JP6483230B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、高い難燃性を達成するため、ハロゲン系難燃剤(特に臭素系難燃剤)又は燐系難燃剤とアンチモン化合物を配合した各種の樹脂組成物が提案されている(特許文献1〜4参照)。
すなわち、本発明は、以下の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
[2]前記マスターバッチは、他の原料とは別に設けた専用のフィーダーから押出機に供給される上記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[3]熱可塑性樹脂(I)が、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の混合物又は熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びスチレン系樹脂の混合物である上記[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[4]熱可塑性樹脂(II)が、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体及びポリオレフィン樹脂から選ばれる上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[5]熱可塑性樹脂(I)がポリブチレンテレフタレート樹脂を含むものであり、熱可塑性樹脂(II)は固有粘度が0.7〜1.2dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[6]臭素系難燃剤を、熱可塑性樹脂(I)及び(II)の合計100質量部に対し、1〜30質量部含有する上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
なお、本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂にアンチモン化合物を含有する熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、熱可塑性樹脂(I)に、アンチモン化合物を40〜90質量%含有し熱可塑性樹脂(I)と同じ又は異なる種類の熱可塑性樹脂(II)とからなるマスターバッチを、熱可塑性樹脂組成物100質量%中2〜10質量%配合し、溶融混練して、熱可塑性樹脂(I)及び(II)の合計100質量部に対して、アンチモン化合物の含有量を1〜15質量部とすることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に用いるアンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb2O3)、五酸化アンチモン(Sb2O5)、アンチモン酸ナトリウム等が好ましく挙げられるが、特に、三酸化アンチモンが好ましい。
本発明において、アンチモン化合物は、熱可塑性樹脂組成物の構成成分である熱可塑性樹脂(I)と同種又は異なる種類の熱可塑性樹脂(II)と混合されてマスターバッチ化されたものとして使用される。この際、マスターバッチにおけるアンチモン化合物の含有量は、熱可塑性樹脂(II)とアンチモン化合物の合計100質量%基準で、20〜90質量%とする。
熱可塑性樹脂組成物の主成分として使用する熱可塑性樹脂(I)及びアンチモン化合物をマスターバッチ化するために使用する熱可塑性樹脂(II)としては、熱可塑性の樹脂であれば制限はないが、その種類等については後述する。
溶融混練の方法としては、単軸又は二軸押出機型混練機、混練ロールもしくはカレンダーロールなどの連続式混練機、又は、加圧ニーダー、バンバリーミキサーなどの公知の混練機を用いる方法等が挙げられる。中でも二軸押出機を使用することが好ましい。
また、溶融混練の際には、予め熱可塑性樹脂(II)を、乾燥することも好ましい。乾燥としては熱風乾燥が好ましく、その温度は好ましくは100〜140℃、より好ましくは110〜130℃で、乾燥時間は、好ましくは1〜5時間、より好ましくは2〜4時間である。
この際、溶融混練機としては、二軸押出機を用いることが好ましい。中でも、スクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、10<(L/D)<100の関係を満足することが好ましく、15<(L/D)<70を満足することがより好ましい。かかる比が10以下では、熱可塑性樹脂(II)とアンチモン化合物が微分散しにくく、逆に100を超えても熱可塑性樹脂が分解しやすくなり好ましくない。
マスターバッチ中のアンチモン化合物の含有量は、熱可塑性樹脂(II)とアンチモン化合物の合計100質量%基準で、好ましくは30〜85質量%であり、より好ましくは40〜80質量%である。
熱可塑性樹脂(II)とアンチモン化合物とのマスターバッチは、熱可塑性樹脂組成物の構成成分となる熱可塑性樹脂(I)に配合され、溶融混練して難燃性の熱可塑性樹脂組成物とされる。
この際、アンチモン化合物マスターバッチは、他の原料とは別に設けた専用のフィーダーから押出機に供給することが好ましい。アンチモン化合物マスターバッチは、他の難燃剤や添加剤と混合して同じフィーダーから供給するのではなく、独立した専用のフィーダーから供給することが、分級が抑制され、難燃性、耐衝撃性が良好となり、ばらつきも少ない点から好ましい。
アンチモンマスターバッチを専用のフィーダーから供給する場合は、押出機のホッパーに、専用のフィーダーから他の原料と同時にフィードしてもよいし、押出機の途中にフィードしてもよい。押出機の途中にフィードする場合は、ニーディングゾーンよりもホッパー側にフィードすることが好ましい。
この際、溶融混練機としては、二軸押出機を用いることが好ましい。中でも、スクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、10<(L/D)<150の関係を満足することが好ましく、15<(L/D)<100を満足することがより好ましい。かかる比が10以下では、熱可塑性樹脂(I)とアンチモン化合物や他の難燃剤が微分散しにくく、逆に150を超えても他の難燃剤の熱劣化が著しくなり、遊離化合物によるガスの問題が発生したり、熱劣化することにより樹脂組成物の機械的強度が低下する傾向があり好ましくない。
本発明の上記製造法において、熱可塑性樹脂組成物の構成成分として使用する熱可塑性樹脂(I)としては、熱可塑性樹脂であればその種類に制限はないが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;スチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂;等が好ましく例示される。
なお、熱可塑性樹脂(I)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用しても良い。
上記の中でも、熱可塑性樹脂(I)として好ましいのは、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂及びポリアミド樹脂であり、これらの中でも、熱可塑性樹脂(I)として好ましいのは、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂である。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1、5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
本発明において、熱可塑性ポリエステル樹脂は、その主成分がポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
また、イソフタル酸、ダイマー酸、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール等が共重合されているものも好ましい。なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2〜50モル%、より好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜30モル%である。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
スチレン系樹脂としては、より具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−IPN型ゴム共重合体等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)が好ましく、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)がより好ましい。
なお、ここで相対粘度とは、98%硫酸中、濃度1g/100ml、温度25℃の条件で測定される値である。
本発明において、アンチモン化合物のマスターバッチ化に用いる熱可塑性樹脂(II)としては、熱可塑性樹脂であれば制限はなく、熱可塑性樹脂(I)と同じ種類の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また異なる種類の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
熱可塑性樹脂(II)の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂;等が例示される。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
i)熱可塑性樹脂(I)がポリブチレンテレフタレート樹脂であり、熱可塑性樹脂(II)は固有粘度が0.7〜1.2dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂である。
ii)熱可塑性樹脂(I)がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の混合物であり、熱可塑性樹脂(II)は固有粘度が0.7〜1.2dl/gポリブチレンテレフタレート樹脂である。
iii)熱可塑性樹脂(I)がポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂及びスチレン系樹脂の混合物であり、熱可塑性樹脂(II)は固有粘度が0.7〜1.2dl/gポリブチレンテレフタレート樹脂である。
iv)熱可塑性樹脂(I)及び(II)がともに、ポリアミド樹脂である。
上記i)及びiv)の場合は、熱可塑性樹脂(I)及び(II)の相溶性がよいため、機械的物性が良好で、安定しやすい。また、上記ii)及びiii)の場合は、アンチモン化合物がポリブチレンテレフタレート樹脂相に存在しやすくなるため、ポリカーボネート樹脂に対するダメージが少なく、耐衝撃性が良好となる傾向にある。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とのエステル効果反応が抑制され、機械的物性が良好に維持されやすく好ましい。
上記i)〜iv)の中でも、i)〜iii)の組み合わせがより好ましい。
本発明の方法においては、難燃剤を配合することが好ましい。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤を含有することができ、ハロゲン系難燃剤又はリン系難燃剤を含有することが好ましく、ハロゲン系難燃剤がさらに好ましい。
特に、難燃剤として臭素化エポキシ樹脂を使用する場合は、樹脂組成物滞留時に増粘しやすい傾向があり、滞留熱安定性が不安定になる場合があるが、本発明の熱可塑性樹脂の製造方法によれば、このような増粘を抑制することができ、滞留熱安定性が向上するため、生産性が向上し好ましい。
熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を配合していても良い。このような添加剤としては、リン系安定剤やフェノール系安定剤等の安定剤、強化材(充填材)、滴下防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
滴下防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂(I)及び(II)の合計100質量部に対し、0.01〜3質量部であることが好ましく、0.05〜2質量部であることがより好ましく、0.1〜1.4質量部であることがさらに好ましい。滴下防止剤の含有量が0.01質量部未満では、燃焼時に十分な滴下防止性能が得られにくく、3質量部を超えると滴下防止剤が凝集しやすく、難燃性の向上が認められない場合がある。
また、顔料の含有量は、熱可塑性樹脂(I)及び(II)の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜6質量部であることがさらに好ましい。顔料の含有量が0.1質量部未満では、十分な難燃性、耐衝撃性が得られにくく、10質量部を超えても難燃性、耐衝撃性の向上が認められない場合がある。
予め120℃で3時間熱風乾燥した、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ノバデュラン(登録商標)5020」、固有粘度1.20dl/gと、同「ノバデュラン5008」、固有粘度0.85dl/gの1:1混合物)30質量部と、アンチモン化合物(山中産業社製、商品名「GMA」)70質量部とを、噛み合い型同方向2軸スクリュー式押出機(日本製鋼所社製「TEX44αII」、スクリュー径47mm、L/D=55.2)に300kg/hrにて供給した。押出機のバレル設定温度をC1〜C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数を230rpmとし、ノズル数10穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)1012sec−1の条件下で溶融混練した。なお、押出した直後のストランド温度は290℃であった。
溶融混練後、ダイノズルから樹脂組成物を押出してストランド状とした後に冷却し、切断して、ポリブチレンテレフタレート樹脂とアンチモン化合物とが混練された、アンチモン化合物を70質量%含有するマスターバッチ(以下、「MB1」という。)を得た。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ノバデュラン5007」、固有粘度0.75dl/gのみを使用した以外は、製造例1と同様の条件で行い、ポリブチレンテレフタレート樹脂とアンチモン化合物とが混練された、アンチモン化合物を70質量%含有するマスターバッチ(以下、「MB2」という。)を得た。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ノバデュラン5006」、固有粘度0.60dl/gのみを使用した以外は、製造例1と同様の条件で行い、ポリブチレンテレフタレート樹脂とアンチモン化合物とが混練された、アンチモン化合物を70質量%含有するマスターバッチ(以下、「MB3」という。)を得た。ストランドが引き難かったため、マスターバッチの製造中に、ストランド切れが発生する場合があった。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ノバデュラン5026」、固有粘度1.26dl/gのみを使用した以外は、製造例1と同様の条件で行った。押出機のバレル設定温度C1〜C15を260℃で行うと、ベント部から樹脂が溢れる場合があり、安定してストランドが引き難く安定生産が難しかったため、C1〜C15の設定温度を280℃まで上げ生産を行い、ポリブチレンテレフタレート樹脂とアンチモン化合物とが混練された、アンチモン化合物を70質量%含有するマスターバッチ(以下、「MB4」という。)を得た。
製造例1において、ポリブチレンテレフタレート樹脂混合物の量を20質量部、アンチモン化合物量を80質量部とした以外は、製造例1と同様の条件で行い、ポリブチレンテレフタレート樹脂とアンチモン化合物とが混練された、アンチモン化合物を80質量%含有するマスターバッチ(以下、「MB5」という。)を得た。
実施例及び比較例で使用した原料成分は、下記の表1のとおりである。
実施例1、比較例1においては、得られた熱可塑性樹脂組成物ペレット100質量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.05質量部をドライブレンドすることでペレットに外添加させた。
実施例9においては、アンチモン化合物マスターバッチ(MB1)を、独立した専用のフィーダーを使用せず、その他の成分と合わせてブレンドし、一括して根元フィーダーから供給し熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
・生産性(ストランド安定性)
熱可塑性樹脂組成物ペレット溶融混練の際の、10時間のロングラン生産時において、1時間あたりのストランド切れ度合いを以下の基準で評価し、生産安定性の指標とした。
「安定」:ストランド切れなし
「やや不安定」:1〜2回
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み:0.75mmt又は1.50mmt)を用いて難燃性を試験した。難燃性は、UL94記載の評価方法に従って、V−0、V−1及びV−2に分類した。V−0が最も難燃性が高い。
また、各燃焼試験片での燃焼合計時間(第1接炎後と第2接炎後の燃焼時間の合計)を測定し、燃焼時間のばらつきを標準偏差値で評価した。また5本の試験片の燃焼合計時間を合計して合計燃焼時間として表に記載した。
ISO試験片(厚さ4.0mm)を射出成形し、試験片から厚さ4.0mmのノッチ付試験片を作製し、10本の試験片に対して、ISO179規格に準拠してノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
また、シャルピー衝撃強度のばらつきを標準偏差値で評価した。
大きさ150×80×40mmの箱型成形品(肉厚1.5mmt)を成形し、2.975kgの鋼球を所定の高さから落下させ、成形品が全破壊するときの高さ(単位:cm)を求めた。全破壊するときの高さが高いほど、面衝撃性に優れていることを意味する。なお、試験は205cmの高さまで行い、205cmで破壊しないものは「>200」と表中に記載した。
示差走査熱量測定(DSC)機(パーキンエルマー社製「Pyris Diamond」)を用い、30〜300℃まで昇温速度20℃/minで昇温し、300℃で3分保持した後、降温速度20℃/minにて降温した際に観測される発熱ピークのピークトップ温度を、結晶化温度(単位:℃)として測定した。
結晶化による発熱ピークが観測され、結晶化温度が高いほど、熱可塑性ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とのエステル交換が抑制されており、好ましいことを意味する。
キャピログラフ(東洋精機社製キャピログラフ1C)により、測定温度270℃、1φ×30フラットのキャピラリーを用いて、上記で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを投入後、3分滞留させたときの溶融粘度(せん断速度91.2sec−1での溶融粘度)を基準にして、60分滞留させたときの溶融粘度(せん断速度91.2sec−1での溶融粘度)を測定し、溶融粘度の比(60min/3min)を求めた。3分滞留の溶融粘度と60分滞留の溶融粘度の比が変化しないほど、増粘が少なく、滞留安定性に優れていることを意味する。
以上の評価結果を、表2〜4に示す。
また、難燃剤として臭素化エポキシ樹脂を使用した実施例3及び比較例3、実施例11及び比較例6の対比から、本発明の製造方法を採用することにより、滞留による樹脂組成物の増粘が抑制され、滞留熱安定性に優れる樹脂組成物が得られることが分かる。
さらに、実施例4〜9(DSCによる結晶化温度は150〜151℃)及び比較例4(DSCによる結晶化発熱ピークは観測されず)の対比から、本発明の製造方法を採用することにより、熱可塑性樹脂(I)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の混合物を用いる場合に発生するエステル交換反応を、効果的に抑制できることが分かる。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂にアンチモン化合物を含有する熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、熱可塑性樹脂(I)に、アンチモン化合物を70〜90質量%含有し熱可塑性ポリエステル樹脂(II)とからなるマスターバッチを、熱可塑性樹脂組成物100質量%中2〜10質量%、及び臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ、ペンタブロモベンジルアクリレートから選択される少なくとも1種の臭素系難燃剤を配合し、前記マスターバッチは他の原料とは別に設けた専用のフィーダーから押出機に供給し、溶融混練して、熱可塑性樹脂(I)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(II)の合計100質量部に対して、アンチモン化合物の含有量を1〜15質量部とすることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂(I)が、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の混合物又は熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びスチレン系樹脂の混合物である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂(I)がポリブチレンテレフタレート樹脂を含むものであり、熱可塑性ポリエステル樹脂(II)は固有粘度が0.7〜1.2dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 臭素系難燃剤を、熱可塑性樹脂(I)及び熱可塑性ポリエステル樹脂(II)の合計100質量部に対し、1〜30質量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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