JP6552855B2 - 人工鋳物砂及びその製造方法 - Google Patents
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Description
化学的焼付き欠陥は、式1〜式3の各式の如く、酸化した溶湯と鋳型中の溶融したSiO2との反応によるものである。高温で溶解した溶湯は鋳型と接する面で酸化物(表1参照)を生成し易い。
2MnO(溶湯中酸化物)+SiO2(鋳型中溶融物)→2MnO・SiO2(焼付き物)・・・(式2)
2MgO(溶湯中酸化物)+SiO2(鋳型中溶融物)→2MgO・SiO2(焼付き物)・・・(式3)
ステンレス鋼鋳鋼では鋳込み温度が1500℃〜1650℃であることから、鋳物砂にSiO2を主体とする硅砂を使用すると、溶湯成分である弱塩基性酸化物のFeO,NiOと鋳型成分である酸性酸化物の溶融したSiO2が反応して、化学的焼付き欠陥が発生する。
このMgOを含む塩基性の鋳物砂としては、橄欖石を砕き砂状としたオリビンサンドが既に使用されている(特許文献1及び2)。ところが、本来、オリビンサンドは脆い鉱物であり、繰り返し使用すると微粉化し、繰り返し使用が難しい。これはオリビンサンドが風化(Mg、Feの溶出)の影響を受けやすいことに由来する。また化学的にも物理的にも脆い特長がある。またオリビンサンドの耐火度はSK−32(1710℃)からSK−35(1770℃)であり、鋳鋼の溶湯温度1750℃前後に対してそれほど高い耐火度ではない。
さらに、特許文献2や3に示されるクロマイトサンドは、その成分にMgOを含有しているものがあるが、Cr2O3が主成分であるために、鋳物砂として使用後に廃棄する際に、六価クロムの溶出問題が発生する。
また、本発明は、砂粒の圧縮強度が強い人工鋳物砂の提供を図ることを課題とする。さらにまた、本発明は、溶湯温度の高い鋳鋼品においても耐えうる耐火度など、使用目的に応じた耐火度を有する人工鋳物砂の提供を図ることを課題とする。
この製造に際しては、例えば、これらの3成分を含む組成物である成形ブロックを製造し、これを溶解し、溶解状態の上記組成物を風砕して鋳物砂を製造するようにしてもよい。その場合には、アーク熱などでの成形ブロックの溶解性の向上の観点から、MgOの質量比率は70%以下が好ましく、65%以下がより好ましい。
実施に際しては、前記3成分を三元系平衝状態図でペリクレースとなる配合比率で配合している組成物を溶解して得ることができる。この配合比率は、新規に作成された鋳物砂における比率であってもよいが、鋳物砂を複数回繰り返し使用した後の鋳物砂における比率を含むものと理解されるべきである。
鋳物砂の形態は、球状、針状、多面体状、不定形状など、求められる特性に応じて或いは製造方法によって種々変更して種々変更して実施することができるが、ステンレス鋳鋼に使用する場合には、球状鋳物砂であることが好ましい。本発明において、球状鋳物砂とは定方向接線径(Feret経)の最小値を最大値で除したアスペクト比が0.8以上のものを言う。
具体的には、天然のオリビンサンドと同じく化学的焼付き欠陥に効果があり、またオリビンサンドよりも砂粒の圧縮強度が強く、耐火度が高いものをも提供することができる。
また、前記鋳物砂のpHについては、8以上(望ましくはpHが9〜12)の塩基性を示すものである。
溶解した組成物は所定の大きさの粒子に細分化されるが、その具体的方法は特に限定されず、ミルなどの機械的な粉砕であってもよく、高圧エアなどによる風砕であってもよい。
表3−1及び3−2に、主としてMgOとAl2O3との含有量を変化させた実施例1−1〜実施例1−6と、主としてMgOとSiO2との含有量を変化させた実施例2−1〜実施例2−5とを示した。表4−1及び表4−2に、実施例3と比較例1〜比較例4を示と共に、対比の意味で実施例1−3と実施例2−3とを再度示した。
表3−2及び表4−2には、各実施例と各比較例における鋳物砂の耐火度測定結果、pH測定結果、砂粒の圧縮強度測定結果、定方向接線径(Feret経)の最小値を最大値で除したアスペクト比を示した。さらに、表3−2には、X線回析による鉱物組成を示し、表4−2には鋳型の曲げ強度を示した。
図4に、これらの実施例及び比較例の70meshサイズ(200μm前後)の光学顕微鏡写真を示す。
表3−1及び表4−1の化学成分は、蛍光X線で測定した定性の結果である。
表3−2及び表4−2の砂粒の圧縮強度は、次の方法により測定した。図3に圧縮強度測定の概念図を示す。まず、微小強度試験機で最大破壊荷重を測定した。最大荷重容量が50Nであり、一定変位速度1mm/分の条件で負荷を加えた。圧縮強度は試料一粒毎に顕微鏡で撮影して長径と短径を求めた後、微小強度試験機を用いて最大破壊荷重を測定した。
圧縮強度(σK)はσK=P/Sにより算出した。ここに、σK:圧縮強度,P:破壊荷重,S:変位dにおける楕円体断面積(加圧板と粒子の推定接触面積)である。
原料に天然マグネシアと礬土頁岩を用い、それぞれ200meshサイズに粉砕したものを使用し、前記原料をMgOの重量比率が約40〜90質量%になるように成分調整した成形ブロックを調製した。
実施例1−1〜実施例1−4については、前記成形ブロックをアーク熱で溶解した後に一般に鋳造で使われる100〜600μm程度の粒径となるように風砕して、MgOを主成分とした球状の鋳物砂を得た。
実施例1−5及び実施例1−6については、前記成形ブロックをアーク熱で溶解した後に冷却したものをミルにて100〜600μm程度の粒径となるように機械的に粉砕して鋳物砂を得た。
原料に天然マグネシアと温泉津硅砂を用い、それぞれ200meshサイズに粉砕したものを使用し、前記原料をMgOの重量比率が約40〜90質量%になるように成分調整した成形ブロックを調製した。
実施例2−1〜実施例2−4については、実施例1−1〜実施例1−4と同じ方法で溶解及び風砕して、MgOを主成分とした球状の鋳物砂を得た。
実施例2−5については、前記成形ブロックを実施例1−5及び実施例1−6と同じ方法で溶解及び風砕して、MgOを主成分とした鋳物砂を得た。
実施例3については、原料に天然マグネシアとジルコニアを原料の一部に含むアルミナ主成分の使用済み耐火材廃棄物を用い、前記原料をMgOの重量比率が約60質量%になるように成分調整した成形ブロックを調製し、実施例1−1〜実施例1−4と同じ方法で溶解及び風砕して、MgOを主成分とした球状の鋳物砂を得た。
比較例1は、天然の橄欖石を粉砕したオリビンサンドである。
(比較例2)
比較例2は、Al2O3を主成分とする原料を造粒して焼結法を用いて調製された球状鋳物砂である。
(比較例3)
比較例3は、Al2O3を主成分とする原料を溶融法を用いて調製された球状鋳物砂である。
(比較例4)
比較例4は、Al2O3を主成分としZrO2を添加して溶融法を用いて調製された球状鋳物砂である。
図中、黒色は樹脂、白はステンレス、濃い灰色が鋳物砂、薄い灰色は化学的焼付き物である。各比較例にあっては鋳物砂の外周がステンレスと反応して薄い灰色に変化していることが観察されるのに対して、前記の3つの実施例では、色の変化が見られなかった。これにより、実施例は、比較例に比して、化学的焼付き欠陥防止に効果的な新たな人工の鋳物砂であることが確認された。
2 溶解物
3 鋳物砂
4 アーク電極
5 アーク熱
6 高圧エアノズル
7 高圧エア
Claims (5)
- MgOとAl2O3とSiO2との3成分を含有する鋳物砂において、
MgOは、前記鋳物砂の総量の35質量%以上が含有され、
SiO2は、前記鋳物砂の総量の45質量%以下が含有され、
Al2O3は、SiO 2 よりも多く含有され、且つ、前記鋳物砂の総量の15質量%以上45質量%以下が含有され、
前記3成分の合計が、前記鋳物砂の総量の90質量%を超えるものであり、
前記鋳物砂のpHが8以上の塩基性を示すことを特徴とする人工鋳物砂。 - 前記鋳物砂は、結晶構成の一種としてペリクレースが含まれることを特徴とする請求項1記載の人工鋳物砂。
- 前記鋳物砂のpHが9〜12であり、
前記MgOは、前記鋳物砂の総量の70質量%以下が含有された球状の鋳物砂であることを特徴とする請求項1又は2記載の人工鋳物砂。 - 鋳鋼の溶湯温度1750℃に耐えうるSK−37(1825℃)以上の耐火度を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の人工鋳物砂。
- MgO:35質量%以上、SiO2:45質量%以下、Al2O3:45質量%以下に成分調整した組成物を溶解し、請求項1記載の鋳物砂を得ることを特徴とする人工鋳物砂の製造方法。
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