本明細書に記載の装置および方法は、発作を検出し、発作に関係する事象について介護者に適時に警報するために使用することができる。装置は、患者または患者の衣類に装着されたセンサを含むことができる。また装置は、筋電図検査法(EMG)を使用して、筋肉の電気活動を測定するために構成することができる。EMG電極を使用した発作の検出は、例えば、本出願人の米国特許出願第13/275,309号明細書および同第13/542,596号明細書、ならびに本出願人の米国仮特許出願第61/875,429号明細書、同第61/894,793号明細書、同第61/969,660号明細書、および同第61/979,225号明細書にさらに記載されており、これらの各々の開示は参照により完全に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の装置および方法は、EMGを使用して筋肉の電気活動について患者を監視し、起こり得る発作の事象を検出し、検出された事象をリスク、類型、および/または重篤度に基づいて層別化するために使用してもよい。例えば、所与の型または重篤度の発作を含め、検出された事象が存在すると見なされる場合には、監視システムは、一人または複数の介護者の注意を促すための特定の伝送プロトコルを選択することができる。例えば、伝送プロトコルは、ネットワーク上で一人または複数の介護者または他の指定された個人にアラームメッセージおよび/またはEMG信号データのいずれかを送るステップを含むことができる。
いくつかの実施形態では、伝送されたEMGデータを整理して、検出された事象の確認または検討を促進してもよい。例えば、何らかの事象の検出に応答して、介護者に情報が送られて、時間領域および/または周波数領域のEMGデータの走査および検討を行い易くしてもよい。生信号データに加えて、分析されたEMG信号データに関連したその他の情報が伝送されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ノイズが多いデータの中から異常な筋肉運動に典型的な1つまたは複数のパターンを識別して、識別された特定のパターンを介護者に伝えてもよい。例えば、適格性認定された(qualified)ピークデータの検出に関連した統計データを含め、検出された事象に関係する他の統計データを、介護者に伝送してもよい。いくつかの実施形態では、こうした情報は、システムまたは利用者が設定した嗜好に基づいて、利用者に送信および/または提示されてもよい。
いくつかの実施形態では、リスク層別化により、アラームメッセージおよび/または時間領域および/または周波数領域のEMGデータなど、データがより豊富な情報のいずれか一方または両方を伝送し易くすることができる。さらに、層別化により、電力消費量を最小限にする伝送プロトコルを選択し易くしてもよい。また、いくつかの実施形態では、検出された事象によっては、安全に無視するか、または警告アラーム状態のみを必要とするものとして、遠隔利用者に伝えるのが妥当であると見なされる場合がある。例えば、検出された事象がもたらすSUDEPのリスク、転倒による負傷のリスクが極めて低く、および/または他の事柄によるリスクが極めて低いと見なすことができる。このとき、介護者は、例えば、事象が検出されたが緊急応答するまでもないというメッセージ、および/または事後に検討するためにその事象を検索可能なデータベースにログインしてもよいというメッセージを受け取ることができる。
監視システムから伝送されたデータは、いくつかの実施形態では、特定の個人用またはレシピエントグループ用にカスタマイズすることができる。例えば、伝送されたデータは、アラームメッセージ、アルゴリズム検出に関係する統計情報のサブセット、時間領域または周波数領域のEMGデータ、その他のデータ、および/またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。また、こうした情報は、特定のデータレシピエントのサブセットにとっては有用であり得るが、他のレシピエントにこうした情報を送ることは、有用ではない(または、むしろ有害である)ことがあり得る。例えば、何らかのセンサデータを含め、患者に関係するアラーム情報が救急救命士(EMT:emergency medical technician)に送られる場合があるが、そのEMTが、EMGデータをすべて解釈するための適切な訓練を受けていない場合がある。また、こうしたデータを送ることにより、緊急応答の際に介護者の負担となり、および/または介護者を混乱させ得る。しかしながら、その他の介護者、例えばてんかん患者の主治医、またはEMG信号データをより完全に解釈するように訓練された遠隔した個人には、例えば、収集されたEMG信号の時間依存性を再構成するのに適した情報、または筋肉活動の1つまたは複数のパターンの識別に使用されたアルゴリズムの出力を評価するのに適した情報など、利用可能なデータの範囲をさらに広げて送ってもよい。
監視システムから送られたデータは、例えば、検出された事象が緊急事象または警告事象として分類されたかどうかなど、検出された事象の状況に関連付けることができる。介護者に加えて、例えば選ばれた友人および家族などの任意の数の他の個人を含め、選択または指定された個人のグループのうちの任意のグループに伝送するためにデータをさらに整理してもよい。
いくつかの実施形態では、監視システムは、遠隔データベースまたはサーバにデータを送ることができる。指定された個人は、そこに含まれたデータ、またはそこに保存されたデータの特定の部分、もしくは限定された部分にアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、データを見るためには、個人は遠隔データベースにログオンすることができる。また、こうしたデータベースから情報を個人に送ることができる。したがって、いくつかの実施形態では、患者の装置(例えば検出ユニットまたは基地局)から、もしくは遠隔データベースから、またはその両方のソースから個人に直接データを提示することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、識別され得るが、緊急応答するまでもない軽度の発作または他の事象を検出および分類することができる。こうした分類は、例えば、発作の強直相および/または間代相のいずれかに選択的に現れる発作の特徴を検出することにより決められる。さらに、いくつかの実施形態では、分類は、発作の相の間の時間的関係、および/または検出された相の間の中間期間に収集された、検出されたEMG信号の属性の分析を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、分類は、発作の強直相および間代相がそれぞれ検出されたかどうか、およびそれらの相が連続的に存在しているかどうか、例えば、それらの相の間に活動低下期間があるか否かの決定を含んでいてもよい。また、いくつかの実施形態では、本明細書でさらに説明するように、リスク層別化は、追加のセンサデータおよび/または他のデータをさらに含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リスク層別化は、1つまたは複数の方位センサ、位置センサ、酸素飽和センサ、またはパルスオキシメータセンサから追加し得るものなど、追加のデータの分析を含んでいてもよい。
本明細書に記載のシステムは、外来環境における患者の監視に適しており、患者の1箇所または複数箇所の筋肉上または筋肉近傍の皮膚に結合することができる、1つまたは複数のEMGセンサを含んでいてもよい。EMG信号は、実質的に連続的に収集されてもよいが、収集されたEMG信号のサブセットの送信のみまたは警報のみを介護者に対して行うことが望ましい場合がある。例えば、特に携帯型検出装置の場合、信号データを送るための電力消費量がかなり大きく、そのため、ネットワークを通して伝送される収集された信号の量を制限することが望ましいことがあり得る。こうした目的を達成するために、他の監視システムには明らかに欠けている機能である、本明細書に記載の検出された事象のリスク層別化を使用することができる。
いくつかの実施形態では、軽度の発作事象の検出に適した閾値を設定することができる。また、それらの設定は、監視システムが法外な数の偽陽性を検出するリスクを負わずに使用することができる。例えば、軽度の発作に関係する事象の識別に適した閾値を設定してそれらの事象を識別することができるが、検出された事象が自動的に分類されるため、検出事象のサブセットのみを選択した適切な伝送プロトコルが、自動的に緊急応答を開始することができる。したがって、システムは、それらの事象の存在を依然として介護者に警告し、かつ/またはそれらの事象を検索可能なデータベースにリンクさせることができるが、不適切な緊急応答または偽陽性の検出を制限することが可能である。
EMGは、多くの理由でこの目的に理想的に適し得る。例えば、EEGにより収集されたデータから相当量の情報が利用可能であるが、脳内の電気信号は必ずしも確実に、真の発作または所与の型もしくはリスクの発作と互いに関係しているとは限らない。また、脳活動の筋肉の運動症状を見ることにより、重篤度および類型による発作の分類に対して、さらに正確なルートを提供することができる。また、本明細書に記載のEMGを使用して、発作活動の異なる部分を選択的に識別することができる。例えば、EMGの信号の増大は、一時的である場合もあれば、持続的である場合もある。また、例えば、検出された信号の幅または他の因数に基づいて特定の検出設定を選択することにより、例えば、本出願人の米国仮特許出願第61/969,660号明細書においても記載されるように、発作活動の特定の部分について選択的であるように検出ルーチンを構成することができる。重要な点として、様々な型の発作が検出され得るため、発作データは、特定の応答を要する可能性が最も高い部分が検出されているかどうかに基づいてリスク層別化してもよい。
検出された事象に対して、その検出された事象の特徴に基づいて個別に適合させた応答を実行することができる。例えば、センサ信号が、強直−間代発作、強直発作のみ、間代発作のみ、または他の型の発作に関係し得るかどうかを理解することにより、介護者は、検出された事象をよりよく評価し、適切な応答を計画することができるようになる。さらに、ある種の発作は、短時間であるか、または発作の間代相の部分で起こり得る反復的な動きなど、さらに激しい発作の特徴的な徴候がないか、あるいはその両方である場合がある。少なくともそれらの発作の中には、EMG信号の強度の増大として検出されるか、あるいはより高度な他のアルゴリズムまたは装置を使用して検出され得るものもあるが、そのような発作が検出され、アラームをトリガすることはできても、それらは、一部の患者について、限定されたまたは微々たる負傷のリスクのみを示す場合がある。例えば、検出された事象の中には、発作を起こしたときの、SUDEPを含めた悪影響の重大なリスクを通常もたらさないものもある。そのような検出がさらなる分類なしに行われる、切迫していない事象に応答して不必要かつコストが法外に高いアラームを信号伝達することが、起こり得る危険な事象にも応答する唯一の方法となり得る。本明細書に記載の方法は、例えば、個々の検出された事象が発作の悪影響の重大なリスクをもたらすかどうかを推定することによって、データを処理し、患者の監視に個別に適合させ、コスト効率を向上させた戦略を容易にすることによって、このような懸念を軽減することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、その患者の発作のプロファイル、または患者人口統計の発作のプロファイルに基づいて、検出された発作を分類することができる。例えば、非限定的な例として、類型、強度、発作継続期間、発作の相の継続期間、その他のメトリック、およびこれらの組み合わせなどの様々なメトリックに基づいて、検出された発作を分類することができる。発作の重篤度の分類は、例えば、一人の患者のまたは患者人口統計の典型的な値に対して発作のメトリックを正規化することを含んでいてもよい。例えば、一人の患者について、検出された特徴の計測量が、(例えば、その患者の別の発作中の)特徴について以前に測定された値のある因数分の大きさであるか、またはその特徴の平均値のある因数分の大きさである場合、こうした因数を用いて発作の重篤度を等級分けすることができる。例えば、特定の発作が検出され、検出された特徴の大きさが、その患者について検出された他の発作の50%(または他の何らかの因数)に過ぎないことがある。こうした情報は、例えば、介護者に送られるか、および/またはそうでなければ適切な応答を決定するために使用することができる。例えば、その患者が、典型的には軽度の発作を複数回起こしており、それらの発作の悪影響のリスクは、その患者について低い可能性があるということがわかる。また、検出された事象の少なくともいくつかは、安全に無視することができるか、または状況によっては無視してもよい。例えば、患者が軽度の発作のみを起こしており、患者がそのときベッドで安静にしているとわかっていれば、SUDEPのリスクおよび転倒するリスクはいずれも低いことがあり得る。また、いくつかの実施形態では、検出された事象の少なくともいくつかは、無視してもよいか、または単に緊急応答しなくてもよい事象としてログ記録してもよい。
アラームの開始と共に、またはアラームの開始に加えて、本明細書に記載の装置および方法を使用して、発作事象のログ記録を作成し、医学的または外科的に患者を管理するために役立ててもよい。検出された発作または起こり得る発作に関係する事象を整理し易くするために、事象を分類することができる。例えば、発作事象を、(例えば、類型および/または重篤度に基づき)自動分類を用いて、特に、ビデオで事象の確証ができない場合、または医師などの訓練を受けた専門家による相当な容量のデータのセットの個別の検討が不便であるか、または法外にコストがかかるであろう場合には、発作に関係するデータの整理されたデータベースを作成することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、振幅を増大させて処理された信号を含めたEMG信号領域の識別を含んでもよく、およびピークである領域(例えば、処理された信号振幅を含む信号振幅が上昇から下降に転じる領域)をさらに識別してもよい。上昇から下降に転じるピークは、限られた時間の間だけ存在する信号振幅が増大する領域を含むため、識別することができる。識別されたピークは、本明細書にさらに記載されるように、発作の間代相に典型的に存在する1つまたは複数の特性に対して適格性認定され、発作の間代相を検出する選択度を高めるものであると適格性認定することができる。例えば、発作の間代相を経験している一人または複数の患者からのEMG信号データの、1つまたは複数の特性に対してピークを比較することができる。または、間代相への生理学的な変容の際に生じる変化に対して比較し、前述の間代相の特性および/または変化に類似するものであると適格性認定される。本開示では、そのような適格性認定されたピークを「間代相バースト(clonic−phase burst)」と呼ぶことがある。間代相バースト活動の臨界レベルの存在を用いて、例えば、発作の間代相の活動の存在を検出することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、振幅を増大させて処理された信号を含めたEMG信号領域の識別を含んでもよく、およびピークである初期グループ(例えば、処理された信号振幅を含む信号振幅が上昇から下降に転じる領域)をさらに識別してもよい。識別されたピークのセットは、その後、間代相バーストの存在の決定に使用し得るものであるとして適格性認定を受ける。振幅は、所与の計算および/または信号形式にとって適切であり得るような信号の強度または強度の絶対値のいずれかを指す場合がある。収集された信号は、例えば、整流することができ、EMG信号の振幅は、EMGセンサからの整流された信号の強度を指す場合がある。いくつかの実施形態では、EMG信号を処理して、1つまたは複数の周波数帯域を分離することができるため、信号の振幅は、1つまたは複数の周波数帯域について分離された信号の強度を指すか、または運動量レベルに関係する統計値の大きさであって、さらに別の周波数帯域において分離された信号から処理された統計値の大きさを指す場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、統計値は、運動量レベルに関係するT二乗統計値であってもよい。
ピークのグループを決定するための手順は、本明細書に記載されるが、例えば、米国仮特許出願第61/875,429号明細書の優先権を主張する、本出願人の米国特許出願第13/275,309号明細書にも記載されている。要するに、いくつかの実施形態では、ピーク検出プログラムを実行して、1つまたは複数のピークを含むEMG信号データの部分を識別することができる。ピークの識別は、例えば、ピークの立ち下りおよび/または立ち上りの検出、すなわちデータの曲率が変化している、EMGデータの部分または平滑化EMGデータの部分の検索を含み得る手順を含んでいてもよい。例えば、データのセット中の変曲点または他の臨界点が識別され、これを用いて1つまたは複数のピークの存在を識別することができる。
そのとき、適格性認定は、1つまたは複数の基準を満たすピークの識別または選択を含んでいてもよい。例えば、ピークが間代相の活動を示すパターンを適正に有する信頼度を高める基準を満たすピークを選択することができる。例えば、ピークは、間代相バーストであると適格性認定することができる。高レベルにおいては、1つまたは複数の間代相バーストを含んでいるピークデータあるとして適格性認定するための手順は、様々なピーク特性を1つまたは複数の適格性認定閾値と比較することを含んでいてもよい。例えば、1つのピークについて、間代相の活動に関係する1つまたは複数のピーク特性値が、1つまたは複数の適格性認定閾値を満たしているのであれば、適格性認定基準が満たされていると見なされ、このピークは、このとき、間代相バーストと呼ぶことができる。
いくつかの適格性認定手順は、個々のピークについて運用することができる。すなわち、ピークの高さ、面積、または時間幅などのピークの特定の特性は、他のピークからのデータを含めずに規定することができる。したがって、その特性の個々の値は、グループ内のそれぞれのピークについて計算することができる。他の特性は、下記に記載するように、2つ以上のピークについて計算することができる。個々のピークの特性には、例えば、ピーク高さ、ピーク面積、信号対雑音比(SNR:signal−to−noise ratio)(例えば、バックグラウンド領域から測定または評価され得るようなピーク振幅中の不確実性の評価に対するピーク振幅の比率)、時間幅、ピークの両側(either side)で信号が小さくなる介在期間の継続期間、個々のピークのその他の特性、およびこれらの組み合わせが含まれ得る。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、初期グループのピーク(例えば、適格性認定(qualification)前のセット)内で識別されたピークはそれぞれ、最小時間幅、最大時間幅、最小信号対雑音比(SNR)、ピークの両側の1つまたは複数の静止期間、または介在期間の最小継続期間、ピークの両側の1つまたは複数の介在期間の最大継続期間、および/あるいはこれらの組み合わせを含む適格性認定閾値の群から選択される適格性認定閾値に対して比較することができる。介在期間は、信号が安定しているか、または低振幅である(例えば、信号の変動性、RMSノイズまたは信号強度が小さい)領域の継続期間の長さによって規定することができ、これは、例えば、ピーク縁部と、近くの信号強度が増大する領域または信号の安定度が減少する領域との間の距離によって標示することができる。いくつかの実施形態では、ピークの信号対雑音比は、そのピークの振幅データおよび信号ノイズの推定または計算を用いて計算することができる。ノイズは、例えば、ベースライン信号における変動または不確実性(例えば、関心対象のピーク活動に関連していない領域についてのEMGデータの変動の結果生じ得る信号の振幅、高さ、または面積の測定における不確実性)のレベルを計算または推定することにより決定することができ、これは、例えば、ピークの両側で収集されたデータから、または患者が休息中である部分などのEMG信号の別個に測定された部分から決定することができる。例えば、ノイズを計算するために、信号を収集して、信号の変動性を直接測定してもよい。あるいは、ノイズは、例えば、信号の強度と、1つまたは複数のモデル関数、例えば正規分布モデル関数などによって予測される、その強度の信号に典型的な変化量から推測される変動性の推定とから推定することができる。いくつかの実施形態では、ベースライン信号またはノイズにおける変化量または不確実性の推定は、1つまたは複数のシステム較正ルーチン中に選択するか、または計算することができる。
ピークの適格性認定のいくつかの実施形態では、ピークは、閾値SNRを満たすことにより、約25〜約75ミリ秒のピーク活動時間幅の最小閾値を満たすことにより、および約250ミリ秒〜約500ミリ秒のピーク活動時間幅の最大閾値を満たすことにより、間代相バーストであるとして適格性認定することができる。いくつかの実施形態では、ピークが間代相バーストであるとして適格性認定するために、約50ミリ秒〜約300ミリ秒の実質的に静止した信号のシーケンスが介在することを検出することができる。
ピークデータの特性によっては、2つ以上のピークについて計算することができる。また、本明細書に記載のいくつかの実施形態では、間代相バーストを適格性認定するための手順は、複数のピークを1つまたは複数の適格性認定閾値と比較することを含んでいてもよい。すなわち、複数のピークを選択して、この複数のピークについて集約特性値を決定し、この集約特性値を、1つまたは複数の関連する閾値と比較してもよい。
ピークのグループの特性に関係する適格性認定閾値は、集約適格性認定閾値と呼ばれることがある。例えば、複数のピークを適格性認定するために使用可能な集約適格性認定閾値に含まれるものとしては、ピークの繰り返し最小レートおよび/または最大レートおよび/またはピーク間の時間の継続期間の変化量についての閾値などがある。
いくつかの実施形態では、ピークの繰り返し最小レートについての閾値である毎秒約1個のピーク、およびピークの繰り返し最大レートについての閾値である毎秒約7個のピークに対して、複数のピークを適格性認定することができる。いくつかの実施形態では、例えば、上記の閾値によって定められた境界よりも多くの数のピークまたは少ない数のピークが、適切な間隔(例えば、複数のピークを1つのピークレートとして計測するのに適切な間隔)にわたり存在する場合には、それらのピークは適切に適格性認定されていない可能性があると見なすことができる。
ピーク間の時間の継続期間の変化量を特徴付けるための様々なメトリックに含まれるものには、本出願人の関連出願である米国特許出願第13/275,309号明細書にも記載されているような平均偏差率がある。しかしながら、標準偏差値、平均偏差値またはパーセント偏差値など、ピークタイミングの変動性を特徴付けるための他のメトリックもそこに記載されている。複数のピークの前述のメトリックはいずれも、本明細書に記載の集約特性閾値に比較可能な集約特性値として計算および使用することができる。いくつかの実施形態では、ピーク間の時間についての最小平均偏差率値が約1%または約5%よりも大きい場合には、複数のピークは適格性認定される。すなわち、いくつかの実施形態では、最小平均偏差率の集約特性閾値は、約1%〜約5%であってもよい。いくつかの実施形態では、ピーク間の時間についての最大平均偏差率値が、約40%または約50%よりも小さい場合には、複数のピークを複数の間代相バーストであるとして適格性認定することができる。ピーク間の継続期間の変化量を決定するためのルーチンは、参照により本明細書に組み込まれる本出願人の様々な他の同時係属出願において、さらにより詳細に説明されている。
いくつかの実施形態では、ピークを適格性認定するための手順は、1つまたは複数の上記基準(例えば、個々のピークに基づいた基準)に基づいた初期適格性認定ステップと、この初期適格性認定に合格しなかったピークの除去と、残っているピーク(例えば、初期適格性認定に適合しているすべてのピーク)についての1つまたは複数の集約特性値の計算に基づいた別の適格性認定ステップとを含むことができる。例えば、ピークを識別して、いくつかのピークを適格性認定全体から除去して(例えば、ピークが狭過ぎる、または広過ぎるという理由でピークを除去してもよい)、次に、残っているピークデータが1つまたは複数の集約閾値基準を全体として満たしている場合には、その残っているピークを適格性認定することができる。
多量のEMGおよびその他の患者関連データを収集し、システム最適化のためにそのようなデータを整理し、疑わしい発作に応答してアラームを開始するために様々なシステムが適切である。図1は、上記システムの例示的な実施形態を図示する。図1の実施形態では、発作検出システム10は、検出ユニット12を含むことができる。検出ユニットは、発作中に運動症状の影響を受け易い任意の適切な筋肉もしくは筋肉群の上に、またはその近傍に配置(または装着)された携帯可能かつ着用可能な装置として構成することができる。また、いくつかの実施形態では、システム10は、様々な任意の無線ローカルエリアネットワーク技術を含んでいてもよい。例えば、検出ユニット12は、WiFi(登録商標)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を使用して、または別のローカルネットワークを通してインターネットに無線で通信してもよい。また、いくつかの実施形態では、ローカルネットワークを使用して、検出ユニット12は、インターネット上でデータを直接または中間基地局14を経由して送ることができる。いくつかの実施形態では、介護者は、WiFi(登録商標)などのローカルネットワークを通して直接連絡を受けてもよい。基地局14は、無線で(例えばローカルネットワークを通して)インターネットに接続されていてもよく、またはハード接続を通してインターネットにリンクされていてもよい。また、いくつかの実施形態では、検出ユニット12に加えて、または検出ユニット12および基地局14に加えて、システム10は、例えば、音響センサ8、ビデオカメラ9、警報トランシーバ16またはこれらの素子の組み合わせのうちのいずれかを含んでいてもよい。検出ユニットは、患者の皮膚表面またはその近傍で筋肉からの電気信号を検出し、処理のためにそれらの電気EMG信号をプロセッサに送達することのできる1つまたは複数のEMG電極を備えることができる。EMG電極は、患者に結合または装着することができ、いくつかの実施形態では、発作中に活性化され得る患者の筋肉の近傍で組織内に埋め込まれてもよい。埋め込み型デバイスは、例えば、かなりの量の脂肪組織を有する患者など、EMG信号が通常微弱になり得る一部の患者に対して、特に適している場合がある。基地局は、検出ユニットからのEMG信号、音響センサからの音響データ、および/または他のセンサからのデータを受信および処理し、処理された信号から、発作が生じた可能性があるかどうかを決定して、介護者に警報を送信することが可能なコンピュータを備えることができる。警報トランシーバ16は、介護者によって携行され、または介護者の近傍に配置されて、基地局によって伝送される警報を受信し、インターネットに中継することができる。例えば、無線装置17、18、保存データベース19、電極と皮膚との境界面の保全性(integrity)の変化を検出するための電子機器、および1つまたは複数の環境トランシーバを含め、システム10に含まれ得る他の構成要素は、本出願人の米国特許出願第13/275,309号明細書および同第13/542,596号明細書、ならびに本出願人の米国仮特許出願第61/894,793号明細書および同第61/875,429号明細書にも記載されている。
図1の装置を使用する際、例えば、てんかん性発作を起こす傾向がある人11は、ベッドで休息するか、または日常生活に含まれ得るその他の場所にいることができ、身体と物理的に接触するか、または身体に近接する検出ユニット12を有することができる。検出ユニット12は、固定電源またはかさばる基地局14に拘束されずに立ち上がり歩き回ることができるような無線装置とすることができる。例えば、検出ユニット12はシャツの袖に織り込んだり、アームバンドまたはブレスレットに搭載したり、または埋め込み型デバイスであってもよい。他の実施形態では、1つまたは複数の検出ユニット12またはその他のセンサは、ベッド、椅子、幼児用自動車シート、またはその他の適切な衣服、家具、機器、および発作を起こす傾向がある人の使用するアクセサリに配置するか、または組み込むことができる。検出ユニット12は、処理および分析のために信号を基地局に送信し得る電極などの単純センサを備えることができ、またはいくつかのデータ処理および記憶能力を有する「スマート(smart)」センサを備えることができる。検出ユニット12は、1つまたは複数のスマートクライアントアプリケーションを含むことができる。いくつかの実施形態では、単純センサは、人が着用するベルトに搭載される電池式トランシーバに有線または無線で接続することができる。
システムは、例えば、夕方および夜間などの休息時に患者を監視することができる。患者の検出ユニット12が発作を検出する場合、検出ユニット12は、有線または無線で、例えば、通信ネットワークまたは無線リンクを介して基地局14と、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を介して遠く離れた携帯電話、またはその他の携帯式もしくはデスクトップ式デバイスと、または基地局および遠く離れた携帯電話もしくは他のデバイスへ同時に通信することができる。検出ユニット12は、より徹底的な分析のために一部の信号を基地局装置に送信することができる。例えば、検出ユニット12は、EMG信号(および任意選択的に、またはいくつかの実施形態で、ECG、温度および方位センサ、飽和酸素、および/または音声センサ信号)を処理および使用して、発作の発生の尤度に関する初期評価を行い、別個の処理および確認のために、それらの信号およびその評価を基地局14に送信することができる。発作が発生している可能性があると確認すれば、基地局14はアラームを開始して、eメール、テキスト、または任意の適切な有線または無線のメッセージインジケータによりネットワーク15上で指定された個人に警報を伝送する。なお、いくつかの実施形態では、検出ユニット12は、基地局よりも小型かつコンパクトであり、限られた強さしかない電源を使用するのに便利である。したがって、いくつかの実施形態では、検出ユニット12と基地局14との間で転送されるデータの量を制御するのに有利である。なぜならこのようにすることで、検出ユニット12に組み込まれた任意の電源素子の寿命が延びるからである。いくつかの実施形態では、検出ユニット12、基地局14、または介護者、例えば、基地局から提供される信号を監視する遠隔の介護者のうちの1つまたは複数が発作の発生を決定する場合、情報を収集するようにビデオモニタ9をトリガすることができる。
一般的な家庭用電源によって電力を供給され、バックアップ用バッテリを内蔵する基地局14は、検出ユニット12よりも動作に利用可能な処理、伝送、および分析能力が高く、より多くの量の信号履歴を記憶し、その多量データに照らして受信信号を評価することができる。基地局14は、家族の寝室などのように基地局14から遠隔に配置される警報トランシーバ16と、または介護者によって携行されるか、あるいは職場またはクリニックに配置される無線装置17、18と通信することができる。基地局14および/またはトランシーバ16は、ネットワーク15などの任意の適切な手段を介して、携帯電話17、PDA18、またはその他のクライアント機器を通じ指定された人々に警報またはメッセージを送信することができる。したがって、システム10は発作の正確なログを提供して、患者の医師に治療方式の成功または失敗をより迅速に認識させることができる。当然ながら、基地局14は、本明細書に記載の信号を受信、処理、および分析して、警報を伝送することのできるインストールされたプログラムを有するコンピュータを単に備えることができる。基地局14は、1つまたは複数のスマートクライアントアプリケーションを含むことができる。他の実施形態では、システム10は、例えば、アイフォン(iPhone(登録商標))などのスマートフォンに信号データを伝送するように構成され、インストールされたプログラムアプリケーションを用いて本明細書に記載のEMG信号を処理するために、電極からのEMG信号を受信するように構成された装置の一部としてのEMG電極を単に備えることができる。さらなる実施形態では、EMG信号および関連データの記憶および処理のために、ネットワーク15を介していわゆる「クラウド」コンピューティングおよび記憶装置を使用することができる。さらに別の実施形態では、1つまたは複数のEMG電極は、本明細書に開示されるようにEMG信号を処理し、ネットワーク上で警報を送信することのできるプロセッサを有する単独ユニットとして一括してパッケージ化することも可能であろう。換言すると、装置は、患者の上に配置され、基地局と離れたトランシーバを必要としない単独の製品を備えることができる。あるいは、基地局は、スマートフォンまたはタブレットであってもよい。
図1の実施形態では、信号データは保存のために遠隔データベース19に送信することができる。いくつかの実施形態では、信号データは、複数のてんかん患者から中央データベース19に送信されて、てんかん性発作の一般「ベースライン」感度レベルおよび信号特徴を確定し改良するための基盤(basis)を提供するように「匿名化」することができる。データベース19および基地局14は、ネットワーク15を介して1つまたは複数の遠隔コンピュータ13から遠隔アクセスされて、検出器ユニットおよび/または基地局ソフトウェアの更新、およびデータ伝送を可能にする。また、いくつかの実施形態では、遠隔コンピュータ13または別のコンピュータが、任意の数の、信号を受信するように設定された指定された個人に関連した異なる装置間の、警報信号およびEMG信号データの交換を含めたデータの交換を監視する機能を果たしてもよい。基地局14は、遠隔トランシーバ16または検出ユニット12であり得るような可聴アラームを生成することができる。すべての無線リンクは、ソフトウェアおよびデータ伝送とメッセージ送達確認について双方向性とすることができる。基地局14は、発作を通知するための上記で列挙したメッセージング方法のうちの1つまたは全部を採用することもできる。基地局14または検出ユニット12は、インシデント警告を終了させる「警報解除」ボタンを設けることができる。
いくつかの実施形態では、トランシーバは、家具ユニットまたはその他の構造、例えば、環境ユニットまたはオブジェクト内に追加で搭載することができる。検出ユニットがトランシーバに十分に接近している場合、上記トランシーバはデータを基地局に送信することができる。それゆえ、基地局は、その情報がそのトランスデューサから、およびしたがって関連する環境ユニットから受信されていることを認識できる。いくつかの実施形態では、基地局は、特定のトランシーバからの信号を受信しているか否かに応じて、特定のテンプレートファイル、例えば本明細書で後述される閾値およびその他のデータを選択することができる。したがって、例えば、検出器から、およびベッドまたはベビーベッドに関連付けられたトランスデューサから情報を受信する場合、基地局は、例えば個人が通常運動中に身に着ける衣服、または例えば患者が歯を磨く宅内の洗面台近くのアイテムなどの、別の環境ユニットと関連付けられたトランスデューサから受信する場合とは異なってデータを取り扱うことができる。より一般的には、いくつかの実施形態では、監視システムは、全地球測位(GPS:global positioning)性能を有する1つまたは複数の素子で構成してもよい。また、位置情報を使用して、検出アルゴリズムで使用可能な1つまたは複数のルーチンを調節してもよい。例えば、GPS性能は、検出ユニットに含まれた1つまたは複数のマイクロ電子機械センサ素子と共に、またはそのセンサ素子の中に含まれている場合がある。
図1の実施形態は、睡眠中に使用するのに最小限の侵襲性を有するように、または日常活動をごくわずかにのみ阻害するように構成することができ、1個または2個などの最小数の電極のみを必要とし、頭部の電極が不要で、運動症状を有する発作を検出することができ、1つまたは複数の、局地的部位および/または遠隔部位の発作の存在を警報することができ、家庭で使用するために十分安価にすることができる。
図2は、検出ユニット12または検出器の一実施形態を図示する。検出ユニット12は、EMG電極20を含むことができる。また、いくつかの実施形態では、ECG電極21も含むことができる。検出ユニット12は、リードオフ検出器22を有する増幅器をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリードオフ検出器は、電極が人体に物理的に接触しているか、または人体から離れ過ぎているかどうかを示して、筋肉活動、体温、脳活動、またはその他の患者の現象を検出する信号を提供することができる。検出ユニットは、ソリッドステートのマイクロ電子機械(MEMS:microelectromechanical)構造など、検出ユニットの位置および/または方位を検出するために構成された1つまたは複数の素子28をさらに含んでいてもよい。例えば、素子28は、1つまたは複数のジャイロスコープ、加速度計、磁力計、またはこれらの組み合わせを含み得るものなど、1つまたは複数のマイクロ機械慣性センサを含んでいてもよい。
検出ユニット12は、その人の体温を感知する温度センサ23と、1つまたは複数の方位感受性または位置感受性の素子28とをさらに含んでいてもよい。加速度計、マイクロフォン、オキシメータなどのその他のセンサ(図示せず)も検出ユニットに含めることができる。電極20および21、温度センサ23、方位および/または位置センサ28、およびその他のセンサからの信号をマルチプレクサ24に提供することができる。マルチプレクサ24は検出ユニット12の一部にすることができる。あるいは、検出ユニット12がスマートセンサでない場合には、基地局14の一部にすることができる。次に、信号はマルチプレクサ24から1つまたは複数のアナログ−デジタル変換器25に通信することができる。アナログ−デジタル変換器は検出ユニット12の一部にすることができ、または基地局14の一部にすることができる。次に、信号は、本明細書に開示の処理および分析のために、1つまたは複数のマイクロプロセッサ26に通信することができる。マイクロプロセッサ26は検出ユニット12の一部にすることができ、または基地局14の一部にすることができる。検出ユニット12および/または基地局14は、適切な容量のメモリをさらに含むことができる。マイクロプロセッサ26はトランシーバ27を使用して信号データおよびその他の情報を通信することができる。検出ユニット12および/または基地局14の構成要素による、および構成要素間の通信は、有線または無線通信とすることができる。
当然ながら、図2の例示の検出ユニットは異なって構成することができる。図2の検出器の構成要素の多くは、検出ユニット12ではなく基地局14に置くことができる。例えば、検出ユニットは単に、基地局14と無線通信するEMG電極20を備えることができる。上記実施形態では、A−D変換と信号処理は基地局14で行うことができる。ECG電極21が含まれる場合、多重化も基地局14で行うことができる。
別の例では、図2の検出ユニット12は、EMG電極20、ECG電極21、および温度センサ23のうちの1つまたは複数を有し、小型のベルト装着型トランシーバ部分と有線または無線通信を行う電極部分を備えることができる。トランシーバ部分は、マルチプレクサ24、A−D変換器25、マイクロプロセッサ26、トランシーバ27、ならびにメモリおよびI/O装置(例えば、アラーム解除ボタンおよび視覚ディスプレイ)などのその他の構成要素を含むことができる。
図3は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ30、電源31、バックアップ電源32、1つまたは複数のI/O装置33、およびイーサネット(登録商標)(Ethernet)接続34およびトランシーバ35などの各種通信手段を含むことができる基地局14の一実施形態を図示する。基地局14は、検出ユニット12よりも高い処理および記憶能力を有し、介護者が検出ユニット12から受信される際にリアルタイムでEMU信号を検討し、またはメモリからの履歴EMU信号を検討するためにEMG信号グラフの表示用のより大きな電子ディスプレイを含むことができる。基地局14はEMG信号および検出ユニット12から受信したその他のデータを処理することができる。発作が発生している可能性があると基地局14が決定すれば、トランシーバ35を介して警報を介護者に送信することができる。
図1〜図3の装置の各種デバイスは、有線または無線通信を介して相互に通信することができる。システム10はクライアント−サーバまたはその他のアーキテクチャを備え、ネットワーク15を介して通信することができる。当然ながら、システム10は、2つ以上のサーバおよび/またはクライアントを備えることができる。他の実施形態では、システム10は、ピアツーピアアーキテクチャ、またはこれらの任意の組み合わせまたは合成などのその他の種類のネットワークアーキテクチャを備えることができる。
図4は、EMG信号を収集し、信号を処理して発作事象を検出し、検出された事象に基づいたアラーム伝送プロトコルを実行する方法40の例示的な実施形態を図示する。検出された事象は、例えば、発作の一部分の識別または発作の2つ以上の部分の識別を含んでいてもよい。例えば、発作の間代相部分の識別を1つの事象として扱ってもよく、または発作の強直相部分の識別および間代相部分の識別など、発作の2つ以上の時間的に相関する部分の識別を1つの事象として扱ってもよい。すなわち、前述した検出は、1つの強直−間代発作事象の検出であると見なすことができる。いくつかの実施形態では、異なる発作活動部分を検出するために構成されたルーチンを含む2つ以上のルーチンを、監視プロトコルにおいて実行することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のルーチンは、強直相発作活動に応答するように構成され、第2のルーチンは、選択的に間代相発作活動に対して応答することができる。また、様々なルーチンからの出力を組み合わせることによって、異なる事象を検出することができる。
ステップ42では、1つまたは複数のEMGセンサを使用してEMG信号を収集することにより、発作活動について患者を監視することができる。いくつかの実施形態では、追加のセンサデータを収集して、これを用いて検出された発作活動の悪影響のリスクを決定することもできる。信号のデータは、例えば、本明細書にさらに記載されているような様々なルーチンのうちのいずれかを使用して収集および分析することができる。ステップ44では、様々な実行された検出ルーチンでの応答に基づいて、異なる検出事象を識別することができる。例えば、表1に示されるように、様々なルーチンは、異なる出力応答を出し、それらのルーチン応答に基づいて、異なる事象を識別することができる。ステップ46では、検出された事象は、いくつかの選択可能なアラーム伝送プロトコルのうちの1つにリンクすることができる。すなわち、特定のアラーム伝送プロトコルを選択することができる。伝送用に決定されたデータの個々の形式は、例えば、検出された事象に関連付するリスクによって決まることがある。伝送用に決定されたデータは、いくつかの実施形態では、例えば、アラームメッセージ、アルゴリズム検出に関係する統計情報のサブセット、ならびに時間領域および/または周波数領域のEMGデータの任意の組み合わせ含む形態などの様々な形態の中から、任意の形態を取ることができる。ステップ48に示されるように、次に、伝送プロトコルを実行することができる。また、妥当であると見なされる場合には、適切なデータを伝送することができる。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のEMGセンサを使用して発作活動について患者を監視し、EMG信号を収集して、発作活動の1つまたは複数の特性の存在について分析することができる。例えば、発作活動の特定の特徴の存在は、1つまたは複数の分析ルーチンを用いて、収集されたEMGデータを分析することにより決定することができる。また、いくつかの実施形態では、リスク層別化を行い易くするために、少なくとも1つのルーチンは、発作活動の特定の部分の活動に対して選択的であってもよい。ルーチンは、発作のある部分に存在する特徴に対して「選択的」であってもよい。この特徴は、発作のその部分を経験している(またはその部分に移行しているときの)患者におけるルーチンの陽性応答として検出することができるが、特徴が実質的に存在しないか検出できない場合があったり、または発作のこうした部分がない状態で実質的に異なる出力応答を出したりする場合がある。このため、こうしたルーチン(またはルーチンの組み合わせ)に対する陽性応答が発作の特定の部分の存在と適切に関連付けられている尤度を次に確定することができる。したがって、1つまたは複数の選択的なルーチンを実行することにより、発作の特定の部分の識別を促進することができる。また、このとき、検出された発作の分類は、発作のこうした部分の存在または不在に基づいてもよい。次に、例えば、発作のこうした部分の存在が、患者が発作の悪影響を経験している尤度にある程度関連している場合には、それに相応してリスク層別化を行うことができる。
例えば、いくつかの実施形態では、1つのルーチンは、EMG振幅の増加、またはEMG振幅の持続的な増加の存在についてEMGデータを分析することができる。また、別のルーチンは、間代相バースト活動の存在についてEMGデータを分析することができる。2つ以上の検出ルーチンを同時に実行してもよい。また、いくつかの実施形態では、検出された事象は、収集されたEMG信号データの特定の部分が、1つのルーチンでの陽性応答を示すか、または2つ以上のルーチンでの特定の応答の組み合わせを示すかどうかに基づいて識別することができる。また、いくつかの実施形態では、検出された事象は、1つまたは複数のルーチンからの応答を伴うことがあり、その場合におけるルーチン応答は、時間的に間隔があいている。例えば、別々のときに収集されたEMGデータからの2つ以上のルーチン応答は、時間的に相関していることがあり、さらに後述するように、単独の検出された事象に関連するものとして扱ってもよい。または、時間的に適切に間隔があいている場合には、2つ以上のルーチン応答は、別個の事象であると見なすことができ、それらの別個の事象は次に、例えば、別個の事象応答にリンクさせることができる。
EMG振幅が増加したEMG信号を分析するためのルーチンは、例えば、ある期間にわたって信号を収集するステップと、その期間内の1つまたは複数の時間ウィンドウ内で収集されたEMG信号振幅または信号振幅の積分値が、特定の閾値を超過して増大しているか否かを決定するステップとを含んでいてもよい。また、いくつかの実施形態では、例えば、特定の閾値振幅が得られた複数の時間ウィンドウに基づいて、信号増大のレベルが閾値継続期間の間持続されたか否かを決定することができる。EMG信号振幅の閾値レベルは、いくつかの実施形態では、こうしたルーチンが、軽度な筋肉の運動症状に対してさえも応答するように設定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、閾値設定は、髄意筋収縮の間に個人が提供し得る最大信号振幅の測定に基づいて確定することができる。例えば、一部の患者について、約2%〜約50%の値の任意の最大値を選択して、軽度な運動症状を捉えることができる。他の閾値を使用してもよいが、閾値を高くし過ぎると、ルーチンの応答性が一部の運動症状に限定される場合がある。
いくつかの実施形態では、信号振幅は、ベースライン信号よりも高い標準偏差の単位で計測することができる。例えば、持続的な振幅の増大が存在するかどうかの評価は、標準偏差の単位で、測定された信号振幅とベースライン信号振幅との間の差異を計測すること、および標準偏差の数が(標準偏差の単位で)閾値(またはZ因子)を超過しているか、および/または特定の時間間隔にわたってこうした因子を超過しているかどうかの評価を含んでいてもよい。持続的であるためには、信号値または平滑化信号値は、ある時間間隔の中で閾値レベルを少なくとも臨界回数維持することが必要であるか、またはその時間間隔全体にわたって閾値レベルを維持することが必要である場合がある。検出された信号の信号対雑音比を向上させるには、約100ミリ秒〜約500ミリ秒などの特定の時間間隔の間信号を積分することが通常所望されることがある。長い積分間隔を選択することにより、システムがランダムな変動および信号ノイズ源に影響されにくくなり、全体的な検出感度を向上させることができる。したがって、軽度な運動症状および/または強直相の活動の特定の部分に応答するルーチンを含むいくつかのルーチンについて、例えば、数百ミリ秒程度の時間ウィンドウにわたって積分することによって、比較的長い時間ウィンドウにわたって積分することが有利であることがある。
しかしながら、かなりの継続期間にわたるEMG信号の積分は通常、結果として信号データの時間分解能に損失が生じ、(数百ミリ秒の時間の間のみ続く)間代相バーストに典型的な一時的なEMG活動に対して選択的であるように設計されたルーチンは通常、他のルーチンで使用されるよりも短いウィンドウ内で、EMG信号振幅を分割して測定することが必要な場合がある。例えば、約100ミリ秒程度の時間間隔にわたって信号が変動するか否かを決定するためには、個々の変動の期間にわたって、少なくともある程度の回数信号を測定および分析する必要がある。いくつかの実施形態では、間代相バーストを検出するためのルーチンは、ピークの識別、および間代相バーストとして適格性認定されるための基準を満たすピークの適格性認定を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、EMGデータは、間代相バーストのパターンの間に信号の時間変化を検出するのに適切な様々な間隔にわたってサンプリングされてもよい。データは、ピーク検出プログラムを使用してアクセスされ、その後、識別されたピークのいずれかが、間代相バーストであると見なしてもよいか否かの決定に使用し得るような適格性認定を受ける。例えば、間代相の活動に典型的な最小幅および/または最大幅の要件を満たしていることに基づいて、適格性認定された増大を選択的にカウントすることにより、アルゴリズムを間代相バースト活動に対して選択的であるようにすることができる。すなわち、間代相バーストの個数など、間代相バースト活動の特徴の測定に適したルーチンは、発作の間代相に対して選択的であるように構成することができる。
本明細書に記載したように、最小幅および/または最大幅の要件を満たす信号の増大についてEMGデータを分析することにより、ルーチンを間代相の活動に特徴的なパターンに対して選択的であるようにすることができる。さらに、発作の間代相は、発作のリスクと相関しているため、そのようなルーチン、すなわち間代相の活動に対して選択的なルーチンを含めることにより、リスク層別化を行い易くすることができる。間代相の活動に対して選択的なルーチンのいくつかの実施形態についてのさらに詳細な説明が、本明細書において、本出願の終わりの部分の実施例の項にさらに含まれている。それらのルーチンは、発作の間代相が存在するときに応答することができ、かつ/または間代相に通常つながる期間の間に応答することができる。
いくつかの実施形態では、方法40は、持続的なEMG活動を測定するために構成されたルーチンを使用して、発作活動についてEMG信号(ステップ42)を収集し分析すること、および強直相発作活動が存在する場合には、陽性のルーチン応答を提供するのに適した設定および/または閾値を含むことができる。別のルーチンは、いくつかの実施形態では、発作の間代相を選択的に検出するのに適した設定および/または閾値を含むことができる。すなわち、間代相の活動が存在する場合には、ルーチンは選択的応答を示すことができる。ステップ44では、方法40は、次に、例えば、前述のルーチンのいずれか、または両方からのデータに基づいて、検出された発作事象が存在するかどうかを決定することができる。
例えば、第1のルーチンが強直相発作活動に応答するように構成され、第2のルーチンが間代相発作活動に対して選択的に応答する場合には、EMG信号は、例えば分析時に、陽性の第1のルーチン応答を開始し得るが、陽性の第2のルーチン応答を開始し得ない。それらのルーチン応答を使用して、強直相の検出事象に相当するものとしてEMG信号を分類することができる。いくつかの実施形態では、第1のルーチンは、閾値設定に関連付けされ、陽性のルーチン応答を使用して、強直相発作、または発作に関係のない症状を含む軽度の運動症状のいずれかに相当し得る事象を検出することができる。また、一部の患者については、そのような事象は、発作を起こす悪影響のリスクが最小限に過ぎないため、警告事象状態を付与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、軽度の運動症状または強直相の活動の検出を切り離すことによってのみ、事象は警告状態を必要とするものであるとして適格性認定され、関連する警告伝送プロトコルを選択することができる。
ステップ46では、EMGデータまたは事象メッセージの伝送が妥当であるか否かを決定することができる。例えば、事象は警告状態を割り当てられ、いくつかの実施形態では、警告事象が識別されたというメッセージを送る伝送プロトコルを開始することができる。そのようなメッセージは、例えば、(ステップ48に示されるように)最小電力消費量のみを使用して伝送することができるため、有利である。メッセージは、いくつかの実施形態では、事象の時刻表示を含むように限定され、警告に到ったことを記述することができるか、または例えば到達した振幅値もしくはどの程度の時間振幅の閾値が維持されたかを含む要約データと共に、警告閾値に到達したという記述を含むことができる。他の実施形態では、範囲を広げたEMG信号データを警告メッセージと共に伝送することもできるが、通常、限られたリスクのみをもたらす事象については、伝送されたデータの範囲を限定してもよい。
監視システムは、例えば、緊急メッセージを含み得るものなど、緊急応答の伝送を開始することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、前述のルーチン(例えば、活動の増大または持続に対する第1のルーチン、および一時的なEMG活動のために構成された第2のルーチン)はそれぞれ、ある収集期間中に収集されたEMG信号に応答することができ、検出されたEMG信号事象は次に、発作の間代相部分の存在に関連付けられるものとして分類することができる。こうした分類は、例えば、緊急応答メッセージを開始することができる。すなわち、検出された間代相事象は、緊急応答を含むアラームプロトコルにリンクさせることができる。例えば、EMG信号が第2のルーチンに応答している場合にのみ、間代相事象も存在すると見なすことができる。その点に対して、いくつかの実施形態では、第1のルーチンは、強直相の活動に応答することができるが、間代相の活動に応答することもできる。しかしながら、このように第1のルーチンについて選択性がなくても、強直相または間代相のいずれかの存在に基づいた発作活動の選択的識別、分類を妨げ得ない。なぜなら、そのような曖昧さは、もう一方のルーチンを考慮することで解決し得るからである。例えば、第2のルーチンは間代相の活動に対して選択的であり得るため、強直相の活動のみが存在すれば、第2のルーチンは応答しない。したがって、いくつかの実施形態では、強直活動および間代活動はいずれも選択的に検出することができる。
間代相の活動の検出に基づいて、事象はリスク層別化することができ、次に、ステップ46に示されるように、適切な伝送プロトコルが選択される。例えば、いくつかの実施形態では、間代相事象は、緊急事象と見なすことができ、EMT従事者に直接送られるアラームメッセージを含み得るものなどの伝送プロトコルを選択することができる。次に、患者の家に救急車を送るか、または別の適切な緊急応答を行うことができる。この代わりに、またはこれに追加して、例えば、別の介護者が連絡を受けて、患者の居場所を確認して患者を検査するように指示を受けることができる。いくつかの実施形態では、間代相事象の検出は、伝送プロトコルを開始することができ、この伝送プロトコルでは、時間依存的データおよび/または周波数依存的データがシステム利用者に遠隔送信される。次に、遠隔利用者にデータを評価するための選択肢が与えられ、利用者は、緊急応答の終了または緊急メッセージの開始を含み得るものなど、適切な応答を実行することができる。遠隔利用者にデータが送られ、緊急メッセージを能動的に開始することが必要である場合、こうしたデータは、警告プロトコルの一部であると見なすことができる。すなわち、その事象を緊急状態に引き上げるために利用者による開始をやはり要するデータまたはメッセージは、本明細書では警告プロトコルの一部として見なすことができる。いくつかの実施形態では、レシピエントにデータを送ることができるが、ある時間の後に、システムが自動的に介護者に緊急メッセージを配信することができる。したがって、いくつかの伝送プロトコルは、介護者との連絡を開始するように予め設定することができるため、緊急プロトコルの一部であると見なすことができる。また、本明細書で使用する場合、特に断りのない限り、「緊急伝送プロトコル」とは、例えば、能動的に患者の居場所に移動するなど、患者を物理的に支援する指示を受けているEMT介護者を含むが、これに限定されない介護者に緊急メッセージを送るか、または送るように予め設定されている伝送プロトコルを指す場合がある。また、いくつかの実施形態では、緊急プロトコルは、遠隔利用者によって中断および取り消しすることがやはり可能である。
引き続き、EMG活動の増大または持続を識別するために構成された第1のルーチン、および一時的なEMG活動を識別するために構成された第2のルーチンの例に関して、いくつかの実施形態では、表1に示されるように、様々な検出された事象について分類およびリスク層別化を選択することができる。
表1は、ルーチンに対する応答が発作事象とどのように組み合わせられ、また関連付けられるか、およびほぼ同時に収集されたEMGデータに対して、すなわち、各ルーチンがほぼ同時に収集されたEMGデータに適用される場合に、どのように適用され得るかの一実施形態を示す。しかしながら、監視システムは、ある期間にわたってEMG信号データに応答し得る1つまたは複数のルーチンを使用して、EMG信号を収集および分析してもよい。また、例えば、ルーチンまたはルーチンのグループは、時間的に間隔があいているEMG信号の異なる部分に応答することができる。ルーチン応答が適切に分離されたEMGデータから得られる場合には、ルーチン応答は、別個の事象に相当するものとして扱うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、2つのルーチン応答が、約1分〜約10分だけ互いに時間的に間隔があいているEMG信号データの部分に関連付けられている場合には、その2つのルーチン応答は、分離された事象からのものであるとして扱うことができる。個別に検出された事象は、リスクおよびその事象にリンクされた適切な伝送プロトコルに基づいて分類することができる。同様に、いくつかの実施形態では、2つのルーチン応答が、特定期間に満たない間隔だけあいている場合には、それらは、例えば、時間的に関係していると見なされ、両者は1つの事象であると考えることができる。すなわち、信号データの異なる部分に関連付けられた2つ以上のルーチン応答間の時間的関係を決定することができ、例えば、信号データは、多段階発作事象の一部であると見なすことができる。例えば、発作の強直相および間代相のそれぞれに関連付けられたルーチン応答は、時間的に関係していると見なされ、単独の強直−間代発作事象の結果である可能性があるとして扱うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のルーチンの応答が、強直相が識別されることを示し、その識別が行われた後の約2秒〜約60秒以内に、1つまたは複数のルーチンが、間代相が存在することを示す場合には、強直−間代発作の可能性があると見なすことができる。次に、強直−間代発作事象の検出は、分類およびリスク層別化の目的で単独の事象として扱うことができる。例えば、強直−間代事象は、いくつかの実施形態では、緊急伝送プロトコルの実行が妥当である事象であると見なすことができる。
本明細書に記載のシステムは、いくつかの実施形態では、個々のルーチンから得られた応答の組み合わせに基づいて、収集されたEMG信号を分析することができる。また、いくつかの実施形態では、検出されたデータをリスクに基づいて分類するときに、複数の時間間隔にわたる複数のルーチンの応答の組み合わせを含む信号データに対する複数の応答を考慮することができる。
いくつかの実施形態では、ある期間にわたって複数のルーチン応答が検出される場合には、システムは、例えば、1つまたは複数の追加的措置を実行することができる。例えば、システムは、陽性のルーチン応答間の介在期間を評価し、異なる活動の徴候について介在期間を調査するのに適したアルゴリズムを実行することができる。いくつかの実施形態では、陽性のルーチン応答間の介在期間におけるEMGデータの振幅は、例えば、増大されてはいるが、個々のルーチンにおいて応答をトリガするのに適切な閾値レベルを依然として下回っている信号を含め、増大し得るEMG信号の存在について分析することができる。また、例えば、特定のEMG信号レベルが、応答間の1つまたは複数の介在期間内に到達されたか否かに基づいて、アルゴリズムが異なる方法で一連の応答を取り扱うことができる。例えば、応答は、個々の事象として扱うことができ、または異なるアルゴリズムは、個々の応答が1つまたは複数の多段階発作事象の一部である可能性があるかどうかを考慮することができる。また、いくつかの実施形態では、多段階発作のパターンは、特定の一人の患者または特定の患者人口統計について収集されたデータに基づいてもよい。
いくつかの実施形態では、陽性のルーチン応答間の介在期間におけるEMGデータの振幅は、増大または低下し得るEMG信号の存在について分析することができる。例えば、患者によっては、一連の発作事象を経験し、それらの事象の後に続いて、中枢神経系(CNS:central nervous system)の抑制作用の概括的な状態を経験する場合がある。こうした抑制作用は、SUDEPの高いリスクと関係している可能性がある。また、CNS抑制作用が一連の発作事象の後に続く場合、このようなことを検出することが特に重要である場合がある。また、多段階アルゴリズムには、SUDEPのリスクをもたらす複数の事象の存在を調べることができるものがある。いくつかの実施形態では、それらのアルゴリズムは、ルーチン応答間の信号が、CNS抑制作用を反映している可能性がある様々なプロファイルのうちのいずれかを満たしているかどうかを調査することができる。そのようなパターンは、応答間のベースライン期間中の相対的信号における傾向の存在を含む場合がある。例えば、EMGデータの変動性および/または傾向を考慮することができる。
また、いくつかの実施形態では、飽和酸素レベルまたは心拍数のいずれかからのデータも考慮に入れることができる。心拍数または酸素レベルの変化は、患者の状態の決定に特に重要な考慮対象である場合がある。しかしながら、患者によっては、SUDEPの際の心拍数の急激な変化の前に、心拍数の抑制が軽微である期間がかなり長く存在する場合がある。同様に、酸素飽和レベルは、SUDEPの進行中、徐々にのみ変化することがある。二酸化炭素レベルの測定は、SUDEP進行の初期に、より急激に変化し得るため、SUDEPの発症をより確実に診断付けることができる。しかしながら、外来環境においては二酸化炭素レベルの測定が困難な場合がある。また、EMGデータと一緒に上記のセンサ素子を分析することによって、SUDEPの初期徴候の検出を向上させることができる。いくつかの実施形態では、EMGデータを使用して、1つまたは複数の他のセンサルーチンの実行をトリガするか、または調節することができる。例えば、1つまたは複数の応答を使用して、パルスオキシメータを用いたデータの収集をトリガするか、または心拍数および/もしくは飽和酸素レベルに基づいて閾値および応答の感度を調節することができる。また、パルスオキシメータデータの傾向または変動性は、次に、利用可能なデータのセットに対する全応答を決定する際に考慮に入れることができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つの緊急事象、または何らかの介在時間間隔によって関係付けられたいくつかの適切な警告事象を使用して、パルスオキシメータを含む1つまたは複数の追加のセンサを用いたデータの収集をトリガすることができる。
いくつかの実施形態では、特定の期間にわたって、例えば、個々に警告事象と見なすことができる陽性応答を含む1つまたは複数の応答が検出される場合には、1つまたは複数の応答の存在について利用者に通知する適切なメッセージを遠隔利用者に送ることができる。次に、遠隔利用者は、例えば、追加的なEMG情報の伝送、例えば、関係のあるEMG信号の時間依存性および/または周波数依存性を表示するのに使用し得るデータの伝送を要求することができる。加えて、利用者は、様々な較正手順、または収集されたEMG信号データおよび/もしくは特定期間中のセンサの状態をさらに評価するのに有用であり得るような他の手順のうちのいずれかを開始することができる。患者または別の介護者に電話することを含め、他の適切な措置も講じることができる。いくつかの実施形態では、監視システムは、システムがいくつかの異なる選択可能な状態のうちの1つにあるかどうかに応じて変わり得る方法で、一連の応答を扱うことができる。例えば、患者に、例えば、患者がベッドで眠っているかどうか、患者が一人で家にいるかどうか、または患者が別の人と家にいるか否かに基づいて、1つまたは複数の異なる監視設定を選択する選択肢が与えられてもよい。また、患者がそれらの状態のいずれかにあるかどうかに応じて、特定の1つの応答または応答のグループについて、監視システムは、例えば、緊急状態の警告のいずれかに関連する伝送プロトコルを選択することができる。
方法40は、特定の事象について、検出されたデータを伝送することが望ましいかどうか、および/または伝送されるデータがどのような形態を取り得るかを整理する際に有用な場合がある。例えば、(帯域幅が集中する時間領域および/または周波数領域のEMGデータではなく)、患者の状態のメッセージのみを送る伝送プロトコルを選択することができ、遠隔利用者は、EMGデータをさらに分析および検討して、データをカウントしないか、または本明細書に記載の1つまたは複数の他の処置を講じる選択肢が与えられてもよい。重要な点として、検出された事象の少なくともいくつかについては、緊急メッセージが伝送される前に、こうした分析が行われてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、緊急メッセージが送られる前に、さらなる分析または検討が必要になる場合があるか、または検討が可能になる場合がある。なぜなら、自動アラームメッセージは、伝送待ちの行列に入れられるが、直ちに送られるわけではないからである。てんかん患者によっては、いくぶん頻繁に非発作性事象または軽度の事象から応答をトリガする傾向があり、また、1つの事象に対して不適切な応答を開始するコストおよび/または不便さは、かなり大きなものになる場合があるため、アクセス困難なものを含めた事象のリスク層別化および事象の検討が非常に望ましい場合がある。加えて、いくつかの実施形態では、データの分析および検討は、遠隔利用者による手動介入なしで行うことができる。
例えば、いくつかの実施形態では、警告伝送プロトコルを実行することに加え、または実行する代わりに、警告事象の検出が、例えば、適切な較正について、および/または皮膚との適切な表面接触の完全性についてセンサを調査するアルゴリズムを含む1つまたは複数のアルゴリズムの適用に基づいて、収集されたEMGデータのさらなる分析および検討を自動的に開始することができる。また、こうした分析および検討は、いくつかの実施形態では、遠隔利用者もしくは検出システムのいずれかによって、または遠隔利用者および検出システムの両方によって自動的に開始することができる。1つまたは複数の検出された事象に関連したEMGデータに加えて、こうしたさらなる分析は、検出された事象に先立って、および/または検出された事象の後に収集されたEMGデータの処理を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、検出された事象に応答して、さらなるEMG収集のための期間をトリガすることができる。期間完了時、または期間中の他のある時間に、1つまたは複数のアルゴリズムを実行することができ、この場合も患者の状態を考慮している。例えば、いくつかの事象に応答して、さらなる分析の警告期間をトリガすることができる。警告期間の終わりに、選択されたアルゴリズムがシステムに指図して、伝送プロトコルを開始するか、または警告状態をクリアして監視を標準測定プロトコルに戻すことができる。重要な点として、警告期間完了時に、システムは、警告期間をトリガした事象、およびさらに収集されたEMGデータの両方にアクセスすることができ、適切な応答を決定するために利用可能なデータをすべて考慮することができる。警告期間の実行は、いくつかの実施形態では、警告事象に応答してトリガすることができ、方法40に記載されるような警告伝送プロトコルの実行に代えて、または実行に加えて、実行することができる。
例えば、警告を開始するのに適切な事象を検出することができるため、監視システムは、患者の監視を継続することができ、さらなる情報を収集して患者の状態をさらに十分に評価することができる。さらなる評価の際に、1つまたは複数のルーチンは、さらに収集されたEMG信号に応答することができ、別の事象(例えば、患者の状態を変化させる事象)を検出することができる。理想的な点として、こうした事象は、初期の警告事象よりも大きな確実性で検出することができる。したがって、より確実な事象が検出されるまで待つことにより、システムは、患者にとってさらに適切な応答を決定することができる。
加えて、いくつかの実施形態では、他のルーチンをトリガして、非発作性活動の徴候についてデータを個別に精査することができるため、このようなデータルーチンを使用して、警告事象の有意性をカウントしないことにより偽陽性の検出を回避することができる。いくつかの実施形態では、警告期間を開始する際に、例えば、不自然な周期信号または正規信号を調べる1つまたは複数の周期性ルーチンを含め、EMGデータに負の重みを付けた専用のルーチンをトリガすることができる。EMGデータに負の重みを付けることが可能な他のルーチンには、データを非発作性波形と比較することが含まれてもよい。例えば、EMG波形データと、他のスペクトルプロファイル(例えば、患者に固有の発作事象および/または非発作性事象についてのモデルプロファイル)のデータベースとの比較を実行することができるため、この情報を用いて警告事象をカウントしないことが可能である。いくつかの実施形態では、基地局で少なくとも何らかのルーチンを実行することが有益である場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、警告事象の検出に対する応答は、基地局にデータを送信することであってもよい。
警告事象をさらに特徴付けするための指示を含む本明細書に記載の実施形態の中には、軽度の運動症状に対しても非常に感度の高い1つまたは複数のルーチンを含むものがある。また、例えば、それらのルーチンおよび指示を含むことにより、一部の患者を、特に監視が難しい一部の患者を含めて、外来環境でうまく監視することができる。例えば、かなりの量の脂肪組織を有する一部の患者については、発作活動を非発作性活動から区別することが困難である場合がある。また、このような患者について、発作事象データを非発作性事象から完全に識別するEMG振幅または持続的なEMG振幅に基づいて閾値を設定することが困難である場合がある。こうした懸念を軽減するために、事象をさらに完全に評価するために実行され得るような警告事象の後に、さらなる情報を収集することが望まれる場合があり、こうしたさらなる評価の後に、危険な事象が発生したことが疑われる場合には、緊急アラームを開始することができる。
いくつかの実施形態では、検出方法は、間代相バーストの存在についてEMGデータを分析する1つのルーチン(またはルーチンのグループ)の実行を含むことができ、初期の運動症状、または軽度の運動症状を検出するのに適切な別のルーチンの実行をさらに含むことができる。それらの実施形態は、軽度の運動症状の検出に適したルーチンが検出される場合には、警告フラグを作動させて警告期間を確定できる指示を含むことができる。警告期間内で、追加的なEMGを収集することができる。また、例えば、EMG信号は、間代相の活動の徴候について分析することができる。警告期間中に間代相の活動が検出される場合には、直ちにアラームを実行することができる。いくつかの実施形態では、警告期間において、長期間にわたって増大するEMG活動が見られるとき、または間代相の活動が存在するかしないかにかかわらず、警告信号が減衰しない場合などには、応答を開始することができる。例えば、いくつかの実施形態では、一般的な発作活動の運動成分が検出され、少なくともの約15秒〜約30秒の間、EMG振幅の増大が存在する場合には、間代相の活動の検出がなくてもアラームを開始することができる。いくつかの実施形態では、警告期間中に発作または間代相発作活動が検出された場合であっても、方法は、アラームをトリガすることを遅らせることができる。例えば、警告期間を完了させて、警告期間の終了後に初めてアラームを開始することができる。例えば、方法は、警告期間の終わりまで待って、さらなるデータを収集し、緊急アラームを送ることが適切であるという信頼度を高めることができる。加えて、警告期間内に、おそらく偽陽性であるという検出を適格性認定する別の事象を検出することができる。例えば、センサが較正を失っている可能性があることを表示するルーチンをトリガすることができる。あるいは、信号が不自然に周期性であり、おそらく非発作性原因によるものであると決定することができる。
上述したように、警戒状態のトリガ期間内で、EMGデータをさらに特徴付けることができる。例えば、間代相のEMGデータを検出するか、またはルーチンが具体的に警告トリガをカウントしないことができる。警告閾値検出に基づいた決定は、いくつかの実施形態では、患者の生理学的状態に関する情報の提供が可能である埋め込まれたセンサまたは他のセンサにより収集されたデータを含む、他の確証データの検出にリンクさせることもできる。あるいは、警告期間がトリガされた後に、この期間をトリガする閾値事象が、さらなる特徴付けをいまだしていない場合がある。第1の閾値事象が、さらなる特徴付けをいまだしていない場合には、本方法は、利用可能な収集データに基づいて応答を開始することができる。例えば、緊急応答をトリガするか、または他の何らかの応答を行うことができる。それらの第1の閾値検出に基づいた決定は、上記で論じたように、患者に固有のものであるか、または状態に特有のものであり得る。例えば、軽度の発作事象による悪影響に対するリスクが高いと見なされる患者は、リスクがより低いと見なされる別の患者とは異なって扱うことができる。すなわち、家に一人でいるか、または眠っている患者は、別の人間または介護者が存在していることがわかっている患者とは異なって扱うことができる。
警告期間を確定することができる方法50の実施形態の例示的な実施形態が、図5に示される。ステップ52に示されるように、EMGデータは、発作活動の特徴の存在について収集および分析することができる。例えば、ルーチンは、発作活動の特徴であり得る持続的なEMG信号振幅を検出するように構成することができ、いくつかの実施形態では、ルーチンが軽度の筋肉運動症状に対しても高感度であるようにする閾値の設定を含むことができる。ルーチンの実行時に陽性応答が決定される場合には、警告フラグを作動することができる。例えば、警告フラグを作動することで警告期間を規定するタイマを開始することができる。警告期間は、例えば、EMGデータをさらに評価するのに適切な期間の間、継続するように構成することができる。警告期間は、例えば、いくつかの実施形態では、約15秒〜約30秒の間継続することができる。ステップ56に示されるように、さらなるEMGデータは、追加の発作活動の徴候について収集されたEMGデータを分析するために使用され得るような警告期間中に収集することができる。いくつかの実施形態では、こうしたさらなるEMGデータを分析するために適用される少なくとも1つのルーチンは、間代相発作活動に対して応答することができる。警告期間の終わりに、適切な応答を次に実行することができる。
いくつかの実施形態では、ルーチンは、間代相発作活動に対して選択的であってもよく、かつEMG信号の収集、および一時的なEMG信号の増大またはバーストの存在についてのEMG信号データの評価を含んでいてもよい。バーストを識別して、バーストを収集し、カウントするための方法は、本明細書および本出願人の米国特許出願第13/275,309号明細書および本出願人の米国仮特許出願第61/969,660号明細書にさらに記載されている。また、例えば、これらの文献に記載されている、例えば、バースト活動、バーストの回数、またはバースト列の存在のいずれかを決定するルーチンを含む発作を検出するためのルーチンは、間代相バースト活動に対して選択的なルーチンとして適用することができ、選択的に間代相の活動に関係付けることができる。加えて、これらの文献に記載のルーチンには、異なるルーチンの入力が重み付けされ、これを用いて発作が存在するか否かを決定することができる監視アルゴリズムを説明しているものがある。また、間代相バースト活動に基づいて個々のルーチンに適切に重み付けすることにより、監視アルゴリズムを発作の間代相に対して、より大きくまたはより小さく選択的であるようにすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、間代相の活動の存在に対して選択的であり得るルーチンとして、これらの文献に記載の監視アルゴリズムの出力を使用してもよい。
これらの文献に記載されるように、様々な要件または閾値を満たすEMG信号データは、間代相バーストであると適格性認定される。例えば、間代相バーストは、最小幅および/または最大幅の要件に基づいて、適格性認定される。信号整流、フィルタリングなどの処理動作および/またはその他の処理動作は、間代相バーストのデータを識別し、間代相バーストの回数を決定するために適宜実行することができる。例えば、分析ルーチンは、ピーク検出プログラムを含むことができる。ピーク検出プログラムは、例えば、帯域通過フィルタリングおよび整流の後にデータを識別し、整形することができる。処理されると、バーストの統計の生成、閾値との比較、およびデータの適格性認定をさらに容易に達成することができる。任意の適切なピーク検出手法(例えば、連続ウェーブレット変換)を使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ピーク検出は、データ平滑化手法(例えば、移動平均フィルタ、サビツキー−ゴーレイフィルタ、ガウスフィルタ、カイザーウィンドウ、各種ウェーブレット変換など)、ベースライン訂正プロセス(例えば、単調最小、線形補間、ロス正規化、最小の移動平均など)、および1つまたは複数のピーク発見基準(SNR、検出/強度閾値、ピーク傾斜、局所最大値、形状比、稜線、モデルベース基準、ピーク幅など)の適用を含むことができる。
いくつかの実施形態では、ピークは、発作の間代相に関連する特性、すなわち強直活動が発作の間代部分へと移行するときに発生し得るような、発作の間代相への移行に関連する特性に対して適格性認定することができる。ピークは、例えば、関連する波形、規則性、周期性、(時間幅と呼ばれることもある)幅、振幅、またはその他の因数に基づいて、適格性認定することができる。適格性認定されることにより、発作を非発作性事象から区別し易くなり、検出された信号の増大が発作活動に適切に関連付けられている信頼度を向上させることができる。また、EMG信号増大の他の原因(例えばバックグランド干渉、ノイズおよび非発作性動作)を、適格性認定されたバースト活動から区別することができるため、こうした活動についてEMG信号を監視することにより、高感度の発作検出が提供される。
いくつかの実施形態では、EMG信号の一部は、周波数領域に変換することができ、間代相バースト活動の存在について分析することができる。例えば、周波数変換を使用して、収集された信号データを周波数領域に変換することができ、1つまたは複数の周波数帯域内の信号の積分強度は、所与の期間について計算することができる。また、隣接した期間にわたってこうした処理(treatment)を繰り返すことにより、間代相バーストのデータに関連する時間的な幅の要件を満たすデータ特徴について、EMG信号データを分析することができる。あるいは、適切な帯域通過フィルタを使用して、1つまたは複数の帯域における活動を分離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、約2Hz〜約120Hzまたは約240Hzの範囲の1つまたは複数の帯域内の信号は、間代相バーストの存在について分離および分析することができる。また、少なくとも、一部の患者について、発作事象の非発作性原因からの区別を促進する特定の周波数帯域を選択することができる。あるいは、すべての収集された周波数に関連付けられたEMG信号は、間代相バーストの存在について分析することができ、収集されたEMG信号データは、例えば、周波数変換を実行せずに分析することができる。
いくつかの実施形態では、識別されたピークは、本明細書にさらに記載されるように、通常発作の間代相において存在する1つまたは複数の特性に対して適格性認定され、発作の間代相を検出する選択度を高めると適格性認定することができる。ピークは、例えば、関連する波形、規則性、周期性、(時間幅と呼ばれることもある)幅、振幅、または本明細書に記載のその他の因数に基づいて、適格性認定することができる。また、発作の他の部分から活動を除外する閾値を選択することによって、ルーチンを、例えば発作の間代相に対して選択的であるようにすることができる。また、非発作性原因およびその他のノイズ源も、適格性認定されたピークから区別できるため、ピークデータの適格性認定は、間代相を選択的に識別し易くするだけでなく、バーストデータの非発作性原因からの区別を強化することも可能であり、したがって、発作の検出に関する全体的なシステムの性能を強化するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、EMG信号振幅が増大している領域は、信号が増大している継続期間に関係する、1つまたは複数の条件を満しているとして適格性認定することができる。すなわち、信号が増大している領域、またはバックグラウンドを超えて少なくともSNRの分だけ増大している領域は、最小継続期間もしくは最大継続期間またはその両方について必要条件を維持しているとして適格性認定される。
例えば、いくつかの実施形態では、信号データを間代相バーストの識別、バースト統計の分析、および/またはバーストのカウントに適しているとして適格性認定するために、信号データは、最小バースト幅および/または最大バースト幅の基準の充足に基づいて適格性認定され、ある期間にわたってある個数のバーストが検出される場合には、陽性応答をログ記録することができる。すなわち、ルーチンは、間代相バーストをカウントするか、または間代相バーストのレートを決定することができるため、数またはレートが閾値を超過している場合には、陽性応答をログ記録することができる。いくつかの実施形態では、バーストエンベロープが生成され、このバーストエンベロープが、バーストの識別に使用され得るSNR閾値に影響を及ぼすことができる。例えば、単純なピーク検出方法の場合には、間代相バーストは、約1.25〜約20の閾値SNRを満たすこと、および約25〜約75ミリ秒のバースト幅に対する最小閾値ならびに約250ミリ秒〜約400ミリ秒以下の最大バースト幅閾値を満たすことにより、適格性認定される。次に、間代相バーストがカウントされ、複数のバーストまたはバーストのレートを決定することができる。例えば、次に、約1秒の時間ウィンドウ内で約2個〜約6個の間代相バーストが測定される場合、または他の何らかの適切な時間ウィンドウにおいて別の適切な数の間代相バーストがカウントされる場合には、一部の患者について、陽性のルーチン応答をトリガすることができる。
いくつかの実施形態では、約2秒〜約5秒の時間ウィンドウ内で少なくとも約2個〜約6個の間代相バーストが測定される場合には、陽性のルーチン応答を行うことができる。ある患者についての間代相バーストの回数の閾値数は、間代相バーストを生じ得る生理学的事象の予測された数と同じであったり、または異なっていたりする。例えば、SNR閾値レベルおよび/またはその他の閾値によっては、バーストに関連したそれらの生理学的事象のうちの少なくともいくつかは検出されない場合があるが、間代相バーストの閾値数は依然として検出されるため、陽性のルーチン応答をトリガするために使用することができる。
信号データをさらに適格性認定するために、いくつかの実施形態では、EMGデータの評価に、例えば、継続期間の最小幅および/または最大幅に加えて、間代相の活動のその他の特性が含まれる場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、EMG信号の一部は、1つまたは複数の疑わしいバーストを含むように識別することができ、このEMG信号の一部は、周波数領域に変換され、間代相の活動に関連する周波数特性の存在について分析することができる。すなわち、周波数データは、間代相の活動に典型的なモデル周波数波形と比較することができる。この比較により、周波数データが間代相の活動に関連し得ることの発見が裏付けられない場合には、例えば、疑わしいバーストは、バーストの回数の特徴に含まれなくてもよい。すなわち、識別された活動は、適格性認定に合格せず、カウントしなくてもよい。モデル波形は、特定の患者についての、または患者の人口統計についてのEMGデータに基づいており、いくつかの実施形態では、波形データは、履歴EMGデータが収集されているとして更新することができる。
いくつかの実施形態では、間代相バーストである可能性が高いと識別された領域は、追加の基準に基づいて、さらに適格性認定することができる。例えば、識別されたデータ、例えば、間代相バーストである可能性が高いデータは、周期性、振幅の規則性、波形の規則性、本明細書に記載の他の基準、およびこれらの組み合わせを含む1つまたは複数の特徴に基づいて、さらに分析することができる。例えば、いくつかの実施形態では、識別されたデータが不自然に周期的であると決定される場合には、そのデータは、適格性認定に合格しないため、カウントしなくてもよい。間代相の活動の基準を満たしているとして適切に適格性認定されると、例えば、間代相バーストの回数を使用して、発作活動または発作の間代相が存在しているかどうかを評価することができる。
いくつかの実施形態では、例えば、間代相バーストとしてさらに適格性認定されるために、識別されたデータ、例えば、上記最小継続期間および/または最大継続期間要件を満たしているデータは、実質的に静止した信号の隣接した期間であって、約50ミリ秒〜約300ミリ秒の期間の間継続する静止期間を含むことができる。すなわち、隣接した閾値継続期間の静止期間の存在を使用して、バーストを間代相の活動に関連するとして適格性認定することができる。間代相の活動の基準を満たしているとして最終的に適格性認定されると、間代相バーストの回数を使用して、発作活動または発作の間代相が存在しているかどうかを評価することができる。例えば、次に、約1秒の時間ウィンドウ内で、約2個〜約6個の間代相バーストが測定される場合、または他の何らかの適切な時間ウィンドウにおいて別の適切な数の間代相バーストがカウントされる場合には、一部の患者について、陽性のルーチン応答をトリガすることができる。
いくつかの実施形態では、間代相の活動から得られた可能性があると識別されたデータは、バースト列(burst train)であるとさらに決定することができる。バースト列は、互いに時間的に関係があり(特定の時間ウィンドウ内に存在する)、かつ一緒にプールされてバースト統計を生成し、かつ/またはある時間にわたるバーストデータの傾向を調べることができる任意の数のバーストを含むことができる。例えば、バースト列は、例えば約3個〜約30個などの複数のバーストを含むことができる。バースト列は、発作の間代相に存在するバーストの総数の任意の一部分を含むことができる。例えば、バースト列に含まれるように選択された複数のバーストは、発作の間代相の1つの部分、例えば間代相の開始部分に適宜集中させることができる。その点に対して、バースト列またはそこに含まれたバーストは(図10およびルーチン130に関係してさらに記載されるように)、バースト列の個々のバースト間の期間の分布、および分布が発作活動または非発作活動に典型的であるかどうかに基づいて、適格性認定することができる。すなわち、(例えば標準偏差またはパーセント平均偏差などの)バースト間の期間の分布と関係するメトリックを計算し、これを用いてバースト列、またはバースト列に含まれるバーストを適格性認定することができる。あまりにも多数のバーストがバースト列に含まれている場合には、バースト列が測定される期間が、バースト間の期間の平均長さが増加した時間フレームを超えて継続し得るため、メトリックが高い場合がある。また、いくつかの実施形態では、バーストは発作の間代相の前部、中心部、および後部のそれぞれから収集することができる。また、いくつかの実施形態では、標準偏差または他のバースト統計を識別するのに使用し得るような統計を決定するために、次に、(各部分からのデータに基づいて)プールされた値を計算することができる。
いくつかの実施形態では、間代相バースト列としてさらに適格性認定されるために、適格性認定されたバースト列、例えば、上記最小継続期間および/または最大継続期間要件を満たし得る近傍の複数の個々のバーストの構成要素は、列の個々のバースト間の期間のパーセンテージバースト偏差に対する閾値レベルを満たすことができる。1つまたは複数の間代相バースト列の存在を使用して発作活動を検出し、アラームの実行を開始するか、またはルーチンに陽性応答をログ記録することができる。
より一般的には、データが適切に間代相に関連付けられているという信頼度を高めるために、間代相バーストの疑わしいデータを識別する任意の数のステップ、およびこうしたデータを適格性認定する任意の数のステップを行うことができる。図6は、バーストの識別を含む発作活動の特徴について、EMGデータを監視するルーチン60の例示的な実施形態を図示しており、これを使用して応答を開始することができる。患者を監視する方法としてこうした応答を個別に使用して、または他のルーチンと組み合わせて使用して、より完全に発作を特徴付け、かつリスク層別化を実行することができる。ルーチン60では、(間代相バースト回数、間代相バースト回数レート、またはその他の間代相バースト統計などの)ある値であって、(回数、レート、またはその他の統計閾値などの)閾値と直接比較可能であり、ルーチンにおいて陽性応答を開始するのに使用可能な値を生成する1つまたは複数のステップにおいて、ピークデータを識別して適格性認定することができる。また、例えば、監視方法として個別に使用する場合には、ルーチン60での陽性応答を使用して、1つまたは複数の伝送プロトコルを直接トリガすることができる。
方法60のステップ62では、EMG信号が収集され、収集された信号の一部を処理のために選択することができる。ステップ64では、1つまたは複数のルーチンを実行して、ピークが選択されたデータの中に存在するか否かを識別することができる。例えば、ルーチン72(図7)、96(図8)、および120(図9)、またはそれらのルーチンの組み合わせのうちのいずれかを実行することができる。ステップ66に示されるように、いくつかの実施形態では、ルーチン60は、識別された領域が、発作の間代相に関連付けられた1つまたは複数の特性を満たすかどうかのさらなる評価を含むことができ、識別された特徴のうちのいくつが適格性を満たしているかによって、間代相バーストの回数を決定することができる。ステップ68では、決定されたバースト回数またはレートは、閾値と比較することができる。また、ステップ70では、閾値が満たされている場合に、陽性応答をルーチンにログ記録するか、またはアラームを実行することができる。陽性応答がログ記録された後、次に、システムは、例えば、次の信号サンプルを収集することができる。より一般的には、EMGデータは、識別されるための初期選別を満たすことができる。また、任意の数の異なる特性がこの識別されたデータと比較され、データが間代相の活動に関係しているとして適格性認定するか、またはさらに適格性認定するのに使用することができる。適格性認定時に、間代相バーストの回数は、発作活動の存在について、または発作の間代相部分についてEMGデータを分析するための、非常に高感度かつ選択的な発作変数としての機能を果たすことができる。
いくつかの実施形態では、ルーチン72(図7)および96(図8)でさらに詳細に説明するように、方法60のステップ64は、一時的にEMG振幅が増大する期間を含むEMGデータの識別を伴う場合があり、これは、さらなる適格性認定、例えば、間代相の挙動を示しているとしてさらに適格性認定するための候補となる。例えば、より詳細なルーチン72(図7)のステップ90でさらに説明するように、データは、最小閾値継続期間の間維持される増幅された信号を含んでいるとして適格性認定することができる。同様に、ルーチン96(図8)のステップ110でさらに説明するように、データは、最大閾値以下の継続期間の間維持される増幅された信号を含んでいるとして適格性認定することができる。上記基準に基づいて、EMG信号は、1つまたは複数の間代相バーストまたは一連の間代相バーストを同様に含むものとして識別することができる。また、例えば、継続期間の上記最小および/または最大閾値レベルの選択によっては、識別された信号は、少なくとも一部の患者については、間代相の活動に対する選択性が優れている場合がある。例えば、識別されたEMG信号データは、例えば、適切な最小および/または最大継続期間閾値に基づいて、データが間代相の活動と相関している可能性があることを適切に適格性認定し、発作活動を識別するためのアルゴリズムに直接組み入れることができる。例えば、一時的な増大またはバーストをカウントすることができ、このバーストの回数は、発作または発作の間代相の部分が存在するかどうかを評価するための閾値回数と比較することができる。
図7は、個別にまたは別のルーチンと組み合わせて使用して、間代相バーストを含み得る信号データの一部を識別することが可能である、間代相バースト識別ルーチン66の1つの実施形態を図示する。ルーチン72は、開始トリガ74を含むように示されている。開始トリガ74は、例えば、検出された信号変化またはバックグラウンドノイズに対する変化に基づいて設定することができる。この代わりに、開始トリガ74は、適切なクロックルーチンによって駆動され得るものなど、所定間隔後に開始するように設定することができる。ステップ76では、分析のために信号部分を選択することができる。信号部分は、EMGセンサによって収集された任意の数のデータポイントを含むことができる。ステップ78では、ルーチン72は、分析のために選択された信号が最大許容値または閾値設定を上回っているかどうかを確定することができる。例えば、少なくともいくつかのルーチンでは、信号が不適切に大きいか、または実際の発作活動に相当する可能性がないのではなく、例えば、センサもしくはセンサ接点が不安定になっている場合、または検出装置に較正が必要な場合に存在し得るものなど、アーチファクトに相当し得るレベルに達しているかどうかを決定することが望ましい場合がある。ステップ80では、別のルーチンが、信号が最大許容値を超過したという指示を受けることができる。この別のルーチンは、例えば、検出ユニットの再較正をトリガするために構成されたアラーム決定もしくはルーチン、または人間によって生成されたにしては規則的過ぎる信号を調べるルーチンに関連付けられた監視アルゴリズムとすることができる。ステップ82に示されるように、このとき、ルーチン72は、次の信号サンプルを得るか、または次のトリガを待って、ルーチン72について示されたフローを再度開始することを含むことができる。
ステップ84(これはステップ78を実行することに加えて、または実行する代わりに含まれ得るが)では、ルーチン66は、選択された信号サンプルのSNRが選択された閾値よりも大きいか否かを決定することができる。信号のSNRが、少なくともSNR閾値の分だけバックグラウンドよりも大きい場合には、ルーチン72は、(ステップ86に示されるように)選択された信号サンプルのSNRがルーチン72内で初めてSNR閾値を超過しているかどうかを決定することができる。信号サンプルのSNRが、ルーチンで初めてSNR閾値よりも大きくなった場合には、ステップ88に示されるように、バーストタイマを開始することができる。バーストタイマは、例えば、活動の一時的なスパイク(例えば、実際の発作を反映していない可能性があるデータのスパイク)が、間代バーストとして適格性認定されるのを防ぐのに役立ち得るような、バースト継続期間に対する閾値レベルを確定することができる。例えば、バーストタイマは、約25〜約100ミリ秒、または発作活動から得られたデータのバーストに典型なものよりも短い他の何らかの適切な値の期間の間、実行することができる。バーストタイマの開始の後に続いて、ルーチン72は、別の信号サンプルを取得して、ルーチンの他のステップを開始することができる。加えて、信号および/またはSNRレベルについて評価される次の信号サンプルが、前のサンプル選択の繰り返しを含んでいるとわかるように、適切なフラグを作動させることも可能である。例えば、データの第2のサンプルを選択することができる(ステップ76)。また、選択された信号は、ルーチン72のステップを再び経ることができる。ステップ84において、選択された信号(それは、例えば、何回かの信号サンプルの取得の繰り返しから得られたデータを含み得る)が、閾値SNRを満たしていない場合には、次に、ステップ90を実行することができる。ステップ90では、選択された信号の期間が、閾値継続期間レベルを超過しているか否かを決定することができ、この継続期間レベルを超過している場合には、選択された信号は、次に、間代バーストとして適格性認定することができる(ステップ92)。間代バーストの適格性認定がなされると、ルーチン72を出ることができる。
ルーチン72を出ると、データは、例えば、間代相バースト特性についてさらに適格性認定され、かつ/またはデータを評価することが可能なルーチンに送られ、検出されたバーストデータに対する適切な応答を決定することができる。例えば、ルーチン72において適格性認定された信号は、継続期間の閾値レベルに対する閾値SNRを超過している場合には、ルーチンを出ることができる。また、いくつかの実施形態では、信号も最大閾値継続期間を超過していないか否かを決定することが有用である場合がある。出ていく信号が最大閾値継続期間を超過していないかどうかを評価するために、ルーチン72を出ていく信号は、例えば、図8のルーチン96に送ることができる。やはり、一例として、バーストデータは、バースト列の検出について周期的に評価されるサーキュラバッファ(circular buffer)に送られるか、またはバーストが検出されるたびにアラームをトリガするべきか否かについて決定を行うことができる。ステップ90において、選択された信号が閾値信号継続期間を超過しない場合には、その信号データはバーストとして適格性認定するには短過ぎると見なすことができる。また、ルーチンは、前に作動されていたものであり得るなど、− 任意の適切なフラグをクリアして − 次の信号サンプルを収集することができる。次の信号サンプルを収集することに代えて、EMGデータを収集して、次のトリガが確定されている場合にのみ、ルーチン72を再度開始することができる。
図8は、やはり個別にまたは別のバースト検出ルーチンと組み合わせて使用して、バーストを含み得る信号データの一部を識別することが可能である、バースト検出ルーチン96の別の実施形態を図示する。例えば、ルーチン72と組み合わせて使用すると、ルーチン96は、最小幅および最大幅基準をそれぞれ満たすバーストの選択をし易くすることができる。ルーチン72、96においてバースト継続期間の閾値レベルを個別に適合させるために、例えば、バックグラウンドレベルを超えて増大し、かつ約25〜約400ミリ秒で増大したレベルを維持しているEMGデータの領域を選択することを含むことができる。ルーチン96では、開始信号(ステップ98)は、例えば、検出された信号変化またはバックグラウンドレベルに対する信号の変化に基づいて、実行することができる。この代わりに、開始トリガは、適切なクロックルーチンによって確定され得るものなど、所定間隔後に開始するように設定することができる。いくつかの実施形態では、事前適格性認定されたバーストが、図7において説明したようなルーチン72などの別のバースト検出ルーチンで見つかると、ルーチン96を自動的に開始し、やはりルーチン72で処理されたデータをさらに適格性認定するために使用することができる。
ルーチン96は、ステップ100に示されるような信号サンプルを取得するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、ルーチン96は、ステップ102を含むことができる。ステップ102では、ルーチンが、サンプルが最大許容レベルよりも大きいか否かを決定することができる。最大レベルを超過している場合には、本方法は、ステップ104に示されるように、別のルーチンを指示することができる。また、本方法は、ステップ106で次の信号サンプルを取得するか、または最初からやり直す前に次のトリガを待つことができる。ステップ102の代わりに、またはステップ102に加えて、方法96は、ステップ108を含むことができる。ステップ108は、サンプルが少なくともSNRの分だけバックグラウンドよりも大きいか否かを決定することを含むことができる。サンプル信号が、少なくともSNRの分だけバックグラウンドよりも大きい場合には、方法96は、ステップ110を実行することができる。ステップ110では、方法96は、バースト継続期間タイマが最大バースト継続期間レベルよりも大きいか否かを決定することができる。ルーチン72と組み合わせてルーチン96を実行する場合には、前述のように、バーストタイマをあらかじめ、例えば、方法72のステップ86で作動させておくことができる。あるいは、例えば、ルーチン72とは別個にルーチン96を実行する場合には、そのとき、他のステップ(図示せず)で別個のバーストタイマをトリガさせておくことができる。
最大バースト継続期間閾値を超過している場合には、ステップ114に示されるように、発作であることを示すにはバーストが長過ぎると見なすことができる。適切なフラグをクリアして、本プロセスは、次の信号サンプルを収集するか、または適切なトリガを待って再度プロセスを始めることにより最初からやり直すことができる。ステップ108において、このサンプルがSNR閾値レベルの分だけバックグラウンドを超過していないと決定される場合には、バーストが終了したと見なされ、このバーストは、ステップ112に示されるように適格性認定することができる。ステップ112にさらに示されるように、バーストとして適格性認定された信号は、例えば、いくつかの実施形態では、確度値(certainty value)によって特徴付けられ、バーストの中心が決定され、バーストデータは、さらなる分析のためにサーキュラバッファに書き込むことができる。ルーチン96を出ると、データは、例えば、バースト特性についてさらに適格性認定され、かつ/またはバーストデータの検出に対する応答を評価することが可能なルーチンに送ることができる。例えば、バーストデータは、バースト列の検出について周期的に評価されるサーキュラバッファに送られるか、またはバーストが検出されるたびにアラームをトリガするべきか否かについて決定を行うことができる。
図9は、EMGバースト列データの選択および/または処理に適したバースト列検出ルーチン120の一実施形態を図示する。バースト列検出ルーチン120は、例えば、ルーチン72および96のいずれか、またはその両方と組み合わせて使用することができる。
バースト列検出ルーチン120のステップ122では、ルーチンは、上記ルーチン72および96において検出されたものであり得るなど、バーストに関係する情報を格納することが可能である、データのサーキュラバッファを走査することができる。いくつかの実施形態では、サーキュラバッファの走査は、クロックルーチンに基づいて設定され得るものなど、所定の間隔で開始することができる。他の実施形態では、走査は、トリガ信号に基づいて開始することができる。例えば、ルーチン72および/または96のうちの1つが適格性認定されたデータをバッファに送るたびに起こり得るものなど、そのようなデータがバッファに入力されるたびに走査を開始することができる。ステップ124に表示されるように、いくつかの実施形態では、方法120は、サーキュラバッファのデータが1つまたは複数の閾値条件を満たしているかどうかを評価することができる。例えば、ステップ124では、方法120は、考慮対象と近過ぎるバースト、または考慮対象から離れ過ぎているバーストを除外することができる。ステップ126に表示されるように、方法120は、バースト列として適格性認定するために適切な数のバーストが選択されているか否かを決定することができる。例えば、バースト列として適格性認定するのに適切な複数のバーストは、約3個〜20個のバーストとすることができる。より一般的には、適切なバーストの数を選択して、統計を生成し、かつ/または発作進行時の信号の傾向を調べることができる。例えば、複数のバースト列を分析することも可能であり、隣接したバースト列間のデータの変化を計算することも可能である。いくつかの実施形態では、アラームの開始後であっても、バーストまたはバースト列の情報を収集することができる。例えば、バースト間の時間の長さを使用して、発作の進行をモデル化、または追跡することができ、介護者に有益な情報を提供することができる。こうした情報は、発作の処置、または患者の生理学的データの収集に使用され得るものなど、他の装置またはセンサによって使用することも可能である。ステップ128では、検出されたバースト列の特性は、発作または発作に関連した事象であることを示し得る1つまたは複数の特徴について分析することができ、適切な応答を実行することができる。例えば、ステップ128は、例えば、図10に示されるようなルーチン130におけるステップまたは素子を使用して実現し得るものなど、バースト列の特性の分析を含むことができる。さらなる例として、応答は、発作が検出されているかどうかをその時決定するのに使用可能な監視アルゴリズムにある値を入力することであってもよい。加えて、ルーチン120を使用して、起こり得る間代相バースト列を間代相バースト列として適格性認定することができ、検出された間代相バースト列の存在は、次に、例えば、アラームを開始するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のバースト列を検出し、バースト列が発作であることを示しているかどうかを決定することが有用である場合がある。例えば、バースト列は、例えば、バーストの周期性、バーストの規則性、またはその両方を決定する、1つまたは複数のルーチンを使用して分析することができる。例えば、一部の患者については、バーストは、個々のバースト間の何らかの自然な変動により特徴付けられており、データが、過度に小さいバーストの周期性を特徴としている場合には、そのデータは、実際の発作であることを示していない可能性があると見なすことができる。さらに、多くの患者については、発作が進行するにつれて、発作中にバースト間の静止期間が増大することがある。したがって、バーストが1つまたは複数の期間にわたって評価され、バーストの周期性が、ある期間にわたって増大している場合には、そのバーストデータが発作であることを示している信頼度が高まる。バースト列は、バーストの特徴に関係する1つまたは複数の閾値と比較することができ、閾値条件が満たされている場合には、そのバースト列は、発作であることを示していると見なすことができる。閾値条件は、間代相の発作を経験している患者から得られたデータに基づくか、または患者の人口統計から得られた間代相のデータに基づくことができる。したがって、バースト列は、適格性認定されたバースト列であり、列内のバーストは、間代相バーストであると適格性認定することができる。いくつかの実施形態では、バースト列は、バースト列の検出に関係するだけでなく、バースト列の検出の確実性にも関係する値で重み付けすることができる。
本明細書に記載されるように、長期間にわたってバーストを評価することが有益である場合がある。なぜなら、長期間から得られた統計を用いれば、発作が存在していることの信頼度、ならびに特定の型または重篤度であることの信頼度が高まるからである。しかしながら、本明細書にも記載されるように、発作を可能な限り迅速に検出することが有益である場合がある。それらの基準に照らして、いくつかの実施形態では、特に発作の前間代性がごく最近検出された場合には、最初のバーストが検出された後にアラームを開始する前に、特定の期間待つことが有用な場合がある。例えば、約15秒〜約30秒(または他の何らかの適切な期間)の間、運動症状のみが存在している限り、方法は、さらなるバーストデータを収集して、アラームを開始する前に発作の型および/または重篤度の信頼度を高めることができる。また、それらの実施形態のいくつかでは、バースト統計を計算する周期性アルゴリズムまたは他のアルゴリズムが特に有用である場合がある。なぜなら、例えば、多数のバーストが測定され、それらのバーストが周期性について適格性を満たす場合には、それは発作の大きな特徴であり得るからである。さらに、こうしたデータは、一部の患者について集められ、リスク評価の診断に役立てることができ、例えば、少なくとも一部の患者においては、この先のCNS抑制作用と関係付けることができる。このような実施形態は、特定の患者のニーズに個別に適合させることができる。また、一部の患者については、発作または発作の間代相の活動の検出後直ちに、緊急アラームを実行することができる。
図10は、ルーチン130の一実施形態を図示する。ルーチン130を使用して、バーストの周期性を特徴付けて、バーストが発作または発作の段階であることを示しているかどうか、および/またはバースト検出ルーチンにおいて、バーストが適切にカウントされたかどうかを評価することができる。周期性ルーチン130は、例えば、適格性認定されたバーストデータ、または事前に適格性認定されたバーストデータ含んでいるとして識別されたEMGデータを格納し、選択された期間または決定された期間の間、バースト間の規則性周期がどのようであったかを調査することが可能である、サーキュラバッファまたはレジスタを調べることができる。周期性ルーチンは、バースト検出アルゴリズムがサーキュラバッファに書き込んだ各種時間ウィンドウからの異なるデータ値を走査し、発作であることを示さない可能性があるものを含めた信号特徴の周期性を調査することができる。
図10の例示的な方法130の、ステップ132では、ある期間におけるバースト間の平均継続期間を計算することができる。ステップ134では、バースト間の個々の継続期間は、平均継続期間から減算され、ステップ136では、差の絶対値を使用して期間の平均偏差を計算することができる。この例では、平均偏差をパーセントに変換することができるが、他の適切なメトリックを使用して期間の間の変動を特徴付けてもよい。
ステップ138では、前述のパーセント(すなわち平均偏差パーセント)を閾値と比較することができる。このような閾値を動作時のシステムに教示して、特定の患者に合わせてカスタマイズすることができる。
例えば、ある期間(秒で測定)において、9個のバーストが以下の時間:12、13、13.75、14.35、15、15.8、16.2、16.5、17.4で検出される場合、バースト間に8個の期間があることになる。したがって、上記5.4秒を含む期間全体で、バースト間に8個の期間を有する9個のバーストがあった。平均期間はバースト当たり5.4/8=0.675秒と計算することができる。バースト間の期間は以下の通りである。
13−12=1
13.75−13=0.75
14.35−13.75=0.6
15−14.35=0.65
15.8−15=0.8
16.2−15.8=0.4
16.5−16.2=0.3
17.4−16.5=0.9
本例では、簡易化された方法により、周囲にバーストの中心がある時間をこうしたバーストの時刻表示として使用することができる。換言すると、バーストアルゴリズムがバーストを適格性認定するたびに、時刻表示は周期性アルゴリズムによる使用のためにサーキュラバッファに書き込むことができる。他の実施形態では、実際のバースト幅を使用して、バースト間の実際の期間の長さを計算することができる。例えば、12秒で発生したバーストが0.02秒継続する場合、12秒に始まるバーストと13秒に始まるバーストとの間の期間は0.98秒となる。平均からの偏差の絶対値は以下のように計算することができる。
│1.0−0.675│=0.325
│0.75−0.675│=0.075
│0.6−0.675│=0.075
│0.65−0.675│=0.025
│0.8−0.675│=0.125
│0.4−0.675│=0.275
│0.3−0.675│=0.375
│0.9−0.675│=0.225
絶対値の平均化は以下のようにして達成することができる。
すべての偏差の合計:
0.325+0.075+0.075+0.025+0.125+0.275+0.375+0.225=1.5
平均偏差:1.5/8=0.1875
この平均の平均偏差パーセントは、0.1875/0.675=27.8%である。これは平均からかなり大きくずれており、人為的である可能性は低いと見なすことができる。例えば、平均偏差パーセントの閾値は、例えば、15%に設定することができ、次に、周期性アルゴリズムは、そのデータは発作の特徴である可能性が高いと宣言することができる。例えば、ステップ138および140に示されるように、システムは、発作宣言することに反対票を投じないことになる。結果は、例えば、監視アルゴリズムが使用できるように、レジスタに配置され、アラーム宣言することに賛成票を投じることができる。さらに、方法130が、バーストの適格性認定に適用される場合には、本方法は、バーストが発作と関係があるという発見を裏付けることができ、バーストは、このとき、カウントされるのに適切であると見なされ、バースト検出ルーチンにおいて、陽性応答を裏付けするために使用することができる。
別の単純化された例では、バースト列が以下のように、(秒単位において)見える場合がある。
17、17.5、18.02、18.51、19.04、19.56、20.1、20.6、21.13
したがって、上記4.13秒の期間を含む周期性時間ウィンドウにわたって、バースト間に8個の期間を有する9個のバーストがあった。平均期間はバースト当たり4.13/8=0.51625秒と計算することができる。バースト間の個々の時間は以下の通りである。
17.5−17=0.5
18.02−17.5=0.52
18.51−18.02=0.49
19.04−18.51=0.53
19.56−19.04=0.52
20.1−19.56=0.45
20.6−20.1=0.5
21.13−20.6=0.53
平均からの偏差の絶対値は以下のように決定することができる。
│0.5−0.51625│=0.01625
│0.52−0.51625│=0.00375
│0.49−0.51625│=0.02625
│0.53−0.51625│=0.01375
│0.52−0.51625│=0.00375
│0.45−0.51625│=0.06625
│0.5−0.51625│=0.01625
│0.53−0.51625│=0.01375
すべての偏差の合計は以下の通り、計算することができる。
0.01625+0.00375+0.02625+0.01375+0.00375+0.06625+0.01625+0.01375=1.6
したがって、平均偏差は1.6/8=0.02である。
したがって、この平均のパーセント偏差は0.02/0.51625=3.87%である。したがって、本例は非常に規則的なパターンを示す。例えば、平均偏差の閾値が15%に設定されれば、アルゴリズムは、真の発作が発生している信頼度が非常に低いことを宣言し、発作アラーム宣言することに反対票を投ずることになる(ステップ142)。結果は、監視アルゴリズムが使用できるようにレジスタに配置される。同様に、方法130が、バーストの適格性認定に適用される場合には、本方法は、バーストが発作と関係ないという発見を裏付けることができ、バーストは、このとき、カウントされるのに不適切であると見なされ、バースト検出ルーチンにおいて、陽性応答を裏付けするために使用しなくてもよい。当然ながら、標準偏差計算、または変動性と関係する他の適切なメトリックを平均偏差計算の代わりに用いることができる。閾値も特定の患者、平均モデル値またはその他の何らかの方法から得ることができる。これらの閾値は、検出ユニットによって変わり、適宜変更することができる。
いくつかの実施形態では、データを自動的にフォーマットし、決定されたリスク値を表示するのに適した方法で検討するために提示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、EMGデータを送り、単に警告事象に相当しているだけであるとして適格性認定または標示することができる。すなわち、データは、非緊急状態または警告状態で、リスク層別化および指定することができる。EMGデータを警告状態または非緊急状態に関連付けられているとして識別するために、EMGデータは、例えば、適切な状態インジケータで標示することができる。例えば、グラフ式データは、色で、字体で、または単に警告にのみ関連しているとしてデータの状態を識別する他の何らかの標識で表示することができる。同様に、緊急データは、例えば、異なる色で、字体で、またはその他の標識で、適切に標示することができる。
介護者の中には、直ちに通知されて、警告事象についてEMGデータが送られることを好む(または、一部の患者について好む)者もいるが、他の介護者または他の患者には、そのような通知を好まない者もいる。また、いくつかの実施形態では、警告状態に関連しているとして事象を標識することは、介護者に能動的に表示または通知せずに、データをバッファに記憶する指示、例えば、介護者のコンピュータのメモリにデータを格納する指示を含むことができる。また、いくつかの実施形態では、システムは、介護者または他の指定された個人の装置であって、スマートクライアントアプリケーションをインストールすることによって入来するデータの整理が行い易くなるなど、装置に指示をインストールすることを含むことができる。例えば、情報は、いくつかの実施形態では、または何らかの装置設定を用いてコンピュータに伝送することができるが、例えば、その事象が緊急応答を要するという確証がなされるまで、利用者に提示されない。データが確証された場合には、信号が患者の検出装置(または基地局)から送られ、事象状態を更新することができる。また、例えば、介護者のコンピュータに「ひっそりと」格納されたデータは、次に、更新された状態に対する指示のみを含んだ最小データ量の更新信号に基づいて、直ちに表示することができる。そのような実施形態は、例えば、介護者が、接続が断続的であり、しかもデータ転送が制限され得る場所にいる場合には、特に有用であり得る。このような場合には、大量のデータを速やかに送ることが困難であり、緊急確認後にのみ大量のデータを送ることが望ましくないか、または適時ではないことがある。
監視システムから伝送されたデータは、いくつかの実施形態では、特定の個人またはレシピエントグループ用にカスタマイズすることができる。例えば、伝送されたデータは、アラームメッセージ、アルゴリズム検出に関係する統計情報のサブセット、時間領域または周波数領域のEMGデータ、またはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、検出ユニットは、バースト検出ルーチンの一部として1つまたは複数のピーク検出プログラムを実行することができる。バースト検出ルーチンは、発作の間代相の部分が存在することを決定するのに使用され得るような1つまたは複数のバーストのデータが存在しているかどうかを識別するように構成することができる。したがって、バースト検出ルーチンは、検出された事象データのリスク層別化および自動分類に理想的に適し得る。また、EMGデータを伝送するための整理の一部として、介護者にデータを提示するためにバースト統計ウィンドウを提供することができる。バースト統計ウィンドウは、例えば、バーストの検出されたパターンに関する統計情報の要約を含むことができる。ごく一例として、バースト統計ウィンドウに含まれ得るデータは、検出されたバーストの数、バースト検出のレート、検出されたバーストの平均信号対雑音比(SNR)、検出されたバーストのSNRの広がり、検出されたバーストの平均幅、検出されたバーストの幅の広がり、検出されたバースト間の期間の平均長さ、検出されたバースト間の期間の長さの広がり、任意の数のバースト列にわたるバーストの偏差、バーストデータの周波数特性、およびこれらの組み合わせを含む。
より一般的には、例えば、特定のルーチン、または発作事象の検出に使用されるルーチンのセットによっては、他の処理されたEMGデータまたは処理されていないEMGデータ(例えば、生のEMGデータファイルを再構成するためのデータ)と共に整理された分析情報は、何が伝送をトリガしたのかを示す、介護者に有用なデータの要約を含むことができる。すなわち、伝送されたデータの整理は、なぜ特定のEMGデータが選択されたのかを即座に介護者に伝える情報の要約を含むことができる。また、例えば、ルーチンに対して陽性応答がなされたデータ部分を識別することができる。また、例えば、個々の検出ルーチンの出力の要約は、所与の閾値事象を満たすためのルーチンおよび/または確度値に対する閾値設定を含めて提示することができる。非限定的な例として、本明細書に記載されたルーチンのいくつかは、持続的な振幅増大についてのEMGデータ、一時的なEMG増大またはバースト、およびEMGデータのスペクトル分離の分析を含むことができる。また、どのような発作の特徴が存在すると見なされたのかに応じて、関連する情報を整理し、提示することができる。
いくつかの実施形態では、伝送されたデータは、EMGデータ、および/または1つまたは複数個の他のデータを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、検出ユニットは、1つまたは複数のマイクロ電子機械慣性検出素子、例えば、ジャイロスコープ、磁力計および/または加速度計をさらに含むことができる。こうした検出素子は、検出ユニットの方位、したがって、検出ユニットが装着される筋肉の方位を決定するように構成することができる。したがって、本明細書に記載のシステムは、例えば、センサが(したがってセンサが結合または装着され得る筋肉も)、何らかの方向に向いていたかどうかについての記載を含むことができる。例えば、検出ユニットが実質的に垂直方向、例えば、立っている患者に通常見られるような地面からの法線ベクトルに平行な方向に向いていたかどうか、またはセンサがこうした法線に対して水平方向、例えば、患者がベッドなどに横になっているときに通常見られるような、こうした法線ベクトルに対して垂直方向に向いていたかどうかを示す。EMGデータと共に整理可能な他の情報は、血中酸素飽和度の測定に関連し得るような他のセンサデータを含むことができる。いくつかの実施形態では、こうした情報を使用して、事象のさらなる分類、例えば、決定されたリスク層別化にさらなる影響を与えることができる。また、こうした情報をEMGデータと共に使用して、事象を緊急事象または警告事象のいずれかとして指定することができる。加えて、いくつかの実施形態では、パルスオキシメータを使用して患者を監視してもよい。パルスオキシメータは、検出装置に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、リスク層別化は、転倒による患者のリスクおよび/または患者のSUDEPのリスクを別個に分析することをさらに含むことができる。また、それらはそれぞれ患者の状態と関係付けることができる。例えば、患者が眠っているのか、一人で家にいるのか、または別の患者と二人だけで家にいるのかどうかなどである。ごく一例として、患者が眠っていれば、テンプレートファイルは、転倒によるリスクは低いという評価を自動的に割り当てるが、SUDEPのリスクの調節は行わないこともある。
いくつかの実施形態では、伝送用の情報の整理は、介護者、友人および家族を含めた様々な指定された個人について適宜、データ伝送を個別に適合させることを含むことができる。例えば、時間依存性のEMGデータおよび/またはスペクトル依存性のEMGデータのいずれかまたは両方の表示に適したデータ、ならびに重要な分析特徴の要約の転送は、特定の介護者に伝送することができるが、こうした情報は、一部の友人および家族への送信が不要であるか、または有害な場合もある。そのため、いくつかの実施形態では、伝送用の情報の整理は、受信者に適合したプロファイルまたは設定によって決定することができる。例えば、友人および/または家族は、緊急アラームまたは警告が送られたことを通知されるが、時間依存性のEMGデータおよび/またはスペクトル依存性のEMGデータの再生、またはデータ分析に適した他の態様の生データまたは処理済みデータを受け取らない場合もある。また、いくつかの実施形態では、非限定的な例として、発作の特定の相が存在するかどうか、様々な態様の発作症候学などの重要な発作の特徴の詳細データ、および/またはマイクロ電子機械センサ素子からの方位データからアクセスする訓練を受けた介護者の1グループに情報を送ることができる。緊急応答に関与する一部の介護者を含む他の介護者に情報を送ることも可能である。他の介護者は、EMG信号解釈の別の特定の訓練を受けていない場合もある。そのような介護者には、例えば、緊急応答が妥当であるかどうかに関する情報、またはそのような介護者がデータ解釈するための訓練を受けたその他のセンサデータのみを送ることができる。
伝送用に選択され、整理されたデータは、一人もしくは複数の介護者、または他の指定された個人によって送受信することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、EMGセンサデータまたは他のセンサデータは、検出ユニット12もしくは基地局14のいずれか一方または両方から、あるいは警報トランシーバ16から送ることができる。また、装置12、14および16のいずれもが、図1に示されるように、指定された個人用の装置に情報通信することができる。いくつかの実施形態では、情報は、同様にまたは代わりに、WiFi(登録商標)などのローカルネットワーク上で介護者または他の指定された個人に直接通信することができる。
いくつかの実施形態において、介護者の装置は、いくつかの実施形態では、ハードウェアまたはソフトウェアにインストールされた1つまたは複数のプログラムまたは指示のセットを含むことで、伝送装置からの信号データの通信および整理を行い易くすることができる。また、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のルーチンを実行するための指示は、1つまたは複数のスマートクライアントアプリケーションを使用して実行することができる。検出された事象の状態を更新するための指示は、例えば、介護者の装置に含まれて、1つまたは複数の信号に基づいて、または更新信号に基づいてコンピュータ管理により更新することができる。同様に、検出ユニット12または基地局14のいずれかによって実行され得るルーチンを含む様々なルーチンのうちの任意のルーチンを実行するための指示が、介護者の装置のアプリケーションに含まれていてもよい。また、介護者は、例えば、EMGデータおよび/または検出ユニット12もしくは基地局14から供給される他のデータにさらにアクセスするために使用し得るような、閾値設定の変更および/または手動による閾値もしくは他のルーチン設定の調節が可能である場合がある。
図11は、EMG信号を収集し、かつ選択されたEMG信号データを伝送して、発作活動について患者を監視する方法160の別の例示的な実施形態を図示する。ステップ162では、EMG信号の一部、またはいくつかの実施形態では、EMG信号および他のセンサデータを収集することができる。例えば、いくつかの実施形態では、EMG信号は、オキシメータデータ、および/または1つもしくは複数の方位感受性の装置および/または位置感受性の装置からのデータのいずれか、あるいはその両方と一緒に収集することができる。
ステップ164では、収集されたデータは、1つまたは複数の事象が検出されたかどうかを決定するように構成された1つまたは複数のルーチンを使用して分析することができる。上述したように、少なくとも1つのルーチンは、発作の特定の部分に対して選択的であり、こうした部分が起こり得る発作の悪影響にある程度関連している場合には、リスク層別化を容易にし得る。ステップ166では、例えば、任意の数のEMG分析ルーチンおよび/またはその他の情報に基づいて、発作事象が検出されたかどうかについて決定を下すことができる。個々のルーチンは、発作の所与の部分に対して選択的であるように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のルーチンは、持続的なEMG振幅の存在について、収集されたデータを分析することができ、第2のルーチンは、患者が発作の間代相を経験しているときに、選択的に存在し得る活動またはバースト活動の一時的な増大の存在について、収集されたデータを分析することができる。また、いくつかの実施形態では、事象は、監視アルゴリズムを使用して決定することができる。監視アルゴリズムは、例えば、適切に重み付けすることなどにより、発作が発生し得る尤度を決定するためのルーチンにおける様々な発作変数の寄与を組み合わせる複数のサブルーチンを実行することができる。また、例えば、1つまたは複数のバースト検出サブルーチンからの寄与を調節することにより、監視アルゴリズムを含むルーチンは、選択的なルーチンとなり得る。いくつかの実施形態では、他のセンサデータは、ステップ164の実行中にEMGセンサデータに組み込むことができる。例えば、位置データおよび/または方位データは、いくつかの実施形態では、検出ユニットにより、または検出ユニットと基地局および/または環境トランシーバとを組み合わせて提供することができる。
また、いくつかの実施形態では、システムは、例えば、患者がベッドなどのある場所、またはバスルームなどの他の何らかの場所にいる可能性があることに気付くことができる。システム、次に、例えば、異なるルーチンおよび/またはルーチン設定を適用して、患者が発作を起こしているか、または利用者の場所に左右されるような非発作の移動などの他の何らかの活動に従事している尤度を決定することができる。また、いくつかの実施形態では、本出願人の同時係属中の米国仮特許出願第61/979,225号明細書に記載されるように、設定または閾値は、検出ユニットが水平方向に向いているか、または垂直方向に向いているかどうかに左右されることがある。すなわち、システムは、患者の筋肉が特定の方向を向いているかどうかについて特に較正することができる。また、例えば、患者が水平に横になっているか、患者がセンサに体重をかけて水平に横になっているか、または垂直方向に向いているかどうかに基づいて特に較正することができる。いくつかの実施形態では、監視システムは、患者がさらに別の選択可能なプロファイルに基づいて自身の状態を更新できるように構成することができる。例えば、患者には、例えば、患者がベッドで眠っているかどうか、患者が一人で家にいるかどうか、または患者が別の人と家にいるか否かに基づいて、1つまたは複数の異なる監視設定を選択する選択肢が与えられてもよい。また、患者がそれらの選択肢のうちの1つを選択するかどうかに応じて、システムは、異なる設定および/または閾値を選択することができる。さらに、特定の応答または応答群について、監視システムは、例えば、選択された選択肢に左右される緊急状態の警告のいずれかに関連する伝送プロトコルを選択することができる。
本明細書、または例えば本出願人の同時係属中の米国仮特許出願第61/969,660号明細書に記載の様々なルーチンはいずれも、収集されたEMG信号に事象が存在しているかどうかを決定し(ステップ164)、次に、発作が検出されたかどうかを決定する(ステップ166)ために実行することができる。例えば、バーストは、最小バースト幅および/または最大バースト幅の基準の充足に基づいて適格性認定され、ある期間にわたってある個数のバーストが検出される場合には、発作事象または起こり得る発作事象を検出することができる。例えば、約1秒の時間ウィンドウ内で約2個〜約6個のバーストが測定される場合、または別の適切な時間ウィンドウにおいて別の適切な数のバーストがカウントされる場合には、バーストルーチンは陽性応答を示す場合がある。いくつかの実施形態では、約2秒〜約5秒の時間ウィンドウ内で少なくとも約2個〜約6個のバーストが測定される場合には、バーストルーチンは陽性応答を示す場合がある。また、例えば、バーストルーチンにおける陽性応答に基づいて発作を検出することができる。
ステップ168に示されるように、データは、アクセス可能なメモリの1つまたは複数のバッファに転送および記憶され、所望の継続期間の間そこに維持される。次に、EMG信号の次の部分、および/またはEMG信号と他の信号の次の部分を収集することができる。EMG信号収集の所望の継続期間間隔の完了時、バッファに記憶されたデータは、ステップ170に示されるように、メモリの別のユニットに、例えば固定記憶装置に転送することができる。より一般的には、1つのバッファと他の記憶装置との間のデータの転送が、アクセス可能なメモリのデータの適切な部分を維持するようにシステム160を構成することができることで、事象が検出されれば、データを伝送に利用することができる。すなわち、発作の分析および/または事象のカテゴリ化に必要であると見なされる場合、または伝送プロトコルが後で選択され、こうしたデータがその後伝送するために含まれている場合には、データを適切に利用可能に保持することができる。
ステップ172に示されるように、発作事象または起こり得る発作事象が存在すると見なされる場合、方法160は、類型および/または強度に基づいて収集されたEMG信号をカテゴリ化するステップを含むことができる。また、いくつかの実施形態では、カテゴリ化されたEMGデータは、次に、警告または緊急状態などの状態インジケータで更新することができる。方法160および矢印161に示されるように、いくつかの実施形態では、発作をカテゴリ化する際に、メモリにバッファ記憶されたデータの1つまたは複数の部分にアクセスすることができる。すなわち、発作をカテゴリ化する際に、以前にバッファに送られたデータを考慮に入れることができる。
いくつかの実施形態では、発作のカテゴリ化は、1つまたは複数のルーチンがEMG信号の一部に応答したかどうかを決定するステップを含むことができる。例えば、表1に示されるように、1つまたは複数のルーチンに対する特定の応答の組み合わせに基づいて、検出された事象をカテゴリ化することができる。いくつかの実施形態では、発作のカテゴリ化は、オキシメータ、方位センサ、または心拍数センサの任意の組み合わせからのデータにアクセスするステップを含むことができる。また、例えば、いくつかの実施形態では、EMGデータは警告事象の存在のみを表示するが、飽和酸素の臨界レベルが決定されたか、または患者の向きが、実質的に垂直方向から実質的に水平方向に変化したかのいずれかの場合には、緊急状態を代わりに決定することができる。例えば、リスク層別化は、患者が転倒している可能性があるという決定か、または患者がSUDEPの初期の徴候を示しているという決定かのいずれかに基づくことができる。
いくつかの実施形態では、非限定的な例として、発作の型、強度、継続期間、発作の相の継続期間、その他のメトリック、およびこれらの組み合わせなどの様々なメトリックに基づいて、検出された発作事象または起こり得る発作事象を分類することができる。発作の重篤度の分類は、例えば、一人の患者の、または患者人口統計の典型的な値に対して発作のメトリックを正規化することを含むことができる。例えば、一人の患者について、検出された特徴の振幅測定値が、(例えば、その患者の別の発作中の)特徴について以前に測定された値のある因数分の大きさであるか、またはその特徴の平均値のある因数分の大きさである場合、こうした因数を用いて発作の重篤度を等級分けすることができる。こうした情報は、例えば、介護者に送られるか、もしくは適切な応答を決定するために使用されるか、またはその両方が行われることがある。
ステップ172に関係してさらに説明するように、EMGデータおよび/または他のセンサデータを含めたデータを伝送用に選択することができる。また、選択されたプロトコルは、ステップ174において実行することができる。上述したように、選択するべきかどうかの決定、およびデータを伝送するかどうかの決定は、収集されたデータのカテゴリ化によって左右されることがある。また、いくつかの実施形態では、伝送プロトコルは、指定された個人の全員または一部のみに情報を送る指示を含むことができる。すなわち、いくつかの実施形態では、事象が検出され、一部の介護者のみにまたは速やかに送ることができる。例えば、ルーチンは、起こり得る発作が検出されたことを識別し、このとき、データは、一人または複数の遠隔システムの利用者に送られるが、他の指定された個人には送られないことがある。一人または複数の遠隔システムの利用者には、例えば、EMG信号および/または他の信号を解釈するための訓練を受け、かつ任意の様々なプロトコルを使用して実際の発作が発生していることを確証することができる一人または複数の個人を含むことがある。
例えば、遠隔利用者は、ビデオモニタ9に基づいて患者の状況を決定することができる。例えば、ビデオデータが利用可能でない場合には、遠隔利用者は、例えば、患者に電話することによって、患者との連絡を試みることができる。しかしながら、場合によっては、遠隔利用者が、ビデオデータにアクセスできず、患者に電話して患者と連絡を取ることもできないか、またはこのような方法で患者と連絡を取ることを望まない場合もあり得る。例えば、検出された事象、すなわち特定の患者について検出された事象が、低リスクの事象の1つに過ぎない場合、または事象が偽陽性の検出である可能性が高い場合もある。このような出来事がその患者によくある場合には、誤った検出に基づいて患者に繰り返し連絡を取ることは負担となり、望ましくない場合がある。いくつかの実施形態では、利用者は、データのさらなる分析を行い、事象が本当に緊急である場合には、結論付けを試み、次に、その事象が軽視できないと見なされる場合には、その患者との連絡を試みるか、もしくは事象の状態を更新するか、または連絡および更新の両方を行う。例えば、利用者は、このとき、他の介護者、友人および家族を含めた他の指定された個人に連絡を取るか、または連絡を開始することができる。したがって、いくつかの実施形態では、かついくつかの状況においては、介護者の装置、例えば携帯電話17、PDA18、または他のクライアント装置の連絡は、遠隔システム利用者を経由して仲介される場合もある。
通常、発作検出システムの装置は、本明細書に開示の方法および目標のうちの1つまたは複数を達成する任意の適切な種類および構成とすることができる。例えば、サーバは、1つまたは複数のその他のコンピュータまたはプログラム、あるいはクライアントからのコマンドまたは要求に応答する1つまたは複数のコンピュータまたはプログラムを備えることができる。クライアント装置は、1つまたは複数のその他のコンピュータまたはプログラム、あるいはサーバによって提供されるサービスについてコマンドまたは要求を発する1つまたは複数のコンピュータまたはプログラムを備えることができる。図1の各種装置、例えば、12、13、14、16、17、18および/または19は、機能および構成に応じてサーバまたはクライアントとすることができる。サーバおよび/またはクライアントは、例えば、メインフレームコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、スマートフォン(アップル(Apple)のアイフォン(iPhone)(商標)、モトローラ(Motorola)のアトリックス(Atrix)(商標)4G、モトローラ(Motorola)のドロイド(Droid)(商標)、サムスン(Samsung)のギャラクシーS(Galaxy S)(商標)、サムスン(Samsung)のギャラクシーノート(Galaxy Note)(商標)、およびリサーチインモーション(Research In Motion)のブラックベリー(Blackberry)(商標)デバイスなど)、タブレット(ソニー(Sony)のエクスペリア(Xperia)(商標)、サムスン(Samsung)のギャラクシータブ(Galaxy Tab)(商標)、およびアマゾンキンドル(Amazon Kindle)(商標)など)、ネットブック、携帯型コンピュータ、ネットワーク通信機能付き携帯メディアプレーヤ(マイクロソフト(Microsoft)のズーンHD(Zune HD)(商標)およびアップル(Apple)のアイポッドタッチ(iPod Touch)(商標)デバイスなど)、ネットワーク通信機能付きカメラ、スマートウォッチ、ウェアラブルコンピュータなどに様々に存在させるか、または常駐させてもよい。
コンピュータは、入力を受け付け、プログラムにしたがって入力を処理し、出力を生成することのできる任意の装置とすることができる。コンピュータは、例えば、プロセッサ、メモリ、およびネットワーク接続機能を備えることができる。コンピュータは、コンピュータのサイズ、スピード、コスト、および機能に応じて、スーパーコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、マイクロコンピュータ、PDA、およびスマートフォンなどの様々な種類とすることができる。コンピュータは固定型でも携帯型でもよく、携帯電話、媒体記録および再生、データ転送、ウェブブラウジング、データ処理、データクエリ、プロセスの自動化、ビデオ会議、人工知能などの様々な機能に合わせてプログラミングすることができる。
プログラムは、コンピュータによって実行可能な形式(オブジェクトコード)であるか、人間によって読取可能な形式(ソースコード)であるか、またはそれ以外であるかにかかわらず、アルゴリズムなどの任意の一連の指示を含むことができる。プログラムは、1つまたは複数のデータ構造および変数を含むか、または呼び出すことができる。プログラムは、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはこれらの組み合わせに具現化することができる。プログラムは、C、C++、ジャバ(Java(登録商標))、パール(Perl)、PHP、ルビー(Ruby)、SQLなどの任意の適切なプログラミング言語を用いて作成することができる。コンピュータソフトウェアは、1つまたは複数のプログラムおよび関連データを含むことができる。コンピュータソフトウェアは、例えば、システムソフトウェア(オペレーティングシステムソフトウェア、デバイスドライバ、およびユーティリティなど)、ミドルウェア(ウェブサーバ、データアクセスソフトウェア、およびエンタープライズメッセージングソフトウェアなど)、アプリケーションソフトウェア(データベース、ビデオゲーム、およびメディアプレーヤなど)、ファームウェア(装置固有ソフトウェア搭載の計算機、キーボード、および携帯電話など)、およびプログラミングツール(デバッガ、コンパイラ、およびテキストエディタなど)を含む。
メモリは、情報が一時的または永久的に記憶され、検索される任意のコンピュータ読取可能媒体を備えることができる。メモリの例は、SRAM、DRAM、Z−RAM、フラッシュ、光ディスク、磁気テープ、パンチカード、EEPROMなどの各種RAMおよびROMを含む。メモリは1つまたは複数の装置、および/または地理的位置またはその全体に、RAID技術などで仮想化して提供することができる。I/O装置は、コンピュータへの情報の提供、および/またはコンピュータからの情報の受信に使用可能な任意のハードウェアを備えることができる。例示的なI/O装置は、ディスクドライブ、キーボード、ビデオディスプレイスクリーン、マウスプリンタ、プリンタ、カードリーダ、スキャナ(バーコード、指紋、虹彩、QRコード(登録商標)、およびその他の種類のスキャナなど)、RFID機器、テープドライブ、タッチスクリーン、カメラ、運動センサ、ネットワークカード、記憶装置、マイクロフォン、オーディオスピーカ、タッチペンおよびトランスデューサ、ならびに関連インタフェースおよびドライバを含む。
ネットワークは、仮想的に切り替えられ、ルーティングされ、完全に接続されたセルラーネットワーク、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)、広域ネットワーク(WAN:wide area network)、都市圏ネットワーク(MAN:Metropolitan Area Network)、その他の種類のエリアネットワーク、ケーブルテレビネットワーク、通信衛星ネットワーク、電話網、公的ネットワーク、私設ネットワーク、有線または無線ネットワーク、およびこれらの任意の組み合わせならびにそのサブネットワークを含むことができる。ネットワークは、ルータ、ブリッジ、スイッチ、ハブ、中継器、変換器、受信機、プロキシ、ファイアウォール、トランスレータなどの様々なネットワーク機器を使用することができる。ネットワーク接続は有線または無線とし、マルチプレクサ、ネットワークインタフェースカード、モデム、IDSNターミナルアダプタ、ラインドライバなどを使用することができる。ネットワークは、ポイントツーポイント、バス、スター、ツリー、メッシュ、リング、およびこれらの任意の組み合わせまたはハイブリッドなどの任意の適切なトポロジを含むことができる。
無線技術は、ISMバンド装置、WiFi(登録商標)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、携帯電話SMS、セルラー(CDMA2000、WCDMA(登録商標)など)、WiMAX(登録商標)、WLANなどの利用可能な無線技術のうちの1つまたは複数を使用する、個人対個人無線、個人対固定受信装置、個人対遠隔警報装置などの様々な形態を取ることができる。
コンピュータ、I/O装置およびネットワーク機器内、またはそれらの間の通信は各種プロトコルを用いて達成することができる。プロトコルは、例えば、信号伝達、エラー検出および訂正、データフォーマッティング、およびアドレスマッピングを含むことができる。例えば、プロトコルは、7層オープンシステム相互接続モデル(OSIモデル)、またはTCP/IPモデルにしたがって提供することができる。
本明細書に記載の方法および装置に関係する追加情報は後述の実施例に関連して理解することができる。
この実施例1では、発作を起こす傾向がある複数の患者が、発作活動についてEMG電極を使用して監視された。センサが患者の二頭筋に設置され、EMG信号が収集され、発作活動の存在について収集された信号が分析され、発作が検出された。本明細書のこの実施例1でのデータは、合計11人の別々の患者から測定された、20の異なる発作の要約を含む。本明細書に記載の発作および患者は、様々な発作検出方法を評価する調査において、複数の患者のサブセットを含む。また、この実施例1における20の発作のそれぞれにおいて、発作の間代相部分が識別された。記録された発作の1つについてのEMGデータが図12に示されている。
記録された発作の様々な部分から得られたEMGデータを処理して、バースト間の平均期間ならびにバースト継続期間の平均期間を決定した。バーストデータが、記録されたデータの数か所の部分からそれぞれ得られた。例えば、平均バースト幅およびバースト間の平均タイミングが、間代相の開始部分付近、中間部分付近、および終盤部分付近の時間間隔の間に分析された。表2は、間代相の開始付近の期間の間の、この調査における様々な患者および発作についての結果を示す。
この調査における患者についての間代相の初期部分における平均期間バースト継続期間は、約0.12秒(すなわち120ミリ秒)であった。また、約25ミリ秒〜約75ミリ秒の最小バースト幅、および約250ミリ秒〜約400ミリ秒以下の最大バースト幅閾値についての閾値を選択することによって、バーストを検出することができる。さらに、監視中に存在し得る、例えば、非発作性の原因および/または他の相による他の信号は概して、有意の周波数を有するこのパターンに従っていなかった。また、前述の幅の要件を満たす増大を選択することにより、バーストがカウントされ、これを用いて間代性活動が存在したかどうかを決定することができる。間代相の活動を検出することによって、例えば、間代相の活動を示さない他の発作事象から発作を区別することができる。さらに、間代相の活動は発作を起こす悪影響を大いに示し得るため、発作は、緊急状態などの適切な応答をトリガすることができる。
間代相の中間部分および終盤部分についての追加のデータが、表3(中間部分)および表4(終盤部分)に示されている。
監視された発作のいくつかについては、活動の終盤部分は軽度であり、かつ/または発作は速やかに終了した。したがって、測定された発作のいくつかでは、活動の序盤の期間のみが測定された。すなわち、患者および/または発作によっては、初期部分または中間部分のみが測定された。
この実施例2では、収集されたEMG信号を分析する方法の特定の実施形態について説明する。例えば、こうした方法を用いて、前述の調査における患者について上記の収集された発作データを分析することができる。実施例2では、第1のルーチンを実行して、持続的なEMG活動の存在についてEMGデータを分析することができる。この持続的なEMG活動の存在は、発作の初期運動症状を示すことがある。持続的なEMG活動の存在について第2のルーチンを実行することができるが、第2のルーチンは、第1のルーチンよりも高い閾値を含むことがある。間代相の活動に対して選択的であるように構成された第3のルーチンを実行することも可能である。応答は、EMGデータの所与の部分で同時に実行することができる。また、いくつかの実施形態では、特定の条件が満たされている場合には、警告期間を開始することができる。
表5は、例として、実施例2の第1のルーチンを用いて、上記の調査において患者を監視するために適用し得るいくつかの設定を示す。
表6は、例として、実施例2の第2のルーチンを用いて、上記の調査において患者を監視するために適用し得るいくつかの設定を示す。
表7は、例として、実施例2の第3のルーチンを用いて、上記の調査において患者を監視するために適用し得るいくつかの設定を示す。
表8は、第1のルーチン、第2のルーチンおよび第3のルーチンの異なる組み合わせの検出がどのように整理され得るかの1つの実施形態を示す。
実施例2のルーチン設定を用いて、複数の陽性応答を行うことができ、これらの応答の中には、非発作性の原因によるものもある。しかしながら、応答のすべての組み合わせに対して緊急アラームを開始する必要はない。例えば、検出は、緊急応答ではなく、警告のみを開始することができる(この警告は、付添人または遠隔の介護者に与えられても、与えられなくてもよい)。または、システムは、一部の応答に対する分析の警告期間のみをトリガして、こうした警告期間の完了後にのみ、緊急応答をトリガすることができる。例えば、表8に示されるように、第1のルーチンまたは第2のルーチンのいずれかが応答する場合には、約20秒の警告期間を開始することができる。
例えば、表8の事象AおよびBについて示されるように、警告期間が示されるようにトリガされる場合には、システムは、引き続きEMGデータを取り込み、警告期間中になされ得る応答をさらに分類することができる。例えば、表9は、警告期間中に得られた様々な事象(E〜H)に対する応答がどのように考慮され得るのか、およびそれらの応答に対して起こり得る結果の1つの実施形態を示す。
例えば、警告期間中にルーチン2が1つもしくは複数の応答、またはさらなる応答を維持する場合には、緊急伝送プロトコルを実行するべきであると見なすことができる。同様に、ルーチン3が警告期間内で陽性応答を示す場合には、強直−間代発作である可能性があり、緊急アラームを実行することができる。いくつかの実施形態では、他のセンサをトリガすることができる。例えば、表9に示されるように、パルスオキシメータセンサをトリガすることができる。また、例えば、いくつかの実施形態では、パルスオキシメータが、患者がさらなるストレス下にあることを示す場合には、緊急応答を調節することができる。例えば、緊急伝送は、家族などの介護者、または患者の家の別の部屋に在室し得る他の介護者に伝送することができる。しかしながら、飽和酸素レベルおよび/または患者のパルスが、患者が生理学的なストレス下にあることを表示する場合には、EMT従事者は直ちに連絡を受けることができる。
開示される方法および装置とその利点とを詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明から逸脱せずに各種変更形態、置換形態、および改変形態をなし得ることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製品、組成、または材料、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。例えば、「含む(include)」という用語の使用は、「備える(comprising)」という用語であるように、すなわち、オープンエンド(open−ended)であるように解釈されるべきである。本開示から容易に理解できるように、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同一の機能を実現するか、または実質的に同一の結果を達成する既存のまたは後に開発されるプロセス、機械、製品、材料の組成、手段、方法、またはステップを利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製品、材料の組成、手段、方法、またはステップを範囲に含めることを意図する。