JP6516515B2 - アルコール含有物用包装用袋 - Google Patents
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Description
また、特許文献1においては、溶剤系塗料を塗布、乾燥することでアンダーコート層を形成し、その上にガスバリア層を、水系塗料の塗布、乾燥することにより形成されている。したがって、特許文献1の方法は、溶剤系塗料を使用するために防爆設備が必要になったり、複数回の塗布が必要になるなど、経済性や生産性の点で問題があった。
また、アンダーコート層形成用の塗料を水系のものに代えて、カーテンコーターなどを用いて同時に塗布することや、アンダーコート層形成用の水系塗料を塗布、乾燥した後に、ガスバリア層形成用水系塗料を塗布することを検討したが、得られた積層体は、いずれもガスバリア性が発現しなかった。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)プラスチック基材(I)にガスバリア層(II)が積層されてなる積層体であって、プラスチック基材(I)が金属化合物を0.1〜10質量%含有し、ガスバリア層(II)がポリカルボン酸を含有し、かつ120℃、30分の熱水処理後において、20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が20ml/(m2・day・MPa)以上200ml/(m2・day・MPa)以下である熱殺菌処理用積層体を含有することを特徴とするアルコール含有物用包装用袋。
(2)プラスチック基材(I)が、複層フィルムであり、その少なくとも1層が金属化合物を0.1〜10質量%含有することを特徴とする(1)記載のアルコール含有物用包装用袋。
(3)プラスチック基材(I)を構成する熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)または(2)記載のアルコール含有物用包装用袋。
(4)ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のアルコール含有物用包装用袋。
(5)金属化合物を構成する金属が、マグネシウム、カルシウム、亜鉛から選ばれる1種であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のアルコール含有物用包装用袋。
(6)同時または逐次二軸延伸されたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のアルコール含有物用包装用袋。
本発明における、金属化合物を含有するプラスチック基材は、プラスチック基材の原料に金属化合物を添加するだけで製造することができ、従来行われていた、金属化合物を含む層を基材に積層する工程を省略することができる。したがって、従来よりも少ない工程数でガスバリア性を有する積層体が得られ、そのため、生産性やコストの観点から、工業的なメリットは極めて大きい。また、得られた積層体は、高湿度下でも優れたガスバリア性を有し、また、アルコール系内容物を充填する包装体として用いる場合において、熱殺菌処理時の外観不良の発生が抑制される。
本発明の熱殺菌処理用積層体は、プラスチック基材(I)にガスバリア層(II)が積層されたものであり、プラスチック基材(I)は、金属化合物を含有することが必要である
。
程の任意の時点で、配合することができる。例えば、プラスチック基材(I)を構成する
熱可塑性樹脂を重合するときに金属化合物を添加する方法や、熱可塑性樹脂と金属化合物とを押出機にて混練する方法や、金属化合物を高濃度に練り込んで配合したマスターバッチを製造しこれを熱可塑性樹脂に添加して希釈する方法(マスターバッチ法)などが挙げられる。本発明においてはマスターバッチ法が好ましく採用される。
レン、ポリプロピレン、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロンMXD6、ナイロン9T等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂、塩化ビニル、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのまたはそれらの混合物が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂のうち、包装用袋を構成したときに、突刺し強力や耐衝撃性等に優れることから、ポリアミド樹脂が好ましく、中でもナイロン6が好ましい。また、耐熱性と経済性に優れることから、ポリエステル樹脂が好ましく、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、防腐剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等の各種の添加剤を、1種あるいは2種以上添加してもよい。また、熱可塑性樹脂には、プラスチック基材(I)のスリ
ップ性を向上させるなどの目的で、金属化合物以外の無機粒子や有機系滑剤を添加してもよく、中でも、シリカを添加することが好ましい。
宜選択できる。機械強度やハンドリングのしやすさの理由から、プラスチック基材(I)
の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。プラスチック基材(I)は、厚みが5μm未満であると十分な機械強度が得られず
、突刺し強力が悪化する傾向がある。
なお、後述するように、本発明の熱殺菌処理用積層体は、120℃、30分の熱水処理後において特定範囲の酸素透過度を発現するものである。したがって、該積層体を構成するガスバリア層(II)は、120℃、30分の熱水処理後にプラスチック基材(I)中の金属化合物と反応し、ガスバリア性を発現するものである。
ポリカルボン酸の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリマレイン酸、エチレン−マレイン酸共重合体などのオレフィン−マレイン酸共重合体、アルギン酸のように側鎖にカルボキシル基を有する多糖類、カルボキシル基含有のポリアミド、ポリエステルなどを例示することができる。上記ポリカルボン酸は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
オレフィン−マレイン酸共重合体中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水マレイン酸構造となりやすく、湿潤時や水溶液中では開環してマレイン酸構造となる。したがって、本発明においては、特記しない限り、マレイン酸単位と無水マレイン単位とを総称してマレイン酸単位という。
EMA中のマレイン酸単位は、5モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがさらに好ましく、35モル%以上であることが最も好ましい。
また、EMAの重量平均分子量は、1,000〜1,000,000であることが好ましく、3,000〜500,000 であることがより好ましく、7,000〜300,
000であることがさらに好ましく、10,000〜200,000であることが特に好ましい。
るので、ガスバリア性を向上することができる。
ポリアルコールは、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であり、低分子化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの糖アルコール、グルコースなどの単糖類、マルトースなどの二糖類、ガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖が挙げられ、高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、でんぷんなどの多糖類が挙げられる。上記ポリアルコールは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は、95モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがさらに好ましい。また、平均重合度は、50〜2,000であることが好ましく、200〜1,000であることがより好ましい。
ポリアミンの重量平均分子量は、5,000〜150,000であることが好ましい。ポリアミンの重量平均分子量が低すぎると、得られるガスバリア層(II)は脆弱になり、一方、分子量が高すぎると、ハンドリング性が損なわれ、場合によっては、後述するガスバリア層(II)を形成するための塗工液中で凝集し、得られるガスバリア層(II)は、ガスバリア性が損なわれる可能性がある。
ガスバリア層(II)における架橋剤の含有量は、ポリカルボン酸100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
架橋剤としては、自己架橋性を有する化合物や、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物が挙げられ、ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有する場合は、水酸基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物でもよい。具体的な架橋剤としては、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、炭酸ジルコニウムアンモニウムなどのジルコニウム塩化合物、金属アルコキシド等が好ましく挙げられる。これらの架橋剤は、組み合わせて使用してもよい。
の接着性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤、防腐剤、消泡剤、濡れ剤、粘度調整剤などが添加されていてもよい。
熱安定剤、酸化防止剤、劣化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物などが挙げられ、これらを混合して使用してもよい。
強化材としては、例えば、クレー、タルク、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、ゼオライト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、フッ素雲母、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維、フラーレン(C60、C70など)、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
は、積層体のガスバリア性を充分高めるために、0.05μmより厚いことが好ましく、経済性の点から、5.0μmより薄いことが好ましい。
上記塗工液は、作業性の面から水性であることが好ましいため、塗工液を構成するポリカルボン酸や、ポリアルコールやポリアミンは、水溶性または水分散性であることが好ましく、水溶性であることがより好ましい。
されず、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等、あるいはこれらを組み合わせた方法を用いることができる。
を行い、乾燥皮膜の形成と加熱処理を同時に行ってもよいし、また塗布後、ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射等により水分等を蒸発させて乾燥皮膜を形成させた後に、加熱処理を行ってもよい。ガスバリア層(II)の状態やガスバリア性等の物性に特に障害が生じない限り、塗布後、直ちに加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理方法としては特に限定されず、オーブン等の乾燥雰囲気下で加熱処理を行う方法が挙げられる。工程の短縮化等を考慮すると、ガスバリア層(II)形成用塗工液を塗布した後でプラスチック基材(I)の延伸を行うのが好ましい。
上記のいずれの場合においても、ガスバリア層(II)を形成したプラスチック基材(I
)を、100℃以上の加熱雰囲気中で5分間以下の熱処理を施すことが好ましい。
また、熱処理時間は、5分間以下であることが好ましく、1秒間〜5分間であることがより好ましく、3秒間〜2分間であることがさらに好ましく、5秒間〜1分間であることが特に好ましい。熱処理時間が短すぎると、上記架橋反応を充分に進行させることができず、ガスバリア性を有する積層体を得ることが困難になり、一方、長すぎると生産性が低下する。
乾燥の前後に、必要に応じて、紫外線、X線、電子線等の高エネルギー線照射が施されてもよい。このような場合には、高エネルギー線照射により架橋または重合する成分が配合されていてもよい。
上記の酸素透過度が10ml/(m2・day・MPa)未満であると、耐アルコール性を有しておらず、アルコール系内容物を充填し、熱殺菌処理した場合に、外観不良の発生を抑制することができない。一方、酸素透過度が200ml/(m2・day・MPa)を超えると、高湿度下において優れたガスバリア性を有するものとすることができない。
前記の酸素透過度の範囲は、プラスチック基材(I)の金属化合物の種類や含有量、前記金属化合物とガスバリア層(II)中のポリカルボン酸との比率、ガスバリア層(II)の厚
みなどにより制御することができる。
上記耐ピンホール性は、具体的には、MIL−B−131Fに示されるFed.Test Method Std. 101CのMethod 2017に従い、12インチ×8インチのサンプルを直径3.5インチの円筒状に把持し、初期把持間隔7インチ、最大屈曲時の把持間隔1インチとして、いわゆるゲルボテスター(理学工業社製)で5℃の条件下で500回屈曲を与えた後のピンホール数の発生数を測定し評価したものである。
単層構成のフィルムからなるプラスチック基材(I)は、例えば、金属化合物を混合した熱可塑性樹脂を、押出機で加熱溶融してTダイよりフィルム状に押出し、エアーナイフキャスト法、静電印加キャスト法など公知のキャスティング法により回転する冷却ドラム上で冷却固化して、未延伸状態のプラスチック基材(I)のフィルムを得る。
また、複層構成のフィルムからなるプラスチック基材(I)は、例えば、金属化合物を
混合した熱可塑性樹脂を押出機Aで加熱溶融し、また熱可塑性樹脂を押出機Bで加熱溶融し、それぞれ溶融した2種の樹脂をダイス中で重ね合わせて、例えば、金属含有層(M)/樹脂層(R)の2層構成のフィルムをTダイから押出し、上記同様、冷却固化することによって、未延伸状態で得ることができる。
このような方法でプラスチック基材(I)に金属化合物を含有させることにより、従来
行われていた、金属化合物を含む層を基材に積層する工程を省略することができる。
得られた単層や複層の未延伸フィルムに、前述の方法でガスバリア層(II)形成用塗工液を塗布してガスバリア層(II)を形成し、テンター式同時二軸延伸機にて、縦方向(MD)および横方向(TD)に同時二軸延伸を施すことで、同時二軸延伸された積層体を得ることができる。
また得られた未延伸フィルムを縦方向(MD)に延伸したのち、前述の方法でガスバリア層(II)形成用塗工液を塗布してガスバリア層(II)を形成し、次いで横方向(TD)に延伸を施すことで、逐次二軸延伸された積層体を得ることができる。
なお、未延伸フィルムが配向していると、後工程で延伸性が低下することがあるため、未延伸フィルムは、実質的に無定形、無配向の状態であることが好ましい。
また、フィルムの延伸倍率は、一軸延伸の場合は1.5倍以上であることが好ましく、縦横二軸延伸の場合も、縦横に各々1.5倍以上であることが好ましく、面積倍率で、通常3倍以上であることが好ましく、6〜20倍であることがより好ましく、6.5〜13倍であることがさらに好ましい。延伸倍率がこの範囲であると、優れた機械物性の積層体を得ることが可能となる。
延伸処理工程を経たフィルムは、延伸処理が行われたテンター内において150〜300℃の温度で熱固定され、必要に応じて0〜10%、好ましくは2〜6%の範囲で、縦方向および/または横方向の弛緩処理が施される。熱収縮率を低減するためには、熱固定時間の温度および時間を最適化するだけでなく、熱弛緩処理を熱固定処理の最高温度より低い温度で行うことが望ましい。
の金属化合物とガスバリア層(II)のポリカルボン酸との作用を、より促進することができる。このような加湿処理は、高温、高湿度下の雰囲気において積層体を放置してもよいし、高温の水に直接積層体を接触させてもよい。加湿処理条件は種々目的により異なるが、高温高湿の雰囲気下で放置する場合は、温度30〜130℃、相対湿度50〜100%が好ましい。高温の水に接触させる場合も、温度30〜130℃程度(100℃以上は加圧下)が好ましい。加湿処理時間は処理条件により異なるが、一般に数秒から数百時間の範囲が選ばれる。
本発明の熱殺菌処理用積層体には、必要に応じて、コロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。
シーラントとして用いる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、ヒートシール強度や材質そのものの強度が高いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂が好ましい。これらの樹脂は、単独で用いても、また他の樹脂と共重合や溶融混合して用いても、さらに酸変性などが施されていてもよい。
シーラント層の厚みは、特に限定されないが、20〜100μmであることが好ましく、40〜70μmであることがより好ましい。
ラミネート接着剤の厚みは、0.1μmよりも厚くすることが好ましく、生産性の観点から10μm以下程度であることが好ましい。
印刷インキ層の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の周知の印刷方法を用いることができる。
特に、アルコールを含有する内容物を充填するための包装用袋として適している。アルコールとしては、エタノール、イソブタノール、n−プロパノールなどが挙げられる。
(1)各層厚み
得られた積層体を23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置してから、走査型電子顕微鏡(SEM)によりフィルム断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
(2)酸素透過度
得られた積層体を120℃、30分の条件で熱水処理した後、20℃、65%RHの環境下に2時間以上放置してから、モコン社製酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20)を用いて、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下における酸素透過度を測定した。単位はml/(m2・day・MPa)である。
得られた包装用袋で作製した三方袋(外寸:長さ方向200mm×幅方向150mm、シール幅:10mm)に、下記構成の内容物150gを充填密封後、レトルト処理(熱水シャワー式、120℃、30分、1.8kg/cm2)を実施し、処理後の包装体の外観評価を行った。外観は目視判定し、外観不良が無い場合を〇、白化もしくは水泡状の突起物が発生し外観不良がある場合を×とした。
充填する内容物として、エタノール濃度がそれぞれ、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%(すべて質量基準)であるエタノール水溶液を用いた。
下記の実施例・比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
(1)プラスチック基材(I)構成用の熱可塑性樹脂
・PA6:ナイロン6樹脂(ユニチカ社製 A1030BRF、相対粘度3.0)
・PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂(ユニチカ社製 UT−CBR 極限粘度0.62)
・酸化マグネシウム(タテホ化学工業社製 PUREMAG FNM−G 平均粒径0.4μm)
・炭酸マグネシウム(神島化学工業社製 MSS 平均粒径1.2μm)
・炭酸カルシウム(白石工業社製 Vigot15 平均粒径0.5μm)
・酸化亜鉛(堺化学工業社製 FINEX−50 平均粒径0.02μm)
・マスターチップ1
PA6の95質量部と、酸化マグネシウムの5質量部とを混練してマスターチップを作成し、金属化合物の含有量が5質量%未満の金属含有層(M)を調製する際に使用した。
・マスターチップ2
PA6の55質量部と、酸化マグネシウムの45質量部とを混練してマスターチップを作成し、金属化合物の含有量が5〜15質量%である金属含有層(M)を調製する際に使用した。
・マスターチップ3
PA6の95質量と、炭酸マグネシウムの5質量部とを混練して作成した。
・マスターチップ4
PA6の95質量と、炭酸カルシウムの5質量部とを混練して作成し、金属化合物の含有量が5質量%未満の金属含有層(M)を調製する際に使用した。
・マスターチップ5
PA6の70質量と、炭酸カルシウムの30質量部とを混練して作成し、金属化合物の含有量が5〜15質量%である金属含有層(M)を調製する際に使用した。
・マスターチップ6
PA6の85質量と、酸化亜鉛の15質量部とを混練して作成した。
・マスターチップ7
PETの95質量部と、酸化マグネシウムの5質量部とを混練して作成した。
・EMA水溶液:
EMA(重量平均分子量60,000)と水酸化ナトリウムとを水に加え、加熱溶解後、室温に冷却して調製した、EMAのカルボキシル基の10モル%が水酸化ナトリウムにより中和された、固形分15質量%のEMA水溶液。
・PAA水溶液:
ポリアクリル酸(東亞合成社製 A10H、数平均分子量200,000、25重量%水溶液)と、水酸化ナトリウムとを用いて調製した、ポリアクリル酸のカルボキシル基の10モル%が水酸化ナトリウムにより中和された、固形分15質量%のポリアクリル酸(PAA)水溶液。
・PVA水溶液:
ポリビニルアルコール(クラレ社製 ポバール105、ケン化度98〜99%、平均重合度約500)を水に加え、加熱溶解後、室温に冷却することにより調製した、固形分15質量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液。
・EVOH水溶液:
エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製 エクセバールAQ−4105)を溶解した、固形分10質量%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)水溶液。
・PAM:
ポリアクリルアミド(キシダ化学社製、試薬、重量平均分子量900万〜1000万重合度12.7万〜14.1万)。
CPP:三井化学東セロ社製RXC−22、厚み50μmのポリプロピレンフィルム
・接着剤:
ポリウレタン系接着剤:DICグラフィックス社製 ディックドライ LX−500/KR−90S。
ナイロン6樹脂とマスターチップとを、酸化マグネシウムの含有量が0.1質量%となるように混合した。この混合物を押出機に投入し、270℃のシリンダー内で溶融した。溶融物をTダイオリフィスよりシート状に押出し、10℃に冷却した回転ドラムに密着させて急冷することで、厚さ150μmの未延伸プラスチック基材(I)フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを50℃の温水槽に送り、2分間の浸水処理を施した。
次に、PVAとEMAの質量比(固形分)が50/50になるように、PVA水溶液とのEMA水溶液とを混合して、固形分10質量%のガスバリア層(II)形成用塗工液を得た。この塗工液を、浸水処理を施した未延伸フィルムの片面に塗布した後、乾燥した。
フィルムの端部を、テンター式同時二軸延伸機のクリップに保持させ、180℃で、MD、TDにそれぞれ3.3倍に延伸した。その後、TDの弛緩率を5%として、210℃
で4秒間の熱処理を施し、室温まで徐冷して、厚みが15μmのプラスチック基材(I)
に、厚みが0.3μmのガスバリア層(II)が積層された積層体を得た。
表1に記載の金属化合物含有量になるように、ナイロン6樹脂とマスターチップとを混合し、また、延伸後の厚みが表1に記載の厚みになるようにした以外は、実施例1と同様にして、未延伸プラスチック基材(I)フィルムを得て、浸水処理を施した。
次に、PVAなどの他の樹脂やポリカルボン酸について、種類や質量比(固形分)が表1に記載のものになるようにした以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア層(II)形成用塗工液を調製した。
得られた塗工液を用いて、延伸後の厚みが表1記載の厚みになるようにした以外は、実施例1と同様にして、未延伸フィルムに塗布、乾燥後、同時二軸延伸して積層体を得た。
実施例16では、熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を使用したのにともない、さらに、次のように条件を変更した。すなわち、シリンダー温度を280℃として未延伸フィルムを作製し、得られた未延伸フィルムの浸水処理を施さなかった。また、同時二軸延伸における温度を90℃とし、熱処理の温度を230℃とした。
ガスバリア層(II)形成用塗工液を、次にようにして調製した。
すなわち、数平均分子量200,000のポリアクリル酸(PAA)を蒸留水で溶解し、水溶液中の固形分濃度が13質量%であるPAA水溶液を得た。続いて、このPAA水溶液に、13質量%アンモニア水溶液を加え、PAAのカルボキシル基の1モル%を中和して、PAAの部分中和物水溶液を得た。
また、数平均分子量40,000のポリアクリル酸(PAA)100質量部をメタノール1064質量部に溶解し、続いて、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS)166質量部を攪拌しながら加えた。このようにして、APTMOSメタノール溶液(15−1)を得た。APTMOSメタノール溶液(15−1)では、APTMOSのアミノ基の少なくとも一部がPAAのカルボキシル基によって中和されている。
次に、テトラメトキシシラン(TMOS)34.5質量部をメタノール34.5質量部に溶解することによって、TMOSメタノール溶液を調製した。このTMOSメタノール溶液の温度を10℃以下に維持しながら、蒸留水2.3質量部と0.1Mの塩酸5.7質量部とを加え、攪拌しながら10℃で60分間、加水分解および縮合反応を行うことによって、溶液(15−2)を得た。
続いて、溶液(15−2)を、メタノール214.7質量部および蒸留水436.1質量部で希釈した後、攪拌しながら上記PAAの部分中和物水溶液235.9質量部を添加し、溶液(15−3)を得た。
続いて、溶液(15−3)を攪拌しながらAPTMOSメタノール溶液(15−1)36.2質量部を加え、さらに30分間攪拌することによって、溶液(15−4)を得た。
上記方法で調製した溶液(15−4)を、ガスバリア層(II)形成用塗工液として使用した以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
ナイロン6樹脂とマスターチップとを、酸化マグネシウムの含有量が0.8質量%となるように混合した。この混合物を押出機Aに投入し、260℃で溶融押出した。一方、ナイロン6樹脂を押出機Bに投入し260℃で溶融押出した。
押出機A、押出機Bでそれぞれ溶融した2種の樹脂をダイス中で重ね合わせて、金属含有層(M)/樹脂層(R)の2層構成のシートをTダイから押し出し、表面温度20℃の冷却ロールに密着させて、(M)/(R)=20/130μmとなる厚み150μmの未延伸の複層フィルムを得た。得られた未延伸の複層フィルムを50℃の温水槽に送り、2
分間の浸水処理を施した。
次に、PVAとポリカルボン酸について、質量比(固形分)が表1に記載のものになるようにした以外は、実施例1と同様にして調製した塗工液を、未延伸複層フィルムの金属含有層(M)面に塗布した後、乾燥した。
実施例1と同様にして、同時二軸延伸、熱処理を施して、厚みが2μmの金属含有層(M)と厚みが13μmの樹脂層(R)とからなる、厚みが15μmのプラスチック基材(I)の金属含有層(M)に、厚みが0.3μmのガスバリア層(II)が積層された積層体を得た。
接着剤層にヒートシール層として三井化学東セロ社製のシーラントフィルム(CPP、RXC−22、厚み50μm)を貼り合わせた後、40℃で2日間静置し接着剤層を硬化させ、インパルスシーラーを用いて包装用袋を得た。
一方比較例1では、プラスチック基材(I)に含まれる金属化合物が0.1質量%未満であったため、十分なガスバリア性を有する積層体が得られなかった。
比較例2、3では、酸素透過度が20ml/(m2・d・MPa)未満であったため、アルコール系内容物を充填したレトルト処理後に外観不良が発生した。
比較例4では、ガスバリア層(II)にポリカルボン酸を含有していなかったため、十分なガスバリア性を有する積層体が得られなかった。
Claims (6)
- プラスチック基材(I)にガスバリア層(II)が積層されてなる積層体であって、プラスチック基材(I)が金属化合物を0.1〜10質量%含有し、ガスバリア層(II)がポリカルボン酸を含有し、かつ120℃、30分の熱水処理後において、20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が20ml/(m2・day・MPa)以上200ml/(m2・day・MPa)以下である熱殺菌処理用積層体を含有することを特徴とするアルコール含有物用包装用袋。
- プラスチック基材(I)が、複層フィルムであり、その少なくとも1層が金属化合物を0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1記載のアルコール含有物用包装用袋。
- プラスチック基材(I)を構成する熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載のアルコール含有物用包装用袋。
- ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルコール含有物用包装用袋。
- 金属化合物を構成する金属が、マグネシウム、カルシウム、亜鉛から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルコール含有物用包装用袋。
- 同時または逐次二軸延伸されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアルコール含有物用包装用袋。
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