JP6492793B2 - 鋼材および土中埋設用鋼構造物ならびに鋼材の製造方法 - Google Patents
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Fn1=(Mm+Mf)/(Mw+Mh) ・・・(i)
ただし、上記(i)式中の各記号の意味は以下の通りである。
Mm:前記スケール中のマグネタイト含有量(質量%)
Mf:前記スケール中のファイアライト含有量(質量%)
Mw:前記スケール中のウスタイト含有量(質量%)
Mh:前記スケール中のヘマタイト含有量(質量%)
Fn2=([Cr]+[Sn])/[Si] ・・・(ii)
ただし、上記(ii)式中の各記号の意味は以下の通りである。
[Cr]:前記スケール中のCr含有量(質量%)
[Sn]:前記スケール中のSn含有量(質量%)
[Si]:前記スケール中のSi含有量(質量%)
前記鋼材の化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.20%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.3〜2.5%、
P:0.01%以下、
S:0.01%以下、
Cr:3.0〜5.0%、
Sn:0.01〜0.30%、
Al:0.005〜0.05%、
N:0.0005〜0.01%、
Mo:0〜0.5%、
W:0〜0.5%、
Ti:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記スケールが、マグネタイト、ファイアライト、ウスタイトおよびヘマタイトが積層または一部混合した構造であり、
前記スケールの厚さが5〜50μmであり、
下記(i)式および(ii)式で表されるFn1およびFn2が、それぞれ、0.15<Fn1<0.35、および9.0<Fn2<23.0である鋼材。
Fn1=(Mm+Mf)/(Mw+Mh) ・・・(i)
Fn2=([Cr]+[Sn])/[Si] ・・・(ii)
ただし、上記(i)式および(ii)式中の各記号の意味は以下の通りである。
Mm:前記スケール中のマグネタイト含有量(質量%)
Mf:前記スケール中のファイアライト含有量(質量%)
Mw:前記スケール中のウスタイト含有量(質量%)
Mh:前記スケール中のヘマタイト含有量(質量%)
[Cr]:前記スケール中のCr含有量(質量%)
[Sn]:前記スケール中のSn含有量(質量%)
[Si]:前記スケール中のSi含有量(質量%)
(P1)上記(1)に記載の化学組成を有するスラブを1100〜1300℃に加熱する工程、
(P2)前記加熱したスラブの表面に形成されたスケールを除去する工程、
(P3)前記スラブを、少なくとも粗圧延機および仕上圧延機を備える圧延機群によって、粗圧延開始温度1000℃以上、仕上圧延完了温度950〜800℃で熱間圧延するに際し、前記粗圧延機の出側および前記仕上圧延機での圧延の初期段階において、水圧が10MPa以上、かつ、噴射流量が20〜300L/minの水を噴射することによって圧延中の鋼材の表面に形成されたスケールを除去する工程、
(P4)仕上圧延完了後5s以内に、得られた熱延鋼材の冷却を開始し、注水ゾーンにおいて25℃/s以上の平均冷却速度で650〜500℃の温度範囲の温度T1まで冷却する工程、
(P5)前記冷却した熱延鋼材を650〜500℃の温度範囲の温度T2でコイル状に巻き取る工程、
(P6)前記コイル状の熱延鋼材を、650〜500℃の温度範囲の温度T3から300〜150℃の温度範囲の温度T4まで、0.005〜0.1℃/sの平均冷却速度で10h以上かけて放冷する工程。
本発明の鋼材の化学組成の限定理由は次のとおりである。以下の説明において各元素の含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、鋼材の強度を確保するために必要な元素であり、0.01%以上含有させる必要がある。しかし、C含有量が0.20%を超えると溶接性が著しく低下する。また、C含有量の増大とともにセメンタイトの生成量が増大する。セメンタイトは、pHが低下する環境においてカソードとなって鋼材の腐食を促進するため、酸性硫酸塩を含む土壌で使用した場合の鋼材の耐食性が低下する。このため、C含有量は、0.01〜0.20%とする。C含有量は、0.05%以上が好ましい。また、C含有量は、0.18%以下が好ましく、0.16%以下がより好ましい。
Siは、鋼材の強度確保およびファイアライトの形成に必要な元素である。Si含有量が0.01%未満であると、鋼材の強度が低下するとともに、ファイアライトが形成され難い。一方、Si含有量が1.0%を超えると、加熱炉で鋼材を加熱する際に形成される1次スケールおよび加熱後の熱間圧延中に形成される2次スケール中でのファイアライト(Fe2SiO4)量が過剰となる。1次スケールおよび2次スケールは、スケール除去工程(以下「デスケーリング」ともいうことがある。)により大部分が除去されるものの、鋼材表面に密着したスケールは除去されず残存するので、ファイアライトの形成量が過剰であると、後述のFn2の値が本発明の規定を満足しなくなる。また、Si含有量が1.0%を超えると、スケールと鋼材との界面にSiが濃化して、スケールの密着性が低下する。このため、Si含有量は、0.01〜1.0%とする。Si含有量は、0.05%以上が好ましく、0.35%以下が好ましい。
Mnは、鋼材の強度上昇に必要な元素である。Mn含有量が0.3%未満であると、十分な強度を確保することが困難となる。一方、Mn含有量が2.5%を超えると、鋼材の加工性を維持することが困難となる。このため、Mn含有量は0.3〜2.5%とする。Mn含有量は、0.4%以上が好ましく、2.0%以下が好ましい。
Pは、鋼材の強度上昇に有効であり、かつ耐食性向上に有益な元素である。そのため、従来からPは耐食性鋼材において活用されていた。しかし、酸性土壌のように、pHが低下する環境においては、Pを単独で鋼に含有させると逆に耐食性の低下を招く。また、Pは、鋼材製造時にスラブを脆化させ、割れを生じさせる原因となるため、極力含有させない元素ともされている。しかしながら、Pは、Snと共存させることにより、酸性土壌環境でも鋼材の耐食性を向上させる。これは、Snを含有することにより、Feの溶出が抑制される結果、Pがさび層に保護性を付与するためと考えられる。ただし、P含有量が0.01%を超えると脆化が顕著となるため、P含有量は0.01%以下とする。P含有量は、0.008%以下が好ましい。一方、さび層に保護性を付与する効果を得る場合には、P含有量を0.001%以上とするのが好ましい。
Sは、Mnと結合して硫化物であるMnSを形成する。MnSは変形しやすく、鋼材を圧延した場合には、鋼材中において伸張した状態で存在し、鋼材の曲げ性、加工性を劣化させる。特に高強度鋼材において、Sは割れ感受性を高めるため、できる限り低減することが好ましい。このため、S含有量は0.01%以下とする。S含有量は、0.005%以下が好ましい。
Crは、大気環境等の中性環境における鋼材の耐食性を向上させる元素である。しかし、上述のように、非特許文献1によれば、酸性硫酸塩を含む酸性土壌環境では、Crが鉄の溶解反応を促進するため、Crを含有する鋼材は腐食が促進される場合がある。なお、高温環境では、Crを含有する鋼材の表面に形成されるスケールは、Crが濃化して鋼材との密着性が高いため、デスケーリングを行った後で、スケールとして鋼材の表面に残存する。このスケールは中性環境では耐食性が高い。また、鋼材表面のスケールが一部剥離して母材が露出した場合に、スケールと露出した母材との間に生じる電位差は、鋼中のCr含有量が高いほど小さくなる。そのため、Crを含有させることにより、鋼材の局所的な腐食の発生を抑制することができる。以下では、スケールとスケールが一部剥離して露出した母材との間の電位差に起因する鋼材の局所的な腐食を「局所腐食」といい、このスケールと母材との間の電位差を「腐食電位差」という。
Snは、塩化物を含む大気環境、および酸性環境における鋼材の耐食性を向上させる元素である。Sn含有量が0.01%未満であると、酸性環境における局所腐食の発生を抑制することができない。一方、Sn含有量が0.30%を超えると、高温環境において鋼材表面にSnを含むスケールが形成されやすくなる。また、この場合、スケールに含まれるSnは、スケールと鋼材の母材表面との界面に過剰に濃化し、後述するFn1が0.35以上となるため、スケールと母材表面との密着性を低下させる。このため、Sn含有量は、0.01〜0.30%とする。Sn含有量は、0.05%以上が好ましく、0.20%以下が好ましい。
Alは、鋼の耐食性を向上させる元素であり、その効果を得るにはAl含有量を0.005%以上とする必要がある。一方、Al含有量が0.05%を超えると、上記の効果は飽和する。このため、Al含有量は、0.005〜0.05%とする。なお、Alを多量に含有させると鋼材が脆化しやすくなるため、Al含有量は0.03%以下とするのが好ましい。また、Al含有量は、0.01%以上が好ましい。本発明のAl含有量とは、酸可溶Al(所謂「sol.Al」)を指す。
鋼材に含有されるNは、アンモニアとなって鋼材に接する水分に溶解し、飛来塩分量が多い環境において、Fe3+の加水分解によるpH低下を抑制する。そのため、Nは、塩分環境における鋼材の耐食性を向上させる効果を有する。この効果を得るには、N含有量を0.0005%以上とする必要がある。一方、N含有量が0.01%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、鋼材の靱性を劣化させる。このため、N含有量は、0.0005〜0.01%とする。
W:0〜0.5%
Ti:0〜0.5%
これらの元素は、いずれも鋼材の耐食性を向上させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、それぞれの元素の含有量が0.5%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが増大する。このため、それぞれの元素の含有量は0.5%以下とする。一方、耐食性を向上させる効果を得るには、それぞれの元素の含有量を0.01%以上とすることが好ましい。なお、これらの元素のうち2種以上を複合して含有させる場合には、その合計含有量は1.0%以下とするのが好ましい。
本発明の鋼材は、表面にスケールが形成されており、当該スケールは、マグネタイト、ファイアライト、ウスタイトおよびヘマタイトが積層または一部混合した構造からなる。スケール中の各酸化物の組成は、下記(i)式で表されるFn1が0.15<Fn1<0.35を満足する。
Fn1=(Mm+Mf)/(Mw+Mh) ・・・(i)
ただし、上記(i)式中の各記号の意味は以下の通りである。
Mm:スケール中のマグネタイト含有量(質量%)
Mf:スケール中のファイアライト含有量(質量%)
Mw:スケール中のウスタイト含有量(質量%)
Mh:スケール中のヘマタイト含有量(質量%)
Fn2=([Cr]+[Sn])/[Si] ・・・(ii)
ただし、上記(ii)式中の各記号の意味は以下の通りである。
[Cr]:スケール中のCr含有量(質量%)
[Sn]:スケール中のSn含有量(質量%)
[Si]:スケール中のSi含有量(質量%)
本発明の鋼材の製造方法については特に制限を設けないが、上記で説明した化学組成を有する鋼を、例えば以下に示す工程(P1)〜(P6)を含むように、加熱、熱間圧延、および巻き取りを行うことによって製造することができる。この製造方法を以下に詳しく説明する。
製造されたスラブを加熱する。加熱温度は1100〜1300℃とする。加熱温度が1100℃未満であると、十分にスラブを加熱することができないことがあり、また、工程(P2)のデスケーリングでスラブの表面が冷却され、工程(P3)の粗圧延開始温度を確保することができないことがある。また、加熱温度が1300℃を超えると、CrおよびSiを含有する密着性の高いスケールが形成されるが、このスケールは圧延時にロール疵の原因となり、鋼材の表面性状を劣化させる。均熱は、鋼板表面温度と鋼板内部の温度差が40℃以下となるまで行うのがよい。均熱時間は、設備仕様に従い、上記の条件を満足するのに十分な時間とすればよい。好ましくは1時間以上である。
加熱したスラブ表面に形成された1次スケールを除去する。このデスケーリングは1回に限られず、必要に応じて複数回行ってもよい。また、水圧および噴射流量については、通常採用される範囲でよく、鋼材の材質などの条件により1次スケールを除去できる条件を適宜選択すればよい。デスケーリングには、例えば高圧水によるスケール除去装置をスケールブレーカーとして使用することができる。
加熱後にデスケーリングを施したスラブは、少なくとも粗圧延機および仕上圧延機を備える圧延機群によって、粗圧延開始温度1000℃以上、仕上圧延完了温度950〜800℃で熱間圧延するに際し、粗圧延機の出側および仕上圧延機での圧延の初期段階において、水圧が10MPa以上、かつ、噴射流量が20〜300L/minの水を噴射することによって圧延中の鋼材の表面に形成されたスケールを除去する。このデスケーリングにより、粗圧延時にスラブの表面に形成された2次スケールのうち、密着性の高いスケール以外は除去される。
得られた熱延鋼材は、仕上圧延を完了した後5s以内に冷却を開始し、注水ゾーンにおいて25℃/s以上の平均冷却速度で650〜500℃の温度範囲の温度T1まで冷却する。冷却開始が仕上圧延完了後5sを超えると、熱間圧延により導入された転位の回復が起こり、フェライト変態の核が不足するため、結晶粒が粗大化し、鋼材の靱性が低下するおそれがあり、また、スケールが厚くなりすぎる。仕上圧延後の冷却速度が25℃/s未満であると、パーライト組織およびフェライト組織が生成し、硬質組織と軟質組織とが混在するため、鋼材の材質にばらつきが生じるおそれがある。また、スケールが厚くなりすぎるとともに、スケールが一部剥離した場合にはその剥離部に侵入した水分が蒸発し、スケールの膨れの要因となる。一方、仕上圧延後の冷却速度が100℃/sを超えると、マルテンサイト組織となりやすく、鋼材の靱性が劣化するおそれがあるため、冷却速度は100℃/s以下が好ましい。T1が650℃を超えるとスケールの変態が進行し、Fn1の値が0.15以下となり、スケールの密着性が低くなる。また、スケールの変態の進行によりFn2の値が23.0以上となり、腐食電位差が40mVを超え、局所腐食が促進される。一方、T1が500℃を下回ると、鋼材をコイル状に巻き取るのが難しくなること、スケールの変態温度域での鋼材の温度制御が難しくなること、さらには鋼材の巻き取り時に、鋼材の表面に形成されたスケールが剥離して表面性状が不均一となること等の問題が生じる。
冷却した熱延鋼材は、650〜500℃の温度範囲の温度T2でコイル状に巻き取る。T2が650℃を超えると、低温変態層が十分に生成せず、鋼材の強度を十分に高めることができない。一方、T2が500℃未満であると、鋼材に形状不良が生じるおそれがある。また、T2が500℃未満である場合、鋼材を巻き取る前にスケールの変態が進行し、Fn1の値が0.35以上となるとともに、Fn2の値が23.0以上となり、スケールの密着性が低下する。
コイル状に巻き取った熱延鋼材を、650〜500℃の温度範囲の温度T3から300〜150℃の温度範囲の温度T4まで、0.005〜0.1℃/sの平均冷却速度で10h以上かけて放冷する。上記平均冷却速度で10h以上かけてT3からT4まで放冷することにより、スケール中でSnを十分に拡散させることができる。T3が650℃を超えるとコイル中でスケールが成長し、鋼材の表面性状が不均一となる。一方、T3が500℃を下回ると変態温度域での鋼材の温度制御が難しくなるとともに、鋼材の表面性状が不均一となり、また、スケールの密着性が低くなる。
作製方法D:工程(P1)におけるスラブの加熱温度が1300℃を超え、加熱炉でCrおよびSiを含有する密着性の高いスケールが成長した。しかし、このスケールは圧延時にロール疵の原因となることが分かったため、以降の工程を中止した。
作製方法E:工程(P1)におけるスラブの加熱温度が1100℃未満であったため、所定の時間(2.5h)内に十分にスラブの加熱ができなかった。また、加熱後のデスケーリングによりスラブの表面が冷却され、粗圧延開始温度が1000℃未満となった。
作製方法F〜H:工程(P1)におけるスラブの加熱により、CrおよびSiを含有する密着性の高いスケールが成長した。このスケールは、工程(P2)で水圧10MPa以上、噴射水量40L/min以上としたデスケーリングを3回以上行わなければ十分に除去できなかった。作製方法F〜Hでは、水圧、噴射水量またはデスケーリング回数のいずれかがこれらの条件を満たしておらず、スラブ表面にスケールが残存し、このスケールは、その後の圧延でロール疵の原因となった。
作製方法I:工程(P3)における仕上圧延完了温度が950℃を超えていた。
作製方法J:工程(P4)における熱延鋼板の冷却を開始するまでの時間が、仕上圧延完了後5sを超えていた。
作製方法K:工程(P4)における冷却停止温度T1までの冷却速度が25℃/s未満であった。
作製方法L:工程(P4)における冷却停止温度T1が650℃を超えていた。
作製方法M:工程(P5)における熱延鋼板の巻き取り温度T2が500℃未満であり、工程(P6)の温度T4が150℃未満であった。
作製方法N:工程(P6)における温度T3からT4までの平均冷却速度が0.1℃/sを超えており、放冷時間が10h未満であった。
作製方法O:工程(P6)における温度T3からT4平均冷却速度が0.005℃/s未満であった。
試験片表面のスケールをハンマーおよびカッターナイフで、母材が確認できる深さまで採取し、採取したスケールを粉砕して粉末試料とした。この粉末試料について、粉末X線回折法(内部標準法)を適用することにより、マグネタイト、ファイアライト、ウスタイトおよびヘマタイトの含有量(質量%)、すなわちMm、Mf、MwおよびMhを測定した。この測定結果を用いて下記(i)式で表されるFn1の値を算出した。
Fn1=(Mm+Mf)/(Mw+Mh) ・・・(i)
試験片表面のスケールを、ハンマーを用いて剥離させ、剥離したスケールを王水で化学溶解してICPで分析することにより、スケール中のCr、SnおよびSi含有量(質量%)、すなわち[Cr]、[Sn]および[Si]を測定した。この測定結果を用いて下記(ii)式で表されるFn2の値を算出した。
Fn2=([Cr]+[Sn])/[Si] ・・・(ii)
JIS K 5600:1999に規定されるデュポン式の衝撃試験により、スケールの密着性を調査した。具体的には、各試験片に対して、500gのおもりを200mmの高さから落下させ、スケールの破損状況を目視で判断した。スケールに割れまたは剥離がなければ「○」(スケールの密着性が良好である)と評価し、スケールに割れまたは剥離があれば「×」(スケールの密着性が不良である)と評価した。
直径3mmのドリルを用いて試験片の表面に、深さ1mmの穴を設けた。この試験片について、塩酸を用いてpHを2.0に調整した0.003%NaCl水溶液中で、走査型参照電極を用いてスケールと母材との間の電位差(腐食電位差)を測定した。これは、鋼材表面のスケールが一部剥離した部分における局所腐食を模したものである。
硫酸でpHを1.0に調整した0.5MのNa2SO4水溶液に、試験片を24時間浸漬した。浸漬前後において試験片の質量を測定した。これらの質量の測定結果を用いて算出した、酸浸漬による質量の減少量を、1年間(365日)当たりの腐食量(単位:mm/y)に換算した。
カオリン粘土(カオリン70質量%、水30質量%)に、酸性硫酸塩として、硫酸鉄(II)(FeSO4)を含有させた試験粘土を作製した。含有させた硫酸鉄(II)は、カオリン粘土の質量の5%とした。試験粘土は、深さ30cmの試験槽内に詰め込み、1日間上部から荷重をかけて締め固めて試験土壌とした。
Claims (3)
- 表面にスケールが形成された鋼材であって、
前記鋼材の化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.20%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.3〜2.5%、
P:0.01%以下、
S:0.01%以下、
Cr:3.0〜5.0%、
Sn:0.01〜0.30%、
Al:0.005〜0.05%、
N:0.0005〜0.01%、
Mo:0〜0.5%、
W:0〜0.5%、
Ti:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記スケールが、マグネタイト、ファイアライト、ウスタイトおよびヘマタイトが積層または一部混合した構造であり、
前記スケールの厚さが5〜50μmであり、
下記(i)式および(ii)式で表されるFn1およびFn2が、それぞれ、0.15<Fn1<0.35、および9.0<Fn2<23.0である鋼材。
Fn1=(Mm+Mf)/(Mw+Mh) ・・・(i)
Fn2=([Cr]+[Sn])/[Si] ・・・(ii)
ただし、上記(i)式および(ii)式中の各記号の意味は以下の通りである。
Mm:前記スケール中のマグネタイト含有量(質量%)
Mf:前記スケール中のファイアライト含有量(質量%)
Mw:前記スケール中のウスタイト含有量(質量%)
Mh:前記スケール中のヘマタイト含有量(質量%)
[Cr]:前記スケール中のCr含有量(質量%)
[Sn]:前記スケール中のSn含有量(質量%)
[Si]:前記スケール中のSi含有量(質量%) - 請求項1に記載の鋼材を用いた土中埋設用鋼構造物。
- 下記工程(P1)〜(P6)を含む、請求項1に記載の鋼材の製造方法。
(P1)請求項1に記載の化学組成を有するスラブを1100〜1300℃に加熱する工程、
(P2)前記加熱したスラブの表面に形成されたスケールを除去する工程、
(P3)前記スケール除去後のスラブを、少なくとも粗圧延機および仕上圧延機を備える圧延機群によって、粗圧延開始温度1000℃以上、仕上圧延完了温度950〜800℃で熱間圧延するに際し、前記粗圧延機の出側および前記仕上圧延機での圧延の初期段階において、水圧が10MPa以上、かつ、噴射流量が20〜300L/minの水を噴射することによって圧延中の鋼材の表面に形成されたスケールを除去する工程、
(P4)仕上圧延完了後5s以内に、得られた熱延鋼材の冷却を開始し、注水ゾーンにおいて25℃/s以上の平均冷却速度で650〜500℃の温度範囲の温度T1まで冷却する工程、
(P5)前記冷却した熱延鋼材を650〜500℃の温度範囲の温度T2でコイル状に巻き取る工程、
(P6)前記コイル状の熱延鋼材を、650〜500℃の温度範囲の温度T3から300〜150℃の温度範囲の温度T4まで、0.005〜0.1℃/sの平均冷却速度で10h以上かけて放冷する工程。
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