JP6492869B2 - 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 - Google Patents
溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6492869B2 JP6492869B2 JP2015068084A JP2015068084A JP6492869B2 JP 6492869 B2 JP6492869 B2 JP 6492869B2 JP 2015068084 A JP2015068084 A JP 2015068084A JP 2015068084 A JP2015068084 A JP 2015068084A JP 6492869 B2 JP6492869 B2 JP 6492869B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel sheet
- rolled steel
- cold
- workability
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
車体用高強度鋼板においては、乗員を保護するために、衝撃吸収部材の変形量を抑制しつつ衝突時の吸収エネルギーを増加させうる性能が要求される。この要求に対応するには、非特許文献1に示されるように、衝撃吸収部材の材料として用いる鋼板の降伏応力を増加させることが有効である。
また、同一強度を有する鋼板の降伏応力を高める手法として、Ti、Nbなどを添加することによる析出強化を用いる方法が報告されている。しかし、析出強化を用いた鋼板は、同一強度の鋼板の中では加工性が低く、降伏応力と加工性の両立させることは困難である。
また、特許文献3には、硬質第2相より軟質である未再結晶フェライトを活用することにより、局部延性を向上させるとともに、冷延鋼板のヤング率を向上させる技術が報告されている。
また、特許文献4には、未再結晶フェライトを活用してヤング率とランクフォード値(r値)を高める技術が報告されている。
例えば、特許文献5では、DP鋼に低温域での熱処理を加え、マルテンサイトを焼戻すことでDP鋼の穴拡げ性と2次加工割れ性を高める技術が報告されている。
また、特許文献6、特許文献7でも420〜650℃の中間温度にてマルテンサイトの焼戻しを行う技術が提案され、YPの上昇が得られている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、確かに高い降伏応力と加工性を両立させうる技術が開示されてまいるものの、近年では更なる加工性の向上が要求されてきており、当該要望に応えるには、特許文献1に記載の技術では不十分である。
また、特許文献2に記載の技術は、もともと加工性の高い極低C材に特化した技術であり、一般的な低炭素鋼で同様の効果が得られるものではない。
また、特許文献3に記載の技術では、局部延性の改善は期待できても、未再結晶フェライトの結晶粒の延性が乏しいため、伸び(加工性)の改善は期待できない。
また、特許文献4に記載の技術は、比較的軟質な未再結晶フェライトを活用する技術ではあるものの、伸びの改善に関わる技術ではなく、加工性を向上させる観点からは不十分である。
また、特許文献5〜7の技術は、延性の更なる向上が望める技術ではないうえ、焼戻されたマルテンサイトを持つDP鋼は疲労特性の低下が懸念される。また、DP鋼は強度確保と組織制御のため、C添加量および合金元素の添加量が多いことから溶接性などに劣位である。
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、高い伸びと高い降伏応力とを有する溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供することを課題とする。
その結果、金属組織に含まれる未再結晶フェライト相の面積率を20%未満にし、かつ、マルテンサイト組織と近接させることで伸びを大幅に増大でき、さらに未再結晶フェライト相の強度の寄与を利用して、同一強度と比較した際、鋼中の添加元素を低減できることから、スポット溶接性を高めることが可能であることを見出した。
C :0.03%以上、0.35%以下、
Si:0.01%以上、2.00%以下、
Mn:0.3%以上、4.0%以下、
P :0.001%以上、0.100%以下、
S :0.0005%以上、0.050%以下、
N :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.01%以上、2.00%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織において、面積率で、未再結晶フェライト相を2%以上、20%未満含有し、マルテンサイト組織、焼戻しマルテンサイト組織のうち1種または2種を合計で5%以上、60%未満含有し、
引張強度に対する降伏応力の比である降伏比YRが0.7以上で、降伏応力と伸びとの積が13000N/mm 2 ・%以上であり、前記未再結晶フェライト相の結晶粒のうち、個数比で60%以上の粒が、前記マルテンサイト組織または前記焼戻しマルテンサイト相と、1μm以内の間隔で接し、下記(1)式で表されるCeq.が下記(2)式を満たすことを特徴とする溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
Ceq.=C+Si/30+Mn/20+P*2+S*4・・・(1)
0.17≦Ceq.≦0.53・・・(2)
(2) さらに、質量%で
Cr:0.05%以上、3.0%以下、
Mo:0.05%以上、1.0%以下、
Ni:0.05%以上、3.0%以下、
Cu:0.05%以上、3.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
(3) さらに、質量%で、
Nb:0.005%以上、0.30%以下、
Ti:0.005%以上、0.30%以下、
V :0.01%以上、0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
(4) さらに、質量%で、
B:0.0001%以上、0.100%以下を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
(5) さらに、鋼中に質量%で、
Ca:0.0005%以上、0.010%以下、
Mg:0.0005%以上、0.010%以下、
Zr:0.0005%以上、0.010%以下、
REM:0.0005%以上、0.010%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
(6) さらに、鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
(8) 前記冷延板焼鈍工程において、前記最高温度で30秒以上、300秒以下保持することを特徴とする上記(7)に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
(9) 前記冷却工程の後に、溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行うことを特徴とする上記(7)または(8)に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法
。
また本発明の高強度冷延鋼板は、例えば、加工が困難なことから溶接を必要と、さらに衝突吸収特性が要求されるような衝撃吸収部材の材料等などに好適である。また、本発明の高強度冷延鋼板は、例えば、衝撃吸収部材など自動車用部材の材料として用いることで、車体の軽量化、部品の一体成形化、加工工程の合理化が可能であり、燃費の向上、製造コストの低減を図ることができる。したがって、本発明は、工業的価値が大なるものである。
未再結晶フェライト相とマルテンサイト組織は相または組織を形成している粒の硬さ、延性などの特徴が大きく異なるため、未再結晶フェライト相とマルテンサイト組織の配列、面積率などで材質が大きく変わりうる。
したがって、従来の硬質相としてマルテンサイト組織を単独で利用する場合の知見から、未再結晶フェライト相を利用する際の条件は、容易に推測し得ない。加えて、未再結晶フェライト相を活用することで、比較的低いDP鋼の降伏応力(YP)も増加する。
一方で、伸びは、未再結晶フェライトの面積率に対して臨界値が存在し、面積率を20%未満に制御することで大幅に増加することを見出した。
加えて、マルテンサイト組織と未再結晶フェライト相が1μm以内に隣接することで、マルテンサイト組織の硬さに起因する変形の不均一化の効果により、隣接する未再結晶フェライト相の変形が抑えられ、さらに高い伸びが得られることを見出した。
Ceq.=C+Si/30+Mn/20+P*2+S*4 ・・・(1)
まず、鋼板特性の限定理由について述べる。
YRが0.7未満では、引張強度に対して降伏応力が低いため、伸びと降伏応力を高いレベルで両立することが困難となる。また、引張強度と降伏応力との差が低い(YRが高い)ことは、低ひずみ域の応力が高いことを意味している。低ひずみ域の応力が高いことは、鋼板を衝撃吸収部材の材料として用いた場合に、部材の衝撃吸収特性の上昇に大きく寄与する。したがって、YRは0.7以上とすることが好ましい。また、YRは、0.99以下であることが好ましい。
YP(降伏応力)の低い鋼板は、衝撃吸収特性に優れた形状に加工することで衝撃吸収特性を満たす部材(部品)とすることが可能になる。しかし、部材が衝撃吸収特性に劣る形状であったり、El(伸び)が不足して衝撃吸収特性に優れた形状に加工できなかったりする場合、鋼板(材料)のYPを高くする必要がある。すなわち、YP*Elの高い鋼板を用いることが、部品としての衝撃吸収特性を効果的に高めることにつながる。このような部品としての特性は、衝撃吸収特性に限るものではなく、疲労特性や強度特性においても同様である。
YP*Elが13000未満であると、材質の降伏応力と伸びのいずれかが不足するため、鋼板を用いた部品の特性を効果的に高めることができない。特に、高い部品特性が必要な場合は、YP*Elが13500以上あることが望ましい。
一方で、鋼板の降伏応力は、未再結晶フェライト相の面積率が低下するにしたがって、ほぼ1次関数の相関関係で低下する。
よって、鋼板の降伏応力と伸びのバランスを高めるために、金属組織の含有する未再結晶フェライト相の面積率は2%以上、20%未満とする。特に、高い伸びを有する鋼板が望まれる場合は、未再結晶フェライト相の面積率を15%以下することが望ましい。また、降伏応力が強く望まれる部材用途に用いる鋼板である場合には、未再結晶フェライト相の面積率を5%以上とすることが望ましい。
このような場合、未再結晶フェライト相の結晶粒(未再結晶粒)とマルテンサイト組織の配置を制御することにより延性が改善できる。すなわち、未再結晶粒とマルテンサイト組織のブロックが1μm以内の位置に隣接する、すなわち未再結晶粒とマルテンサイト組織のブロックの間隔を1μm以内とすることで、マルテンサイトの硬さに起因するひずみの不均一化で未再結晶粒へのひずみが抑制され、割れの起点になりにくくすることが可能である。この効果を得るには、未再結晶粒の個数比で60%以上の粒がマルテンサイト組織のブロックと1μm以内に隣接している必要がある。すなわち、マルテンサイト組織と隣接する未再結晶粒(隣接粒)が、全未再結晶粒に対し、個数比で60%以上とする。なお、隣接するマルテンサイトは焼き入れままのマルテンサイトでも焼き戻しを加えた焼き戻しマルテンサイトでも効果は同等である。
マルテンサイト組織は降伏応力を低下させるため、過剰に生成させることはYRの低下を招く。一方、上述したように、マルテンサイト組織と未再結晶粒とを隣接させることで、マルテンサイトの硬さに起因するひずみの不均一化によって未再結晶粒へのひずみが抑制され、割れの起点になりにくくする効果を有する。これらのことから、マルテンサイト、焼戻しマルテンサイトのうち1種または2種の合計で5%以上、60%未満含有させる。
本発明の高強度冷延鋼板に含まれる未再結晶フェライト相の面積率は、以下に示す方法により求めることができる。
次に、得られた結晶方位測定データをKernel Average Misorientation(KAM)法で解析し、フェライト相に含まれる未再結晶フェライトを判別し、フェライト相中の未再結晶フェライトの面積率を算出する。KAM法では、隣接したピクセル(測定点)との結晶方位差を定量的に示すことができる。本発明では、隣接する測定点との平均結晶方位差が1°以上である粒を未再結晶フェライトと定義する。
次に、高強度冷延鋼板の金属組織中のフェライト相の面積率と、フェライト相中に含まれる未再結晶フェライトの面積率とを用いて、金属組織中の未再結晶フェライトの面積率を算出する。
上記方法にて観測した未再結晶フェライト相の複数の結晶粒において、SEM観察にて観察されたマルテンサイトとの間隔(距離)を画像解析にて測定し、その間隔が1μm以内である未再結晶粒を隣接粒とする。
なお、合金化されていない溶融亜鉛めっき層では、Fe含有量が13%未満であれば、7%未満であっても溶融亜鉛めっき層を有することによる効果に影響はなく、0%であってもよい。
鋳造スラブの熱処理温度が1100℃未満では、鋳造スラブの均質化および炭窒化物の溶解が不十分となり、強度の低下や加工性の低下を起こす。一方、鋳造スラブの熱処理温度が1300℃を超えると、製造コストが増加するとともに、生産性が低下する。また、熱処理温度が1300℃を超えると、初期のオーステナイト粒径が大きくなることで最終的に混粒になりやすくなり、延性が低下する恐れがある。そこで、鋳造スラブの熱処理温度は、1100℃以上とする必要があり、1300℃未満が望ましい。
熱間圧延の仕上げ温度がAr3点を下回ると、冷間圧延での割れを誘発し、材質の低下が懸念されるため、Ar3点以上の温度で仕上げ圧延を行うことが望ましい。
冷間圧延は30%以上の圧延率で行う。冷間圧延での圧延率が30%未満であると、再結晶核の形成が起こりにくく、回復粒の粗大化によって粒成長が始まる。このため、再結晶が不十分となり、未再結晶フェライトの面積率が20%未満である金属組織を得ることが困難となる。またさらに、未再結晶粒の強度が十分に得られないため、強化への寄与得られない。なお、冷間圧延での圧延率は、未再結晶フェライトの面積率を小さくして鋼板の伸びをより一層向上させるために、40%以上であることが好ましい。
冷延板焼鈍工程は、本発明の高強度冷延鋼板の金属組織を作りこむうえで、最も重要な工程である。冷延板焼鈍工程における最大到達温度(最高温度)は、再結晶温度に対して管理される。すなわち、最大到達温度を、再結晶温度以下、(再結晶温度−30)℃以上とする必要がある。最大到達温度が、再結晶温度を超えると、未再結晶フェライト相を残存させることが困難となる。最大到達温度は、未再結晶フェライトの面積率を確保しやすくするために、再結晶温度の−10℃以下であることがより好ましい。また、最大到達温度が、再結晶温度−30℃未満であると、未再結晶フェライト相が残存しすぎて伸びの著しい劣化が起こる。
所定の成分組成、熱延鋼板の結晶粒径、冷間圧延での圧延率で作成した冷延鋼板(冷延まま材)を、ディラトメータにて10℃/sの昇温速度で加熱し、種々の到達温度に達したところで冷却を行って試験体とする。本実施形態では、到達温度を10℃以下のピッチで変化させて、到達温度の異なる複数の試験体を作成する。得られた各試験体の未再結晶フェライト相の面積率を、上述した「未再結晶フェライト相の面積率の算出方法」を用いて調べる。そして、再結晶フェライト相の面積率が98%以上であった試験体の到達温度の最高温度を、再結晶温度とする。
この冷却工程では、冷却中の組織変化による材質劣化を抑制するため、1℃/秒以上の平均速度で冷却する必要がある。また、200℃/秒を超える平均冷却速度としても、高強度冷延鋼板の特性が大きく変わることはなく、冷却停止温度の精度の低下および冷却コストの増大を生み出す。このため、平均冷却速度の上限を200℃/秒とする。
また、この冷却工程のうち、700℃から400℃まで変態ノーズにかかる温度域においては、平均冷却速度を5℃/s以上とする必要がある。これは、組織中のマルテンサイトを十分に確保するうえで重要である他、パーライトの過剰な形成による延性劣化を抑制することができる。延性を高く保つためには10℃/s以上が望ましい。なお、700℃から400℃間の平均冷却速度は実測によって求めても良いが、計算や経験による推測値であっても、精度が高いものであれば構わない。例えば、実測値にて補正された計算値を用いることが出来る。
さらに、本実施形態では、溶融亜鉛めっきを施した後に、合金化処理を行ってもよい。合金化処理を行う場合には、600℃以下の温度で行うことが好ましい。合金化処理の温度を600℃以下とした場合、冷却工程後の鋼板の金属組織が、合金化処理を行うことによって変化することを抑制でき、好ましい。
表1において、符号A〜Lの鋼は、成分組成が本発明を満たしている。符号aの鋼はCとCaの含有量、符号bの鋼はMnとPの含有量、符号cの鋼はNbの含有量、符号dの鋼はCの含有量、符号eの鋼はSiとSの含有量、符号fの鋼はNとTiの含有量が、それぞれ本発明の範囲外である。
表2および表3における鋼の符号は、アルファベットが表1に示す鋼の種類を表し、数字が実施例の番号を表す。例えば「A1」とあるのは、表1の鋼Aを用いた1番目の実施例であることを意味する。
表1〜3においては、本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
表2に、鋳造スラブ加熱温度(加熱温度)、冷間圧延の圧延率(冷延率)、冷延板焼鈍工程の「再結晶温度−最高到達温度(最高温度)」、最高温度での保持時間、冷却工程での平均冷却速度(冷却速度)、700℃〜400℃間の平均冷却速度(冷却速度)、冷却停止温度を示す。
表2に、溶融亜鉛めっき層の有無を示す。なお、「*」印を付した試験No.B3、D3、G1は、合金化処理を施した例である。
更に、冷延板焼鈍工程における保持時間を30〜300秒とし、隣接粒比率が60%以上であって供試体(表3の備考における発明鋼1)は、更に優れたYP*Elを示した。
一方、比較鋼は、YP*Elが発明鋼1および発明鋼2と比較して劣位であった。
本発明鋼1は本発明鋼2より高いYP*Elを示し、また、本発明鋼は比較鋼に比べ、溶接性の指標であるCeq.に対して高いYP*Elを示すことがわかる。
Claims (9)
- 質量%で、
C :0.03%以上、0.35%以下、
Si:0.01%以上、2.00%以下、
Mn:0.3%以上、4.0%以下、
P :0.001%以上、0.100%以下、
S :0.0005%以上、0.050%以下、
N :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.01%以上、2.00%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織において、面積率で、未再結晶フェライト相を2%以上、20%未満含有し、マルテンサイト組織、焼戻しマルテンサイト組織のうち1種または2種を合計で5%以上、60%未満含有し、
引張強度に対する降伏応力の比である降伏比YRが0.7以上で、降伏応力と伸びとの積が13000N/mm 2 ・%以上であり、
前記未再結晶フェライト相の結晶粒のうち、個数比で60%以上の粒が、前記マルテンサイト組織または前記焼戻しマルテンサイト相と、1μm以内の間隔で接し、下記(1)式で表されるCeq.が下記(2)式を満たすことを特徴とする溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
Ceq.=C+Si/30+Mn/20+P*2+S*4・・・(1)
0.17≦Ceq.≦0.53・・・(2) - さらに、質量%で
Cr:0.05%以上、3.0%以下、
Mo:0.05%以上、1.0%以下、
Ni:0.05%以上、3.0%以下、
Cu:0.05%以上、3.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。 - さらに、質量%で、
Nb:0.005%以上、0.30%以下、
Ti:0.005%以上、0.30%以下、
V :0.01%以上、0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。 - さらに、質量%で、
B:0.0001%以上、0.100%以下を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。 - さらに、鋼中に質量%で、
Ca:0.0005%以上、0.010%以下、
Mg:0.0005%以上、0.010%以下、
Zr:0.0005%以上、0.010%以下、
REM:0.0005%以上、0.010%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。 - さらに、鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の高強度冷延鋼板の製造方法であって、鋳造スラブを1100℃以上に加熱し、熱間圧延を実施し、酸洗を行った後、30%以上の圧延率で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼板を再結晶温度以下、再結晶温度−30℃以上の最高温度にて焼鈍する冷延板焼鈍工程を行った後、平均冷却速度を1℃/秒以上、200℃/秒以下として350℃以下の冷却停止温度まで冷却する冷却工程を行う際、700℃から400℃までの温度域では、平均冷却速度を5℃/s以上とすることを特徴とする溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
- 前記冷延板焼鈍工程において、前記最高温度で30秒以上、300秒以下保持することを特徴とする請求項7に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
- 前記冷却工程の後に、溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行うことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015068084A JP6492869B2 (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015068084A JP6492869B2 (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016188395A JP2016188395A (ja) | 2016-11-04 |
JP6492869B2 true JP6492869B2 (ja) | 2019-04-03 |
Family
ID=57239587
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015068084A Active JP6492869B2 (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6492869B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102398709B1 (ko) | 2017-10-20 | 2022-05-16 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판 및 그 제조 방법 |
EP3653745A4 (en) | 2017-10-20 | 2020-07-15 | JFE Steel Corporation | HIGH-STRENGTH STEEL SHEET AND MANUFACTURING METHOD THEREOF |
EP3889282B1 (en) | 2019-01-30 | 2024-03-20 | JFE Steel Corporation | High-strength steel sheet and method for producing the same |
KR102698066B1 (ko) * | 2019-07-31 | 2024-08-23 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판, 고강도 부재 및 그것들의 제조 방법 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5347739B2 (ja) * | 2009-06-11 | 2013-11-20 | 新日鐵住金株式会社 | 析出強化型複相冷延鋼板の製造方法 |
JP5860354B2 (ja) * | 2012-07-12 | 2016-02-16 | 株式会社神戸製鋼所 | 降伏強度と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
JP5860373B2 (ja) * | 2012-09-20 | 2016-02-16 | 株式会社神戸製鋼所 | 降伏強度と温間成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
US20140147329A1 (en) * | 2012-11-28 | 2014-05-29 | Hyun Jo Jun | High silicon bearing dual phase steels with improved ductility |
JP6179674B2 (ja) * | 2014-10-30 | 2017-08-16 | Jfeスチール株式会社 | 高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、高強度溶融アルミニウムめっき鋼板および高強度電気亜鉛めっき鋼板、ならびに、それらの製造方法 |
-
2015
- 2015-03-30 JP JP2015068084A patent/JP6492869B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016188395A (ja) | 2016-11-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5857909B2 (ja) | 鋼板およびその製造方法 | |
JP5765092B2 (ja) | 延性と穴広げ性に優れた高降伏比高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
TWI472627B (zh) | 加工性優良的高強度鋼板的製造方法 | |
JP4737319B2 (ja) | 加工性および耐疲労特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP5333298B2 (ja) | 高強度鋼板の製造方法 | |
JP5194841B2 (ja) | 成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP5786316B2 (ja) | 加工性および耐衝撃特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP6354919B1 (ja) | 薄鋼板およびその製造方法 | |
JP5339005B1 (ja) | 合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP6696209B2 (ja) | 高強度鋼板の製造方法 | |
CN107709598A (zh) | 高强度冷轧钢板、高强度热浸镀锌钢板、以及高强度合金化热浸镀锌钢板 | |
CN108779536B (zh) | 钢板、镀覆钢板和它们的制造方法 | |
WO2019186989A1 (ja) | 鋼板 | |
JP2017048412A (ja) | 溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、およびそれらの製造方法 | |
US20200010915A1 (en) | Hot press-formed member having excellent crack propagation resistance and ductility, and method for producing same | |
TW201323625A (zh) | 加工性優異之高強度鋼板及其製造方法 | |
JP6540245B2 (ja) | 形状凍結性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP6601253B2 (ja) | 高強度鋼板 | |
JP6620431B2 (ja) | 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP6384623B2 (ja) | 高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP6696208B2 (ja) | 高強度鋼板の製造方法 | |
US11643701B2 (en) | High-strength hot-dip galvanized steel sheet and manufacturing method therefor | |
EP4223892A1 (en) | Steel sheet and steel sheet manufacturing method | |
JP6492869B2 (ja) | 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 | |
CN113195772A (zh) | 弯曲加工性优异的高强度冷轧钢板及其制造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20171106 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20181019 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20181106 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181127 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190118 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190205 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190218 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6492869 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |