以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。また、「酸(無水物)」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。
また、本発明において「全固形分」とは、感光性樹脂組成物中又は後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
また、本発明において、数平均分子量、及び、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の、数平均分子量(Mn)、及び、重量平均分子量(Mw)をさす。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定により算出される。
また、本発明において、「カルボン酸残基」とは、カルボン酸化合物から全てのカルボキシル基を除いた後に残る基を意味する。例えば、A−COOHで表されるカルボン酸化合物におけるカルボン酸残基は、Aで表される1価の基を意味する。同様に、「多価アルコール残基」とは、多価アルコール化合物から全ての水酸基を除いた後に残る基を意味する。また、「多価メチロール残基」とは、多価メチロール化合物から全てのメチロール基(−CH2−OH基)を除いた後に残る基を意味する。
また、本明細書において、結合手を「*」を用いて示す場合がある。また、本明細書において数値範囲を「〜」を用いて示す場合があるが、上限値及び下限値を含む数値範囲を意味する。
<樹脂(a−1)>
本発明の樹脂(以下、「樹脂(a−1)」と称することがある。)は、少なくとも下記式(I)で表される部分構造及び下記式(II)で表される部分構造を含むことを特徴とする。
樹脂(a−1)は、下記式(II)のような嵩高い構造を有し、また、下記式(I)のようなエチレン性不飽和基の構造を有しているため、耐薬品性または耐吸湿性といった硬化物特性に優れる傾向がある。
上記式(I)中、R12は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基である。
上記式(II)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子6〜20のアリール基、又は、炭素原子7〜20のアラルキル基、であり、R5は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、炭素数7〜20アラルキル基であり、kは1〜5の整数であり、lは0〜13の整数である。
また、*はそれぞれ独立に結合手である。
[式(I)で表される部分構造]
前記式(I)で表される部分構造におけるR12は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基である。
式(I)におけるR12のアルキル基の炭素数は、通常1以上であり、また、6以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。炭素数が前記範囲にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノナン−1−イル基およびデカン−1−イル基が挙げられる。これらの中でもメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、又はシクロヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、1−プロピル基、又は2−プロピル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
また、式(I)におけるR12のアリール基の炭素数は、通常6以上であり、また、通常20以下であり、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
炭素数が前記範囲にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。具体的には、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
また、式(I)におけるR12のアラルキル基の炭素数は、通常7以上であり、また、通常20以下であり、15以下が好ましく、11以下がより好ましい。炭素数が前記範囲にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。具体的には、ベンジル基、又はメチレンナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
式(I)におけるR12としては、これらの中でも、水素原子、又は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが、本発明の特性が最も発現される傾向があることから特に好ましい。
樹脂(a−1)において、前記式(I)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、樹脂(a−1)の全質量に対し、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
前記範囲内の場合には耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
[式(II)で表される部分構造]
前記式(II)で表される部分構造中のシクロアルキリデン基におけるkは1〜5の整数であり、好ましくは2以上の整数であり、また、好ましくは4以下の整数であり、より好ましくは3である。
前記範囲内である場合には、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向がある。また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、前記下限値以上の場合にはその嵩高さによる効果が良好に発現できる傾向があり、また、前記上限値以下の場合には他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
シクロアルキリデン基の具体例としては、シクロウンデシリデン基、シクロドデシリデン基、又はシクロトリデシリデン基が好ましく、特にシクロドデシリデン基が好ましい。
前記式(II)で表される部分構造中のシクロアルキリデン基が有していてもよい置換基であるR5は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基である。
R5のアルキル基の炭素数は通常1以上であり、また、通常20以下であり、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、3以下がよりさらに好ましく、2以下が特に好ましい。炭素数が前記範囲内にあることにより耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノナン−1−イル基、デカン−1−イル基、ウンデカン−1−イル基、ドデカン−1−イル基、トリデカン−1−イル基、テトラデカン−1−イル基、ペンタデカン−1−イル基、ヘキサデカン−1−イル基、ヘプタデカン−1−イル基、オクタデカン−1−イル基、ノナデカン−1−イル基、イコサン−1−イル基が挙げられる。
これらの中でもメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、又はシクロヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、1−プロピル基、又は2−プロピル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
R5のアリール基の炭素数は通常6以上であり、また、通常20以下であり、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。炭素数が前記範囲内にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。具体的には、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
R5のアラルキル基の炭素数は通常7以上であり、また、通常20以下であり、15以下であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、9以下であることがさらに好ましい。炭素数が前記範囲内にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。具体的には、ベンジル基、又はメチレンナフチル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
これらの中でも、R5が、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、樹脂の特性が最も発現される観点からメチル基であることがより好ましい。
また、前記式(II)式中の、シクロアルキリデン基が有していてもよい置換基R5の数であるlは、0〜13の整数であり、好ましくは4以下の整数であり、より好ましくは2以下の整数である。特に、lが0である場合、つまり、置換基が無い場合が特に好ましい。前記範囲内であることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
なお、lが2以上の整数である場合には、R5同士は同じものであっても異なるものであってもよく、また、置換位置も同じであっても異なっていてもよい。
また、前記式(II)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子6〜20のアリール基、又は、炭素原子7〜20のアラルキル基である。
前記式(II)中、R1〜R4におけるアルキル基の炭素数は、通常1以上であり、また、通常20以下であり、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、3以下であることがよりさらに好ましく、2以下であることが特に好ましい。炭素数が前記範囲内にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノナン−1−イル基、デカン−1−イル基、ウンデカン−1−イル基、ドデカン−1−イル基、トリデカン−1−イル基、テトラデカン−1−イル基、ペンタデカン−1−イル基、ヘキサデカン−1−イル基、ヘプタデカン−1−イル基、オクタデカン−1−イル基、ノナデカン−1−イル基およびイコサン−1−イル基が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、又はシクロヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、1−プロピル基、又は2−プロピル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記式(II)中、R1〜R4におけるアリール基の炭素数は、通常6以上であり、また、通常20以下であり、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。炭素数が前記範囲内にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。具体的には、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記式(II)中、R1〜R4におけるアラルキル基の炭素数は、通常7以上であり、また、通常20以下であり、15以下が好ましく、11以下がより好ましく、9以下がさらに好ましい。炭素数が前記範囲内にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。具体的には、ベンジル基、又はメチレンナフチル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
前記式(II)中、R1〜R4は同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
これらの中でも、耐熱性の観点からはR1〜R4が水素原子であることが好ましく、また、耐薬品性の観点からはメチル基であることが好ましい。
前記式(II)におけるR1〜R4の置換位置は特に限定されないが、例えば下記式(II’)におけるb〜fの位置のいずれかが挙げられ、R1〜R4がそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子6〜20のアリール基、又は、炭素原子7〜20のアラルキル基である場合、その置換位置はそれぞれ独立にb、c、e、及びfのいずれかの位置であることが好ましく、b又はfの位置であることがより好ましい。
また、前記式(II)において、シクロアルキリデン基の置換位置は下記式(II’)におけるb〜fの位置のいずれであってもよいが、シクロアルキリデン基に基づく耐熱性を効率的に得るとの観点からは、好ましくはdの位置である。
上記式(II’)において、R1〜R5、k及びlは、前記式(II)における定義と同義である。
前記式(II)の部分構造の具体例としては、下記のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。なお、下記の化学式中の、シクロアルキリデン基内に記載した数値は、該シクロアルキリデン基の炭素数を示す。
これらの中でも、前記式(II)の部分構造としては、(A−1―9)〜(A−1―12)及び(A−1―33)〜(A−1―40)から選ばれるいずれかが好ましく、(A−1―9)〜(A−1―12)から選ばれるいずれかがより好ましく、(A−1―9)〜(A−1―11)から選ばれるいずれかがさらに好ましく、(A−1―9)が特に好ましい。
前記式(II)の部分構造がこれらの構造であることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合において、他の成分との相溶性が良好になる傾向があり、樹脂の特性が良好に発現される傾向にある。
また樹脂(a−1)は、(A−1−1)の部分構造を含む構造として、以下の(A−1−29)〜(A−1−32)から選ばれるいずれかの構造を含んでいてもよい。
本発明において前記一般式(II)の部分構造は、前記一般式(II)を満足する限り1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上のものを併用して用いてもよい。
樹脂(a−1)において、前記式(II)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。前記範囲内の場合には耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
[式(III)で表される部分構造]
樹脂(a−1)において、前記式(II)で表される部分構造は、下記式(III)で表される部分構造であることが好ましい。
上記式(III)中、R1〜R4は前記式(II)と同義である。また、*はそれぞれ独立に結合手である。
前記式(II)で表される部分構造が前記式(III)で表される部分構造であることが好ましい理由としては、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があること、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合に他の成分との相溶性の良さと、シクロアルキリデン基の嵩高さに起因する効果とのバランスが優れる傾向があること、取扱い性が良好となる傾向があることなどが挙げられる。
樹脂(a−1)中に含まれる前記式(III)で表される部分構造は、1種類でもよく、2種類以上であってもよい。また、樹脂(a−1)中に、前記式(III)を満足せず、かつ、前記式(II)を満足する部分構造が含まれていてもよい。
樹脂(a−1)中において、前記式(II)で表される部分構造に占める、前記式(III)で表される部分構造の含有割合は、樹脂の特性が良好に発現されやすいとの観点からは、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上がよりさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、また、通常100質量%以下である。
(式(IV)で表される部分構造)
樹脂(a−1)は、前記式(I)で表される部分構造及び前記式(II)で表される部分構造として、下記式(IV)で表される部分構造を含むことが好ましい。つまり、前記式(I)及び(II)で表される部分構造を含む樹脂が、下記式(IV)で表される部分構造を含む樹脂であることが好ましい。
上記式(IV)中、R11は各々独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0〜5の整数である。また、R1〜R5、k及びlは前記式(II)と同義である。また、R12は各々独立に前記式(I)と同義である。また、*はそれぞれ独立に結合手である。
前記式(IV)で表される部分構造を含むことが好ましい理由としては、該部分構造が嵩高いシクロアルキリデン基を有しており、耐薬品性が良好となる傾向があることや、更に、前記式(I)で表される部分構造が、嵩高いシクロアルキリデン基から離れて存在していることにより、それによる立体障害の影響が小さく、紫外線照射または高熱により架橋しやすくなり、前記硬化特性がさらに大きくなる傾向があることが挙げられる。また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、架橋反応の向上に伴い感度が良好となり、アルカリ現像液による耐性が良好となる傾向があることが挙げられる。
上記式(IV)中のR11のアルキレン基における炭素数は、通常1以上であり、2以上であることが好ましく、また、通常5以下である。前記範囲内にあることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、本発明の樹脂の効果が良好に発現できる傾向がある。また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、前記下限値以上の場合には、シクロアルキリデン基による立体障害の影響が小さくなる傾向があり、また、前記上限値以下の場合には他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。
R11のアルキレン基は、直鎖でも枝分かれしていてもよい。具体的には、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,2−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,2−ペンチレン基、1,3−ペンチレン基、又はシクロペンチレン基が好ましく、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,2−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,2−ペンチレン基、又は1,3−ペンチレン基がより好ましい。
また、前記式(IV)中、mは0〜5の整数であり、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。前記範囲内の場合には、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、樹脂(a−1)の効果が良好に発現できる傾向がある。また、樹脂(a−1)を感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、シクロアルキリデン基の立体障害の影響が小さくなる傾向があり、また、他の成分との相溶性が良好になる傾向がある。また、mが2以上の整数の場合、R11は同じでも異なっていてもよい。
また、前記式(IV)中の*はそれぞれ独立に結合手である。例えば、該結合手は水素原子と結合するか、後述の式(VI)及び/又は式(VII)の結合手と結合することができる。
樹脂(a−1)中に含まれる前記式(IV)で表される部分構造は、1種類単独でもよく、2種類以上でもよい。
樹脂(a−1)における、前記式(IV)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。前記範囲内の場合には耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像液への耐性が良好になる傾向がある。
[式(V)で表される部分構造]
樹脂(a−1)において、前記式(IV)の部分構造は、下記式(V)で示される部分構造であることが好ましい。
上記式(V)中、R1〜R4、R11、R12及びmは各々独立に前記式(IV)と同義である。また、*はそれぞれ独立に結合手である。
前記式(V)で表される部分構造が好ましい理由としては、シクロアルキリデン基がシクロドデシリデン基であることにより、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、本発明の樹脂の効果が最も良好に発現できる傾向があることが挙げられる。また、感光性樹脂組成物中の樹脂として樹脂(a−1)を用いた場合には、シクロドデシリデン基の嵩高さによってアルカリ現像液に対する耐性が良好になる傾向があり、また、前記式(I)で表される部分構造に対する立体障害の影響も小さくなり、感度またはアルカリ現像液に対する耐性が良好になる傾向がある。
樹脂(a−1)中に含まれる前記式(V)で表される部分構造は、1種類単独でもよく、2種類以上でもよい。また、樹脂(a−1)は、前記式(V)を満足せず、かつ、前記式(IV)を満足する部分構造を含んでいてもよい。
樹脂(a−1)中に含まれる前記式(IV)で表される部分構造に占める、前記式(V)で表される部分構造の含有割合は、本発明の特性がよく発現されやすいとの観点からは、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上がよりさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。また、通常100質量%以下である。
また、前記式(V)中の*はそれぞれ独立に結合手である。例えば、該結合手は水素原子と結合するか、後述の式(VI)及び/又は式(VII)の結合手と結合することができる。
[式(VI)、式(VII)で表される部分構造]
樹脂(a−1)は、さらに下記式(VI)で表される部分構造及び/又は下記式(VII)で表される部分構造を含むことが好ましい。
上記式(VI)中、Xは2価のカルボン酸残基である。また、上記式(VII)中、Yは4価のカルボン酸残基である。また、*はそれぞれ独立に結合手である。
樹脂(a−1)が前記式(VI)で表される部分構造を含有する、つまり、樹脂(a−1)が少なくとも1つのカルボキシル基を有することにより、基板に樹脂(a−1)をコーティングした際に、極性基のカルボキシル基による基板との密着性を向上させることができる傾向がある。また、樹脂(a−1)を感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像時の溶解性の調整が容易となり、また、基板への密着性が向上する傾向がある。
前記式(VI)中のXは、2価のカルボン酸残基であれば、特に制限はされないが、後に合成のところで述べるように、合成の容易さの観点からは、2塩基酸無水物(ジカルボン酸無水物)の2価のカルボン酸残基であることが好ましい。
2価のカルボン酸残基としては例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族又は芳香族の炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素とを連結させたものでもよい。また、直鎖又は分岐鎖の鎖状の炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよい。炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、基板密着性と耐薬品性向上の観点からは、通常1以上であり、好ましくは2以上であり、また、通常20以下であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、エーテル基、カルボニル基などが挙げられるが、無置換であることが好ましい。
具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の2価のカルボン酸残基が好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水コハク酸の2価のカルボン酸残基がさらに好ましい。これらの2塩基酸無水物の2価のカルボン酸残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Xを上記のものとすることで、基板密着性と耐薬品性が向上する傾向がある。また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像時の溶解性の調整が容易となり、基板への密着性が向上する傾向がある。
前記式(VI)で表される部分構造の具体例としては、以下のものが挙げられるが、前記式(VI)の構造を有していれば以下のものに限定されず、本発明に適用される。
また、樹脂(a−1)が前記式(VII)で表される部分構造を含有する、つまり、樹脂(a−1)が少なくとも2つのカルボキシル基を有することにより、基板密着性と耐薬品性が向上する傾向がある。また、樹脂(a−1)を感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像時の溶解性の調整が容易となり、また、基板への密着性が向上する傾向がある。
また、前記式(VII)で表される部分構造は結合手を2個有しているため、エチレン性不飽和基を有する前記式(IV)又は(V)で表される部分構造を2個以上含有する場合には、分子量を増大でき、また、それとともにエチレン性不飽和基の含有量を増大でき、硬化する際には架橋反応も増大でき、基板密着性と耐薬品性を向上できると思われる。
前記式(VII)中のYは、4価のカルボン酸残基であれば、特に制限はされないが、後述のように合成の容易さの観点からは、4塩基酸無水物(テトラカルボン酸無水物)の4価のカルボン酸残基であることが好ましい。
4価のカルボン酸残基としては例えば、置換基を有していてもよい4価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
また、炭化水素基としては、脂肪族又は芳香族の炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素とを連結させたものでもよい。また、直鎖又は分岐鎖の鎖状の炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよい。炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、基板密着性と耐薬品性向上の観点からは、通常1以上であり、好ましくは5以上であり、また、通常20以下であり、好ましくは15以下である。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、エーテル基、カルボニル基などが挙げられるが、無置換であることが好ましい。
具体的には、例えば、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等の4価のカルボン酸残基が好ましく、ビフェニルテトラカルボン酸無水物の4価のカルボン酸残基がさらに好ましい。これらの4塩基酸無水物の4価のカルボン酸残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Yを上記のものとすることで、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性が向上する傾向がある。また、樹脂(a−1)を感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像時の溶解性の調整が容易となり、画像部のアルカリ耐性が良好となり、基板への密着性が向上する傾向がある。
前記式(VII)で表される部分構造の具体例としては、以下のものが挙げられるが、前記式(VII)の構造を有していれば特に限定されずに本発明に適用される。
樹脂(a−1)は、上述の部分構造の他、多塩基酸無水物から誘導される式(VI)で表される部分構造及び/又は式(VII)で表される部分構造と類似の部分構造を含んでいてもよい。その中でも3塩基酸無水物から誘導される下記式(VI’)で表される部分構造を含有する場合が好ましい。
上記式(VI’)中、X’は3価のカルボン酸残基である。また、*は結合手を表す。
樹脂(a−1)が前記式(VI’)で表される部分構造を含有する、つまり、樹脂(a−1)が少なくとも2つのカルボキシル基を有することにより、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性が向上する傾向がある。また、樹脂(a−1)を感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像時の溶解性の調整が容易となり、また、基板への密着性が良好となる傾向がある。
前記式(VI’)中のX’は、3価のカルボン酸残基であれば特に制限はされないが、後述のように合成の容易さの観点からは、3塩基酸無水物(トリカルボン酸無水物)の3価のカルボン酸残基であることが好ましい。
3価のカルボン酸残基としては例えば、置換基を有していてもよい3価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
また、炭化水素基としては、脂肪族又は芳香族の炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素とを連結させたものでもよい。また、直鎖又は分岐鎖の鎖状の炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよい。炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、基板密着性と耐薬品性向上の観点からは、通常1以上であり、好ましくは5以上であり、また、通常20以下であり、好ましくは15以下である。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、エーテル基、カルボニル基などが挙げられるが、無置換であることが好ましい。
具体的には、例えば、無水トリメリット酸、無水ヘキサヒドロトリメリット酸などの3価のカルボン酸残基であることが好ましく、無水トリメリット酸の3価のカルボン酸残基がさらに好ましい。これらの3塩基酸無水物の3価のカルボン酸残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
X’を上記のものとすることで、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性が向上する傾向がある。また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像時の溶解性の調整が容易となり、基板への密着性が向上する傾向がある。
前記式(VI)で表される部分構造、前記式(VI’)で表される部分構造、又は前記式(VII)で表される部分構造中の結合手*は、例えば、それぞれ独立に前記式(IV)又は(V)で表される部分構造中の結合手*と結合したものとすることができる。
また、前記式(IV)で表される部分構造又は前記式(V)で表される部分構造中の結合手*は、例えば、それぞれ独立に水素原子或いは前記式(VI)で表される部分構造及び/又は前記式(VII)で表される部分構造中の結合手*と結合したものとすることができる。
前記式(VI)で表される部分構造、前記式(VI’)で表される部分構造、又は前記式(VII)で表される部分構造の中では、前記式(VII)で表される部分構造が好ましい。これらの中でも前記式(VII)で表される部分構造を単独で含有する場合、前記式(VII)で表される部分構造の結合手と、前記式(IV)で表される部分構造の結合手とが結合している割合は、前記式(IV)中の結合手*の総数を100%として、通常10〜90%、好ましくは20〜85%、より好ましくは30〜80%である。前記式(VII)中の結合手と結合していない前記式(IV)中の結合手は例えば、水素原子と結合することができる。
前記式(IV)中の結合手のうち、前記式(VII)中の結合手と結合している割合を上記範囲内とすることで、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性が良好となり、また、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた場合には、アルカリ現像液に対する溶解性、基板への密着性が良好となる傾向がある。
なお、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性の観点から本発明の樹脂は、前記式(VII)で表される部分構造に加えて、前記式(VI)で表される部分構造を含むことが好ましい。
樹脂(a−1)が、前記式(VI)で表される部分構造及び前記式(VII)で表される部分構造をともに含有している場合、その含有比率(モル比)は70:30〜1:99であることが好ましく、60:40〜1:99であることがより好ましい。
また、前記式(VI)で表される部分構造及び前記式(VII)で表される部分構造の総含有量に対する、前記式(VI)で表される部分構造の含有量は、1モル%以上であることが好ましく、また、70モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。
また、前記式(VI)で表される部分構造及び前記式(VII)で表される部分構造の総含有量に対する、前記式(VII)で表される部分構造の含有量は、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、また、99モル%以下であることが好ましい。
前記式(VII)で表される部分構造含有比率を前記下限値以上とすることで、得られる塗膜の膜物性の低下を抑制できる傾向があり、また、前記式(VI)で表される部分構造の含有割合を前記下限値以上とすることで、得られる樹脂溶液の粘度の増大を抑制し、取り扱い性が良好となる傾向がある。
また、前記式(VI)で表される部分構造及び前記式(VII)で表される部分構造と、前記式(VI’)で表される部分構造をともに含有する場合、前記式(VI’)で表される部分構造の含有量は特に限定されないが、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性の観点から、前記式(VI’)で表される部分構造の結合手と前記式(IV)で表される部分構造の結合手とが結合している割合は、前記式(IV)中の結合手*の総数を100%として、通常5〜70%、好ましくは10〜40%である。
前記式(VII)で表される部分構造及び前記式(VI)で表される部分構造を含有する場合、或いは、前記式(VI)で表される部分構造及び前記式(VII)で表される部分構造と、前記式(VI’)で表される部分構造を含有する場合、前記式(IV)中の結合手*の総数を100%として、そのうち前記式(VI)、(VI’)及び(VII)の結合手と結合している割合は、通常10〜90%、好ましくは20〜85%、より好ましくは30〜80%である。
前記式(IV)中の結合手*のうち、前記式(VI)、(VI’)及び(VII)中の結合手*と結合していない結合手*は、例えば水素原子と結合したものとすることができる。前記範囲内とすることで、基板密着性および耐薬品性などの硬化特性が良好となる傾向がある。
前記式(VI)及び前記式(VII)中の結合手である*は、それぞれ独立に、前記式(IV)又は(V)中の結合手である*と結合することができる。また、前記式(IV)又は(V)中の結合手である*は、それぞれ独立に、水素原子、前記式(VI)中の結合手である*、又は前記式(VII)中の結合手である*と結合することができる。このように、本発明の樹脂には、さまざまな態様が挙げられる。
前記式(V)中の結合手である*と、水素原子、前記式(VI)中の結合手である*、又は前記式(VII)中の結合手である*とが結合した場合における部分構造の主な具体例を以下に挙げる。前記式(V)に代えて、前記式(IV)を用いた場合においても、同様の例を挙げることができる。
なお、前記(A−2−6)において、その結合手である*がさらに前記式(V)中の結合手である*と結合してもよい。つまり、前記式(VII)で表される部分構造を連結基として、前記式(V)で表される部分構造を複数連結させてもよい。
前述のとおり、樹脂(a−1)は前記式(VI)及び/又は前記式(VII)で表される部分構造以外に、前記式(VI’)で表される部分構造を含有することも好ましい。前記式(VI’)中の結合手である*も、前記式(IV)及び/又は前記式(V)中の結合手である*と結合することができる。
前記式(V)中の結合手である*と、前記式(VI’)中の結合手である*とが結合した場合における部分構造の主な具体例を以下に挙げる。前記式(V)に代えて、前記式(IV)を用いた場合においても、同様の例を挙げることができる。
これらの具体例のうち、前記式(VII)で表される部分構造を有する前記(A−2−3)、(A−2−5)、(A−2−6)、又は(A−2−9)の部分構造を含有する構造が好ましい。特に前記式(VII)で表される部分構造を2個有する(A−2−6)の部分構造、又は前記式(VII)で表される部分構造及び前記式(VI)で表される部分構造を有する(A−2−5)の部分構造が好ましい。
その理由としては、前記式(VII)で表される部分構造を含有することにより、前記式(VII)中の結合手である*が、さらに前記式(IV)で表される部分構造又は(V)で表される部分構造と結合することで分子量が増大し、また、エチレン性不飽和基構造の含有量も増大し、さらに、カルボキシル基の含有量も増大することにより、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性の向上が良好になる傾向があることが挙げられる。
また、前記式(IV)又は(V)中の結合手である*は、それぞれ独立に、水素原子、前記式(VI)中の結合手である*、前記式(VI’)中の結合手である*、又は前記式(VII)中の結合手である*以外に、他の多塩基酸無水物から誘導される部分構造の結合手とも、本発明の効果に悪い影響を及ぼさない範囲で結合してもよい。
[式(VIII)で表される部分構造]
樹脂(a−1)は、前記式(I)〜(VII)の部分構造以外に、下記式(VIII)で表される部分構造を有することが好ましい。
上記式(VIII)中、Zは多価アルコール残基である。nは2〜8の整数である。また、*は結合手を表す。
樹脂(a−1)が前記式(VIII)で表される部分構造を含有することにより、樹脂(a−1)の分子量を増大させることができ、また、カルボキシル基及びエチレン性不飽和基の導入量を増大させることができ、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性をさらに向上させることができる傾向がある。
前記式(VIII)におけるnは2〜8の整数であり、4以下の整数であることが好ましい。nが前記範囲内であることにより、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性がさらに向上する傾向がある。
前記式(VIII)中のZは多価アルコール残基であり、具体的には、1,2,3−プロパントリオールなどのアルコール残基や、後に記述する糖アルコールなどの多価アルコール残基があげられるが、前記式(VIII)を満足するものであれば特に限定されず用いることができる。
多価アルコール残基としては例えば、置換基を有していてもよいn価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
また、炭化水素基としては、脂肪族又は芳香族の炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素とを連結させたものでもよい。また、直鎖又は分岐鎖の鎖状の炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよい。炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、基板密着性と耐薬品性向上の観点からは、通常1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、また、通常20以下であり、好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下である。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、エーテル基、カルボニル基などが挙げられるが、無置換であることが好ましい。
前記式(VIII)で表される部分構造の具体例としては、下記式(A−3−1)〜(A−3−4)又は後述の式(IX)の部分構造が挙げられる。これらの中で下記式(A−3−1)又は後述の式(IX)の部分構造を有する場合が、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性の観点からは、より好ましい。
[式(IX)で表される部分構造]
本発明の樹脂は、前記式(VIII)で表される部分構造として、下記式(IX)で表される部分構造を含有していていもよい。
上記式(IX)中、Z’は多価メチロール残基である。n’は2〜6の整数である。また、*は結合手を表す。
前記式(IX)におけるn’は2〜6の整数であるが、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性の観点からは2〜4の整数であることが好ましい。
前記式(IX)中のZ’は多価メチロール残基であり、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、又はトリメチロールエタンの多価メチロール残基であることが好ましく、前記式(IX)を満足する限り他のものを用いてもよい。前記式(IX)で表される部分構造の具体例を以下に挙げる。
前記式(VIII)で表される部分構造及び/又は前記式(IX)で表される部分構造の中でも、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性の観点からは、(A−3−1)及び(A−3−5)〜(A−3−8)から選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。
また、多価メチロール残基としては例えば、置換基を有していてもよいn’価の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族又は芳香族の炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素とを連結させたものでもよい。また、直鎖又は分岐鎖の鎖状の炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよい。炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、基板密着性と耐薬品性向上の観点からは、通常1以上であり、好ましくは2以上であり、また、通常20以下であり、好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下であり、特に好ましくは5以下である。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、エーテル基、カルボニル基などが挙げられるが、無置換であることが好ましい。
前記式(VIII)で表される部分構造及び/又は前記式(IX)で表される部分構造としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
前記式(VIII)及び前記式(IX)中の結合手である*は、それぞれ独立に、水素原子、前記式(VI)中の結合手である*、前記式(VII)中の結合手である*、又は前記式(VI’)中の結合手である*と結合することができる。結合の組合せによって、さまざまな態様が挙げられる。
前記式(VIII)及び前記式(IX)中の結合手である*が、前記式(VI)中の結合手である*と結合する場合は、本発明の樹脂(a−1)は、カルボキシル基を少なくとも1個有するものとすることができる。
また、前記式(VIII)及び前記式(IX)中の結合手である*が、前記式(VI’)中の結合手である*と結合する場合は、本発明の樹脂(a−1)は、カルボキシル基を少なくとも2個有するものとすることができる。
前記式(VIII)及び(IX)中の結合手である*が、前記式(VII)中の結合手である*と結合する態様としては、前記式(VII)中の2個の結合手にともに結合する態様と、1個の結合手のみに結合する態様とが挙げられる。
前記式(VII)中の2個の結合手にともに結合する場合は、本発明の樹脂(a−1)を、カルボキシル基を少なくとも2個有するものとすることができるとともに、さらに分岐構造を増大させたものとすることができる。
また、前記式(VII)中の1個の結合手のみに結合する場合は、例えば、前記式(VII)で表される部分構造を有する前記式(A−2−3)、(A−2−5)、(A−2−6)、(A−2−9)の部分構造の結合手と結合することができる。これにより、本発明の樹脂(a−1)の分子量を増大させるとともにカルボキシル基またはエチレン性不飽和基を多く含有させることができる。
また、前記式(VIII)及び(IX)中の結合手である*は、水素原子と結合していてもよい。後述のように、前記式(VIII)及び(IX)で表される部分構造は、多価アルコールから導入することができ、合成過程で多価アルコールの水酸基が未反応の場合は、水素原子と結合した構造となることがあるからである。
これらの中でも、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性の観点からは、前記式(VIII)及び(IX)中の結合手である*が、前記式(A−2−3)、(A−2−5)、(A−2−6)、又は(A−2−9)中の結合手である*と結合したものであることが好ましい。
樹脂(a−1)において、前記式(VIII)で表される部分構造又は前記式(IX)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、前記式(IV)又は(V)で表される部分構造の含有割合を100質量部とした場合、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、また、6質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、4質量部以下であることがさらに好ましい。前記範囲内の場合には、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向がある。
[樹脂(a−1)の物性]
樹脂(a−1)の酸価は、通常10mg−KOH/g以上、好ましくは50mg−KOH/g以上であり、酸価は200mg−KOH/g以下であることが好ましく、150mg−KOH/g以下であることがより好ましい。前記範囲内の場合には、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性が良好に発現される傾向がある。
また、樹脂(a−1)の重量平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることがさらに好ましく、4,000以上であることがよりさらに好ましく、5,000以上であることが特に好ましい。また、40,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましい。前記範囲内の場合には、基板密着性または耐薬品性などの硬化特性が良好に発現される傾向がある。
[樹脂(a−1)の合成]
樹脂(a−1)は、少なくとも
(A−1)下記式(X)で表されるエポキシ基含有化合物と
(A−2)不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸エステル
を反応させることにより得られる樹脂であることが好ましい。
また、基板との密着性またはアルカリ現像時の溶解性の調整の観点から、前記(A−1)と(A−2)との反応により得られる樹脂を、さらに(A−3)多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂であることがより好ましい。
上記式(X)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子6〜20のアリール基、又は、炭素原子7〜20のアラルキル基であり、R5は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、炭素数7〜20アラルキル基であり、R11は炭素数1〜5のアルキレン基である。kは1〜5の整数であり、lは0〜13の整数であり、mは0〜5の整数である。
樹脂(a−1)を合成するには、例えば、まず、(A−1)前記式(X)で表されるエポキシ基含有化合物と(A−2)不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸エステルとを反応させ、反応物(以下、「エポキシアクリレート樹脂」と称する)を得る。
このとき、(A−1)の前記式(X)で表されるエポキシ基含有化合物から、前記式(II)で表される部分構造を得ることができ、また、(A−2)の不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸エステルから、前記式(I)で表される部分構造を得ることができる。また前記エポキシアクリレート樹脂として、前記式(IV)で表される部分構造を含む樹脂を得ることができる。
次いで、前記エポキシアクリレート樹脂と、(A−3)多塩基酸無水物とを反応させ樹脂を得る。このとき、(A−3)多塩基酸無水物から、前記式(VI)、(VI’)、(VII)で表される部分構造を得ることができる。
[(A−1):エポキシ基含有化合物]
前記式(X)中のR1〜R4、R5、R11、及びk、l、mは、前記式(I)〜(IV)と同義であり、前記式(I)〜(V)にて挙げたものが好ましい。
前記式(X)で表されるエポキシ基含有化合物の具体例としては、前記(A−1−1)〜(A−1−20)および(A−1−29)〜(A−1−40)に対応する、下記(A−1−1’)〜(A−1−20’)および(A−1−29’)〜(A−1−40’)のものが挙げられる。ただし、前記式(X)を満足するエポキシ基含有化合物であれば、これらに限定されずに本発明に適用することができる。なお、下記の化学式中の、シクロアルキリデン基内に記載した数値は、該シクロアルキリデン基の炭素数を示す。
前記式(X)で表されるエポキシ基含有化合物としては、前記(A−1―9’)〜(A−1―12’)、(A−1―29’)〜(A−1―40’)から選ばれるいずれかが好ましく、(A−1―9’)〜(A−1―12’)から選ばれるいずれかがより好ましく、(A−1―9’)〜(A−1―11’)から選ばれるいずれかがさらに好ましく、(A−1―9’)が特に好ましい。
エポキシ基含有化合物が上記のものの場合には、樹脂(a−1)は耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、樹脂(a−1)の特性が最も発現される傾向にある。
本発明において前記式(X)で表されるエポキシ含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(X)で表されるエポキシ基含有化合物は、下記式(XI)で表されるエポキシ基含有化合物であることが好ましい。
上記式(XI)中、R1〜R4、R11、及びmは各々独立に前記式(X)と同義である。
前記式(XI)で表される化合物が好ましい理由としては、前述のように、耐薬品性などの硬化特性が良好になる傾向があり、樹脂(a−1)の効果が良好に発現できる傾向があることなどが挙げられ、また、前記式(XI)のエポキシ基含有化合物が取扱いやすく、製造しやすい傾向があることなども挙げられる。
また、前記式(X)及び前記式(XI)の化合物の合成方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば日本国特開2013−253153号公報に記載の方法などを用いることができる。
[(A−2):不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸エステル]
本発明の樹脂(a−1)の合成反応に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸、ケイヒ酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基で置換された(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸;2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸などの、2塩基酸の(メタ)アクリロイロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体;(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
また、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、グリシジルメタクリレートのアクリル酸付加物、グリシジルメタクリレートのメタクリル酸付加物のような水酸基含有不飽和化合物に無水コハク酸、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸などの酸無水物を付加させた化合物も挙げられる。
特に好ましいものは、(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂(a−1)の合成反応には、不飽和カルボン酸に代えて不飽和カルボン酸エステルを用いることができる。例えば、α、β―不飽和モノカルボン酸エステルを用いることもできる。その具体例としては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等を挙げられる。好ましくは、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル又はアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルであり、特にアクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルが好ましい。
前記エポキシ基含有化合物中のエポキシ基と前記不飽和カルボン酸とを反応させる方法としては公知の手法を用いることができる。例えば、前記エポキシ基含有化合物と不飽和カルボン酸とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより、エポキシ基含有化合物にカルボン酸を付加することができる。
前記触媒の使用量は、反応原料混合物(エポキシ基含有化合物と不飽和カルボン酸との合計)に対して好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%である。また反応中の重合を防止するために、重合防止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、tert−ブチルカテコールおよびフェノチアジン等)を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.03〜0.5質量%である。
エポキシ基含有化合物のエポキシ基に不飽和カルボン酸を付加させる割合は、通常、前記エポキシ基に対し90〜100モル%であることが好ましく、95〜100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。エポキシ基の残存は保存安定性に悪影響を与えるため、不飽和カルボン酸は、エポキシ基含有化合物のエポキシ基1当量に対して、通常0.8〜1.5当量、特に0.9〜1.1当量の割合で反応を行うことが好ましい。
以上により、(A−1)の前記式(X)で表されるエポキシ基含有化合物と(A−2)の不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸エステルとの付加反応により、前記式(IV)の部分構造を有するエポキシアクリレート樹脂(以下、「(A−5)エポキシアクリレート樹脂」と称することがある)が得られる。
エポキシ基含有化合物と不飽和カルボン酸との付加反応により、エポキシ基含有化合物にエチレン性不飽和基を導入することができ、それにより紫外線反応性、つまり光硬化性を付与できる。
また、エポキシ基含有化合物と不飽和カルボン酸との付加反応によって生成した水酸基に対して、後述の(A−3)多塩基酸無水物をさらに付加反応させることにより、後述するようにカルボキシル基を導入したり、高分子量化することなどができると考えられる。
[(A−3):多塩基酸無水物]
樹脂(a−1)の合成反応に用いられる多塩基酸無水物としては、2塩基酸無水物、3塩基酸無水物、4塩基酸無水物等を好ましく用いることができる。
2塩基酸無水物からは、前記式(VI)で表される部分構造が得られ、3塩基酸無水物からは前記式(VI’)で表される部分構造が得られ、また、4塩基酸無水物からは前記式(VII)で表される部分構造が得られる。
4塩基酸無水物(テトラカルボン酸二無水物)としては公知のものが使用でき、例えば、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
4塩基酸無水物としては、上記例示化合物の中でも、特にビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。多塩基酸無水物として4塩基酸無水物を用いた場合には、本発明の樹脂を感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた際に、架橋反応による分子量の増大、それに伴う基板への密着性の向上、溶解性の調節、感度またはアルカリ耐性の向上等の効果が得られる傾向がある。
2塩基酸無水物(ジカルボン酸無水物)としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸およびメチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水コハク酸が好ましい。これらの2塩基酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多塩基酸無水物として2塩基酸無水物を用いた場合には、本発明の樹脂を感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた際に、溶解性の調節が容易となり、また、基板への密着性が向上する傾向がある。
3塩基酸無水物(トリカルボン酸無水物)としては、無水トリメリット酸、無水ヘキサヒドロトリメリット酸などが挙げられ、特に無水トリメリット酸が好ましい。これらの3塩基酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多塩基酸無水物として3塩基酸無水物を用いた場合には、樹脂分子中への酸基の導入量を増やすことができ、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いた際には、感度、密着性と現像性などのバランスを取りやすくなる傾向がある。
多塩基酸無水物の中でも、特に4塩基酸無水物を用いることが好ましい。4塩基酸無水物を単独で用いる場合、4塩基酸無水物の(A−5)エポキシアクリレート樹脂の水酸基に対する付加率は、通常10〜90モル%、好ましくは20〜85モル%、より好ましくは30〜80モル%である。
(A−5)エポキシアクリレート樹脂の水酸基の中で、4塩基酸無水物が付加反応しない部分は、水酸基として残ることがある。4塩基酸無水物(d)の付加率を前記範囲内とすることで、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性が良好となる傾向がある。
なお、感光性樹脂組成物中の樹脂として用いるに際しては、粘度調節または溶解性調節の点からは、上述した4塩基酸無水物とともに、2塩基酸無水物を併用することが好ましい。
4塩基酸無水物と2塩基酸無水物を併用する場合、そのモル比は、2塩基酸無水物:4塩基酸無水物=70:30〜1:99であることが好ましく、60:40〜1:99であることがより好ましい。4塩基酸無水物の割合を前記下限値以上とすることで、得られる塗膜の膜物性の低下を抑制できる傾向があり、2塩基酸無水物の割合を前記下限値以上とすることで、得られる樹脂溶液の粘度の増大による取り扱い性低下を抑制できる傾向がある。
また、4塩基酸無水物及び2塩基酸無水物と、3塩基酸無水物を併用する場合、3塩基酸無水物の使用による基板密着性と耐薬品性などの硬化特性の観点から、3塩基酸無水物の使用量は、(A−5)エポキシアクリレート樹脂の水酸基に対して、通常5〜70モル%、好ましくは10〜40モル%である。
多塩基酸無水物として、4塩基酸無水物及び2塩基酸無水物の2種を用いる場合、或いは、4塩基酸無水物、2塩基酸無水物、及び3塩基酸無水物の3種を用いる場合も、全多塩基酸無水物の付加率は、(A−5)エポキシアクリレート樹脂の水酸基に対し、通常10〜90モル%、好ましくは20〜85モル%、より好ましくは30〜80モル%である。(A−5)エポキシアクリレート樹脂の水酸基の中で、多塩基酸が付加反応しない部分は水酸基として残ることがある。多塩基酸無水物の付加率を前記下限値以上とすることで、基板密着性と耐薬品性などの硬化特性が良好となる傾向がある。
[(A−4):多価アルコール類]
(A−5)エポキシアクリレート樹脂に多塩基酸無水物を付加させる際に、該多塩基酸無水物と共に、該多塩基酸無水物に付加可能な(A−4)多価アルコール及び/又は多価メチロール(以下、「多価アルコール類」と略記する)を用いて反応させることが好ましい。多価アルコール類を共に反応させることにより、多塩基酸無水物に多価アルコール類を付加させて、酸価を増大させたり、高分子量化させたりすることができる傾向がある。
樹脂(a−1)の合成反応に用いられる多価アルコール類から、前記式(VIII)、(IX)の部分構造が得られる。
樹脂(a−1)の合成反応に用いられる多価アルコール類としては、2個以上の水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、基板密着性と耐薬品性の硬化特性の観点、及び取扱い易さの観点から、具体的には、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、及び1,2,3−プロパントリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の多価アルコール類であることが好ましい。
多価アルコール類を用いることにより、樹脂(a−1)の分子量を増大させ、分子中に分岐を導入することができ、また、分子量と粘度のバランスをとることができる傾向がある。また、分子中への酸基の導入率を増やすことができ、基板密着性と耐薬品性の硬化特性が良好になる傾向がある。多価アルコール類の使用量は、使用による効果と、取扱い性の観点から、(A−5)エポキシアクリレート樹脂に対して通常0.5〜6質量%程度、好ましくは1〜4質量%程度である。
[エポキシアクリレート樹脂と、多塩基酸無水物および多価アルコール類との反応]
前記のように(A−5)エポキシアクリレート樹脂を得た後、該エポキシアクリレート樹脂に多塩基酸無水物を付加させる、又は多塩基酸無水物と多価アルコール類とを付加させる方法としては、公知の方法を用いることができる。
その反応温度は通常80〜130℃、好ましくは80〜110℃であり、4〜15時間、所定の酸価、分子量、粘度等になるまで反応させる。前記上限値以下とすることで、不飽和基の重合による分子量の急激な増大を抑制できる傾向があり、また、低すぎると反応がスムーズに進まず、多塩基酸無水物が残存する可能性がある。
<感光性樹脂組成物>
樹脂(a−1)は、カラーフィルタ、スペーサー、着色スペーサー用、及び液晶ディスプレイまたは有機ELなどの画像表示装置用部材などを形成するための感光性樹脂組成物の樹脂として好ましく用いられる。特に、カラーフィルタ用樹脂として好ましくに用いることができる。
感光性樹脂組成物には、樹脂(a−1)に加えて、光重合開始剤(b)を含むことが好ましい。好ましくは更に、光重合性モノマー(c)、色材(d)、分散剤(e)を含有し、更に必要に応じて、チオール類、分散助剤(顔料誘導体)、密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤等、その他の配合成分を含むものであり、通常、各配合成分が、溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(a)として樹脂(a−1)を含有することを特徴とする。特に、樹脂(a−1)が前記式(VI)〜(VII)で表される部分構造を有する場合には、感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して得られる硬化膜を露光後、露光部と非露光部に対するアルカリ現像時において溶解性が変化する、いわゆるアルカリ可溶性樹脂として機能することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(a−1)を含有することにより、後述のように感度、現像密着、現像時安定性および基板密着性などに優れる傾向がある。なお、本発明の感光性樹脂組成物中には、樹脂(a−1)に加えて、その他の樹脂(a−2)を含んでいてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも前述の樹脂(a−1)を含有し、該樹脂は少なくとも前記式(I)で表される部分構造及び(II)で表される部分構造を含有する。
樹脂(a−1)を含有する感光性着色樹脂組成物は、感度、現像密着、基板密着性などに優れる傾向がある。その理由としては、樹脂(a−1)は前記式(II)の部分構造中に嵩高いシクロアルキリデン基を有しているため、アルカリ現像液に対する耐性が大きくなる傾向があることや、前記式(II)の部分構造中のビスフェノール構造と、前記式(I)中のエチレン性不飽和基構造により、該エチレン性不飽和基周辺の立体障害構造が小さく、架橋反応が生じやすい傾向があるためと考えられる。
さらに紫外線照射による架橋により、全体の嵩高さがより一層大きくなる傾向があるためと考えられる。その結果、線幅も大きくなり、アルカリ現像液に対する耐性も強くなり、硬化膜の力学的強度も増す傾向があると考えられ、感度、現像密着性、基板密着性などが向上する傾向があると考えられる。
[その他の樹脂(a−2)]
樹脂(a−1)と併用できる、その他の樹脂(a−2)としては特に限定されないが、感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して得られる硬化膜を露光後、露光部と非露光部のアルカリ現像に対する溶解性が変化するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂であるのがより好ましく、エチレン性不飽和結合とカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が更に好ましい。
具体的には、例えば、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂およびアクリル共重合樹脂が挙げられる。好ましいものとして、より具体的には、後述の(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−2)、(A2−3)及び(A2−4)として記載のものが挙げられ、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。上記の中でも、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)、(A1−2)が特に好ましい。
カラーフィルタ作成時、アルカリ現像液に非露光部が溶解するには、水酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などの酸性の官能基を有する樹脂が適用される。これらの中でもカルボキシル基を有する樹脂が好ましい。樹脂がカルボキシル基を有することにより、水酸基よりもアルカリ現像液に溶解しやすくなる傾向がある。
また、リン酸基またはスルホン酸基は、カルボン酸基よりも酸性度は高いものの、感光性樹脂組成物中の塩基性を持った開始剤、モノマー若しくは分散剤、またはその他の添加剤と反応しやすく、保存安定性が悪い傾向がある。
前述のとおり、その他の樹脂としては、カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)、(A1−2)が特に好ましい。その理由としては、(A1−1)、(A1−2)樹脂も、樹脂(a−1)と同様、不飽和基またはカルボキシル基を多く付加させたり、芳香環構造を多く含ませたり、立体的にかさばった脂環式構造を含ませたりすることができ、また、樹脂(a−1)との相溶性もよく、樹脂(a−1)の効果を低下させずに現像性またはパターン形状などの特性を良好にすることができると考えられるからである。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、以下のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)が挙げられる。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、及び多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)及びエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)としては、それぞれ、日本国特開2013−195681号公報に記載のアルカリ可溶性樹脂(c1)及びアルカリ可溶性樹脂(c2)を用いることができる。
<アクリル共重合樹脂(A2−1)(A2−2)(A2−3)(A2−4)>
アクリル共重合樹脂としては、例えば、日本国特開平7−207211号、日本国特開平8−259876号、日本国特開平10−300922号、日本国特開平11−140144号、日本国特開平11−174224号、日本国特開2000−56118号、日本国特開2003−233179号、日本国特開2007−270147号などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができる。好ましくは、以下の(A2−1)〜(A2−4)の樹脂等が挙げられ、中でも、(A2−1)樹脂が特に好ましい。
(A2−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂(以下「(A2−1)樹脂」と称す場合がある。)
(A2−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以下「(A2−2)樹脂」と称す場合がある。)
(A2−3):前記(A2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「(A2−3)樹脂」と称す場合がある。)
(A2−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下「(A2−4)樹脂」と称す場合がある。)
尚、上記(A2−1)の樹脂もエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の概念に包含される。
これらのうち、(A2−1)樹脂としては、日本国特開2009−052010号公報に記載の[2−1−1]樹脂を用いることができる。同様に、(A2−2)樹脂〜(A2−4)樹脂としては、日本国特開2009−052010号公報に記載の[2−1−2]樹脂〜[2−1−4]樹脂を用いることができる。
これらの中でも、本発明の感光性樹脂組成物は樹脂(a−1)と併用するその他の樹脂として、(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−2)、(A2−3)、及び(A2−4)のうち、少なくとも何れか1種を含むことが好ましい。
特に、その他の樹脂は、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂として(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、及び(A2−3)のうち、少なくとも何れか1種を含むことがさらに好ましい。
また、その他の樹脂は、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂として、エポキシアクリレート樹脂である(A1−1)及び(A1−2)のうち、少なくとも何れか1種を含むことが特に好ましい。
本発明のその他の樹脂として、上述以外のアルカリ可溶性樹脂を用いてもよい。特に制限はないが、カラーフィルタ用感光性樹脂組成物に通常使用される樹脂から選択すればよい。例えば、日本国特開2007−271727号公報、日本国特開2007−316620号公報、日本国特開2007−334290号公報などに記載のアルカリ可溶性樹脂などが挙げられる。
<光重合開始剤(b)>
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(a)とともに、光重合開始剤(b)を含むものである。光重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤(b)を含有することにより、紫外線照射などにより、架橋性が良好となり、樹脂(a−1)による効果が、さらに良好となる。特に光重合開始剤(b)としてオキシムエステル化合物を含有する場合には、その効果が一層向上する傾向がある。
光重合開始剤としては、例えば、日本国特開昭59−152396号公報および日本国日本国特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;日本国特開2000−56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;日本国特開平10−39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤およびα−アミノアルキルフェノン誘導体;日本国特開2000−80068号公報および日本国特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル誘導体等が挙げられる。
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)およびジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
また、ビイミダゾール誘導体類としては、例えば、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体および(4’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6”−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾールおよび2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
また、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンおよび2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、例えば、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリンおよび4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、特に、感度の点でオキシム誘導体類(オキシム系及びケトオキシム系化合物)が有効であり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合などは、感度の点で不利になる場合があるため、特にこのような感度に優れたオキシム誘導体類(オキシム系及びケトオキシム系化合物)が有用である。オキシム誘導体類の中でも特に、高顔料濃度下における高感度化の観点からオキシムエステルが好ましい。
オキシムエステルの光重合開始剤は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、かつ熱反応に対しては安定であり、少量で高感度な感光性樹脂組成物の設計が可能である。
特にカルバゾール環を有するオキシムエステル化合物の場合に、この構造特性が良好に発現されより好ましい。現在、市場では、遮光度が高く、薄膜なBM(ブラックマトリックス)が要求されており、顔料濃度も、ますます大きくなっている。このような状況においては、特に有効である。
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる樹脂(a−1)は、ビフェニル構造と炭素原子数が10以上である大きく広がった脂環式構造とがその結合部で大きくねじれた構造をしており、また、ビフェニル構造を介してエチレン性不飽和基を有する構造をしているため、紫外線照射により、3次元的にねじれて広がった架橋構造を作る。そのために感度が上がり、線幅が太くなり、また、耐アルカリ現像液性も上がり、アルカリ現像液に対する安定性も増す傾向があると考えられる。特に、少量でも高感度を示すオキシムエステルの光重合開始剤と組み合わせた時に、これらの効果が、より一層向上するものと考えられる。
オキシム系化合物としては、下記一般式(22)で示される構造部分を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(23)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
上記式(22)中、R22は、それぞれ置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルカノイル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルカノイル基、炭素数3〜20のヘテロアリ−ルオキシカルボニルアルカノイル基、炭素数2〜10のアミノアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基を示す。
上記式(23)中、R21aは、水素、またはそれぞれ置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を示す。R21bは芳香環またはヘテロ芳香環を含む任意の置換基を示す。
なお、R21aはR21bと共に環を形成してもよく、その連結基は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。R22aは、上記式(22)のおけるR22と同様の基を示す。
これらの中でも感度の観点から、上記一般式(22)におけるR22及び上記一般式(23)におけるR22aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基が挙げられ、より好ましくは炭素数2〜10のアルカノイル基が挙げられ、さらに好ましくは炭素数2〜5のアルカノイル基が挙げられる。
また、上記一般式(23)におけるR21aとしては、溶媒への溶解性、感度の観点から好ましくは、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチルエチル基、4−(2−メトキシ−1−メチル)エトキシ−2−メチルフェニル基またはN−アセチル−N−アセトキシアミノ基で置換されたプロピル基が挙げられる。
また、上記一般式(23)におけるR21bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾール基、置換されていてもよいチオキサントニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。R21bとしてカルバゾール基を含有する場合が前述の理由から、より好ましい。またニトロ基をもったカルバゾール基を有するオキシムエステル開始剤も有効である。
オキシムエステル開始剤としては、R21bとしてカルバゾール基を含有するものが前述の理由から好ましい。さらに、置換されていてもよい炭素数6〜25のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜25のアリールカルボニル基、置換されていてもよい炭素数5〜25のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜25のヘテロアリールカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾール基が好ましい。特に、感度の観点から、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基、チエニルカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾール基が好ましい。また、これらの基はカルバゾール基の3位に結合していることが好ましい。同様に、前記式(23)におけるC原子は、カルバゾール基の6位に結合していることが好ましい。
また、カルバゾール基のN原子に結合しているH原子は、任意の置換基で置換されていてもよく、任意の置換基としては溶媒への溶解性の観点から、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。
本発明に用いられる開始剤としてはオキシムエステルが有用である。カルバゾール基を有するオキシムエステル開始剤が好ましい。前記、一般式(23)のR21aが直鎖アルキル部及びシクロアルキル部を持ったオキシムエステル開始剤またはカルバゾール基にニトロ基を有するオキシムエステル開始剤も、より好ましく用いられる。このような市販の開始剤として、例えば、BASF社製のOXE−02、常州強力電子社製のTR−PBG−304およびTR−PBG−314が挙げられる。
本発明において好ましいオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
ケトオキシム系化合物としては、下記一般式(24)で示される構造部分を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(25)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
上記一般式(24)において、R24は、前記一般式(22)におけるR22と同義である。
上記一般式(25)において、R23aは、それぞれ置換されていてもよい、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数2〜20のアルキルチオアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を示す。
R23bは芳香環あるいはヘテロ芳香環を含む任意の置換基を示す。なお、R23aはR23bと共に環を形成してもよく、その連結基は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)またはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。
R24aは、それぞれ置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のベンゾイル基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、又は炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を表す。
上記一般式(24)におけるR24及び上記一般式(25)におけるR24aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基が挙げられる。
上記一般式(25)におけるR23aとしては、好ましくは無置換のエチル基、プロピル基、ブチル基や、メトキシカルボニル基で置換されたエチル基またはプロピル基が挙げられる。
また、上記一般式(25)におけるR23bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾイル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。R23bとしてカルバゾール基を含有する場合が前記理由より、より好ましい。
本発明において好ましいケトオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
これらのオキシム及びケトオキシムエステル系化合物は、それ自体公知の化合物であり、例えば、日本国特開2000−80068号公報または日本国特開2006−36750号公報に記載されている一連の化合物の一種である。上記光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他に、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンおよび1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノンおよび2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノンおよび1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチルおよびp−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9−フェニルアクリジンおよび9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。これらの光重合開始剤の中では、前述の理由からオキシムエステル誘導体類が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて光重合開始剤とともに、以下の加速剤、増感色素等の付加剤を併用することができる。
<加速剤>
加速剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。加速剤は、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<増感色素>
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を併用させることができる。これら増感色素としては、日本国特開平4−221958号公報、同4−219756号公報に記載のキサンテン色素、日本国特開平3−239703号公報、同5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、日本国特開平3−239703号公報、同5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、日本国特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、日本国特開昭47−2528号公報、同54−155292号公報、日本国特公昭45−37377号公報、日本国特開昭48−84183号公報、同52−112681号公報、同58−15503号公報、同60−88005号公報、同59−56403号公報、日本国特開平2−69号公報、日本国特開昭57−168088号公報、日本国特開平5−107761号公報、日本国特開平5−210240号公報、日本国特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジンおよび(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<光重合性モノマー(c)>
本発明の感光性樹脂組成物は、感度等の点から光重合性モノマー(c)を含有することが好ましい。本発明に用いられる光重合性モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物(以下、「エチレン性単量体」と称することがある)を挙げることができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と、多価又は1価アルコールのモノエステル等が挙げられる。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和基を二個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが好ましい。かかる多官能エチレン性単量体としては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例としては、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<色材(d)>
本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの画素またはブラックマトリックスの形成等に用いられる場合には、色材(d)を含有することが好ましい。色材(d)を含有することにより、カラーフィルタの遮光性または色特性を付与することができる。色材は、本発明の感光性樹脂組成物を着色するものをいう。色材としては、染顔料が使用できるが、耐熱性、耐光性等の点から、また、遮光性または色特性の観点から、顔料が好ましく、さらに顔料を良好に分散するために後述の分散剤を含有することが好ましい。
顔料としては、例えば、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料および黒色顔料等各種の色の顔料が挙げられる。また、その構造としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。
以下に、本発明に使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275および276を挙げることができる。
この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224および254を挙げることができる。
青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78および79を挙げることができる。
この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4および15:6、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54および55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36および58を挙げることができる。
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207および208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180および185、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150および180を挙げることができる。
オレンジ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78および79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
紫色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49および50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19および23、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物が、カラーフィルタの樹脂ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物である場合、色材(d)としては、黒色の色材を用いることができる。黒色色材は、黒色色材を単独でもよく、又は赤、緑、青等の混合によるものでもよい。また、これら色材は無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができる。
黒色色材を調製するために混合使用可能な色材としては、例えば、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)およびリオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる[なお、上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する]。
また、更に他の混合使用可能な顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.黄色顔料20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154および166、C.I.オレンジ顔料36、43、51、55、59および61、C.I.赤色顔料9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228および240、C.I.バイオレット顔料19、23、29、30、37、40、50、C.I.青色顔料15、15:1、15:4、22、60および64、C.I.緑色顔料7並びにC.I.ブラウン顔料23、25および26等を挙げることができる。
また、単独使用可能な黒色色材としては、高度な遮光性を得るためには黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラックおよびチタンブラック等が挙げられる。
これらの色材(d)の中では、感光性樹脂組成物が黒色の色材を用いる場合には、カーボンブラックが遮光率、画像特性の観点から好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
三菱化学社製:MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30BおよびOIL31B
デグサ社製:Printex(登録商標。以下同じ。)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170 キャボット社製:Monarch(登録商標。以下同じ。)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL(登録商標。以下同じ。)99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN(登録商標。以下同じ。) XC72RおよびELFTEX(登録商標)−8コロンビヤン
コロンビヤンカーボン社製:RAVEN(登録商標。以下同じ。)11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750およびRAVEN7000
他の黒色顔料としては、例えば、チタンブラック、アニリンブラックおよび酸化鉄系黒色顔料、並びに、赤色、緑色および青色の三色の有機顔料を混合して黒色顔料として用いることができる。
カーボンブラックは、樹脂で被覆されたものを使用しても構わない。樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用すると、ガラス基板への密着性および体積抵抗値を向上させる効果がある。樹脂で被覆されたカーボンブラックとしては、例えば日本国特開平09−71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好ましい。
被覆処理するカーボンブラックとしては、NaとCaの合計含有量が100ppm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常製造時の原料油若しくは燃焼油(又はガス)、反応停止水若しくは造粒水、または反応炉の炉材等から混入したNa、Ca、K、Mg、Al若しくはFe等を組成とする灰分がパーセントのオーダーで含有されている。この内、NaまたはCaは、各々数百ppm以上含有されているのが一般的であるが、これらが多く存在すると、透明電極(ITO)またはその他の電極に浸透し、電気的短絡の原因となる場合があるからである。
これらのNaまたはCaを含む灰分の含有量を低減する方法としては、カーボンブラックを製造する際の原料油または燃料油(又はガス)並びに反応停止水として、これらの含有量が極力少ない物を厳選すること及びストラクチャーを調整するアルカリ物質の添加量を極力少なくすることにより可能である。他の方法としては、炉から製出したカーボンブラックを水または塩酸等で洗いNaまたはCaを溶解し除去する方法が挙げられる。
これらの黒色顔料の表面は、酸性である場合が多く、そのため黒色顔料を良好に分散するためには、組み合わせる分散剤は、塩基性官能基を有する高分子化合物であることが好ましい。
また、顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラまたは酸化クロム等を用いることもできる。これら各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用することができる。
<顔料の粒径>
本発明の感光性樹脂組成物において、色材(d)として用いることができる顔料の平均1次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜70nmの範囲内であることがより好ましい。
顔料の平均1次粒径が上記範囲内であることにより、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて製造された画像表示装置の色特性を高品質なものとすることができる傾向がある。
また、顔料がカーボンブラックの場合の顔料平均1次粒径は、100nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。また、顔料がカーボンブラックの場合の顔料平均1次粒径は、20nm以上が好ましい。顔料が大きくなりすぎると、散乱が大きくなり、遮光性またはコントラストなどの色特性が低下する。又、顔料粒径が小さすぎると、分散剤の量が多く必要になり、分散性が低下してくる。
なお、上記顔料の平均1次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均1次粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも顔料を含むことが好ましいが、その他に、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で染料を併用してもよい。併用できる染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5およびC.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56およびC.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料としては、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が挙げられる。
キノリン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
<分散剤(e)>
本発明の感光性樹脂組成物においては、色材(d)を用いる場合には、該色材を微細に分散させ、且つその分散状態を安定化させることが品質の安定性確保には重要なため、分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては、官能基を有する高分子分散剤が好ましく、更には、分散安定性の面からカルボキシル基;リン酸基;スルホン酸基;又はこれらの塩基;一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の官能基を有する高分子分散剤が好ましい。
中でも、一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の塩基性官能基を有する高分子分散剤が特に好ましい。これら塩基性官能基を有する高分子分散剤を使用することにより分散性を良好にでき、特に色材として黒色顔料を用いた場合には高い遮光性を達成できる傾向がある。
また高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤および脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製。)、Disperbyk(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー、フローレン(共栄社化学社製)およびアジスパー(登録商標。味の素ファインテック社製。)等を挙げることができる。これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
これらの内、密着性及び直線性の面から、分散剤(e)は塩基性官能基を有するウレタン系高分子分散剤及び/又はアクリル系高分子分散剤を含むことが、特に好ましい。特にはウレタン系高分子分散剤が密着性の面で好ましい。また分散性および保存性の面から、塩基性官能基を有し、ポリエステル及び/又はポリエーテル結合を有する高分子分散剤が好ましい。
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常700以上、好ましくは1000以上であり、また通常100,000以下、好ましくは50,000以下であり、30,000以下が特別に好ましい。重量平均分子量が30,000以下であることにより、顔料濃度が高い時でもアルカリ現像性が良好となる傾向がある。
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えば、Disperbyk160〜167および182シリーズ(いずれもウレタン系)並びにDisperbyk2000および2001等(いずれもアクリル系)(以上すべてビックケミー社製)が挙げられる。上記の塩基性官能基を有し、ポリエステル及び/又はポリエーテル結合を有するウレタン系高分子分散剤で重量平均分子量30,000以下の特に好ましいものとしてDisperbyk167、182などが挙げられる。
(ウレタン系高分子分散剤)
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1,000〜200,000の分散樹脂等が挙げられる。
上記のポリイソシアネート化合物としては、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートおよびトリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよびダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートおよびα,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、これらの3量体、水付加物、並びにこれらのポリオール付加物等が挙げられる。
ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物としては、例えば、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびポリオレフィングリコール等、これらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの並びにこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエーテルジオールおよびポリエーテルエステルジオール並びにこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコールおよびポリオキシオクタメチレングリコール並びにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、例えば、ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸およびフタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコールおよび1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコールおよびビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール並びにN−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたものが挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等が挙げられる。
また、例えば、前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオールが挙げられる。具体的には、例えば、ポリカプロラクトングリコールおよびポリメチルバレロラクトン並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
ポリカーボネートグリコールとしては、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネートおよびポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。ポリオレフィングリコールとしては、例えば、ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコールおよび水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
本発明に用いられる同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子としては、例えば、水酸基、アミノ基およびチオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物としては、例えば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等のN含有ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環およびイソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物としては、例えば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾールおよび1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。
また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物としては、例えば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾールおよび3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が10〜200質量部、好ましくは20〜190質量部、更に好ましくは30〜180質量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2〜25質量部、好ましくは0.3〜24質量部である。
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等の1種又は2種以上が挙げられる。
<アミン価の測定方法>
ブロック共重合体等の分散剤の3級アミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表し、次の方法により測定することができる。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4(過塩素酸)酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
〔但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[質量%]を表す。〕
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましい。より好ましくは5〜95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。アミン価が上記範囲より低いと分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合には更に、アルコールまたはアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。特に30,000以下が好ましい。この分子量が1,000未満では分散性及び分散安定性が劣り、200,000を超えると溶解性が低下し分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる傾向がある。分子量が30,000以下であると、特に顔料濃度の高い場合でも、アルカリ現像性が良好となる傾向がある。このような特に好ましい市販のウレタン分散剤の例としてDisperbyk167、182(ビックケミー社)などが挙げられる。
(アクリル系高分子分散剤)
アクリル系高分子分散剤としては、官能基(ここでいう官能基とは、高分子分散剤に含有される官能基として前述した官能基である。)を有する不飽和基含有単量体と、官能基を有さない不飽和基含有単量体とのランダム重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体を使用することが好ましい。これらの共重合体は公知の方法で製造することができる。
官能基を有する不飽和基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸ダイマー等のカルボキシル基を有する不飽和単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの4級化物などの3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有する不飽和単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
官能基を有さない不飽和基含有単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、α−メチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのN−置換マレイミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマーなどのマクロモノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(アクリル系ブロック共重合体)
本発明の感光性樹脂組成物は、着色剤の分散性の向上、分散安定性の向上のために、分散剤として窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体が用いられる。このような窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体は、これに含まれる窒素原子が着色剤表面に対して親和性を持ち、窒素原子以外の部分が媒質に対する親和性を高めることにより、全体として分散安定性の向上に寄与するものと推定される。分散剤の性能は、その固体表面に対する吸着挙動である。ブロック共重合体が吸着挙動に優れている理由は、詳しいメカニズムは不明だが、以下のことが推察される。
即ち、通常のランダム共重合体の場合、共重合体を構成するモノマーは、共重合時において、立体的に、及び/又は電気的に共重合体中に安定的に配置される確立が高くなる。モノマーが安定的に配置された部分(分子)は、立体的に、及び/又は電気的に安定しているため、着色剤に吸着するとき、かえって障害となる場合がある。
これに対し、ブロック共重合体のように分子配列が制御された樹脂は、分散剤の吸着を妨げる部分を、顔料と分散剤との吸着部から離れた位置に配置することができる。つまり、着色剤と分散剤との吸着部には吸着に最適な部分を、溶媒親和性が必要な部分にはそれに適した部分を配置することができる。特に結晶子サイズの小さい着色剤を含有する色材の分散は、この分子配置が良好な分散性に影響するものと推察される。
窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体は、本発明に用いられる着色剤を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が着色剤に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
アクリル系ブロック共重合体としては、側鎖に4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さないBブロックからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体が好ましい。
Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、好ましくは−N+R51R52R53・M−(但し、R51、R52及びR53は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R51、R52及びR53のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。M−は、対アニオンを表す。)で表される。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
−N+R51R52R53において、R51、R52及びR53のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば、5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
上記式中、RはR51〜R53のうち何れか1の基を表す。−N+R51R52R53におけるR51〜R53として、より好ましいのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基である。
又、4級アンモニウム塩基を有するAブロックとしては、特に、下記一般式(e1)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
上記式(e1)中、R51、R52、R53は各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R51、R52及びR53のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。R54は、水素原子又はメチル基を表す。Xは、2価の連結基を表し、M−は、対アニオンを表す。
上記一般式(e1)において、R51、R52、R53の炭化水素基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基を有する置換基が好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基およびフェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基が好ましい。
上記一般式(e1)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R55−、−COO−R56−(但し、R55及びR56は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R57−O−R58−:R57及びR58は、各々独立にアルキレン基)を表す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R56−である。
また、対アニオンのM−としては、例えば、Cl−、Br−、I−、ClO4 −、BF4 −、CH3COO−およびPF6 −等が挙げられる。
上記の如き特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。
かかる4級アンモニウム塩基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、かかる4級アンモニウム塩基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
尚、上述するアクリル系ブロック共重合体のAブロックは、4級化されていない未反応の3級アミノ基を有していてもよい。
Aブロックがアミノ基を有する場合、アミノ基は1〜3級のいずれでもよい。当該1〜3級アミノ基を有する単量体の含有割合は、当該アクリル系ブロック共重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であることが好ましく、より好ましくは50モル%以上である。このアミノ基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
又、上記1〜3級アミノ基としては、好ましくは−NR61R62(但し、R61及びR42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表され、又、これを含む部分構造(繰返し単位)として好ましいものは、例えば下記一般式で表されるような構造が挙げられる。
但し、R61及びR62は、上記のR61及びR62と同義であり、R63は炭素数1以上のアルキレン基、R64は水素原子又はメチル基を示す。中でも、R61及びR62はメチル基が好ましく、R63はメチレン基、エチレン基が好ましく、R64は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。
このような部分構造としては下記一般式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートまたはジメチルアミノエチルメタアクリレート由来の構造等が、特に好ましく用いられる。
上記一般式中、R64は前述と同義である。
更に、上記アミノ基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
又、アミノ基を含有しない部分構造が、Aブロック中に一部含まれていてもよい。そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。係るアミノ基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、係るアミノ基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
Aブロック中に4級アンモニウム塩基又はアミノ基のいずれか一方を有してもよく、両方を有してもよい。
一方、アクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、上述した4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さず、上述したAブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。Bブロックは、顔料吸着基となる窒素原子含有官能基を有さない親溶媒性の部位であり、溶媒に親和性があるため、分散剤に吸着した顔料を溶媒中に安定化させる働きがある。
Bブロックとしては、例えば、スチレンおよびα−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジルおよびN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびN,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテルおよびクロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリンなどのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
Bブロックとしては、特に下記式(e2)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造を含有するものが好ましい。
上記式(e2)中、R61は、水素原子又はメチル基を表す。R62は、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。もちろん該Bブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造が、4級アンモニウム塩基を含有しないBブロック中に存在する場合、各部分構造は該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
Bブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜99質量%、より好ましくは0〜85質量%である。
本発明で用いるアクリル系分散剤は、このようなAブロックとBブロックとからなる、A−Bブロック又はB−A−Bブロック共重合型高分子化合物であるが、このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。例えば、日本国特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
尚、上記アクリル系ブロック共重合体のアミン価は、有効固形分換算で通常1〜300mgKOH/g程度であるが、その好ましい範囲は、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合とそうでない場合とで異なる。なお、アミン価は、共重合体1g中のアミノ基を中和するのに必要な酸のモル当量に対応したKOHのmg数で表した値である。
即ち、本発明に係るA−Bブロック共重合体及びB−A−Bブロック共重合体において、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、通常0.1〜10mmolであることが好ましく、この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。
なお、このようなブロック共重合体中には、通常、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があるが、そのアミン価は通常1〜100mgKOH/g程度、好ましくは1〜80mgKOH/g。より好ましくは1〜50mgKOH/gである。
又、Aブロックに4級アンモニウム塩基を含まない場合、当該共重合体のアミン価は、通常、50〜300mgKOH/g程度、好ましくは50〜200mgKOH/g、より好ましくは80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、更に好ましくは90〜150mgKOH/gである。
このようなアクリル系ブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
また、アクリル系ブロック共重合体の分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)では、通常1000以上、100,000以下の範囲である。アクリル系ブロック共重合体の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎると現像性、解像性が低下する傾向にある。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
本発明において、窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体の含有量は、顔料に対して通常5質量%以上90質量%以下であり、好ましくは5質量%以上60質量%以下、更に好ましくは5質量%以上40質量%以下である。窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体の含有量が少な過ぎると、十分な分散性が得られない場合があり、多過ぎると相対的に他の成分の割合が減って電圧保持率が低下する一方、着色スペーサの形状、段差の形成ができない場合がある。
本発明においては、窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体以外の分散剤を併用してもよい。併用する分散剤は、高分子分散剤であることが好ましく、着色剤とは全く構造の異なるポリマーであることが好ましい。
併用する分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤および脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
(窒素原子を含有するグラフト共重合体)
窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、下記一般式(i)で表される繰り返し単位又は/及び下記一般式(ii)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
一般式(i)、(ii)中、R91は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子又は下記一般式(iii)〜(v)のいずれかを表すが、好ましくは下記一般式(iii)である。
一般式(iii)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、中でもブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
一般式(iv)中、G1は2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数1〜4のアルキレン基とエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。W2はエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状又は分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。
G2は水素原子又は−CO−R92(R92はエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
一般式(v)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基又は水酸基を1〜5有する炭素数1〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。
窒素原子を含有するグラフト共重合体における一般式(i)又は(ii)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、合計で通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。
一般式(i)で表される繰り返し単位と、一般式(ii)で表される繰り返し単位の、両方を併有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、好ましくは一般式(i)の繰り返し単位の方を多く含有していた方が好ましい。
グラフト共重合体中の一般式(i)又は一般式(ii)で表される繰り返し単位の合計数は、1以上、好ましくは10以上、更に好ましくは20以上で、通常100以下、好ましくは70以下、更に好ましくは50以下である。
また、グラフト共重合体中には一般式(i)及び一般式(ii)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基等が例示できる。本発明におけるグラフト共重合体は、その末端が−NH2及び−R91−NH2(R91は、一般式(i)、(ii)におけると同義)のものが好ましい。
なお、上述したようなグラフト共重合体であれば、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
このグラフト共重合体のGPCで測定した質量平均分子量としては、3,000以上、特に5,000以上が好ましく、100,000以下、特に50,000以下が好ましい。この質量平均分子量が3,000未満であると、色材の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化してしまうことがあり、100,000を超えるとそれ自体が高粘度となり、また有機溶媒への溶解性が不足するため好ましくない。
上記分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば日本国特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
<チオール類>
本発明の感光性樹脂組成物は、高感度化、基板への密着性の向上のため、チオール類を添加することが好ましい。チオール類の種類としては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート);(略してPGMB),ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン;[商品名;カレンズ(登録商標。以下同じ。)MT BD1、昭和電工(株)製]、ブタンジオールトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート);(商品名;カレンズMT PE1、昭和電工(株)製)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート);(略してTPMB)トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート);(略してTPMIB)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン;(商品名;カレンズMT NR1、昭和電工(株)製)等が挙げられる。これらは種々のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。好ましくは上記、PGMB、TPMB、TPMIB、カレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1などの多官能チオールが好ましく、その中でもカレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1がさらに好ましく、カレンズMT PE1が特に好ましい。
<溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、樹脂(a)、光重合開始剤(b)、光重合性モノマー(c)、色材(d)、分散剤(e)、及び必要に応じて使用される各種材料等を、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
有機溶剤としては、沸点(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が100〜300℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜280℃の沸点をもつ溶剤である。
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ(「セロソルブ」は登録商標。以下同じ。)、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素又はブラックマトリックスを形成する場合、有機溶剤としては沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点を持つものである。
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスがよく、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用する有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる感光性樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
また、150℃以上の沸点をもつ有機溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある。)を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、感光性樹脂組成物は乾きにくくなるが、組成物中における顔料の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。
すなわち、例えばスリットノズル先端における、色材などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。このような効果が高い点から、上述の各種溶剤の中でも、特にジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
有機溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、3質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜40質量%がより好ましく、5質量%〜30質量%がさらに好ましく、5質量%〜10質量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥温度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良、またはプリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
なお沸点150℃以上の高沸点溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であってもよく、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の高沸点溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
好ましい高沸点溶剤として、例えば、前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートおよびトリアセチンなどが挙げられる。
<感光性樹脂組成物のその他の配合成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、上述の成分の他、密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、界面活性剤、顔料誘導体等を適宜配合することができる。
(密着向上剤)
基板との密着性を改善するため、密着向上剤を本発明の感光性樹脂組成物に含有させてもよく、例えば、シランカップリング剤、リン酸系密着向上剤、その他の密着向上剤等が挙げられる。
シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、(メタ)アクリル系、アミノ系等種々のものを1種単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
好ましいシランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン類、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン類が挙げられるが、特に好ましくは、エポキシシラン類のシランカップリング剤である。
リン酸系密着向上剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好ましく、中でも下記一般式(g1)、(g2)、(g3)で表されるものが好ましい。
上記一般式(g1)、(g2)、(g3)において、R51は水素原子又はメチル基を示し、l及びl’は1〜10の整数、mは1、2又は3である。
その他の密着向上剤としては、例えば、TEGO*Add Bond LTH(Evonik社製)などが挙げられる。これらの燐酸基含有化合物またはその他の密着剤も1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(界面活性剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、塗布性向上ため、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系および両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系またはシリコン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
このような界面活性剤としては、例えば、TSF4460(ジーイー東芝シリコーン社製)、DFX−18(ネオス社製)、BYK−300、BYK−325、BYK−330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、F−470、F−475、F−478、F−559(大日本インキ化学工業社製)、SH7PA(トーレシリコーン社製)、DS−401(ダイキン社製)、L−77(日本ユニカー社製)およびFC4430(住友3M社製)等が挙げられる。なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(その他の成分)
本発明の感光性樹脂組成物には、上記の成分の他に、さらに重合加速剤、光酸発生剤、架橋剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、現像改良剤、熱重合防止剤等を含んでいてもよい。
(顔料誘導体)
本発明の感光性着色組成物には、分散性、保存性向上のため、顔料誘導体を含有させてもよい。顔料誘導体としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系およびジオキサジン系等の誘導体が挙げられる。中でもフタロシアニン系、キノフタロン系が好ましい。
顔料誘導体の置換基としては、例えば、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基およびアミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基並びに複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
顔料誘導体としては、例えば、フタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体およびジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<感光性樹脂組成物中の成分配合割合>
樹脂(a)の含有割合は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは25質量%以上であり、また、通常90質量%以下であり、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
樹脂(a)の含有割合が著しく少ないと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすくなる傾向がある。逆に、樹脂(a)の含有割合が多すぎると、露光部への現像液の浸透性が高くなる傾向があり、画素のシャープ性または密着性が低下する場合がある。
尚、上述のように、本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(a)は樹脂(a−1)とともにその他の樹脂(a−2)を含むことができるが、樹脂(a−1)による感度、密着性などの性能を特に向上させる必要がある場合は、樹脂(a−1)の含有割合は、樹脂(a)の総質量に対し、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることがよりさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが最も好ましく、また通常100質量%以下である。
また、樹脂(a)中には、樹脂(a−1)以外に、その他の樹脂(a−2)を含有していていもよい。この場合、樹脂(a−1)とその他の樹脂(a−2)の質量比は、特に限定されないが、本発明の樹脂(a−1)による感度、密着性と、その他の樹脂の特性のバランスを取るとの観点からは、1:99〜99:1が好ましく、5:95〜95:5がより好ましく、10:90〜90:10がさらに好ましい。
また、その他の樹脂(a−2)による性能を主に得たい場合には、樹脂(a)に対する樹脂(a−1)の含有割合は1質量%以上であることが好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
光重合開始剤(b)の含有割合は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、よりさらに好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、通常30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。光重合開始剤(b)の含有割合が少なすぎると感度低下を起こすことがあり、反対に多すぎると未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすい。
特に、光重合開始剤(b)中のオキシムエステル化合物が占める割合は、通常10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、通常100質量%以下である。前記下限値以上とすることで、紫外線照射後、感度向上による線幅増加と耐アルカリ現像液性向上による現像安定性を向上できる傾向がある。
光重合開始剤(b)と共に加速剤を用いる場合、加速剤の含有割合は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上で、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
加速剤は、光重合開始剤(b)に対して0.1〜50質量%、特に0.1〜10質量%の割合で用いることが好ましい。光重合開始剤(b)と加速剤を前記下限値以上用いることにより露光光線に対する感度が十分となる傾向があり、また、前記上限値以下用いることにより未露光部分の現像液に対する溶解性が良好となる傾向がある。
また、増感色素を用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物中に占める増感色素の配合割合は感光性樹脂組成物中の全固形分中、通常0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%、更に好ましくは0〜10質量%である。
光重合性モノマー(c)の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。光重合性モノマーの含有割合が上記上限以下であることで、露光部への現像液の浸透性が適度となり良好な画像を得ることができる傾向にある。
光重合性モノマー(c)の含有割合の下限は、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上である。上記下限以上であることで、紫外線照射による光硬化を向上させるとともにアルカリ現像性も良好となる傾向にある。
色材(d)の含有割合は、感光性樹脂組成物中の全固形分量に対して通常1〜70質量%の範囲で選ぶことができる。この範囲の中では、20〜70質量%がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、前述したように種々な用途に使用することができるが、優れた画像形成性は、カラーフィルタ用ブラックマトリックスの形成に使用した場合に、特に効果的である。ブラックマトリックス形成に使用する場合には色材(d)として、前述したカーボンブラックまたはチタンブラック等の黒色色材を使用するか、黒色以外の色材を複数種類混合し黒色に調整して使用すればよい。その中でもカーボンブラックを使用することが、特に好ましい。
本発明は特に黒色顔料の顔料濃度が大きくなる領域で効果が大きい。特に近年は遮光度を上げるために黒色顔料濃度を多くする必要がある。このように効果が大きく発現する黒色顔料の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して好ましくは40質量%以上、より好ましくは40質量%超過、さらに好ましくは45質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり、通常70質量%以下である。
感光性樹脂組成物において、黒色顔料の含有量を上記範囲内とすることにより、遮光性(光学密度、OD値)の高い感光性樹脂組成物を得ることができる。具体的には、例えば、黒色顔料の含有量を45質量%以上にすることにより、本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて厚さ1μmのブラックマトリックスを形成した場合における光学濃度を4.0以上の値とすることができる。
光学濃度は、より好ましくは4.2以上である。遮光性が高い領域では、紫外線が深部に透過しにくく、光重合による架橋が、特に基盤と細線の密着する部分で弱いが、本発明の感光性樹脂組成物を用いた場合は、特に顔料濃度が大きく場合に、本発明の効果をよく確認できる。
カラーフィルタの画素等を形成する用途に用いる場合には、顔料濃度としては全固形分に対して40〜65質量%が特に効果的である。色材の含有量を前記下限値以上とすることで、色濃度に対する膜厚が大きくなりすぎず、液晶セル化の際のギャップ制御などへの悪影響を防ぐことができる傾向がある。また、前記上限値以下とすることで、十分な画像形成性が得られる傾向がある。
なお感光性樹脂組成物において、色材を用いる場合、色材(d)100質量部に対する樹脂(a)の量は、通常20質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、また、通常500質量部以下、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
色材(d)に対する樹脂(a)の含有量を前記下限値以上とすることで、未露光部分の現像液に対する溶解性が十分なものとなりやすく、また、前記上限値以下とすることで所望の画素膜厚が得られやすくなる傾向がある。
チオール化合物を用いる場合、チオール化合物の含有割合は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。チオール化合物の含有量を前記下限値以上とすることで感度を十分なものとすることができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで保存安定性が良好となる傾向がある。
分散剤(e)の含有割合は、感光性樹脂組成物の固形分中、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
また、分散剤の含有量は、色材(d)100質量部に対して、通常5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、通常200質量部以下、好ましくは80質量部以下、より好ましいくは50質量部以下である。分散剤の含有量を前記下限値以上とすることで、十分な分散性が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで相対的に他の成分の割合を十分なものとすることができ、色濃度、感度、成膜性等が良好となる傾向がある。
特に、分散剤としては、高分子分散剤と顔料誘導体とを併用することが好ましいが、この場合、顔料誘導体の配合割合は本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下とすることが好ましい。
界面活性剤を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分に対して通常0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。
界面活性剤の含有量を前記下限値以上とすることで塗布膜の平滑性、均一性を良好にすることができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで塗布膜の平滑性、均一性を良好にすることができる他、他の特性の悪化を抑制できる傾向がある。
なお、本発明の感光性樹脂組成物は、前述の有機溶剤を使用して、その固形分濃度が通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下となるように、調液される。
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明の感光性樹脂組成物(以下、「レジスト」と称することがある。)は、常法に従って製造される。
通常、色材(d)は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理するのが好ましい。分散処理により色材(d)が微粒子化されるため、レジストの塗布特性が向上する。また、色材(d)として黒色色材を使用した場合は遮光能力の向上に寄与する。
分散処理は、通常、色材(d)、分散剤(e)、有機溶剤、及び必要に応じて樹脂(a)の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい(以下、分散処理に供する混合物、及び該処理にて得られた組成物を「インク」又は「顔料分散液」と称することがある。)。特に分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及びレジストの経時の増粘が抑制される(分散安定性に優れる)ので好ましい。
なお、感光性樹脂組成物に配合する全成分を含有する液に対して分散処理を行った場合、分散処理時に生じる発熱のため、高反応性の成分が変性する可能性がある。従って、高分子分散剤を含む系にて分散処理を行うことが好ましい。
サンドグラインダーで色材(d)を分散させる場合には、0.1〜8mm程度の径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常、0℃から100℃であり、好ましくは、室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。
レジストの20度鏡面光沢度[JIS Z8741(1997年)]が100〜200の範囲となるように、インキの光沢を制御するのが分散の目安である。レジストの光沢度が低い場合には、分散処理が十分でなく荒い顔料(色材)粒子が残っていることが多く、現像性、密着性、解像性等が不十分となる可能性がある。また、光沢値が上記範囲を超えるまで分散処理を行うと、顔料が破砕して超微粒子が多数生じるため、却って分散安定性が損なわれる傾向がある。
次に、上記分散処理により得られたインキと、レジスト中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な溶液とする。レジストの製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られたレジストはフィルター等により濾過処理するのが好ましい。
<硬化物>
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させることで、硬化物を得ることができる。感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、ブラックマトリックスや着色スペーサーとして好ましく用いることができる。
<ブラックマトリックス>
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いたブラックマトリックスについて、その製造方法に従って説明する。
(1)支持体
ブラックマトリックスを形成するための支持体としては、適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。おもに透明基板が使用されるが、材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフォンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。また、基板の表面にITO、IZO等の透明電極が成膜されている場合も有る。透明基板以外では、TFTアレイ上に形成することも可能である。
支持体には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤またはウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行ってもよい。
透明基板の厚さは、通常0.05〜10mm、好ましくは0.1〜7mmの範囲とされる。また各種樹脂の薄膜形成処理を行う場合、その膜厚は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
(2)ブラックマトリックス
上述の本発明の感光性樹脂組成物により、本発明のブラックマトリックスを形成するには、透明基板上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化或いは光硬化することによりブラックマトリックスを形成させる。
(3)ブラックマトリックスの形成
(3−1)感光性樹脂組成物の塗布
ブラックマトリックス用の感光性樹脂組成物の透明基板上への塗布は、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、又はスプレーコート法などによって行うことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
塗膜の厚さは、厚すぎると、パターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがあり、薄すぎると顔料濃度を高めることが困難となり所望の色発現が不可能となることがある。
塗膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2〜10μmの範囲とするのが好ましく、より好ましいのは0.5〜6μmの範囲、更に好ましいのは1〜4μmの範囲である。
(3−2)塗膜の乾燥
基板に感光性樹脂組成物を塗布した後の塗膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、又はコンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。
乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40〜200℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50〜130℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
乾燥温度は、高いほど透明基板に対する塗膜の接着性が向上するが、高すぎるとアルカリ可溶性樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗膜の乾燥工程は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法であってもよい。
(3−3)露光
画像露光は、感光性樹脂組成物の塗膜上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性の塗膜上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。
上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアークおよび蛍光ランプなどのランプ光源、並びにアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザーおよび半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
(3−4)現像
本発明に係るブラックマトリックスは、感光性樹脂組成物による塗膜を、上記の光源によって画像露光を行った後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いる現像によって、基板上に画像を形成して作製することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムおよび水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物、並びにモノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミン、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)およびコリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類およびモノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類およびスルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、並びにアルキルベタイン類およびアミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコールおよびジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよく、また、水溶液と併用してもよい。
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10〜50℃の範囲、中でも15〜45℃、特に好ましくは20〜40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
(3−5)熱硬化処理
現像の後の基板には、熱硬化処理又は光硬化処理、好ましくは熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。
以上のようにして形成させたブラックマトリックスは底部の幅は通常3〜50μm、好ましくは4〜30μm、特に高細線の場合には4〜8μmが好ましく、高さは通常0.5〜5μm、好ましくは1〜4μmである。
また、体積低効率は1×1013Ω・cm以上、好ましくは1×1014Ω・cm以上であり、比誘電率は6以下、好ましくは5以下である。さらに、厚さ1μm当たりの光学濃度(OD)が3.0以上、好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上、特に好ましくは4.2以上である。
[その他のカラーフィルタ画素の形成]
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、上記(3−1)〜(3−5)と同じプロセスで赤色、緑色、青色のうち一色の色材を含有する感光性着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の感光性着色樹脂組成物についてそれぞれ行うことによって、カラーフィルタの画素を形成することができる。これらの順番は上記に限定されるものではない。
[着色スペーサー]
本実施の形態の着色感光性組成物は、ブラックマトリックス以外に着色スペーサー用のレジストとして使用することも可能である。スペーサーをTFT型LCDに使用する場合、TFTに入射する光によりスイッチング素子としてTFTが誤作動を起こすことがあり、着色スペーサーはこれを防止するために用いられる。例えば、日本国特開平8−234212号公報にスペーサーを遮光性とすることが記載されている。着色スペーサーは着色スペーサー用のマスクを用いる以外は前述のブラックマトリックスと同様の方法で形成することができる。
(3−6)透明電極の形成
カラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置としては、画像や映像を表示する装置であれば特に限定は受けないが、後述する液晶表示装置または有機ELディスプレイ等が挙げられる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のブラックマトリックスを用いて作製されたものであり、カラー画素やブラックマトリックスの形成順序や形成位置等特に制限を受けるものではない。
液晶表示装置は、通常、カラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサーを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜としては、ポリイミド等の樹脂膜が好ましい。
配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
スペーサーとしては、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好ましい。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィー法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサーの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好ましい。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2〜8μmの範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常、1×10−2〜1×10−7Paであるが、好ましくは1×10−3〜1×10−6Paである。
また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30〜100℃であり、より好ましくは50〜90℃である。減圧時の加温保持は、通常10〜60分間の範囲とされ、その後液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等のいずれでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、いずれであってもよい。
[有機ELディスプレイ]
本発明の有機ELディスプレイは、本発明のカラーフィルタを用いて作製されたものである。
本発明のカラーフィルタを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図1に示すように、まず透明支持基板10上に、着色樹脂組成物により形成されたパターン(すなわち、画素20、及び隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルタを作製し、該カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子100を作製することができる。なお、画素20及び樹脂ブラックマトリックスの内、少なくとも一つは本発明の感光性着色樹脂組成物を用いて作製されたものである。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。
このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社,2004年8月20日発光,時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<カーボンブラック分散インクの調製>
以下の組成で顔料、分散剤、分散助剤、溶剤を調合し、以下の方法でカーボンブラック分散インクを調製した。
まず、顔料、分散剤、分散助剤の固形分と溶剤が以下となるように調合した。
・顔料:
R1060(コロンビア社製カーボンブラック);100質量部
・分散剤:
BYK167(ビックケミー社製塩基性ウレタン分散剤);20質量部(固形分換算)
・分散助剤(顔料誘導体):
S12000(ルーブリゾール社製、酸性基を有するフタロシアニン顔料誘導体);2質量部
・溶剤;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート:226.6質量部
以上を十分に攪拌し、混合を行った。
次に、ペイントシェーカーにより25〜45℃の範囲で6時間分散処理を行い分散液を得た。ビーズとしては、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、分散液60質量部とビーズ180質量部を加えた。分散終了後、フィルターによりビーズを分離して、固形分35質量%のカーボンブラック分散インクを調製した。
<実施例1〜4:アルカリ可溶性樹脂(1)〜(4)の合成>
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量240)7.3g、アクリル酸2.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.4g、テトラエチルアンモニウムクロライド0.18g、及びp−メトキシフェノール0.007gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら100℃で酸価が5mg−KOH/g以下になるまで反応させた。反応には9時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
得られたエポキシアクリレート溶液、トリメチロールプロパン(TMP)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を下記表1に記載の量準備し、それらを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温して反応させ、下記表1の酸価及び重量平均分子量の、固形分40質量%のアルカリ可溶性樹脂(1)〜(4)を得た。また、アルカリ可溶性樹脂(1)〜(4)に含まれる部分構造の含有割合を表2に示す。
<比較例1:アルカリ可溶性樹脂(5)の合成>
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びp−メトキシフェノール0.032gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
上記エポキシアクリレート溶液25質量部及び、トリメチロールプロパン(TMP)0.74質量部、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)4.0質量部、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)2.7質量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温し反応させた。
樹脂溶液が透明になったところでメトキシブチルアセテートで希釈し、固形分40質量%となるよう調製し、酸価110mg−KOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量4000のアルカリ可溶性樹脂(5)を得た。
<比較例2:アルカリ可溶性樹脂(6)の合成>
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量217)7.1g、アクリル酸2.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.4g、テトラエチルアンモニウムクロライド0.18g、及びp−メトキシフェノール0.008gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら100℃で酸価が5mg−KOH/g以下になるまで反応させた。反応には9時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
得られたエポキシアクリレート溶液16質量部と、トリメチロールプロパン(TMP)0.42質量部、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)3.7g、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)0.076質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15質量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温して反応させ、酸価114mg−KOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量9300、固形分40質量%のアルカリ可溶性樹脂(6)を得た。
<合成例1:光重合開始剤(1)の合成>
(ジケトン体)
エチルカルバゾール(5g、25.61mmol)とo−ナフトイルクロリド(5.13g、26.89mmol)を30mlのジクロロメタンに溶解し、氷水バスにて2℃に冷却して攪拌し、AlCl3(3.41g、25.61mmol)を添加した。さらに室温にて3時間攪拌後、反応液にクロトノイルクロリド(2.81g、26.89mmol)の15mlジクロロメタン溶液を加え、AlCl3(4.1g、30.73mmol)を添加し、さらに1時間30分攪拌した。反応液を氷水200mlにあけ、ジクロロメタン200mlを添加し有機層を分液した。回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、白色固体(10g)のジケトン体を得た。
(オキシム体)
ジケトン体(3.00g、7.19mmol)、NH2OH・HCl(1.09g、15.81mmol)、及び酢酸ナトリウム(1.23g、15.08mmol)をイソプロパノール30mlに混合し、3時間還流した。
反応終了後、反応液を濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル30mlを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30ml、飽和食塩水30mlで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、有機層を減圧下濃縮し、固体1.82gを得た。これをカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固体2.22gのオキシム体を得た。
(オキシムエステル体)
オキシム体(2.22g、4.77mmol)とアセチルクロリド(1.34g、17.0mmol)をジクロロメタン20mlに加えて氷冷し、トリエチルアミン(1.77g、17.5mmol)を滴下して、そのまま1時間反応した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、水を加えて反応を停止した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液5mlで2回、飽和食塩水5mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/1)で精製して、0.79gの淡黄色固体の光重合開始剤(1)を得た。光重合開始剤(1)の1H−NMRの化学シフトを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3):σ1.17(d,3H),1.48(t,3H),1.53(s,3H),1.81(s,3H),2.16(s,3H),2.30(s,3H),3.17−3.32(m,2H),4.42(q,2H),4.78−4.94(br,1H),7.45−7.59(m,5H),7.65(dd,1H),7.95(m,2H),8.04(m,2H),8.14(dd,1H),8.42(d,1H),8.64(d,1H)
光重合開始剤(1)の構造は以下の通りである。
<実施例5>
(ブラックレジスト1の調製)
<カーボンブラック分散インクの調製>で調製したカーボンブラック分散インクを用いて、表3に記載の各成分を表3に示す割合で混合し、スターラーにより攪拌、溶解させて、ブラックレジスト1を調製した。
なお、表3中、カーボンブラック分散インク及びその他における各成分の使用量は、固形分の値である。また、溶媒における使用量は、カーボンブラック分散インク及びその他の各成分中に含まれる溶媒も含めた、溶媒の全使用量である。
また、表中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・アルカリ可溶性樹脂(1):実施例1で合成した樹脂。
・光重合開始剤(1):合成例1で合成した光重合開始剤。
・光重合性モノマー(1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
・界面活性剤:F559(DIC社製)
<実施例6>
(ブラックレジスト2の調製)
アルカリ可溶性樹脂(1)を、実施例2で合成したアルカリ可溶性樹脂(2)に変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト2を調製した。
<実施例7>
(ブラックレジスト3の調製)
アルカリ可溶性樹脂(1)を、実施例3で合成したアルカリ可溶性樹脂(3)に変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト3を調製した。
<実施例8>
(ブラックレジスト4の調製)
アルカリ可溶性樹脂(1)を、実施例4で合成したアルカリ可溶性樹脂(4)に変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト4を調製した。
<実施例9>
(ブラックレジスト5の調製)
光重合開始剤を、光重合開始剤(2)(TR−PBG−304、常州強力電子社製)に変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト5を調製した。
<実施例10>
(ブラックレジスト6の調製)
光重合開始剤を、光重合開始剤(3)(NCI−831、ADEKA社製)に変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト6を調製した。
<実施例11>
(ブラックレジスト7の調製)
光重合開始剤を、光重合開始剤(4)(OXE02、BASF社製)に変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト7を調製した。
<実施例12>
(ブラックレジスト8の調製)
全固形分に対するカーボンブラックの含有割合が45質量%となるように、各成分の含有割合を表4に示すものに変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト8を調製した。
<実施例13>
(ブラックレジスト9の調製)
全固形分中に対するカーボンブラックの含有割合が40質量%となるように、各成分の含有割合を表4に示すものに変更した以外は実施例5と同様にブラックレジスト9を調製した。
<比較例3>
(比較ブラックレジスト10の調製)
アルカリ可溶性樹脂(1)を、比較例1で合成したアルカリ可溶性樹脂(5)に変更した以外は実施例5と同様に比較ブラックレジスト10を調製した。
<比較例4>
(比較ブラックレジスト11の調製)
アルカリ可溶性樹脂(1)を、比較例2で合成したアルカリ可溶性樹脂(6)に変更した以外は実施例5と同様に比較ブラックレジスト11を調製した。
(レジストの評価)
(I)形成線幅評価・現像密着評価
(1)ブラックマトリックス(BM)レジストパターンの作製方法
調製したブラックレジスト1〜9、比較ブラックレジスト10、11をスピンコーターにてガラス基板に塗布し、減圧乾燥後、ホットプレートで100℃にて120秒間乾燥して乾燥塗布膜を得た。続いて、得られた乾燥塗布膜に対し、高圧水銀灯により40mJで、後述の露光マスクを通してパターン露光を行った後、室温(23℃)下、超純水で0.04質量%に調整したKOH水溶液をアルカリ現像液として用いて、80秒、100秒、又は120秒間スプレー現像することにより各種BMレジストパターンを得た。形成されたBMレジストパターンについて、形成線幅(感度)、解像力(現像密着)、を後述の(2)及び(3)に記載の基準で評価し、結果を表5に示す。
(2)形成線幅評価方法(感度)
10μm開口(幅が10μmのストライプ状の開口)の露光マスクを用いて、前記(1)の方法により得られるBMレジストパターンの形成線幅を200倍の倍率で顕微鏡観察し、形成線幅を測定した。同じ露光量、同じ現像時間で評価した場合に、形成線幅が大きいほど感度が高いことを意味する。
(3)現像密着評価方法(解像力)
1μm〜10μm開口(幅が1〜10μmの範囲で1μm刻みの、ストライプ状の開口)の露光マスクを用いて、前記(1)の方法によりBMレジストパターンを作成した。BMレジストパターンを目視、または光学顕微鏡を用いて観察した。欠け、表面荒れがなく、ガラス基板上に残ったBMレジストパターンの内、最も線幅の細いパターンについて、そのパターンに対応する露光マスクの開口幅の値を現像密着の値とした。現像密着の値が小さいほど、基板との密着性がよく、解像力が高いことを意味する。
(II)遮光度評価
調製したブラックレジスト1〜9(実施例5〜13)、比較ブラックレジスト10(比較例3)、11(比較例4)を用いて、前記(I)の(1)で作製した各種BMレジストパターンを230度のオーブンで30分間ポストベークを行い、BMを作製した。その膜厚を段差測定装置Alpha−Step−500(KLA−Tencor社)で測定し、OD値を透過濃度測定装置GretagMacbeth D200−II(GretagMacbeth社)で測定した。これより1μmあたりのOD値(単位OD値)を求めた。その結果、いずれのBMもOD値が4.0/μmであった。
(III)基板密着力評価
調製したブラックレジスト1(実施例5)、比較ブラックレジスト10(比較例3)、11(比較例4)を用いて以下のようにして作製したBMの基板密着力を評価した。基板密着力は以下のように求めた。
前記(II)と同様のプロセス(ただし、露光マスクを用いず、全面露光した)により、膜厚1.20μmで2.5cm角のBMを備えた基板を作成した。熱硬化型シール剤ストラクトボンドXN−21−S(三井化学社製)を利用し、アルミ製スタッドピン(P/N:901106U、径2.7mm)(Quad Group社製)を接合した。作製したサンプルを、薄膜密着強度測定機Romulus(Quad Group社製)を用いて、2.0kg/sの速さで引っ張り試験を行い、ブラックマトリックスとガラス基板が破断したときの破断強度と接着面積から、以下の式により基板密着応力を求めた。
基板密着応力(kg/cm2)=破断強度(kg)/接着面積(cm2)
結果を表6に示す。なお、表6における基板密着力(%)とは、実施例5における基板密着応力(kg/cm2)の値を100%とした時の相対値(%)である。
表5及び6に示すように、本発明の樹脂は、感光性樹脂組成物に適用した際に、感度(形成線幅)、解像力(現像密着)に優れ、しかも基板密着力の高い優れたものであることが分かった。
表5に示すように、本発明の実施例5〜13の感光性樹脂組成物は、現像時間が80〜120秒と長い時間において、現像密着が良好であり、また、形成線幅も大きく高い感度が得られていた。これは、本発明の実施例5〜13の感光性樹脂組成物中の樹脂は、前記式(II)のようにビスフェノキシ部位のアルキリデン基が平面状に大きく広がった、嵩高い環構造となっているために、疎水性が高く、アルカリ現像液に対する耐性が大きく、また、ビスフェノキシ構造を有するため、前述のようにアクリル基周辺部分の立体障害が小さく、架橋反応が生じやすくなったと考えられる。また、実施例5と実施例12及び実施例13との比較から、顔料含有割合によらず、形成線幅と現像密着のどちらも良好であることが確認された。
それに対し、比較例4の感光性樹脂組成物は、現像密着が現像時間120秒では1〜10μmの範囲でパターンが残っておらず、現像安定性も不良であった。
これは、比較例4の感光性樹脂組成物中の樹脂はビスフェノキシ部位にアルキリデン基の環構造を有しているが、環を形成している炭素数は6であり、実施例5〜13の樹脂に比べて、疎水性が低く、嵩高さも小さいためであると考えられる。
また、比較例3の感光性樹脂組成物も、表4のように実施例1〜4に比べ形成線幅も小さく感度が低く、また、現像密着も実施例5〜13よりも悪かった。また、表4の基板密着評価においても、実施例1に対して4分の3程度まで低下した。
これは比較例3の感光性樹脂組成物中の樹脂は、2個のアダマンチル基構造を有することで炭素数は大きいものの、平面的に広がった嵩高い構造にはなっておらず、また、ビスフェノキシ構造を有してもいないために、アルカリ現像液への耐性や高い感度が得られなかったと考えられる。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2014年7月4日付で出願された日本特許出願(特願2014−138870)に基づいており、その全体が引用により援用される。