JP6606988B2 - 回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、Pを積極的に含有した鋼において熱延鋼板の焼鈍を省略した場合には、通常の冷間圧延時の割れとは形態が異なり、板厚中央部にて割れが発生することが多く、りん化物の形成抑制による高強度化の効果を安定的に活用するには課題があったが、適正条件で熱延板焼鈍を実施することで特殊な形態の割れも抑制できるとの知見を得た。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
2.0×10−7<[Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14)]×P/31<2.5×10−5 (2)
(ここで、式(1)、式(2)中、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
Nb*=Nb/93−C/12−N/14 (3)
(ここで、式(3)中、Nb、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
2.0×10−7<[Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14)]×P/31<2.5×10−5 (2)
(ここで、式(1)、式(2)中、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
さらに、再結晶抑制効果によって鋼板中に転位、歪みを残存させることで機械特性、磁気特性を確保する本願の技術思想において、十分な機械特性が得られる指標を検討した結果、{222}の半値幅を0.05以上、鉄損の観点から0.22以下が必要と判明し、本発明を完成させたのである。以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.01%以下、Si:2.0%超4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:1.5%未満、Si+Al:2.5%以上、P:0.03%以上0.20%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を上記式(1)および(2)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなり、{222}の半値幅が0.05以上0.22以下であることを特徴とするものである。なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。また、本発明において、「残部がFeおよび不純物からなる」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で他の元素を含有する場合を含むことを意味する。
(1)C
CはNb、ZrおよびTiと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb、ZrおよびTiの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb、ZrおよびTiにより再結晶を抑制する本発明ではC含有量は低減することが好ましい。しかしながら、過度のC含有量の低減は製鋼コストが増加する点や、C含有量が多くてもNb、ZrおよびTiの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb、ZrおよびTiの含有量は確保される点を鑑み、C含有量の上限値は0.01%とする。さらに好ましくは0.005%以下である。
Siは電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果を有する元素である。さらに、固溶強化により高強度化に寄与する。しかしながら、多量のSiを含有させた場合には冷間圧延時の割れを誘発し、鋼板の歩留まり低下により製造コストが増加する。そのためSi含有量は4.0%以下とする。割れ抑制の観点からは3.5%以下が好ましい。固溶強化による鋼板の高強度化と鉄損低減の観点から、Si含有量は2.0%超とする。好ましくは2.2%以上である。
MnはSiと同様に電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果がある。しかしながら、Mnを多量に含有させると合金コストが増加するため、Mn含有量の上限は3.0%とする。一方、Mn含有量の下限はSを固定する観点から定められるものであり、0.05%とする。
Alは電気抵抗を高めるためSiと同様に渦電流損失を低減する。しかしながら、多量にAlを含有させると合金コストが増加するとともに、飽和磁束密度低下により磁束の漏れが発生するためモータ効率が低下する。これらの観点からAl含有量は1.5%未満とする。また、Alを脱酸剤として使用する場合は0.01%以上含有させることが必要であるが、Siを脱酸剤として使用する場合があるため、Al含有量の下限値は特に限定しない。なお、電気抵抗を高める観点から、SiとAlは合計量で2.5%以上とする。
りん化物の形成を抑制し、鋼中で固溶Nb、Zr、Tiと共存した状態で仕上げ焼鈍に供することにより、再結晶抑制効果が格段に高まるという知見を活用する本発明においては極めて重要な元素である。この効果を得るためには0.03%以上含有させる必要がある。好ましくは0.05%以上である。箱焼鈍型の熱延板焼鈍を採用した場合、本発明の再結晶抑制効果から冷間圧延前の組織は未再結晶組織が主体となる。これに対して本発明の前提である900℃以上1100℃以下の温度での連続焼鈍型の熱延板焼鈍の場合、冷間圧延前の組織は再結晶組織となり、通常の高合金の鋼と同様に冷間圧延での割れ発生が懸念される。P含有量の上限は割れ抑制の観点から設定し、0.20%以下、好ましくは0.10%未満とする。また、後述する式(2)を満足する必要がある。
Sは鋼中に不可避的に混入する不純物であるが、製鋼段階で低減するにはコストが増加するためS含有量としては0.04%を上限とする。
NはNb、ZrおよびTiと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb、ZrおよびTiの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb、ZrおよびTiによって再結晶を抑制する本発明ではN含有量は低減することが好ましい。しかしながら、N含有量が多くてもNb、ZrおよびTiの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb、ZrおよびTiの含有量は確保できる点を鑑み、N含有量の上限は0.02%とする。好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.005%以下である。
従来技術を凌駕する大きさで再結晶抑制効果を得るためには、りん化物の形成を抑制し、固溶Nb、Zr、TiとPが共存した状態で仕上げ焼鈍に供する必要がある。ここで、Nb、Zr、Tiは極めて活性な元素であり、鋼中のC、Nと結合する傾向が強いために、まずは炭化物、窒化物、炭窒化物として固定されてしまう。従って、固溶Nb、Zr、TiとPが共存するためには、先に結合してしまうC、Nよりも原子分率で比較して多量にNb、Zr、Tiを含有している必要があり、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記式(1)を満足する範囲で含有させることが必要である。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
2.0×10−7<[Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14)]×P/31 <2.5×10−5 (2)
(ここで、式(2)中、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
Vも再結晶を抑制する効果を有するが、Nb、Zr、Tiと比較するとりん化物を形成する傾向は低い。従って、りん化物を形成させることなく固溶状態にてPと共存させることを骨子とする本発明においては、Vは必須元素ではない。その再結晶抑制効果の観点からは含有させてもよく、含有させる場合には合金コストの観点から1%以下が好ましい。
本発明においては、高強度化する作用を有するCu、Ni、Cr、Mo、CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させても構わない。
Cuは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果もある。しかしながら過度にCuを含有させると表面疵や冷間圧延時の割れの発生につながるため、Cuを含有させる場合は0.01%以上8.0%以下が好ましい。なお、本発明はCuの析出強化を用いずとも回転子として必要な磁気特性と機械特性を達成できるため、Cuを含有させたとしても従来技術として例示したいわゆる時効熱処理型の無方向性電磁鋼板とは本質的に異なることは言うまでもない。
NiおよびMoは過度に含有させると冷間圧延時の割れの発生やコスト増加につながるため、高強度化の効果との兼ね合いでNiは0.01%以上2.0%以下、Moは0.005%以上4.0%以下で含有させるのが好ましい。
Crは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果もある。また耐食性を改善する効果も有する。しかしながら過度にCrを含有させるとコストが増加するため、Crは0.01%以上15.0%以下で含有させるのが好ましい。
CoおよびWは、過度に含有させるとコストが増加するため、含有させる場合はCoは0.01%以上4.0%以下、Wは0.01%以上4.0%以下とすることが好ましい。
本発明では、再結晶を抑制して転位、歪みを残存させることで機械特性を確保しており、残存する転位、歪みの指標として{222}の半値幅β(deg)を用いる。回転子用として必要な機械特性を得る観点から、βは0.05deg以上とする。好ましくは0.06deg以上である。機械特性の観点からはβは高ければ高いほど好ましいが、所望の板厚へ冷間圧延後、仕上げ焼鈍に施さない鋼板(冷間圧延ままの鋼板)では過度に転位、歪みが残存しており磁気特性、特に鉄損に劣る。そのため、βの上限は0.22degとする。好ましくは0.20deg以下である。ここで、βは、鋼板の1/8位置にてMoをターゲットとしたX線回折によって得られる{222}面の回折パターンから、バックグラウンドおよびKα2のピークを除去したKα1のピークの半値幅(deg)である。また、βは測定される半値幅βmと完全に再結晶させた鋼板の半値幅β0を用いてβ2=βm 2−β0 2の関係から求められる。β0としては、例えば1000℃で20秒程度の仕上げ焼鈍に供した鋼板の値を用いればよい。
本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法は、上述した鋼組成を有する鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に900℃以上1100℃以下の温度で10秒以上5分以下保持した後、850℃から500℃までの冷却速度を5℃/秒以上とする連続焼鈍で熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、前記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板を一回の冷間圧延により所定の板厚まで仕上げる冷間圧延工程と、前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板を700℃以上900℃以下で10秒以上120秒以下の仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程とを有することを特徴とするものである。
本発明における熱間圧延工程は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう。)に熱間圧延を施す工程である。
本発明における熱延板焼鈍工程は、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に900℃以上1100℃以下の温度で10秒以上5分以下保持した後、850℃から500℃までの冷却速度を5℃/秒以上とする焼鈍を施す工程である。熱延鋼板の焼鈍温度が900℃未満であると鉄損に劣り、熱延鋼板の焼鈍を省略した場合と同様に冷間圧延時に板厚中央部にて特異な割れが発生するおそれがある。また、熱延板焼鈍温度が1100℃超であると設備に負担がかかるばかりか、冷間圧延時に通常の高合金の鋼と同様に鋼板エッジ部などを起点として割れが発生する可能性がある。また、850℃から500℃までの平均冷却速度が5℃/秒未満であるとりん化物の析出が進行し、再結晶抑制効果の消失により所望の強度が得られない虞がある。好ましくは10℃/秒以上である。ここで、850℃から500℃までの平均冷却速度とは、当該範囲の冷却に必要な時間t(秒)を用い、350(℃)/t(秒)として求めればよい。なお、仕上げ焼鈍後に全視野が再結晶組織となることが前提の通常の無方向性電磁鋼板では熱延板焼鈍により磁気特性が改善することは知られているが、仕上げ焼鈍後に未再結晶組織を残存させる、あるいは全視野を未再結晶組織とする本発明において、同一の強度レベルであっても熱延板焼鈍を実施することで鉄損が低減する理由は自明ではない。現時点ではその機構は明確でないが、冷間圧延前の組織を再結晶組織とすることで冷間圧延時のすべり系が変化し、熱延板焼鈍を省略した条件と仕上げ焼鈍後に同一の強度レベル、すなわち同一の転位密度であっても、鉄損低減に好ましい微細組織が得られたものと推察している。なお、単に熱延板焼鈍を省略するのみでもりん化物の形成を抑制できるが、磁気特性に劣るという本発明の知見以外に熱延条件の変動の影響を受けやすいという課題がある。また、上述のとおりPを積極的に含有させた鋼では板厚中央部に特異な割れが発生するおそれもある。そのため、本発明では磁気特性改善効果と再結晶抑制効果の双方を高める上記条件で熱延板焼鈍を実施する。
本発明における冷間圧延工程は、上記熱延板焼鈍後の鋼板に中間焼鈍を施すことなく一回の冷間圧延を施すことにより、所定の板厚まで仕上げる工程である。板厚は0.15mm以上0.80mm以下が好ましい。板厚が上記範囲未満では、過度の加工が必要となって冷間圧延時に破断するおそれがある。また、後述する仕上げ焼鈍工程での生産性が悪くなるばかりか、占積率やカシメ強度が低下する可能性もある。一方、板厚が上記範囲を超えると、渦電流損失が増加するため、モータ効率が低下するおそれがある。また、冷間圧延時に導入される転位の量が低下するために、製品の強度が低下するおそれもある。このような観点から、さらに好ましい板厚は0.20mm以上0.70mm以下である。
ここで、冷間圧延鋼板の引張強さは圧延方向を長手方向として採取した引張試験片にて測定することができる。
本発明における仕上げ焼鈍工程は、上述した冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板を700℃以上900℃以下で10秒以上120秒以下で焼鈍する工程である。本発明は、仕上げ焼鈍工程で進行する再結晶を抑制し、転位を残存させることを骨子としている。したがって、再結晶抑制効果が小さい場合には、仕上げ焼鈍温度を通常の無方向性電磁鋼板の焼鈍温度よりも著しく低温化する必要がある。通常の無方向性電磁鋼板の連続焼鈍ラインでの仕上げ焼鈍を前提とすれば、炉温が下がり、かつ安定化するまでは仕上げ焼鈍に供することはできない。さらに、一旦炉温を下げた後は、通常の無方向性電磁鋼板の焼鈍温度まで炉温が上がり、かつ安定化するまでは、通常の無方向性電磁鋼板を仕上げ焼鈍に供することもできない。これらのことから、再結晶抑制効果が小さい場合には、生産性を著しく低下させることが容易に想像できる。本発明ではPと固溶Nb、Zr、Tiを共存させた状態で仕上げ焼鈍に供することが可能であるため、再結晶を抑制する効果は従来技術を凌駕している。したがって、仕上げ焼鈍での温度が高くとも所望の強度を得ることができ、特殊な焼鈍温度の機会を設ける必要がないため生産性を向上させることができる。具体的には、仕上げ焼鈍温度が900℃以下であれば、所望の強度を得ることができる。高強度化の観点から好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下である。仕上げ焼鈍の時間は10秒以上120秒以下とする。焼鈍温度が低ければ低いほど、時間が短ければ短いほど再結晶進行が抑制されるが、鋼板の平坦が矯正されずに回転子に積層した場合の占積率が低下する場合がある。また、鉄損増加にも繋がる。さらに、温度が低い場合には、上述のとおり生産性が著しく低下する。また、焼鈍時間が長時間化した場合も生産性が低下する。これらの観点から焼鈍温度の下限値を700℃とする。これらの焼鈍温度は通常の無方向性電磁鋼板で実施する範囲内であり、生産性を阻害することはない。また、従来技術を凌駕する再結晶抑制効果を有しているため、例えば700℃で仕上げ焼鈍を実施した場合に得られる強度は、従来技術では600℃未満という特殊な仕上げ焼鈍温度の機会を設けた場合にはじめて達成されるものに等しい。そのため本発明によれば、現行の生産性を維持したまま、製造可能な機械特性レベルの範囲を大幅に拡大可能である。
本発明においては、上記仕上げ焼鈍工程後に、一般的な方法に従って、有機成分のみ、無機成分のみ、あるいは有機無機複合物からなる絶縁被膜を鋼板表面に塗布するコーティング工程を行うことが好ましい。また、コーティング工程は、加熱・加圧することにより接着能を発揮する絶縁コーティングを施す工程であってもよい。接着能を発揮するコーティング材料としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂などを用いることができる。
下記の表1に示す鋼組成を有する鋼を真空溶製し、これらの鋼を1150℃に加熱し、仕上げ温度830℃で熱間圧延を行い580℃で巻き取り、厚さが2.1mmの熱間圧延鋼板を得た。その後、熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。得られた冷間圧延鋼板に種々の温度で20秒間保持する仕上げ焼鈍を施し、{222}の半値幅β、機械特性(ヤング率YP、引張強さTS)、磁気特性を評価した。βは鋼板の厚み方向1/8位置まで化学研磨にて減肉した後に、MoをターゲットとするX線回折によって評価した。機械特性は、圧延方向を長手方向とするJIS5号試験片を用いた引張試験をn数=2で実施し、その平均値で評価した。磁気特性は55mm角の単板試験片にて、最大磁束密度:1.0T、励磁周波数:400Hzでの鉄損W10/400と、磁化力5000A/mでの磁束密度B50と、を測定した。磁気測定は圧延方向と圧延直角方向についてn数=2で実施し、それらの平均値を採用した。
比較例1の鋼板はSi含有量が高いために冷間圧延時に破断した。
比較例2の鋼板はAl含有量が高いために磁束密度が低かった。
比較例3の鋼板はP含有量が高く、冷間圧延時に破断した。
比較例4の鋼板はNb、ZrおよびTiの含有量が本発明範囲外であるために再結晶が抑制されず、βが本発明範囲を下回り、降伏点および引張強さともに劣っていた。
比較例5の鋼板はP含有量が本発明範囲外であるため再結晶抑制効果が小さく、実施例1と同等の機械特性、磁気特性を達成するためには仕上げ焼鈍温度を本発明の範囲外へと著しく低温下する必要があり、生産性に劣るものであった。
比較例6は、本発明で規定する要件を満足する鋼組成であるものの、仕上げ焼鈍温度が高いためにβが本発明範囲を下回り、機械特性に劣っていた。
比較例7は本発明で規定する要件を満足する鋼組成であるものの、熱延板焼鈍条件が本発明範囲外のため再結晶抑制効果が著しく減少してβが本発明範囲を下回り、降伏点および引張強さともに劣っていた。
比較例8および比較例9は、本発明で規定する要件を満足する鋼組成であるものの、熱延板焼鈍時の冷却速度が本願発明範囲外のために再結晶抑制効果が著しく減少してβが本発明範囲を下回り、同一の仕上げ焼鈍温度であっても実施例1と比較して降伏点および引張強さともに劣っていた。
比較例10は、βが本発明の規定を満たさなかった。これは熱延板焼鈍を省略したためであると考えられる。特に比較例10では図3に示すとおり冷間圧延時に板厚中央部にて割れが発生し、1枚しか磁気特性、機械特性を評価できなかった。
比較例11は、βが本発明の規定を満たさなかった。これは熱延板焼鈍温度が適切でないためと考えられる。そして比較例11でも比較例10と同様に冷間圧延時に板厚中央部にて割れが発生し、1枚しか磁気特性、機械特性を評価できなかった。
比較例12は、冷間圧延時に破断し、試験片を採ることができず、電磁鋼板としての製造することができなかった。これは、熱延板焼鈍温度が高いためであると考えられる。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.01%以下、Si:2.0%超4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:1.5%未満、Si+Al:2.5%以上、P:0.05%以上0.20%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(1)および(2)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなり、{222}の半値幅が0.05以上0.22以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
2.0×10−7<[Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14)]×P/31<2.5×10−5 (2)
(ここで、式(1)(2)中、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。) - 前記Feの一部に代えて、Ti、Nbの少なくとも1種を0.02%超で含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
- 前記Feの一部に代えて、Vを1%以下含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無方向性電磁鋼板。
- {222}の半値幅が0.05以上0.22以下となる無方向性電磁鋼板を製造するための方法であって、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の組成からなる鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に900℃以上1100℃以下の温度で10秒以上5分以下保持した後、850℃から500℃までの冷却速度を10℃/秒以上とする熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、
前記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板を一回の冷間圧延により所定の板厚まで仕上げる冷間圧延工程と、
前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板を700℃以上900℃以下で10秒以上120秒以下の仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、を有することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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