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JP6456468B1 - 改善された低温粘度および剪断抵抗を有する粘度指数向上剤 - Google Patents

改善された低温粘度および剪断抵抗を有する粘度指数向上剤 Download PDF

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JP6456468B1 JP2017238789A JP2017238789A JP6456468B1 JP 6456468 B1 JP6456468 B1 JP 6456468B1 JP 2017238789 A JP2017238789 A JP 2017238789A JP 2017238789 A JP2017238789 A JP 2017238789A JP 6456468 B1 JP6456468 B1 JP 6456468B1
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Abstract

【課題】良好な粘度指数、良好な低温粘度特性、および優れた剪断安定性の組み合わせをもたらす潤滑剤添加剤の提供。【解決手段】(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下の数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル10〜70質量%、(b)1種以上のC1〜30アルキル(メタ)アクリレート10〜80質量%、を含有するモノマー組成物を重合させることによって得られる、ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを潤滑剤添加剤とする。【選択図】なし

Description

本発明は、2,200g/mol以下の数平均分子量を有するポリブタジエンを基礎としたモノマーを含有するポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー、前記ポリマーを含有する潤滑剤組成物、前記ポリマーの製造方法、ならびに粘度指数、低温粘度および剪断抵抗を改善するための潤滑剤組成物用添加剤としての前記ポリマーの使用に関する。
従来技術
CO2排出規制がますます厳しくなる中、自動車産業は、よりよい燃料経済性をもたらすシステムを求めている。機械設備等の変化も考えられる一方で、燃料の経済性を切り詰める方策の1つとして、トランスミッションまたはエンジンに適用される潤滑剤の粘度を低下させることが挙げられる。しかしながら、潤滑剤の定常的な粘度低下にはまた、ある程度の限界がある。それというのも、潤滑剤の粘度は、金属部材を確実に保護するために充分な高さでなければならないからである。よって粘度は、最適な粘度に調整しなければならず、全ての温度範囲にわたってできる限り一定であることが望ましい。
粘度指数向上剤(VII)は、通常、粘度指数(VI)によって測定される潤滑剤の温度依存性を改善するために使用される。粘度指数は40℃での動的粘度(KV40)と、100℃での動的粘度(KV100)から算出される。VIが高ければ高いほど、潤滑剤粘度の温度依存性は低い。すなわち、粘度は温度によって変化しにくいことを意味する。ポリアルキル(メタ)アクリレートは、潤滑剤中で良好な粘度指数向上剤として作用することが知られている。
燃料の経済性を改善し、燃料を節約するためには、トランスミッションのスタートアップ段階が特に重要である。この段階の間、潤滑剤の温度は通常、40℃以下である。よって、潤滑剤の粘度は、この低温でできる限り低いことが重要である。従来技術では、この論点について充分な議論はなされていない。
潤滑剤の重要な特性の1つは、剪断力に対する抵抗性である。潤滑剤が剪断抵抗性でない場合には、VIは時間とともに低下し、高温での潤滑剤の粘度低下につながり、金属部材の保護が得られなくなる。潤滑剤の寿命を長期化するために、剪断に対する要求は一段と厳しくなっており、この特性は近年ではその重要性を増している。
粘度指数向上剤の剪断安定性は、潤滑剤の剪断安定性全体に対して著しい影響を与える。ポリマーの粘度指数向上剤の剪断安定性を改善するための1つの可能性は、ポリマー骨格(主鎖)の分子量全体を低下させることである。しかしながらこれはまた、VIの低下につながる。このため、最近の製品および潤滑剤調製物は全て、これらの特性の間でバランスをとらなければならない。
国際公開第2009/007147号(WO 2009/007147 A1)、および国際公開第2010/142789号(WO 2010/142789 A1)は、ポリブタジエンから誘導されたマクロモノマーを含有するポリマーを、粘度指数向上剤として使用することを開示しており、このマクロモノマーは、500〜50,000g/molの数平均分子量を有する。しかし、剪断安定性および低温粘度をどのようにして改善するのかについては何らの示唆もなく、VIのみに焦点が当てられている。
特許出願の国際公開第2007/003238号(WO 2007/003238)は、ポリブタジエンから誘導されたマクロモノマーを含有するポリマーを、粘度指数向上剤として使用することを開示しており、このマクロモノマーは、500〜50,000g/molの数平均分子量を有する。ここには、VIIの分子量増大が、VIの改善につながることが述べられているが、VI、低温特性または剪断安定性の観点で、マクロモノマー腕部の分子量の影響については、何ら述べられていない。
欧州特許出願公開第3093334号明細書(EP 3 093 334 A1)は、ポリブタジエンから誘導されたマクロモノマーを含有するポリマーを、粘度指数向上剤として使用することを開示しており、このマクロモノマーは、1,000〜25,000g/molの数平均分子量を有する。この出願の発明実施例は、1,100、3,000および5,000g/molの数平均分子量を有するマクロモノマーを使用している。しかしながら、剪断安定性測定の結果を見ると、分子量が小さくなることによる改善は見られない(発明実施例1、4および7)。
発明の概要
良好なVI、良好な低温粘度、および優れた剪断安定性という組み合わせを兼ね備えた粘度指数向上剤を提供するという課題について、従来技術による取り組みは充分ではない。従来技術は常に、これらの特性のうちの1つを固定することに特化しているが、1つのポリマーでこれら全ての特性を実現することには焦点を当ててはいない。しかしながら、潤滑剤の近年の傾向にとっては、これらの特性をすべて最適化して、燃料経済性の改善、および自動車における金属部材の保護、およびより長い寿命にわたる産業的適用という問題を解決することが重要である。
よって本発明の目的は、良好な粘度指数、良好な低温粘度特性、および優れた剪断安定性の組み合わせをもたらす潤滑剤添加剤を提供することである。
意外なことに、特定のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー、および潤滑剤組成物のための添加剤としてのその使用が、これらの全ての特性をもたらすこと、つまり、従来技術のものと同等の高いVIを有するが、低温で改善された粘度特性を有し、著しく改善された剪断安定性を有することが判明した。
発明の詳細な説明
本発明によるポリマー
第一の態様において、本発明は、
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下の数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル 10〜70質量%、
(b)1種以上のC1〜30アルキル(メタ)アクリレート 10〜80質量%
を含有するモノマー組成物を重合させることによって得られる、ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーに関する。
特に言及しない限り、モノマーの量は、使用するモノマーの全量を基準とする。
(a)および(b)の量は、合計で100質量%になるのが好ましい。
本発明の文脈においてポリマーは、第一のポリマー(これはまた、骨格または主鎖とも呼ぶ)、および複数のさらなるポリマー(これらは側鎖とも呼び、骨格に対して共有結合されている)を含有する。この場合、ポリマーの骨格は、前述の(メタ)アクリル酸エステルの連結された不飽和基によって形成される。(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基および水素化ポリブタジエン鎖は、ポリマーの側鎖を形成する。
「(メタ)アクリル酸」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸、およびアクリル酸とメタクリル酸との混合物を指し、メタクリル酸が好ましい。「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、またはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの混合物を指し、メタクリル酸のエステルが好ましい。
本発明によるポリマーは好ましくは、10,000〜1,000,000g/molの質量平均分子量(Mw)を有することができる。質量平均分子量が異なるポリマーを、様々な用途のために、例えばエンジンオイル、トランスミッションフルード、およびトラクターオイルのために、使用することができる。ポリマーの質量平均分子量は好ましくは、以下の表に従って、意図する用途に応じて選択することができる。
Figure 0006456468
本発明によるポリマーの質量平均分子量(Mw)は好ましくは、15,000〜350,000g/mol、より好ましくは30,000〜350,000g/mol、さらにより好ましくは50,000〜320,000g/mol、最も好ましくは70,000〜300,000g/molの範囲にある。この質量平均分子量を有するポリマーは、トランスミッションフルード、例えばオートマチックトランスミッションルード、マニュアルトランスミッションルード、およびベルト式無段トランスミッションルードでの使用に特に適している。
本発明によるポリマーの数平均分子量(Mn)は好ましくは、10,000〜90,000g/mol、より好ましくは15,000〜80,000g/mol、最も好ましくは20,000〜70,000g/molの範囲にある。
本発明によるポリマーの多分散性指数(PDI)は、1.5〜6.0、より好ましくは2.0〜5.0、最も好ましくは2.9〜4.6の範囲にある。多分散性指数とは、質量平均分子量の、数平均分子量に対する比率と規定される(Mw/Mn)。
質量平均分子量および数平均分子量は、市販のポリメチルメタクリレート標準を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって特定される。この特定はDIN 55672-1に従って、溶離剤としてTHFを用いてゲル透過クロマトグラフィーにより行われる。
本発明によるポリマーは、そのモル分岐度(fbranch)に基づき特性決定することができる。モル分岐度とは、モノマー組成物における全てのモノマーの合計モル量を基準とした、使用するマクロモノマー(成分(a))のmol%でのパーセンテージをいう。使用するマクロモノマーのモル量は、マクロモノマーの数平均分子量(Mn)に基づき算出される。モル分岐度の算出は、詳細には国際公開第2007/003238号(WO 2007/003238 A1)、特にその13頁と14頁に記載されており、これについては、ここで明示的に参照しておく。
ポリマーは好ましくは、0.1〜6mol%、より好ましくは1〜4mol%、最も好ましくは1.5〜3mol%のfbranchのモル分岐度を有する。
ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン
本発明に従って成分(a)として使用するためのヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、2,200g/mol以下の数平均分子量Mnを有する。ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、その分子量が大きいため、本発明の文脈ではマクロアルコールとも呼ぶこともある。(メタ)アクリル酸の相応するエステルもまた、本発明の文脈ではマクロモノマーと呼ぶことができる。
成分(a)は、1種類のマクロモノマーを、または異なった種類のマクロアルコールに基づいて異なった種類のマクロモノマーの混合物を含有していてもよい。
2,200g/mol以下の数平均分子量を有するマクロアルコールに基づいたマクロモノマーを、本発明によるアルキル(メタ)アクリレートと組み合わせることにより、良好なVI、優れた低温特性、および良好な剪断抵抗の組み合わせをもたらすポリマーが得られる。
数平均分子量Mnは、市販のポリブタジエン標準を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより特定される。この特定はDIN 55672-1に従って、溶離剤としてTHFを用いてゲル透過クロマトグラフィーにより行われる。
成分(a)で言及されるヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、本発明の文脈においては、「第一の」ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンともいう。
第一のヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、2,200g/mol以下の単独の数平均分子量を有する単独のポリブタジエンであってよく、または2,200g/mol以下の異なった数平均分子量を有する異なったポリブタジエンの混合物であってよい。
このモノマー組成物は好ましくは、成分(a)として1種以上の(メタ)アクリル酸のエステル、および1,500g/mol〜2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンを、20〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%、さらにより好ましくは20〜45質量%、最も好ましくは20〜35質量%、含有する。
成分(a)のヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは好ましくは、1,500〜2,200g/mol、より好ましくは1,500〜2,100g/mol、さらにより好ましくは1,800〜2,100g/mol、最も好ましくは1,900〜2,100g/molの数平均分子量を有する。
この組成物は任意でさらに、成分(a)の一部として、1種以上のさらなる(メタ)アクリル酸エステル、および2,200g/molより大きい数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンを含有することができる。モノマー組成物におけるこれらのモノマーの量は好ましくは、10質量%以下、より好ましくは8%以下、最も好ましくは6%以下に制限される。これらのモノマーのヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは好ましくは、3,500〜7,000g/mol、より好ましくは4,000〜6,000g/mol、最も好ましくは4,500〜5,000g/molの数平均分子量を有する。これらのヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、本発明の文脈では「第二の」ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンともいう。これらのモノマーが含まれる場合、これらは上記分岐度を算出するためには、マクロモノマーとしても考慮される。
第一および/または第二のヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは好ましくは、少なくとも99%の水素化レベルを有する。本発明のポリマーにより特定可能な水素化レベルの代替的な測定は、ヨウ素価を用いる。ヨウ素価とは、ポリマー100gに添加可能なヨウ素のグラム数をいう。本発明によるポリマーは好ましくは、ポリマー100gあたり5g以下のヨウ素価を有する。ヨウ素価はWijs法により、DIN 53241-1:1995-05に従って特定される。
好ましいヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、英国特許第2270317号明細書(GB 2270317)に従って得ることができる。
ここで使用する「ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン」という用語は、1個以上の水酸基を有する水素化ポリブタジエンを指す。ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンはさらに、さらなる構造単位、例えばポリブタジエンに添加されたアルキレンオキシドに由来するポリエーテル基、またはポリブタジエンに添加されたマレイン酸無水物に由来するマレイン酸無水物基を含有することができる。これらのさらなる構造単位は、ポリブタジエンがヒドロキシ基によって官能化されている場合に、ポリブタジエンに導入することができる。
モノヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンが好ましい。ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンはより好ましくは、ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピルで末端化された水素化ポリブタジエンである。ヒドロキシプロピルで末端化されたポリブタジエンが、特に好ましい。
モノヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、まずブタジエンモノマーをアニオン重合により変換してポリブタジエンにすることによって製造することができる。引き続き、ポリブタジエンモノマーとアルキレンオキシド(例えばエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)との反応により、ヒドロキシ官能化されたポリブタジエンを製造することができる。ポリブタジエンはまた、1種より多いアルキレンオキシド単位と反応させることもでき、これによって、末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル−ポリブタジエンブロックコポリマーが生じる。ヒドロキシル化されたポリブタジエンは、適切な遷移金属触媒の存在下で水素化することができる。
これらのモノヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、以下のものから選択することもできる:末端二重結合を有する(コ)ポリマーのヒドロホウ素化によって得られる生成物(例えば米国特許第4,316,973号明細書(US Patent No. 4,316,973)に記載されたもの)、末端二重結合を有する(コ)ポリマーと、アミノアルコールを有するマレイン酸無水物との反応により得られるマレイン酸無水物−エン−アミノアルコール付加物、および末端二重結合を有する(コ)ポリマーのヒドロホルミル化に続く水素化によって得られる生成物(例えば特開昭63−175096(JP Publication No. S63-175096)に記載)。
本発明に従って使用するためのマクロモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートのエステル交換によって作製することができる。アルキル(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの反応により、本発明のエステルが形成される。反応物質として、メチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートを使用するのが好ましい。
このようなエステル交換は周知である。このためには例えば、不均一系触媒系、例えば水酸化リチウム/酸化カルシウム混合物(LiOH/CaO)、純粋な水酸化リチウム(LiOH)、リチウムメトキシド(LiOMe)、またはナトリウムメトキシド(NaOMe)、または均一系触媒系、例えばイソプロピルチタネート(Ti(OiPr)4)、またはジオクチルスズオキシド(Sn(OCt)2O)を使用することができる。この反応は平衡反応である。よって、放出される低分子量のアルコールは通常、例えば蒸留によって取り除かれる。
さらに、先行する直接的なエステル化によって、例えば(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸無水物から、好ましくはp−トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸による酸触媒のもとで、またはDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)法により遊離メタクリル酸から、マクロモノマーを得ることができる。
さらに、本発明によるヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、酸塩化物、例えば(メタ)アクリロイルクロリドとの反応によって、エステルに変換することができる。
本発明のエステルの前述のとおりの製造において、重合阻害剤、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシルラジカルおよび/またはヒドロキノンモノメチルエーテルを使用するのが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート
「C1〜30アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリル酸、および1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝状のアルコールを指す。この用語は、特定の長さのアルコールを有する各(メタ)アクリル酸エステル、および同様に異なる長さのアルコールを有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を包含する。
1〜30アルキル(メタ)アクリレートは、C1〜4アルキル(メタ)アクリレートとC10〜30アルキル(メタ)アクリレートとの混合物を含むのが好ましい。
「C1〜4アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリル酸と、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝状のアルコールとのエステルを指す。この用語は、特定の長さのアルコールを有する各(メタ)アクリル酸エステル、および同様に異なる長さのアルコールを有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を包含する。
適切なC1〜4アルキル(メタ)アクリレートは例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、およびtert−ブチル(メタ)アクリレートを含む。特に好ましいC1〜4アルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、およびn−ブチル(メタ)アクリレートである。メチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレートが、特に好ましい。
「C10〜30アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリル酸と、10〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝状のアルコールとのエステルを指す。この用語は、特定の長さのアルコールを有する各(メタ)アクリル酸エステル、および同様に異なる長さのアルコールを有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を包含する。
適切なC10〜30アルキル(メタ)アクリレートは例えば、2−ブチルオクチル(メタ)アクリレート、2−ヘキシルオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−ブチルデシル(メタ)アクリレート、2−ヘキシルデシル(メタ)アクリレート、2−オクチルデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、2−ヘキシルドデシル(メタ)アクリレート、2−オクチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−ドデシルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−デシルオクタデシル(メタ)アクリレート、2−テトラデシルオクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、エイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート、2−デシル−テトラデシル(メタ)アクリレート、2−デシルオクタデシル(メタ)アクリレート、2−ドデシル−1−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、1,2−オクチル−1−ドデシル(メタ)アクリレート、2−テトラデシルオクタデシル(メタ)アクリレート、1,2−テトラデシル−オクタデシル(メタ)アクリレート、および2−ヘキサデシル−エイコシル(メタ)アクリレート、n−テトラコシル(メタ)アクリレート、n−トリアコンチル(メタ)アクリレート、および/またはn−ヘキサトリアコンチル(メタ)アクリレートを含む。
特に好ましい実施形態において、C1〜30アルキル(メタ)アクリレートは、C1〜4アルキル(メタ)アクリレートと、C10〜18アルキル(メタ)アクリレートとの混合物を含むのが好ましい。
「C10〜18アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリル酸と、10〜18個の炭素原子を有する直鎖または分枝状のアルコールとのエステルを指す。この用語は、特定の長さのアルコールを有する各(メタ)アクリル酸エステル、および同様に異なる長さのアルコールを有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を包含する。
適切なC10〜18アルキル(メタ)アクリレートは例えば、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、5−メチルウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−メチルドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、5−メチルトリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、および/またはペンタデシルメタクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、および/またはオクタデシル(メタ)アクリレートを含む。
特に好ましいC10〜18アルキル(メタ)アクリレートは、直鎖状C12〜14アルコール混合物の(メタ)アクリル酸エステル(C12〜14アルキル(メタ)アクリレート)、およびC16〜18アルコール混合物の(メタ)アクリル酸エステル(C16/18アルキル(メタ)アクリレート)である。
モノマー組成物は好ましくは、モノマー混合物の全質量に対して、1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレート0.5〜80質量%および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレート0.1〜15質量%を、より好ましくは1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレート1.0〜70質量%および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレート0.1〜10質量%を、最も好ましくは1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレート9〜70質量%および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレート0.2〜6質量%を、成分(b)として含有する。
1つの実施形態において、モノマー組成物は成分(b)として、メチル(メタ)アクリレートを0.2〜16質量%、ブチル(メタ)アクリレートを9〜55質量%、および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレートを0.2〜6質量%、含有する。
さらなるモノマー
モノマー組成物は好ましくは、成分(a)および(b)に加えてさらなるモノマー(成分c)を含有する。
本発明に従って使用可能なさらなるモノマーは、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、酸素および/または窒素で官能化された分散性モノマー、複素環式(メタ)アクリレート、複素環式ビニル化合物、共有結合されたリン原子を含有するモノマー、エポキシ基を含有するモノマー、およびハロゲンを含有するモノマーからなる群から選択される。
8〜17個の炭素原子を有する適切なスチレンモノマーは、スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばビニルトルエンおよびパラメチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン、およびテトラブロモスチレン、ニトロスチレンからなる群から選択される。スチレンが好ましい。
アシル基中に1〜11個の炭素原子を有する適切なビニルエステルは、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルからなる群から選択され、好ましくはアシル基中に2〜9個、より好ましくは2〜5個の炭素原子を有するビニルエステルであり、ここでアシル基は、直鎖状または分枝鎖状であってもよい。
アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する適切なビニルエーテルは、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルからなる群から選択され、ビニルエーテルはアルコール基中に好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、ここでアルコール基は、直鎖状または分枝鎖状であってもよい。
酸素および/または窒素で官能化された適切な分散性モノマーは、アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシスチレン、ビニルアルコール、アルケノール(3〜12個の炭素原子を有する(メチル)アリルアルコール)、多価(3〜8価)アルコール(グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリド、糖)、エーテルまたはメタ(アクリレート);C1〜8アルキルオキシ−C2〜4アルキル(メタ)アクリレート、例えばメトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシ−ブチル(メタ)アクリレート、メトキシヘプチル(メタ)アクリレート、メトキシヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシペンチル(メタ)アクリレート、メトキシオクチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ−ブチル(メタ)アクリレート、エトキシヘプチル(メタ)アクリレート、エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシペンチル(メタ)アクリレート、エトキシオクチル(メタ)アクリレート、プロポキシメチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、プロポキシブチル(メタ)アクリレート、プロポキシヘプチル(メタ)アクリレート、プロポキシヘキシル(メタ)アクリレート、プロポキシペンチル(メタ)アクリレート、プロポキシオクチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシヘプチル(メタ)アクリレート、ブトキシヘキシル(メタ)アクリレート、ブトキシペンチル(メタ)アクリレート、およびブトキシオクチル(メタ)アクリレートからなる群から選択され、エトキシエチル(メタ)アクリレートおよびブトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
適切な複素環式(メタ)アクリレートは、2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノンからなる群から選択される。
適切な複素環式ビニル化合物は、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルオキサゾール、および水素化されたビニルオキサゾールからなる群から選択される。
共有結合されたリン原子を含有するモノマーは、2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィト)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルホスファト)−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィト)−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジエチルホスホネート、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジプロピルホスホネート、3−(ジメチルホスファト)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(エチレンホスフィト)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルジエチルホスホネート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルジプロピルホスホネート、および2−(ジブチルホスホノ)−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
エポキシ基を含有する適切なモノマーは例えば、グリシジル(メタ)アクリレートおよびグリシジル(メタ)アリルエーテルなどである。
ハロゲンを含有するモノマーは例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アリルクロリド、およびハロゲン化されたスチレン(ジクロロスチレン等)などである。
モノマー組成物は好ましくは、成分(c)としてさらなるモノマーを、0〜80質量%、より好ましくは0.01〜70質量%、最も好ましくは0.2〜60質量%含有する。
さらなるモノマーは好ましくは、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーと、任意で、酸素および/または窒素で官能化された分散性モノマーとを含有する。さらなるモノマーは、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーであるのが好ましい。
1つの実施形態においてモノマー組成物は、成分(c)として、8〜17個の炭素原子を有する1種以上のスチレンモノマーを、0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜70質量%、最も好ましくは0.2〜60質量%、含有する。
1つの実施形態において、モノマー組成物は成分(c)として、炭素原子を8〜17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜70質量%、最も好ましくは0.2〜60質量%、および酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを0.01〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、最も好ましくは2〜5質量%、含有する。酸素および/または窒素で官能化された分散性モノマーは、アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、およびC1〜8アルキルオキシ−C2〜4アルキル(メタ)アクリレートから選択されるのが好ましい。
成分(a)〜(c)の量は、合計で100質量%になるのが好ましい。
好ましいモノマー組成物
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下、好ましくは1,500g/mol〜2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを、20〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%、最も好ましくは20〜45質量%、
(b)1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレート0.5〜80質量%および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレート0.01〜15質量%を、より好ましくは1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレート1.0〜70質量%および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレート0.1〜10質量%を、最も好ましくは1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレート9〜70質量%および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレート0.2〜6質量%、および
(c)炭素原子を8〜17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜70質量%、最も好ましくは0.2〜60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマー0.01〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、最も好ましくは2〜5質量%
含有する。
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下、好ましくは1,500〜2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20〜60質量%、
(b)1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレートを1.0〜70質量%、および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレートを0.1〜10質量%、
(c)炭素原子を8〜17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2〜60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを1〜8質量%
含有する。
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下、好ましくは1,500〜2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20〜60質量%、
(b)1種以上のC1(メタ)アクリレートを0.2〜16質量%、1種以上のC4(メタ)アクリレートを10〜55質量%、1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレートを0.2〜6質量%、
(c)炭素原子を8〜17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2〜60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを2〜5質量%
含有する。
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、1,900〜2,100g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20〜60質量%、
(b)1種以上のC1(メタ)アクリレートを0.2〜16質量%、1種以上のC4(メタ)アクリレートを10〜55質量%、1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレートを0.2〜6質量%、
(c)炭素原子を8〜17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2〜60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを2〜5質量%
含有する。
前述の(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸のエステルであるのが好ましい。
製造方法
本発明はまた、上記ポリマーの製造方法に関し、この方法は、以下の工程:
(a)前述のモノマー組成物を用意する工程、および
(b)モノマー組成物においてラジカル重合を開始する工程
を含むものである。
標準的なフリーラジカル重合は詳細には特に、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Editionに記載されている。一般的に、重合開始剤、および任意で連鎖移動剤が、この目的のために使用される。
ATRP法は、それ自体公知である。これは「リビング(living)」フリーラジカル重合であると考えられるが、このメカニズムの記載によって、何ら制限を意図するものではない。これらの手順では遷移金属化合物を、移動可能な原子基を有する化合物と反応させる。この場合、移動可能な原子基が遷移金属化合物に向かって移動し、その結果、金属が酸化される。この反応によりフリーラジカルが形成され、このフリーラジカルは、エチレン性の基に付加する。しかしながら、遷移金属化合物に対する原子基の移動は可逆的であるため、原子基は成長中のポリマー鎖に戻され、その結果、制御された重合系が形成される。従って、ポリマーの形成、ポリマーの分子量および分子量分布を制御することが可能である。
この反応レジームは、J.-S. WangらによってJ. Am. Chem. Soc, vol. 117, p. 5614〜5615 (1995)に、MatyjaszewskiによってMacromolecules, vol. 28, p. 7901〜7910 (1995)に、記載されている。さらに、特許出願の国際公開第96/30421号(WO 96/30421)、国際公開第97/47661号(WO 97/47661)、国際公開第97/18247号(WO 97/18247)、国際公開第98/40415号(WO 98/40415)、および国際公開第99/10387号(WO 99/10387)は、先に述べたATRPの変法を開示している。さらに、本発明のポリマーはまた、例えばRAFT法によって得ることもできる。この方法は詳細には、例えば国際公開第98/01478号(WO 98/01478)、および国際公開第2004/083169号(WO 2004/083169)に記載されている。
重合は例えば、標準圧力下、減圧下、または高圧下で行うことができる。重合温度もまた重要ではない。しかしながら一般的に重合温度は、−20〜200℃、好ましくは50〜150℃、およびより好ましくは80〜130℃の範囲にある。
工程(a)で用意されるモノマー組成物は、反応混合物を用意するために、油を添加することによって希釈するのが好ましい。モノマー組成物の量、すなわちモノマーの合計量は、反応混合物の全質量に対して、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%、最も好ましくは50〜70質量%である。
モノマー混合物を希釈するために使用する油は、APIのグループI、II、III、IVまたはVの油、またはこれらの混合物であるのが好ましい。グループIIIの油、またはその混合物を、モノマー混合物を希釈するために使用するのが好ましい。
工程(b)は、ラジカル開始剤の添加を含むのが好ましい。
適切なラジカル開始剤は例えば、アゾ開始剤、例えばアゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、および1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、およびペルオキシ化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、tert−ブチルペルオクトエート、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、およびビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートである。
ラジカル開始剤は好ましくは、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−tert−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、およびtert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートからなる群から選択される。特に好ましい開始剤は、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、および2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタンである。
ラジカル開始剤の合計量は、モノマー混合物の全質量に対して、0.01〜5質量%、より好ましくは0.02〜1質量%、最も好ましくは0.05〜0.6質量%である。
ラジカル開始剤の合計量は、1つの工程で添加することができるか、またはラジカル開始剤は、重合反応の過程にわたる複数の工程で添加することができる。ラジカル開始剤は、複数の工程で添加するのが好ましい。例えば、ラジカル開始剤の一部を、ラジカル重合を開始するために添加することができ、ラジカル開始剤の第二の部分を、最初の添加から0.5〜3.5時間後に添加することができる。
工程(b)は、連鎖移動剤の添加も含むのが好ましい。適切な連鎖移動剤は特に、油溶性メルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタンもしくは2−メルカプトエタノールであるか、またはテルペン(例えばテルピノレン)の部類からのその他の連鎖移動剤である。n−ドデシルメルカプタンを添加するのが特に好ましい。
モノマー組成物を第一の部分と第二の部分とに分け、ラジカル開始剤の一部を第一の部分だけに添加して、その中での重合反応を開始させることも可能である。それから、ラジカル開始剤の第二の部分を、モノマー組成物の第二の部分に添加し、それからこれを、0.5〜5時間、好ましくは1.5〜4時間、より好ましくは2〜3.5時間にわたって、重合反応混合物に添加する。第二のモノマー混合物を添加後、ラジカル開始剤の第三の部分を、前述のように重合反応に添加することができる。
ラジカル重合の合計反応時間は、2〜10時間、より好ましくは3〜9時間であるのが好ましい。
ラジカル重合の終了後、得られたポリマーを前述の油でさらに希釈して、所望の粘度にするのが好ましい。ポリマーは、ポリマーの質量に対して5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、最も好ましくは20〜40質量%の濃度に希釈するのが好ましい。
ポリマーの使用
本発明はまた、潤滑剤組成物の粘度指数、40℃以下の温度での粘度、および剪断抵抗を改善するための潤滑剤組成物用の添加剤としての、前述のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの使用に関する。
本発明のポリマー、および本発明によるポリマーを含有する潤滑剤組成物は、駆動システム潤滑油(例えばマニュアルトランスミッションフルード、デファレンシャルギアオイル、オートマチックトランスミッションフルード、およびベルト式無段トランスミッションフルード、シャフト流体調製物、デュアルクラッチトランスミッションフルード、および専用ハイブリッドトランスミッションフルード)、油圧作動油(例えば機械のための油圧作動油、パワーステアリングオイル、衝撃吸収オイル)、エンジンオイル(ガソリンエンジン用、およびディーゼルエンジン用)、および工業用油調製物(例えば風力タービン)のために使用するのが好ましい。
本発明によるポリマーの動的粘度という観点から、潤滑剤組成物におけるポリマーの質量割合は、潤滑剤組成物の全質量を基準として、1質量%〜50質量%、好ましくは1質量%〜35質量%の範囲で含まれているのが好ましい。
本発明による潤滑剤組成物をエンジンオイルとして使用する場合、この組成物は、潤滑剤組成物の全質量を基準として、本発明によるポリマーを1質量%〜20質量%、より好ましくは1質量%〜15質量%含有するのが好ましく、これによってASTM D445に従った、100℃での動的粘度は、4mm2/s〜10mm2/sの範囲になる。
本発明による潤滑剤組成物を自動車用ギアオイルとして使用する場合、この組成物は、潤滑剤組成物の全質量を基準として、本発明によるポリマーを1質量%〜35質量%、より好ましくは1質量%〜25質量%含有するのが好ましく、これによってASTM D445に従った、100℃での動的粘度は、2mm2/s〜15mm2/sの範囲になる。
本発明による潤滑剤組成物を自動車用トランスミッションオイルとして使用する場合、この組成物は、潤滑剤組成物の全質量を基準として、本発明によるポリマーの質量を1質量%〜25質量%、より好ましくは1質量%〜18質量%含有するのが好ましく、これによってASTM D445に従った、100℃での動的粘度は、2mm2/s〜6mm2/sの範囲になる。
本発明による潤滑剤組成物を工業用ギアオイルとして使用する場合、この組成物は、潤滑剤組成物の全質量を基準として、本発明によるポリマーの質量を10質量%〜50質量%、より好ましくは10質量%〜35質量%含有するのが好ましく、これによってASTM D445に従った、100℃での動的粘度は、10mm2/s〜40mm2/sの範囲になる。
このポリマーは、潤滑油のVIを増加させるため、40℃以下での動的粘度を増加させるため、および剪断後の動的粘度の低下を防止するために使用するのが好ましい。
粘度指数は、ASTM D2270に従って測定することができる。
動的粘度は、ASTM D445に従って測定することができる。
剪断抵抗は、潤滑剤をDIN 51350 Part 6に従って剪断にかける前とその後に、潤滑剤の特性を測定することによって評価するのが好ましい。DIN 51350 Part 6に従ってテーパーローラベアリングを用いて40時間の間、4000rpmで80℃において剪断を行うのが好ましい。
組成物
本発明はまた、以下の(a)および(b):
(a)基油、および
(b)前述のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー
を含有する組成物に関する。
本発明によるポリマーが存在することによって、組成物は優れた剪断安定性を有し、剪断後もその粘度を維持できる。よって本発明による組成物は、トランスミッションフルードとして使用するのが好ましい。
この組成物は、本発明によるポリマーと、希釈剤としての基油とを含有する添加剤組成物であってもよい。この添加剤組成物は例えば、粘度指数向上剤として潤滑剤に添加することができる。添加剤組成物は通常、本発明によるポリマーを比較的多量で含有する。
この組成物はまた、本発明によるポリマー、基油、および任意で、以下に論じるさらなる添加剤を含有する潤滑剤であってもよい。潤滑剤組成物は例えば、エンジンオイルまたはトランスミッションフルードとして使用できる。潤滑剤組成物は通常、本発明によるポリマーを、前述の添加剤組成物と比べて少ない量で含有する。
この組成物を添加剤組成物として使用する場合、基油(成分a)の量は、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%であり、ポリマー(成分b)の量は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
この組成物を潤滑剤組成物として使用する場合、基油(成分a)の量は、好ましくは50〜99.5質量%、より好ましくは65〜99.5質量%、さらにより好ましくは75〜97質量%であり、ポリマー(成分b)の量は、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは0.5〜35質量%、さらにより好ましくは3〜25質量%である。
(a)および(b)の量は、合計で100質量%になるのが好ましい。
組成物中で使用すべき基油は、潤滑に適した粘度の油を含有するのが好ましい。このような油は、天然油および合成油、水素化分解、水素化および水素化仕上げから得られるオイル、未精製オイル、精製オイル、再精製オイル、またはこれらの混合物を含む。
基油は、アメリカ石油協会(API)によって規定されているとおりに定義することができる("Appendix E-API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils"の2008年4月版、section 1.3 Sub-heading 1.3. "Base Stock Categories"参照)。
APIは近年、潤滑剤原料について5つのグループを規定している(API 1509, Annex E - API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils、2011年9月)。グループI、IIおよびIIIは鉱油であり、鉱油は、鉱油自体が含有する飽和分および硫黄の量と、その粘度指数によって分類される。グループIVはポリα−オレフィンであり、グループVはその他の全てのオイル(例えばエステル油含む)である。以下の表は、これらのAPI分類を説明している。
Figure 0006456468
本発明に従って潤滑油組成物を製造するために使用される適切な極性基油の、ASTM D445に従った100℃での動的粘度(KV100)は、1mm2/s〜10mm2/s、より好ましくは2mm2/s〜8mm2/sの範囲であるのが好ましい。
本発明に従って使用することができるさらなる基油は、フィッシャートロプシュ由来のグループII〜IIIの基油である。
フィッシャートロプシュ由来の基油は、この分野で公知である。「フィッシャートロプシュ由来」とは、基油が、フィッシャートロプシュ法の合成生成物であることを意味する。フィッシャートロプシュ由来の基油はまた、GTL(ガスを液化した)基油ともいえる。本発明の潤滑剤組成物中で基油として慣用的に使用可能な、フィッシャートロプシュ由来の適切な基油は例えば、欧州特許第0776959号明細書(EP 0 776 959)、欧州特許第0668342号明細書(EP 0 668 342)、国際公開第97/21788号(WO 97/21788)、国際公開第00/15736号(WO 00/15736)、国際公開第00/14188号(WO 00/14188)、国際公開第00/14187号(WO 00/14187)、国際公開第00/14183号(WO 00/14183)、国際公開第00/14179号(WO 00/14179)、国際公開第00/08115号(WO 00/08115)、国際公開第99/41332号(WO 99/41332)、欧州特許第1029029号明細書(EP 1 029 029)、国際公開第01/18156号(WO 01/18156)、国際公開第01/57166号(WO 01/57166)、および国際公開第2013/189951号(WO 2013/189951)に開示されたものである。
特にトランスミッションオイル調製物のためには、APIグループIIIの基油、ならびに様々なグループIIIオイルの混合物を使用する。好ましい実施形態において基油はまた、ポリα−オレフィン基油、またはポリα−オレフィン基油とAPIグループIII基油との混合物、またはAPIグループIIIの基油の混合物であってもよい。
本発明による潤滑剤組成物はさらに、40℃以下での動的粘度が低いことを特徴とする。KV40は、好ましくは25mm2/s未満、より好ましくは18〜24mm2/s、最も好ましくは21〜23mm2/sである。KV40は40℃での動的粘度であり、ASTM D445に従って測定することができる。KV20は、好ましくは54mm2/s未満、より好ましくは45〜53mm2/s、最も好ましくは50〜52mm2/sである。KV20は20℃での動的粘度であり、ASTM D445に従って測定することができる。KV10は、好ましくは90mm2/s未満、より好ましくは75〜89mm2/s、最も好ましくは80〜88mm2/sである。KV10は10℃での動的粘度であり、ASTM D445に従って測定することができる。KV0は、好ましくは164mm2/s未満、より好ましくは130〜163mm2/s、最も好ましくは140〜162mm2/sである。KV0は0℃での動的粘度であり、ASTM D445に従って測定することができる。
潤滑剤組成物は、179超、より好ましくは180超、最も好ましくは184超の粘度指数を有するのが好ましい。粘度指数は、ASTM D2270に従って測定することができる。
潤滑剤組成物は、トランスミッションフルードまたはエンジンオイルであるのが好ましい。
本発明による潤滑剤組成物はまた、成分(c)として、分散剤、消泡剤、洗浄剤、酸化防止剤、流動点降下剤、耐摩耗性添加剤、極圧添加剤、腐食防止剤、摩擦調整剤、染料、およびこれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含有することができる。
適切な分散剤は、ポリ(イソブチレン)誘導体、例えばポリ(イソブチレン)スクシンイミド(PIBSI、ホウ化されたPIBSIを含む)、およびN/O官能基を有するエチレンプロピレンオリゴマーを含む。
分散剤(ホウ酸系分散剤を含む)は、潤滑剤組成物の全量を基準として、0〜5質量%の量で使用するのが好ましい。
適切な消泡剤は、シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、フルオロアルキルエーテルなどである。
消泡剤は、潤滑剤組成物の全量を基準として、0.005〜0.1質量%の量で使用するのが好ましい。
好ましい洗浄剤は、金属含有化合物、例えばフェノキシド、サリシレート、チオホスホネート、特にチオピロホスホネート、チオホスホネート、およびホスホネート、スルホネートおよびカーボネートを含む。これらの化合物は金属として、特にカルシウム、マグネシウムおよびバリウムを含有することができる。これらの化合物は、中性または過塩基性の形態で使用するのが好ましい。
洗浄剤は、潤滑剤組成物の全量を基準として、0.2〜1質量%の量で使用するのが好ましい。
適切な酸化防止剤は例えば、フェノール系酸化防止剤、およびアミン系酸化防止剤を含む。
フェノール系酸化防止剤は例えば、以下のものを含む:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチル−フェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール;2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など。これらのうち特に好ましいのはもちろん、ビスフェノール系酸化防止剤、およびエステル基を含有するフェノール系酸化防止剤である。
アミン系酸化防止剤は例えば、以下のものを含む:モノアルキルジフェニルアミン、例えばモノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミンなど;ジアルキルジフェニルアミン、例えば4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミンなど;ポリアルキルジフェニルアミン、例えばテトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミンなど;ナフチルアミン、具体的にはα−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、およびさらにアルキル置換されたフェニル−α−ナフチルアミン、例えばブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなど。もちろんジフェニルアミンは、その酸化防止効果という観点から、ナフチルアミンよりも好ましい。
適切な酸化防止剤はさらに、以下のものからなる群から選択することができる:硫黄およびリンを含有する化合物、例えば金属ジチオホスフェート、例えば亜鉛ジチオホスフェート(ZnDTP)、「OOSトリエステル」=ジチオリン酸と、オレフィン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、α−ピネン、ポリブテン、アクリル酸エステル、マレイン酸エステルからの活性化された二重結合との反応生成物(燃焼時に無灰);有機硫黄化合物、例えばジアルキルスルフィド、ジアリールスルフィド、ポリスルフィド、変性されたチオール、チオフェン誘導体、ザンテート、チオグリコール、チオアルデヒド、硫黄含有カルボン酸;複素環式硫黄/窒素化合物、特にジアルキルジメルカプトチアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール;亜鉛ビス(ジアルキルジチオカルバメート)、およびメチレンビス(ジアルキルジチオカルバメート);有機リン化合物、例えばトリアリールおよびトリアルキルホスファイト;有機銅化合物、および過塩基性のカルシウムおよびマグネシウムに基づくフェノキシド、およびサリシレート。
酸化防止剤は、潤滑剤組成物の全量を基準として、0〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の量で使用する。
流動点降下剤は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、塩化されたパラフィン−ナフタレン縮合物、塩化されたパラフィン−フェノール縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレンなどを含む。5,000〜200,000g/molの質量平均分子量を有するポリメタクリレートが好ましい。
流動点降下剤の量は、潤滑剤組成物の全量を基準として、0.1〜5質量%であるのが好ましい。
好ましい耐摩耗性添加剤および極圧添加剤は、以下のものを含む:硫黄含有化合物、例えば亜鉛ジチオホスフェート、亜鉛ジ−C3〜12アルキルジチオホスフェート(ZnDTP)、亜鉛ホスフェート、亜鉛ジチオカルバメート、モリブデンジチオカルバメート、モリブデンジチオホスフェート、ジスルフィド、硫黄化されたオレフィン、硫黄化された油および脂肪、硫黄化されたエステル、チオカーボネート、チオカルバメート、ポリスルフィドなど;リン含有化合物、例えばホスファイト、ホスフェート、例えばトリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、例えばトリクレシルホスフェート、アミンで中和されたモノアルキルおよびジアルキルホスフェート、エトキシ化されたモノアルキルおよびジアルキルホスフェート、ホスホネート、ホスフィン、これらの化合物のアミン塩または金属塩など。硫黄およびリン含有耐摩耗性添加剤、例えばチオホスファイト、チオホスフェート、これらの化合物のアミン塩または金属塩など。
耐摩耗性添加剤は、潤滑剤組成物の全量を基準として、0〜3質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.5〜0.9質量%の量で存在しうる。
好ましい摩擦調整剤は、以下のものを含むことができる:機械的に作用する化合物、例えばモリブデンジスルフィド、黒鉛(フッ化された黒鉛を含む)、ポリ(トリフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリイミド;吸着層を形成する化合物、例えば長鎖カルボン酸、脂肪酸エステル、エーテル、アルコール、アミン、アミド、イミド;トライボケミカル反応による層からの化合物、例えば飽和脂肪酸、リン酸、およびチオリン酸エステル、キサントゲン酸塩、硫黄化された脂肪酸;ポリマーのような層を形成する化合物、例えばエトキシ化されたジカルボン酸部分エステル、ジアルキルフタレート、メタクリレート、不飽和脂肪酸、硫黄化されたオレフィン、および有機金属化合物、例えばモリブデン化合物(モリブデンジチオホスフェート、およびモリブデンジチオカルバメート MoDTC)、およびこれらとZnDTPとの組み合わせ、銅含有有機化合物。
前述の化合物のうち幾つかは、複数の機能を満たすことができる。ZnDTPは例えば、一義的には耐摩耗性添加剤および極圧添加剤であるが、また酸化防止剤および腐食防止剤の特性も有する(ここでは金属不活性化剤/失活剤)。
前述の添加剤は詳細には特に、T. Mang, W. Dresel(編)、"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001; R. M. Mortier, S. T. Orszulik(編): "Chemistry and Technology of Lubricants"に記載されている。
1種以上の添加剤(c)の合計濃度は、潤滑剤組成物の全質量を基準として、好ましくは20質量%まで、より好ましくは0.05〜15質量%、より好ましくは5〜15質量%である。
(a)〜(c)の量は、合計で100質量%になるのが好ましい。
実施例
本発明を、以下の実施例により説明する。
略号
1AMA・・・C1アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート;MMA)
4AMA・・・C4アルキルメタクリレート(n−ブチルメタクリレート)
12/14AMA・・・C12/14アルキルメタクリレート
16/18AMA・・・C16/18アルキルメタクリレート
DMAPMAm・・・N−3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
branch・・・mol%での分岐度
Hydroseal G232H・・・石油由来の鉱油
KRL・・・テーパーローラベアリング
KV0・・・0℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV10・・・10℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV20・・・20℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV40・・・40℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV100・・・100℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
MM−1・・・メタクリレート官能基を有する水素化ポリブタジエンのマクロモノマー(Mn=1,000g/mol)
MM−2・・・メタクリレート官能基を有する水素化ポリブタジエンのマクロモノマー(Mn=2,000g/mol)
MM−3・・・メタクリレート官能基を有する水素化ポリブタジエンのマクロモノマー(Mn=4,750g/mol)
n・・・数平均分子量
w・・・質量平均分子量
NB3020・・・Nexbase(登録商標)3020、Neste社製のグループIIIの基油、KV100は2.2cSt
NB3043・・・Nexbase(登録商標)3043、Neste社製のグループIIIの基油、KV100は4.3cSt
OEM・・・委託者ブランド製造
PDI・・多分散性指数、Mw/Mnによって算出される分子量分布
PSSI・・・永久剪断安定指数
RC9300・・・ADDITIN(登録商標)RC9300、Lanxess社製のDIパッケージ
VI・・・粘度指数、ASTM D2270に従って測定
Yubase 4・・・SK Lubricants社製のグループIIIの基油、KV100は4.2cSt
試験法
本発明によるポリマーおよび比較例によるポリマーを、その分子量およびPDIについて特性決定した。
ポリマーの分子量は、市販のポリメタクリレート(PMMA)標準を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により特定した。この特定は、溶離剤としてTHFを用いてゲル透過クロマトグラフィーにより行う(流速:1mL/分、注入体積:100μL)。
マクロモノマーの数平均分子量Mnは、市販のポリブタジエン標準を用いてサイズ排除クロマトグラフィーによって特定する。この特定はDIN 55672-1に従って、溶離剤としてTHFを用いてゲル透過クロマトグラフィーにより行われる。
本発明によるポリマーを含む添加剤組成物、および比較例を、ASTM D 2270に従った粘度指数(VI)、ASTM D445に従った0℃での動的粘度(KV0)、10℃での動的粘度(KV10)、20℃での動的粘度(KV20)、40℃での動的粘度(KV40)、および100℃での動的粘度(KV100)について特性決定した。
剪断安定性は、KRL(テーパーローラベアリング、英語ではtapered roller bearing)によって、DIN51350 Part 6の修正版に従って、40時間、4000rpmで80℃で調査した。添加剤組成物の剪断安定性を示すために、PSSI(永久剪断安定指数)を、ASTM D 6022-01(Standard Practice for Calculation of Permanent Shear Stability Index)に従って、この方法により測定されたデータに基づき算出した。
ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンの合成(マクロアルコール)
ブチルリチウムを用いて20〜45℃で1,3−ブタジエンをアニオン重合することにより、3種類の異なったマクロアルコール(MA−1〜MA−3)を合成した。所望の重合度に達したら、プロピレンオキシドを添加してこの反応を停止させ、メタノールによる沈殿によってリチウムを除去した。引き続き、このポリマーを水素雰囲気下に、貴金属触媒の存在下で、140℃までの温度および200barの圧力で水素化した。水素化が完了した後、貴金属触媒を取り除き、有機溶媒を減圧下で抜き出した。最後に、MA−3をNB 3020で希釈して、ポリマー含分を70質量%にした。MA−1およびMA−2は、100%に保った。
表1は、MA−1、MA−2、およびMA−3の特性決定データである。
Figure 0006456468
マクロモノマー(MM−1、MM−2およびMM−3)の合成
サーベル型スターラー、吸気管、コントローラ付熱電対、加熱ジャケット、3mmのらせん状ワイヤがランダムに充填されたカラム、蒸気分配器、上部温度計、還流式コンデンサ、および基質冷却器を備えた2Lの撹拌装置内で、前述のマクロアルコール1000gを、60℃で撹拌して、メチルメタクリレート(MMA)中に溶解させる。この溶液に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル20ppm、およびヒドロキノンモノメチルエーテル200ppmを加える。MMAが還流するまで加熱した後(底部温度は約110℃)、安定化のために空気を通しながら、共沸乾燥のためにMMAを約20mL、留去する。95℃に冷却した後、LiOCH3を添加し、この混合物を加熱して再び還流させる。約1時間の反応時間後には、メタノール形成により上部温度が約64℃に低下していた。形成されるメタノール/MMA共沸混合物は、約100℃という一定の上部温度が再度確立されるまで、常に留去する。この温度で、この混合物をさらに1時間反応させる。さらなる後処理のため、MMAの大部分を、減圧下で抜き取る。不溶性触媒残渣は、加圧濾過により除去する(Seitz T1000 デプスフィルタ)。
表2には、マクロモノマーのMM−1、MM−2およびMM−3を合成するために使用されるMMAおよびLiOCH3の量がまとめられている。
Figure 0006456468
ポリマーの合成
方法1
4つ首フラスコおよび精密ガラス製サーベル型スターラーを備えた装置にモノマー混合物(その組成は表3に示してある)を装入し、重合油NB3020を添加して、油中のモノマー濃度を60質量%にする。窒素下で115℃に加熱後、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの10質量%溶液、およびNB3020中のドデシルメルカプタンを、3時間以内に一定の供給速度で加える。この反応を115℃に維持し、開始剤の供給終了から0.5時間後および3.5時間後に、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタンを、(モノマーの全量に対して)0.2%添加する。この反応混合物を115℃でさらに2時間撹拌し、NB3020により油中でポリマーが30質量%の溶液となるように希釈して、最終的なVIIが得られる。
表3は、実施例および比較例を製造するために使用される反応混合物を示す。モノマー成分は合計して100%である。開始剤および連鎖移動剤の量は、モノマーの全量に対するものである。モノマーの量は、最終的なVIIの30質量%であり、残りの70質量%は、このポリマーを製造するために使用される、一般的な手順において前述した希釈油(NB3020)である。
方法2
モノマー混合物(その組成は、表3に示されている)を、Nexbase 3020とHydroseal G232 Hとの50/50混合物により、油中のモノマーの濃度が60質量%となるように希釈する。4つ首フラスコおよび精密ガラス製サーベル型スターラーを備えた装置には、先に作製した反応混合物50質量%が装入されている。窒素下で120℃に加熱した後、表3に記載した割合の2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン開始剤を反応混合物に添加して、反応を開始させる。同じ量の開始剤を、残りの50%の反応混合物に添加するが、これは120℃で3時間にわたって一定の割合でフラスコに添加する。この反応を120℃に維持し、反応混合物の供給から2時間後、および4時間後に、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタンを、(モノマーの量に対して)0.2%添加する。この反応混合物を120℃でさらに2時間撹拌し、NB3020により油中で42.5質量%のポリマー溶液となるように希釈して、最終的なVIIが得られる。
表3は、本発明によるポリマーを製造するために使用される反応混合物およびその製造法を示す。モノマー成分は合計して100%である。開始剤および連鎖移動剤(CTA)の量は、モノマーの全量に対するものである。ポリマーは、2つの製造法の上記記載に従って、油(70質量%または57.5質量%)で希釈する。
特徴的な質量平均分子量(Mw)、およびそれらの多分散性(PDI)は、GPC測定によって得られた。
例1、2および4は、質量%で記載されている各成分の相対的な量に関して似たような組成を有しているが、これらの例は3種類の異なったマクロモノマーそれぞれ順にMM−1、MM−2、およびMM−3)に基づいている。例3は、例4と似たような分枝度を有しているが、MM−3ではなくMM−2に基づいている。4つの例は全て同様のMwを有しており、様々な例とマクロモノマーと間の性能比較が可能になる。
例5および6は、MM−2およびMM−3と、主鎖が異なる組成物との組み合わせを使用する。
例7、8および9は、主鎖が異なる組成を有するMM−1を使用する。
例10は、分散剤のモノマーおよびMM−3を含む。
例11は、MM−2と、その他の例とは対照的にC12/14アルキルメタクリレートに代えてC16/18アルキルメタクリレートを使用している。
例1〜3、5〜9および11は、本発明による例である。残りの例は、比較例である。
Figure 0006456468
粘度指数(VI)向上剤候補の評価
本発明によるポリマーがVI、剪断安定性および低温挙動に対してもたらす改善作用を示すために、Nexbase 3043中で5.5cStの目標KV100を有する、例示的なポリマーの添加剤組成物を製造した。さらに、パッケージ(RC9300)0.6%を、KRL保護の目的のためだけに添加した。VI、KRLによって特定される剪断安定性、および様々な温度における動的粘度を測定した。その結果が表4に示されている。
例1、2および4は全て質量%で同じモノマー組成を有し、全体的に同じMwを有するが、3種の異なったマクロモノマーMM−1、MM−2およびMM−3が用いられており、これらの例を見ると、MM−2に基づく例2が、最もバランスのとれた性能を有することがわかる。例2は、これら3つの例のうち、最も高いVIを示し、剪断後の良好な可溶性、ならびに低温での良好な動的粘度を示す。
例3、5、6および11を、MM−3を用いた比較例の4および10と比較すると、本発明による例は、より高いVI、著しく改善された剪断安定性、および良好な低温特性を示す。このことは、例3と例4(これらはともに同じ分岐度、および似たようなMwを有する)を比べると特に明らかである。例3の最適化された組成は、例4の値と比べて、KV0については7%低下しており、VIについては9%改善されており、PSSI100値については62%低下しており、その一方で依然として、剪断後に良好な可溶性をもたらす。この比較は、VI、低温性能および剪断安定性におけるVI改善剤の性能が、本発明によって著しく改善されることを示している。
MM−1に基づく例1、7、8および9もまた、より良好な低温特性を有しており、たいていの場合、MM−3に基づく例4および10に比べて、剪断安定性が増大している。
しかしながら、例1、7、8および9を、MM−2に基づく例2、5、6および11と比べると、後者は前者と同等またはより高いVI、剪断安定性の増大、および同等の低温特性を示すことが明らかである。MM−1に基づくポリマーと比較した場合に、MM−2に基づくポリマーの特別なさらなる利点は、剪断後の優れた可溶性である。例7、8および9は、剪断後に濁りを生じるか、または沈殿を示すことすらあるが、これは例えばトランスミッションフルードにおける用途で許容できるものではない。
よってMM−2に基づく例は、VI、低温性能、および剪断安定性という観点で全体的に最良のバランスが取れた性能を示し、このような性能は、これより小さな分子量を有するマクロモノマー(MM−1)またはより大きな分子量を有するマクロモノマー(MM−3)を用いた場合には得られない。
Figure 0006456468

Claims (14)

  1. 使用するモノマーの全量を基準として、
    (a)(メタ)アクリル酸と、1,800〜2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル 10〜70質量%、
    (b)1種以上のC1〜30アルキル(メタ)アクリレート 10〜80質量%
    を含有し、(a)および(b)の量は合計で100質量%となるモノマー組成物を重合させることによって得られ、1.5〜3mol%のモル分岐度を有するポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  2. 15,000〜350,000g/molの質量平均分子量(Mw)を有する、請求項1記載のポリマー。
  3. 前記モノマー組成物が、成分(a)として、(メタ)アクリル酸と、前記ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20〜60質量%含有する、請求項1または2記載のポリマー。
  4. 前記モノマー組成物が、成分(b)として、1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレートと、1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレートとの混合物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマー。
  5. 前記モノマー組成物が、成分(c)として、炭素原子を8〜17個有する1種以上のスチレンモノマーを、0.01〜80質量%含有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のポリマー。
  6. 前記モノマー組成物が、
    (a)(メタ)アクリル酸と、1,800〜2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20〜60質量%、
    (b)1種以上のC1〜4アルキル(メタ)アクリレートを1.0〜70質量%、および1種以上のC10〜18アルキル(メタ)アクリレートを0.1〜10質量%、
    (c)炭素原子を8〜17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2〜60質量%、含有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のポリマー。
  7. 前記ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンが、1,900〜2,100g/molの数平均分子量を有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のポリマー。
  8. 前記モノマー組成物が、さらに成分(c)として、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを0.01〜10質量%含有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のポリマー。
  9. ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの製造方法であって、以下の工程:
    (a)請求項1からまでのいずれか1項記載のモノマー組成物を用意する工程、および
    (b)前記モノマー組成物において、ラジカル重合を開始する工程
    を含む、前記製造方法。
  10. 潤滑剤組成物の粘度指数、40℃以下の温度での粘度および剪断抵抗を改善するための潤滑剤組成物用添加剤としての、請求項1からまでのいずれか1項記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの使用。
  11. (a)基油、および
    (b)請求項1からまでのいずれか1項記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー
    を含有する組成物。
  12. 前記基油が、ポリα−オレフィン基油、APIグループIIIの基油、ポリα−オレフィン基油とAPIグループIIIの基油との混合物、またはAPIグループIIIの基油の混合物である、請求項11記載の組成物。
  13. 前記基油を40〜80質量%、および前記ポリマーを20〜60質量%含有する、請求項11または12記載の組成物。
  14. 前記基油を50〜99.5質量%、および前記ポリマーを0.5〜50質量%含有する、請求項11または12記載の組成物。
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