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JP6473022B2 - 成形性に優れた高強度鋼板 - Google Patents

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JP6473022B2
JP6473022B2 JP2015060142A JP2015060142A JP6473022B2 JP 6473022 B2 JP6473022 B2 JP 6473022B2 JP 2015060142 A JP2015060142 A JP 2015060142A JP 2015060142 A JP2015060142 A JP 2015060142A JP 6473022 B2 JP6473022 B2 JP 6473022B2
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康二 粕谷
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Description

本発明は、成形性に優れた高強度鋼板に関し、詳細には、引張強度−伸びバランスおよび伸びフランジ性の高められた高強度鋼板に関するものである。本発明に係る高強度鋼板の鋼板種類としては、冷延鋼板のほか、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板などの各種めっき鋼板をも含むものとする。
高強度鋼板は、自動車用の骨格部品に使用されている。自動車用の骨格部品として用いられる鋼板には、車体軽量化による燃費向上を目的として高強度化した冷延鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板が求められている。一方で、複雑な形状の部品に成形するために、優れた加工性も要求されている。
このため、高い強度を有しつつ、伸び(全伸び;EL)と伸びフランジ性(穴拡げ率;λ)がともに高められた高強度鋼板の提供が切望されており、例えば引張強度(TS)が980MPa級の鋼板に対しては、TS×ELが23000MPa・%以上で、降伏強度(YS)が600MPa以上、かつλが30%以上のものが要望されている。
上記要望に答えるべく、鋼板材料として種々の材料が提案されている。
たとえば、特許文献1には、本発明に係る高強度鋼板と近似する成分組成と、ベイナイトとマルテンサイトを主体とする組織とを有する熱延コイルに、550℃〜Ac1点の範囲に1h以上保持するバッチ熱延板焼鈍工程と、冷延工程と、冷延板にAc点〜Ac点+50℃)の平均昇温速度を5℃/s以上としてAc〜Acの温度まで加熱し、5s以上保持する連続再結晶焼鈍と、ついで5℃/s以上の冷却速度で350〜500℃まで冷却し、該温度に10〜600s保持するオーステンパ処理とを施す再結晶焼鈍工程と、を順次施すことで、主相として体積率で70%以上のフェライトと、少なくとも体積率で3%以上の残留オーステナイトを含む平均粒径が3μm以下の第二相とからなる複合組織を有し、r値が1.1以上でかつ強度−延性バランスTS×ELが22000MPa・%以上である高強度冷延鋼板が得られることが開示されている。
この高強度冷延鋼板は、その製造方法においてバッチ熱延板焼鈍工程(本発明の予備焼鈍処理に相当)を施す点で、本発明に係る高強度鋼板と共通する。
しかしながら、フェライト−オーステナイト2相域温度からオーステンパ温度に急冷する点で、オーステナイト単相域温度からオーステンパ温度まで2段階の冷却速度で冷却する本発明とは異なっている。
このため、最終組織におけるフェライト分率は70%以上と、本発明の40%未満よりも多くのフェライト(本発明のポリゴナルフェライトに相当)を含んでいるので、少なくともこの点で本発明に係る高強度鋼板と明確に相違している。
また、特許文献2には、成分組成が本発明と近似する成分組成を有し、体積分率で、フェライト相:40〜70%、ベイナイト相:15〜35%、焼戻しマルテンサイト相:5〜25%および残留オーステナイト相:2〜20%を含み、かつ焼戻しマルテンサイト相の総体積分率に占める長軸長≧10μmのマルテンサイト相の割合が30%以下を満足する組織とすることで、伸び、伸びフランジ性および曲げ性などの加工性を向上させた引張強度TSが1180MPa以上の高強度冷延鋼板が開示されている。
この高強度冷延鋼板は、その製造方法において熱間圧延後に400〜800℃の温度域で1回目の焼鈍(本発明の予備焼鈍処理に相当)を施す点で、本発明に係る高強度鋼板と共通する。
しかしながら、2回目の焼鈍においてフェライト−オーステナイト2相域温度から冷却停止温度(本発明のオーステンパ温度に相当)まで急冷する点で、オーステナイト単相域温度からオーステンパ温度まで2段階の冷却速度で冷却する本発明とは異なっている。
このため、最終組織におけるフェライト分率は40%以上と、本発明の40%未満よりも多くのフェライト(本発明のポリゴナルフェライトに相当)を含んでいるので、少なくともこの点で本発明に係る高強度鋼板と明確に相違している。
特開2008−291304号公報 特開2012−237042号公報
そこで本発明の目的は、引張強度(TS)が980MPa以上、引張強度−伸びバランス(TS×EL)が23000MPa・%以上、降伏強度(YS)が600MPa以上、かつ伸びフランジ性(λ)が30%以上を確保しうる、成形性に優れた高強度鋼板を提供することにある。
本発明の第1発明に係る成形性に優れた高強度鋼板は、
質量%で、
C:0.05〜0.50%、
Si:1.0〜3.0%、
Mn:1.0〜5.0%、
Al:0.001〜0.10%
をそれぞれ含み、
残部が鉄および不可避的不純物からなり、
前記不可避的不純物のうち、P、S、Nが、
P:0.1%以下、
S:0.01%以下、
N:0.01%以下
にそれぞれ制限される成分組成を有し、
全組織に対する面積率で、
焼戻しマルテンサイト+ベイニティックフェライト:合計で55%以上、
ポリゴナルフェライト:10%以上40%未満、
フレッシュマルテンサイトと残留オーステナイトの混合組織(以下、この混合組織を「MA」という。):5%以上
からなる組織を有し、
前記MA中のMn濃度が、鋼板全体のMn含有量の1.2倍以上である
ことを特徴とするものである。
本発明の第2発明に係る成形性に優れた高強度鋼板は、
上記第1発明において、
成分組成が、さらに、質量%で、
Cr:0.05〜1.0%、
Mo:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜1.0%、
B:0.0001〜0.002%
のいずれか1種または2種以上を含む
ものである。
本発明の第3発明に係る成形性に優れた高強度鋼板は、
上記第1または第2発明において、
成分組成が、さらに、質量%で、
Ti:0.01〜0.15%、
Nb:0.01〜0.15%、
V:0.01〜0.15%
のいずれか1種または2種以上を含むものである。
本発明によれば、焼戻しマルテンサイトとベイニティックフェライトを主相とするとともに、軟質なポリゴナルフェライトを所定量導入し、さらにMA中へMnを濃化させることで、伸びを確保しつつ、前記MA中の硬質なフレッシュマルテンサイトと前記焼戻しマルテンサイトの存在によって、強度(引張強度、降伏強度)を向上させ、かつ前記焼き戻しマルテンサイトとベイニティックフェライトの存在によって伸びフランジ性を向上させることにより、引張強度(TS)が980MPa以上、引張強度−伸びバランス(TS×EL)が23000MPa・%以上、降伏強度(YS)が600MPa以上、かつ伸びフランジ性(λ)が30%以上を確保しうる、成形性に優れた高強度鋼板を提供できるようになった。
本発明に係る高強度鋼板の鋼組織の一例を示す図面代用写真である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
まず本発明に係る成形性に優れた高強度鋼板(以下、「本発明鋼板」ともいう。)を特徴づける組織について説明する。
〔本発明鋼板の組織〕
本発明鋼板は、上述したように、母相を焼戻しマルテンサイトとベイニティックフェライトとし、これに、ポリゴナルフェライトを一部導入し、さらにMnを濃化させたMAを含有させることを特徴とするものである。
<焼戻しマルテンサイト+ベイニティックフェライト:合計で55%以上>
焼戻しマルテンサイトとベイニティックフェライトを主相とすることで、引張強度−伸びバランスを向上させるとともに、伸びフランジ性を向上させることができる。このような作用を効果的に発揮させるため、全組織に対する焼戻しマルテンサイト+ベイニティックフェライトの合計含有量は、面積率で55%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上必要である。
なお、本発明における「ベイニティックフェライト」とは、ベイナイト組織が転位密度の高いラス状組織を持った下部組織を有しており、組織内に炭化物を有していない点で、ベイナイト組織とは明らかに異なり、また、転位密度がないかあるいは極めて少ない下部組織を有するポリゴナルフェライト組織、あるいは細かいサブグレイン等の下部組織を持った準ポリゴナルフェライト組織とも異なっている(日本鉄鋼協会 基礎研究会 発行「鋼のベイナイト写真集−1」参照)。
<ポリゴナルフェライト:10%以上40%未満>
ポリゴナルフェライトは軟質相であり、鋼板の延性を高めるのに有効な組織である。全組織に対するポリゴナルフェライトの含有量は、鋼板の延性を確保するため面積率で10%以上、好ましくは12%以上、さらに好ましくは14%以上が必要である。ただし、ポリゴナルフェライトを過剰に導入すると、鋼板の強度が低下するため、面積率で40%未満、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下とする。
なお、本発明における「ポリゴナルフェライト」とは、『日本鉄鋼協会 基礎研究会 発行「鋼のベイナイト写真集−1」』に記載されている、ポリゴナルフェライト組織と準ポリゴナルフェライト組織を総称したものである。
<MA:5%以上>
MAを一部導入することで、引張強度−伸びバランスを向上させることができる。全組織に対するMAの含有量は、引張強度−伸びバランスを確保するため面積率で5%以上、好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上必要である。
なお、本発明における「MA」とは、フレッシュマルテンサイトと残留オーステナイトの混合組織であって、顕微鏡観察ではフレッシュマルテンサイトと残留オーステナイトを分離(判別)することが困難な組織である。フレッシュマルテンサイトとは、鋼板を加熱温度からMS点以下まで冷却する過程で未変態オーステナイトがマルテンサイト変態した状態のものをいい、焼戻し処理後の焼戻しマルテンサイトとは区別している。
<前記MA中のMn濃度:鋼板全体のMn含有量の1.2倍以上>
MA中にMnを濃化することで、MAを構成する残留オーステナイトが安定化し、より高いひずみ領域で加工誘起変態できるようになり、高ひずみ領域での加工硬化度合が高まるため、延性が向上する。このような作用を有効に発揮させるためには、前記MA中のMn濃度は、鋼板全体のMn含有量の1.2倍以上、好ましくは1.25倍以上、さらに好ましくは1.3倍以上とする。
〔各相の面積率およびMA中のMn濃度の各測定方法〕
ここで、各相の面積率およびMA中のMn濃度の各測定方法について説明する。
ポリゴナルフェライト、MAおよび焼戻しマルテンサイトの面積率は、以下のようにして測定した。すなわち、鋼板を鏡面研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、概略24μm×18μm領域5視野について電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)の2次電子像で観察(倍率5000倍)した。観察写真の一例を図1に示す。そして、画像解析により、セメンタイトを含まず腐食により凹んでいるように見える領域をポリゴナルフェライト、セメンタイトを含まずポリゴナルフェライト上に凸になっているように見える領域をMA、セメンタイトを含む領域を焼戻しマルテンサイトと同定し、それぞれの面積率を算出した。
そして、「ポリゴナルフェライト」、「MA」および「焼戻しマルテンサイト」以外の残部組織をベイニティックフェライトとして、100%からポリゴナルフェライト、MAおよび焼戻しマルテンサイトの合計面積率を差し引くことにより、ベイニティックフェライトの面積率を算出した。
MA中のMn濃度については、電界放出型電子線マイクロアナライザ(FE−EPMA)を用いて、MA中のMn濃度分布を測定し、その平均値をMA中のMn濃度とした。
〔本発明鋼板の成分組成〕
つぎに、本発明鋼板を構成する成分組成について説明する。以下、化学成分の単位はすべて質量%である。また、各成分の「含有量」を単に「量」と記載することもある。
C:0.05〜0.50%
Cは、鋼板の強度を向上させるのに重要な元素である。強度向上作用を有効に発揮させるためには、Cを0.05%以上、好ましくは0.08%以上、さらに好ましくは0.12%以上含有させる必要がある。ただし、C量が過剰になると、焼戻し時に粗大な炭化物が析出しやすくなり、伸びフランジ性を低下させるとともに、溶接性にも悪影響を及ぼすようになるので、C量は0.50%以下、好ましくは0.45%以下、さらに好ましくは0.40%以下とする。
Si:1.0〜3.0%
Siは、焼戻し時における炭化物粒子の粗大化を抑制する効果を有し、伸びフランジ性向上に寄与するとともに、固溶強化元素として鋼板の降伏強度上昇にも寄与する有用な元素である。このような作用を有効に発揮させるためには、Siを1.0%以上、好ましくは1.1%以上、さらに好ましくは1.2%以上含有させる必要がある。ただし、Si量が過剰になると、溶接性を著しく低下させるようになるので、Si量は3.0%以下、好ましくは2.9%以下、さらに好ましくは2.8%以下とする。
Mn:1.0〜5.0%
Mnは、上記Siと同様、焼戻し時におけるセメンタイトの粗大化を抑制する効果を有し、伸びフランジ性向上に寄与するとともに、固溶強化元素として鋼板の降伏強度上昇にも寄与する有用な元素である。また、焼入れ性を高めることで、冷却時のフェライト変態を抑制する効果もある。このような作用を有効に発揮させるためには、Mnを1.0%以上、好ましくは1.1%以上、さらに好ましくは1.2%以上含有させる必要がある。ただし、Mn量が過剰になると、最終組織中のMA量が過剰となり、逆に伸びフランジ性を低下させるようになるので、Mn量は5.0%以下、好ましくは4.8%以下、さらに好ましくは4.6%以下とする。
Al:0.001〜0.10%
Alは、脱酸材として添加される有用な元素である。脱酸材としての作用を有効に発揮させるためには、Alを0.001%以上、好ましくは0.003%以上、さらに好ましくは0.005%以上含有させる必要がある。ただし、Al量が過剰になると、鋼の清浄度を悪化させるので、Al量は0.10%以下、好ましくは0.08%以下、さらに好ましくは0.06%以下とする。
本発明鋼板は上記元素を必須の成分として含有し、残部は鉄および不可避的不純物(P、S、N、O等)であるが、不可避的不純物のうちP、S、Nは下記のように各許容範囲まで含有させることができる。
P:0.1%以下
Pは、不純物元素として不可避的に存在し、固溶強化により強度の上昇に寄与するが、旧オーステナイト粒界に偏析し、粒界を脆化させることで曲げ性を劣化させるので、P量は0.1%以下、好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.03%以下に制限する。
S:0.01%以下
Sも、不純物元素として不可避的に存在し、MnS介在物を形成して、曲げ変形時に亀裂の起点となることで曲げ性を低下させるので、S量は0.01%以下、好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%以下に制限する。
N:0.01%以下
Nも、不純物元素として不可避的に存在し、ひずみ時効により鋼板の加工性を低下させるので、N量は0.01%以下、好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%以下に制限する。
その他、本発明の作用を損なわない範囲で、許容成分としてCr、Mo、Ti、Nb、V、B、Ni、Cu、Zr等を含有させることができるが、これらの許容成分のうちCr、Mo、Ni、B、Ti、Nb、Vについては、下記の各許容範囲内で含有させることが推奨される。
Cr:0.05〜1.0%、
Mo:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜1.0%、
B:0.0001〜0.002%
のいずれか1種または2種以上
これらの元素は、焼入れ性を高めて鋼板の強度を向上させるのに有用である。焼入れ性を有効に発揮させるためには、Cr、Mo、Niの含有量はそれぞれ、0.05%以上、より好ましくは0.1%以上、Bの含有量は0.0001%以上、より好ましくは0.0002%以上とすることが推奨される。ただし、これらの元素は過剰に含有させると加工性が劣化するとともに高コストとなるので、Cr、Mo、Niの含有量はそれぞれ、1.0%以下、さらには0.8%以下、Bの含有量は0.002%以下、より好ましくは0.001%以下に制限するのが望ましい。
Ti:0.01〜0.15%、
Nb:0.01〜0.15%、
V:0.01〜0.15%
のいずれか1種または2種以上
これらの元素は、鋼の析出強化元素として有用である。析出強化作用を有効に発揮させるためには、これらの元素の含有量はそれぞれ、0.01%以上、より好ましくは0.02%以上とすることが推奨される。ただし、これらの元素は過剰に含有させると加工性が劣化するので、これらの元素の含有量は0.15%以下、さらには0.10%以下に、それぞれ制限するのが望ましい。
次に、上記本発明鋼板を得るための好ましい製造条件を以下に説明する。
〔本発明鋼板の好ましい製造方法〕
まず、上記成分組成を有する鋼を溶製し、造塊または連続鋳造によりスラブ(鋼材)としてから、仕上げ温度900℃以下(好ましくは880℃以下)の条件で熱間圧延(熱延)を行い、熱延後の巻取り温度を600〜700℃とし、その後、常温まで冷却して熱延板とする。このようにして、熱延板の組織をベイナイトもしくはパーライト単相組織、またはフェライトを含むような2相組織とする。
引き続きこの熱延板に、500℃〜Ac(好ましくは510℃〜[Ac1−10℃])の予備焼鈍温度Tpa(単位:℃)で、下記式(1)で算出される焼戻しパラメータξが16〜20(好ましくは16.5〜19.5)となる予備焼鈍保持時間tpa(単位:h)保持する条件で、バッチ炉やUAD(United Annealing Department)炉などを用いて予備焼鈍処理を施す。
ξ=(Tpa+273)・{log(tpa)+20}/1000・・・式(1)
この予備焼鈍処理によって、炭化物を粗大化させるとともに、該炭化物中にMnを濃化させる。
次いでこの予備焼鈍材を、酸洗等によりスケールを除去した後、冷間圧延(冷延)を施し冷延板とする。この冷延板に、例えば連続焼鈍ライン(CAL)を用いて、オーステナイト単相域温度であるAc以上(好ましくはAc+10℃以上)の焼鈍加熱温度で50s以上(好ましくは55s以上)の焼鈍保持時間だけ保持する条件で焼鈍処理を施すことによって上記炭化物をオーステナイト化する。この炭化物には、上記予備焼鈍処理によってMnが濃化しているため、Mn濃度が高いオーステナイトが形成できる。ただし、長時間オーステナイト単相域温度で保持するとオーステナイト中に濃化したMnが拡散によって均質化してしまうため、上記焼鈍保持時間は120s以下(さらには110s以下)に制限するのが好ましい。
このオーステナイト単相域温度(焼鈍加熱温度)から、5〜30℃/sの第1冷却速度で500℃〜Ac1(好ましくは510℃〜[Ac1−10℃])の肩落し温度まで冷却することによって所定量のポリゴナルフェライトを形成し、これを15〜40℃/sの範囲でかつ上記第1冷却速度より大きい第2冷却速度で100〜450℃(好ましくは120〜400℃)の過冷却停止温度まで急冷することによって、Mnが濃化した、フレッシュマルテンサイトと残留オーステナイトの混合組織(MA)が形成された焼鈍材とする。
この焼鈍材に、さらに、400〜500℃(好ましくは410〜490℃)のオーステンパ温度で30〜1200s(好ましくは40〜600s)のオーステンパ保持時間だけ保持する条件にてオーステンパ処理を施すことで、本発明鋼板(冷延鋼板)が得られる。このオーステンパ処理により、ベイナイトを形成するとともに、上記急冷によって形成されたフレッシュマルテンサイトの一部を焼き戻して焼戻しマルテンサイトを形成させる。これにより、鋼板の最終組織は、焼戻しマルテンサイトとベイニティックフェライトが主となり、強度−延性バランスと伸びフランジ性を確保するとともに、所定量のポリゴナルフェライトとMnが濃化したMAの存在によって、延性を向上させることができる。
なお、本発明鋼板は、上記焼鈍処理後の焼鈍材にめっき処理を施し、その後に上記オーステンパ処理を施すことで、めっき鋼板としてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することももちろん可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す各成分組成からなる供試鋼を真空溶製し、板厚30mmのスラブとした後、このスラブを1150℃に均熱し、仕上げ温度880℃で熱間圧延した後、600℃で巻取りして板厚2.5mmの熱延板を作製した。この熱延板に、バッチ炉を用いて下記表2に示す各条件で予備焼鈍処理を施した。この予備焼鈍材を酸洗した後、板厚1.5mmに冷間圧延した後、さらに同表2に示す各条件で、焼鈍処理およびオーステンパ処理を施して供試鋼板(冷延鋼板)を作製した。
なお、下記表1ではN含有量の記載を省略したが、全ての鋼種においてN含有量は0.01%以下の不純物レベルであった。
また、表1中のAcおよびAcは下記式(1)および(2)を用いて求めた(幸田成康監訳,「レスリー鉄鋼材料学」,丸善株式会社,1985年,p.273参照)。
Ac(℃)=723+29.1[Si]−10.7[Mn]+16.9[Cr]−16.9[Ni]・・・式(1)
Ac(℃)=910−203√[C]+44.7[Si]−30[Mn]+700[P]+400[Al]+400[Ti]+104[V]−11[Cr]+31.5[Mo]−20[Cu]−15.2[Ni]・・・式(2)
ただし、[ ]は、各元素の含有量(質量%)を示す。
上記各供試鋼板について、上記[発明を実施するための形態]の項で説明した各測定方法により、各相の面積率およびMA中のMn濃度を測定した。
また、上記各供試鋼板について、強度と加工性を評価するために、引張試験により、降伏強度YS、引張強度TSおよび伸び(全伸び)ELを測定し、穴広げ試験により、伸びフランジ性λを測定した。なお、引張試験は、圧延方向と直角な方向に長軸をとってJIS Z 2201に記載の5号試験片を作製し、JIS Z 2241に従って実施した。また、穴広げ試験は、鉄連規格JFST001に準拠して実施し、穴広げ率を測定してこれを伸びフランジ性λとした。
測定結果を下記表3に示す。同表において、供試鋼板の機械的特性(以下、単に「特性」ともいう。)が引張強度TS:980MPa以上、TS×EL:23000MPa・%以上、降伏強度(YS)が600MPa以上、λ:30%以上の全てを満たすものを合格(○)とし、1つでも満たさないものを不合格(×)とした。
上記表3に示すように、発明鋼(評価が○のもの)である鋼No.3、7、14、21〜23、25は、本発明の成分規定の要件を満足する鋼種を用い、推奨の製造条件で製造した結果、本発明の組織規定の要件を充足する発明鋼であり、特性が合格基準を満たしている。
これに対して、比較鋼(評価が×のもの)である鋼No.1、2、4〜6、8〜13、15〜20、24、26、27は、本発明の成分規定および組織規定の要件の少なくともいずれかを充足せず、特性が合格基準を満たしていない。
すなわち、No.1、2、4〜6、8〜13、15〜18は、本発明の成分規定の要件を満足する鋼種を用いているものの、推奨の製造条件を一部外れる条件で製造しているため、組織規定の要件を充足せず、特性が劣っている。
一方、鋼No.19は、推奨の製造条件で製造しているものの、本発明の成分規定の要件を一部外れる鋼種を用いているため、組織規定の要件を充足せず、特性が劣っている。
以上の結果より、本発明の適用性が確認された。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.50%、
    Si:1.0〜3.0%、
    Mn:1.0〜5.0%、
    Al:0.001〜0.10%
    をそれぞれ含み、
    残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    前記不可避的不純物のうち、P、S、Nが、
    P:0.1%以下、
    S:0.01%以下、
    N:0.01%以下
    にそれぞれ制限される成分組成を有し、
    全組織に対する面積率で、
    焼戻しマルテンサイト+ベイニティックフェライト:合計で55%以上、
    ポリゴナルフェライト:10%以上40%未満、
    フレッシュマルテンサイトと残留オーステナイトの混合組織(以下、この混合組織を「MA」という。):5%以上
    からなる組織を有し、
    前記MA中のMn濃度が、鋼板全体のMn含有量の1.2倍以上である
    ことを特徴とする成形性に優れた高強度鋼板。
  2. 成分組成が、さらに、質量%で、
    Cr:0.05〜1.0%、
    Mo:0.05〜1.0%、
    Ni:0.05〜1.0%、
    B:0.0001〜0.002%
    のいずれか1種または2種以上を含む
    請求項1に記載の成形性に優れた高強度鋼板。
  3. 成分組成が、さらに、質量%で、
    Ti:0.01〜0.15%、
    Nb:0.01〜0.15%、
    V:0.01〜0.15%
    のいずれか1種または2種以上を含む
    請求項1または2に記載の成形性に優れた高強度鋼板。
JP2015060142A 2015-03-23 2015-03-23 成形性に優れた高強度鋼板 Active JP6473022B2 (ja)

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