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JP6610104B2 - ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂の製造方法並びにポリカーボネート樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂の製造方法並びにポリカーボネート樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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JP6610104B2 JP2015177642A JP2015177642A JP6610104B2 JP 6610104 B2 JP6610104 B2 JP 6610104B2 JP 2015177642 A JP2015177642 A JP 2015177642A JP 2015177642 A JP2015177642 A JP 2015177642A JP 6610104 B2 JP6610104 B2 JP 6610104B2
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Description

本発明はポリカーボネート樹脂に関する。詳しくは、透明性、衝撃強度、成形性のバランスに優れるポリカーボネート樹脂及びそれを成形してなる成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械強度、電気特性、寸法安定性に優れている。例えば、自動車部材、電気電子・OA機器、情報・通信機器、家庭用電化機器、住宅材料、その他の工業分野における部品製造材料等に幅広い分野で使用されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐熱性が高い非晶性樹脂であるため成形加工温度が高く、溶融流動性が低いという欠点を有していた。近年、自動車分野では部品の大型化、一体化が進んでおり、電気電子機器分野では部品の軽薄短小化が進んでいる。このような流れの中、ポリカーボネート樹脂の成形性の向上が課題であった。
ポリカーボネート樹脂の成形性改善の手法としては、分子量を下げることが最も容易で簡便な手法である。しかしながら、この場合、ポリカーボネート樹脂の機械物性の低下を招くことを避けられない。中でも、特に耐衝撃性が、顕著に低下してしまう。したがって、ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性の観点から、この手法が適用できる範囲はかなり限られる。
また、ポリカーボネート樹脂にスチレン系樹脂やアクリル樹脂などを混ぜてアロイ化する手法も広く知られているが、この手法もまた耐衝撃性の低下が避けられず、加えてポリカーボネート樹脂の透明性も悪化する。
一方、ポリカーボネート樹脂の末端基を特定のものにし、透明性を維持したまま、流動性を向上させる試みもなされている(例えば、特許文献1〜2)。
しかしながら、これらの手法のいずれを用いても、ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性が低下するため、実使用に耐えうるものではなかった。
特開平7−26007号公報 特開平1−275629号公報
本発明は、上記課題に鑑み、透明性、衝撃強度、成形性のバランスに優れるポリカーボネート樹脂、及びそのポリカーボネート樹脂の製造方法並びにそれを成形して得られるポリカーボネート樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定のカーボネート構造単位を含むポリカーボネート樹脂が、透明性、耐衝撃性、成形性のバランスに優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[7]に存する。
[1] 少なくとも下記式(1)で表されるカーボネート構造単位(A)と下記式(2)
で表されるカーボネート構造単位(B)とを含むポリカーボネート樹脂。
Figure 0006610104
[式(1)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
Figure 0006610104
[2] 前記カーボネート構造単位(A)が、下記式(3)で表される[1]に記載のポ
リカーボネート樹脂。
Figure 0006610104
[3] JIS(1999年度版) K7210 付属書Cに準拠し、高化式フローテス
ターを用いて、280℃、160kgfの条件で測定した流れ値(Q値)が、10(単位:10−2cm/sec)以上である[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂。
[4] 前記ポリカーボネート樹脂中の全カーボネート構造単位に対する前記カーボネート構造単位(A)の割合が、1〜55モル%である[1]〜[3]の何れかに記載のポリ
カーボネート樹脂。
[5]3mm厚の成形体とした場合に、JIS K7136:2000に準拠して測定したヘーズ値が、1以下であることを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂を、溶融エステル交換法によって製造するポリカーボネート樹脂の製造方法。
[7] 前記[1]〜[6]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂を射出成形により成形する、ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
本発明のポリカーボネート樹脂によれば、透明性、衝撃強度、成形性のバランスに優れるポリカーボネート樹脂を提供することができる。このようなポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性などの機械強度に優れる薄型・大型透明性成形体を生産性高く得ることができるため産業上極めて利用価値が高い。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、「部」とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく質量部を表す。
<1.ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂は、少なくとも下記式(1)で表されるカーボネート構造単位(A)と下記式(2)で表されるカーボネート構造単位(B)とを含むことを特徴とする。このようにカーボネート構造単位(A)と(B)を含むことで本発明のポリカーボ
ネート樹脂の耐衝撃性が高まり、成形性を高めるために流動性を高く調整した場合にも、良好な耐衝撃性を維持することができる。
Figure 0006610104
式(1)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、なかでもエチル基、n−ブチル基が好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。具体的には、式(1)中のRがn−ブチル基であるカーボネート構造単位(A)として、下記式(3)で表されるカーボネート構造単位であることが好ましい。
Figure 0006610104
本発明のポリカーボネート樹脂は、カーボネート構造単位(A)及びカーボネート構造単位(B)のみで構成されるコポリマーでも、カーボネート構造単位(A)及びカーボネート構造単位(B)を含み、且つこの2種類のカーボネート構造単位とは異なる、その他のジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート構造単位を1種類以上含むコポリマー(共
重合体)であってもよいが、好ましくは、カーボネート構造単位(A)及びカーボネート構造単位(B)のみで構成されるコポリマーである。
カーボネート構造単位(A)及びカーボネート構造単位(B)を含み、且つこの2種類のカーボネート構造単位とは異なるカーボネート構造単位の由来となる、その他のジヒドロキシ化合物は、任意の組合せ、及び任意の比率で含んでいてもよい。また、コポリマーの共重合形態としては、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等、種々の共重合形態を選択することができる。
上記その他のジヒドロキシ化合物としては、特に制限はなく、分子骨格内に芳香環を含む芳香族ジヒドロキシ化合物であっても、芳香環を有さない脂肪族ジヒドロキシ化合物であってもよい。また、種々の特性付与の為に、N(窒素)、S(硫黄)、P(リン)、Si(ケイ素)等のヘテロ原子やヘテロ結合が導入されたジヒドロキシ化合物であってもよい。
上述の異なるその他のジヒドロキシ化合物として、好適に使用されるものは、耐熱性、熱安定性、強度の観点より、芳香族ジヒドロキシ化合物である。このような芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には以下のものが挙げられる。1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。
なお、ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂において、全カーボネート構造単位に対するカーボネート構造単位(A)のモル分率は、本発明のポリカーボネート樹脂の特徴を損なわない範囲で特に制限はないが、好ましくは0.5〜80モル%であり、より好ましくは1〜55モル%であり、さらに好ましくは2〜30モル%であり、特に好ましくは3〜20モル%である。
カーボネート構造単位(A)のモル分率が、小さくなるほど、本発明のポリカーボネート樹脂の成形性、耐衝撃性が低下する恐れがあり、一方で、カーボネート構造単位(A)のモル分率が大きくなるほど、本発明のポリカーボネート樹脂の耐熱性が極端に低下する恐れがある。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述のカーボネート構造単位(A)に由来するジヒドロキシ化合物および、上述のカーボネート構造単位(B)に由来するジヒドロキシ化合物(いわゆるビスフェノールA)と、任意で選択されるその他のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物とを、カーボネート形成性化合物とを重縮合することによって得られる。
カーボネート構造単位(A)に由来するジヒドロキシ化合物としては、下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物である。
Figure 0006610104
式(4)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
なかでもカーボネート構造単位(A)に由来するジヒドロキシ化合物としては、下記式(5)、(6)のジヒドロキシ化合物が好ましく、下記式(6)のジヒドロキシ化合物がより好ましい。
Figure 0006610104
このようなジヒドロキシ化合物は、下記式(7)で表されるアルデヒド化合物とフェノールとから合成、製造することができ、その合成反応や製造方法は公知の方法で得ることができる。
Figure 0006610104
式(7)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。このようなアルデヒド化合物としては、例えば2−エチルブタナール、2−エチルヘキサナールなどが挙げられる。
カーボネート形成性化合物の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート形成性化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、下記式(8)で表される化合物であればよく、アリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類やジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
Figure 0006610104
式(8)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基またはアリール基、アリールアルキル基を表す。以下、R及びRが、アルキル基、アリールアルキル基のときジアルキルカーボネートと称し、アリール基のときジアリールカーボネート
と称することがある。なかでもジヒドロキシ化合物との反応性の観点よりR及びRは、共にアリール基であることが好ましく、下記式(9)で表されるジアリールカーボネートでることがより好ましい。
Figure 0006610104
式(9)中、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、p及びqはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
このようなカーボネートエステルとしては、具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と称する場合がある。)、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチルフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート等の(置換)ジアリールカーボネートが挙げられるが、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。なお、これらのカーボネートエステルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、前記のカーボネートエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂の製造する方法としては、従来から知られている重合法により製造することができ、本発明において、ポリカーボネート樹脂を製造する際の重合法としては、特に限定されない。重合法の例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
界面重合法
まず、本発明のポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、原料のジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
原料のジヒドロキシ化合物及びカーボネート形成性化合物は、前述のとおりである。な
お、カーボネート形成性化合物の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、原料のジヒドロキシ化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、特に限定されないが、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的には例えば、フェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−n−ペンチルフェノール、m−n−ペンチルフェノール、p−n−ペンチルフェノール、o−n−ヘキシルフェノール、m−n−ヘキシルフェノール、p−n−ヘキシルフェノール、p−t−オクチルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−n−ノニルフェノール、m−ノニルフェノール、p−n−ノニルフェノール、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p−クミルフェノール、o−ナフチルフェノール、m−ナフチルフェノール、p−ナフチルフェノール;2、5−ジ−t−ブチルフェノール;2、4−ジ−t−ブチルフェノール;3、5−ジ−t−ブチルフェノール;2、5−ジクミルフェノール;3、5−ジクミルフェノール;p−クレゾール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、平均炭素数12〜35の直鎖状又は分岐状のアルキル基をオルト位、メタ位又はパラ位に有するモノアルキルフェノール;9−(4−ヒドロキシフェニル)−9−(4−メトキシフェニル)フルオレン;9−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−9−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン;4−(1−
アダマンチル)フェノールなどが挙げられる。これらのなかでは、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノールが好ましく用いられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、原料のジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質(反応原料)、反応媒(有機溶媒)、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート形成性化合物としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤は原料のジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は、特に限定されないが、通常0〜40℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
溶融エステル交換法
次に、本発明のポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、カーボネートエステルと原料のジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
原料のジヒドロキシ化合物、及びカーボネートエステルは、上述の通りである。
原料のジヒドロキシ化合物とカーボネートエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、カーボネートエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、得られるポリカーボネート樹脂の末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に限定されず、従来から公知のものを使用できる。例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は、特に限定されないが、通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は、特に限定されないが、通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
反応形式は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただしなかでも、ポリカーボネート樹脂の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体、リン含有賛成化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、特に限定されないが、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは8当量以下である。さらには、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
<ポリカーボネート樹脂に関する物性>
ポリカーボネート樹脂の分子量
本発明のポリカーボネート樹脂の分子量は、本発明のポリカーボネート樹脂の特徴を損なわない範囲であれば特に制限はないが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)で、通常8000〜50000、好ましくは10000〜30000、より好ましくは11000〜28000である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂、及び本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂、及びポリカーボネート樹脂組成物の流動性が良好なものとなり、成形加工性を高めて成形加工を行いやすくなる。なお、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を上記範囲に制御する際には、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を用いて混合し、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)を制御してもよい。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度C(g/dl)での比粘度ηspを測定し、下記式により算出した値である。
Figure 0006610104
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、本発明のポリカーボネート樹脂の特徴を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常90℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上で、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは、130℃以上であり、また通常150℃以下、好ましくは148℃以下、より好ましくは145℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。Tgが前記範囲の下限値未満の場合は、本発明のポリカーボネート樹脂、及びポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が著しく劣る。一方、前記範囲の上限値を超える場合は、本発明のポリカーボネート樹脂、及びポリカーボネート樹脂組成物の成形性が著しく低下するためやはり好ましくない。
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量
本発明のポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、本発明のポリカーボネート樹脂の特徴を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常10〜2000ppmである。末端水酸基量が、前記範囲の下限値以上であれば、本発明のポリカーボネート樹脂、及びポリカーボネート樹脂組成物の色相、生産性をより向上させることができ、また前記範囲の上限値以下であれば、本発明のポリカーボネート樹脂、及びポリカーボネート樹脂組成物の
熱安定性、湿熱安定性をより向上させることができる。このような観点より、本発明のポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、50〜1500ppmであることがより好ましく、70〜1000ppmであることが特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、公知の任意の方法によって上記範囲に調整することができる。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂をエステル交換反応によって重縮合して製造する場合は、カーボネートエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を上記範囲に調整することができる。なお、この操作により、得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
カーボネートエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、本発明のポリカーボネート樹脂を界面重合法にて製造する場合には、分子量調整剤(末端停止剤)の配合量を調整することにより、末端水酸基量を任意に調整することができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂のQ値
本発明のポリカーボネート樹脂のJIS(1999年度版) K7210 付属書Cに
準拠し、高化式フローテスターを用いて、280℃、160kgfの条件で測定した流れ値(Q値)は、好ましくは、4(単位:10−2cm/sec)以上であり、より好ましくは10以上であり、更により好ましくは11以上であり、特に好ましくは12以上である。Q値は、溶融粘度の指標であり、値が高い方が、溶融粘度が低く、成形性に優れることを表す。一般のビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂は、Q値の値が高まるにつれて、つまり粘度を下げるにつれて、分子量が下がり、耐衝撃性をはじめとする機械強度が著しく低下する。一方、本発明のポリカーボネート樹脂は、一般のビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂と同等の溶融粘度で比較した場合、高い衝撃強度を維持することが可能である。
ポリカーボネート樹脂のヘーズ値
本発明のポリカーボネート樹脂は、透明性にも優れるという特徴を持つ。透明性は、3mm厚の成形体とした場合に、JIS K7136:2000に準拠して測定したヘーズ値(単位:%)で表すことができ、通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは、0.8以下である。
その他の成分
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の効果及び所望の諸物性を著しく阻害しない範囲で、その他の樹脂や各種添加剤を含有させた樹脂組成物としても良い。その他の樹脂の例を挙げると、好ましくは、本発明のポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂などが挙げられる。また、各種添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、滑材、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、輝度向上剤、難燃剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、その他の樹脂及び各種添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の
組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂と必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂を製造時に、重合終了後の溶融樹脂に直接添加剤を添加し、混練しても良い。このように添加する際には、重合終了後、溶融樹脂を押出機に直接導入し、添加剤を配合し、溶融混練しペレット化する方法が好ましい。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明のポリカーボネート樹脂または、ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られるものであり、中でも射出成形して得られる成形体であることが好ましい。
また、本発明の成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等、また特殊な形状のもの等、各種形状のものが挙げられる。また、例えば表面に凹凸を有していたり、三次元曲面を有する立体的な形状のものであってもよい。
成形体の製造方法は、ポリカーボネート樹脂について一般に採用されている成形法を任意に採用でき、その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられ、本発明のポリカーボネート樹脂は射出成形によって成形して得られるポリカーボネート樹脂成形体を製造することが好ましい。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
成形体の例を挙げると、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品へ用いて好適である。
なかでも優れた流動性(成形性)と、透明性、強度を活かして光学部品、特に液晶ディスプレイ(LCD)を中心とするディスプレイ部材に好ましく用いることができる。この
ようなディプレイ部材の中でも、ディスプレイ装置に搭載される光を導くバックライトユニットの内部に設置される導光板に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
反応器攪拌機、反応器加熱装置、反応器圧力調整装置を付帯した内容量150mlのガラス製反応器に、原料のジヒドロキシ化合物として、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(三菱化学株式会社製)101.9g、及び上記式(6)で表される1,1−ビス(4-ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン(東京化成工業社製)14.8gを
、さらにジフェニルカーボネート(三菱化学株式会社製)112.1gを投入し、次に触媒として、炭酸セシウムをジヒドロキシ化合物の合計1molに対し、1μmol/molの割合で投入した。
次に、ガラス製反応器内を約100Pa(0.75Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、反応器外部温度を220℃にし、反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、100rpmで撹拌機を回転させた。そして、反応器の内部で行われるジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。その後、反応器外部温度を250℃に昇温すると共に、40分間かけて反応器内圧力を絶対圧で13.3kPa(100Torr)から399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。その後、さらに、反応器外部温度を270℃に昇温、反応器内の絶対圧を30Pa(約0.2Torr)まで減圧し、重縮合反応を行った。反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。次いで、反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、反応器からポリカーボネート樹脂を取り出した。
[試験片の作成]
上記で得られたポリカーボネート樹脂を100℃で5時間乾燥した後、日本製鋼所社製J5S型射出成形機を用い、シリンダー設定温度260℃、金型温度40℃、スクリュー回転数100rpmの条件下にて、48mm×15mm×1mm厚の平板状試験片及び、ASTM D-256に準拠した厚さ3.2mmのIzod衝撃試験片を射出成形した。
末端水酸基濃度と粘度平均分子量の測定法は、上述に記載の方法で測定した。
[ガラス転移温度評価]
示差操作熱量計(SII製DSC6220)を用いて、ポリカーボネート樹脂試料約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、JIS−K7121に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。該補外ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。Tgが高いほど耐熱性に優れることを表し、好ましい。
[流動性評価]
流動性の評価として1999年度版 JIS K7210 付属書Cに記載の方法にて
ペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製CFT−500A型フローテスターを用いて、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度280℃、試験力160kg/cm2、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(単位:10−2cm/sec)を測定した。
Q値は溶融粘度の指標であり、同等の値であれば同等の成形性を有することを示す。
[耐衝撃性評価]
上述の方法で得られたIzod衝撃試験片を用い、ASTM D-256規格に準拠して、R0.25のノッチ付Izod耐衝撃強度(単位:J/m)を評価した。
[透明性評価]
上述の方法で得られた平板状試験片を用い、JIS K 7136:2000規格に準拠して、ヘイズ(単位:%)を評価した。ヘイズは透明性の指標であり、小さい方が透明性が高いことを表し好ましい。一般に、高度に透明な材料としては当該条件で1%以下が要求される。
[実施例2]
原料のジヒドロキシ化合物として、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 50.6g、及び1,1−ビス(4-ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン 66.1gを、さらにジフェニルカーボネート100.2gを投入し、次に触媒として、炭酸セシウムをジヒドロキシ化合物の合計1molに対し、5μmol/molの割合で投入した他は、実施例1と同様の条件で重合・評価した。
[実施例3]
原料のジヒドロキシ化合物として、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 41.1g、及び1,1−ビス(4-ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン 80.6gを、さらにジフェニルカーボネート101.7gを投入し、次に触媒として、炭酸セシウムをジヒドロキシ化合物の合計1molに対し、5μmol/molの割合で投入した他は、実施例1と同様の条件で重合・評価した。
[比較例1]
原料のジヒドロキシ化合物として、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 116.7gを、さらにジフェニルカーボネート118.8gを投入し、次に触媒として、炭酸セシウムをジヒドロキシ化合物の合計1molに対し、0.5μmol/molの割合で投入した他は、実施例1と同様の条件で重合・評価した。
評価結果を表1に示す
Figure 0006610104
表1から、カーボネート構造単位(A)を含む実施例1〜3とカーボネート構造単位(A)を含まない比較例1とを対比すると、同等の溶融粘度(Q値が13〜14 10-2cm3/sec)で調整した場合に、Izod衝撃強度が比較例1に比べて、実施例1〜3の方が高い値となっている。実施例1〜3及び比較例1は、透明性の指標(ヘイズ)が0.5〜0.6%と
同等である。公知の技術によれば、比較例1のポリカーボネート樹脂に対して、ゴム成分等を配合することで耐衝撃性を高めることもできるが、その場合は透明性が悪化することは自明である。
つまり、本発明のポリカーボネート樹脂は、同等の溶融粘度で調整する場合でも、高い衝撃強度を有し、且つ、透明性を犠牲にすることもないので、透明性、衝撃強度、成形性のバランスに優れるポリカーボネート樹脂である。

Claims (6)

  1. 少なくとも下記式(1)で表されるカーボネート構造単位(A)と下記式(2)で表さ
    れるカーボネート構造単位(B)とを含むポリカーボネート樹脂。
    Figure 0006610104
    [式(1)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
    Figure 0006610104
  2. 前記カーボネート構造単位(A)が、下記式(3)で表される請求項1に記載のポリカ
    ーボネート樹脂。
    Figure 0006610104
  3. JIS(1999年度版) K7210 付属書Cに準拠し、高化式フローテスターを
    用いて、280℃、160kgfの条件で測定した流れ値(Q値)が、10(単位:10
    −2cm/sec)以上である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂中の全カーボネート構造単位に対する前記カーボネート構造
    単位(A)の割合が、1〜55モル%である請求項1〜3の何れか1項に記載のポリカー
    ボネート樹脂。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂を、溶融エステル交換法に
    よって製造するポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂を射出成形により成形する、
    ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
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