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JP6466088B2 - 人工芝パイル用原糸、及びそれを用いた人工芝 - Google Patents

人工芝パイル用原糸、及びそれを用いた人工芝 Download PDF

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Description

本発明は、人工芝に用いられるパイル用原糸に関する。さらには、そのパイル用原糸を一次基布に植設してなる人工芝に関する。
近年、野球場やサッカー場等の競技場、公園、校庭などでは、管理が容易なことから、天然芝に替えて人工芝が用いられるようになってきている。人工芝は、ポリプロピレンやポリエステル等からなる一次基布にポリプロピレンやポリアミド等からなるパイル用原糸を植設して、芝生のような外観に仕立てたものである。特に近年では、長めのパイルを一次基布に植設し、パイル間に砂やゴムチップ等の充填材を充填してなるロングパイル人工芝(パイル長の長い人工芝)が、クッション性に優れ、天然芝生に近い踏み心地や、良好なボールの転がり特性等を得ることができるということで、注目を集めている。
パイル用原糸としては、フラットヤーンやモノフィラメントが一般的に使用される。フラットヤーンは幅広なフィルムを細幅にスリットして製造する。モノフィラメントは、円形又は異形の断面形状を有する口金から熱可塑性樹脂を押し出して製造する。両者の特性上の違いは主に糸幅と糸厚みに由来する。フラットヤーンの方がモノフィラメントよりも比較的に広い糸幅でかつ薄い厚みに仕上がる。
フラットヤーンからなるパイル用原糸の主な特長としては、人工芝表面の仕上がりが柔らかく、より少ない植設本数で人工芝表面を覆うことができるため比較的に安価に仕上げることができることが挙げられる。パイル間に充填材を充填する場合には、充填材が定位置に留まりやすいため、充填材に偏りが生じにくい点でも優れている。しかしながら、フラットヤーンのパイル用原糸は、モノフィラメントのパイル用原糸に比べて糸厚みが薄いため、長期的にみると耐摩耗性等の耐久性が得られにくいという欠点を有していた。
フラットヤーンを用いた人工芝の耐摩耗性の改善については、特許文献1、特許文献2、特許文献3など、いずれも素材や添加剤での改善を中心に行われてきたが、未だに耐摩耗性が十分であるとは言えない。特に、競技場用のロングパイル人工芝(パイル長の長い人工芝)に使用されるパイル用原糸については、競技者が人工芝の上で激しく動くことに加えて、充填材が充填されることにより充填材とパイルの擦れがより顕著になるため、さらなる耐摩耗性の改良を求められていた。
特開2006−070438号公報 特開平11−269811号公報 特開平08−333709号公報
本発明は、フラットヤーン製の人工芝パイル用原糸において、パイルの耐久性を向上させることを目的とする。
本発明は、フラットヤーンが熱可塑性樹脂からなり、長さ方向及び糸幅方向を含む面方向に熱可塑性樹脂が分子配向した人工芝パイル用原糸にすることによって、上記の課題を解決する。このときのフラットヤーンは、少なくとも糸幅方向に延伸した熱可塑性樹脂からなるフィルムを長さ方向にスリットしてなるものであることが好ましい。
人工芝パイル用原糸においては、X線回折における糸幅方向のX線強度のピーク高さが、長さ方向のX線強度のピーク高さの0.5倍より大きいことが好ましい。上記人工芝パイル用原糸において、熱可塑性樹脂はポリエチレンであることが好ましい。また、上記人工芝パイル用原糸は、その引張切断時の伸びが60〜250%であることが好ましい。上記人工芝パイル用原糸を一次基布に対して植設すれば耐摩耗性に優れる人工芝を得ることができる。すなわち、上記の人工芝パイル用原糸を一次基布に植設してなる人工芝である。
本発明では、人工芝パイル用原糸となるフラットヤーンが、面方向に分子配向しているので、耐摩耗性に優れ、ロングパイル人工芝用としても好適な人工芝パイル用原糸と耐摩耗性に優れる人工芝とを提供することができる。
本発明の人工芝パイル用原糸(以下、単に糸と称することがある)は、フラットヤーンからなり、フラットヤーンは、長さ方向及び幅方向を含む面方向に熱可塑性樹脂が分子配向している。
本明細書において面方向に分子配向(以下、面配向ということもある)するとは、糸の長さ方向のみならず、特に糸の幅方向に対し、熱可塑性樹脂中の微結晶及び/又は高分子鎖が配列されることにより、糸の表面方向において様々な方向に配向がなされている状態をいう。
本明細書でいうフラットヤーンには、いわゆるスプリットヤーンも含まれる。スプリットヤーンは、例えば、フラットヤーンに複数の長さ方向の短い切れ目を入れて開繊する工程を経て製造される。
本発明の人工芝パイル用原糸を構成する熱可塑性樹脂としては、延伸可能な素材であれば特に制約はなく使用することができる。例えば、従来から人工芝パイル用原糸の素材として使用されてきたポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル又はポリフッ化ビニリデンなどの熱可塑性樹脂を使用することができる。人工芝パイル用原糸には、比較的に安価で調達できて、比重の低い原料を使用することが好ましい。安価かつ低比重の材料として、ポリオレフィンを好適に使用することができる。ロングパイル人工芝のようにパイル長の長い人工芝では、熱可塑性樹脂の使用量が多くなるため、重量とコストの問題がより顕著になる。したがって、ロングパイル人工芝では、熱可塑性樹脂としてはポリオレフィンが最適である。
ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体を含む)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが、延伸性に優れている点で良好な耐摩耗性を得るうえで好ましく、0.880〜0.930g/cmの直鎖状低密度ポリエチレンが、好適な柔軟性を有することでキズに対する耐性が得られやすく、実用的な耐熱性を有するため、より好ましい。
熱可塑性樹脂には、着色剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、充填剤などの添加剤が必要に応じて添加される。添加剤は、熱可塑性樹脂を押出機で溶融する際に熱可塑性樹脂に混合して、熱可塑性樹脂組成物とすればよい。熱可塑性樹脂組成物はTダイや、リングダイなどのダイスから押し出してフィルムに加工すればよい。
本発明の人工芝パイル用原糸を製造する際には、少なくとも糸幅方向に延伸したフィルムを用いる。本明細書において、幅方向とは、フラットヤーンの糸幅方向のことを指し、長さ方向とは、フラットヤーンの長さ方向のことを指す。フィルムを糸幅方向に延伸する方法としては、Tダイで押出した後にテンターや横延伸機で幅方向に拡張する方法、Tダイから押出した後に押し出された合成樹脂をロールにより押し潰す方法、リングダイからチューブ状に押出した後にエアーなどで押し出された半溶融状態の合成樹脂を膨張させながら冷却する方法などが挙げられる。中でも、チューブ状に押出した後にエアー等で膨張させる方法が、延伸状態のムラが少なく、しかもブローアップ比が調節しやすいため延伸倍率も容易に制御できるので好適である。
フィルムを少なくとも糸幅方向に延伸する際には、フィルムの状態で糸幅方向1.5〜3.5倍の延伸倍率で延伸を行うことが好ましい。幅方向の延伸倍率が1.5未満の場合は、熱可塑性樹脂を構成する分子が糸幅方向にほとんど配向しないため、優れた耐摩耗性を得ることができない。糸幅方向への延伸倍率が3.5倍を上回ると、糸が糸幅方向に裂けやすくなる。したがって、糸が切れやすくなって、人工芝が劣化しやすくなる。
上述のようなフィルムを糸幅方向へ延伸する過程では、例えば、フィルムを引取るロールの周速度を利用し、長さ方向へ引き延ばしつつ糸幅方向へ延伸することによって、糸幅方向へ延伸すると同時に、長さ方向に延伸を行い、面配向を行うこともできる。
本発明では、上述の通り、糸幅方向への延伸と同時に長さ方向への延伸を行ってもよいが、フィルム又はフラットヤーンは長さ方向に延伸する工程を別に行ってもよい。より好適には面配向を行い、優れた耐摩耗性と諸物性を得る観点では、糸幅方向への延伸と、長さ方向への延伸をそれぞれ別々に行うことが好ましい。別工程でフィルム又はフラットヤーンを長さ方向に延伸する方法としては、熱ロール、熱板または熱風などにより加熱しつつ、前後ロールの周速度の差を利用して延伸する方法を好適に採用することができる。長さ方向に行われる延伸の延伸倍率としては2.0〜8.0倍であることが好ましい。延伸倍率が2.0倍未満の場合、糸が伸びやすく原糸を一次基布に植設する際等に加工性が優れないうえに、耐久性が得られにくい。そのため延伸倍率は3.0倍以上であることがより好適である。延伸倍率が8.0倍を上回ると、糸の伸び易さとキズに対する耐性とが損なわれ、かえって人工芝として劣化しやすくなる。そのため延伸倍率は6.0倍未満であることがより好適である。
フィルムを長さ方向へスリットする作業は、長さ方向に延伸する前に行ってもよいし、フィルムを長さ方向に延伸した後に行ってもよい。しかし、長さ方向へ延伸する前にフィルムをスリットした方が、得られる糸の延伸状態のバラつき(個体差)が少なくなるので好適である。
上述のように、本発明の糸は、糸幅方向及び長さ方向を含む面方向に熱可塑性樹脂を構成する分子が配向しているため、優れた耐摩耗性を発揮する。
ところでフラットヤーンはもともと主に織物に使用する糸であり、織物用においては、フィルムの幅方向の延伸倍率は1.1未満に抑え、幅方向にはほとんど延伸させず、長さ方向に一軸延伸することにより製造される。幅方向に延伸しない理由には、織物では糸幅方向の強度が必要ないということもあるが、幅方向からの衝撃やキズで幅方向に裂けやすくなる傾向があり、製織時に筬(おさ)などが叩き付けられたときなどで糸が切れやすくなることが挙げられる。
幅方向に延伸を行っていないフラットヤーンは、長さ方向へ配向が偏っているため、長さ方向へ糸が割れ、糸が細く分かれる状態(以下、この状態を分繊ということもある)になりやすくなっている。したがって、幅方向に延伸を行っていないフラットヤーンでは、分繊により衝撃が緩和されて部分的な糸の切断に留まるので、筬などが叩き付けられたとしても完全に糸が切れる状態には至りにくい。一方、幅方向に延伸したフラットヤーンは、配向の偏りが少ないために分繊しにくく、幅方向からの衝撃やキズなどを受けた場合、小さい抵抗で糸幅方向に裂けるように破断する傾向がある。このため、幅方向に延伸したフラットヤーンは、糸が完全に切れやすく、織物の用途では扱いにくい。
しかしながら、人工芝用パイル糸の用途では、糸が切れにくいことも必要ではあるが、それ以上に摩耗によって生じた分繊を拡大させないことが要求される。本発明の人工芝用パイル糸は、糸幅方向を含む面方向に延伸されたフラットヤーンからなるので、人工芝として使用した際にパイルの先端部分に摩擦によるダメージを負ったとしても、パイルの先端部分が分繊することなく、糸幅方向に裂けるように破断することで効果的に分繊の拡大を防ぐことができる。
本発明の人工芝パイル用原糸の配向の状態については、後述するX線回折を行い、空間格子(2,0,0)面のX線強度のピーク高さと(1,1,0)面のX線強度のピーク高さとを確認することにより、適切な状態にあるかを推し量ることができる。ここでいう空間格子(2,0,0)面のX線強度ピークは糸の幅方向の配向の状態を示し、空間格子(1,1,0)面のX線強度ピークは糸の長さ方向の配向の状態を示す。
耐摩耗性に優れた人工芝パイル用原糸を得るうえでは、X線回折における糸の幅方向すなわち空間格子(2,0,0)面のX線強度のピーク高さが、糸の長さ方向すなわち(1,1,0)面のX線強度のピーク高さの0.5倍より大きくなるように、配向がなされたものが好ましく、空間格子(2,0,0)面のピーク高さが(1,1,0)面のピーク高さの0.5倍から2倍の範囲であることがより好ましい。空間格子(2,0,0)面のピーク高さが(1,1,0)面のピーク高さの0.5倍を下回る場合、糸の幅方向への配向が十分でないか、ほとんどなされておらず、糸の長さ方向に配向が偏り過ぎている状態といえる。
本発明の人工芝パイル用原糸の長さ方向の引張強度は、0.5〜5.0cN/dtであることが好ましく、また、長さ方向の引張切断時の伸びとしては、30〜250%であることが好ましい。長さ方向の引張強度及び長さ方向の引張切断時の伸びについては、長さ方向に配向させていくほどに、引張強度が増加し、引張切断時の伸びが減少してく傾向にある。糸の長さ方向の引張強度が0.5cN/dtを下回る場合、糸が伸びやすいことが懸念され、植設等に支障が生じることに加えて、植設した人工芝の上で競技を行った場合、すぐにパイル長さにムラが出てしまう。糸の長さ方向の引張強度が5.0cN/dtを上回る場合、糸の長さ方向へ配向が偏り過ぎて、糸幅方向の配向が十分でないことや、糸の伸びが少なすぎてキズなどで切れやすくなっていること懸念される。
人工芝パイル用原糸は一次基布に植設して人工芝として使用する。人工芝は、絶えず踏まれたり押し潰されたりするため、植設されたパイルには様々な方向からの応力が掛かる。本発明の人工芝パイル用原糸は、上記の通り、糸幅方向へ延伸を行っていることで、特に糸の幅方向からの衝撃などに対し、切れやすくなる傾向にある。人工芝として受ける様々な方向からの応力に対し切れにくくする場合、本発明の人工芝パイル用原糸では、キズに対する耐性を持たせるために、長さ方向の引張切断時の伸びを高く維持することを重視する方がよい。このときの長さ方向の引張切断時の伸びとしては、60〜250%であることが好ましく、70〜200%であることがより好ましい。
本発明の人工芝パイル用原糸の厚みに特に制限はないが、人工芝として植設したときの触感を考慮すると、厚みは40〜200μmであることが好ましい。糸の幅方向からの衝撃に対し、切れにくくする観点では、なるべく厚くすることが好ましく、厚みは60〜200μmであることがより好ましい。
本発明の人工芝パイル用原糸の糸幅に特に制限はないが、1〜20mmの幅にすることが一般的である。糸幅が広いものについては、開繊を行ってスプリットヤーンとすることが多い。
本発明の人工芝パイル用原糸は、タフティング機などを用いて、一次基布に植設され人工芝となる。一次基布は、フラットヤーン織物や不織布などから構成する。本発明の人工芝パイル用原糸を用いた人工芝においては、パイル長さに関しては特に制約はない。例えば、人工芝においては、パイル長を5〜75mmにすることが一般的である。ロングパイル人工芝においては、パイル長を40〜75mmにすることが一般的である。得られた人工芝に対しては、裏面にラテックスなどを塗布し、ラテックスを熱風乾燥させ、植設したパイルが容易に引き抜けないよう固定する、いわゆるバッキングを行うことが好ましい。
以下、本発明の実施例を挙げてより詳細に説明する。
[実施例1]
直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm、融点125℃、MFR2.0g/10min(190℃、2160g荷重))を断面円形の口金を有する丸型ダイス(リングダイ)を用いてチューブ状に押出成形し、チューブ状のポリエチレンの中に口金から供給されるエアーを吹き込んで2.5倍のブローアップ比で膨張させた。冷却固化してフィルム状にした後、これを長さ方向に沿ってスリットした。スリットしたものを長さ方向へ延伸倍率6倍で延伸して、幅1.8mm、厚み110μm、繊度1800dtのフラットヤーンを作製した。得られたフラットヤーンを実施例1とした。
[実施例2]
スリット後の長さ方向への延伸を延伸倍率4倍に変更した以外は実施例1と同様にして、幅1.9mm、厚み100μm、繊度1800dtのフラットヤーンを作製した。得られたフラットヤーンを実施例2とした。
[比較例1]
膨張率を0.9倍とした以外は、実施例1と同様にしてフラットヤーンを作製した。得られたフラットヤーンを比較例1とした。
[比較例2]
膨張率を0.9倍とした以外は、実施例2と同様にしてフラットヤーンを作製した。得られたフラットヤーンを比較例2とした。
実施例1及び2並びに比較例1及び2の糸をそれぞれ
フラットヤーン織物(素材:ポリプロピレン、目付:100g/m)からなる一次基布に、糸6本を束ね、パイル1房が12本になるようにタフティング機を用いて植設した後、裏面にバッキング剤としてSBRラテックスを塗布し、パイル長さ60mmの人工芝を作製した。
実施例1及び2並びに比較例1及び2の糸について、X線回折による配向比の測定と、JIS L 1013に基づく引張強度及び引張切断時の伸びの測定とを行った。結果を表1に記載する。さらに、実施例1及び2並びに比較例1及び2の糸を使用して作製した人工芝について、耐摩耗性試験を行って、分繊発生率を測定した。結果を表1に記載する。測定方法及び測定条件等を以下に説明する。
[糸の試験:X線回折]
X線回折装置(ブルカー・エイエックス・エス社製 型式:D8 DISCOVER with GADDS)を用いて、X線強度を測定することで、配向状態を調べた。このとき得られた空間格子(2,0,0)面のX線強度のピークの高さを、空間格子(1,1,0)のX線強度のピークの高さで除すこと、すなわち以下の数式1により、糸の幅方向と長さ方向の配向比を求めた。なお、空間格子(2,0,0)面は糸の幅方向、空間格子(1,1,0)面は糸の長さ方向を示すものとする。
〔測定条件〕
X線源:銅製回転対陰極
光学系:金属コリメータによる平行光学系(φ300μm)
波長:0.1542nm
管電圧:45kV
管電流:110mA
収集時間:60S
試料位置:ω=11°
検出器位置:2θarm=22°(カメラ長 150nm)
[糸の試験:引張試験]
JIS L 1013の8,5,3に記載されるISOによる引張強さ及び切断時の伸びの測定方法に準拠して測定した。引張強度は、切断までの最高荷重を基に算出され、引張切断時の伸びは、切断時の伸びを基に算出される。
[人工芝の試験:耐摩耗性]
JFAロングパイル人工芝検査マニュアル(第4版;平成20年4月10日)に基づいて耐摩耗性試験を行った。耐摩耗性試験は、下記の摩耗輪(前輪及び後輪)を8万往復させることとし、特定位置のパイル3房について、糸先が分繊した糸の本数を確認した。以下の数式2に示すように、確認した糸本数中の分繊した糸本数を百分率で求め、分繊発生率とした。
各摩耗輪の重量(軸を含む):26,800±100g
各摩耗輪に取り付けられたスタッドの数:145個
スタッドの仕様:サッカーシューズ用(13mm)
摩耗輪のサイズ:長さ300±2mm×直径118±1mm
摩耗輪の回転数:前輪7回転、後輪3回転
摩耗輪の往復時間(1サイクル):6.5秒(直線速度:0.1m/s)
サンプルの往復時間(1サイクル):2.3秒(1.9cm)
実施例1、2については、(1,1,0)面、(2,0,0)面ともにはっきりとしたピークがあり、表1の配向比をみても、面配向がなされているといえる。それに対し、比較例1、2のパイル糸については、(1,1,0)面のピークに比べ(2,0,0)面のピークがかなり低い状態で、表1の配向比をみても、比較例1は長さ方向に偏った延伸がなされているといえる。
各実施例及び各比較例のパイル糸を植設した人工芝の耐摩耗試験については、比較例1では、36本のパイルのうち33本のパイルの糸先が分繊していた(分繊率92%)。比較例2では、36本のパイルのうち21本のパイルの糸先が分繊していた(分繊率58%)。一方、実施例1では、36本のパイルのうち5本のパイルの糸先が分繊しているにすぎなかった(分繊率14%)。実施例2に至っては、パイルの糸先に分繊は生じていなかった(分繊率0%)。そして、摩耗試験後のパイル糸の長さを観察すると、確認した36本のうち、比較例1は4本(11%)、比較例2は14本(39%)の糸が所定のパイル長さ(試験前のパイル長さ)より短くなっているのに対し、実施例1は22本(61%)、実施例2は31本(86%)の糸が所定のパイル長さより短くなっていた。また、比較例1、比較例2、実施例1、実施例2のそれぞれのパイル糸を植設した人工芝について、摩耗試験の前後における外観を比較したところ、実施例2のパイル糸を植設した人工芝が最も摩耗試験前の外観に近く、次いで実施例1のパイル糸を植設した人工芝が近かった。そして、試験後の外観が試験前の外観から最も変化していたのは、比較例2のパイル糸を植設した人工芝だった。
実施例1及び2については、パイル長さが所定長さより短くなっているものが多く、摩耗したときに、糸先が糸幅方向に直線状に糸が切れていることで、分繊が防止されていることが推察される。
以上のように、面方向に配向がなされた実施例1及び2のパイル糸は、比較例1及び2のパイル糸に比べて、格段に分繊が発生しにくくなっており、耐摩耗性が向上したことが確認された。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂製のフラットヤーンからなり、長さ方向及び糸幅方向を含む面方向に熱可塑性樹脂が分子配向されており、X線回折における糸幅方向のX線強度のピーク高さが、長さ方向のX線強度のピーク高さの0.5倍より大きい人工芝パイル用原糸。
  2. フラットヤーンが、少なくとも糸幅方向に延伸した熱可塑性樹脂からなるフィルムを長さ方向にスリットしてなる請求項1に記載の人工芝パイル用原糸。
  3. 熱可塑性樹脂がポリエチレンである請求項1又は2に記載の人工芝パイル用原糸。
  4. 引張切断時の伸びが60〜250%である請求項1ないしのいずれかに記載の人工芝パイル用原糸。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の人工芝パイル用原糸を一次基布に植設してなる人工芝。
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