JP6558463B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
1.膜厚5〜250μmプラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂及びウレタン樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記積層フィルムのレトルト処理前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることを特徴とする積層フィルム。
2.前記1.記載の積層フィルムであって、被覆層の平均厚みが5〜150nmであることを特徴とする積層フィルム。
3.前記2.記載の積層フィルムであって、オキサゾリン基を有する樹脂のオキサゾリン基量が5.1〜9.0mmol/gであることを特徴とする積層フィルム。
4.前記3.記載の積層フィルムであって、被覆層中のウレタン樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が10〜40mgKOH/gであることを特徴とする積層フィルム。5.前記4.記載の積層フィルムであって、被覆層中のアクリル樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が40mgKOH/g以下であることを特徴とする積層フィルム。
6.前記5.記載の積層フィルムであって、被覆層がオキサゾリン基を有する樹脂を20〜70重量%、アクリル樹脂を10〜60重量%、ウレタン樹脂を10〜60重量%含有する樹脂混合物を硬化させて成ることを特徴とする積層フィルム。
7.前記6.記載の積層フィルムであって、無機薄膜層が、アルミナ、シリカの複合酸化物層であることを特徴とする積層フィルム。
また、前記積層体は生産安定性および経済性に優れ、均質の特性が得られやすい。
[基材フィルム]
本発明で用いる基材フィルムは、例えば、プラスチックを溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、プラスチックとしては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどで代表される、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。耐熱性や寸歩安定性、透明性の点でポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートに他の成分を共重合したものが好ましい。
基材フィルムの透明度は、特に限定されるものではないが、透明性が求められる包装材料として使用する場合には、50%以上の光線透過率をもつものが望ましい。
また基材フィルムには、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、コロナ放電処理、グロー放電、火炎処理、表面粗面化処理等の表面処理が施されていてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾等が施されてもよい。
本発明の積層フィルムは、プラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記積層フィルムのレトルト処理前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることを満たすことが重要である。
より好ましくは1.5〜15%であり、さらに好ましくは2〜12%である。本発明の被覆層を設けることで、変化率を上記範囲内にすることが可能となり、被覆層の変形に伴う無機薄膜層の劣化がなく、ガスバリア性を維持できる。
表面粗さの変化率が1%未満であると、被覆層の変形の自由度が小さすぎて柔軟性が欠如することになり、結果として無機薄膜層に応力がかかる懸念がある。一方、18%以上になると、被覆層の変形が大きくなり、変形は無機薄膜にも影響し、結果として十分なガスバリア性が得られない場合がある。
オキサゾリン基は金属酸化物といった無機薄膜との親和性が高く、また、無機薄膜層形成時に発生する無機酸化物の酸素欠損部分や金属水酸化物と反応できるため、無機薄膜層と強固な密着性を示す。また、被覆層中に存在する未反応のオキサゾリン基は、基材フィルムおよび被覆層の加水分解により発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成することができ、被覆層の耐水性を維持できる。
被覆層が変形することが少ないため、結果的に、無機薄膜層もダメージを受けることなく、ガスバリア性を維持することができる。
本発明の積層フィルムは、無機薄膜層を備えた積層体であるが、上記態様によりレトルト処理後も無機薄膜層のガスバリア性および層間密着性を維持することができる。
(オキサゾリン基を有する樹脂)
本発明では、被覆層中にオキサゾリン基を有する樹脂を含有させる必要がある。オキサゾリン基を有する樹脂としては、オキサゾリン基を有する重合体、例えばオキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体を、必要に応じその他の重合性不飽和単量体と従来公知の方法(例えば溶液重合、乳化重合等)によって共重合させることにより得られる重合体を挙げることができる。
被覆層を構成する樹脂組成物は、アクリル樹脂を含有する。アクリル樹脂としては、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート(以下、纏めて「アルキル(メタ)アクリレート」と称することがある)を主要な成分とする水性アクリル樹脂が用いられる。水性アクリル樹脂としては、具体的には、アルキル(メタ)アクリレート成分を通常40〜95モル%の含有割合で含み、必要に応じて、共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体成分を通常5〜60モル%の含有割合で含む水溶性または水分散性の樹脂が挙げられる。水性アクリル系樹脂におけるアルキル(メタ)アクリレートの含有割合を40モル%以上とすることにより、塗布性、塗膜の強度、耐ブロッキング性が特に良好になる。一方、アルキル(メタ)アクリレートの含有割合を95モル%以下とし、共重合成分として特定の官能基を有する化合物を水性アクリル系樹脂に5モル%以上導入することにより、水溶化ないし水分散化を容易にするとともに、その状態を長期にわたり安定化することができ、その結果、被覆層と基材フィルムとの接着性や、被覆層内での反応による被覆層の強度、耐水性、耐薬品性などの改善を図ることができる。
共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基またはその塩、水酸基、エポキシ基などが挙げられ、特に、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基が好ましい。これらの官能基は、1種のみでもよいし2種以上であってもよい。
ビニル単量体として用いることのできる、スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらスルホン酸の金属塩(ナトリウム等)やアンモニウム塩などが挙げられる。
ビニル単量体として用いることのできる、アミノ基、アルキロール化されたアミノ基またはそれらの塩を有する化合物としては、例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、およびこれらのアミノ基をメチロール化したものや、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトン等により4級化したもの等が挙げられる。
ビニル単量体として用いることのできる、エポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
被覆層を構成する樹脂組成物は、ウレタン樹脂を含有することが好ましい。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを常法に従って反応させることにより得られる水溶性または水分散性樹脂を用いることができる。特に、水性ポリウレタン樹脂は水媒体との親和性を高めるため、カルボキシル基またはその塩等を含有するものが好ましく用いられる。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
コート法の中でも好適な方法としてオフラインコート法、インラインコート法を挙げることができるが、例えば基材フィルムを製造する工程で行うインラインコート法の場合、
コート時の乾燥、熱処理の条件はコート厚み、装置の条件にもよるが、コート後直ちに直角方向の延伸工程に送入し、延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましい。このような場合、通常50〜250℃程度で行う。
なお、基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理を施してもよい。
本発明の積層フィルムにおいて、前記被覆層のさらにその上には無機薄膜層が積層される。無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70%の範囲であることが好ましい。より好ましくは25〜65%の範囲である。Al濃度が20%未満であると、水蒸気バリア性が低くなる場合があり、一方、70%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl2O3等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
プラスチック基材フィルムが、無機酸化物層が含む原子と同一の原子を含む場合、例えば無機酸化物層としてSiOx、プラスチックフィルム中に滑剤としてシリカの粉体が含まれている場合Si原子を共通に含んでいる場合は、予め同一濃度の該原子を含むプラスチック基材フィルム上に異なる既知の膜厚の無機酸化物層を形成したフィルム作成し該モニターで測定する。得られた蛍光X線強度と膜厚の関係式を求めて作成した検量線により未知の無機酸化物層膜厚を得ることができる。
本発明の積層フィルムは、通常包装材料として使用するため、無機薄膜層上にシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層が形成して用いられることが多い。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、PP樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂などを使用できる。
(1)ラミネート積層体の作成
実施例、比較例で得られた積層フィルムの無機薄膜層の上に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラックA525S」と「タケネートA50」を13.5:1の割合で配合)を用いて、ドライラミネート法により厚さ15μmのナイロンフィルム(東洋紡績株式会社製、N1100)を貼り合わせ、次いで前記同様の接着剤を用いて、熱接着性樹脂として厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製、P1147)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングして実施例1〜5、比較例1〜3のラミネートガスバリア性積層フィルムを得た。なお、接着層の厚みはいずれも乾燥後約4μmであった。
上記(1)で作成した評価用ラミネート積層体について、JIS−K7129−B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN−W 3/33MG」)を用い、温度40℃、湿度100%RHの雰囲気下で、常態での水蒸気透過度を測定した。なお、測定においてフィルムの調湿は、プラスチックフィルム側からガスバリア性樹脂組成物層側に向けて水蒸気が透過するような方向で行った。
他方、評価用ラミネート積層体に対して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で24時間乾燥し、得られたレトルト処理後のラミネートフィルムについて、上記と同様にして水蒸気透過度(レトルト処理後)を測定した。
上記(1)で作成した評価用ラミネート積層体について、JIS K7126 B法JIS−K7126−2の電解センサー法(付属書A)に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、常態での酸素透過度を測定した。
他方、評価用ラミネート積層体に対して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で24時間乾燥し、得られたレトルト処理後のラミネート積層体について、上記と同様にして酸素透過度(レトルト処理後)を測定した。
上記(1)で作製したラミネート積層体Aを幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いてラミネート強度(常態)を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を200mm/分とし、実施例および比較例で得られた各積層フィルムの無機薄膜層(ガスバリア性積層フィルム層)とナイロンフィルム層との層間に水をつけて剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。
他方、上記で作製したラミネート積層体Aに対して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、直ちに、得られたレトルト処理後のラミネート積層体から上記と同様にして試験片を切り出し、上記と同様にしてラミネート強度(レトルト処理後)を測定した。
実施例、比較例で得られた、被覆層および無機薄膜層を積層した積層フィルムの無機薄膜層の表面粗さ(Ra)は走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて評価した。SPMはエスアイアイナノテクノロジー社製SPA300(プローブステーションはNanonavi)を用いた。観察領域は2μm×2μmとし、xデータ数1024、yデータ数512とした。観察する場所は、フィルム中の滑材やフィラーなどによる突起や窪みが無い場所とした。観察にはカンチレバーDF20(エスアイアイナノテクノロジー社より入手)を使用した。得られたSPM像は装置付属のソフトウエアにある平坦化処理を施し、表面粗さRa値を得た。なお、平坦化処理は基本的に2次傾き補正とし、必要に応じてフラット処理を施した。SPM観察は1試料10ヶ所以上で実施し、Ra値は平均値を用いた。前記条件において、被覆層および無機薄膜層を積層した積層フィルムの常態での表面粗さRaを測定した。
他方、被覆層および無機薄膜層を積層した積層フィルムに対して、積層体の周囲を金枠で固定して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で24時間乾燥し、得られたレトルト処理後の積層フィルムについて、上記と同様にして表面粗さRa(レトルト処理後)を測定した。
レトルト処理前後の表面粗さの変化率Xは、「レトルト前の表面粗さ」と「レトルト後の表面粗さ」の差の絶対値を「レトルト前の表面粗さ」で除することにより算出した。
X= (|(レトルト前の表面粗さ)−(レトルト後の表面粗さ)|) × 100
/(レトルト前の表面粗さ)
各実施例および比較例において基材フィルムに被覆層のみを積層した段階での積層フィルムを試料とし、該試料を斜め切削し、得られた斜め切削面を観察し、被覆層表面から、被覆層/基材フィルムの界面までの高さを測定することにより、被覆層の膜厚を求めた。
オキサゾリン基を有する樹脂を凍結乾燥し、核磁気共鳴分析計(NMR)(ヴァリアン社製「ジェミニ−200」)を用いた1H−NMR分析から、オキサゾリン基に由来する吸収ピーク強度と、その他のモノマーに由来する吸収ピーク強度とを求め、そのピーク強度からオキサゾリン基量(mmol/g)を算出した。
(オキサゾリン基を有する樹脂(A−1))
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール460.6部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調製しておいたメタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部およびメトキシポリエチレングリコールアクリレート84部からなる単量体混合物と、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒドラジン工業株式会社製「ABN−E」)21部およびイソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下漏斗から2時間かけて滴下して反応させ、滴下終了後も引き続き5時間反応させた。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。その後、反応液を冷却し、得られた重合体をイオン交換水に溶解させ、固形分濃度25%のオキサゾリン基を有する樹脂(A−1)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(A−1)のオキサゾリン基量は4.3mmol/gであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定した数平均分子量は20000であった。
上記オキサゾリン基を有する樹脂(A−1)の合成と同様の方法で、組成(オキサゾリン基量および分子量)の異なる固形分濃度10%のオキサゾリン基を有する樹脂(A−2)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(A−2)のオキサゾリン基量は7.7mmol/gであり、GPCにより測定した数平均分子量は40000であった。
アクリル樹脂として、市販のアクリル酸エステル共重合体の25質量%エマルジョン(ニチゴー・モビニール(株)社製「モビニール(登録商標)7980」を用意した。このアクリル樹脂(B−1)の酸価(理論値)は4mgKOH/gであった。
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管および温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96部と、ジメチロールプロピオン酸12.60部と、ネオペンチルグリコール11.74部と、数平均分子量2000のポリエステルジオール112.70部と、溶剤としてアセトニトリル85.00部およびN−メチルピロリドン5.00部とを投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次いで、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液(イソシアネート基末端プレポリマー)を得た。
次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450部を添加し、25℃に調整して2000min-1で攪拌混合しながら、上記で得られたポリウレタンプレポリマー溶液(イソシアネート基末端プレポリマー)の全量を添加して水分散させた。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分濃度30%の水溶性ポリウレタン樹脂(C−1)を調製した。得られたウレタン樹脂(C−1)の酸価(理論値)は25mgKOH/gであった。
共重合ポリエステル樹脂の製造例撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソフタレート466部、ネオペンチルグリコール401部、エチレングリコール443部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52部を仕込み、160℃〜220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いでフマール酸23部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応させた後、無水トリメリット酸19部を加え、窒素下220℃で1時間撹拌し、固形分25%の水溶性ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で重量平均分子量は12000であった。
(1)塗布液の調整
下記の配合比率で各材料を混合し、塗布液(被覆層用樹脂組成物)を作製した。なお、得られた塗布液中のオキサゾリン基を有する樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂の固形分換算の質量比は表1に示す通りである。
水 67.53質量%
イソプロパノール 5.00質量%
オキサゾリン基を有する樹脂 (A−2) 20.00質量%
アクリル樹脂 (B−1) 4.80質量%
ウレタン樹脂 (C−1) 2.67質量%
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)のポリエチレンテレフタレート樹脂を予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に、上記塗布液をファウンテンバーコート法によりコートした。乾燥しつつテンターに導き、100℃で予熱、120℃で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら225℃で熱処理を行い、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムに50nmの被覆層が形成された積層フィルムを得た。
上記(2)で得られたフィルムの被覆層形成面に、無機薄膜層として二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物層を、電子ビーム蒸着法により形成した。蒸着源としては、3mm〜5mm程度の粒子状のSiO2(純度99.9%)およびA12O3(純度99.9%)を用いた。ここで複合酸化物層の組成は、SiO2/A12O3(質量比)=60/40であった。またこのようにして得られたフィルム(無機薄膜層/被覆層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO2/A12O3複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。このようにして被覆層および無機薄膜層を備えたフィルムを得た。
以上のようにして、基材フィルムの上に被覆層/無機薄膜層を備えた積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、レトルト処理前後の表面粗さ測定を行った。結果を表1に示す。
また、前述の評価方法に従って、酸素透過度、水蒸気透過度およびラミネート強度を評価した。結果を表2に示す。
被覆層形成用の塗工液を調製するにあたり、各樹脂の種類および固形分換算の質量比が表1に示す通りとなるよう各材料の使用量を変更し(このとき、塗工液全量に占めるイソプロパノールの比率は、実施例1と同様、5.00質量%とした)、あるいは被覆層の膜厚が表1に示す通りとなるよう塗工液の塗布量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、評価した。結果を表2に示す。
被覆層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、評価した。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 膜厚5〜250μmのプラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂及びウレタン樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記被覆層を構成する樹脂組成物中のオキサゾリン基量[mmol]に対するカルボキシル基量[mmol]が20mmol%以下になっており、前記積層フィルムの周囲を金枠で固定して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることを特徴とする積層フィルム。
- 請求項1記載の積層フィルムであって、被覆層の平均厚みが5〜150nmであることを特徴とする積層体。
- 請求項2記載の積層フィルムであって、オキサゾリン基を有する樹脂のオキサゾリン基量が5.1〜9.0mmol/gであることを特徴とする積層フィルム。
- 請求項3記載の積層フィルムであって、被覆層中のウレタン樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が10〜40mgKOH/gであることを特徴とする積層フィルム。
- 請求項4記載の積層フィルムであって、被覆層中のアクリル樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が40mgKOH/g以下であることを特徴とする積層フィルム。
- 請求項5記載の積層フィルムであって、被覆層がオキサゾリン基を有する樹脂を20〜70重量%、アクリル樹脂を10〜60重量%、ウレタン樹脂を10〜60重量%含有する樹脂混合物を硬化させて成ることを特徴とする積層フィルム。
- 請求項6記載の積層フィルムであって、無機薄膜層が、アルミナ、シリカの複合酸化物層であることを特徴とする積層フィルム。
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