に着座している被介助者M1の膝高さとほぼ等しくなる位置に配設されている。膝センサ22a1gは、被介助者M1の膝までの距離を検出する距離検出センサである。膝センサ22a1gの検出信号は、制御装置27に送信されるようになっている。なお、膝センサ22a1gは、例えば、レーザ式、LED式、超音波式タイプである。
第1スライド部22a2は、図1,2に示すように、ほぼ直方体状に形成されており、スライド基部22a1より小さく構成されている。第1スライド部22a2は、スライド基部22a1に対して長手方向(軸動方向)にスライドするものであり、収縮した際にはスライド基部22a1内にほぼ収容されるように構成されている。
具体的には、第1スライド部22a2は、フレーム22a2aを備えている(図3a参照)。このフレーム22a2aは、図4bに示すように、断面H字状かつ側面視H字状に形成されており、前後板状部材22a2a1、22a2a2と前後板状部材22a2a1、22a2a2の上下方向中央部に前後両端が接続された接続板状部材22a2a3とから構成されている。後板状部材22a2a2の左右両端は、フレーム22a1bの左右ガイド溝22a1eに摺動可能に係合されている。主として図3aに示すように、後板状部材22a2a2の上部には、スライド用モータ22a2bが設けられている。後板状部材22a2a2の下部には、プーリ22a2cが回転可能に設けられている。このスライド用モータ22a2bのプーリ22a2dとプーリ22a2cとの間には、スライド用ベルト22a2eが装架されている。
フレーム22a2aの前板状部材22a2a1の左右両端部には、図4bに示すように、ガイドレール22a2fが設けられている。ガイドレール22a2fは、後述する第2スライド部22a3のフレーム22a3aの左右板状部材の内側の左右ガイド受け部22a3bに摺動可能に係合する。
第2スライド部22a3は、図1,2に示すように、ほぼ直方体状に形成されており、第1スライド部22a2より小さく構成されている。第2スライド部22a3は、第1スライド部22a2に対して長手方向(軸動方向)にスライドするものであり、収縮した際には第1スライド部22a2内にほぼ収容されるように構成されている。
具体的には、第2スライド部22a3は、フレーム22a3aを備えている(図3a参照)。このフレーム22a3aは、図4bに示すように、ほぼ断面U字状に形成されており、左右板状部材22a3a1、22a3a2と左右板状部材22a3a1、22a3a2の前端部に左右両端が接続された前板状部材22a3a3とから構成されている。フレーム22a3aの内側(左右板状部材22a3a1、22a3a2の内壁面)には、フレーム22a2aのガイドレール22a2fに摺動可能に係合する左右ガイド受け部22a3bが設けられている。フレーム22a3aの右板状部材22a3a2の下部には、スライド用ベルト22a2eに取り付けられて固定される固定部22a3cが設けられている(図3b、図4c参照)。
スライド用モータ22a2bが駆動すると、第1スライド部22a2のフレーム22a2aは、スライド基部22a1のフレーム22a1bに対して軸動方向に沿って伸張する(図3aおよび3bに示す伸張状態)。これと同時に、第2スライド部22a3のフレーム22a3aは第1スライド部22a2のフレーム22a2aに対して伸張する(図3aおよび3bに示す伸張状態)。
一方、スライド用モータ22a2bが逆方向に駆動すると、第1スライド部22a2のフレーム22a2aは、スライド基部22a1のフレーム22a1bに対して軸動方向に沿って収縮する(図4aおよび図4cに示す収縮状態)。これと同時に、第2スライド部22a3のフレーム22a3aは第1スライド部22a2のフレーム22a2aに対して収縮する(図4aおよび図4cに示す収縮状態)。
第2アーム22bは、図1,2に示すように、ほぼ直方体状に形成されており、第2スライド部22a3の先端部に、長手方向に対して直交する方向(前方向)に延ばして形成されている。具体的には、主として図3aに示すように、第2アーム22bは、左右板状部材22b1a、22b1bから構成されているフレーム22b1を備えている。フレーム22b1の左右板状部材22b1a、22b1bの後端部が、フレーム22a3aの左右板状部材22a3a1、22a3a2の上端部にそれぞれ接続固定されている。
フレーム22b1の左右板状部材22b1a、22b1bの先端部には、第2回転軸22b2が回動可能に介装されている。左右板状部材22b1a、22b1bの中央部には、第2回転用モータ22b3が設けられている。第2回動ベルト22b4は、第2回転用モータ22b3のプーリと第2回転軸22b2のプーリとの間に装架されている。
第3アーム22cは、ほぼ直方体状に形成されており、その基端部が第2アーム22bの先端部に第2回転軸22b2回りに回転可能に取り付けられている。具体的には、第3アーム22cは、フレーム22c2を備えている。フレーム22c2の後端部は、第2回転軸22b2と一体回転するように固定されている。フレーム22c2の前端部は、保持部23の後端に固定されている。
第2回転用モータ22b3が駆動すると、フレーム22c2すなわち第3アーム22cが第2回転軸22b2回りに上方向または下方向に回転する。
保持部23は、第3アーム22cの先端に固定されている。保持部23は、被介助者M1の体(例えば、上半身特に胸部)を保持する保持具である。この保持部23は、被介助者M1の体の一部(例えば、上半身特に胸部)を支えて起立および着座を補助するものである。保持部23は、例えば、被介助者M1の起立動作及び着座動作において被介助者M1に対して対向したときに、その両腕(両脇)を下側から支える部材であり、前方向に向けて開放する平面視略U字形状に形成されている。保持部23の表面は、例えば、被介助者M1に接することを前提とした比較的柔らかい材質で覆われている。
保持部23(30)は、図5−図8に示すように、ベースフレーム31、左右フレーム32,33および保持位置調整機構34を備えている。
ベースフレーム31は方形状に形成され、ベースフレーム31の背面は第3アーム22cのフレーム22c2の前端部に固定されている(図3a参照)。左右フレーム32,33は、ベースフレーム31の左右部に左右方向に相対移動可能に取り付けられて、被介助者M1の体をそれぞれ左右から挟んで保持する。左右フレーム32,33は、それぞれ方形状に形成され、正面に向けて拡開して設けられている。
保持位置調整機構34は、左右フレーム32,33に被介助者M1の体重が下方に向けてかかると、被介助者M1の荷重によって下方に押圧された左右フレーム32,33がベースフレーム31の中央部に向けてそれぞれ移動され、被介助者M1の体に接触して位置決めされることにより左右フレーム32,33の保持位置が調整されるものである。なお、保持位置とは、左右フレーム32,33が被介助者M1の体を保持する位置である。
具体的には、保持位置調整機構34は、ベースフレーム31にそれぞれ固定されている一対の左ガイドレール34a1,34a2および一対の右ガイドレール34b1,34b2と、一対の左ガイドレール34a1,34a2にそれぞれ案内される一対の左スライダ34c1,34c2と、一対の右ガイドレール34b1,34b2にそれぞれ案内される一対の右スライダ34d1,34d2と、を備えている。一対の左ガイドレール34a1,34a2は、互いに平行に配設され、ベースフレーム31の左端部から中央部に向けてそれぞれ下方に傾斜して延在されている。一対の右ガイドレール34b1,34b2は、互いに平行に配設され、ベースフレーム31の右端部から中央部に向けてそれぞれ下方に傾斜して延在されている。なお、左右ガイドレールは一対(2本)でなく一本で構成するようにしてもよい。
一対の左スライダ34c1,34c2の背面部は、一対の左ガイドレール34a1,34a2にそれぞれ摺動可能に係合している。一対の左スライダ34c1,34c2の正面部には、左フレーム32の一対の固定部32a,32bがそれぞれねじ止め固定されている。左フレーム32の一対の固定部32a,32bは、左フレーム32の内側端から所定の角度をなして延在されている。
一対の右スライダ34d1,34d2の背面部は、一対の右ガイドレール34b1,34b2にそれぞれ摺動可能に係合している。一対の右スライダ34d1,34d2の正面部には、右フレーム33の一対の固定部33a,33bがそれぞれねじ止め固定されている。右フレーム33の一対の固定部33a,33bは、右フレーム33の内側端から所定の角度をなして延在されている。
保持部23は、左右付勢装置35,36を備えている。左右付勢装置35,36は、左右フレーム32,33をベースフレーム31の中央部に向けて押圧する各押圧力に抗してそれぞれ付勢する。左付勢装置35は、有底筒状に形成された外筒35aと、有底筒状に形成され外筒35aに摺動可能に挿入されている内筒35bと、外筒35aと内筒35bとの間に形成される空間内に配設されて外筒35aと内筒35bとを軸方向に沿って引き離す付勢力を付与する付勢部材(本実施形態では例えばコイルスプリング、図示省略)と、を備えている。右付勢装置36も、左付勢装置35と同様に、外筒36a、内筒36b、および付勢部材(本実施形態ではコイルスプリング、図示省略)と、を備えている。
左付勢装置35の外筒35aの底部は、ベースフレーム31の中央部に固定された固定部31aに固定され、左付勢装置35の内筒35bの底部は、左フレーム32の固定端側に固定された固定部32cに固定されている。右付勢装置36の外筒36aの底部は、ベースフレーム31の中央部に固定された固定部31bに固定され、右付勢装置36の内筒36bの底部は、右フレーム33の固定端側に固定された固定部33cに固定されている。
保持部23は、左右ラチェット機構37,38を備えている。左ラチェット機構37は、左ラチェット歯37aおよび左ラチェットレバー37bを備えている。左ラチェット歯37aは、左フレーム32の固定部32bの背面に固定されており、歯列が左ガイドレール34a1(または34a2)の延在方向に沿って配設されている。左ラチェット歯37aは左フレーム32とともに移動する。左ラチェットレバー37bは、棒状に形成されており、ベースフレーム31に固定ピン37cを介して回転可能に固定されている。左ラチェットレバー37bの一端側には、左ラチェット歯37aの歯列に離脱可能に係合する爪が設けられている。この爪と歯列とは、左フレーム32のベースフレーム31の中央部方向への移動を許可し、ベースフレーム31の左側方向への移動を規制するように係合する。左ラチェットレバー37bの一端側は、爪が歯列に係合する方向に付勢部材(例えばスプリング、図示省略。)によって付勢されている。左ラチェットレバー37bの他端側には、レリーズレバー39が接続されている。
右ラチェット機構38は、右ラチェット歯38aおよび右ラチェットレバー38bを備えている。右ラチェット歯38aは、右フレーム33の固定部33bの背面に固定されており、歯列が右ガイドレール34b1(または34b2)の延在方向に沿って配設されている。右ラチェット歯38aは右フレーム33とともに移動する。右ラチェットレバー38bは、棒状に形成されており、ベースフレーム31に固定ピン38cを介して回転可能に固定されている。右ラチェットレバー38bの一端側には、右ラチェット歯38aの歯列に離脱可能に係合する爪が設けられている。この爪と歯列とは、右フレーム33のベースフレーム31の中央部方向への移動を許可し、ベースフレーム31の右側方向への移動を規制するように係合する。右ラチェットレバー38bの一端側は、爪が歯列に係合する方向に付勢部材(例えばスプリング、図示省略。)によって付勢されている。右ラチェットレバー38bの他端側には、レリーズレバー39が接続されている。
このような構成によれば、左右フレーム32,33に被介助者M1の体重がかかると、被介助者M1の荷重による下方の押圧力を受けた左右スライダ34c1,34d1が、その押圧力の左右ガイドレール34a1,34b1に沿った成分によって左右ガイドレール34a1,34b1に沿って下降する。これにより、左右フレーム32,33がベースフレーム31の中央部に向けてそれぞれ移動する。そして、左右フレーム32,33がそれぞれ被介助者M1の体に接触して位置決めされることにより左右フレーム32,33の保持位置が自動的に調整される。
なお、図7は、被介助者M1の荷重がかかっていないときの左右フレーム32,33の全開状態を示しており、図8は、被介助者M1の荷重がかかっているときの左右フレーム32,33の保持位置を示している。このとき、左右フレーム32,33は、全開状態のときと比較して下方に位置している。なお、図8において、全開状態のときの左右フレーム32,33の位置を破線で示す。
さらに、左右ラチェット機構37,38は、左右フレーム32,33の移動方向をベースフレーム31の中央部方向のみに制限する。また、左右フレーム32,33が保持位置に位置決めされると、左右ラチェット機構37,38は、左右ラチェット歯37a,38aと左右ラチェットレバー37b,38bの各爪との各係合によって、左右フレーム32,33を保持位置に解放可能にそれぞれ固定する。さらに、左右ラチェット歯37a,38aと左右ラチェットレバー37b,38bの各爪との各係合は、レリーズレバー39を付勢力に抗して上方に押動することにより解放される。
ハンドル24は、図1,2に示すように、第3アーム22cの上面に固定されている。このハンドル24は、左右一対の棒状取っ手で構成されており、被介助者M1の左右の手でそれぞれ握られるようになっている。ハンドル24には、握っていることを検知する接触センサ24a,24bが設けられている。ハンドル24には、介助ロボット20を左旋回させるための左旋回スイッチ24cと介助ロボット20を右旋回させるための右旋回スイッチ24dが設けられている。さらにハンドル24には、介助ロボット20を停止させるための停止スイッチ24eが設けられている。
また、第3アーム22cには、被介助者M1が保持部23により支持されている状態で歩行する場合や被介助者M1がハンドル24を握った状態で歩行する場合に、被介助者M1から受ける力を検知する荷重センサ22c1が設けられている。荷重センサ22c1は、荷重の変化によって変化する起歪体の歪み量を電圧変化として検出するものや、シリコンチップに圧力が加わると、そのたわみに応じ、ゲージ抵抗が変化し電気信号に変換される半導体式圧力センサなどである。
操作装置25は、画像を表示する表示部25aと、操作者(介助者および被介助者M1である)からの入力操作を受け付ける操作部25bとを備えている。
表示部25aは、液晶ディスプレイで構成されており、介助ロボット20の動作モードの選択画面などを表示する。動作モードとしては、被介助者M1の起立動作を補助する起立動作補助モードや、被介助者M1の着座動作を補助する着座動作補助モードなどが設定されている。
操作部25bは、カーソルを上下左右に移動させるカーソルキー、入力をキャンセルするキャンセルキー,選択内容を決定する決定キーなどを備えており、操作者の指示をキー入力できるように構成されている。なお、操作装置25は、表示部25aの表示機能と操作部25bの入力機能とを備えており、画面上の表示を押すことで機器を操作するタッチパネルで構成するようにしてもよい。
記憶装置26(記憶部)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1(図9参照)を起立させる場合において、被介助者M1の移動制御部位である例えば肩位置Psが通過する起立軌跡Tas1を示す起立軌跡用基準データと、保持部23に支えられて起立している被介助者M1(図10参照)を着座させる場合において、起立軌跡Tas1と異なる軌跡であって被介助者M1の肩位置Psが通過する着座軌跡Tbs1を示す着座軌跡用基準データと、を記憶している。
起立軌跡Tas1および着座軌跡Tbs1は、実際に健常者の起立動作を撮影し、その肩位置Psの二次元座標(例えばxy座標)に基づいて作成すればよい。起立軌跡Tas1を図11(左側)に示す。この起立軌跡Tas1は、起立軌跡用基準データに基づいている軌跡である。着座軌跡Tbs1を図11(右側)に示す。この着座軌跡Tbs1は、着座軌跡用基準データに基づいている軌跡である。なお、前述した起立軌跡および着座軌跡は、シミュレーションで作成するようにしてもよい。
起立軌跡Tas1は、図11に示すように、被介助者M1を起立させる動作である起立動作の開始時点以降の早い時点から起立動作の終了時点までの間において被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内に存在するように設定されている。なお、重心位置Gの軌跡はTg1で表す。
着座軌跡Tbs1は、図11に示すように、被介助者M1を着座させる動作である着座動作の開始時点以降の早い時点から被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内から外れ被介助者M1の着座予定位置側に移動するように設定されている。着座軌跡Tbs1は、起立軌跡Tas1の上方に位置するように設定されている。なお、重心位置Gの軌跡はTg2で表す。
さらに、記憶装置26は、被介助者M1の被保持部(例えば上半身特に胸)の幅すなわち保持部23の下降量に応じた補正量を記憶している。この補正量は、上述した各データを補正するための値である。上述した各データは、被保持部の幅が所定値(例えば25cmである。)であるときのデータである。補正値は幅が小さいほど大きい値に設定される。
制御装置27は、介助ロボット20の走行や姿勢変形に関する制御を行う。制御装置27は、図12に示すように、上述した衝突防止センサ21k,21l、膝センサ22a1g、荷重センサ22c1、接触センサ24a,24b、左旋回スイッチ24c、右旋回スイッチ24d、停止スイッチ24e、左右駆動輪用モータ21g,21h、第1回転用モータ22a1c、スライド用モータ22a2b、第2回転用モータ22b3、操作装置25、記憶装置26、撮像装置28、および案内装置29が接続されている。また、制御装置27はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。
制御装置27は、図13に示すように、基準データ取得部27a、上半身幅取得部27b、補正部27cおよび駆動制御部27dを備えている。基準データ取得部27aは、操作装置25によって選択された動作モード(起立動作補助モード、着座動作補助モード、一連動作補助モードのいずれか)を取得して、その取得したモードに応じた基準データを記憶装置26から取得する。起立動作補助モードのときは、起立軌跡用基準データを取得し、着座動作補助モードのときは、着座軌跡用基準データを取得し、一連動作補助モードのときは、起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データを取得する。
上半身幅取得部27bは、操作装置25によって選択された被介助者M1の上半身の幅(胸の幅)を取得する。なお、上半身幅取得部27bは、上半身幅から保持部23の左右フレーム32,33の下降量(保持部下降量)を導出する(保持部下降量導出部)。また、上半身幅取得部27bは、保持部23に設けられた左右フレーム32,33の下降量を検出する検出センサから下降量を取得するようにしてもよい。
補正部27cは、基準データ取得部27aによって取得したデータを、上半身幅取得部27bによって取得した上半身幅(すなわち保持部23の下降量)によって補正する。具体的には、補正部27cは、取得した上半身幅に応じた補正量を記憶装置26から取得する。補正量は、起立軌跡最終点が保持部23の下降量分だけ下降した座標となるような値に設定されるのが好ましい。補正部27cは、この取得した各補正量によって基準データ取得部27aによって取得したデータを補正する。
駆動制御部27dは、第1および第2回転用モータ22a1c,22b3およびスライド用モータ22a2bを含んで構成される駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を起立軌跡用基準データまたは補正された起立軌跡用基準データに基づいて起立動作の駆動をする。また、駆動制御部27dは、前記駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を着座軌跡用基準データまたは補正された着座軌跡用基準データに基づいて着座動作の駆動をする。具体的には、駆動制御部27dは、補正部27cによって補正された基準データ(補正されていない基準データも含む)を補正部27cから取得する。そして、駆動制御部27dは、その取得したデータとなるように、前記駆動部を駆動させる。
また、制御装置27(駆動制御部27d)は、被介助者M1の上半身幅に合わせてロボットアーム部22の起立軌跡および着座軌跡をそれぞれ調整する。
撮像装置28は、スライド基部22a1の前面および第1スライド部22a2の背面にそれぞれ設けられている。スライド基部22a1の前面に設けられた撮像装置28は、介助ロボット20の前方にある対象を撮影する。第1スライド部22a2の背面に設けられた撮像装置28は、介助ロボット20の後方または上方にある対象を撮影する。
案内装置29は、被介助者M1、介助者を含む周囲にいる人に対して介助ロボット20の状態を音声や表示により案内するものである。案内装置29は、音声を出力するスピーカでもよく、文字、図形等を表示するLCDやLEDなどの表示装置でもよい。
次に、上述したように構成された介助ロボット20の作動を説明する。最初に、介助ロボット20が着座している被介助者M1に接近している場合について説明する。このとき、介助ロボット20は、例えばベッド脇に着座している被介助者M1に向けて接近する。介助ロボット20は、介助ロボット20の前面を進行方向に向けて前進する。介助ロボット20は、被介助者M1の近傍に設けられている案内用マークを前面の撮像装置28を介して読み取り、その情報に基づいて被介助者M1に接近する。介助ロボット20は、膝センサ22a1gの検出結果(介助ロボット20と被介助者M1の膝との距離)を使用して、着座している被介助者M1との距離が所定距離Xc1となる所定の位置まで移動する。この所定の位置は、被介助者M1を起立させるために最適な位置(起立最適位置)である。
そして、介助ロボット20は、被介助者M1に対して「ハンドルを握ってください」という案内を行う。被介助者M1が両手でハンドル24を握ると、接触センサ24a,24bによってハンドル24を握ったことを検知するため、介助ロボット20は、被介助者M1を起立させるための起立動作を行う。
起立動作が開始されると、介助ロボット20は、着座している被介助者M1の上半身を保持部23によって保持する(図9参照)。このとき、保持部23の左右フレーム32,33に被介助者M1の体重がかかると、被介助者M1の荷重による下方の押圧力を受けた左右スライダ34c1,34d1が、その押圧力の左右ガイドレール34a1,34b1に沿った成分によって左右ガイドレール34a1,34b1に沿って下降する。これにより、左右フレーム32,33がベースフレーム31の中央部に向けてそれぞれ移動する。そして、左右フレーム32,33がそれぞれ被介助者M1の体に接触して位置決めされることにより左右フレーム32,33の保持位置が自動的に調整される。
そして、介助ロボット20は、上半身を保持した状態で、被介助者M1を起立状態にする(図10参照)。より具体的には、図11の左側に示すように、基準起立軌跡Tas1に沿って起立動作が行われる。起立動作の際には、上述したように、着座部に着座しているときにおける被介助者M1の足位置に基づいて起立軌跡用基準データが補正され、その補正された起立軌跡用基準テータに基づいた起立軌跡に沿って起立動作が行われる。
介助ロボット20は、被介助者M1を起立状態で補助している。被介助者M1は、その脇の下を保持部23により保持された状態で歩行して移動する。介助ロボット20は、介助ロボット20の背面を進行方向に向けて前進する。
そして、介助ロボット20は、被介助者M1を着座させるための着座動作が開始されると、起立状態にある被介助者M1(図10参照)を、被介助者M1の上半身を保持部23によって保持した状態で着座状態にする(図9参照)。より具体的には、図11の右側に示すように、着座軌跡に沿って着座動作が行われる。
そして、介助ロボット20は、着座動作が終了すると、被介助者M1に対して「ハンドルから手を放してください」という案内を行う。被介助者M1がハンドル24から手を放すと、接触センサ24a,24bによってハンドル24から手を放したことを検知するため、介助ロボット20は、被介助者M1から離れる。
本実施形態に係る保持部23(保持具)は、被介助者M1の体を保持する保持具であって、ベースフレーム31と、ベースフレーム31の左右部に左右方向に相対移動可能に取り付けられて、被介助者M1の体をそれぞれ左右から挟んで保持する左右フレーム32,33と、左右フレーム32,33に被介助者M1の体重が下方に向けてかかると、被介助者M1の荷重によって下方に押圧された左右フレーム32,33がベースフレーム31の中央部に向けてそれぞれ移動され、被介助者M1の体に接触して位置決めされることにより左右フレーム32,33の保持位置が調整される保持位置調整機構34と、を備えたことを特徴とする。
これによれば、被介助者M1は両脇で左右フレーム32,33を挟んだ状態で体を保持されることが可能となり、この場合、左右フレーム32,33に被介助者M1の体重がかかると、左右フレーム32,33がベースフレーム31の中央部に向けてそれぞれ移動し、被介助者M1の体に接触して位置決めされることにより左右フレーム32,33の保持位置が調整される。したがって、被介助者M1が保持部23によって保持される際に、従来のように被介助者M1が胸に痛みを感じるなど違和感を感じることを少なく抑制することができる。よって、手間、高コスト化・大型化を招くことなく、かつ、違和感を感じることなく被介助者M1の体を保持する保持部23を提供することができる。
また、本実施形態に係る保持部23において、保持位置調整機構34は、ベースフレーム31に固定されてベースフレーム31の左右端部から中央部に向けて下方に傾斜してそれぞれ延在され左右フレーム32,33をそれぞれ案内する左右ガイドレール34a1,34a2および34b1,34b2と、左右ガイドレール34a1,34a2および34b1,34b2にそれぞれ案内され、かつ左右フレーム32,33の内側端がそれぞれ固定された左右スライダ34c1,34c2および34d1,34d2と、を備えている。
これによれば、左右フレーム32,33に被介助者M1の体重がかかると、左右フレーム32,33がベースフレーム31の中央部に向けてそれぞれ確実に移動することができるため、簡単な構成で、左右フレーム32,33を確実に移動させることができる。
また、本実施形態に係る保持部23において、左右フレーム32,33をベースフレーム31の中央部に向けて押圧する各押圧力に抗してそれぞれ付勢する左右付勢装置35,36と、左右フレーム32,33の移動方向をベースフレーム31の中央部方向のみに制限し、左右フレーム32,33が保持位置に位置決めされると、左右フレーム32,33を保持位置に解放可能にそれぞれ固定する左右ラチェット機構37,38と、をさらに備えている。
これによれば、一旦位置決めされた左右フレーム32,33を左右ラチェット機構37,38により確実にその位置に位置決めすることができる。
また、本実施形態に係る介助ロボット20は、上述した保持部23を備えている。これによれば、上述した保持部23に係る作用・効果を得ることができる介助ロボット20を提供することができる。
また、本実施形態に係る介助ロボット20は、被介助者M1の体の一部(胸部)を支えて起立および着座を補助する保持部23を備えた介助ロボットであって、基台21と、基台21に設けられ駆動部によって互いに相対移動が可能である複数のアーム22a,22b,22cを備えたロボットアーム部22と、ロボットアーム部22の先端部に設けられ被介助者M1を支える保持部23と、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合において、被介助者M1の移動制御部位Psが通過する起立軌跡Tas1を示す起立軌跡用基準データと、保持部23に支えられて起立している被介助者M1を着座させる場合において、起立軌跡Tas1と異なる軌跡であって被介助者M1の移動制御部位Psが通過する着座軌跡を示す着座軌跡用基準データと、を記憶した記憶装置26(記憶部)と、駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データに基づいて駆動する駆動制御部27dと、を備えている。
これによれば、起立軌跡用基準データを健常者の起立軌跡に相当するデータに設定することが容易となるため、被介助者M1の移動制御部位Ps(例えば肩位置)が起立軌跡Tas1に沿うように被介助者M1を起立させる場合、健常者の起立軌跡に相当する起立軌跡用基準データに基づいてロボットアーム部22を駆動させることが可能となる。したがって、被介助者M1は介助なしで起立するときと同様な感覚(フィーリング)で起立を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、起立させることができる。
一方、一般的に健常者の着座軌跡は起立軌跡と異なっているが、健常者の着座軌跡に相当するデータとなるように着座軌跡用基準データを設定することが容易となるため、被介助者M1の移動制御部位Psが着座軌跡Tbs1に沿うように被介助者M1を起立させる場合、健常者の着座軌跡に相当する着座軌跡用基準データに基づいてロボットアーム部22を駆動させることが可能となる。したがって、被介助者M1は介助なしで着座するときと同様な感覚(フィーリング)で着座を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、着座させることができる。
また、被介助者M1の上半身幅に応じて起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データを補正する補正部27cをさらに備え、駆動制御部27dは、駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を、補正部27cによって補正された起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データに基づいて駆動する。これにより、被介助者M1の上半身幅が異なってもそれに応じて適切な起立軌跡および着座軌跡に沿って、被介助者M1を起立させたり着座させたりすることができる。起立軌跡最終点は、保持部23の下降量分だけ下降した座標となっている。
(保持位置調整機構の第1変形例)
なお、上述した実施形態において、保持位置調整機構34は、一対の左ガイドレール34a1,34a2および一対の右ガイドレール34b1,34b2と、一対の左スライダ34c1,34c2および一対の右スライダ34d1,34d2と、を備えて構成するようにしたが、保持位置調整機構134は、カム機構によって構成するようにしてもよい。
具体的には、図14に示すように、保持位置調整機構134は、ベースフレーム131の左右部にそれぞれ形成された左右カム134aと、左右フレーム132の取付端側にそれぞれ設けられ左右カム134aの各カム面にそれぞれ接触しながら移動する左右接触部134cと、を備え、左右カム134aの各カム面は、左右フレーム132が下方に移動するにつれてベースフレーム131の中央部に向けてそれぞれ移動するように形成されている。なお、右半分は左半分と対象であるため、その説明を省略する。
ベースフレーム131の左端上下部には、支持部131a,131bが形成されている。支持部131a,131bは、左シャフト131cの上下端を回転不能に固定している。左シャフト131cの外周面には、左カム134aである左カム溝が形成されている。左フレーム132の内側端(取付端側)には、左シャフト131cに回転可能に外嵌する筒部132aが設けられている。筒部132aの内周面には、左カム溝134aの内壁面(カム面)に接触しながら移動する左接触部134cである係合凸部が設けられている。左フレーム132の筒部132aの全長は、左シャフト131cの全長より短くなるように設定されている。筒部132aひいては左フレーム132は左シャフト131cに対して回転しながら上下動する。
このような構成によれば、左右フレーム132に被介助者M1の体重がかかると、被介助者M1の荷重による下方の押圧力を受けた左右フレーム132が、その押圧力の左カム溝134aの内壁面に沿った成分によって左カム溝134aの内壁面に沿って下降する。これにより、左右フレーム132がベースフレーム131の中央部に向けてそれぞれ移動する。そして、左右フレーム132がそれぞれ被介助者M1の体に接触して位置決めされることにより左右フレーム132の保持位置が自動的に調整される。
このように、左右フレーム132に被介助者M1の体重がかかると、左右フレーム132がベースフレーム131の中央部に向けてそれぞれ確実に移動することができるため、簡単な構成で、左右フレーム132を確実に移動させることができる。
また、本第1変形例においては、保持部23は、左右フレーム132をベースフレーム131の中央部に向けて押圧する各押圧力に抗してそれぞれ付勢する左右付勢装置135と、左右フレーム132の移動方向をベースフレーム131の中央部方向のみに制限し、左右フレーム132が保持位置に位置決めされると、左右フレーム132を保持位置に解放可能にそれぞれ固定する左右ラチェット機構137と、をさらに備えている。
左付勢装置135は、ねじりコイルスプリングで構成されており、コイル部が左シャフト131cに挿入され、一端がベースフレーム131に係止され、他端が左フレーム132に係止されている。左付勢装置135は、左フレーム132が拡開するように付勢している。左ラチェット機構137は、歯車状のラチェット歯137aと、一端にラチェット歯137aと離脱可能に係合する爪が設けられ、他端にレリーズレバー139の一端が接続された左ラチェットレバー137bとを備えている。レリーズレバー139は固定ピン139aによってベースフレーム131に回転可能に固定されている。左ラチェット歯137aと左ラチェットレバー137bの爪との係合は、レリーズレバー139を付勢力に抗して左側に押動することにより解放される。
なお、上述した変形例においては、左右カム134aが、ベースフレーム131の左右部にそれぞれ形成され、左右接触部134cが、左右フレーム132の取付端側にそれぞれ設けられ左右カム134aの各カム面にそれぞれ接触しながら移動するように構成されたが、左右カムを左右フレームの取付端側にそれぞれ設け、左右接触部をベースフレームの左右部にそれぞれ形成するようにしてもよい。
さらに、カム機構によって構成されている保持位置調整機構134の他の変形例を図15を参照して説明する。上述した変形例においては、左カム134aであるカム溝が左シャフト131cの外周面に設けられ、左右接触部134cである係合凸部が筒部132aの内周面に設けられていた。これに対して、本他の変形例においては、左カム234aである円筒カムが左シャフト131cの下端を固定する支持部131bに設けられ、左右接触部234cである係合凸部が筒部132aの下端に凸設されている。左フレーム132の取付端側にそれぞれ設けられ左右カム234aの各傾斜面にそれぞれ接触しながら移動する係合凸部(左右接触部234c)と、を備え、左右カム234aの各カム面は、左右フレーム132が下方に移動するにつれてベースフレーム131の中央部に向けてそれぞれ移動するように形成されている。
このような構成によれば、左右フレーム132に被介助者M1の体重がかかると、被介助者M1の荷重による下方の押圧力を受けた左右フレーム132が、その押圧力の左円筒カム234aの傾斜面(カム面)に沿った成分によって左円筒カム234aの傾斜面に沿って下降する。
(保持位置調整機構の第2変形例)
さらに、上述した実施形態において、保持位置調整機構34は、一対の左ガイドレール34a1,34a2および一対の右ガイドレール34b1,34b2と、一対の左スライダ34c1,34c2および一対の右スライダ34d1,34d2と、を備えて構成するようにしたが、保持位置調整機構334は、リンク機構によって構成するようにしてもよい。
具体的には、図16に示すように、保持位置調整機構334は、複数のリンク334a1,334a2によりそれぞれ構成され、かつ、各一端が左右フレーム332に上下動可能に取り付けられるとともに各他端がベースフレーム331に取り付けられている左右リンク機構334aを備え、左右リンク機構334aは、左右フレーム332が下方に移動するにつれてベースフレーム331の中央部に向けてそれぞれ移動するように構成されている。なお、右半分は左半分と対象であるため、その説明を省略する。
リンク334a1の一端は、固定ピン334a1aを介して左フレーム332の固定部332aに回転可能に取り付けられている。リンク334a2の一端は、固定ピン334a2aを介して左フレーム332の固定部332bに回転可能に取り付けられている。左フレーム332の一対の固定部332a,332bは、左フレーム332の内側端から所定の角度をなして延在されている。リンク334a1の他端は、固定ピン334a1bを介してベースフレーム331に回転可能に取り付けられている。リンク334a2の他端は、固定ピン334a2bを介してベースフレーム331に回転可能に取り付けられている。
このような構成によれば、左右フレーム332に被介助者M1の体重がかかると、被介助者M1の荷重による下方の押圧力を受けた左右フレーム332が、リンク334a1,334a2の各固定ピン334a1b,334a2b回りに下降する(図16にて一点破線で示す)。これにより、左右フレーム332がベースフレーム331の中央部に向けてそれぞれ移動する。そして、左右フレーム332がそれぞれ被介助者M1の体に接触して位置決めされることにより左右フレーム332の保持位置が自動的に調整される。
このように左右フレーム332に被介助者M1の体重がかかると、左右フレーム332がベースフレーム31の中央部に向けてそれぞれ確実に移動することができるため、簡単な構成で、左右フレーム332を確実に移動させることができる。
また、本第2変形例においては、保持部23は、左右フレーム332をベースフレーム331の中央部に向けて押圧する各押圧力に抗してそれぞれ付勢する左右付勢装置335と、左右フレーム332の移動方向をベースフレーム331の中央部方向のみに制限し、左右フレーム332が保持位置に位置決めされると、左右フレーム332を保持位置に解放可能にそれぞれ固定する左右ラチェット機構337と、をさらに備えている。
左付勢装置335は、ねじりコイルスプリングで構成されており、コイル部が固定ピン334a2bに挿入され、一端がベースフレーム331に係止され、他端がリンク334a2に係止されている。左付勢装置335は、リンク334a2が時計回りに方向に付勢している。左ラチェット機構337は、リンク334a2の他端側に固定された歯車状のラチェット歯337aと、一端にラチェット歯337aと離脱可能に係合する爪が設けられ、他端にレリーズレバー339の一端が接続された左ラチェットレバー337bとを備えている。左ラチェット歯337aと左ラチェットレバー337bの爪との係合は、レリーズレバー339を付勢力に抗して上方に押動することにより解放される。