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JP6577215B2 - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板の製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」と呼ぶ。)に用いるガラス基板には、厚さが例えば0.5〜0.7mmと薄いガラス板が用いられている。このFPD用ガラス基板は、例えば第1世代では300×400mmのサイズであるが、第10世代では2850×3050mmのサイズになっている。
このような薄板で大きなサイズのFPD用ガラス基板を製造するには、オーバーフローダウンドロー法やフロート法が好適に用いられる。例えば、オーバーフローダウンドロー法を用いるガラス基板の製造方法が特許文献1に開示されている。すなわち、特許文献1では、成形体からオーバーフローされたシートガラスを搬送ローラ(引張りローラ)で挟持し、下方に引き下げる過程で徐冷することで、ガラス基板を製造している。
国際公開第2012/132425号
ところで、このようなFPD用ガラス基板においては、たとえば画素のピッチズレの問題を抑制するために、ディスプレイ製造時のガラス基板の熱収縮を低減することが強く求められている。ガラス基板の熱収縮は、歪点またはガラス転移点で代表される低温粘性特性温度を高くすることで抑制できる。しかし、単にガラスの歪点等を高くすることだけに着目してガラス組成の改良を行うと、ガラスの液相温度が高くなる傾向にあり、耐失透性が悪化しやすいという問題が起こる。高歪点を有するガラス組成は、失透温度も高くなりやすい。この失透の問題は、比較的粘度が高い状態で成形を行う必要があるオーバーフローダウンドロー法を成形方法として用いた場合に顕著となる。
このようなオーバーフローダウンドロー法による成形時におけるガラスの失透を防止するためには、たとえば成形時における溶融ガラスの温度を、液相温度よりも十分に高く保てばよい。
以上の観点から、たとえば高温高粘性で、低液相粘度のガラスを製造しようとする場合、最初から高温高粘性のガラス組成から製造を開始すると、製造装置に対する負荷が高くなり、特に、清澄槽等に用いられる白金装置や、成形装置の成形体へのダメージが大きくなる。
近年のFPDの高精細化に伴い、FPD用ガラス基板に対する品質要求は益々厳しくなってきており、従来にも増してガラス基板製造時の製造条件の厳密なコントロールが必要になってきている。
そこで、本発明は、ガラス基板を製造する装置へのダメージや、製造されるガラス基板の失透の発生等を抑制し、目標の組成の高品質ガラス基板を製造することが可能なガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、従来の課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成の発明を想到するに至ったものである。
(構成1の発明)
ガラス原料を溶解し溶融ガラスとする溶融工程と、溶融ガラスを撹拌する撹拌工程と、撹拌した溶融ガラスをシート状に成形する成形工程とを有するガラス基板の製造方法であって、失透粘度の高い或いは失透温度の低い組成から製造を開始し、経時的に失透粘度の低い或いは失透温度の高い組成に変更することによりガラス基板を製造し、途中の前記撹拌工程を経た後の前記溶融ガラスの組成分析を行い、その結果に基づいて前記成形工程の製造条件を調整することを特徴とするガラス基板の製造方法である。
(構成2の発明)
前記溶融ガラスの組成分析の結果に基づいて組成の変化率を見積もり、前記成形工程の温度条件を調整することを特徴とする構成1の発明に記載のガラス基板の製造方法である。
(構成3の発明)
蛍光X線分析法により前記溶融ガラスの組成分析を行うことを特徴とする構成1又は2の発明に記載のガラス基板の製造方法である。
(構成4の発明)
オーバーフローダウンドロー法を用いて前記成形工程を行うことを特徴とする構成1乃至3のいずれかの発明に記載のガラス基板の製造方法である。
本発明によれば、上記構成により、ガラス基板を製造する装置へのダメージや、製造されるガラス基板の失透の発生等を抑制でき、目標の組成の高品質ガラス基板を製造することが可能である。
本実施形態のガラス基板の製造方法のフローの一例を示す図である。 本実施形態における溶解工程乃至切断工程を行う装置の一例を模式的に示す図である。 成形装置の概略の側面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(ガラス基板の製造方法の全体概要)
オーバーフローダウンドロー法が採用されるガラス基板の製造工程の概要の一例は、例えば図1に示すことができる。
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法のフローの一例を示す図である。
このガラス基板の製造工程では、溶融工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、撹拌(均質化)工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、冷却(徐冷)工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を包含し、その成形工程(ST5)および冷却(徐冷)工程(ST6)においてダウンドロー法が採用され、その成形工程では、たとえば、図3に示すように、楔形の成形体210を含む装置により成形される。
図2は、上記溶融工程(ST1)乃至切断工程(ST7)を行う装置の一例を模式的に示す図である。当該装置は、図2に示すように、溶解装置100と、成形装置200と、切断装置300とを主に有する。溶解装置100は、溶解槽101と、清澄槽102と、撹拌槽103と、第1配管104と、第2配管105と、第3配管106とを有する。成形装置200について詳細は後述する。
上記溶融工程(ST1)では、溶解槽101内に供給されたガラス原料を火焔および/又は電極を用いた通電加熱により溶解することで溶融ガラスMGを得る。溶融ガラスMGは、溶解槽101から第1配管104を通って清澄槽102に供給される。
上記清澄工程(ST2)では、清澄槽102に供給された溶融ガラスMGが昇温されることにより、溶融ガラスMG中に含まれるO2、CO2あるいはSO2等のガス成分を含んだ泡が、SnO2などの清澄剤の還元反応により生じたO2を吸収して成長し、溶融ガラスMGの液面に浮上して清澄槽102上方の空気中、窒素ガス等を含有する雰囲気中に放出されて除去される。次いで、溶融ガラスMGの温度の低下による泡中のガス成分の内圧が低下することと、還元された清澄剤(例えばSnO)が溶融ガラスMGの温度の低下によって酸化反応をすることにより、溶融ガラスMGに残存する泡中のO2等のガス成分を再吸収して、泡を消滅させる。
上記清澄工程で脱泡された溶融ガラスMGは、清澄槽102から第2配管105を通って撹拌槽103に供給される。
上記撹拌(均質化)工程(ST3)では、上記清澄工程で脱泡された溶融ガラスMGが供給されて、撹拌槽103内の溶融ガラスMGを、撹拌手段(例えば図示するスターラ103a)を用いて撹拌することにより、ガラス成分の均質化が行われる。
上記供給工程(ST4)では、均質化された溶融ガラスMGが、撹拌槽103から第3配管106を通って成形装置200に供給される。その成形装置200の一例は、図3に示されている。図3は成形装置の概略の側面図である。
その図3において、成形装置200は、成形炉240と徐冷炉250を含む。その成形装置200では、上記成形工程(ST5)及び冷却(徐冷)工程(ST6)が順次行われる。
上記成形工程(ST5)では、溶融ガラスMGをシートガラスSGに成形し、シートガラスSGの流れを作る。本実施形態では、成形体210を用いたオーバーフローダウンドロー法を用いている。この場合、シートガラスSGの流れ方向は、鉛直下方となる。
さらに詳しく説明すると、上記成形体210は、図2及び図3に示すように、第3配管106を通して溶解装置100から流れてくる溶融ガラスMGを、シートガラスSGに成形する。これにより、成形装置200内で、鉛直下方のシートガラスSGの流れが作られる。成形体210は、耐火レンガ等によって構成された細長い構造体であり、図3に示すように断面が楔形状を成している。成形体210の上部には、溶融ガラスMGを導く流路となる供給溝212が設けられている。供給溝212は、成形体210に設けられた供給口において第3配管106と接続され、第3配管106を通して流れてくる溶融ガラスMGは、供給溝212を伝って流れる。供給溝212の深さは、溶融ガラスMGの流れの下流ほど浅くなっており、供給溝212から溶融ガラスMGが鉛直下方に向かって溢れ出るようになっている。
また、成形体210の両側壁部及び/又は下方端部には、図示しない白金ガイド部材が設けられる。この白金ガイド部材は、ガラス幅の管理のために設けられるが、ガラスに対しては放熱部材として機能する。そのため、成形体210の両側壁部や下方端部に対して、内部ヒータなどにより熱量を加える構成を備えておくことで、上記白金ガイド部材に結晶物の付着を抑制する。
供給溝212から溢れ出た溶融ガラスMGは、成形体210の両側の側壁を伝わって流下する。側壁を流れた溶融ガラスMGは、成形体210の下方端部213(図3に示す)で合流し、1つのシートガラスSGが成形される。シートガラスSGは、図3に示すシートガラスSGの流下方向である鉛直下方に流れる。なお、成形体210の下方端部213の直下におけるシートガラスSGの温度は、例えば104.3〜106poiseの粘度に相当する温度(例えば1000〜1250℃)である。また、1150℃〜1250℃であってもよい。
成形体210の下方端部213の下方近傍には、雰囲気仕切り部材220が設けられている。雰囲気仕切り部材220は、シートガラスSGを厚さ方向の両側から挟むように設けられた一対の板状の断熱部材である。
この断熱部材からなる雰囲気仕切り部材220は、成形体210が収容された上部空間である成形炉240と、下方空間とを仕切るために設けられる。この断熱部材からなる雰囲気仕切り部材220の上部空間と下方空間との間の熱抵抗は、上部空間の雰囲気温度において、0.2m2・K/W以上であることが望ましい。溶融ガラスが上記成形体210の最下端部を通過するときの溶融ガラスの両端部の粘度は、例えば、104.3〜106poiseである。なおシートガラスの端部とは、シートガラスの幅方向の縁から150mm以内の範囲をいう。
上記の熱抵抗を大きくするためには、例えば上記雰囲気仕切り部材220の厚さを厚くする必要があるが、必要以上の厚さは、ガラス成形品質に影響を与えるため好ましくない。そのため、上記雰囲気仕切り部材220の熱抵抗は、0.4〜2m2・K/Wであることが好ましい。
断熱部材としては、例えば、アルミナの含有率が高いセラミックファイバボードが使用される。
雰囲気仕切り部材220の下方には冷却ローラ(冷却ローラとしての機能を備える搬送ローラ)230が設けられている。冷却ローラ230は、図3に示すように、シートガラスSGを厚さ方向の両側から挟むように、シートガラスSGの厚さ方向の両側に設けられている。なお、冷却ローラ230は、シートガラスSGの幅方向両端部の温度が約109・0poise以上の粘度に相当する温度(例えば900℃以下)に低下するまで、冷却することが好ましい。
また、上記冷却ローラ230の下方の領域には、シートガラスSGの流れ方向に沿って、さらに別の搬送ローラ250a〜250dを含む複数の搬送ローラと、図示しない温度調整装置が設けられている。個々の搬送ローラはシートガラスSGの厚さ方向の両側のそれぞれに設けられており、シートガラスSGの両端を対となって夫々挟持している。つまり、ローラ搬送手段対を構成している。
この領域には、上記温度調整装置として、熱源であるヒータユニット(図示せず)がシートガラスSGの厚さ方向の両側のそれぞれに設けられている。このヒータユニットは、シートガラスSGの幅方向の温度プロファイルを適切に制御できるように、シートガラスの幅方向に沿って設けられている。
以上説明したように、上記冷却(徐冷)工程(ST6)では、上記冷却ローラ230及び搬送ローラ250a〜250dによって挟持搬送される過程において、成形されて流れるシートガラスSGが所望の厚さになり、冷却に起因する反り、内部歪が生じないように冷却(徐冷)される。
上記切断工程(ST7)では、切断装置300において、成形装置200から供給されたシートガラスSGが所定の長さに切断されることで、板状のガラス板を得る。
板状に切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作製される。この後、ガラス基板の端面の研削、研磨、およびガラス基板の洗浄が行われ、さらに、泡や脈理等の欠点の有無が検査された後、検査合格品のガラス基板が最終製品として梱包される。
本実施形態において製造されるガラス基板は、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機ELディスプレイ用ガラス基板等に好適に用いられる。また、このガラス基板は、その他、携帯端末機器などのディスプレイや筐体用のカバーガラス、タッチパネル板、太陽電池のガラス基板やカバーガラスとしても用いることができる。特に、液晶ディスプレイ用ガラス基板に好適である。その中でも特に熱収縮率の小さいことが要求される、LTPS(低温ポリシリコン)・TFTや、酸化物半導体・TFTなど、パネル製造工程において高温処理を必要とする製品に好適に用いることができる。
また、本実施形態において製造されるガラス基板の幅方向及び縦方向の長さは、例えば500mm〜3500mmであり、1000mm〜3500mmであることが好ましく、2000mm〜3500mmであることがより好ましい。
また、本実施形態において製造されるガラス基板の厚さは、例えば0.01mm〜1.0mmである。好ましくは、0.1mm〜0.7mmである。
(ガラス基板の組成)
上述の用途のガラス基板のガラス組成としては、アルミノシリケートガラス、ボロアルミノシリケートガラスであり、さらに無アルカリガラス、微アルカリガラスであり、例えば以下のものを好ましく挙げることができる。なお、以下に示す組成の含有率表示は、モル%である。
SiO2 55〜75%、Al23 5〜20%、B23 0〜15%、RO 5〜20%(ただし、RはMg、Ca、Sr及びBaのうち、ガラス基板に含まれる全元素)、R'2O 0〜0.4% (ただし、R'はLi、Na及びKのうち、ガラス基板に含まれる全元素)。
本発明で用いる溶融ガラスの歪点は、650℃以上であってもよく、680℃以上であることがより好ましい。
また、例えば、ガラス基板の液相粘度は、104.3poise〜106.7poiseである。
もちろん、本発明においては、ガラス基板のガラス組成を限定するものではない。
次に、本発明に係るガラス基板の製造方法の構成の特徴について説明する。
本発明に係るガラス基板の製造方法は、上記構成1の発明にあるとおり、ガラス原料を溶解し溶融ガラスとする溶融工程と、溶融ガラスを撹拌する撹拌工程と、撹拌した溶融ガラスをシート状に成形する成形工程とを有するガラス基板の製造方法であって、失透粘度の高い或いは失透温度の低い組成から製造を開始し、経時的に失透粘度の低い或いは失透温度の高い組成に変更することによりガラス基板を製造し、途中の前記撹拌工程を経た後の前記溶融ガラスの組成分析を行い、その結果に基づいて前記成形工程の製造条件を調整することを特徴とするものである。
従来、例えばオーバーフローダウンドロー法を用いて目的とする組成のガラス基板を製造する場合、その目的の組成に応じたガラス原料を調製し、製造装置に投入してシート状のガラスを製造する。そして、途中のいずれかの段階でガラスの組成分析を行い、その結果に基づいて、投入するガラス原料の組成の調整等を行い、目的の組成に近づけていく方法が通常実施されている。
ところが、前述したように、たとえば高温高粘性のガラス基板を製造しようとする場合、従来方法に則り、最初から目的とする高温高粘性のガラス組成に応じたガラス原料を調製し、製造装置に投入して製造を開始すると、製造装置に対する負荷が高くなり、特に、清澄槽等に用いられる白金装置や、成形装置の成形体へのダメージが大きくなる。また、失透の発生を抑制できないことがある。したがって、長期的に安定した品質のガラス基板を製造し続けることは困難になる。
本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するべく鋭意検討した結果、次のような製造方法が最適であることを見出した。
すなわち、最初は、目標とする高温高粘性のガラス組成とは異なるが、特にガラスの失透の発生等を考慮して、溶解、成形しやすい失透粘度の高い(失透温度の低い)組成から製造を開始する。そこから投入する原料を徐々に変えていくことで経時的に失透粘度の低い(失透温度の高い)組成に変更していき、目標とする上記組成のガラス基板を製造する。これによって、失透の発生を抑制できるうえに、製造装置に対する負荷、ダメージも抑制できるので、長期的に安定した高品質のガラス基板を製造することが可能になる。
たとえば成形体210の両側壁部や下方端部に設けられる白金ガイド部材にガラス結晶物が付着すると、ガラスリボンの割れ、切断の原因となる。また、製造されるガラスの厚みや平坦性にも影響を与える。白金ガイド部材に付着したガラス結晶物の除去のためには、成形体210を流れる溶融ガラスを高温にして、ガラス結晶物の除去を行う必要があるが、成形工程において、溶融ガラスを高温にすると、成形体210のクリープ変形や、白金部材の揮発、その他、白金部材の変形、損耗が生じる。
そのためガラス結晶物が生じないように、組成に応じた温度管理をする必要がある。
本発明では、上記雰囲気仕切り部材220の熱抵抗は、例えば0.4〜2m2・K/Wとすることにより、成形炉の上部空間から下方空間への熱の移動を抑制し、ガラス液相粘度の高いガラスの成形に対応させている。
また、ガラスの失透を懸念し、溶融ガラスの粘度をシートガラス成形条件範囲を超えて下げてしまうと、成形体210の構造に適したガラス粘度から外れ、シートガラス厚みや幅の管理が難しくなる。そうするとシートガラスの厚みの偏りや変動が生じたりして、雰囲気仕切り部材220に溶融ガラスが接触してしまい、仕切り部材に損耗が生じ、その結果、ガラス基板の表面品質に影響を与える。
本発明においては、上記のようにしてガラス基板の製造を行うが、途中の撹拌工程を経た後の溶融ガラスの組成分析を行い、その結果に基づいて成形工程の製造条件を調整することが肝要である。投入する原料の経時的な変更だけでなく、成形途中段階のガラス組成を成形工程の製造条件にフィードバックすることにより、製造装置へのダメージをより効果的に抑制することができ、また異質素地の形成を抑制することができる。
本発明のより具体的な実施態様としては、撹拌工程を経た後の溶融ガラスを採取して組成分析を行い、この溶融ガラスの組成分析の結果に基づいて組成の変化率を見積もり、見積もった組成の変化率に応じて成形工程の製造条件、例えば成形体の温度条件を調整することが好ましい。特に、高温高粘性のガラス組成に変更する場合、組成の変動に応じて、失透のしやすさ、失透温度が異なってくるので、成形途中段階のガラス組成を成形工程の温度条件にフィードバックすることが、製造装置へのダメージや失透の発生、異質素地の形成等を抑制する上で好適である。
なお、本発明において、撹拌工程を経た後の溶融ガラスの組成分析を行うことにしている理由は、撹拌工程を経る前の溶融ガラスは均質化されていないため、正確な組成分析を行えないからである。
また、撹拌工程を経た後の溶融ガラスであれば、複数箇所でサンプルを取得してもよい。ばらつきの無いより正確な組成分析結果を得ることが可能である。また、成形体でシート状に成形された直後のガラスを分析してもよい。
また、図1の製造フローでは、清澄工程の後に撹拌工程を実施しているが、清澄工程の前にも撹拌工程を実施する場合には、清澄工程でサンプルを取得してもよい。
また、本発明において上記の溶融ガラスの組成分析は、例えば蛍光X線分析法(XRF)により行うことができる。もちろんこの分析法に限定される必要はなく、例えば誘導結合プラズマ(ICP)分析法等を適用することも可能である。
また、本発明は、上記実施の形態で説明したようなオーバーフローダウンドロー法によるガラス基板の製造に好適である。
前にも説明したように、比較的粘度が高い状態で成形を行う必要があるオーバーフローダウンドロー法を成形方法として用いた場合、失透の問題が発生しやすい。そして、このようなオーバーフローダウンドロー法による成形方法を用いて、たとえば高温高粘性のガラスを製造しようとする場合、最初から高温高粘性のガラス組成から製造を開始すると、製造装置に対する負荷が高くなり、製造装置へのダメージが大きくなるという問題が生じる。
したがって、このようなオーバーダウンドロー法によるガラス基板の製造には、ガラス基板を製造する装置へのダメージや、製造されるガラス基板の失透の発生等を抑制し、目標の組成の高品質ガラス基板を製造することが可能な本発明のガラス基板の製造方法の効果が顕著となる。
以上説明したように、本発明のガラス基板の製造方法においては、失透粘度の高い或いは失透温度の低い組成から製造を開始し、経時的に失透粘度の低い或いは失透温度の高い組成に変更することによりガラス基板を製造し、途中の撹拌工程を経た後の溶融ガラスの組成分析を行い、その結果に基づいて成形工程の製造条件を調整するようにしているので、ガラス基板を製造する装置へのダメージや、製造されるガラス基板の失透の発生等を抑制でき、たとえば高温高粘性組成の高品質ガラス基板を長期的に安定して製造することが可能である。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
上述した図2及び図3に示される実施形態の製造装置を用いて、ガラス基板を製造した。
ここで、目標とするガラス基板の組成は以下の組成とした。
SiO2 70.5モル%、Al23 10.9モル%、B23 7.4モル%、RO(MgO,CaO,SrO及びBaOの合量) 10.9モル%。
上記の組成は、失透粘度の低い(失透温度の高い)組成であるが、まず最初は、特にガラスの失透を考慮して、溶解、成形しやすい失透粘度の高い(失透温度の低い)組成から製造を開始し、そこから投入する原料を変えていくことで経時的に目標とする上記のガラス組成に変更することによりガラス基板を製造した。なお、本実施例では、途中の撹拌工程を経た後の溶融ガラスの組成分析を蛍光X線分析法により行った。そして、その溶融ガラスの組成分析の結果に基づいて組成の変化率を見積もり、成形工程における温度条件を調整しながら、ガラス基板を製造した。
このとき製造したガラス基板の歪点は700℃であった。
以上と同様にして1000枚のガラス基板を製造した。製造したガラス基板のそれぞれについて蛍光X線分析法により組成分析を行った結果、いずれのガラス基板についても、目標とする組成が得られており、また失透の発生も無かった。さらに、ガラス基板製造後、製造装置へのダメージも特に発生しなかった。
これより、本発明によるガラス基板の製造方法の効果は明確である。
以上、本発明の実施の形態および具体的な一実施例について説明したが、本発明は上記実施形態および実施例には限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
100 溶解装置
101 溶解槽
102 清澄槽
103 撹拌槽
104 第1配管
105 第2配管
106 第3配管
200 成形装置
210 成形体
212 供給溝
213 下方端部
220 雰囲気仕切り部材
230 冷却ローラ
240 成形炉
250 徐冷炉
250a〜250d 搬送ローラ
300 切断装置

Claims (4)

  1. 所定の組成からなるガラス原料を溶解し溶融ガラスとする溶融工程と、溶融ガラスを撹拌する撹拌工程と、撹拌した溶融ガラスをシート状に成形する成形工程とを有するガラス基板の製造方法であって、
    前記溶融ガラスの歪点が650℃となる組成より失透粘度の高い或いは失透温度の低い組成から製造を開始し、経時的に前記溶融ガラスの歪点が650℃となる組成より失透粘度の低い或いは失透温度の高い組成に変更することによりガラス基板を製造し、
    途中の前記撹拌工程を経た後の前記溶融ガラスの組成分析を行い、その結果に基づいて前記成形工程の製造条件を調整することを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記溶融ガラスの組成分析の結果に基づいて組成の変化率を見積もり、前記成形工程の温度条件を調整することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 蛍光X線分析法により前記溶融ガラスの組成分析を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. オーバーフローダウンドロー法を用いて前記成形工程を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガラス基板の製造方法。
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