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JP6588728B2 - 起泡性水中油型乳化物及びホイップドクリーム - Google Patents

起泡性水中油型乳化物及びホイップドクリーム Download PDF

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JP6588728B2 JP2015091297A JP2015091297A JP6588728B2 JP 6588728 B2 JP6588728 B2 JP 6588728B2 JP 2015091297 A JP2015091297 A JP 2015091297A JP 2015091297 A JP2015091297 A JP 2015091297A JP 6588728 B2 JP6588728 B2 JP 6588728B2
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Description

本発明は、起泡性水中油型乳化物、及び、これをホイップして得られるホイップドクリームに関する。
洋菓子やパン等に使用されるホイップドクリームは、起泡性水中油型乳化物をホイップし、起泡させて製造される。そのような起泡性水中油型乳化物に配合される油脂としては、ホイップドクリームのシャープな口溶けと良好な保型性を両立させるため、従来、ラウリン系油脂が使用されている。ラウリン系油脂はその構成脂肪酸が炭素数12の飽和脂肪酸(ラウリン酸)が主体となっている油脂であるが、これを多量に配合すると、ホイップドクリームの硬さが経時的に上昇しシマリが生じ易いため作業性が悪くなるといった問題や、飽和脂肪酸が多く含まれるために健康上の問題が生じる。
また、ホイップドクリームの保型性を向上させる目的で、部分硬化油を配合することが行われているが、部分硬化油の構成脂肪酸にはトランス脂肪酸が含まれており、トランス脂肪酸は多量に摂取すると動脈硬化等のリスクを高めることから、部分硬化油の配合は健康上好ましくない。
さらに、起泡性水中油型乳化物の乳化を安定させる目的で、タンパク質溶融塩を配合することが行われているが、これを配合すると、食した時に苦味が感じられ、また、健康上の問題もある。
タンパク質溶融塩とトランス脂肪酸とを実質的に含まず、且つ構成脂肪酸のうち炭素数12の飽和脂肪酸の占める割合が小さい起泡性水中油型乳化物が特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1では、油相中に、SUSで表されるトリグリセリド60重量%とUSUで表されるトリグリセリドを0.3重量%以上含有する起泡性水中油型乳化物が開示されている(ここで、Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは炭素数18以上の不飽和脂肪酸を表す)。
特許文献2では、油相中に、St2L型トリグリセリドとP2O型トリグリセリドを合計50重量%以上含有する起泡性水中油型乳化物が開示されている(ここで、Stはステアリン酸残基、Lはリノール酸またはリノレン酸残基、Pはパルミチン酸残基、Oはオレイン酸残基を表す)。
特開2006-223176号公報 特開2009-261332号公報
発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の発明では、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が低く、ホイップドクリームの口溶けが悪いという課題があることが判明した。
また、特許文献2に記載の発明では、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が低く、ホイップドクリームの風味が低下するという課題があることが判明した。なお、発明者らの検討によると、特許文献2に記載の発明における課題は、エステル交換油の含有量が多く、油脂の構成脂肪酸である炭素数12の飽和脂肪酸の含有量が少ないことに起因するものと考えられる。
本発明の目的は、タンパク質溶融塩、及びエステル交換油を実質的に含有せず、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を実質的に含まないにも関わらず、乳化安定性が良好であり、且つ、ホイップして作製したホイップドクリームが良好な保型性を保持しながらも経時的なシマリが少なく、その風味及び口溶けが良好で、健康上好ましい起泡性水中油型乳化物、並びに、当該乳化物をホイップして得られたホイップドクリームを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、タンパク質溶融塩、及びエステル交換油を実質的に含有せず、油脂として、特定量のパーム油中融点部及び特定量のパーム油分別液状部を配合し、かつ、油脂の構成脂肪酸のうち炭素数12の飽和脂肪酸が適量を占め且つトランス脂肪酸は実質的に含まないように調節した起泡性水中油型乳化物は、乳化安定性が良好であり、さらに、該乳化物をホイップして作製したホイップドクリームは、良好な保型性を保持しながらも経時的なシマリが少なく、風味及び口溶けも良好であり、健康上も好ましいことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、水と油脂を含む起泡性水中油型乳化物であって、
前記起泡性水中油型乳化物の全体に対し、前記油脂を25〜45重量%含有すると共に、タンパク質溶融塩を0.02重量%未満の範囲で含有するか又は含有せず、
前記油脂の全体に対し、パーム油中融点部である油脂(A)43〜65重量%及び下記油脂(B)26〜47重量%を含有し、かつ、油脂(A)と油脂(B)の合計量が87〜93重量%であり、
前記油脂の全体に対し、エステル交換油を1重量%未満の範囲で含有するか又は含有せず、
前記油脂の構成脂肪酸全体に対して炭素数12の飽和脂肪酸が2.5〜7重量%を占めると共に、トランス脂肪酸が1重量%未満を占めるか又は含まれない、
起泡性水中油型乳化物である。
油脂(B):エステル交換されていないパーム油の分別液状部であり、且つヨウ素価が55以上90以下の範囲内である油脂。
前記起泡性水中油型乳化物は、エステル交換油を含有しないことが好ましい。
また、前記起泡性水中油型乳化物においては、前記油脂の構成脂肪酸全体に対して飽和脂肪酸が総量で47〜70重量%を占めることが好ましい。
また、前記起泡性水中油型乳化物においては、前記油脂の全体に対してSUS型トリグリセリドが43〜60重量%を占めることが好ましい。
本発明の第二は、前記起泡性水中油型乳化物をホイップしてなるホイップドクリームである。
本発明に従えば、タンパク質溶融塩、及びエステル交換油を実質的に含有せず、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を実質的に含まないにも関わらず、乳化安定性が良好であり、且つ、ホイップして作製したホイップドクリームが良好な保型性を保持しながらも経時的なシマリが少ないため作業性が良好で、風味及び口溶けが良好で、健康上好ましい起泡性水中油型乳化物、並びに、当該乳化物をホイップして得られたホイップドクリームを提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂と必要に応じて油脂以外の油溶性原料とを含む油相、及び、水と必要に応じて水溶性原料とを含む水相を含む、水中油型の乳化物である。当該乳化物は、起泡性を示すものであり、これをホイップし、起泡させることにより、本発明のホイップドクリームを得ることができる。
油脂は、1分子のグリセリンに対し3分子の脂肪酸がエステル結合してなるトリグリセリドである。トリグリセリドを構成している前記脂肪酸を、構成脂肪酸という。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、油脂は、合計で、前記乳化物全体のうち25〜45重量%、好ましくは34〜45重量%を占めるように配合される。油脂の配合割合が25重量%より少ないと、ホイップドクリームの風味が薄くてコクを感じ難くなる場合がある。45重量%より多いと、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなる場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂として、少なくとも油脂(A)と油脂(B)を含有する。
油脂(A)はパーム油中融点部である。パーム油中融点部とは、パーム油を、食用油脂に一般的に適用される分別方法、例えば多段階分別や溶剤分別に供して得られ、且つエステル交換されていない中融点部である。より具体的には、分別時の温度において固体の成分であって、上昇融点が25〜32℃程度を示す成分をいう。しかし本発明の効果を奏する限り、中融点部の上昇融点はこの範囲に限定されない。
パーム油中融点部である油脂(A)は、SUS型トリグリセリドを特定量含有していることが好ましい。ここで、SUS型トリグリセリドとは、対称型トリグリセリドであって、グリセリンの1,3位にそれぞれ飽和脂肪酸が結合し、2位に不飽和脂肪酸が結合しているトリグリセリドをいう。1,3位の飽和脂肪酸残基はパルミチン酸残基及び/又はステアリン酸残基であることが好ましく、2位の不飽和脂肪酸残基はオレイン酸残基及び/又はリノール酸残基であることが好ましい。
SUS型トリグリセリドは、油脂(A)のうち50〜86重量%を占めることが好ましく、60〜75重量%を占めることがより好ましい。SUS型トリグリセリドの含有割合が50重量%より少ないと、ホイップドクリームにおいて良好な口溶けが得られなくなる場合がある。また86重量%より多いと、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなる場合がある。
油脂(A)は、本発明の起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂全体のうち43〜65重量%、好ましくは50〜63重量%を占めるように配合される。油脂(A)の含有割合が43重量%未満であるとホイップドクリームを十分に硬くすることができず、良好な保型性が得られない場合があり、65重量%より多いと起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなったり、良好な口溶けが得られない場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化物におけるSUS型トリグリセリドの含有割合は、前記起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂全体のうち43〜60重量%が好ましく、45〜55重量%がより好ましい。43重量%より少ないと、ホイップドクリームにおいて保型性が悪くなる場合がある。また60重量%より多いと、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなる場合がある。
本発明において使用する油脂(B)は、エステル交換されていないパーム油の分別液状部であって、ヨウ素価が55以上90以下、好ましくは60以上80以下の範囲内のものである。該分別液状部とは、食用油脂に一般的に適用される分別方法に従ってパーム油を分別して得られる、分別時の温度において液状の成分であり、例えば多段階分別や溶剤分別を行い得ればよい。このような分別液状部の具体例としては、パームオレイン、パームスーパーダブルオレイン、パームダブルオレイン等が挙げられる。分別液状部のヨウ素価が55より低いと、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなる場合がある。またヨウ素価が90より高いと、油脂(B)を製造するためのコストが高くなりすぎる場合がある。
油脂(B)は、本発明の起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂全体のうち26〜47重量%、好ましくは26〜40重量%を占めるように配合される。油脂(B)の含有割合が26重量%未満であると起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなったり、良好な口溶けが得られない場合があり、47重量%より多いとホイップドクリームを十分に硬くすることができず、良好な保型性が得られない場合がある。
以上に加えて、油脂(A)と油脂(B)は、合計で、本発明の起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂全体のうち87〜93重量%を占めるように配合される。油脂(A)と油脂(B)の合計量が87重量%より少ないと、ホイップドクリームにおいて良好な口溶けが得られなくなる場合がある。また93重量%より多いと起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなったり、ホイップドクリームの保型性が悪くなったり、シマリが強くなったり、口溶けが悪くなったりする場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂は、さらに、油脂(A)と油脂(B)以外の食用油脂を含む。そのような油脂としては、ラウリン系油脂の他、菜種油、大豆油、サフラワー油、コーン油、米油、綿実油、油脂(A)および油脂(B)を除くパーム系油脂などの植物油脂や、乳脂、ラードなどの動物油脂、および、これらの油脂の分別油、硬化油、エステル交換油やそれらの混合油などが挙げられる。中でも、後述する炭素数12の飽和脂肪酸の含有割合を満足するために、本発明の起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂は、ラウリン系油脂を含有することが好ましい。ここで、ラウリン系油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン酸を多く含む油脂をいい、具体的には構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が概ね35重量%以上であればよく、例えば、パーム核油、ヤシ油、及びこれらの分別油や硬化油等が挙げられる。
しかし、本発明の起泡性水中油型乳化物は、ホイップドクリームの好ましい風味を損わないようにする観点から、エステル交換油を多量に含有しないことが好ましい。具体的には、前記乳化物は、エステル交換油を1重量%未満の範囲で含有するか又は含有しないものであり、好ましくはエステル交換油を含有しないものである。エステル交換油の含有割合が1重量%以上であると、ホイップドクリームの好ましい風味が薄まる場合がある。
前記エステル交換油とは、食用油脂をエステル交換反応して得られる油脂を指す。前記食用油脂としては菜種油、コーン油、綿実油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油等の植物性油脂や、乳脂肪、牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂が例示でき、これらを硬化、分別、エステル交換等の加工処理を行ったものも用いることができる。前記エステル交換油の製法については特に限定なく、常法を用いて製造することができる。例えば、ナトリウムメチラートまたはナトリウムエチラートを原料油脂に対して0.01〜1.0重量%添加してランダムエステル交換反応を起こす化学法や、リパーゼなどの酵素を用いてエステル交換を行なう酵素法などを適用できる。
さらに、本発明の起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂の構成脂肪酸は、特定組成を有することが好ましい。特に、炭素数12の飽和脂肪酸(ラウリン酸)は、構成脂肪酸全体のうち2.5〜7重量%、好ましくは3.5〜6重量%を占める。炭素数12の飽和脂肪酸が占める割合が2.5重量%より少ないと起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなる場合があり、7重量%より多いとホイップドクリームの経時的なシマリが強くなったり、逆に軟らかくなりすぎたりし、作業性が悪くなる場合がある。この炭素数12の飽和脂肪酸が占める割合を満足するには、油脂として、ラウリン系油脂を本発明の起泡性水中油型乳化物に配合することが好ましい。
また、炭素数12の飽和脂肪酸を含むすべての飽和脂肪酸が、総量で、構成脂肪酸全体のうち47〜70重量%を占めることが好ましく、47〜60重量%を占めることがより好ましく、47〜55重量%を占めることがさらに好ましい。全飽和脂肪酸の占める割合が47重量%より少ないと、ホイップドクリームにおいて、保型性が悪くなる場合がある。また70重量%より多いと、健康上好ましくない場合がある。
さらに、健康上の観点から、本発明の起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂の構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を多量に含有しないことが好ましい。ここで、トランス脂肪酸とは、トランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸のことをいう。具体的には、トランス脂肪酸は、前記油脂の構成脂肪酸全体のうち1重量%未満の範囲を占めるように構成脂肪酸として含まれるか、又は含まれない。なお、トランス脂肪酸の含有割合を少なくするには、本発明の起泡性水中油型乳化物に配合する部分硬化油の量を低減すればよい。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、タンパク質溶融塩を多量に含有しないことが好ましい。多量に含有すると、ホイップドクリームの風味に悪影響を及ぼす場合があったり、健康上好ましくないためである。具体的には、タンパク質溶融塩は、本発明の起泡性水中油型乳化物の全体に対し0.02重量%未満の範囲で含有されるか、又は含有されない。前記タンパク質溶融塩としては、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム等が挙げられる。更に、コハク酸、乳酸、炭酸、酢酸等の有機酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
本発明の起泡性水中油型乳化物には、必要に応じて、乳化剤、増粘剤、糖類、乳製品、呈味剤、着色料、香料、塩分、ビタミン類、ミネラル類、酸化防止剤、その他食品成分、添加剤等を配合してもよい。
前記呈味剤、着色料、香料、塩分、ビタミン類、ミネラル類、酸化防止剤、その他食品成分、添加剤は、食品用であれば特に限定はなく、必要に応じて適宜使用することができる。
前記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの合成乳化剤、大豆レシチン、卵黄レシチン、及びこれらの分画レシチン、更には酵素分解したリゾレシチンといった改質レシチンなどのレシチン類や乳由来のリン脂質を含む天然由来の乳化剤などが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。
前記増粘剤としては、例えば、ジェランガム、グアガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶セルロース、澱粉、デキストリン等を挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。
前記糖類としては、例えば、ブドウ糖、砂糖、果糖、異性化糖、液糖、澱粉糖化物、デキストリン、澱粉又は糖アルコール等を挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。
前記乳製品としては、カゼイン、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、乳糖、トータルミルクプロテイン、生乳、牛乳、全脂濃縮乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、ホエー、生クリーム、加糖練乳、無糖練乳、バター、チーズ等の他、UF膜やイオン交換樹脂処理等により蛋白質を分離、分画したものや、カゼインナトリウムやカゼインカリウムのような乳蛋白質の塩類が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。その中でも、バターミルクパウダーを使用することが好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造方法は、特に限定されないが、以下に例示する。まず、50〜70℃に加温し溶融した油脂に、必要に応じて油溶性乳化剤、香料等の油溶性原料を混合し、該混合物を50〜70℃に維持しながら撹拌し、油相を調製する。
また、50〜70℃の温水に、必要に応じて水溶性乳化剤、蛋白質、塩類、香料、増粘剤、呈味剤、糖類、乳製品、着色料、塩分、ビタミン類、ミネラル類などの水溶性原料を混合し、50〜70℃に維持しながら撹拌し、水相を調製する。
そして、水相を撹拌しながらそこへ油相を添加して、予備乳化する。その後、微細化、均質化、予備加熱、殺菌、1次冷却、均質化、2次冷却、3次冷却、エージングなど、起泡性水中油型乳化物の製造時に常法として行われる各処理を行うことにより、本発明の起泡性水中油型乳化物を得ることができる。
そして、得られた起泡性水中油型乳化物を、オープン式ホイッパーや密閉式連続ホイップマシンを用いて、トッピング、ナッペ、サンド等の使用目的に沿った適度な硬さに到達するまでホイップすることで、本発明のホイップドクリームが得られる。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、食用のものとすることができ、主に、ホイップしてホイップドクリームとすることで、トッピング用、ナッペ用、サンド用、フィリング用、センター用等のホイップドクリームとして使用することができる。
しかし、本発明の起泡性水中油型乳化物は、ホイップドクリーム用途に限定されず、例えば、コーヒー用クリーム、加工食品(ホワイトソース、グラタンなど)用クリーム、アイスクリーム、ソフトクリーム用プレミックス;飲料、パン、菓子、ハム、ソーセージ、食肉、魚肉、その他加工食品等への練り込み用油脂;マヨネーズ、ドレッシング、チーズ様食品、フラワーペースト、フィリング、トッピング、サンド、スプレッド等の加工食品用途としても用いることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<油脂の上昇融点の測定>
実施例及び比較例で用いた油脂について、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.2−90融点(上昇融点)」に記載の方法に基づき測定した。
<ヨウ素価の測定>
実施例及び比較例で用いた油脂について、基準油脂分析試験法「3.3.3−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に記載の方法に基づき測定した。
<油脂の構成脂肪酸組成の測定>
油脂の構成脂肪酸組成の測定は、FID恒温ガスクロマトグラフ法により行った。FID恒温ガスクロマトグラフ法とは、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」(発行年:1996年)の「2.4.2.1 脂肪酸組成」に記載された方法である。油脂の構成脂肪酸組成を測定することにより、構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含有量、C12飽和脂肪酸含有量、及び総飽和脂肪酸含有量をそれぞれ得た。
<油脂中の各トリグリセリド含有量の測定>
油脂中の各トリグリセリド含有量は、HPLCを用いて、「AOCS Official Method Ce 5c−93」に準拠して測定し、各ピークのリテンションタイムおよびエリア比から算出した。油脂中の各トリグリセリド含有量を算出することにより、油脂中のSUS型トリグリセリド含有量を得た。
以下に、測定条件を記す。
溶離液 :アセトニトリル:アセトン=70:30(体積比)
流速 :0.9ml/分
カラム :ODS
カラム温度:36℃
検出器 :示差屈折計
<起泡性水中油型乳化物の粘度の評価>
実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化物について、ホイップ直前に、B型粘度計(TOKIMEC INC.製)を用いて粘度を測定し、その測定値(単位:mPa・s)を起泡性水中油型乳化物の粘度の評価値とした。なお、起泡性水中油型乳化物の粘度は、起泡性水中油型乳化物の安定性の指標のひとつである。
<起泡性水中油型乳化物の乳化安定性の評価>
実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化物60gを100ccビーカーに入れ、15℃で1時間温調後、直径4cmの撹拌ペラで120rpm、室温20℃の条件で撹拌し、流動性が無くなるまでに要する時間を乳化安定性の評価値とした。前記評価値が30分以上であれば、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性は良好であるといえる。
<ホイップドクリームの硬さ(シマリ)の評価>
カントーミキサー(関東混合機工業(株)製「CS型20」)に、実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化物4kgを入れ、それらの品温を5℃に調整し、グラニュー糖400gを入れ、高速撹拌条件(380rpm)でホイップし、トッピングするのに適度な硬さに到達するまでホイップして、ホイップドクリームを得た。
ホイップ直後のサンプル、及び、ホイップ後20℃で30分間静置したサンプルを容器に入れた後、クリープメーター((株)山電製「RE2−33005S」)を用いて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、速度5mm/sの速さで1cm貫入させた時の最大荷重を測定し、該測定値を硬さ(シマリ)の評価値とした。20℃で30分静置後の評価値とホイップ直後の評価値との差が−0.05〜0.05Nの範囲であれば、シマリが少なく、且つ軟らかくなりすぎていないといえる。なお、ここでトッピングするのに適度な硬さとは、最大荷重が0.25〜0.35Nになる硬さのことである。
<ホイップドクリームの保型性の評価>
上記と同じ手法で得られたホイップドクリームを絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)を用いて、透明なポリカップ容器に、高さ6cm程度、底辺の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら三角錐状にホイップドクリームを40g絞り、そのホイップドクリームの塊の高さを測定した。次いで、当該塊を15℃で24時間保持した後、再びその高さを測定し、絞った直後の高さが何%残っているかを保型性の評価値とした。該評価値が70%以上では商品性があり、70%未満では商品性がないので、下記判定基準に従い評価した。
◎:評価値が90〜100%であり、保型性が通常よりも良好である。
○:評価値が80%以上、90%未満であり、保型性が通常と同等に良好である。
△:評価値が70%以上、80%未満であり、保型性が通常よりやや悪いが、商品性はある。
×:評価値が70%未満であり、保型性が通常より悪く、商品性がない。
<ホイップドクリームの風味の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドクリームを熟練のパネラー8名が食して官能評価を行い、それを総合して風味の評価結果とした。その際の評価基準は以下の通りである。
◎:苦みがなく、コクが強く感じられる。
○:苦みがなく、コクが感じられる。
△:苦みがやや感じられる及び/又はコクがやや弱い。
×:苦みが感じられる及び/又はコクが弱い。
<ホイップドクリームの口溶けの評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドクリームを熟練のパネラー8名が食して官能評価を行い、それを総合してホイップドクリームの口溶けの評価結果とした。その際の評価基準以下は以下の通りである。
◎:口溶けがかなり良い。
○:口溶けが良い。
△:口溶けがやや悪い。
×:口溶けが悪い。
<実施例・比較例で使用した原料>
1)パーム油中融点部:(株)カネカ製「パーム油中融点部」(SUS型トリグリセリド:64.2重量%、トランス脂肪酸:0.1重量%、C12飽和脂肪酸:0.2重量%、総飽和脂肪酸:55.6重量%)
2)パーム油中融点部:(株)カネカ製「パーム油中融点部」(SUS型トリグリセリド:85.7重量%、トランス脂肪酸:0重量%、C12飽和脂肪酸:0.1重量%、総飽和脂肪酸:65.1重量%)
3)パームスーパーオレイン:(株)カネカ製「パームスーパーオレイン」(ヨウ素価:65、SUS型トリグリセリド:26.9重量%、トランス脂肪酸:0.1重量%、C12飽和脂肪酸:0.3重量%、総飽和脂肪酸:38.5重量%)
4)パームダブルオレイン:(株)カネカ製「パームダブルオレイン」(ヨウ素価:63、SUS型トリグリセリド:35.5重量%、トランス脂肪酸:0重量%、C12飽和脂肪酸:0.5重量%、総飽和脂肪酸:41.9重量%)
5)パームオレイン:(株)カネカ製「パームオレイン」(ヨウ素価:58、SUS型トリグリセリド:41.2重量%、トランス脂肪酸:0.2重量%、C12飽和脂肪酸:0.2重量%、総飽和脂肪酸:45.9重量%)
6)パーム核油:(株)カネカ製「パーム核油」(上昇融点:27℃、トランス脂肪酸:0重量%、C12飽和脂肪酸:45.6重量%、総飽和脂肪酸:79.9%)
7)パーム核ステアリン:(株)カネカ製「パーム核ステアリン」(トランス脂肪酸:0.7重量%、C12飽和脂肪酸:49.9重量%、総飽和脂肪酸:89.3%)
8)パームスーパーオレインのランダムエステル交換油:(株)カネカ製「パームスーパーオレインのランダムエステル交換油」(ヨウ素価:65、SUS型トリグリセリド:8.1重量%、トランス脂肪酸:0.2重量%、C12飽和脂肪酸:0.5重量%、総飽和脂肪酸:40.1重量%)
9)ナタネ油:(株)カネカ製「ナタネ油」(ヨウ素価:116、SUS型トリグリセリド:0重量%、トランス脂肪酸:0重量%、C12飽和脂肪酸:0重量%、総飽和脂肪酸:6.6重量%)
10)大豆レシチン:ADM(株)製「Yelkin TS」
11)テトラグリセリンモノステアレート:阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS−3S」(HLB:8.4)
12)ショ糖ステアリン酸エステル:三菱化学フーズ(株)製「P−1670」(HLB:16)
13)ヘキサグリセリンモノステアレート:阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS-5S」(HLB:11.6)
14)パーム核オレイン:(株)カネカ製「パーム核オレイン」(上昇融点:23℃、トランス脂肪酸:0重量%、C12飽和脂肪酸:40.5重量%、総飽和脂肪酸:72重量%)
15)パーム核硬化油:(株)カネカ製「パーム核硬化油」(上昇融点:36℃、トランス脂肪酸:3.9重量%、C12飽和脂肪酸:45.6重量%、総飽和脂肪酸:91.5重量%)
16)パームオレインのエステル交換油:(株)カネカ製「パームオレインのエステル交換油」(ヨウ素価:58、SUS型トリグリセリド:13.6重量%、トランス脂肪酸:0.2重量%、C12飽和脂肪酸:0.2重量%、総飽和脂肪酸:45.9重量%)
17)パーム極度硬化油:(株)カネカ製「パーム極度硬化油」(上昇融点:59.8℃、SUS型トリグリセリド:0重量%、トランス脂肪酸:0重量%、C12飽和脂肪酸:0.2重量%、総飽和脂肪酸:100重量%)
18)テトラグリセリンヘキサベヘネート:理研ビタミン(株)製「ポエムJ−46B」(HLB:2.6)
19)ヘキサグリセリンモノオレエート:阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMO-5S」(HLB:11.6)
(実施例1)起泡性水中油型乳化物の作製
表1の配合に従い、パーム油中融点部:油脂(A)(SUS型トリグリセリド:64.2重量%、トランス脂肪酸:0.1重量%、C12飽和脂肪酸:0.2重量%、総飽和脂肪酸:55.6重量%)23.3重量部、パームスーパーオレイン:油脂(B)(ヨウ素価:65、SUS型トリグリセリド:26.9重量%、トランス脂肪酸:0.1重量%、C12飽和脂肪酸:0.3重量%、総飽和脂肪酸:38.5重量%)10.0重量部、及びパーム核油(上昇融点:27℃、トランス脂肪酸:0重量%、C12飽和脂肪酸:45.6重量%、総飽和脂肪酸:79.9%)3.7重量部を配合してなる油脂成分に、大豆レシチン0.19重量部、テトラグリセリンモノステアレート(HLB8.4)0.03重量部を添加し、65℃で溶解して油相部を作製した。このとき、油相部の油脂の構成脂肪酸全体中の含有量は、それぞれSUS型トリグリセリド:47.7重量%、トランス脂肪酸:0.1重量%、C12飽和脂肪酸:4.8重量%、総飽和脂肪酸:53.4重量%であった。
一方、バターミルクパウダー3.0重量部、ホエイパウダー2.0重量部、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB16)0.05重量部、ヘキサグリセリンモノステアレート(HLB11.6)0.05重量部を、表1の配合と最終的に同じになるようにスチームインジェクション(蒸気加熱工程)での水分増加量を考慮した量の60℃の温水に溶解して水相部を作製した。
前記の油相部と水相部とを混合して20分間予備乳化した後、高周速回転式乳化機(エム・テクニック(株)製「クレアミックス」)を用いて周速31.4m/sの回転速度で微細化した。次いで、高圧ホモジナイザーを用いて1段目:2.0MPa/2段目:1.0MPaの圧力で処理した後に、プレート式加熱機を用いて90℃まで予備加熱した後、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理した。次に、蒸発冷却せずにプレート式冷却機を用いて60℃まで冷却し、再び高圧ホモジナイザーを用いて1段目6.5MPa/2段目2.0MPaの圧力で処理し、その後、プレート式冷却機で5℃まで冷却したものを容器に充填し、5℃の冷蔵庫で24時間保管し、起泡性水中油型乳化物を得た。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表1に記載した。
さらに、この起泡性水中油型乳化物を用い、上記に記載した方法に沿ってホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表1に記載した。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
表1の配合に従い、起泡性水中油型乳化物全体中の油脂量は変えずに、油脂(A)、油脂(B)の種類及び配合量のうち少なくとも1つを変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化物を得た。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表1に記載した。
さらに、得られた起泡性水中油型乳化物を用い、実施例1と同様にホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表1に記載した。
なお、比較例2は、起泡性水中油型乳化物の油脂中の油脂(B)の割合が52.2重量%と多すぎて軟らかいためにトッピングするのに適度な硬さ(0.25〜0.35N)にすることができず、ホイップ直後の硬さは0.21Nであった。
(比較例4)特開2006−223176号公報準拠
表1の配合に従い、油脂(A)とラウリン系油脂の種類および配合量を変更し、油脂(B)を配合せず、エステル交換油を0.7重量部配合し、水の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして特開2006−223176号公報準拠の起泡性水中油型乳化物を得た。このとき、起泡性水中油型乳化物全体中の油脂量は35.0重量%であった。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表1に記載した。
さらに、得られた起泡性水中油型乳化物を用い、実施例1と同様にホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表1に記載した。
Figure 0006588728
表1より、実施例1〜6では、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が良好であり、ホイップドクリームは良好な保型性を保持しながらも経時的なシマリが少なく、風味及び口溶けが良好であることがわかる。比較例1は油脂中の油脂(A)の割合が所定割合より大きく、油脂(B)の割合が所定割合より小さいものであり、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が低く、ホイップドクリームの良好な口溶けが得られなかった。比較例2は油脂中の油脂(A)の割合が所定割合より小さく、油脂(B)の割合が所定割合より大きいものであり、ホイップドクリームを十分に硬くすることができず、良好な保型性が得られなかった。比較例3は油脂(B)を配合せず、油脂(A)と油脂(B)の合計割合が所定割合より小さいものであり、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が低く、ホイップドクリームが良好な保型性を示さなかった。比較例4は油脂中の油脂(A)の割合が所定割合より大きく、油脂(B)を配合せず、油脂(A)と油脂(B)の合計割合が所定割合より大きく、油脂の構成脂肪酸中の炭素数12の飽和脂肪酸の割合が所定割合より小さく、エステル交換油が所定の割合より大きいものであり、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が低く、ホイップドクリームのコクがやや弱く、良好な口溶けが得られなかった。
(実施例7〜10、比較例5〜7)
表2の配合に従い、起泡性水中油型乳化物全体中の油脂量は変えずに、油脂(B)の配合量、及びラウリン系油脂の種類または配合量のうち少なくとも1つを変更し、実施例10ではさらにナタネ油を0.5重量部配合した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化物を得た。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表2に記載した。
さらに、得られた起泡性水中油型乳化物を用い、実施例1と同様にホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表2に記載した。
(比較例8)
表2の配合に従い、起泡性水中油型乳化物全体中の油脂量は変えずに、タンパク質溶融塩であるヘキサメタリン酸ナトリウムを0.1重量部配合し、水の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化物を得た。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表2に記載した。
さらに、得られた起泡性水中油型乳化物を用い、実施例1と同様にホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表2に記載した。
(比較例9)
表2の配合に従い、油脂(A)の配合量を変更し、油脂(B)およびラウリン系油脂を配合せず、エステル交換油を13.35重量部配合し、水の配合量を変更した以外は、比較例8と同様にして起泡性水中油型乳化物を得た。このとき、起泡性水中油型乳化物全体中の油脂量は44.5重量%であった。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表2に記載した。
さらに、得られた起泡性水中油型乳化物を用い、実施例1と同様にホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表2に記載した。
Figure 0006588728
表2より、実施例7〜10では、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が良好であり、ホイップドクリームは良好な保型性を保持しながらも経時的なシマリが少なく、風味及び口溶けが良好であることがわかる。比較例5は油脂中の油脂(B)の割合、及び、油脂(A)と油脂(B)の合計割合が所定割合より小さく、油脂の構成脂肪酸中の炭素数12の飽和脂肪酸の割合が所定割合より大きいものであり、ホイップドクリームが良好な保型性を示さなかった。比較例6は油脂中の油脂(A)及び油脂(B)の割合、及び、油脂(A)と油脂(B)の合計割合が所定割合より小さく、油脂の構成脂肪酸中の炭素数12の飽和脂肪酸の割合が所定割合より大きいものであり、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が低く、ホイップドクリーム作製後のシマリが大きいものであった。比較例7は、油脂中の油脂(A)の割合、及び、油脂(A)と油脂(B)の合計割合が所定割合より大きく、油脂の構成脂肪酸中の炭素数12の飽和脂肪酸の割合が所定割合より小さいものであり、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が低いものであった。比較例8は、タンパク質溶融塩の配合量が多く、タンパク質溶融塩の苦みが感じられ、ホイップドクリームの良好な風味が得られなかった。比較例9は、タンパク質溶融塩及びエステル交換油の配合量が多く、油脂中の油脂(A)の割合が所定割合より大きく、油脂(B)を含まず、油脂(A)と油脂(B)の合計割合が所定割合より小さく、油脂の構成脂肪酸中の炭素数12の飽和脂肪酸の割合が所定割合より小さいものであり、苦みが感じられる上にコクが弱く、ホイップドクリームの良好な風味及び口溶けが得られなかった。
(実施例11〜13)
表3の配合に従い、油脂(A)、油脂(B)、ラウリン系油脂および水の配合量をそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化物を得た。このとき、起泡性水中油型乳化物全体中の油脂量はそれぞれ40.0、34.0、30.0重量%であった。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表3に記載した。
さらに、得られた起泡性水中油型乳化物を用い、実施例1と同様にホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表3に記載した。なお、実施例13では、乳化物中の油脂含量が30重量%とやや少なめであったため、コクがやや弱く感じられたが、総合的に判断するとホイップドクリームとして好ましいものであった。
(実施例14)
表3の配合に従い、起泡性水中油型乳化物全体中の油脂量は変えずに、油脂(A)及び油脂(B)の配合量、ラウリン系油脂の種類と配合量をそれぞれ変更し、パーム極度硬化油を0.2重量部配合し、油相にテトラグリセリンヘキサベヘネートを0.05重量部配合し、さらに水相ではヘキサグリセリンモノステアレートの配合量を変更し、ヘキサグリセリンモノオレエートを0.06重量部加え、ホエイパウダーをバターミルクパウダーに置き換え、水の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化物を得た。得られた起泡性水中油型乳化物の粘度及び乳化安定性を評価し、表3に記載した。
さらに、得られた起泡性水中油型乳化物を用い、実施例1と同様にホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームの硬さ、保型性、風味及び口溶けを評価し、表3に記載した。
Figure 0006588728
表3より、実施例11〜14では、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が良好であり、ホイップドクリームは良好な保型性を保持しながらも経時的なシマリが少なく、風味及び口溶けが概ね良好であることがわかる。特に、実施例14の起泡性水中油型乳化物及びホイップドクリームは、非常に好ましいものであった。

Claims (5)

  1. 水と油脂を含む起泡性水中油型乳化物であって、
    前記起泡性水中油型乳化物の全体に対し、前記油脂を25〜45重量%含有すると共に、タンパク質溶融塩を0.02重量%未満の範囲で含有するか又は含有せず、
    前記油脂の全体に対し、パーム油中融点部である油脂(A)43〜65重量%及び下記油脂(B)26〜47重量%を含有し、かつ、油脂(A)と油脂(B)の合計量が87〜93重量%であり、
    前記油脂の全体に対し、エステル交換油を1重量%未満の範囲で含有するか又は含有せず、
    前記油脂の構成脂肪酸全体に対して炭素数12の飽和脂肪酸が2.5〜7重量%を占めると共に、トランス脂肪酸が1重量%未満を占めるか又は含まれない、
    起泡性水中油型乳化物。
    油脂(B):エステル交換されていないパーム油の分別液状部であり、且つヨウ素価が55以上90以下の範囲内である油脂。
  2. エステル交換油を含有しない請求項1に記載の起泡性水中油型乳化物。
  3. 前記油脂の構成脂肪酸全体に対して飽和脂肪酸が総量で47〜70重量%を占める請求項1又は2に記載の起泡性水中油型乳化物。
  4. 前記油脂の全体に対してSUS型トリグリセリドが43〜60重量%を占める請求項1〜3のいずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物をホイップしてなるホイップドクリーム。
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