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JP6583035B2 - 繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法に関する。さらに、本発明は該繊維強化プラスチック成形体用シートから成形される繊維強化プラスチック成形体に関するものでもある。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む不織布(繊維強化プラスチック成形体用シートともいう)を加熱加圧処理し、成形した繊維強化プラスチック成形体は、既にスポーツ、レジャー用品、航空機用材料など様々な分野で用いられている。これらの繊維強化プラスチック成形体においてマトリックスとなる樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられていた。しかし、熱硬化性樹脂を用いた場合、熱硬化性樹脂と強化繊維を混合した不織布は冷蔵保管しなければならず、長期保管ができないという難点がある。
このため、近年は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用い、強化繊維を含有した繊維強化不織布の開発が進められている。このような熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化不織布は、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。また、熱可塑性樹脂を含む不織布は、熱硬化性樹脂を含む不織布と比較して成形加工が容易であり、加熱加圧処理を行うことにより成形加工品を成形することができるという利点を有している。
従来、熱可塑性樹脂は、耐薬品性・強度等が、熱硬化性樹脂よりも劣るものが主流であった。しかし、近年は、耐熱性、耐薬品性などに優れた熱可塑性樹脂が盛んに開発されるようになり、これまで熱可塑性樹脂について常識とされてきた上記のような欠点が目覚ましく改善されてきている。このような熱可塑性樹脂は、いわゆる「エンプラ(エンジニアリングプラスチック)」と呼ばれる樹脂であり、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる。
強化繊維には、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維等が用いられている。このような強化繊維は繊維強化プラスチック成形体の強度を高める働きをする。繊維強化プラスチック成形体用シートにおいては、強化繊維の配向方向をランダムにすることによって、全方向の強度を均一に高めることができる。また、強化繊維の配向方向を特定の方向に調整することによって、繊維強化プラスチック成形体の強度に方向性を持たせることもできる(例えば、特許文献1〜6)。このような特定方向の強度が高められた繊維強化プラスチック成形体は、自動車のバンパービーム等の補強用芯材や、一方向に機械的強度が要求される構造部品に好ましく用いられている。
特開平5−44188号公報 特開平9−41280号公報 特開平6−155495号公報 特開平4−208405号公報 特開平4−208406号公報 特開平4−208407号公報
上述したように、強化繊維の配向方向をランダムにした繊維強化プラスチック成形体用シートを成形することにより、ある程度の強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を得ることはできる。しかし、このような繊維強化プラスチック成形体であっても、その強度は十分ではなく、特に曲げ強度が不十分であるという問題があった。また、このような繊維強化プラスチック成形体においては、厚み方向に応力をかけた際のたわみ量が大きいことが本発明者らの検討により明らかとなった。
強化繊維を一方向に配向させた繊維強化プラスチック成形体用シートからは、特定方向の強度に優れた繊維強化プラスチック成形体が得られる。しかし、特定方向以外の強度が不十分な場合が多く、広範な繊維強化プラスチック成形体とする場合などには全体強度が不十分となり、要求される強度基準を満たさない場合が多かった。また、このような繊維強化プラスチック成形体においては、厚み方向に応力をかけた際のたわみ量がさらに大きくなることが本発明者らの検討により明らかとなった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、全体の曲げ強度に優れ、かつたわみ量の少ない繊維強化プラスチック成形体を提供することを目的として検討を進めた。本発明者らは、広範な繊維強化プラスチック成形体とする場合であっても、十分な強度を発揮でき、かつたわみの発生が抑制され得るように検討を進めた。さらに、本発明者らは、上記繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを製造することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、強化繊維と、熱可塑性樹脂を含有する繊維強化プラスチック成形体用シートにおいて、厚み方向及び平面方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)を特定範囲とすることにより、全方位において優れた曲げ強度を有し、かつたわみの発生が抑制された繊維強化プラスチック成形体を成形し得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化プラスチック成形体用シートであって、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.7〜1.0であり、平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.25未満である繊維強化プラスチック成形体用シート。
[2]繊維強化プラスチック成形体用シートにおける厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.8〜1.0であり、平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.20以下である[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[3]熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂繊維である[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[4]バインダー成分をさらに含み、バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%含まれている[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[5]熱可塑性樹脂は、ポリエーテルイミド繊維、ポリカーボネート繊維、ポリアミド繊維及びポリプロピレン繊維から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[6]強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化プラスチック成形体であって、
繊維強化プラスチック成形体における厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.7〜1.0であり、平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.25未満である繊維強化プラスチック成形体。
[7]厚みが0.8mm以下である[6]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[8]厚みが40μmより厚く、100μm以下である[6]又は[7]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[9]厚さが20μmより厚く、40μm以下である[6]又は[7]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[10][1]〜[5]のいずれかに記載されている繊維強化プラスチック成形体用シートを成形した繊維強化プラスチック成形体。
[11][6]〜[10]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体と、密度が0.2〜0.9g/cm3の芯材とを有し、芯材の両面に繊維強化プラスチック成形体が接着されてなる積層体。
[12]強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを混合したスラリーを、湿式抄紙する工程を含み、湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90〜0.99となるように走行する繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[13]スラリーの分散媒の25℃における粘度は1.00mPaを超え4.00mPa以下である[12]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[14]スラリーの分散媒の25℃における粘度は1.2〜3.5mPaである[12]又は[13]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[15]傾斜型抄紙機は乱流発生装置を備える[12]〜[14]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
本発明によれば、全方位において優れた曲げ強度を有し、かつたわみの発生が抑制された繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートから成形される繊維強化プラスチック成形体は、全方位において優れた強度を有し、たわみ量が小さいため、広範な平面構造部品等に好ましく用いられる。
図1は、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートの繊維配向パラメーターを測定するための断面観察用試験片のイメージ図である。 図2は、実施例で用いた傾斜型抄紙機の構成を説明する図である。 図3は、実施例で用いた乱流発生装置の構成を説明する図である。 図4は、本発明の繊維強化プラスチック成形体のたわみ量を測定するための試験機及び該試験機の構成部材を説明する図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(繊維強化プラスチック成形体用シート)
本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化プラスチック成形体用シートに関する。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおける厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.7〜1.0であり、平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.25未満である。
本明細書において、繊維配向パラメーター(fp)は、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける強化繊維の配向状態を表すパラメーターである。繊維配向パラメーター(fp)は、繊維配向分布を−1.0〜1.0の数値で表すパラメーターであり、fp=−1.0及びfp=1.0のとき、強化繊維が1方向に配向していることを意味し、fp=0.0のとき、強化繊維が完全にランダムに配置されていることを意味する。
従来技術に係る繊維強化プラスチック成形体用シートにおいては、繊維強化プラスチック成形体用シートの厚み方向における強化繊維の配向にばらつきが生じていることが本発明者らの検討により明らかとなった。さらに、繊維強化プラスチック成形体用シートの厚み方向における強化繊維の配向がばらつくことにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから成形された繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度が低下し、さらにたわみ量が増加するおそれがあることを本発明者らは明らかにした。本発明は、このような知見に基づいて繊維強化プラスチック成形体用シートの厚み方向における繊維配向パラメーター(fp)を制御するものである。さらに、本発明は、厚み方向における繊維配向パラメーター(fp)を制御することに加えて、平面方向の繊維配向パラメーター(fp)を制御することにより、繊維強化プラスチック成形体の全体強度をより高め、かつ繊維強化プラスチック成形体のたわみの発生を抑制することに成功したものである。なお、本明細書におけるたわみ量とは、0.5mmの厚みの繊維強化プラスチック成形体用シートのたわみ量であり、後述する条件で圧縮試験を行った際に得られるたわみ量のことをいう。
本発明では、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける、厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.7〜1.0であればよく、0.8〜1.0であることが好ましく、0.9〜1.0であることがより好ましい。繊維強化プラスチック成形体用シートの厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値を上記範囲内とすることにより、厚み方向の強化繊維の配向を一定方向とすることができ、その結果、繊維強化プラスチック成形体全体の曲げ強度を向上させることでき、かつたわみの発生を抑制することができる。
なお、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)は、例えば繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法等を適切に選択することによって制御することが可能である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおいて、強化繊維の平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は0.25未満であればよく、0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.12以下であることがさらに好ましい。すなわち、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおいては、厚み方向の強化繊維の配向は一定方向であることが好ましいが、平面方向の強化繊維の配向はランダム配向であることが好ましい。このように厚み方向と平面方向の強化繊維の配向を制御することにより、全体強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。さらに、本発明では、繊維強化プラスチック成形体のたわみ量を小さく抑えることができる。このため、本発明で得られる繊維強化プラスチック成形体は広範な平面部材に特に好ましく用いられる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、湿式不織布であることが好ましい。すなわち、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、強化繊維と、熱可塑性樹脂とを混合したスラリーを湿式抄紙することで得られる不織布であることが好ましい。なお、本明細書においては、繊維強化プラスチック成形体用シートを湿式繊維強化プラスチック成形体用シートということもできる。
湿式繊維強化プラスチック成形体用シートは、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維を織り込んだ織布や、引き揃えた強化繊維に樹脂を含浸したプリプレグを細断し、シート化したランダムマット等とは区別される。織布を用いたものは、いずれも強化繊維が特定の方向と、その特定の方向に対して90°の方向にのみ繊維が配向しているため、特定方向と90°方向には強度が高いが、それ以外の方向の強度が低い。このため、平面方向のfp値が0.0に近くてもたわみ量が湿紙機不織布に比べて大きくなるという欠点がある。また、ランダムマットは、強化繊維の束が存在するため、強化繊維の均一性に劣り、強度欠陥が発生しやすい。この傾向は特に薄物化したときに顕著である。
これに対して、本発明の式繊維強化プラスチック成形体用シートは、平面方向において全方向にほぼ均等に繊維が配向しているため、全方向の強度が高く、織布に比べてたわみ量が少ない。また、強化繊維を水中(スラリー中)で分散させるため十分にモノフィラメント化させることができ、強度欠陥の発生が抑制されている。
(厚み方向の繊維配向パラメーターの測定方法)
繊維強化プラスチック成形体用シートにおける、厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を測定する場合は、繊維強化プラスチック成形体用シートに、一般的に電子顕微鏡観察で使用される包埋用エポキシ樹脂等を含浸させて、断面観察用試験片を作製する。ここで包埋用エポキシ樹脂を含浸させるのは、後述する断面の切り出しの際に繊維の配向方向が切断時のせん断力で変わってしまうことを防止するためである。包埋用樹脂としては、エポキシ樹脂やスチレン樹脂等、せん断力に耐えうる十分な強度・硬度を有する樹脂が好ましいが、本発明では、エポキシ樹脂を使用することで厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)を測定する。包埋用樹脂としては、例えば、日本電子株式会社製、アロニックス LCA D−800を例示することができる。なお、熱硬化タイプの樹脂や、硬化時に発熱する樹脂は、硬化時の熱で繊維強化プラスチック成形体用シート中のバインダーの強化繊維同士の接着力が低下し、強化繊維の角度が変わってしまう可能性があるため、紫外線等の光硬化タイプのエポキシ樹脂等、硬化時に熱源とならない樹脂を用いることが好ましい。
樹脂包埋の方法としては、電子顕微鏡観察や光学顕微鏡観察で一般的に用いられる方法を採用することができる。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用シートを幅5mm、長さ10mmに切断し、上述した包埋用エポキシ樹脂を少なくとも試験片の表面が全て覆われるまで滴下して含浸させ、硬化させる。包埋用エポキシ樹脂の滴下は、例えばスポイト等を用いて行うことができる。
図1は、繊維強化プラスチック成形体用シートに紫外線硬化タイプの包埋用エポキシ樹脂を含浸させて得られた断面観察用試験片の概念図である。図1(a)に示されているように、断面観察用試験片45は、繊維強化プラスチック成形体用シート5を構成する強化繊維20と熱可塑性樹脂25、そして包埋用エポキシ樹脂40を包含する。断面観察用試験片45においては、強化繊維20の位置関係及び形状は繊維強化プラスチック成形体用シート5における状態と同一であり、強化繊維20の位置関係及び形状を保持するように包埋用エポキシ樹脂40が存在している。
なお、図1(a)においては、熱可塑性樹脂25は繊維形状で示されているが、実際は、繊維形状でなくてもよく、粒子形状等であってもよい。熱可塑性樹脂25が繊維形状である場合は、繊維径の差異、繊維の色の差異等によって強化繊維20と区別することができる。また、熱可塑性樹脂25と強化繊維20の見分けがつきにくい場合は、元素マッピング等を利用して強化繊維のみの配向を観察することができる。
厚み方向の繊維配向を観察する際には、断面観察用試験片から幅0.3〜0.6mmの試験片を切り出し、得られた試験片の厚み方向の断面を光学顕微鏡で観察する。切り出す方法としては、安全カミソリ、手術用メス等の薄い鋭利な刃物で垂直に切断する方法を採用しうる。但し、手作業では垂直断面を得るのが難しいため、FT−IR測定用切片等を切り出すためのフィルムスライサー若しくは電子顕微鏡観察用の切片を切り出すためのイオンスライサーを用いることもできる。尚、フィルムスライサーとしては日本分光株式会社製、スライスマスター HS−1が、イオンスライサーとしては日本電子株式会社製 EM−09100ISが例示される。ここで試験片の切り出し方向は、後述する方法で求めた平面方向の基準線と平行な方向である。なお、平面方向のfp値が0.0の場合は、切り出し方向は基準線から任意に選ぶことができる。
光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、モノフィラメントが視認できる倍率に拡大して繊維を観察する。本実施形態においては、たとえば上記倍率を300倍、600倍、および800倍から選択することができる。また、強化繊維の観察は、試験片の観察面およびその反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察する。なお、試験片は、ミクロトームを用いて切り出してもよい。
本発明では、エポキシ樹脂で包埋して、厚み方向の断面を切り出すことにより、切断時のせん断力で繊維の角度が変わってしまうことを防ぐことができる。
なお、ガラス繊維のように透明な強化繊維などを用いた場合は、上記のような光学顕微鏡で観察しても強化繊維と樹脂の界面がはっきり視認できない場合も生じる。その場合は、上記と同様にエポキシ樹脂で繊維強化プラスチック成形体用シートを包埋し、断面観察用試験片の断面が露出するように切り出した後に、元素マッピングを行うことにより、強化繊維の配向を観察することができる。この場合、マッピングする元素は、強化繊維のみが含有し、熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂は含有しない元素とする。例えば、ガラス繊維においては、Si又はCa元素を、エネルギー分散型X分析(EDS/EDX: Energy Dispersive X−Ray Spectroscopy)装置を備えた電子顕微鏡によりマッピングすることで、繊維配向を測定することができる。このような装置としては、オランダ フェノムワールド社製の卓上走査型電子顕微鏡「PRO X」等が例示される。
強化繊維の配向方向とは、強化繊維の長さ方向の配向方向である。なお、厚み方向の断面においては、強化繊維の断面のみが観察される繊維も発生するが、このような繊維は、強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の測定には用いないものとする。
強化繊維の配向角度θiは、基準線に対する選び出した強化繊維の配向線の角度である。本発明では、上記条件で試験片の厚み方向の断面を光学顕微鏡等で観察して、上記断面のうちの任意に選択される連続した1.5mm2の測定領域を観察し、この測定領域中に存在する視認し得る全ての強化繊維(繊維数はn本とする)の配向角度θiを測定する。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とする。なお、繊維数n本には、視認される強化繊維が断面のみのものは、含まれない。
厚み方向の繊維配向パラメーター(fp、以下fp値ともいう)は、上記の方法で測定した配向角度θiから以下の式(1)を用いて算出することができる。
fp=2×Σ(cos2θi/n)−1 式(1)
ここで、θiは基準線に対する選び出した強化繊維の配向角度(i=1〜n)である。
ここで、基準線は、下記の方法により決定することができる。
基準線を設定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての強化繊維n本の角度を測定する。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜n)で表される。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維n本の角度を算出する。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜n)で表される。回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値の絶対値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線Pとすることができる。このように決定した基準線Pから算出される繊維配向パラメーターを、厚み方向における繊維配向パラメーター(fp)とすることができる。
図1(b)は、図1(a)に示した断面観察用試験片45をB−B'方向に切り出し、厚み方向を縦方向とした断面概念図である。なお、B−B'方向は、後述する方法で求めた平面方向の基準線と平行な方向である。なお、平面方向のfp値が0.0の場合は、B−B'方向は基準線から任意に選ぶことができる
図1(b)では、上記の方法で決定された基準線はPで表される点線であり、各強化繊維の配向線は、各々QとRの点線で表されている。なお、図1(b)において、P'とした点線は基準線と平行な線であり、基準線Pと、各強化繊維の配向線(Q及びR)がなす角度をわかりやすく説明するための補助線である。図1(b)では、P'とQがなす角度(配向角度θ1)は0°であるため、P'とQは重なっている。また、P'とRがなす角度(配向角度θ2)はθ2として表されている。このようにして、θ1〜θnが測定される。なお、図1(b)では、強化繊維の配向状態を確認しやすくするために、強化繊維のみを図示している。
なお、繊維配向パラメーター(fp)や仮基準線と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))を測定する部分としては、断面観察用試験片の厚み方向の断面の端部を避け、中央近辺とすることが好ましい。具体的には、断面観察用試験片の両端部辺から厚み方向に5%(断面観察用試験片の厚みに対して5%)までの領域を避けて測定領域とすることが好ましい。
(平面方向の繊維配向パラメーターの測定方法)
繊維強化プラスチック成形体用シートにおける平面方向の繊維配向パラメーターの測定は、特に樹脂包埋等の処理をせずとも測定することができる。具体的には、長さ3cm×幅3cmに切り出した繊維強化プラスチック成形体用シートをスライドガラス上に載せ、上から更にスライドガラスを載せて、マイクロスコープを用いて通常の反射光の測定で観察することができる。
本発明では、スライドガラスで挟んだ試験片の一方の面について光学顕微鏡にて観察する。光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、モノフィラメントが視認できる倍率に拡大して反射光にて、または反射光と透過光を併用して繊維を観察する。本実施形態においては、たとえば上記倍率を300倍、600倍、および800倍から選択することができる。これにより、一方の面のうちの任意に選択される連続した2.0mm2の測定領域を観察し、この測定領域中に存在する視認し得る全ての繊維(繊維数はm本とする)の配向角度θiを測定する。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とする。繊維配向パラメーター(fp、以下fp値ともいう)は、上記の方法で測定した配向角度θiから以下の式(2)を用いて算出することができる。
fp=2×Σ(cos2θi/m)−1 式(2)
ただし、i=1〜mである。
そして、反対面についても同様に測定し、一方の面と反対面の平均値を求めて、これを平面方向の繊維配向パラメーター(fp)とする。なお、一方の面の測定領域と反対面の測定領域は、たとえば平面視において重なる領域である。また、一方の面および反対面のいずれの観察においても、たとえば一方の面および反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察することができる。
平面方向の繊維配向パラメーターの測定をする際の基準線は、下記の方法により決定することができる。
基準線を設定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維m本の角度を測定する。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜m)で表される。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維m本の角度を算出する。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜m)で表される。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出することができる。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線Pとすることができる。このように決定した基準線Pから算出される繊維配向パラメーターを、平面方向における繊維配向パラメーター(fp)とすることができる。
本発明において、厚み方向及び平面方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が上記範囲内であることは、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける厚み方向の強化繊維の配向が一定方向であり、かつ平面方向の強化繊維の配向がランダム配向であることを意味する。すなわち、強化繊維は、繊維強化プラスチック成形体用シートの表面(抄紙面)に平行に配向しているが平面方向においては、強化繊維の配向方向に規則性はない。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおける強化繊維の配向方向を上記の通りに調整することにより、全体強度に優れ、かつたわみの発生が抑制された繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
(各成分の配合割合)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおける強化繊維の配合割合は、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、35〜65質量%であることがさらに好ましい。
また、強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比は1:0.2〜1:10であることが好ましく、1:0.5〜1:5であることがより好ましく、1:0.7〜1:3であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
(強化繊維)
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
強化繊維として、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体用シートに含まれる熱可塑性樹脂の溶融温度で加熱加圧処理することにより繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。
また、強化繊維として、アラミド等の有機繊維を用いた場合は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される成形体よりも耐摩耗性を向上させ得る。
強化繊維の質量平均繊維長は、3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから強化繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。また、強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
なお、本明細書において、質量平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の平均値である。
なお、強化繊維の繊維径は、平均繊維径として特に限定されないが、一般的には炭素繊維、ガラス繊維共に繊維径が5〜25μm程度の繊維が好適に使用される。また、強化繊維には、複数の素材や形状を併用してもよい。強化繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形など異形断面であってもよい。
なお、本明細書において、平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を測定した際の平均値である。
(炭素繊維)
強化繊維としては炭素繊維を用いることが好ましい。強化繊維に含まれる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維の質量平均繊維長は、3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから炭素繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。また、炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
炭素繊維の単繊維強度は、4500MPa以上であることが好ましく、4600MPa以上であることがより好ましく、4700MPa以上であることがさらに好ましい。単繊維強度とは、モノフィラメントの引っ張り強度をいう。このような炭素繊維を使用した場合、前述した強化繊維の繊維配向の効果との相乗効果で曲げ強度が大幅に向上する。なお、単繊維強度は、JIS R7601「炭素繊維試験方法」に準じて測定することができる。
炭素繊維の繊維径は特に限定されないが、概ね好ましい範囲としては5〜20μmが好ましい。炭素繊維の繊維径を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の強度を高めることができる。なお、炭素繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形など異形断面であってもよい。
(熱可塑性樹脂)
繊維強化プラスチック成形体用シートは、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成するため、マトリックス樹脂と呼ぶこともある。このようなマトリックス樹脂繊維を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用シートは、熱硬化性樹脂を使用したシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
熱可塑性樹脂は、繊維、粉末、ペレット又はフレーク状のものを、単独で又は組み合わせて用いることができる。中でも、熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂繊維であることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は、10〜22μmであることが好ましく、12〜20μmであることがより好ましい。ここで、平均繊維径とは、質量平均繊維径を意味する。なお、熱可塑性樹脂繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形など異形断面であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂等を例示することができる。中でも、熱可塑性樹脂は、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。上述したように熱可塑性樹脂は熱可塑性樹脂繊維であることが好ましいため、ポリエーテルイミド繊維、ポリカーボネート繊維、ポリアミド繊維及びポリプロピレン繊維から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
ポリオレフィンは、酸基含有ポリオレフィンであることが好ましく、酸基含有ポリオレフィンとしては、特に限定されないが、極性基を有する酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。例えば、カルボキシル基を含有するモノマーと共重合したポリプロピレンを用いることができる。上記カルボキシル基を含有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸などの不飽和カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などのジカルボン酸などを用いることができる。上記共重合するポリプロピレンは、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン共重合体であってもよい。上記プロピレン共重合体としては、例えば、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと他のオレフィンのブロック共重合体などが挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが挙げられる。具体的には、プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体などを用いることができる。中でも、安価に入手でき、融点が高く、耐衝撃性に優れることから、プロピレン単独重合体が好ましい。共重合の方法は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などを用いることができる。繊維にしたときにカルボキシル基が表面に出やすいという観点から、グラフト共重合であることが好ましい。カルボキシル基量が多いという観点から、酸変性ポリプロピレンは、マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。上記酸変性ポリプロピレンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明では、熱可塑性樹脂として、ポリアミドを用いることも好ましい。ポリアミドはナイロンであることが好ましく、ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン66等を好ましく用いることができる。熱可塑性樹脂としてナイロンを用いることにより、曲げ強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、質量平均繊維長として、3〜100mmであることが好ましく、3〜50mmであることがより好ましく、3〜25mmであることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから熱可塑性樹脂繊維が脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。また、熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、熱可塑性樹脂繊維の分散性を良好にすることができるため、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
本発明で用いられる繊維強化プラスチック成形体用シートでは、熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂繊維を用いることによりシート中に空隙を形成することができる。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、シート自体がしなやかで柔軟性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用シートを巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
(バインダー成分)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、バインダー成分をさらに含むことができる。この場合、バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
バインダー成分としては、一般的に不織布製造に使用される、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、各種澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドーアクリル酸エステルーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が使用できる。
(繊維形状)
本発明では、熱可塑性樹脂繊維と強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー成分として、バインダー繊維を含む場合は、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シート中で、各種繊維を均一に混合することができる。
(繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造工程は、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを混合したスラリーを、湿式抄紙する工程を含む。ここで、湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90〜0.99となるように走行するものである。
傾斜型抄紙機のワイヤーのジェットワイヤー比は0.90〜0.99であればよい。ここで、ジェットワイヤー比とは、スラリーの供給速度とワイヤー走行速度の比であり、スラリーの供給速度/ワイヤー走行速度で表される。ジェットワイヤー比が1よりも大きい場合は、スラリーの供給速度がワイヤーの走行速度よりも速く、この場合を「押し地合」という。また、ジェットワイヤー比が1以下の場合は、スラリーの供給速度はワイヤーの走行速度よりも遅く、この場合を「引き地合」という。
本発明では、ジェットワイヤー比を上記範囲とし、「引き地合」で抄紙することにより、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける厚み方向の繊維配向パラメーター(fp)と平面方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法においては、傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度を通常よりも小さくすることが好ましい。好ましい傾斜角度は抄紙機の規模等によって異なるが、例えば15°以下にすることが好ましく、10°以下にすることがより好ましい。傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度を通常よりも小さくすることにより、湿式抄紙する工程における脱水速度を遅くすることができ、ワイヤー付近におけるスラリーの流れの乱れを抑制し、層流とすることができる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの厚み方向及び平面方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。なお、図2は、本発明で用いることができる傾斜型抄紙機200の一例の構成を説明する図である。図2では、傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度は、Zで表されている。ワイヤーの傾斜角度Zは、傾斜型抄紙機のワイヤーと載置水平面とがなす角度である。ただし、図2では、便宜上、載置水平面に平行な面と傾斜型抄紙機のワイヤーとがなす角度をワイヤーの傾斜角度Zとして表記している。
繊維強化プラスチック成形体用シートを抄紙する際には、スラリーの分散媒の25℃における粘度(ただし、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法による。)は、1.00mPaを超え4.00mPa以下であることが好ましく、1.1〜4.0mPa・sであることがより好ましく、1.2〜3.5mPa・sであることがさらに好ましく、1.5〜3.5mPa・sであることが特に好ましい。なお、ここでいうスラリーとは、抄紙工程直前のスラリーをいい、インレット中のスラリーのことである。また、スラリーの分散媒の粘度を測定する際は、インレットのスラリーを500ml採取し、150メッシュの金属製のフルイで繊維をろ過して得られるろ液を用いて測定する。粘度の測定装置としては、キャノン・フェンスケ粘度計を用いることができる。
強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを混合してスラリーを得る工程では、スラリーの分散媒の粘度を上記範囲内となるように調整することが好ましい。スラリーの分散媒の粘度は、例えば、ポリアクリルアミド系の高分子を添加する等の方法で調整できる。スラリーの分散媒の粘度を上記範囲内とすることによっても、ワイヤー付近におけるスラリーの流れの乱れを抑制し、層流とすることができる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの厚み方向及び平面方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。
また、スラリーの分散媒の濃度や溶媒の粘度を調整することで、各繊維を十分に分散させることができる。スラリー中で各繊維を十分に分散させることによって、繊維強化プラスチック成形体用シート中の各繊維同士が均一に混抄される。
湿式抄紙する工程では、傾斜型抄紙機の傾斜ワイヤーに備えられている複数のサクションボックスの吸引力を各々適宜調節することが好ましい。具体的には、サクションボックスの脱水量を同程度にしたり、傾斜ワイヤーの上流側のサクションボックスの脱水量が多くなるように調節することが好ましい。図2に示されているように、傾斜型抄紙機200は、インレット210の底部に設けられた傾斜ワイヤー220の下方に、複数のサクションボックスを備えていることが好ましい。例えば、上流側から第1のサクションボックス201、第2のサクションボックス202、第3のサクションボックス203、第4のサクションボックス204を順に備えていることが好ましい。このような、傾斜型抄紙機200においては、全てのサクションボックスにおける脱水量の合計量を100とした場合に、第1のサクションボックス201の脱水量を5〜65とすることが好ましく、20〜60とすることがより好ましく、35〜60とすることがさらに好ましい。なお、第1のサクションボックス201の脱水量を25よりも多くした場合は、第2〜第4のサクションボックスの脱水量は、順次低下するよう調節されることが好ましい。
このように複数のサクションボックスの脱水量を調節することによっても、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける厚み方向及び平面方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値を所望の範囲内とすることができる。
湿式抄紙する工程が傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程である場合、傾斜型抄紙機の傾斜ワイヤーの通気度は、250〜500cm3/cm2/secであることが好ましい。傾斜ワイヤーの通気度は、330cm3/cm2/sec以下であることがより好ましい。このように、傾斜ワイヤーの通気度を小さくすることにより、ワイヤー付近におけるスラリーの流れの乱れを抑制し、層流とすることができる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの厚み方向及び平面方向の繊維配向パラメーター(fp)を所望の範囲内とすることができる。
本発明で用いる傾斜型抄紙機は乱流発生装置を備えていることが好ましい。乱流発生装置を用いることにより、流路断面積が急速に変化し、管内の流れが乱流となるため繊維を効果的に分散させることができる。
乱流発生装置は、インレット内へスラリーを導入する領域の輸送パイプ内に設けられる。図3では乱流発生装置の構成の一例を示している。図3に示されているように乱流発生装置241は、乱流発生流路242を備える。乱流発生装置241は、複数の乱流発生流路を備えることが好ましい。乱流発生流路数は2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であってもよく、30以上であってもよい。なお、乱流発生流路数は、インレット内へスラリーを導入する領域の輸送パイプの径の大きさによって適宜調節することができる。
スラリーは、乱流発生流路242を流通する。図3には、便宜上、5つの流路(242a、242b、242c、242d、242e)を記載しているが、この場合、スラリーは5つの乱流発生流路(242a、242b、242c、242d、242e)に分岐して流通する。乱流発生装置241は、2〜4または6以上に分岐した乱流発生流路を有していてもよい。なお、乱流発生装置241は、スラリーを分岐させずに流通させる乱流発生流路242を用いてもよい。
乱流発生流路242は管状である。乱流発生流路242の流路断面としては、円形状や多角形状のものを挙げることができる。また、乱流発生流路242はスリット状であってもよい。この場合、シート状の構造物(いわゆる「フローシート」)によって乱流発生流路242を区画することで、スリット状の乱流発生流路242を形成することができる。
乱流発生流路242は、流路方向位置によって流路断面積が異なるものであることが好ましい。つまり、乱流発生流路242は、流路方向に沿って内径が変化し、その流路断面積が変化するように構成されていることが好ましい。例えば、乱流発生流路242において、上流部は流路断面積S1を有し、流通方向中間部は流路断面積S2を有し、下流部は流路断面積S3を有し、S1〜S3で表される流路断面積は各々異なる面積であることが好ましい。具体的には、繊維の分散性やスラリーの流通のしやすさ等の観点からS2>S1、S2>S3であることがより好ましい。
本発明で用いる乱流発生装置241に設けられる各々の乱流発生流路242の平均直径は、10〜100mmであることが好ましく、15〜60mmであることがより好ましい。また、各々の乱流発生流路242の長さは、20〜300mmであることが好ましく、50〜200mmであることがより好ましい。
乱流発生装置241における乱流発生流路242内のレイノルズ数(Re)は各々5000以上であることが好ましく、7000以上であることがより好ましく、9000以上であることがさらに好ましい。また、乱流発生流路242内のレイノルズ数(Re)はいずれも200000以下であることが好ましく、170000以下であることがより好ましい。各乱流発生流路内のレイノルズ数(Re)を上記範囲内とすることにより、強化繊維の凝集を抑制することができ、かつ、強化繊維の切れや折れを抑制することができる。
上述したような乱流発生装置を用いることにより、強化繊維及び熱可塑性樹脂繊維の分散性を良化させることができる。
なお、上述したように傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度を小さくした場合は、インレットの濃度が高くなるため分散性が悪化し、地合が良好で均質な繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることが難しくなる傾向がある。このような場合に、上述したような乱流発生装置を用いることにより、繊維の分散性を高めることができ、地合が良好で均質な繊維強化プラスチック成形体用シートを効率よく得ることができる。
インレット内のスラリーにおける強化繊維の濃度は0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。インレット内のスラリーにおける強化繊維の濃度を上記範囲内とすることにより、繊維の分散性に優れ、坪量が均一な繊維強化プラスチック成形体用シートを製造することができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程では、バインダー成分は、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを含むスラリーに混合してもよく、バインダー成分を抄紙工程後に得られた不織布シートに後添してもよい。例えば、バインダー成分を抄紙工程後に後添する場合、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを、抄紙された不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させてもよい。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
湿式抄紙する工程では、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことが好ましい。すなわち、繊維強化プラスチック成形体用シートを形成する工程は、スラリーを湿式不織布法で湿式抄紙する工程と、バインダー成分を含む溶液等を不織布シートに内添、塗布又は含浸させる工程を含むことが好ましい。さらに、内添、塗布又は含浸後には、加熱乾燥させる工程を含む。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
なお、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布シートに内添、塗布又は含浸させた後は、そのシートを急速に加熱することが好ましい。このような加熱工程を設けることにより、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用シートの表層領域に移行させることができる。さらに、バインダー成分を水掻き膜状に局在させることができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートの製造工程においては、湿式抄紙する工程の後に乾燥工程を設けることが好ましい。上述したようにバインダー成分を不織布シートに内添、塗布又は含浸させる工程を含む場合は、該工程の後に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥工程における乾燥温度は、繊維強化プラスチック成形体用シートに用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度又は融点よりも低い温度であることが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂として酸変性ポリプロピレンを用いる場合、乾燥温度は140℃未満であることが好ましい。
(繊維強化プラスチック成形体)
本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化プラスチック成形体に関するものでもある。繊維強化プラスチック成形体における強化繊維の配向は、繊維強化プラスチック成形体用シートの強化繊維の配向と同様であり、厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.7〜1.0であり、平面方向の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値が0.25未満である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用シートを、成形したものである。より具体的には、本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することにより形成することができる。
繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用シートを目的とする成形体の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することで形成される。具体的には、繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用シートを1枚単独、あるいは所望の厚みとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することで得られる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は、0.7〜1.0であればよく、0.8〜1.0であることが好ましく、0.9〜1.0であることがより好ましい。また、平面方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値は、0.25未満であればよく、0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.12以下であることがさらに好ましい。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上記構成を有しているため、全体強度に優れ、かつたわみ量が小さい。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体は広範な平面部材に特に好ましく用いられる。
繊維強化プラスチック成形体の厚みは、0.8mm以下であることが好ましく、0.6mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。本発明では、繊維強化プラスチック成形体の厚みを上記範囲内となるように薄くした場合であっても、優れた強度を発揮し得る。さらに、厚みを薄くした場合であってもたわみ量を小さく抑制することが可能である。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、広範な平面部材であって、薄型化が要求される部材に特に好ましく用いられる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の表面とほぼ平行に配列しているため、加熱加圧成形時の樹脂の流動による破れが生じにくい。そのため、上記の範囲よりもさらに薄い繊維強化プラスチック成形体を成形することもできる。例えば、繊維強化プラスチック成形体の厚みを100μm以下とすることもできる。また、本発明の繊維強化プラスチック成形体の厚みは、40μmより厚く、100μm以下とすることもできる。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体の厚みを20μmより厚く、40μm以下とすることもできる。なお、10μm以上20μm以下の繊維強化プラスチック成形体も得ることが可能である。
このように薄い繊維強化プラスチック成形体は、低密度の芯材の両面に貼合して軽量・高強度の部材(積層体)を得るための補強シートや、テープ基材として好適に使用できる。本発明は、芯材の両面に繊維強化プラスチック成形体が接着されてなる積層体に関するものであってもよい。
低密度の芯材の両面に繊維強化プラスチック成形体を貼合する場合、芯材としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、無機繊維及び有機繊維等から選ばれる少なくとも1種の材料を含む不織布が挙げられる。また、芯材としては、上述した不織布の加熱加圧成形物、もしくは熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる発泡体等の多孔質体等も好適に使用される。
芯材の密度は低い方が軽量性に優れ、高い方が強度に優れる。このような観点より、芯材の密度は0.2〜0.9g/cm3が好適である。芯材の密度を上記範囲内とすることにより、軽量性であり、かつ高強度な積層体を得ることができる。
芯材と繊維強化プラスチック成形体を接着するための方法は芯材に接着剤を塗布して繊維強化プラスチック成形体を接着する方法や、繊維強化プラスチック成形体に接着剤を塗布して接着する方法、もしくは芯材と接着剤を熱圧着する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、繊維強化プラスチック成形体に接着材を塗布する場合、繊維強化プラスチック成形体の片面若しくは両面に粘着剤層又は接着剤層を設けることもできる。この場合、接着剤層の上に剥離紙を貼り付けて、ハンドリング性を向上させることも可能である。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、後述する通りの曲率半径となるように湾曲させることが可能なため、接着剤層を設けて更に剥離紙を貼り付けた場合、巻き取り形状にして輸送することが可能となる。このような形態は商品の流通上も好適である。
上述の芯材に代えて、コルゲート加工したライナーの中芯やハニカム構造の中芯を使用することもできる。この場合、コルゲート加工したライナーの中芯用の原紙や、ハニカム構造の中芯用の原紙として、本発明の繊維強化プラスチック成形体を使用することもできる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の表面とほぼ平行に配列しているため、優れた引張強度を有する。よって、繊維強化プラスチック成形体を上記のような補強材として使用した場合、繊維強化プラスチック成形体の厚さが薄くても十分な強度が得られるため軽量性と高強度を兼ね備えた積層体を得ることができる。
さらに、繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の表面とほぼ平行に配列しているため、上記のように薄く成形すれば、曲率半径Rが10mm以下、あるいは5mm以下、さらには3mm以下に湾曲させても割れが生じないという特徴を有する。
この特徴を生かして、筒状、あるいはスパイラル状に加工してセンサー等の保護材料として使用したり、コルゲート加工を行い波型に加工して、両面にライナーシートを貼合して軽量かつ高強度の積層体を得ることも可能である。
繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の表面とほぼ平行に配列しているため、圧縮強度にも優れる。そのため、ハニカム加工したコア材としても好適に使用することができる。
なお、射出成形でも板状の繊維強化プラスチック成形体を得ることはできるが、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを用いて繊維強化プラスチック成形体を得ることにより、薄膜化が可能となり、かつ成形時に破れや破損が生じないという利点を有する。
本発明の様に、繊維強化プラスチック成形体用シートを用いる場合には、繊維強化プラスチック成形体用シートの坪量を調節することにより、薄物成形体の製造が可能である。特に、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおいては、厚み方向の強化繊維の繊維配向パラメーター(fp)の絶対値を0.7以上とすることにより平面方向の補強効果が得られ、きわめて薄い薄物成形体の製造においても、成形時に破れや破損が生じ難いという技術的意義を有する。このことにより、本発明の繊維強化プラスチック成形体の厚みは、40μmより厚く、100μm以下とすることもできる。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体の厚みを20μmより厚く、40μm以下とすることもできる。なお、10μm以上20μm以下の繊維強化プラスチック成形体も得ることが可能である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体を製造する際、繊維強化プラスチック成形体用シートの積層枚数は1枚でも、複数枚を積層して加熱加圧成形することもできる。すなわち、坪量60g/m2の繊維強化プラスチック成形体を得るために、60g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形してもよいし、20g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを3枚積層してもよいし、10g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを2枚と、20g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを2枚積層してもよい。積層枚数が1枚、あるいは少ない枚数である場合、積層工程が簡略化されるため、生産効率・製造コストの観点から好ましい。
一方、繊維強化プラスチック成形体用シートを複数枚積層する場合、繊維強化プラスチック成形体の均一性が向上し、薄物であってもピンホール等が発生しにくくなるという利点がある。さらに、繊維強化プラスチック成形体用シートの坪量が低いほうが、繊維強化プラスチック成形体用シートの厚さが薄くなるため、繊維強化プラスチック成形体の厚み方向の強化繊維の配向が一定方向となりやすく、厚み方向の配向パラメーター(fp)が1.0に近づきやすくなるため、繊維強化プラスチック成形体の強度が向上し、たわみ量が減少するという利点がある。
また、繊維強化プラスチック成形体用シートを複数枚積層する場合、繊維強化プラスチック成形体の用途に応じて、異なる種類の強化繊維や熱可塑性樹脂繊維を含有する繊維強化プラスチック成形体用シートを積層することもできる。例えば、炭素繊維を強化繊維として含有する繊維強化プラスチック成形体用シートとガラス繊維を強化繊維として含有する繊維強化プラスチック成形体用シートを積層することができる。この場合、炭素繊維とガラス繊維は繊維の引張強度・破断時の伸度・導電性・熱伝導率が異なるため、その積層枚数を適宜調節することで、強度・電磁シールド性・熱伝導率などを用途に合わせて調整することも可能である。
また、片面にコア材を接着するような用途の場合、当該接着面に配する繊維強化プラスチック成形体用シートが含有する熱可塑性樹脂を、コア材との接着性に優れる樹脂、例えば融点が低いもの、粘着性を有するもの、コア材が含有する成分と相溶性に優れるものなどに変更することも可能である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の強度は、210MPa以上であることが好ましく、250MPa以上であることがより好ましく、280MPa以上であることがさらに好ましく、300MPa以上であることが特に好ましい。なお、本明細書において、繊維強化プラスチック成形体の強度とは、マシンディレクション方向(MD方向)およびMD方向と直交する方向(クロスディレクション方向(CD方向))の曲げ強度の相乗平均を意味する。なお、各方向の曲げ強度は、JIS K 7074(炭素繊維プラスチック成形体の曲げ試験方法)に準じて測定することができる。
曲げ強度の相乗平均値=√(FMD×FCD)
ここで、FMDはMD方向の曲げ強度を表し、FCDはCD方向の曲げ強度を表す。
本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、MD方向の曲げ強度と、CD方向の曲げ強度の比(MD強度/CD強度)は2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.8以下であることがさらに好ましい。本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、特定方向の強度が高められているのではなく、全体強度が高められていることが好ましい。これにより、繊維強化プラスチック成形体のたわみ量を抑制することが可能となる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の0.5mm厚におけるたわみ量は1.8mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.3mm以下であることがさらに好ましい。繊維強化プラスチック成形体のたわみ量は、厚み方向の測定が可能なテンシロン試験機を用いて、圧縮試験を行った際に得られる値である。具体的には、図4(a)に記載のテンシロン試験機300を用いて測定を行うことができる。測定を行う際には、たわみ量測定用の繊維強化プラスチック成形体310をアルミ製枠350に置き、ロードセル320の先端部の中央に直径10mmの半球状部材330を取り付け、圧縮速度5mm/分で圧縮を行う。アルミ製枠350としては、内寸が10mm×15mmのものを用いる(図4(b))。
得られたS−Sカーブ(応力-ひずみ線図)から、圧縮荷重8Nのたわみ量(mm)を測定し、本発明におけるたわみ量とする。
(繊維強化プラスチック成形体の成形方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することにより成形される。繊維強化プラスチック成形体用シートは、目的とする形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。
繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱した金型によって加熱加圧成形することで成形される。
なお、上記の加熱加圧成形を行う前に、熱可塑性樹脂繊維が溶融したり熱変形したりしない範囲の高温の熱風や熱ロール等によって、繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱処理してもよい。これにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの水分や揮発ガス分を減少させ、成形加工時における水蒸気や揮発ガスの発生に起因する塗装面の荒れを防ぐことができる。このような加熱処理を行った場合、いったん冷却してから加熱加圧成形を行ってもよいし、冷却せずに加熱加圧処理成形してもよい。
プレス成形の方法としては、各種存在するプレス成形の方法の中でも、大型の航空機などの成形体部材を作製する際によく使用されるオートクレーブ法や、工程が比較的簡便である金型プレス法が好ましく挙げられる。ボイドの少ない高品質な成形体を得るという観点からはオートクレーブ法が好ましい。一方、設備や成形工程でのエネルギー使用量、使用する成形用の治具や副資材等の簡略化、成形圧力、温度の自由度の観点からは、金属製の型を用いて成形をおこなう金型プレス法を用いることが好ましく、これらは用途に応じて選択することができる。
金型プレス法には、ヒートアンドクール法やスタンピング成形法を採用することができる。ヒートアンドクール法は、繊維強化プラスチック成形体用シートを型内に予め配置しておき、型締とともに加圧、加熱をおこない、次いで型締をおこなったまま、金型の冷却により該シートの冷却をおこない成形体を得る方法である。スタンピング成形法は、予め該基材を遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などの加熱装置で加熱し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化させた状態で、成形体型の内部に配置し、次いで型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する方法である。また、低密度の成形体を得る場合など、成形時の温度が比較的低い場合は、ホットプレス法を採用することもできる。
成形用の金型は大きく2種類に分類され、1つは鋳造や射出成形などに使用される密閉金型であり、もう1つはプレス成形や鍛造などに使用される開放金型である。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを用いた場合、用途に応じていずれの金型も使用することが可能である。成形時の分解ガスや混入空気を型外に排除する観点からは開放金型が好ましいが、過度の樹脂の流出を抑制するためには、成形加工中においては開放部をできるだけ少なくし、樹脂の型外への流出を抑制するような形状を採用することも好ましい。
さらに、金型には打ち抜き機構、タッピング機構から選択される少なくとも一種を有する金型を使用することができる。2段プレス機構を用いるなどの工夫で、熱プレス後に連続して、成形体を打ち抜き加工することも可能である。また、成形体は、その使用目的などによってはリブやボス等の強度補強・加工用の突起やネジ穴の形成、意匠性の付与を目的とした模様の付与を行うことができる。
繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合、他種の繊維強化プラスチック成形体用シートを積層して熱プレスで加熱加圧成形することもできる。また、繊維強化プラスチック成形体用シートを成形すると同時、或いは成形後にアウトサート成形やインサート成形によって、より複雑な形状部材を接着することも可能である。
繊維強化プラスチック成形体用シートから繊維強化プラスチック成形体を成形する際には、具体的には、繊維強化プラスチック成形体用シートを150〜600℃の温度で加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体を成形する際の圧力としては、5〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。さらに、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度から熱可塑性樹脂のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却(ヒートアンドクール)成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
(繊維強化プラスチック成形体の用途)
本発明の繊維強化プラスチック成形体の用途としては、例えば、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体」、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材」、「インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品」、または「ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」、「エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング」、などの自動車、二輪車用部品、「ウィングレット、スポイラー」などの航空機用部品、「鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、天井パネル、エアコン等の噴出し口」などの鉄道車両用部品として好ましく用いられる。
また、本発明の成形体は、単体として上記の用途に好ましく用いられる他、他部材に積層したり、表面或いは裏面に貼合したり、中層に挿入したりすることで、他部材の補強・剛性の向上・表面性の向上等を図ることができる。
このような用途としては、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体に貼り付ける補強材」、「射出成形体、或いは断熱材等に用いられる発泡PP樹脂や発泡ウレタン樹脂等からなる多孔質体の成形体の貼合する補強材」、「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来材料(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)からなるシートやモールド等の成形体の補強材」などの部材等に好適に使用される。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、全体強度が高く、たわみ量が小さいため、広範な平面構造を有する電気、電子機器用の筐体、自動車用の構造部品(例えばボンネットなど)、航空機用の部品等に特に好ましく用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
繊維長12mmの炭素繊維(東レ社製、T700)をスラリー濃度0.5%となるように水中に投入し、分散剤としてエマノーン(登録商標)3199V(花王株式会社製)を、炭素繊維100質量部に対して1質量部となるよう添加した。なお、エマノーン3199Vはあらかじめ0.5%濃度の水溶液となるように水に溶解して添加した。その後、古紙離解用パルパーを用いて30秒間攪拌して初期分散を行った後、スラリー濃度0.15%となるように水で希釈した(炭素繊維スラリー)。
別容器にて、粉末のアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤(MTアクアポリマー株式会社製、スミフロック)を溶解した水溶液を作製した。粉末のアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤は、水溶液の全質量に対して、0.1質量%となるように添加した。この水溶液を、上記の炭素繊維スラリーに添加した。水溶液の添加量は、水溶液の全質量に対して増粘剤の固形分が60ppmとなるように調整した。その後、攪拌し、炭素繊維がモノフィラメント化するまで分散させた。
次いで、太さ2.2dtex、繊維長15mmのナイロン6繊維(東レ社製、アミラン、繊維長15mm)と、バインダーとして用いるPVA繊維(クラレ社製、VPB−105−2)を、質量配合比が表1となるように計量した。これを、スラリー濃度が10%となるよう水中に投入して熱可塑性樹脂スラリーを得た。尚、ナイロン6繊維は分散性が良好であったため、特に攪拌等の処置をせずとも十分に分散した。得られた熱可塑性樹脂スラリーを炭素繊維スラリーと混合し、均一に混合するように攪拌し、繊維スラリーを得た。
この繊維スラリーを、ヤンキードライヤー式の乾燥設備を備えた傾斜型抄紙機(傾斜ワイヤー型抄紙機)に連続的に流送し、抄速30m/minで抄造し、繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。繊維強化プラスチック成形体用シートの坪量は、表1に示した通りであった。抄造に際し、スラリーの分散媒の粘度(JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法により測定した液温25℃における粘度)を表1に示すとおりに調整した。なお、スラリーの分散媒は、インレットのスラリーを500ml採取し、150メッシュの金属製のフルイで繊維をろ過して得られるろ液である。スラリーの分散媒の粘度は、循環白水に連続的にアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤(MTアクアポリマー株式会社製、スミフロック)を溶解した水溶液を添加することで調整した。
実施例1で用いた傾斜型抄紙機には、傾斜ワイヤー部分に4つのサクションボックス(脱水ボックス)を備えるものを用いた。図2は、実施例で用いた傾斜型抄紙機200の構成を説明する図である。図2に示されているように、傾斜型抄紙機200は、インレット210の底部に設けられた傾斜ワイヤー220の下方に第1のサクションボックス201、第2のサクションボックス202、第3のサクションボックス203、第4のサクションボックス204を備えている。実施例1では、4つのサクションボックスから脱水される循環白水の総量を100とした場合の各サクションボックスの脱水量の比率を、各サクションボックスの吸引力を調整することで表1に示すとおりとなるようにした。
実施例1では、ワイヤーの傾斜角度(図1におけるZ)は9°であり、傾斜ワイヤー部分を構成するワイヤーは、125Paの差圧をかけた際の通気度が350cm3/cm2/secとなるものを使用した。また、循環白水の総量を制御することで、傾斜型抄紙機のワイヤーのジェットワイヤー比を表1に示す通りとなるよう調整した。さらに、実施例1では、傾斜型抄紙機のインレットへのスラリー導入部に、平均直径18mm、長さ10cmの管を40本有する乱流発生装置を有する傾斜型抄紙機を使用し、スラリーの分散を行った。
このようにして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。得られた繊維強化プラスチック成形体用シートのfp値の絶対値は表1に示した。
<曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体の作製>
得られた繊維強化プラスチック成形体用シートを、7枚積層し、プレス速度を3.5cm/secで上昇させ、プレス圧を10MPaとして245℃まで昇温し、60秒加熱加圧した後、50℃に冷却して表1に記載した厚みの繊維強化プラスチック成形体を得た。
<たわみ量の測定用の繊維強化プラスチック成形体の作製>
曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体と同様にして、たわみ量測定用の繊維強化プラスチック成形体を作成した。
(実施例2)
スラリーの分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更し、かつ各サクションボックスの吸引力を調整し、脱水量割合を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。なお、各サクションボックスの脱水量割合は、4つのサクションボックスから脱水される循環白水の総量を100とした場合の各サクションボックスの脱水量の比率である。
(実施例3)
インレットへのスラリー導入部に乱流発生装置を有さない傾斜型抄紙機を使用し、インレット内の分散媒の粘度を表1に示す通りとした以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例4)
スラリーの分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例5)
各サクションボックスの脱水量割合を表1に示すとおりに変更し、かつ傾斜型抄紙機のワイヤーのジェットワイヤー比を表1に示す通りとなるよう調整した以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例6)
傾斜型抄紙機のワイヤーの通気度を表1に示すとおりに変更し、かつ傾斜型抄紙機のワイヤーのジェットワイヤー比を表1に示す通りとなるよう調整した以外は、実施例5と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例7)
スラリーの分散媒の粘度を表1に示すとおりとした以外は、実施例6と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例8)
熱可塑性樹脂繊維をポリエーテルイミド繊維(株式会社クラレ製、繊維径2.2dtex、繊維長15mm)に変更した以外は、実施例7と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。なお、繊維強化プラスチック成形体を加熱加圧成形する際の成形温度は300℃に変更した。
(実施例9)
熱可塑性樹脂繊維を酸変性ポリプロピレン繊維(ダイワボウ社製 PZ―AD 繊維径3.3dtex、繊維長15mm)に変更し、かつ傾斜型抄紙機のワイヤーのジェットワイヤー比を表1に示す通りとなるよう調整した以外は、実施例8と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。なお、繊維強化プラスチック成形体を加熱加圧成形する際の成形温度は200℃に変更した。
(実施例10)
熱可塑性樹脂繊維をポリカーボネート繊維(ダイワボウ社製 繊維径30μ、繊維長15mm)に変更した以外は、実施例9と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。なお、繊維強化プラスチック成形体を加熱加圧成形する際の成形温度230℃に変更した。
(比較例1)
インレットへのスラリー導入部に乱流発生装置を有さない傾斜型抄紙機を使用し、ワイヤーの傾斜角度を18°とし、ジェットワイヤー比及びスラリーの分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例2)
各サクションボックスの脱水量割合及びスラリーの分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更し、かつジェットワイヤー比を表1に示すとおりに変更した以外は、比較例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例3)
ジェットワイヤー比を表1に示すとおりに変更した以外は、比較例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例4)
ジェットワイヤー比及びスラリーの分散媒の粘度を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート及び各種繊維強化プラスチック成形体を得た。
(評価)
<厚み方向の繊維配向パラメーター(fp値)の測定>
実施例・比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体用シートを幅5mm、長さ10mmに切断し、紫外線硬化タイプの包埋用エポキシ樹脂(日本電子株式会社製、アロニックス LCA D−800)を、試験片の表面全面を覆うようにスポイトを用いて滴下して含浸させ、紫外線を照射して硬化させた。
そして、日本分光株式会社製、スライスマスター HS−1を用いて、硬化物から幅0.4mm、長さ10mmの断面観察用試験片を切り出した。なお、切断方向は、図1(a)におけるB−B'方向とした。
得られた試験片の厚み方向の断面を、キーエンス社製、マイクロスコープで、300倍に拡大して透過光にて繊維を観察した。ここでは、上記断面のうちの連続した1.5mm2の測定領域を観察した。また、試験片の観察面およびその反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察を行った。そして、上記測定領域中に存在する、観察像において視認し得る全ての繊維(繊維数はn本とする)について、後述する方法で設定した基準線に対する角度θi(i=1〜n)を測定した。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とした。そして、設定された基準線に対する繊維の角度θiから、以下の式(1)を用いて厚み方向の繊維配向パラメーターを算出した。
fp=2×Σ(cos2θi/n)−1 式(1)
なお、基準線は下記の方法で決定した。基準線を決定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維n本の角度を測定した。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜n)で表した。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出した。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維n本の角度を算出した。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜n)で表した。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出した。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/n)−1
(i=1、2、3、・・・、n)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線とした。
<平面方向の繊維配向パラメーター(fp値)の測定>
実施例・比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体用シートを幅3cm×長さ3cmとなるように切り出し、この試験片をスライドガラスで挟み、当該試験片の一方の面を光学顕微鏡にて観察した。光学顕微鏡には、キーエンス社製、マイクロスコープを用い、300倍に拡大して反射光にて繊維を観察した。ここでは、上記一方の面のうちの連続した2.0mm2の測定領域を観察した。そして、この測定領域中に存在する、観察像において視認し得る全ての繊維(繊維数はm本とする)について、後述する方法で設定した基準線に対する角度θi(i=1〜m)を測定した。配向角度θiは、基準線に対して時計回りの方向の角度を測定し、0°以上180°未満の角度とした。そして、設定された基準線に対する繊維の角度θiから、以下の式(2)を用いて厚み方向の繊維配向パラメーターを算出した。
fp=2×Σ(cos2θi/m)−1 式(2)
そして、反対面についても同様に測定し、一方の面と反対面の平均値を求めて、これを平面方向の繊維配向パラメーター(fp)とした。なお、一方の面の測定領域と反対面の測定領域は、平面視において重なる領域とした。また、一方の面および反対面のいずれの観察においても、一方の面および反対面のそれぞれから深さ10μm以上の部分に焦点を合わせて観察を行った。
なお、基準線は下記の方法で決定した。基準線を決定する際には、まず仮基準線pを選択し、上記測定領域内に存在する視認し得る全ての繊維m本の角度を測定した。この場合、仮基準線pと各繊維の角度は、α(p)i(i=1〜m)で表した。
仮基準線pとした際の繊維配向パラメーター(fp(p))は、下記式を用いて算出した。
fp(p)=2×Σ(cos2α(p)i/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
次に、仮基準線pを±1°ずつ、±90°となるまで回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))をとり、仮基準線p+zと仮基準線p-zと繊維m本の角度を算出した。この場合の角度は、α(p+ziと、α(p-zi(i=1〜m)で表した。
回転させた仮基準線(p+z、p-z(z=1〜90))と強化繊維の繊維配向パラメーター(fp(p±z))は、下記式を用いて算出した。
fp(p±z)=2×Σ(cos2α(p±zi/m)−1
(i=1、2、3、・・・、m)
このようにして、得られたfp(p)値及びfp(p±z)値のうち最大値が得られた場合に設定した仮基準線を基準線とした。
<曲げ強度の測定>
得られた曲げ強度測定用の繊維強化プラスチック成形体を、JIS K 7074 「炭素繊維強化 プラスチックの曲げ試験方法」に従って、マシンディレクション方向(MD方向)及びMD方向と直交する方向(クロスディレクション方向(CD方向))について測定し、MD方向とCD方向の強度及び強度比測定した。
なお、曲げ強度の相乗平均値は以下の式で算出した。
曲げ強度の相乗平均値=√(FMD×FCD)
ここで、FMDはMD方向の曲げ強度を表し、FCDはCD方向の曲げ強度を表す。
<たわみ量の測定>
得られたたわみ量測定用の繊維強化プラスチック成形体(0.5mm厚)のたわみ量を測定した。測定には、図4(a)に示す、厚み方向の測定が可能なテンシロン試験機300を用いた。たわみ量測定用の繊維強化プラスチック成形体310をアルミ製枠350に置き、テンシロン試験機400に設置した。次いで、ロードセル320の中央に直径10mmの半球状部材330を取り付け、圧縮速度5mm/分で圧縮試験を行った。なお、図4(b)はアルミ製枠350を枠上部から見た上面図であり、本発明では、図4(b)に記載の寸法(内寸100mm×150mm)を有するアルミ製枠を用いた。
得られたS−Sカーブ(応力-ひずみ線図)から、圧縮荷重8Nのたわみ量(mm)を測定した。
Figure 0006583035
厚み方向及び平面方向の配向パラメーターが所定範囲内である実施例では、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂の種類を問わず、いずれも良好な強度を示しており、たわみ量が小さくなっている。
一方、厚み方向の繊維配向パラメーターが0.7より小さい比較例1においては、実施例に比べて曲げ強度が低下し、更に繊維強化プラスチック成形体の中央に一定荷重をかけた際のたわみ量も大きくなっている。また、平面方向の繊維配向パラメーターが2.5以上の比較例2及び3では、曲げ強度は比較的良好であるが、一定荷重をかけた際のたわみ量が大きくなっている。比較例4では、厚み方向及び平面方向の繊維配向パラメーターが所定範囲外であるため、曲げ強度が大幅に低下しており、かつ一定荷重をかけた際のたわみ量が大きくなっている。
実施例においては、インレット内の分散媒の粘度を調整することで地合を良化させ、強度を向上させることに成功した。また、実施例においてはインレット直前に乱流発生装置を有する傾斜型抄紙機を使用することで、更に地合を良化させ、強度を向上させることに成功した。この乱流発生装置は、インレットへのスラリー導入部の輸送パイプ内に平均直径18mm、長さ100mmの管を40本有するものである。この管によって、スラリーを多数に分岐し流通させ、且つ流路断面積が急速に変化し、管内の流れが乱流となるため再凝集した繊維を効果的に再び分散させることができる。実施例で用いた乱流発生装置においては、管内のレイノルズ数はいずれも7000以上であった。
本発明では、このような乱流発生装置を有する傾斜型抄紙機を使用することで、繊維強化プラスチック成形体用シートの地合を良化させることもできる。
5 繊維強化プラスチック成形体用シート
20 強化繊維
25 熱可塑性樹脂
40 包埋用エポキシ樹脂
45 断面観察用試験片
P 基準線
P’ 基準線と平行な線(補助線)
Q 基準線に対する強化繊維の配向線
R 基準線に対する強化繊維の配向線
200 傾斜型抄紙機
201 第1のサクションボックス
202 第2のサクションボックス
203 第3のサクションボックス
204 第4のサクションボックス
210 インレット
220 傾斜ワイヤー
Z ワイヤーの傾斜角度
241 乱流発生装置
242 乱流発生流路
242a、242b、242c、242d、242e 乱流発生流路
1、S2、S3 流路断面積
300 テンシロン試験機
310 たわみ量測定用の繊維強化プラスチック成形体
320 ロードセル
330 半球状部材
350 アルミ製枠

Claims (7)

  1. 強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを混合したスラリーを、湿式抄紙する工程を含み、
    前記スラリーの分散媒の25℃における粘度は1.2〜4.0mPaであり、
    前記湿式抄紙する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程であり、
    前記スラリーは、乱流発生した状態で傾斜型抄紙機に供給され、
    前記傾斜型抄紙機のワイヤーの傾斜角度は15°以下であり、
    前記傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.90〜0.99となるように走行する繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  2. 前記スラリーの分散媒の25℃における粘度は1.2〜3.5mPaである請求項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  3. 前記ワイヤーの通気度は、250〜500cm 3 /cm 2 /secである請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  4. 前記ワイヤーの傾斜角度が、10°以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  5. 前記傾斜型抄紙機の傾斜ワイヤーは複数のサクションボックスを備えている請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  6. 前記複数のサクションボックスのうち、上流側のサクションボックスによる脱水量が下流側のサクションボックスによる脱水量よりも多い請求項4に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  7. 前記傾斜型抄紙機は乱流発生装置を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
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