[硬化性組成物]
(エポキシ化合物(A))
本発明における硬化性組成物は、硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)としてエポキシ化合物を含有する。
エポキシ化合物としては、例えば、芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物(例えば、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル等);脂環式グリシジルエーテル系エポキシ化合物(例えば、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル等);脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物;グリシジルエステル系エポキシ化合物;グリシジルアミン系エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物;エポキシ変性シロキサン化合物等を挙げることができる。エポキシ化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、なかでも、脂環式エポキシ化合物を含有することが、優れた機械強度を有する硬化物が得られる点で好ましい。尚、本発明において、脂環式エポキシ化合物とは、脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成される脂環エポキシ基(例えば、シクロヘキセンオキシド基等)を有する化合物である。
前記脂環式エポキシ化合物としては、例えば、下記式(a)で表される化合物を挙げることができる。
上記式(a)におけるR1〜R18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは単結合又は連結基を示す。
R1〜R18におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R1〜R18における炭化水素基としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらが2以上結合した基が含まれる。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、ドデシル基等のC1-20アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、特に好ましくはC1-4アルキル基);ビニル、アリル、メタリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、特に好ましくはC2-4アルケニル基);エチニル、プロピニル基等のC2-20アルキニル基(好ましくはC2-10アルキニル基、特に好ましくはC2-4アルキニル基)等を挙げることができる。
上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜15の脂環式炭化水素基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロドデシル基等のC3-12シクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12シクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル、ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式炭化水素基等を挙げることができる。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が好ましく、例えば、フェニル、ナフチル基等のC6-14アリール基(好ましくはC6-10アリール基)等を挙げることができる。
また、上述の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から選択される基が2以上結合した基における、脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基等のC3-12シクロアルキル置換C1-20アルキル基;メチルシクロヘキシル基等のC1-20アルキル置換C3-12シクロアルキル基等を挙げることができる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のC7-18アラルキル基(特に、C7-10アラルキル基);シンナミル基等のC6-14アリール置換C2-20アルケニル基;トリル基等のC1-20アルキル置換C6-14アリール基;スチリル基等のC2-20アルケニル置換C6-14アリール基等を挙げることができる。
R1〜R18における酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、上述の炭化水素基における少なくとも1つの水素原子が、酸素原子を有する基又はハロゲン原子を有する基で置換された基等を挙げることができる。上記酸素原子を有する基としては、例えば、ヒドロキシル基;ヒドロパーオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基;アリルオキシ基等のC2-10アルケニルオキシ基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシ基(例えば、トリルオキシ、ナフチルオキシ基等);ベンジルオキシ、フェネチルオキシ基等のC7-18アラルキルオキシ基;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、(メタ)アクリロイルオキシ、ベンゾイルオキシ基等のC1-10アシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等のC1-10アルコキシカルボニル基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、トリルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基等);ベンジルオキシカルボニル基等のC7-18アラルキルオキシカルボニル基;グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等のC1-10アシル基;イソシアナート基;スルホ基;カルバモイル基;オキソ基;及びこれらの2以上が単結合又はC1-10アルキレン基等を介して結合した基等を挙げることができる。上記ハロゲン原子を有する基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R1〜R18におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基を挙げることができる。
前記アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニルオキシ基、C6-14アリールオキシ基、C1-10アシルオキシ基、メルカプト基、C1-10アルキルチオ基、C2-10アルケニルチオ基、C6-14アリールチオ基、C7-18アラルキルチオ基、カルボキシル基、C1-10アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-18アラルキルオキシカルボニル基、アミノ基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ基、C1-10アシルアミノ基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、C1-10アシル基、オキソ基、及びこれらの2以上が単結合又はC1-10アルキレン基等を介して結合した基等を挙げることができる。
R1〜R18としては、なかでも水素原子が好ましい。
上記式(a)におけるXは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド基、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。
上記2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-18アルキレン基(好ましくは直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキレン基);1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキシリデン基等のC3-12シクロアルキレン基、及びC3-12シクロアルキリデン基(好ましくはC3-6シクロアルキレン基、及びC3-6シクロアルキリデン基)等を挙げることができる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の直鎖又は分岐鎖状のC2-8アルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたC2-4アルケニレン基である。
上記式(a)で表される化合物の代表的な例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらは硬化の際の収縮率又は膨張率が小さい点で好ましい。
エポキシ化合物(A)には、上記脂環式エポキシ化合物以外にも他のエポキシ化合物を含んでいても良く、屈折率を調整することができる点でグリシジルエーテル系エポキシ化合物(特に、芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物及び/又は脂環式グリシジルエーテル系エポキシ化合物)を含有することが好ましい。
硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)におけるエポキシ化合物(A)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば30〜90重量%、好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%である。成分(A)の含有量が上記範囲を下回ると、硬化物の強度が低下する傾向がある。一方、成分(A)の含有量が上記範囲を上回ると、硬化物の硬化性が低下する傾向がある。
また、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)における脂環式エポキシ化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば30〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜60重量%である。脂環式エポキシ化合物の含有量が上記範囲を下回ると、硬化性が低下する傾向がある。一方、脂環式エポキシ化合物の含有量が上記範囲を上回ると、硬化物が脆くなる傾向がある。
(オキセタン化合物(B))
本発明における硬化性組成物には、上記エポキシ化合物(A)以外にも他の硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)を含有していても良く、オキセタン化合物を含有することが硬化物の硬化性を向上することができる点で好ましい。
オキセタン化合物は、例えば、下記式(b)で表される。
(式中、R
aは1価の有機基を示し、R
bは水素原子又はエチル基を示す。mは0以上の整数を示す)
前記Raにおける1価の有機基には1価の炭化水素基、1価の複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基等)、置換カルバモイル基(N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基等)、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等)、及びこれらの2以上が単結合又は連結基を介して結合した1価の基が含まれる。
前記1価の炭化水素基としては、上記式(a)中のR1〜R18と同様の例を挙げることができる。
前記1価の炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。
前記複素環式基を構成する複素環としては、環を構成する原子に炭素原子と少なくとも1種のヘテロ原子(例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等)を有する3〜10員環(好ましくは4〜6員環)、及びこれらの縮合環を挙げることができる。具体的には、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキセタン環等の4員環;フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の架橋環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等を挙げることができる。1価の複素環式基としては、上記複素環の構造式から1個の水素原子を除いた基を挙げることができる。
前記複素環式基は置換基を有していてもよく、置換基としては、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C3-12シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6-14アリール基)等を挙げることができる。
前記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、シリル結合(−Si−)、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。
上記式(b)で表される化合物としては、例えば、3−メトキシオキセタン、3−エトキシオキセタン、3−プロポキシオキセタン、3−イソプロポキシオキセタン、3−(n−ブトキシ)オキセタン、3−イソブトキシオキセタン、3−(s−ブトキシ)オキセタン、3−(t−ブトキシ)オキセタン、3−ペンチルオキシオキセタン、3−ヘキシルオキシオキセタン、3−ヘプチルオキシオキセタン、3−オクチルオキシオキセタン、3−(1−プロペニルオキシ)オキセタン、3−シクロヘキシルオキシオキセタン、3−(4−メチルシクロヘキシルオキシ)オキセタン、3−[(2−パーフルオロブチル)エトキシ]オキセタン、3−フェノキシオキセタン、3−(4−メチルフェノキシ)オキセタン、3−(3−クロロ−1−プロポキシ)オキセタン、3−(3−ブロモ−1−プロポキシ)オキセタン、3−(4−フルオロフェノキシ)オキセタンや、下記式(b-1)〜(b-15)で表される化合物等を挙げることができる。
オキセタン化合物としては、例えば、「アロンオキセタンOXT−101」、「アロンオキセタンOXT−121」、「アロンオキセタンOXT−212」、「アロンオキセタンOXT−211」、「アロンオキセタンOXT−213」、「アロンオキセタンOXT−221」、「アロンオキセタンOXT−610」(以上、東亞合成(株)製)等の市販品を使用することができる。
硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)におけるオキセタン化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、特に好ましく10〜30重量%である。オキセタン化合物を上記範囲で含有すると、硬化物の強度を担保しつつ、硬化性を向上させる効果が得られる点で好ましい。
(その他の硬化性化合物)
本発明における硬化性組成物は、上記エポキシ化合物(A)、オキセタン化合物(B)以外にも他の硬化性化合物を含有していてもよいが、他の硬化性化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)の、例えば30重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下である。他の硬化性化合物の含有量が上記範囲を上回ると、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
(カチオン重合開始剤(C))
本発明における硬化性組成物はカチオン重合開始剤を含有することが好ましい。カチオン重合開始剤には光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤が含まれる。
光カチオン重合開始剤は、光の照射によって酸を発生して、硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。光カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)kB(Phf)4-k]-(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。kは0〜3の整数である)、BF4 -、PF6 -、[(Rf)tPF6-t]-(Rf:水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基、t:1〜5の整数)、AsF6 -、SbF6 -、SbF5OH-等を挙げることができる。本発明においては、なかでもアニオン部がSbF6 -である光カチオン重合開始剤が、開始剤としての活性が高く、高い硬化性を有し、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる点で好ましい。
本発明の光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム] ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル−2−チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、商品名「サイラキュアUVI−6970」、「サイラキュアUVI−6974」、「サイラキュアUVI−6990」、「サイラキュアUVI−950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「Irgacure250」、「Irgacure261」、「Irgacure264」、「CG−24−61」(以上、BASF社製)、「CG−24−61」(チバガイギー社製)、「オプトマーSP−150」、「オプトマーSP−151」、「オプトマーSP−170」、「オプトマーSP−171」(以上、(株)ADEKA製)、「DAICAT II」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI−2064」、「CI−2639」、「CI−2624」、「CI−2481」、「CI−2734」、「CI−2855」、「CI−2823」、「CI−2758」、「CIT−1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トルイルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI−102」、「BBI−101」、「BBI−103」、「MPI−103」、「TPS−103」、「MDS−103」、「DTS−103」、「NAT−103」、「NDS−103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国、Sartomer社製)、「CPI−100P」、「CPI−101A」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
熱カチオン重合開始剤は、加熱処理を施すことによって酸を発生して、硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。熱カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のカチオン部としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウム、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウム、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウム(特に、モノアリールスルホニウムイオン)等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のアニオン部としては、上記光カチオン重合開始剤のアニオン部と同様の例を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
本発明における硬化性組成物としては、なかでも光カチオン重合開始剤を含有することが、保存安定性に優れる点で好ましい。
カチオン重合開始剤の含有量としては、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特にカチオン硬化性化合物、2種以上含有する場合はその総量)100重量部に対して、例えば0.1〜10.0重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部、特に好ましくは0.2〜3.0重量部、最も好ましくは0.2〜1.0重量部である。カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲を下回ると、硬化性が低下する傾向がある。一方、カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲を上回ると、硬化物が着色し易くなる傾向がある。
(その他の成分)
本発明における硬化性組成物は、上記エポキシ化合物(A)、オキセタン化合物(B)、重合開始剤(C)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、光増感剤、消泡剤、表面改質剤、カップリング剤、界面活性剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記表面改質剤としては、例えば、例えば、シリコーン系、アクリル系、又はフッ素系の界面活性剤を挙げることができる。硬化性組成物に表面改質剤を添加することにより、モールドへの濡れ性を向上させることができ、硬化性組成物をモールドに充填する際の泡かみを低減する効果が得られる。本発明においては、特に、シリコーン系界面活性剤が、泡かみを低減する効果に特に優れる点で好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。本発明においては、例えば、商品名「BYK−333」、「BYK−345」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3530」、「BYK−UV3570」(以上、ビッグケミー・ジャパン(株)製)等の市販品を好適に使用することができる。
表面改質剤の含有量(2種以上含有する場合はその総量)としては、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量部)に対して、例えば0.01〜3重量部、好ましくは0.03〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエステル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。本発明においては、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤を使用することが、得られる硬化物の耐熱性をより一層向上することができる点で好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール テトラキス[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸オクタデシル、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、カルシウムビス[3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]等を挙げることができる。本発明では、例えば、商品名「Irganox 1010」、「Irganox 1035」、「Irganox 1076」、「Irganox 1098」、「Irganox 1135」、「Irganox 1330」、「Irganox 1726」、「Irganox 1425WL」(以上、BASF社製)等の市販品を使用することができる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。本発明では、例えば、商品名「PEP−8」、「PEP−8W」、「PEP−36/36A」、「HP−10」、「2112」、「2112RG」、「1178」(以上、(株)ADEKA製)等の市販品を使用することができる。
酸化防止剤の含有量(2種以上含有する場合はその総量)としては、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特にカチオン硬化性化合物、2種以上含有する場合はその総量)100重量部に対して、例えば0.1〜10.0重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部、特に好ましくは0.5〜3.0重量部である。
本発明における硬化性組成物は、例えば、上記成分を所定の割合で撹拌・混合して、必要に応じて真空下で脱泡することにより調製することができる。
本発明における硬化性組成物の粘度(25℃、せん断速度20(1/s)における)は、例えば100〜1000mPa・sであり、粘度の上限は、好ましくは500mPa・s、特に好ましくは400mPa・s、最も好ましくは350mPa・s、とりわけ好ましくは250mPa・sである。そのため、モールドへの充填性に優れ、泡かみを低減することができ、形状転写性に優れた高精度の光学部品を製造することができる。
更に、本発明における硬化性組成物は硬化性に優れ、光照射及び/又は加熱処理を施すことにより速やかに硬化して硬化物を形成することができる。
カチオン重合開始剤(C)として光カチオン重合開始剤を含有する硬化性組成物を使用した場合は、光照射を施すことにより硬化させることができる。前記光照射に使用する光(活性エネルギー線)としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等の何れを使用することもできる。本発明においては、なかでも、取り扱い性に優れる点で紫外線が好ましい。紫外線の照射には、例えば、UV−LED(波長:350〜450nm)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、レーザー等を使用することができる。本発明における硬化性組成物は優れた硬化性を有するため、UV−LEDによる光照射でも速やかに硬化反応を進行させることができる。
光の照射条件は、紫外線を照射する場合には、積算光量を例えば5000mJ/cm2以下(例えば2500〜5000mJ/cm2)に調整することが好ましい。
光照射後は、必要に応じてポストベーク処理(例えば、80〜180℃で5〜30分間加熱)を行ってもよい。
カチオン重合開始剤(C)として熱カチオン重合開始剤を含有する硬化性組成物を使用した場合は、加熱処理(例えば100〜200℃の温度で0.5〜2時間程度加熱)を施すことにより硬化させることができる。
前記硬化物は耐熱性に優れ、熱分解温度は、例えば200℃以上(例えば200〜500℃)、好ましくは260℃以上、特に好ましくは330℃以上、最も好ましくは350℃以上である。尚、熱分解温度は実施例に記載の方法で求められる。そのため、リフロー炉を使用して半田(特に、鉛フリー半田)付けを行う基板実装工程に付しても、形状を保持することができる。
[光学部品]
本発明の光学部品は、上記硬化性組成物の硬化物からなる光学部品であって、前記光学部品の表面の一部に厚み0.1mm以下のコーティング層を少なくとも1層有する。
コーティング層の厚み(1層の厚み)は0.1mm以下(例えば、0.005〜0.1mm)であり、好ましくは0.09mm以下(例えば、0.01〜0.09mm)、特に好ましくは0.08mm以下(例えば、0.01〜0.08mm)である。
コーティング層の積層数は特に制限されることが無く、必要に応じて適宜調整することができ、例えば、1〜5層程度である。2層以上のコーティング層を設ける場合、各層は同一であってもよく異なっていてもよい。
コーティング層の総厚みは、例えば10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは15〜100μm、最も好ましくは15〜50μmである。
光学部品におけるコーティング層を形成する場所は、用途に応じて適宜調整することができ、例えば、光学部品がレンズであり、前記レンズに反射性又は遮光性を付与する目的でコーティング層を形成する場合は、レンズの外縁部にコーティング層を設けることが好ましい。
例えば、本発明の光学部品が白色のコーティング層を有する場合は、光学部品に反射性を付与することができ、本発明の光学部品が黒色のコーティング層を有する場合は、光学部品に遮光性を付与することができる。
例えば本発明の光学部品がフラッシュレンズである場合は、フラッシュレンズは撮像カメラと共に使用されるものであり、フラッシュレンズから光漏れがあると撮像カメラに悪影響を及ぼすことがある。そのため、フラッシュレンズは遮光性が高いことが好ましく、透過率が例えば5%以下(特に、1%以下)であるコーティング層を設けることが好ましい。また、フラッシュレンズは反射性が高いことが、光の取り出し効率を向上することができる点で好ましく、反射率が、例えば60%以上(特に、70%以上)であるコーティング層を設けることが好ましい。
コーティング層を形成するコーティング材は、例えば、樹脂、着色剤(顔料)、溶媒、及び添加剤(例えば、難燃剤、滑材、抗菌剤、帯電防止剤等)を含有する。
前記樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記着色剤としては、例えば、無機顔料[酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化鉄、カーボンブラック、ウルトラマリン、チタンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロム系ブラック、銅鉄マンガン系ブラック、コバルト鉄クロム系ブラック、酸化ルテニウム、グラファイト、金属微粒子(例えば、アルミニウム等)、金属酸化物微粒子、複合酸化物微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等]、有機顔料[ペリレンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、インダンスレン系顔料、インディゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、テトラアザポルフィリン系顔料、トリアリールメタン系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ローダミン系顔料等]等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒や、酢酸エチル等のエステル系溶媒等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
コーティング材に含まれる各成分の含有量は特に制限されることがなく、必要に応じて適宜調整することができる。
光学部品(コーティング層を含む)の最大厚みは、2mm以下(例えば、0.1〜2mm)であり、好ましくは1.8mm以下(例えば、0.1〜1.8mm)、特に好ましくは1.6mm以下(例えば、0.1〜1.6mm)である。
光学部品の平面視における最大幅(真上から見た平面図における最大幅)は、10mm以下(例えば、1〜10mm)であり、好ましくは8mm以下(例えば、1〜8mm)、特に好ましくは7mm以下(例えば、1〜7mm)、特に好ましくは5mm以下(例えば、1〜5mm)である。
本発明の光学部品には、レンズ[例えばフレネルレンズ、特に好ましくはカメラ(例えば、スマートフォン等の携帯型電子機器に使用される撮像用カメラ)のフラッシュ用フレネルレンズ、赤外線用センサー用フレネルレンズ]等が含まれる。
前記フレネルレンズは、表面に反射面(光の進行方向を変える面)と屈折面(光を透過する面)を有する山形形状のプリズムを2個以上有する、光拡散又は集光効果を有するレンズであって、2個以上の山形形状のプリズムは、中心に向かっていくに従い、連続的に小さく(又は大きく)なっている(例えば、図1)。
[光学部品の製造方法]
本発明の光学部品はキャスティング成形によって、より具体的には下記工程を経て、製造することを特徴とする。
工程1:エポキシ化合物(A)を含有する硬化性組成物を2個以上の光学部品型凹部を有するモールドに充填し、その後光照射及び/又は加熱処理を行って、2個以上の光学部品の形状を有する硬化物を得る
工程2:硬化物を個片化して個片化物を得る
工程3:個片化物にコーティング層を形成する
前記モールドとしては、所望の光学部品型凹部[すなわち、光学部品(例えば、フレネルレンズ等)の反転形状を有する凹部]を2個以上有する。前記2個以上の光学部品型凹部はランダムに配置されていても良く、等間隔に配置されていてもよいが、特に2個以上の光学部品型凹部が等間隔に配置されているモールドを使用することが個片化等の作業性に優れる点で好ましい。
前記工程1における硬化性組成物をモールドに充填する方法としては、例えば、ディスペンサーを使用する方法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレー法等を挙げることができる。本発明における硬化性組成物は流動性に優れるため、高充填性を有し、モールド形状の転写性に優れた(=モールドの凹部形状の再現性に優れた)フレネルレンズを製造することができる。モールドは底部と蓋部等、複数の部品から構成されていても良い。また、モールドには、予め離型処理(例えば、離型剤の塗布等)が施されていてもよい。
モールドの材質としては、例えば、金属、ガラス、プラスチック、シリコーン等を挙げることができる。なかでも、透明性を有するため、光照射により硬化する硬化性組成物の成型に使用することができ、形状転写性、及び離型性に優れる点でシリコーンモールド(例えば、ポリジメチルシロキサンを原料とするシリコーンモールド)が好ましい。
また、工程1における「光照射及び/又は加熱処理」は、カチオン重合開始剤(C)として光カチオン重合開始剤を含有する硬化性組成物を使用した場合は、光照射を行い、カチオン重合開始剤(C)として熱カチオン重合開始剤を含有する硬化性組成物を使用した場合は、加熱処理を行う。
前記光照射に使用する光(活性エネルギー線)としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等の何れを使用することもできる。本発明においては、なかでも、取り扱い性に優れる点で紫外線が好ましい。紫外線の照射には、例えば、UV−LED(波長:350〜450nm)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、レーザー等を使用することができる。本発明における硬化性組成物は優れた硬化性を有するため、UV−LEDによる光照射でも速やかに硬化反応を進行させることができる。また、光照射により硬化させる場合は、モールドとして透明モールドを使用することが好ましい。
光の照射条件は、紫外線を照射する場合には、積算光量を例えば5000mJ/cm2以下(例えば2500〜5000mJ/cm2)に調整することが好ましい。
光照射後は、離型することによりフレネルレンズアレイが得られる。また、離型前又は離型後に、必要に応じてポストベーク処理(例えば、80〜180℃で5〜30分間加熱)を行ってもよい。
前記加熱処理における加熱温度は例えば100〜200℃程度、加熱時間は例えば0.5〜2時間程度である。
工程2は、工程1を経て得られた硬化物[より詳細には、2個以上の光学部品の形状を有する(好ましくは、2個以上の光学部品の形状を等間隔に有する)硬化物であって、2個以上の光学部品が連結部を介して結合した構成を有する硬化物]を切断(好ましくは、連結部分において切断)して光学部品を個片化する工程、すなわちダイシング工程である。前記切断は、ダイシングブレード等の切断手段を用いて行われる。
本発明の光学部品の製造方法ではエポキシ化合物(A)を含有する硬化性組成物を使用し、前記硬化性組成物は硬化の際の収縮率又は膨張率が小さいため、転写性に優れた硬化物を製造することができ、2個以上の光学部品の形状を等間隔に有する硬化物を精度良く製造することができる。硬化物上の、隣接する2個の光学部品の間隔のズレは、例えば15μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは8μm以下である。そのため、ダイシング工程において、ダイシングブレード等の切断手段を用いて精度良く個片化することができ、高精度の光学部品を効率よく量産することができる。
工程3は、工程1〜2を経て得られた個片化された硬化物(すなわち、個片化物)にコーティング層を形成する工程である。コーティング層は1層のみ形成されていても良く、2層以上形成されていてもよい。すなわちコーティング層は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
工程3においては、コーティング層を形成する前に、硬化物とコーティング層との密着性を向上させるために、硬化物に表面処理を施してもよい。表面処理には、例えば、アンダーコーティング、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、エキシマ処理等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み併せて行うことができる。
コーティング層は、個片化物(若しくは、表面処理された個片化物)の表面に、コーティング材を塗布することにより形成することができ、前記コーティング材としては、上述のコーティング材を1種又は2種以上使用することができる。
コーティング材の塗布方法としては、例えば、ディスペンサーを使用する方法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレー法等を挙げることができる。コーティング材を塗布した後は、必要に応じて乾燥させ、更に加熱処理及び/又は光照射を行うことによりコーティング材を固化若しくは硬化させてコーティング層を形成することができる。そして、上記操作を繰り返すことにより、2層以上の多層構造を有するコーティング層を形成することができる。
また、コーティング材を塗布する前に、コーティング層を形成しない部分に粘着テープ等を貼着することによりマスキングすることが好ましく、前記マスキングに使用された粘着テープ等はコーティング材を塗布した後に除去することが好ましい。
更に、工程2では、工程1を経て得られた硬化物を支持体に固定(例えば、ダイシングテープ等の粘着テープに貼着)した状態で個片化処理を行うことが、位置ずれ等を生じることなく個片化することができ、支持体に固定された個片化物を、続く工程3に付すことにより、コーティング層を一括して形成することができ、微細な個片化物に効率よくコーティング層を形成することができる点で好ましい。個片化処理終了後に、個片化物の間隔が狭い場合は、前記粘着テープをエクスパンドする等により間隔を広げることが好ましい。個片化物の間隔が適度に空いた状態でコーティング材を塗布することにより、切断面(光学部品の側面)にもコーティング層を形成することが可能となるからである。
従って、本発明の工程2、3としては、以下の通りであることが好ましい。
工程2:硬化物を支持体に固定した状態で個片化して、支持体に固定された個片化物を得る
工程3:支持体に固定された個片化物にコーティング層を形成する
そして、個片化物を粘着テープで固定した状態でコーティング層を形成した後は、粘着テープからピックアップされ、基板実装等に付される。
本発明の光学部品の製造方法の一例を図2に示す。図2中の各工程を以下に説明する。
[1]2個以上の光学部品の形状を有する硬化物(1)にマスク(2)を貼着する(=マスキングする)
[2]硬化物(1)を切断ライン(3)に沿ってダイシングしてマスク(2)を有する個片化物(4)を得る
[3]コーティング材を塗布してコーティング層(5)を形成する
[4]マスク(2)を除去して光学部品(6、7)(=コーティング層を有する個片化物)を得る
本発明の光学部品の製造方法によれば、キャスティング成形により、微細な光学部品(例えばフレネルレンズ、特にカメラのフラッシュ用フレネルレンズ)であっても、簡便且つ効率よく製造することができる。また、コーティング材を変更することにより多種多様なコーティング層を有する光学部品を簡便に作り分けることができる。更に、多層構造を有するコーティング層の形成も容易である。そのため、本発明の光学部品の製造方法は、コーティング層を有する光学部品(例えば、スマートフォン等の携帯型電子機器に使用されるフラッシュレンズ等)を製造する方法として好適であり、少量多品種の微細な光学部品を安価に提供することができる。
[光学装置]
本発明の光学装置は上記光学部品を搭載する。本発明の光学装置には、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等の携帯型電子機器や、赤外センサ、近赤外センサ、ミリ波レーダー、LEDスポット照明装置、近赤外LED照明装置、ミラーモニター、メーターパネル、ヘッドマウントディスプレイ(投影型)用コンバイナ、ヘッドアップディスプレイ用コンバイナ等の車載用電子機器等が含まれる。
上記光学部品は、高温熱処理(例えば、リフロー半田付け等の260℃以上の高温処理)により基板実装するのに十分な耐熱性を有する。そのため、本発明の光学装置は、前記光学部品を別工程で実装する必要がなく、高温熱処理(例えば、リフロー半田付け)により光学部品を一括して基板実装することが可能であり、効率よく、且つ低コストで製造することができる。また、上記光学部品は耐熱性に優れるため、車載用電子機器にも使用することができる。
従って、本発明の光学装置の製造方法としては、上記光学部品の製造方法により光学部品を得、得られた光学部品をリフロー半田付けにより基板実装する方法が好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[調製例1:(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル(a−1)の合成]
95重量%硫酸70g(0.68モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)55g(0.36モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌機、温度計、および脱水剤が充填され且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに、水添ビフェノール(4,4’−ジヒドロキシビシクロヘキシル)1000g(5.05モル)、上記で調製した脱水触媒125g(硫酸として0.68モル)、プソイドクメン1500gを入れ、フラスコを加熱した。内温が115℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてプソイドクメンの沸点まで温度を上げ(内温162〜170℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。脱水触媒は反応条件下において液体であり反応液中に微分散していた。3時間経過後、ほぼ理論量の水(180g)が留出したため反応終了とした。
反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温137〜140℃にて蒸留し、731gのビシクロヘキシル−3,3’−ジエンを得た。
得られたビシクロヘキシル−3,3’−ジエン243g、酢酸エチル730gを反応器に仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を37.5℃になるようにコントロールしながら約3時間かけて30重量%過酢酸の酢酸エチル溶液(水分率:0.41重量%)274gを滴下した。
滴下終了後、40℃で1時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了時の粗液を水洗し、70℃/20mmHgで低沸点化合物の除去を行い、反応生成物270gを得た。反応生成物のオキシラン酸素濃度は15.0重量%であった。
また1H−NMRの測定では、δ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認されたため、反応生成物は(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルであることが確認された。
[調製例2:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル(a−2)の合成]
5L反応器に水酸化ナトリウム(顆粒状)499g(12.48モル)、及びトルエン727mLを加え、窒素置換した後に、テトラヒドロベンジルアルコール420g(3.74モル)のトルエン484mL溶液を添加し、70℃で1.5時間熟成した。次いで、メタンスルホン酸テトラヒドロベンジル419g(2.20モル)を添加し、3時間還流下で熟成させた後、室温まで冷却し、水1248gを加えて反応を停止し、分液した。
分液した有機層を濃縮後、減圧蒸留を行うことにより、ジテトラヒドロベンジルエーテルを無色透明液体として得た(収率:85%)。得られたジテトラヒドロベンジルエーテルの1H−NMRスペクトルを測定した。
1H-NMR(CDCl3):δ1.23-1.33(m、2H)、1.68-1.94(m、6H)、2.02-2.15(m、6H)、3.26-3.34(m、4H)、5.63-7.70(m、4H)
得られたジテトラヒドロベンジルエーテル200g(0.97モル)、20%SP−D(酢酸溶液)0.39g、及び酢酸エチル669mLを反応器に加え、40℃に昇温した。次いで、29.1%過酢酸608gを5時間かけて滴下し、3時間熟成した。その後、アルカリ水溶液で3回、イオン交換水で2回有機層を洗浄し、その後、減圧蒸留を行うことにより、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテルを無色透明液体として得た(収率:77%)。
合成例1〜3
下記表1に示す処方(単位:重量部)に従って各成分を混合して硬化性組成物を得た。合成例1で得られた硬化性組成物の粘度は120mPa・s、合成例2で得られた硬化性組成物の粘度は145mPa・s、合成例3で得られた硬化性組成物の粘度は583mPa・sであった。尚、粘度は、レオメーター(商品名「PHYSICA UDS200」、Anton Paar社製)を用い、温度25℃、せん断速度20(1/s)の条件下で測定した。
得られた硬化性組成物をシリコーンモールド(底部)に流し込み、厚みが1.0mmになるようにスペーサーを挟み込んだ。シリコーンモールド(蓋部)で型閉じを行い、UV−LED(365nm、オムロン(株)製)を照射(100mW×30秒)して前記硬化性組成物を硬化させて、合計36個の直方体状の凹部(3.6mm×3.6mm×0.8mm)が連結部を介してピッチ幅4.1mmで配列(縦6個×横6個)した結合した形状を有する硬化物(図3参照)を得た。
[転写精度評価]
得られた硬化物中の隣接する2個の凹部の中心点間の距離(ピッチ)をCNC画像測定システム(商品名「NEXIVE VMZ−3020」、(株)ニコン製)を使用して測定し、設計値(理想格子点)からのズレを計測して転写精度を評価した。
実施例1(参考例とする)[コーティング層を有する硬化物]
合成例1で得られた硬化物の凹部を有する面の反対側の表面に、凹部にあわせて、3.6mm×3.6mmのマスキングテープをピッチ幅4.1mmで貼り付けた。その後、ダイシングテープを硬化物の裏側(マスキングテープを貼り付けた面とは反対側の面)に貼り付けてから、ダイシングソー(商品名「DFD6361」、(株)ディスコ製、ダイシングブレード厚み0.1mm)を用いて、連結部を切断して硬化物を個片化し、個片化された硬化物(個片化物)(4.0mm×4.0mm×1.0mm)36個をダイシングテープ上に固定した状態で得た。
その後、個片化物の表面にコロナ処理を施して表面処理済み個片化物(以後、「コーティング前の個片化物」と称する場合がある)を得た。
白色のコーティング材として、商品名「6080」(ラブスフェア社製)を使用した。
上記のコーティング材を、得られた表面処理済み個片化物に、均一な膜厚になるようにスプレーガンを用いて噴霧した。その後、120℃で2時間乾燥することにより前記コーティング材を固化してコーティング層(1層)を有する個片化物を得た(図4参照)。
得られたコーティング層を有する個片化物について、マイクロメーター((株)ミツトヨ製)を用いて壁の厚みを測定し、コーティング前の個片化物の壁の厚みも同様に測定し、下記式からコーティング層の膜厚を算定した。
(コーティング層の膜厚)=(コーティング層を有する個片化物の壁の厚み)−(コーティング前の個片化物の壁の厚み)
[外観評価]
得られたコーティング層を有する個片化物の外観を目視で観察し、下記基準で外観を評価した。
○:泡かみ、汚れ、クラック、成型不良、液ダレ、及びコーティング不良の何れの異常も見られなかった
×:泡かみ、汚れ、クラック、及び成型不良、液ダレ、及びコーティング不良から選択される1つ以上の異常が見られた
[光学特性評価]
得られたコーティング層を有する個片化物の直後(個片化物と光源の距離は1.0mm)に配置したLED光源(個片化物を配置しない状態で下記投影板の中心照度が約100ルクスとなる照度)を用いて、光を照射した。個片化物前方1.0mに配置した投影板(1.2m×0.92m)の中心部(個片化物との正対位置)の照度、及び周辺部(中心から半径0.77mの位置にある4箇所)の平均照度を照度計(商品名「CL−200A」、コニカミノルタ(株)製)を使用して測定した。
[遮光性評価]
得られたコーティング層を有する個片化物を、セラミック基板上に設置したLED光源に被せるように配置したものを、遮光膜の開口部に配置し、LED光源を点灯した際の遮光膜の内側への光漏れの有無を目視で確認して、下記基準で遮光性を評価した(図5参照)。
○:光の漏れは観察されなかった
×:光の漏れが観察された
[耐熱性評価]
得られたコーティング層を有する個片化物の一部を切り取り、熱分析装置(商品名「TG−DTA6300」、セイコー電子工業(株)製)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱重量分析して熱分解温度(T)を測定した。尚、熱分解温度(T)とは、図6に示すように、初期の重量減少のない、或いは漸減しているところ(図中のAで示される範囲)の接線と、急激に重量減少が起こっているところ(図中のBで示される範囲)の変曲点の接線が交叉するところの温度である。
実施例3〜5(実施例4、5は参考例とする)
コーティング材、及びコーティング層厚みを表に記載の通りに変更し、コーティング材の変更に伴い、コーティング層の形成方法を下記のように変更した以外は実施例1と同様に行って、個片化物を得、外観、光学特性、遮光性、及び耐熱性を評価した。尚、実施例3、5では、コーティング層(2層)を有する個片化物を得た。
実施例2
合成例1で得られた硬化物に代えて合成例2で得られた硬化物を使用し、コーティング材、及びコーティング層厚みを表に記載の通りに変更し、コーティング材の変更に伴い、コーティング層の形成方法を下記のように変更した以外は実施例1と同様に行って、コーティング層を有する個片化物を得、外観、光学特性、遮光性、及び耐熱性を評価した。
比較例2
合成例1で得られた硬化物に代えて合成例3で得られた硬化物を使用し、コーティング材、及びコーティング層厚みを表に記載の通りに変更し、コーティング材の変更に伴い、コーティング層の形成方法を下記のように変更した以外は実施例1と同様に行って、コーティング層を有する個片化物を得、外観、光学特性、遮光性、及び耐熱性を評価した。
銀色のコーティング材としては、商品名「ハイウレックスP UNP79」(2液型)を2液を混合して使用し、80℃で10分間乾燥させ、更に100℃で1時間加熱することによりコーティング材を硬化させた。
黒色のコーティング材としては、商品名「GT-7II」(キャノン化成(株)製)を使用し、80℃で2時間乾燥させ、更に120℃で1時間加熱することによりコーティング材を硬化させた。
透明のコーティング材としては、商品名「Z−700K−2」(アイカ工業(株)製)を使用し、80℃で5分間乾燥させ、更に50mW/cm2の光を30秒照射してコーティング材を硬化させた。
比較例1
実施例1において得られたコーティング層を設ける前の硬化物(表面処理済み個片化物)について、外観、光学特性、遮光性、及び耐熱性を同様に評価した。
上記表1における略称は、以下の通りである。
<硬化性化合物>
CELLOXIDE2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、分子量252、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
(a−1):調製例1で得られた化合物、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、分子量194
(a−2):調製例2で得られた化合物、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、分子量238
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、分子量116、商品名「アロンオキセタンOXT−101」、東亞合成(株)製
YX8000:水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、分子量353、商品名「YX8000」、三菱化学(株)製
<表面改質剤>
BYK−333:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、商品名「BYK−333」、ビッグケミー・ジャパン(株)製
<カチオン重合開始剤>
CPI−101A:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、商品名「CPI−101A」、サンアプロ(株)製